JP6320284B2 - 水解性吸収体及び吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、水解性吸収体及び該吸収体を備えた吸収性物品に関する。
生理用ナプキン、オムツ、失禁者用パッド等の吸収性物品は、一般に、水解しない材料(非水解性材料)を含むため、使用済みの吸収性物品は、トイレに設置された収納箱等に廃棄され、回収、処分されている。しかしながら、使用済みの吸収性物品を廃棄する際に、誤って水洗トイレに流してしまうと、吸収性物品が水洗トイレの配管に詰まる場合がある。このため、使用後にそのまま水洗トイレに流すことができる、水解性材料を用いた吸収体及び吸収性物品が検討されている。
このような水解性材料を用いた吸収体として、例えば、特許文献1には、吸水量が300g/m以上である水解性吸収層と、平面方向の引裂強度が第1の方向及び該第1の方向と直交する第2の方向ともに0.15N/40mm以下である非水溶性樹脂層とを備えた水解性吸収体が開示されている。
この特許文献1に開示された水解性吸収体は、前記平面方向の引裂強度が第1の方向及び第2の方向ともに0.15N/40mm以下である非水溶性樹脂層が、使用時においては前記水解性吸収層に吸収された液体の漏れを防止し、廃棄後においては上述の引裂強度よりも大きい力を水流から受けることによって崩壊するので、使用時の防漏性と廃棄後の水解性(水解性)に優れるとされている。
国際公開第2013/046967号
しかしながら、従来の水解性材料を用いた吸収体は、水洗トイレに廃棄されると、水洗トイレや浄化槽等の水流の力を受けて水解し、複数個の不定形の微小片(水解物)となって水流中に分散するが、このような分散した微小片が水流と共に配管内を一斉に流れると、水量や配管の構造、内径などによっては、微小片の集合物が配管内に詰まる虞があった。
また、従来の水解性材料を用いた吸収体は、水解性と、使用時の透湿性(通気性)及び強度とを両立させることが難しく、特に使用時の透湿性及び強度の点で改良の余地があった。
そこで、本発明は、水解性、使用時の透湿性及び強度に優れるとともに、廃棄後の水解物が配管内に詰まり難い水解性吸収体を提供することを目的とする。
本発明の水解性吸収体は、水解性吸収層と、透湿性を有する非水溶性樹脂層とを備え、前記非水溶性樹脂層の平面方向の引張破断強度は、第1の方向の引張破断強度が17〜45N/25mmであり、前記第1の方向と直交する第2の方向の引張破断強度が3〜7N/25mmである。
本発明の水解性吸収体は、使用時及び廃棄後において、それぞれ以下のような作用を発揮する。
[使用時]
本発明の水解性吸収体は、非水溶性樹脂層が、水蒸気等の気体に対しては通気性(透湿性)を有するものの、液体に対しては不透過性を有しているため、使用時に水解性吸収層に吸収された液体が滲み出たとしても、当該非水溶性樹脂層によって液体の漏出を防止することができ、水解性吸収体として良好な透湿性(通気性)を備えつつ、優れた防漏性を発揮することができる。
また、非水溶性樹脂層は、第1の方向の引張破断強度が17〜45N/25mm、第2の方向の引張破断強度が3〜7N/25mmであり、水解性吸収層に吸収された液体中の水分や非水溶性樹脂層が接する空気中の水分等に影響を受けない程度の耐水性を有しているため、上述の通気性(透湿性)及び防漏性を安定して維持することができるとともに、水解性吸収層が、吸収した液体によって水解して強度が低下するような状態であっても、非水溶性樹脂層は、強度が低下することなく前記水解性吸収層を補強し、該水解性吸収層の形態を保持するように機能するので、水解性吸収層の吸収性を安定的に持続させることができる。
[廃棄後]
本発明の水解性吸収体は、水洗トイレに廃棄されると、水洗トイレや浄化槽等の水流によって10N/25mmの引張破断強度を超える力が水解性吸収体に掛かるが、その際に、水解性吸収層は複数個の不定形の微小片に水解する一方、非水溶性樹脂層は、引張破断強度が3〜7N/25mmである第2の方向においては崩壊し易く、引張破断強度が17〜45N/25mmである第1の方向においては崩壊し難いため、当該非水溶性樹脂層は、複数本の第1の方向に長い線状の非水溶性樹脂片に水解することとなる。そして、その複数本の線状の非水溶性樹脂片(水解物)は、水流の進行方向に配向しながら前記水流の流れに乗って配管内を流れていくため、配管の断面積当たりに占める複数本の非水溶性樹脂片の総断面積が、従来の配管断面方向に分散して流れる複数個の微小片の総断面積よりも小さくなり、水洗トイレ等の各種配管内に詰まらず円滑に流れていくことができる。
本発明によれば、水解性、使用時の透湿性及び強度に優れるとともに、廃棄後の水解物が配管内に詰まり難い水解性吸収体を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る水解性吸収体を備えた吸収性物品(パンティライナー)の斜視図である。 図2は、図1に示すパンティライナーの部分破断図である。 図3は、図1のIII−III線に沿った断面の拡大端面図である。
本発明の水解性吸収体が適用される吸収性物品は、特に限定されず、例えば、生理用ナプキン、使い捨ておむつ、パンティライナー、失禁パッド、汗取りシート等の衛生用品・生理用品などが挙げられ、これらは人間を対象としてもよいし、ペット等の人間以外の動物を対象としてもよい。また、本発明の水解性吸収体が吸収対象とする液体も、特に限定されず、例えば、使用者の液状排泄物(例えば、経血、尿、下り物等)や体液等が対象となり得る。
なお、本明細書において「水解性」とは、水洗トイレに流した場合等に、水中で崩壊又は溶解する性質を意味する。これらの性質は、後述するシェイクフラスコ法によって評価することができる。
以下、本発明の水解性吸収体の好適な実施形態について、パンティライナーに適用した例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水解性吸収体を備えた吸収性物品(パンティライナー1)の斜視図であり、図2は、図1に示すパンティライナー1の部分破断図であり、図3は、図1のIII−III線に沿った断面の拡大端面図である。図1〜図3に示すように、パンティライナー1は、表面シート2と、裏面シート3と、表面シート2及び裏面シート3との間に配置された水解性吸収体4とを備えている。なお、表面シート2と水解性吸収体4との間、及び裏面シート3と水解性吸収体4との間は、それぞれホットメルト型接着剤によって接着されている。
パンティライナー1は、使用者が着用する際に、表面シート2が使用者の肌側に、裏面シート3が使用者の着衣(下着)側に位置するように着用される。このとき、パンティライナー1は、裏面シート3の着衣(下着)側の表面に塗工された水解性を有する固定用粘着材(不図示)によって、使用者の着衣(下着)に固定される。そして、使用者から排泄された液状排泄物は、表面シート2を通じて水解性吸収体4に浸透し、該水解性吸収体4によって吸収される。
本発明において、吸収性物品の表面シートは、液透過性及び水解性を有するシートであり、裏面シートは、水解性を有するシートである。裏面シートは、表面シートと同様に液透過性を有するシートを用いることができるものの、水溶性のポリエステルなどの水溶性樹脂を塗工するなどの防水処理により液不透過性が付与されていることが好ましい。裏面シートが液不透過性を有することにより、吸収体に吸収された液状排泄物の防漏性が更に向上する。また、裏面シートは、吸収性物品の着用時のムレを低減させるために、通気性を有していることが好ましい。このような表面シート及び裏面シートとしては、例えば、水解性不織布、水解性ティッシュ、水解紙等の水解性基材を用いることができる。特に、裏面シートとして水解性不織布を用いた場合は、裏面シートの着衣(下着)側の表面に塗工された固定用粘着材や裏面シートと水解性吸収体との間(すなわち、裏面シートと後述する非水溶性樹脂層との間)の接着剤の水解を促進することができる。
表面シートの液透過性の程度は、使用者の液状排泄物が透過し得る限り特に限定されず、空隙率の調節、透過孔の形成等によって適宜調節することができる。表面シート及び裏面シートに用いることのできる液透過性を有するシートとしては、例えば、不織布、織布、透過孔が形成された樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等が挙げられるが、液透過性や通気性、水解性、クッション性などに優れるという点から不織布が好ましい。また、不織布としては、例えば、乾式又は湿式スパンレース不織布、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布等が挙げられるが、乾式又は湿式スパンレース不織布が好ましく、中でも、湿式スパンレース不織布は、短繊維(例えば、15mm以下の繊維長を有する繊維)を用いた均質な不織布であるため、優れた水解性とソフトな風合いを有する点で特に好ましい。
本発明において、吸収性物品の表面シート及び裏面シートの水解性の程度は、流水中で崩壊し得る限り特に限定されず、構成材料の選択等によって適宜調節することができる。表面シート及び裏面シートの構成材料として用いることのできる水解性材料は、例えば、水分散性繊維、水溶性樹脂、水溶性セルロース、水溶性澱粉などが挙げられる。
水分散性繊維としては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ(例えば、綿、麻など)、レーヨン、キュプラ、アセテート、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール繊維、カルボキシメチルセルロース繊維、アクリル繊維等の親水性繊維;ポリ乳酸繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維等の疎水性繊維が挙げられる。また、水分散性繊維の繊維長は、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。なお、繊維長の下限は通常2mmである。水分散性繊維の繊維長が20mm以下であると、水解後の繊維の分散性に優れるとともに、廃棄後の浄化槽において水解後の繊維が絡みついて浄化槽が破損するようなことを防ぐことができる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等が挙げられる。
水溶性セルロースとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
水溶性澱粉としては、例えば、小麦粉澱粉、トウモロコシ澱粉等が挙げられる。
本発明において、吸収性物品の表面シートの厚さ、坪量、密度等は、液透過性及び水解性が保持される範囲内において適宜設定することができるが、厚さは、通常0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.4mmであり、坪量は、通常20〜80g/m、好ましくは25〜60g/mであり、密度は、通常0.13〜0.20g/cm、好ましくは0.14〜0.18g/cmである。厚さ、坪量及び密度がこのような各範囲内にあると、通常の吸収性物品に用いられる不織布と同様の柔らかな触感を得ることができる。
また、吸収性物品の裏面シートの厚さ、坪量、密度等は、水解性が保持される範囲内において適宜設定することができるが、厚さは、通常0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.4mmであり、坪量は、通常20〜80g/m、好ましくは25〜60g/mであり、密度は、通常0.13〜0.20g/cm、好ましくは0.14〜0.18g/cmである。厚さ、坪量及び密度がこのような範囲内にあると、通常の吸収性物品に用いられる不織布と同様の柔らかな触感を得ることができる。
次に、本発明の一実施形態に係る水解性吸収体4について説明する。水解性吸収体4は、図3に示すように、水解性吸収層41と、透湿性を有する非水溶性樹脂層42とを備えており、水解性吸収層41は、非水溶性樹脂層42に直接積層されている。水解性吸収体4は、図3に示すように、水解性吸収層41が表面シート2側に、非水溶性樹脂層42が裏面シート3側に位置するように、表面シート2と裏面シート3との間に配置される。なお、水解性吸収層と非水溶性樹脂層との間、並びに表面シート2及び裏面シート3の端部同士の間は、それぞれホットメルト型接着剤によって接着されている。
本発明において、水解性吸収層と非水溶性樹脂層の間、並びに表面シート及び裏面シートの端部同士の間の接合手段は、水解性吸収体或いは吸収性物品の水解性を阻害しない限り特に制限されず、例えば、接着剤等の接着手段やエンボス等の圧着手段などが挙げられるが、水解性や柔軟性などの点から、好ましくは接着剤、さらに好ましくはホットメルト型接着剤、特に好ましくは水解性を有するホットメルト型接着剤である。なお、本発明においては、吸収性物品の裏面シートの着衣(下着)側の表面に塗工される固定用粘着材、表面シートと水解性吸収体との間(すなわち、表面シートと水解性吸収層との間)の接着剤、及び裏面シートと水解性吸収体との間(すなわち、裏面シートと非水溶性樹脂層との間)の接着剤についても、上記と同様の接着剤を用いることができ、特に、水解性を有するホットメルト型接着剤を用いることが好ましい。
これら接着剤の塗工手段は、水解性吸収体或いは吸収性物品の水解性を阻害しない限り特に制限されず、例えば、スパイラル塗工、コーター塗工、スプレー塗工などの任意の塗工手段を採用することができる。また、接着剤の塗工形態についても、所定の接着強度を有し、且つ水解性吸収体或いは吸収性物品の水解性を阻害しない限り特に制限されないが、水解性吸収体或いは吸収性物品の水解性の点から、例えば、ストライプ状やドット状などのように、塗工領域と非塗工領域が混在する形態で塗工することが好ましい。
本実施形態の水解性吸収体4において、水解性吸収層41は、使用者の液状排泄物等の液体を吸収し、保持する機能を有する層である。本発明の水解性吸収体において、水解性吸収層は、吸水量が300g/m以上であることが好ましい。吸水量が300g/m以上であると、水解性吸収体を生理用品、衛生用品等の一般的な吸収性物品に適用した際に、十分な吸収性能を発揮することができる。
なお、水解性吸収層の吸水量(g/m)は、例えば、吸水量測定用サンプル(例えば、100mm×100mmのシート状サンプル)を蒸留水に1分間浸漬させた後、網上で1分間放置して水切りし、吸水後のサンプル重量(g)を測定し、吸水前のサンプル重量(g)との差に基づいて算出することができる。この際、水切り用の網としては、例えば、250メッシュの網(例えば、250メッシュナイロンネット(株式会社NBCメッシュテック製N−No.250HD)など)を用いることができる。
本発明の水解性吸収体において、水解性吸収層を構成する材料は、水解性吸収層の水解性及び吸収性が保持される範囲内において適宜選択することができ、例えば、パルプ等の水分散性繊維及び水溶性バインダーで構成したものなどを用いることができる。中でも、水分散性繊維を水溶性バインダーで固定したエアレイド不織布を用いることが好ましい。このようなエアレイド不織布を用いることにより、水解性及び吸収性に優れた水解性吸収層を得ることができる。
また、上述の水分散性繊維は、水中で繊維同士の絡合が解けて分散し得る限り特に限定されず、親水性繊維であっても、疎水性繊維であってもよいが、水解性吸収層に含有される水分散性繊維の少なくとも一部は親水性繊維であることが好ましく、当該親水性繊維は、吸収性物品に必要な吸収性に応じた量の親水性繊維が水解性吸収層に含有されていることが好ましい。水解性吸収層における水分散性繊維の坪量は、水解性吸収層の水解性及び吸収性が保持される範囲内において適宜調節することができるが、30〜100g/mであることが好ましく、40〜80g/mであることがさらに好ましい。
水解性吸収層を構成する材料として用い得る水分散性繊維としては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ(例えば、綿、麻など)、レーヨン、キュプラ、アセテート、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール繊維、カルボキシメチルセルロース繊維、アクリル繊維等の親水性繊維;ポリ乳酸繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維等の疎水性繊維が挙げられるが、これらの中でも、木材パルプが好ましい。また、水分散性繊維の繊維長は、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは10mm以下である。なお、繊維長の下限は通常2mmである。水分散性繊維の繊維長が20mm以下であると、水解後の繊維の分散性に優れるとともに、廃棄後の浄化槽において水解後の繊維が絡みついて浄化槽が破損するようなことを防ぐことができる。
水分散性繊維の固定に用いられる水溶性バインダーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、澱粉類、糖類などが挙げられる。
本発明の水解性吸収体において、水解性吸収層の厚さは、水解性吸収層の水解性及び吸収性が保持される範囲内において適宜設定することができるが、通常は0.3〜1.2mmであり、好ましくは0.4〜1.0mmである。
本実施形態の水解性吸収体4において、非水溶性樹脂層42は、非水溶性樹脂を主に含む樹脂材料によって構成されている。ここで、非水溶性樹脂層に含有される非水溶性樹脂の量は、通常、非水溶性樹脂層の60質量%以上であり、好ましくは100質量%である。また、本発明において、非水溶性樹脂層を構成する非水溶性樹脂は、非水溶性の樹脂である限り特に限定されず、任意の非水溶性樹脂を採用することができるが、中でも生分解性樹脂を用いることが好ましい。非水溶性樹脂層を構成する非水溶性樹脂として生分解性樹脂を用いると、非水溶性樹脂層が水解した後の非水溶性樹脂片(水解物)が、配管内等の微生物によって更に分解され得るため、廃棄後の環境負荷を低減することができる。
非水溶性樹脂層に用いられる生分解性樹脂としては、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などが挙げられるが、これらの中でも、耐水性が高く、また水解性及び強度にも優れるという点から、ポリ乳酸を用いることが好ましい。
なお、本明細書において「非水溶性」とは、水に溶解しない性質を意味し、その指標としては、25℃の純水100gに対する溶解度が1.0g以下である。したがって、25℃の純水100gに対する溶解度が1.0g以下である樹脂を、非水溶性樹脂として選択することができる。例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)などの水溶性樹脂は、非水溶性樹脂には該当しない。
また、本発明の水解性吸収体において、非水溶性樹脂層は、透湿性、すなわち水蒸気等の気体に対する透過性を有するものの、液状排泄物などの液体に対しては不透過性を有する。そのため、本発明の水解性吸収体は、適度な通気性を保持しながら、水解性吸収層に吸収された液状排泄物が滲み出るような場合であっても、当該液状排泄物が漏出しないような優れた防漏性を発揮することができる。
非水溶性樹脂層の透湿性の程度は、当該非水溶性樹脂層が液状排泄物などの液体に対して不透過性である限り特に限定されないが、前記非水溶性樹脂層は、透湿度が500g/m・24h以上であることが好ましく、700g/m・24h以上であることが更に好ましい。非水溶性樹脂層の透湿度が500g/m・24h以上であると、水解性吸収体を吸収性物品に適用した際に、当該吸収性物品におけるムレを効果的に改善することができる。
なお、本明細書において「透湿度」とは、一定時間に単位面積の膜状物質(例えば、非水溶性樹脂層)を通過する水蒸気の量を意味し、当該透湿度は、JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法に従って測定することができる。
非水溶性樹脂層に透湿性を付与する手段は、特に限定されず、例えば、非水溶性樹脂層に複数の微小開孔を形成すること、多孔質構造を有する非水溶性樹脂層を採用することなどが挙げられる。中でも、任意の充填材を含む非水溶性樹脂材料からなるシートを、一方向(例えば、非水溶性樹脂層の製造時の搬送方向(MD方向)など)又は互いに直交する二方向(例えば、MD方向及び該MD方向と直交する方向(CD方向)など)に延伸してなる一軸又は二軸延伸シートを用いることが好ましい。充填材を含む非水溶性樹脂材料からなるシートを延伸すると、充填材と非水溶性樹脂材料との界面が延伸方向に剥離して、空隙が形成されるため、前記シートを、複数の微細孔を有する多孔質構造のシート(非水溶性樹脂層)とすることができる。したがって、本発明の水解性吸収体は、防漏シートとして水溶性樹脂層を用いた場合に比べて、水溶性に起因する耐水性の低下が起こり難い上、透湿性を有する非水溶性樹脂層によって吸収性物品の着用時のムレを効果的に低減することができる。
さらに、前記延伸シートが、一方向(第1の方向)のみに延伸した一軸延伸シートであると、該一軸延伸シート(非水溶性樹脂層)の平面方向の引張破断強度が、後述するような第1の方向において17〜45N/25mm、前記第1の方向と直交する第2の方向において3〜7N/25mmである非水溶性樹脂層を形成し易いため、後述する水解性とともに、優れた透湿性(通気性)、強度及び耐水圧を兼ね備えた非水溶性樹脂層を容易に得ることができる。
非水溶性樹脂層に用いられる充填材は、非水溶性樹脂材料からなるシートを延伸したときに多孔質構造を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機微粒子や前記非水溶性樹脂と相溶性のない有機高分子からなる有機微粒子などが挙げられる。また、充填材の粒径(平均粒子径)も特に限定されないが、好ましくは0.1〜15μmであり、更に好ましくは0.5〜10μmである。充填材の粒径が15μm以下であると、非水溶性樹脂層が良好な水解性や強度等を保持することができ、充填材の粒径が0.1μm以上であると、非水溶性樹脂層が良好な透湿性(通気性)を発揮することができる。
充填材の含有量は、特に限定されないが、例えば、非水溶性樹脂層に対して10〜80質量%であり、好ましくは20〜70質量%である。充填材の含有量が80質量%以下であると、非水溶性樹脂層が良好な水解性や強度等を保持することができ、また、充填材の含有量が10質量%以上であると、非水溶性樹脂層が良好な透湿性(通気性)を発揮することができる。
非水溶性樹脂層に用いられる延伸シートの延伸倍率は、延伸シートに多孔質構造が形成され、且つ後述する所定範囲の引張破断強度が得られる限り特に限定されず、例えば1.1倍〜10倍の範囲内であり、好ましくは1.2倍〜5倍の範囲内である。なお、これらの延伸倍率の範囲は、延伸シートが一軸延伸シートの場合、第1の方向(例えば、MD方向)の延伸倍率の範囲を意味し、延伸シートが二軸延伸シートの場合、第1の方向(例えば、MD方向)及び該第1の方向と直交する第2の方向(CD方向)のそれぞれの延伸倍率の範囲を意味する。また、延伸シートが二軸延伸の場合、第1の方向の延伸倍率と第2の方向の延伸倍率は、同じ延伸倍率であっても異なる延伸倍率であってもよいが、後述するように、延伸シート(非水溶性樹脂層)の平面方向の引張破断強度が、第1の方向において17〜45N/25mm、前記第1の方向と直交する第2の方向において3〜7N/25mmとなるように、第1の方向と第2の方向とで異なる延伸倍率であることが好ましい。延伸シート(非水溶性樹脂層)の平面方向の前記第1の方向及び前記第2の方向における引張破断強度が、共に水洗トイレや浄化槽等の水流では崩壊しない程度に高い場合、前記非水溶性樹脂層は十分な水解性を発揮することができない。
本発明において、非水溶性樹脂層の平面方向の引張破断強度は、第1の方向の引張破断強度が17〜45N/25mmであり、前記第1の方向と直交する第2の方向の引張破断強度が3〜7N/25mmである。非水溶性樹脂層がこのような平面方向の引張破断強度を有していると、当該非水溶性樹脂層を備えた水解性吸収体が水洗トイレなどに廃棄されたときに、水洗トイレや浄化槽等の水流によって10N/25mmの引張破断強度を超える力が前記水解性吸収体に掛かり、前記水解性吸収体内の水解性吸収層は、複数の不定形の微小片(水解物)に水解する一方、前記非水溶性樹脂層は、引張破断強度が3〜7N/25mmである第2の方向においては崩壊し易く、引張破断強度が17〜45N/25mmである第1の方向においては崩壊し難いため、当該非水溶性樹脂層は、複数本の第1の方向に長い線状の非水溶性樹脂片(水解物)に水解することとなる。そして、その複数本の線状の非水溶性樹脂片は、水流の進行方向に配向しながら前記水流の流れに乗って配管内を流れていくため、配管の断面積当たりに占める複数本の非水溶性樹脂片の総断面積が、従来の配管断面方向に分散して流れる複数個の微小片の総断面積よりも小さくなり、水洗トイレ等の各種配管に詰まらず円滑に流れていくことができる。さらに、前記非水溶性樹脂層が、後述するシェイクフラスコ法試験において特定サイズの非水溶性樹脂片(水解物)、すなわち、前記非水溶性樹脂片の長手方向長さが80〜120mmであり、短手方向長さが40mm以下である線状の非水溶性樹脂片(水解物)に水解する場合は、水解後の非水溶性樹脂片が水流の進行方向により配向し易くなり、配管内をより円滑に流れていくことができる。なお、このような特定サイズの非水溶性樹脂片は、非水溶性樹脂層を構成する延伸シートの延伸倍率を適宜調整すること等によって得ることができる。
さらに、非水溶性樹脂層は、第1の方向の引張破断強度が17〜45N/25mmであるため、本発明の水解性吸収体が適用された吸収性物品は、使用時において優れた強度及び耐水圧を発揮することができるとともに、廃棄時において上述の複数本の線状の非水溶性樹脂片へさらに水解し易くなる。なお、「N/25mm」は、幅25mm当たりの引張破断強度(N)を意味し、例えば、ISO 9073−3又はJIS L 1913:2010 6.3に従って測定することができる。測定の具体的な手順は、後述する実施例にて説明する。
なお、本明細書において、第1の方向としては、例えばMD方向が挙げられ、第2の方向としては、例えばMD方向と直交するCD方向が挙げられる。非水溶性樹脂層の製造時に加えられる力(例えば、引き延ばし力)により、意図せずMD方向の引張破断強度とCD方向の引張破断強度との間に差異が生ずる場合があるが、本発明においては、非水溶性樹脂層の平面方向の引張破断強度が、第1の方向において17〜45N/25mm、前記第1の方向と直交する第2の方向において3〜7N/25mmとなるように、非水溶性樹脂材料からなるシートを所定の延伸倍率でMD方向に延伸することが好ましい。また、本発明の水解性吸収体を吸収性物品に適用する場合は、前記非水溶性樹脂層の第1の方向(MD方向)及び第2の方向(CD方向)が、吸収性物品の長手方向及び幅方向に一致するように適用することが好ましい。本発明の水解性吸収体をこのように吸収性物品に適用することで、吸収性物品を水洗トイレに廃棄した際に良好な水解性を発揮することができる。
また、本発明において、非水溶性樹脂層の平面方向の引裂強度は、第1の方向における引裂強度が第2の方向における引裂強度よりも大きいことが好ましく、特に、第2の方向における引裂強度が0.15N/40mm以下であることが好ましく、0.08N/40mm以下であることが更に好ましく、0.02N/40mm以下であることが最も好ましい。このように非水溶性樹脂層の第2の方向における引裂強度が0.15N/40mm以下であると、非水溶性樹脂層は、この引裂強度を超える力を水洗トイレや浄化槽等の水流から受けることによって、優先的に第1の方向に沿って引き裂かれるため、当該非水溶性樹脂層は、より確実に、第1の方向に長い線状の非水溶性樹脂片へと水解するようになる。
なお、本明細書において、第2の方向の引裂強度とは、第2の方向(引張方向)に直交する第1の方向に切れ込みを入れたサンプル片を、引張試験機により第2の方向に引っ張って引き裂いた(破断した)ときに測定される最大荷重(引裂強度)(N)を意味し、「N/40mm」は、幅40mmあたりの引裂強度(N)を意味する。
このような引裂強度は、例えば、JIS K 6772:1994の7.5「引裂試験」に従って測定することができる。測定の具体的な手順は、次のとおりである。
(a)幅40mm×長さ150mmのサンプル片を準備する。
(b)サンプル片の短辺の中央から長辺に平行して、長さ75mmの切り込みを入れる。
(c)切り込みを入れた切込み片を引張試験機に保持し、引張速度200mm/分にて引張強度を測定する。
(d)測定された最大強度をサンプルの引裂強度(N/40mm)とする。
また、本発明のように、非水溶性樹脂層の第1の方向の引裂強度が第2の方向の引裂強度よりも大きい場合、非水溶性樹脂層の第1の方向の引裂強度を測定しようとしても、非水溶性樹脂層が、測定時において、サンプル片の切れ込み方向である第2の方向よりも引張方向である第1の方向に沿って優先的に引き裂かれてしまう(すなわち、第2の方向に破断してしまう)ため、当該第1の方向の引裂強度の正確な値を測定することは困難であるが、非水溶性樹脂層の第1の方向の引裂強度が、上述の引張破断強度に相関して第2の方向の引裂強度を超える値となることは明らかである。このように、前記非水溶性樹脂層は、前記第1の方向に沿って上述の引裂強度試験を行うと、前記第2の方向に破断する性質を有する。仮に、前記第2の方向以外の方向に力が加わったとしても、前記非水溶性樹脂層は前記第2の方向に破断するため、前記非水溶性樹脂層の向きを適宜設定することで、水解性吸収体が破断する方向を所望の方向に誘導することができる。例えば、本発明の水解性吸収体において、前記非水溶性樹脂層を破断距離が短くなるように配置すると、水解性吸収体を水洗トイレに廃棄して水解させたときに、大きな破断片(水解物)が発生し難く、水解物が配管内に詰まり難い。なお、前記第1の方向の引裂強度が前記第2の方向の引裂強度よりも大きい非水溶性樹脂層を形成する手段は、特に限定されず、例えば、非水溶性樹脂層に用いられる延伸シートの延伸倍率を適宜調節することなどによって、容易に実現することができる。
本発明において、非水溶性樹脂層は、本発明の水解性吸収体を適用する吸収性物品の着用時に掛かる荷重(例えば、体重)によって非水溶性樹脂層が破断しないように、第2の方向における引裂強度が0.005N/40mm以上であることが好ましい。
また、非水溶性樹脂層は、耐水圧が1500mm/HO以上であることが好ましい。非水溶性樹脂層の耐水圧が1500mm/HO以上であると、非水溶性樹脂層の防漏性を安定して維持することができるため、水解性吸収体を吸収性物品に適用した際に、当該吸収体におけるムレ及び液状排泄物の滲み出しをより効果的に低減することができる。さらに、非水溶性樹脂層は、高湿度下でも防漏性が安定して維持されるように、温度36℃及び相対湿度90%の条件下で3時間貯蔵した後の耐水圧が、1500mm/HO以上であることが好ましい。なお、本明細書において、非水溶性樹脂層の耐水圧は、JIS L 1092:2009の7.1.1「A法(低水圧法)」に従って測定した水位(mm)、より具体的には、試験片の裏側に3カ所から水が出たときの水位(mm)を指す。
さらに、非水溶性樹脂層は、シェイクフラスコ法試験において48時間以内に水解することが好ましく、25時間以内に水解することが更に好ましい。非水溶性樹脂層がこのような水解性を備えていると、水解性吸収体が水流の力によって崩壊する時間が短く、優れた水解性を発揮することができる。なお、シェイクフラスコ法試験の具体的な手順等は、後述する実施例にて説明する。
本発明において、非水溶性樹脂層の厚さ、坪量、密度等は、非水溶性樹脂層の非水溶性及び水解性が保持される範囲内において適宜設定することができるが、厚さは、通常10〜35μm、好ましくは15〜30μmであり、坪量は、通常10〜40g/m、好ましくは15〜35g/mである。非水溶性樹脂層の厚さ及び坪量が、それぞれこのような範囲内にあると、非水溶性樹脂層の防漏性及び水解性の両機能が効果的に発揮される。なお、非水溶性樹脂層の厚さは、市販の測定器(例えば、株式会社尾崎製作所社製PEACOCK PDN−20型(測定端子径φ8mm)を用いて測定することができる。
本発明の水解性吸収体は、水解性吸収層とともに、液状排泄物などの液体に対しては不透過性を有する非水溶性樹脂層を備えているため、当該水解性吸収体は、それ自体で防漏性を発揮することから、当該水解性吸収体を適用する吸収性物品の裏面シートに防漏性(液不透過性)の機能を要しない。したがって、裏面シートには別の機能を担わせることができる。例えば、裏面シートに通気機能を担わせることにより、吸収性物品の着用時のムレをより確実に防止することができる。また、吸収性物品がパンティライナーである場合、パンティライナーに要求される吸収量は、一般的に、生理用ナプキン、オムツ等に要求される吸収量よりも少ないため、前記水解性吸収層の量(例えば、厚さ等)を減少させて、表面シートと裏面シートとの間に空隙を設け、この空隙と裏面シートとの間を通気させることにより、パンティライナー着用時のムレを効果的に防止することができる。もちろん、裏面シートに防漏性(液不透過性)を有するシートを用いてもよく、それにより吸収性物品の防漏性を更に向上させることができる。
本発明は、上述した実施形態のパンティライナーのほかに、例えば、生理用ナプキン、軽失禁パッド、使い捨ておむつ等の様々な吸収性物品に適用することができる。また、本発明の吸収性物品は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〜6及び比較例1〜3〕
(1)実施例1
水解性吸収層として、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)80質量%と、ポリアクリル酸バインダー20質量%とからなる、坪量が60g/mの水解性エアレイド不織布を採用し、当該水解性エアレイド不織布に、樹脂層の材料として、表1に示す坪量、MD方向及びCD方向における引張破断強度並びにMD方向における引裂強度を有する非水溶性の水解性ポリ乳酸樹脂(PLA)一軸延伸フィルム(東レ(株)製、ポリ乳酸樹脂40質量%、脂肪族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体10質量%、炭酸カルシウム50質量%)をホットメルト型接着剤により接着して、本発明の実施例1の吸収体サンプルを作製した。
(2)実施例2〜6
樹脂層の材料として、坪量、MD方向及びCD方向における引張破断強度並びにMD方向における引裂強度がそれぞれ異なる非水溶性の水解性PLA一軸延伸フィルム(東レ(株)製、ポリ乳酸樹脂40質量%、脂肪族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体10質量%、炭酸カルシウム50質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ実施例2〜6の吸収体サンプルを作製した。実施例2〜6に用いた水解性PLA一軸延伸フィルムのそれぞれの具体的な坪量、MD方向及びCD方向における引張破断強度並びにMD方向における引裂強度は、表1に示すとおりである。
(3)比較例1
樹脂層の材料として、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)80質量%及びポリアクリル酸バインダー20質量%からなる、坪量が60g/mの水解性エアレイド不織布に、水解性PLA(ポリ乳酸樹脂(ユニチカ(株)製、テラマック樹脂TE−2000(ポリ乳酸樹脂99.5質量%))を、坪量が10g/mとなるように260℃で溶融押出して前記水解性エアレイド不織布に前記水解性PLAを直接ラミネートした、ラミネートシートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の吸収体サンプルを作製した。比較例1に用いたラミネートシートの具体的な坪量、MD方向及びCD方向における引張破断強度並びにMD方向における引裂強度は、表1に示すとおりである。なお、前記ラミネートシートの坪量は、前記水解性エアレイド不織布(60g/m)及び前記水解性PLA(10g/m)の合計坪量(70g/m)である。
(4)比較例2
樹脂層の材料として、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)80質量%及びポリアクリル酸バインダー20質量%からなる、坪量が60g/mの水解性エアレイド不織布に、水解性PLA(ポリ乳酸樹脂(ユニチカ(株)製、テラマック樹脂TE−2000(ポリ乳酸樹脂99.5質量%))を、坪量が20g/mとなるように260℃で溶融押出して前記水解性エアレイド不織布に前記水解性PLAを直接ラミネートした、ラミネートシートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の吸収体サンプルを作製した。比較例2に用いたラミネートシートの具体的な坪量、MD方向及びCD方向における引張破断強度並びにMD方向における引裂強度は、表1に示すとおりである。なお、前記ラミネートシートの坪量は、前記水解性エアレイド不織布(60g/m)及び前記水解性PLA(20g/m)の合計坪量(80g/m)である。
(5)比較例3
樹脂層の材料として、非水解性PLA二軸延伸フィルム(東レ(株)製、ポリ乳酸樹脂40質量%、脂肪族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体10質量%、炭酸カルシウム50質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の吸収体サンプルを作製した。比較例3に用いた非水解性PLA二軸延伸フィルムの具体的な坪量、MD方向及びCD方向における引張破断強度並びにMD方向における引裂強度は、表1に示すとおりである。
(6)実施例1〜6及び比較例1〜3の評価試験
下記の各種試験方法により、実施例1〜6及び比較例1〜3における水解性吸収層及び樹脂層の引張破断強度と、前記樹脂層の引裂強度、耐水圧及び透湿度と、前記樹脂層及び前記吸収体サンプルの水解性(目視)とを評価した。各評価結果は、下記の表1に示すとおりである。
<引張破断強度>
サンプル(水解性吸収層及び樹脂層)のMD方向及びCD方向の引張破断強度を以下の手順に従って測定した。
(a)標準状態(温度20℃、湿度60%の雰囲気下)のサンプル片(長さ150mm×幅25mm)を、引張試験機(島津製作所製,AG−1kNI)にチャック間隔100mmで取り付ける。なお、サンプル片は、測定する方向(MD方向及びCD方向)に応じて、当該測定する方向がサンプル片の長手方向と一致するようにそれぞれ作製する。
(b)100mm/分の引張速度でサンプル片が切断されるまで荷重(最大点荷重)を加え、引張強度(N/25mm)を測定する。
(c)測定された最大引張強度をサンプルの引張破断強度(N/25mm)とする。
<引裂強度>
サンプル(樹脂層)のMD方向の引裂強度を、JIS K 6772:1994の7.5「引裂試験」に従って測定した。具体的な手順は、上述のとおりである。
<水解性>
サンプル(樹脂層及び吸収体サンプル)の水解性を、シェイクフラスコ法で評価した。シェイクフラスコ法の具体的な手順は、次のとおりである。
(a)800mLの蒸留水が入っている1000mLフラスコに、サンプル片(100mm×100mm)を入れ、振盪速度240rpmで、48時間、縦型分液ロート振盪機(IWAKI社製 SHKV−200)で振盪する。
(b)振盪後のサンプル片の分散状態を目視で評価する。この際、N=3で評価し、平均値を求める。目視による評価基準は、次のとおりである。

○:原形を留めないレベルまで分散している。
△:一部原形を留めるが、3つ以上に分散している。
×:原形を留めている。
<耐水圧>
サンプル(樹脂層)の耐水圧を、JIS L 1092:2009の7.1.1「A法(低水圧法)」に従って、サンプルの裏側の3カ所から水が出たときの水位(mm)を測定し、これをサンプルの耐水圧(mm/HO)とした。この際、N=5で評価し、平均値を求めた。
<透湿度>
サンプル(樹脂層)の透湿度(g/m・24h)を、JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法に従って測定した。
Figure 0006320284
表1に示すように、実施例1〜6は、樹脂層(非水溶性樹脂層)の引張破断強度、MD方向の引裂強度、耐水圧、透湿度及び水解性がいずれも優れており、吸収体としても、使用時の強度、透湿性及び水解性に優れていることが示唆された。さらに、実施例1〜6の吸収体サンプルは、水解後の水解物が、廃棄後に配管内に詰まり難い線状の形態を有していた。これに対して、比較例1〜3は、樹脂層の透湿度試験において有効な測定値が得られず、樹脂層の耐水圧も低かった。さらに、比較例1及び2の吸収体サンプルは、水解するものの、水解後の水解物が、水洗トイレに廃棄した後に配管内に詰まり易い非線状の微細片の形態を有していた。また、比較例3の吸収体サンプルは、水解性を有していなかった。
1 パンティライナー(吸収性物品)
2 表面シート(液透過性を有する第1の水解性シート)
3 裏面シート(第2の水解性シート)
4 水解性吸収体
41 水解性吸収層
42 非水溶性樹脂層

Claims (10)

  1. 水解性吸収層と、透湿性を有する非水溶性樹脂層とを備えた水解性吸収体であって、
    前記非水溶性樹脂層の平面方向の引張破断強度は、第1の方向の引張破断強度が17〜45N/25mmであり、前記第1の方向と直交する第2の方向の引張破断強度が3〜7N/25mmである、前記水解性吸収体。
  2. 前記非水溶性樹脂層は、前記第1の方向に沿って引裂強度試験を行うと、前記第2の方向に破断する、請求項1に記載の水解性吸収体。
  3. 前記非水溶性樹脂層の前記第2の方向の引裂強度が、0.15N/40mm以下である、請求項1又は2に記載の水解性吸収体。
  4. 前記非水溶性樹脂層が、充填材を含む一軸延伸シートからなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水解性吸収体。
  5. 前記非水溶性樹脂層の透湿度が、500g/m・24h以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水解性吸収体。
  6. 前記非水溶性樹脂層は、長手方向長さが80〜120mmであり、短手方向長さが40mm以下である非水溶性樹脂片に水解する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水解性吸収体。
  7. 前記非水溶性樹脂層の耐水圧が1500mm/HO以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水解性吸収体。
  8. 前記非水溶性樹脂層が生分解性を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水解性吸収体。
  9. 前記非水溶性樹脂層は、シェイクフラスコ法試験において48時間以内に水解する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水解性吸収体。
  10. 第1の水解性シートと、第2の水解性シートと、前記第1の水解性シート及び前記第2の水解性シートの間に設けられた吸収体と、を備えた吸収性物品であって、前記吸収体が請求項1〜9のいずれか一項に記載の水解性吸収体である、前記吸収性物品。
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