JP2004520038A - 高等植物のプラスチド形質転換の方法及びベクター - Google Patents

高等植物のプラスチド形質転換の方法及びベクター Download PDF

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Abstract

(a)プラスチドゲノム中の遺伝子の機能を改変又は破壊して、選択可能な又は認識可能な表現型を生じさせる段階、(b)前記表現型を発現しているプラスチドを有する植物又は細胞を分離又は選択する段階、(c)前記機能を修復することができる修復配列を有する少なくとも1つの形質転換ベクターを用いて、前記分離した又は選択した植物、植物器官、植物組織の前記プラスチドゲノムを形質転換させる段階、及び(d)前記修復された機能を発現しているプラスチドを有する、前記形質転換された植物、植物器官、植物組織を分離又は選択する段階によって、プラストームが形質転換された多細胞植物、植物器官、植物組織を生成する方法。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、植物分子生物学に関し、より詳細にはプラスチドを形質転換させる新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に受け入れられている認識によると、2つのクラスの細胞オルガネラ、すなわちプラスチド及びミトコンドリアは、元々独立していた原核生物に由来し、別々の内部共生現象によって現在の真核生物の祖先に取り込まれた(Gray、1991)。したがって、これらオルガネラはそれぞれのDNA、伝令RNAの形のDNA転写物、リボソーム、及び、遺伝情報を解読するのに必要な多少の何らかの形の必須tRNAを含んでいる(Marechal−Drouard他、1991)。
【0003】
内部共生による取り込みのすぐ後は、これらオルガネラは原核生命を営むのに必要なすべての要素を含んでいたので遺伝的に自律していたが、進化の過程で遺伝情報が細胞核に移動することにより、この自律性は低減した。それにもかかわらず、その遺伝情報は十分複雑であり、現在の細胞オルガネラは遺伝子工学の魅力的な標的となる。プラスチドの場合、これらオルガネラが植物細胞内でのその主な機能である光合成に必要なタンパク質の約50%を依然としてコードしているので、特にそうである。プラスチドはまた、そのリボソームRNA並びにそのtRNA及びリボソームタンパク質のほとんどをコードしている。全体で、プラストーム中の遺伝子数は120程度である(Palmer、1991)。しかし、プラスチド中に存在するタンパク質の大部分は、核/細胞基質の遺伝子区画から輸送されている。
【0004】
プラスチドを遺伝的に形質転換させることができる
一般的な分子クローン化技術の発達に伴って、やがて形質転換によって高等植物を遺伝的に改変させることが可能になった。最近その完全な配列が発表されたシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(シロイヌナズナゲノムイニシアチブ(The Arabidopsis Genome Initiative)、2000)の場合、遺伝子の大部分、約26,000個が細胞核に存在するので、植物形質転換における主な重点は、昔も今も核の形質転換にある。核の形質転換が効率的に行えるように改変することができる、アグロバクテリア(Agrobacterium tumefaciens)など生物ベクターを利用することができたので、核の形質転換を実現することがより容易であった(Galvin、1998)。さらに、オルガネラは一般に、DNAなど高分子を透過させない2重の包膜に囲まれているが、核は外来核酸とより直接に接近することができる。
【0005】
プラスチドを形質転換させることができると、非常に高い導入遺伝子発現レベルの潜在能力を有する、これらオルガネラ中の莫大な遺伝子量(1個の細胞あたり10000コピー以上のプラストームが存在し得る)が使用可能となるので、非常に望ましい。さらに、プラスチド形質転換では、プラスチドにコードされている形質が花粉によって伝播されず、したがって、導入遺伝子を、意図せずに遺伝子導入植物の野生の類縁体に逃してしまう潜在的な危険性が大幅に減少するので、魅力的である。プラスチド形質転換の他の潜在的な利点には、複数遺伝子をポリシストロン性単位として同時に発現させるのが実現可能なこと、核の形質転換に続いて起こる可能性のある位置効果及び遺伝不活化(silencing)が排除されることがある。
【0006】
実際に、高等植物のプラスチドの安定した形質転換を可能にする方法を開発することができる。現在のところ、2つの異なる方法が使用可能である。すなわち、組織、特に葉組織のパーティクルボンバードメント(Svab他、1990)、及び、適切な形質転換ベクターの存在下でポリエチレングリコール(PEG)を用いたプロトプラストの処理(Koop他、1996)である。これらの方法はいずれも、プラスミドDNAが2重の包膜を突き抜けてオルガネラのストロマ内に導入されるのを媒介する。
【0007】
現在使用されている多細胞植物の形質転換手順のすべてにおける1つの顕著な欠点は、遺伝子導入植物内にマーカー遺伝子が存在することである。形質転換されていない細胞の莫大なバックグラウンドから遺伝子導入された植物細胞を選択するのに必要であるこれらマーカー遺伝子は、抗生物質耐性又は除草剤耐性の遺伝子をコードしている。プラスチドの耐性遺伝子の例は、スペクチノマイシン耐性又はストレプトマイシン耐性を与えるaadA(Svab及びMaliga、1993)や、カナマイシン耐性を与えるnptII(Carrer他、1993)である。これらのマーカー遺伝子は目的の遺伝子(genes of interest、GOI)と一緒にゲノムに安定に組み込まれており、GOIの機能に必要でないにもかかわらず、ホモプラストミック(homoplastomic)遺伝子導入植物内に留まる。残ったこれらマーカー遺伝子は、理論的には病原体の抗生物質耐性や雑草の除草剤耐性を増強する可能性があるので、植物生物工学に対する主な非難の的となっている。したがって、遺伝子導入植物内に耐性遺伝子をもたらさない選択システムの構築が強く望まれている(Iamtham及びDay、2000)。
【0008】
プラスチド形質転換における別の問題は、使用できる選択マーカー遺伝子の不足である。通常使用される選択マーカー遺伝子はaadA遺伝子だけしかなく(Heifetz、2000)、高等植物のプラスチド形質転換において機能すると分かっている代替物はnptII遺伝子だけである(Carrer他、1993)。aadA遺伝子もnptII遺伝子も、すべての場合に使用できるわけではないので、プラストームが形質転換された高等植物種の数は依然として非常に少ない(Heifetz、2000)。現在、高等植物のプラスチド形質転換を、その可能性の最大限まで活かすことができていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、抗生物質耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子などの選択に必要とされる外来遺伝子を含まず、プラストームが形質転換された、遺伝的に安定な多細胞植物、植物器官、植物組織を生成する、単純であるが用途が非常に広い方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、以下の諸段階によって、プラストームが形質転換された多細胞植物、植物器官、植物組織を生成する方法によって達成される。
(a)プラスチドゲノム中の遺伝子の機能を改変又は破壊して、選択可能な又は認識可能な表現型を生じさせる段階、
(b)前記表現型を発現するプラスチドを含む植物又は細胞を分離又は選択する段階、
(c)前記機能を修復することができる修復配列を有する少なくとも1つの形質転換ベクターを用いて、前記分離した又は選択した植物、種、細胞、又はプラスチドの前記プラスチドゲノムを形質転換させる段階、
(d)前記修復された機能を発現するプラスチドを有する、前記形質転換された植物又は細胞を分離又は選択する段階。
【0011】
好ましい実施形態は、従属請求項で定義されている。
【0012】
多細胞植物、植物器官、植物組織はそれぞれの細胞中に複数のプラスチドを含み、プラストームレベル、プラスチドレベル、細胞レベルでの遺伝子型の分離が必要とされるので、本発明の新しい方法がこれらに簡単に適用できることは、驚くべきことである。この新しい方法では、成長中に簡単に分離するので、高等植物の組織に非常に効率的であることが分かった。したがって、適切な実施形態では、単に視覚的に検査し手動で操作することによって分離が可能である。阻害剤を用いた選択の場合(段階(b))は、多細胞植物、植物器官、植物組織の場合、阻害剤を再分化プロセス中ずっと使用する必要はなく、最初だけ適用すればよいので、この選択プロセスを素早く実施することができる。(もちろん、上に説明したように、阻害剤を完全に用いないことも可能である。)このことは、多細胞性と形質転換方法の緊密な複合効果を表す。
【0013】
本発明の方法によって植物組織を形質転換させる場合、遺伝子の改変又は破壊は、その遺伝子が中心的に重要な遺伝子、たとえば代謝経路の遺伝子である場合、単離された単一の細胞の場合にはしばしば致死的となる可能性があるが、この改変又は破壊の結果は、単一の形質転換された細胞が分離しておらず、むしろ、代謝産物が互いに交換可能である細胞集団の一部であることによって緩和される。
【0014】
数多くの異なるプラスチド遺伝子を、本発明の目的のために改変又は破壊することができる。このような遺伝子は、改変又は破壊によって選択可能又は認識可能な表現型を生じるという意味で、プラスチドの機能にとって重要なものであるべきである。このような機能は、プラスチドにコードされるどの機能であってもよい。この機能は光合成に直接又は間接的に関与するものであることが好ましい。光合成に間接的に必要な機能の例は、プラスチド遺伝子の転写及び/又は翻訳に必要な任意の機能である。光合成に直接関与する機能の例は、少なくとも選択条件下では光合成に必須である任意のタンパク質である。
【0015】
前記認識可能な表現型は容易に識別できることが好ましい。前記機能は、光合成に直接又は間接的に関連していることが好ましいので、容易に認識可能な表現型は色素欠損とすることができ、最も好ましくはクロロフィル欠損又は蛍光変化(altered fluorescence)である。その後、形質転換させた植物を従属栄養下で成長させ、形質転換させた植物、植物器官、植物組織を分離又は選択の対象とすることができる。分離は、形質転換された組織領域の視覚的認識によって手動で行うことができる。選択は、本発明の方法の段階(a)で導入した耐性遺伝子に基づく阻害剤耐性を用いて行うことができる。或いは、阻害剤耐性が、前記改変された又は破壊された機能自体の結果であってもよい。
【0016】
数ラウンドの再分化中の分離によってホモプラストミック状態に達した後、遺伝子導入植物、植物器官、植物組織に2度目の形質転換をさせて(段階(c))、改変された又は破壊された機能を修復し、マーカー遺伝子があればそれを取り除く。次いで、修復された表現型たとえば光栄養性を有する、形質転換させた植物、植物器官、植物組織を分離又は選択する。
【0017】
段階(a)及び/又は段階(c)で、たとえば所望の遺伝子を発現させるため、有用な形質を与えるため、又はプラストームの他の任意所望の改変を行うために、追加の目的配列又は遺伝子を導入することができる。
【0018】
さらに、段階(a)及び段階(c)で導入した配列が相まって、追加の機能を生じることがある。この実施形態の例には以下のことが含まれる。すなわち、多サブユニットタンパク質の異なるサブユニットをコードする配列を段階(a)と段階(c)で導入すること、段階(c)又は段階(a)で導入されたコード配列を発現可能にする制御配列を、それぞれ段階(a)又は段階(c)で提供すること、生化学経路のタンパク質をコードする配列を段階(a)及び段階(c)で導入することなどである。
【0019】
破壊すべき機能の具体的な例は、rpoA又はrpoBのノックアウトである。これらの遺伝子はそれぞれ、プラスチドにコードされるプラスチドRNAポリメラーゼのαサブユニット及びβサブユニットをコードする。これらの遺伝子を欠くプラスチドは、光合成を行うことができず、白色表現型を示し、光栄養では成長することができない。形質転換の第2ラウンドでrpoA及びrpoBを修復した後、遺伝子導入植物は光中で光合成により成長することができ、緑色表現型を示す。
【0020】
段階(a)の標的遺伝子の別の例は、ycf3のノックアウトであろう。この遺伝子は通常の光条件下では必須ではない(Ruf他、1997)。それにもかかわらず、ycf3ノックアウト変異体を強い光の下に置くと、白色表現型を生じ、光合成成長条件下で成長が抑圧される。ycf3遺伝子を修復した植物は、強い光条件下で、光栄養で成長することができる。したがってこの場合、第2の形質転換の淘汰圧を、光強度によって調節することができる。したがって、rpoA又はrpoBを使用した例とは対照的に、低光条件で維持すれば緑色の正常に成長している植物変異体を用いて第2の形質転換を実施することができ、再分化後に、単に光強度を増加させることによって淘汰圧を上げることができる。形質転換には植物材料の状態が重要であるので、この方法は白色材料の形質転換より優れている。
【0021】
改変又は破壊すべき機能の別の例は、形質転換の最初のラウンド(段階(a))でのpetAのノックアウトである。petAはチトクロムb/f複合体のサブユニットをコードする。petAノックアウト変異体は、高クロロフィル蛍光表現型(high chlorophyll fluorescence、hcf)を示し、光合成を行うことができない。したがって、これらは光栄養で成長することができない。形質転換の第2のラウンド(段階(c))でpetAが修復されると、光中での光栄養成長も回復する。
【0022】
(定義)
本発明の明細書中で使用する特定の用語の意味を明確にするために、以下の定義を示す。
【0023】
3’−UTR (→)遺伝子の転写されるが翻訳されない領域であり、(→)コード領域の下流にある。(→)プラスチド(→)遺伝子では、3’−UTRa.o.は、エキソヌクレアーゼによる3’から5’方向の分解に対してmRNAを安定化させる働きをする。
【0024】
5’−UTR (→)遺伝子の転写されるが翻訳されない領域であり、(→)コード領域の上流にある。(→)プラスチド(→)遺伝子では、5’−UTRはその3’末端付近に翻訳開始の配列情報(リボソーム結合部位、(→)RBS)を含む。
【0025】
aadA 抗生物質(→)選択的阻害剤スペクチノマイシン及び/又はストレプトマイシンを解毒する、頻繁に使用されるタンパク質、細菌アミノグリコシドアデニル転移酵素の(→)コード領域である。
【0026】
葉緑体 クロロフィルを含む(→)プラスチドである。
【0027】
コード領域 a)ポリペプチドのアミノ酸配列、又はb)機能性RNAのヌクレオチドの情報を含むヌクレオチド配列である。コード領域は場合により1つ又は複数の(→)イントロンによって中断される。
【0028】
所望の遺伝子(配列) 改変した又は新しく導入した配列であり、(→)形質転換の試みの目標である。
【0029】
フランク(flank)、フランキング領域 (→)プラスチド(→)形質転換(→)ベクターの挿入断片の5’末端及び3’末端にあるDNA配列であり、フランクの間にある配列が二重相互(→)相同組換えによって標的(→)プラストームに組み込まれるのを媒介する。同じ機構で、配列を改変する又は標的(→)プラストームから取り除くことができる。したがって、(→)プラスチド(→)形質転換(→)ベクターのフランクは、標的(→)プラストームのどこに(→)形質転換による変更を引き起こすかを決定する。
【0030】
遺伝子発現 配列情報を機能させるプロセスである。ポリペプチドをコードする(→)遺伝子では、遺伝子発現は(→)プロモーターの活性化を必要とするが、これはRNAポリメラーゼ活性化を開始させ指示し、後にポリペプチドに翻訳される伝令RNAの形成をもたらす。RNAをコードする(→)遺伝子では、(→)プロモーターに媒介されるRNAポリメラーゼの活性が、コードされたRNAを生成する。
【0031】
遺伝子 それぞれ独立に機能を確保するのに必要であるすべての要素をコードするヌクレオチド配列である。
遺伝子は、少なくとも1つの完全な(→)コード領域を含む(→)オペロンとして組織化される。
ポリペプチドをコードする(→)遺伝子では、これらの要素は、(1)(→)プロモーター、(2)5’非翻訳領域((→)5’−UTR)、(3)完全な(→)コード領域、(4)3’非翻訳領域((→)3’−UTR)である。
RNAをコードする(→)遺伝子では、(→)5’−UTR及び(→)3’−UTRは存在しない。
1つより多くの(→)コード領域からなる(→)オペロンでは、前後する2つの完全な(→)コード領域が、(→)スペーサーによって分離されており、(→)プロモーター、(→)5’−UTR、(→)3’−UTR要素は、その(→)オペロンの(→)コード領域によって共用される。
【0032】
ゲノム 細胞核又は細胞オルガネラの完全DNA配列である。
【0033】
hcf 高クロロフィル蛍光である。hcf変異体は特徴的な光合成欠損表現型を示す。
【0034】
ヘテロプラストミック(heteroplastomic)プラスチド/細胞 遺伝的に異なるプラストームを有する(→)プラスチド又は細胞である。
【0035】
相同組換え (→)ゲノムの標的部位に対して十分な配列相同性を有する(→)フランクの存在により、配列の交換、挿入、除去をもたらすプロセスである。
【0036】
ホモプラストミックプラスチド/細胞 遺伝的に異なるプラストームを有する(→)プラスチド又は細胞である。
【0037】
挿入部位 新規の配列が導入される、(→)プラストーム中の位置である。
【0038】
遺伝子間領域 (→)ゲノム内の2つの(→)遺伝子の間の配列である。このような領域は、(→)オペロン間領域又は(→)オペロン内領域として存在し、後者の場合は(→)スペーサーとも呼ばれる。
【0039】
遺伝子内領域 (→)遺伝子内の配列である。
【0040】
イントロン (→)コード領域を中断する配列である。
【0041】
器官 植物器官とは、特別な生物機能を果たし、1つ又は複数の特徴的な(→)組織からなる構造物であり、その例は、根、茎、葉、花、雄ずい、子房、果実などである。
【0042】
オペロン (→)遺伝子の組織的構造体である。
【0043】
petA 光合成電子伝達に関与するチトクロムfタンパク質の(→)プラスチド(→)遺伝子の(→)コード領域である。
【0044】
植物 細胞中に(→)プラスチドを含む生物である。本発明は多細胞(→)植物に関し、これには裸子植物群(たとえばマツ、エゾマツ、モミなど)、被子植物群(たとえば、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、ライムギ、ライコムギ、モロコシ、サトウキビ、アスパラガス、ニンニク、ヤシなど単子葉類作物や作物でない単子葉類、タバコ、ジャガイモ、トマト、アブラナ、サトウダイコン、カボチャ、キュウリ、メロン、コショウ、シトルス種(Citrus species)、ナス、ブドウ、ヒマワリ、ダイズ、アルファルファ、ワタなど双子葉類作物)、作物でない双子葉類、並びにシダ類、ゼニゴケ類、コケ類、多細胞性の緑藻類、紅藻類、褐藻類が含まれる。
【0045】
プラスチド それ自体の遺伝機構を有する(→)植物細胞中のオルガネラであり、様々な機能的に及び形態学的に異なる形、たとえばアミロプラスト、(→)葉緑体、有色体、エチオプラスト(etioplast)、ゲロントプラスト(gerontoplast)、白色体、原プラスチドなどで存在する。
【0046】
プラストーム (→)プラスチドの完全なDNA配列である。
【0047】
プロモーター 転写を開始させかつ制御するように機能するヌクレオチド配列である。
【0048】
RBS、リボソーム結合部位 (→)コード領域の(→)翻訳開始コドンの上流にあるDNA配列要素であり、リボソーム結合及び対応するRNA転写物からの翻訳開始を媒介する。RBS要素は、(→)5’−UTR又はスペーサーの一部である。
【0049】
rpoA/B/C プラスチドにコードされるRNAポリメラーゼ(plastid encoded RNA−Polymerase、PEP)の、(→)プラスチド(→)遺伝子の(→)コード領域である。
【0050】
選択阻害剤 形質転換されていない細胞又はオルガネラの成長及び/又は発育を、形質転換された細胞又はオルガネラより強く減少させる化学物質である。
【0051】
組織 植物組織は、同様又は同一の構造及び機能を有するいくつかの細胞からなる。植物組織中の細胞は原形質連絡によって連結され、その例は、カルス、柵状柔組織、海綿状柔組織、形成層、表皮、髄、胚乳、師部、木部などである。
【0052】
形質転換ベクター (→)ゲノムの(→)形質転換を媒介するために作成されたクローン化DNA分子である。
【0053】
形質転換 (→)植物又は植物細胞の処理によってDNA配列の導入、切出し、改変をもたらすプロセスであり、少なくとも1つの(→)形質転換ベクターを使用することを含む。
【0054】
導入遺伝子 ある(→)ゲノムに由来し、別のゲノムに導入されるDNA配列である。
【0055】
翻訳開始コドン ポリペプチドの第1アミノ酸をコードする配列要素である。
【0056】
翻訳終止コドン 翻訳の中止を引き起こす配列要素である。
【0057】
uidA 頻繁に使用されるレポータータンパク質、細菌性βグルクロニダーゼの(→)コード領域である。
【0058】
ycf3 PSIの組立に関与するタンパク質の(→)コード領域である。Δycf3系は、通常の光条件下(3.5〜4W/m2)で栽培した場合に蒼白色の表現型及び成長の低下を示す。低い光条件下(0.4〜0.5W/m2)では、この表現型はそれほど目立たない。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明のベクターは選択中の可視マーカーを提供する
植物細胞を死滅させないが成長をある程度まで阻害する致命的でない阻害剤濃度を、プラスチド形質転換で用いることができる。細胞1個あたり最高10000個もあるプラストームコピーのうち、1個又は数個のみが、最初の形質転換現象の後に組換え体となるとみなされる。形質転換されたプラストームのコピー数は低いので、形質転換させた後に、培養した細胞又は組織を致死的な阻害剤濃度で処理すると、中程度の耐性を発現するヘテロプラストミック細胞の回収ができなくなる。選択及び分離によって、野生型とトランスプラストミック組織の両方が生じる。形質転換されたプラスチドが野生型のプラスチドを覆い隠してしまう可能性があるので、このプロセス中に野生型と遺伝子導入組織を識別することは大きな課題である。KhanとMaliga(1999)は、aadA及びGFPコード領域を含む蛍光抗生物質耐性マーカーを使用して、紫外光下でプラスチド形質転換体の分離を追跡した。本発明では、裸眼で検出することができる、トランスプラストミック組織領域の可視マーカーを提示する。野生型及び組換えプラスチドを選別する段階的なプロセスは容易にモニターすることができ、したがって加速させることができる。変異表現型の白色背景上での緑色領域の出現は、簡単に検出することができる。
【0060】
本発明のベクターは再分化効率の改善をもたらす
従来の葉緑体形質転換戦略は、阻害剤たとえばスペクチノマイシンに対する耐性の選択性に基づいている。阻害剤の施用を形質転換させた後に開始し、ホモプラストミックな遺伝子型を得るのに必要な反復再分化プロセスの間中ずっと施用し続けなければならない。阻害剤の施用には、再分化の可能性を減少させる欠点がある。単一のプロトプラスト又は葉の小片から植物全体を再分化させることは、特にこの方法を種に広げる場合、確立され信頼できる再分化プロトコルは存在しないので、葉緑体形質転換における重要な段階である。最初の形質転換後の短い期間だけ阻害剤を利用すればよいかもしれないことは、本発明の主な利点である。本発明の新規な方法を使用すると、ホモプラストミック状態を得るための反復再分化中で、また第2の形質転換段階の全体で阻害剤の施用を省くことができる。
【0061】
本発明のベクターは遺伝的に安定なプラストーム形質転換体の生成を可能にする
プラスチドの相同組換えは、高効率で起こることが知られている。その結果、抗生物質耐性マーカーの調節要素と内在性調節要素との間の望ましくない組換え現象により、遺伝的な不安定さがもたらされる可能性がある(Eibl他、1999)。第2の形質転換段階の後、トランスプラストミック植物はどのようなマーカー発現カセットも含まない。その結果、最終的な形質転換体に含まれる相同領域は、従来のプラスチド形質転換体に比べて少ない。形質転換体の遺伝的な安定性が増強され、配列の望まない損失(Eibl他、1999)が回避される。
【0062】
本発明によって、抗生物質を使用せずに、光合成に関連する高等植物の葉緑体形質転換を選択する新規のシステムが提供される。この新しいシステムは、可視マーカーを利用し、白色又は蒼白表現型を与えるrpoA、rpoB、ycf3、petAなどの遺伝子の不活性化に基づくものとすることができる。第2の段階では、変異系のそれぞれの欠損遺伝子を修復することができ、また1つ又は複数の導入遺伝子を挿入することができる。結果として生じるトランスプラストミック植物は、抗生物質耐性遺伝子を含まないことがあり得る。
【0063】
本発明のプロセスの段階(a)において標的にすることができる他の機能は、プラスチドにコードされる、光合成に直接又は間接的に必要な任意の機能である。下記の特定の適用方法以外に、多数の光合成に関連する標的遺伝子たとえばpsbAなどの不活性化及び修復を、本発明に従って行うことができる。
【0064】
プラスチド染色体は、真性細菌の3つのRNAポリメラーゼコア遺伝子に類似した、rpoA、B、C1、C2と命名した4つのRNAポリメラーゼ遺伝子をコードする。rpoB、C1、C2の遺伝子は1つのオペロンに配置され(NEP、核にコードされたプラスチドRNAポリメラーゼ(nuclear encoded plastid RNA polymerase)によって転写される)、rpoAの遺伝子は主にリボソームタンパク質をコードする、大きな遺伝子クラスターに配置される。rpoA遺伝子のセンス転写物のレベルがPEP(プラスチドにコードされたプラスチドRNAポリメラーゼ(plastid encoded plastid RNA polymerase)欠損変異体内で減少するので(Krause他、2000)、rpoAはPEPによって転写されるのかもしれない。
【0065】
プラスチドゲノムからrpoA、rpoB、rpoC1を除去すると、色素欠損の表現型が生じる(Allison他、1996、De Santis−Maciossek他、1999)。色素欠損のΔrpoA、ΔrpoB、ΔrpoC1植物(白色植物)は、光独立栄養的に成長することができなかった。しかし、光合成の欠落を補償するためにショ糖を含む培地中で維持すると、野生型植物に比べて遅い速度であるが正常に成長する。
【0066】
タバコの光化学系I(PSI)複合体の安定な集積にycf3が必須であることが最近示された(Ruf他、1997)。この遺伝子の破壊は、光中で条件的色素欠損表現型をもたらす。ホモプラスミックycf3植物は、薬剤及び植物ホルモンを含まない培地で通常の光条件下(3.5〜4W/m2)で再分化させると、完全に白い表現型を示し、低い光条件下(0.4〜0.5W/m2)ではこの表現型はそれほど目立たない(薄緑)。
【0067】
hcf(高クロロフィル蛍光)と呼ばれる変異植物表現型がよく知られている。この表現型は、光合成に関連する遺伝子(核又はプラストームのどちらかにコードされた遺伝子、Bock他、1994、Monde他、2000、Monde他、2000b)の発現及び/又はプロセスにおける変異による。これら変異体は特徴的な光合成欠損表現型、すなわち温室条件下で成長の障害、淡緑色の葉、紫外光照明下で高クロロフィル蛍光(赤色蛍光)を示す。hcfは、光合成電子伝達鎖が遮断されたとき(「電子テールバック(electron tailback)」に生じる。hcf表現型を得るための1つの方法は、光合成電子伝達に関与するチトクロムb/f複合体のサブユニットをコードするプラスチドpetA遺伝子を不活性化させることである。
【0068】
たとえばΔrpo、Δycf3、ΔpetA植物など色素欠損又は光合成を欠いた表現型を活用して、第2ラウンドの形質転換を実施することができる。すなわち、欠損を修復するための基質として第1ラウンドの色素欠損形質転換体を使用し、もしあれば第1ラウンドの選択マーカーがあればそれを取り除き、任意で目的配列を同時に導入することができる。野生型遺伝子を色素欠損変異体のプラストームに送達することによって緑色植物に戻すことができる。したがって、このような二次形質転換体は、光合成性成長の能力を取り戻し、hcf表現型の場合は緑色表現型及び/又は正常クロロフィル蛍光を示す。この特徴を、形質転換させた組織を選択するのに使用することができる。したがって、この第2段階には抗生物質による選択は必要ない。さらに重要なことに、形質転換の第1ラウンドで使用した選択マーカーを第2ラウンドで取り除き、マーカーを含まないトランスプラストミック植物を得ることができる。
【0069】
プラスチド遺伝子の形質転換は、相同組換えに基づいている。これは、当技術分野で周知の、プラストームの標的部位と十分な相同性があるフランキング領域を有する形質転換ベクターを使用することで実現することができる。本発明では、当技術分野で周知のどのような方法によって形質転換を実施してもよい。現在、2つのこのような周知の方法、すなわちパーティクルガンボンバードメントによる形質転換とPEGに媒介される形質転換とがある。本発明では、パーティクルガンによる形質転換が好ましい。本発明のプロセスの段階(a)及び(c)はいずれも、同時形質転換、すなわち2つ以上の形質転換ベクターを使用することによって成すことができる。
【0070】
本発明の教示は、任意の多細胞植物に適用させることができる。好ましい植物は単子葉及び双子葉の作物植物である。作物植物の具体的な例は、本明細書中の「定義」部分の項目「植物」に記載してある。
【0071】
選択可能な又は認識可能な表現型を生じるという条件で、段階(a)でプラスチド遺伝子の機能を改変又は破壊するいくつかの手段がある。この例には、前記遺伝子又は前記遺伝子の発現に必要な、たとえばプロモーター、5’−UTR、3’−UTR、開始コドンなど機能性要素のコード領域を部分的又は完全に除去することが含まれる。これら要素の機能もまた、これら要素又はコード領域に外来配列を挿入する或いはコード領域に終止コドンを挿入することによって、改変又は破壊することができる。また、上記の手段を組み合わせることもできる。段階(a)で耐性マーカー遺伝子を導入した場合、マーカー遺伝子を前記外来配列として使用することが好ましい。段階(a)では、任意の追加の目的配列を同時に挿入することができる。
【0072】
本発明のプロセスの段階(a)は、遺伝子の形質転換によって実施することが好ましい。代替実施形態では、段階(a)は自然突然変異又は誘導突然変異によって起こる、或いは既に起こっていてもよい。これは、本発明の段階(c)で使用した植物(又は植物器官、植物組織)が、本発明に従って又は本発明の目的のために得た自然突然変異体又は遺伝子導入植物でなくてもよいことを意味し、本発明の目的は主に、マーカー遺伝子を含まない遺伝子導入植物を生産することである。
【0073】
本発明のプロセスの段階(b)では、目的の表現型を発現するプラスチドを有する植物、植物器官、植物組織を、従属栄養性の成長を支援する培地上で分離又は選択する。選択は、段階(a)で導入した選択的マーカー遺伝子と適切な抗生物質又は阻害剤とを使用することによって行うことができる。代わりに、下記でより詳細に説明する光化学系I受容体の除草剤を使用して、本発明の新規な方法を適用してもよい。後者の場合、段階(a)で耐性遺伝子を導入する必要がない。上に記載のように、最初の形質転換後に、短期間、分離を支援するためにのみ阻害剤又は抗生物質を利用し、このような薬剤の使用を完全に使用しないようにすることもできる。成長及び数回の細胞分裂の後、分離によって色素存在量又は蛍光が異なる区域の形成がもたらされる。このような区域の組織を手動で分離し、さらなる再分化ラウンドに使用する。
【0074】
本発明のプロセスの段階(c)では、段階(a)で改変又は破壊された機能を修復することができる修復配列を有するベクターを用いて、先の段階で得られた植物のプラストームを形質転換させる。前記修復は、段階(a)の改変又は破壊がどのように行われたかに応じて、いくつかの方法によって実施することができる。挿入された配列は除去し、置換された配列は本来の完全に機能的な配列で再置換し、除去された配列は再挿入することができる。同時に、段階(a)で挿入した耐性遺伝子を除去し又はその機能を破壊することができ、プラストームに追加の遺伝的改変を行い又は追加の機能を導入することができる。この例には、追加の目的配列又は遺伝子の導入、いくつかの遺伝子の導入、既存の機能又は配列の排除などが含まれる。
【0075】
段階(d)では、前記修復された機能を発現するプラスチドを有する植物、植物器官、植物組織を、抗生物質を含まない培地上で分離又は選択する。選択は、少なくとも部分的に光栄養での成長によって実施し、形質転換させた植物は修復された表現型によって認識することができる。成長すると、分離により色素存在量の異なる区域の形成がもたらされる。緑色区域を手動で分離し、さらなる再分化ラウンドに使用する。本発明では、段階(d)で使用した条件は好ましくは混合栄養性である。これは、光合成能力を取り戻した、形質転換されたプラストームを含むプラスチドや形質転換されたプラスチドを含む細胞が、強い光の下で選択的成長の優位性を有するように、培地の炭水化物含量を可能な限り少なくすることを意味する。このような混合栄養条件は段階(d)を加速させる可能性がある。
【0076】
実施形態1:rpoA又はrpoB遺伝子の不活性化及び修復に基づく、プラスチド形質転換体の選択方法
rpoB遺伝子機能の標的破壊のために、rpoBプロモーター及びその開始コドンをたとえばaadAマーカー遺伝子又は別のマーカー遺伝子で置換することができる。aadAマーカーの場合、ボンバードした葉組織を、スペクチノマイシンを含む培地上での一時的選択下で再分化させることができる。形質転換体は、ヘテロプラストミックであるにもかかわらず、抗生物質耐性を示し、最初は光中で緑色表現型を示す。これら一次形質転換体は野生型と形質転換された葉緑体ゲノムの両方の混合物を含む。緑色のヘテロプラストミックな材料を非選択的培地に移す。分離により、白色領域、混合領域、及び緑色領域がもたらされる。ホモプラストミック変異形質転換体を得るために、白色領域からの材料で、非選択的培地上で数回の追加の再分化ラウンドを行った。
【0077】
第2の形質転換では、rpoB遺伝子を再構成し、マーカー遺伝子を取り除き、好ましくは目的の遺伝子(又は複数の遺伝子)を導入することが同時にできるように設計されたベクターを用いてホモプラストミックΔrpoB植物を形質転換させる。処理した葉組織は、ショ糖減培地(抗生物質を含まない)上で選択下で、強い光の下で再分化させることができる。緑色表現型を示し光独立栄養的に成長することができる形質転換体を選択することができる。
【0078】
rpoA遺伝子の破壊及び再活性化も同様の方法で実施することができる。
【0079】
実施形態2:ycf3遺伝子の不活性化及び修復に基づく、プラスチド形質転換体の選択方法
ycf3遺伝子の破壊は、5’制御要素とycf3の最初のエキソンをaadAマーカー遺伝子などのマーカー遺伝子で置換することによって実施することができる。形質転換ベクターは、たとえば微粒子銃プロトコル又はPEGで媒介する形質転換を使用してタバコプラスチドに導入することができる。微粒子銃プロトコルの場合、ボンバードした葉組織は、阻害剤又は抗生物質、aadA遺伝子の場合はスペクチノマイシンを含む培地での選択下で再分化させる。形質転換体は阻害剤耐性を示し、ヘテロプラストミックであるにもかかわらず通常の光条件(3.5〜4W/m2)で最初は緑色表現型を示す。これら一次形質転換体は通常、野生型及び形質転換された葉緑体ゲノムの混合物を含む。抗生物質を含まない培地に移した後、分離により、黄色−白色区域及び緑色区域(通常の光条件下、上記参照)が出現する。ホモプラストミック変異形質転換体を得るために、非選択的培地上で、白色区域からの材料で、数回の追加の再分化ラウンドを行った。光中で蒼白な、ほとんど白色の表現型を有する他は、この変異体は成長が抑制されていた。第2の形質転換段階用に十分な材料を得るために、変異植物系を低い光条件に移すことができる。これらの条件下(0.4〜0.5W/m2)では、植物はそれほど目立たない表現型を示し、たとえばパーティクルガンによる形質転換のための適切な供与材料を得ることができる。この第2の形質転換では、ycf3遺伝子を再構成し、マーカー遺伝子を取り除き、好ましくは目的の遺伝子(又は複数の遺伝子)を導入することが同時にできるように設計されたベクターを用いてホモプラストミックΔycf3植物を形質転換させる。ボンバードした葉組織は、ショ糖減培地(抗生物質を含まない)での選択下で、強い光の下で再分化させることができる。正常な緑色表現型を示し光独立栄養的に成長することができる形質転換体を選択することができる。
【0080】
実施形態3:petA遺伝子の不活性化及び修復に基づく、プラスチド形質転換体の選択方法
petA遺伝子の標的破壊のために、コード領域をマーカー遺伝子たとえばaadAマーカー遺伝子で置換することができる。パーティクルボンバードメントによる形質転換の場合、ボンバードした葉組織は、抗生物質を含む培地での選択下で再分化させることができる。形質転換体は抗生物質耐性を示し、ヘテロプラストミックであるにもかかわらず光中で最初は緑色表現型を示す。これら一次形質転換体は通常、野生型及び形質転換された葉緑体ゲノムの混合物を含む。抗生物質を含まない培地に移した後、分離により、紫外光照明下で検出することができるhcf表現型を示す区域が出現する。ホモプラストミック変異体材料を得るために、非選択的培地上で、変異体区域からの材料で、数回の追加の再分化ラウンドを実施することができる。
【0081】
第2の形質転換では、ΔpetA遺伝子を再構成し、マーカー遺伝子を取り除き、好ましくは目的の遺伝子(又は複数の遺伝子)を導入することが同時にできるように設計された形質転換ベクターを用いたボンバードメントによって、ホモプラストミックΔpetA植物を形質転換させる。ボンバードした葉組織は、ショ糖減培地(抗生物質を含まない)での選択下で、強い光の下で再分化させることができる。正常な緑色表現型を示し光独立栄養的に成長することができる形質転換体を選択することができる。
【0082】
実施形態4:不活性化変異体が新規な方法によって選択される、petA遺伝子の不活性化及び修復に基づくプラスチド形質転換体の選択方法
この方法は、光合成に欠陥があるすべての変異体で用いることができる。実施形態3と同様に、プラスチド形質転換体の選択は、petA遺伝子の不活性化及び修復に基づいて行うことができる。対照的に、ΔpetA変異体の選択は、有効であるには光合成の活性が必要とされる除草剤たとえば除草剤パラコートを含む培地で実施することができる。petA遺伝子が少しでも完全に不活性化されていれば、このような除草剤に対する変異植物系の耐性が野生型に比べて増大する可能性がある。重要なことに、第1の形質転換段階でどのような抗生物質又は除草剤耐性マーカーの導入も省略することができる。
【0083】
本発明のベクターは第1又は第2の形質転換段階中に新規の機能を導入する手段を提供する
形質転換の第1又は第2の段階或いはその両方中に目的の遺伝子又は配列を導入することができる。したがって、複数の遺伝子又は機能的なオペロンを標的植物内に導入することができる。多くの新規な遺伝子及び/又は制御因子をプラストームに組み込まなければならないことがあるので、とりわけ、これはトランスプラストミック植物における新しい代謝経路を生成する際に特に関心が持たれている。
【0084】
同様に、所望の配列を、たとえばプラスチド遺伝子発現パターンを操作するために、導入又は取り除くことができる。
【0085】
本発明のベクターは選択マーカーを再利用する手段を提供する
本発明で説明した2つの段階の戦略のさらなる応用は、選択マーカーを第2の段階でゲノムから取り除いた後、同じ選択マーカーを別の形質転換で再利用する方法である。その後、選択マーカーを再度取り除き、このプロセスを繰り返すことができる。これは、同じマーカー遺伝子を使用して、潜在的に無限数の遺伝子又は機能的オペロンをプラスチドゲノムに挿入する手段を提供する。これは、プラスチド遺伝子の形質転換における選択マーカーの不足を打開するのに向けた重要な一歩である。
【0086】
本発明のベクターは、依存しない部位に目的の配列を挿入することを可能にする
記載した方法(たとえばそれぞれrpoA、ycf3、petAを標的部位として利用した実施形態1、2、3)の様々な組合せを使用することによって、目的の遺伝子をプラストーム内の様々な標的部位に導入することができる。本明細書中に記載する方法はまた、光合成に関連する他の標的遺伝子たとえばpsbAの不活性化及び修復を利用して機能する。したがって、多数の潜在的な標的部位が存在する。相同組換えを使用して、マーカー遺伝子に依存しない部位に新規機能を導入することもできる。
【0087】
本発明のベクターは新規な選択スキームを提供する
通常使用される選択マーカー遺伝子はaadA遺伝子だけしかなく(Heifetz、2000)、高等植物のプラスチド形質転換において機能すると分かっている代替物はnptII遺伝子だけである(Carrer他、1993)。本発明のベクターは選択マーカー遺伝子の不足を打開する。本明細書中に記載する、プラスチド形質転換の新規な選択的阻害剤には、パラコート、モルファムコート、ジクワット、ジフェンゾコート、サイパーコートが含まれる。これらの物質は光化学系I受容体除草剤のグループに属する(Hock及びElsner、1995)。これらは光化学系Iの阻害剤ではないが、フェレドキシンやNADPではなく光化学系Iによって還元される。還元された阻害剤の自動酸化は、有害性の高い活性酸素を生成する。したがって、これらの除草剤の有害性は光と酸素に依存する。
【0088】
光化学系Iを通る電子伝達が、光化学系Iの重要な遺伝子又はチトクロムb/f複合体(たとえばpetA)のいずれかの除去によって妨げられた場合、これら変異植物はパラコートなど光化学系I受容体除草剤に対して、野生型植物よりも耐性がある。したがって、このような除草剤はこれら遺伝子のノックアウトに適した選択剤となり得る。すべての白色種がこれら阻害剤に非感受性である。したがって、光合成の欠損をもたらすどのような破壊も、この方法で選択することができる。
【0089】
本発明の一実施形態では、阻害剤耐性によって段階(d)を支援することができる。阻害剤耐性は、段階(c)で阻害剤又は抗生物質を安定に又は一時的に導入することによって行うことができる。好ましくは、最終的な結果として選択マーカーを含まないトランスプラストミック植物を作成するために、段階(c)で導入する阻害剤耐性は一時的なものである。たとえばFischer他(1996)やIantham及びDay(2000)が記載する当技術分野で周知の方法によって、阻害剤耐性遺伝子を取り除くことができる。さらに、上に記載した段階(b)と同様に、阻害剤又は抗生物質は段階(d)の最初だけに施用することができる。後の段階で阻害剤を使用しないことにより、段階(c)で導入した耐性遺伝子をなくすことができる。この実施形態では本発明の原理に従って、段階(c)及び(d)で識別可能な表現型の再分化を活用するが、より効率的に段階(d)でホモプラスミック状態を得ることができる。
【0090】
(実施例)
本発明を、以下の詳細な実施例を参照することによってさらに説明する。これらの実施例は例示目的でのみ提供し、別段の指定がない場合は限定的なものとしない。本発明で使用する通常の組換えDNA及び分子クローン化技術は当技術分野で周知であり、Ausubel他、1999、Maniatis他、1989、Silhavy他、1984に記載されている。
【0091】
実施例1:rpoB遺伝子の不活性化に基づく選択システムの構築
rpoB遺伝子を不活性化させるための形質転換ベクターplC571の構築
タバコ植物の葉を液体窒素下で粉砕し、キアゲン(Qiagen)の「DNeasy Plant Mini Kit」を使用して全DNA(Nicotiana tabacum L.var.petit havanna)を単離した。
【0092】
この全ゲノムDNAを鋳型として使用して、タバコ葉緑体ゲノム中のrpoB及びtrnA7遺伝子を含む領域をPCRで増幅した。以下のオリゴヌクレオチドプライマーの組を使用した。すなわち、p38 5’−AAG ATG AAC CTG TTC CCA TG−3’(プラストームヌクレオチド25967〜25986とアニーリング、位置番号はジーンバンク登録番号Z00044.1に従う)と、p39 5’−CAC TTC TTC CCC ACA CTA CG−3’(プラストームヌクレオチド29616〜29597とアニーリング)である。Taqポリメラーゼ(シグマ(Sigma))を使用したPCR増幅を以下のように実施した。すなわち、95℃で60秒間、1サイクル;94℃で30秒間、55℃で60秒間、72℃で240秒間、32サイクル;最終伸長、72℃で10分間。反応生成物をアガロースゲル電気泳動で分析した。単一の断片しか検出されなかった。これは予想されていたサイズ3.65kbpを示した。この断片を供給者のプロトコルに従ってベクターpCRII(インビトロジェン(Invitrogen))にライゲーションし、プラスミドpCR rpoB01を得た。プラスミドに挿入されたものが何であるかは、配列決定によって確認した(Toplab、ミュンヘン)。
【0093】
プラスチドrpoBオペロンを不活性化させるために、選択可能aadAマーカーカセットで、699bpのAvaI断片で表される5’上流領域とrpoBの翻訳開始とを置換すべきである(プラストームの位置27508〜28206)。あらかじめ、複数あるプラスミドpCR rpo01のクローニング部位内の余分なAvaI制限部位を取り除く必要があった。これは、プラスミドを酵素Xho Iで切断し、次いでクレノウポリメラーゼ及びヌクレオチドを使用してフィルイン反応を行った。その後、直鎖断片を再度ライゲーションし、細菌に形質転換させた。その結果、生じたプラスミドpCR rpoB ΔXhoは、上で述べた2つのAvaI部位しか含んでいなかった。
【0094】
プラスミドpCR rpoB ΔXhoをAvaIで消化した。生じた2つの断片(6861bpと699bp)のうち大きい方を、キアゲンのゲル抽出キットを用いてアガロースゲルから単離した。AvaI処理によって生じた6861bp断片の粘着末端を、クレノウ酵素及びヌクレオチドを使用して平滑末端に変換した。後の段階での自己ライゲーションを抑制するために、生じたDNAを子ウシアルカリホスファターゼ(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社(Roche Diagnostics GmbH)、マンハイム、ドイツ)で処理した。
【0095】
最後に、ベクターpUC16SaadA−Sma(Koop他、1996)由来のaadA発現カセットを含む1412bpのSmaI断片を、6861bpのAvaI断片内にライゲーションさせた。ライゲーション産物で細菌を形質転換させた。生じた細菌クローンのプラスミドを、aadA挿入物の存在及び方向の分析対象とした。7個の陽性クローンが、rpoB遺伝子に対してセンス方向にaadAカセットが挿入されたことを示した。プラスミドをplC571(pCR rpoB aadA−I)と命名した(図1)。キアゲンのPlasmid Maxiprep kitを使用して大量のpCR rpoB aadA−IプラスミドDNAを単離した。
【0096】
一次形質転換及びホモプラストミックΔrpoB変異体の選択
PEGに媒介された、DNAのプロトプラストへの膜貫通移送は、高等植物のプラスチド形質転換における再現性のある方法である(Golds他、1993、O’Neill他、1993)。Dovzhenko他、1998によると、プロトプラストの再分化は最近最適化された。
【0097】
A.プロトプラストの単離。約3週齢のタバコ植物(Nicotiana tabacum cv.petit Havanna)の葉を1mmの細片に切り、0.25%セルラーゼR−10及び0.25%マセロチームR−10(ヤクルト、本社日本)を溶かしたF−PIN培地と一緒に終夜インキュベートした。通常の濾過、浮遊、沈降手順(Koop他、1996)に続いて、プロトプラストを形質転換培地に再懸濁させ、プロトプラストの総数を測定し、密度が1mlあたり5×106個のプロトプラストになるように調整した。
【0098】
F−PIN培地(pH5.8(KOH)、モル浸透圧濃度:550mOsm):KNO3(1012μg/ml)、CaCl2・2H2O(440μg/ml)、MgSO4・7H2O(370μg/ml)、KH2PO4(170μg/ml)、コハク酸NH4(2Mストックの10ml)、EDTA−Fe(III)・Na塩(40μg/ml)、KJ(0.75μg/ml)、H3BO3(3μg/ml)、MnSO4・H2O(10μg/ml)、ZnSO4・7H2O(2μg/ml)、Na2MoO4・2H2O(0.25μg/ml)、CuSO4・5H2O(0.025μg/ml)、CoCl2・6H2O(0.025μg/ml)、イノシトール(200μg/ml)、ピリドキシン−HCl(2μg/ml)、チアミン−HCl(1μg/ml)、ビオチン(0.02μg/ml)、ニコチン酸(2μg/ml)、BAP(1μg/ml)、NAA(0.1μg/ml)、Polypuffer 74(10ml)、ショ糖(約130000μg/ml)。
【0099】
形質転換培地(pH5.8(KOH)、モル浸透圧濃度:550mOsm):MgCl2・6H2O(3050μg/ml)、MES(1000μg/ml)、マンニトール(〜80000μg/ml)。
【0100】
B.プラスチドの形質転換及びプロトプラストの包埋:50μgのDNA(形質転換ベクターplC571)、7μlのF−PCN、100μl(500,000個の細胞)のプロトプラスト懸濁液を125μlの40%PEG溶液に加え、丁寧に混合し、7.5分間インキュベートした。F−PCNをもう125μl加え、混合し、2分間インキュベートした。体積を3mlまで(F−PCNを用いて)フィルアップし、3mlのF−アルギネート培地を加えた。薄層へのアルギネート包埋は、625μlのプロトプラスト−アルギネート混合物を、Ca2+培地の表面に置いたポリプロピレン格子に施用することによって実施した。固化後、格子を取り外し、液体F−PCN培地に上下逆にして置いて平衡化させ(2×10ml、各30分間)、2mlF−PCNを入れた新しいペトリ皿に移した。包埋したプロトプラストを暗所でまず20時間、その後通常の16時間昼/8時間暗サイクルでインキュベートした。
【0101】
F−PCN培地(pH5.8(KOH)、モル浸透圧濃度:550mOsm):KNO3(1012μg/ml)、CaCl2・2H2O(440μg/ml)、MgSO4・7H2O(370μg/ml)、KH2PO4(170μg/ml)、コハク酸NH4(2Mストックの10ml)、EDTA−Fe(III)・Na塩(40μg/ml)、KJ(0.75μg/ml)、H3BO3(3μg/ml)、MnSO4・H2O(10μg/ml)、ZnSO4・7H2O(2μg/ml)、Na2MoO4・2H2O(0.25μg/ml)、CuSO4・5H2O(0.025μg/ml)、CoCl2・6H2O(0.025μg/ml)、イノシトール(200μg/ml)、ピリドキシン−HCl(2μg/ml)、チアミン−HCl(1μg/ml)、ビオチン(0.02μg/ml)、ニコチン酸(2μg/ml)、BAP(1μg/ml)、NAA(0.1μg/ml)、Polypuffer 74(10ml)、ショ糖(約20000μg/ml)、グルコース(65000μg/ml)。
【0102】
F−アルギネート培地(pH5.8(KOH)、モル浸透圧濃度:550mOsm):MES(1370μg/ml)、MgSO4・7H2O(2500μg/ml)、MgCl2・6H2O(2040μg/ml)、マンニトール(〜77000μg/ml)、アルギネート(24000μg/ml)。
【0103】
Ca2+培地(pH5.8(KOH)、モル浸透圧濃度:550mOsm):MES(1950μg/ml)、CaCl2・2H2O(2940μg/ml)、マンニトール(〜82000μg/ml)、精製寒天(10000μg/ml)。
【0104】
形質転換の一週間後、包埋したプロトプラストを、それぞれ500μg/mlのスペクチノマイシン及びストレプトマイシンを含む固形のRMOP培地に移した(実施例3参照)。3週間毎に、それ以上の再分化体が現れなくなるまで、格子を新しい培地に移した。最初の緑色再分化体は5週間後に現れ、シングルペトリ皿に移した。予想通り、一次ΔrpoB形質転換体はスペクチノマイシン耐性を示し、ヘテロプラストミックであるにもかかわらず光中で緑色表現型を示した。形質転換されたプラスチドDNA分子を増幅し野生型ゲノムを除去するために、形質転換体のコロニーを阻害剤を含まないRMOP培地に移した。3〜5週間の培養後に白色区域が現れた。白色区域からの材料を、非選択的培地でさらに継代培養し、ホモプラストミックな変異形質転換体を得るためにさらに5サイクル再分化させた。生じた系は白色表現型を示した。二次形質転換用の変異植物材料を得るために、トランスプラストミック系を固形VBW培地(実施例参照)に根付かせ増殖させた。
【0105】
PCR及びサザンブロット法による分析
変異ΔrpoBトランスプラストミック植物の葉を液体窒素下で粉砕し、キアゲン「DNeasy Plant Mini Kit」を使用して全DNA(Nicotiana tabacum L.var.petit havanna)を単離した。
【0106】
PCR増幅によってプラスチド形質転換体を分析した。いくつかの独立した系の再分化体から単離した全DNAを、個別のPCR反応の鋳型として使用した。トランスプラストミック植物を分析するために2組のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。すなわち、oFCH59 5’−TGC TGG CCG TAC ATT TGT ACG−3’(aadAコード領域の5’部分由来)とoFCH60 5’−CAC TAC ATT TCG CTC ATC GCC−3’(aadAコード領域の3’部分由来)を使用してaadA遺伝子の存在を検出し、p42 5’−ATT TGT AGT AGA AGG TAA TTG C−3’(プラストームヌクレオチド29081〜29102とアニーリング)とoFCH60を使用して、aadA遺伝子の正しい組込みを検出した。
【0107】
正しい組込み及びホモプラストミックな遺伝子型は、DNAゲルブロット分析によってさらに証明された。無菌的に成長させた植物から単離したゲノムDNAをDNAゲルブロット分析に使用した。詳細な手順は以下のとおりである。分析した各植物につき3μgの全植物DNAを適切な制限酵素で消化し、TAEアガロースゲル(0.8%)で分離した。Ausubel他(1999)に記載のように、DNAを変性させ、正に帯電させたナイロン膜(Hybond−N+、アマシャム(Amersham))に移した。DIG Easy Hyb Buffer(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社、マンハイム、ドイツ)中でフィルターをジゴキシゲニンで標識したプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリダイゼーションシグナルをDIG Luminescent Detection Kit(ロシュ)を使用して検出した。室温で膜をX−OMAT LSフィルムに75分間露出させた。ハイブリダイゼーションプローブの調製では、398bp SmaI/HindIII断片をプラスミドpCR rpoB01から切り出し、アガロースゲルで精製し、Dig probe labeling kit(ロシュ)を使用して標識した。
【0108】
rpoB遺伝子の再構成のための形質転換ベクターplC554の構築
この選択システムの原理の証明のために、rpoB制御領域の除去を再構成し同時にマーカー制限部位を導入する、形質転換ベクターを構築した。この追加のマーカー制限部位は、対応する領域内の組換えプラストーム断片の区別を可能にし、残存野生型プラストームコピーの潜在的な選択(変異系が完全にホモプラストミックでない場合)を可能にするものである。
【0109】
プラスミドplC571(pCR rpoB01)をXmaIで切断した。クレノウポリメラーゼ及びヌクレオチドを使用して、直鎖断片の末端を平滑な形に変換した。生じたDNAを再ライゲーションし、細菌に形質転換させた。細菌クローンのプラスミドを、SmaI制限部位がないことを確認するためにスクリーニングした。生じたplC554(pCR rpoB−1−ΔSma)(図2)からのDNAを、プラスチド形質転換のために単離した。
【0110】
プラスミドplC571のSmaI制限部位は、プラスチドで発現させる任意の外来遺伝子の簡単なワンステップの組込みを可能にする。
【0111】
ΔrpoB変異系のプラスチド形質転換及びホモプラストミック系の選択
第2の形質転換の目的は、rpoB遺伝子の制御領域(翻訳開始点を含む)を再構成すること、aadAカセットを取り除くこと、マーカー制限部位を導入することを同時に行うことである。VBW培地で成長させた無菌ホモプラストミックΔrpoB変異体から採った若い葉を、バイオラッド(Bio−Rad)(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のPDS−1000/He Biolistic particle delivery systemを使用して、プラスミドplC554でコーティングした金粒子を用いてボンバードした(詳細な手順は実施例3参照)。ボンバードメントの2日後、葉を小片に切り(約3×3mm)、固形のショ糖減RMOP培地(3g/リットルのショ糖を含む)に移した。3週間毎に再度葉片を切り新しい培地に移し、それ以上の再分化体が現れなくなるまで繰り返した。緑色表現型を示し、光独立栄養的に成長することができる形質転換体を選択し、ホモプラストミック組織を得るためにショ糖減RMOP培地上でさらに追加の再分化ラウンドを行った。ホモプラストミックトランスプラストミック系を固形B5培地上で根付かせ、増殖させた。
【0112】
二次トランスプラストミック植物の分子分析
二次形質転換から回収した、無菌的に成長させた植物から単離した全DNAを使用してDNAゲルブロット分析を行った。
【0113】
詳細な手順は以下のとおりである。分析した各植物につき3μgの全植物DNAを制限酵素BamHI及びSmaIで消化し、TAEアガロースゲル(0.8%)で分離した。Ausubel他(1999)に記載のように、DNAを変性させ、正に帯電させたナイロン膜(Hybond−N+、アマシャム)に移した。DIG Easy Hyb Buffer(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社、マンハイム、ドイツ)中でフィルターをジゴキシゲニンで標識したプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリダイゼーションシグナルをDIG Luminescent Detection Kit(ロシュ)を使用して検出した。室温で膜をX−OMAT LSフィルムに75分間露出させた。
【0114】
398bpのSmaI/HindIII断片をプラスミドpCR rpoB01から切り出し、アガロースゲルで精製し、Dig probe labeling kit(ロシュ)を使用して標識して、ハイブリダイゼーションプローブを調製した。このプローブは、二次形質転換プラストームからの3629bpのシグナルを生じるはずである。野生型に由来する潜在的なバンドはたった1628bpのシグナルであるはずなので、これは、形質転換ベクターの組換え断片が組み込まれたことの明確な証拠となる。3629bp断片の存在はまた、aadAマーカーカセットが除去されたことも示す。
【0115】
aadAマーカーの除去を確認するために(前のプローブはストリップ手順により取り除かれている)、aadA遺伝子の480bp断片をプローブとして使用してブロットの二次ハイブリッド形成を行った。プローブの生成には、PCR Dig labeling反応で供給者(ロシュ)のプロトコルに従って、プライマーoFCH59及びoFCH60(上記参照)を使用した。
【0116】
実施例2:rpoA遺伝子の不活性化に基づく選択システムの構築
rpoA遺伝子の不活性化のための形質転換ベクターpGEM−rpoA−delの構築
タバコ葉緑体ゲノム(プラストームヌクレオチド79401〜82470に対応)内のrpoA読み枠を含む領域を、タバコの葉組織から単離したゲノムDNAから、Taqポリメラーゼ(キアゲン)を使用したPCRによって増幅した。以下の組のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。すなわち、p78 5’−SphI−TTA GTA ACA AGC AAA CCT TG−3’(プラストームヌクレオチド79401〜79420とアニーリング)と、p77 5’−SmaI−TAA TTA CTG AAT CGC TTC CCA−3’(プラストームヌクレオチド82470〜82450とアニーリング)である。
【0117】
使用したPCRプログラムは以下のとおりである。すなわち、94℃で2分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。この断片をpGEM−Tベクター(プロメガ(Promega))内にライゲーションさせた。次いで、DraI及びScaIを用いた消化によって、完全なrpoAコード領域(プラストームヌクレオチド80455〜81468に対応)を除去した。葉緑体形質転換体の選択を容易にするために、pUC16SaadA(pUC16SaadAの詳細な記載はKoop他、1996を参照)からSmaI断片として切り出したキメラaadA遺伝子を、rpoAの代わりに挿入した。rpoAと逆の方向でaadA遺伝子を保有するプラスミドクローンにより、形質転換ベクターpGEM−rpoA−delを得た(図3)。プラスミドに挿入されたものが何であるかは、配列決定によって確認した(MWG、ミュンヘン)。
【0118】
一次形質転換及びホモプラストミックΔrpoA変異体の選択
無菌タバコ植物からの若い葉(栽培は実施例1参照)を、バイオラッド(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のPDS−1000/He Biolistic particle delivery systemを使用して、プラスミドpGEM−rpoA−delでコーティングした金粒子でボンバードした(詳細な手順は実施例3参照)。ボンバードメントの2日後、葉を小片に切り(約3×3mm)、500μg/mlのスペクチノマイシンを含む固形のRMOP培地に移した。2週間後に再度葉片を切り新しい培地に移し、その後3週間毎にそれ以上の再分化体が現れなくなるまで繰り返した。一次ΔrpoA形質転換体はスペクチノマイシン耐性を示し、ヘテロプラストミックであるにもかかわらず光中で緑色表現型を示した。形質転換されたプラスチドDNA分子を増幅し、野生型ゲノムを排除するために、一次形質転換体を用いて選択培地上で追加の3ラウンドの再分化を行った。分離により白色区域及び緑色区域の発生がもたらされるので、ホモプラストミック変異形質転換体を得るために、非選択的培地上で、白色区域からの材料でいくつかの追加の再分化ラウンドを行った。ホモプラストミック形質転換系を、固形VBW培地上に根付かせ増殖させた(Aviv及びGalun、1985、実施例1参照)。
【0119】
サザン分析による潜在的なプラスチド形質転換の分子分析
分析した各植物につき3μgの全植物DNAを適切な制限酵素で消化し、TBEアガロースゲル(0.8%)で分離した。Ausubel他、1999に記載のように、DNAを変性させ、正に帯電させたナイロン膜(Hybond−N+、アマシャム)に移した。DIG Easy Hyb Buffer(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社、マンハイム、ドイツ)中でフィルターをジゴキシゲニンで標識したプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリダイゼーションシグナルをDIG Luminescent Detection Kit(ロシュ)を使用して検出した。室温で膜をX−OMAT LSフィルムに露出させた。
【0120】
野生型と形質転換されたプラストームを識別するのに適した断片は、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用してゲル精製し、ロシュのDIG DNA Labelling Kitを使用してジゴキシゲニンで標識し、ハイブリッド形成に使用した。
【0121】
rpoA遺伝子の再構成のための形質転換ベクターの構築
記載の選択システムを使用して任意の目的の遺伝子が挿入できることを実証するために、rpoAコード領域の除去を再構成し、同時にgusマーカー遺伝子を導入する形質転換ベクターを構築した。
【0122】
このベクターはrpoAコード領域とgus遺伝子を含み、以下の2組のプライマーを使用したPCRによってタバコ葉緑体ゲノムから増幅した5’及び3’の相同配列によって隣接されている。すなわち、oFCH112 5’−NcoI−TAC TAT TAT TTG ATT AGA TC−3’(プラストームヌクレオチド81471〜81490とアニーリング)とoFCH113 5’−SmaI−TAA TTA CTG AAT CGC TTC CCA−3’(プラストームヌクレオチド82470〜82450とアニーリング)、及びoFCH114 5’−SphI−TTA GTA ACA AGC AAA CCT TG−3’(プラストームヌクレオチド79401〜79420とアニーリング)とoFCH137 5’−PstI−ATC ACT AGT TGT AGG GAG GGA TCC ATG GTT CGA GAG AAA GTA AC−3’(プラストームヌクレオチド81468〜81449とアニーリング)である。増幅した5’相同断片(プラストームヌクレオチド81471〜82470に対応)は、rpoA開始コドンの上流の1000個のヌクレオチドを含む。増幅した3’相同断片(プラストームヌクレオチド79401〜81468に対応)は、リボソーム結合部位(RBS)、rpoAコード領域、及びrpoA終止コドンの下流の1054個のヌクレオチドを含む。5’及び3’の相同断片はプラスミドpUC16SRBSuidA3’rbcL(Koop他、1996)内にサブクローニングされ、形質転換ベクターplC598を再生する。このベクターの構築を図4に示す。プラスミドに挿入されたものが何であるかは、配列決定によって確認した(MWG、ミュンヘン)
【0123】
ΔrpoA変異系のプラスチド形質転換及びホモプラストミック系の選択
第2の形質転換の目的は、rpoAコード領域を再構成し、同時にaadAカセットを取り除き、同時にgusマーカー遺伝子を導入することである。VBW培地で成長させた無菌ホモプラストミックΔrpoA変異体から採った若い葉を、バイオラッド(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のPDS−1000/He Biolistic particle delivery systemを使用して、プラスミドplC598でコーティングした金粒子でボンバードした(詳細な手順は実施例3参照)。ボンバードメントの2日後、葉を小片に切り(約3×3mm)、固形のショ糖減RMOP培地(3g/リットルのショ糖を含む)に移した。3週間毎に再度葉片を切り新しい培地に移し、それ以上の再分化体が現れなくなるまで繰り返した。緑色表現型を示し、光独立栄養的に成長することができる形質転換体を選択し、ホモプラストミック組織を得るためにショ糖減RMOP培地上でさらにいくつかの追加の再分化ラウンドを行った。ホモプラストミックトランスプラストミック系を固形B5培地上で根付かせ、増殖させた。
【0124】
サザン分析による潜在的なプラスチド形質転換の分子分析
分析した各植物につき3μgの全植物DNAを適切な制限酵素で消化し、TBEアガロースゲル(0.8%)で分離した。Ausubel他、1999に記載のように、DNAを変性させ、正に帯電させたナイロン膜(Hybond−N+、アマシャム)に移した。DIG Easy Hyb Buffer(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社、マンハイム、ドイツ)中でフィルターをジゴキシゲニンで標識したプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリダイゼーションシグナルをDIG Luminescent Detection Kit(ロシュ)を使用して検出した。室温で膜をX−OMAT LSフィルムに露出させた。
【0125】
野生型と形質転換されたプラストームを識別するのに適した断片は、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用してゲル精製し、ロシュDIG DNA Labelling Kitを使用してジゴキシゲニンで標識し、ハイブリッド形成に使用した。
【0126】
実施例3:ycf3遺伝子の不活性化に基づく白色/緑色選択システムの構築
ycf3の標的不活性化のための形質転換ベクターplC553の構築
タバコ葉緑体ゲノム中のycf3読み枠を含む領域を、タバコの葉組織から単離したゲノムDNAから、Taqポリメラーゼ(キアゲン)を使用したPCRによって増幅した。以下のオリゴヌクレオチドプライマーの組を使用した。すなわち、oFCH63(5’−GAA GTT TCT TTC TTT GCT ACA GC−3’、プラストームヌクレオチド45033〜45053とアニーリング)とoFCH64(5’−GAA TTA CCA AAC CAT TTG ACC C−3’、プラストームヌクレオチド47667〜47647とアニーリング)である。
【0127】
使用したPCRプログラムは以下のとおりである。すなわち、94℃で2分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。この断片をpGEM−Tベクター(プロメガ)内にライゲーションさせ、plC517を再生した。次いで、BbrPI及びBst1107Iを用いた消化によって、ycf3の第1エキソン及び5’制御要素を除去した。Bst1107Iはycf3開始コドン(ヌクレオチドの位置46266)の373ヌクレオチド上流を切断する。BbrPI部位はycf3のイントロン1内に位置する(第1エキソンの末端近く)。キメラaadA遺伝子をpUC16SaadA(pUC16SaadAの詳細な記載はKoop他、1996を参照)からSmaI断片として切り出した。これを、ycf3を置き換え、プラスチド形質転換体の選択を容易にするために挿入した。ycf3と逆の方向でaadA遺伝子を保有するプラスミドクローンにより、形質転換ベクターplC553を得た(図5)。プラスミドに挿入されたものが何であるかは、配列決定によって確認した(MWG、ミュンヘン)。
【0128】
大腸菌(E.coli)細胞の電気的形質転換
電気的コンピテント細胞の調製:1リットルのLB培地(1%(w/v)カゼイン加水分解物、0.5%(w/v)酵母抽出物、0.5%(w/v)NaCl)を、新鮮な終夜培養した大腸菌JM109細胞(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて1:100で接種した。細胞を37℃で、220rpmで振盪しながら、600nmで最適密度である0.5にした。細胞を20分間氷冷し、15分間遠心した(4000rpm、4℃)。上清を取り除き、ペレットを1リットルの氷冷無菌10%(v/v)グリセロールに再懸濁させた。細胞を上記のように2回遠心し、それぞれ500ml及び20mlの氷冷無菌10%(v/v)グリセロールに再懸濁させた。細胞をもう一度遠心し、ペレットを2mlの氷冷無菌10%(v/v)グリセロールに再懸濁させた。この懸濁液を80μlのアリコットで凍結し、−80℃で保存した。
【0129】
バイオラッド(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のMicro Pulser電気穿孔装置を使用した電気的形質転換:電気的コンピテント細胞を氷上で解凍する。40μlの細胞懸濁液を2μlのライゲーション混合物と混合し、事前に冷やしておいた、0.2cmの滅菌キュベット(バイオラッド)に移した。この懸濁液を底から混ぜ、キュベットをチャンバースライド内に置いた。チャンバースライドをチャンバー内に押し込み、細胞を2.5kVでパルスさせる。キュベットをチャンバーから取り出し、細胞を1mlのSOC培地(2%(w/v)カゼイン加水分解物、0.5%(w/v)酵母抽出物、10mM NaCl、2.5mM KCl、10mM MgCl2、20mMグルコース)に懸濁させた。この懸濁液を1時間37℃で振盪し、懸濁液100μlを150mg/lアンピシリンを含むLBプレートに植えた。
【0130】
一次形質転換及びホモプラストミックΔycf3変異体の選択
タバコの種子(Nicotiana tabacum cv.petit havanna)の表面を滅菌し(70%エタノールに1分間、5%Dimanin C、バイエル(Bayer)、レバークーゼン、ドイツ)、滅菌H2Oで3回10分間洗浄し、B5培地上に置いた(調製法は下記参照)。植物を25℃で16時間光/8時間暗サイクルで成長させた(0.5〜1W/m2、オスラム(Osram)L85W/25 Universal−White蛍光ランプ)。
【0131】
無菌的に成長させた4週齢のNicotiana tabacum L.var.petit havanna植物から採った6枚の葉を切り、RMOP培地に移した(調製法は下記参照)。35μlの金懸濁液(0.6ミクロン、バイオラッド、ミュンヘン、エタノール1mlあたり60mg)を滅菌エッペンドルフカップ(トレフ、フィッシャーサイエンティフィック、インゴルシュタット、ドイツ)に移し、遠心で回収し、1mlの滅菌H2Oで洗浄した。金のペレットを230μlの滅菌H2Oに再懸濁させ、250μlの2.5M CaCl2、25μgのDNA(形質転換ベクターplC553)を加えた。混合液をしっかり再懸濁させた後、50μlの0.1Mスペルミジンを加え、混合し、氷上で10分間インキュベートした。その後、遠心によって金を回収し(1分、10000rpm)、600μlのエタノール(100%、p.A.)を用いて2回洗浄した。遠心によって金を回収し(1分、10000rpm)、最後に72μlのエタノール(100%、p.A.)に再懸濁させた。マクロキャリアをマクロキャリアホルダーに挿入し、5.4μlの金懸濁液を施用した。以下のパラメータ、すなわち
−ラプチャーディスク 900psi
−ヘリウム圧 1100psi
−真空 26〜27インチHg
−マクロキャリア、トップレベル
−葉片、第3レベル
を使用して、バイオラッド(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のPDS−1000/He Biolistic particle delivery systemを用いて、ボンバードメントを行った。6枚の葉片をそれぞれ5.4μlの金懸濁液でボンバードした。ボンバードメント後、葉片を2日間25℃でRMOP培地上でインキュベートした。
【0132】
ボンバードメントの2日後、葉を小片に切り(約3×3mm)、500μg/mlのスペクチノマイシンを含む固形のRMOP培地に移した。2週間後に再度葉片を切り新しい培地に移し、その後3週間毎にそれ以上の再分化体が現れなくなるまで繰り返した。一次Δycf形質転換体はスペクチノマイシン耐性を示し、ヘテロプラストミックであるにもかかわらず光中で緑色表現型を示した。形質転換されたプラスチドDNA分子を増幅し、野生型ゲノムを排除するために、一次形質転換体を用いて選択培地上で追加の3ラウンドの再分化を行った。分離により白色区域、混合区域、緑色区域の発生がもたらされるので、ホモプラストミック変異形質転換体を得るために、非選択的培地上で白色区域からの材料でいくつかの追加の再分化ラウンドを行った。ホモプラストミック形質転換系を、低い光条件下で固形VBW培地(Aviv及びGalun、1985)(調製法は下記参照)上に根付かせ増殖させ、野生型類似Δycf3変異体(薄緑表現型を示す)を得た。
【0133】
RMOP(KOHでpH5.8):NH4NO3(1650μg/ml)、KNO3(1900μg/ml)、CaCl2×2H2O 440(μg/ml)、MgSO4×7H2O(370μg/ml)、KH2PO4(170μg/ml)、EDTA−Fe(III)Na(40μg/ml)、KI(0.83μg/ml)、H3BO3(6.2μg/ml)、MnSO4×H2O(22.3μg/ml)、ZnSO4×7H2O(8.6μg/ml)、Na2MoO4×2H2O(0.25μg/ml)、CuSO4×5H2O(0.025μg/ml)、CoCl2×6H2O(0.025μg/ml)、イノシトール(100μg/ml)、チアミン−HCl(1μg/ml)、ベンジルアミノプリン(1μg/ml)、ナフタレン酢酸(0.1μg/ml)、ショ糖(30000μg/ml)、精製寒天(8000μg/ml)。
【0134】
B5(KOHでpH5.7):KNO3(2500μg/ml)、CaCl2×2H2O(150μg/ml)、MgSO4×7H2O(250μg/ml)、NaH2PO4×H2O(150μg/ml)、(NH42SO4(134μg/ml)、EDTA−Fe(III)Na(40μg/ml)、KI(0.75μg/ml)、H3BO3(3μg/ml)、MnSO4×H2O(10μg/ml)、ZnSO4×7H2O(2μg/ml)、Na2MoO4×2H2O(0.25μg/ml)、CuSO4×5H2O(0.025μg/ml)、CoCl2×6H2O(0.025μg/ml)、イノシトール(100μg/ml)、ピリドキシン−HCl(1μg/ml)、チアミン−HCl(10μg/ml)、ニコチン酸(1μg/ml)ショ糖(20000μg/ml)精製寒天(7000μg/ml)。
【0135】
VBW(KOHでpH5.8):NH4NO3(1650μg/ml)、KNO3 1900(μg/ml)、CaCl2×2H2O(440μg/ml)、MgSO4×7H2O(370μg/ml)、KH2PO4(170μg/ml)、EDTA−Fe(III)Na(40μg/ml)、KI(0.83μg/ml)、H3BO3(6.2μg/ml)、MnSO4×H2O(22.3μg/ml)、ZnSO4×7H2O(8.6μg/ml)、Na2MoO4×2H2O(0.25μg/ml)、CuSO4×5H2O(0.025μg/ml)、CoCl2×6H2O(0.025μg/ml)、イノシトール(100μg/ml)、ピリドキシン−HCl(0.5μg/ml)、チアミン−HCl(1μg/ml)、グリシン(2μg/ml)、ニコチン酸(0.5μg/ml)、インドール酢酸(2μg/ml)、キネチン(0.2μg/ml)、ショ糖(30000μg/ml)、カゼイン加水分解物(500μg/ml)、精製寒天(7000μg/ml)。
【0136】
PCR及びサザンブロット法による分析
PCR増幅によってプラスチド形質転換体を同定した。40個の独立した系の最初の再分化体から単離した全DNAを、個別のPCR反応の鋳型として使用した。使用した方法は以下のとおりである。新しいタバコの葉組織100mgを、mixer mill MM300(レッチェ(Retsch))を使用して、200μlのAP1緩衝液(DNeasy plant mini kit、キアゲン)/1μlのDX試薬(起泡性の阻害、キアゲン)中で、3mmのタングステンカーバイドビーズを用いて1.5mlミクロ遠心チューブに入れて、破壊した(2×25Hzで1分間)。その後、DNeasy plant mini kitを使用してDNAを精製した。トランスプラストミック植物を分析するために、5組のプライマー(配列を表1に示す)、すなわちoFCH59とoFCH60、oFCH52とoFCH53、oFCH52とoFCH60、oFCH53とoFCH59、oFCH60とoFCH27を利用した。oFCH52及びoFCH53は、野生型プラストームからは900bpの、形質転換されたプラストームからは1700bpの増幅産物を生じるはずであるが、oFCH59及びoFCH60は、形質転換された植物からは480bpの増幅産物を生じ、野生型からはまったく生じないはずである。同様に、oFCH52、oFCH60、及びoFCH53、並びにoFCH59は、形質転換された植物のみからそれぞれ867bp並びに1368bpの産物が増幅されるはずである。oFCH60とoFCH27の組合せでは、正しく形質転換されたプラストームからの2541bpの産物を増幅することによって、形質転換体が正しい挿入物を保有しているかどうかを判定することができる。
【0137】
Figure 2004520038
【0138】
PCRの結果により、形質転換体の24個の系がプラスチドゲノムが正しく挿入されたaadA遺伝子を保有していたことが示されたが、第1の再分化サイクルでは、依然としてヘテロプラストミックであった。このデータはまた、対応する系の表現型の出現と矛盾しておらず、これにより、色素欠損がycf3の除去と関連していることが示された。
【0139】
DNAゲルブロット分析によってホモプラスミーを確認した。低い光条件下で成長させた、再分化の第4サイクルに由来する植物から採った若い葉から単離したゲノムDNAを、DNAゲルブロット分析で使用した。詳細な手順は以下のとおりである。分析した各植物につき4μgの全植物DNAを制限酵素XmaJIで消化し、TBEアガロースゲル(0.8%)で分離した。Ausubel他(1999)に記載のように、DNAを変性させ、正に帯電させたナイロン膜(Hybond−N+、アマシャム(Amersham))に移した。DIG Easy Hyb Buffer(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社、マンハイム、ドイツ)中でフィルターをジゴキシゲニンで標識したプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリダイゼーションシグナルをDIG Luminescent Detection Kit(ロシュ)を使用して検出した。室温で膜をX−OMAT LSフィルムに80分間露出させた。
【0140】
DIG標識プローブの調製では、以下の組のプリマ−を使用して520bpの断片を増幅するのに、プラスミドplC522(下記参照)を鋳型として使用した。すなわち、oFCH69(5’−CAT TGG AAC TGC TAT GTA GGC−3’、タバコプラストーム配列47149〜47169に対応)とoFCH64(5’−GAA TTA CCA AAC CAT TTG ACC C−3’、タバコプラストーム配列47667〜47647に対応)である。ロシュのPCR DIG Probe Synthesis Kitを使用した。PCRプログラムは以下のとおりである。94℃で2分間、1サイクル;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間、35サイクル;最終伸長、72℃で10分間。増幅した断片は、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用してゲル精製し、その後ハイブリッド形成に使用した。このプローブは、形質転換させたプラストームからは2998bpのシグナルを、野生型のプラストームからが2198bpのシグナルを生じるはずである。結果、検査した10個の変異系すべてで、野生型プラスチドDNAが検出されないことが示された。
【0141】
ycf3遺伝子の再構成のための形質転換ベクターplC526の構築
形質転換ベクターplC526は、ycf3遺伝子を再構成すること、aadAカセットを除去すること、GFP遺伝子を挿入することを同時に行うことを目的として、変異Dycf3系を形質転換させるように設計された。
【0142】
ycf3の第1エキソン及び5’制御要素(571bp)を含むタバコ葉緑体ゲノムの領域を、PCRによって、タバコの葉組織から単離したゲノムDNAから増幅した。以下の組のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。すなわち、oFCH48 5’−SmaI−DraI−KpnI−GTG TTT TTC TCC TCG TAA GAC−3’(プラストームヌクレオチド46070〜46090とアニーリング)とoFCH49 5’−SmaI−BamHI−BbrPI−NheI−CCG TTA TGT ACA CAA AAT TG−3’(プラストームヌクレオチド46637〜46618とアニーリング)である。PCRプログラムは以下のとおりである。94℃で2分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。断片をSmaIで消化し、BbrPI及びBst1107Iで消化したプラスミドplC517(構築法は上を参照)内にライゲーションさせた。ycf3の第1エキソン及び5’制御要素を正しい方向で保有するプラスミドクローンにより、クローン化プラスチドDNAと一緒に追加の5箇所の制限部位を含むプラスミドplC522が再生された。
【0143】
GFPのコード領域を、PCRによって、プラスミドpKCZ−GFP(図6)から以下の組のプライマーを使用して増幅した。すなわち、oFCH25(5’−CTA GCT AGC TTA TTT GTA TAG TTC ATC CAT−3’とoFCH26 (5’−TCC CCC GGG GCC GTC GTT CAA TGA GAA TGG−3’)である。PCRプログラムは以下のとおりである。94℃で2分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。増幅したGFP断片をSmaI及びNheIで切断し、BbrPI及びNheIで切断したplC522にライゲーションし、plC526を生成した(図3)。プラスミドに挿入されたものが何であるかは、配列決定によって確認した(MWG、ミュンヘン)。
【0144】
Dycf3変異系のプラスチド形質転換及びホモプラストミック系の選択
第2の形質転換の目的は、ycf3遺伝子を再構成すること、aadAマーカーを取り除くこと、gfp遺伝子を導入することを同時に行うことであった。固形VBW培地上で、低い光条件下で成長させた無菌ホモプラストミックDycf3変異体から採った若い葉を、バイオラッド(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のPDS−1000/He Biolistic particle delivery systemを使用して(詳細な手順は上記参照)、プラスミドplC526でコーティングした金粒子を用いてボンバードした。ボンバードメントの2日後、葉を小片に切り(約3×3mm)、固形のショ糖減RMOP培地(3g/リットルのショ糖を含む)に移し、2週間の間低い光条件下で培養した。3週間毎に再度葉片を切り新しい培地に移し強い光条件下で培養し、それ以上の再分化体が現れなくなるまで繰り返した。緑色表現型を示し光独立栄養的に成長できる形質転換体を選択し、ホモプラストミック組織を得るために、ショ糖減RMOP培地上でいくつかの追加の再分化ラウンドを行った。ホモプラストミック形質転換系を、強い光条件下で固形B5培地上に根付かせ増殖させた。
【0145】
二次トランスプラストミック植物の分子分析
PCR増幅によってプラスチドの形質転換を確認した。緑色表現型を示し光独立栄養的に成長することができた一次形質転換体から単離した全DNAを、以下のプライマーの組を使用したPCR分析の鋳型として使用した。すなわち、oFCH76(5’−GTA GCA ATC CAT TCT AGA AT−3’、プラストームヌクレオチド46269〜46288とアニーリング)とoFCH53(5’−GAC TAT AGT TAA TGG ATA CTC−3’、プラストームヌクレオチド46812〜46792とアニーリング)である。このオリゴヌクレオチドプライマーの組は、野生型プラストームからは540bpの、第2ラウンドで正しく形質転換されたプラストームからは1400bpの増幅産物を生じ、改変されていない第1ラウンドの形質転換体からはまったく生じないはずである(p76アニーリングの部位が除去されているので)。
【0146】
DNAゲルブロット分析によってホモプラスミーを確認した。ゲノムDNAは、強い光条件下で成長させた、再分化の第4ラウンド由来の植物から採った若い葉から単離し、AvaIで消化した。使用したプローブはDycf3変異体で使用したものと同じである(DNAブロット及びハイブリッド形成の詳細な手順は上記参照)。このプローブは、野生型プラストームからは1212bpのシグナル、第2ラウンドで正しく形質転換されたプラストームからは2015bpのシグナル、改変されていない第1ラウンドの形質転換体からは6852bpのシグナルを生じる。
【0147】
aadAマーカーの除去を確認するために、aadA遺伝子の480bp断片をプローブとして使用して、ブロットの第2のハイブリッド形成を行った(前のプローブはストリップ手順により取り除かれている)。プローブの作成には、PCR Dig labeling反応で供給者(ロシュ)のプロトコルに従って、プライマーoFCH59及びoFCH60(上記参照)を使用した。
【0148】
実施例4:光合成関連遺伝子の不活性化に基づく選択システムの構築
プラスチドにコードされるpetA遺伝子の不活性化のための形質転換ベクターplC558の構築
すべてのクローン化手順は、実施例1及びAusubel他、1999に記載の通常のプロトコルを使用して実施した。
【0149】
ベクターplC558は、タバコプラストームに由来する2つのフランキング配列と、その間にaadAカセット(pUC16S aadA Sma vollst、Koop他、1996)を含む。相同配列はpetA遺伝子の5’領域及び3’領域であり、それぞれ1kbである。aadAカセットはpetA遺伝子(962bp)及びpetA3’領域の300bpと置き換わる。
【0150】
どちらのフランキング断片も、以下のオリゴの組をプライマーとして使用するPCRによって増幅した。すなわち、末端でNdeI及びSmaI部位を生じるoSK13(5’−GGAATTCCATATGGTATAAAACTCATGTGTGTAAGAAA−3’)とoSK14(5’−TCCCCCGGGGGTCCAATCATTGATCGCGAAA−3’)、並びに断片の末端でSmaI及びSphI部位を生じるoSK15(5’−TTCCCCGGGTTCTAAATAGAAAGA AAGTCAAATTTG−3’)とoSK16(5’−CATGCATGCGAATGAATAAGATTCTCTTAGCTC−3’)である。PCRプログラムは以下のとおりである。94℃で3分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で1.5分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。消化した断片(左/右フランク)及びSmaI断片としてのaadAカセットを、NdeI及びSphIで消化したpUC19ベクター内にワンステップでクローニングした。plC558構築体を制限酵素実験によって分析した。PCRで増幅した断片を配列決定し、フランキング領域の配列が正しいことを証明した。
【0151】
形質転換ベクターplC558を図8及び図9に示す。
【0152】
petA遺伝子の再構成のための形質転換ベクターplC597、plC599、plC600の構築
第2の形質転換の目的は、petAの不活性化を修復し、同時にプラストームに新しい目的遺伝子(uidA又はaphA−6、潜在的にnptII)を挿入することである。したがって、petA遺伝子及び遺伝子カセット(5’/3’制御要素を含む)を、左/右フランキング配列の間にクローニングした。ベクターplC597(uidAカセット)は、ベクターplC558、petA遺伝子、uidA遺伝子カセットと同じフランキング配列を含む。
【0153】
1kbの左フランク、petA遺伝子配列(962bp)、petA遺伝子の3’領域の300bpを含む〜2.2kbの断片を、プライマーとして以下のオリゴ組を使用したPCRによって増幅した。すなわち、断片末端でNdeI及びSmaI部位を生じるoSK13(5’−GGAATTCCATATGGTATAAAACTCATGTGTGTAAGAAA−3’)とoSK71(5’−TCCCCCGGGTAGAAAACTATTGATACGTCTTATGG−3’)である。使用したPCRプログラムは以下のとおりである。94℃で3分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で3分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。この断片と右フランクを、一緒にpUC19にクローニングした。このベクターplC651(「petA+1kb5’+1.3kb3’」)は、Nicotiana tabacumプラストーム配列63,335〜66,597に対応する1kbの左フランク、petAコード配列、3’領域の300bp、1kbの右フランクを含む。
【0154】
新しい目的遺伝子(uidA、Koop他;1996、aphA−6、ベクターpSK.KmR、Bateman及びPurton、2000;nptII、Topfer他、1987のいずれか)を、遺伝子カセット(5’/3’制御要素を含む)として両方のフランキング断片の間に挿入した。(SmaI断片としての)uidAカセットは、ベクターplC562(「pUC16SRBSuidA3’rbcL」、Koop他、1996)からとった。遺伝子aphA−6及びnptIIを、それぞれがuidA遺伝子を置き換えるようにベクターplC562にクローニングした。このクローニングステップの後に、aphA−6カセット及びnptIIカセットをそれぞれSmaI消化によって単離することができる。これらのカセットをpetAの3’領域(挿入部位はpetAの300bp下流)内にクローニングした。これらのベクターを「petA修復プラスミド」と命名した(uidAを有するplC597、aph6を有するplC599、nptIIを有するplC600)。
【0155】
構築体を制限酵素実験によって分析し、PCRで増幅した断片を配列決定してフランキング領域の配列が正しいことを証明した。
【0156】
3つのベクターの略図を図10に示す。形質転換ベクターplC597を図11に示す。
【0157】
一次形質転換及びホモプラストミックDpetA変異体の選択
ベクターplC558を用いたパーティクルガンによるプラスチド形質転換及びその選択を、実施例3に記載のように実施した。ベクターplC558を用いたPEGに媒介されるプラスチド形質転換を、実施例1に記載のように実施した。
【0158】
再構成されたホモプラストミックDpetA変異体の二次形質転換及び選択
ベクターplC558を用いたパーティクルガンによるプラスチド形質転換及びその選択を、実施例3に記載のように実施した。ベクターplC588を用いたPEGに媒介されるプラスチド形質転換を、実施例1に記載のように実施した。形質転換体の選択は以下のように実施した。
a)減少させたショ糖含量(0.3%)のRMOP培地上で実施した。petAノックアウトの再構成を用いた形質転換体は、成長エネルギーとして光合成を利用できるはずである。
b)選択剤としてカナマイシンを含むRMOP培地上で実施(aph−6及びnptIIの遺伝子産物はカナマイシンを解毒する)。
形質転換体は、再分化の反復サイクル中、hcf(高クロロフィル蛍光)の減少を示した。
【0159】
PCR及びサザンブロット法による一次形質転換後の形質転換体の分析
植物DNAの単離、PCR分析及びサザンブロットのため、実施例1に記載のように通常のプロトコルを使用した。aadA遺伝子を決定するために、プライマーoFCH59−aadA480−liとoFCH60−aadA480−re(5’−CAC TAC ATT TCG CTC ATC GCC−3’)を使用した。形質転換体が正しい挿入物を有するかどうかを決定するために、プライマーoFCH60−aadA480−reとoSK116−petA−re(5’−AAAATAGATTCATTAGTCCGATACC−3’)を使用した。プライマーoSK116−petA−reは、5’フランキング断片の上流(外側)に位置する。使用したPCRプログラムは以下のとおりである。94℃で3分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。
【0160】
最初のPCRの結果により、形質転換体の12個の系が、プラスチドゲノムに正しく挿入されたaadA遺伝子を保有していることが示された。系がホモプラストミックかヘテロプラストミックかを示すために、さらなる検査及びサザン分析を実施例1に記載のように実施した。
【0161】
PCR及びサザンブロット法による二次形質転換後の形質転換体の分析
植物DNAの単離、及びPCR分析のため、実施例1に記載のように通常のプロトコルを使用した。uidA遺伝子を決定するために、プライマーoSM61−GUS−N(5’−TCACACCGATACCATCAGCG−3’)とoSM62−GUS−C(5’−ATTGTTTGCCTCCCTGCTGC−3’)を使用した。形質転換体が正しい挿入物を有するかどうかを決定するために、プライマーoSM61−GUS−N(5’−TCACACCGATACCATCAGCG−3’)とoSK138−petA−3’−re(5’−AATCGTAACCAGTC TCTACTGG−3’)を使用した。使用したPCRプログラムは以下のとおりである。94℃で3分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。
【0162】
aph−6遺伝子及びnptII遺伝子の検出には、特異的プライマーを使用した。形質転換体が正しい挿入物を保有しているかどうかを決定するために、1個の遺伝子特異的なプライマーとプライマーoSK138−petA−3’−reを使用した。
【0163】
実施例1に記載のように、通常のプロトコルに従って、サザンブロット分析を実施した。
【0164】
実施例5:パラコート耐性の選択
植物の形質転換及びパラコート耐性の選択
実施例4に記載のように、4つの葉片をそれぞれ1μgのplC558(図8)を用いて形質転換させた。ボンバードメントの後、葉片を25℃で2日間、RMOP培地上でインキュベートした。
【0165】
ボンバードメントの2日後、葉を小片に切り(約3×3mm)、新しいRMOP培地に移し、暗所、25℃で10日間インキュベートした。その後、葉片を再度切り、5mg/lのパラコートを含む新しい培地に移し、光中で、25℃で10日間インキュベートした。葉片を再度切り、8mg/lのパラコートを含む新しい培地に移し、光中で、25℃で12日間インキュベートした。底側の緑色の再分化体を採取し、8mg/lのパラコートのRMOPを含む個別のプレートに移した。小葉片を切ることによって、系のシュート再生(shoot generation)を反復サイクルで実施し、これにより、8mg/lのパラコートを含むRMOP培地上に新しい再分化体が形成される。
【0166】
サザン分析による、潜在プラスチド形質転換体の分子分析
分析した各植物につき3mgの全植物DNAを適切な制限酵素で消化し、TBEアガロースゲル(1%)で分離した。Ausubel他、1999:分子生物学の手短なプロトコル(Short protocols in molecular biology)Wiley、第4版、ユニット2.9Aに記載のように、DNAを変性させ、正に帯電させたナイロン膜(Hybond−N+、アマシャム)に移した。DIG Easy Hyb Buffer(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社、マンハイム、ドイツ)中でフィルターをジゴキシゲニンで標識したプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリダイゼーションシグナルをDIG Luminescent Detection Kit(ロシュ)を使用して検出した。室温で膜をX−OMAT LSフィルムに露出させた。
【0167】
QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用して野生型プラストームと形質転換されたプラストームとを識別するのに適した断片をゲル精製し、ロシュのDIG DNA Labelling Kitを使用してジゴキシゲニンで標識し、ハイブリッド形成に使用した。
【0168】
実施例6:カナマイシン選択を使用したycf3の再構成
ycf3遺伝子の標的不活性化のための形質転換ベクターplC577の構築
ycf3の第1エキソンとスプライシング部位(プラストームヌクレオチド46042〜46206に対応)をaadAコード領域で置き換えることによってycf3遺伝子を不活性化させるように設計された形質転換ベクターを構築した。このベクターはどのような3’制御配列も含まない(aadAマーカー遺伝子も内在ycf3遺伝子又はtRNA遺伝子も含まない)。さらに、どのようなプロモーター要素も導入されず、aadA遺伝子は内在ycf3上流制御要素によって転写及び翻訳されるものと期待される。
【0169】
このベクターは、タバコ葉緑体ゲノムから以下の2組のプライマーを使用したPCRによって増幅した、5’及び3’相同配列に隣接されたaadAコード領域を含む。すなわち、oFCH76(5’−NcoI−GTA GCA ATC CAT TCT AGA AT−3’、プラストームヌクレオチド46269〜46288とアニーリング)とoFCH77(5’−SmaI−CGG AAA GAG AGG GAT TCT AAC−3’、プラストームヌクレオチド47205〜46185とアニーリング)、及びoFCH78(5’−SphI−GAA GTT TCT TTC TTT GCT ACA−3’、プラストームヌクレオチド45033〜45053とアニーリング)とoFCH79(5’PstI−TAC GCT TTT T GA AGG TGA AGT−3’、プラストームヌクレオチド46041〜46021とアニーリング)である。
【0170】
Pfuポリメラーゼ(プロメガ)を使用したPCR増幅を以下のように実施した。94℃で2分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。ycf3開始コドンの上流936ヌクレオチドを含む、増幅した5’相同断片(プラストームヌクレオチド46269〜47205に対応)を、SmaI及びNcoIで消化し、pUC16SaadAプラスミド(Koop他、1996)にライゲーションさせ、それをEco RIで消化し、次いでクレノウポリメラーゼ(プロメガ)を用いてフィルイン反応を行い、その後NcoIで消化し、plC565を生じた。ycf3遺伝子の1000ヌクレオチドを含む、増幅した3’相同断片(プラストームヌクレオチド45033〜46041に対応)をPstI及びSphIで消化し、PstI及びSphIで切断したplC565内にライゲーションさせ、最終的な形質転換ベクターplC577を得た(図12及び図13)。プラスミドに挿入されたものが何であるかは、配列決定によって確認した(MWG、ミュンヘン)。
【0171】
一次形質転換及びホモプラストミックΔycf3変異体の選択
無菌タバコ植物(培養は実施例3参照)から採った若い葉を、バイオラッド(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のPDS−1000/He Biolistic particle delivery systemを使用して、プラスミドplC577でコーティングした金粒子でボンバードした(詳細な手順は実施例3参照)。ボンバードメントの2日後、葉を小片に切り(約3×3mm)、500μg/mlのスペクチノマイシンを含む固形のRMOP培地に移した。2週間後に再度葉片を切り新しい培地に移し、その後3週間毎にそれ以上の再分化体が現れなくなるまで繰り返した。一次Δycf3形質転換体はスペクチノマイシン耐性を示し、ヘテロプラストミックであるにもかかわらず光中で緑色表現型を示した。形質転換されたプラスチドDNA分子を増幅し、野生型ゲノムを排除するために、選択培地上で一次形質転換体で3回の追加の再分化ラウンドを行った。分離により白色区域、緑色区域の発生がもたらされるので、ホモプラストミック変異形質転換体を得るために、非選択的培地上で白色区域からの材料でいくつかの追加の再分化ラウンドを行った。ホモプラストミック形質転換系を、固形VBW培地(Aviv及びGalun、1985、実施例3参照)上に根付かせ増殖させた。
【0172】
PCR及びサザンブロット法による分析
PCR増幅によってプラスチド形質転換体を同定した。24個の独立した系の最初の再分化体から単離した全DNAを、PCRの鋳型として使用した。2組のプライマー(配列は実施例3を参照)、すなわちoFCH59とoFCH60、oFCH52とoFCH53を利用して、トランスプラストミック植物を分析した。oFCH52及びoFCH53は、野生型プラストームからは900bpの、形質転換されたプラストームからは1476bpの増幅産物を生じるはずであるが、oFCH59及びoFCH60は、形質転換された植物からは480bpの増幅産物を生じ、野生型からはまったく生じないはずである。結果は、14系列の形質転換体がプラスチドゲノム中に正しいaadA挿入物を保有することを示している。このデータはまた、色素欠損はycf3の除去と関連していることを示す、それぞれ系の表現型の出現と矛盾しない。
【0173】
DNAゲルブロット分析によってホモプラスミーを確認した。低い光条件下で成長させた、Δycf3変異体(第4再分化体)から採った若い葉から単離したゲノムDNAを、DNAゲルブロット分析で使用した。詳細な手順は以下のとおりである。分析した各植物につき4μgの全植物DNAを制限酵素XmaJIで消化し、TAEアガロースゲル(0.8%)で分離した。Ausubel他(1999)に記載のように、DNAを変性させ、正に帯電させたナイロン膜(Hybond−N+、アマシャム(Amersham))に移した。DIG Easy Hyb Buffer(ロシュダイアグノスティクス有限責任会社、マンハイム、ドイツ)中でフィルターをジゴキシゲニンで標識したプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリダイゼーションシグナルをDIG Luminescent Detection Kit(ロシュ)を使用して検出した。室温で膜をX−OMAT LSフィルムに2時間暴露させた。
【0174】
DIG標識プローブの調製では、以下の組のプリマ−を使用して520bp断片を増幅するために、タバコゲノムDNAを鋳型として使用した。すなわち、oFCH69(5’−CAT TGG AAC TGC TAT GTA GGC−3’、タバコプラストーム配列47149〜47169に対応)とoFCH64(5’−GAA TTA CCA AAC CAT TTG ACC C−3’、タバコプラストーム配列47667〜47647に対応)である。ロシュのPCR DIG Probe Synthesis Kitを使用した。PCRプログラムは以下のとおりである。94℃で2分間、1サイクル;94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間、35サイクル;最終伸長、72℃で10分間。増幅した断片は、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用してゲル精製し、その後ハイブリッド形成に使用した。このプローブは、形質転換させたプラストームからは2780bpのシグナルを、野生型のプラストームからが2198bpのシグナルを生じるはずである。結果、検査した6個の変異系すべてで、野生型プラスチドDNAが検出されないことが示された。
【0175】
ycf3遺伝子の再構成のための形質転換ベクターplC637の構築
形質転換ベクターplC637は、ycf3遺伝子を再構成すること、aadA遺伝子を除去すること、カナマイシン耐性を与えるaphA−6遺伝子を挿入することを同時に行うことを目的として、変異Δycf3系を形質転換させるように設計された。
【0176】
aphA−6遺伝子は、ycf3の発現又は内在ycf3上流制御要素の機能のどちらも破壊せずに、ycf3の上流位置に導入される。短いRBS(リボソーム結合部位)配列が、再構成されたycf3遺伝子を翻訳する、新しく形成された人工オペロンとして働く。aphA−6遺伝子及びycf3は、ycf3 5’制御要素の制御下で同一方向に転写される。
【0177】
ycf3のN末端(これは最初の形質転換ラウンドで除去される)を含むタバコ葉緑体ゲノムの領域(プラストームヌクレオチド45033〜46266に対応)を、タバコの葉組織から単離したゲノムDNAからPCRによって増幅した。以下の組のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。すなわち、oFCH139(5’−PstI−ATC ACT AGT TGT AGG GAG GGA TCC(リボソーム結合部位)−ATG CCT AGA TCA CGG ATA AA−3’、プラストームヌクレオチド46266〜46247とアニーリング)とoFCH78(5’−SphI−GAA GTT TCT TTC TTT GCT ACA−3’、プラストームヌクレオチド45033〜45053とアニーリング)である。Taqポリメラーゼ(プロメガ)を使用したPCR増幅を以下のように実施した。94℃で2分間、1サイクル;94℃で45秒間、55℃で45秒間、72℃で2分間、30サイクル;最終伸長、72℃で10分間。断片をPstI及びSphIで消化し、PstI及びSphIでplC577にライゲーションさせ、plC636を生じた。
【0178】
aphA−6遺伝子のコード領域を、NcoI及びPstIを使用してプラスミドpSK.KmR(英国、ロンドン大学生物学部(Department of Biology University college London)のSaul Purton博士から得た)から切り出し、NcoI及びPstIで切断したplC636内にライゲーションさせ、最終的な形質転換ベクターplC637(図14及び図15)を得た。プラスミドに挿入されたものが何であるかは、配列決定によって確認した(MWG、ミュンヘン)。
【0179】
Δycf3変異系のプラスチド形質転換及びホモプラストミック系の選択
第2の形質転換の目的は、ycf3遺伝子を再構成すること、aadAマーカーを取り除くこと、カナマイシン耐性を与えるaphA−6遺伝子を導入することを同時に行うことであった。低い光条件下で、固形VBW培地上で成長させた無菌ホモプラストミックΔycf3変異体から単離した、包埋したプロトプラストを、バイオラッド(ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のPDS−1000/He Biolistic particle delivery systemを使用して(詳細な手順は実施例3を参照)、プラスミドplC637でコーティングした金粒子を用いてボンバードした。ボンバードメントの2日後、格子を25μg/mlのカナマイシンを含む固形RMOP培地に移し、2週間の間低い光条件下で培養した。その後、2週間毎に格子を新しい培地に移し強い光条件下で培養し、それ以上の再分化体が現れなくなるまで繰り返した。カナマイシン耐性を示し、緑色表現型を示す形質転換体を選択し、強い光条件下で固形B5培地に供して、ycf3が再構成されたプラストームを増幅させた(ycf3欠損プラストームは、B5培地上で強い光条件下で成長している場合には増幅されない)。
【0180】
二次トランスプラストミック植物の分子分析
PCR増幅によってプラスチド形質転換を確認した。緑色表現型を示し光独立栄養的に成長することができた一次形質転換体から単離した全DNAを、以下の2組のプライマーを使用したPCR分析の鋳型として使用した。すなわち、oFCH168(5’−TCA GTC GCC ATC GGA TGT TT−3’、aphA−6コード領域の5’部分に由来)とoFCH169(5’−ACC AAT CTT TCT TCA ACA CG−3’、aphA−6コード領域の3’部分に由来)、及びoFCH27(5’−TGC TCA AGA CTT TAG TGG ATC−3’、プラストームヌクレオチド44799〜44819とアニーリング)とoFCH168である。oFCH168及びoFCH169は、再構成された植物からは500bpの増幅産物を生じ、改変されていない第1ラウンドの形質転換体からはまったく生じないはずである。oFCH27とoFCH168の組合せでは、正しく形質転換されたプラストームからの約2300bpの産物を増幅することによって、第2形質転換体が正しいaphA−6挿入物を保有しているかどうかを判定することができる。3グリッドボンバードメントから、合計5個の独特のycf3再構築タバコプラスチド形質転換率が得られた。
【0181】
DNAゲルブロット分析によってホモプラスミーを確認した。B5培地上で強い光条件下で成長させた、ycf3が再構成された植物の若い葉からゲノムDNAを単離し、HincIIで消化した。使用したプローブはΔycf3変異体で使用したものと同じである(DNAブロット法及びハイブリッド形成の詳細な手順は上記参照)。このプローブは、野生型プラストームでは3257bpのシグナル、第2ラウンドで正しく形質転換されたプラストームでは2046bpのシグナル、改変されていない第1ラウンドの形質転換体では3857bpのシグナルを生じる。
【0182】
aadAマーカーの除去を確認するために、aadA遺伝子の480bp断片をプローブとして使用して、ブロットの第2のハイブリッド形成を行った(前のプローブはストリップ手順により取り除かれている)。プローブの作成には、PCR Dig labeling反応で供給者(ロシュ)のプロトコルに従って、プライマーoFCH59及びoFCH60(上記参照)を使用した。
【0183】
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【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】ベクターplC571の概略図である。
【図2】ベクターplC554の概略図である。
【図3】ベクターpGEM〜rpoA〜del及び標的のプラストーム領域の概略図である。
【図4】ベクターplC598及び標的のプラストーム領域の概略図である。
【図5】ベクターplC553の概略図である。
【図6】ベクターpKCZ〜GFPの概略図である。
【図7】ベクターplC526の概略図である。
【図8】ベクターplC558及び標的のプラストーム領域の概略図である。
【図9】ベクターplC558の概略図である。
【図10】ベクターplC597、plC599、plC600、及び標的のプラストーム領域の概略図である。
【図11】ベクターplC597の概略図である。
【図12】ベクターplC577の地図である。
【図13】ベクターplC577及び標的のプラストーム領域の概略図である。
【図14】ベクターplC637の地図である。
【図15】ベクターplC637及び標的のプラストーム領域の概略図である。

Claims (31)

  1. (a)プラスチドゲノム中の遺伝子の機能を改変又は破壊して、選択可能な又は認識可能な表現型を生じさせる段階、
    (b)前記表現型を発現している植物又は細胞を分離又は選択する段階、
    (c)前記機能を修復することができる修復配列を有する少なくとも1つの形質転換ベクターを用いて、前記分離した又は選択した植物、植物器官、植物組織の前記プラスチドゲノムを形質転換させる段階、および
    (d)前記修復された機能を発現しているプラスチドを有する、前記形質転換された植物、植物器官、植物組織を分離又は選択する段階
    によって、プラストームが形質転換された多細胞植物、植物器官、植物組織を生成する方法。
  2. 段階(c)の形質転換で前記機能が修復されるとともに少なくとも1つの追加の機能が導入される請求項1に記載の方法。
  3. 段階(c)の形質転換で前記機能が修復されるとともにプラスチドゲノムの所望の追加の遺伝的改変が引き起こされる、請求項1又は請求項2の一項に記載の方法。
  4. 段階(c)の形質転換でさらに、既に存在する機能が排除される請求項1から請求項3までの一項に記載の方法。
  5. 段階(a)の前記改変又は破壊が自然突然変異又は誘導突然変異によって得られる請求項1から請求項4までの一項に記載の方法。
  6. 段階(a)の前記改変又は破壊が遺伝的形質転換によって得られる請求項1から請求項5までの一項に記載の方法。
  7. 前記遺伝的形質転換の結果、同時に少なくとも1つの追加の機能の少なくとも1つの追加の配列が導入される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記追加の機能が阻害剤耐性機能であり、段階(b)を対応する阻害剤の存在下で実施する請求項7に記載の方法。
  9. 段階(b)で最初にだけ阻害剤を加える請求項8に記載の方法。
  10. 段階(a)と(b)で栄養性型を改変又は破壊し、段階(c)と(d)で栄養性型を修復する、請求項1から請求項9までの一項に記載の方法。
  11. 修復される栄養性型が光栄養性である請求項10に記載の方法。
  12. 段階(a)と(b)で導入した阻害剤耐性又は非感受性を段階(c)と(d)で元に戻す請求項1から請求項11までの一項に記載の方法。
  13. 段階(a)及び/又は(c)で使用したベクター(又は複数のベクター)が、相同組換えに十分な、宿主プラスチド配列に対する相同性を有する配列を含む、請求項1から請求項12までの一項に記載の方法。
  14. 段階(b)で植物、植物器官、植物組織を混合栄養性で成長させるか又は培養する、請求項1から請求項13までの一項に記載の方法。
  15. 段階(a)の前記改変又は破壊により色素欠損表現型が生じる請求項1から請求項14までの一項に記載の方法。
  16. 前記色素欠損表現型がクロロフィル欠損である請求項15に記載の方法。
  17. 段階(a)で改変又は破壊された遺伝子が、プラストームにコードされた、転写又は翻訳に必要なプラスチド遺伝子、特にRNAポリメラーゼである請求項1から請求項16までの一項に記載の方法。
  18. 段階(a)で改変又は破壊された遺伝子がプラスチドrpoA遺伝子又はrpoB遺伝子である請求項1から請求項17までの一項に記載の方法。
  19. 外部の成長条件に応じて、段階(a)で生じる表現型が2つ又は複数の外見を交互に示すことができる、請求項1から請求項14までの一項に記載の方法。
  20. 段階(a)で改変又は破壊された遺伝子が、通常の光条件下で黄白色表現型を生じ、低い光条件下で薄緑色表現型を生じる、プラスチドycf3遺伝子である請求項19に記載の方法。
  21. 段階(a)で改変又は破壊された遺伝子が、改変又は破壊されると高クロロフィル蛍光表現型を生じるプラスチド遺伝子、好ましくはpetAである請求項1から請求項15までの一項に記載の方法。
  22. 効果を示すには光合成の活性が必要とされる阻害剤を段階(b)で使用する請求項21に記載の方法。
  23. 前記阻害剤がパラコート、モルファムコート(morphamquat)、ジクワット、ジフェンゾコート、及び/又はサイパーコート(cyperquat)である請求項22に記載の方法。
  24. 段階(d)で光混合栄養条件を使用する、請求項1から請求項23までの一項に記載の方法。
  25. 段階(a)で導入された配列と段階(c)で導入された配列とが相まって追加の機能を生じる請求項1から請求項24までの一項に記載の方法。
  26. 段階(d)が阻害剤耐性によって支援される請求項1から請求項25までの一項に記載の方法。
  27. プラスチドゲノムにコードされた破壊された機能を修復することができる修復配列と、前記破壊された機能の修復を相同組換えにより行える程度に前記プラスチドゲノムの形質転換させるべき配列部分と相同な少なくとも1つの配列とを含む、多細胞植物又はその細胞のプラスチドゲノムを形質転換させるためのベクター。
  28. 少なくとも1つの追加の機能を導入するための少なくとも1つの追加の配列を有する請求項27に記載のベクター。
  29. 前記プラスチドゲノムの所望する追加の遺伝的改変を引き起こす配列をさらに含む、請求項27又は請求項28の一項に記載のベクター。
  30. 前記プラスチドゲノムの所定の配列部分が削除可能なように配置されている前記相同配列(又は複数の配列)を有する、請求項27から請求項29までの一項に記載のベクター。
  31. 請求項1から請求項26までの一項に記載の方法によって得ることができる多細胞植物、植物組織又はその種子。
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