JP2001500009A - 植物レトロウイルスポリヌクレオチドおよびその使用のための方法 - Google Patents

植物レトロウイルスポリヌクレオチドおよびその使用のための方法

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Abstract

(57)【要約】 ゲノム情報の大豆および他の植物肺への導入に有用である、レトロウイルスおよびレトロウイルス様ポリヌクレオチド、ならびにそれらに由来するベクター、タンパク質、および抗体が開示される。詳細には、レトロウイルスSIRE-1ゲノムクローンが開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 植物レトロウイルスポリヌクレオチドおよびその使用のための方法 関連する出願の相互参照 本明細書は、米国仮出願第60/025,853号(1996年9月9日提出)の利益を請求 する。 発明の分野 本発明は、一般的に、レトロウイルス、プロレトロウイルスDNA、プロレトロ ウイルス様DNAを含むプロレトロウイルスポリヌクレオチドに関し、そしてより 詳細には、ゲノム情報を感受性標的植物細胞に送達するのに使用するための、そ れらに由来する組換えベクターに関する。 発明の背景 反復性DNA配列は、高等真核生物のゲノムの共通の特徴である。動物および高 等植物における反復性DNAファミリーメンバーは、他の配列とタンデムに反復さ れるか、または分散され(WalbotおよびGoldberg,1979;Flavell,1980)、そ してゲノムの50%を越えて構成し得る(WalbotおよびGoldberg,1979)。大豆ゲ ノムにおける反復性DNAの割合の推定量は、36%〜60%の範囲である(Goldberg ,1978;Gurleyら、1979)。 ハプロイドゲノムあたり105のオーダーの高コピー数反復は、大豆ゲノムの3 %のみを含むが、103の範囲のコピー数を有する中程度の反復配列は、ゲノムの3 0〜40%を占有する(Goldberg,1978)。これらの中程度の反復性配列の電子顕 微鏡検査は、それらが平均約2kbの長さであることを示す;しかし、これらの観 察されたものの4%は、11kbを超える(PellorgriniおよびGoldberg,1979)。 高等真核生物ゲノムにおける高度に反復性である配列のほとんどは比較的短く 、そしてタンデムな配置で編成される。例えば、高等真核生物においてセントロ メアに隣接する染色体領域は、高度に反復性であるDNA(サテライトDNAと称され る)の非常に長いブロックから構成され、ここで、単純な配列は、数千回以上も 反復される。大豆ゲノム中に見出されるタンデムに反復したエレメントはまた、 リボソームRNA(rRNA)コード遺伝子を含む。約800のrDNAコピーは、タンデムに 反復した8kbまたは9kb単位の1つ以上のクラスターとして編成される(Friedr ichら、1979;Varsanyi-Breinerら、1979)。 最も高等な真核生物のゲノムはまた、ゲノム全体を通して均一に分配され、分 散したユニークな(または中程度に反復性の)DNAの長ストレッチを含む高度に 反復性である配列を含む。これらの分散した反復性DNAエレメントの長さは可変 性であり、配列に関して認識可能であるが正確には保存されていない、そして比 較的小さな反復頻度を示す(Lapitan,1992)。 高等真核生物ゲノムにおける分散した反復性エレメントの分散パターンは、ト ランスポゾンとして知られる転移性エレメントである(またはかつてそうであっ た)という示唆を導いた(Flavell,1986;Lapitan,1992)。トランスポゾンは 、関与する染色体の一般的な構造を変更することを必要とせずに、ある染色体位 置から他へ移動し得る遺伝子エレメントである。トランスポゾンの存在は、過去 数十年間内に、一般的な承認が見出されただけである。遺伝子は、DNAの不完全 な同種の短い区画の間の非正統的な交叉から生じる染色体再編成の結果としての み変化する、固定された染色体位置を有すると最初は考えられた。次いで、1940 年代の後期において、トウモロコシでのMcClintockの先駆的実験は、特定の遺伝 子エレメントが、ゲノムの新たな位置に、規則的に「ジャンプ」(または転移) することを示した(McClintock,1984)。 転移性エレメント(TE)は、実際の全ての生物のゲノムに常駐する(Bergおよ びHowe,1989)。TEは、それら自身の同一のコピーの新たなDNA部位への挿入を もたらす酵素をコードする。遺伝子転移事象は、最初の転移性エレメントの2つ の娘コピーを頻繁に産生する;一方は親の部位に残るが、他方は標的部位に現れ る、組換えと複製のプロセスの両方を含む(Shapiro,1983)。 真核生物TEの2つの主要なクラスは同定されており、これらは、その遺伝子転 移の様式によって区別される(Finnegan,1989)。クラスIエレメントはRNA中間 体の産生を介して転移し、次いで、これは逆転写されて、標的部位で組み込まれ るDNAコピーを産生する。このクラスは、レトロエレメント−レトロトランスポ ゾンおよびレトロウイルス−のいくつかのファミリーを含み、これには、Drosop hila melanogasterのコピアエレメント、gypsy/Ty3ファミリー、酵母のTy1エレ メント、および哺乳動物免疫不全症、およびラウス肉腫(RSV)レトロウイルス を含む。これらのレトロエレメントファミリーの各々は、それらの境界での長末 端反復(LTR)の存在によって、部分的に特徴づけられる(Finnegan,1989); しかし、このクラスはまた、トウモロコシからの非LTR含有エレメント様Cin4(S chwarz-SommerおよびSaedler,1988)および哺乳動物L1ファミリー(Hutchinson ら、1989)を含む。 D.melanogasterにおけるコピアエレメントは、長末端直接反復を所有する。コ ピア様エレメントの11以上のファミリーが存在する:各々のメンバーは充分に保 存されており、そしてDrosophilaゲノムにおいて5〜100の異なる部位に位置す る。これらのエレメントは、約5000塩基対(bp)長であり、ファミリーの間で配 列および長さの両方において変化する数百bpの長さの長末端反復(LTR)を有す る。各エレメントの末端で、約10bpの短い不完全な逆反復が存在する。 コピアの新たな染色体部位への挿入は、標的DNAの3〜6bpストレッチの複製 によって達成される;そのエレメントのすぐ前および後に迅速に現れる直接反復 の、配列ではなく長さは、同じファミリーの全てのメンバーについて同一である 。コピアエレメントは、RNA腫瘍ウイルスのものに相同なタンパク質をコードす る1つの長オープンリーディングフレーム(0RF)を有する:逆転写酵素、イン テグラーゼ、および核酸結合タンパク質に対する相同性は、これらのタンパク質 が、コピア遺伝子転移のためのRNA中間体を作製するために機能することを示唆 する。 クラスIIエレメント(Drosophila melanogaster Pエレメント(Engels,1989 ;Rio,1990)およびトウモロコシAc/Dsエレメント(Federoff,1989)のような )は、RNA中間体の形成を伴わずに新たな部位に直接転移する。Pエレメントは、 Drosophilaゲノムの複数の部位に存在し、そして31bpの完全な逆反復に隣接され る、0.5〜1.4kbの長さである。それらは、P因子と称される約3kbの巨大なエレ メントの内部欠失バージョンを示し、これは、Drosophilaのいわゆる「P株」に おいてのみ、1つまたは2、3のコピーを生じる。ゲノムの新たな部位への挿入 の際に、Pエレメントは、標的配列の8bp複製を作製する。 トウモロコシにおけるAc/Ds系は、Dsエレメントからなり、これはDrosophila のPエレメントと同様に、Acと称されるより大きな完全エレメントに由来する。D sエレメントは、いくつかの異なる長さ(0.4〜4kb)で存在する。Pエレメント とは異なり、Dsエレメントは、Acエレメントが同様に存在する限りは染色体内に 定常的に残存する。Dsエレメントは、それらの末端で、標的DNAの6〜8bpの直 接反復によって隣接する、11bpの完全な逆反復を含む。Ds(またはAc)エレメン トが転移する場合、不完全であるが、認識可能である6〜8bpの標的配列の複製 物を残す(leave behind)。 上記のように、多くの分散型反復性DNAファミリーは、トランスポゾンである (または、かつてそうであった)ようである。大豆において、その構造特徴が、 トランスポゾンファミリーとしてそれを明確に定義する分散型反復性DNAファミ リーは、Tgmファミリーである。Tgmファミリーは、トウモロコシEn/Spmトランス ポゾンに関連し、そして2kb以下〜12kbを越えるサイズの範囲の50より少ないメ ンバーからなる(RhodesおよびVodkin,1988)。 レトロウイルスは、DNA中間体を介して複製するRNAゲノムからなる、I型トラ ンスポゾンである。ウイルスゲノムはRNAであるが、複製における中間体は、プ ロウイルスと称されるウイルスゲノムの二本鎖DNAコピーである(Watosonら、19 87)。プロウイルスは細胞ゲノムに類似し、そして新たなウイルスゲノムの複製 のための鋳型として働くために、宿主染色体に取り込まれなければならない(Va rmus,1982)。新たなゲノムは、未改変の細胞機構によって核においてプロセス される。 ウイルスゲノムRNAは、細胞メッセンジャーRNA(mRNA)のようであるが、細胞 の感染後にそのように働かない。言い換えれば、逆転写酵素と称される酵素(こ れは、細胞に存在しないが、ビリオンによってかわりに保有される)は、ウイル スRNAゲノムのDNAコピーを作製し、次いでこれは、プロウイルスとしての細胞染 色体DNAへの取り込みを受ける。ウイルスDNAの取り込みは、いくつかの部位は、 他のものよりも頻繁に利用される点で、ウイルスゲノムについては正確であるが 、宿主細胞ゲノムについては半ランダムであり、(Shinら、1988)。組み込まれ た プロウイルスは、新たなウイルスRNAゲノム(これらは、細胞膜に移動してビリ オンに構築される)の産生のための鋳型として働く。これらは、細胞を殺傷せず に細胞膜から出芽する。 レトロウイルスビリオンは、タンパク質分解エンベロープによって取り囲まれ た正十二面体のヌクレオキャプシドを有する。レトロウイルスゲノムは二倍体で あり、そしてその一般的な組織は、当該分野で周知である。代表的なレトロウイ ルスは、3つのタンパク質コード遺伝子を有する:gag(グループ特異的抗原) は、切断されてキャプシドタンパク質を生じる前駆体ポリヌクレオチドをコード し;polは、切断されて逆転写酵素およびプロウイルス組み込みに関与する酵素 を生じ;そしてenvは、エンベロープ糖タンパク質の前駆体をコードする。レト ロウイルス遺伝子の第4の型(tatと称される)は、HTLV-IおよびIIゲノムの3' 末端で見いだされており、これらは、転写エンハンサーとして働く。いくつかの レトロウイルスは、ガンの特定の型を迅速に誘導する能力を与えるさらなる遺伝 子(例えばonc)を有する。 レトロウイルスゲノムは、5'および3'末端の両方にLTR配列を含む(Weiss,19 84)。これらの配列は、ウイルスRNA転写物の複製、転写、および転写後プロセ スに必要なシグナルを含む。LTRは、二本鎖DNA中間体の産生の間にウイルスゲノ ムの各末端への配列(U5およびU3と称され、ウイルスゲノムの反対の末端に由来 する)の付加によって産生された完全な直接反復である。U5領域は、逆転写の開 始のため、およびウイルス転写物のパッケージングに必須であるようである(Mu rphyおよびGoff,1988)。U3領域は、ウイルス複製のための多数のcis作用性シ グナル、およびウイルスゲノムにわたる転写コントロールの多くまたは全てを担 う配列を含む。 レトロウイルスゲノムはまた、5'末端付近のプライマー結合部位(PBS)を含 む(Dahlbergら、1974)。この配列は、細胞性tRNAの3'末端に相補的である。tR NAは、複製の間、宿主細胞から失われ(stolen)、そして感染後すぐにRNAゲノ ムの逆転写のためのプライマーとして働く。 一旦レトロウイルスが細胞性染色体DNAに取り込まれると、それは安定であり 、そして宿主細胞DNAとともに複製する。プロウイルスは、組み込み部位から決 し て排除されず、しかし欠失の結果として失われ得る。レトロウイルス感染は、通 常、細胞を損傷せず、そして感染した細胞は、組み込まれたプロウイルスととも に分裂し続け、これはウイルスRNA合成を指向する鋳型として働く。 全てのウイルスと同様に、レトロウイルスは、感染のための標的細胞表面レセ プター分子との相互作用のための特定の要件を有する。全ての公知(および、予 想されるように)の場合において、この分子は、特定のビリオンenvタンパク質 と特異的に相互作用するタンパク質である。最も研究されたビリオンエンベロー プタンパク質-細胞表面レセプター相互作用は、ヒトT細胞におけるCD4レセプタ ーとのHIVの相互作用である(Dalgleishら、1984)。envタンパク質は、細胞-細 胞認識または任意の他の公知の機能に関与しないレセプター上の小さな領域に結 合するようである。その細胞性レセプターが同定されている別のレトロウイルス は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)であり、これは、膜ポアまたはチャ ンネルタンパク質に類似する細胞表面タンパク質と相互作用する。多くのレトロ ウイルスの相互作用のメカニズムは、未だ十分に理解されていないが、レトロウ イルスは広範な種々のレセプター型と相互作用するようである(Weiss,1982) 。 レトロウイルスは、主として、動物において腫瘍を生じる能力および培養にお いて細胞を形質転換する能力のために、過去数十年にわたってよく研究されてい る。レトロウイルスの細胞を形質転換する能力は、少なくとも2つの機構に基づ いている。第1は、特定のウイルスが、変異において細胞増殖を形質転換する能 力を有する活性化プロトオンコジーンを取り込んでいることである。形質転換の 第2の機構は、ウイルスゲノムの取り込みにおいて、挿入変異誘発から生じる。 ウイルスLTRはプロモーターおよびエンハンサー活性を有するので、細胞性遺伝 子に隣接するいずれの方向でのLTR配列の挿入も、その遺伝子の不適切な発現を 導き得る。細胞性遺伝子が細胞増殖の調節に関与する場合、その遺伝子の過剰も しくは過小発現または挿入変異は、細胞の非制御増殖を導き得る。 従って、レトロウイルスの組み込みは、潜在的に変異原性である。エキソンコ ード領域内へのレトロトランスポゾンの組み込みは、これらの遺伝子を不活化し 得る一方、イントロンまたは隣接領域内への組み込みは、重要な発生的および進 化的関連を有する、新規な調節パターンを作製し得る(McDonald,1990;Robins およびSamuelson,1993;Schwarz-SommerおよびSaedler,1987;WeilおよびWess ler,1990;Whiteら、1994)。エンハンサーおよびトランス活性化配列は、レト ロウイルスおよびレトロトランスポゾンLTRに見いだされており(Boeke,1989; Cavarecら、1994;ChoiおよびFaller,1994;LohningおよびCiriacy,1994;Mel lentin-Michelottiら、1994;VarumsおよびBrown,1989)、コード領域とエンハ ンサーとの間のレトロトランスポゾン挿入は、遺伝子発現を破壊する(Calおよ びLevine,1995;GeorgievおよびCorces,1995;GeyerおよびCorces,1992;Whi teら、1994)。 エレメント流動化は、標的遺伝子活性を改変するだけでなく、ゲノム機構を再 構築する(King,1992、LimおよびSimmons,1994;McDonald,1993;Shapiro,1 992)。実際、関連する分類学のグループの間の主要なゲノム差異の1つは、単 一コピーコード配列ではなく、反復性エレメントの同一性および分布であるよう である(McDonald,1993;Shapiro,1992)。Whiteら(1994)は、多くのトウモ ロコシ遺伝子の隣接領域は、レトロトランスポゾンDNAの痕跡を含む配列に組み 込まれていることを実証した。さらに、Palmgren(1994)は、トウモロコシからの BstIレトロエレメントは、植物膜H+-ATPaseに見いだされる2つの保存されたド メインをコードすることを見いだしており、これは、宿主配列のエレメント捕捉 が、脊椎動物レトロウイルスに限定されないことを示唆している。 McClintock(1984)は、遺伝的変化(転移性エレメント媒介性挿入変異誘発に よって部分的に誘導される)は、「ゲノムストレス」を作製する条件に直接的応 答であることを提案している。多くのTEおよびレトロウイルスは、ゲノムの転写 的に活性な領域に、優先的に挿入する(Engels,1989;Sandmeyerら、1990;Var musおよびBrown,1989)。酵母におけるTy1レトロトランスポゾンは、最適以下 の温度における増殖(PaquinおよびWilliamson,1998)および放射線への暴露( McEnteeおよびBrashaw,1988)によって活性化され得る。同様の観察は、Drosop hila(McDonaldら、1988;StrandおよびMcDonald,1985)、トウモロコシ(McCl intock,1984)、および大豆(SheridanおよびPalmer,1977)においてなされた 。 植物において、TEは、組織培養の誘導の間に活性化され(Hirochika,1993;P eschkeおよびPhillips,1991)、そして大豆を含む多数の高等植物種について観 察される体細胞繁殖系の変化に寄与し得る(Ambergerら、1992;Freytagら、198 9;Grayboschら、1987;Rothら、1989)。トウモロコシにおいて、転写性エレメ ントの活性化は、培養の誘導の間に生じるDNAメチル化のパターンにおける変化 に相関し(BrettellおよびDennis,1991;KaepplerおよびPhillips,1993;Pesc hkeら、1991)、これは、遺伝子活性化についての十分に特徴付けられた基礎を 提供する。 植物において、ほとんどのトランスポゾン様配列は、絶えているようである( Grandbastien,1992)。多数の植物種がこれらの配列を有するが(Flavellら、1 992;Grandbastlen,1992;Voytasら、1992)、活性な転移は、タバコ(Grandba stienら、1989;Pouteauら、1994)、およびトウモロコシ(Johnsら、1985)に おいて実証されているのみか、または直接的に関与するのみである。トランスポ ゾンからのRNA転写物およびcDNAは、タバコ(Pouteauら、1994;Hirochika,199 3)およびトウモロコシ(Huら、1995)から回収されており、そして転移性エレ メント関連タンパク質は、トウモロコシにおいて検出されている(Huら、1995) 。 外来遺伝子の植物への安定な導入は、近年の植物育種、ハイブリッド種子産生 、農場機械化、および栄養原を提供し、そして害虫を制御する農薬の使用を含む 農業技術における一連の進歩の最も重要な発展の1つを示す。遺伝子操作は、産 生効率および環境保存を改善する努力において多くの種に適用されている。遺伝 操作は、作物への取り込みに対して利用可能な遺伝子および生殖質の多様性を増 加させることによって、そして新たな変種およびハイブリッドの産生に必要な時 間を短縮することによって植物育種努力を補完するが、新たな農作物および製造 プロセスを開発する機会もまた提供する。 最初のトランスジェニック植物は、Agroacterium tumefaciensのTiプラスミド 上に存在するキメラネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子で形質転換し た、タバコ植物であった(Horschら、1984)。Agroacterium媒介性Tiプラスミド 転移には、植物形質転換の効率的な多目的の方法であることがわかっている。Ag roacteriumを用いる遺伝子操作に従順な植物種の範囲は、相当広い。Agroacteri um媒介性形質転換が効率的であるこれらの系において、遺伝子転移の手軽かつ規 定された性質のために選択された方法である。 ごく少数の単子葉植物が、Agroacteriumについての天然の宿主であるようであ る。しかし、トランスジェニック植物がアスパラガスにおいて産生されており、 そして形質転換腫瘍は、サツマイモで観察されている。多くの商業的に価値のあ る作物種(例えば、穀物種子(例えば、コメ、トウモロコシ、および小麦)は、 この方向において成された広範囲な努力にもかかわらず、Agroacteriumによって 効果的に形質転換されない。これは、創傷応答における差異に起因するようであ る;Agroacterium媒介性形質転換に抵抗性のこれらの種は、必要とされる適切な 創傷応答をおそらく示さない(Portrykus,1991)。 遺伝子送達の物理的方法は、Agroacteriumに感受性でない植物を形質転換する ために開発された。これらの方法としては、微粒子銃投射(「パーティクルガン 」)、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、およびリポフェク ションが挙げられる(Potrykus,1991)。ほとんどの物理的形質転換実験は、レ シピエント細胞として植物プロトプラストを利用する;しかし、他の再生可能な 移植片(葉、幹、および根を含む)が利用されている。多くの植物種は、物理的 技術で首尾良く形質転換されているが、いくつかの植物種(特に、エンドウ豆お よび穀類)では、これらの方法によって安定に形質転換することが困難であるこ とがわかっている。このような物理的方法のこれらの植物への適用性は、プロト プラストからの植物の再生に含まれる困難性によって制限されるが、この点に関 していくらかの成功が、いくつかの穀類およびコメで達成されている。成功例が 、大豆またはトウモロコシを用いての成功は、ほとんど達成されていない。 植物の形質転換のためのウイルスベクターの使用に関する実験は、ほとんど報 告されていない。植物ウイルスは、種々の形態で存在する;それらは、遺伝物質 として、DNAまたはRNAのいずれかを含み、ロッド形状または多核体形状のキャプ シドのいずれかを有し、そして昆虫、細菌によって、または傷ついた領域との接 触のいずれかによって伝達され得る(Robertsonら、1983)。ほとんどの公知の 植物ウイルスは、それらの遺伝物質として、一本(+)鎖RNAを含む。(+)鎖 植物ウイルスは、単一のRNA鎖を有するウイルスおよびいくつかのRNA鎖(各々が ウイルス感染性に必要であり、そしてこれは、別々のビリオンに別々に包膜化さ れる)を有するウイルスに分けられる得る。ササゲモザイクウイルスは、例えば 、2つのRNA(一方は、末端タンパク質およびプロテアーゼを含むいくつかのタ ンパク質をコードし、他の鎖は、キャプシドタンパク質をコードする)を含む。 セグメント化二本鎖RNA植物ウイルスもまた存在する。これらの内で最も知られ たものは、創傷腫瘍ウイルス(WTV)であり、これは12の異なるセグメントを含 み、そして昆虫細胞または植物細胞のいずれかにおいて複製し得る。 より少ない植物DNAウイルスが存在する。2つの公知のクラスのみが存在し、 その1つは二本鎖DNAを含み、そして多角体キャプシドを有する。このクラスで 最もよく理解されているのは、カリフラワーモザイクウイルス(CMV)である。D NA植物ウイルスの第2のクラスは、ジェミニウイルスであり、これは、双子のよ うにともに保持される対のキャプシド(各キャプシドは約2500ヌクレオチドの環 状一本鎖DNAを含む)からなる。いくつかの場合において、2つの対になったゲ ノムは同一であるが、他の場合において、この2つは配列相関性を有さない。 DNAウイルスでの初期の研究は、このようなウイルスへ組み込まれた小細菌性 抗生物質耐性遺伝子が、感染した植物を介して全体に広がり得、そして耐性を付 与し得ることを示した(Brissonら、1984)。小サイズのDNAウイルスゲノムは、 植物における有用な形質転換因子としてのこのようなベクターの広範な適用に対 する妨げであることが示されている。しかし、この研究を支持する研究はほとん どなされていない。 より少数の研究でさえ、植物において、より大きなグループの植物RNAウイル スへの遺伝操作の適用に関して実施されている(Ahlquistら、1987;Ahlquistお よびPacha,1990)。ウイルスRNAは宿主ゲノムに組み込まれず、そして成長点お よび子孫から排除されるので、植物形質転換におけるこのようなRNAウイルスの 有用性は、良くても制限されることが示唆されている(Potrykus,1991)。 発明の要旨 1つの局面において、本発明は、植物に由来するレトロウイルスポリヌクレオ チドおよびレトロウイルス様ポリヌクレオチドを提供し、ここで、このようなポ リヌクレオチドは、植物細胞のゲノムへ組み込み得る。本発明はまた、ストリン ジェントな条件下で(例えば、Sambrookらを参照のこと)、本明細書中に明白に 開示されるレトロウイルスポリヌクレオチドまたはレトロウイルス様ポリヌクレ オチドとのハイブリダイゼーションによって入手可能な、他の植物レトロウイル スまたはレトロウイルス様ポリヌクレオチドに関する。例えば、連結した遺伝子 の発現を調節するための遺伝子に作動可能に連結され得る、植物レトロウイルス 長末端反復(LTR)配列を含む調節配列もまた本発明のこの局面の範囲内である 。 第2の局面において、本発明は、植物ゲノム中の特異的な領域への標的化組み 込みが可能な、植物レトロウイルスエレメントまたはレトロウイルス型エレメン トに関し、そしてさらに、このような組み込みを達成するための方法に関する。 第3の局面において、本発明は、植物レトロウイルスまたはレトロウイルス様 ポリヌクレオチドに由来する調節配列の全てまたは一部を含むベクターに関し、 そしてレトロウイルスゲノムまたはレトロウイルス様ゲノムの全てまたは一部お よび異種遺伝子を含むベクターに関する。 第4の局面において、本発明は、異種遺伝子に作動可能に連結される、1つ以 上の植物レトロウイルス調節配列またはレトロウイルス様調節配列を含むベクタ ーに関する。本願の文脈における異種遺伝子は、植物プロレトロウイルス以外の 供給源に由来する遺伝子もしくは遺伝子融合または遺伝子の一部、あるいはcDNA 、あるいはその天然のプロモーター以外のプロモーターの調節的制御下の植物レ トロウイルス遺伝子をいう。 第5の局面において、本発明は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドに よってコードされる単離された精製タンパク質、ならびにタンパク質の少なくと も1つの生物学的特性を保持するこのようなタンパク質のアナログ、ホモログ、 およびフラグメントに関する。 第6の局面において、本発明は、本発明のベクターを用いる異種遺伝子の発現 によって産生される、単離された精製タンパク質に関する。 第7の局面において、本発明は、植物プロレトロウイルスまたはレトロウイル スゲノムの全てまたは一部を含むベクター、および植物ゲノムに異種遺伝子また は調節エレメントを導入するために、異種遺伝子に作動可能に連結された植物レ トロウイルス調節配列を含むベクターを用いるための方法に関する。ここで、遺 伝子の発現産物は、ポリペプチドまたはアンチセンスRNAを含み、そしてここで 、調節エレメントは、転写調節エレメントである。 第8の局面において、本発明は、植物レトロウイルスまたはレトロウイルス様 ポリヌクレオチド、キャプシド、およびエンベロープを含む植物レトロウイルス 、に関する。 第9の局面において、本発明は、植物レトロウイルスを産生するための方法に 関し、ここで、植物レトロウイルスポリヌクレオチドは、好ましくはパッケージ ング細胞株の使用を介するが、あるいは、他のベクター系の使用またはレトロウ イルスキャプシドおよびエンベロープのインビトロでの構築によって、キャプシ ドおよびエンベロープにパッケージされる。 第10の局面において、本発明は、植物レトロウイルスポリヌクレオチドの形質 導入によって形質転換されるか、または本発明の方法による異種遺伝子を含む植 物レトロウイルスによって形質転換される植物に関する。 図面の簡単な説明 図1は、植物プロレトロウイルスSIRE-1 cDNA Gm776を作製したポリメラーゼ 連鎖反応におけるプライマーとして使用したオリゴヌクレオチドのDNA配列を示 す(配列番号1)。オリゴヌクレオチドの5'および3'末端が示され、そして作製 した部位(ここで、オリゴヌクレオチド混合物は、所定の部位で、等しい割合の 2つのヌクレオチドを含んだ)は、括弧に示される。 図2は、SIRE-1 cDNA Gm776のヌクレオチド配列を示す(配列番号2)。cDNA を増幅するのに使用されるオリゴヌクレオチドプライマーに対応する領域に、下 線を付した。 図3は、SIRE-1 Gm776 cDNA配列の制限地図を示す。 図4は、Gm776とA.thalianaおよびSaccharomyces cerevisiae由来のレトロト ランスポゾンとの間の配列類似性の統計学的分析を示す。 図5Aおよび5Bは、Gm776および2.4kbのSIRE-1 cDNAを配列決定するのに利用 したオリゴヌクレオチドのDNA配列(配列番号12〜24)を示す。 図6は、λgt11大豆cDNAライブラリーから単離された、2.4kbのSIRE-1 cDNAの ヌクレオチド配列(配列番号3)を示す。 図7は、2.4kbのSIRE-1 cDNAの制限地図を示す。 図8は、2.4kbのSIRE-1 cDNAの構成を示す。 図9は、予測されるSIRE-1 CX2CX4HX4C核酸結合部位配列(配列番号4)の、 他のヌクレオキャプシドタンパク質中のもののアミノ酸配列との比較を示す。 図10は、推定SIRE-1プロテアーゼドメインの予想されるアミノ酸配列(配列番 号5)の、他のレトロエレメントプロテアーゼのアミノ酸配列との比較を示す。 図11は、大豆tRNA1met-1の3'末端への推定SIRE-1プライマー結合部位のRNA配 列(配列番号6)のアラインメントを示す。配列間の同一性は、垂直線(|)に よって示される。 図12は、SIRE-1(配列番号7)の推定5'LTRの3'末端と、ポテトレトロトラン スポゾンTst1の5'LTRの3'末端との間の配列アラインメントを示す。配列間の同 一性は、垂直線(|)によって示される。 図13は、λバクテリオファージFIX II大豆ゲノムライブラリーから単離された SIRE-1ゲノムクローンの4.2kbのフラグメントのDNA配列(配列番号8)を示す。 図14は、4.2kbのSIRE-1ゲノムフラグメントの構成を示す。 図15は、4.2kbのSIRE-1ゲノムフラグメントによってコードされる、SIRE-1オ ープンリーディングフレームORFI(一本下線)およびORF2(二重下線)によって コードされる予想されるアミノ酸配列(配列番号9)を示す。 図16は、SIRE-1オープンリーディングフレームORF2によってコードされる予想 されるアミノ酸配列(配列番号10)を示す。推定シグナルペプチド配列(残基22 〜43)および疎水性アンカー配列(残基511〜531)に下線を付した。 図17は、SIRE-1 ORF1の予想されるアミノ酸配列(配列番号11)の、copia RNa se HポリペプチドのC-末端領域との比較を示す。垂直線(|)は、配列間の同一 性を示す一方、保存的および半保存的置換は、それぞれ、(:)または(.)に よって示される。 図18は、λバクテリオファージFIX II大豆ゲノムライブラリーから単離された SIRE-1ゲノムクローンの制限地図を示す。挿入物の5'および3'末端は、それぞれ 、左および右である。模式図の上および下の数値は、適切な長さの制限フラグメ ン トを示す。制限エンドヌクレアーゼ認識部位は、一文字表記によって示される: Hは、HindIII部位を示し;Xは、XbaI部位を示し;そしてNは、NotI部位を示す。 模式図の囲まれた領域は、SIRE-1タンパク質をコードするオープンリーディング フレームを示す:intは、インテグラーゼドメインを示し;RTは、逆転写酵素ド メインを示し;RHは、リボヌクレアーゼHドメインを示し;そしてenvは、エンベ ロープタンパク質ドメインを示す。右側大部分(rightmost)(開放)の囲みは 、3'大豆隣接領域を示す。 図19は、4.2kbのゲノムフラグメントを配列決定するのに使用したオリゴヌク レオチドプライマーのDNA配列(配列番号25〜38)を示す。第2カラムにおける ナンバー付けは、ゲノムフラグメントの予想されたセンス鎖に関連するプライマ ー配列の位置を示す。 図20は、コンピュータープログラムNNpredict(Knellerら、1990)を用いて、 予想されるORF2アミノ酸配列で実施したコンピューター分析の結果を示す。 図21は、SIRE-1 3'LTR(LTR2)とgag R1およびR2領域との間のヌクレオチド配 列比較を示す。配列指示に続く数は、SIRE-1 4.2kbのゲノムフラグメント内の領 域の相対的位置を示す。 図22は、Gm776(配列番号2)と2.4kb SIRE-1 cDNA(配列番号3)との間のヌ クレオチド配列比較を示す。Gm776 DNA配列は、2.4kb cDNA配列に対する逆配向 (すなわち、3'から5'配向)である。 図23は、ORF2の予想されるアミノ酸配列(配列番号10)を示す。推定疎水性貫 通膜領域は、一本下線によって示される。予想されるコロイドコイル領域は、二 重下線によって示される。プロリンリッチ領域は、破線下線によって示される。 予想されるαヘリックス領域は、太字で示される。潜在的なSU/TM切断部位は、 囲みによって示される。 図24は、SIRE-1λFIXIIゲノムDNAのHindIIIによる制限エンドヌクレアーゼ切 断のアガロースゲル電気泳動分析を示す。レーン1は、λDNAサイズマーカーを 含む。レーン2は、HindIIIによって切断したSIRE-1λFIXIIゲノムDNAを含む。H indIIIフラグメントの相対的な長さは、数値によって示される(例えば、2.1Hは 、2.1kbのHindIIIフラグメントである)。 図25は、SIRE-1ゲノムクローンの制限エンドヌクレアーゼ消化およびサザンハ イブリダイゼーション分析の結果の模式的描写を示す。各フラグメントの長さお よび性質は、左側の英文字明記によって示される(例えば、1.5Hは、1.5kbのHin dIIIフラグメントである)。各プローブ(すなわち、env、gag、LTR)によって 認識されるフラグメント(単数または複数)は、矢印によって示される。 図26は、SIRE-1ゲノムクローンの制限エンドヌクレアーゼ消化およびサザンハ イブリダイゼーション分析の結果を示す。SIRE-1ゲノムクローンは、SacIおよび HindIIIで消化した。ハイブリダイズ可能なフラグメントの長さは、左側に示さ れる。サザンハイブリダイゼーションは、4.2kbのXbaIフラグメントに由来する 放射活性標識したenvプローブで行った。 図27は、pEG4.1ベクター構築物の模式図を示す。4.1kbのSIRE-1挿入物は、厚 い太線の右回りの矢印によって示される。 図28は、4.3kbのSIRE-1 HindIIIフラグメントを含むpEG4.3ベクター構築物の 制限エンドヌクレアーゼ消化およびサザンハイブリダイゼーション分析の結果を 示す。サザンハイブリダイゼーションは、4.2kbのSIRE-1 XbaIフラグメントに由 来する放射活性標識したgagプローブを用いて行った。 図29は、pEG4.3ベクター構築物の模式図を示す。4.3kbのSIRE-1挿入物は、厚 い太線の右回りの矢印によって示される。 図30は、それぞれpEG4.1およびpEG4.3に含まれる4.1kbおよび4.3kbのSIRE-1 H indIIIフラグメントの配列決定に利用したオリゴヌクレオチドプライマーの配列 (配列番号39〜49)を示す。プライマー命名に続く小文字のcは、プライマーが 、挿入物の(−)鎖を配列決定するのに利用されたことを示す。 図31(a)〜(c)は、4.1および4.3kbのSIRE-1 HindIIIフラグメントの配列に 由来するSIRE-1ゲノムクローンのヌクレオチド配列(配列番号50)を示す。配列 の最初の321ヌクレオチドは、4.3kbのHindIIIフラグメントの3'末端に由来し、 そして残りの配列は、4.1kbのHindIIIフラグメントに由来する。HindIII制限エ ンドヌクレアーゼ認識部位は、太線で示される(nt322〜327)。 図32は、SIRE-1ゲノムクローンの4.3kbおよび4.1kbのHindIIIフラグメントの 結合したヌクレオチド配列によってコードされる予想されるオープンリーディン グフレームのアミノ酸配列(配列番号51)を示す。 図33は、SIRE-1 intドメインの予想されるアミノ酸配列(配列番号52)のトウ モロコシ由来の0pie-2レトロエレメントのインテグラーゼドメインとの比較を示 す。HHCCおよびD(10)D(35)E保存モチーフを構成するアミノ酸残基は、太字で示 される。(.)は、至適アラインメントに必要な配列におけるギャップを示す。 図34は、SIRE-1逆転写酵素(RT)ドメインの予想されるアミノ酸配列(配列番 号53)およびトウモロコシ由来のOpie-2レトロエレメントの逆転写酵素ドメイン の比較を示す。保存的レトロエレメントRTドメインに対応する領域は、太字で示 される。(|)は、残基間の同一性を示す。(:)は、残基間の類似性を示す。 図35は、SIRE-1リボヌクレアーゼH(RH)ドメインの予想されるアミノ酸配列 (配列番号54)およびトウモロコシ由来のOpie-2レトロエレメントのリボヌクレ アーゼHドメインの比較を示す。保存DEDDモチーフは、太字によって示される。 (|)は、残基間の同一性を示す。(:)は、残基間の類似性を示す。(.)は 、至適アラインメントに必要な配列におけるギャップを示す。 発明の詳細な説明 本発明は、植物における遺伝子操作に有用な、新規な植物レトロウイルス、プ ロレトロウイルス、プロレトロウイルスポリヌクレオチド、プロレトロウイルス DNA、プロレトロウイルス様ポリヌクレオチド、および植物レトロウイルス誘導 体を提供する。より詳細には、植物レトロウイルス、プロレトロウイルス、プロ レトロウイルスポリヌクレオチド、プロレトロウイルスDNA、プロレトロウイル ス様ポリヌクレオチド、およびそれらに由来する植物レトロウイルス誘導体は、 以下の工程に有用である:ペプチドまたはポリヌクレオチドが発現される配列に よってコードされる植物細胞中へ目的の異種DNAを挿入すること;RNAが、内因性 植物ポリヌクレオチドに相補的(アンチセンス)である配列によってコードされ る植物細胞への目的のDNA配列を導入すること;その配列が植物ゲノムに組み込 まれるようになる植物細胞中へDNA配列を導入すること;植物ゲノム中へ転写調 節配列のような遺伝子調節エレメントを組み込むこと;およびこのような組み込 みの位置を同定すること。 本発明は、植物レトロウイルスポリヌクレオチド、プロレトロウイルスDNA、 プロレトロウイルス様ポリヌクレオチド、それらのフラグメント、およびそれら に由来するレトロウイルス誘導体を含むベクター構築物を提供し、それらは以下 の工程に有用である:標的植物タンパク質における所望のタンパク質(例えば、 植物細胞に対する増強された増殖、疾患耐性、または除草剤耐性を付与するタン パク質)を発現すること、または内因性植物ポリヌクレオチドに相補的な「アン チセンス」RNAを発現すること。 本発明はまた、以下の方法を提供する:植物レトロウイルスベクターを産生す ること;植物レトロウイルスポリヌクレオチドを、遺伝子座を同定するため、お よび植物ゲノム中の遺伝子の機能を特徴づけるために使用すること;植物ゲノム に変異を導入するかまたは内因性植物遺伝子を破壊(「ノックアウト」)するこ と;および遺伝子または遺伝子調節エレメントを植物のゲノム遺伝子座に挿入す ること。 以下の実施例は、本発明の特定の実施態様を例示するが、それらの限定として 構成されない。 実施例1は、SIRE-1 cDNAの単離および特徴付けを記載する。 実施例2は、大豆ゲノムライブラリーからの全長SIRE-1クローンの単離および 特徴付けを記載する。 実施例3は、大豆および他の植物におけるSIRE-1プロレトロウイルスからの転 写活性の分析を記載する。 実施例4は、ウエスタンブロット分析による、植物組織におけるタンパク質発 現物をレトロウイルスにコードされるSIRE-1の検出を記載する。 実施例5は、SIRE-1コードmRNAからのポリペプチドのインビトロでの産生を記 載する。 実施例6は、植物細胞の非複製的転写におけるSIRE-1の使用を記載する。 実施例7は、植物レトロウイルスパッケージング細胞の産生のための方法およ び産物を記載する。 実施例8は、植物細胞中への植物レトロウイルスポリヌクレオチドの形質導入 のための方法を記載する。 実施例9は、遺伝子転移ベクターとしてのSIRE-1の使用を記載する。 実施例10は、植物ゲノムにおける誘導およびtag変異のためのSIRE-1の使用を 記載する。 実施例11は、植物ゲノムにおける特定の遺伝子座で指向される組み込みに有効 なSIRE-1の改変を記載する。 実施例12は、大豆ゲノムにおけるSIRE-1挿入の部位を決定するために、SIRE-1 および隣接DNA配列の使用を記載する。 実施例1 SIRE-1 cDNAの単離および特徴付け SIRE-1レトロウイルスDNAの最初の特徴付けは、サイトカイニン生合成酵素を コードする大豆DNAを増幅する試みにおいて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によ って作製した776-bpのDNAフラグメント(Gm776)の偶然の回収および分析に基づ いた(LatenおよびMorris,1993)。全DNA(DoyleおよびDoyle(1990)の方法に よって単離した、Giyclne max cv Williamsの病弱化幼芽由来)または核DNA(Ha genおよびGuilfoyle(1985)の方法によって単離した、G.max cv Wayne由来) のいずれかの、単一の22-ntオリゴヌクレオチドプライマー(図1;配列番号1 )用いた増幅は、高レベルのGm776を作製した。各PCR増幅において作製したGm77 6の量は、SIRE-1が複数コピーDNAファミリーのメンバーであることを示唆し、そ してさらなるバンドの非存在は、ファミリーが比較的保存されていることを示唆 した。 ハイブリダイゼーションおよび制限消化分析を実施して、SIRE-1ファミリーの エレメントサイズを特徴づけた。大豆ゲノムDNAは、それぞれ、BamHI、EcoRI、H aeIII、HindIII、HpaI、およびMboIで切断し、0.7%アガロースで電気泳動し、 そしてナイロン膜にブロットした。ブロットを、放射性標識化Gm776 cDNAと、50 %ホルムアミド中0.05M Tris、1M NaCl(pH7.5)において、42℃にてハイブリダ イゼーションさせ、洗浄し、そしてオートラジオグラフィーに曝露した(southe rn,1975)。これらの分析は、SIRE-1ファミリーが、数百の、非タンデムの、 高度に同種のコピー(各々は、長さが10.6kb以上)からなることを示した。 XbaIリンカーを、アガロースゲル電気泳動(AGE)精製Gm776(改変Gm776)に 連結した(Sambrookら、1989;Titus,1991)。改変Gm776 DNAを、フェノール/ クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノール沈殿させ、そして10mM T ris-HCL、1mM EDTA(pH7.6)に再溶解した。pUC19を、XbaIで線状化し、そして 脱リン酸化した(Sambrookら、1989)。線状化pUC19 DNAおよび連結化XbaIリン カーを有する改変Gm776 DNAインサートを連結し、そしてDH5-α細胞を連結産物 で形質転換した。形質転換体を、抗生物質アンピシリンに対する耐性(ampr)に よって同定し、そしてamprlac-コロニー中のインサートを含むプラスミドの存在 を、PCR増幅したPAGE精製Gm776 DNAから合成した32P標識化プローブとのハイブ リダイゼーションによって決定した。ポジティブハイブリダイゼーションシグナ ルを示すコロニー由来のプラスミドDNAを、アルカリ溶解(Sambrookら、1989) によって単離した。 回収したpGm776プラスミドDNAを、Sequenase2.0(U.S.Biochemical,Clevelan d,OH)およびプラスミド特異的かつインサート特異的プライマーを用いて、製 造業者の説明書に従って、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーター法に よって配列決定した(図2,配列番号2;図5AおよびB、配列番号12〜14)。配 列分析は、SIRE-1が、copia/Ty1レトロトランスポゾンファミリーのメンバーで あることを示唆した。続いてSIRE-1配列を、Gm776 cDNAプローブを用いるハイブ リダイゼーション研究によって、G.max cv Williamsのゲノム、いくつかの異な る品種、および祖先種Glycine sojaにおいて、検出した。これらの供給源間のエ レメントのコピー数は、数百〜千以上まで変化する。コピー数の変化(特に国産 品種間)は、ファミリーが、活性(例えば、複製および転移し得る)を維持する ことを示唆した。SIRE-1ファミリーメンバーのサイズの同質性はまた、ほとんど が比較的若年であり、そして大多数の変異を累積するための時間を有していない ことを示唆した。 Gm776配列のヌクレオチドおよび全ての6つの可能なペプチド翻訳物を、GenBa nkおよびEMBLデータベースにおける配列と比較した(Devereuxら、1984)。密接 に関連する配列は、これらの検索において示されなかった。しかし、Gm776とA.t halianaおよびSaccharomyces cerevisiae由来のレトロトランスポゾンとの間の 配列類似性の統計学的分析を、Gapコンピュータープログラム(Devereuxら、198 4)を用いて行い、そして(弱いにもかかわらず)長い配列類似性を示した。分 析の結果を、図4に示す。図4のカラム(a)は、他のレトロトランスポゾンエ レメントに対する配列類似性を示すGm776内のヌクレオチド範囲を表し、そして カラム(b)は、カラム(a)の配列に対するヌクレオチド配列相同性を示すレト ロトランスポゾンを示す。カラム(c)は、カラム(a)および(b)の配列範囲 の間の同一性の割合を示し、Ta1については3.0、およびTy1については2.0のgap 重量、ならびに0.3のgap長重量を有する。Gm776のnt150と670との間の2つの重 複する300+bp領域は、Ta1 RNA結合ドメインに重複する隣接領域に対して50%以 上の同一性を示す。アラインメントは、各配列において、7つのgap(1gapあた り平均2.5bp)を含む。 6つの潜在的なGm776翻訳配列を、DNA類似性の領域におけるTa1ポリタンパク 質の配列と比較した場合、類似性は観察されなかった。しかし、Gm776のbp390と 630との間のヌクレオチドの51%は、Saccharomyces cerevisiaeレトロトランス ポゾンTy1の逆転写遺伝子内の配列に同一である。アラインメントは、1gapあた り平均2bpの5つのgapを必要とする。任意の6つの潜在的なGm776翻訳配列とS.c erevisiae逆転写酵素の対応する領域との間の有意な類似性はない。いくつかの 他の植物トランスポゾン(タバコ由来のcopia様エレメントTnt1(Grandbastien ら、1989)、ポテト由来のTst1(Camirandら、1990)、およびエンドウ豆からの PDR1を含む)との配列比較は、有意な類似性を示さなかった。 図4のカラム(d)は、カラム(c)に示される配列適合性の「質」を表し、そ してカラム(e)は、同じ長さおよび塩基組成の無作為の配列アラインメントの 質および標準的な偏位を表す。カラム(h)は、方程式p=0.3989e-( ×2/2)(ここ で、X=(Q-平均Q)/S.D.)を用いて計算した正規分布についての確率(P)を示す 。結果は、得られた類似性が、特に30トランスポゾンにおける約150,000ヌクレ オチドを分析したように、非常に有意であることを示す。 大豆cDNAλgt11バクテリオファージライブラリー(Clontech)を、SIRE-1 cDN Aの存在について、当該分野で周知のハイブリダイゼーション法(Sambrookら、1 989)によってスクリーニングした。放射性標識化プローブを、pGm776プラスミ ドから、Multiprime DNA Labelingキット(Amersham,Arlington Helghts,IL) を用いて生成した。3つのファージプラーク(スクリーニングした6,000個中) は、ポジティブハイブリダイゼーションシグナルを示し、そして限定希釈および 再スクリーニングによって単離した。クローンの1つ由来の組換えファージDNA を、プレート溶解物から単離し(Sambrookら、1989)、そしてQiagen-100カラム で、製造業者(Qiagen,Chatsworth,CA)によって推奨されるように、精製した 。クローンは、以下のようにファージベクターからpUC18へ移入した4.0キロベー スペアー(kp)インサートを含んだ。精製ファージDNAを、EcoRIで消化し、フェ ノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノール沈殿させ、そし て10mM Tris-HCl,1mM EDTA(pH7.6)に再溶解した。pUC18を、EcoRIで直線化し 、そして脱リン酸化した(Sambrookら、1989)。直線化pUC18 DNAおよび4.0kb E coRI DNAインサートを連結し、そしてDH5-α細胞を連結産物で形質転換した。形 質転換体を、抗生物質アンピシリン(ampr)に対する耐性によって同定し、そし てamprlac-コロニー中にインサートを含むプラスミドの存在を、PCR増幅したゲ ル精製Gm776 DNAから合成した32P標識化プローブとのハイブリダイゼーションに よって決定した。 ポジティブハイブリダイゼーションシグナルを示すコロニー由来のプラスミド DNAを、Qiagen-100カラムで上記のように精製した。最初に、プラスミドDNAのEc oRIでの消化は、2.4kbおよび1.6kbのインサートフラグメントを生成した。前者 のみが、Gm776プローブにハイブリダイズした。しかし、配列決定について単離 した組換えプラスミドは、2.4kbのSIRE-1フラグメントのみを含み、そして元々 の構築物の再単離は、困難であることがわかった。2.4kbのcDNAインサートを、 ジデオキシヌクレオチド鎖終結によってSequenase2.0(U.S.Biochemical,Cleve lamd,OH)ならびにプラスミド特異的かつインサート特異的プライマーを用いて 、製造業者の説明書に従って配列決定し、そして長さが2389bpであることを見い 出した(図6;配列番号3;GenBank受託番号U22103)。 cDNAは、ヌクレオチド(nt)236で開始する、連続した617コドンのオープンリ ーディングフレーム(ORF)を含むことを見い出した(図6および8;配列番号 8、9)。第2の87コドンORFはnt2155で開始し、そして短縮化フラグメントの 末端を介して続く(図6および8)。nt236でのATGコドンは、配列において第4 のATGである。実際の翻訳開始部位の上流のATGを有する伸長されたリーダー領域 は、レトロエレメントmRNAの間で未知ではない(VarmusおよびBrown,1989)。S IRE-1 cDNA(配列番号8)において、nt28の最初のATGは、停止コドンがすぐに 続き、そして2つの他の上流のATG各々での開始は、ジペプチドのみを産生し得 る。40Sリボソームサブユニットが再開始し得、そして非常に短い上流のORFを越 えて走査を再開することが示唆されている(Kozak,1991)。nt236のATGは、nt2 42の別のインフレームATGが近くに続く。後者は、実際には、前者より翻訳開始 についてのより代表pん的文脈において存在する(Heideckerら、1986)。 SIRE-1のORF1(図6、8、および9;配列番号9)は、レトロウイルスとレト ロトランスポゾンポリタンパク質との間に特徴的に高度に保存される3つの領域 を含む(KatzおよびJentoft,1989;VarmusおよびBrown,1989)。最初の2つは 、gagによってコードされるレトロウイルスおよびレトロトランスポゾンヌクレ オキャプシド(NC)タンパク質に見い出される、CX2CX4HX4C(ここで、Cはシス テインを示し、Hはヒスチジンを示し、そしてXは任意のアミノ酸を表す)核酸結 合モチーフ(すなわち、CCHCボックス)であり、そして3番目は、レトロエレメ ントポリタンパク質を切断するprotコードアスパラギン酸プロテアーゼに特徴的 な、触媒ドメイン(LDSG:リジン-アスパラギン酸-セリン-グリシン)である。 数個の特徴づけられたレトロエレメントにおいて、gag領域におけるCCHCボッ クスは反復する。SIRE-1におけるCCHCボックスの反復性は、他のレトロエレメン トにおけるような数個のコドンのみによるのとは異なり、ボックスが189コドン で分離される点で独特である(図8)。NCタンパク質は、一般的に、100アミノ 酸長未満であるので、SIRE-1ボックスが2つの異なるタンパク質において発現さ れることは可能である。 両方のSIRE-1 CCHCボックスは、高度に塩基性の領域、特にボックス間の領域 に隣接する:下流のボックスの前の9アミノ酸のうちの7つは、リジンまたはア ルギニンである。これは、レトロエレメントNCタンパク質の特徴であり、これは 、高度に塩基性であり、そして極性アミノ酸によって支配される。SIRE-1 NCタ ン パク質の境界は未だ定義されていないが、CCHCボックスは、カルボキシ末端付近 に一般的に見い出されている。推定NCタンパク質は、およそ260〜525アミノ酸を 含む。この領域は、高度に塩基性(23%)および非常に極性(62%)である。SI RE-1プロテアーゼペプチド配列と他のレトロエレメントのものとの配列比較は、 copia/Ty1ファミリーにおいてSIRE-1を固く配置する(図9および10)。 レトロエレメント(-)鎖複製は、通常、宿主tRNA、しばしば、開始tRNAによ ってプライミングされる。大豆tRNAmet-1の3'末端に相補的な22ntプライマー結 合部位(PBS)は、ヌクレオチド180〜201の間のSIRE-1 ORFの上流に位置する( 図11;配列番号6)。レトロエレメントPBSは、一般的に、5'-LTRに隣接して位 置する(Boeke,1989)。2つの塩基は、SIRE-1 PBSの5'末端を、ジヌクレオチ ドCA(ほぼすべてのLTRの3'末端で見い出される)から分離する。ゲノムクロー ンから下流のLTRの配列(実施例2を参照のこと)は、このジヌクレオチドがLTR の末端を特徴づけることを確認する。推定SIRE-1 LTRは、ポテトレトロトランス ポゾンTst1の5'LTRの末端17ntに対する有意な相同性を示す(図12;配列番号7 )。 SIRE-1の異常な特徴は、nt2096と2299との間の、95bpのわずかにタンデムな、 直接反復の存在である(図6;配列番号3)。反復は、3bpで分離される。上流 メンバーは、下流メンバーに非存在である11bp挿入物を有する。その他の点では 、配列は95%同一である。5%の相違は、複製がクローニングプロセスの間に作 製されたことを、非常に見込みのないようにする。 2.4kbのcDNA配列を、Gm776の対応する領域に整列し、そして増幅したフラグメ ントが2.4kbのフラグメントのgag領域内に完全に位置すること、および2つの配 列が2%のみ異なることを見い出した(図22)。13bpの相違のうち7つは、同じ アミノ酸を保持する。残りの6つのうち3つは、ひとつの非極性アミノ酸に代わ って別のもの(フェニルアラニンに代わってイソロイシン、バリンに代わってイ ソロイシン、およびメチオニンに代わってロイシン)への置換を生じ、そして2 つは、イソロイシンによるスレオニンの置換である。最後の置換は、Gm776にお いて停止コドンを生成する。アミノ酸変化の間で、スレオニンからイソロイシン のみが、保存的置換であると考えられていない。サイレント置換および保存置換 の優勢は、差異が、2つのSIRE-1ファミリーメンバーの間のわずかに分岐した進 化関係を反映することを、強力に示唆する。 実施例2 SIRE-1ゲノムクローンの単離および特徴付け オリゴヌクレオチドプライマー(図5B;配列番号15〜24)をPCRにおいて利用 して、gagおよびpol領域から、ならびに2.4kbのcDNAクローンの隣接LTRの部分か らフラグメントを増幅した。これらの増幅したフラグメントおよび合成オリゴヌ クレオチド(図5)を使用して、gagおよびLTR特異的放射性標識化プローブを作 製した。λFIXIIダイズゲノムライブラリー(Stratagene,La Jolla CA)を、放 射性標識化SIRE-1 gagプローブでプローブし、そしてポジティブなハイブリダイ ズプラークを、限界希釈スクリーニング(Sambrookら、1989)によって精製した 。DNAを、液体培養から回収したファージから調製した(BurmeisterおよびLehra ch,1996)。 推定SIRE-1ゲノムクローンを含むファージDNAを、制限エンドヌクレアーゼNot Iで消化して、ファージからDNAインサートを放出させた。それにより得られる最 大のDNAインサートを、XbaIで消化して、そして消化したDNAのサザンブロットを 、末端標識化LTR特異的オリゴヌクレオチドでプローブして、2つのLTRを有する クローンを同定した。1つのクローンの分析により、2つのハイブリダイズする バンドを得た。これは、このクローンが2つのLTRを含み、そしてSIRE-1の全長 のインタクトなコピーの有望な供給源であることを示した。全長SIRE-1ゲノムク ローンを含む精製ファージDNAを、ブタペスト条約の要件に従って、アメリカン タイプカルチャーコレクション(12301 Parklawn Drive,Rockville MD 20852、 1997年8月12日)に寄託した(ATCC受託番号209200)。 ファージDNAのXbaIでの制限エンドヌクレアーゼ消化により、8.5、6.5、およ び4.2kbの3つのフラグメントを得た。電気泳動的に分離したフラグメントの、 放射活性標識化2.4kb SIRE-1 cDNAプローブとのサザンハイブリダイゼーション は、SIRE-1 2.4kb cDNA配列が12.5kbおよび4.2kb XbaIフラグメントと交差して 広がっていることを示した。 フラグメントを、自動DNA配列決定のために、pSPORT-1プラスミド(Life Tech nologies,Gaithersburg MD)に各々サブクローン化した。これらのサブクロー ンのいくつかは不安定であるが、LTRプローブにハイブリダイズした4.2kbのXbaI フラグメントを有するが、gagプローブを有さないものは、再編成の証拠を示さ なかった。この4.2kbクローンの両方の鎖を、ABI Prism 377 DNA配列決定機で、 図19に列挙したpUCユニバーサルプライマーおよびオリゴヌクレオチドプライマ ー(配列番号:25〜38)を用いて配列決定した。この配列(図13、;配列番号8 )は、GenBankアクセス番号U96295として入手可能である。 4.2kbのXbaIフラグメントは、ゲノムクローンの3'末端を包含し、そして538bp のおそらく単一コピーの隣接DNAを伴う遠位の3.7kbのSIRE-1含む(図14)。SIRE -1ゲノム配列の分析および推定翻訳は、2つのORF1の存在を示した(図14)。第 1に、ORF1(図15;配列番号11)は、ヌクレオチド(nt)1〜nt191から伸長し、 そして明らかにレトロエレメントリボヌクレアーゼH(RH)コード配列の3'末端 である。SIRE-1 RHコード領域の3'末端は、copiaからのRNaseHのカルボキシ末端 との有意なアミノ酸配列相同性(すなわち、53%同一性および87%類似性)を示 す(図17)。すべてのcopia/Ty1様レトロトランスポゾンにおいて、RHコード配 列はpol遺伝子の3'末端であり、そしてポリプリン付加物(PPT)および3'LTRに 密接に続く。しかし、SIRE-1におけるpolのRHコード領域は、レトロウイルスenv に対応する領域における長いORFに続く(以下を参照のこと)。 このフラグメント内の第2のORF(すなわち、ORF2)は、nt219からnt1958へと 広がる。推定翻訳産物は、ORF2が、動物レトロウイルスに特徴的な全長エンベロ ープ(env)様糖タンパク質をコードすることを示唆する(図15および16;配列 番号10)。レトロウイルスエンベロープタンパク質は、スプライシング転写物か ら合成され、ここで開始コドンは、gag領域(SIRE-1について2.4kbのcDNAクロー ンに見出される)によって供給される(実施例1;配列番号3)。SIRE-1 env配 列のアミノ末端の1/3は、プロリン、セリン、およびスレオニンコドンが豊富 であり、後の2/3は、おそらく0-グリコシル化部位として役立つ。N-グリコシ ル化部位として役立ち得る少数のアスパラギンもまた、この領域に存在する。 ORF2の推定アミノ酸配列は、公知のenvタンパク質との有意なアミノ酸相同性 を示さないが、その推定二次構造は、動物レトロウイルスenvタンパク質の典型 である。他のレトロウイルスタンパク質との高度なアミノ酸相同性を見出すこと ができないことは、驚くことではない。なぜなら、SIRE-1および動物レトロウイ ルスは以前にそれも、envコード領域を獲得した前に分岐したようであるからで ある。 代表的なレトロウイルスenvタンパク質は、アミノ末端付近にシグナルペプチ ドを有する。SIRE-1 env配列のコドン22〜43で、疎水性シグナルペプチドが存在 するようである(図16;配列番号10)。レトロウイルスエンベロープタンパク質 のカルボキシ末端付近で、疎水性ドメインは、膜における分子をアンカーするの に役立ち、その結果、このタンパク質は、細胞の外側のN-末端および細胞質内の C-末端で配向する。SIRE-1 env配列のコドン511〜531(配列番号10)は、この機 能を提供し得る疎水性領域を構成する(図16)。これらの割当および適切な膜配 向は、膜貫通予測コンピュータープログラムTMpredictでの分析によって強力に 支持される(HofmanおよびStofel,1993)(以下を参照のこと)。 ORF2は、647コドン長であり(配列番号10)、そして由来する未改変の理論上 のタンパク質は、70kDの分子量を有する。そのpolのすぐ下流の位置にも関わら ず、転写されたenvアミノ酸配列は、任意の報告されたレトロウイルスenvタンパ ク質に対する有意な配列同一性を示さない。この結果は、全体的に予測されない 。なぜなら、公知のenv配列は、極めて異種である集団を構成するからであり、 そして対の点での比較は、しばしば、有意な配列一致を実証するのに失敗する( Doolitteら、1989;McClure、1991)。あるいは、ORF2は、形質導入される細胞 配列であり得る。例えば、トウモロコシ由来のBst1(それ自身のRTを欠く低コピ ー数LTRレトロトランスポゾン(Jonesら、1989;JinおよびBennetzen、1989)) は、トウモロコシ原形質膜H-ATPaseに由来するドメインをコードする(Bureauら 、1994;Palmgren,1994)。 レトロウイルスenv遺伝子は、宿主プロテアーゼによって、それぞれ、表面(S U)および膜貫通(TM)ペプチドに切断されるポリペプチドをコードする。これ は、続いてジスルフィド結合を介して再結合される(HunterおよびSwanstorm,19 90)。これらのタンパク質の一次配列は多様であり得るが、すべてのレトロウイ ルスenvタンパク質はグリコシル化され、そして疎水性ドメインを保存した3つの 機能を占有する:SUのアミノ末端付近のシグナルペプチド、TMのアミノ末端付近 の膜融合ペプチド、および遠位アンカーペプチド(HunterおよびSwanstorm,1990 )。 レトロウイルスenv糖タンパク質は、Asn-Xaa-Ser/Thrモチーフ(Hunterおよび Swanstorm,1990)で、4〜30のN-グリコシル化アスパラギンを含み、TMより一般 的に重度にグリコシル化されたSUを有する。SIRE-1由来のORF2の概念上の翻訳産 物は、この文脈において、2つのAsnのみを有する。しかし、レトロエレメントe nvタンパク質はまた、SerおよびThr残基でO-グリコシル化されていることが公知 である(Pinterおよび有onnen,1988)。O-グリコシル化は、上昇した頻度のpro を有するヒドロキシアミノ酸のクラスターと相関関係にある(Wilsonら、1991) 。理論的なSIRE-1タンパク質のアミノ半分(SUに対応する)は、このパターンに 一致し、そしてタンパク質のカルボキシル半分における多くのヒドロキシアミノ は、Proに隣接する。アミノ酸60〜127(配列番号10)を包含する、広がるプロリ ンリッチ領域のアミノ酸組成は、ネコ白血病ウイルス(FeLV)由来のSUの60アミ ノ酸プロリンリッチ中和化(PRN)ドメインに類似する(Fontenotら、1994)。P roは、両方において18%を組成し、そしてヒドロキシアミノ酸は、FeLV PRNにお いて20%、そしてSIRE-1において22%である。Glnは、FeLVにおいて9%であり 、そしてSIRE-1において10%である。そして、FeLVのPRNは、芳香族アミノ酸を 含まないが、比較可能なSIRE-1領域は1つのみ含む。SIRE-1において、この領域 および向こうの(Xaa-Pro-Yaa) n または(Xaa-Pro) n におけるPro残基の多くの 空間は、真核生物および原核生物の両方に由来の多くの構造膜タンパク質の特徴 である(Williamson,1994)。 推定envタンパク質配列を、疎水性の膜架橋ヘリックスの存在についてTMpredi ctを用いて評価した(HofmannおよびStoffel,1993)。プログラムは、高度な信 頼値を有する2つの可能性のある膜貫通領域および有意な限界をいくらか下回る 第3の領域報告をした(図23)。第1の推定ヘリックスは、代表的なシグナルペ プチド位置の、アミノ酸22〜43(配列番号10)を包含する。第2の推定膜貫通へ リックスは、アミン酸510からアミノ酸530に広がり、そしてレトロウイルスアン カーペプチドの一般的な位置に対応する。統計学的には問題の有意性にもかかわ らず、第3の推定膜貫通ヘリックス(アミノ酸465〜485)は、ウイルス膜融合ペ プチドのものに対応し得る位置にある。 2つのレトロウイルスenvペプチドのみが、X線結晶学によって構造的に特徴づ けられているが(Chanら、1997;Fassら、1996)、いくつかのenv SUおよびTM配 列は、構造推定計算プログラムによって分析されている(HunterおよびSwanstro m、1990;Gallaherら、1995;Gallaherら、1989)。コンピュータープログラムN Npredict(Knellerら、1990)を用いたORF2配列の分析は、代表的にはenvタンパ ク質に見出される、長いαヘリックスおよびβシートの領域(図20)の存在を示 唆する。いくつかのほかのプログラム(DeleageおよびRoux、1987;Georjonおよ びDeleage、1995;GeorjonおよびDeleage、1994;Gibratら、1987;Levinら、19 86)を用いるORF2の評価により、他のレトロウイルスenvタンパク質の対応する 領域のもの(Hunter及びSwanstorm、1990;Gallaherら、1995;Gallaherら、198 9)に類似の複数のαヘリックスの予測を得た。 ORF2(配列番号10)もまた、コロイドコイルの可能な存在について評価した( lupasら、1991)。アミノ酸580〜611は、非常に高度な確信とともにコロイドコ イルを形成すると推測された(図23)。配列は、いくつかのウイルス融合ペプチ ドにおいて同定された7価の反復配列によく接着する(Chambersら、1990)。HI VおよびMoloneyマウス白血病ウイルスのTMドメインにおける推定コロイドコイル は、X線結晶学によって、最近確認されている(Chanら、1997;Fassら、1996) 。 レトロウイルスenvタンパク質は、スプライシング転写物から産生される(Var musおよびBrown,1989;HunterおよびSwanstrom,1990)。いくつかの鳥類レト ロウイルスの場合において、スプライシングは、envコード領域の5'末端を有す るgag開始コドンのインフレーム融合を導き(HunterおよびSwanstrom,1990)、 envにおける開始AUGの必要性を取り除く。SIRE-1転写物における類似のスプライ スは、同じ目的に役立つが、スプライスドナーまたはアクセプターのコンセンサ ス配列は、予測した領域に存在しない。envタンパク質のSUおよびTMへの切断は 、一般的に、コンセンサス配列Arg-Xaa-Lys-Argを含む保存された部位を生じる (HunterおよびSwanstrom,1990)。この配列は、推定SIRE-1 envに現れないが 、こ のような切断部位に類似のいくつかの塩基性テトラペプチド候補物が存在する( 図23)。残基439〜442でのLys-Lys-Gly-Lysは、アミノ末端付近で融合ペプチド を有する22.3kDのTMタンパク質を作製する。対応するSUは、48.7kDであった。 推定env遺伝子がライブラリーまたはクローニング人工産物ではなかったこと 、およびそのほとんどが、全てではないとしても、SIRE-1のゲノムコピーを、ク ローンと同様な方法で編成されることを確認するためにSIRE-1ゲノムDNAを、い くつかの制限酵素で消化し、そしてサザンブロットを、envおよびgagサブクロー ン領域由来の配列でプローブした。ゲノムDNAに対する、envプローブのハイブリ ダイゼーションの強度(データは示さず)は、中程度の高コピー数のSIRE-1を樹 立するのに以前に使用されていたgagプローブについてのものと類似であった(L atenおよびMorris,1993)。さらに、gagおよびenvプローブは、同じ10.5kbのHp aIフラグメントにハイブリダイズした(データは示さず)。可能性の域を出ない が、このenv様ORFは、おそらく、形質導入宿主遺伝子ではない。SIRE-1の全てで はないとしてもそのほとんどの数百コピーにおけるこのORFの存在は、この遺伝 子が、レトロエレメントゲノムの必須の部分であることを示唆する。 オルタナティブスプライシングは、nt1834から2166に広がるさらなるORFを生 じ得、それにより110アミノ酸のペプチドをコードする。類似の部位でのレトロ ウイルス転写物のこのようなオルタナティブスプライシングは、トランス活性化 因子の産物を導くことが示されており、これは、本発明による遺伝子発現を調節 するのに有用であり得る。 LTRを同定するために、4.2kbのXbaIフラグメントからのDNA配列(配列番号8 )を、5'LTRの最後の178bpを含むSIRE-1 cDNAクローン(配列番号3)からのも のとアラインした。配列アラインメントを、Genetics Computer Groupパッケー ジ(Devereuxら、1984)を用いて行った。GCG分析は、ゲノムサブクローンが3'L TRを含み、そしてLTRの3'末端の位置を配列AATTTCA(図3;配列番号8)におけ るnt3686に固定したことを確認した。ここを超えて2つの配列が分岐する。LTR 重複の領域は、実際に同一(98%配列同一性)であるが、中程度の高コピー数の SIRE-1は、cDNAおよびゲノムクローンが同じエレメントのコピーを表しそうにな いことを示す。 ゲノムLTRの上流には、11〜16ヌクレオチド長の範囲のいくつかのポリプリン 領域が存在する(図13および14)。このような部位は、レトロエレメントプラス 鎖合成の開始起点として役立つことが公知である。さらに、SIRE-1 LTRは、レト ロウイルスプロモーターエレメントおよびポリアデニル化シグナルのためのコン センサス配列に強力に類似する、適切に配置された配列を含む。 SIRE-1配列の3'末端に隣接する隣接DNAの538ヌクレオチド(配列番号8)は、 連続したオープンリーディングフレームを含む(図14)。これは、SIRE-1挿入が 、機能的遺伝子を破壊したことを強力に示唆する。G.max品種は本質的に四倍体 であるので、そのゲノムは、主要な表現型結果を伴わずにいくつかの遺伝子破壊 を適応する。隣接DNAの推定転写産物は、比較的疎水性であり、そしてアスパラ ギンおよびグルタミンコドンにおいて豊富である。しかし、有意な相同性は、公 知の植物タンパク質で見いされていない。 SIRE-1の他のサブクローンを得るために、ゲノムSIRE-1λFIXIIバクテリオフ ァージDNAを、HindIII(これは、λFIXII DNAを消化しない)およびSacI(これ は、マルチクローニング領域においてλFIXII DNAを消化する)で二重消化した 。この消化は、10フラグメントを作製した(図24)。2つの巨大なフラグメント (それぞれ、20kbおよび9kb)は、λファージアームを構築することが公知であ る。他の8フラグメントは、19kbのSIRE-1ゲノム配列を正確に構築した。ゲノム クローンのHindIIIおよびSacIでの別々の消化は、二重消化において産生された2 .1kbおよび1.5kbのフラグメントは、λファージアームに隣接したことを示した (データは示さず)。それゆえ、これらの2つのフラグメントは、各々HindIII およびSacI末端を有するが、他の6フラグメントは、HinIII末端のみを有する。 サザンブロットハイブリダイゼーションを、HindIII/SacI二重消化SIRE-1 DNA で、4.2kbのXbaIフラグメントの、それぞれ、LTR、gag、およびenv領域に由来す るプローブを用いて行った(図25)。これらの実験は、env配列は4.1kbのフラグ メント内にあり(図26);LTR領域は4.3kbおよび2.7kbフラグメント内に含まれ ;そしてgag領域はまた、4.3kbのフラグメント内に含まれる(図27)ことを示し た。 4.1kbのフラグメント(少なくともenv領域の部分を含む)および4.3kbのフラ グメント(少なくともgag領域の部分を含む)を、pSP0RT-1ベクターに各々サブ クロ−ニングし、そして構築物を、DH10B E.coli細胞に別々に形質転換した。組 換えプラスミドを、制限消化およびサザンハイブリダイゼーションによって検出 した。4.1kbのフラグメントを含むベクター構築物を、pEG4.1と命名し(図28) 、そして4.3kbのフラグメントを含むベクター構築物を、pEG4.3と命名した(図2 9)。 pEG4.1構築物を、M13/pUCユニバーサルプライマー(pUC順方向および逆方向; 配列番号12,14)およびSIRE-1特異的プライマー(図30;配列番号39〜49)を用 いて、上記のように配列決定した。それにより得られたヌクレオチド配列(図31 a〜c;配列番号50)の翻訳は、942アミノ酸をコードする長連続オープンリーデ ィングフレームを示した(図32;配列番号51)。4.1kbのHindIIIフラグメントの 3'末端は、4.2kbのXbaIフラグメントの5'末端(上記、env領域を含む)に、約1. 5kb重複した。残存する2.6kbの配列の翻訳は、公知のレトロトランスポゾンのイ ンテグラーゼ、逆転写酵素、およびRNaseH領域に強力な相同性を示す領域を示し た。 pEG4.3に含まれる4.3kbのHindIIIフラグメントを、pUCユニバーサルプライマ ーを用いて部分的に配列決定した(REF;配列番号12、14)。4.3kbのフラグメン トの5'末端領域は、4.2kbのXbaI(env含有)フラグメント(配列番号8)の3'末 端領域内に含まれる推定3'LTRのものに同一の配列を含むことが見いだされた。4 .3kbのXbaIフラグメントの3'末端領域は、公知のレトロトランスポゾンのインテ グラーゼ(int)ドメインのアミノ末端領域に強力な相同性を示す記号配列を含 んだ。 それぞれ、4.3kbのフラグメントの3'末端領域および4.1kbフラグメントの5'末 端領域の隣接ヌクレオチド配列から推定した400アミノ酸残基を包含する領域は 、インテグラーゼ(int)ドメイン(配列番号52)を構成しているようである。 この推定intドメインの推定アミノ酸配列を、BLAST-Pペプチドデータベースに対 して比較した。コピア様レトロトランスポゾンで、有意な相同性が見出され、最 も強力な相同性はトウモロコシ由来のOpie-2エレメントである(これは、3つの 配列ギャップを伴って、アミノ酸レベルで、39.8%の同一性および58.5%の類似 性 を示した)(図33)。推定SIRE-1およびOpie-2エレメントは各々、保存されたHH CC(H-4X-H、C-X2-C)モチーフを含み、これは、レトロトランスポゾンインテグ ラーゼドメインのアミノ末端で通常見いだされる(図33)。SIRE-1およびOpie-2 エレメントはまた、D(10)D(35)Eモチーフ(すなわち、カルボキシ末端方向にお いて、互いの10残基内に2つのアスパラギン酸残基、および対の35残基内に1つ のグルタミン酸残基)を各々含む(図33)。 SIRE-1のインテグラーゼ(int)ドメインと逆転写酵素(RT)ドメインとの間 のブレークポイントを、4.1kbのフラグメント配列と、ブレークポイントが実験 的に決定されているレトロエレメントの配列(Doolittleら、1989;McClure,19 91;SpringerおよびBritten,1993;Taylorら、1994;Rogersら、1995)との比 較によって決定した。逆転写酵素ドメインの推定アミノ酸配列(配列番号53)は 、残基401から残基781まで伸長する。この推定配列を、BLAST-Pペプチド配列デ ータベースに対して比較した。有意な相同性が、推定SIRE-1 RT領域とコピア様 レトロトランスポゾンのRT領域との間で見いだされた(図34)。再び、最も有意 な適合性は、トウモロコシ由来のOpie-2であり、これは、1つの配列gapを伴っ て、アミノ酸レベルで56%の同一性および71%の類似性を示した(図34)。SIRE -1 RTがOpie-2のものと近似の同一性を示すいくつかの領域は、レトロエレメン トの系統学的な関係を研究することにおいて有用であると分かっている配列を包 含する(XiongおよびEickbush,1990)。 SIRE-1の4.1kbのフラグメント配列の逆転写酵素(RT)領域とリボヌクレアー ゼH(RH)領域との間のブレークポイントもまた、公知のレトロエレメントのも のに対する比較によって推定した。SIRE-1のRHドメインは、推定アミノ酸782〜9 82を包含するようである。この推定配列(配列番号54)を、BLAST-Pペプチド配 列データベースに対して比較した。驚くべくことではないが、最も強力な相同性 は、トウモロコシOpie-2のRHエレメントで見いだされ、これは、推定SIRE-1 RH 領域に対して、53.1%の同一性および71.0%の類似性を示した(図35)。SIRE-1 RHドメインもまた、最も公知のレトロトランスポゾンのRHエレメントにおいて見 いだされたDEDDモチーフを含む(図35)。 これらのデータは、SIRE-1が、ゲノム構造がコピア/Ty1-様組織に基づく、レ トロウイルスファミリーであることを確認する。全ての動物レトロウイルスのゲ ノム組織(脊椎動物およびDrosophilaから)は、gypsy/Ty3-様レトロトランスポ ゾンに従って作成される。レトロウイルスゲノムおよびビリオンのいずれも植物 において報告されていないが、両クラスのレトロトランスポゾンは、蔓延してい る。植物において、ウイルスの蔓延は、細胞間移動によって媒介される(Musheg ianおよびKoonin,1993)。しかし、非常にわずかな植物ウイルスゲノムは、env 遺伝子をコードする。そのようなもの−−ラブドウイルスおよびbunyavirus(Ma tthews,1991)−−もまた、envタンパク質がウイルス宿主細胞膜融合を媒介す る動物宿主を感染する。植物細胞壁は、ウイルス移入のこの様式を除外し得、そ してこれらのウイルスのenvタンパク質がそれらの植物宿主の任意の機能を供す るかどうかは知られていない。従って、SIRE-1におけるenv遺伝子の存在は、SIR E-1が、本来、感染性無脊椎動物レトロウイルスであり得ることを示唆する。 全体の制限部位相同性、SIRE-1内および隣接する長連続ORFの存在、および5' および3'SIRE-1 LTRの近似の同一性は、SIRE-1が進化の異物ではなく、そして感 染性レトロウイルスおよび/または細胞内レトロトランスポゾンとして機能する ように改変され得ることを示唆する。 ゲノムクローンを、SIRE-1ゲノムプローブとして使用し得る。プローブを、大 豆DNAの完全および部分的消化物のサザンブロットにハイブリダイズして、コン センサス制限地図を生成し得る(Sambrookら、1989)。さらに、さらなるクロー ンおよびゲノムDNAコンセンサスの制限地図を、SIRE-1異種性をより完全に評価 するために比較し得る。次いで、クローン集団の多形配列を使用して、他の植物 および動物エレメントに対する発現関連特徴および系統学的な関係を決定し得る 。 env、gag、およびpolヌクレオチド配列を使用して、これらの領域の転写を検 出するためのオリゴヌクレオチドまたはcDNAプローブを生成し得(Navotら、198 9)、そしてSIRE-1タンパク質に対して生成された抗体を使用して、種々の植物 組織におけるレトロウイルスタンパク質発現の存在を検出し得る(HsuおよびLaw son,1991)。さらに、逆転写酵素(RT)プローブおよびインテグラーゼ(int) プローブを、制限消化またはPCRによって作出し得、そして前例のない長さのSIR E-1の機能的優位性を評価するために使用し得る。 実施例3 SIRE-1転写活性のノーザンハイブリダイゼーション分析 SIRE-1ポリヌクレオチドの遺伝子操作のための道具としての使用は、それから の配列の発現を要求し得る。それゆえ、SIRE-1由来DNAで感染または形質導入さ れた植物または植物細胞培養物が、上昇または抑制された転写活性を示す生育条 件を決定することが所望され得る。ウイルスの転写活性は、その宿主が環境スト レスを受ける間に増強される、多くの例が存在する。それゆえ、実験は、SIRE-1 の発現の調節に至適な生育条件(またはストレスの条件)を決定するために行わ れ得る。 大豆のような植物におけるSIRE-1特異的転写物の存在は、ノーザンハイブリダ イゼーションによって評価され得る(Sambrookら、1989)。例えば、いくつかの G.max品種(Asgrow Mutable系統、不安定な大豆隔離植物(isolate)(Grooseおよ びPalmer,1987;Grooseら、1983)およびGlycine soja株(ある範囲の起源から )を含む)を、Urbana(Illinols)のU.S.Regional Soybean Laboratoryから入手 した種から生育し得る。 植物を、生育チャンバーまたは温室において、至適または有害な(ストレス) 条件下で生育し得、次いで、有害な条件に供された植物におけるSIRE-1の転写活 性を正常な条件下で生育させた植物におけるものと比較し得る。 多くの潜在的に有害な生育条件は、当該分野で周知である。例えば、実生をバ ーミキュライト中で生育し得、そして15℃〜40℃の範囲の温度に供し得る。植物 もまた、2%までの範囲のNaCl溶液を適用することによって塩ストレスに供し得 るか、またはPEG8000を含む溶液を添加することによって浸透圧ストレスに供し 得る。これらの各々またはいくつかの条件下で生育する植物を、種々の時間で採 取して、有害な条件のSIRE-1の転写活性との時間的な関係を評価し得る。ウイル ス感染の衝撃を評価するために、葉組織を、大豆モザイクウイルスのようなウイ ルスで接種し得、そして感染の2、5、10、および20日後で採取し得る(Mansky ら、1991)。 さらに、SIRE-1の転写活性を、植物組織培養において評価し得る。組織培養は 、 記載のような選択された品種由来の根、子葉、または葉から開始され得る(Ambe rgerら、1992;Rothら、1989;Shoemakerら、1991)。次いで、組織をカイネチ ン、カゼイン加水分解物、および1〜20μMの範囲の2,4-Dの濃度を補充したGam borgのB5培地を含むペトリ皿に移し得る。カルスの形成後、懸濁培養を液体培地 で開始し、そして維持した(Rothら、1989)。次いで、これらの培養を、上記の ような有害な生育条件に暴露し得る。 全RNAを、種子、子葉、葉、根、茎頂、または培養細胞から、RNeasyTM(Qiage n,Chatsworth,CA)のような市販のキットを用いて単離し得る。必要であれば 、ポリアデニル化RNAを、PolyATtractTMmRNA単離システム(Promega,Madison, WI)を用いて、全RNAから単離し得る。次いで、単離したRNAを、スロットブロッ ト装置を用いて、ナイロン膜(Gene Screen PlusTM,New England Nuclear,Bos ton,MA)に適用し得、変性し得、そしてSIRE-1のgagまたはpol領域に対応する 、末端標識化オリゴマーまたは放射性標識化cDNAでプローブし得る(Sambrookら 、1989)。ポジティブシグナルを生じるRNAサンプルを、1%アガロース-ホルム アルデヒドゲル上に分画し得、ナイロン膜にブロットし得、そして上記のように プローブし得る。G.maxにおけるSIRE-1 RNA転写物の予備研究(上記のスロット ブロット手順を用いる)は、葉組織において、高レベルのgag転写物の存在を示 した。 レトロエレメントは、一般的に、ほぼ全体のエレメントを横切る転写物をコー ドするポリタンパク質を産生するので、機能的SIRE-1転写物は、10kb長を越え得 る。これは、アガロース-ホルムアルデヒドゲル分離の適用性を制限し得た。あ るいは、単離したRNAを、SIRE-1転写物の存在について、当該分野で周知のリボ ヌクレアーゼ(RNase)保護アッセイによって分析し得る。例えば、上記の条件 において生育した植物から単離したRNAは、溶液においてSIRE-1由来の放射性標 識化RNAプローブにハイブリダイズし得、次いでいくつかの入手可能なRNaseの1 つ以上に暴露し得る。プローブおよび標的RNAによって形成された二本鎖ハイブ リッドを、RNase消化から保護する。保護化RNAを、変性ポリアクリルアミドゲル 上に分画し得、ナイロン膜にブロットし得、そしてオートラジオグラフィーによ って視覚化し得る。 実施例4 レトロエレメントタンパク質の ウエスタンハイブリダイゼーション分析による検出 SIRE-1特異的転写物を含む植物組織サンプルを、SIRE-1特異的タンパク質の存 在について、またはSIRE-1由来ベクターに挿入される異種遺伝子によって発現さ れるタンパク質について分析し得る。これらの組織から回収したタンパク質をナ イロン膜にスポットし得、そしてヌクレオキャプシド、プロテアーゼ、およびRT ポリペプチドの存在について、ウエスタンハイブリダイゼーションによってアッ セイし得る(Sambrookら、1989)。 これらのハイブリダイゼーションにおいて検出されるSIRE-1タンパク質(また はSIRE-1および異種ペプチド配列を含む融合構築物)に対するポリクローナル抗 血清を、当該分野で周知の方法を用いて入手し得る。例えば、オリゴペプチドを 消化し、そしてcDNAおよびゲノムクローンからの配列情報を用いて合成し得る。 合成オリゴペプチドを、例えばグルタルアルデヒドを用いてキャリアタンパク質 に結合し得、そしてこれらに対する抗体を、当該分野で周知である(Harlowおよ びLane,1988)ように、ウサギにおいて惹起しそしてアフィニティ精製した。 あるいは、ポリクローナル抗血清を、適切なSIRE-1 DNAフラグメント(または 異種タンパク質をコードするDNA)を、pPROEX-1(Life Technologies,Gaithers burg,MD)のようなタンパク質発現ベクターに挿入し、そして製造業者の説明書 に従って融合タンパク質を単離することによって産生される融合タンパク質に対 して惹起し得る。 SIRE-1タンパク質または融合タンパク質に対するモノクローナル抗体調製物も また、当該分野で周知の方法に従って、このようなタンパク質で免役した、マウ スの肺臓細胞または胸腺細胞に由来するハイブリドーマ細胞から単離し得る(Ha rlowおよびLane,1988)。 実施例5 SIRE-1転写物のインビトロでの転写および翻訳 抗体の産生における使用またはキャプシド再構築研究のために、インビトロで SIRE-1ポリペプチドを産生すること、およびレトロウイルスポリヌクレオチドの インビトロでのパッケージングのための試薬を提供することが望ましくあり得る 。細胞を含まない環境におけるSIRE-1ポリペプチドの産生を、SIRE-1 mRNA転写 物からcDNAを作製すること、これらのcDNAをプラスミドに挿入すること、プラス ミドを増殖させること、およびこのようなプラスミドを、当該分野で周知である インビトロでの転写/翻訳反応に利用することによって達成し得る。cDNAを、大 豆の全RNAまたはポリA選択RNAから単離した全長SIRE-1転写物から回収し得る。 このようなcDNAを、長い転写物について最適化された試薬および反応を用いて産 生し得る(Nathanら、1995)。全大豆RNAまたはポリA選択大豆RNAを、SuperScri pt IITM逆転写酵素(Life Technologies,Gaithersburg,MD)で、オリゴ(dT) プライマーを用いて逆転写し得る。RNaseHを添加し得、そして一本鎖cDNAを、LA Taq DNAポリメラーゼ(Oncor)を用いて、SIRE-1 gagおよび/またはenvc DNA 配列の近位末端に由来するオリゴ(dT)および5'プライマーで増幅した。各PCR プライマーの5'末端は、続くベクター連結のために、増強された転写および/ま たは翻訳を容易にする適切な配向および配列中に、制限酵素認識配列を含み得る 。 増幅したcDNAは、最初に、アガロースゲル電気泳動およびサザンハイブリダイ ゼーションによって、gag、pol、およびenv特異的cDNAまたはオリゴヌクレオチ ドプローブを用いて特徴付けされ得る。増幅したDNAを、pSPORT-1(Life Techno logies,Gaithersburg,MD)、巨大なインサートを有するように設計されたベク ター、およびコンピテントなE.coli DH5α細胞(Life Technologies,Gaithersb urg,MD)を形質転換するために使用される組換えプラスミドに連結し得る。プ ラスミドDNAを形質転換体から回収し得、上記の制限マッピングおよびサザンハ イブリダイゼーションによって評価し得る。いくつかのcDNAの選択した領域を、 ゲノムSIRE-1クローンから得られた配列に基づくプライマーで配列決定し得た。 cDNA生存度を評価し得、タバコにおけるTnt1転写物で観察されたもの(これは、 準種的コレクション(quasispecies)を構築する)と定量的に比較した(Casacu bertaら、1995)。転写開始部位(単数または複数)を、プライマー伸張および /またはS1ヌクレアーゼ消化によって評価し得る(Sambrookら、1989)。 あるいは、一連の平行実験を行い、翻訳可能なmRNAを作製し得る。SIRE-1特異 的cDNAを、5'PCRプライマーが、gagおよびpolコード領域の開始に由来し得るこ とを除いて、上記のように作製し得る。cDNA配列は、単一のgag-pol ORFは、SIR E-1において存在し得ず、そして下流のpol領域の翻訳は、停止コドンおよび/ま たはフレームシフトのリードスルーを要求することを示唆する。おそらく、イン ビトロでの翻訳系におけるリボソームは、インビボでの翻訳を評価し得ない。po l領域の発現について、cDNAを、pol ORFの近位末端に由来する5'プライマーを用 いて増幅し得る。 SIRE-1 cDNAを含むプラスミドDNAを回収し得、そして共役インビトロ転写-翻 訳アッセイを、網状赤血球溶解物系(Promega,Madison,WI)を用いて行い得る (SwitzerおよびHeneine,1995)。転写産物を、上記のように、SDS-PAGEおよび ウエスタンハイブリダイゼーションによって分析し得る。 共役インビトロ転写および翻訳の代替として、SIRE-1 cDNAを、タンパク質発 現ベクターpPROEX-1(Life Technologies,Gaithersburg,MD)にクローン化し 得、そして、融合タンパク質をE.coliで発現し、そして製造業者によって記載さ れるように回収した。上記の反応に用いられるSIRE-1 cDNAは、全長SIRE-1 gag 、pol、またはenvタンパク質のアナログ、ホモログ、またはフラグメントをコー ドするものを含み得る。これらのタンパク質は、本明細書中に開示されるSIRE-1 ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質と同一ではないが、それにも かかわらず、それらがSIRE-1タンパク質の少なくとも1つの生物学的特徴を保持 する場合、有用であり得る。このようなタンパク質を、上記の抗体作製のため、 または続くタンパク質コンホメーションの研究のために使用し得る。 実施例6 植物細胞の非複製生形質導入における使用のためのSIRE-1の改変 SIRE-1は、豆科植物(例えば、大豆、一般的な豆、およびアルファルファ)、 穀類(例えば、コメ、小麦、および大麦)、および他の農業経済的に重要な作物 (例えば、果樹、針葉樹、および広葉樹)におけるレトロウイルスベクターとし ての使用に適合され得る。DNA配列の植物細胞への導入のための植物レトロウイ ルスの使用は、以前に公知の方法に対していくつかの利点を示す。第1に、他の 植物ウイルスベクターとは異なり(JoshiおよびJoshi,1991;Potrykus,1991) 、SIRE-1プロレトロウイルスを宿主ゲノムに組み込み得、そして安定な形質転換 体を作製し得る(Crystal,1995;Miller,1992;Smith,1995)。 第2に、他のベクターが、核酸を植物ゲノムに導入するために使用されている が、これらは深刻な制限を有する。例えば、Tiプラスミドに基づくベクターは、 組み込み形質転換を導くが、それらの細菌宿主(Agrobacterium tumefaciens) は、多くの豆科植物またはほとんどの穀類を含まない制限された宿主範囲を有す る(Christou,1995;Potrykus,1991)。 最後に、物理的形質転換法(すなわち、微粒子銃投射またはマイクロインジェ クション)は、DNA構築物を所望の細胞に導入することにおいて、ウイルス感染 よりもはるかに効果的でない。これらの物理的方法はまた、一般的に、体細胞胚 形成による成体植物の再生を要求する(Chistou,1995;Portrkus,1991)。 全長SIRE-1プロレトロウイルスDNAおよびそれに由来するベクターは、任意の 前述の方法を用いて、植物宿主細胞への形質導入および宿主ゲノムへの組み込み をもたらすことが可能である。しかし、組み込みの領域を制限するためにSIRE-1 ベクターを改変すること、続く転移事象を制限すること、DNA配列を添加して、 ベクターとゲノムの標的領域との間の相同組換えを促進すること、および潜在的 に病原体の因子の感染性繁殖に対して補償することが望ましくあり得る。 SIRE-1を、宿主細胞を感染し得るが感染周期を完了しない組換えウイルスベク ターを作製するために脊椎動物レトロウイルスに使用されるものに類似の様式で 改変し得る。脊椎動物レトロウイルスベクターのために、これは、宿主細胞に形 質導入されるベクターからのトランス作用性エレメント(すなわち、gag、pol、 およびenv)を欠失または無効にする一方、インタクトなシス作用性エレメント (すなわち、LTRおよびパッケージングシグナル)を残すことによって達成され る。この後、改変したベクターをレトロウイルスパッケージング細胞株または組 織培養物へ形質導入し(Miller,1992;Smith,1995)、必要なトランス作用性 エレメントを付与し得る。 従って、本発明は、トランス活性因子(例えば、gag、pol、およびenv)、LTR 、 、またはパッケージングシグナルをコードする配列は、単一または組合せのいず れかで変異または欠失されているSIRE-1構築物を意図する。変異は、当該分野で 周知のような、PCR媒介部位特異的またはカセット変異誘発技術を用いて容易に 達成され得る。 トランス因子コード配列を、SIRE-1ウイルスDNAの適切な制限酵素での消化に よって欠失し得る。当業者は、適切なトランス因子DNAセグメントを除去し得る がインタクトな必須のシスエレメント配列は残す、SIRE-1 DNAにおける適切な制 限酵素認識部位を容易に決定し得る。1つのアプローチは、SIRE-1 DNAを、ORF2 領域(図14)の5'および3'境界またはその付近に位置する部位で切断する制限酵 素で切断することであり、その結果、envコード領域の全体または部分は、ベク ターから除去され得る。 制限消化の後に、シス因子配列を含む消化したベクターDNAフラグメントが回 復および精製され得、その後消化した末端が再連結される(Sambrookら、1989) 。あるいは、適切な二本鎖DNAリンカーを、消化したベクターDNAの末端に、適切 なリーディングフレームを維持または作製するために連結し得る。別の可能性と して、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限酵素認識部位を含むリンカー配列を、 消化したベクターDNAの末端に連結し得、次いで、異種遺伝子配列の続く挿入を 容易にするために、これらの末端を再連結する。 パッケージング細胞または組織培養物の改変したSIRE-1ベクターでの感染は、 細胞内輸送(例えば、原形質連絡を介する)、宿主細胞貫通、核標的化、および 染色体組み込みを可能にし得るが、さらなる転移は不可能である機能的ビリオン 粒子における非複製性組換えベクターの回復および使用を可能にし得る。レポー ター遺伝子様GUS(β-グルクロニダーゼ、Jeffersonら、1981)またはNpt-II( ネオマイシンホスホリルトランスフェラーゼ、Pridmore,1987)、および他のも の(Croy,1994)もまた、SIRE-1またはそれに由来するベクターに組み込まれ得 、組み込み事象の検出を可能にする。 実施例7 植物レトロウイルスパッケージング細胞の産生 ベクターとして使用するためのプロレトロウイルスの改変は、かなり簡単であ る。本質的に、レトロウイルスベクターは単純であり、5'および3'LTR、パッケ ージング配列、ならびに目的の組換え遺伝子(単数または複数)およびLTRを含 むが異種調節エレメントもまた含み得る適切な調節エレメントからなる転写ユニ ットを含む。しかし、ベクターを増殖するために、失われているトランス因子は 、いわゆるパッケージング細胞株を用いて提供されなければならない。このよう な細胞は、gag、pol、およびenvの組み込まれたコピーを含むが、パッケージン グシグナルを欠如し、その結果、「ヘルパーウイルス」配列は包膜化されないよ うに操作される。さらなる特徴を、ベクターおよびパッケージング細胞株に添加 または除去し得、ベクターをより効率的にするか、または「ヘルパーウイルス」 による汚染の可能性を減少させる。 パッケージング細胞株を、gag、pol、およびenvをコードするヘルパーウイル スプラスミドのトランスフェクションにより、およびタンパク質を発現し、そし てベクターの産生を支持し得る細胞について選択することによって産生する(Mi ller,1990)。ヘルパー配列の複製を回避するために、例えば、パッケージング シグナル領域に欠失を作製し得る。パッケージングベクターと複製ベクターとの 間の組換えを回避にするために、3'LTRは一般的に欠失され、そしてポリアデニ ル化配列で置換される(Doughrtyら、1989)。欠失はまた、5'LTRに組み込まれ 得、複製する能力を減少し、そして異種プロモーターは下流に挿入され得、トラ ンス因子の発現を維持する(Miller,1989)。最後に、ウイルスゲノムは、2つ の転写ユニットに分割され得、1つはgagおよびpolをコードし、そして2つ目は envをコードする(Markowitz,1988)。シス作用性因子を、これらのベクターか ら、複製コンピテントレトロウイルスのパッケージング細胞による産生を防ぐた めに、欠失または改変し得る。 ヘルパーウイルス構築物によってコードされるトランス作用性因子は、SIRE-1 由来の天然の因子、改変SIRE-1因子、または増大したか、もしくは代わりの宿主 範囲、またはより高いウイルス産生の効率もしくは形質導入効率を生じ得る他の プロレトロウイルス由来因子を含み得る(Smith,1995)。従って、本発明は、 パッケージング細胞を作製することにおける使用のための、SIRE-1由来のトラン ス作用性因子をコードする配列を単一または種々の組合せのいずれかで含むベク ター、およびパッケージング細胞自体を包含する。 標的細胞特異性を操作するために、ヘルパーウイルス/パッケージング細胞株 のenv遺伝子を変更し得る。首尾良いアプローチは、配列をenv遺伝子から除去し 、そして異なる特異性を有するタンパク質をコードする配列でそれらを置換する ことである(Russellら、1993)。例えば、エリスロポエチン配列は、EPOレセプ ターを標的化するために、哺乳動物レトロウイルスに組み込まれている(Kassah araら、1994)。別のアプローチは、一本鎖抗体をenv配列に取り込むことである (Chuら、1994)。最後に、他のウイルス由来の糖タンパク質を、それらのエン ベロープヘ組み込むレトロウイルスの能力は、いわゆる偽型を産生するために利 用されている(Dongら、1992)。偽型レトロウイルスは、糖タンパク質ドナーの 感染性範囲を取得し、そして通常、より安定性でもある。類似のストラテジーは 、SIRE-1レトロウイルスベクターにおいて、他の植物種(例えば、コメまたはト ウモロコシ)由来のタンパク質を認識するかまたはそれにより認識され得る、SI RE-1 env遺伝子リガンド、レセプター、または一本鎖抗体コードフラグメントに 挿入することによって、大豆をこえる宿主範囲を操作するために使用され得る。 実施例8 SIRE-1植物プロレトロウイルスの植物細胞への形質導入 SIRE-1プロレトロウイルスまたはそれに由来するベクターが、このようなDNA で形質導入した細胞のゲノムに取り込まれる場合、SIRE-1ベクターでトランスフ ェクトされた元々の細胞に由来する全ての細胞は、レトロウイルス挿入物を含み 得る。感染は、一般的に、胚性、成長点、または胚種株細胞に対して標的化され 、子孫植物への伝達を可能にする。特定の植物(例えば、G.max)は自己受粉な ので、胚または成長点組織のトランスフェクションは、いくつかのF1子孫におけ る挿入されたDNAのホモ接合性を導き得るが、特定の挿入事象についてホモ接合 性である種子の割合は、経験的に試験される必要があり得る。優勢な変更は、ヘ テロ接合性子孫において顕著である。種々の成体組織(特に、成長点および卵巣 )、または種子、花粉、プロトプラスト、またはカルスのトランスフェクション を、 周知の標準的な接種および/または同時インキュベーション技術によって実施し 得る(Potrykus,1991)。ウイルスもまた、離れた部位に輸送するために師部に 接種し得る。いくつかの場合において、物理的方法(例えば、微粒子統投射、マ イクロインジェクション、またはマクロインジェクション)は、植物細胞または 組織にSIRE-1を形質導入するために必須であり得るか、または好適であり得る( DraperおよびScott,1991;Potrykus,1991)。 実施例9 遺伝子移入ベクターとしてのSIRE-1の使用 SIRE-1を、有用な遺伝子配列(例えば、有用なタンパク質をコードする遺伝子 配列、または所望でない内因性配列に対するアンチセンス転写物を産生するため もしくは隣接する遺伝子の転写を調節し得るゲノム遺伝子調節エレメントに導入 するための遺伝子)を有するように改変し得る。これは、gag、pol、および/ま たはenvタンパク質(上記)をコードするORFの5'および3'境界付近の部位でのベ クターDNAの制限酵素消化、残存するベクターDNAの単離、および消化したベクタ ー末端の間への異種DNAフラグメントを連結あるいは消化したベクター末端の間 へのマルチクローニング部位(Sambrookら、1989)の組換え的に挿入のいずれか により、続く容易な制限酵素消化および消化したベクターと異種DNAとの組換え を可能にすることによって、容易に達成され得る。異種遺伝子配列は、(異種) 宿主細胞特異的プロモーター配列に作動可能に連結され得るか(WaughおよびBro wn 1991)、またはそれらの転写物は、SIRE-1 LTRプロモーター活性によって駆 動され得る。異種遺伝子配列は、その発現が宿主細胞および植物の有用な表現型 変化を生じ得る、任意の種々のポリペプチドをコードし得る。例示の目的で、植 物におけるこれらの異種遺伝子配列の導入および発現は、以下の例示的な表現型 変化の生成を生じる: A.疾患耐性 多くの農業的に重要な作物は、種々の疾患、ウイルス感染、および細菌または 真菌感染に感受性である。これらの条件に対する耐性は、より高い作物収率を生 じ、そして殺菌剤および殺菌性組成物の使用を減少させる。疾患および/または ウイルスもしくは細菌感染に対する耐性を付与する遺伝子の移入は、本発明の目 的である。 多くの植物ゲノム(大豆を含む)が、最近マップされている(Keimら、1996) 。さらに、疾患耐性に関連する遺伝子座が、多くの植物株で同定されている。例 えば、多くの大豆疾患についての耐性マーカーおよび定量的形質座(QTL)は、 制限フラグメント長の多形性(RFLP)、RAPD(ランダムに増幅された多形性DNA )、およびSTS(配列タグ部位)ゲノムマーカーに連結されている。これらは、 細菌性焼き枯れ病、綿毛カビ(downy mildew)(BernardおよびCremeens,1971 )、疫病菌根枯れ(Diersら、1992)、ウドンコ病(LohnesおよびBernard,1992 )、大豆根瘤線虫感染(Luzziら、1994)、鱗配列種子腐敗(phomopsis seeddec ay)、シスト線虫感染(BaltazarおよびMansur 1992;Boutinら、1992;Rao-Are lliら、1992;Young1996)、大豆モザイクウイルス(Chenら、1993)、大豆サビ 病(HartwigおよびBromfield 1983)、幹ガン腫病(stem canker)(Bowersら、 1993;KilenおよびHartwig 1987)、突然死症候群(Prabhuら、1996)、紫種子 株(purple seed strain)および斑点病、および褐色斑点疾患(brown spot dis ease)を含む。 YAC(酵母人工染色体)およびBAC(細菌人工染色体)の両方の大豆ライブラリ ーが構築されており(FunkおよびColchinsky,1994)、そして耐性マーカーが、 これらのライブラリーにおける特定のクローンに割り当てられている。これらの 遺伝子配列の能力は、上記(Sambrookら、1989)の標準的な組換え技術を用いる 、本発明のSIRE-1プロレトロウイルス由来ベクターへのこのような遺伝子をコー ドするDNAフラグメントの挿入を可能にする。次いで、組換えベクターを、耐性 遺伝子がエピソーム的にまたは宿主植物ゲノムへのベクターの取り込みの後に発 現され得る標的植物細胞に形質導入し得る。 ウイルス感染に対する耐性の標的植物細胞への移入は、本発明の重要な目的で ある。植物中でのウイルスコートタンパク質の発現は、続いて植物を感染しそし て全体に広がるウイルスの能力を減少することが示されている;従って、ウイル ス耐性は、ウイルス遺伝子配列の感受性植物宿主へのベクター助成移入によって 媒介され得る(Beachy,1990;FitchenおよびBeachy,1993)。多くの異なるウ イルスコートタンパク質遺伝子は、植物ゲノムに導入され、発現され、そしてウ イルス寛容性(タバコモザイクウイルス、キュウリモザイクウイルス、アルファ ルファモザイクウイルス、タバコストリークウイルス(tobacco streak virus) 、タバコラトルウイルス(tobacco rattle virus)、ジヤガイモイルスXおよびY 、ならびにタバコエッチウイルス(tobacco etch virus)を含む)を付与すること が見出されている(Beachy,1990;GasserおよびFraley,1989;Golemboskiら、 1990;Hemenwayら、1988;Hillら、1991)。このウイルス耐性へのアプローチは 、特に有望である。なぜなら、本発明のベクターを用いる1つのウイルス由来の ウイルスコートタンパク質の導入は、しばしば、外見上は無関係のウイルスの範 囲に対して寛容性を付与し得るからである(Beachy,1990)。さらに、ウイルス コートタンパク質を発現するトランスジェニック植物は、研究室設定と同様の処 理でウイルス寛容性を屋外において示す(Nelsonら、1988)。 植物をまた、植物ウイルスポリヌクレオチドに相補的なアンチセンスRNAをコ ードするレトロウイルスベクターで形質転換し得る。ウイルス配列に対するアン チセンスRNAの発現は、ウイルスmRNAの翻訳またはウイルスゲノムの複製のいず れかを妨害することによってウイルスに対する寛容性を提供し得る。アンチセン スRNAの発現は、とりわけ、ジャガイモ、タバコ、およびキュウリ植物において ウイルス耐性を付与することが見出されている(Beachy,1990;Dayら、1991;H emenwayら、1988;Rezaianら、1988)。 本発明を用いて、ウイルスコートタンパク質をコードするDNAフラグメントま たはウイルスRNA転写物に相補的なアンチセンスRNAを、SIRE-1プロレトロウイル スに組換え的に挿入し得、感受性植物に形質導入し得、そして発現させてウイル スへの耐性を付与し得る。 B.除草剤寛容性 除草剤の使用は、作物種へのそれらの毒性によって、そして「雑草」種での耐 性の発達によって一部制限される(Hathaway,1989)。除草剤に対する耐性を増 大させることによって、収率を増加し得、そして雑草の生育を削減するための使 用に有用な除草剤の範囲を増強する。広範な適切な除草剤はまた、雑草種での耐 性の発達を遅延させ得(LeBaronおよびMcFarland,1990)、それにより除草剤に ついての全体の必要性を減少する。除草剤のクラスとしては、例えば、アセトア ニリド(例えば、アラクロール(alachlor))、脂肪族化合物(例えば、グリフ ォセート)、ジニトロアニリン(例えば、トリフルラリン(trifluralin))、 ジフェニルエステル(例えば、アシフルオルフェン(acifluorfen)、イミダゾ リノン(例えば、イマザフィル(imazapyr)、スルホニルウレア(例えば、クロ ルスルフロン(chlorsulfuron)、およびトリアジン(例えば、アトラジン)が 挙げられる。 2つの一般的なアプローチを、除草剤寛容性の操作において取り得る:1つは 、標的酵素の除草剤に対するレベルまたは感受性を変更し得る(例えば、酵素自 体を変更するか、または除草剤輸送のレベルもしくは活性を減少させることによ って)、または除草剤を解毒する遺伝子の活性を取り込むかもしくは増加させ得 る(Hathaway,1989;Stalker,1991)。 最初のアプローチの例は、増加した寛容性を示す酵素EPSPS(5-エノールピル ビルシキミン酸-3-リン酸シンターゼ)またはそのイソ酵素の過剰発現を導く遺 伝子構築物の種々の作物への導入(本発明のベクターおよびウイルスを用いる) であり、これは、幅広く使用されている除草剤RoundupTM(グリホスフェート) 中の有効成分に対する耐性を付与する(Shahら、1986)。EPSPSの遺伝子を、グ リホスフェート耐性E.coliから単離し、植物プロモーターを得、そして植物に導 入し、これにより除草剤への耐性を付与した。グリホスフェートに対する耐性を 有するトランスジェニック種は、タバコ、ペチュニア、トマト、ジャガイモ、綿 、およびArabidopsisで開発されている(della-Cioppaら、1987;GasserおよびF raley,1989;Shahら、1986)。 同様に、スルホニルウレア化合物(GleanTMおよびOustTM除草剤中の有効成分 )に対する耐性は、アセトラクテートシンターゼ(ALS)をコードする遺伝子の 部位特異的変異形態の植物への導入によって生成されている(Haughnら、1988) 。スルホニルウレアに対する耐性は、この方法を用いて、タバコ、Brassica、お よびArabidopsisに導入されている(Mikiら、1990)。 ブロモキシニルは、光化学系IIを阻害することによって作用する除草剤である 。標的植物遺伝子を改変することを試みるよりはむしろ、ブロモキシニルに対す る 耐性は、細菌のニトリラーゼをコードする遺伝子の導入によって付与されており 、これは、それを標的酵素と接触する前に化合物を不活化し得る。このストラテ ジーは、タバコ植物にブロモキシニル耐性を付与するために使用されている(St alkerら、1988)。 除草剤化合物によって標的化された内因性植物酵素、または除草剤化合物を不 活化する酵素の野生型および変異形態をコードする遺伝子を、SIRE-1またはそれ に由来するベクターに組換え的に挿入し、そして植物細胞に形質導入し得る。次 いで、遺伝子を、植物または組織特異的プロモーターの制御下で発現させて(Pe rlakら、1991)、形質転換植物に除草剤耐性を付与し得る。野生型前駆体植物に 通常存在する酵素の正常または変異形態の過剰発現が好ましい。なぜなら、これ は、作物の性能または産物の品質に対する有害な効果の可能性を減少し得るから である。 C.昆虫耐性 殺虫性産物をコードする機能的遺伝子の植物への導入によって、昆虫捕食者の 本質的に寛容性である作物株に導き得る。このような植物は、高価であり、そし て生態学的に危険な化学農薬で処理されないはずである。さらに、このような殺 虫剤は、内因的に適用された合成農薬よりはるかに低い濃度で有効であり、そし て生物学的殺虫剤が非常に特異的であるので、一般的に食物消費者には危険では ない。 植物における昆虫耐性は、一般的に、毒素または忌避物質によって提供される (Gatehouseら、1991)。本発明を用いて、例えば、Bacillus thuringiensis(V aeckら、1987)のいくつかの亜種に由来する殺虫性プロトキシンを、植物細胞に 形質導入し得、そしてその中で構成的に発現させ得る。このプロトキシンは、環 境に固執せず、そして哺乳動物に対して危険ではなく、植物を保護するための安 全な手段となる。毒素の遺伝子は、多数の食物種(トマト、タバコ、ジャガイモ 、および綿を含む)に導入され、そして選択的に発現されている(Gasserおよび Fraley,1989;BrunkeおよびMeussen,1991)。 ササゲ由来のトリプシンインヒビタータンパク質もまた、種々の昆虫に対する 有効な殺虫剤である:その存在は、植物タンパク質の加水分解を妨害することに よって食物を消化する昆虫の能力を制限する(Hilderら、1987)。トリプシンイ ンヒビターは天然の植物タンパク質であるので、宿主の生理機能に有害に影響す ることなく植物中で発現され得る。しかし、ササゲトリプシンインヒビターの使 用に対する、いくつかの潜在的な欠点が存在する。B.thuringiensis毒素に関連 して、より高濃度のインヒビターが。殺虫性効果に必要である(Brunkeら、199l )。従って、インヒビターの産生は、より強力な転写プロモーターを必要とし得 (Perlakら、1991)、そして宿主植物についてよりエネルギー的に高価であり得 る。さらに、インヒビターは、消費の前に不活化されない限りは、哺乳動物の消 化系において活性である。不活化は、加熱によって達成され得るが、これは、ほ とんどの作物植物中でのインヒビターの使用に対する有意な欠点ではないかもし れない。さらに、ほとんどの作物において、インヒビターの発現は、昆虫補食者 に最も暴露されるが、インヒビター遺伝子に作動可能に連結された組織特異的プ ロモーター配列の使用によっては消費されない葉または根のような植物組織に対 して制限され得る(Perlakら、1991)。 耐性または忌避性を昆虫に付与するこれらの例示的な遺伝子を、SIRE-1プロレ トロウイルス由来ベクターに、当該分野で周知の組換え方法を用いて挿入し得る 。次いで、これらの組換えベクターを、大豆および他の植物に形質導入し得る。 さらなる昆虫の耐性遺伝子および忌避性遺伝子が同定されているので、これらを SIRE-1由来遺伝子導入ベクターに組換え的に挿入し得、そして宿主植物中で発現 させ得る。 D.増強された窒素固定および/または根粒形成 その発現がより大きな窒素固定および根粒形成をに寄与する遺伝子(Gresshof fおよびLandau-Ellis,1994;Qianら、1996)を、植物細胞において、これらの 遺伝子が発現され得るDNAフラグメントを含む組換えSIRE-1ベクターの形質導入 によって過剰発現させ得る。あるいは、その発現が低減した窒素固定または根粒 形成を導くこれらの遺伝子の発現(Wuら、1995)を、アンチセンス転写物をコー ドする組換え的に挿入されたDNAフラグメントのSIRE-1媒介性発現によって調節 し得る。これらの遺伝子の操作は、窒素ベースの化学肥料に対する現在の大きな 必要性を減少し得るか、または取り除き得る。 E.増強された成長力および/または生育 野生型祖先種(progenitor species)、またはその発現が野生型祖先種もしく は非関連種にしばしば見いだされる経済的に価値のある生育形質を生じる非関連 種からの遺伝子が、発見されている(Allen,1994;TakahashiおよびAsanuma,1 996)。このような遺伝子または遺伝子フラグメントを、異種または天然のプロ モーターの制御下に置いて、遺伝子カセットを作製し得、そしてこのようなカセ ットを、SIRE-1またはそれに由来するベクターに組換え的に挿入する。次いで、 これらの組換えベクターを、植物細胞に形質導入し得、ここで、このような遺伝 子によってコードされるタンパク質の発現は、経済的に価値のある生育特徴を示 す植物表現型の発達を導き得る。 F.変更した種子油/炭水化物/タンパク質産生 マーカーは、大豆種子タンパク質および油含有量に関連するいくつかの遺伝子 について同定されている(Leeら、1996;Moreiraら、1996)。植物内のこれらの 遺伝子の形質導入および発現は、低下したリノレン酸含有量、増強された種子貯 蔵タンパク質産生、減少したラフィノース由来オリゴサッカライドレベル、減少 したリポキシゲナーゼレベル、または減少したプロテアーゼインヒビター含有量 (これは、動物の消化管における減少した加水分解に起因して、動物飼料におけ るいくつかの植物タンパク質の栄養的価値を減少させ得る)を有する、より多く の種子油産生を生じ得る。このような遺伝子を、SIRE-1プロレトロウイルスまた はそれに由来するベクターに組換え的に挿入し得、次いで組換えウイルスまたは ベクターを使用して、このような遺伝子を、植物または植物細胞に導入し得、こ こで遺伝子は発現し得、そして植物表現型に影響を与え得る。 特定の穀物の潜在的な食物的価値を、種子貯蔵タンパク質のアミノ酸組成を変 更することによって改良し得る。これは、少なくとも2つの方法において達成し 得る。第1に、より所望されるアミノ酸混合物から構成される異種種子貯蔵タン パク質をコードする遺伝子を、本発明のベクターおよび方法を用いて、望ましく ない種子貯蔵タンパク質アミノ酸組成を有する植物に移入し得る。このアプロー チは、いくつかのモデル研究に利用されている:トウモロコシ由来のオレオシン (oleosin)遺伝子は、Brassicaに首尾良く移入し、そして発現されており(Lee ら、1991)、そして豆科植物からのファゼオリン遺伝子は発現され、そして種子 貯蔵タンパク質は、タバコ植物において適切に区画化された(Altenbachら、198 9)。 第2に、内因性種子貯蔵タンパク質をコードする遺伝子を、より望ましいアミ ノ酸組成を含むように変異し得、そして本発明のベクターを用いて宿主植物に再 導入し得る(Hoffmanら、1988)。タンパク質の高次構造および区画化における これらのアミノ酸置換の影響を、ほとんどの種子貯蔵タンパク質のカルボキシ末 端付近の超可変領域に置換を標的化することによって減少し得る(Dicklnsonら 、1990)。変更したアミノ酸組成を有するタンパク質をコードする遺伝子を、SI RE-1レトロウイルスまたはそれに由来するベクターに取り込み得、次いで組換え ウイルスまたはベクターを使用して、タンパク質アミノ酸組成における変化を導 入するために、この遺伝子を植物細胞に導入し得る。 G.異種タンパク質産生 本発明は、技術的酵素、異種貯蔵タンパク質、または新規なポリマー産生酵素 をコードする遺伝子を導入し得、従って、作物がこれらの産物のための新規な供 給源となることを可能にするために使用され得る組換えSIRE-1ウイルスまたはそ れに由来するベクターを意図する。 実施例10 植物ゲノムにおいて変異を誘導およびタグ化するためのSIRE-1の使用 本発明の重要な目的は、植物ゲノムに新たなランドマークを樹立し、そして新 規な変異を誘導および追跡するためのSIRE-1プロレトロウイルスの使用である。 変異誘発とエレメント発現とを連鎖させるために、SIRE-1を使用し得る。体細胞 クローン変異(somaclonal variation)は、例えば、大豆について実証されてい るが(Ambergerら、19921-Freytagら、1989;Grayboschら、1987;Rothら、1989 )、遺伝的変化を誘導する因子についてはほとんど知られていない。当業者は、 植物ゲノムにおける新規なSIRE-1挿入部位を同定し得、そしてこれらの新たな部 位を改変体表現型と相関させ得る。挿入部位でのホモ接合性は、F1子孫において 理論的に達成され得るが、優性な挿入物は、活性エレメントがGUSまたはNptのよ うなレポーター遺伝子を有する場合、予め存在する組込み事象から区別され得る 。次いで、表現型を、新規なタグ化ゲノム部位と相関させ得、そしてこの部位に 隣接する配列を容易にクローン化および配列決定し得る(Sambrookら、1989)。 SIRE-1をまた使用して、「ゲノムストレス」と転移エレメント活性との間の関 係を、エレメント発現を調節し得る宿主タンパク質の同定に対するLTR領域にお ける糸口を探索することによって研究し得る。次いで、これらのタンパク質の存 在および発現は、エレメント発現を誘導することが公知の有害な条件と相関し得 る。 主要な植物グループにおける機能的プロレトロウイルスの入手可能性は、遺伝 子機能、ゲノム機構、および進化に関与する、適用された遺伝子操作および基本 的な生物学的問題に対する広範囲にわたる適用を有する。これらの問題のよりよ い理解は、重要な新たな遺伝子座を同定およびマッピングすることにおいて有益 であり得る。植物健康とエレメント移動との間の関係を理解することは、遺伝子 転移の短期間および長期間結果への貴重な見識を提供し得る。レトロエレメント が、天然の集団における適応変異に有意な役割を果たしている場合、植物遺伝学 者は、新たな耐性対立遺伝子を作製するプロセスを加速しそして指向し得るかも しれない。新たな挿入部位は、エレメントによって「タグ化」され、そしてこれ らの部位は、競合ハイブリダイゼーションスキームによって、予め存在する遺伝 子座と区別され得るかもしれない。次いで、破壊した遺伝子座をクローン化し、 そして特徴づけることが可能であるはずである。さらに、エレメントが、選択圧 の下で存続している遺伝子型変化に寄与している場合、重要な遺伝子座が、この エレメントに近接して連鎖し得、これは、エレメントアンカー多型によるコード 領域のマップおよび単離を容易にし得る特徴であり得る。 実施例11 特異的組込みをもたらすためのSIRE-1ベクターの改変 レトロウイルス組込み系は、小さな標的部位特異性を示し、そして標的細胞ゲ ノムへのランダムな挿入は、望ましくない結果を有し得る:細胞プロトオンコジ ーン付近での組込みは、異所性遺伝子活性化および腫瘍産生を導き得(Shiramaz uら、1994)、そしてランダムな組込みはまた、必須または所望の遺伝子を不活 化し得る(Coffin,1990)。それゆえ、植物プロレトロウイルスの、標的植物細 胞ゲノムの限定された領域への組込みを指向する能力は、非常に所望される。 特異的組込みがもたらされ得る1つの様式は、特異的標的配列への組込み機構 の「係留」を介する。これは、配列特異的DNA結合ドメインの、SIRE-1プロレト ロウイルスのインテグラーゼ配列への融合によって達成し得る(Kirchnerら、19 95)。植物のゲノムにおいて、特異的な遺伝子座に結合することが公知であるタ ンパク質からのDNA結合ドメインをコードするヌクレオチド配列(すなわち、発 現が商業的に不利益である遺伝子の転写エンハンサー)を、インフレームで、そ してpol領域のカルボキシ末端をコードするSIRE-1ヌクレオチド配列の3'末端か らちようど下流(すなわち、pol切断の産物であるインテグラーゼタンパク質の カルボキシ末端)に組換え的に挿入し得る。次いで、DNA結合ドメインは、イン テグラーゼタンパク質およびSIRE-1ポリヌクレオチドを、SIRE-1によって挿入的 に変異される遺伝子座に「ガイド」するように作用し得る。 実施例12 大豆ゲノムにおけるSIRE-1挿入部位の決定 SIRE-1ゲノムクローンからの隣接ゲノムDNAの配列を使用して、ゲノム挿入部 位の決定のためのプローブを作製し得る。種々のG.max品種、G.soja、および他 の植物種(例えば、G.tabacina、G.canescens、およびG.tormentella)からのゲ ノムDNAの制限酵素消化物を、アガロースゲルで電気泳動的に分画化し、ナイロ ン膜に移し、そして隣接DNAプローブ(単数または複数)とハイブリダイズした 。プローブ(単数または複数)がハイブリダイズするバンドが多型である場合、 SIRE-1挿入物の存在に対する多型の関係を、SIRE-1 LTR特異的プローブとのハイ ブリダイゼーションによって決定し得る。品種間のSIRE-1関連多型は、最近のSI RE-1ファミリーの機能的遺伝子転移を強力に支持する。 上記の例は、SIRE-1が、ゲノム構造がコピア様機構に基づいているプロレトロ ウイルスの内因性ファミリーであるという結論を支持する。対照的に、全ての動 物レトロウイルス(脊椎動物およびDrosophilaから)のゲノム機構は、grpsy様 レトロトランスポゾンにならってパターン化される。従って、SIRE-1は、明確に 、動物レトロウイルスから進化的にかなり分岐している植物のレトロウイルスエ レメントである。 レトロウイルスゲノムもビリオンもどちらも植物において報告されていないが 、両クラスのレトロトランスポゾンは、植物以外では天然に広く行き渡っている 。それゆえ、SIRE-1は、最初に知られた植物プロレトロウイルスである。エンベ ロープタンパク質をコードする植物ウイルスゲノムはほとんど存在しない。エン ベロープタンパク質をコードする植物ウイルスゲノム(ラブドウイルス属および ブンヤウイルス属)はまた、エンベロープタンパク質がウイルス-宿主細胞膜融 合を助ける動物宿主を感染する。植物細胞壁が、この様式の移入を除外するかど うかは公知ではない。 SIRE-1は、本来、無脊椎動物レトロウイルスであり得る。植物ゲノムへの組込 みに対するその能力およびエンベロープタンパク質コード領域の存在は、SIRE-1 が、かつては動物宿主と植物宿主との間で、およびその宿主内で「シャトルベク ター」として作用し得た可能性を示唆する。そのコピ一数を判定することによれ ば、SIRE-1はG.maxで明確に成功している。 ファミリーメンバーの制限部位全体のホモ接合性、レトロウイルス挿入物内お よび隣接する長い連続したORFの存在、公知のレトロトランスポゾン由来のもの に対するenv、gag、int、RL、およびRHドメインの強力な相同性、ならびにLTRの 準同一性は、SIRE-1が進化のなごりではなく、活性プロレトロウイルスであるこ とを示す。このように、SIRE-1は、大豆およびおそらく他の植物ゲノムの機構お よび発現に影響を与えるのに利用し得る。 前述から、本発明の特定の実施態様は、例示の目的で本明細書中に記載されて いるが、種々の改変が、(添付の請求の範囲に示されるような)本発明の精神お よび範囲から逸脱することなしになされ得ることが認識され得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 7/00 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12N 5/00 C

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号2、配列番号3、配列番号8、配列番号50からなる群より選択され るポリヌクレオチドを含む、単離された精製されたポリヌクレオチドであって、 ストリンジェントな条件下で、該ポリヌクレオチドの任意の一つおよびそのフラ グメントにハイブリダイズする、ポリヌクレオチド。 2.前記フラグメントが、1つ以上のSIRE-1長末端反復の全部または一部を含む 、請求項1に記載のポリヌクレオチド。 3.異種DNAをさらに含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。 4.前記異種DNAが転写調節エレメントを含む、請求項3に記載のポリヌクレオ チド。 5.請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。 6.異種DNAをさらに含む、請求項5に記載のベクター。 7.前記異種DNAが転写調節エレメントをさらに含む、請求項6に記載のベクタ 。 8.前記異種DNAが転写調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項6 に記載のベクター。 9.前記異種DNAが、植物の疾患に対する耐性を付与するタンパク質をコードす るDNAを含む、請求項8に記載のベクター。 10.前記異種DNAが、昆虫の侵襲に対する耐性を付与するタンパク質をコード するDNAを含む、請求項8に記載のベクター。 11.前記異種DNAが、除草剤に対する寛容性を付与するタンパク質をコードす るDMAを含む、請求項8に記載のベクター。 12.前記異種DNAが、寛容性の増強された窒素固定または根粒形成を付与する タンパク質をコードするDNAを含む、請求項8に記載のベクター。 13.前記異種DNAが、増強された成長力または増殖を付与するタンパク質をコ ードするDNAを含む、請求項8に記載のベクター。 14.前記異種DNAが、SIRE-1コードタンパク質をコードするDNAを含む、請求項 8に記載のベクター。 15.前記異種DNAが、遺伝子またはそのフラグメントを含む、請求項8に記載 のベクター。 16.前記異種DNAが、アンチセンス転写物をコードするDNAを含む、請求項8に 記載のベクター。 17.宿主細胞を形質転換する方法であって、請求項5〜16のいずれかに記載 のベクターを該宿主細胞に導入する工程を包含する、方法。 18.請求項17の方法によって形質転換された、宿主細胞。 19.前記宿主細胞が植物細胞である、請求項18に記載の宿主細胞。 20.前記植物細胞が大豆細胞である、請求項19に記載の宿主細胞。 21.配列番号10、配列番号11、配列番号52、配列番号53、配列番号54、ならび にそのアナログ、ホモログ、およびフラグメントからなる群より選択されるアミ ノ酸配列を含む、単離された精製されたSIRE-1コードタンパク質。 22.前記タンパク質が組み換えタンパク質である、請求項21に記載のタンパ ク質。 23.異種タンパク質を作製する方法であって: (a)適切な培地および環境条件下で請求項18に記載の宿主細胞を培養する 工程;および (b)該培養した細胞または該培地から該タンパク質を単離する工程、 を包含する、方法。 24.配列番号10、配列番号11、配列番号52、配列番号53、配列番号54、ならび にそのアナログ、ホモログ、およびフラグメントからなる群より選択されるアミ ノ酸配列を有するSIRE-1タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むパッケ ージング細胞であって、該ポリヌクレオチドが機能的パッケージングシグナル配 列を欠失している、パッケージング細胞。 25.配列番号10、配列番号11、配列番号52、配列番号53、配列番号54、ならび にそのアナログ、ホモログ、およびフラグメントからなる群より選択されるアミ ノ酸配列を含むタンパク質上のエピトープを特異的に認識する、単離された精製 された抗体。 26.請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドおよびキャプシド タンパク質を含む、植物レトロウイルス。 27.配列番号4、配列番号10、配列番号11、配列番号52、配列番号53、配列番 号54、ならびにそのアナログ、ホモログ、およびフラグメントからなる群より選 択されるアミノ酸配列を含む1つ以上のタンパク質をさらに含む、請求項26に 記載の植物レトロウイルス。 28.植物レトロウイルスを産生する方法であって、請求項1に記載のポリヌク レオチドをパッケージング細胞に導入する工程を包含する、方法。 29.植物細胞を形質転換するための方法であって: (a)請求項1に記載のポリヌクレオチドを植物細胞に導入する工程;および (b)該植物細胞を、適切な栄養素および環境条件下で培養する工程;および (c)該植物細胞中の該ポリヌクレオチドを検出する工程、 を包含する、方法。 30.植物細胞を形質転換するための方法であって: (a)請求項5〜8のいずれか1項に記載のベクターを植物細胞に導入する工 程; (b)該植物細胞を、該ポリヌクレオチドの発現産物の発現に適切な栄養素お よび環境条件下で培養する工程;および (c)該発現産物を検出する工程、 を包含する、方法。 31.請求項29または請求項30に記載の方法によって産生された、形質転換 された植物細胞。 32.前記植物細胞が大豆細胞である、請求項31に記載の形質転換された植物 細胞。 33.請求項5〜8のいずれかに記載のベクターを含む、形質転換された植物細 胞。
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