JP2004519682A - 繰り返しの高速偏光スクランブリングを用いた偏光依存性の損失測定装置及び方法 - Google Patents

繰り返しの高速偏光スクランブリングを用いた偏光依存性の損失測定装置及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、入力光の偏光状態による光素子の挿入損失の変化量、即ち偏光依存性の損失を測定する装置及びその測定方法に関する。本発明の装置及び方法は、互いに異なる周波数で変調される圧電素子型光ファイバー複屈折変調器を含む偏光スクランブラーにより全ての偏光状態を周期的に受ける入力光を被試験光素子に通過させ、その通過量の強さを光検出器で測定し、一定周期を有する複屈折変調に対して平均を求めた後、その周期に対して最大出力と最小出力の比から偏光依存性の損失を計算することを特徴とする。本発明の装置及び方法によると、速い作動が可能な複屈折変調器を使用するため、測定時間の短縮が可能であり、被試験光素子に入力される入力光の外乱影響が減少するか、または外乱発生の確率が減少し、偏光依存性の損失を高い精度で測定することができる。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、入力光の偏光状態による光素子の挿入損失の変化量、即ち偏光依存性の損失を測定する装置及びその測定方法に関する。
【0002】
(背景技術)
超高速光通信技術が発展するにつれ、種々の光素子が開発されており、これらの品質を効率的に管理するため、光通信産業界では、信頼性が高く且つ測定速度が速い光計測器の必要性が高まった。特に、波長分割多重(WDM)伝送方式の導入により、広い波長領域の様々な波長に対する光素子の特性を測定する必要性の発生に伴い、高速測定が可能な光計測器に対する需要も高まってきている。
【0003】
種々の光素子の仕様のうち、PDLは特にその測定が難しく、測定時間が長いという特徴を有する。さらに、光通信の高速化に伴って信号の劣化を引き起こし得るPDLは、厳しい品質管理を必要とする光素子における重要な特性のうちの一つである。
【0004】
光素子の挿入損失は、入力と出力の光信号の強さの比から定義され、また該挿入損失は、入力光の偏光状態にもよる。上記特性を示すPDLは、通常、下記のような方法により測定する。まず、光入力の強さを一定に保持した状態で入力光の偏光状態を変化させつつ、PDLを測定しようとする被試験デバイス(DUT)に入力光を入射しながら、出力光の強さをそれぞれ測定する。次いで、下記の数1により定義されるように、最大出力(Pmax)と最小出力(Pmin)の比からPDLが得られる。
【0005】
【数1】
Figure 2004519682
【0006】
上記のように定義されるPDLを測定する従来技術の方法としては、全状態スキャニング方法とミュラー行列方法とがある。全状態スキャニング方法は、可能な限り様々な入力光の偏光状態を形成し、これによる出力光の強さを測定して、そのうちの最大出力と最小出力値を求める方法であり、以下で説明する。
【0007】
図1は、全状態スキャニング方法でPDLを測定するシステムの構成図である。同図において、レーザーダイオード(100)の出力は、一定の偏光状態と一定の強さを有する。レーザーダイオード(100)の出力は、まず、そのそれぞれが光ファイバーからなる波長板で形成される偏光調節器(110)を経由する。波長板の角度を変化させると、光ファイバー(120)を通じてDUT(130)に入射する光の偏光状態を調節することができる。DUT(130)を経由した出力光は、光パワーメーター(140)によりその強さが測定される。即ち、偏光調節器(110)の波長板の角度を変化させ、DUT(130)を経由させた後、入力光が全ての偏光状態を経るよう調節し、出力した出力光の強さの最大及び最小値を、一定時間の間抽出して偏光依存性の損失を計算する。しかし、このようなシステムの最も大きな短所は、通常、機械的な偏光調節器を使用することにより、測定時間が約5〜10秒程度余分にかかり、生産現場での使用が難しいということである。
【0008】
一方、ミュラー行列方法は、正確に認知されている4通りの入力偏光状態に関する出力値を用いた数学的計算により、最大出力と最小出力値を求める方法であり、その具体的な測定方法は、ファービン(Favin)らの米国特許第5,371,597号に詳しく開示されている。同特許によると、DUTの先端で入力光の偏光状態を認知されている4通りの偏光状態にするために、手動と自動からなる偏光調節器を使用する。自動偏光調節器としては、1/2波長板及び1/4波長板が使用され、これらを回転させることにより偏光を調節する。しかし、上記方法を実行する際、4通りの偏光状態のそれぞれに対してDUTの入力光の強さと基準信号の強さとの間の比を割り出すためのキャリブレーション過程が必須であり、測定過程で4通りの偏光状態を入力後、それに対する結果値を正確に取得しなければならないという制約がある。このためには、入力偏光状態の乱れがあってはいけないが、測定過程において、その時間が長くかかれば、入力偏光状態の乱れの発生は不可避であるという問題点がある。
【0009】
(発明の開示)
本発明が成し遂げようとする技術的課題は、比較的に短時間で測定を完了することにより、入力偏光状態の乱れが発生する素地を低減することができる偏光依存性の損失測定装置及び方法を提供することである。
【0010】
本発明が成し遂げようとする他の技術的課題は、数百kHz以上の変調速度を有する偏光変調器を用いて、全状態スキャニング方式にて偏光依存性の損失を高速で測定することができる装置及び方法を提供することである。
【0011】
上記技術的課題を達成するための本発明の偏光依存性の損失測定装置は:
(a)光源と;
(b)前記光源から出射する光を偏光状態の光にする偏光器と;
(c)
(c−1)少なくとも3つの円筒形圧電素子と、これらの外壁の周りに断絶されずにそれぞれ巻線された光ファイバーからなる光ファイバー複屈折変調器と、
(c−2)前記光ファイバー複屈折変調器毎に、一つのクロックに同期し決められた周波数Fと互いに素な整数の積に相当する周波数の交流電圧を印加する交流電圧源と、を含み、
前記偏光器から偏光された光を入力光として受ける一方、周波数Fで繰り返される偏光状態を有する出力光を出射する偏光スクランブラーと;
(d)前記偏光スクランブラーの出力光が測定対象を通過した後、その通過光を検出する光検出器と;
(f)前記複屈折変調器のクロックに同調し、毎周期の通過光の強度を設定するアナログ−デジタル変換器と;
(g)前記アナログ−デジタル変換器から出る毎周期の通過光の強度変化波形を平均化して毎測定に伴うノイズを抑制するデジタル信号処理部と;を備えることを特徴とする。
【0012】
上記技術的課題を達成するための本発明の偏光依存性の損失測定方法は:
一定に偏光された入力光を用意するステップと;
少なくとも3つの円筒形圧電素子と、これらの外壁の周りに断絶されずにそれぞれ巻線された光ファイバーからなる光ファイバー複屈折変調器と、該光ファイバー複屈折変調器毎に、一つのクロックに同期し決められた周波数Fと互いに素な整数の積に該当する周波数の交流電圧を印加する交流電圧源と、を含む偏光スクランブラーに前記入力光を入力し、周波数Fで繰り返される偏光状態を有する出力光を出射するステップと;
前記偏光スクランブラーからの出力光を被試験光素子を通過させるステップと;
前記光素子を通過した光の出力を光検出器で検出するステップと;
前記光検出器の検出値を一定周期の複屈折変調に対して平均を求めた後、その周期に対して最大出力と最小出力の比から偏光依存性の損失を計算するステップと;を備えることを特徴とする。
【0013】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
図2は、本発明の実施形態による偏光依存性の損失測定装置の構成図である。同構成図を通じて本発明の装置及び方法の両方について説明する。同図を参照すると、一定の偏光状態の入力光は、波長可変レーザーまたはDFBレーザーダイオードのような光源(302)と、アイソレータ(304)と、偏光器(306)とからなる入力光提供手段(300)で構成され、偏光スクランブラー(310)に入力される。本実施形態の装置に使用された偏光スクランブラー(310)は、3つの円筒形圧電素子と、これらの外壁の周りに断絶されずにそれぞれ巻線された光ファイバーからなる光ファイバー複屈折変調器とを含んでおり、隣接した変調器間を連結する光ファイバーは、捩れて複屈折軸が互いに45°の角度をなすようにできている。該光ファイバーとしては、比較的安価の単一モード光ファイバーを使用することができるが、場合によっては、偏光保存光ファイバーを使用することもできる。
【0014】
一方、それぞれの光ファイバー複屈折変調器毎に、1つのクロックに同期し決められた周波数Fと互いに素な整数の積に該当する周波数の交流電圧を印加する交流電圧源である駆動信号発生部(370)により駆動される。即ち、3つの周波数f、f及びfは、下記の数2により決められる。
【0015】
【数2】
Figure 2004519682
但し、ここで、k、l、mは、互いに素な整数である。
【0016】
この周波数Fは、1kHz、2kHz、5kHz及び10kHzからなる周波数群より選ばれたいずれかの値でよい。本実施形態では、3つの変調器のそれぞれが、f=770kHz、f=950kHz、f=1070kHzのサイン(sinusoidal)波形により変調された。変調振幅は、3つの変調器のそれぞれに対して3.14以上の条件を満たすように設定されるのが好ましいが、本実施形態では、
Figure 2004519682
で調節された。この値によると、ポアンカレの球を完全に覆うことができるほどの偏光変化が可能である。即ち、1周期内において、全ての偏光状態をスキャニングする方法のアプリケーションに適する全ての偏光状態が生成するようになる。このように、偏光スクランブラー(310)を通過した光は被試験光素子(DUT;320)に入射する。被試験光素子(320)に入射する光の偏光状態の変化が時間的周期T(1/F)の間隔毎に繰り返されるため、偏光依存性の損失を測定しようとする被試験光素子(320)を通過した後の光の強さの変化も同様に周期Tをなして繰り返しに再現される。被試験光素子(320)を通過した光は、光検出器(330)と高速増幅器(340)を順次に経由した後、演算処理に適するようにアナログ−デジタル変換器(ADC;350)によりその信号が変換される。一方、このアナログ−デジタル変換器(350)は、偏光スクランブラー(310)に含まれた偏光変調器の変調信号の周期を決めるクロックに同期している。光検出器(330)によるノイズを減少するために、本実施形態では、平均化方法を使用する。即ち、アナログ−デジタル変換器(350)により該変換された信号は、信号処理部(360)により平均化される。この平均化過程は、毎測定に伴うノイズを低減していく過程である。変調周波数は、10kHzという最大公約数を有するため、変調された光信号は100μsの周期を有する。ところが、該偏光スクランブラー(310)に含まれた偏光変調器とアナログ−デジタル変換器(350)を同期化させることにより、100μs波形を1000回にかけて平均化することができるリアルタイムアベレージャを具現することができる。したがって、この場合の測定時間は、100μs×1000=0.1秒となる。このように平均化が完了すると、測定値は表示装置に表示される。
【0017】
図3は、1550nmで2.42dBの偏光依存性の損失を有する既知の光素子に対し、本発明の装置及び方法を用いて測定した偏光依存性の損失を示したグラフである。比較のために、従来の測定装置及び方法を用いて測定した偏光依存性の損失を一緒に示した。ここで、光素子に入力される光の波長を、1520nmないし1590nmの範囲で10nmの間隔で変化させながら測定した。グラフにおいて、●印で表示した部分は、全状態スキャニング方法を用いる従来技術の常用装備(従来技術A)により測定した結果を、▲印で表示した部分は、ミュラー行列方法を用いる従来技術の常用装備(従来技術B)により測定した結果をそれぞれ示す。図3を参照すると、3通りの方法のいずれもほぼ同じ偏光依存性の損失値を示し、その偏差は、±1%以内であることが分かる。このように、比較された3通りの測定方式は、同じ光素子に対してほぼ同じ結果を示すが、測定時間においては、本発明の装置及び方法を用いる場合、遥かに速い結果を示した。一つの波長に対して偏光依存性の損失値を測定する時、従来技術A及びBによる測定時間は、それぞれ10秒及び2秒を要したが、本発明の装置及び方法を用いる場合は、0.1秒を要した。
【0018】
図4は、本発明の装置及び方法を用いる場合、入力偏光の変化による影響を示すグラフである。即ち、図2の偏光スクランブラー(310)に300本の互いに異なる入力偏光を印加した後、光素子を通過する光の偏光依存性の損失を測定した図である。同図を参照すると、全体の偏光状態にかけて偏光依存性の損失の測定値の偏差が±1%以内であることが分かる。このような結果は、本発明の装置及び方法によって偏光スクランブラーを経由する光が、全ての偏光状態を受けるということを立証する。
【0019】
一方、ノイズが大きく影響を及ぼす環境下で、本発明の装置及び方法を使用する場合、平均化の回数と偏光依存性の損失測定値の変化を表1に示した。図1に示した従来技術の装備を使用して測定した光素子の偏光依存性の損失値は、0.717dBであった。
【表1】
Figure 2004519682
【0020】
表1を参照すると、ノイズがひどい場合でも本発明の装置及び方法を使用すると、短時間内に正確な測定値が得られることが分かる。
【0021】
上述した本発明の偏光依存性の損失測定装置及び方法によると、入力偏光を周期的にスクランブリングさせながら繰り返しの測定を行って平均値を収得することにより、測定精度を高めることができる。また、高速作動が可能な偏光スクランブラーを使用するため、測定速度を向上させることができる。
【0022】
以上、前述した本発明の実施形態及び添付した図面に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の置換と変更が可能であることが、本発明の属する技術分野における当業者にとっては明らかである。したがって、本発明の装置において、光源と偏光器とを分離して説明したが、光源自体から既に偏光された光が出力される場合、別の偏光器が不要であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、全状態スキャニング方法でPDLを測定するシステムの構成図である。
【図2】
図2は、本発明の実施形態による偏光依存性の損失測定装置の構成図である。
【図3】
図3は、1550nmで2.42dBの偏光依存性の損失を有すると認知されている光素子に対し、本発明の装置及び方法を用いて測定した偏光依存性の損失を示すグラフである。
【図4】
図4は、本発明の装置と方法を用いる場合、入力偏光の変化による影響を示すグラフである。

Claims (6)

  1. (a)光源と;
    (b)該光源から出射する光を偏光状態の光にする偏光器と;
    (c)
    (c−1)少なくとも3つの円筒形圧電素子と、これらの外壁の周りに断絶されずにそれぞれ巻線された光ファイバーからなる光ファイバー複屈折変調器と、
    (c−2)該光ファイバー複屈折変調器毎に、一つのクロックに同期し決められた周波数Fと互いに素な整数の積に該当する周波数の交流電圧を印加する交流電圧源と、を含み、
    該偏光器から偏光された光を入力光として受ける一方、周波数Fで繰り返される偏光状態を有する出力光を出射する偏光スクランブラーと;
    (d)該偏光スクランブラーの出力光が測定対象を通過した後、その通過光を検出する光検出器と;
    (f)該複屈折変調器のクロックに同期し、毎周期の通過光の強さを提供するアナログ−デジタル変換器と;
    (g)該アナログ−デジタル変換器から出る毎周期の通過光の強さ変化波形を平均化して毎測定に伴うノイズを抑えるデジタル信号処理部と;
    を備えることを特徴とする偏光依存性の損失測定装置。
  2. 前記複屈折変調器のうちの隣接するもの間の複屈折軸が、互いに45°の角度をなすように、前記変調器間を連結する光ファイバーが捩れた状態を保持していることを特徴とする請求項1に記載の偏光依存性の損失測定装置。
  3. 前記周波数Fが、1kHz、2kHz、5kHz及び10kHzからなる周波数群より選ばれたいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の偏光依存性の損失測定装置。
  4. 前記複屈折変調器の変調振幅が、3.14以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏光依存性の損失測定装置。
  5. 前記圧電素子の外壁の周りにそれぞれ巻線された光ファイバーが単一モード光ファイバーであることを特徴とする請求項1に記載の偏光依存性の損失測定装置。
  6. 一定に偏光された入力光を用意するステップと;
    少なくとも3つの円筒形圧電素子と、これらの外壁の周りに断絶されずにそれぞれ巻線された光ファイバーからなる光ファイバー複屈折変調器と、該光ファイバー複屈折変調器毎に、一つのクロックに同期し決められた周波数Fと互いに素な整数の積に該当する周波数の交流電圧を印加する交流電圧源と、を含む偏光スクランブラーに該入力光を入力し、周波数Fで繰り返される偏光状態を有する出力光を出射するステップと;
    該偏光スクランブラーからの出力光を、被試験光素子を通過させるステップと;
    該光素子を通過した光の出力を光検出器で検出するステップと;
    前記光検出器の検出値を一定周期の複屈折変調に対して平均を求めた後、その周期に対して最大出力と最小出力値の比から偏光依存性の損失を計算するステップと;
    を備えることを特徴とする偏光依存性の損失測定方法。
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