JP3259437B2 - 光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置 - Google Patents

光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置

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JP3259437B2 JP12953193A JP12953193A JP3259437B2 JP 3259437 B2 JP3259437 B2 JP 3259437B2 JP 12953193 A JP12953193 A JP 12953193A JP 12953193 A JP12953193 A JP 12953193A JP 3259437 B2 JP3259437 B2 JP 3259437B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバの基本特性
である非線形係数、波長分散等の光ファイバパラメータ
の測定に用いて好適な光ファイバパラメータの長手方向
分布測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光ファイバの基本特性である非線
形係数、波長分散等の光ファイバパラメータは、超高
速、長距離伝送を実用化するに当たり重要な設計パラメ
ータとなることから、これらパラメータを測定するため
の様々な方法が提案されている。例えば、光ファイバの
非線形係数を測定する方法としては、次に述べる2種類
の方法が知られている。1つの方法は、入射パルス光の
自己位相変調によるスペクトルの広がりから光ファイバ
の非線形係数を求める方法である(参考文献:R.H.Stol
en,et.al.,Phys.Rev.A 17,4,1448,(1978))。この方法
は、光パルスを被測定ファイバに入射した場合、該光パ
ルス自体の光強度に比例して光ファイバの屈折率が変化
することにより該光ファイバから出射する光パルスの位
相が変化することを利用したもので、この出射光のフー
リエ変換をファブリペロ干渉計を用いて観測し、そのス
ペクトルの広がりより自己位相変調による位相の変化を
測定することにより光ファイバの非線形係数を求めてい
る。
【0003】もう1つの方法は、遅延自己ヘテロダイン
法と呼ばれる方法で、入射パルス光の相互位相変調から
光ファイバの非線形係数を求める方法である(参考文
献:和田朗ら、電子情報通信学会技術研究報告,92,159,
(OCS92 32-40)45(1992))。図11は、遅延自己ヘテロ
ダイン法による光ファイバの非線形係数測定装置を示す
構成図である。この非線形係数測定装置1は、発振器
2、1550nmの波長のポンプ光を出射する外部共振
器付のファブリペロレーザ3、エルビウム(Er)を添
加した光ファイバ増幅器4、光学減衰器5、λ/4板と
λ/2板から構成される偏波制御器6,6,…、155
3nmの波長のプローブ光を出射する半導体レーザ7、
光学アイソレータ8、方向性結合器9,9、ポンプ光強
度を測定するためのパワーモニタ10、光学バンドパス
フィルタ11、周波数シフト150MHzの音響光学変
調素子12、遅延を与える約5kmの長さの遅延用光フ
ァイバ13、受光器14、増幅器15、スペクトルアナ
ライザ16より構成されている。なお、17は被測定光
ファイバである。ここでは、パルス光の相互位相変調の
効果が偏波に依存することから、偏波制御器6によりポ
ンプ光とプローブ光の偏光面が所望の相対角に設定され
ている。
【0004】次に、この非線形係数測定装置1を用いて
光ファイバの非線形係数を測定する方法について説明す
る。ファブリペロレーザ3から出射するポンプ光は、発
振器2から発生する7.49MHzの信号により直接強
度変調を受ける。強度変調を受けたポンプ光は光ファイ
バ増幅器4、光学減衰器5、偏波制御器6をそれぞれ通
過した後、方向性結合器9で分岐され、被測定光ファイ
バ17に入射する。また、半導体レーザ7から発生した
プローブ光は光学アイソレータ8、偏波制御器6をそれ
ぞれ通過した後、方向性結合器9を介して被測定光ファ
イバ17に入射する。一方、前記方向性結合器9により
分岐されたもう一方の光はパワーモニタ10に入射し、
ポンプ光、及びプローブ光の強度が検出される。
【0005】ここで、プローブ光強度がポンプ光強度に
対し十分に弱いものとすると、該ポンプ光が被測定光フ
ァイバ17に入射した場合、非線形光学効果により該被
測定光ファイバ17の屈折率はポンプ光強度に比例して
変化する。該被測定光ファイバ17に入射したプローブ
光は、この屈折率変化により位相が変調し、位相変調光
として被測定光ファイバ17から出射する。この位相変
調光のみが光学バンドパスフィルタ11を透過し、音響
光学変調素子12により150MHzだけ周波数がシフ
トされた光を分岐する。分岐されたこれら2つの光は、
方向性結合器9により再度結合された後、受光器14に
入射する。該受光器14では信号光強度が検出され、ス
ペクトルアナライザ16ではこの信号光強度のスペクト
ルが観測される。
【0006】このスペクトルは、150MHzを中心と
して変調周波数(7.49MHz)の整数倍の位置にサ
イドバンドが立ち、これらそれぞれのサイドバンドの強
度は第1種ベッセル関数の値に比例していることから、
これらサイドバンドの強度を測定することにより位相変
調の変調指数を求めることができる。この変調指数は相
互位相変調による最大位相偏移を表しているから、これ
より被測定光ファイバ16の非線形係数を求めることが
できる。
【0007】一方、光ファイバの波長分散を測定する方
法としては、パルス法、差分法、位相差法等が知られて
いる。パルス法では、まず複数のレーザを用いて波長の
異なる光パルスを発生させ、これらの光パルスを被測定
光ファイバに入射する。この被測定ファイバでは、波長
分散の効果によりこれらの光パルスそれぞれの到達時間
が異なるので、この到達時間差を測定することにより該
被測定光ファイバの波長分散を求めることができる。
【0008】この方法では、波長の異なる光パルスは同
時に出射されると都合がよいので、多モードパルス光で
代用することがある。図12は多モードパルス光を用い
た光ファイバの波長分散測定装置を示す構成図である。
この波長分散測定装置21は、多モードパルス光発生装
置22、分光器23、光波形観測装置24、出力表示部
25より構成されている。この波長分散測定装置21を
用いて被測定光ファイバ17の波長分散を測定するに
は、多モードパルス光発生装置22により多モードパル
ス光を発生させ、この多モードパルス光を被測定光ファ
イバ17に入射させる。該被測定光ファイバ17から出
射した光は分光器23により空間的に分光され、光波形
観測装置24により電気信号に変換され、出力表示部2
5でそれぞれの波長間の相対遅延時間差(到達時間差)
が表示される。この相対遅延時間差を読み取ることによ
り被測定光ファイバ17の波長分散を求めることができ
る。
【0009】波長分散Dは各波長差Δλ、各波長間の相
対遅延時間差ΔT及びファイバ長Lを用いて D=(1/L)・(ΔT/Δλ) … …(1) と表すことができる。したがって、各波長間の相対遅延
時間差ΔTと各波長差Δλの比を測定することにより波
長分散Dを求めることができる。
【0010】また、差分法は、波長可変レーザ光を同一
周波数の正弦波信号で強度変調した後、被測定光ファイ
バに入射させ、このレーザ光の波長を変えることにより
生じる出力光の位相差を移相器とリサージュ波形より求
め、この位相差から被測定光ファイバの波長分散を求め
る方法である。また、位相差法は、波長が異なる2つの
プローブ光を同一周波数で変調し、被測定光ファイバに
同時に入射させ、該被測定光ファイバ伝播中に受けた変
調信号のそれぞれの遅延位相差を測定し、さらに波長を
掃引することにより、被測定光ファイバの波長分散を求
める方法である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の非線
形係数測定装置1においては、被測定光ファイバ17全
体の非線形係数の総和を求めるだけであり、また、波長
分散測定装置21においても、被測定光ファイバ17全
体の総波長分散値を求めるだけである。したがって、該
被測定光ファイバ17のパラメータの長手方向の分布を
求めることができない。最近になって長手方向の分布が
得られている光ファイバのパラメータとしては歪み(参
考文献:倉嶋ら、NTT R&D Vol.41,NO.12,1445,1992)
と、計算結果のみではあるが複屈折(参考文献:W.Zhao
et al.,Optics Letter Vol.17,NO.12,856,1992)があ
るが、非線形係数及び波長分散値については平均的な
値、すなわち総和の値を被測定ファイバの長さで割った
値しか得られていないのが現状である。
【0012】非線形係数及び波長分散値においては、総
和あるいは平均の値は受信端において補償を行う場合等
については有効であるが、非線形光学効果と波長分散の
効果を積極的に利用する場合、例えば光パルス圧縮や、
光ソリトン等においては、光ファイバの非線形係数及び
波長分散値の長手方向の局所的な分布によって光の波形
が決定するため平均的な値では不十分である。さらに、
光ファイバの長手方向の局所的な分布が測定できれば、
光ファイバ線路の保守運営においても有効な故障予知方
法となり得ると考えられるが、いまだ成されていないの
が現状である。
【0013】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、光ファイバの非線形係数、波長分散等のパラ
メータの長手方向分布を求めることができる光ファイバ
パラメータの長手方向分布測定装置を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な光ファイバパラメータの長手方向
分布測定装置を採用した。すなわち、請求項1記載の光
ファイバパラメータの長手方向分布測定装置は、被測定
光ファイバに複数の偏波光を入射し、該被測定光ファイ
バから出射する変調した偏波光を測定することにより該
被測定光ファイバのパラメータの長手方向分布を求める
測定装置であって、直線偏波光を出力する第1の光源
と、直線偏波した単一矩形波光を出力する第2の光源
と、前記被測定光ファイバから出射する変調した偏波光
の透過光強度を最大または最小にする光学アナライザ
と、該光学アナライザを透過する光を受光する受光素子
と、該受光素子が受光する光の位相の時間変化を光強度
の時間依存性により求める位相時間変化測定手段とを備
え、前記被測定光ファイバの一端部に直線偏波光を、他
端部に直線偏波した単一矩形波光をそれぞれ入射し、該
被測定光ファイバの他端部から出射する変調した直線偏
波光の位相の時間変化を測定することにより該被測定光
ファイバのパラメータの長手方向分布を求めることを特
徴としている。
【0015】また、請求項2記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置は、被測定光ファイバに複数
の偏波光を入射し、該被測定光ファイバから出射する変
調した偏波光を測定することにより該被測定光ファイバ
のパラメータの長手方向分布を求める測定装置であっ
て、直線偏波光を出力する第1の光源と、直線偏波した
単一矩形波光を出力する第2の光源と、周波数変調また
は位相変調した直線偏波光を出力する第3の光源と、前
記被測定光ファイバから出射する変調した偏波光の透過
光強度を最大または最小にする光学アナライザと、該光
学アナライザを透過する光を受光する受光素子と、該受
光素子が受光する光の位相変化の直流成分及び変調周波
数成分を測定する測定手段とを備え、前記被測定光ファ
イバの一端部に直線偏波光と、周波数変調または位相変
調した直線偏波光を、また、他端部に直線偏波した単一
矩形波光をそれぞれ入射し、該被測定光ファイバの他端
部から出射する直線偏波光の位相変化の直流成分及び変
調周波数成分を測定することにより該被測定光ファイバ
のパラメータの長手方向分布を求めることを特徴として
いる。
【0016】また、請求項3記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置は、請求項1または2記載の
光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置におい
て、前記光学アナライザの入力側に、前記被測定光ファ
イバの寄生複屈折を補償する複屈折補償手段を設けたこ
とを特徴としている。
【0017】また、請求項4記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置は、請求項1または2記載の
光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置におい
て、前記第1の光源の出力する直線偏波光を狭帯域幅の
直線偏波光とし、前記第2の光源の出力する直線偏波し
た単一矩形波光を前記第1の光源の出力する直線偏波光
とは波長の異なる狭帯域幅の直線偏波した単一矩形波光
とし、前記光学アナライザの入力側または出力側のいず
れかに、狭帯域幅の光学的濾波器を設けたことを特徴と
している。
【0018】また、請求項5記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置は、請求項1または2記載の
光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置におい
て、前記第2の光源の出力する直線偏波した単一矩形波
光を、直線偏波した台形波形の単一光パルスとしたこと
を特徴としている。
【0019】
【作用】本発明の請求項1記載の光ファイバパラメータ
の長手方向分布測定装置では、前記被測定光ファイバの
一端部に直線偏波光を、他端部に直線偏波した単一矩形
波光をそれぞれ入射する。被測定光ファイバでは、直線
偏波した単一矩形波光の強度によって直線偏波光の位相
が相互位相変調により変化するので、該被測定光ファイ
バの他端部から出射する変調した直線偏波光の位相の時
間変化を測定することにより該被測定光ファイバの非線
形係数の長手方向分布を求める。
【0020】この場合、直線偏波した単一矩形波光は単
一パルスであるから、進行速度から換算すれば被測定光
ファイバのどの位置に存在するのかがわかる。したがっ
て、測定時刻を選び、時間を追って測定することによ
り、直線偏波した単一矩形波光の矩形幅に相当する範囲
を単位とする被測定光ファイバの長手方向の分布を求め
ることが可能になる。
【0021】また、相互位相変調による直線偏波光の位
相変化を測定するためには、直線偏波した単一矩形波光
と直線偏波光の偏光面を45度ずらして入射するのが好
ましい。直線偏波した単一矩形波光を入射することによ
り被測定光ファイバは複屈折媒体となり、該被測定光フ
ァイバから出射する直線偏波光は楕円偏光となる。した
がって、直交ニコル状態に設定されている光学アナライ
ザを透過し、この透過光強度により相互位相変調による
位相変化を求めることが可能になる。
【0022】また、請求項2記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置では、前記被測定光ファイバ
の一端部に直線偏波光と、周波数変調または位相変調し
た直線偏波光を、また、他端部に直線偏波した単一矩形
波光をそれぞれ入射する。被測定光ファイバでは、波長
分散の効果により周波数変調が強度変調に変換され、し
たがって、直線偏波光は直線偏波した単一矩形波光の強
度、周波数変調光の強度、及び波長分散による強度変調
成分の和に比例して位相が変化する。また、光学アナラ
イザを透過する偏波光は直流成分と、変調周波数で振動
する振動成分とから構成されているので、これらを分離
して同時に測定することにより、直流成分より非線形係
数を、振動成分より波長分散値を同時に測定することが
可能になる。これより、被測定光ファイバの非線形係数
の長手方向の分布、及び波長分散の長手方向の分布を同
時に求めることが可能になる。
【0023】また、請求項3記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置では、前記光学アナライザの
入力側に、前記被測定光ファイバの寄生複屈折を補償す
る複屈折補償手段を設けたことにより、被測定光ファイ
バに相互位相変調以外の効果による複屈折がある場合に
おいても位相差を補償する。これより、被測定光ファイ
バの複屈折に起因する誤差を除去する。
【0024】また、請求項4記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置では、前記第1の光源の出力
する直線偏波光を狭帯域幅の直線偏波光とし、前記第2
の光源の出力する直線偏波した単一矩形波光を前記第1
の光源の出力する直線偏波光とは波長の異なる狭帯域幅
の直線偏波した単一矩形波光とし、前記光学アナライザ
の入力側または出力側のいずれかに、狭帯域幅の光学的
濾波器を設けたことにより、被測定光ファイバ中におけ
る2つの波長の光のビート長の相違に起因する誤差を低
減し、精度のよい測定が可能になる。
【0025】また、請求項5記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置では、前記第2の光源の出力
する直線偏波した単一矩形波光を、直線偏波した台形波
形の単一光パルスとしたことにより、直線偏波した単一
矩形波光の周波数チャープ及び緩和振動に起因するそれ
ぞれの誤差を低減し、精度のよい測定が可能になる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の各実施例の光ファイバパラメ
ータの長手方向分布測定装置について説明する。 (実施例1) 図1は本発明の実施例1の光ファイバの非線形係数の長
手方向分布測定装置(以下、単に非線形係数分布測定装
置と略称する)を示す構成図である。この非線形係数分
布測定装置31は、波長λ0のポンプ光(直線偏波した
単一矩形波光)を出射する高出力レーザ(第2の光源)
32、波長λ1のCWプローブ光(直線偏波光)を出射
する半導体レーザ(第1の光源)33、光ファイバ増幅
器4、ゲートスイッチ35、第1の光学ポラライザ3
、光学アナライザ37、光学アイソレータ8,8、方
向性結合器9、光学バンドパスフィルタ11、受光器1
4、時間変化測定回路(位相時間変化測定手段)38
第2の光学ポラライザ39により構成されている。な
お、17は被測定光ファイバである。
【0027】ここでは、高出力レーザ32と半導体レー
ザ33の波長を互いに異なるものとしたが、これはプロ
ーブ光を分離するためであるから、プローブ光が分離で
きれば同一の波長でもかまわない。また、簡単化するた
めに被測定光ファイバ17の全損失、損失分布を無視し
ているが、測定に先だって、該被測定光ファイバ17の
全損失値を測定してその値から該被測定光ファイバ17
の長手方向の損失依存性を決定するか、または反射型損
失分布測定器(Optical Time Domain Reflectometry)
を用いて正確に長手方向の損失分布を測定し、後に損失
の影響を差し引いてもよい。
【0028】次に、この非線形係数分布測定装置31を
用いて光ファイバの非線形係数の長手方向分布を測定す
る方法について説明する。まず、半導体レーザ33より
出射する波長λ1のCWプローブ光を第2の光学ポララ
イザ39を介して被測定光ファイバ17に入射し、受光
器14でこの光強度を検出する。ここでは、CWプロー
ブ光の光強度は非線形光学効果を受けないように小さい
ものとし、この光強度は既知であるか、前もって測定を
しておくこととする。
【0029】次に、受光器14に入射する透過光強度が
最大となるように光学アナライザ37を回転させ、この
光強度が最大となる角度において時間変化測定回路38
により最大電圧を測定する。これによりこの非線形係数
分布測定装置31における光学デバイスの損失及び受光
器14の変換効率を設定する。次に、光学アナライザ3
7を最大電圧が得られる角度から90度回転させる。こ
の角度において光学アナライザ37を透過するCWプロ
ーブ光の光強度が最小となる。そこで、光学アナライザ
37の角度をこの角度、すなわちCWプローブ光の光強
度が最小となる角度に固定する。
【0030】このような状態において、高出力レーザ3
2より出射する波長λ0の光強度既知のポンプ光を、
1の光学ポラライザ36を用いて、被測定光ファイバ1
7から出射するCWプローブ光の偏光面に対して45度
回転した偏光面を有する直線偏光とし、このポンプ光を
被測定光ファイバ17に入射する。
【0031】このポンプ光は、図2に示すような矩形波
であり、この矩形幅は入射光強度により設定される。そ
の理由は、非線形光学効果の最短有効長が光強度の逆数
に比例し、ポンプ光の矩形幅が最短有効長より狭いと非
線形光学効果が起きないからである。例えばポンプ光強
度が10mW、非線形係数が20/W/kmであるとす
ると最短有効長は5kmとなり、ゲートスイッチ35を
開ける時間は最短で25μsとなる。前記ポンプ光を被
測定光ファイバ17に入射すると、矩形波の存在する位
置において非線形光学効果が起きる。
【0032】ここで、図2に示すように、ある時刻t1
において被測定光ファイバ17の右端の領域R1に矩形
状のポンプ光pが存在するとする。この時、この領域R
1に非線形光学効果が起き、この領域R1の屈折率が変
化する。この屈折率変化は、矩形波であるポンプ光p強
度に比例したプローブ光の位相変化、すなわち相互位相
変調(Cross Phase Modulation:XPM)として現れる。
【0033】プローブ光とポンプ光は偏光面が45度ず
れているので、図3に示すように、ポンプ光の偏光面と
平行な成分のプローブ光の振幅と、ポンプ光の偏光面と
垂直な成分の振幅は等しい。一般に、非線形光学効果が
純粋に石英ガラス中の電子的な効果であると仮定した場
合、ポンプ光の偏光面と平行な3次の非線形感受率の成
分は、垂直な成分の3倍であることが知られている。し
たがって、光ファイバ中においては、ポンプ光と平行な
偏光面のプローブ直線偏光と、垂直なプローブ直線偏光
では相互位相変調による位相変化に差が生じることとな
る。つまり、ポンプ光を入射することにより光ファイバ
に複屈折が生じるのである。
【0034】この位相差は非線形係数及びポンプ光強度
に比例するので、被測定光ファイバ17を出射した光は
この位相差の影響により楕円偏光となり、光学アナライ
ザ37を透過する。この透過光強度は位相差の正弦関数
の2乗に比例する。この透過した光は受光器14で光電
変換され、その電圧が時間変化測定回路38において測
定される。ここで、位相変化の測定に複屈折の効果を用
いるのは、相互位相変調の効果が光の位相のオーダーで
起きるため、光の位相差を直接反映する複屈折が良いプ
ローブとなるからである。
【0035】次に、測定時刻T1(約2t1)において測
定した直流電圧をプローブ光強度の電圧で除した後1/
2乗し、正弦関数を逆演算した後、矩形幅、係数2/
3、ポンプ光強度と周波数変調光のCW部分の強度の和
を除すれば、図2中被測定光ファイバ17の領域R1の
非線形係数が求められる。なお、測定時刻T1(約2
1)は、正確にはポンプ光とプローブ光では波長が違
うので、波長分散による速度差が存在するが、光の群速
度の値に比べれば十分無視できる差である。
【0036】次に、時刻T2において、図4に示すよう
に領域R2に矩形状のポンプ光pが存在するとする。上
記と同様に測定時刻T2において測定した直流電圧から
領域R2の非線形係数が求められる。このような測定を
順次行うことにより、被測定光ファイバ17の非線形係
数の長手方向の分布を求めることができる。
【0037】以上説明したように、本実施例1の非線形
係数分布測定装置31によれば、高出力レーザ32と、
半導体レーザ33と、光ファイバ増幅器4と、ゲートス
イッチ35と、第1の光学ポラライザ36と、光学アナ
ライザ37と、光学アイソレータ8,8と、方向性結合
器9と、光学バンドパスフィルタ11と、受光器14
と、時間変化測定回路38と、第2の光学ポラライザ3
9とから構成したので、被測定光ファイバ17の非線形
係数の長手方向分布を求めることができる。しかも、測
定時刻を選び、時間を追って順次測定することにより、
ポンプ光pの矩形幅に相当する範囲を単位とする被測定
光ファイバ17の長手方向の分布を求めることができ
る。
【0038】(実施例2) 図5は本発明の実施例2の光ファイバパラメータの長手
方向分布測定装置(以下、単にパラメータ分布測定装置
と略称する)を示す構成図である。このパラメータ分布
測定装置41は、光ファイバの非線形係数及び波長分散
各々の長手方向の分布を同時に測定するもので、波長λ
0の直線偏波光を出射するレーザ42を備えた周波数変
調装置(第3の光源)43、波長λ0のポンプ光を出射
する高出力レーザ32、波長λ1のCWプローブ光を出
射する半導体レーザ33、光ファイバ増幅器4、ゲート
スイッチ35、第1の光学ポラライザ36、光学アナラ
イザ37、第2の光学ポラライザ39、光学アイソレー
タ8,8,8、方向性結合器9,9、光学バンドパスフ
ィルタ11、受光器14、直流電圧計44、電気のバン
ドパスフィルタ45、交流電圧計46、第3の光学ポラ
ライザ47により構成されている。なお、17は被測定
光ファイバである。ここでは、直流電圧計44、電気の
バンドパスフィルタ45及び交流電圧計46により、光
の位相変化の直流成分及び変調周波数成分を測定する測
定手段が構成されている。
【0039】次に、このパラメータ分布測定装置41を
用いて光ファイバの非線形係数及び波長分散各々の長手
方向の分布を同時に測定する方法について説明する。こ
こでは、波長λ1のCWプローブ光の光学系の設定、す
なわち第1の光学ポラライザ36、第2の光学ポラライ
ザ39及び光学アナライザ37を設定するまでは実施例
1と同一である。この設定の後、周波数変調装置43よ
り出射する波長λ0の強度一定の周波数変調光を被測定
光ファイバ17に入射する。ここでは、この周波数変調
光の光強度も既知であるか、または前もって測定をして
おくこととする。ただし、周波数変調光の光強度は光フ
ァイバの非線形光学効果が起きない範囲内で最大の強度
に設定する。さらに、波長λ0の周波数変調光の入射偏
光面を、第3の光学ポラライザ47を用いて、波長λ1
のCWプローブ光の入射偏光面と45度ずれた角度に設
定する。
【0040】波長λ0の周波数変調光が被測定光ファイ
バ17中を伝搬する場合、波長分散の効果により、図6
に示すように周波数変調の変調指数、変調周波数の2乗
に比例した強度変調成分が現れることとなる。しかし、
この周波数変調光は光学バンドパスフィルタ11により
カットされるために、受光器14では検出されない。
【0041】このような状態において、高出力レーザ3
より出射する波長λ0の強度既知のポンプ光を第1の
光学ポラライザ36を用いて、周波数変調光と同一の偏
光状態、すなわちCWプローブ光の偏光面に対して45
度回転した偏光面を有する直線偏光とし、このポンプ光
を被測定光ファイバ17に入射する。
【0042】このポンプ光は矩形波であり、該ポンプ光
を被測定光ファイバ17に入射すると、矩形波の存在す
る位置において非線形光学効果が起きる。ここで、図2
に示すように、ある時刻t1において被測定光ファイバ
17の右端の領域R1に矩形状のポンプ光pが存在する
とする。この領域R1の光強度は、図7に示すようにバ
イアス部分と振動部分とに分けることができ、バイアス
部分は矩形波ポンプ光の強度と周波数変調光のCW強度
とに分けることができる。
【0043】振動部分は、周波数変調光の強度と波長分
散値に比例し、変調周波数、及びその整数倍の周波数で
振動する。したがって図2の領域R1において引き起こ
される相互位相変調による位相変化は、矩形波ポンプ光
の強度と周波数変調光のCW光強度の和に比例したバイ
アス項、及び周波数変調光強度と波長分散値の積に比例
した振動項を用いて表される。ここでは、実施例1と同
様、被測定光ファイバ17を出射した光はこの位相差の
影響により楕円偏光となるので、光学アナライザ37を
透過することができる。
【0044】この透過光を受光器14において光電変換
し、直流成分、すなわち位相差のバイアス部分を直流電
圧計44で測定する。また、振動成分の変調周波数成分
のみをバンドパスフィルタ45を通過させ、交流電圧計
46により測定する。ここで、測定時刻T1において測
定した直流電圧を、周波数変調光の強度を考慮して実施
例1と同様に処理すれば、被測定光ファイバ17の領域
R1の非線形係数を求めることができる。また、交流電
圧計で測定した電圧をプローブ光強度の電圧で除し、係
数2/3、上述した非線形係数、矩形幅、周波数変調光
の強度、上述した出射プローブ光の位相差の直流成分の
正弦関数値、周波数変調の変調指数、変調周波数の2乗
を除すると、図2中の被測定光ファイバ17の左端(R
6)から領域R1までの総波長分散値が求められる。
【0045】次の時刻T2において、図4に示すように
領域R2に矩形波が存在するとする。領域R1と同様
に、直流電圧から領域R2の非線形係数が、また、交流
電圧から被測定光ファイバ17の左端(R6)から領域
R2までの総波長分散値が得られる。ここで、時刻T1
で求めた被測定光ファイバ17の左端(R6)から領域
R1までの総波長分散値から、時刻T2で求めた被測定
光ファイバ17の左端(R6)から領域R2までの総波
長分散値を差し引くと、領域1のみの波長分散値が求め
られる。
【0046】このように、順次、時刻を変えて直流電
圧、交流電圧を測定していくと、図8に示すような光フ
ァイバのパラメータの長手方向分布を求めることができ
る。ここで、図8(a)は各測定時刻における光ファイ
バの非線形係数を示したもので、図8(b)は各測定時
刻における光ファイバの総波長分散値を示したものであ
る。
【0047】図8(b)において、測定時刻T1の総波
長分散値から測定時刻T2の総波長分散値を引けば領域
R1のみの波長分散値が求められ、測定時刻T2の総波
長分散値から測定時刻T3の総波長分散値を引けば領域
R2のみの波長分散値が求められる。したがって、この
手法を繰り返し続けて行くと、図9に示すような波長分
散値の長手方向の分布を得ることができる。ここで求め
る透過光強度による電圧と、光ファイバ入射前のプロー
ブ光強度による電圧との比は、簡単に見積もると直流成
分の場合3.8×10-1、変調周波数成分の場合2.6
×10-3であり、十分測定可能である。ここでは、非線
形係数を20/W/km、ポンプ光の矩形幅を5km、
ポンプ光強度を10mW、周波数変調光の強度を1m
W、周波数変調指数を10、波長分散値を15ps/n
m/km、変調周波数を1GHz、波長分散値を測定す
る位置を周波数変調光源から2番目に近い位置とした。
【0048】図6からわかるように、波長分散による強
度変調の振幅は周波数変調光源に近ければ近いほど小さ
いため、波長分散値の測定精度は周波数変調光源に近け
れば近いほど精度が落ちる。ここで行った概算はしたが
って精度が良くない方のものである。光ファイバの周波
数変調光源から遠い部分では、ここで行った概算より測
定精度が向上する。
【0049】以上説明したように、本実施例2のパラメ
ータ分布測定装置41によれば、レーザ42を備えた周
波数変調装置43と、高出力レーザ32と、半導体レー
ザ33と、光ファイバ増幅器4と、ゲートスイッチ35
と、第1の光学ポラライザ36と、光学アナライザ37
と、第2の光学ポラライザ39と、光学アイソレータ
8,8,8と、方向性結合器9,9と、光学バンドパス
フィルタ11と、受光器14と、直流電圧計44と、電
気のバンドパスフィルタ45と、交流電圧計46と、第
3の光学ポラライザ47により構成したので、被測定光
ファイバ17の非線形係数及び波長分散値各々の長手方
向分布を同時に求めることができる。しかも、測定時刻
を選び、時間を追って順次測定することにより、ポンプ
光pの矩形幅に相当する範囲を単位とする被測定光ファ
イバ17の長手方向の分布を求めることができる。
【0050】(実施例3)実施例3の光ファイバパラメ
ータの長手方向分布測定装置は、図10に示すように、
実施例1の非線形係数分布測定装置31または実施例2
のパラメータ分布測定装置41において、光学アナライ
ザ37の入力側に、前記被測定光ファイバ17の寄生複
屈折を補償する複屈折補償器51を設けたものである。
この複屈折補償器51としては、例えば、セナルモン補
償器が好適に挙げられる。
【0051】このセナルモン補償器は、任意の位相差に
よる楕円偏光に対し、楕円偏光の主軸と45度の角度に
補償器の主軸を合わせれば、楕円偏光をその位相差に対
応する方位角の直線偏光に変換する素子である。したが
って、光学アナライザ37の入力側にセナルモン補償器
等を設置し、周波数変調光、ポンプ光を入射する前に相
互位相変調以外の効果による楕円偏光を直線偏光に変換
し、その角度に補償器を固定し、さらに補償器を出射す
る直線偏光の方位角と直交する角度に光学アナライザ3
7を固定すれば、相互位相変調以外の効果による位相差
を補償することができる。
【0052】ここで、被測定ファイバの複屈折について
説明する。上述した非線形係数分布測定装置31または
パラメータ分布測定装置41に生じる特有な誤差とし
て、相互位相変調以外の効果による被測定ファイバ17
の複屈折がある。例えば、被測定光ファイバ17に異方
性の圧力がかかり、光弾性効果により複屈折が生じる場
合などである。また光ファイバはその製造行程の不完全
さのため、微小な複屈折が存在することが知られてい
る。上述した実施例1,2においては、最初にプローブ
光のみでアナライザを回転させて強度を最小とし、相互
位相変調以外の効果による複屈折がある場合は、最初の
段階で光が透過しているので、相互位相変調の効果によ
る複屈折はこの最初の透過光強度からの変化量として求
めることができる。しかし、もっと精度を上げるために
は、光学アナライザ37の入力側にセナルモン補償器等
を設置し、相互位相変調以外の効果による位相差を補償
する必要がある。
【0053】この実施例3の光ファイバパラメータの長
手方向分布測定装置によれば、光学アナライザ37の入
力側に、前記被測定光ファイバ17の寄生複屈折を補償
する複屈折補償器51を設けたので、相互位相変調以外
の効果による位相差を補償することができ、したがっ
て、光ファイバの複屈折に起因する誤差を除去すること
ができる。
【0054】なお、この実施例3においては、ポンプ光
の偏光面を出射プローブ光の偏光面に対して調整するこ
とはできないが、ポンプ光をプローブ光と同方向より入
射し、両光の偏光面を調整するか、または光ファイバに
寄生する複屈折を別な方法で求めておき、光学アナライ
ザ37の角度から換算することにより解決することがで
きる。この場合は、プローブ光と対向する位置よりポン
プ光を入射してもよい。
【0055】(実施例4)実施例4の光ファイバパラメ
ータの長手方向分布測定装置は、実施例1の非線形係数
分布測定装置31または実施例2のパラメータ分布測定
装置41において、高出力レーザ32及び半導体レーザ
33各々を狭帯域幅のレーザとし、光学バンドパスフィ
ルタ(光学的濾波器)11の半値幅を狭くしたものであ
る。この光学バンドパスフィルタ11では、フィルタの
通過帯域幅を数GHzにする必要があり、例えば、ファ
ブリペロフィルタ等が好適に用いられる。
【0056】ここで、狭帯域幅とした理由を説明する。
上述した実施例1,2において生じる特有な誤差とし
て、ポンプ光とプローブ光の波長が異なることより生じ
る、光ファイバ中における2つの波長の光のビート長の
相違がある。ビート長に相違があると、光ファイバ中に
おいてポンプ光とプローブ光では偏光状態の変化の仕方
が異なるために、光ファイバ中において両光の偏光状態
の関係が保持されなくなる。この時、両光の位相差に誤
差が生じ、測定の精度が低下することとなる。
【0057】そこで、本実施例4においては、ビート長
の相違は問題にはならないように、狭帯域幅のレーザを
用い、ポンプ光とプローブ光の光の周波数差を狭くす
る。ビート長は波長に比例する値なので、両光の波長が
近接するように設定すればビート長の相違は問題になら
なくなり、無視することができる。例えば、光の周波数
差を数百GHz程度に設定すると波長差で1nm以下と
なる。いま光ファイバの複屈折のオーダーを10-6とす
ると、ビート長は波長1.5μmで数m、波長の違う両
方の光のビート長の差は1mm以下となり、ビート長の
相違による光の位相差は無視できる。
【0058】この実施例4の光ファイバパラメータの長
手方向分布測定装置によれば、高出力レーザ32及び半
導体レーザ33各々を狭帯域幅のレーザとし、光学バン
ドパスフィルタ11の半値幅を狭くしたので、2つの波
長の光のビート長の相違に起因する誤差を取り除くこと
ができ、測定精度を向上させることができる。なお、半
値幅の狭い光学バンドパスフィルタ11の位置は、光学
アナライザ37の入力側または出力側のいずれでもよ
い。
【0059】(実施例5)実施例5の光ファイバパラメ
ータの長手方向分布測定装置は、実施例2のパラメータ
分布測定装置41において、高出力レーザ32から出射
される直線偏波した単一矩形波光を、直線偏波した台形
波形の単一光パルスとしたものである。
【0060】ここで、台形波形の単一光パルスとした理
由を説明する。上述した実施例2においては、ポンプ光
の矩形波の立ち上がり、立ち下がりにおける自己位相変
調の影響による周波数チャープがあり、この周波数チャ
ープが周波数変調光の周波数偏移と混合し、誤差が生じ
る一因となる。また、ポンプ光の矩形波の立ち上がり、
立ち下がりにおいて緩和振動が起こり、この緩和振動が
波長分散の効果による強度変調成分と重畳することによ
り誤差が生じる。
【0061】そこで、これらの誤差を取り除くために、
ポンプ光の矩形波の立ち上がり、立ち下がりを緩慢にす
る。なぜならば、自己位相変調による周波数チャープは
光強度の時間微分に比例しているからであり、緩和振動
も立ち上がりが緩慢であれば起きないからである。例え
ば、矩形波の立ち上がりを5μs、非線形係数を20/
W/km、ポンプ光強度を10mWとすると、周波数チ
ャープは8MHzとなり、半導体レーザの変調しない場
合の線幅程度になる。また、緩和振動の周期はpsのオ
ーダーであり、μsの立上り時間の後に測定すれば、こ
の影響による誤差も抑制される。この場合、測定時間を
ポンプ光強度が一定である時間内で行う必要がある。例
えば、上記の例で立ち上がり時間を5μsとした場合、
非線形光学効果の最短有効長は5km(ゲート開き時間
で最小25μs)となり、十分長く緩和振動に起因する
誤差を取り除くことが可能である。
【0062】この実施例5の光ファイバパラメータの長
手方向分布測定装置によれば、高出力レーザ32から出
射される直線偏波した単一矩形波光を、直線偏波した台
形波形の単一光パルスとしたので、周波数チャープ及び
緩和振動に起因するそれぞれの誤差を取り除くことがで
き、測定精度を向上させることができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置に
よれば、直線偏波光を出力する第1の光源と、直線偏波
した単一矩形波光を出力する第2の光源と、前記被測定
光ファイバから出射する変調した偏波光の透過光強度を
最大または最小にする光学アナライザと、該光学アナラ
イザを透過する光を受光する受光素子と、該受光素子が
受光する光の位相の時間変化を光強度の時間依存性によ
り求める位相時間変化測定手段とを備え、前記被測定光
ファイバの一端部に直線偏波光を、他端部に直線偏波し
た単一矩形波光をそれぞれ入射し、該被測定光ファイバ
の他端部から出射する変調した直線偏波光の位相の時間
変化を測定することとしたので、被測定光ファイバの非
線形係数の長手方向分布を求めることができる。しか
も、測定時刻を選び、時間を追って測定することによ
り、直線偏波した単一矩形波光の矩形幅に相当する範囲
を単位とする被測定光ファイバの長手方向の分布を求め
ることができる。
【0064】また、請求項2記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置によれば、直線偏波光を出力
する第1の光源と、直線偏波した単一矩形波光を出力す
る第2の光源と、周波数変調または位相変調した直線偏
波光を出力する第3の光源と、前記被測定光ファイバか
ら出射する変調した偏波光の透過光強度を最大または最
小にする光学アナライザと、該光学アナライザを透過す
る光を受光する受光素子と、該受光素子が受光する光の
位相変化の直流成分及び変調周波数成分を測定する測定
手段とを備え、前記被測定光ファイバの一端部に直線偏
波光と、周波数変調または位相変調した直線偏波光を、
また、他端部に直線偏波した単一矩形波光をそれぞれ入
射し、該被測定光ファイバの他端部から出射する直線偏
波光の位相変化の直流成分及び変調周波数成分を測定す
ることとしたので、被測定光ファイバの非線形係数の長
手方向の分布、及び波長分散の長手方向の分布それぞれ
を同時に求めることができる。
【0065】また、請求項3記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置によれば、前記光学アナライ
ザの入力側に、前記被測定光ファイバの寄生複屈折を補
償する複屈折補償手段を設けたので、被測定光ファイバ
に相互位相変調以外の効果による複屈折がある場合にお
いても位相差を補償することができ、被測定光ファイバ
の複屈折に起因する誤差を除去することができる。
【0066】また、請求項4記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置によれば、前記第1の光源の
出力する直線偏波光を狭帯域幅の直線偏波光とし、前記
第2の光源の出力する直線偏波した単一矩形波光を前記
第1の光源の出力する直線偏波光とは波長の異なる狭帯
域幅の直線偏波した単一矩形波光とし、前記光学アナラ
イザの入力側または出力側のいずれかに狭帯域幅の光学
的濾波器を設けたので、被測定光ファイバ中における2
つの波長の光のビート長の相違に起因する誤差を低減す
ることができ、精度のよい測定を行うことができる。
【0067】また、請求項5記載の光ファイバパラメー
タの長手方向分布測定装置によれば、前記第2の光源の
出力する直線偏波した単一矩形波光を、直線偏波した台
形波形の単一光パルスとしたので、直線偏波した単一矩
形波光の周波数チャープ及び緩和振動に起因するそれぞ
れの誤差を低減することができ、精度のよい測定を行う
ことができる。
【0068】以上により、今まで得られなかった非線形
係数及び波長分散値の長手方向の分布を同時に測定する
ことができる光ファイバパラメータの長手方向分布測定
装置を提供することができ、しかも測定系が簡単かつ便
利である。また、光ファイバの非線形係数及び波長分散
値の長手方向の分布が測定できるため、非線形光学効果
と波長分散効果を積極的に利用する光パルス圧縮や光ソ
リトンの効果を用いた伝送路の実現に対して有効であ
る。また、光ファイバ線路の保守において有効な故障予
知探索方法と成り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の非線形係数分布測定装置
を示す構成図である。
【図2】 被測定光ファイバの入射端の領域に矩形状の
ポンプ光が存在する有様を示す模式図である。
【図3】 ポンプ光の偏光面とプローブ光の振幅との関
係を示す説明図である。
【図4】 被測定光ファイバの入射端から2番目の領域
に矩形状のポンプ光が存在する有様を示す模式図であ
る。
【図5】 本発明の実施例2のパラメータ分布測定装置
を示す構成図である。
【図6】 周波数変調光が被測定光ファイバ中を伝搬す
る際に発生する強度変調成分を示す図である。
【図7】 矩形状のポンプ光の光強度の成分を示す模式
図である。
【図8】 被測定光ファイバの非線形係数及び総波長分
散値の長手方向の分布を示す図である。
【図9】 被測定光ファイバの波長分散値の長手方向の
分布を示す図である。
【図10】 本発明の実施例3のパラメータ分布測定装
置を示す部分構成図である。
【図11】 従来の非線形係数測定装置を示す構成図で
ある。
【図12】 従来の波長分散測定装置を示す構成図であ
る。
【符号の説明】
31 非線形係数分布測定装置(光ファイバパラメータ
の長手方向分布測定装置) 4 光ファイバ増幅器 8 光学アイソレータ 9 方向性結合器 11 光学バンドパスフィルタ 14 受光器 17 被測定光ファイバ 32 高出力レーザ(第2の光源) 33 半導体レーザ(第1の光源) 35 ゲートスイッチ36 第1の光学ポラライザ 37 光学アナライザ 38 時間変化測定回路(位相時間変化測定手段)39 第2の光学ポラライザ 41 パラメータ分布測定装置(光ファイバパラメータ
の長手方向分布測定装置) 42 直線偏波光を出射するレーザ 43 周波数変調装置(第3の光源) 44 直流電圧計 45 電気のバンドパスフィルタ 46 交流電圧計47 第3の光学ポラライザ 51 複屈折補償器 P ポンプ光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−82133(JP,A) 特開 平2−6725(JP,A) 特開 昭60−185132(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/08 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定光ファイバに複数の偏波光を入射
    し、該被測定光ファイバから出射する変調した偏波光を
    測定することにより該被測定光ファイバのパラメータの
    長手方向分布を求める測定装置であって、 直線偏波光を出力する第1の光源と、 直線偏波した単一矩形波光を出力する第2の光源と、 前記被測定光ファイバから出射する変調した偏波光の透
    過光強度を最大または最小にする光学アナライザと、 該光学アナライザを透過する光を受光する受光素子と、 該受光素子が受光する光の位相の時間変化を光強度の時
    間依存性により求める位相時間変化測定手段とを備え、 前記被測定光ファイバの一端部に直線偏波光を、他端部
    に直線偏波した単一矩形波光をそれぞれ入射し、該被測
    定光ファイバの他端部から出射する変調した直線偏波光
    の位相の時間変化を測定することにより該被測定光ファ
    イバのパラメータの長手方向分布を求めることを特徴と
    する光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置。
  2. 【請求項2】 被測定光ファイバに複数の偏波光を入射
    し、該被測定光ファイバから出射する変調した偏波光を
    測定することにより該被測定光ファイバのパラメータの
    長手方向分布を求める測定装置であって、 直線偏波光を出力する第1の光源と、 直線偏波した単一矩形波光を出力する第2の光源と、 周波数変調または位相変調した直線偏波光を出力する第
    3の光源と、 前記被測定光ファイバから出射する変調した偏波光の透
    過光強度を最大または最小にする光学アナライザと、 該光学アナライザを透過する光を受光する受光素子と、 該受光素子が受光する光の位相変化の直流成分及び変調
    周波数成分を測定する測定手段とを備え、 前記被測定光ファイバの一端部に直線偏波光と、周波数
    変調または位相変調した直線偏波光を、また、他端部に
    直線偏波した単一矩形波光をそれぞれ入射し、該被測定
    光ファイバの他端部から出射する直線偏波光の位相変化
    の直流成分及び変調周波数成分を測定することにより該
    被測定光ファイバのパラメータの長手方向分布を求める
    ことを特徴とする光ファイバパラメータの長手方向分布
    測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の光ファイバパラ
    メータの長手方向分布測定装置において、 前記光学アナライザの入力側に、前記被測定光ファイバ
    の寄生複屈折を補償する複屈折補償手段を設けたことを
    特徴とする光ファイバパラメータの長手方向分布測定装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の光ファイバパラ
    メータの長手方向分布測定装置において、 前記第1の光源の出力する直線偏波光を、狭帯域幅の直
    線偏波光とし、 前記第2の光源の出力する直線偏波した単一矩形波光
    を、前記第1の光源の出力する直線偏波光とは波長の異
    なる狭帯域幅の直線偏波した単一矩形波光とし、 前記光学アナライザの入力側または出力側のいずれか
    に、狭帯域幅の光学的濾波器を設けたことを特徴とする
    光ファイバパラメータの長手方向分布測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の光ファイバパラ
    メータの長手方向分布測定装置において、 前記第2の光源の出力する直線偏波した単一矩形波光
    を、直線偏波した台形波形の単一光パルスとしたことを
    特徴とする光ファイバパラメータの長手方向分布測定装
    置。
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