JP2004510719A - 化粧品及びパーソナルケア組成物 - Google Patents

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ハイドウク,ダミアン
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ニールセン,ラルフ・ビー
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ラザーフオード,キース・レスリー
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Abstract

少なくとも複数のC−C結合を含む主鎖を有するコアポリマー及び2つ以上のフランキングポリマーからなるブロックコポリマーである熱可塑性エラストマーを含む(例えば、ヘアスタイリング用)化粧品またはパーソナルケア組成物。各フランキングポリマーはコアポリマーの末端に共有結合しており、前記コポリマーは25℃の水に少なくとも1重量%のレベルで可溶性である。前記組成物は化粧品上許容され得る希釈剤または担体を含む。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、ブロックコポリマーを含む化粧品及びパーソナルケア組成物(例えば、ヘアスタイリング組成物)及びヘアトリートメントにおけるその使用に関する。
【0002】
(背景及び従来技術)
ヘアスタイリング用スプレー、ムース、ジェル、シャンプーやコンディショナーのような化粧品及びパーソナルケア組成物はしばしば、フィルム形成能、増粘化、感覚特性、整髪及び髪のセットのような各種効果を与えるために樹脂、ガム及び接着性ポリマーを含む。
【0003】
前記組成物中に使用されるポリマーは、通常各種モノマーを交互またはランダムに含む線状またはグラフトホモ−もしくはコポリマーである。
【0004】
グラフトコポリマーをヘアケア及び他のパーソナルケア組成物中にフィルム形成ポリマーとして使用することは公知である。一般的に、これらのグラフトコポリマーはポリマー主鎖及び該主鎖にグラフトさせた1つ以上のマクロモノマーから構成され、ポリマー主鎖及びマクロモノマーグラフトについてガラス転移温度や水溶性のような物理的・化学的属性は所望の全ポリマー特性を与えるように独立して選択され得る。
【0005】
例えば、国際特許出願公開第95/01383号パンフレット及び同第95/01384号パンフレットは、主鎖及び2つ以上のポリマー側鎖を有しており、ランダムな反復モノマー単位A及びBを共重合することにより形成される水またはアルコールに溶解乃至分散され得るグラフトコポリマーをヘア及びスキンケア組成物中に使用することを記載している。モノマーAは疎水性を有するように選択され、マクロモノマーBは長い親水性部分を含む。欧州特許出願公開第0412704号明細書、同第0408313号明細書及び同第0412707号明細書は、シリコーングラフト化アクリレートコポリマーをヘアケア用途に使用することを示唆している。米国特許第4,988,506号明細書は非感圧性ポリシロキサングラフト化コポリマーをヘアケア組成物中に使用することを記載している。米国特許第5,986,015号明細書は、グラフトコポリマー及び該コポリマーを含有するヘアケア組成物を記載している。
【0006】
ブロックコポリマーは、ポリマー構造をより簡単にコントロールし得る点でグラフトコポリマーよりも有利である。このことは、特定用途のために別個の物理的・化学的特性を有するセグメントでポリマーを設計する際に特に重要である。一般的に、グラフトコポリマーは多くの側鎖を有しており、ブロックコポリマーとして特徴づけられない。
【0007】
国際特許出願公開第98/53794号パンフレットは、(AB)ブロックコポリマー(式中、Aはシリコーンブロックであり、Bはビニルブロックである)を記載している。米国特許第5,271,930号明細書(Fintex Inc)は、スキン及びヘアケア組成物用のポリアルコキシル化ブロックコポリマーのベンゾエートエステル(例えば、PLURONICS(商標))を記載している。米国特許第5,472,686号明細書及び同第5,660,819号明細書(いずれもNippon Unicar)は、反復単位として線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックを含む非加水分解ブロックコポリマーを化粧品中に使用することを記載している。米国特許第5,965,115号明細書及び同第5,972,356号明細書(いずれもProcter & Gamble)は、ポリオルガノシリコーンエマルションの安定性を改善するためにシリコーン−ポリオキシアルキレンコポリマー界面活性剤をパーソナルケア組成物中に使用することを記載している。
【0008】
ABAトリブロックコポリマー(式中、Aブロックは硬質であり、Bブロックは軟質である)は通常「熱可塑性エラストマー」と称されている。前記ポリマーは、複数の相が均密に分散されている多相組成物である。この種の従来材料は、例えばSell Chemicals Companyから市販されているKraton(商標)として公知のポリ(スチレン−b−ブタジエン−b−スチレン)である。しかしながら、前記材料はトルエンのような一般的な有機溶媒には僅かしか溶解せず、水やエタノールのような化粧品上許容され得る溶媒には全く溶解しない。
【0009】
米国特許第5,980,878号明細書は、ヘア及びスキンケア組成物中に使用するための、主鎖ポリマー及び該主鎖ポリマーの長さに沿って結合した複数のポリマー側鎖を有する熱可塑性エラストマーを記載している。ここに記載されている主鎖及び複数のペンダントポリマー鎖を有するポリマーは有効なグラフトコポリマーである。
【0010】
国際特許出願第EP00/04225号明細書及び同第EP00/04429号明細書は、式[A]及び[B](ここで、Aはラジカル重合し得るモノマーから構築されるポリマーブロックであり、Bはポリシロキサンブロックである)を有する単位から構築されるポリシロキサンブロックコポリマーを記載している。前記ブロックコポリマーは化粧品及びパーソナルケア組成物中に使用され得る。
【0011】
英国特許出願公開第1425228号明細書は、ABAブロックコポリマーを含むヘアスプレーまたはヘアセットローションを記載している。前記ポリマーは水に不溶性であり、ポリマーを溶解させるためには組成物中に有機溶媒を存在させなければならない。提示されているいずれの実施例でも、Aブロックはポリ(2−ビニルピリジン)であり、典型的なBブロックはポリブタジエンである。
【0012】
英国特許出願公開第1512280号明細書は、毛髪に適用するのに適した2ブロックまたは3ブロックコポリマーを含む組成物を記載している。前記ポリマー中のAブロックは、場合により4級化されていてもよいアミノ置換メタクリレートエステルを重合して得られるホモポリマーである。いずれの実施例でも、ポリマーを溶解させるためにアルコールのような有機溶媒が必要であり、前記明細書にはコポリマーが水に可溶性であることは示唆されていない。
【0013】
本発明の目的は、従来組成物に比して有利な化粧品及びパーソナルケア組成物を提供することである。特に、本発明の目的は、化粧品及びパーソナルケア組成物中に使用するための新規ポリマーを提供することである。本発明は、比較的容易に製造され得、特定用途に対して適合され得る特性を有するポリマーを含む組成物に関する。ヘアスタイリングのために有用である本発明のヘアトリートメント組成物は長い持続力及び/または改善された感覚の点で有利であり得る
(発明の要旨)
第1の態様で、本発明は熱可塑性エラストマー及び化粧品上許容され得る希釈剤または担体を含む化粧品またはパーソナルケア組成物を提供し、前記エラストマーは少なくとも複数のC−C結合を含む主鎖を有するコアポリマー及び2つ以上のフランキングポリマーからなるブロックコポリマーであり、各フランキングポリマーはコアポリマーの末端に共有結合しており、前記コポリマーが25℃の水に少なくとも1重量%のレベルで可溶性であることを特徴とする。
【0014】
第2の態様で、本発明は本発明の組成物を毛髪に適用することを含むヘアトリートメント化粧方法を提供する。
【0015】
第3の態様で、本発明はヘアトリートメントのための本発明の組成物の使用を提供する。
【0016】
(図面の簡単な説明)
添付図面は単なる例として本発明の好ましい実施態様を示す。
【0017】
図1は、本発明の組成物中に使用され得るABAコポリマーの中間ブロックの重合後及び中間ブロックへの末端ブロックの付加後のSECトレースを示すプロットである。
図2は、本発明の組成物中に使用され得るDMA−MEAコポリマーの複素流動モジュラスGの同相(G’)成分及び違相(G”)成分を周波数(ω)の関数として示す。
【0018】
(発明の詳細説明)
本発明は、化粧品及びパーソナルケア用組成物中に使用されるポリマーの開発に関する。前記組成物は熱可塑性エラストマーを含む。前記熱可塑性エラストマーは、少なくとも複数のC−C(すなわち、炭素−炭素)結合を含む主鎖を有するコアポリマー及び2つ以上のフランキングポリマーからなる。コアポリマーの主鎖中の結合は、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、最も好ましくは95%以上(例えば、少なくとも99%)のC−C結合を含む(ここで、%は数基準である)。場合により、主鎖は100%(数基準)のC−C結合を含む。C−C結合に加えてコアポリマーの主鎖中に存在し得る他の結合の例にはC−O結合が含まれる。フランキングポリマーはコアポリマーの末端に結合している。好ましくは、フランキングポリマーは少なくとも複数のC−C(すなわち、炭素−炭素)結合を含む。フランキングポリマーの主鎖中の結合は好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、最も好ましくは95%以上(例えば、少なくとも99%)のC−C結合を含む(ここで、%は数基準である)。場合により、フランキングポリマーの主鎖は100%(数基準)のC−C結合を含んでいてもよい。C−C結合に加えてフランキングポリマーの主鎖中に存在し得る他の結合の例にはC−O結合が含まれる。
【0019】
コアポリマーは各種の形態を採り得る。例えば、コアポリマーは線状または星状(後者のポリマーは「エアリアル」とも称される)であり得る。星状ポリマーは3つ以上の腕を有し得る。コアポリマーが線状の場合、フランキングポリマーはコアポリマーの各末端に結合し、生じるブロックコポリマーはABAブロックコポリマーである。これは本発明の好ましい実施態様である。コアポリマーが星状の場合、フランキングポリマーはコアポリマーの各末端に結合し、従って生じるブロックコポリマーは星状ポリマー中に存在するポイントまたは遊離端の数ほど多くのフランキングポリマーを含む。例えば、星状コアポリマーが4つの末端を有しているならばブロックコポリマーは4つのフランキングポリマー基を含む。
【0020】
従って、ブロックコポリマーは構造(AB)−コア(ここで、A及びBはポリマーブロックであり、nは2以上、好ましくは2、4、6、8または12であり、コアは非ポリマー結合コアである)を有し得る。ABAブロックコポリマーの場合、重合方法に応じてBブロック中に非ポリマーコアが存在したりしなかったりする。1つの好ましい実施態様では、ブロックAブロック及びBブロックはそれぞれ単一モノマーから誘導される。
【0021】
通常、フランキングポリマー(例えば、ABAブロックコポリマー中の成分A)は室温で硬質である(すなわち、高Tgを有する)が加熱すると軟質で流体状になる材料から構成されるかそのような材料を含む。前記材料は「硬質」ブロックとして当業界で公知である。コアポリマー(例えば、ABAブロックコポリマー中の成分B)は室温で軟質な(すなわち、低Tgを有する)材料から構成されるかそのような材料を含む。後者の材料は「軟質」ブロックとして当業界で公知である。
【0022】
フランキングポリマー(例えば、ABAブロックコポリマーの場合のAブロック)のガラス転移温度(Tg)は通常0〜300℃、好ましくは25〜175℃、より好ましくは30〜150℃である。コアポリマー(例えば、ABAブロックコポリマーの場合のBブロック)のガラス転移温度(Tg)は通常−200〜150℃、好ましくは−100〜75℃、より好ましくは−100〜50℃、最も好ましくは−75〜50℃(例えば、−75〜30℃未満)である。当業者は、いずれにせよ特定のTg値はポリマーの全体的性質及び特定のコア及びフランキングポリマーの種類に依存することを理解している。重要なことは、フランキングポリマーは硬質ブロックから構成され、コアポリマーが軟質ブロックであることである。通常、これは、フランキングポリマーのTgはコアポリマーのTgよりも高いことを意味する。
【0023】
Tg、すなわちガラス転移温度は、ポリマー科学分野でポリマーまたはそのセグメントが固体または脆い材料から液体またはゴム様材料への転移を受ける温度を指すべく使用されている公知の用語である。ガラス転移温度はポリマー科学分野で公知の各種の一般的方法により測定可能である。ガラス転移温度を測定するための一般的方法は、通常DSCとして公知の示差走査熱量測定法である。ポリマーのガラス転移現象はポリマーの教科書及び百科事典、例えば「ポリマー化学の原理(Principles of Polymer Chemistry)」,A,Ravve,ニューヨーク及びロンドンのPlenum Press(1995年)発行,ISBN 0−306−44873−4に記載されている。
【0024】
コアポリマーセグメント及びフランキングポリマーセグメントは通常熱力学的に非適合性であり、従って複数の相が均密に分散している多相組成物に相分離する。
【0025】
フランキングポリマー及びコアポリマーは通常バランスのとれた親水性/疎水性を有するブロックコポリマーを生ずるように選択される。コポリマーは例えば水に可溶性であり、エタノールまたはエタノールと水の混合物に可溶性であるか、または他の化粧品上許容され得る希釈剤または担体に可溶性であり得る。
【0026】
コアポリマーは25℃で少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%(例えば、1〜25重量%または5〜25重量%)のレベルで水に可溶性である。可溶性とは、25℃で蒸留水中1重量%(または他の特定する重量%)の溶液についてコポリマーが相分離しないこと、好ましくは(例えば、少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも24時間)安定なミセルを形成することを意味する。
【0027】
コアポリマーは通常100〜10,000,000Da、好ましくは2,000〜200,000Da、より好ましくは10,000〜100,000Daの数平均分子量、及び150〜20,000,000Da、好ましくは5,000〜450,000Da、より好ましくは20,000〜400,000Daの重量平均分子量を有する。好ましくは、フランキングポリマーは80〜500,000,000Da、好ましくは100〜100,000Da、より好ましくは100〜20,000Daの数平均分子量、及び80〜700,000Da、好ましくは100〜250,000Da、より好ましくは20〜50,000Daの重量平均分子量を有する。コアポリマー対フランキングポリマーのモル比は通常1:10〜10:1である。例えば、コアポリマー対フランキングポリマーのモル比は3:1〜10:1であり得る。
【0028】
本発明のブロックコポリマーは50%の相対湿度/25℃で2日間平衡後単純な張力配置(simple tension geometry)で10Hz、1%の伸び、25℃で測定して1〜1000MPaの弾性率を有することが好ましい。
【0029】
ポリマーは、脱イオン水の粘度を1mPaと仮定し、50容量%水性エタノール溶液中5重量%のポリマーについて25℃で細管粘度計を用いて推定して15mPas(センチポイズ、cp)未満、より好ましくは12mPas未満(例えば、3〜12mPas(cp))の粘度を有することが好ましい。この粘度を有するポリマーはスプレーとして処方されるヘアスタイリング製品において特に有用である。他のヘアスタイリング製品中に使用する場合、ポリマーの粘度は上記範囲外であってもよい。
【0030】
好ましくは、本発明のブロックコポリマーは比較的高い湿度条件下で比較的高い結合強度を保持する。ポリマーは好ましくは25℃/30%の相対湿度で少なくとも30gの結合強度を有する。結合強度は本明細書中実施例の「結合強度の測定方法」を表題とするセクションに記載されている方法により測定したものである。より好ましくは、ポリマーは25℃/50%の相対湿度で少なくとも15gの結合強度、更に好ましくは25℃/50%の相対湿度で15〜30gの結合強度を有する。
【0031】
ブロックコポリマーが本明細書中実施例の「弾性率の測定方法」を表題とするセクションに記載されている方法により測定して0.45GPa以下の弾性率を有することも好ましい。ポリマーは好ましくは0.01〜0.45GPa、より好ましくは0.05〜0.45GPa、最も好ましくは0.1〜0.45GPaの弾性率を有する。
【0032】
ポリマーが比較的高い温度及び高い湿度でも結合強度を保持していることは、スタイリング組成物がこれらの条件下でもヘアスタイリング時に有効であり得ることを意味する。
【0033】
好ましくは、ポリマーは本質的に(すなわち、少なくとも95%、好ましくは実質的に100%)炭素、水素、酸素及び窒素から選択される原子から構成される。
【0034】
本発明の組成物中に使用するのに最も適したポリマーの特定結合強度はスタイリング組成物の意図する市場の種類に依存することに留意されたい。特定市場の要求は、例えば市場(高い結合強度が求められる高い温度及び/または湿度の領域)を規定する地理的場所の典型的な温度及び湿度条件及び組成物の末端ユーザーの好み(毛髪の種類、ファッション及び/または文化を考慮して決定される)により決まる。よって、異なる結合強度及び他の物理的特性を有する各種ポリマーが本発明の組成物において潜在的に有用である。所望の結合強度及び耐湿性を達成し、これとヘアスタイリング組成物のユーザーの局所的要件を満たすために、ポリマーの化学組成は所望の結合強度と他の物理的特性(例えば、ガラス転移温度及び水溶性)のバランスを最適にすべく調節され得る。
【0035】
フランキングポリマーの各々は独立して同一または異なるモノマーから構成され得る。従って、本発明で使用されるコポリマーには、例えばABA及びABCブロックコポリマーが含まれる。
【0036】
各熱可塑性エラストマー分子中のフランキングポリマーは組成及び分子量の点で実質的に同一であることが好ましい。しかしながら、フランキングポリマーは組成及び/または分子量の点で相互に異なっていてもよい。
【0037】
好ましくは、フランキングポリマー及び/またはコアポリマー(より好ましくは、コアポリマーとフランキングポリマーの両方)は、ビニルモノマーのフリーラジカル重合により入手可能な主鎖を含む。好適なビニルモノマーには、(メタ)アクリレート、アクリルアミド及び/またはスチレン系を主成分とするものが含まれる。しかしながら、フランキングポリマー及びコアポリマーがそれぞれ硬質セグメント及び軟質セグメントから誘導される限り、例えば重縮合のような付加重合メカニズムにより誘導されるような他のブロックコポリマー系も使用可能である。
【0038】
本発明のブロックコポリマーは、アニオンまたはリビングフリーラジカル重合方法のような一般的な重合方法により製造され得る。ポリマーを製造するための好適な方法は当業者に公知である。
【0039】
本発明で使用するのに適したポリマーを製造するための重合方法で使用するのに適したフリーラジカル重合可能なモノマーは好ましくはエチレン不飽和モノマーである。融通性及び商業的実行可能性のためにリビングフリーラジカル重合方法が好ましい。「重合可能」とは、好ましくはリビングラジカル重合により重合され得るモノマーを指す。
【0040】
「エチレン不飽和」とは、(モノ乃至テトラ置換されていてもよい)少なくとも1つの重合可能な炭素−炭素二重結合を含むモノマーを意味する。単一モノマーまたは2つ以上のモノマーの混合物が使用可能である。いずれの場合も、モノマーは最終ブロックコポリマーの物理的及び化学的要件を満たすように選択される。
【0041】
本発明で使用される好適なエチレン不飽和モノマーには、保護されていてもよい(メタ)アクリル酸、並びにその塩、エステル、無水物及びアミドが含まれる。
【0042】
(メタ)アクリル酸塩は、一般的な非毒性金属、アンモニウムまたは置換アンモニウム対イオンのいずれかから誘導され得る。
【0043】
(メタ)アクリル酸エステルは、C1−40直鎖、C3−40分枝鎖またはC3−40炭素環式アルコール;約2〜約8個の炭素原子と約2〜約8個のヒドロキシル基を有する多価アルコール(この非限定例にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン及び1,2,6−ヘキサントリオールが含まれる);アミノアルコール(この非限定例にはアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール及びジエチルアミノエタノール、並びにその4級化誘導体が含まれる);またはアルコールエーテル(この非限定例にはメトキシエタノール及びエトキシエタノールが含まれる)から誘導され得る。
【0044】
(メタ)アクリル酸アミドは、未置換であっても、モノ置換のN−アルキルまたはN−アルキルアミノ、ジ置換のN,N−ジアルキルまたはN,N−ジアルキルアミノであってもよく、前記のアルキルまたはアルキルアミノ基はC1−40(好ましくは、C1−10)直鎖、C3−40分枝鎖またはC3−40炭素環式部分から誘導され得る。更に、アルキルアミノ基は4級化されていてもよい。
【0045】
保護されていてもよい、C1−4アルキル、ヒドロキシ、ハライド(−Cl、−Br、−F、−I)、−CN及び−COHから独立して選択される置換基がアクリル酸及び/またはメタクリル酸の2及び/または3炭素位上にある(メタ)アクリル酸、その塩、エステル及びアミド、例えばメタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸及び3−シアノアクリル酸もモノマーとして有用である。前記した置換(メタ)アクリル酸の塩、エステル及びアミドは(メタ)アクリル酸塩、エステル及びアミドに関して上記したように定義され得る。
【0046】
他の有用なモノマーには、C1−40直鎖、C3−40分枝鎖またはC3−40炭素環式カルボン酸のビニル及びアリルエステル、ビニル及びアリルハライド(例えば、ビニルクロリド、アリルクロリド)、(例えば、ビニルピリジン、アリルピリジン);ビニリデンクロリド;少なくとも1つの不飽和炭素−炭素二重結合を有する炭化水素(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキサジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、p−メチルスチレン);及びその混合物が含まれる。
【0047】
好ましいエチレン不飽和モノマーは下記一般式:
H(R)C=C(R)(C(O)G)
[式中、
及びRは独立して水素、C1−10直鎖もしくは分枝鎖アルキル基(ここで、アルキルは直鎖及び分枝鎖基を指す)、メトキシ基、エトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエチル基及び2−エトキシエチル基から選択され、
Gはヒドロキシル、−O(M)1/v(ここで、Mはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンのような金属イオン、アンモニウムイオン、及びモノ−,ジ−,トリ−及びテトラアルキルアンモニウムイオンのような置換アンモニウムイオンから選択される原子価vの対イオンである)、−OR、−NH、−NHR及び−N(R)(R)(ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、C1−8直鎖もしくは分枝鎖アルキル、N,N−ジメチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル及び2−エトキシエチルから選択される)から選択される]
を有する。
【0048】
本発明で使用されるより好ましいモノマーの具体例には、保護されていてもよい、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、α−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、メチルエタクリレート、エチルエタクリレート、n−ブチルエタクリレート、イソブチルエタクリレート、t−ブチルエタクリレート、2−エチルヘキシルエタクリレート、デシルエタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリルモノアクリレート、グリセリルモノエタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、エタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、4級化N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、4級化N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、4級化N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、4級化N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルエタクリレート、グリセリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルエタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルエタクリレート、マレイン酸、無水マレイン酸及びその半エステル、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸及びその半エステル、クロトン酸、アンゲリカ酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、メチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、マレイミド、ビニルピリジン、ビニルピリジン−N−オキシド、ビニルフラン、スチレンスルホン酸及びその塩、アリルアルコール、クエン酸アリル、酒石酸アリル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルカプロラクタム、ビニルアセトアミド、ビニルホルムアミド及びその混合物から選択されるものが含まれる。
【0049】
更に好ましいモノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルエタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルエタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ブチルエタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルエタクリレート、N−オクチルアクリルアミド、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、N−t−ブチルアクリルアミド、N−sec−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、4−ブトキシカルボニルフェニルアクリレート、ブチルアクリレート、4−シアノブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、メチルアクリレート、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールエチルアクリレート及びその混合物から選択されるものである。
【0050】
特に好ましいフランキングポリマーは、アクリルアミド、例えばN,N−ジアルキルアクリルアミド(好ましくは、N,N−ジメチルアクリルアミド)のポリマーである。従って、フランキングポリマーのための特に好ましいモノマーの具体例には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−sec−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸、及びそのナトリウム,カリウム,アンモニウム塩、スチレン、スチレンスルホン酸、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ビニルホルムアミド、tert−ブチルアクリレート及びtert−ブチルメタクリレートが含まれるが、これらに限定されない。アルキル基がC1−8直鎖もしくは分枝鎖アルキルであるN,N−ジアルキルアクリルアミド及びN−アルキルアクリルアミド(特に、N,N−ジメチルアクリルアミド)がフランキングポリマーのための最も好ましいモノマー類である。
【0051】
コアポリマーがアクリレートエステルのポリマーであることが好ましい。好ましいアクリレートエステルはアクリル酸とC1−8直鎖もしくは分枝鎖アルコールのエステルである。コアポリマー用モノマーの代表例には、ベンジルアクリレート、4−ブトキシカルボニルフェニルアクリレート、ブチルアクリレート、4−シアノブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、メチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、ノニルアクリレート、オクチルアクリレート、フェネチルアクリレート、プロピルアクリレート、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールエチルアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。(C1−3アルコキシ)C1−6アルキルアクリレートのポリマーがより好ましい。特に好ましいコアポリマーは(2−メトキシエチル)アクリレートのポリマーまたはコポリマーである。
【0052】
好ましくは、本発明のブロックコポリマーはフランキングポリマー及びコアポリマーに基づいて最高85重量%のフランキングポリマーを含む。より好ましくは、ブロックコポリマーは20〜85重量%のフランキングポリマーを含む。
【0053】
本発明のブロックコポリマーにおいて、コアポリマー及びフランキングポリマーの各々が単一モノマーから誘導されることが好ましい。
【0054】
好ましいコアポリマーは(2−メトキシエチル)アクリレートのポリマーである。好ましいフランキングポリマーはN,N−ジメチルアクリルアミドのポリマーである。より好ましくは、コポリマーはポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)−ポリ((2−メトキシエチル)アクリレート)−ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)ブロックコポリマーである。
【0055】
本発明のブロックコポリマーは、コアポリマー及び/または1つ以上(または、すべて)のフランキングポリマー上にグラフトした別のポリマー鎖を有し得る。ブロックコポリマーにグラフトさせる好適なポリマー鎖の例には、シリコーン、及び(メタ)アクリレートエステル(例えば、(メタ)アクリル酸とC1−8直鎖もしくは分枝鎖アルコールのエステル)、(場合により、1つ以上のC1−12直鎖もしくは分枝鎖アルキル基で置換されていてもよい)スチレン及びその混合物のようなモノマーから誘導されるポリマーが含まれる。他の好適なポリマー鎖には、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールが含まれる。ブロックコポリマーにグラフトされ得るポリマー鎖は疎水性または親水性であり得、疎水性鎖、親水性鎖または親水性鎖/疎水性鎖混合物がブロックコポリマー上にグラフトされ得る。グラフトのための好適な疎水性及び親水性マクロマーは国際特許出願公開第95/06078号パンフレットに記載されている。
【0056】
ABAブロックコポリマー
本発明で使用するための好ましいポリマーはABAブロックコポリマーである。本明細書中「A−B−Aブロックコポリマー」は、少なくとも2つの異なる組成を有し且つ各種構造の1つを有するポリマーであって、モノマーが単に統計的または無制御にポリマー構造中に組み込まれていないポリマーを指す。各AブロックからBブロックまでの転移は厳しく規定されてもよく、またはテーパー状であってもよい(すなわち、AブロックからBブロックまで組成が漸変していてもよい)。単一ブロックタイプポリマー構造中に2つ以上のモノマーが存在する場合もあるが、本発明ではいずれもブロックコポリマーと称する。幾つかの実施態様において、本発明のブロックコポリマーはランダムコポリマーの1つ以上のブロック(本明細書中、「R」ブロックと呼ぶ)と単一モノマーの1つ以上のブロックを含む。よって、ポリマーの構造はA−R−A、R−B−R、R−B−A、R−R’−R、A−R−B−AまたはA−R−B−R−A(ここで、R及びR’はモノマーA及びB、モノマーB及びCまたはそれ以上のモノマーのランダムブロックである)であり得る。更に、ランダムブロックは全ブロックコポリマーに対して組成またはサイズの点で異なり得る。幾つかの実施態様では、例えばランダムブロックはブロックコポリマーの質量の5〜80重量%を占める。他の実施態様では、ランダムブロックRは用途に応じてブロックコポリマーのより多いまたはより少ない質量を占める。更に、ランダムブロックは、所望の指数(例えば、0.1〜5の数)を有する指数関数かまたは対数関数の所望の傾斜を有する線状のアルゴリズムの様式でランダムブロックに亘って異なる1つのモノマーから他のモノマー(例えば、A:B)の組成勾配を有し得る。前記ランダムブロックは他のラジカル重合及びその組成中に存在する同一の運動効果(例えば、組成ドリフト)を受け得、サイズは前記運動(例えば、マルコフ運動)により影響され得る。本明細書中にリストされているモノマーはいずれも本発明のブロックコポリマー中に使用し得る。
【0057】
本発明のブロックコポリマーの範囲内の「ブロック」は通常約5個以上の単一タイプのモノマーから構成されている(ランダムブロックは上記したように組成及び/または重量%により規定される)。好ましい実施態様において、1つのブロック内のモノマーの数は約10個以上、約15個以上、約20個以上または約50個以上であり得る。各ブロックは所望の構造を有し得、よって各ブロックは線状、分枝状(短いまたは長い分枝)、星状(3個以上の腕)等であり得る。他の構造は本明細書の記載から当業者には自明である。
【0058】
1つの実施態様において、ブロックコポリマーはリビング重合反応物に対して別のモノマーまたはモノマー混合物を逐次付加することにより構築される。別の実施態様では、予め構築した官能化ブロック(例えば、テレケリックオリゴマーまたはポリマー)をフリーラジカル重合混合物に付加するとブロックコポリマーが生ずる(例えば、重合混合物はコントロールされているかまたはリビングであり得る)。理想的には、各ブロックの成長は高変換率で生じる。変換率はポリマーのモノマーシグナルへの統合を介してNMRにより測定される。変換率はポリマーのモノマーピークへの統合を介してサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によっても測定され得る。UV検出の場合、ポリマー応答因子は各ポリマー/モノマー重合混合物について測定しなければならない。典型的な変換率は各ブロックにつき50〜100%、より具体的には約60〜約90%の範囲であり得る。中間変換により、重合及びモノマー付加の相対速度に応じて2つ以上のホモポリマーブロックを離すランダムコポリマーブロックを有するブロックコポリマーが誘導され得る。高い変換率で、ランダムブロックのサイズは相分離、熱挙動や機械的モジュラスのようなポリマー特性に影響を与えにくいほど十分に小さい。この事実は、生じるポリマーの性能特性に目に見えるほどの悪影響を与えることなく多くの用途に対して重合時間を改善するために指数的に外挿され得る。これは、例えば重合物を室温まで冷却したり、または酸、塩基、酸化剤、還元剤、ラジカル源、スカベンジャー等を導入することによりコントロール剤を中和することにより所望レベルの変換率(例えば、>80%)が達成されたときに重合物のリビング性を意識的に抑止または停止することにより達成される。ラジカルコントロール剤の非存在下では、重合は残存するモノマーが消費されるまで(通常できるだけ高い反応率で)制御されずに継続する。
【0059】
本発明のブロックコポリマーの存在は当業界で公知の方法により調べられる。例えば、当業者はブロックコポリマーを核磁気共鳴(NMR)により調べ得る。当業者は第1モノマーのリビング重合物を鎖延長させるために第2モノマーを付加すると分子量の測定値が上昇することも理解している。ブロックコポリマーの構造は、(X線回折により測定される)長距離規則度、顕微鏡及び/または複屈折測定を含めたミクロ相の分離の観察により示唆され得る。ブロックコポリマーの存在を調べる他の方法には、機械的特性(例えば、ソフト/ハード/ソフトブロックコポリマーの弾性率)の測定、熱分析及びクロマトグラフィー(例えば、ホモポリマーの不在)が含まれる。
【0060】
吸光度(色及び透明度)のような光学的特性を測定すると、ポリマーエマルションの相形態及びミクロ構造に関する情報が得られる。例えば、複屈折の測定はハード/ソフトブロックコポリマー中のミクロ相分離から生ずる光学的異方性の存在を示し得る。同様に、アニーニングしたポリマーフィルムの光学顕微鏡写真中の鋭角なカラー輪郭は秩序ミクロ相が分離したブロックコポリマー構造の存在を示し得る。
【0061】
十分に高い分子量を有するブロックコポリマーが顕微鏡レベルで相分離すると、通常主として1つまたは他のポリマーからなる周期的に整列したミクロドメインが形成される。これらはラメラ、円筒状、球状及び他のより複雑な形態をとり得、ドメインのサイズ及び周期は通常10〜100nmである。このようなミクロ相分離は、電子顕微鏡、X線または中性子散乱または反射率、光学異方性の測定またはレオロジー測定を含めた各種方法で検出され得る。周期的ミクロ構造の不在は低い分子量、各ブロックの広い分子量分布、弱い分子間相互作用、またはミクロ相分離のために不十分な時間及び遅い運動に起因すると見られるように必ずしもブロックコポリマーが合成された証拠になるとは限らない。しかしながら、10〜100nm規模での周期的ミクロ構造の存在は本発明に従うブロックコポリマーの形成に関する非常に注目すべき証拠と見做される。しかしながら、周期的ミクロ構造は本発明の組成物に使用し得るコポリマーの必須要件ではない。
【0062】
ブロックコポリマーが、フイルム厚さがミクロ構造周期の整数または半整数倍数に限定されたテラス状フィルム(terraced film)を形成することは公知である。これは、1つまたは他のブロックと基質及び/または自由表面との優先的相互作用によりフィルム表面に平行なミクロドメインの層が生ずるために起こる(例えば、G.Coulon,D.Ausserre及びT.P.Russell,J.Phys.(Paris),51,777(1980);及びT.P.Russell,G.Coulon,V.R.Deline及びD.C.Miller,Macromolecules,22,4600−6(1989)参照)。(シリコンウェハのような反射性基板上で)反射顕微鏡写真で観察したとき、テラス構造はそれ自体一連の分離した明瞭なカラーとその間の鋭角な境界を示す。カラーはフィルムの上面及び下面から反射した光の干渉の結果であり、これは局部のフィルム厚さ(「ニュートンリング」)に依存する。テラス構造が生じない場合には、カラーが1つのカラーから他のカラーに連続的にブレンドする。
【0063】
ブロックコポリマー内に化学的に均質な配列が存在すると、ミクロ相分離として公知の相転移が生ずる。化学的に区別されるモノマー間のエネルギー的に好ましくない相互作用によりブロックは空間的に区別されるドメインに分離される。ブロックは相互に共有結合しているので、これらのドメインはポリマーそれ自体の寸法とサイズの点で匹敵する。前記ドメインの存在により材料の物理的特性が変化し、生じた複合材料に各ブロックの化学的・物理的特性の多くを与える。
【0064】
重合方法
本発明のブロックコポリマーを合成するために慣用方法が使用され得るが、リビングフリーラジカル重合方法が好ましい重合方法である。前記重合方法は文献、例えば「フリーラジカル方法による特注ポリマー(Tailored polymers by free radical processes)」,E.Rizzardoら,Macromol.Symp.,143(1999)(世界ポリマー会議 第37回マクロ分子に関する国際シンポジウム(World Polymer Congress, 37th International Symposium on Macromolecules, 1998)),291−307,ISSN:102−1360:原子転移ラジカル重合及び制御ラジカル重合(Atom transfer radical polymerization and controlled radical polymerization),Z.Zhangら,Gaofenzi Tongabo,(3) 138−144(1999);K.Matyjazewski,「各種制御/リビングラジカル重合の分類及び比較(Classification and comparison of various controlled/ ”living” radical polymerizations)」,1999年8月22〜26日にニューオリンズで開催された218回ACS国際会議(218th ACS National Meeting)の抄録,Poly−042に記載されている。
【0065】
原則として、ニトロキシドラジカル制御原子転移ラジカル重合方法(ARRP)、可逆付加断片化連鎖移動(RAFT)及び触媒連鎖移動(VVT)のような任意の「リビング」フリーラジカル重合方法を使用することができる。本発明のブロックコポリマーのための好ましい重合ルートはニトロキシド媒介方法である。すなわち、十分に規定されたABAブロックコポリマーを製造するためにビス−ニトロキシド開始剤を使用し得る。この方法は2ステップを含む。第1ステップでは、規定された長さを有するコアポリマーをコアポリマーの「中心」でビス−ニトロキシド開始剤を用いて合成する。これは、モノマーまたはモノマー混合物をビス−ニトロキシド開始剤を用いてリビング重合することを含む。この第1ステップが終了したら、コアポリマーを場合により精製するかまたは精製せずに使用する。第2ステップは、同一のリビング重合方法を用いて1つもしくは複数のフランキングポリマーのモノマーを導入することを含む。重合方法はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、NMR及び粘度測定により正確にモニターされ得る。高変換率が達成されたなら重合を停止することが好ましい。
【0066】
本発明で使用されるポリマーを製造する際に使用するのに適したリビングフリーラジカル重合方法には、例えばニトロキシド媒介方法に関してはHawkerラ,「リビングフリーラジカル重合のための万能アルコキシアミンの開発(Development of a Universal Alkoxyamine for ’Living’ Free Radical Polymerizations)」,J.Am.Chem.Soc.,121(16),3904−3920(1999)に記載されている方法、並びにいずれも援用により本明細書に含まれるとする2000年3月8日出願の米国特許出願第09/520,583号明細書及び対応の国際特許出願第PCT/US00/06176号明細書に記載されている方法が含まれる。
【0067】
好適な重合反応には、例えば下記する出発物質の比、温度、圧力、雰囲気及び反応時間が含まれる。重合温度は典型的には約80〜約130℃、より好ましくは約95〜約130℃、更に好ましくは約120〜約130℃である。雰囲気はコントロールされ得、窒素やアルゴンのような不活性雰囲気が好ましい。ポリマーの分子量は制御フリーラジカル重合技術を用いたりモノマー対開始剤の比を調節することによりコントロールされ得る。通常、モノマー対開始剤の比は約200〜約800である。ニトロキシドラジカル制御重合方法では、コントロール剤対開始剤の比は約1〜約10モル%の範囲であり得、この範囲が好ましい。重合はバルク中でまたはジグリムのような好適な溶媒中で実施され得る。重合反応時間は約0.5〜約72時間、好ましくは約1〜約24時間、より好ましくは約2〜約12時間の範囲であり得る。
【0068】
本発明で使用されるポリマーをリビングフリーラジカル方法により製造することが好ましい。
【0069】
本発明の組成物
本発明の組成物は、好ましくはヘアケア組成物、特にヘアスプレー組成物に処方され、またムース、ジェル、ローション、トニック、スプレー、シャンプー、コンディショナー、リンス、ハンドローション、ボディローション、フェーシャルモイスチャライザー、サンスクリーン、にきび防止剤、外用鎮痛薬、マスカラ等を含めた各種タイプの製品に処方され得る。本発明の組成物は化粧品上許容され得る希釈剤または担体を含む。組成物は好ましくはヒト毛髪をスタイリングする際に使用され、組成物をそのまま包装し、ラベルを付けることがより好ましい。
【0070】
好ましくは、本発明の組成物は0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%のポリマーを含む。本発明の組成物は、場合によりフレグランスまたはパフューム及び/または1つ以上の下記する任意追加成分を含み得る。
【0071】
前記製品を処方するのに必要な担体及び追加成分は製品のタイプによって異なり、当業者は定法により選択し得る。前記担体及び追加成分の幾つかを以下に示す。
【0072】
担体
本発明のヘアケア組成物は、毛髪に適用するのに適した担体または担体混合物を含み得る。前記担体は組成物の約0.5〜約99.5重量%、好ましくは約5.0〜約99.5重量%、より好ましくは約10.0〜約98.0重量%の量で存在する。本明細書中、「毛髪に適用するのに適した」とは、担体が毛髪の美観にダメージを与えたり悪影響を及ぼすことがなく、またその下の皮膚を刺激することがないことを意味する。
【0073】
本発明のヘアケア組成物で使用するのに適した担体には、例えばヘアスプレー、ムース、トニック、ジェル、シャンプー、コンディショナー及びリンスの組成物中に使用されているものが含まれる。適当な担体は使用する特定の熱可塑性エラストマーに応じて選択され、処方される製品は該製品を適用する表面に残るタイプ(例えば、ヘアスプレー、ムース、トニックまたはジェル)かまたは使用後洗い流すタイプ(例えば、シャンプー、コンディショナー、リンス)である。
【0074】
本発明で使用される担体には、ヘアケア組成物中に慣用されている多種類の成分が含まれ得る。前記担体は、使用する特定の熱可塑性エラストマーを溶解または分散させるための溶媒を含み得、水、C1−6アルコール、低級アルキルアセテート及びその混合物が好ましい。担体は多種類の追加成分、例えばアセトン、炭化水素(例えば、イソブタン、ヘキサン、デセン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、フレオン)及び揮発性シリコーン(例えば、シクロメチコーン)をも含み得る。
【0075】
ヘアケア組成物がヘアスプレー、トニック、ジェルまたはムースの場合の好ましい溶媒には水、エタノール、揮発性シリコーン誘導体及びその混合物が含まれる。前記混合物中に使用される溶媒は相互に混和性であっても非混和性であってもよい。ムース及びエアゾールヘアスプレーは物質を泡状物(ムースの場合)または細かい均質霧(エアゾールヘアスプレーの場合)としてデリバリーするために慣用の噴射剤をも使用し得る。好適な噴射剤の例には、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタンまたはイソブタンのような物質が含まれる。低粘度を有するトニックまたはヘアスプレー製品は乳化剤をも使用し得る。好適な乳化剤の例には、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤またはその混合物が含まれる。乳化剤を使用する場合には乳化剤を組成物の全重量に基づいて約0.01〜約7.5重量%の量で存在させるのが好ましい。噴射剤の量は所望通りに調整可能であるが、通常ムース組成物の場合には全重量に基づいて約3〜約30重量%、エアゾールヘアスプレー組成物の場合には全重量に基づいて約15〜約50重量%である。
【0076】
適当なスプレー容器は当業界で公知であり、慣用されている非エアゾールポンプスプレー、すなわち「アトマイザー」、上記した噴射剤を含むエアゾール容器またはカン、及び噴射剤として圧縮空気を含むポンプエアゾール容器が含まれる。
【0077】
ヘアケア組成物がコンディショナー及びリンスの場合、担体には多種類のコンディショニング物質が含まれ得る。ヘアケア組成物がシャンプーの場合の担体の例には界面活性剤、懸濁剤及び増粘剤が含まれ得る。ヘアスタイリングクリームまたはジェルも通常0.01〜10重量%の量で構造化剤または増粘剤を含む。
【0078】
担体は広範囲の形態をとり得る。例えば、水中油型、油中水型、水中油中水型やシリコーン中水中油型エマルションを含めたエマルション担体が本発明において有用である。前記エマルションは、例えば約100〜約200,000cpsのような広範囲の粘度を有し得る。前記エマルションはまた、機械ポンプ式容器または慣用の噴射剤を用いる加圧式エアゾール容器を用いて霧の形態でデリバリーされ得る。前記担体はムースの形態でもデリバリーされ得る。他の好適な外用担体には、油、アルコールやシリコーン(例えば、鉱油、エタノール、イソプロパノール、ジメチコーン、シクロメチコーン等)のような無水液体溶媒、水系単相液体溶媒(例えば、ヒドロ−アルコール溶媒系)、前記無水系及び水系単相溶媒の増粘物(例えば、適当なガム、樹脂、ワックス、ポリマー、塩等を添加して固体または半固体を形成するように溶媒の粘度が増加しているもの)が含まれ得る。
【0079】
追加成分
本発明の化粧品及びパーソナルケア組成物には各種の追加成分を使用することができる。その例の1つには、ヘアスプレー、ジェルやムースのようなヘアスタイリング組成物用のヘアスタイリングポリマーが含まれる。このヘアスタイリングポリマーは公知であり、ポリマーをカチオン性、アニオン性、両性またはノニオン性とする部分を含む多くのポリマーが市販されている。前記ポリマーは合成物でも天然物でもよい。
【0080】
ポリマーの量は組成物の全重量に基づいて0.5〜10重量%、好ましくは0.75〜6重量%の範囲であり得る。
【0081】
アニオン性ヘアスタイリングポリマーの例は、
酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー;
酢酸ビニルとクロトン酸とα分枝状飽和脂肪族モノカルボン酸のビニルエステル(例えば、ネオデカン酸ビニル)とのターポリマー;
炭素数1〜4の飽和アルコール(例えば、エタノールまたはブタノール)で50%エステル化されているメチルビニルエーテルと無水マレイン酸との約1:1のモル比のコポリマー;
アニオンラジカル含有部分としてのアクリル酸またはメタクリル酸と他のモノマー(例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリルやアクリル酸ベヘニルのようなアクリル酸またはメタクリル酸と1つ以上の炭素数1〜22の飽和アルコールのエステル;メタクリル酸ヒドロキシプロピルやアクリル酸ヒドロキシエチルのようなアクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜6のグリコールのエステル;スチレン;ビニルカプロラクタム;酢酸ビニル;アクリルアミド;メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミドやn−オクチルアクリルアミドのような炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド;及び他の相容性不飽和モノマー)とのアクリルコポリマー
である。
【0082】
前記ポリマーは、ポリジメチルシロキサンのようなグラフト化シリコーンをも含み得る。
【0083】
好適なアニオン性ヘアスタイリングポリマーの具体例は、National Srarchから入手可能なRESYN(登録商標)28−2930(酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー)、BASFから入手可能なULTRAHOLD(登録商標)8(CTFA名 アクリレート/アクリルアミドコポリマー)、ISP Corporationから入手可能なGANTREZ(登録商標)ESシリーズ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸のエステル化コポリマー)である。
【0084】
他の好適なアニオン性ヘアスタイリングポリマーにはカルボキシル化ポリウレタンが含まれる。カルボキシル化ポリウレタン樹脂はペンダントカルボキシル基を有する線状ヒドロキシ末端コポリマーである。この樹脂の少なくとも1端がエトキシル化及び/またはプロポキシル化されていてもよい。カルボキシル基はカルボン酸基、または炭素数1〜3のアルキル部分を含むエステル基であり得る。カルボキシル化ポリウレタン樹脂は、CTFAでPVP/ポリカルバミルポリグリコールエステルと呼称されるポリビニルピロリドンとポリウレタンとのコポリマーであり得る。好適なカルボキシル化ポリウレタン樹脂は欧州特許出願公開第0619111号明細書及び米国特許第5,000,955号明細書に記載されている。他の好適な親水性ポリウレタンは米国特許第3,822,238号明細書、同第4,156,066号明細書、同第4,156,067号明細書、同第4,255,550号明細書及び同第4,743,673号明細書に記載されている。
【0085】
t−ブチルアミノエチルメタクリレートのようなモノマーに由来するカチオン性基及びアクリル酸やメタクリル酸のようなモノマーに由来するカルボキシル基を含み得る両性ヘアスタイリングポリマーも本発明で使用することができる。両性ヘアスタイリングポリマーの1つの具体例は、National Starch and Chemical Corporationから販売されているAmphomer(登録商標)(オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)である。
【0086】
ノニオン性ヘアスタイリングポリマーの例は、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びN−ビニルピロリドンと相容性ノニオン性モノマー(例えば、酢酸ビニル)とのコポリマーである。異なる重量平均分子量を有するN−ビニルピロリドン含有ノニオン性ポリマーがISP Corporationから市販されている。その具体例は、PVP K−90の名称で販売されている平均分子量が約630,000のN−ビニルピロリドンのホモポリマー及びPVP K−120の名称で販売されている平均分子量が約1,000,000のN−ビニルピロリドンのホモポリマーである。
【0087】
他の好適なノニオン性ヘアスタイリングポリマーは架橋シリコーン樹脂またはガムである。その具体例には、欧州特許出願公開第0240350号明細書に記載されているような硬質シリコーンポリマー及び国際特許出願公開第96/31188号パンフレットに記載されているような架橋シリコーンガムが含まれる。
【0088】
カチオン性ヘアスタイリングポリマーの例は、アミノ官能性アクリレートモノマー(例えば、低級アルキルアミノアルキルアクリレート)またはメタクリレートモノマー(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート)と相容性モノマー(例えば、N−ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、メチルメタクリレートやエチルメタクリレートのようなアルキルメタクリレート、エチルアクリレートやn−ブチルアクリレートのようなアルキルアクリレート)とのコポリマーである。
【0089】
好適なカチオン性ポリマーの具体例は、ISP CorporationからCopolymer 845、Copolymer 937及びCopolymer 958として入手可能なN−ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー;ISP CorporationからStyleze(登録商標)CC10として入手可能なN−ビニルピロリドンとジメチルアミノプロピルアクリルアミドまたはメタクリルアミドとのコポリマー;N−ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー;ビニルカプロラクタムとN−ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー;Polyquaternium−4(ジアリルジモニウムクロリドとヒドロキシエチルセルロースとのコポリマー);ISPからGafquat(登録商標)734、755及び755Nとして、BASFからLuviquat(登録商標)PQ11として入手可能な(ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマーを硫酸ジエチルと反応させて形成される)Polyquaternium−11;BASFからLuviquat(登録商標)FC 370、FC 550、FC 905及びHM−552として入手可能な(メチルビニルイミダゾリウムクロリドとビニルピロリドンから形成される)Polyquaternium−16;BASFからLuviquat(登録商標)Holdとして入手可能な(ビニルカプロラクタム及びビニルピロリドンをメチルビニルイミダゾリウムメトスルフェートと反応させて製造される)Polyquaternium−46である。
【0090】
好適な天然由来のポリマーの例には、セラック、アルギネート、ゼラチン、ペクチン、セルロース誘導体及びキトサン、またはその塩及び誘導体が含まれる。市販品の例には、Amerchol製Kytamer(登録商標)及びNational Starch製Amaze(登録商標)が含まれる。
【0091】
国際特許出願公開第93/03703号パンフレットに記載されているイオン性ポリマー、国際特許出願公開第93/23446号パンフレットに記載されているポリシロキサングラフト化ポリマー、国際特許出願公開第95/00106号パンフレット及び同第95/32703号パンフレットに記載されているシリコーン含有ポリカルボン酸コポリマー、国際特許出願公開第95/01383号パンフレット、同第95/06078号パンフレット、同第95/06079号パンフレット及び同第95/01384号パンフレットに記載されている熱可塑性エラストマーコポリマー、国際特許出願公開第95/04518号パンフレット及または同第95/05800号パンフレットに記載されているシリコーングラフト化接着ポリマー、国際特許出願公開第96/21417号パンフレットに教示されているシリコーンマクログラフト化コポリマー、国際特許出願公開第96/32918号パンフレットのシリコーンマクロマー、国際特許出願公開第98/48770号パンフレット、同第98/48771号パンフレット、同第98/48772号パンフレットまたは同第98/48776号パンフレットの接着ポリマー、国際特許出願公開第98/51261号パンフレットに記載されているグラフトコポリマー及び国際特許出願公開第98/51755号パンフレットに記載されているグラフト化コポリマーも本発明の組成物中の任意成分して使用するのに適している。
【0092】
上記したポリマーの或るものでは、溶解性/分散性を高めるために数個の酸性基を中和する必要がある場合がある。適当な中和剤の例には、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−1−ブタノール(AB)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)及びジメチルステアラミン(DMS)が含まれる。米国特許第4,874,604号明細書に記載されているように、ステアラミドプロピルジメチルアミンやラウラミドプロピルジメチルアミンのような長鎖アミン中和剤も使用し得る。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやホウ砂のような無機中和剤も好適である。前記中和剤の混合物を使用してもよい。中和剤の量は全組成物の約0.001〜約10重量%の範囲である。
【0093】
日焼け止め剤、例えば2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、ホモメンチルサリチレート、オクチルサリチレート、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄及びその混合物;
ふけ防止活性成分、例えば亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、二硫化セレン、硫黄、コールタール等;
ヘアコンディショニング剤、例えば炭化水素、シリコーンフルイド及びカチオン性物質。前記炭化水素は直鎖でも分枝鎖でもよく、約10〜約16個、好ましくは約12〜約16個の炭素原子を含み得る。好適な炭化水素の例はデカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン及びその混合物である。本発明で有用な好適なシリコーンコンディショニング剤の例には、環状または線状ポリジメチルシロキサン、フェニル及びアルキルフェニルシリコーン、及びシリコーンコポリオールが含まれ得る。本発明で有用なカチオン性コンディショニング剤には、第4級アンモニウム塩または脂肪アミンの塩が含まれ得る;
ヘアシャンプー及びコンディショナー組成物用界面活性剤。ションプー用の好ましい量は組成物の全重量に基づいて約10〜約30重量%、好ましくは12〜約25重量%である。コンディショナー用の好ましい量は組成物の全重量に基づいて約0.2〜約3重量%である。本発明の組成物中に使用される界面活性剤には、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、双イオン性及び両性界面活性剤が含まれ得る;
ヘアシャンプー及びコンディショナー組成物用カルボン酸ポリマー増粘剤。前記架橋ポリマーはアクリル酸、置換アクリル酸、及び前記アクリル酸及び置換アクリル酸の塩及びエステルから誘導される1つ以上のモノマーを含み、架橋剤は2個以上の炭素−炭素二重結合を含み、多価アルコールから誘導される。本発明で使用されるカルボン酸ポリマー増粘剤の例は、カルボマー、アクリレート/C10−30アルキルアクリレート架橋ポリマー及びその混合物からなる群から選択される。本発明の組成物は、組成物の全重量に基づいて約0.025〜約1重量%、より好ましくは約0.05〜約0.75重量%、最も好ましくは約0.10〜約0.50重量%のカルボン酸ポリマー増粘剤を含み得る;
本発明の組成物の各種担体成分を乳化するための乳化剤。好適な乳化剤には、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5大豆ステロール、Steareth−20、Ceteareth−20、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、Ceteh−10、ポリソルベート80、セチルホスフェート、カリウムセチルホスフェート、ジエタノールアミンセチルホスフェート、ポリソルベート60、グリセリルステアレート、PEG−100ステアレート及びその混合物が含まれる。乳化剤は単独で、または2つ以上の混合物として使用可能であり、組成物の全重量に基づいて約0.1〜約10重量%、より好ましくは約1〜約7重量%、最も好ましくは約1〜約5重量%含み得る;
ビタミン類及びその混合物、例えばアスコルビン酸、ビタミンE、トコフェリルアセテート、レチノイン酸、レチノール、レチノイド等;
カチオン性ポリマー、例えばRhone−PoulencからJaguar(登録商標)シリーズとして入手可能なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドやヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドのようなカチオン性グアーガム誘導体;
保存剤、酸化防止剤、キレート剤及び金属イオン封鎖剤;並びに
フレグランス、着色剤、毛髪栄養素及び精油のような美容成分;
が含まれる。
【0094】
本発明は、上記スタイリング組成物を毛髪に対して適用することによるヘアスタイリング方法をも包含する。
【0095】
本発明の好ましい実施態様を下記非限定的実施例により説明する。特記しない限り、%はすぺて全重量に対する重量基準である。
【0096】
(実施例)
合成及び特性決定
ポリマーの合成及び特性決定は下記の一般的方法に従って実施した。
【0097】
合成
1. ビス−開始剤
【0098】
【化1】
Figure 2004510719
【0099】
2. 遊離ニトロキシド
【0100】
【化2】
Figure 2004510719
【0101】
3. 中間ブロック(Bブロック)用モノマー
【0102】
【化3】
Figure 2004510719
【0103】
4. 末端ブロック(Aブロック)用モノマー
【0104】
【化4】
Figure 2004510719
【0105】
5. 中間ブロック(Bブロック)の製造
アルゴン下、200ml容量のフラスコにおいてビス開始剤(0.5557g,0.6147ミリモル)、MEA(40.00g,307.36ミリモル)及び遊離ニトロキシド(2.70mg,0.0123ミリモル)を混合し、激しく撹拌しながら125℃で5時間加熱した後、室温に冷却した。H−NMRにより測定した変換率は77%であった。反応混合物をアセトン(60ml)に溶解し、ヘキサン(600ml)中に沈殿させた。ポリマーを集め、真空下45℃で乾燥して、透明な粘性液体(30.08g)を得た。
【0106】
6. トリブロックコポリマー(ABA)の製造
アルゴン下、250ml容量のフラスコにおいて中間ブロックポリマー(30.08g)、ジグリム(30g)、DMA(38.20g)及び遊離ニトロキシド(2.70ml,ジグリム溶液中1mlあたり2.0mg)を混合した。混合物を撹拌し、125℃で4時間加熱した後、室温に冷却した。混合物をアセトン(10ml)に溶解し、ヘキサン(600ml)中に沈殿させた。沈殿手順をもう1回繰り返した。トリブロックコポリマーを集め、真空下で乾燥した(50g)。
【0107】
上記重合方法から、結合原子がAブロックとBブロックの間に存在し得ることは当業者に自明である。前記結合原子は通常使用する特定の重合メカニズムにより生ずる。結合原子の存在は必ずしも本発明のブロックコポリマーの特性に影響を及ぼさず、結合原子を含むポリマーはたとえA−B−A、A−R−A等のような式を使用してもブロックコポリマーの定義から排除されるとは解されない。
【0108】
特性決定
結合強度の測定方法
スタイリングポリマーによりもたらされる保持レベルの指標として、またスタイリングポリマーが毛髪に付着しているか否かを評価するために、該ポリマーと1本の繊維間の結合強度を自動結合強度キットを用いて測定する。この方法は、自動結合強度キットをポリマーと2本の垂直に交差した毛髪繊維間の結合を破壊する力(g)を測定するために使用するという原則に基づいている。これは、Diastron(英国アンドーバーに所在)が設計したものであり、ヘアスタイリング業界で広く使用されている。
【0109】
(装置)
Series MTTWinコントロールソフトウェアによりコントロールされるLacquer試料回転ラックを取り付けたDiastronモデル600(英国アンドーバーに所在のDiastron Ltdより供給)。
【0110】
(手順)
a)毛髪繊維の作成
(英国サンドハーストに所在のHugo Royerから供給された)最大及び最小直径が60〜80ミクロンのスペイン人毛髪をまずエーテル中に1分間沈めて洗浄する。次いで、基本シャンプー(16% SLES2EO)で洗浄し、25℃/50% RHの条件で12時間まっすぐに風乾する。
【0111】
b)スタイリングポリマー溶液の調製
55% 水/45% エタノール混合物中に試験スタイリングポリマーを含む3%濃度溶液を作る。
【0112】
c)Diastronコントロールソフトウェアパラメーター
MTTWinコントロールパネル(Lacquer Testing Routine)内の試験パラメーターの値を次のように設定する:
伸び率(%)   =100
速度(mm/分) =10
最大圧(gmf) =200
ゲージ圧(gmf)=2
許容破壊検出   =20
回転ラック設定  =25試料、
1でスタート(Analysis Break検出=5)。
【0113】
d)プロトコル
1. α−シアノアクリレート接着剤(例えば、Cyanolit(商標))を用いて取り付けたアルミニウムブロック上に交差毛髪繊維を載置する。
2. 載置したアルミニウムブロックをLacquer試料回転ラック内のスロットに配置する。
3. Diastronけん縮装置及び載置ブロックを用いて、載置ブロックにより測定して30mmの間隔で25本の毛髪試料の各末端に黄銅フェルールを取り付ける。
4. けん縮試料が相互に垂直になるように載置した毛髪繊維を横断して前記試料を置く。
5. けん縮した毛髪繊維を、水平繊維との交差点の上及び回転ラックの中心に最も近い末端で鋭利な刃を用いて切断する。
6. (SGE International Pty Ltd.から供給された)1マイクロリッター注射器を用いて、試料スタイリングポリマーの5%固体溶液1マイクロリッターを繊維クロスオーバー中に堆積させる。
7. 所要の温度及び湿度条件、すなわち結合強度を測定する条件で3時間放置して乾燥させる。
8. 上記のように設定したパラメーターを用いて自動試験方法を実行する。
【0114】
e)データの取り扱い
試料の回転ラックについて25個の別個の荷重変位プロットを記録する。結合により支持されるピーク荷重をそれぞれの試料で記録し、回転ラックについて平均荷重及び標準偏差を算出する。
【0115】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)特性決定は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中で実施し、分子量はポリスチレン標準を用いて得た検量線を用いて算出する。中間ブロックからのトリブロックコポリマーの鎖延長がSECデータから明確に認められ得る。図1は、中間ブロックを重合した後及び中間ブロックに末端ブロックを付加した後の代表的コポリマーから得たデータを示す。最初、上記中間ブロックポリマーは107,200g/mlの分子量を有している。DMAで鎖延長後、生じたトリブロックコポリマーの分子量は161,700g/mlに上昇している(ポリスチレン標準に対して)。
【0116】
トリブロックコポリマーはCDClH−NMRによっても特性決定され得る。異なるブロック由来の信号が明らかに認められ得、これらの信号はトリブロックコポリマーの提案された化学構造と一致している。トリブロックコポリマーの組成(例えば、MEA/DMAのモル比)は、異なるブロック由来の信号の相対積分の比較により算出され得る。
【0117】
図2は、代表的なDMA−MEA−DMAのトリブロックコポリマーについての複素流動モジュラス(complex rheological modulus)Gの同相(G’)成分及び違相(G”)成分を周波数(ω)の関数として示す。数平均ブロック分子量が12,000−52,000−12,000g/モルでDMA含量が38モル%のDMA−MEA−DMAコポリマーの試料を120℃で直径12mm、厚さ0.8mmの2つのディスクに成形した。これらのディスクをRheometric Scientific DMTA−IV動的機械的熱的アナライザーの丸形剪断サンドイッチ試料取付け具中に置き、120℃で5分間アニーリングしてから測定した。測定は1%のひずみ幅で120℃で実施した。高周波数では、応答は予想される通り同相または弾性寄与により支配される。同相から違相挙動への交差は約200Hzで観察される。ポリマー挙動についての粘弾性モデルは分子緩和メカニズムの固有時間との交差に関連する。前記低周波数での交差は通常全分子の動きと関連している。この交差点以下では、ホモポリマーで予期したG’(ω)〜ω−2、G”(ω)〜ω−1スケールと対照的に、G’(ω)及びG”(ω)はほぼω−0.75である。第2の交差は分子凝集物の動きと関連するであろう約0.8Hzで観察される。この第2の交差は通常ホモポリマーでは見られない。このスペクトルの全体の形は、類似の組成を有する他のブロックコポリマーで従来見られたものと似ている(Zhao,J.,Majumdar,B.,Schulz,M.F.,Bates,F.S.,Almdal,K.,Mortensen,K.,Hajduk,D.A.,Gruner,S.M.,Macromoleules,29,1204−1215(1996);Schulz,M.F.,Khandpur,A.K.,Bates,F.S.,Almdal,K.,Mortensen,K.,Hajduk,D.A.,Gruner,S.M.,Molecules,29,2857−2867(1996))。
【0118】
弾性率の測定方法
弾性率(E)は、相対湿度50%/25℃で2日間平衡後単純な張力配置で10Hz、1%の伸び、25℃で測定した。ポリマー試料を120℃で成形して1.24mm厚さのシートとした。このシートをトリミングして9.5×10mmの棒状物とし、これをRheometric Scientific DMTA−IV動的機械的熱的アナライザーの1つの片持ち試料固定具に載せた。
【0119】
ポリマー溶解度の測定方法
ポリマーと水の相容性を簡単な可視化方法を用いて評価した。
【0120】
密封したガラス容器中の蒸留水(100ml)にブロックコポリマー(1g)を添加した。次いで、容器を25℃で激しく15分間撹拌し、内容物の透明度を観察し、記録した(観察1)。次いで、容器を水浴に1時間置いた後4時間回転させることにより試料を55℃に加温した。次いで、内容物を25℃で24時間放置し、内容物を再び観察し、記録した(観察2)。
【0121】
最初の撹拌(観察1)及び放置(観察2)後に混合物が明らかに同定可能な第2相を形成せず、内容物の外観が透明であるかまたは僅かに曇っているだけならばポリマーは可溶性と見做された。
【0122】
粘度の測定方法
粘度(η)は、脱イオン水の粘度を1cpと仮定し、50容量%の水性エタノール溶液中5重量%ポリマーについて25℃で細管粘度計を用いて推定した。
【0123】
分子量の測定方法
中間ブロックポリマーの数平均分子量(Mn)は、重合方法はリビングであると仮定し、モノマ−対開始剤の比及びNMRで測定したモノマーの変換率(通常約80%)から算出する。末端ブロックポリマーのMnは、DMAモル分率及び中間ポリマーのMn値から算出する。DMAモル分率はNMRから求める。
【0124】
実施例1〜12
以下、本発明で使用するのに適したポリマーを例示する。
【0125】
【表1】
Figure 2004510719
【0126】
中間ブロックポリマーの数平均分子量(Mn)は、重合方法がリビングであると仮定して、モノマー対開始剤の比及びNMRにより測定したモノマーの変換率(通常約80%)から算出する。末端ブロックポリマーのMnはDMAモル分率及び中間ブロックポリマーのMn値から算出する。DMAモル分率はNMRにより調べる。2の分子量とDMAモル分率の矛盾は他の材料(1.2)に比してこの材料(1.3)の多分散度が高いことを反映しており、これは重合中分子量のコントロールが若干失われることを示す。
【0127】
弾性率(E)は50%相対湿度/25℃で2日間平衡化した後10Hz、1%の伸び、25℃、単純な張力配置で測定した。粘度(η)は、脱イオン水の粘度を1cpと仮定し、50容量%水性メタノール溶液中5重量%のポリマーについて25℃で細管粘度計を用いて推定した。
【0128】
【表2】
Figure 2004510719
【0129】
実施例1〜6では、DMAの付加前にすべての非重合MEAを除去し、鎖に沿って移動するようにMEAからDMAの鋭角な転移を生じさせた。実施例7〜12では、DMAの付加前に非重合MEAを除去しなかった。こうすると、(すべてのMEAが取り込まれるまで)MEAとDMAの共重合が生じ、その結果鎖の主鎖に沿ってMEAからDMAの幅広い転移が生じた。前記転移は溶解性及び機械的特性に悪影響を与える恐れがあり、広い転移を有するポリマーは製造するのにコストがかからないので有利であり得る。
【0130】
数平均分子量は上記したように算出した。
【0131】
実施例13〜36
更に、DMA−MEA−DMAブロックコポリマーを例示する。
【0132】
【表3】
Figure 2004510719
【0133】
本発明の幾つかのコポリマーの可溶性を上記した方法を用いて測定した。その結果を下表に示す。
【0134】
【表4】
Figure 2004510719
このように、すべてのポリマーが水溶性であった。
【0135】
実施例37〜45
以下、本発明の組成物を例示する。
【0136】
実施例で使用した材料を下表に示す。
【0137】
【表5】
Figure 2004510719
エタノールはSD Alcohol 40−B(活性分92%)である。
【0138】
(実施例37)
スタイリングムースは以下のように処方する。
【0139】
【表6】
Figure 2004510719
【0140】
(実施例38)
ヘアスプレーは以下のように処方する。
【0141】
【表7】
Figure 2004510719
【0142】
(実施例39)
ポンプスプレーは以下のように処方する。
【0143】
【表8】
Figure 2004510719
【0144】
(実施例40)
スタイリングジェルは以下のように処方する。
【0145】
【表9】
Figure 2004510719
【0146】
(実施例41)
55% voc噴射エアゾール組成物は以下のように処方する。
【0147】
【表10】
Figure 2004510719
【0148】
(実施例42)
55% vocヘアスプレー組成物は以下のように処方する。
【0149】
【表11】
Figure 2004510719
【0150】
(実施例43)
スタイリングムースは以下のように処方する。
【0151】
【表12】
Figure 2004510719
【0152】
(実施例44)
ポンプスプレーは以下のように処方する。
【0153】
【表13】
Figure 2004510719
【0154】
(実施例45)
スタイリングジェルは以下のように処方する。
【0155】
【表14】
Figure 2004510719

【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の組成物中に使用され得るABAコポリマーの中間ブロックの重合後及び中間ブロックへの末端ブロックの付加後のSECトレースを示すプロットである。
【図2】
本発明の組成物中に使用され得るDMA−MEAコポリマーの複素流動モジュラスGの同相(G’)成分及び違相(G”)成分を周波数(ω)の関数として示す。

Claims (26)

  1. 化粧品またはパーソナルケア組成物であって、熱可塑性エラストマー及び化粧品上許容され得る希釈剤または担体を含み、前記熱可塑性エラストマーは少なくとも複数のC−C結合を含む主鎖を有するコアポリマー及び2つ以上のフランキングポリマーからなるブロックコポリマーであり、各フランキングポリマーはコアポリマーの末端に共有結合しており、前記コポリマーは25℃の水に少なくとも1重量%のレベルで可溶性である、前記組成物。
  2. コアポリマーが−100から50℃のTgを有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の組成物。
  3. フランキングポリマーが30から150℃のTgを有することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の組成物。
  4. ブロックコポリマーが線状または星状であることを特徴とする請求の範囲第1項から第3項のいずれか1項に記載の組成物。
  5. ブロックコポリマーが線状ABAブロックコポリマーであることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか1項に記載の組成物。
  6. ブロックコポリマーが構造(AB)−コア(ここで、A及びBはポリマーブロックであり、コアは非ポリマー結合コアである)を有することを特徴とする請求の範囲第5項に記載の組成物。
  7. コアポリマーが(C1−3アルコキシ)C1−6アルキルアクリレートのポリマーであることを特徴とする請求の範囲第1項から第6項のいずれか1項に記載の組成物。
  8. コアポリマーが(2−メトキシエチル)アクリレートのポリマーであることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の組成物。
  9. フランキングポリマーがN,N−ジメチルアクリルアミドのポリマーであることを特徴とする請求の範囲第1項から第8項のいずれか1項に記載の組成物。
  10. コポリマーがポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)−ポリ((2−メトキシエチル)アクリレート)−ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)ブロックコポリマーであることを特徴とする請求の範囲第1項から第9項のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 0.1から10重量%のブロックコポリマーを含むことを特徴とする請求の範囲第1項から第10項のいずれか1項に記載の組成物。
  12. コアポリマーが20から500kDaの重量平均分子量を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第11項のいずれか1項に記載の組成物。
  13. フランキングポリマーが200Daから50kDaの重量平均分子量を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第12項のいずれか1項に記載の組成物。
  14. コアポリマー対フランキングポリマーのモル比が1:10から10:1であることを特徴とする請求の範囲第1項から第13項のいずれか1項に記載の組成物。
  15. ブロックコポリマーが25℃/30%の相対湿度で少なくとも30gの結合強度を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第14項のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 脱イオン水の粘度は1mPasと仮定して、50容量%水性エタノール溶液中5重量%のポリマーについて25℃で細管粘度計を用いて測定したときポリマーは15cp未満の粘度を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第15項のいずれか1項に記載の組成物。
  17. ブロックコポリマーが0.45Gpa未満の弾性率を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第16項のいずれか1項に記載の組成物。
  18. 更にフレグランスまたはパフュームを含むことを特徴とする請求の範囲第1項から第17項のいずれか1項に記載の組成物。
  19. ヘアスタイリング用ヘアスプレー、ムースまたはジェルであることを特徴とする請求の範囲第1項から第18項のいずれか1項に記載の組成物。
  20. 更に追加のヘアスタイリングポリマーを含むことを特徴とする請求の範囲第19項に記載の組成物。
  21. 更に0.01から7.5重量%の界面活性剤を含むことを特徴とする請求の範囲第19項または第20項に記載の組成物。
  22. 更に30重量%以下の噴射剤を含むことを特徴とする請求の範囲第19項から第21項のいずれか1項に記載の組成物。
  23. 0.01から10重量%の構造化剤または増粘剤を含むヘアスタイリングクリームまたはジェルであることを特徴とする請求の範囲第19項から第22項のいずれか1項に記載の組成物。
  24. 請求の範囲第1項から第23項のいずれか1項に記載の組成物を毛髪に適用することを特徴とするヘアトリートメント化粧方法。
  25. 毛髪がヒト毛髪であることを特徴とする請求の範囲第24項に記載の方法。
  26. ヘアトリートメントのための請求の範囲第1項から第23項のいずれか1項に記載の組成物の使用。
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