JP2004509209A - 鋼のプライマーコーティング - Google Patents

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Abstract

本発明は、シリカバインダーを含むプライマーコーティングで鋼基体をプライマーコーティングする方法において、バインダーが少なくとも6:1のSiO/MOモル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表す)を有する水性シリカゾルを含むこと、およびプライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が水中に浸漬されまたは少なくとも50%の相対湿度を有する雰囲気中に保持されることを特徴とする方法に関する。本発明はまた、シリカまたはシリケートバインダーを含むプライマーコーティングで鋼基体をプライマーコーティングする方法において、バインダーが、少なくとも6:1のSiO/MOモル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表す)を有する水性シリカゾルまたはアルカリ金属シリケートを含むこと、およびプライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が、水中に浸漬される前または少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中に貯蔵される前に、膜強度を高める溶液で処理されることを特徴とする方法にも関する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼のプライマーコーティングのための方法に関する。特に、本発明は、その後に熱集中法によって組み立てられそして上塗りされるべき半仕上げの鋼製品のコーティングに関する。そのような半仕上げの鋼製品は、造船業において、および他の大規模な構築物、例えば産油プラットフォーム、のために使用され、そして鋼板、例えば6〜75mm厚さの鋼板、棒鋼、ガーダー、および補鋼材として使用される種々の鋼部品を包含する。最も重要な熱集中法は溶接である。そのような半仕上げの鋼製品の実質的に全てが溶接される。他の重要な熱集中法は、切削、例えば酸素燃料切削、プラズマ切削またはレーザー切削、および熱整形であり、これらの方法において鋼は加熱されながら形に曲げられる。これらの鋼製品は、構築の前の貯蔵中および構築の間、しばしば風雨にさらされ、そしてそれらは、鋼構築物、例えば船、にさび止め塗料を完全にコーティングする前に生じる鋼の腐食を回避するために、「ショッププライマー」または「プレ構築コーティング」と呼ばれるコーティングで一般にコーティングされ、それによって、上塗りしまたは鋼腐食生成物を除去しなければならないという問題を回避する。ほとんどの大きい造船所では、鋼が例えば予熱され、ミルスケールおよび腐食生成物を除去するためにショットまたはグリットブラストされ、ショッププライマー施与され、および乾燥ブースを通されるところの生産ライン上で行われるいくつかの処理の1つとしてショッププライマーが適用される。あるいは、ショッププライマーは、鋼が造船所または他の構築現場へ運ばれる前に、商業コーターまたは鋼供給者によって適用され得る。
【0002】
【従来の技術】
ショッププライマーの主な目的は構築中の一時的な腐食保護を提供することであるが、造船業者によってショッププライマーが除去される必要がなく、組み立ての間およびその後に鋼上に残り得るのが好ましい。すなわち、ショッププライマーでコーティングされた鋼が、ショッププライマーを除去することなく溶接可能であり、かつ船および他の鋼構築物において一般に使用される種類の保護用さび止めコーティングで上塗り可能であるとともに、プライマーと続いて施与されるコーティングとの間に良好な付着性を有することが必要である。ショッププライマー塗布された鋼は好ましくは、溶接の品質または溶接プロセスの速度に関して何らの重要な悪影響を及ぼすことなく溶接可能であるべきであり、かつ整形中または鋼の向かい合う面の溶接中に加熱される領域における耐腐食性をショッププライマーが保持するために十分な耐熱性を有するべきである。
【0003】
今日利用可能な、商業的に成功したショッププライマーは、前加水分解されたテトラエチルオルトシリケートバインダーおよび亜鉛粉末に基づく溶媒系コーティングである。そのようなコーティングは、塗料バインダーを安定化するため、および生成物を薄膜、典型的には約20ミクロン厚さの薄膜として適用することを可能にするために、大きい割合の揮発性有機溶媒、典型的には約650g/リットルの揮発性有機溶媒を含む。揮発性有機溶媒の放出は、環境に有害であり得、多くに国において法規制されている。揮発性有機溶媒を放出しない、またははるかに少なく放出するショッププライマーが望まれる。そのようなコーティングの例は、米国特許第4,888,056号および特開平7−70476号に記載されている。
【0004】
特開平6−200188号は、ショッププライマーコーティングに関し、水性アルカリシリケート塩型バインダーを使用することの可能性に言及している。また、水性アルカリ金属シリケートおよび亜鉛粉末を含むコーティングが、英国特許第1226360号、英国特許第1007481号、英国特許第997094号、米国特許第4,230,496号および特開昭55−106271号において提案されている。また、さび止めコーティングのためのアルカリシリケートバインダーが、米国特許第3,522,066号、米国特許第3,620,784号、米国特許第4,162,169号および米国特許第4,479,824号において言及されている。
【0005】
韓国特許出願KR8101300は、アルキルオルトシリケートまたはアルカリ金属シリケート、亜鉛粉末、および酸化アルミニウム粉末または酸化チタン粉末を含む組成物が鋼板に施与され、次いで20℃および75%RHで乾燥されるところの方法を記載している。該特許は、これらの特定の乾燥条件の、膜特性に対するおよび膜特性発生の速度に対する有利な効果を何ら言及も示唆もしていない。
【0006】
本発明者らは、亜鉛粉末を含む水性アルカリシリケートバインダーに基づくプライマーコーティングが、十分な腐食保護を与えることができ、そして上記コーティングが被覆する鋼表面が溶接されることを可能にするが、上塗りされるときに問題を生じることを見出した。水性シリケートは、該シリケートを水性溶液中に保持するために必要であるところの多量のアルカリ金属カチオンを含み、そしてこれらのイオンは、コーティングが乾燥した後もなおコーティング中に存在する。本発明者らは、これらの多量のアルカリ金属イオンを有するプライマーコーティングが何らかの慣用の有機コーティングで上塗りされ、次いで水中に浸漬されると、ふくれ(コーティングの局部的な層間剥離)が生じることを見出した。本発明者らは、ショッププライマーの施与後にそのコーティングをある時間戸外にさらし、または上塗りの前にそのコーティングを洗浄するならば、この問題が減少され得ることを示す試験を行った。しかし、これらの方法は、今日の高生産性造船所における使用と両立しない。
【0007】
非常に低いアルカリ金属イオン含量を有する水性シリカゾルが市販されているが、そのようなゾルに基づくコーティングは通常、付着性、凝集性、硬度、ならびに耐摩耗性および耐水性の点で非常に不良の(初期)膜強度を有する。コーティングのこれらの不良の物理的特性は、取扱中、または更なる加工処理中に損傷を受けやすくする。これは、価格と大きく関わる重要なコーティング修復の潜在的要求を生じる。シリカゾルコーティングに対して示唆された改善は、米国特許第3,320,082号(水と混和しない有機アミンを加える)、英国特許第1541022号(水溶性アクリルアミドポリマーを加える)、および英国特許第1485169号(4級アンモニウムまたはアルカリ金属シリケートを加える)に記載されている。しかし、そのようなコーティングは、アルカリ金属シリケートに基づくコーティングと類似の物理的特性を達成しなかった。シリカゾルに基づくコーティングは、上塗り/浸漬されると、低いレベルのふくれを示す。水溶性塩含量および浸透圧は低いが、コーティングがその不良の物理的特性故にふくれの開始/成長に対する耐性をほとんど示さないので、ふくれがなおも生じ得る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
基体への改善された付着性および、ふくれの開始および成長に耐えるために上記した特性の点で改善された膜強度を有する、低いアルカリ金属イオン含量の水系ショッププライマーが望まれる。さらに、コーティングの損傷の危険なしに基体の取扱および更なる加工処理を可能にするために、ショッププライマーの施与後にコーティングの物理的特性の急速な発生を示す、ふくれのない水系ショッププライマーが望まれる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
組み立てられそして上塗りされることが意図される鋼のプライマーコーティングのための本発明に従う方法は、上記の問題/欠点への解決を提供する。シリカバインダーを含むプライマーコーティングで鋼基体をプライマーコーティングするための本発明に従う方法は、バインダーが、少なくとも6:1のSiO/MOモル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表す)を有する水性シリカゾルを含むこと、およびプライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が水中に浸漬されまたは少なくとも50%の相対湿度を有する雰囲気中に保持されることを特徴とする。
【0010】
本発明はさらに、シリケートまたはシリケートバインダーを含むプライマーコーティングで鋼基体をプライマーコーティングするための方法において、バインダーが、少なくとも6:1のSiO/MOモル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表す)を有する水性シリカゾルまたはアルカリ金属シリケートを含み、かつプライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が、水中に浸漬される前または少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中に貯蔵される前に、膜強度を高める溶液で処理されるところの方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の目的のために、膜強度を高める溶液は、プライマーコーティングの膜強度を高めおよび/または膜強度の発生を時間と共に促進するところの溶液である。
【0012】
バインダーは、最も好ましくは、水性シリカゾルに基づく。そのようなゾルは、Akzo Nobelから「Bindzil」の商標で、またはduPontから「Ludox」の商標で入手可能であるが、それらに関する文献は、慣用のグレードのコロイド状シリカが良好な膜形成物でないことを強調している。種々のコロイド状シリカ粒径を有しかつ種々の安定剤を含む種々のグレードのゾルが入手可能である。コロイド状シリカの粒径は例えば、3〜100nmの範囲であり得る。この範囲の下限の方の粒径、例えば5〜22nm、が好ましい。平均粒径が16nm以下、好ましくは10nm以下のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物は、本発明に従う方法において、コーティングされた表面を膜強化溶液で処理することの必要もなく、特性の十分な発生を示すことが分かった。平均粒径が16nmより上のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合は、コーティングされた基体がその後に水中に浸漬されまたは少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中に保持されるときは特に、膜強化溶液による処理が明らかな利点を付与し得る。
【0013】
シリカゾルは好ましくは、少なくとも25:1、より好ましくは少なくとも50:1のSiO/MOモル比を有し、そして、200:1以上のSiO/MOモル比を有し得る。さらに、異なるSiO/MOモル比を有する2以上のシリカゾルのブレンドを使用することが可能であり、ここで、ブレンドのSiO/MOモル比は少なくとも25:1である。ゾルは、アルカリ、例えばナトリウム、カリウム、もしくはリチウム水酸化物、または4級アンモニウム水酸化物によって、あるいは水溶性有機アミン、例えばアルカノールアミンによって安定化され得る。コーティング組成物は、好ましくは、何らのアンモニウム安定化シリカゾルも実質的に含むべきでない。なぜならば、アンモニウム安定化ゾルの存在は、バインダーがアンモニウム安定化シリカゾルから主に成り、かつコーティング組成物が亜鉛粉末をも含むときは特に、組成物のゲル化を生じ得るからである。
【0014】
シリカゾルは、少量のアルカリ金属シリケート、例えばリチウムシリケート、ナトリウム−リチウムシリケート、またはカリウムシリケートと、あるいは4級アンモニウムシリケートと混合され得る。適するゾル−シリケートブレンドまたは混合物の他の例は、米国特許第4,902,442号に見ることができる。アルカリ金属シリケートまたはアンモニウムシリケートの添加は、シリカゾルの初期の膜形成性を改善し得るが、アルカリ金属シリケートの量は、バインダーのSiO/MOモル比が少なくとも6:1、好ましくは少なくとも8:1、最も好ましくは15:1より上であるように十分少なくあるべきである。本発明の目的のために、少量のアルカリ金属シリケートは、組成物中のアルカリ金属シリケートとシリカゾルとの重量比が0.5より小さく、好ましくは0.25より小さく、より好ましくは0.1より小さいことを意味する。
【0015】
シリカゾルは、あるいはまたはさらに、溶解されたまたは分散された有機樹脂を含み得る。有機樹脂は、好ましくは、ラテックス、例えばスチレンブタジエンコポリマーラテックス、スチレンアクリルコポリマーラテックス、酢酸ビニルエチレンコポリマーラテックス、ポリビニルブチラール分散物、シリコーン/シロキサン分散物、またはアクリル系ラテックス分散物である。使用され得る適するラテックス分散物の例は、XZ94770およびXZ94755(共にDow Chemicals製)、Airflex(商標)500、Airflex(商標)EP3333DEV、Airflex(商標)CEF52、およびFlexcryl(商標)SAF34(以上、Air Products製)、Primal(商標)E−330DFおよびPrimal(商標)MV23LO(共に、Rohm and Haas製)、ならびにSilres(商標)MP42E、Silres(商標)M50EおよびSLM43164(以上、Wacker Chemicals製)を包含する。水溶性ポリマー、例えばアクリルアミドポリマー、は、使用され得るが、あまり好ましくない。有機樹脂は好ましくは、固形バインダーに基づいて35重量%までで使用される。平均粒径が10nm以下のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、有機樹脂は好ましくは、固形バインダーに基づいて20重量%まで、より好ましくは1〜15重量%使用される。平均粒径が10nmより上、例えば12〜22nm、または12〜16nmであるコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、固形バインダーに基づいて35重量%までの増加されたレベルの有機樹脂が好ましい。それより多量の有機樹脂は、その後の溶接の間に溶接多孔(weld porosity)を引き起こし得る。有機樹脂の添加は、ごばん目試験において測定される付着性/凝集性を改善することが分かった。
【0016】
あるいは、シリカゾルが、アルコキシシラン基および、官能基、例えばアミノ、エポキシドまたはイソシアネート基を含む有機部分を含むシランカップリング剤を含み得る。シランカップリング剤は好ましくは、アミノシラン、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシランまたはγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、あるいはその部分的加水分解物であるが、エポキシシラン、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランも使用され得る。シランカップリング剤は好ましくは、シリカに基づいて30重量%まで、例えば1〜20重量%で存在する。
【0017】
プライマーコーティングのバインダーは、あるいはまたはさらに、ケイ酸より低いpKaの、少なくとも1のアニオン性基、例えばカルボキシレート基またはスルホネート基、によって置換されたシリコネートによって安定化されたアルカリ金属シリケートまたはアンモニウムシリケートの水性溶液を含み得る。そのようなバインダーは好ましくは、シリケートおよびシリコネートの溶液のpHをカチオン交換によって低下させることにより調製される、8:1〜30:1の範囲のSiO/MOモル比および7〜10.5の範囲のpHを有する溶液である。こうして、シリコネートが、比較的低レベルで、例えば1:2〜1:20のモル比で、慣用の3.9:1のSiO/KOのアルカリシリケートに添加され得る。次いで、加工処理の容易性を改善しかつ安定性をさらに改善するために、固形分が低下され得る。この段階で、溶液は12〜12.5のpHを有する。溶液は、標準的なイオン交換樹脂を使用してイオン交換される。KイオンがHで置き換えられて、バインダーのアルカリ含量、およびpHの両方を低下させる。シリコネートの存在なしでは、シリケートはpHを低下させるときにゲル化するであろう。8と低いpHを有する透明で安定な溶液が得られた。得られたバインダーは、典型的には8〜20:1の範囲のSiO/KOモル比を有し、所望ならば、固形分を増加させるために濃縮され得る。バインダーは透明で安定な溶液であり、亜鉛の存在下で安定であるが、これらのイオン交換されたバインダーに基づくコーティングは、アルカリシリケートバインダーに基づくコーティングと比較して、比較的不良の膜強度を有する。
【0018】
好ましくは、9〜11.5、より好ましくは9.5〜11の範囲のpHを有するバインダーが使用される。膜特性に対するpHの効果を説明する何らの理論によっても縛られたくないが、高められたpHは、溶液中の可溶シリカの増加された量を生じると思われる。これは、コーティング組成物の適用後にインシチュー(in situ)ゲル強化を行うための可能性を有すると思われる。さらに、pH調整は、小さいポットライフ延長効果を有し得る。市販のシリカゾルが使用されるとき、高いpHを有するゾルが選択され得、および/またはゾルのpHが調整され得る。pHは、例えば、pHが影響するポットライフ延長剤、例えばジメチルアミノエタノール(DMAE)を添加することによって、または希硫酸を添加することによって、または水酸化ナトリウムを添加することによって調整され得る。
【0019】
プライマーコーティングは好ましくは、亜鉛粉末および/または亜鉛アロイを含む。そのような亜鉛粉末は好ましくは、2〜12ミクロンの体積平均された平均粒径を有し、最も好ましくは、そのような亜鉛粉末が、2〜8ミクロンの平均粒径を有する亜鉛粉末として市販されている製品である。亜鉛粉末は、ガルヴァーニ電気機構によって鋼を保護し、そしてコーティングによって与えられる腐食保護を高める、亜鉛腐食生成物の保護層をも形成し得る。亜鉛粉末の全てまたは一部は、亜鉛アロイによって置き換えられ得る。コーティング中の亜鉛粉末および/またはアロイの量は一般に、乾燥膜に基づいてコーティングの少なくとも10体積%であり、90体積%までであり得る。亜鉛粉末および/またはアロイは、コーティングの着色の実質的に全体であり得、あるいは、乾燥膜に基づいてコーティングの例えば70体積%まで、例えば25〜55体積%を含み得、コーティングは、補助の腐食防止剤をも含む。補助の腐食防止剤は、例えば米国特許第5,246,488号に記載のモリブデート、ホスフェート、タングステートまたはバナデート;韓国特許出願KR8101300に詳述されている超微細な二酸化チタン;および/または酸化亜鉛および/またはフィラー、例えばシリカ、焼成粘土、アルミナシリケート、タルク、バライト、マイカ、ケイ酸マグネシウム、または焼成されたケイ酸アルミニウムであり得る。
【0020】
平均粒径が10nm以下のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、コーティング中の亜鉛粉末および/またはアロイの量は、乾燥膜に基づいてコーティングの40〜60体積%、好ましくは45〜55体積%である。平均粒径が10nmより上、例えば12〜22nm、または12〜16nmであるコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、コーティング中の亜鉛粉末および/またはアロイの量は35〜50%である。しかし、亜鉛系顔料と共に、他の顔料が使用され得る。これらの他の非亜鉛顔料の例は、導電性エクステンダー、例えばリン化二鉄(Ferrophos(商標))、雲母状酸化鉄などを包含する。これらの導電性非亜鉛顔料の使用は、有効な腐食保護を維持しながら亜鉛レベルの低下を可能にし得る。最適なコーティング特性を得るために、エクステンダーは好ましくは、コーティング組成物中に十分分散される。使用されるエクステンダーの種類および大きさは、十分な状態の分散物を得るために調整され得る。例えば、エクステンダー顔料Satintone(Lawrence Industries製)が選択されるとき、3μmより下、好ましくは2μmより下の平均粒径が使用されるべきである。
【0021】
好ましくは、コーティングの顔料体積濃度(PVC)が40〜75%である。75%より上では膜特性が低下し、40%より下では、有効な腐食保護を付与するには不充分な亜鉛が存在する。平均粒径が10nmより下のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、PVCは好ましくは、55〜75%、より好ましくは65〜75%である。平均粒径が10nm以上のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、40〜65%、より好ましくは45〜55%のPVCを有するコーティングを使用することにより、改善された早めのコーティング特性が得られ得る。
【0022】
顔料体積濃度(PVC)は、乾燥塗料膜中の顔料の体積%である。臨界顔料体積濃度(CPVC)は通常、顔料表面上にバインダーの完全に吸着された層を付与しかつ密集した系における粒子間の全ての隙間を満たすのにちょうど十分なバインダーが存在するところの顔料体積濃度として定義される。臨界顔料体積濃度は、乾燥顔料を、凝集性の塊を形成するのにちょうど十分な亜麻仁油で浸潤させることにより決定され得る。この方法は、臨界顔料体積濃度がそれから計算され得るところの、「油吸収」として知られる値を生じる。油吸収を決定するための方法は、英国基準3483(BS3483)に記載されている。
【0023】
プライマーコーティングの固形含量は一般に少なくとも15体積%であり、好ましくは20〜35体積%の範囲である。体積固形含量は、コーティング組成物中に存在する全成分に基づいて計算される理論値である。コーティングは好ましくは、40ミクロン未満、好ましくは12乃至25〜30ミクロンの乾燥膜厚を有するコーティングを得るために慣用のコーティング施与、例えばスプレー、特にエアレススプレーまたは高体積低圧(HVLP)スプレー施与によって容易に施与され得るような粘度を有する。
【0024】
所望により、コーティング組成物は、当業者に周知の更なる添加剤、例えばチキソトロープおよび/またはレオロジー制御剤(有機粘土、キサンタンゴム、セルロース、セルロース増粘剤、ポリエーテルウレアポリウレタン、アクリルなど)、消泡剤(特に、ラテックス変性剤が存在するとき)、および(第二の)ポットライフ延長剤、例えばクロメート(例えば、重クロム酸ナトリウム)または3級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはジメチルアミノエタノール)を含み得る。好ましいチキソトロープおよび/またはレオロジー制御剤は、ナトリウムマグネシウムシリケート(有機粘土)であるBentone EW(Elementis製)、水和アルミニウムシリケートであるBentolite WH(Rockwood製)、水和ナトリウムマグネシウムリチウムシリケートであるLaponite RD(Rockwood製)、および水中の登録アクリル分散物であるRheolate 425(Elementis製)を包含する。好ましい消泡剤は、Foamaster NDW(Cognis製)およびDapro 1760(Elementis製)を包含する。好ましい第二のポットライフ延長剤は、ポットライフ延長のためにクロメートを含まない選択を提供するところの3級アミンである。第二のポットライフ延長剤が存在しないならば、コーティング組成物は通常、<1〜4時間のポットライフを有する。24時間より長いポットライフを得るためには、通常、ほんの少量(液状塗料に基づいて0.0125〜0.025重量%)の二クロム酸ナトリウムを添加すれば十分である。それより高いレベルは通常、コーティングの不良特性をもたらす。通常、コーティング系は、2(またはそれより多い)成分系として提供される。より長いポットライフは、アルミナ修飾された表面を有するシリカゾルを含む系に関しても見出される。これらのコーティング組成物のポットライフを延長するためのアルミナ修飾されたシリカゾルの使用は、別個の特許出願の主題である。
【0025】
例えば施与のすぐ前にコーティング組成物の全ての成分を供給しそして完全に混合することにより、コーティングの施与の直前にコーティング組成物を調製することが可能である。そのような方法は、コーティング組成物中に存在する成分のオンライン混合と言うこともできる。この方法は、限られたポットライフを有するコーティング組成物に特に適する。
【0026】
コーティングされた基体が水中に浸漬される前、または少なくとも50%の相対湿度を有する雰囲気中に保持される前に、プライマーコーティングは、指触乾燥の程度まで乾燥される。指触乾燥までの時間は一般に、15〜20μmの乾燥膜厚(dft)コーティングに関して、15〜20℃の環境温度で約10〜15分であり、40℃で3〜4分である。その乾燥時間は、空気流および膜厚にも依存する。35℃および0.5m/秒の空気流では、20μmの乾燥膜厚コーティングに関する乾燥時間が約2分である。この時間は、空気温度を高めることによりさらに短縮され得る。一般に、乾燥時間は、基体温度を高め、空気温度を高め、空気流を使用し、またはそれらの何らかの組み合わせにより、短縮され得る。強制空気流中、好ましくは少なくとも0.1m/秒の空気流中、10〜60℃、好ましくは25〜50℃でプライマーコーティングの乾燥を行うことが好ましい。速い乾燥を達成することは、造船所または製鋼工場でのオンライン適用に非常に重要である。
【0027】
好ましい方法では、コーティングされた基体が、水中に浸漬される。プライマーコーティングが指触乾燥の程度までいったん乾燥すると、コーティングされた基体を浸漬する必要はない。(はるかに)一層長い時間、コーティングを乾燥することも可能である。しかし、プライマーコーティングが指触乾燥である前に、コーティングされた基体が水中に浸漬されると、一般に、コーティング特性の低下が認められる。
【0028】
本発明に従う方法の別の実施態様では、プライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が、少なくとも50%の相対湿度を有する雰囲気中で保持される。コーティングされた基体が、少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中で保持されるとき、特性のさらに一層早い発生が達成される。プライマーコーティングが指触乾燥の程度までいったん乾燥すると、コーティングされた基体を比較的高い湿度を有する雰囲気中に置く必要はない。コーティングを(はるかに)一層長い時間、乾燥することも可能である。さらに、コーティングされた基体を、比較的高い湿度を有する雰囲気中で乾燥することが可能である。
【0029】
水中に浸漬する前、または少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中である時間貯蔵する前に、コーティングされた基体の物理的特性の発生をさらに促進するために、基体を、プライマーコーティングの膜強度を高める溶液で処理することができる。そのような溶液が基体に施与される前に、プライマーコーティングは、指触乾燥の程度まで乾燥されるべきである。
【0030】
この溶液は一般に、無機塩の水性溶液、または反応性のケイ素含有基を有する物質の溶液であり得る。膜強度の増加は、硬度、耐摩耗性、および通常は付着性における有意な増加によって検出され得る。硬度は、英国基準3900、パートE19(1999)の鉛筆硬度試験(コーティングのガウジングに必要な鉛筆の硬度)によって測定され得る。耐摩耗性は、コーティングを自動的にこする二回こすり試験(double rub test)を使用して測定され得、そして、乾式でまたは水を用いる湿式で行われ得る。乾式または湿式のいずれかの耐摩耗性における有意な増加がプライマーコーティングの膜強度の増加とみなされるが、本発明者らは、本発明に従う処理が一般に、乾式および湿式の両方の耐摩耗性を増加させることを見出した。付着性は、英国基準3900、パートE6(1992)に記載されたごばん目試験によって測定され得る。
【0031】
プライマーコーティングに所望により適用される、膜強度を高める溶液の量は一般に、標準乾燥膜厚(15〜20μm)で適用されるコーティングに関して、プライマーコーティングされた表面1mにつき0.005〜0.2、好ましくは0.01〜0.08リットル(リットル/m)の範囲である。そのような量の溶液は、スプレーによって便利に適用され得る。言うまでもなく、コーティングが過適用される、すなわち乾燥膜厚>20μmで適用されるならば、後処理溶液の濃度または体積は増加されるべきである。
【0032】
所望により適用される、膜強度を高める溶液が無機塩の水性溶液であるとき、それは一般に、少なくとも0.01Mの濃度、好ましくは少なくとも0.03Mの濃度を有する。無機塩溶液の濃度は、0.5Mまで、または1Mまたはそれよりさらに高くあり得る。無機塩は、1価カチオンの塩、例えばアルカリ金属またはアンモニウムの塩;2価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、銅(II)または鉄(II)、の塩;3価カチオン、例えばアルミニウムまたはセリウム(III)、の塩;または4価カチオン、例えばセリウム(IV)、の塩;および1価アニオンの塩、例えばハライド、例えばフルオライド、クロライドもしくはブロマイド、またはナイトレート;または多価アニオンの塩、例えば硫酸塩またはリン酸塩、であり得る。上記塩の混合物も使用され得る。有効であることが分かった無機塩溶液の例は、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、硫酸セリウム(IV)、硫酸銅、塩化ナトリウム、および塩化カリウムであるが、塩化物は、腐食を促進する傾向故に、好ましくないと考えられる。硫酸亜鉛または硫酸アルミニウムの使用が好ましい。無機塩溶液の濃度は、好ましくは、0.5〜20重量%の範囲である。
【0033】
活性ケイ素含有基を有する物質の1例は、シリケートである。膜強度を高める溶液は、アルカリ金属シリケート溶液、例えばケイ酸カリウムもしくはケイ酸リチウム、またはアンモニウムシリケート溶液であり得、あるいはアルカリ金属シリコネート、例えばアルキルシリコネート溶液であり得る。そのような溶液の好ましい濃度は、0.5〜20重量%の範囲である。
【0034】
所望により適用される、膜強度を高める溶液が無機塩またはアルカリ金属シリケートの溶液であるとき、添加される物質は、ケイ酸亜鉛プライマーコーティングの塩含量を増加させる。これは、コーティングが上塗りされるときの浸透性駆動力を、および従って、コーティングされた基体が浸漬されるときの浸透性ふくれの可能性を増加させる傾向にある。適用される無機塩またはアルカリ金属シリケートの量は好ましくは、プライマーコーティングバインダーのSiO/MOモル比が6:1より上、好ましくは8:1より上、最も好ましくは10:1より上で保持されるのに十分低い。これを達成するために、膜強度を高める溶液中に適用される無機塩またはアルカリ金属シリケートの量は好ましくは、15〜20μmの乾燥膜厚を有するコーティングに関して、乾燥重量に基づいて、10g/m未満、最も好ましくは5g/m未満である。
【0035】
反応性のケイ素含有基を有する物質の別の例は、アルコキシシランまたはアシルオキシシラン、例えばアセトキシシランである。これは、例えば、テトラアルコキシシラン(アルキルオルトシリケート)、例えばテトラエトキシシランまたはテトライソプロポキシシラン、あるいはトリアルコキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン(MTMS、Aldrich製)またはビストリメトキシシランエタンであり得る。アルコキシシランは、更なる官能基を含み得る。例えばトリアルコキシシランは、式RSi(ORを有し得、ここで、各R基は1〜3Cアルキルであり、Rは、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、ハロゲン、カルバメート、エポキシド、イソシアネート、アジリジン、スルホネート、カルボキシレート、ホスフェートまたはヒドロキシル基で置換された、アルキルまたはアリール基である。好ましい例は、アミノシラン、例えばトリエトキシシリルプロピルアミン(Aminosilane A1100、Witco製)、トリメトキシシリルプロピルアミン(Aminosilane A1110、Witco製)、トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン(Aminosilane A1120、Witco製)、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン(Aminosilane A1130、Witco製)、またはビストリメトキシシリルプロピルエチレンジアミンである。さらに、アルコキシシランは、ビス(トリアルコキシシラン)、例えば−SiOR’基を先端に有するアルキレンまたはポリジメチルシラン鎖であり得る。アルコキシシランは、少なくとも部分的に加水分解され得る。例えば、部分的に加水分解されたテトラアルコキシシランまたは、加水分解されたアルキルトリアルコキシシランまたはアミノアルキルトリアルコキシシランが使用され得る。アルコキシシランは好ましくは、水性溶液から適用されるが、水性溶液は、水混和性有機溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールを含み得る。
【0036】
さらに、オルトシリケートは、このプロセスにおいて、非常に有効な特性向上剤でもあることが分かった。テトラメチルオルトシリケート(TMOS)およびテトラエチルオルトシリケート(TEOS)の水性溶液は、有効な後処理剤である。TMOSまたはTEOSがpH1〜2で加水分解されるならば、より良好な結果が得られる。このpHでは、後処理溶液のポットライフが7日を越えることさえあり得る。
【0037】
所望により適用される処理溶液中のアルコキシシランまたはオルトシリケートの濃度は、1〜25重量%の範囲である。所望により適用される後処理溶液中でのアルコキシシランおよび/またはオルトシリケートの使用は好ましい。なぜならば、これらの化合物は、ショッププライマーに本質的にゼロレベルの水溶性塩を加えるからである。
【0038】
所望により適用される、膜強度を高める溶液の量は、15〜20μmの乾燥膜厚を有するコーティングに関して、コーティングがオンラインで処理されそして乾燥されるならば、好ましくは、プライマーコーティングされた表面1m当たり0.005〜0.2リットル、最も好ましくは0.08リットル/m以下である。そのような量の、膜強度を高める溶液で処理されたこのコーティングの乾燥時間は一般に、15〜20℃で約5〜10分、または40℃で約1.5〜2分である。乾燥時間は、プライマー施与された基体を空気流中に置くことによってさらに短縮され得る。一般に、乾燥時間は、基体温度を高めることにより、空気温度を高めることにより、空気流を使用することにより、またはそれらの任意の組み合わせにより、短縮され得る。
【0039】
所望により適用される処理溶液は、好ましくは、強制空気流中、好ましくは少なくとも0.1m/秒の空気流中で、10〜60℃、好ましくは25〜50℃の範囲の温度で適用され、そして乾燥される。処理溶液は、標準的なスプレー施与装置、例えばエアレススプレーまたはHVLPスプレーによって、あるいは簡単なアトマイザースプレーによって、プライマーを施与するスプレーガンからショッププライマーラインのさらに下に第二のスプレーガンを単に取りつけることにより、適用され得る。あるいは、その溶液は、ミストコーティング施与技術を使用して適用され得る。処理溶液は、基体の両側、例えば、基体の配向にかかわらず、造船所での使用のための鋼板の両側に適用され得る。膜を強化するために必要とされる溶液の体積は、垂れたり滴ることなく鋼板の下側に溶液が施与され得るような体積である。他の方法の適用、例えばローラーによる適用は可能であるが、好ましくない。処理されたプライマーコーティングは、基体上で乾燥させるだけでよく、その後の洗浄または加熱を何ら必要としない。処理されたプライマーがいったん乾燥すると、コーティングされた生成物は普通に取り扱われ得る。
【0040】
プライマーが、10nmより上の平均直径を有するシリカゾル粒子を含むバインダーを含むとき、膜強度を高める溶液を使用する追加の工程が特に有利であり、16nmより上の平均直径を有するシリカゾル粒子の場合はさらに一層有利であることが分かった。特に、膜強度を高める溶液による処理後に、コーティングされた基体が水中に浸漬され、または少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中で保持されるとき、良好な結果が認められた。
【0041】
本発明に従う方法は、上塗りされるとき、ふくれの欠点を導入することなく、ショッププライマーの硬度、凝集性、および耐摩耗性を高める。さらに、その方法は、これらの好ましい特性の発生を促進する。それらの発生は、膜強度を高める溶液で処理することにより一層さらに促進され得る。これらの特性の促進された発生は、造船所または製鋼工場での取扱および組み立て中の損傷に対する耐性を改善する。これらの利点に加えて、プライマー施与された基体は、ショッププライマー市場で要求される性能特性、すなわち戸外にさらしたときの6ヶ月の腐食耐性、優れた溶接/切削特性、およびふくれまたはピンホールを生じることなしでの広範囲のプライマーコーティングによる上塗り性を示す。
【0042】
プライマー施与された基体は、アミン硬化されたエポキシ樹脂コーティングまたは何らかの他の重質コーティング、例えばポリウレタン、によって、100μmまたは200μmの膜厚で上塗りされ得、そして、7日間硬化された後、40℃で6ヶ月(これまでの最長試験期間)にわたってふくれを生じることなく淡水または海水中に浸漬され得る。
【0043】
【実施例】
本発明を、以下の実施例を参照して説明する。これらは本発明を説明するものであって、その範囲を決して限定するものではない。
【0044】
実施例で使用されたシリカゾルのゾルの大きさの決定は、G.W. Sears, Anal. Chem. 12, 1981 (1956) に記載された滴定法によって行われた。この方法によって、比表面積(m/g)が決定された。球状のゾル粒子の場合、この表面積が粒子の大きさに転化された。
【0045】
実施例において出発物質として使用された化合物は以下の起源を有する。
Ludox(商標)SM:濃度30重量%のシリカゾル、平均粒径7nm、SiO/NaOモル比50:1、DuPont製、pH10.3;
Ludox(商標)HS−40:濃度40重量%のシリカゾル、粒径12nm、SiO/NaOモル比95:1、DuPont製、pH9.8;
Bindzil 40/170:濃度40重量%のシリカゾル、平均粒径20nm、SiO/NaOモル比160:1、Akzo Nobel (Eka Chemicals)製、pH9.4;
Bindzil 25AT/360:濃度25.5重量%のアルミナ修飾されたシリカゾル、0.44重量%のアルミナ、平均粒径7nm、SiO/NaOモル比50:1、Akzo Nobel (Eka Chemicals)製、pH10;
Nyacol:濃度40重量%のシリカゾル、平均粒径16nm、SiO/NaOモル比105:1、Akzo Nobel (Eka Chemicals)製、pH9.8;
XZ 94770:50体積%固形分のスチレン/ブタジエン有機ラテックス、Dow Chemicals製;
Huber 90C:0.7μmの平均粒径の焼成されたケイ酸アルミニウムエクステンダー顔料、JM Huber/Marlow Chemicals製;
Satintone(商標)W:1.4μmの平均粒径の焼成されたケイ酸アルミニウムエクステンダー顔料、Lawrence Industries製;
亜鉛粉末:7μmの平均粒径の金属粉末、Trident Alloys製;
Molywhite 212:カルシウム亜鉛モリブデート、粒径4.1μmのさび止め顔料、Sherwin Williams製;
Minex 20:2.95μmの平均粒径のナトリウムカリウムアルミニウムシリケートエクステンダー顔料、North Cape Minerals製;
Bentone EW:ナトリウムマグネシウムシリケートチキソトロープ、Elementis製
【0046】
実施例1
硬化されたショッププライマーコーティングの特性に対する乾燥条件の効果を決定するために、28体積%の固形濃度を有するコーティング組成物を下記成分から調製した。プライマーコーティングは、71.0%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.4倍である。
【0047】
【表1】
Figure 2004509209
【0048】
シリカゾルを水およびチキソトロープと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、ケイ酸亜鉛コーティングの場合に通常行われるように、鋼への適用の直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、35℃および30%相対湿度で、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。コーティングが指触乾燥するとすぐに、プライマー施与された基体を異なる相対湿度条件で貯蔵した。
コーティングされた鋼板の耐摩耗性を、プライマーの施与の1日後に測定した(2回こすり試験)。2回こすり試験では、処理された表面を2、3滴の水で湿らし(湿式で2回こする場合)、次いで、軽く圧力をかけて綿棒でこすった。1往復が2回のこすりである。結果を、コーティングの除去までの2回こすりの数として表す。コーティングが100回の2回こすりに耐えるならば、最終の乾燥膜厚(dft)を初期値と比較する。乾燥膜厚が25%より多く減少しているならば、結果を>100と表す。乾燥膜厚が25%未満減少しているならば、結果を>>100と表す。結果を下記表1に示す。
【0049】
【表2】
Figure 2004509209
【0050】
実施例2
硬化されたショッププライマーコーティングの特性に対する乾燥条件の効果を決定するために、28体積%の固形濃度を有するコーティング組成物を下記成分から調製した。プライマーコーティングは、70%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.06倍である。
【0051】
【表3】
Figure 2004509209
【0052】
プライマーを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。各鋼板を異なる相対湿度で乾燥させた。1つの鋼板は、コーティング施与後30〜60分間、40%相対湿度で指触乾燥の程度まで乾燥させた。次いで、鋼板を水中に30分間浸漬した。水を除去し、次いでコーティングを60%相対湿度で乾燥させた。
コーティングされた鋼板の耐摩耗性を、プライマーの施与の1時間後に測定した(2回こすり試験)。水中に浸漬させたサンプルに関しては、浸漬の1時間後に耐摩耗性を測定した。結果を下記表2に示す。
【0053】
【表4】
Figure 2004509209
【0054】
実施例3
28体積%の固形濃度を有するコーティング組成物を下記成分から調製した。プライマーコーティングは、70%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.06倍である。
【0055】
【表5】
Figure 2004509209
【0056】
実施例2の記載と同様の方法で、各鋼板を異なる相対湿度で乾燥させ、1つのサンプルは水中に30分間浸漬させた後、60%相対湿度で乾燥させた。
コーティングされた鋼板の耐摩耗性を、プライマーの施与のまたは水中への浸漬の1時間後に測定した(2回こすり試験)。結果を下記表3に示す。
【0057】
【表6】
Figure 2004509209
【0058】
実施例4
28体積%の固形濃度を有するコーティング組成物を下記成分から調製した。プライマーコーティングは、50%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の0.72倍である。
【0059】
【表7】
Figure 2004509209
【0060】
プライマーを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。各鋼板を異なる相対湿度で乾燥させた。1つの鋼板は、コーティング施与後30〜60分間、40%相対湿度で指触乾燥の程度まで乾燥させた。次いで、鋼板を水中に30分間浸漬した。水を除去し、次いでコーティングを60%相対湿度で乾燥させた。
コーティングされた鋼板の耐摩耗性を、プライマーの施与のまたは水中への浸漬の1日後に測定した(2回こすり試験)。結果を下記表4に示す。
【0061】
【表8】
Figure 2004509209
【0062】
実施例5
実施例4の記載と同様の方法で、いくつかのコーティングされた鋼板を、バインダー Nyacol シリカゾル(平均粒径16nm)を使用して調製した。実施例4の記載と同様の方法で、各鋼板を異なる相対湿度で乾燥させ、1つのサンプルは、水中に浸漬した後、60%相対湿度で乾燥させた。
コーティングされた鋼板の耐摩耗性を、プライマーの施与のまたは水中への浸漬の1日後に測定した(2回こすり試験)。結果を下記表5に示す。
【0063】
【表9】
Figure 2004509209
【0064】
実施例6
実施例1の記載と同様の方法で、いくつかのコーティングされた鋼板を調製した。コーティングの施与後、鋼板を次のように処理した。
1つの鋼板を35%の相対湿度で1時間貯蔵した;
1つの鋼板を60%の相対湿度で1時間貯蔵し、次いで水中に浸漬した;
1つの鋼板を、水中に浸漬する前に、TEOSを含む、膜強度を高める溶液で処理した。
結果を下記表6に示す。
【0065】
実施例7
実施例6と同様の方法で、いくつかのコーティングされた鋼板を、バインダーLudox HS−40 シリカゾル(平均粒径12nm)を使用して調製した。コーティングの施与後、鋼板を次のように処理した。
1つの鋼板を35%の相対湿度で1時間貯蔵した;
1つの鋼板を60%の相対湿度で1時間貯蔵し、次いで水中に浸漬した;
1つの鋼板を、水中に浸漬する前に、TEOSを含む、膜強度を高める溶液で処理した。
結果を下記表6に示す。
【0066】
実施例8
実施例6と同様の方法で、いくつかのコーティングされた鋼板を、Bindzil 40/170 シリカゾル(平均粒径20nm)を含むバインダーを使用して調製した。コーティングの施与後、鋼板を次のように処理した。
1つの鋼板を35%の相対湿度で1時間貯蔵した;
1つの鋼板を60%の相対湿度で1時間貯蔵し、次いで水中に浸漬した;
1つの鋼板を、水中に浸漬する前に、TEOSを含む、膜強度を高める溶液で処理した。
結果を下記表6に示す。
【0067】
【表10】
Figure 2004509209
【0068】
実施例9
28体積%の固形濃度を有するプライマーコーティングを下記成分から調製した。プライマーコーティングは、74.6%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.3倍である(λ=1.3)。
【0069】
【表11】
Figure 2004509209
【0070】
シリカゾルを水およびチキソトロープと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、ケイ酸亜鉛コーティングの場合に通常行われるように、鋼への適用の直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを25℃、75%RHで乾燥させ、施与の10分後および1日後にその物理的特性を試験した。試験の結果を表7に示す。
【0071】
実施例10
28体積%の固形濃度を有するプライマーコーティングを下記成分から調製した。プライマーコーティングは、74.6%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.3倍である(λ=1.3)。
【0072】
【表12】
Figure 2004509209
【0073】
シリカゾルを水およびチキソトロープと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、ケイ酸亜鉛コーティングの場合に通常行われるように、鋼への適用の直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを25℃、75%RHで乾燥させ、施与の10分後および1日後にその物理的特性を試験した。試験の結果を表7に示す。
【0074】
実施例11
28体積%の固形濃度を有するプライマーコーティングを下記成分から調製した。プライマーコーティングは、68.4%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.15倍である(λ=1.15)。
【0075】
【表13】
Figure 2004509209
【0076】
シリカゾルを水およびチキソトロープと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、ケイ酸亜鉛コーティングの場合に通常行われるように、鋼への適用の直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを25℃、75%RHで乾燥させ、施与の10分後および1日後にその物理的特性を試験した。試験の結果を表7に示す。
【0077】
実施例12
28体積%の固形濃度を有するプライマーコーティングを下記成分から調製した。プライマーコーティングは、71.5%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.4倍である(λ=1.4)。
【0078】
【表14】
Figure 2004509209
【0079】
シリカゾルを水およびチキソトロープと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、ケイ酸亜鉛コーティングの場合に通常行われるように、鋼への適用の直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを25℃、75%RHで乾燥させ、施与の10分後および1日後にその物理的特性を試験した。試験の結果を表7に示す。
【0080】
実施例13
28体積%の固形濃度を有するプライマーコーティングを下記成分から調製した。プライマーコーティングは、71.5%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.4倍である(λ=1.4)。
【0081】
【表15】
Figure 2004509209
【0082】
シリカゾルを水およびチキソトロープと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、ケイ酸亜鉛コーティングの場合に通常行われるように、鋼への適用の直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを25℃、75%RHで乾燥させ、施与の10分後および1日後にその物理的特性を試験した。試験の結果を表7に示す。
【0083】
【表16】
Figure 2004509209
【0084】
表7の結果は、広範囲のコーティング組成物を使用して良好なコーティング特性が得られ得ることを示す。
【0085】
実施例14および15
28体積%の固形濃度を有する2つのプライマーコーティングをゾルのブレンドを使用して調製した。両方のプライマーコーティングは共に、50%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の0.72倍である。
実施例14で使用されるプライマーコーティングを下記成分から調製し、平均ゾルサイズ10nmのコーティングを得た。
【0086】
【表17】
Figure 2004509209
実施例15で使用されるプライマーコーティングを下記成分から調製し、平均ゾルサイズ10nmのコーティングを得た。
【0087】
【表18】
Figure 2004509209
【0088】
得られたプライマーコーティングを、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与し、35℃、30%RHで乾燥させた。1時間以内に、プライマー施与された基体を60%RHで貯蔵した。次いで、施与の1時間後および1日後にそれらの物理的特性を試験した。試験の結果を表8に示す。
【0089】
【表19】
Figure 2004509209
表8の結果は、ゾルのブレンドを使用して良好な膜特性が得られ得ることを示す。

Claims (14)

  1. シリカバインダーを含むプライマーコーティングで鋼基体をプライマーコーティングする方法において、バインダーが少なくとも6:1のSiO/MOモル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表す)を有する水性シリカゾルを含むこと、およびプライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が水中に浸漬されまたは少なくとも50%の相対湿度を有する雰囲気中に保持されることを特徴とする方法。
  2. コーティングされた基体が、少なくとも60%の相対湿度を有する雰囲気中で保持されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. コーティングされた基体が、少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中で保持されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. シリカまたはシリケートバインダーを含むプライマーコーティングで鋼基体をプライマーコーティングする方法において、バインダーが、少なくとも6:1のSiO/MOモル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表す)を有する水性シリカゾルまたはアルカリ金属シリケートを含むこと、およびプライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が、水中に浸漬される前または少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中に貯蔵される前に、膜強度を高める溶液で処理されることを特徴とする方法。
  5. 膜強度を高める溶液が硫酸亜鉛または硫酸アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 膜強度を高める溶液が、プライマーコーティングされた表面の1mにつき0.005〜0.2リットルで施与されることを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
  7. バインダーが、22nm以下の平均粒径を有するコロイド状シリカ粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. バインダーが、16nm以下の平均粒径を有するコロイド状シリカ粒子を含むことを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. バインダーが、10nm以下の平均粒径を有するコロイド状シリカ粒子を含むことを特徴とする、請求項8記載の方法。
  10. バインダーが、少なくとも25:1のSiO/MOモル比のシリカゾルであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. プライマーコーティングが亜鉛粉末および/または亜鉛アロイをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. プライマーコーティングが有機樹脂をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. コーティング組成物の全ての成分が、施与のすぐ前に添加されそして完全に混合されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. バインダーが、アルミナで表面修飾された水性シリカゾルを含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
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