JP2004508404A - 鎮痛手法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、適切な薬学的ビヒクル中にナトリウムチャンネル遮断化合物を含む組成物の有効量を全身投与して痛みを緩和することにより、痛みのある哺乳類において鎮痛を生じさせる方法に関する。

Description

【0001】
産業上の利用分野
本発明は、テトロドトキシンおよびサキシトキシンを含む、ナトリウムチャンネル遮断化合物の全身投与により、中枢性疼痛、癌から生じる痛み、幻覚肢痛のような痛みを軽減する方法に関するものである。
【0002】
従来の技術
痛みとは、体が苦しいという感覚である。不快、苦痛、もだえ苦しむ原因となる。持続痛、あるいは、拍動痛であることもある。また、刺すような痛み、うずくような痛み、締め付けられるような痛みであることもある。どのように痛みが感じられても、痛みを描写したり定義できるのは、痛みを経験した人しかいない。痛みは、そのくらい個人差があるため、真に、第三者によって評価されることができないものである。
【0003】
世界保健機関(WHO)は、疼痛の薬理的管理のために、「3段階除痛ラダー(段階)」を認める。ラダー(段階)は、比較的低用量の効力の低い鎮痛薬から、より高用量の効力の高い化合物へと進めていくものである。
この3段階とは以下のものを使用する:
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)のような非オピトイド鎮痛薬(鎮痛補助薬の使用、または不使用で);痛みが残存し、中程度のレベルに増強した場合、弱オピオイド鎮痛薬(鎮痛補助薬の使用、または不使用で);痛みが残存し、強度のレベルに痛みが増強した場合、強力なオピオイド鎮痛薬(非オピオイド鎮痛補助薬の使用、または不使用で)。
オピオイド鎮痛薬の使用は、強度の痛みの治療のためでさえ、常用(中毒)の可能性があるため、医学界において、議論のある所である。参考文献:S. E. Weitz et al., New Jersey Medicine, Vol. 97: 63−67 (2000)。
【0004】
テトロドトキシンは、フグ、ハゼ、イモリ、カエル類、ヒョウモンダコを含む多種多様な動物種に見られる非タンパク性の神経毒である。テトロドトキシンは、亜目Gymnodontesに属する数種のふぐの卵巣や卵から得られる。テトロドトキシンは、すし店で正しくない調理方法をしたふぐを食べることで中毒を引き起こす成分である。テトロドトキシンは、taricha属のカリフォルニアイモリからも得られるものでもある。
【0005】
テトロドトキシンの生物活性のひとつは、神経細胞(ニューロン)のナトリウムチャンネルのアルファサブユニットとの結合である。テトロドトキシンは、分子式C1117、分子量319.28である。The Merck Index, 10th Ed. (1983)によると、テトロドトキシンは、octahydro−12−(hydroxymethyl)−2−imino−5,9:7, 10a−dimethano−10aH−(1,3)dioxocino(6,5−d)−pyrimidine−4,7,10,11, 12−pentolという化合物の一般的名称で次のような化学構造式を持っている。
【0006】
Figure 2004508404
The Merck Index, 10th Ed. (1983)によると、テトロドトキシンは、マクロトキシン、スフェロイジン、タリカトキシン、テトロドントキシン、ふぐ毒、TTXと呼ぶこともある。
【0007】
U.S.特許6,030,974によれば、「テトロドトキシン」または「TTX」は、分子式C1117を持つアミノ酸ペルヒドロキナゾリン化合物に属し、アンヒドロテトロドトキシン、テトロダミノトキシン、メトキシテトロドトキシン、エトキシテトロドトキシン、デオキシテトロドトキシン、テトロドニック酸などを含めるその化合物の誘導体である(Kao)。TTX類縁体の例は、様々な生物体から分離した新規TTX類縁体、および、部分的または完全に化学合成されたものを含む。参考文献:Yotsu, M. et al. Agric. Biol. Chem., 53(3):893−895 (1989)。 このような類縁体は、TTXのようにナトリウムチャンネルのアルファサブユニット上の同じ部位に結合する。
【0008】
AdamsらのUS特許 4,022,899と4,029,793は、テトロドトキシンやデソキシテトロドトキシンの様に薬剤的に許容される特定のトキシン媒介物の混合物からなる局所麻酔薬の組成物、および、他の化合物、つまり一般的に従来の局所麻酔薬の化合物または神経を遮断する性質を持つ同様の化合物に関連する。通常の局所麻酔薬は、リドカインのようなアミノアシラニライド、プロカイン、コカインのようなアミノアルキル安息香酸塩、ジペロドンのようなアミノカルバメート、フェナシーンのようなN−フェニルアミジン、ジブカインのようなN−アミノアルキルアミド、ファリカインのようなアミノケトン、プラモキシーンのようなアミノエーテルなどである。
【0009】
米国US特許6,030,974によると「サキシトキシン」または「STX」とは、安定したアザケタル結合に2つのグアニジン基が融合された構成を持つテトラヒドロプリンを含み、分子式C1017 (分子量299.30)のもの、または、ヒドロキシサキシトキシンやネオサキシトキシン等を含む誘導体をいう。参考文献:Bower et al., Nonprotein Neurotoxins, Clin. Toxicol. 18(7):813−863 (1981). C. Y. Kao, Pharmacological Reviews, Vol. 18, No. 2, 997−1049 (1966)は、テトロドトキシンと興奮現象の研究におけるその重要性を論評している。
Kaoによると全動物におけるテトロドトキシンの最も重要な効果の1つは、呼吸筋を含むすべての随意筋が急速かつ進行的に顕著に弱くなるということである(Kao 1016ページ)。しかしながらKaoは中枢神経系に対するテトロドトキシンの特意的な作用には議論の余地があることを強調している (Kao 1022ページ3行目)。
【0010】
U.S.特許5,846,975ではPanらは人間の薬物依存性の療法のためにテトロドトキシンのようなアミノ脱水素キナゾリン化合物が使用されたことを明らかにした。テトロドトキシンはアヘン、ヘロイン、モルフィン、コカイン、アンフェタミン、ドランジン、ジヒドロエトルフィン、メタドンの禁断症状に有効であることが立証された。禁断症状を軽減する有効な用量はこの特許に述べられている。
C. Y. Kao とF. A. FulmanはJ. Pharmacol., 140, 31−40 (1965)でテトロドトキシンが局所麻酔薬として使用する事が可能である事、そしてその効果は普通に使った局所的な非麻酔薬より1万倍強力であると示した。広く使われている麻酔薬と併用してのテトロドトキシンの調薬をU.S.特許4,022,899と4,029,793に示した。
U.S.特許6,030,974は、上皮組織の領域で疼痛のある哺乳類において局所麻酔の方法を述べる。この方法は局所的にある領域に適切な薬剤的な媒体で、長時間作用するナトリウムチャンネル遮断化合物の有効な用量を与えることを含んでいる。U.S.特許6,030,974のナトリウムチャンネル遮断化合物は、0.001mMから10 mMまでの濃度のテトロドトキシンまたはサキシトキシンの製剤形態である。
【0011】
Zapata et al., は Pain 72:41−49 (1997) の中で、神経腫、後根神経節、後角ニューロンにおける神経障害性の異所性活動を抑制するためのテトロドトキシン活用について述べている。このニューロンの活動は、機械的、化学的、虚血性的な損傷によって引き起こされる神経腫に起因する。雄のラットの坐骨神経のニューロン誘導に対するTTX静脈投与の効果が研究された。しかし、Zapata et al., が研究した投与量と効果は、麻酔状態で人口呼吸を施した動物に対して適用されたものであるため、状況的にこれらの投与量は最大許容量を超えたものであり、現在対象としている臨床的なテトロドトキシンの利用には応用できるものではない。
TTXの有効性と、ナトリウムチャンネル遮断物および局部麻酔薬としてのTTX誘導体の研究が広範囲におこなわれているにも関わらず、純粋なTTXの鎮痛剤としての全身投与に関しては、未だ発表されていない。末梢神経の刺激による痛みではなく、中枢神経系活動に起因する痛みに対しての、TTXが持つ鎮痛剤としての可能性は、未だに述べられていないと思われる。
【0012】
癌に起因する痛みや「幻覚肢痛」などの強い慢性疼痛は、現代医学において重要なトピックである。癌は多くの人に広がっている。
癌に苦しんでいる人は、頻繁に激しい痛みを経験する。この痛みは、中枢性疼痛あるいは慢性疼痛として知られている。しかし、患者は癌のために中枢性疼痛や慢性疼痛を経験する必要はない。類似した痛みに幻覚肢痛がある。この種類の痛みには、モルヒネなどの麻酔剤が使われているが、麻薬性の鎮痛剤の難点は、麻薬の特性である中毒性があることである。
局部的な急性疼痛の原因に、例えば歯痛、目の刺激、神経組織部の炎症、口内炎、生殖器潰瘍、火傷や手術や腫れ物などによる上皮組織の痛みなどがある。
【0013】
痛みの認識は、次の3つの分野に分けることもできる。急性侵害受容過程、持続的な求心性インプットに起因する促進性の痛み(組織損傷後など)、そして神経損傷後にプロセスが変化したために引き起こされる神経性の痛みである。
リドカインやメキシレチンなどの、ナトリウムチャンネル遮断化合物のいくつかは、一般的に局部麻酔として使わるが、全身投与される場合もある。これらの化合物は、急性侵害受容過程の痛みを阻止するのにかろうじて効果があると思われる。また脊髄プロセスやP物質の放出にいくらか効果も観測され、促進性の痛みにも効果があることが示されている。しかし、その有効量は最大許容量を超えているため、副作用からこれらの化合物を全身性鎮痛薬として使うのは不可能である。さらに、ナトリウムチャンネル遮断物は、神経障害性の痛みにまったく効果がないことが以前に発見されている。参考文献:M.S. Wallace, ”Calcium and Sodium channel blocking compounds for the Treatment of Pain”, Clin. J. Pain, Vol. 16: S80−S85 (2000).
【0014】
リドカインやカルバマゼピンなどのいくつかのナトリウムチャンネル遮断剤が神経障害性の痛みや三叉神経痛の治療に使用されている。これらの物質は、神経伝導を妨げない濃度で、ナトリウムチャンネルを遮断して異常な末梢神経活動を阻害する。しかし肝機能に激しいダメージを与える可能性があるため、カルバマゼピンは妊娠初期や授乳期間中の女性の使用は制限しなければならない。また高齢者、緑内障や激しい血管心臓障害を患っている患者に使用する場合は注意を払う必要がある。一方リドカインは中枢神経系に対する興奮効果があるため、震えおよび間代性痙攣を引き起こす可能性がある。これらのことから、これら2つの薬品は、全身投与に使う新しい鎮痛剤として普及させるには不適当であると考えられるが、他のナトリウムチャンネル遮断剤を開発する興味を呼び起こした。
【0015】
1998年、Rabertらは、ラットの後根神経節(DRG)の知覚ニューロンに、複数のタイプのナトリウムチャンネルが存在することを明らかにした。これらのナトリウムチャンネルは、TTXに対しての異なる感受性の視点から区別されている。TTX感受性ナトリウムチャンネル(TTX−S)は、1−20nMがIC50のTTXにより遮断され、TTX抵抗性ナトリウムチャンネル(TTX−R)は、〜100μMがIC50のTTXで遮断される。rBIIA、rBII1、rSKM1、rPN1、rPN4のナトリウムチャンネルは、すべてTTX−Sで、rPN3/SNSナトリウムチャンネルはTTX−Rである。また、人間のDRG(後根神経節)知覚神経にも2種類のナトリウムチャンネルがあり、hPN1はTTX−Sで、hPN3はIC50=80μMのTTXで遮断されるTTX−Rである。Rabertはまた、哺乳類のDRG知覚神経のナトリウムチャンネルには少なくとも2つのナトリウム電流があることを示した。急速な不活性化動態を持つTTX感応性の電流(TTX−SINa)と、緩慢な不活性化動態を持つTTX抵抗性の電流(TTX−RINa)である。2つのナトリウムの電流の生物学的な役割はまだ明確にされていないが、多くの研究により、後根神経節におけるTTX−RINa の電流の性質は、神経障害性の痛みのほとんどの状態において、持続性のニューロンの伝達特性に役立つよう大変都合よくできていることを示している。
【0016】
侵害受容体は一次の求心性ニューロンで、有害あるいは組織破壊の可能性のある刺激に反応し、これは感作作用を持つため知覚神経のなかでも独特な神経である。侵害受容体の感作作用の特性である継続刺激に対する疼痛閾値の減少およびその反応の増加は、知覚過敏あるいは組織損傷に結びついた圧痛がその根底にあると考えられている。組織損傷部位に放出される物質が、次々にイベントを開始することによって侵害受容体を感作し、その結果、侵害受容体の末梢のイオン伝導度が変化する。DRG内にある直径の小さな知覚神経は、TTX−Rチャンネルの働きを示すとして知られている。様々な炎症性損傷および知覚神経繊維に対する直接的損傷は、知覚神経の活性化の閾値を減少させ、知覚神経の活性活動が長びけば、脊髄内に有害な入力に対する中枢系感作を引き起こす。知覚神経が極めて興奮した場合、ナトリウムチャンネルの活動および電位依存性ナトリウム電流は著しく増大する。最近の数多くの研究により、TTX−RINa の増大は、知覚神経の興奮性亢進に大きな役割を果たしていることが示唆された。TTX−RINa の増大は、神経損傷や炎症に起因する神経障害性の痛みや神経腫などの、多様な急性および慢性疼痛を助長する可能性がある。DRG神経の初代培養で、TTX−RINa を調節する高疼痛物質の効果を研究する方法としてパッチクランプ電気生理学的手法が用いられている。その結果、プロスタグランジンE (PGE)、アデノシン、セロトニンは、TTX−RINa,の大きさを増加させ、過分極方向にコンダクタンス−電圧関係を動かし、活性化と不活性化の割合を増加させることが示された。一方、トロンボキサンB(痛覚過敏を引き起こさないシクロオキシゲナーゼ生成物)は、TTX−RINaに影響を与えない。これらの結果は、TTX−RINaの増加は、痛覚過敏物質が誘発する侵害受容体神経の感作(sensitization)によるものであること示唆している。アンチセンスおよびセンス oligodeoxynucleotides(ODN) のくも膜下腔内投与が、rPN3 あるいは SNSの独特な系列に対して行われ、これがPGE誘発性の痛覚過敏におけるこれらのチャンネルの役割を調査するのに使われた。アンチセンスODNだけがPGE誘発性の痛覚過敏を減少させた。PGE誘発性の痛覚過敏は、アンチセンスODN最終注入4日後に部分的に回復し、7日以内に完全に回復した。アンチセンスODNは選択的にそして著しく、培養知覚神経のTTX−RINaの電流密度を低減させた。これらの発見は、TTX−RINaの調節が、炎症性痛覚過敏に寄与しているという仮説を裏付けている。
【0017】
Novakovisらは、免疫組織化学研究において、ナトリウムチャンネル、特にPN3チャンネルが、損傷部位に蓄積されていることを示した。PN3チャネルの亜細胞性伝達も神経性損傷後に変化し、神経伝導が有意に変化した。神経障害性疼痛および神経腫疼痛のモデルにおいて、ナトリウムチャンネルの順行性軸索輸送が完全に遮断され、神経障害性疼痛の慢性収縮性損傷モデル(CCI)においては有意に低減した。ナトリウムチャンネル(TTX−Rチャンネルを含むと推測される)は末梢の終末部に絶え間なく輸送されているため、軸索運搬が変化すると、最終的には損傷部位にチャネルが蓄積する結果となる。神経の退化と、それに続く多数の新軸索芽の再生がCCIと神経腫モデルの損傷部位で観察されるであろう。これら新芽の多数は、PN3に対して免疫陽性があるようである。ナトリウムチャンネルの過蓄積は、再生繊維内に発生する。CNS(中枢神経系)の感作は神経障害性疼痛の重要な特性である。CNS感作の形成と維持は、侵害受容体の神経繊維が伝えてきた知覚情報に依存している。痛みの状態において、TTX−Rチャンネルが痛み感覚の符号化に関わっているため、TTX−Rチャンネルが痛みの入力の中枢性知覚において重要な役割を果たしていると考えられる。
【0018】
つまり、継続的な痛みの状態において、TTX−Rナトリウムチャンネルの調節が、侵害受容体を感作するのに一役かっていると考えられる。TTX−Rチャンネルの組織分布は、侵害受容の特性をもつ知覚神経の一部に制限されている。選択的にTTX−Rチャンネルを遮断する薬物療法的な物質を作りだせば、痛みを緩和させることが可能である。hPN3が、急性および慢性疼痛の治療剤としての有益なターゲットとなる可能性がある。
TTX−RチャンネルをTTXが遮断することが動物におけるTTXの痛覚抑制に役立つ可能性がある。動物の痛みモデルにおいて、神経腫、神経障害性疼痛、或いは末梢の感覚神経を人為的に損傷することによって引き起こされた継続的感覚不全は、損傷部位および関連した後根神経節の両方から異所性の放電を引き起こし、それに従って対応する脊髄の後角(DH)神経の異常興奮性が引き起す。TTXは、用量依存性のパターンで、神経腫、DRG、DH神経における神経障害性異所性活動を抑制する。しかし現在のところ、TTX−SおよびTTX−Rチャネルが、神経腫、DRG、DH神経が異所性放電の発生にどの程度関わっているかは明確ではない。
TTXは動物の行動を著しく変えることのない投与量レベルで、痛覚抑制作用を引き起こす。しかしこの投与量では、ナトリウムチャンネルの配置および機能を調節するには至らず、種々の痛みの状態においても、神経伝導を完全に遮断をすることもない。このことは、TTXが思いがけなくTTX−Rナトリウムチャンネルに作用して、痛覚抑制作用を引き起こす可能性があることを示唆している。
【0019】
発明の概要
痛みには、急性疼痛あるいは慢性疼痛がある。急性疼痛の痛みは激しいが、その期間は比較的短かい。これは一般的に体の組織が何らかの理由で損傷したことを知らせるシグナルで、損傷が治癒した時、通常痛みは消失する。一方、慢性疼痛は軽度から重度まで範囲があり、期間はある程度長い。慢性疼痛はしばしば損傷が検知できない場合にも現れる。
【0020】
TTXは、機械的あるいは化学的な刺激、炎症によって引き起こされた急性疼痛の緩和にも効果がある。
テトロドトキシン(TTX)は肝臓癌、直腸癌、平滑筋肉腫、骨癌、胃癌、リンパ腺腫、食道癌、他の主要な癌タイプから来る痛みに効果的であることが明らかになっている。TTXは中枢性神経疼痛、慢性疼痛、幻覚肢痛にも効果がある。
TTXは重度の慢性疼痛すべてに有効で、急性および慢性疼痛を患っている哺乳類に対し、痛覚脱失を引き起こす事が出来る。本発明での手法は、全身(通常、体全体)に対し、長時間作用型のナトリウムチャンネル遮断化合物(テトロドトキシン)の有効量を、適当な薬剤を媒介して投与するという方法である。
TTXの投与量は0.1−1μg/kgの範囲で、3日に亘り1日最高4回までのスケジュールで投与する。ほとんどの場合、その効果は最長20日間持続する。
TTXの純度は通常96%以上である
【0021】
サキシトキシン(STX)は、非常に選択的で活発なナトリウムチャンネル遮断剤である。U.S.特許6,030,974によれば、TTXとSTXは共に、ナトリウムチャンネルのアルファサブユニットの細胞外部位に特異的に結合する。その部位はSS1あるいはSS2のいずれかである(Evans, Tetrodotoxin, Saxitoxin, and Related Substances: Their Applications in Neurobiology, International Review of Neurobiology, Vol. 15, pp. 83−166, 1972, Academic Press)。
【0022】
マウスに腹腔内投与する場合のサキシトキシンのLD50値は10μg/kgである(Schantz, E. J., McFarren, E. F., Schaeffer, M. L. and Lewis, K. H.: Purified shellfish poison for bioassay standardization. J. Assoc. Official Agricul. Chemist. 41: 160−168, 1958.)。ラットに腹腔内投与する場合のLD50値は、10.5マイクログラム/Kgである(Watts, J. S., DaCosta, F. and Reilly, J.: Some factors influencing the action of paralytic shellfish poison in rats. Fed. Proc. 24: 392, 1965)。これより人間に対する致死量(経口)を推定すると、300μg〜1.0mgとなる(Bower et al., Clin. Toxicol., 18(7):813−863, 1981)。
TTXとSTXの作用形態および毒性の類似性から鑑みて、痛覚消失作用のあるこれら2つの毒素の投薬量もまた類似している。
【0023】
本発明の明細
痛みはさまざまな理由から起こる。身近な原因として、捻挫、筋肉損傷、骨折などや、手術からの外傷が挙げられる。歯痛などの炎症から来る痛みも身近である。また、頭痛は日常的に経験するところで、時にははっきりした理由もなしに現れる。
癌患者は様々な理由から痛みを受けるようになる。癌そのものから来る痛みもあれば、治療法から来る痛みもあるだろう。例えば、手術をすれば手術そのものから痛みを感じる。癌患者すべてが痛みを感じているわけではなく、痛みを持っている癌患者たちも、常に痛みを感じているわけではない。
【0024】
癌の痛みは、癌の種類、癌の段階や広がり方、患者本人の疼痛閾値(痛みの許容量)にもよる。2〜3日以上に続く癌の痛みには、次のような原因が考えられる。
・腫瘍が臓器、神経、骨を圧迫している
・癌が血管を遮断し、血液循環不良になる
・体内の臓器あるいは管部の閉塞
・転移。癌細胞が体のほかの部位に広がる
・感染あるいは炎症
・化学療法、放射線療法、手術などからの副作用
・動かないことからの硬直
・緊張、鬱、不安など、病気に対する心理的な反応
【0025】
急性疼痛と慢性疼痛の違いはJoseph T. Dipiro, ”Pharmacotherapy: A Pathophysiologic Approach”, Third Edition, Appleton & Lange (1997) p. 1263で論じられている。Dipiroによれば、急性疼痛は、各人に疾病の状態あるいは潜在的に有害な状況を警告するという意味において、有用な生理学的プロセスである可能性がある。しかし残念なことに、激しく絶え間ない、十分な治療が施されていない場合の痛みは、生物学的な有用性を超えて、心理学的な問題などの多くの悪影響を与える。痛みが正しく処置されない場合、そのストレスとそれに伴う反動反応はしばしば低酸素症、炭酸過剰、高血圧、過剰な心臓活動、永続的な情緒的障害などを引き起こす。こういった反応に関連した問題は、治療時間の長期化から死に至るまで広範囲にわたる。
【0026】
通常の状態では、急性疼痛は、治癒プロセスが進んで、痛みの原因である刺激が減るに従って急速におさまる。しかし、時に痛みが数ヶ月から数年におよび、急性疼痛とは特性に大きな違いがある慢性疼痛状態になる。概して、慢性疼痛は以下の4種類に分けられる。通常の急性疼痛の治癒期間を過ぎても継続する痛み、慢性疾病に起因する痛み、器官的な原因が特定できない痛み、慢性疼痛と急性疼痛の両方を伴った癌関連の痛みである。慢性疼痛を患っている患者は、恐れや過去の痛みの記憶から、深刻な心理学的問題を抱えていることが多い。加えて、慢性疼痛患者は、鎮痛剤に依存性や耐性ができていたり、睡眠障害があったり、痛みや疼痛反応を増大させるような環境変化に対して、より敏感に反応する。慢性疼痛と急性疼痛とでは対応手法が違ってくるため、この両者を判別することは非常に重要である。
急性疼痛と慢性疼痛は、期間によっても分類される。急性疼痛の継続期間は一ヶ月以内(手術後の痛みなど)である。一方慢性疼痛は、通常一ヶ月以上の痛みと定義される(癌の痛み、幻覚肢痛など)。
【0027】
The National Institute of Neurological Disorders and Stroke, National Institutes of Health (http://healthlink/mcw.edu/article/921391401.html; June 29, 2000)では、中枢性疼痛の症候群を中枢神経系(CNS)(脳、脳幹、脊髄)に特化した損傷から生じた神経学的状態であるとしている。その痛みは恒常的で、通常、焼け付くような、疼く、切られるような感覚だと表現される。時には短いが耐えられないような鋭い痛みが突発することもある。
中枢性疼痛は痛みの混在によって特徴付けられるが、もっとも顕著なのは持続的な焼け付くような痛みである。焼けるような感覚と混じりあって、冷たい感覚、「ピンと針」で刺されるようなチクチク感、神経近接感覚(露出した神経に歯科の針がさしこまれるような)などがある。この持続した焼けるような感覚は、軽く触れただけで著しく増大する。この焼けるような痛みを感じる部位では、いくらか患者の感覚が麻痺している。この焼けつき感や麻痺を認識しない感覚は、一般に手足などの体の中心から離れた部位にもっとも強く現れる。痛みの強さは中度から重度で、しばしば運動や温度変化(通常低温)によって増幅される。
【0028】
中枢性疼痛症候群は、CNSに損傷を受けてから数ヶ月後、時に数年後にも痛みが現れる可能性があり、これらの異常は、脳梗塞、多発性動脈硬化症、肢切断、脳あるいは脊髄損傷などを患っている、あるいは以前患っていた患者に起こる。
通常、中枢性疼痛症候群は、薬物治療ではほとんどあるいはまったく緩和されない。患者は薬剤投与により平静にし神経系統を静め、できるだけストレスをためないようにすべきである。中枢性疼痛症候群は命取りになる疾病ではない。しかし大部分の患者にとって、この症状は手に負えないほどの苦痛である。
【0029】
痛みに対処する最良の方法は、その原因を治療することである。例えば、癌から来る痛みの場合、可能であればいつでも、腫瘍を取り除くかサイズを小さくする処置をおこなう。このために医師は、手術、放射線治療、あるいは化学療法を勧めるであろう。この何れの処置も不可能な場合、あるいは痛みの原因がわからない場合に、鎮痛という手段が使われる。
過去、鎮痛剤は末梢系(アスピリン、アセトアミノフェンなど)と中枢系に作用するもの(オピオイド)に区別されていた。現在は鎮痛および鎮痛剤に関する理解が深まってきたため、非オピオイドかオピオイドの鎮痛剤に区別することが、より一般的になってきた。
【0030】
非オピオイド鎮痛剤は、しばしば軽度から中度の痛みと、リューマチ性関節炎から来る痛みに効果がある。典型的な非オピオイド鎮痛剤にはアスピリン、アセトアミノフェン、他の非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)(例えばイブプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン)がある。
オピオイド(アヘン剤)とは、中枢神経系においてアゴニスト作用を引き起こす特定のオピオイド受容体と結合する、自然あるいは合成物質の一般表現である。オピオイド鎮痛剤は、激しい急性疼痛、術後痛、癌疼痛などの慢性疼痛に非常に有効である。典型的なオピオイド鎮痛剤には、コデイン、モルヒネ、メタドン、フェンタニールがある。
【0031】
癌から来る痛みを和らげる従来の方法として、コデイン、ヒドロモルフォン (ディローディド)、レボルファノール(Levo−Dromoran)、メタドン(ドロフィン)、モルヒネ、オキシコドン (ペルコダン)、オキシモルホン(ヌモルファン)などの鎮痛剤の使用がある。投与方法としては、口から(経口投与:PO)、注射(筋内投与:IM)、血管から(静脈投与:IV)、座薬投与などがある。継続的な痛みがある場合は、他にも鎮痛剤を投与する方法があるが、すべての麻酔薬がこれら全ての方法で投与可能なわけではない。
NSAIDsはイブプロフェンと似ており(大投与量の場合、イブプロフェンは処方箋が必要である)、癌の痛みの処置に使われる。この類の鎮痛剤には、モトリン、ナプロシン、ナルフォン、トリリセイトなどがあり、これらは中程度から重度の痛みに有効である。また骨転移の痛みに特に有用である。
【0032】
テトロドトキシンは、CNS(中枢神経系)内のアゴニスト作用を引き起こす特異的のオピオイド受容体と結合するわけではないため、オピオイド作用物ではないと考えられる。テトロドトキシンは特異的なナトリウムチャンネル遮断物である。ナトリウムチャンネル遮断物は、局部麻酔として使用される(リドカインなど)。テトロドトキシンがオピオイド作用物でないことは確かであるため、非オピオイド鎮痛剤というクラス分けが可能である。つまりテトロドトキシンは、中毒のリスクのない極めて強力な非オピオイドとなる可能性がある。
【0033】
本発明者は、テトロドトキシン(TTX)と、その類縁物質および誘導体は、肝臓癌、直腸癌、平滑筋肉腫、骨癌、胃癌、リンパ癌、食道癌、そして他の主要な癌タイプから来る痛みに効果があることを発見した。テトロドトキシンとその類縁物質および誘導体は、ヒトおよび他の哺乳類に対して、悪性新生物(癌)および他の腫瘍から来る痛みを緩和する効果がある。このような癌は、生殖器系(前立腺を含む)、消化器系(胃、結腸を含む)、乳房、呼吸器系(肺、気管支を含む)、泌尿器系、リンパ、皮膚に起こる可能性がある。
【0034】
手術によって腕や肢を切断された患者が、あたかも切断された足が痛いかのような不快な感覚を感じることがある。医師にもその原因は良くわかっていないが、幻覚肢痛は幻ではなく、現実としてある。同じことは、乳房を除去した患者にも起こり、除去された乳房に対して、痛みの感覚が起こる。
いかなる場合も、どの患者に対しても、幻覚肢痛をコントロールできる単一の鎮痛方法はない。この種の痛みに対し、鎮痛剤、理学療法、神経刺激など多くの手法がとられてきたが、本発明の手法に従って投与したテトロドトキシンは、幻覚肢痛関連の痛みを取り除くことができる。
【0035】
テトロドトキシンには高い生理学的活性があり、毒性が強く、安全性閾値が低いため、調合と投薬量に関しては厳密で正確な管理が必要である。テトロドトキシン測定に関しては、生物学的測定法、UV分光測光法、蛍光光度法、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなど、いくつかの方法が文献で報告されているが、すべての方法には長所と制限がある。まず、生物学的測定法は非常に感度が良く、便利な方法とされているが、再現性が少なく、影響される要因が多く、試験動物間に大きな変動がみられ、客観性が不足するなどの短所がある。TLCは比較的サンプル量(20μg)が多く、検出限界が低い。蛍光光度法は蛍光分光測光器が必要になる。UV分光測光法はテトロドトキシンを関連不純物から分離することができず、精密度も低い。GCと電気泳動法にもそれぞれ制限がある。
【0036】
高特異性、高感度、識別能力があり、同時に内容物測定も可能な、HPLCが内容物測定の主要な探知方法として使われている。熟練したプラクティショナーにとっては日常的な実験法で、静止相、移動相、検知状態が最適化され、信頼性のある分離と検知方法が確立される。その結果、テトロドトキシンと主要な関連物質とは、非常に良く分離される。HPLC法は検知感度が高く、操作が簡便で、しっかりとした再現性がある。
【0037】
本発明の手法に有益なテトロドトキシンは、フグの臓器など動物の組織から採取できる。
テトロドトキシンおよび誘導体の生産方法に関する詳細は、中国申請番号00124516.3、2000年9月18日出願で詳しく説明されている。
TTXの典型的な類縁物質は、マウスの生物学的検定法によれば、TTXの1/8〜1/40の毒性しかもっていない。類縁物質は共同鎮痛作用を起こし、相互に悪影響を与えることはないことが観察されている。
本発明は、テトロドトキシンやサキシトキシンなど、すべてのナトリウムチャンネル遮断化合物に関するものである。Chiriquitoxin(CTX)も使用することができる。また、4−エピ−テトロドトキシン(4−epi−tetrodotoxin)、アンヒドロ−4−エピ−テトロドトキシン(anhydro−4−epi−tetrodotoxin)などのテトロドトキシン類縁体に関しても有効である。
【0038】
テトロドトキシン(TTX)は、分子式C1117をもつアミノ酸ペルヒドロキナゾリン化合物で、アンヒドロテトロドトキシン、テトロダミノトキシン、メトキシテトロドトキシン、エソキシテトロドトキシン、デオキシテトロドトキシン、テトロドニック酸などを含める化合物の派生物である。TTX類縁体の例は、部分的または完全に化学的合成されたものと共に、様々な生物体から分離された新規TTX類縁体を含む。参考文献例: Yotsu, M. et al. Agric. Biol. Chem., 53(3): 893−895 (1989)。このような類縁体は、TTXのようにナトリウムチャンネルのアルファサブユニット上の同じサイトに結合する。
【0039】
サキシトキシンまたはSTXとは、安定したアザケタル結合に2つのグアニジン基が融合された構成を持つテトラヒドロプリンを含み、分子式C1017(分子量299.30)のもの、そして、ヒドロキシサキシトキシンやネオサキシトキシン等を含む、その誘導体のことをいう。参考文献例:Bower et al., Nonprotein Neurotoxins, Clin. Toxicol. 18(7):813−863 (1981)。
本発明により適した化合物は、テトロドトキシン、4−エピ−テトロドトキシン、アンヒドロ−4−エピ−テトロドトキシンである。
【0040】
テトロドトキシンの投与経路は、筋肉内注入、静脈注入、皮下投与、舌下投与、皮膚からのパッチ、経口摂取、埋め込み型浸透ポンプ、コラーゲン埋め込み、エアゾール、座剤などがある。投与経路、投与量、投与スケジュールを表1に示した。
【0041】
【表1】
テトロドトキシンの投与.
Figure 2004508404
【0042】
通常、有効成分テトロドトキシンあるいはサキシトキシンは精製水あるいは酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液を媒体として処方される。しかし、この処方には他の成分が含まれている可能性もある、たとえば、pHを維持あるいは調整するための緩衝媒体(緩衝酢酸溶液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液など)、粘性を高める物質(ポリビニールアルコール、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースやカルボメールなどのセルロースなど)、保存料(塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀、フェニル硝酸第2水銀など)、張性調整剤(塩化ナトリウム、マンニトール、グリセリン)、浸透増強剤(グリコール、オレイン酸、アルカリアミンなど)がある。その処方に血管収縮剤を添加することも可能である。また、長時間作用型のナトリウムチャンネル遮断化合物と、抗生物質(ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬)や血管収縮剤のコンビネーションの処方も可能である。
【0043】
表1に示した各投与経路に対する処方は、通常、技術的に良く知られた方法である。参考文献例: ”Remington, the Science and Practice of Pharmacy”, 19th ed., A.R. Gennaro, ed., c. 1995 by The Philadelphia College of Pharmacy and Science, (特にPart7)。表1に示すとおり、典型的な投与量は成人1人あたり5〜60μgの範囲である。より典型的な投与量は成人1人あたり20〜40μgである。
テトロドトキシンとその類縁物質および誘導体は、ヒトおよび哺乳類に対して、悪性新生物(癌)或いは他の腫瘍から来る痛みを緩和する効果がある。このような癌は、以下の例に示されるように、生殖器系(前立腺を含む)、消化器系(胃、結腸を含む)、乳房、呼吸器系(肺、気管支を含む)、泌尿器系、リンパ腫、皮膚に起こる可能性がある。
【0044】
ナトリウムチャンネル遮断物は、激しい痛みを緩和するのに長期間の全身性鎮痛剤として、驚くほど効果があることが示されている。また、最小限の副作用しかないことも驚きに値する。主たる副作用は、全身投与時に観察された唇と末端部のしびれ感であった。痛みによって衰弱していた患者が、TTXの一連の治療後20日以上にわたって、ほとんど普通の生活が送れるまでに回復した。急性、中枢性および慢性疼痛の治療において、TTXおよび他のナトリウムチャンネル遮断物が全身性鎮痛剤として使え、しかもモルヒネや他のオピオイドよりも効力が高いことはまったく意外であった。
【0045】
「痛みを和らげるのに有効」な化合物の量は、数値式ペインスケールで2単位かそれ以上減ったと患者が認知する量である。「痛みを和らげるのに非常に有効」な量は、数値式ペインスケールで4単位かそれ以上減ったと認知する量である。「痛みを完全に取り除く効力」があるとされる量は、数値式ペインスケールで患者の痛みの認知度が0までに減る量である。
【0046】
参考文献
1.Ran HP, Bevan SJ, Dray A. Nociceptive peripheral neurones: cellular properties. In: Wall PD, Melzack R., editors. Textbook of pain, Edinburgh, chruchill livingstane, 1994; 57−78.
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8.Khasar SG, Gold MS, Levine JD, A tetrodotoxin−resistant sodium current mediates inflammatory pain in the rat, Neuroscience letters, 1998; 256:17−20.
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10.Omana−zapata I, Khabbaz MA, Hunter JC, et al. Tetrodotoxin inhibits neuropathil ectopic activity in neuromas, dorsal root ganglia and dorsal horn neurons, Pain, 1997; 72:41−49.
【0047】
実施例
実施例 1: 処方
実施例2の臨床研究で使われた処方薬剤は、注射用のテトロドトキシンである。処方は表2に示すとおり。
【0048】
【表2】
テトロドトキシンの処方
Figure 2004508404
【0049】
注射用TTXの処方量は、事前におこなった臨床薬理学および薬力学の結果をもとに計算した。臨床治療薬剤の投与量は、動物に対して有効な容量をもとに計算した。概ね、動物に有効な投与量の1/5と計算される。ヒトの体重値としては、50、60、70Kgがそれぞれ使用される。
マウスの酢酸誘発性ツイスト試験における、TTXの鎮痛剤ID50(半抑制投与量)は2.80μg/kg(筋内注射:IM)である。従って、ヒトへの推奨される臨床投与量は以下のとおりである。
2.80μg/kg x (1/5) x 50 (60, 70) kg = 28.0 (33.6, 39.2)μg
【0050】
ラットのホルマリン誘発性炎症試験における、TTXの有効量は、2.5 μg/mg (IM) (P<0.01)である。従って、ヒトへの推奨される臨床投与量は、以下のとおりである。
2.50μg/kg x (1/5) x 50 (60, 70) kg = 25.0 (30.0, 35.0) μg
【0051】
LD50値をもとにして、初期の臨床投与量を計算することも可能である。薬力学調査の結果を考慮して、臨床投与量を、LD50の1/50として計算することもできる。ヒトの体重値として、50、60、70Kgがそれぞれ使用される。
薬理学研究の結果および関連の参考文献をもとに、例2の臨床研究に用いられた注射用TTXの投与量は2mlあたり30μgである。
【0052】
実施例 2:臨床研究
臨床研究は1999年9月21日〜10月10日の間、テトロドトキシン(TTX純度89%、ブランド名「TETRODIN」、バッチNo.990122、中国コワンシー、南寧メープルリーフ製薬会社 Nanning Maple Leaf Pharmaceutical Co., Ltd.)を注入することにより、進行癌に起因する慢性疼痛を持つ11人の患者への鎮痛効果を調査した。
【0053】
1.1 調査の目的
11名の末期癌患者がこの調査に自主的に参加した。コンピュータ断層撮影(CT)スキャンと病理的調査により、全被験者に癌があることが確認された。WHOが推奨する「痛みのランク付け」基準で、全員が中度から重度の痛みを持っていた。
被験者は、男性6人女性5人の計11人。最高齢は76歳、最年少は26歳で、末期の肝臓癌患者5人、術後肝臓癌併発の平滑筋肉腫の患者1人、術後胃癌再発患者2人、食道悪性腫瘍再発患者1人、術後直腸癌再発患者1人、肝臓癌併発の大腸悪性腫瘍患者1人であった。全被験者がこの臨床実験に自主的に参加した。
【0054】
1.2 薬剤および投与量
テトロドトキシン筋肉投与、30μg/2ml。全被験者に対し、1回30μg、1日2回(12時間毎)、3日間の計180μgのテトロドトキシンを筋肉注射により投与した。
1.3 評価基準
以下に述べる臨床評価法で、被験者11人に対するテトロドトキシンの鎮痛効果を測定した。なおこの実験は、コントロール群を設定せず、被験者と医師の双方が使用薬剤を認知したオープン治験である。
【0055】
痛みの強度分類および記録方法
プロトコールにおいて、治験開始前24時間以内はいかなる鎮痛薬剤も使用しないこと、およびテトロドトキシン投与期間の3日間は、テトロドトキシン以外の鎮痛薬剤を使用しないことが求められた。痛みの評価には、以下に述べる数値式ペインスケールを用いた。痛みはテトロドトキシン投与開始前に測定され、その後は、テトロドトキシン投与毎に(毎日午前8時および午後8時)、投与後の痛みを、5分、10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間の間隔で、14回研究スタッフが全被験者について観察および記録した。
【0056】
2.1 痛みの強度の記録方法
WHOが推奨する0から10までの数値で痛みを評価する数値式ペインスケールを用いて、被験者の痛みの強度を算出および記録した。各被験者は以下に示すペインスケールを参照して痛みを自己評価し、研究スタッフに報告した。
【0057】
Figure 2004508404
0=無痛 1−4=軽い痛み 5−6=中程度の痛み 7−10=強い痛み
【0058】
鎮痛効果の測定
3.1 PID(Pain Intensity Difference:痛みの強度差)
PIDは、投与前の痛みの強度数値から、投与後のそれぞれの測定時間での強度数値を引くことによって得られる。
【0059】
3.2 鎮痛
定められた間隔ごとに被験者の痛みの強度を計算した後、調査員が鎮痛作用を評価し、以下の5段階で評価する。
0:   効果なし
I:   軽微な効果(痛み約25%緩和)
II:  中程度の効果(痛み約50%緩和)
III:  顕著な効果(痛み約75%緩和)
IV:  完全な効果(完全な痛みの消失)
【0060】
3.3 生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)の評価
痛みは、患者の日常生活および日々の仕事に影響を及ぼす。これは一般に「生活の質」と呼ばれ、痛みの強さによって、患者は苛立ちや、鬱、食欲減退などに見舞われる。新しい鎮痛剤を評価するにあたり、研究員は患者の生活の質に生じたいかなる変化をも検討することが必須となる。下に示す数値スケールは、生活の質を高低の参照番号で評価するものである。「クオリティ・オブ・ライフ」は主観的な問題であり、研究医師が評価をするにあたって、生活の質が(テトロドトキシン投与前と後で)どう変化したかを説明する主要な情報源が患者自身の叙述であるという点には、注意を払わなければならない。生活の質として取り上げられる項目は、日常業務、情緒、可動性(歩行能力)、一般労働(外勤や家事も含む)、睡眠状態および睡眠パターン、人間関係、人生の喜び、などである。
【0061】
生活の質は、投与前と投与後8時間ごとに被験者自身によって評価された。
評価項目は、気分、歩行機能、一般労働(外勤や家事を含む)、人間関係、睡眠、人生の喜び、などで、下に示す数値は、生活の質がどれだけ妨げられているかを計る尺度である。
0:   妨げになっていない
1〜3: やや妨げになっている
4〜7: 中程度に妨げになっている
8〜9: 大きく妨げになっている
10:  完全に妨げになっている
【0062】
Figure 2004508404
【0063】
4.  結果
4.1 鎮痛効果
テトロドトキシン初回投与後30分以内に、被験者全員に様々な度合いで鎮痛効果が現れ、中には投与5分後に際立った鎮痛効果を報告した者もいた。1日2回、3日間のテトロドトキシン投与後、被験者の痛みの強度は1人を除いて全員0まで軽減され、残る1人の痛みの強度も1であった。
試験結果より、3日目のテトロドトキシンの最終回投与から20〜30日の期間、全被験者の痛みが完全に軽減されたことが証明され、3日間に渡るテトロドトキシン投与後も中毒症状の兆候はまったく認められなかった。
【0064】
4.2 日常の「生活の質」への影響
癌治療や薬物治療によって被験者の「生活の質」が中程度〜重度に悪影響を受けていたことが報告されていたが、3日間にわたるテトロドトキシン投与期間と投与後20〜30日の間、重度の妨げが中程度〜軽微の妨げに減少するなど、被験者の生活の質が劇的に向上した。3日のテトロドトキシン投与後、ほとんどの患者が日常の生活に戻ることができ、中には健康な人に混じって麻雀を楽しんだ者もいた。また公衆浴場に行って入浴するなど、癌から来る痛みや苦しみのためにできなかったことが可能になり、被験者の1人はハルビンから北京まで列車の長旅もした。
【0065】
4.3 副作用
投与後10〜20分に、全被験者が、唇、舌の先、指先、つま先に、しびれとチクチク感を感じた。これらの症状は長くて30分程度続き、その後特に治療することなく消失した。ドランティンを長期間使用した経歴のある患者2人は、テトロドトキシンの初回投与後においてのみ、軽い〜中程度の嘔気嘔吐を覚えたが、2度目の投与後にはこれらの症状は出現しなかった。また、数人の患者の血圧が10〜15mmHg下がったが、特に治療することなく、40〜50分後に通常の血圧に回復した。患者の1人に(初回投与後のみ)吐き気を伴う頻脈が現れたが、治療の必要がないまま、10〜15分後に症状は消失した。
【0066】
5.  結論
以下はテトロドトキシンと他の鎮痛薬剤との比較における考察である。
5.1 テトロドトキシンの投与頻度は低く、1回につき30μg、12時間ごとに最長3日の投与のみが必要とされる。今回の被験者においては、3日間にわたるテトロドトキシンの投与により、痛みの軽減または消失が直ちに認められた。
5.2 一般に使用されている強力な鎮痛薬剤が、鎮痛作用を維持するために常に継続的な投与を必要とするのに対し、テトロドトキシンの治療期間は僅か3日間である。これはテトロドトキシンの大切な利点となる。
【0067】
5.3 即効性。テトロドトキシンは投与後5〜30分で効果が現れる
5.4 鎮痛効果の持続。1日2回、3日間のテトロドトキシン投与後、鎮痛効果が20〜30日間持続した。投与後4日目から20日目の間に痛みの再発を訴えた患者はおらず、ほとんどの場合、30日の全調査期間にわたって鎮痛効果が持続した。
5.5 テトロドトキシンの投与中・投与後ともに、中毒症状あるいは禁断症状の兆候は認められなかった。一般に使用されている他の麻薬性鎮痛剤は全て中毒性が高く、有害な副作用がある。
5.6 軽度の副作用。被験者には、血圧低下、嘔気嘔吐などの軽微な副作用が認められたが、すべての症状は治療することなしに15〜60分以内に消失した。
5.7 テトロドトキシンは、ドランティン依存患者に対し明らかな解毒作用を引き起こした。
5.8 テトロドトキシンは癌治療中の患者の状態を好転させる。テトロドトキシンは、癌そのものに直接の影響は与えないものの、癌による痛みから開放されることにより、総合的な健康および精神的態度が大きく向上することが認められた。
【0068】
個々の症例結果
症例 1
Gao氏、44歳、男性。腹部痛を起こし、腹腔後壁の平滑筋痛と診断され外科手術を受けた。一年後に腹部痛が再発、再手術を受ける。2度目の手術の際に受けた病理的検査により、平滑筋腫瘍であることが判明。その後、肝臓に転移が発見され、抗癌剤を使用した化学療法(ケモセラピー)を受ける。腹部痛が激しいため、ドランティンの注入を開始しており、1日少なくとも3回の注入が必要であった。病初は筋内投与だったが、ついには効果の早く現れる静脈投与を受けるようになり、テトロドトキシン治療を受ける直前の一ヶ月には、100回を超えるドランティン投与を受けていた。ドランティンの投与を中止した当初は、全身の脱力感や痛み、立ち上がった際の震え、歩行困難など、モルヒネに似た禁断症状を示した。テトロドトキシン治療はGao氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン使用前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで8であったが、初回投与の5分後には0に減少した。3日にわたる治療が終了した後、自力で公衆浴場に行って入浴をし、友人の家に行って麻雀を楽しんだ。このレポートが作成されている時点でも、Gao氏は痛みを感じることなく快適に普通の生活を営んでいる。
【0069】
症例 2
Zhang氏、26歳、男性。肝臓に痛みを感じ、進行した肝臓癌と診断された。激しい腹部痛と腹部膨張が耐えがたいところまで進行し、痛みを和らげるためにドランティンと他の鎮痛薬剤を併用して使用し始めた。テトロドトキシン治療はZhang氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン使用前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで8であったが、投与2日目には0に減り、生活の質も著しく向上した。3日にわたる治療を終えた後、Zhang氏はさらなる癌治療のため、ハルビンから北京まで列車の旅に出かけた。
【0070】
症例 3
Xie氏、76歳、女性。直腸癌と診断され、1996年に手術を受けたが、1998年に癌が肝臓に移転し、痛みは対処しきれないほど激しくなった。テトロドトキシン治療はXie氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン初回投与の20分後に痛みの強度は6から0に減少し、生活の質のスコアも、テトロドトキシン初回投与後10から6に減少した。3日にわたるテトロドトキシン治療の最後には、本人が考える通常の暮らしのレベルにまで回復した。
症例 4
Jin氏、63歳、男性。8年間肝臓癌で苦しんできたが、ここ6ヶ月で他の鎮痛薬剤が効かなくなるところまで痛みがエスカレートした。テトロドトキシン治療はJin氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン投与の2日後に、痛みの強度は7から0に減少し、生活の質も著しく向上した。
【0071】
症例 5
Duan氏、46歳、女性。腰痛症と判断され、後に腰痛関連症状が次第に悪化した。腰の痛みは鎮痛剤により軽減されたが、この治験の6ヶ月前に左脚に痛みを覚えはじめ、その痛みがどんどん激しくなり、この6ヶ月の間トラマドール、ペンタゾシン、ドランティなど、徐々に強い鎮痛剤を処方された。この6ヶ月の間に肝臓からの癌が転移した骨肉腫と診断された。肉腫は脊椎のL、L 、T11に位置しており、その証拠として骨の病巣透亮像が認められた。テトロドトキシン治療はDuan氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン使用直前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで9であったが、初回の注射10分後に7に、20分後には2に減少した。3日間のテトロドトキシン治療の終わりには、痛みは完全に消失した。
【0072】
症例 6
Li氏、72歳、女性。腹部膨張と食欲不振を患い治療を受けたが効果がなかったため、腹部超音波試験を受けた結果、肝臓癌と診断された。化学療法により癌は治療されたかに見えたが、腹部膨張と腹部痛は悪化し、テトロドトキシン治験を受けるまでに試した鎮痛薬剤は効果がなかった。テトロドトキシン治療はLi氏本人が痛みを和らげるために自発的に申し出たものである。テトロドトキシン投与前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで7であったが、初回の注射の10分後に0減少した。3日間のテトロドトキシン治療後、Li氏は、正常に戻ったかのような普通の生活を送ることができた。
【0073】
症例 7
Li氏、36歳、男性。進行した肝臓癌と診断され、肝臓部の痛みはドランティンの筋肉内注射でも効かない程度まで激しくなっていた。テトロドトキシン治療はLi氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン投与前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで7であったが、テトロドトキシンの初回注射20分後に3になり、3度目の投与後には0で安定した。3日間の治療の後、生活の質は著しく向上し、スコアは「0:まったく妨げにならない」にまで到達した。
【0074】
症例 8
Cheng氏、60歳、男性。胃の粘液性副腎癌腫と診断され、癌を除去する手術を受けたが、術後3ヶ月から腹部が膨張しはじめ、強い腹部痛を感じるようになった。CTスキャンの結果、癌が肺、肝臓、腹腔、リンパ節にまで大規模に広がっていたことが判明した。テトロドトキシン治療はCheng氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン投与前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで8であったが、テトロドトキシン初回注射20分後、0に減少した。3日間の治療の後には、本人が考える通常の暮らしができるレベルにまでに回復した。
【0075】
症例 9
Shi氏、59歳、男性。恒常的な胸骨裏の痛みが一年ほど続き、嚥下障害を発症した後、食道癌腫と診断された。最後の一ヶ月は症状が重く、食事後に嘔吐を引き起こしていた。癌を取り除く手術を受けたが、後に痛みは激しくなり、処方された定量のドランティンでは効果が現れなかった。テトロドトキシン治療はShi氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン投与前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで8であったが、テトロドトキシンの2度目の投与後には0に減少した。3日間の治療の後には、本人が考える通常の暮らしのレベルにまでに回復した。
【0076】
症例 10
Liu氏、69歳、女性。胃癌除去手術の3年後に、左頸部のリンパ節に腫れが発見され、病理学的検査の結果、胃癌がリンパ節に広がっていたことが明らかになった。Liu氏本人が自発的に申し出てテトロドトキシン治療を受けるしばらく前に、痛みは対応できないほどまで増大していた。テトロドトキシン投与前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで9であったが、テトロドトキシン初回注射3時間後には2に減少し、3日間の治療の後には、0で安定した。
【0077】
症例 11
Tan氏、52歳、女性。直腸癌を患い手術を受けたが、術後1年で再発した。会陰部の瘤が膿瘍化し、その部分の痛みは非常に強く、頭痛や目眩を伴い、時には話すこともできないほど重症であった。テトロドトキシン治療はTan氏本人が自発的に申し出たものである。テトロドトキシン投与前の痛みの強度は0から10までのペインスケールで7であったが、テトロドトキシンの初回注射1時間後には0に減少した。3日間の治療が終了した後には、本人が考える通常の暮らしのレベルにまでに回復した。
代表的な症例結果を、表3にまとめた。
【0078】
【表3】
Figure 2004508404
【0079】
実施例 3 マウスおよびラットにおける侵害受容へのTTXの効力
実験材料
TTX(テトロドトキシン)純正粉末、バッチNo.960510、中国、大連、ダリアン・オ・セン製薬工場(Dalian Ao Sen Pharmaceutical Plant)より入手。必要な濃度まで蒸留水で希釈し、酢酸を用いてpHを4−5に調整した。
氷酢酸、分析的に純粋、北京52952化学工場(Beijing 52952 Chemical Plant)、バッチNo.910613。
ホルマリン40%、最高純度、北京No3化学工場(Beijing N0. 3 Chemical Plant)、バッチNo.950712。
アスピリン粉末、純度99%、興化製薬工場(Xinhua Pharmaceutical Factory)、バッチNo.9205292。
塩酸モルヒネ、青海製薬工場(Qinhai Pharmaceutical Factory)、バッチNo.960804。
【0080】
実験動物
昆明種マウス、18−22g、中国医学院(Chinese Academy of Medical Sciences)のアニマルセンターより入手。品質証明番号:Jing Dong Guan Zi(1994)029。
ウィスター系ラット、180−240g、雌雄同数、北京医科大学(Beijing Medical University)の実験動物局より入手。品質証明番号:Jing Dong Guan Zi(1994)092
【0081】
3.1 マウスを用いた酢酸ライジング(身もだえ)試験
マウスを無作為にTTXテスト群、陽性対照群(アスピリンおよびメペルジン)、陰性対照群(生理食塩水)に分けた。マウスは試験前12時間絶食させたが水は自由に摂取させた。これらのマウスにTTXを皮下投与あるいは筋肉投与し、その40分後に化学的刺激物として0.6%の酢酸(0.1ml/10g)を腹腔内投与し、以降15分間ライジングを観察および記録した。生理食塩水(NS)群、アスピリン群、メペルジン群の各マウスも、同様の処置を受け、これら対照群とTTX群のライジングを比較した。TTXのライジング抑制率は、以下の式を用いて計算された。
抑制率(%)=(対照群のライジング − TTX群のライジング)/ 対照群のライジング × 100%
抑制投与量の中央値であるID50の計算にはロジット法を用いた。
【0082】
結果については表4、表5を参照のこと。
表4、表5が示すとおり、TTXの鎮痛有効性について、異なった投与経路で類似した結果が得られた。TTXの鎮痛効力は、アスピリンに比較してはるかに強く、メペルジンの670倍であった。
【0083】
【表4】
マウスのライジング試験における、TTX、アスピリン、メペリディンのID50値(皮下投与)
Figure 2004508404
【0084】
【表5】
マウスのライジング試験における、TTX、アスピリンのID50値(筋肉投与)
Figure 2004508404
【0085】
3.2 ラットを用いたホルマリン性炎症試験
ウィスター系ラットを無作為にTTXテスト群、陽性対照群(モルヒネ)、陰性対照群(生理食塩水)に分けた。ラットは試験前12時間絶食させたが、水は自由に摂取させ、痛覚刺激剤として2.5%ホルマリンを用いた。異なった用量のTTXをラットに筋肉投与および皮下投与した後、20cm×20cm×20cmの観察用透明プラスチックボックスに入れ、40分後に0.06mlの2.5%ホルマリンを右後足の足底表面に皮下投与して、以降5分間、舐め/齧り行為、痙攣、右後足の持ち上げなどの痛覚反応を観察および記録した。痛覚反応スコアは、以下の式を用いて計算した。
痛覚反応スコア=舐め/齧り行為時間(秒)×3 + 痙攣出現数 × 2/3 + 後足持ち上げ時間(秒)
【0086】
生理食塩水(NS)群とモルヒネ群も同様の処置を受けた。TTXの痛覚反応の抑制率は、以下の式を用いて計算した。
抑制率(%)=(対照群の痛覚反応スコア平均 − TTX群の痛覚反応スコア平均)/ 対照群の痛覚反応スコア平均 × 100%
抑制投与量の中央値であるID50の計算にはロジット法を用いた。
表6および7を参照のこと。
【0087】
【表6】
ラットのホルマリン試験におけるTTX、モルヒネのID50値(皮下投与)
Figure 2004508404
【0088】
【表7】
ラットのホルマリン試験におけるTTX、モルヒネのID50値(筋肉投与)
Figure 2004508404
【0089】
表6および7に示されるとおり、ホルマリン試験においてTTXとモルヒネは共に著しい鎮痛効果を示したが、TTXは皮下注射でモルヒネの3200倍、筋肉内注射で2900倍の鎮痛効果を示した。
【0090】
3.3 ラットを用いたテイルフリック試験
熱性の痛みに対するTTXとモルヒネの鎮痛効果を、ラットを用いたテイルフリック試験で調査した。
ラットを無作為に8匹づつ7つのグループに分け、試験前12時間絶食させたが水は自由に摂取させた。ラットをテイルフリック痛覚計の上に固定し、12ボルトの電球に電気を流すことにより尾先端部に熱刺激を与え、ラットが反応して尾を振り動かすまでの待ち時間が記録された。5〜8秒以内に反応しないラットは実験対象とならない。この試験はTTX注射後に行われ、熱照射後20秒以内に尾を振らないなど、痛みの閾値が高くなりすぎた場合は、皮膚の水疱形成や損傷を考慮して照射は終了とし、待ち時間は20秒とみなした。
【0091】
ラットを用いたテイルフリック試験結果によれば、TTX投与レベルが1.25〜5.0μg/kgの場合は熱性の痛みに明らかな鎮痛効果が認められたが、0.3〜0.6μg/kgの場合は認められず、鎮痛効能はモルヒネに比べて低かった(表8参照)
【0092】
【表8】
Figure 2004508404
【0093】
3.4 TTXの鎮痛効果と時間の関係における考察
TTXおよびアスピリンにおける、鎮痛効果と時間の関係を調査するため、ID50値の2倍量で、TTX(6μg/kgを皮下投与または筋肉投与)とアスピリン(400mg/kgを経口投与)を投与することにより、マウスを用いた酢酸ライジング試験を行った。TTXについては、異なった投与経路(皮下または筋肉投与)で類似した結果が得られ、薬剤効果発現時間は投与後15分、ピークは投与後1時間、鎮痛効果持続時間は約5時間であった。アスピリンの薬剤効果発現時間は投与後20分、ピークは投与後30分、鎮痛効果持続時間は約2時間であった(表9,10,11,12参照)。
【0094】
【表9】
マウスを用いたライジング試験におけるTTXの時間−効果関係(皮下)
Figure 2004508404
AWI    平均ライジング発生数。NPグループとの比較。28.2±12.4、n=20
IR    抑制率 %
【0095】
【表10】
マウスを用いたライジング試験におけるアスピリンの時間−効果関係(胃内投与)
Figure 2004508404
NS群の平均ライジング発生数、18.5±6.4、n=20
【0096】
【表11】
マウスを用いたライジング試験におけるTTXの時間−効果関係(筋内)
Figure 2004508404
NS群の平均ライジング発生数、 28.2±14.3、n=20
【0097】
【表12】
マウスを用いたライジング試験におけるアスピリンの時間−効果関係(胃内投与)
Figure 2004508404
NS群の平均ライジング発生数、28.2±14.3、n=20
【0098】
実施例 4: マウス、ラット、サルにおけるTTXの身体依存の調査
テトロドトキシン(TTX)の持つ身体依存の可能性を、3種の動物と4つの動物モデルを用いて調査した。実験には昆明マウス、ウィスター系ラット、コワンシーモンキー(赤毛サルの亜種)を使用した。
体重:
ラット:各190−230g
マウス:各20−25g
サル:各3−6kg
性別:
ラットおよびマウス:雌雄半数づつ
サル:どちらでも
各群の動物数:
マウス:雌雄10匹づつ
ラット:雌雄10匹づつ
サル:3〜6頭
個体あたりの投与量:
マウス:体重10gあたり0.1ml
ラット:体重100gあたり0.2ml
サル:体重1Kgあたり0.1ml
実験材料:テトロドトキシン粉末、バッチNo.950314、中国遼寧省、大連、ダリアン・オ・セン製薬工場(Dalian Ao Sen Pharmaceutical Plant)より入手。
【0099】
4.1 マウスの跳躍(促進)テスト
マウスを無作為に2つのTTX群(投与量5.5μg/kgと11.5μg/kg)、陽性対照群としてモルヒネ群(20mg/kgを継続投与)、陰性対照群として生理食塩水群(同容量)の4群に分け、テスト物質を1日3回、7日間継続的に皮下投与した。8日目の最終投与の2時間後、10mg/kgM5050のモルヒネ受容体拮抗薬を投与することにより禁断状態を作り出し、以降マウスの跳躍発生数および跳躍頻度を記録した。その結果、モルヒネ群が、TTX群およびNS対照群と有意の違いを示したが、TTX群とNS対照群間に差異は認められなかった。このことから、この調査で用いた投与量レベルで、1週間継続投与されたTTXが生理食塩水と同様にマウスに身体依存の兆候を引き起こさないことが明らかになった(表13)。
【0100】
【表13】
TTX、モルヒネ、生理食塩水投与後のマウスの跳躍比較
Figure 2004508404
注:
* P<0.05 モルヒネと比較
# P>0.05 生理食塩水と比較
【0101】
4.2 ラットの離脱(促進)テスト
ラットを無作為に2つのTTXテスト群、陽性対照群としてモルヒネ群、陰性対照群として生理食塩水群の4群に分け、テスト物質を次のスケジュールに従って投与した。TTX群は、初回投与量がそれぞれ1.5μg/kg、3.0μg/kgで、7日めまでにそれぞれ9μg/kg、12μg/kgに徐々に増やされた。モルヒネ群は各日、5、10、15、20、25、30、35mg/kgと投与量が増やされた。陰性対照として生理食塩水(同容量)が使われた。それぞれを1日3回皮下投与し、8日目の最終投与の2時間後、2mg/kgM5050投与することにより禁断状態を作り出し、以降ラットの禁断症状と体重の減少を観察した。
その結果、禁断症状および体重減少のスコアについて、TTX投与群の結果は両方ともNS群と類似していたが、モルヒネ群のスコアに比べると著しく低かった。この差異はきわめて有意である(p<0.01)。このことから、この調査で用いた投与量を皮下注入した場合において、TTXはラットに身体依存反応を引き起こさないことが明らかになった(表14)。
【0102】
【表14】
TTX、モルヒネ、生理食塩水投与後の離脱(促進)スコアの比較
Figure 2004508404
注:
* P<0.01 モルヒネと比較
# P>0.05 生理食塩水と比較
【0103】
4.3 サルの離脱(促進)テスト
各サルを、モルヒネ群(陽性対照群)、生理食塩水(NS)群(陰性対照群)、TTX群に割り当て、それぞれ1日3回(8:30、14:30、20:30)の投与を行った。モルヒネは投与量を徐々に増やすことで依存モデルを作成し、最初の3日間は3mg/kg、次の3日間は6mg/kg、次の4日間は9mg/kg、次の4日間は12mg/kg、3週目に15mg/kgに増やし、1ヶ月までこの量を維持した。TTXは1週ごとに1μg/kg、2μg/kg、3μg/kgと増やしていったが、4週目に4μg/kgに到達したとき、顕著な中毒反応(嘔吐)が見られたため、3μg/kgに戻した。すべての群においてTTXは1ヶ月間投与された。31日目の午前8:30に最終投与が終わった後、1時間後に1mg/kgのナロキソンを皮下注入し、その直後から1時間、禁断症状および体重の変化率を観察した。
その結果、TTX群とNS群の禁断症状および体重減少率のスコアは非常に類似しており、いずれもモルヒネ群に比べて著しく低い(p<0.01)ことが示された。これにより、TTXを長期投与したサルにモルヒネ拮抗薬ナロキソンを投与しても、モルヒネに似た禁断症状は認められない、すなわち、TTXには麻薬性の身体依存を引き起こす特性は持ち合わせていないことが明らかになった(表15)。
【0104】
【表15】
サルにおけるTTX、モルヒネ、NS投与後の離脱(促進)テスト結果(平均±S.D.)
Figure 2004508404
注:
* P<0.01 モルヒネと比較
# P>0.05 生理食塩水と比較
【0105】
4.4 サルの離脱(自然)テスト
サルを、モルヒネ群(陽性対照群)、生理食塩水群(陰性対照群)、TTX群に分け、離脱を促進した時のテストと同様の処置を行ったが、30日以降も高投与量で処置を続け90日までテストを継続した。90日めにモルヒネ、TTX、NSの投与を打ち切り、その後1週間にわたり各群の禁断症状および体重減少を観察した。観察は1日3回行われ、検出事項は観察表(付録1、2、3参照)に従って記録された。
表16および表17に示すとおり、3ヶ月のTTX継続投与が終わった直後の1週間、禁断症状は認められなかった。投与が打ち切られて3日以内に、2〜3頭のサルが時折興奮して落ち着かない様子を示したが、この行動はすぐに消滅した。また、TTXを投与したサルの体重は減少しなかっただけではなく、投与期間に比べて逆に増加した。一方モルヒネ群は明らかな禁断症状を引き起こした。このことは、長期的なTTX投与がいかなる身体依存の兆候も引き起こさないことを示している。
【0106】
【表16】
離脱(自然)期間における禁断症状スコアの比較(平均±SD)
Figure 2004508404
【0107】
【表17】
離脱(自然)期間における各群のサルの体重変化率(平均±SD)
Figure 2004508404
注:
* P<0.01 モルヒネと比較
# P>0.05 NG群と比較
【0108】
Figure 2004508404
【0109】
Figure 2004508404
【0110】
付録3
サルの禁断症状の評価およびスコア方法.
I.評価
1.軽度:恐れ、あくび、流涙、身震い、顔面紅潮、発汗、泣き叫び、神経過敏、食欲減退、軟便
2.中度:震え、食欲減退、立毛、筋肉痙攣、腹部の抱きかかえ、下痢、活力欠如による横たわり
3.重度:極度の情動不安、目を閉じた状態での側面横臥、異常な姿勢、嘔吐、顔面蒼白、顕著な筋痙攣
4.最重度:消耗(無反応、呼吸困難、脱水症状)、顕著な体重減少、循環障害、死
【0111】
II.スコア (評価分類スコア+症状スコア)
軽度:評価分類スコア5点、各症状3点、同日内の同症状の繰り返しは1点減
中度:評価分類スコア10点、各症状4点、同日内の同症状の繰り返しは1点減
重度:評価分類スコア17点、各症状4点、同日内の同症状の繰り返しは1点減
最重度:評価分類スコア32点、消耗20点、死亡の場合30点。
【0112】
III. スコアの基本
症状の分類評価が異なった場合は、スコアが異なる。加えて、同一の評価分類内にある症状の数によってもスコアは変化する。しかし、結果スコアが評価分類に対して定められたスコアより高くはなることはない。
ある評価分類内の3症状に対するスコアは、ひとつ上の評価分類内の1症状に対する同じスコアと同じになる。たとえば、評価分類が「軽度」とされる症状3つに対するスコア(5 + (3 × 3)) は、評価分類が「中度」とされる症状1つ対するスコア(10 + 4)と同じになる。
また、評価分類「中度」とされる症状3つに対するスコアは(10 + (4 × 3))、評価分類「重度」とされる症状1つに対するスコアと同じになる。(17 + 5)。
実験動物が消耗したり死亡したりした場合には、他の全症状は無視される。したがって、この場合に割り当てられるスコアは、軽度、中度、重度のスコアを足したものと同じとなる。
【0113】
実施例5
テトロドトキシンの一般薬理に関する調査
実験材料:
テトロドトキシン粉末、バッチNo.971208、中国遼寧省、大連、ダリアン・オ・セン製薬工場(Dalian Ao Sen Pharmaceutical Plant)より入手。腹腔内注入に適した濃度(体重10gに対し0.1ml)まで、生理食塩水で希釈した。
カフェイン、上海セカンド化学試薬会社(Shanghai Second Chemical Reagents Co)、バッチNo.950801。
ジアゼパム注射液:甘粛省アミノ酸人民医薬品会社(People’s Pharmaceuticals of Tianjing Amino Acid Co.)、バッチNo.970424。
モルヒネ:薬物生物学製品研究所(National Institute on Drug and Biological Product)、バッチNo.1201−9612
ペントバルビタール・ナトリウム:北京桐郷玉柴精製化学品(Beijing Tongxian Yuchai Fine Chemicals)、バッチNo.950427。
【0114】
実験動物:
この調査では、雌雄同数の昆明マウス(17g〜22g)用いた。各試験で用いる個体の体重差は5g以下であった。
5.1 マウスの一般行動への影響
マウスを無作為に6群(各10匹)に分け、それぞれTTX2.5μg/kg、TTX5μg/kg、TTX10μg/kg、カフェイン10mg/kg、ジアゼパム5.0mg/kg、生理食塩水を腹腔内投与し、15分後にマウスの一般行動、ジェスチャー、歩行、唾液過剰分泌、筋肉震戦、瞳孔サイズの変化を記録した。
その結果、TTXを2.5μg/kgおよび5.0μg/kg単回投与したマウスは通常のジェスチャーおよび歩行を示し、過剰な唾液分泌や筋静止不能も見られず、瞳孔サイズの変化も認められなかったが、TTXを10μg/kg単回投与したマウスには、一様に目を閉じる行動および体の動きが鈍くなる状態が見られた。
【0115】
5.2 マウスの自律神経性移動性に対する影響
マウスを無作為に12群(各12匹)に分け、うち3群はTTX群としてTTXを2.5μg/kg、5.0μg/kg、10μg/kgを投与、2群は陽性対照群としてカフェイン(中枢神経系(CNS)刺激剤)10mg/kgおよびジアゼパム(CNS抑制剤)5mg/kgを投与、1群は空白対照群(生理食塩水)とし、試験はTTX群と対照群に対し交互に実施された。薬剤投与15分後、マウスを4匹1組でTDW−02一般移行運動記録計に入れ5分間落ち着かせた後、その後5分間のマウスの移動運動を記録し、TTX群、陽性対照群、空白対照群の結果を比較した。違いが有意であるかどうかは、t−検定を用いて判断した。
その結果、TTXを2.5μg/kgおよび5.0μg/kg単回投与したマウスは、普通のジェスチャーおよび歩行を示し、過剰な唾液分泌や筋肉静止不能、瞳孔サイズの変化は認められなかった。しかしTTXを10μg/kg単回投与したマウスにのみ一様に、目を閉じる行動と、体の動きが鈍くなる状態が見られ、空白対照群に比べて自律神経移動性が有意に低い(P<0.01)ことが示されたが、陽性対照群(ジアゼパム)と比較するとそれほど低くはなく(P>0.05)、TTXのこの投与量(10μg/kg)には、いくらかの鎮静作用があることが示唆された。(表18)
【0116】
【表18】
Figure 2004508404
【0117】
5.3 ペントバルピタール・ナトリウム誘発性の睡眠時間に対する影響
まず、実験動物を100%眠らせるために必要なペントバルビタール・ナトリウムの投与量を割り出す予備調査をおこない、その投与量が40mg/kgであることを確認した。
マウスを無作為に5群(各10匹)に分け、うち3群はTTX群としてTTX2.5μg/kg、5.0μg/kg、10μg/kgを、1群は陽性対照群としてジアゼパム2.5mg/kgを、残りは空白対照群として生理食塩水を、それぞれ腹腔内注射した。次にペントバルビタール・ナトリウム40mg/kgを、TTXあるいはジアゼパムの効力がピークになる10〜15分前に全マウスに注射し、マウスの立ち直り反射の待ち時間を記録することによって、試験薬剤がペントバルビタール・ナトリウムが誘発するマウスの睡眠時間を引き延ばすことができるかを調査した。この調査では、TTX群と対照群の待ち時間の違いを比較し、違いが有意であるかどうかは、t−検定を用いて判断した。
その結果、ペントバルビタール・ナトリウムの誘発する睡眠時間を引き伸ばす効力は、TTX2.5μg/kg、5.0μg/kg、10μg/kg群と対照群(生理食塩水)の間には大きな違いが認められなかった(P>0.05)が、陽性対照群(ジアゼパム)との間には大きな違いが認められた(P<0.001)。結果は表19に示すとおりである。
【0118】
【表19】
Figure 2004508404
【0119】
5.4 マウスの骨格筋弛緩に対する影響
マウスを無作為に5群(各10匹)に分け、3群はTTX群としてそれぞれTTX2.5μg/kg、5.0μg/kg、10μg/kgを、1群は陽性対照群としてジアゼパム5mg/kgを、残る1群は空白対照群として生理食塩水を投与するよう割り当てた。まずテーブル上に50度の角度で取り付けた金属製ネットに自由に動ける状態でマウスをのせ、1時間ネットから落ちなかったマウスを合格として選び、合格したマウスにそれぞれ薬剤投与をおこなった。その後、再びマウスを自由に動ける状態でネットにのせ、以降50分間その経過を観察した。ネットから落ちたマウスは元の位置に戻されるが、連続して3回落ちた場合は投与薬剤に骨格筋弛緩効力があるものと考えられる。その結果、骨格筋弛緩効力に関して、TTX群(2.5μg/kg、5.0μg/kg、10μg/kg)と空白対照群(生理食塩水)に有意な違いは認められなかった(P>0.05)が、陽性対照群(ジアゼパム)との間には大きな差異が認められた(P<0.001)。結果は表20に示すとおりである。
【0120】
【表20】
骨格筋弛緩に対するテトロドトキシン(TTX)の影響(クライミング・ネット法)
Figure 2004508404
【0121】
5.5 麻酔状態の犬の心臓血管および呼吸器系に対する影響
この実験では、健康な雑種犬(雌雄同数、体重10〜15kg)を用いた。まず犬にペントバルビタール・ナトリウム30mg/kgを静脈注射して麻酔状態にした後、仰臥位にして外科的に大腿動脈を露出させ、動脈血圧観察用にチューブを挿入した。もう一方の後肢の大腿静脈を栄養液の輸液用に外科的に露出させた。呼吸数とその深さは、鼻腔にTR−61ZT鼻腔クリップ式エネルギーエクスチェンジャー(TR−61ZT Nasal−Clipping Energy Exchanger)をつけて測定し、心機能は針電極を持つ2−誘導心電図でモニターした。全てのモニター項目は、同時にRM−6000マルチ誘導記録器で記録した。
外科処置後、モニターする項目が安定するまで30分間以上落ち着かせ、その後の数値をTTX投与前の値として記録した。その後、臀部に筋肉投与でTTX製剤を、空白対照群には同量の生理食塩水を投与し、投与後15、30、45、60、90、120、180分の間隔でモニター項目を記録した。
その結果により、1μg/kg、2μg/kg、4μg/kgのTTX筋肉内投与は、血圧、心拍数、心電図、呼吸数およびその深さに大きな影響を及ぼさないことが示された(P>0.05)。
【0122】
実施例 6 TTXの薬剤安全性調査
この調査には、昆明マウスおよびウィスター系ラットを用いた。
年齢:マウス40日目、ラット7週目。性別:マウス、ラットともに雌雄同数。体重:マウス18−20g、ラット130−170g。投与量:マウス0.1mL/10g、ラット0.2mL/100g。
実験材料:テトロドトキシン純粋粉末、南寧メープルリーフ製薬会社(Nanning Maple Leaf Pharmaceutical Co., Ltd.)製
【0123】
6.1 マウスにおけるTTXの急性毒性
実験材料:テトロドトキシン粉末、バッチNo.ML−003、南寧メープルリーフ製薬会社(Nanning Maple Leaf Pharmaceutical Co., Ltd.)より入手。
マウスを12時間絶食させた後、体重をもとに、各群雌雄10匹づつで異なった投与量群に無作為に割り当て、各群に異なった投与経路(静脈内、腹腔内、皮下)でTTXの注入を行った後、その反応を観察した。観察は投与直後から1週間続けておこない、中毒反応および死亡分布が記録された。検死解剖は死亡確認直後におこなわれ、病理的変化が記録された。おおまかな検査で何らかの変化が認められた個体に対しては、顕微鏡での病理学検査をおこなった。95%の信頼区間(CI)を含むLD50値はブリス法を用いて計算した。
その結果から、投与経路に関わらず、中毒症状は類似していることが明らかになった。主要な臨床的症状は、後肢の脱力、衰弱、呼吸困難、呼吸器障害による死亡で、一般に死亡は静脈投与の場合1〜15分後、他経路の場合20〜60分後に起こり、死亡に雌雄差はなかった。生き残ったマウスは投与後約1時間で回復し、生き残った個体には、観察期間の7日間、他の異常あるいは死亡は認められなかった。死亡した動物の検死においても、異常はまったく認められなかった。死亡の分布とLD50値の測定は、表21、22および23に示した。
【0124】
【表21】
マウスへのTTX単回静脈内投与後の死亡とLD50の分布
Figure 2004508404
【0125】
【表22】
マウスへのTTXの単回腹腔内投与後の死亡とLD50の分布
Figure 2004508404
【0126】
【表23】
マウスへのTTXの単回皮下投与後の死亡とLD50の分布
Figure 2004508404
【0127】
6.2 ラットにおけるTTX急性毒性
実験材料:テトロドトキシン粉末、バッチNo.000530、南寧メープルリーフ製薬会社(Nanning Maple Leaf Pharmaceutical Co., Ltd.)提供
ウィスター系ラットを12時間絶食させた後、体重をもとに、各群雌雄5匹づつで異なった投与量群に無作為に割り当てた。実験方法は、マウスにおけるTXT急性毒性研究と同じである。
筋肉投与から約10−20分後ラットには様々な度合いで後肢の脱力、呼吸の加速、衰弱がみられた。反応の強く現れたラットには、注射後約1時間内に、呼吸不全で死亡するまで、深刻な呼吸困難(チェーン・ストークス呼吸)が認められた。生き残ったラットは、抑制状態を示し、投与後1時間で次第に回復した。観察は7日間続けられたが、それ以外の異常または死亡は認められなかった。死亡したラットの検死でも、概ね異常は発見されなかった。
死亡の分布とLD50値の測定は、表24に示した。
【0128】
【表24】
ラットへのTTX単回筋肉内投与後の死亡とLD50の分布
Figure 2004508404
【0129】
6.3 赤毛サルにおけるTTX亜急性(28日間)毒性研究
実験動物:赤毛サル20匹、雌雄10匹づつ、年齢3−4歳、体重:♂ 6.3±0.5kg、♀ 8.4±0.4kg。
実験内容:テトロドトキシン投与、30μg/kg/アンプル、バッチNo.931220、コワンシーアジアヘルスメディカル会社(Guangxi Asia Health Medical Co., Ltd.)提供。
サルは、任意に5群に分け、うち3群にそれぞれTTXを1μg/kg、2.5μg/kg、6.25μg/kg投与し、1群は空白対照群として生理食塩水を、1群は溶媒対照群として0.2%の酢酸溶液を投与した。すべての試験薬は、1日に1回、全28日間継続して注射された。投与後、一般行動は毎日観察および記録され、摂取した食物と体重は週毎に計測された。最終投与から24時間後、心臓から血液サンプルを採り、13の血液学的パラメーターと15の血生化学的パラメーターの測定に使用した。最終投与から24時間後、それぞれのグループの雄と雌1匹ずつを殺し、血液を血液学、血液生化学、病理学検査に使用した。各郡の残りのサルは、4週間継続して観察された後に殺され、同様の検査を行い、観察された毒性反応から回復があったか、遅延型の毒性反応がみられるかを調べた。
【0130】
その結果、TTX6.25μg/kg群のサルが、投与後に毎回明らかな毒性反応を示した。主な毒性反応は嘔吐であった。このうち1匹は、まぶたの腫れ、軽い麻痺、ALT値とALP値の異常増加を示した。TTX2.5μg/kg群のうち1匹は、軽い嘔吐とアセチルコリンエステラーゼ活性の41.2%減少がみられた。TTX1.0μg/kg群、空白対照群、溶媒対照群には、一般的な生理学的パラメーター、組織病理学的、血液学的、血液生化学的、眼科的検査においても薬による異常はなかった。28日目に殺されたサルの顕微鏡検査で、酢酸溶液の注射部位に局部筋肉壊死が観察された。回復期間の終わり(56日目)には、筋肉の壊死は観察されなかった。この研究の条件下において、赤毛サルにおけるTTXの非毒性レベルは、1.0μg/kgであった。
【0131】
実施例 7. TTXの局部毒性研究
実験材料:テトロドトキシン注射、30μg/2mL/アンプル、バッチNo.931220、コワンシーアジアヘルスメディカル会社(Guangxi Asia Health Medical Co., Ltd.)提供。
7.1 ウサギにおける局部筋肉内の炎症テスト
8匹のニュージーランド白ウサギ(雄、生後13−18週、体重2.0−2.5kg)を、任意に以下の4対照群に分けた:酢酸+テトロドトキシン(0.56μg/kg)、生理食塩水+テトロドトキシン(0.56μg/kg)、酢酸(0.02%)、ペニシリンG−K陽性。
投与前に、ウサギの注射部位まわり3×2cmの毛を短く刈った。注射は、ウサギの左右両方の大腿四頭筋中央にそれぞれ1mLずつ行った。投与直後に、毛の垂れ、惰気、食欲減退、動作困難を観察し記録した。48時間後にウサギは屠殺され、大腿四頭筋を摘出し縦に切り込みを入れて注射部位の局部刺激反応を観察し、病理学検査を行った。刺激反応は、次のような評価基準に基づき点数をつけた:主な変化なし(0)、0.5×1.0cm以下の軽度の充血(1)、0.5×1.0cm以上の中度の充血(2)、筋肉変性に加えて重度の充血(3)、茶色に変性した壊死(4)、広範な壊死(5)。
【0132】
テスト結果は、酢酸+テトロドトキシン(0.56μg/kg)群、生理食塩水+テトロドトキシン(0.56μg/kg)群、1.54x10unit/kgのペニシリンG−K陽性群が、ウサギの局部筋肉に著しい刺激反応が起こすことが認められた一方、生理食塩水+テトロドトキシン(0.56μg/kg)群では認められなかった。これらの結果に基づくと、この実験での濃度において、刺激はテトロドトキシンによるものではなく、0.02%希酢酸にあるというように結論付けられる(表25)。
【0133】
【表25】
テトロドトキシンによるウサギの局部筋肉刺激テスト結果の評価点数
Figure 2004508404
* 実験したウサギの数
【0134】
7.2 モルモットにおける一般過敏症テスト
24匹のハートレーモルモット(雌雄半数づつ、生後8−12週、250−300g)を、任意に、テトロドトキシン0.95μg/kg、10%ウシ血清アルブミン溶液(陽性対照)、0.02%希酢酸(溶媒対照)の3群に分けた。
感作法:
テトロドトキシン群の各モルモットに、テトロドトキシン感作薬0.5mLを1日おきに3回継続して腹腔内投与した。同じ投与方法が、溶媒対照群と10%ウシ血清アルブミン(陽性対照)群に用いられた。その後、各群を4匹づつ2つのグループに分けた。
【0135】
刺激法:
各群において、1.0mLの刺激薬を、最初の4匹に対しては感作薬(腹腔内)の投与後14日目に、残り4匹には感作薬(腹腔内)の投与後21日目に、後肢の外側に静脈内投与し、直後から、鼻を掻く、くしゃみ、立毛、痙攣、呼吸困難、糞尿の失禁、ショックおよび死亡などの過敏症反応症状について観察された。実験結果の評価基準は、次のとおりである:(−)異常反応なし、(±)身をよじる、立毛、(+)鼻を掻く、立毛、情動不安、くしゃみ、息切れ、軽度チアノーゼ、(++)立毛、顕著な呼吸困難、チアノーゼ、四肢の脱力、腹をつけて這う、(+++)死亡。
実験結果から、刺激後投与されたテトロドトキシン0.95μg/kgと0.02%希酢酸(賦形剤)はモルモットに著しい過敏性反応は引き起こさないということが示された一方で、陽性対照群である10%ウシ血清アルブミン溶液群には、鼻を掻く、立毛、情動不安、くしゃみ、そして1匹のモルモットが刺激後数分で死亡するなど、様々な強さで過敏性反応がみられた(表26)。
投与量0.95μg/kgではモルモットに過敏症反応を起こさなかったことから、この投与量でのテトロドトキシンの使用は安全といえる。
【0136】
【表26】
モルモットにおけるテトロドトキシンの一般的な過敏症試験結果
Figure 2004508404
注:* (−) 異常反応なし
【0137】
7.3 溶血と血管刺激テスト
15匹のニュージーランド白ウサギ(生後14−18週、2.0−4.0kg、性別関係なし)。
溶血テスト:
生理食塩水に2%赤血球(RBC)浮遊液を調合するため、ウサギの血液7ミリリットルを採取した。2ミリリットルの0.02%の酢酸水溶液が溶媒対照として使用された。試験管7本に、2%RBC浮遊液と生理食塩水を入れ、それに様々な量のTTXを加えた。試験管を振って溶液を均等に混ぜ合わせ、37℃の恒温器に入れて15分で最初の観察と記録を行い、その後1時間ごとに4時間までまで記録を繰り返した。
結果は、テトロドトキシンが試験管内溶血を引き起こさなかったことを示した。
【0138】
血管性刺激テスト:
15匹のウサギを、テトロドトキシン1.0μg/kg、0.02%酢酸水溶液(溶媒対照)、生理食塩水対照の3群に割り当てた。
各群とも1日1回の静脈投与を10日間継続して行った。投与後24時間で、各群3匹づつ屠殺し、注射部位の血管を病理学検査用に切り取った。残りのウサギは、2週間観察してから屠殺し、注射部位の血管を病理学検査のために切り取った。
結果として投与期間中およびその後で、ウサギの精神状態、体重、体温、食物摂取に異常は観察されず、毎日のテトロトドキシン(1.0μg/kg)静脈内投与がウサギに著しい血管刺激を起こさなかったことを示した。
【0139】
実施例 8. マウスにおける筋肉内注射によるテトロドトキシンの催奇形効果
実験材料:テトラトドキシン注射液、30μg/2mL/アンプル、バッチNo.931220、コワンシーアジアヘルスメディカル会社(Guangxi Asia Health Medical Co., Ltd.)提供。
実験動物:上海マウス(雌250匹、雄80匹、生後80−100日、健康、性的に成熟、未産、一度も受精なし)
体重:雌25−35g、雄30−40g
マウスを任意に3つのTTX群(2.5、5.0、10.0μg/kg)、陽性対照群(シクロホスファミド20mg/kg)、媒体対象群(0.02%希酢酸)、空白対象群(水を投与)に分けた。
それぞれの雌に対して陽性対照群以外の各群では妊娠6日目から15日目まで1日1回、陽性対照群では妊娠11日目に筋肉内単回投与を行った。雄のマウスには投与しなかった。
【0140】
投与期間中、妊娠中のマウスの状態は全体的に良好であった。投与後も、妊娠中のマウスに異常は認められなかった。テトロドトキシン投与量2.5、5.0、10.0μg/kgはそれぞれ、LD50の1/8、1/4、1/2に相当するが、妊娠6日目から15日目にこの量で1日1回筋肉投与された上海マウスにおいても、胎児毒性や催奇形作用は認められなかった。溶媒対照群(0.02%希酢酸)と空白対象群(水を投与)においても、マウスの外的、内臓、骨格構造のどれにも、奇形は認められなかった。しかし、シクロホスファミド(CP)を妊娠11日目に単回投与されたマウスの催奇形発生率は100%であった。この研究は、テトロドトキシンが、上海マウスに対し、胎児毒性や催奇形効果を有しないということを証明した。
【0141】
実施例 9
9.1 サルモネラにおける変異原性試験(エームス試験)
実験材料:テトロドトキシン粉末、バッチNo.940701、中国、大連、ダリアン・オ・セン製薬工場(Dalian Ao Sen Pharmaceutical Plant)提供。
4つのサルモネラ菌標準株に対するテトロドトキシンの変異原性を、培養実験の前保温処理を用いて観察した。その結果、0.01−100.0μg(最大溶解度)/plate濃度のテトロドトキシンは4つのサルモネラ菌株(TA97、TA98、TA100、TA102)に対し、S活性化の有無を問わず、変異率の増加を引き起こさなかったことを示している。このことは、テトロドトキシンがサルモネラ菌株に変異原性を持たないことを示唆している。
テトロドトキシンおよび陽性対照物質のサルモネラ菌における変異原性試験結果を表27と28に示した。
【0142】
【表27】
陽性対照物質のサルモネラ菌における変異原性試験結果
Figure 2004508404
【0143】
【表28】
テトロドトキシンのサルモネラ菌における変異原性試験結果
Figure 2004508404
* 0.02%希酢酸
【0144】
表27に示されているように、直接変異原性物質(Dexon)と間接変異原性物質(2−AFおよびDAN)は、試験した株の中で、復帰突然変異コロニーの著しい増加を引き起こしている。これは、陰性対照群の数に比べて、2倍もしくはそれ以上の数である。このことは、選択した実験方法の信頼性を証明している。0.01−100μg/plate濃度のテトロドトキシンでは、S活性化の有無を問わず、4つの実験株の復帰突然変異コロニー数に、著しい増加は認められなかった。これは、テトロドトキシンがサルモネラ菌株に変異原性を持たないということを示唆している。
【0145】
9.2 肺細胞(CHL)における染色体異常テスト
実験材料:テトロドトキシン粉末、バッチNo.940701、中国、大連、ダリアン・オ・セン製薬工場(Dalian Ao Sen Pharmaceutical Plant)
チャイニーズハムスターの肺細胞(CHL)を、濃度5.0、10.0および20.0μg/mLのテトロドトキシンに、S活性化を行わず24時間または48時間さらし、S活性化を行って6時間さらした。結果は、テトロドトキシンが、溶媒対照に比べて、染色体異常を有意に増加させなかったことを示唆している。
代謝活性化を行わないCHL細胞染色体に対するテトロドトキシンの異常作用の実験結果を表29に示した。
【0146】
【表29】
代謝活性化を行わないCHL細胞染色体におけるテトロドトキシンの異常作用
Figure 2004508404
** 溶媒対照群との比較 P<0.01.
【0147】
表29に示されているように、投与後24時間または48時間で、空白対照における染色体異常率は、共に0%、溶媒対照群においては3%と2%であった。5.0−20.0μg/mL濃度のテトロトドキシンでは、0−2%だった。ここでは染色体の構造異常がみられた。MMC陽性対照群の染色体異常率は、24時間では72%、48時間では99%であった(P<0.01)。
代謝活性化を行ったCHL細胞染色体に対するテトロドトキシンの異常作用の観察結果は、表30に示した。
【0148】
【表30】
代謝活性化を行ったCHL細胞染色体におけるテトロドトキシンの異常作用
Figure 2004508404
** Sコントロール群との比較 P<0.01.
【0149】
表30が示すように、投与後24時間および48時間で、空白対照群における染色体異常率は共に2%、溶媒対照群においてはそれぞれ1%と2%、S存在下の溶媒対照群ではそれぞれ1%と3%、又S対照群ではそれぞれ1%と3%であった。5.0−20.0μg/mL濃度のテトロトドキシンでは、染色体異常率が0〜3%間に落ち、染色体の構造異常が認められた。CP陽性対照群の染色体異常率は、24時間では50%、48時間では42%であったが(P<0.01)、代謝活性化がない状態では0%と3%であった。
上記の結果は、代謝活性化を行わない状態での空白対照群、溶媒対照群、5.0−20.0μg/mL濃度のテトロトドキシン群の染色体異常率が通常の範囲にとどまったことを示しているが、MMC陽性対照グループでは、異常率が著しく増加していた。代謝活性化を行った状態での空白対照群、溶媒対照群、溶媒+S対照群、S対照群、濃度5.0−20.0μg/mLのテトロトドキシン群の染色体異常率も通常の範囲にとどまったが、CP陽性対照群では、著しい増加が明らかであった。同様に、代謝活性化を行わない状態でのCP陽性対照群では、通常の異常率にとどまった。これらの結果は、この試験方法の信頼性を証明している。従って、濃度5.0−20.0μg/mLのテトロドトキシンは、CHL細胞に染色体異常を引き起こさなかった。
【0150】
9.3 マウスの骨髄細胞におけるテトロドトキシンの小核試験
実験材料:テトロドトキシン投与、30μg/2mL/アンプル、バッチNo.931220、コワンシーアジアヘルスメディカル会社。
この実験では、3群をテトロドトキシン(10、5、2.5μg/kg)の筋肉内投与(誘発)に、酢酸(0.02%)の溶媒対照として1群、シクロホスファミド(CP、60mg/kg)の陽性対照として1群、割り当てた。また、別に1群をテトロドトキシン投与量10μg/kgで、投与後12時間、24時間、36時間、48時間、72時間後にサンプルを採るように割り当て、それ以外のすべてのグループに対しては、最初の投与から24時間後にサンプルを採り、それらの小核率を検証した。結果は、投与/誘発後、10μg/kgのテトロドトキシン群では小核率が4.3%と、溶媒対照群のそれ(P<0.05)と著しく異なり、いっぽう陽性対照群の小核率は46.5%と、溶媒対照のそれ(P<0.01)に比べ、著しく高く、異なるものとなった。TTX投与量5μg/kgおよび2.5μg/kgでは、特に変化をもたらさなかった。
テトロドトキシン10μg/kgを投与した、12時間、36時間、48時間、72時間後のマウスの小核率は表31に示した。すべての結果は、通常の小核率以内にとどまった。以上の結果に基づき、サンプル用にマウスを屠殺するまでの時間は、最初の投与から24時間後と定めた。
【0151】
【表31】
Figure 2004508404
【0152】
テトロドトキシン10、5、2.5μg/kgを投与したマウスの試験結果は、表32に示した。テトロドトキシン10μg/kgの小核率は4.300で、溶媒対照群のそれに比べ、統計的に異なっていた(P<0.05)。他群の小核率は、通常の範囲にとどまったが、陽性対照の小核率は、溶媒対照のそれに比べて、非常に有意に異なっていた(P<0.01)。
【0153】
【表32】
Figure 2004508404
* 溶媒対照との比較 P<0.05
** 溶媒対照との比較 P<0.01
【0154】
この実験での投与レベルや投与方法、投与計画などの条件下では、テトロドトキシン10μg/kgの筋肉投与により引き起こされた小核率はわずかに増加し、溶媒対照のそれ(P<0.05)とは、統計的に異なるということが結果として示された。テトロドトキシン2.5および5.0μg/kg筋肉内投与によって引き起こされた小核率は、通常の範囲にとどまったが、陽性対照による小核率は、溶媒対照(P<0.01)に比べて、非常に有意に異なっていた。これらの結果は、この試験方法の信頼性を証明した。
この試験の結果は、高い投与量10μg/kgのテトロドトキシンはLD50の1/2に等しく、マウスの小核率にかなり影響したことを示している。しかし、ここでの投与量は臨床使用よりもかなり高いので、臨床的意義はあまり持たない。テトロドトキシンのこのような効果をさらに検証するため、我々は、いくつかの補足研究を行なった(添付資料を参照のこと)。
【0155】
添付:
マウスの小核率に対するテトロドトキシンによる影響をさらに検証するため、我々は、補足的な試験を行い、表33と34に示されるような結果を得た。
【0156】
【表33】
小核率におけるテトロドトキシン投与頻度の影響*
Figure 2004508404
*マウスの数:各群3匹から5匹
**2回の注射
***P<0.05 溶媒対照群との比較
【0157】
【表34】
小核率におけるテトロドトキシン投与方法の影響*
Figure 2004508404
【0158】
表33に示されるように、高い用量(10μg/kg)を単回投与したグループの小核率は、5.8±2.400で、普通よりわずかに高く、テトロドトキシン投与量2.5および5μg/kgの小核率は通常の範囲内にとどまったが、誘発的投与(2回投与)した場合は、単回投与の結果に比べて、すべて高い結果となった。
筋肉内投与と腹腔内投与を比較すると、小核率はこれらによって、有意に変化することはないことが表34に示されている。
最終的に、AMSマウスの骨髄細胞の小核率におけるテトロドトキシンの効果をこのテストで観察した。1/2〜1/8LD50の範囲の投与量では、テトロトドキシンは小核率を有意に増加させなかった。1/2LD50のテトロドトキシンは、通常よりわずかに高かった。どちらの投与方法も、統計的に小核率の差はなかった。
【0159】
ここまでなされてきた説明と特定の実施例は、この発明と原理に対する説明として最善を尽くしたものであると理解されたい。熟達した研究者であれば、この発明の精神とその範疇から逸れることなく、この発明に対しさらに補足・修正を加えることができる故に、添付の特許請求の範囲に制限されると理解される。
科学定期刊行物および特許文献の記事等は、ここに、総て参考文献として包括的に組み込まれている。

Claims (22)

  1. 適する薬学的なビヒクル中の、痛みを緩和するのに有効なナトリウムチャンネル遮断化合物を含む所定量の組成物を、全身投与することを含む、痛みのある哺乳類において鎮痛を生じさせる方法。
  2. 該ナトリウムチャンネル遮断化合物が、テトロドトキシン、アンヒドロテトロドトキシン、テトロダアミノトキシン、メトキシテトロドトキシン、エトキシテトロドトキシン、デオキシテトロドトキシン及びテトロドニック酸からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 該全身投与は、筋肉内注射、皮下注射、静脈注射、経口投与、舌下投与、皮膚膏薬、移植可能浸透圧ポンプ、コラーゲン移植、エアゾール(煙霧質)吸入剤または座薬により行われる、請求項1記載の方法。
  4. 痛みが、機械的、化学的、あるいは虚血性刺激や炎症により生ずる、請求項1記載の方法。
  5. 痛みが神経障害性疼痛である、請求項1記載の方法。
  6. 痛みが癌から生じる疼痛である、請求項1記載の方法。
  7. ナトリウムチャンネル遮断化合物が、体重1kgごとに0.1から5μg投与される、請求項1記載の方法。
  8. 組成物が治療期間中1日に1回もしくはそれ以上の用量で投与される、請求項1記載の方法。
  9. ナトリウムチャンネル遮断化合物が、哺乳類に薬物依存や薬物中毒を引き起こさない、請求項1記載の方法。
  10. 哺乳類が、出産可能年齢の雌である、請求項1記載の方法。
  11. ナトリウムチャンネル遮断化合物が、非可逆的副作用を有さない、請求項1記載の方法。
  12. 全身投与が行われる範囲において、ナトリウムチャンネル遮断化合物が局部筋肉内の炎症を引き起こさない、請求項1記載の方法。
  13. ナトリウムチャンネル遮断化合物が、哺乳類において一般的な過敏性反応を引き起こさない、請求項1記載の方法。
  14. ナトリウムチャンネル遮断化合物が、哺乳類において溶血や血管刺激を引き起こさない、請求項1記載の方法。
  15. 注射用薬剤が、治療期間中、3〜12時間ごとに投与される、請求項3記載の方法。
  16. 治療期間が、1〜10日間、望ましくは3日間である、請求項15記載の方法。
  17. 治療が繰り返される、請求項15記載の方法。
  18. 投与が注射により行われ、かつ組成物がテトロドトキシンの酢酸溶液を含む、請求項3記載の方法。
  19. ナトリウムチャンネル遮断化合物が、安定したアザケタル結合に2つのグアニジン基が縮合された構成を持つテトラヒドロプリン基を有し、分子式C1017(分子量299.30)の化合物またはその誘導体である、請求項1記載の方法。
  20. ナトリウムチャンネル遮断化合物が、ヒドロキシサキシトキシン又はネオサキシトキシンである、請求項19記載の方法。
  21. 痛みが、肝臓癌、直腸癌、平滑筋肉種、骨癌、胃癌、リンパ癌、食道癌、生殖器の癌、前立腺癌、消化器系癌、胃癌、結腸癌、乳癌、呼吸器系癌、肺癌、気管支癌、泌尿器系癌、リンパ腫及び皮膚癌からなる群より選択される癌から生じるものである、請求項6記載の方法。
  22. ナトリウムチャンネル遮断化合物と薬剤的に許容される担体を含む薬剤組成物、および、疼痛治療の被験対象への上記薬剤組成物の全身投与を説明する文書を含む、組成物
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