JP2004508345A - フッ化および塩化ベンズアルデヒドの製造方法およびそれによって得られるフッ化および塩化ベンズアルデヒドを含有する組成物 - Google Patents
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Abstract
フッ素を含有する芳香族アルデヒドの調製方法、特に、比較的低い圧力と低い温度において、多くて触媒量の酸(水性塩化水素酸など)の存在下でのフッ化ベンゼンと一酸化炭素および塩化アルミニウムとの反応による、フッ素化芳香族誘導体のホルミル化方法を開示している。得られるフッ化ベンズアルデヒドは、染料、香料、香水、除草性化合物、核形成剤、ポリマー添加物などのような多数の異なる化合物を形成するための前駆体として有用である。本発明の方法は、非常にコスト効率が良く、しかも安全な、非常の高収率でフッ化ベンズアルデヒドなどを製造する方法を提供する。
Description
【0001】
技術分野
本発明は、フッ素を含有する芳香族アルデヒドの調製方法、特に、比較的低い圧力と低い温度において、多くて触媒量の酸(水性塩化水素酸など)の存在下でのフッ化ベンゼンと一酸化炭素および塩化アルミニウムとの反応によるフッ素化芳香族誘導体のホルミル化方法に関する。得られるフッ化ベンズアルデヒドは、染料、香料、香水、除草性化合物、核形成剤、ポリマー添加物などのような多数の異なる化合物を形成するための前駆体として有用である。本発明の方法は、前記フッ化ベンズアルデヒドを非常の高収率で製造するための、非常にコスト効率が良くかつ安全な手順を提供する。特に、新規の多重置換ベンズアルデヒドも本発明に包含される。
【0002】
発明の背景
芳香族アルデヒドは、CHO基を芳香族誘導体に結合することを含む直接法と、既に芳香族誘導体上に存在する基を酸化することを含む間接法の、2つの主要な合成方法によって調製される。活性化性(電子供与性)置換基を含む芳香族化合物を求電子的にホルミル化するための周知の方法は幾つかあるが、これらは、フッ素のような電子吸引性置換基を含む芳香族化合物の場合は、完全に役に立たないか、または実行できない。このようなジレンマを克服するために、新規な合成方法が引き続き開発されている。
【0003】
直接ホルミル化法は、カイセラ(Kysela)らの米国特許第4,588,844号明細書に開示されている。前記米国特許第4,588,844号明細書には、フッ化水素酸媒体中での、芳香族化合物とウロトロピン(ヘキサメチレンテトラミン、HMT)との間の反応が記載されている。しかし、フルオロベンゼンのような化合物について得られる収率は、むしろ低く(約30%)、しかも産業上の利用には適さない。
【0004】
もう一つの直接ホルミル化法は、クロケモア(Crochemore)らの米国特許第5,068,450号明細書に開示されている。前記米国特許第5,068,450号明細書には、液体のフッ化水素酸中、三フッ化ホウ素の存在下でのメチレンホルメートと芳香族誘導体との反応を含む方法が記載されている。この方法では、フルオロベンゼンを混入することによって得られるフルオロベンズアルデヒドの収率は高く(約85%)、報告によれば、単一の異性体4−フルオロベンズアルデヒドを与える。
【0005】
ラング(Lang)の米国特許第5,138,099号明細書には、フッ化芳香族誘導体(フルオロベンゼン、2−フルオロトルエン)をジクロロメチルメチルエーテルと塩化メチレン中、塩化第二鉄の存在下で反応させる直接ホルミル化手順が更に開示されている。異性体不純物が、その後、臭素でのハロゲン化によって選択的に除去される。高い異性体純度がクレームされているが、ジクロロメチルメチルエーテルなどの毒性の中間体や、臭素などの高価なハロゲン化剤の使用が、この方法を産業上の利用には不適当にする。
【0006】
ハロゲン−交換(HALEX)化学を使用する、フッ化ベンズアルデヒドを調製するための他の方法が公知である(ジャーナル・オブ・フルオライン・ケミストリー(Journal of Fluorine Chemistry)46、529〜537頁(1990年))。この方法は、極性溶媒中での塩化ベンズアルデヒドと金属ハライド、通常はフッ化カリウムとの反応を伴って、フッ化ベンズアルデヒドを与える。「活性化された」部位(ホルミル基に対してオルト位およびパラ位)のハロゲンのみがハロゲン交換を行うので、この方法の範囲は多少限られている。
【0007】
芳香族ホルミル化は、一般に、1800年代後半のその開発時点から、芳香族誘導体と一酸化炭素、塩化水素酸および適当な触媒(通常、塩化アルミニウム)との反応を包含するGattermann−Koch反応手順によって行われている。この標準的な反応は、等量の塩化アルミニウム、一酸化炭素およびガス状塩化水素の組み合わせを置換ベンゼンの存在下で反応させることが必要であった。温度は25〜50℃までで制御され、圧力は1,000psigで保持された。前記反応は所望の置換ベンズアルデヒドを約70%の収率で生成した。しかし、ガス状HClの利用と高い反応圧力の必要は、安全な見地から望ましくない。Gattermann−Koch反応の変更は、ブランク(Blank)らの米国特許第4,622,429号明細書に記載の特定のモノ−アルキル置換ベンズアルデヒドと、レナー(Renner)の米国特許第4,195,040号明細書に記載のジ−およびトリ−アルキル置換ベンズアルデヒドについて開発された。
【0008】
Gattermann−Koch反応は極めて上手く作用してベンズアルデヒド、モノアルキル−およびポリアルキル−ベンズアルデヒドを調製するが、フッ化ベンズアルデヒドを調製する際のその使用は、実質上調査されていなかった。唯一の例が公知あであり、それによればフッ化ベンズアルデヒドがGattermannに類似の条件から生成さる(ジャーナル・オブ・プラクティカル・ケミストリー(Journal of Practical Chemistry)135、101〜127頁(1932年);C.A.27、713)。この例では、3−フルオロ−4−エトキシベンズアルデヒドが、1−フルオロ−2−エトキシベンゼンと亜鉛シアニド、塩化水素および塩化アルミニウムとの反応から40%の収率で得られる。
【0009】
前記方法にもかかわらず、当該分野では、高い異性体純度で、および高い毒性で腐食性の高価な試薬を使用しない産業上実施可能な方法で、フッ化ベンズアルデヒドを合成する方法が未だに必要とされている。
【0010】
発明の目的
すなわち、本発明の目的は、フッ化および塩化ベンズアルデヒドを高収率で製造する方法を提供することである。本発明の更なる目的は、従来は高収率で製造できなかった前記ベンズアルデヒドを、潜在的な問題を招くことなく、安全な展望から、特に大規模な手順で製造する、非常にコスト効率の良い方法を提供することである。加えて、本発明の目的は、必要なホルミル化手順を履行するためにHCl(水性、乾燥またはガス状)を、用いたとしても非常に少量のみ必要とする、特定のフッ化および塩化ベンズアルデヒドの製造方法を提供することでもある。更に、本発明の目的は、前記ベンズアルデヒド生成物を含有する組成物を提供することである。
【0011】
発明の詳細な開示
従って、本発明は、式(I):
【化3】
(前記式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、R1、R2、R3、R4およびR5のうち1のみがフッ素または塩素であれば、水素、炭素数1〜4の低級アルキル基、シクロアルキルまたはシクロアルキレン環系、フッ素および塩素から選択される。)
のベンズアルデヒドの製造方法であって、該方法が、式(II):
【化4】
(前記式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、R1、R2、R3、R4およびR5のうち1のみがフッ素または塩素であれば、水素、炭素数1〜4の低級アルキル基、シクロアルキルまたはシクロアルキレン環系、フッ素および塩素から選択される。)
の置換ベンゼンを、約200〜800psigの圧力を有する一酸化炭素雰囲気に、金属ハライド、およびHCl、HBr、HF、HIおよびこれらの混合物から成る群より選択される酸の両者の存在下で接触させることを含み、前記酸が、金属ハライド1モルに対して約0.005〜約0.01モルまでの触媒量で存在し、および前記反応温度が約30〜100℃である、前記式(I)のベンズアルデヒドの製造方法を包含する。
【0012】
本発明は、前記式(I)の化合物と、少なくとも1種の溶媒または希釈剤とを含有する組成物も包含する。前記溶媒は、水、アルコール、エステル、エーテルなどを包含し、前記希釈剤としては、限定されないが、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤を包含する界面活性剤等が挙げられる。本発明の範疇の組成物類は、限定されないが、例えば、香水(perfumes、scents)、エアーフレッシュナーのように、香りの良い化合物を使用するものを包含する。前記化合物は、本発明の方法で製造される前記化合物によって発生される心地よいアロマのために、前記組成物中に含まれるアロマ生成成分またはアロマ供給成分としての利用を導く。
【0013】
どのようなモノ−ハロゲン化ベンゼンも本発明の方法で導かれ得る。特定の化合物としては、フルオロベンゼン、2−フルオロトルエン、2−クロロトルエン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロ−m−キシレン、3−クロロ−o−キシレン、1−フルオロ−2,3,6−トリメチルベンゼンおよび1−クロロ−2,3,6−トリメチルベンゼンが挙げられる。
【0014】
金属ハライドは、好ましくは塩化アルミニウムであるが、臭化アルミニウム、塩化第二鉄(III)、塩化第二銅(II)、塩化亜鉛、塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウムなどの他のハライドを利用してもよい。部分水素化金属ハライドは、反応容器内で解離すると、前記生成酸(例えば、塩化水素酸)として利用され得る。それによって、必要な水性酸成分(例えば、AlCl3・XH2Oであって、Xは大抵、1、好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.01〜0.1の間である。)が提供される。前記解離は、実際には、潜在的に有害な水性の塩化水素酸を反応中に導くことなく、必須の少ない、触媒量の水性塩化水素酸を生成する(が、外部付加も、可能でかつ好ましい代替手段である)。Gattermann−Koch反応の過去の変形では、金属ハライドが塩化水素および一酸化炭素と(全て等量で)反応して、芳香族系を親電子的に攻撃する可能性を有するホルミルカチオン錯体を生成することが理論付けられた。水で洗浄した後、金属ハライドが除去されると、ホルミル化ベンゼン誘導体が残された。本発明では、塩化水素酸が、用いたとしても極めて少量で添加される(金属ハライド1モルに対して約0.005〜約0.01モル)。金属ハライドは、置換ベンゼンに対して、好ましくは約1:0.75〜約1:6、特に約1:0.9〜約1:3、最も好ましくは約1:1の化学量論的なモル比で存在する。特定の科学理論に縛られるものではないが、金属ハライドと結合される(例えば、HCl、HBr、HI、HFおよびこれらの混合物から成る群より選択される)少ない、触媒量の酸は、ある一定の「推進量(driving amount)」のホルミルカチオン錯体を生成すると考えられる。そのため、この「推進量」は、過去の方法では、標準的でかつ大量の(特にガス状)HClの使用時に生じることが分かっている可能な副生成物(例えば、二量化または重合など)の形成速度を落とすと考えられ。従って、この触媒のHClが必要な反応を提供して、非常に高純度の目標物フッ化および/または塩化ベンズアルデヒドを高収率で形成することが決定された。
【0015】
更に、非常に少ない、化学量論量の塩化水素酸の利用は、驚くことに、所望の置換ベンズアルデヒドの最終形成に非常に重要でもある。上述のように、より多くの化学量論量のガス状塩化水素は、実際の反応物としての金属ハライドおよび一酸化炭素と親電子攻撃性ホルミルカチオン錯体を形成するのに必要であると仮定されていた。ガス状HClは、所望のベンズアルデヒドを生成するのには不要である(が、ガス状の形態が本発明の方法ではまだ生じ得る)ことが分かった。所望の実質上純粋なフッ化または塩化ベンズアルデヒドを高収率で生成するために、(前記で定義した)非常に少ない、触媒量の(好ましくは)水性の塩化水素酸のみが、有利なホルミルカチオン錯体反応物を成形、するのに思いがけなく必要である(が、ガス状および乾燥形態のHClも作用する)ことも分かった。安全でかつ好都合な展望から、水性塩化水素酸が本発明の方法では好ましい形態である。ガス状HClは、そのガス状態の制御がたまに困難であるため、潜在する、健康に有害な物質を引き起こす。更に、乾燥した塩化水素酸は、液体よりも取り扱い難い。とはいえ、一方では、塩化水素酸はどのような形態でも、好ましくは水溶液でのみ添加され得る。
【0016】
上述のように、この酸成分(水性HClなど)は、反応全体に入れても、または金属ハライドの解離時にのみ、その水素化形態で発生させてもよいことに気付くことが重要である。塩化水素酸は、金属ハライドに対して触媒量(モル)を満たし、しかも前記の潜在的に腐食性の物質を取り扱うのに注意が払われるのであれば、どのようなモル濃度で使用されてよく、好ましくはそのモル濃度が、約0.01〜約12、より好ましくは約10〜12、最も好ましくは約10(濃縮物)である。塩化水素酸(水性、ガス状または乾燥)が存在しなければ、フッ化または塩化ベンズアルデヒドの収率が低下する。塩化水素酸が多過ぎると、前記反応が、ベンズアルデヒドの異なる異性体、二量体および/またはポリマーを生成(し、その結果、収率を低下させて、最終反応生成物の純度を有害に低下)するか、あるいは、スラッジ状の固体を生じる反応となる。金属ハライド(特に塩化アルミニウム)と共に水性HClを利用するもう一つの利点は、ホルミル化反応の完了時に、残留する塩化アルミニウムが比較的中性のpHレベルを示すことである。前記生成物は、本発明の方法では再度使用できないが、このような中和された塩化アルミニウムは、他の用途に再販できる(凝集剤、発汗抑制剤成分など)。すなわち、前記化合物のこのようなリサイクルや再使用は、製造所からの、除去されて捨てられる廃棄物の量を低減する、環境に優しい手順を提供する。
【0017】
一酸化炭素は、モノ−フッ化ベンゼン化合物の場合は約100〜800psig、好ましくは約200〜約600psig、最も好ましくは約200psigの圧力で、および塩化ベンゼン化合物の場合は、550psigの圧力で導入される。この方法論を利用する先行文献米国特許第6,080,892号明細書および同第6,087,537号明細書(共にスクライベンス(Scrivens)ら)は、50〜110psigの一酸化炭素圧を利用して、o−キシレンおよびテトラリンなどのジアルキル−置換ベンズアルデヒドのホルミル化を達成していた。フッ素や塩素などの電子求引性基の結合によって、ベンゼン環は、ホルミルカチオン錯体による攻撃に対して不活性化される。そのため、ハロゲン化芳香族の形成を行うのには110psigを超えるCO圧が必要となる。
【0018】
以降の実施例2、3および5で説明するように、アニソール誘導体の添加は、2−クロロトルエンやフルオロベンゼンなどの不活性化された芳香族のホルミル化を劇的に高める。2−フルオロトルエンのようにあまり不活性化されていない系でも、収率が約20%高まる。特定の科学理論に縛られるものではないが、アニソールアルミニウムクロライド錯体は、ホルミルカチオン錯体の形成を安定化させるように、または新規な、より親電子性のホルミルカチオン錯体を生成するように作用すると考えられる。この目的に適したアニソール誘導体は、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、2−フルオロ−アニソールなどを包含する。
【0019】
塩化ベンズアルデヒドの収率は、HCl(好ましくは水性塩化水素酸)を触媒量で使用すると、反応温度が約30℃のときにピークとなり、そしてフッ化ベンズアルデヒドの場合は、反応温度が約60℃のときにピークとなることが分かった。高い温度と、必要とされる少ない、化学量論量の塩化水素酸との組み合わせが前記ハロゲン化ベンズアルデヒドを生成するとは、従来、考えられなかった。
【0020】
本発明の方法の別の利点は、原材料そのものを除く、全ての溶媒を省略する可能性にある。すなわち、(例えば)2−フルオロトルエンの反応時には、含まれている溶媒は、2−フルオロトルエン異性体そのもののみである。潜在的に有害なハロゲン化溶媒や、他の有機液体は、前記反応を行うのに必要ない。結果として、最終生成物は、一般に、全て同一の化合物を含有する実質上純粋な液体である。時間を消費しかつコストのかかる蒸留工程を行って、この好ましい本発明の方法で製造される合成化合物を精製する必要はない。本発明において、「適切な手順(neat procedure)」という用語は、この面を意図しかつ定義する。そのため、適切な手順で利用される唯一の溶媒は、本発明の方法自体に包含される原材料である。しかし、親電子的なホルミル化に対して、出発基質よりも不活性化されるのであれば、本発明の方法で使用されてよい。好ましい(が、本発明の方法で有用な限定的な溶媒ではない)溶媒は、ハロゲン化された芳香族溶媒であって、例えば、クロロトルエン、ジクロロベンゼン等、そして上述のようなアニソールおよびその誘導体が挙げられる。前記溶媒は、合計消費の0.1%程度の少量で、または約99%程度の高い量で含まれていてよい(全て重量基準)。好ましくは、溶媒は、反応物の合計重量の約5〜約50重量%の量、好ましくは約10〜40%、最も好ましくは約15〜約25%で添加される。前記溶媒は、反応中に攪拌を促進し、そして本発明の手順において理論化されたカチオン性ホルミル触媒の反応性を変えるという利点を提供する。当然、前記溶媒を用いることにより、後続の蒸留または共沸を行って、残留溶媒を目標物であるベンズアルデヒドから分離しなければならない。そのため、本発明では、所望のフッ化または塩化ベンズアルデヒドを製造するのに必要なコストと時間を軽減するために、溶媒は1種のみを使用することが非常に好ましい。
【0021】
本発明の好ましい態様
特に好ましい本発明の方法の例を以降に説明する。
実施例1
塩化アルミニウム102.13g(分子量133.34、765.9ミリモル)と2−フルオロトルエン約497.04g(分子量110.13、4,513ミリモル)を2リットルのパール(Parr( 登録商標 ))ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、60℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に200psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約20時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中60℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次に、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロトルエンを除去して、4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物約71.35gを得た(分子量138.14、516.5ミリモル、収率約67.4%)。4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物は、非常に心地よい芳香を発生した。液体の香料入り組成物として利用するために、前記生成物を水で希釈した(生成物と水の比率1:10)。
【0022】
実施例2
塩化アルミニウム216.00g(分子量133.34、1,619.9ミリモル)、4−メチルアニソール109.09g(分子量122.17.892.9ミリモル)および2−クロロトルエン約522.35g(分子量126.59、4,126.3ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、30℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約550psiで最後のCO導入を行った。約66時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中30℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次に、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−クロロトルエンを除去して、4−クロロ−3−メチルベンズアルデヒド(76.5%)と3−クロロ−4−メチルベンズアルデヒド(23.5%)から成るベンズアルデヒド混合物約76.01gを得た(分子量154.59、491.7ミリモル、収率約67.6%)。
【0023】
実施例3
塩化アルミニウム229.30g(分子量133.34、1,719.7ミリモル)、4−メチルアニソール110.0g(分子量122.17.900.4ミリモル)および2−フルオロトルエン約500g(分子量110.13、4,540.1ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、30℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約550psiで最後のCO導入を行った。約66時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中30℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(緑がかった褐色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロトルエンを除去して、4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物約98.01gを得た(分子量138.14、709.5ミリモル、収率約86.7%)。その後、4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物は、その対応する重亜硫酸塩付加物へ転化し、濾過して、前記重亜硫酸塩付加物を酸性または塩基性条件下で分解することにより、残留4−メチルアニソールから容易に分離できる。
【0024】
実施例4
塩化アルミニウム102.17g(分子量133.34、766.2ミリモル)、フルオロベンゼン約504.36g(分子量96.10、5,248.3ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、60℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に200psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約18時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中60℃に保持Iた)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、フルオロベンゼンを除去して、4−フルオロベンズアルデヒド生成物約22.97gを得た(分子量124.11、185.1ミリモル、収率約24.1%)。
【0025】
実施例5
塩化アルミニウム220.67g(分子量133.34、1,654.9ミリモル)、4−メチルアニソール109.00g(分子量122.17、892.2ミリモル)およびフルオロベンゼン約500g(分子量96.10、5,202.9ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、30℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約550psiで最後のCO導入を行った。約89時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中30℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(オレンジ色−褐色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、フルオロベンゼンを除去して、4−フルオロベンズアルデヒド生成物約60.90gを得た(分子量124.11、490.7ミリモル、収率約64.3%)。その後、4−フルオロベンズアルデヒド生成物は、その対応する重亜硫酸塩付加物へ転化し、濾過して、前記重亜硫酸塩付加物を酸性または塩基性条件下で分解することにより、残留4−メチルアニソールから容易に分離できる。
【0026】
実施例6
塩化アルミニウム100.89g(分子量133.34、756.6ミリモル)および3−フルオロトルエン約503.54g(分子量110.13、4,572ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、60℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に200psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約17時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中60℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、3−フルオロトルエンを除去して、4−フルオロ−2−メチルベンズアルデヒド(88.4%)と2−フルオロ−4−メチルベンズアルデヒド(11.6%)から成るベンズアルデヒド混合物約79.65gを得た(分子量138.14、576.6ミリモル、収率約76.2%)。
【0027】
実施例7
塩化アルミニウム62.4g(分子量133.34、468.0ミリモル)、1,2−ジクロロベンゼン450.0g(分子量147.00、3,061ミリモル)および2−フルオロ−m−キシレン約48.00g(分子量124.16、386.6ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、50℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約16時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中50℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロ−m−キシレン、1,2−ジクロロベンゼンを除去して、4−フルオロ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド(73.8%)と3−フルオロ−2,4−ジメチルベンズアルデヒド(26.2%)とから成るベンズアルデヒド混合物約40.39gを得た(分子量152.17、265.4ミリモル、収率約68.6%)。
【0028】
実施例8
塩化アルミニウム67.60g(分子量133.34、507.0ミリモル)、1,2−ジクロロベンゼン450.0g(分子量147.00、3,061ミリモル)および3−フルオロ−o−キシレン約503.54g(分子量124.16、789.3ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、50℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約28時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中50℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロ−o−キシレン、1,2−ジクロロベンゼンを除去して、4−フルオロ−2,3−ジメチルベンズアルデヒド(89.1%)と2−フルオロ−3,4−ジメチルベンズアルデヒド(10.9%)とから成るベンズアルデヒド混合物約94.98gを得た(分子量152.17、624.2ミリモル、収率約79.1%)。
【0029】
本発明の具体的な特徴を記載したが、本発明は、本発明の属する当該分野における熟練者によって、変更が可能でかつ本発明の原理の別の態様が疑いなく行われることから、特別な構成または実施に限定されないものと当然理解されよう。従って、添付のクレームは、本発明の特徴を添付のクレームの真の意味、精神および範囲に組み込むなどの変更を包含するものと考えられる。
技術分野
本発明は、フッ素を含有する芳香族アルデヒドの調製方法、特に、比較的低い圧力と低い温度において、多くて触媒量の酸(水性塩化水素酸など)の存在下でのフッ化ベンゼンと一酸化炭素および塩化アルミニウムとの反応によるフッ素化芳香族誘導体のホルミル化方法に関する。得られるフッ化ベンズアルデヒドは、染料、香料、香水、除草性化合物、核形成剤、ポリマー添加物などのような多数の異なる化合物を形成するための前駆体として有用である。本発明の方法は、前記フッ化ベンズアルデヒドを非常の高収率で製造するための、非常にコスト効率が良くかつ安全な手順を提供する。特に、新規の多重置換ベンズアルデヒドも本発明に包含される。
【0002】
発明の背景
芳香族アルデヒドは、CHO基を芳香族誘導体に結合することを含む直接法と、既に芳香族誘導体上に存在する基を酸化することを含む間接法の、2つの主要な合成方法によって調製される。活性化性(電子供与性)置換基を含む芳香族化合物を求電子的にホルミル化するための周知の方法は幾つかあるが、これらは、フッ素のような電子吸引性置換基を含む芳香族化合物の場合は、完全に役に立たないか、または実行できない。このようなジレンマを克服するために、新規な合成方法が引き続き開発されている。
【0003】
直接ホルミル化法は、カイセラ(Kysela)らの米国特許第4,588,844号明細書に開示されている。前記米国特許第4,588,844号明細書には、フッ化水素酸媒体中での、芳香族化合物とウロトロピン(ヘキサメチレンテトラミン、HMT)との間の反応が記載されている。しかし、フルオロベンゼンのような化合物について得られる収率は、むしろ低く(約30%)、しかも産業上の利用には適さない。
【0004】
もう一つの直接ホルミル化法は、クロケモア(Crochemore)らの米国特許第5,068,450号明細書に開示されている。前記米国特許第5,068,450号明細書には、液体のフッ化水素酸中、三フッ化ホウ素の存在下でのメチレンホルメートと芳香族誘導体との反応を含む方法が記載されている。この方法では、フルオロベンゼンを混入することによって得られるフルオロベンズアルデヒドの収率は高く(約85%)、報告によれば、単一の異性体4−フルオロベンズアルデヒドを与える。
【0005】
ラング(Lang)の米国特許第5,138,099号明細書には、フッ化芳香族誘導体(フルオロベンゼン、2−フルオロトルエン)をジクロロメチルメチルエーテルと塩化メチレン中、塩化第二鉄の存在下で反応させる直接ホルミル化手順が更に開示されている。異性体不純物が、その後、臭素でのハロゲン化によって選択的に除去される。高い異性体純度がクレームされているが、ジクロロメチルメチルエーテルなどの毒性の中間体や、臭素などの高価なハロゲン化剤の使用が、この方法を産業上の利用には不適当にする。
【0006】
ハロゲン−交換(HALEX)化学を使用する、フッ化ベンズアルデヒドを調製するための他の方法が公知である(ジャーナル・オブ・フルオライン・ケミストリー(Journal of Fluorine Chemistry)46、529〜537頁(1990年))。この方法は、極性溶媒中での塩化ベンズアルデヒドと金属ハライド、通常はフッ化カリウムとの反応を伴って、フッ化ベンズアルデヒドを与える。「活性化された」部位(ホルミル基に対してオルト位およびパラ位)のハロゲンのみがハロゲン交換を行うので、この方法の範囲は多少限られている。
【0007】
芳香族ホルミル化は、一般に、1800年代後半のその開発時点から、芳香族誘導体と一酸化炭素、塩化水素酸および適当な触媒(通常、塩化アルミニウム)との反応を包含するGattermann−Koch反応手順によって行われている。この標準的な反応は、等量の塩化アルミニウム、一酸化炭素およびガス状塩化水素の組み合わせを置換ベンゼンの存在下で反応させることが必要であった。温度は25〜50℃までで制御され、圧力は1,000psigで保持された。前記反応は所望の置換ベンズアルデヒドを約70%の収率で生成した。しかし、ガス状HClの利用と高い反応圧力の必要は、安全な見地から望ましくない。Gattermann−Koch反応の変更は、ブランク(Blank)らの米国特許第4,622,429号明細書に記載の特定のモノ−アルキル置換ベンズアルデヒドと、レナー(Renner)の米国特許第4,195,040号明細書に記載のジ−およびトリ−アルキル置換ベンズアルデヒドについて開発された。
【0008】
Gattermann−Koch反応は極めて上手く作用してベンズアルデヒド、モノアルキル−およびポリアルキル−ベンズアルデヒドを調製するが、フッ化ベンズアルデヒドを調製する際のその使用は、実質上調査されていなかった。唯一の例が公知あであり、それによればフッ化ベンズアルデヒドがGattermannに類似の条件から生成さる(ジャーナル・オブ・プラクティカル・ケミストリー(Journal of Practical Chemistry)135、101〜127頁(1932年);C.A.27、713)。この例では、3−フルオロ−4−エトキシベンズアルデヒドが、1−フルオロ−2−エトキシベンゼンと亜鉛シアニド、塩化水素および塩化アルミニウムとの反応から40%の収率で得られる。
【0009】
前記方法にもかかわらず、当該分野では、高い異性体純度で、および高い毒性で腐食性の高価な試薬を使用しない産業上実施可能な方法で、フッ化ベンズアルデヒドを合成する方法が未だに必要とされている。
【0010】
発明の目的
すなわち、本発明の目的は、フッ化および塩化ベンズアルデヒドを高収率で製造する方法を提供することである。本発明の更なる目的は、従来は高収率で製造できなかった前記ベンズアルデヒドを、潜在的な問題を招くことなく、安全な展望から、特に大規模な手順で製造する、非常にコスト効率の良い方法を提供することである。加えて、本発明の目的は、必要なホルミル化手順を履行するためにHCl(水性、乾燥またはガス状)を、用いたとしても非常に少量のみ必要とする、特定のフッ化および塩化ベンズアルデヒドの製造方法を提供することでもある。更に、本発明の目的は、前記ベンズアルデヒド生成物を含有する組成物を提供することである。
【0011】
発明の詳細な開示
従って、本発明は、式(I):
【化3】
(前記式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、R1、R2、R3、R4およびR5のうち1のみがフッ素または塩素であれば、水素、炭素数1〜4の低級アルキル基、シクロアルキルまたはシクロアルキレン環系、フッ素および塩素から選択される。)
のベンズアルデヒドの製造方法であって、該方法が、式(II):
【化4】
(前記式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、R1、R2、R3、R4およびR5のうち1のみがフッ素または塩素であれば、水素、炭素数1〜4の低級アルキル基、シクロアルキルまたはシクロアルキレン環系、フッ素および塩素から選択される。)
の置換ベンゼンを、約200〜800psigの圧力を有する一酸化炭素雰囲気に、金属ハライド、およびHCl、HBr、HF、HIおよびこれらの混合物から成る群より選択される酸の両者の存在下で接触させることを含み、前記酸が、金属ハライド1モルに対して約0.005〜約0.01モルまでの触媒量で存在し、および前記反応温度が約30〜100℃である、前記式(I)のベンズアルデヒドの製造方法を包含する。
【0012】
本発明は、前記式(I)の化合物と、少なくとも1種の溶媒または希釈剤とを含有する組成物も包含する。前記溶媒は、水、アルコール、エステル、エーテルなどを包含し、前記希釈剤としては、限定されないが、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤を包含する界面活性剤等が挙げられる。本発明の範疇の組成物類は、限定されないが、例えば、香水(perfumes、scents)、エアーフレッシュナーのように、香りの良い化合物を使用するものを包含する。前記化合物は、本発明の方法で製造される前記化合物によって発生される心地よいアロマのために、前記組成物中に含まれるアロマ生成成分またはアロマ供給成分としての利用を導く。
【0013】
どのようなモノ−ハロゲン化ベンゼンも本発明の方法で導かれ得る。特定の化合物としては、フルオロベンゼン、2−フルオロトルエン、2−クロロトルエン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロ−m−キシレン、3−クロロ−o−キシレン、1−フルオロ−2,3,6−トリメチルベンゼンおよび1−クロロ−2,3,6−トリメチルベンゼンが挙げられる。
【0014】
金属ハライドは、好ましくは塩化アルミニウムであるが、臭化アルミニウム、塩化第二鉄(III)、塩化第二銅(II)、塩化亜鉛、塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウムなどの他のハライドを利用してもよい。部分水素化金属ハライドは、反応容器内で解離すると、前記生成酸(例えば、塩化水素酸)として利用され得る。それによって、必要な水性酸成分(例えば、AlCl3・XH2Oであって、Xは大抵、1、好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.01〜0.1の間である。)が提供される。前記解離は、実際には、潜在的に有害な水性の塩化水素酸を反応中に導くことなく、必須の少ない、触媒量の水性塩化水素酸を生成する(が、外部付加も、可能でかつ好ましい代替手段である)。Gattermann−Koch反応の過去の変形では、金属ハライドが塩化水素および一酸化炭素と(全て等量で)反応して、芳香族系を親電子的に攻撃する可能性を有するホルミルカチオン錯体を生成することが理論付けられた。水で洗浄した後、金属ハライドが除去されると、ホルミル化ベンゼン誘導体が残された。本発明では、塩化水素酸が、用いたとしても極めて少量で添加される(金属ハライド1モルに対して約0.005〜約0.01モル)。金属ハライドは、置換ベンゼンに対して、好ましくは約1:0.75〜約1:6、特に約1:0.9〜約1:3、最も好ましくは約1:1の化学量論的なモル比で存在する。特定の科学理論に縛られるものではないが、金属ハライドと結合される(例えば、HCl、HBr、HI、HFおよびこれらの混合物から成る群より選択される)少ない、触媒量の酸は、ある一定の「推進量(driving amount)」のホルミルカチオン錯体を生成すると考えられる。そのため、この「推進量」は、過去の方法では、標準的でかつ大量の(特にガス状)HClの使用時に生じることが分かっている可能な副生成物(例えば、二量化または重合など)の形成速度を落とすと考えられ。従って、この触媒のHClが必要な反応を提供して、非常に高純度の目標物フッ化および/または塩化ベンズアルデヒドを高収率で形成することが決定された。
【0015】
更に、非常に少ない、化学量論量の塩化水素酸の利用は、驚くことに、所望の置換ベンズアルデヒドの最終形成に非常に重要でもある。上述のように、より多くの化学量論量のガス状塩化水素は、実際の反応物としての金属ハライドおよび一酸化炭素と親電子攻撃性ホルミルカチオン錯体を形成するのに必要であると仮定されていた。ガス状HClは、所望のベンズアルデヒドを生成するのには不要である(が、ガス状の形態が本発明の方法ではまだ生じ得る)ことが分かった。所望の実質上純粋なフッ化または塩化ベンズアルデヒドを高収率で生成するために、(前記で定義した)非常に少ない、触媒量の(好ましくは)水性の塩化水素酸のみが、有利なホルミルカチオン錯体反応物を成形、するのに思いがけなく必要である(が、ガス状および乾燥形態のHClも作用する)ことも分かった。安全でかつ好都合な展望から、水性塩化水素酸が本発明の方法では好ましい形態である。ガス状HClは、そのガス状態の制御がたまに困難であるため、潜在する、健康に有害な物質を引き起こす。更に、乾燥した塩化水素酸は、液体よりも取り扱い難い。とはいえ、一方では、塩化水素酸はどのような形態でも、好ましくは水溶液でのみ添加され得る。
【0016】
上述のように、この酸成分(水性HClなど)は、反応全体に入れても、または金属ハライドの解離時にのみ、その水素化形態で発生させてもよいことに気付くことが重要である。塩化水素酸は、金属ハライドに対して触媒量(モル)を満たし、しかも前記の潜在的に腐食性の物質を取り扱うのに注意が払われるのであれば、どのようなモル濃度で使用されてよく、好ましくはそのモル濃度が、約0.01〜約12、より好ましくは約10〜12、最も好ましくは約10(濃縮物)である。塩化水素酸(水性、ガス状または乾燥)が存在しなければ、フッ化または塩化ベンズアルデヒドの収率が低下する。塩化水素酸が多過ぎると、前記反応が、ベンズアルデヒドの異なる異性体、二量体および/またはポリマーを生成(し、その結果、収率を低下させて、最終反応生成物の純度を有害に低下)するか、あるいは、スラッジ状の固体を生じる反応となる。金属ハライド(特に塩化アルミニウム)と共に水性HClを利用するもう一つの利点は、ホルミル化反応の完了時に、残留する塩化アルミニウムが比較的中性のpHレベルを示すことである。前記生成物は、本発明の方法では再度使用できないが、このような中和された塩化アルミニウムは、他の用途に再販できる(凝集剤、発汗抑制剤成分など)。すなわち、前記化合物のこのようなリサイクルや再使用は、製造所からの、除去されて捨てられる廃棄物の量を低減する、環境に優しい手順を提供する。
【0017】
一酸化炭素は、モノ−フッ化ベンゼン化合物の場合は約100〜800psig、好ましくは約200〜約600psig、最も好ましくは約200psigの圧力で、および塩化ベンゼン化合物の場合は、550psigの圧力で導入される。この方法論を利用する先行文献米国特許第6,080,892号明細書および同第6,087,537号明細書(共にスクライベンス(Scrivens)ら)は、50〜110psigの一酸化炭素圧を利用して、o−キシレンおよびテトラリンなどのジアルキル−置換ベンズアルデヒドのホルミル化を達成していた。フッ素や塩素などの電子求引性基の結合によって、ベンゼン環は、ホルミルカチオン錯体による攻撃に対して不活性化される。そのため、ハロゲン化芳香族の形成を行うのには110psigを超えるCO圧が必要となる。
【0018】
以降の実施例2、3および5で説明するように、アニソール誘導体の添加は、2−クロロトルエンやフルオロベンゼンなどの不活性化された芳香族のホルミル化を劇的に高める。2−フルオロトルエンのようにあまり不活性化されていない系でも、収率が約20%高まる。特定の科学理論に縛られるものではないが、アニソールアルミニウムクロライド錯体は、ホルミルカチオン錯体の形成を安定化させるように、または新規な、より親電子性のホルミルカチオン錯体を生成するように作用すると考えられる。この目的に適したアニソール誘導体は、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、2−フルオロ−アニソールなどを包含する。
【0019】
塩化ベンズアルデヒドの収率は、HCl(好ましくは水性塩化水素酸)を触媒量で使用すると、反応温度が約30℃のときにピークとなり、そしてフッ化ベンズアルデヒドの場合は、反応温度が約60℃のときにピークとなることが分かった。高い温度と、必要とされる少ない、化学量論量の塩化水素酸との組み合わせが前記ハロゲン化ベンズアルデヒドを生成するとは、従来、考えられなかった。
【0020】
本発明の方法の別の利点は、原材料そのものを除く、全ての溶媒を省略する可能性にある。すなわち、(例えば)2−フルオロトルエンの反応時には、含まれている溶媒は、2−フルオロトルエン異性体そのもののみである。潜在的に有害なハロゲン化溶媒や、他の有機液体は、前記反応を行うのに必要ない。結果として、最終生成物は、一般に、全て同一の化合物を含有する実質上純粋な液体である。時間を消費しかつコストのかかる蒸留工程を行って、この好ましい本発明の方法で製造される合成化合物を精製する必要はない。本発明において、「適切な手順(neat procedure)」という用語は、この面を意図しかつ定義する。そのため、適切な手順で利用される唯一の溶媒は、本発明の方法自体に包含される原材料である。しかし、親電子的なホルミル化に対して、出発基質よりも不活性化されるのであれば、本発明の方法で使用されてよい。好ましい(が、本発明の方法で有用な限定的な溶媒ではない)溶媒は、ハロゲン化された芳香族溶媒であって、例えば、クロロトルエン、ジクロロベンゼン等、そして上述のようなアニソールおよびその誘導体が挙げられる。前記溶媒は、合計消費の0.1%程度の少量で、または約99%程度の高い量で含まれていてよい(全て重量基準)。好ましくは、溶媒は、反応物の合計重量の約5〜約50重量%の量、好ましくは約10〜40%、最も好ましくは約15〜約25%で添加される。前記溶媒は、反応中に攪拌を促進し、そして本発明の手順において理論化されたカチオン性ホルミル触媒の反応性を変えるという利点を提供する。当然、前記溶媒を用いることにより、後続の蒸留または共沸を行って、残留溶媒を目標物であるベンズアルデヒドから分離しなければならない。そのため、本発明では、所望のフッ化または塩化ベンズアルデヒドを製造するのに必要なコストと時間を軽減するために、溶媒は1種のみを使用することが非常に好ましい。
【0021】
本発明の好ましい態様
特に好ましい本発明の方法の例を以降に説明する。
実施例1
塩化アルミニウム102.13g(分子量133.34、765.9ミリモル)と2−フルオロトルエン約497.04g(分子量110.13、4,513ミリモル)を2リットルのパール(Parr( 登録商標 ))ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、60℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に200psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約20時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中60℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次に、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロトルエンを除去して、4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物約71.35gを得た(分子量138.14、516.5ミリモル、収率約67.4%)。4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物は、非常に心地よい芳香を発生した。液体の香料入り組成物として利用するために、前記生成物を水で希釈した(生成物と水の比率1:10)。
【0022】
実施例2
塩化アルミニウム216.00g(分子量133.34、1,619.9ミリモル)、4−メチルアニソール109.09g(分子量122.17.892.9ミリモル)および2−クロロトルエン約522.35g(分子量126.59、4,126.3ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、30℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約550psiで最後のCO導入を行った。約66時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中30℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次に、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−クロロトルエンを除去して、4−クロロ−3−メチルベンズアルデヒド(76.5%)と3−クロロ−4−メチルベンズアルデヒド(23.5%)から成るベンズアルデヒド混合物約76.01gを得た(分子量154.59、491.7ミリモル、収率約67.6%)。
【0023】
実施例3
塩化アルミニウム229.30g(分子量133.34、1,719.7ミリモル)、4−メチルアニソール110.0g(分子量122.17.900.4ミリモル)および2−フルオロトルエン約500g(分子量110.13、4,540.1ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、30℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約550psiで最後のCO導入を行った。約66時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中30℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(緑がかった褐色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロトルエンを除去して、4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物約98.01gを得た(分子量138.14、709.5ミリモル、収率約86.7%)。その後、4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド生成物は、その対応する重亜硫酸塩付加物へ転化し、濾過して、前記重亜硫酸塩付加物を酸性または塩基性条件下で分解することにより、残留4−メチルアニソールから容易に分離できる。
【0024】
実施例4
塩化アルミニウム102.17g(分子量133.34、766.2ミリモル)、フルオロベンゼン約504.36g(分子量96.10、5,248.3ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、60℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に200psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約18時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中60℃に保持Iた)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、フルオロベンゼンを除去して、4−フルオロベンズアルデヒド生成物約22.97gを得た(分子量124.11、185.1ミリモル、収率約24.1%)。
【0025】
実施例5
塩化アルミニウム220.67g(分子量133.34、1,654.9ミリモル)、4−メチルアニソール109.00g(分子量122.17、892.2ミリモル)およびフルオロベンゼン約500g(分子量96.10、5,202.9ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、30℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約550psiで最後のCO導入を行った。約89時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中30℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(オレンジ色−褐色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、フルオロベンゼンを除去して、4−フルオロベンズアルデヒド生成物約60.90gを得た(分子量124.11、490.7ミリモル、収率約64.3%)。その後、4−フルオロベンズアルデヒド生成物は、その対応する重亜硫酸塩付加物へ転化し、濾過して、前記重亜硫酸塩付加物を酸性または塩基性条件下で分解することにより、残留4−メチルアニソールから容易に分離できる。
【0026】
実施例6
塩化アルミニウム100.89g(分子量133.34、756.6ミリモル)および3−フルオロトルエン約503.54g(分子量110.13、4,572ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、60℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に200psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約17時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中60℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、3−フルオロトルエンを除去して、4−フルオロ−2−メチルベンズアルデヒド(88.4%)と2−フルオロ−4−メチルベンズアルデヒド(11.6%)から成るベンズアルデヒド混合物約79.65gを得た(分子量138.14、576.6ミリモル、収率約76.2%)。
【0027】
実施例7
塩化アルミニウム62.4g(分子量133.34、468.0ミリモル)、1,2−ジクロロベンゼン450.0g(分子量147.00、3,061ミリモル)および2−フルオロ−m−キシレン約48.00g(分子量124.16、386.6ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、50℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約16時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中50℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロ−m−キシレン、1,2−ジクロロベンゼンを除去して、4−フルオロ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド(73.8%)と3−フルオロ−2,4−ジメチルベンズアルデヒド(26.2%)とから成るベンズアルデヒド混合物約40.39gを得た(分子量152.17、265.4ミリモル、収率約68.6%)。
【0028】
実施例8
塩化アルミニウム67.60g(分子量133.34、507.0ミリモル)、1,2−ジクロロベンゼン450.0g(分子量147.00、3,061ミリモル)および3−フルオロ−o−キシレン約503.54g(分子量124.16、789.3ミリモル)を2リットルのパール( 登録商標 )ブランド4522ステンレス鋼製反応容器に入れた。この混合物に、濃塩酸を5滴加えた。容器をシールして、50℃に加熱し、一酸化炭素で3回パージして、容器の圧力をパージ毎に100psiまで増加させた。3回目のパージ後、容器を排気して、圧力約200psiで最後のCO導入を行った。約28時間の合計反応時間中、反応系をこの圧力で保持した(さらに、反応温度は前記反応時間中50℃に保持した)。反応が完了したら、得られた混合物(暗いオレンジ色を呈する)を約500mLの氷水に流し入れた(溶液は黄色に変わった)。ここへ、シクロヘキサン500mLを加えた。上層の有機層を取り出して、分液漏斗を用いて水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、残留有機相を減圧蒸留して過剰のシクロヘキサン、2−フルオロ−o−キシレン、1,2−ジクロロベンゼンを除去して、4−フルオロ−2,3−ジメチルベンズアルデヒド(89.1%)と2−フルオロ−3,4−ジメチルベンズアルデヒド(10.9%)とから成るベンズアルデヒド混合物約94.98gを得た(分子量152.17、624.2ミリモル、収率約79.1%)。
【0029】
本発明の具体的な特徴を記載したが、本発明は、本発明の属する当該分野における熟練者によって、変更が可能でかつ本発明の原理の別の態様が疑いなく行われることから、特別な構成または実施に限定されないものと当然理解されよう。従って、添付のクレームは、本発明の特徴を添付のクレームの真の意味、精神および範囲に組み込むなどの変更を包含するものと考えられる。
Claims (10)
- 式(I):
のベンズアルデヒドの製造方法であって、該方法が、式(II):
の置換ベンゼンを、約200〜800psigの圧力を有する一酸化炭素雰囲気に、金属ハライド、およびHCl、HBr、HF、HIおよびこれらの混合物から成る群より選択される酸の両者の存在下で接触させることを含み、該酸が、金属ハライド1モルに対して約0.005〜約0.01モルまでの触媒量で存在し、および前記反応温度が約30〜100℃である、前記式(I)のベンズアルデヒドの製造方法。 - 酸が塩化水素酸である請求項1記載の方法。
- 塩化水素酸が、水溶液中に含まれている請求項1記載の方法。
- 金属ハライドが、塩化アルミニウム、臭化ブロマイド、塩化亜鉛およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項1記載の方法。
- 前記温度が約30〜約100℃であり、および塩化水素酸が前記反応に添加される請求項2記載の方法。
- 塩化水素酸が前記反応内で発生される請求項2記載の方法。
- 式(II)の置換ベンゼンが、フルオロベンゼン、2−フルオロトルエン、3−クロロトルエン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、2−クロロ−m−キシレンおよび3−クロロ−o−キシレンから成る群より選択される請求項1記載の方法。
- アニソール誘導体が試薬として使用される請求項2記載の方法。
- アニソール誘導体が、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、2−フルオロ−アニソール等から選択される請求項8記載の方法。
- 請求項1記載の方法で製造される化合物、および少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の希釈剤およびこれらの混合物から成る群より選択される少なくとも1種の液体を含有する組成物。
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