JP2738093B2 - 第3級ブチルベンズアルデヒド異性体混合物の製造方法 - Google Patents

第3級ブチルベンズアルデヒド異性体混合物の製造方法

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    • C07C45/41Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by hydrogenolysis or reduction of carboxylic groups or functional derivatives thereof

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は香料等の原料として有用な第3級ブチルベン
ズアルデヒドのメタ及びパラ異性体混合物の製造方法に
関するものである。
〔従来の技術〕
従来、パラ−第3級ブチルベンズアルデヒドはトルエ
ンのクロロメチル化法等により製造されているが、製造
の際に副生する若干のメタ異性体が、そのまま製品に混
入している。しかして、この製造プロセスは、多量の副
原料を必要とし、また副生廃棄物の量も多くコスト高で
あるので、より工業的な新規製造法の確立がのぞまれて
いた。一方、芳香族カルボン酸に気相において直接水素
化し、高収率で芳香族アルデヒドを製造する方法がある
(特開昭61−115043等)。
この方法により、パラ−第3級ブチルトルエンさらに
はパラ−第3級ブチル安息香酸から、高純度のパラ−第
3級ブチルベンズアルデヒドを高収率で安価に製造する
ことができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、パラ−第3級ブチルベンズアルデヒド
を香料原料として使用する場合は、これをプロピオンア
ルデヒドと縮合・水素化して、いわゆるリリ−アルデヒ
ドとして用いられるが、異性体純度のきわめて高いパラ
−第3級ブチルアルテビトから得られるリリ−アルデヒ
ドは香料特性として若干問題があり、少量のメタ−異性
体の含有が不可欠であることが知られている。
そこで、この様に極めて微量のメタ−異性体を含有す
るパラ−第3級ブチルベンズアルデヒドを得る方法とし
ては、別途メタ−第3級ブチル安息香酸からメタ−第3
級ブチルベンズアルデヒドを製造し、これをパラ−第3
級ブチルベンズアルデヒドに配合することも考えられる
が、一般にこのようなメタ−アルキル置換体の選択的か
つ安価な製造法には困難が多く、工業上有用な方法とは
言い難い。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、出発原料として工業的に容易に入手可能な
パラ−第3級ブチルトルエンから三工程よりなる簡単な
プロセスにより香料原料として有用なメラ、パラ−第3
級ブチルベンズアルデヒド混合物を高収率で且つ安価に
製造できる方法を提供するものである。
そして、本発明の要旨は、次の通りである。
下記工程〜より成るパラ−第3級ブチルトルエン
からパラ−第3級ブチルベンズアルデヒド及びメタ−第
3級ブチルベンズアルデヒド含有混合物の製造方法。
パラ−第3級ブチルトルエンをトルエン及び塩化アル
ミニウム触媒の存在下異性化し、パラ−第3級ブチルト
ルエン及びメタ−第3級ブチルトルエン含有混合物を製
造する工程 第工程で得られた第3級ブチルトルエンのメタ及び
パラ異性体混合物をコバルト触媒の存在下、分子状酸素
により酸化し、第3級ブチル安息香酸のメタ及びパラ異
性体混合物を製造する工程 第工程で得られた第3級ブチル安息香酸のメタ及び
パラ異性体混合物をジルコニア触媒の存在下分子状水素
により水素化し、第3級ブチルベンズアルデヒドのメタ
及びパラ異性体混合物を製造する工程。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の出発原料であるパラ−第3級ブチルトルエン
は、トルエンを硫酸等の酸触媒によりイソブチレンでア
ルキル化すれば容易に得られる。
本発明の第工程は、パラ−第3級ブチルトルエン
を、塩化アルミニウム触媒を存在下異性化し、第3級ブ
チルトルエンのパラ異性体及びメタ異性体混合物を得
る。パラ−第3級ブチルトルエンのメタ異性体への異性
化は、例えばJ.Am.chem.Soc.,75,361(1953)に、臭化
アルミウニム触媒による例が報告されているが、臭化ア
ルミニウムは高価な薬品であり、工業的観点から実用的
でない。本発明者らは検討の結果、安価な塩化アルミニ
ウムでも反応条件によって十分異性化反応を行ないうる
ことを確認した。ここで塩化アルミニウム触媒としては
特に限定されないが、無水の状態のものがよい。また、
第工程の反応を無溶媒、あるいは一般的なフリーデル
−クラフツ溶媒で行なうと、第3級ブチルトルエンの不
均化反応が併発し、メタ−及びパラ−異性体混合物の回
収率は激減するので好ましくない。しかしながら、本発
明に従い、トルエンを異性化反応溶媒に用いると、不均
化反応が十分に抑制され、目的物を高収率で回収するこ
とが出来る。
第一工程での異性化反応は通常、温度0℃〜150℃、
塩化アルミニウムの使用量(AlCl3/4−(t)−ブチル
トルエン)0.001〜0.5(重量比)、トルエンの全反応混
合物に対する使用量5〜90(重量)%、反応時間10分〜
5時間程度で実施される。異性化反応はパラ体の100%
メタ体への転換は起こらず、平衡状態(メタ体(mol)
/パラ体(mol)≒2.0)で停止する。本発明方法では、
第工程でこのような平衡組成混合物を用いることがで
きるが、場合により平衡に達していないパラ体過剰の組
成物でも十分使用しうる。
得られた反応生成物は常法により、触媒の除去、精製
等の処理をして第3級ブチルトルエンのパラ及びメタ異
性体混合物を得る。本発明では各異性体に分離する必要
はなく、次の工程に供することができる。
第工程は、第3級ブチルトルエンの酸化による第3
級ブチル安息香酸の製造である。パラ−第3級ブチルト
ルエンの酸素酸化によるパラ−第3級ブチル安息香酸の
製造に関しては、例えば特開昭49−24934号、DE−31281
47、DE−3440407等により既によく知られた反応であ
る。
酸化反応は、通常、可溶性コバルト塩と触媒として用
い、液相において、酢酸等の不活性溶媒の存在あるいは
不存在下、50〜250℃程度の加熱状態を空気を吹きこむ
ことにより行われる。触媒には必要に応じコバルトに加
えてブロム化合物、マンガン塩等を併用しても良い。本
発明者らの検討では、第3級ブチルトルエンのメタ及び
パラ異性体混合物の酸化は、パラ第3級ブチルトルエン
のみの場合とほとんど同様に酸化反応が進行することが
確認されたので、該異性体混合物は、常法に従い酸化反
応に付することができる。反応終了後、得られた第3級
ブチル安息香酸の異性体混合物は反応生成物から晶析分
離し、要すれば精製した後、次の工程に送られる。
第工程では、第3級ブチル安息香酸の直接水素化反
応により第3級ブチルベンズアルデヒドを製造する。従
来、該水素化反応を固体触媒上、気相水素により実施し
た例は少なく、収率、触媒寿命等の点で満足できるもの
は無かった。しかして、第3級ブチル置換安息香酸の異
性体混合物の水素化反応に対し、触媒としてジルコニア
必須成分とする触媒を用いることがわかった。触媒の組
成としては純品のジルコニアでも使用可能であるが、ク
ロム、インジウム、レニウム、コバルト等の助触媒をジ
ルコニアに添加したものを用いても良い。反応は気相固
定床で行なわれ、通常温度200℃〜500℃、圧力常圧ない
し〜若干の加圧、空間速度LHSVは0.01〜1hr-1、水素の
空間速度、GHSV=100〜10,000hr-1、水素/カルボン酸
(モル比)5〜200程度の条件が好適である。反応生成
物は冷却捕集後蒸留等により、第3級ブチルベンズアル
デヒドのメタ及びパラ異性体混合物が高収率にて得られ
る。
本発明方法によれば、第工程で得られる第3級ブチ
ルトルエンのメタ及びパラ異性体混合物の平衡組成割合
は、第及び第工程での各反応を経て得られる第3級
ブチルベンズアルデヒドのメタ及びパラ異性体混合物に
おいてもほとんど変らず維持される。それ故、メタ異性
体が過剰に含まれている平衡組成物に必要に応じ、純パ
ラ−第3級ブチルベンズアルデヒドを配合すれば、所望
割合の異性体を含むアルデヒド組成物を取得することが
出来る。異性体の配合は、製品としての第3級ブチルベ
ンズアルデヒドを混合することによって実施しても良い
が、場合により、第工程で得られる第3級ブチル安息
香酸混合物の組成割合を調整し引続いて水素化反応を行
うことにより組成割合に変化を生じることなくベンズア
ルデヒドとすることも出来る。特に、通常メタ異性体含
有率が数%以下である香料原料としてのパラ第3級ブチ
ルベンズアルデヒドを容易に製造することが出来るの
で、本発明方法は工業的に極めて有用な方法である。
〔実施例〕
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を超えない限りこれら実施例により何
等限定されるものではない。
実施例1 <第工程> 市販のパラ第3級ブチルトルエン(メタ体3%含有)
200gr、トルエン200grからなる溶液中に、無水塩化アル
ミニウム4.0grを加えた後、室温下、1時間攪拌を行っ
た。反応終了後、触媒を分離し、得られた有機層の水洗
を行った後、蒸留により第3級ブチルトルエンを分離精
製した。
蒸留精製物中の第3級ブチルトルエンの純度は、98%
で、パラ体:メタ体の組成比は、33:67(モル比)であ
り、オルト体については、認められなかった。
<第工程> 第工程で得られた第3級ブチルトルエンの異性体混
合物を用い酸化反応を行った。第3級ブチルトルエン異
性体混合物100grに、酢酸35gr、酢酸コバルト4水和物
0.5gr、臭化ナトリウム0.5grを加え、反応温度100℃、
空気吹込量=0.6l/min、圧力=25KGの条件で、220分間
酸化反応を実施した。
反応液を冷却後、得られた結晶をろ別し、結晶を更
に、150grの50%酢酸水溶液で洗浄後乾燥し、第3級ブ
チル安息香酸の異性体混合物108grを得た。この混合物
のパラ体:メタ体の含有比は、33:67であった。
<第工程> 第工程で得られた第3級ブチル安息香酸異性体混合
物に、パラ第3級ブチル安息香酸を加え、水素化反応用
原料を調製した(メタ体含有率=8%)。
クロムとジルコニウムの酸化物からなる触媒を用い、
第3級ブチル安息香酸の空間速度LHSV=0.121hr-1、水
素の空間速度GHSV=1250hr-1、反応温度=365℃の条件
で、第3級ブチル安息香酸異性体混合物の水素化反応を
行った。
通液後、5時間目の反応成績は、第3級ブチル安息香
酸の転化率98.5%、パラ及びメタ−第3級ブチルベンズ
アルデヒドの選択率は95%であり、パラ体:メタ体の組
成比は、92:8であった。
得られた、水素化反応生成物を蒸留により分離精製
し、得られた異性体混合物に別途パラ第3級ブチル安息
香酸の水素化反応により得られた、パラ第3級ブチルベ
ンズアルデヒドを所定量加える事により、香料向けのメ
タ体含有量4%の第3級ブチルベンズアルデヒドを調製
した。
〔発明の効果〕
本発明方法によれば、香料原料として適当なメタ異性
体を含むパラ−第3級ブチルベンズアルデヒドを、シン
プルな技術的に安定したプロセスにより、異性体分離工
程を省略して、容易にかつ安価に製造することができ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記工程〜より成るパラ−第3級ブチ
    ルトルエンからパラ−第3級ブチルベンズアルデヒド及
    びメタ−第3級ブチルベンズアルデヒド含有混合物の製
    造方法。 パラ−第3級ブチルトルエンをトルエン及び塩化アル
    ミニウム触媒の存在下異性化し、パラ−第3級ブチルト
    ルエン及びメタ−第3級ブチルトルエン含有混合物を製
    造する工程 第工程で得られた第3級ブチルトルエンのメタ及び
    パラ異性体混合物をコバルト触媒の存在下、分子状酸素
    により酸化し、第3級ブチル安息香酸のメタ及びパラ異
    性体混合物を製造する工程 第工程で得られた第3級ブチル安息香酸のメタ及び
    パラ異性体混合物をジルコニア触媒の存在下分子状水素
    により水素化し、第3級ブチルベンズアルデヒドのメタ
    及びパラ異性体混合物を製造する工程。
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