JP2004502909A - ハイドロダイナミック・ブレーキ - Google Patents
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Abstract
本発明は、車両用のハイドロダイナミック・ブレーキに関する。ステータ(10)およびロータは、それぞれ環状凹部(14)と、凹部(14)のそれぞれの部分に設けられた複数のベーン(18)とを備える。ロータは、ステータ(10)のそれぞれのベーン(18)の第1の側部に比較的高い圧力が生成され、ステータ(10)のそれぞれのベーン(18)の第2の側部に比較的低い圧力が生成される回転方向に、回転するように構成する。この圧力差を、流体の供給および排出、それぞれに利用する。各供給開口(26)は、ステータの各ベーンの前記第2の側部の近傍に設けると共に、各排出開口(28)は、ステータの各ベーンの前記第2の側部の近傍に設ける。
Description
【0001】
(発明の背景および従来の技術)
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載のハイドロダイナミック・ブレーキに関する。
【0002】
補助ブレーキは、基本的にはトラックやバスなどの大型車両において、例えば長い下り坂でのブレーキングによってサービスブレーキなどの通常ブレーキが磨耗するのを防止するために使用される。このような補助ブレーキの例として、ハイドロダイナミック・リターダがあり、これはステータとロータの間の任意の適切なオイルによってブレーキ・モーメントを生成するものである。ステータとロータは、共にトロイド形のスペースを構成し、これはトーラスと呼ばれる。ロータと同様に、ステータには、複数のベーンが設けられており、オイルはロータの回転中にこれらのベーンによってトロイド形スペース内に導かれる。ブレーキング過程において、オイルの運動エネルギーは熱エネルギーに変換される。このために、オイルはトロイダル形スペースを出た後に冷却する必要がある。その後に、オイルを再びトロイダル形スペースに供給することができる。リターダは、車両の駆動輪のブレーキングを可能にする目的で、例えば車両のギアボックスに接続するプロペラーシャフトの位置で、車両のパワートレインに接続される。このリターダは、プロペラーシャフトに直接設けられるか、またはギアユニットを介して設けられる。プロペラーシャフトの回転数の低いとき、またはステータとロータの間のスペース、すなわちトロイド形スペースがオイルで充填されている場合には、リターダによるブレーキング効果はプロペラーシャフトの回転速度と共に増加し、リターダの出力ブレーキング・モーメントは、プロペラーシャフトの回転数に実質的に比例する。その結果、プロペラーシャフトのある回転数において、ある最大出力ブレーキング・モーメントが得られる。プロペラーシャフトの回転数の高いときには、出力ブレーキング・モーメントは、トロイド形スペースにおけるオイルのフルネス係数(coefficient of fullness)に依存する。この結果、前記スペースの圧力を制御することによって、出力ブレーキング・モーメントを調節することができる。リターダが出力ブレーキング・モーメントを生成し始める前に、ステータとロータの回りのスペースをオイルで充填する必要がある。このために、リターダはポンプおよびオイル・リザーバを備える。車両のプロペラーシャフトの速度が低いほど、ステータとロータの間のスペースを充填するのに要する時間は長くなる。この操作を速くするために、オイル・リザーバと接続されたオイル・アキュムレータが使用されることが多い。
【0003】
ハイドロダイナミック・リターダの作動媒体は任意の適切なオイルである。前述のように、オイルの運動エネルギーは、ブレーキング過程で熱エネルギーに変換される。オイルのオーバーヒートを避けるためには、トロイド形スペースを通過するオイル流が速いことが重要である。オイル流が速いと、オイルを効果的に冷却することができる。速いオイル流を得るために、ロータが特定の回転方向に回転するときに生成される圧力差が利用される。オイルがトロイド形のスペースから出た後に、車両の冷却水回路などの車両の冷却システム/熱交換器に導かれる。その後に、オイルはトロイド形スペースに戻すことができる。ブレーキ過程において大量の熱がリターダによって生成される結果として、冷却されたオイルを、リターダの冷却に使用できることに留意されたい。さらに、オイルの使用寿命は高温による影響を受け、オイルの温度が低く保たれている場合には、交換間隔における時間が減少することにも留意されたい。
【0004】
図1は、トラックなどの大型車両用の公知のリターダの部分を示す。公知のリターダは、ダブル・ロータ1、およびシャフト4を囲む2つのステータ2、3を備える。これによって2つのトロイド形スペース5が形成される。それぞれのトロイド形の内径は取入口6として、外径は取出口7として使用される。トーラスの内径に接続する前記取入口6を有することによって、流通チャネル8をシャフト4および取入口6の間に設ける必要がある。このために、このリターダ構造は、大きなスペースを占める。さらに、ロータが回転すると、取入口6の位置する領域と、取出口7が位置する領域との間で生成される圧力差が、比較的小さいことに留意されたい。結果的に、この構造によっては、作動媒体の高速流を得ることはできない。
【0005】
(発明の概要)
本発明の目的は、上記の問題を解消することである。特に、作動媒体をトロイド形スペースを通って高速で流すことのできる、すなわちブレーキのトロイド形スペースを通過して、単位時間当たり大量の流体を可能にする、ハイドロダイナミック・ブレーキをねらいとするものである。単位時間当たりの大量の流体は、流体が冷却媒体としても作用することを意味し、ブレーキ過程で生成される熱エネルギーは、流体によって除去することができる。本発明の別の目的は、ブレーキの寸法が小さいにもかかわらず、大きなブレーキング・モーメントを得ることのできるダイナミック・ブレーキを提供することである。
【0006】
これらの目的は、冒頭に述べた、請求項1の特徴部分に規定する特徴を有する、ハイドロダイナミック・ブレーキによって達成される。
【0007】
このような、ロータが特定の方向に回転するときに比較的低い圧力が生成される側の、ステータのベーンの近傍に設けられた前記の供給開口を有する、ハイドロダイナミック・ブレーキによって、ブレーキング・モーメントを迅速に得ることができる。これによって、ハイドロダイナミック・ブレーキが車両のパワートレインに接続された場合に、車両のドライバは、車両のリターダを使ってブレーキをかけたときに満足を感ずることになる。さらに、前記の供給開口の前記位置によって、冒頭に述べた公知のブレーキの場合のように、ロータリーシャフトとトロイド形スペースとの間にいかなる供給チャネルを設けることなく、回転するシャフトに直接隣接して、ブレーキを設けることが可能となる。
【0008】
本発明の実施形態によれば、前記供給開口は、ステータの半径方向外側の領域に配置される。この領域で圧力が最低になるという理由で、供給開口はこの領域に配置するのが有利である。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態によれば、供給開口はオリフィスを有し、これは少なくとも部分的に底面を切断する。このオリフィスは、ベーンを一部切断し、かつ底面を一部切断するように設けてもよい。別法として、オリフィス全体が、底面を切断するようにしてもよい。ベーンの第2の側部に接続するステータの外側領域には、ロータが前記回転方向に回転するとき、低いフルネス係数では、前記領域にはほとんど流体は存在せず、すなわちステータとロータの間のスペースのほんの一部のみが、流体で充填される。したがって、この領域で圧力は最低となる。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記供給開口は底面を貫通して延びる。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記供給開口は、回転軸に対して実質的に直角な長手方向軸を有する。前記供給開口の位置により、また供給開口が、回転軸に対して実質的に直角な長手方向軸を有するために、流体の供給は、トロイド形スペース内部の流体の流れ方向に行われることになる。このために、ステータとロータの間のスペース内での流体流は、感知されるほどに妨害されることはない。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記流体は、前記トロイド形スペースに、複数の供給開口を介して供給されるように構成されている。この供給開口は、ステータの外径に接続して設けられているために、リターダの寸法が小さいにもかかわらず、大きな供給領域を得ることができる。大きな供給領域を有することによって、トロイド形スペースを介してより迅速にオイルを回転させることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、実質的にステータの全ポケットに、供給開口が設けられる。これによって、ブレーキは非常に小型化することができる。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口は、ステータのベーンの前記第1の側部の近傍に設けられる。その結果、ロータの回転中にステータのベーンの両側で生成される圧力差を、流体の供給および排出のそれぞれに利用することができる。これによって、トロイド形スペースを通過する流体の速い流れを得ることができる。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口は、ステータの半径方向外側の領域に設けられる。前記供給開口および前記排出開口の両方とも、ステータの外側半径方向領域に有利に配置されるために、ステータおよびロータは、回転軸に隣接して配置することが可能であり、これは公知の技術によるブレーキでは不可能である。これによって、本発明によるステータとロータの外部寸法が公知技術によるブレーキよりも小さいのと同時に、ステータとロータとの間により大きな体積を得ることが可能であり、これはすなわちトロイド形スペースを、回転軸により近づけて配置することができ、かつトロイド形スペースの外径と内径の差を、本明細書で説明した従来技術によるブレーキの対応する差よりも大きくすることができ、また同時に本発明によるブレーキは、前記公知ブレーキよりも小さな外径を開示している。結果的に、本発明によるブレーキの利点は、従来技術によるブレーキよりも必要スペースが少ないこと、すなわちスペースを有効利用できることである。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口はオリフィスを有し、このオリフィスは、少なくとも部分的に底面を切断する。オリフィスは、部分的にベーンを切断すると共に、部分的に底面を切断するように設けてもよい。代替方法として、オリフィス全体が、底面を切断するようにしてもよい。ロータが前記回転方向に回転するときに、ベーンが底面から突き出ているベーンの第1の側部に接続するステータの外部領域において、流体流が最も厚くなるためにこの領域で圧力が最も高くなることに留意されたい。このために、排出開口が前記領域で終端するときに、最も効率的に流体を排出することができる。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口は、回転軸と実質的に平行な長手方向軸を有する。排出開口の前述の配置によって、かつ排出開口が回転軸と実質的に平行な長手方向軸を有するために、流体の排出はトロイド形スペースの流体の流れ方向に行われることになる。これによって、ステータとロータとの間のスペースの流体流は、感知できる程度には妨害されることがない。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記流体は、複数の排出開口を介して排出されるように構成される。この結果、トロイド形スペースから流体を迅速に排出することができる。さらに、本発明によるブレーキによれば、トロイド形スペースを通過して流れる流体量は、500ml/minに達することが可能であることに留意されたい。冒頭の説明において述べたように、流体はトロイド形スペースを出た後に冷却されて、その後にトロイド形スペースに戻される。この大量の冷却された循環流体によって、流体は、ブレーキ過程で発生する熱エネルギーをブレーキから除去するように構成された冷却媒体としても作用する。
【0019】
次に本発明を、添付の図面を参照し、好ましい実施形態を示して説明する。
【0020】
(発明の好ましい実施形態の詳細な説明)
図1は、自動車のハイドロダイナミック・ブレーキとしての形態のリターダの断面図である。公知のリターダについては、冒頭の記述において説明した。
【0021】
図2は、本発明による、モーター駆動車両のリターダの形態のハイドロダイナミック・ブレーキの部分の断面図である。リターダは、それぞれが環状凹部14、16を含む、環状ステータ10と環状ロータ12とを備える。ステータは複数のベーン18を備え、これらはステータの凹部14に設けられており、ロータ12は複数のベーン20を備え、これらはロータ12の凹部16に設けられている(図8も参照のこと)。装着状態において、環状ステータ10および環状ロータ12は、凹部14、16が共にトロイド形スペース24を形成するようにシャフト22を包囲する。リターダは、車両の駆動輪のブレーキングを可能にする目的で、車両のパワートレインに、例えば車両のギアボックスに接続する車両のプロペラーシャフト23の位置で連結する。リターダは、プロペラーシャフト23に直接設けてもよいし、図2に示すようなギアユニット25を介して設けてもよい。ステータ10は、適切な方法で車両に固定して設け、ロータは、シャフト22に固定して連結する。車両の推進中に、ロータ12は、ステータ10に対して図8に示すaの方向に、回転軸xの回りを回転するように構成する。
【0022】
図3および4において明らかなように、ステータ10は、複数の供給開口26および複数の排出開口28を備える。供給開口26および排出開口28は、ステータ10の半径方向外側領域30に配置する。各供給開口26は、回転軸xに対して実質的に直角の長手方向軸yを有し、各排出開口28は、回転軸xと実質的に平行な長手方向軸zを有する。
【0023】
図5は、供給開口26および排出開口28が、ステータ10のベーン18に対して、どのように位置するかを詳細に示している。
【0024】
図4および図8において明らかなように、ステータ10のベーン18は、2つの隣接するベーンが互いの間にポケット32を形成するように、ステータの環状凹部14を分割している。同様に、ロータ12のベーン20は、2つの隣接するベーン20が互いの間にポケット34を形成するように、ロータの環状凹部16を分割している。それぞれのポケット32の底面36は、ステータ10の2つの隣接するベーン18の間に延びている。さらに、底面36は、外側半径方向縁部38と内側半径方向縁部40との間に延びている(図3と比較のこと)。同様にそれぞれのポケット34の底面42は、ロータ12の2つの隣接するベーン20の間に延びている(図8と比較のこと)。さらに、底面42は、外側半径方向縁部(図示せず)と内側半径方向縁部(図示せず)との間に延びている。
【0025】
図8から明らかなように、ステータ10のポケット32は、ロータ12のポケット34に対向して開いている。またベーン18、20は、底面36、42に対して傾斜している。
【0026】
ロータ12が、回転軸xの回りに方向aに回転すると、比較的高い圧力が、ステータ10のそれぞれのベーン18の第1の側部44で生成され、比較的低い圧力が、ステータ10のそれぞれのベーン18の第2の側部46に生成される(図5を比較のこと)。
【0027】
ブレーキング過程では、ロータ12にブレーキをかけ、その結果として車両の駆動車輪にブレーキをかける目的で、例えば任意の適切なオイルなどの、静水圧液の形態の流体/作動媒体が、ステータ10の供給開口26を介して、トロイド形スペース24に供給されるように構成する。流体は、ステータ10の排出開口28を介して排出される。ブレーキング過程で、媒体は、ベーン20によって回転方向a、かつ半径方向外向きに、ポケット34の底面42に沿ってトロイド形スペース24内に導かれると共に、ロータ12のポケット34の外側半径方向縁部から、ステータ10のポケット32の外側半径方向縁部38へと、高速で放出される。流体は、ステータ10のベーン18に当たって、ロータ12の回転方向aの方向の流体の運動が減速されると共に、ステータ10のベーン18によって、半径方向内側にポケット32の底面36に沿って導かれて、内側半径方向縁部40にまで達する。これによって、ロータ12にブレーキがかかる角度で、流体がロータ12の回転するベーン20に当たる。
【0028】
トロイド形スペース24を流体で迅速に充填し、かつ迅速に空にするために、ステータ10の各ベーン18の回りに生成される圧力差を利用する。これによって、作動媒体/流体を、トロイド形スペース24を通過して迅速に回転/循環させることができる。このような作業媒体をできる限り迅速に回転させるために、図5を参照すると供給開口26には、ベーン18の第2の側部46の近傍に、底面36を切断するオリフィス48が設けてある。この領域では、圧力は最低であり、フルネス係数が低いとき、すなわちトロイド形スペース24のほんの一部だけが流体で充填されているとき、この領域にはほとんど流体は存在しない。図6および図7を参照すると、フルネス係数が低い場合にどのように流体が流れるかを示している。排出開口28は、ステータ10のベーン18の第1の側部44の近傍に、底面36を切断するオリフィス50を有する(図5と比較のこと)。この領域では、圧力が最高となり、フルネス係数が低いときに、流体はこの領域のみに存在する(図7と比較のこと)。本発明のハイドロダイナミック・ブレーキによれば、ベーン18の第1の側部44と、ベーン18の第2の側部46の間における圧力差は、35バールを超えることもある。
【0029】
トロイド形スペース24内の流体流をできるだけ妨害しないために、流体の供給および排出は、それぞれ実質的に流れの方向で行う。排出開口28においては、流れの方向は、回転軸xと実質的に平行である。その結果として、それぞれの排出開口の長手方向軸zは、図3に関連して前述したように、回転軸xと実質的に平行である。供給開口26においては、流れ方向は、実質的に回転軸xと直角である。その結果、それぞれの供給開口の長手方向軸yは、図3に関連して前述したように、実質的に回転軸xと平行である。
【0030】
本発明のブレーキによれば、トロイド形スペース24を流れる流体の量は、500l/minまで上げることができることに留意されたい。冒頭の説明で述べたように、流体は、トロイド形スペース24から出た後に冷却され、その後にトロイド形スペース24に戻される。この大量の冷却された循環流体量によって、流体は、ブレーキング過程でブレーキから発生する熱エネルギーを除去するように構成された冷却媒体としても作用する。
【0031】
本発明は、ここで示した実施形態にいかなる方法においても制約されるものではなく、添付の請求項の範囲において、変更および修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
公知の技術による、車両のハイドロダイナミック・ブレーキの一部の断面図である。
【図2】
本発明による、車両のハイドロダイナミック・ブレーキの一部の断面図である。
【図3】
図2のステータを示す図である。
【図4】
図2のステータにおける、ベーン、供給開口、および排出開口を示す図である。
【図5】
供給開口および排出開口の位置を詳細に示した、図4のステータのA−A断面を示す図である。
【図6】
低いフルネス係数において流体がどのように流れるかを示した図である。
【図7】
図5に示す断面に対応し、低いフルネス係数において流体がどのように流れるかを示した断面図である。
【図8】
図2に示すブレーキのステータおよびロータと、ロータの回転方向を示す図である。
(発明の背景および従来の技術)
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載のハイドロダイナミック・ブレーキに関する。
【0002】
補助ブレーキは、基本的にはトラックやバスなどの大型車両において、例えば長い下り坂でのブレーキングによってサービスブレーキなどの通常ブレーキが磨耗するのを防止するために使用される。このような補助ブレーキの例として、ハイドロダイナミック・リターダがあり、これはステータとロータの間の任意の適切なオイルによってブレーキ・モーメントを生成するものである。ステータとロータは、共にトロイド形のスペースを構成し、これはトーラスと呼ばれる。ロータと同様に、ステータには、複数のベーンが設けられており、オイルはロータの回転中にこれらのベーンによってトロイド形スペース内に導かれる。ブレーキング過程において、オイルの運動エネルギーは熱エネルギーに変換される。このために、オイルはトロイダル形スペースを出た後に冷却する必要がある。その後に、オイルを再びトロイダル形スペースに供給することができる。リターダは、車両の駆動輪のブレーキングを可能にする目的で、例えば車両のギアボックスに接続するプロペラーシャフトの位置で、車両のパワートレインに接続される。このリターダは、プロペラーシャフトに直接設けられるか、またはギアユニットを介して設けられる。プロペラーシャフトの回転数の低いとき、またはステータとロータの間のスペース、すなわちトロイド形スペースがオイルで充填されている場合には、リターダによるブレーキング効果はプロペラーシャフトの回転速度と共に増加し、リターダの出力ブレーキング・モーメントは、プロペラーシャフトの回転数に実質的に比例する。その結果、プロペラーシャフトのある回転数において、ある最大出力ブレーキング・モーメントが得られる。プロペラーシャフトの回転数の高いときには、出力ブレーキング・モーメントは、トロイド形スペースにおけるオイルのフルネス係数(coefficient of fullness)に依存する。この結果、前記スペースの圧力を制御することによって、出力ブレーキング・モーメントを調節することができる。リターダが出力ブレーキング・モーメントを生成し始める前に、ステータとロータの回りのスペースをオイルで充填する必要がある。このために、リターダはポンプおよびオイル・リザーバを備える。車両のプロペラーシャフトの速度が低いほど、ステータとロータの間のスペースを充填するのに要する時間は長くなる。この操作を速くするために、オイル・リザーバと接続されたオイル・アキュムレータが使用されることが多い。
【0003】
ハイドロダイナミック・リターダの作動媒体は任意の適切なオイルである。前述のように、オイルの運動エネルギーは、ブレーキング過程で熱エネルギーに変換される。オイルのオーバーヒートを避けるためには、トロイド形スペースを通過するオイル流が速いことが重要である。オイル流が速いと、オイルを効果的に冷却することができる。速いオイル流を得るために、ロータが特定の回転方向に回転するときに生成される圧力差が利用される。オイルがトロイド形のスペースから出た後に、車両の冷却水回路などの車両の冷却システム/熱交換器に導かれる。その後に、オイルはトロイド形スペースに戻すことができる。ブレーキ過程において大量の熱がリターダによって生成される結果として、冷却されたオイルを、リターダの冷却に使用できることに留意されたい。さらに、オイルの使用寿命は高温による影響を受け、オイルの温度が低く保たれている場合には、交換間隔における時間が減少することにも留意されたい。
【0004】
図1は、トラックなどの大型車両用の公知のリターダの部分を示す。公知のリターダは、ダブル・ロータ1、およびシャフト4を囲む2つのステータ2、3を備える。これによって2つのトロイド形スペース5が形成される。それぞれのトロイド形の内径は取入口6として、外径は取出口7として使用される。トーラスの内径に接続する前記取入口6を有することによって、流通チャネル8をシャフト4および取入口6の間に設ける必要がある。このために、このリターダ構造は、大きなスペースを占める。さらに、ロータが回転すると、取入口6の位置する領域と、取出口7が位置する領域との間で生成される圧力差が、比較的小さいことに留意されたい。結果的に、この構造によっては、作動媒体の高速流を得ることはできない。
【0005】
(発明の概要)
本発明の目的は、上記の問題を解消することである。特に、作動媒体をトロイド形スペースを通って高速で流すことのできる、すなわちブレーキのトロイド形スペースを通過して、単位時間当たり大量の流体を可能にする、ハイドロダイナミック・ブレーキをねらいとするものである。単位時間当たりの大量の流体は、流体が冷却媒体としても作用することを意味し、ブレーキ過程で生成される熱エネルギーは、流体によって除去することができる。本発明の別の目的は、ブレーキの寸法が小さいにもかかわらず、大きなブレーキング・モーメントを得ることのできるダイナミック・ブレーキを提供することである。
【0006】
これらの目的は、冒頭に述べた、請求項1の特徴部分に規定する特徴を有する、ハイドロダイナミック・ブレーキによって達成される。
【0007】
このような、ロータが特定の方向に回転するときに比較的低い圧力が生成される側の、ステータのベーンの近傍に設けられた前記の供給開口を有する、ハイドロダイナミック・ブレーキによって、ブレーキング・モーメントを迅速に得ることができる。これによって、ハイドロダイナミック・ブレーキが車両のパワートレインに接続された場合に、車両のドライバは、車両のリターダを使ってブレーキをかけたときに満足を感ずることになる。さらに、前記の供給開口の前記位置によって、冒頭に述べた公知のブレーキの場合のように、ロータリーシャフトとトロイド形スペースとの間にいかなる供給チャネルを設けることなく、回転するシャフトに直接隣接して、ブレーキを設けることが可能となる。
【0008】
本発明の実施形態によれば、前記供給開口は、ステータの半径方向外側の領域に配置される。この領域で圧力が最低になるという理由で、供給開口はこの領域に配置するのが有利である。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態によれば、供給開口はオリフィスを有し、これは少なくとも部分的に底面を切断する。このオリフィスは、ベーンを一部切断し、かつ底面を一部切断するように設けてもよい。別法として、オリフィス全体が、底面を切断するようにしてもよい。ベーンの第2の側部に接続するステータの外側領域には、ロータが前記回転方向に回転するとき、低いフルネス係数では、前記領域にはほとんど流体は存在せず、すなわちステータとロータの間のスペースのほんの一部のみが、流体で充填される。したがって、この領域で圧力は最低となる。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記供給開口は底面を貫通して延びる。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記供給開口は、回転軸に対して実質的に直角な長手方向軸を有する。前記供給開口の位置により、また供給開口が、回転軸に対して実質的に直角な長手方向軸を有するために、流体の供給は、トロイド形スペース内部の流体の流れ方向に行われることになる。このために、ステータとロータの間のスペース内での流体流は、感知されるほどに妨害されることはない。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記流体は、前記トロイド形スペースに、複数の供給開口を介して供給されるように構成されている。この供給開口は、ステータの外径に接続して設けられているために、リターダの寸法が小さいにもかかわらず、大きな供給領域を得ることができる。大きな供給領域を有することによって、トロイド形スペースを介してより迅速にオイルを回転させることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、実質的にステータの全ポケットに、供給開口が設けられる。これによって、ブレーキは非常に小型化することができる。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口は、ステータのベーンの前記第1の側部の近傍に設けられる。その結果、ロータの回転中にステータのベーンの両側で生成される圧力差を、流体の供給および排出のそれぞれに利用することができる。これによって、トロイド形スペースを通過する流体の速い流れを得ることができる。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口は、ステータの半径方向外側の領域に設けられる。前記供給開口および前記排出開口の両方とも、ステータの外側半径方向領域に有利に配置されるために、ステータおよびロータは、回転軸に隣接して配置することが可能であり、これは公知の技術によるブレーキでは不可能である。これによって、本発明によるステータとロータの外部寸法が公知技術によるブレーキよりも小さいのと同時に、ステータとロータとの間により大きな体積を得ることが可能であり、これはすなわちトロイド形スペースを、回転軸により近づけて配置することができ、かつトロイド形スペースの外径と内径の差を、本明細書で説明した従来技術によるブレーキの対応する差よりも大きくすることができ、また同時に本発明によるブレーキは、前記公知ブレーキよりも小さな外径を開示している。結果的に、本発明によるブレーキの利点は、従来技術によるブレーキよりも必要スペースが少ないこと、すなわちスペースを有効利用できることである。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口はオリフィスを有し、このオリフィスは、少なくとも部分的に底面を切断する。オリフィスは、部分的にベーンを切断すると共に、部分的に底面を切断するように設けてもよい。代替方法として、オリフィス全体が、底面を切断するようにしてもよい。ロータが前記回転方向に回転するときに、ベーンが底面から突き出ているベーンの第1の側部に接続するステータの外部領域において、流体流が最も厚くなるためにこの領域で圧力が最も高くなることに留意されたい。このために、排出開口が前記領域で終端するときに、最も効率的に流体を排出することができる。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記排出開口は、回転軸と実質的に平行な長手方向軸を有する。排出開口の前述の配置によって、かつ排出開口が回転軸と実質的に平行な長手方向軸を有するために、流体の排出はトロイド形スペースの流体の流れ方向に行われることになる。これによって、ステータとロータとの間のスペースの流体流は、感知できる程度には妨害されることがない。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記流体は、複数の排出開口を介して排出されるように構成される。この結果、トロイド形スペースから流体を迅速に排出することができる。さらに、本発明によるブレーキによれば、トロイド形スペースを通過して流れる流体量は、500ml/minに達することが可能であることに留意されたい。冒頭の説明において述べたように、流体はトロイド形スペースを出た後に冷却されて、その後にトロイド形スペースに戻される。この大量の冷却された循環流体によって、流体は、ブレーキ過程で発生する熱エネルギーをブレーキから除去するように構成された冷却媒体としても作用する。
【0019】
次に本発明を、添付の図面を参照し、好ましい実施形態を示して説明する。
【0020】
(発明の好ましい実施形態の詳細な説明)
図1は、自動車のハイドロダイナミック・ブレーキとしての形態のリターダの断面図である。公知のリターダについては、冒頭の記述において説明した。
【0021】
図2は、本発明による、モーター駆動車両のリターダの形態のハイドロダイナミック・ブレーキの部分の断面図である。リターダは、それぞれが環状凹部14、16を含む、環状ステータ10と環状ロータ12とを備える。ステータは複数のベーン18を備え、これらはステータの凹部14に設けられており、ロータ12は複数のベーン20を備え、これらはロータ12の凹部16に設けられている(図8も参照のこと)。装着状態において、環状ステータ10および環状ロータ12は、凹部14、16が共にトロイド形スペース24を形成するようにシャフト22を包囲する。リターダは、車両の駆動輪のブレーキングを可能にする目的で、車両のパワートレインに、例えば車両のギアボックスに接続する車両のプロペラーシャフト23の位置で連結する。リターダは、プロペラーシャフト23に直接設けてもよいし、図2に示すようなギアユニット25を介して設けてもよい。ステータ10は、適切な方法で車両に固定して設け、ロータは、シャフト22に固定して連結する。車両の推進中に、ロータ12は、ステータ10に対して図8に示すaの方向に、回転軸xの回りを回転するように構成する。
【0022】
図3および4において明らかなように、ステータ10は、複数の供給開口26および複数の排出開口28を備える。供給開口26および排出開口28は、ステータ10の半径方向外側領域30に配置する。各供給開口26は、回転軸xに対して実質的に直角の長手方向軸yを有し、各排出開口28は、回転軸xと実質的に平行な長手方向軸zを有する。
【0023】
図5は、供給開口26および排出開口28が、ステータ10のベーン18に対して、どのように位置するかを詳細に示している。
【0024】
図4および図8において明らかなように、ステータ10のベーン18は、2つの隣接するベーンが互いの間にポケット32を形成するように、ステータの環状凹部14を分割している。同様に、ロータ12のベーン20は、2つの隣接するベーン20が互いの間にポケット34を形成するように、ロータの環状凹部16を分割している。それぞれのポケット32の底面36は、ステータ10の2つの隣接するベーン18の間に延びている。さらに、底面36は、外側半径方向縁部38と内側半径方向縁部40との間に延びている(図3と比較のこと)。同様にそれぞれのポケット34の底面42は、ロータ12の2つの隣接するベーン20の間に延びている(図8と比較のこと)。さらに、底面42は、外側半径方向縁部(図示せず)と内側半径方向縁部(図示せず)との間に延びている。
【0025】
図8から明らかなように、ステータ10のポケット32は、ロータ12のポケット34に対向して開いている。またベーン18、20は、底面36、42に対して傾斜している。
【0026】
ロータ12が、回転軸xの回りに方向aに回転すると、比較的高い圧力が、ステータ10のそれぞれのベーン18の第1の側部44で生成され、比較的低い圧力が、ステータ10のそれぞれのベーン18の第2の側部46に生成される(図5を比較のこと)。
【0027】
ブレーキング過程では、ロータ12にブレーキをかけ、その結果として車両の駆動車輪にブレーキをかける目的で、例えば任意の適切なオイルなどの、静水圧液の形態の流体/作動媒体が、ステータ10の供給開口26を介して、トロイド形スペース24に供給されるように構成する。流体は、ステータ10の排出開口28を介して排出される。ブレーキング過程で、媒体は、ベーン20によって回転方向a、かつ半径方向外向きに、ポケット34の底面42に沿ってトロイド形スペース24内に導かれると共に、ロータ12のポケット34の外側半径方向縁部から、ステータ10のポケット32の外側半径方向縁部38へと、高速で放出される。流体は、ステータ10のベーン18に当たって、ロータ12の回転方向aの方向の流体の運動が減速されると共に、ステータ10のベーン18によって、半径方向内側にポケット32の底面36に沿って導かれて、内側半径方向縁部40にまで達する。これによって、ロータ12にブレーキがかかる角度で、流体がロータ12の回転するベーン20に当たる。
【0028】
トロイド形スペース24を流体で迅速に充填し、かつ迅速に空にするために、ステータ10の各ベーン18の回りに生成される圧力差を利用する。これによって、作動媒体/流体を、トロイド形スペース24を通過して迅速に回転/循環させることができる。このような作業媒体をできる限り迅速に回転させるために、図5を参照すると供給開口26には、ベーン18の第2の側部46の近傍に、底面36を切断するオリフィス48が設けてある。この領域では、圧力は最低であり、フルネス係数が低いとき、すなわちトロイド形スペース24のほんの一部だけが流体で充填されているとき、この領域にはほとんど流体は存在しない。図6および図7を参照すると、フルネス係数が低い場合にどのように流体が流れるかを示している。排出開口28は、ステータ10のベーン18の第1の側部44の近傍に、底面36を切断するオリフィス50を有する(図5と比較のこと)。この領域では、圧力が最高となり、フルネス係数が低いときに、流体はこの領域のみに存在する(図7と比較のこと)。本発明のハイドロダイナミック・ブレーキによれば、ベーン18の第1の側部44と、ベーン18の第2の側部46の間における圧力差は、35バールを超えることもある。
【0029】
トロイド形スペース24内の流体流をできるだけ妨害しないために、流体の供給および排出は、それぞれ実質的に流れの方向で行う。排出開口28においては、流れの方向は、回転軸xと実質的に平行である。その結果として、それぞれの排出開口の長手方向軸zは、図3に関連して前述したように、回転軸xと実質的に平行である。供給開口26においては、流れ方向は、実質的に回転軸xと直角である。その結果、それぞれの供給開口の長手方向軸yは、図3に関連して前述したように、実質的に回転軸xと平行である。
【0030】
本発明のブレーキによれば、トロイド形スペース24を流れる流体の量は、500l/minまで上げることができることに留意されたい。冒頭の説明で述べたように、流体は、トロイド形スペース24から出た後に冷却され、その後にトロイド形スペース24に戻される。この大量の冷却された循環流体量によって、流体は、ブレーキング過程でブレーキから発生する熱エネルギーを除去するように構成された冷却媒体としても作用する。
【0031】
本発明は、ここで示した実施形態にいかなる方法においても制約されるものではなく、添付の請求項の範囲において、変更および修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
公知の技術による、車両のハイドロダイナミック・ブレーキの一部の断面図である。
【図2】
本発明による、車両のハイドロダイナミック・ブレーキの一部の断面図である。
【図3】
図2のステータを示す図である。
【図4】
図2のステータにおける、ベーン、供給開口、および排出開口を示す図である。
【図5】
供給開口および排出開口の位置を詳細に示した、図4のステータのA−A断面を示す図である。
【図6】
低いフルネス係数において流体がどのように流れるかを示した図である。
【図7】
図5に示す断面に対応し、低いフルネス係数において流体がどのように流れるかを示した断面図である。
【図8】
図2に示すブレーキのステータおよびロータと、ロータの回転方向を示す図である。
Claims (13)
- それぞれが環状凹部(14、16)と、それぞれの部分の凹部(14、16)内に設けられた複数のベーン(18、20)とを備える、ステータ(10)およびロータ(12)を含むハイドロダイナミック・ブレーキにおいて、前記ベーン(14、16)が、2つの隣接するベーン(18、20)が互いの間にポケット(32、34)を形成するように前記それぞれの凹部(14、16)を分割しており、それぞれのポケット(32、34)の底面(36、42)が2つの隣接するベーン(18、20)間、および外側半径方向縁部(38)と内側半径方向縁部(40)との間に延びており、ステータ(10)およびロータ(12)の凹部(14、16)が共にトロイド形スペース(24)を形成するように、ステータ(10)およびロータ(20)が互いに同軸に設けられており、比較的高い圧力がステータ(10)の各ベーン(18)の第1の側部(44)に生成され、比較的低い圧力がステータ(10)の各ベーン(18)の第2の側部(46)に生成されるように、ロータ(12)が、ステータ(10)に対して回転軸(x)の回りで回転方向(a)に回転するように構成され、流体が、ロータ(12)にブレーキをかけるために、ロータ(12)の回転中に、少なくとも1つの供給開口(26)を介して、前記トロイド形スペース(24)に供給されるように構成されており、前記流体が、少なくとも1つの排出開口(28)を介して、前記トロイド形スペース(24)から排出されるように構成されているハイドロダイナミック・ブレーキであって、前記供給開口(26)が、ステータ(10)のベーン(18)の第2の側部(46)の近傍で、ステータ(10)に設けられていることを特徴とするハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記供給開口(26)が、ステータ(10)の半径方向外側領域に位置することを特徴とする、請求項1に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記供給開口(26)が、底面(36)を貫通して延びることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記供給開口(26)が、少なくとも部分的に底面(36)を切断する、オリフィス(48)を有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記供給開口(26)が、回転軸(x)に実質的に直角の長手方向軸(y)を有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記流体が、複数の供給開口(26)を介して、前記トロイド形スペース(24)に供給されるように構成されていることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 供給開口(26)がステータ(10)の実質的にすべてのポケット(32)に設けられていることを特徴とする、請求項6に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記排出開口(28)が、ステータ(10)のベーン(18)の前記第1の側部(44)の近傍に設けられていることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記排出開口(28)が、ステータ(10)の半径方向外側領域に(30)に位置することを特徴とする、請求項8に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記排出開口(28)が、底面(36)を貫通して延びることを特徴とする、請求項8および請求項9のいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記排出開口(28)が、少なくとも部分的に前記底面(36)を切断するオリフィス(50)を有することを特徴とする、請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記排出開口(28)が、回転軸(x)と実質的に平行な長手方向軸(z)を有することを特徴とする、請求項8から請求項11までのいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
- 前記流体が、ある数の排出開口(28)を介して排出されるように構成されていることを特徴とする、請求項8から請求項8までのいずれか一項に記載のハイドロダイナミック・ブレーキ。
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