JP2004500412A - B細胞リンパ腫の治療のための抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストおよび抗cd20の併用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、B細胞リンパ腫および白血病または非血液学的腫瘍を含む血液学的悪性腫瘍を治療するための併用治療法であって、抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを、B細胞の活性を不滅にする役割を果たすサイトカインの活性を阻害するために投与することを含む方法を開示する。このような抗体およびアンタゴニスト、特に抗IL10抗体およびアンタゴニストの投与は、特に血液学的悪性腫瘍細胞または固形細胞の化学療法剤および抗CD20または抗CD22抗体に対する抵抗性を回避低下させるのに有用である。本発明はまた、B細胞が関与する固形腫瘍の併用治療であって、抗サイトカイン抗体およびリツキサン(登録商標)等のB細胞枯渇抗体を投与することを含む方法を提供する。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、B細胞リンパ腫および白血病等の血液学的悪性病変を抗体およびアンタゴニスト等の抗サイトカイン剤によって治療する方法に関し、ここで標的とされるサイトカインは、Bリンパ腫細胞および白血病細胞を含めた血液学的悪性病変細胞を刺激することによって疾病過程において働きを高める作用を果たす。治療を抗サイトカイン剤と化学療法および治療抗体の投与等の他の既知の療法との併用で行うと、相乗効果が与えられることが見出されている。
【0002】
本発明はまた、B細胞の関与を特徴とする腫瘍である固形非血液学的(非リンパ性)腫瘍、例えば、結腸直腸癌または肝臓癌を、サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストの投与をB細胞の標的、例えばCD20に対する抗体による治療と併用することによって治療することも包含する。
【0003】
(発明の背景)
脊椎動物類(例えば、ヒト、類人猿、サル等を含む霊長類)の免疫系は、いくつかの器官および細胞からなり、これらは脊椎動物宿主に侵入した外来微生物(「抗原」)を正確かつ特異的に認識し、このような外来微生物と特異的に結合し、このような外来微生物を排除/破壊するように進化してきた。リンパ球は他の種の細胞と共に免疫系および外来微生物の排除および破壊にとっては重要である。リンパ球は、胸腺、脾臓および骨髄(成人)で産生され、ヒト(成人)の循環系に存在する全白血球細胞の約30%に相当する。リンパ球には2つの主要な副集団、T細胞およびB細胞がある。T細胞は細胞性免疫に関与するが、B細胞は抗体生産(体液性免疫)に関与する。しかしながら、T細胞とB細胞は典型的な免疫応答においては相互依存していると考えることができる。すなわち、T細胞受容体が抗原提示細胞表面上の主要組織適合性複合体(「MHC」)糖タンパクに結合する抗原のフラグメントに結合すると、T細胞が活性化され、このような活性化によって、本質的にはB細胞を刺激して分化させ、抗原に対する抗体(「イムノグロブリン」)を産生させる生物学的メディエイター(「インターロイキン」または「サイトカイン」)の分泌が引き起こされる。
【0004】
宿主内のB細胞は各々その表面上に異なる抗体を発現する。つまり、このように1つのB細胞は1つの抗原に対して特異的な抗体を発現し、一方、別のB細胞は、別の抗原に対して特異的な抗体を発現する。したがって、B細胞は非常に多様であり、この多様性が免疫系にとっては重要なのである。ヒトにおいては、個々のB細胞は非常に多く(すなわち、約107から108)の抗体分子を産生することができる。このような抗体産生は、外来抗原が中和されると止まる(あるいは実質的に低下する)のがいちばん典型的である。しかし、ときには、特定のB細胞の増殖が引き続き衰えず、このような増殖が結果として「B細胞リンパ腫」と呼ばれる癌となる。
【0005】
非ホジキンリンパ腫はBリンパ球の悪性成長を特徴とするリンパ腫の1種である。米国癌学会によると、推定54,000例の新しい症例が診断され、そのうち65%が中等度または高度のリンパ腫と分類される。中等度のリンパ腫と診断された患者は2から5年の平均生存率を有し、高度のリンパ腫と診断された患者は診断後平均6カ月から2年生存する。
【0006】
従来の治療法には化学療法および放射線療法があり、適切なドナーがいる場合、または採集したときに骨髄が余りに多くの腫瘍細胞を含んでいる場合、自己あるいは同種型の骨髄または幹細胞移植を伴なうことは可能である。患者は従来の療法に応答することが多いが、通常は数カ月以内に再発する。
【0007】
非ホジキンリンパ腫の治療の比較的新しいアプローチは、癌性B細胞の表面上のタンパク質に対するモノクローナル抗体で患者を治療するものである。この抗体はトキシンまたは放射線標識と結合させることができ、それによって結合後に細胞死を招く。あるいは、抗体が結合するとヒト抗体エフェクター機構が生成され、その結果アポトーシスまたは細胞死をおこすように、抗体をヒト定常領域で操作してもよい。
【0008】
リツキシマブ(Rituximab(登録商標)、IDECファーマシューテイカルズ・コーポレーション)は、B細胞リンパ腫および特に非ホジキンリンパ腫の治療のために開発された新世代のモノクローナル抗体の1つである。リツキシマブ(登録商標)は、ネズミの軽鎖および重鎖の可変領域およびヒトガンマのI重鎖およびカッパ軽鎖定常領域を有す遺伝子工学で創出された抗CD20モノクローナル抗体である。リツキシマブ(登録商標)は、ネズミの親物質よりも効果的に補体を修復し、またADCCを媒介し、またリツキシマブ(登録商標)はヒト補体の存在下でCDCを媒介する。この抗体はB細胞系FL−18、ラモス(Ramos)、ラジ(Raji)の細胞成長を阻害し、化学耐性のヒトリンパ細胞系をジフテリア毒、リシン(ricin)、CDDP、ドキソルビシンおよびエトポサイド(etoposide)に対して感作し、DHL−4ヒトB細胞リンパ腫系で用量依存的にアポトーシスを引き起こす。
【0009】
しかしながら、多くの患者は、化学療法と同様、リツキシマブ(登録商標)治療後に治療抵抗性を示したり、再発する。したがって、リンパ腫患者において寛解の可能性を高め、再発率を低下させるために、リツキシマブ(登録商標)治療または化学療法と併用することができるリンパ腫治療の必要性がまだ残されている。
【0010】
多くのグループが様々なタイプの癌の治療にサイトカインを使用することを提案してきた。例えば、ワン(Wang)らは、サイトカインが「腫瘍細胞に対して直接的に細胞毒性」を示すことを示唆し、インターロイキン−1アルファ(IL1α)がin vitroで数種のヒト腫瘍細胞に対する抗腫瘍薬の抗腫瘍効果を強化することを示した(Int.J.Cancer(Nov.27、1996)68(5):583−587)。ボンビダ(Bonvida)らは、サイトカインが、「化学療法剤の有効性を高める」可能性を有すことを開示しており、また組換え腫瘍壊死因子と化学療法剤シスプラチンが卵巣癌細胞に対して相乗効果を呈することを示している(Gynecol.Oncol.(Sept.1990)38(3):333−339)。米国特許第5,716,612号はIL−4が癌の治療において化学療法剤の効果を高めるために使用できることを教示している。
【0011】
しかしながら、いくつかのグループはまた、サイトカインがいくつかの癌の進行を妨害する役割を果たし得ることを確認している。例えば、インターロイキン−6(IL6)は、いくつかの事例において、白血病細胞のアポトーシスを阻害する能力があることが知られている(Yonish−Rouachら、「野性型p53は脊髄性白血病細胞のアポトーシスを誘発し、またインターロイキン−6によって阻害される」Nature 352:345−347(1991)参照)。近年、IL6が抗癌化学療法剤に対するいくつかの白血病細胞が耐性を示すことに役割を果たし得ること、およびin vitroで、抗IL6抗体がシスプラチン耐性のK562細胞のシスプラチンで誘導されるアポトーシスに対する感受性を高めることが示された(Dedoussisら「内在性インターロイキン6は、ジアミンジクロロプラチナに媒介されるK562ヒト白血病細胞系のアポトーシスに対する耐性を与える」参照)。
【0012】
B細胞に対する増強効果は、その生成がB細胞リンパ腫に由来するある細胞系でアップレギュレートされることが報告されているIL10についても当然あるとみなされている(Cortesら、「非ホジキンリンパ腫におけるインターロイキン−10」、Leuk Lymphoma 26(3−4):251−259(July、1997)参照)。しかしながらNHL患者の血清をIL10レベルと予後との間に相関性があるかについてテストしたところ、同種のオープン・リーディング・フレームBCFR1から生成され、エプシュタイン・バー・ウイルス(EBV)のゲノムに位置するウイルスのIL10レベルに、より有意性が見られた。事実、別のグループが、ほぼ同時期に、IL10がEBVが感染したリンパ腫細胞の自己分泌成長因子であると報告した(Beattyら、「EBVで形質転換されたB細胞系の自己増殖におけるIL10関与」、J.Immonol.158(9):4045−51(May 1、1997)参照)。一方、他のグループは、マクロファージによるIL6およびIL10の生成はリンパ球性疾病の発症に重要な役割を果たすのではないかと仮定している(米国特許第5,639,600号参照)。
【0013】
IL10がIL6、IL2およびTNF−アルファと組合せで作用し、非ホジキンリンパ腫細胞の増殖を高めることができるとの報告もなされている(Voorzangerら、「インターロイキン−(IL)10およびIL6が非ホジキンリンパ腫細胞によってin vivoで産生され、協同的な成長因子として作用する」Cancer Res、56(23):5499−505(Dec.1、1996)参照)。また、対照群と比較すると統計学的に有意に高いレべルのIL2、IL6、IL8、IL10、溶解性IL2受容体、溶解性トランスフェリン受容体およびネオプテリンがNHL患者で観察されたが、予後に重要な単一パラメータは見つからなかった(Stasiら、「新たに非ホジキンリンパ腫と診断された患者におけるサイトカインおよび溶解性受容体の測定の臨床的含意」Eur.J.Haemotol.54(1):9−17(Jan.1995)参照)。
【0014】
しかしながら、IL10等のサイトカインは疾病の進行との相関は示さず、またこのようなサイトカインは現実に疾病に貢献するというよりむしろリンパ腫の治療に有用となり得ることを示唆する文献が実際多く報告されている。例えば、Bonnefoixらが10種のサイトカイン(IL2、IL3、IL4、IL6、IL10、IL13、G−CSF、GM−CSF、インターフェロン・アルファ、およびインターフェロン・ガンマ)の、様々な組織学的サブタイプの非ホジキンBリンパ腫細胞の自然発生的増殖反応を調整する可能性をテストしたとき、各サイトカインがサンプルに依存して阻害的に働くかあるいは促進的に働くかのいずれかであり得ること、および組織学的に異なるサブタイプ間には何の関係もないことを発見した。事実、本明細書に引用によって掲載されている米国特許第5,770,190号は、急性白血病の治療法としてIL10の投与を化学療法剤と併用することを示唆している。
【0015】
抗サイトカイン抗体を取り入れた治療レジメン(regimen)を考案し、それによって、このような抗体が他種治療薬に対するBリンパ腫細胞の感受性を高めることが可能ならばリンパ腫患者には有益となろう。リンパ腫患者において化学療法剤に対するBリンパ腫細胞の耐性を回避するかまたは解消する目的で、また治療抗体のアポトーシス活性を強化する目的で抗サイトカイン抗体が投与されることが可能であれば、特に有用となろう。このような併用療法がリンパ腫患者に利用可能な治療法に加えられて、これら患者において再発率を減らす可能性がある。
【0016】
(発明の目的)
本発明の目的は、血液学的悪性細胞または固形非血液学的腫瘍細胞の、少なくとも1つの化学療法剤に対する耐性を回避、低下または解消する方法であって、血液学的悪性腫瘍と診断された患者に対して、少なくとも1つの化学療法剤の投与前、投与時、または投与後に抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを投与することを含む方法を提供することである。
【0017】
本発明のより具体的な目的は、血液学的悪性腫瘍細胞の、治療剤によって誘発されるアポトーシスに対する耐性を回避、低下、または解消する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを血液学的悪性腫瘍と診断された患者に対して投与することを含む方法を提供することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、化学療法後再発した血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、化学療法に対して治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらにもう1つの目的は、治療抗体による治療の後再発した血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0021】
本発明のさらにもう1つの目的は、治療抗体による治療に対して治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0022】
本発明のもう1つの目的は、B細胞リンパ腫患者を治療する方法であって、該患者に対して治療上有効量の抗CD20抗体を抗サイトカイン抗体と同時にまたは連続してどちらかの順番で投与することを含む方法を提供することである。
【0023】
本発明のもう1つの目的は、固形非血液学的(非リンパ)腫瘍を治療する方法であって、B細胞が抗サイトカイン抗体、例えば抗IL10抗体、および少なくとも1つのB細胞枯渇抗体(B cell depleting antibody)、例えば抗CD20抗体を投与することによって前腫瘍反応を誘発することを含む方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらに具体的な目的は、消化器系に関与する固形非リンパ腫瘍、殊に結腸直腸癌または肝臓癌を、抗サイトカイン抗体、好ましくは抗IL10抗体およびB細胞枯渇抗体、特に枯渇抗CD20抗体(depleting anti−CD20 antibody)を投与することによって治療する方法を提供することである。
【0025】
(発明の概要)
第1の態様において、本発明は、抗サイトカイン抗体およびサイトカインアンタゴニスト、特にIL10に対する抗体を、化学療法薬および/または治療抗体と併用投与して、血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫および白血病等)または固形非血液学的腫瘍(乳癌、卵巣癌、精巣癌他等)を有する患者の応答率を高め、および応答期間を延長することに関する。したがって、本発明は血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病等)を有する患者に対して、B細胞受容体に対する抗体および特定のサイトカインの作用を妨害する抗体またはアンタゴニストを投与することによって、血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病等)を治療する方法に関する。特に、本発明は、Bリンパ腫細胞のアポトーシスを開始するB細胞マーカーに対する抗体(抗CD20、抗CD22、抗CD40、抗CD23、抗CD19、抗CD37、および後で特定するもの等)、およびアポトーシスを妨害し得るサイトカインに対する抗体またはアンタゴニスト(例えば抗IL10)の投与に関する。抗サイトカイン療法(すなわち化学療法)からの恩恵をも受けるであろう他の治療法を含めた併用療法もまた包含される。これらの方法は、化学療法剤および治療抗体に対して耐性となった細胞によって特徴付けられる血液学的悪性腫瘍(Bリンパ腫または白血病等)を有する患者を治療するために特に使用される。
【0026】
第2の態様において、本発明は、サイトカイン(例えばIL10)に対する抗体の投与を、B細胞に特異的な抗体療法、特にB細胞枯渇抗体および好ましくはCD20抗体療法と組み合わせて、場合によっては、放射線療法または化学療法と組み合わせて投与することによって、B細胞が関与する、ただしB細胞起源ではない固形非血液学的(非リンパ系)腫瘍、特にB細胞が前腫瘍応答(pro−tumor response)を誘発する癌を治療する新規な方法を提供する。このような固形腫瘍の例には、結腸直腸癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、胃癌、頭頚部癌、卵巣癌、精巣癌、食道癌等がある。好ましい化学療法については後述する。これらの癌は前癌、病期Iおよび病期IIの癌、および進行癌、例えば、病期II以降および転移した固形腫瘍を含み得る。
【0027】
(発明の詳細な説明)
第1の態様において、本発明は、少なくとも1つの化学療法剤に対する血液学的悪性腫瘍細胞(例えばBリンパ腫細胞および白血病細胞を含む)の耐性を回避、低下または解消する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストをB細胞リンパ腫と診断された患者に投与することを含む方法を包含する。
【0028】
多くの場合、血液学的悪性腫瘍患者のB細胞によるこのような耐性は、1つまたは複数のサイトカインが、腫瘍形成性B細胞を、細胞がアポトーシス信号に反応しないように刺激することによって媒介される。このような場合、本発明の方法は、このような腫瘍形成性B細胞のアポトーシスに対する耐性を回避、低下または解消する方法であると記載し得る化学療法剤がアポトーシスを誘発する薬剤の例として挙げられる。また包含されるのは、B細胞の表面上の標的に向けられた治療抗体(抗CD19、抗CD20、抗CD22、抗CD40および抗CD28等)および後で特定される他のB細胞目標物に向けられた治療抗体である。
【0029】
患者が治療剤によって最初に治療を受けた後再発を起した後、または治療抵抗性を示した後に、B細胞の耐性が単に明らかになることが往々にしてあるため、本発明の方法は、化学療法または治療抗体による治療の後再発を起こしたりまたは治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病等)を有する患者を治療することを多くの場合包含することになる。しかしながら、本発明の抗サイトカイン抗体およびアンタゴニストはまた、新たにリンパ腫と診断された患者において、他の治療と併用してまたは他の治療の前に使用されて、再発率を減らしたり、また治療に対する応答期間の長さを延ばし得る。
【0030】
本発明の方法は、多種多様の血液学的悪性腫瘍(殊にはB細胞リンパ腫および白血病であって、軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽性NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病(bulky disease)NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom’s Macroglobulinemia);慢性白血球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球白血病、リンパ球性白血病、単核球性白血病、骨髄性白血病、および前骨髄球白血病を含むがこれらに限定されない)を治療するのに適切である。これらのリンパ腫が分類系の変更によってしばしば異なる名前を有することになること、および異なる名前の下で分類されたリンパ腫および白血病を有する患者も本発明の併用治療レジメンから恩恵を得ることは当業者には明らかであるはずである。
【0031】
例えば、ヨーロッパおよびアメリカ病理学者によって提唱された近年のシステムは、改定欧米リンパ腫(REAL)分類と呼ばれる。この分類システムでは、他の末梢B細胞新生物の中でも外套細胞リンパ腫および辺縁細胞リンパ腫を認めて、いくつかの分類項目を細胞学(すなわち小細胞、混合小および大細胞、大細胞)に基づく等級に選別している。このように分類されたすべてのリンパ腫が本発明の併用治療法から恩恵を受けるであろうことが理解されることであろう。
【0032】
米国国立癌研究所(NCI)は、次にREALクラスのいくつかをより臨床的に有用な「不活性」または「急速進行性」リンパ腫という呼称に分けている。不活性リンパ腫には、濾胞細胞リンパ腫が含まれ、細胞学的等級である、散在性小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ腫形質細胞増加症/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、辺縁層リンパ腫およびヘアリーセルリンパ腫に分類されている。急速進行性リンパ腫には、散在性混合大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/散在性小非分割細胞リンパ腫、リンパ芽リンパ腫、外套細胞リンパ腫およびAIDS関連リンパ腫が含まれる。必要とされるすべてのことは、前記抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与した結果、治療に対する応答性の程度または応答期間が延ばされることである。これらの方法は非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する患者を治療するために使用されることが最も好ましいが、ここで本発明者らは驚くべきことに抗サイトカイン抗体およびアンタゴニストの投与が相乗効果を有することを発見した。このようなサイトカインの効果および有害なサイトカインの特定は、個々の患者、個々のリンパ腫間で異なってもよいし、Bリンパ腫細胞の耐性に対する種々のサイトカインの影響は、個々の化学療法および免疫療法剤で異なってもよいので、個々の患者における各サイトカインのレベルは、抗サイトカイン治療を患者に施す前にテストすることが示唆される。
【0033】
第2の態様において、本発明は、B細胞がタンパク質応答(腫瘍成長および/または転移を促進する)を誘発する固形非血液学的腫瘍を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体(例えば、抗IL10抗体)およびB細胞標的に対する抗体(好ましくはB細胞枯渇活性を有する抗CD20抗体)を投与することを含む方法を提供する。しかしながら、本発明は後に特定される他のB細胞標的に対する抗体の使用を包含するものである。また、この態様はさらに化学療法および/または放射線療法の追加的使用を包含する。
【0034】
様々な化学療法剤が異なるタイプの癌の治療に適用されてきており、本発明の方法は、少なくとも1つ、しかしできれば数種のこれら化学療法剤に対する悪性腫瘍(例えばリンパ腫)細胞の耐性を回避、低下または解消することになる。特に、補助抗サイトカイン療法によって恩恵を得るであろう化学療法には、CHOP、ICE、ミトザントロン、シタラビン、DVP、ATRA、イダルビシン、へルザー(hoelzer)化学療法レジメン、ララ化学療法レジメン、ABVD、CEOP、2−CdA、FLAG&IDA(続いてG−CSF治療を施しても施さなくても可)、VAD、M&P、C−Weekly、ABCM、MOPP、DHAP、メトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、およびシスプラチンが含まれるが、これらには限定されない。他の化学療法剤は後の好ましい実施の形態に関連した項中で特定されている。
【0035】
種々のサイトカインが、白血病およびリンパ腫疾病含めた血液学的または非血液学的悪性腫瘍において、単独または他のサイトカインと協同して有害な刺激的役割を果たしている可能性がある。このように、患者あるいは疾病によっては、複数の抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストが、補助的治療法として特定の患者を利することがあり得る。そのようなサイトカインには、IL2、IL6、IL10およびTNF−アルファがあるがこれらに限定されない。他の適切なサイトカインが以下の好ましい実施の形態中で特定されている。非ホジキンリンパ腫については、好ましい抗サイトカイン療法に抗IL10療法が含まれる。
【0036】
現況技術では数個の抗IL−10抗体が知られており、本発明の目的のために使用し得る。米国特許第5,871,725号には19F1と命名されたラットの抗ヒト抗体が記載されている。別の抗IL10抗体であるアルファ−IL10は米国特許第5,837,293号に記載されている。抗IL10抗体はまた、Tim R.Mosmannら「固相ラジオ免疫吸着法使用によるIL−4、IL−5、IL−6および新Th2特異的サイトカイン(IL−10)に特異的なモノクローナル抗体、すなわち、サイトカイン合成阻害因子の単離」、(The Journal of immunology、145(9):2938−2945、Nov.1、1990)にも記載されている。アンタゴニストは受容体結合について競合するタンパク質の形態を取り、例えば、アンタゴニストは受容体活性化能に欠ける一方、IL−10結合またはIL−10結合分子(抗体等)を阻止する。または用語「抗体」は抗体全部のみならず抗体フラグメント(すなわち、Fab、Fab2、Fvフラグメント)も含むものと理解すべきである。抗体は別の動物をヒトIL−10で免疫化することによって単離し得るが、その後、その免疫性を低下させるために現況技術で知られている方法を使用して一旦、抗体をヒト患者に投与してヒト化してもよい。
【0037】
抗サイトカイン抗体の適切な投与量は、標的とされるサイトカイン、個々の患者の事前血清プロフィールの結果、治療されるリンパ腫のタイプおよび疾病の段階に依存する。新たに診断された軽度の非ホジキンリンパ腫の治療における抗IL10抗体については、好ましい投与量は0.001mgから100mg/kgの範囲、好ましくは約0.1から100mg/kg、最も典型的には、約0.4から20mg/体重kgであり、抗体が他の治療剤と同時に投与されるかまたは前もって投与されるかに依存している。好ましくは、抗サイトカイン抗体は化学療法剤または他の療法と同時または前もって投与され、典型的には、約1時間から約1カ月、好ましくは1日から7日、化学療法剤または他の作用剤の投与より前に投与される。
【0038】
また、本発明において包含されるのは、開示した方法を達成するためのキットである。本発明によるキットは、薬剤として許容される担体と簡単に混合されるかまたは再懸濁され、簡単にリンパ腫患者に注入し得る少なくとも1つの抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを含む。前記抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストの投与前にリンパ腫患者の血清を、好ましくはサイトカインプロフィールについてテストする場合、キットはまたあるいは代替として、患者の血清中の様々なサイトカイン個々の量をテストするための試薬および材料を含んでいてもよい。
【0039】
また本発明に包含されるのは、血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫および白血病等)を治療する併用治療法であって、血液学的悪性腫瘍を有する患者に治療上有効量の治療抗体を、抗サイトカイン抗体と同時にまたは連続していずれかの順番で投与することを含む方法である。治療抗体は血液学的悪性腫瘍細胞(例えば、腫瘍形成性B細胞)の表面上の受容体に結合する抗体であって、抗体がすなわち抗CD20、抗CD19、抗CD22、抗CD21、抗CD23、抗CD37および後に特定する他のB細胞標的と結合すると、抗体の破壊または消耗を媒介するものと定義される。本発明の抗サイトカイン剤は単独で、サイトカインに媒介される腫瘍形成性B細胞の増殖を阻害するという有益な効果を有するが、治療抗体の投与と抗サイトカイン剤とを併用投与すると応答期間および/または応答の程度が独立して適用した両方の治療の相加効果よりも良くなるという相乗効果を有する。
【0040】
次の理論に固執する気はないが、本発明者らは本発明の抗サイトカイン剤を併用投与することによって見られる相乗効果が、アポトーシスを阻害する効果を通常は有する目標となるサイトカインを阻害することに関与していると確信している。したがって、本発明の抗サイトカイン剤をアポトーシスを誘導することによって作用する剤(例えば、抗CD20、抗CD22、抗CD19、抗CD21、抗CD23、または抗CD40抗体)と併用すると、併用投与は、それぞれの剤の単独添加効果を超える良好な相乗効果を示す。
【0041】
にもかかわらず、これによって有効性がアポトーシスを通して促進されるのではない別の抗体または治療抗体との併用治療において本発明の抗サイトカイン抗体およびアンタゴニストの使用が除外されるものではない。例えば、放射線標識された抗体は、B細胞表面に結合し致死量の放射線を与えることによって腫瘍細胞の破壊を促進する。このような抗体ならびに毒素と結合された抗体もまた本発明の抗サイトカイン剤と組み合わせて使用され得る。好ましい放射線標識された抗体は、イットリウム−[90](90Y)で標識されたものである。特に好ましい放射線標識された抗体は、ゼベリン(IDECファーマシューテイカルズ株式会社)であって、これは90Yに結合された抗CD20抗体である。
【0042】
本発明の併用治療法はさらに、少なくとも1つの化学療法剤または化学療法を施すことを含むものであって、このような化学療法には、例えば、CHOP、ICE、ミトザントロン、シタラビン、DVP、ATRA、イダルビシン、ヘルザー化学療法レジメン、ララ化学療法レジメン、ABVD、CEOP、2−CdA、FLAG&IDA(続いてG−CSF治療を施しても施さなくても可)、VAD、M&P、C−Weekly、ABCM、MOPP、DHAP、ドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、メトトレキサートならびに後に特定されているその他の化学療法剤がある。非ホジキンリンパ腫患者の治療として好ましい化学療法レジメンは、CHOPである。抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストは、好ましくはB細胞標的抗体(例えば抗CD20、CD22、CD19またはCD40)および/または化学療法の前に投与され、したがって、サイトカインを標的とした結果としてB細胞治療法を施す前にBリンパ腫細胞の増殖が沈静化される。上記に記載されたように、標的のサイトカインは、中でもIL2、IL6、IL10またはTNF−アルファがあげられ、治療の前の患者のサイトカイン・プロフィールに依存する。しかし目標とされるサイトカインはIL10であることが好ましい。
【0043】
上記に述べたように、本発明の治療抗体はB細胞の表面上で発現される分子を標的とするどんな抗体でもよいが、特にB細胞枯渇活性を有するものがよい。適切なB細胞標的の一覧表が後に明記されている。
【0044】
患者および疾病の程度に依存して、抗B細胞標的結合抗体(例えばリツキシマブ(Rituximab(登録商標))が0.01から約100mg/kg、より好ましくは約0.1から50mg/kg、最も好ましくは約0.4から20mg/体重kgの範囲の投与量で投与され得る。抗サイトカイン剤を含む併用治療レジメンにおいて有効投与量は少なくなり得る。というのはBリンパ腫細胞の増殖可能性が減少されるからである。また、有効投与量は選択された抗サイトカイン療法および患者の血清のサイトカインの個々の増強レベルに依存することになる。
【0045】
本発明の併用治療法はまた広範のリンパ腫を治療するのにふさわしく、リンパ腫には軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症、慢性白血球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球白血病、リンパ球性白血病、単核球性白血病、骨髄性白血病、前骨髄球白血病があるがこれらに限定されない。好ましい標的疾病は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、特に軽度濾胞NHLである。また、抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストの投与の前に、リンパ腫患者の血清をサイトカインのプロフィールについてテストすることは有用であろう。
【0046】
既に論じたように、本明細書に提供された併用治療法、特に抗サイトカイン抗体(たとえば抗IL10)および抗B細胞標的抗体(例えば抗CD20)の併用使用もまた固形非血液学的(非リンパ)癌を治療するのに有用である。固形非血液学的(非リンパ)癌には、例えば、結腸直腸癌、肝臓癌、および他の消火器系癌、乳癌、食道癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、および精巣癌が含まれる。これらの癌は初期、中期または進行(たとえば転移)段階にあってもよい。
【0047】
本発明はまた、開示された方法による治療抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与するキットも包含する。キットは1種以上の治療抗体および1つ以上の抗サイトカイン剤を含んでいてもよい。キットはまた治療抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与する前にサイトカインプロフィールをテストする試薬および材料を含んでいてもよい。
【0048】
注記したように、本発明はさらに、抗サイトカイン抗体(例えば抗IL10抗体)およびB細胞特異的抗体、好ましくは実質的にB細胞枯渇活性を有する抗体(リツキサン(RITUXAN(登録商標))等)を投与することによって固形非リンパ腫を治療することを包含する。いくつかの固形腫瘍は明らかにB細胞が関与していると報告されている。すなわち、B細胞は腫瘍形成状態を促進または維持することに幾分関与し、このような腫瘍に対する体の免疫防御システムを妨害しているようだ。これに関し、本明細書に引用されて組み込まれているWO020864A1(バイオクリスタル(Biocrystal Inc.)が出願人であると明記)は、B細胞を標的とする抗体(例えば、Rituxan(登録商標))を使用した固形非リンパ系腫瘍の治療を記載している。この治療が進行性結腸直腸癌、肺癌および肝臓癌を有する患者においてさえも著しい抗腫瘍応答性を示すと報告されている。
【0049】
対照的に本発明は、改良された併用治療を提供するものであって、固形非リンパ系腫瘍が抗サイトカイン抗体(抗IL10等)およびB細胞枯渇抗体(抗CD20抗体の使用によって治療されるものである。
【0050】
この併用レジメンは固形腫瘍、特にB細胞が関与するがそれ自体は癌性細胞ではない腫瘍を治療する改良法を提供することになる。このレジメンではサイトカインアンタゴニスト(例えば抗サイトカイン抗体)およびB細胞枯渇抗体(例えばRituxan(登録商標)は別々にまたは共に、どういう順番でも投与される。
【0051】
加えて、このレジメンには、放射線治療(例えば外からのビーム照射、体全体の照射)、放射免疫療法または化学療法が含まれる。適切な化学療法は後に特定される。放射免疫療法は、固形腫瘍によって発現される標的に結合する放射性同位元素標識された抗体による治療を含む。
【0052】
典型的には、抗サイトカイン抗体はB細胞枯渇抗体の前に投与される。この併用療法はB細胞が関与しているいかなる固形腫瘍の治療にも適すると期待されている。適切な固形腫瘍の例は先に明記されている。1つ注意に値する例は、結腸直腸癌である。
【0053】
本実施の形態において、B細胞枯渇抗体およびサイトカインは、固形腫瘍部位に行き渡るように投与される。抗体は腫瘍部位の近くまたは直接腫瘍部位に、例えば腫瘍近辺の静脈に注射で注入されることが好ましい。
【0054】
本併合レジメンでは、固形腫瘍(例えば肺腫瘍または結腸直腸腫瘍)が結果として寛解または縮小する。
【0055】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
好ましい実施の形態および本発明の全範囲をさらに述べるために、下記の定義を行う。
【0056】
I.定義
「サイトカインアンタゴニスト」は、サイトカイン(例えばインターロイキンまたはインターフェロン)または別のサイトカインの発現および/または活性を阻害または阻止する化合物である。
【0057】
本明細書の「B細胞表面マーカー」または「B細胞標的」あるいは「B細胞抗原」はB細胞の表面で発現される抗原であって、そこに結合するアンタゴニストの標的となり得る抗原である。B細胞表面マーカーの例には、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78 CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86白血球表面マーカーが含まれる。特に興味あるB細胞表面マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比べてB細胞上で優先的に発現されるものであって、B細胞前駆体および成熟B細胞の両方で発現されるものである。1つの実施形態では、マーカーは、CD20またはCD19のように、幹細胞段階から形質細胞への最終分化の直前の時点までの系統分化の全体にわたってB細胞上で見られるものである。本明細書における好ましいB細胞表面マーカーは、CD19およびCD20である。
【0058】
「CD20」抗原は、35kDaの非グリコシル化リンタンパク質で、末梢血液またはリンパ系器官由来のB細胞の90%以上の表面に見られる。CD20は初期の前B細胞発生期間中に発現され形質細胞分化まで残っている。CD20は通常のB細胞のみならず悪性B細胞の両方の上に存在している。文献にあるCD20の別名には、「Bリンパ球に制約される抗原」および「Bp35」が含まれる。CD20抗原は、例えば、Clarkら、PNAS(USA)82:1766(1985)に記載されている。「CD19」抗原は、90kDa抗原であって、例えば、HD237−CD19または134抗体によって特定される(Kieselら、Leukemia Research 11、12:1119(1987))。CD20のように、CD19は幹細胞段階から形質細胞への最終分化の直前の時点までの系統分化の全体にわたって細胞上に認められる。アンタゴニストがCD19に結合することによってCD19抗原の嵌入がひき起こされ得る。
【0059】
「血液学的悪性病変」には、血流中の細胞に随伴するいかなる悪性病変も含まれる。その例として、BおよびT細胞リンパ腫、白血病であって、これには、軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽性NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症;慢性白血球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球白血病、リンパ球性白血病、単核球性白血病、骨髄性白血病、および前骨髄球白血病が含まれるが、これらに限定されない。これらのリンパ腫が分類系(先に記載)の変更によってしばしば異なる名前を有することになること、および異なる名前の下で分類されたリンパ腫および白血病を有する患者も本発明の併用治療レジメンから恩恵を得ることができることは当業者には明らかであるはずである。
【0060】
固形、非血液学的(非リンパ)腫瘍は、B細胞が関与する(つまりB細胞が前腫瘍応答にかかわる)非血液学的悪性腫瘍のことをいう。このような固形腫瘍は触診可能な、典型的には少なくとも直径0.5mm、より典型的には、少なくとも直径1.0mmの腫瘍であると特徴付けられる。その例としては、結腸直腸癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、頭頚部癌、胃癌、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮癌他が含まれる。これらの癌は、初期段階(前癌)、中期段階(段階IおよびII)または進行段階(たとえば転移した固形癌)にあってもよい。これらの固形癌はB細胞が前癌応答を誘発している癌であること、すなわち、B細胞の存在が腫瘍の進行、維持、または転移にかかわっていることが好ましい。
【0061】
B細胞「アンタゴニスト」は、哺乳動物中でB細胞表面マーカーに結合するや否やB細胞を破壊または枯渇させるかおよび/または、1つまたは複数のB細胞機能を、例えばB細胞によって誘発される体液性応答を減少させるかまたは防ぐことによって、妨害する分子である。アンタゴニストは、アンタゴニストによって処理された哺乳動物中でB細胞を枯渇させる(すなわち、循環しているB細胞のレベルを下げる)ことができることが好ましい。このような枯渇は、例えば、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)および/または補体依存性細胞毒性(CDC)、B細胞増殖阻害および/または(例えばアポトーシス経由で)B細胞死の誘導といった様々なメカニズムを通して達成し得る。本発明の範疇に含まれるアンタゴニストには、B細胞マーカーに結合し、場合によっては細胞毒性剤と結合されるかまたは融合される抗体、合成または自然配列のペプチドおよび小分子アンタゴニストが含まれる。好ましいアゴニストは抗体で、より好ましくはB細胞枯渇抗体である。
【0062】
「抗体依存性細胞媒介細胞毒性」および「ADCC」は、細胞に媒介される反応であって、Fc受容体(FcRs)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)を発現する非特異的細胞毒性細胞が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶菌をひき起こす反応である。ADCCを媒介する主要細胞、NK細胞はFcRIIIのみを発現するが、単核球はFcyRI、FcyRIIおよびFcyRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現はRavetchおよびKinet、Annu.Rev、Immunol 9;457−92(1991)の464頁、表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または5,821,337号に記載のようなin vitro ADCC分析を実行してもよい。このような分析用に有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいはまたは加えて、目的の分子のADCC活性は、例えばClynesら、PNAS(USA)95:652−656(1998)で開示されているような動物モデルにおいてin vivoで評価され得る。
【0063】
「ヒト・エフェクター細胞」はひとつ以上のFcRを発現しエフェクター作用をする白血球である。この細胞は、好ましくは少なくともFcyRIIIを発現し、ADCCエフェクター作用を実施する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血液単核球細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単核球、細胞毒性T細胞、および好中球が含まれ、中でもPBMCおよびNK細胞が好ましい。
【0064】
用語「Fc受容体」または「FCR」は抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。
【0065】
好ましいFcRは未変性配列(native sequence)のヒトFcRである。さらにまた、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)を結合するものであって、FcyRI、FcyRIIおよびFcyRIIIのサブクラスの受容体を含み、これら受容体の突然変異体および交互スプライス型もふくむ。FcyRII受容体には、FcyRIIA(活性受容体)、FcyRIIB(阻害受容体)が含まれ、これらは細胞質ドメインの配列が基本的に異なる類似アミノ酸配列を有す。活性受容体FcyRIIAは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を細胞質ドメインに含む。阻害受容体FcyRIIBは、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)をその細胞質ドメインに含む(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)参照)。FcRは、RavetchおよびKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991):Capelら、Immunomethods 4:25−34(1994);およびde Haasら、J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)を参照。その他のFcRは、将来特定されるものも含めて用語「FCR」で包括される。この用語はまた、新生児受容体FcRnを含み、これは母方IgGsを胎児に移す役割を荷う(Guyerら、J.Immunol.117:587(1976)およびKimら、J.Immunol.24:249(1994))。
【0066】
「補体依存性細胞毒性」または「CDC」は、分子が補体存在下で標的を溶菌する能力のことをいう。補体活性化経路は、補体系(Clq)の第一補体成分が同源抗原と複合体となっている分子(例えば抗体)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、CDC分析(例えばGazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されている)を行うことができる。
【0067】
「成長阻害」アンタゴニストは、アンタゴニストが結合する抗原を発現する細胞の増殖を防止したりあるいは減少させるものである。例えば、アンタゴニストは、in vitroおよび/またはin vivoでB細胞の増殖を防止したり減少させ得る。
【0068】
「アポトーシスを誘発」するアンタゴニストは、アネキシンVの結合、DNAのフラグメント化、細胞縮小、小胞体の拡大、細胞フラグメント化、および/または膜小胞(アポトーシス体)の形成等の標準アポトーシス分析で決定されるような(プログラムされた細胞死(例えばB細胞の細胞死)を誘発するものである。
【0069】
本明細書における用語「抗体」は、最も広範な意味で使用され、特に完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成される多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、および所望の生物学的活性を示す限りは抗体フラグメントも包含する。
【0070】
「抗体フラグメント」は、完全な抗体の部分、抗原結合領域または可変領域を含む部分が好ましい。抗体フラグメントの例にはFab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ(diabody)、直鎖抗体、単鎖抗体分子、抗原フラグメントから形成された多重特異的抗体が含まれる。
【0071】
「天然の抗体」は、通常へテロ四分節の約150,000ダルトンの糖タンパク質であり、2つの全く同一の軽鎖(L鎖)と2つの全く同一の重鎖(H鎖)からなる。各軽鎖は重鎖と単一の共有ジスルフィド結合で連結されているが、ジスルフィド結合の数は種々のイムノグロブリン・イソタイプの重鎖の間で異なる。各重鎖および軽鎖はまた、一定の間を開けた鎖間ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は一端に可変ドメイン(VH)を有し、続いて多くの定常ドメインを有する。各軽鎖は、可変領域を一端(VL)に有し、定常ドメインを他方の端に有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1定常ドメインと並んでおり、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並んでいる。特有のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖可変ドメイン間の境界面を形成していると思われる。
【0072】
用語「可変」は、抗体間で可変ドメインの特定部分の配列が大きく異なるという事実をいい、特定部分は特定の抗原に対する各特定の抗体の結合および特異性に使用される。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメイン中に均一に分布しているわけではない。軽鎖および重鎖可変領域の両者にある超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集結されている。可変ドメインのより高度に保存されている部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々4つのFRを含んでおり、多くがP字紙状をとり、3つの超可変領域によって結合されてループを形成し、3つの紙状構造をつなぎ、場合によってはその3つの紙状構造の部分を形成する。核鎖の超可変領域は一方の鎖由来の超可変領域と一緒に、FRによって極至近距離に保持されており、抗体の抗原結合部位の形成に貢献する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991))。定常ドメインは抗体抗原結合に直接的にはかかわっていないが、様々なエフェクター作用(抗体依存細胞性細胞毒性(ADCC)において抗体の関与等)を示す。
【0073】
抗体をパパインで分解すると、Fabフラグメントと呼ばれる2つの全く同一の抗原結合フラグメント(各Fabフラグメントは単一抗原結合部位を有す)と残りのFcフラグメント(この名前にたやすく結晶化する能力が反映している)が生成される。ペプシン処理によって2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2フラグメントを生じ、これは抗原とまだ架橋することができる。
【0074】
「Fv」は最小の抗体フラグメントであって完全な抗原認識および抗原結合部位を含んでいる。この領域は、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインが堅く非共有結合したダイマーからなる領域である。この形状では、各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用してVH−VLダイマーの表面に抗原結合部位を規定している。一括すると、6個の超可変領域は抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)であっても結合部位全体よりも親和性は低いが抗原を認識して結合する能力を有す。
【0075】
Fabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CHI)を含む。Fab’フラグメントは、抗体のヒンジ領域から1つまたは複数のシスチンを含む重鎖CHIドメインのカルボキシル末端に付加している数個の残基によってFabフラグメントとは異なる。その定常ドメインのシスチン残基が少なくとも1つの遊離チオール基を有すFab’を本明細書ではFab’SHと呼ぶ。F(ab’)Z抗体フラグメントは、その間にヒンジのシスチンを有す一対のFab’フラグメントとしてもともとは生成された。抗体フラグメントの他の化学的結合をすることも知られている。
【0076】
いかなる脊椎動物種由来の抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」も、その定常ドメインのアミノ酸配列が明らかに異なる2つのタイプ、カッパ(x)およびラムダ(k)の1つが割り当てられている。
【0077】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、抗体を異なるクラスに割り当てることができる。5つの主要クラスの完全な抗体:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、およびこれらのうちのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2)に分類されてもよい。異なるクラスの抗体に対応する重鎖可変ドメインはそれぞれa、8、s、yおよびRと呼ばれる。様々なクラスのイムノグロブリンのサブユニット構造および三次元形状はよく知られている。
【0078】
「単一鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、単一のポリペプチド鎖に存在しているVHおよびVLドメインを含む。好ましくはFvポリペプチドはさらにVHおよびVLドメイン間にポリペプチド・リンカーを含むことが好ましく、このリンカーによって抗原を結合させるに望ましい構造をscFvに形成させることができる。scFvについては、Pluckthun(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、vol.113、Rosenburg and Moore,eds.、Springer−Verlag、New York、pp269−315(1994))参照。
【0079】
用語「ダイアボディ」は2つの抗原結合部位を有する小抗体フラグメントのことをいい、該フラグメントは、軽鎖可変ドメイン(VL)と結合された重鎖可変ドメイン(VH)を同じペプチド鎖(VH−VL)中にふくんでいる。あまりに小さいので同じ鎖上で2つのドメイン間の対合ができないリンカーを使用することによって、ドメインは別の鎖の相補的ドメインとの対合が強いられて2つの抗原結合部位が創出される。ダイアボディについてはもっと十分に、例えばEP404,097;WO93/11161;およびHollingerら、Proc.Nad.Acad.Sci.USA、90:6444−6448(1993)に記載されている。
【0080】
本明細書の使用されている用語「モノクローナル抗体」は、実質的の同質の抗体の集団、(すなわち、集団が自然に起こり得る微量に存在しているかもしれない突然変異を除いて集団を構成する個々の抗体が同一である)から得られる抗体のことをいう。モノクローナル抗体は、高度に特異的であって単一の抗原部位に向けられている。さらに、種々の決定因子(エピトープ)に対して向けられる様々な抗体を典型的には含む従来の(ポリクローナル)抗体の調製と比較して、各モノクローナル抗体は抗原上の単一な決定因子に対して向けられている。その特異性に加え、モノクローナル抗体は、他のイムノグロブリンに汚染されていないハイブリドーマ培養によって合成されるという点で、有益である。修飾語である「モノクローナル」は、実質的に同質の抗体集団から得られた抗体の特徴を示しているのであって、なにか特殊の方法によって抗体を生成することを必要としていると解釈されるものではない。例えば、本発明にしたがって使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohlerら、Nature、256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作成されるかまたは組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)によって作成し得る。このモノクローナル抗体はまた、例えば、Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991)に記載の技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
【0081】
本明細書ではモノクローナル抗体には、重鎖および/または軽鎖の部分が特定の種に由来するかまたは特定の抗体またはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一かまたは相同であって、鎖の残りの部分が別の種に由来するかまたは別の抗体またはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一かまたは相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびに所望の生物学的活性を示す限りいかなる抗体のフラグメントも特に含まれる(米国特許第4,816,567;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855(1984))。本明細書中の目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えばヒヒ、アカゲザル、ヒヨケザル(cynomolgus monkey)等の古代ザル)由来の可変ドメイン抗原結合配列およびヒトの定常領域配列を含む「(霊長類化(primatized)」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
【0082】
非ヒト(例えばネズミ)抗体のヒト化型は、非ヒト・イムノグロブリン由来の配列を最小限含むキメラ抗体である。ほとんどの部分、ヒト化された抗体はヒト・イムノグロブリン(受益者抗体)であって、受容者の超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ラビット、非ヒト霊長類等の非ヒト種(提供者抗体)の超可変領域由来の残基によって置換されているヒト・イムノグロブリンである。ある例では、ヒト・イムノグロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化された抗体は、受益者抗体または提供者抗体中には見られない。これらの変更は、抗体性能をさらに改良するためになされる。一般に、ヒト化された抗体は実質的に少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にはすべてを含み、該可変ドメイン中では、超可変ループのすべてまたは実質的にはすべてが非ヒト・イムノグロブリンのループに対応しており、またFRのすべてまたは実質的にすべてがヒト・イムノグロブリン配列のFRである。ヒト化された抗体はまた、場合によっては少なくともイムノグロブリン定常領域(Fc)の部分、典型的にはヒト・イムノグロブリン部分を含むことになる。さらに詳細は、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)参照。
【0083】
用語「超可変領域」を本明細書で使用するときは、抗原結合の役割を担う抗体のアミノ酸残基のことをいう。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」(例えば軽鎖可変ドメインでは残基24から34(LI)、50から56(L2)および89から97(L3)残基、重鎖可変ドメインでは、31から35(H1),50から65(H2)、95から102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)由来のアミノ酸残基、および/または、「超可変ループ」(例えば、軽鎖可変ドメインでは残基26から32(L1)、50から52(L2)および91から96(L3)および重鎖可変ドメインでは26から32(H1)、53から55(H2)、および96から101(H3);ChothiaおよびLesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))由来のアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で規定された超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。目的の抗原(例えばB細胞表面マーカー)に「結合する」アンタゴニストは、抗原を発現する細胞を標的とする治療剤として有用であるように、十分な親和性および/または結合力を持って抗原に結合することができるものである。
【0084】
CD20抗原と結合する抗体の例には、「C2B8」、これはリツキシマブ(RITUXAN(登録商標)(米国特許第5,736,137号、引用によって本明細書中に明白に取り入れられている)と現在呼ばれている;「Y2B8」と呼ばれるイットリウム−[90]−標識された2138ネズミ抗体(米国特許第5,736,137号、引用によって本明細書中に特別に取り入れられている);131Iで任意に標識されたネズミIgG2a「131」であって「131I−B1」抗体(BEXXARTM)(米国特許第5,595,721号、引用によって本明細書中に特別に取り入れられている)を生成するもの;ネズミモノクローナル抗体「1F5」(Pressら、Blood 69(2):584−591(1987));「キメラ状2H7」抗体(米国特許第5,677,180号引用によって本明細書中に明確に取り入れられている)およびモノクローナル抗体L27,G28−2,93−1133、B−ClまたはNU−B2(International Leukocyte Typing Workshop(Valentineら、Leukocyte Typing III(McMichael,Ed.、p440、Oxford University Press(1987))が含まれる。CD19抗原と結合する抗体の例には、抗CD−19抗体(Hekmanら、Cancer Immunol.Immunother.32:364−372(1991)およびValsveldら、Cancer Immunol.Immunother.40:37−47(1995)およびB4抗体(Kieselら、Leukemia Research 11、12:1119(1987)が含まれる。
【0085】
本明細書の用語「リツキシマブ」(RituximabまたはRITUXAN(登録商標)は、CD20抗原に対して向けられた遺伝子工学で作成されたキメラネズミ/ヒトモノクローナル抗体のことをいい、特別に本明細書に引用されている米国特許5,736,137中ではC2B8」と命名されている。該抗体は、ネズミの軽鎖および重鎖可変領域配列およびヒト定常領域配列を含むIgGカッパ・イムノグロブリンである。リツキシマブは、約8.0nMのCD20抗原に対する結合親和性を有する。
【0086】
「単離」されたアンタゴニストは自然環境の成分から特定され、分離されおよびまたは回収されてきた。その自然環境の汚染成分は、アンタゴニストの診断用、治療用使用を妨害する物質であり、これには酵素、ホルモン、他のたんぱく質性または非たんぱく質性の溶質である。好ましい態様では、アンタゴニストは、(1)ローリー法により定量する場合、アンタゴニストの95重量%を上回って、より好ましくは99重量%を上回るまで(2)回転カップシークエンサーを使用することによって、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るに十分な程度まで、または(3)コマシーブルーまたは好ましくは銀染色を使用した還元または非還元状態でSDS−PAGEによって均一になるまで精製される。単離されたアンタゴニストには、組換え細胞内のin situでのアンタゴニストが含まれる。なぜなら、アンタゴニストの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかしながら通常は、単離されたアンタゴニストは少なくとも1つの精製工程によって調製されることになる。処置の目標となる「哺乳類」は、哺乳類(ヒト、家畜および農場動物:および動物園、スポーツ、またはペット動物(犬、馬、猫、牛等))に分類される動物なら何でもよい。哺乳動物はヒトであることが好ましい。
【0087】
「処置」は、治療的処置および予防的または防御手段のことをいう。治療を必要とするものは、既に疾病または疾患に罹患しているものならびに疾病または疾患にかかるのを防御すべきものである。したがって、哺乳類は疾病または疾患を有すると診断されていてもまたは疾病にかかり易いまたは受け入れやすくてもよい。
【0088】
「治療上有効量」という表現は、問題の自己免疫疾患を予防、改善または治療するために有効なアンタゴニストの量のことをいう。付加的治療のために明細書に使用されている用語「免疫抑制剤」は、本明細書中で治療される哺乳類の免疫系を抑制するかまたは遮蔽するような作用する物質のことをいう。これにはサイトカイン生成を抑制、または自己抗原の発現をダウンレギュレートまたは抑制するか、あるいはMHC抗原を遮蔽する物質が含まれる。
【0089】
このような抗原の例には、2−アミノ−6−アリール−5で置換されたピリミジン(本明細書に開示が引用されている米国特許4,665,077参照)、アザチオプリン、シクロホスホアミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプゾーン、グルタアルデヒド(これは米国特許4,120,649に記載されているように、MHC抗原を遮蔽する)、MHC抗原およびMHCフラグメントに対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、糖質副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン)、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(抗インターフェロン−y−(3、またはa抗体、抗腫瘍壊死因子−a−抗体、抗腫瘍壊死因子−(i抗体、抗インターロイキン−2抗体および抗IL−2受容体抗体を含む);抗LFA−1抗体(抗CD1Laおよび抗CD18抗体を含む)、抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;pan−T抗体、好ましくは抗CD3または抗CD4/CD4a抗体;LFA−3結合ドメインを含む溶解性ペプチド(WO90/08187、90年7月26日発行);ストレプトキナーゼ;TGF−0;ストレプトドルナーゼ;宿主のRNAまたはDNA;FK506;RS−61443;デオキシスパガリン;ラパマイシン;T細胞受容体(Cohenら、米国特許5,114,721);T細胞受容体フラグメント(Offnerら、Science 251:430−432(1991);WO90/11294;Ianeway、Nature、341:482(1989)およびWO91/01133);およびTLOB9等のT細胞受容体抗体(EP340,109)が含まれる。
【0090】
本明細書に使用されている用語「細胞毒性剤」は、細胞機能を阻害または阻止および/または細胞の破壊を引き起こす物質のことをいう。該用語は、放射活性同位元素(例えば、I131、Y90、Ar211、P32、Re188、Re186、Sm153、B212他)、化学療法剤、および小分子トキシンまたはバクテリア、菌類、植物または動物起源の酵素学的に活性なトキシン等のトキシン類、またはそれらのフラグメント)を含むことを企図する。
【0091】
「化学療法剤」とは、癌の治療に有用な化合物のことをいう。化学療法剤の例には、アルキル化剤(チオテパおよびシクロホスホアミド(CYTOXAN(登録商標))等);アルキルスルホン酸(ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン等);アジリジン(ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ等);エチレンイミンおよびメチルアメラミン(オルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレン燐アミド、トリエチレンチオ燐アミド、トリメチロロメラミンを含む);窒素マスタード(クロラムブシル、クロルマファジン、クロロホスホアミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロールエタミン、メクロールエタミンオキサイド塩酸塩、メルファラン、ノベムビーヒン(novembiehin)、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファアミド、ウラシルマスタード等);ニトロスウレア(カルマスチン、クロロゾトシン、ホテマスチン、ロマスチン、ニマスチン、ラニマスチン等)、抗生物質(アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリキアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモイニシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダムビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエロマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシデン(tubercidin)、ユベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等;抗代謝剤(メトトレキサート、および5−フルオロウラシル(5−FU)等);葉酸類似物(デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサート等);プリン類似物(フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等)、ピリミジン類似物(アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフアー、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FU等);アンドロゲン(カルステロン、ドロモスタノロンプロピン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン類;抗副腎剤(アミノグルテチミド、ミトーテン、トリロスタン等);葉酸補充剤(フロリニックアシッド等;アセガラトン;アルドホスホアミドグリコシド;アミノレブリン酸;アマサクリン;ベストラブシル;バイサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン;エリプチニウム酢酸;エトグルチド;硝酸ガリウム;水酸化尿素;レンチナン;ロニダミン;マイトグアゾン;マイトキサントロン;モピダモール;ナイトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリニックアシド;2−エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK(商標);ラゾキザン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾニックアシド;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マノムスチン;マイトブロニトール:マイトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスホアミド;チオテパ;タキソイド(例えば、パクリタキセル(TAXOLO、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、NJ)およびドキセタキセル(TAXOTEW、Rh6ne−Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル;ゲンシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトキシレート、プラチナ類似物(シスプラチン、カルボプラチン等);ビンブラスチン;プラチナム;エトポシド(VP−16);イホスホアミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ、イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;および薬剤として許容される塩、酸または上記の各誘導体が含まれる。また、この規定には、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤(抗エストロゲン等)が含まれ、これには例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、トレミフエン(Fareston)および抗アンドロゲン(フルタアミド、ニルタミド、バイカルタミド、レウプロリド、ゴセレリィン等);および薬剤として許容される塩、酸または上記の各誘導体が含まれる。
【0092】
用語「サイトカイン」は、細胞間メデイエーターとして別の細胞上で作用する1つの細胞集団によって分泌されるタンパク質の一般用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、伝統的ポリペプチドホルモンである。これらサイトカインの中でも、成長ホルモン(ヒト成長ホルモン、Nメチオニルヒト成長ホルモンおよび牛成長ホルモン等)、副甲状腺ホルモン;チロキシン;インシュリン;プロインシュリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン(卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)等);肝臓成長因子;フィブロブラスト成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子a、および−0;ミューラー管阻害物質;マウスゴナドロピン付随ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞成長因子;インテグリン;トロンボポイエチン(TPO);神経成長因子(NGF−P等);血小板成長因子;形質転換成長因子(TGFs)(TGF−aおよびTGF−0等);インシュリン様成長因子IおよびII;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン(インターフェロンα、Pおよびy等);コロニー刺激因子(CSF)(マクロファージCSF(M−CSF等);顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF);および顆粒球CSF(GCSF);インターロイキン(IL)(IL−1、IL−1a、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15等)、腫瘍壊死因子(TNF−aまたはTNF−P、および他のポリペプチド因子(LIFおよびキットリガンド(KL)を含む)がある。本明細書で使用されているように、用語サイトカインには、天然の供給源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質、および天然配列のサイトカインと生物学的に活性な同等物が含まれる。
【0093】
本出願で使用されている用語「プロドラッグ」は、親ドラックと比較すると腫瘍細胞に対してやや細胞毒性が低く、酵素的に活性化してまたは変換してより活性化された親医薬型にすることが可能な薬剤として活性な物質の前駆体または誘導体のことをいう。例えば、Wihnan、「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」Biochemical Society Transactios、14、pp.375−382、615th Meeting Belfast(1986)およびStellaら、「Prodrugs;A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery、Borchardtら、(ed)、pp.247−267、Humana Press(1985)参照。本発明のプロドラッグには、これらはより活性で細胞毒性の薬剤に変換可能である燐酸塩配合プロドラッグ、チオ燐酸塩配合プロドラッグ、硫酸塩配合プロドラッグ、ペプチド配合プロドラッグ、D−アミノ酸に修飾されたプロドラッグ、グリコシルされたプロドラッグ(3−ラクタムを含むプロドラッグ、場合によっては、置換フェノキシアセトアミド配合プロドラッグ、または場合によってはフェニルアセトアミド配合プロドラッグ、5フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれるがこれらに限定されない。本発明に使用するためプロドラッグ型に誘導され得る細胞毒性薬には上記に記載の化学治療剤を含むがこれには限定されない。
【0094】
「リポソーム」は、薬剤(本明細書に開示されているアンタゴニスト、場合によっては、化学療法剤等)を哺乳類に送達するのに有用な多種の脂質、燐酸脂質、および/または表面活性剤から構成される小胞である。リポソームの構成材料は、生物膜の脂質配置と同様に通例は二層型に配置されている。用語「添付文書」は、適応症、使用方法、用法用量、治療用製品の使用に関連する禁忌および/または警告についての情報を含む、治療用製品の商業用包装形態に通常含まれる説明書のことをいう。
【0095】
II.アンタゴニストの生成
本発明の製造方法、製造品は、B細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインに結合するアンタゴニストを使用するかまたは含む。したがって、このようなアンタゴニストを生成する方法を本明細書に記載する。アンタゴニストを生成するためまたはスクリーニングするために使用されるB細胞表面マーカーまたはサイトカインは、例えば、所望のエピトープを含む溶解型の抗原またはその一部であってよい。その代わりまたは加えて、アンタゴニストを生成またはスクリーニングするために細胞表面にB細胞表面マーカーを発現する細胞を使用することができる。アンタゴニストを生成するのに有利な他の形のB細胞表面マーカーは当業者には自明である。好ましくは、B細胞表面マーカーはCD19またはCD20抗原である。サイトカインはIL−10であることが好ましい。
【0096】
好ましいアンタゴニストは抗体であるが、抗体以外のアンタゴニストをここでは考えてみる。例えば、アンタゴニストには、場合によっては(ここに記載されているような)細胞毒性剤と融合または結合されている小分子アンタゴニストが含まれ得る。小分子ライブラリーを、目標のB細胞表面マーカーに対してスクリーニングして、抗原と結合する小分子を特定してもよい。小分子はさらにアンタゴニスト特性についてスクリーニングしておよび/または細胞毒性剤と結合してもよい。
【0097】
アンタゴニストは、合理的な設計またはファージ・デイスプレーによって生成され得る(例えば、WO98/35036、1998年8月13日発行を参照)。一態様においては、選択される分子は抗体のCDRにもとづいてデザインされた「CDR類似物」または抗体類似物であってよい。このようなペプチドはそれ自身アンタゴニスト的であるが、場合によってはペプチドのアンタゴニスト特性を加えるかまたは高めるために細胞毒性剤と融合されてもよい。
【0098】
本発明に従って使用される抗体アンタゴニストの生成の模範技術を次に記載する。
【0099】
ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、関連する抗原およびアジュバントの複数回の皮下注射(sc)または腹腔内(ip)注射によって動物中で生成されることが好ましい。免疫感作すべき種において免疫原性であるタンパク質(例えばキーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシ・チログロブリン、または二作用性または誘導剤(例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(シスチン残基経由で結合)、N−ヒドロキシサクシンイミド(リジン残基経由)、グルタルアルデヒド、無水琥珀酸、SOC12、またはR1N=C=NR(RおよびR1は異なるアルキル基))を使用している大豆トリプシン阻害剤)に対して対応する抗原を結合することが有用である。動物は、抗原、免疫原性結合体、または誘導体に対して、例えば(それぞれラビットまたはネズミに対して)タンパク質または結合体100pgまたは5wgと3体積のフロイント完全アジュバントとを併せ、その液を多部位に皮内に注入し免疫感作させる。1カ月後、その動物は、フロイント完全アジュバンド中ペプチドまたは結合体がもとの量の1/5から1/10で、多数部位に皮下注射することによってブーストされた。7から14日後、動物を放血させ血清を抗体力価について分析する。動物は力価がプラトーになるまでブーストされる。好ましくは、動物は、同じ抗原の結合体であるが、異なるタンパク質に対しておよび/または異なる架橋試薬を経て結合されたものでブーストされる。結合体はまた、タンパク質融合体として組換え細胞培養物中で作成できる。また、ミョウバン等の凝集剤は、免疫応答を高めるために適切に使用される。
【0100】
(ii)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に同種の抗体、すなわち少量で存在しているかもしれない自然発生の可能性のある突然変異を除いた細胞集団が同質である個々の抗体から得られる。このように、限定語「モノクローナル」は、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示している。例えば、モノクローナル抗体はKohlerら、Nature、256:495(1975)によって初めて記載されたハイブリドーマ法を使用して作成されるかまたは組換えDNA法(米国特許第4,816、567号)によって作製し得る。
【0101】
ハイブリドーマ法では、マウスまたはその他適宜な宿主動物(ハムスター等)を上記に記載されたように免疫感作し、免疫感作に使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を生成するかまたは生成することができるリンパ球を誘導する。または、リンパ球はin vitroで免疫感作されてもよい。リンパ球は骨髄腫細胞と適切な融合剤(ポリエチレングリコール等)を使用して融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、pp 59−103(Academic Press 1986)]。
【0102】
このように調製されたハイブリドーマ細胞は、未融合の親骨髄腫細胞の生育または生存を阻害する1つまたは複数の物質を好ましくは含む適切な培地に播種され生育される。例えば、もし親骨髄腫細胞が酵素ハイポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠いていたとしたら、ハイブリドーマの培地は概して、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる物質であるハイポキサンチン・アミノプテリンおよびチミジン(HAT培地)を含むことになる。
【0103】
好ましい骨髄腫細胞は、効率よく融合し、選択された抗体生成細胞によって抗体の安定で高度な生成を助け、HAT培地等の培地に感受性のある細胞である。中でも、好ましい骨髄腫細胞系は、Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、California USAから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍由来の細胞およびAmerican Type Culture Collection、Rockville、Maryland USAから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞である。ヒト骨髄腫細胞およびマウス・ヒトヘテロ骨髄腫細胞系もまたヒト・モノクローナル抗体を生成すると記載されている[Kozbor,J.Immunol.、133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987)]。
【0104】
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクロナル抗体の生成について分析する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈澱によって、または放射免疫測定法(RIA)または酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)等の免疫沈澱またはin vitro結合分析によって求められる。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonらのスカッチャード(Scatchard)分析(Anal.Biochem.、107:220(1980)によって求められる。
【0105】
ハイブリドーマ細胞が所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を生成することを確認した後、クローンを限界希釈法によってサブクローニングし、標準法によって生育させることができる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、pp.59−103(Academic Press、1986)。この目的のための適切な培地には、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。加えて、ハイブリドーマ細胞を動物において腹水腫瘍としてin vivoで生育してもよい。
【0106】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、培地、腹水または血清から従来のイムノグロブリン精製法(例えばタンパク質A−セファロース、ハイドロキシアパタイト・クロマトグラフィ、ゲル電気分解、透析、またはアフィニテイ・クロマトグラフ)によって適宜分離される。
【0107】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来法で(例えば、ネズミ抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子と特異的に結合することができるオリゴヌクレオチド・プローブを使用して)容易に単離され、シークエンスされる。ハイブリドーマ細胞はこのようなDNAの好ましい供給源となる。DNAは一端単離されると、発現ベクターに入れられ、ベクターは次に、イムノグロブリンタンパク質を別に生成しない宿主細胞(大腸菌、サルのCOS細胞、チャイニーズ・ハムスター卵胞細胞(CHO)または骨髄腫細胞等)にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体を合成する。抗体をコードしているDNAのバクテリア中での組換え発現についての参照論文には、Skerraら、Curr.Opinion in Immunol.、5:256−262(1993)およびPhickthun,Immunol.Revs.、130:151−188(1992)がある。
【0108】
さらなる実施の形態において、抗体または抗体フラグメントは、McCaffertyら、Nature、348:552−554(1990)に記載の技法を使用して生成された抗体ファージのライブラリーから単離することができる。Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991)はそれぞれ、ネズミおよびヒト抗体をファージ・ライブラリーを使用して単離することを記載している。その後の出版物では、大規模ファージ・ライブラリーを構築する戦略である鎖再編成(Marksら、BiolTechnology、10:779−783(1992)、ならびに組合せ感染およびin vivo組換えによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の生成を記載している(Waterhouseら、Nuc.Acids.Res.、21:2265−2266(1993)。したがって、このような技法は、モノクローナル抗体を単離するために伝統的抗体ハイブリドーマ技法にとって替わることが可能である。
【0109】
DNAはまた、たとえば、ヒト重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列を相同のネズミ配列の代りに置き換えること(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、81:6851(1984))によって、またはイムノグロブリンをコードする配列に対して非イムノグロブリン・ポリペプチドのすべてあるいは一部を共有結合することによって、変更してもよい。典型的には、このような非イムノグロブリン・ポリペプチドが抗体の定常ドメインにかわって置き換えられるか、またはこのペプチドは抗体の抗体結合部位の可変ドメインに代って置き換えられて、ある抗原に対して特異性を有する抗原結合部位と別の抗原に対して特異性を有するもう1つの抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を創生する。
【0110】
(iii)ヒト化された抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は現況技術に記載されている。好ましくは、ヒト化された抗体は非ヒトである供給源から該抗体に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有す。これらの非ヒトアミノ酸残基は「インポート」可変ドメインから一般的にとられるので、しばしば「インポート」残基と呼ばれる。ヒト化はWinterと同僚達の方法(Jonesら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science、239:1534−1536(1988)に従って基本的に行われるのであって、超可変領域の配列をヒト抗体の対応配列の代りに置き換えることによって行うことが可能である。従って、このようなヒト化された抗体は、キメラ抗体で(米国特許第4,816,567号)あって、完全なヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応配列によって置き換えられていることは実質的に少ないキメラ抗体である。実践では、ヒト化された抗体は概してヒト抗体であって、いくつかの超可変領域残基およびいくつかのFR残基が齧歯類抗体における類似部位由来の残基によって置き換えられているヒト抗体である。
【0111】
ヒト化された抗体を作製する際に使用される、軽鎖、重鎖両方のヒト可変ドメインの選択は抗原性を減少させるために重要である。いわゆる「最適」法によると、齧歯類抗体の可変ドメインの配列が、既知ヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。そして齧歯類の配列に一番近いヒト配列が、ヒト抗体に対してのヒトフレームワーク領域(FR)とされる(Simsら、J.Immunol、151:2296(1993);Chothiaら、J.Mol.Biol、196:901(1987))。もう1つの方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特殊なフレームワーク領域が使用される。同じフレームワークが数種の異なるヒト化された抗体に対して使用されてもよい(Carterら、Proc.Nad.Acad.Sci.USA、89:4285(1992);Prestaら、J.Immunol、151:2623(1993))。
【0112】
さらに、抗体を抗原に対する高親和性および他の好ましい生物学的特質を保持したままヒト化させることが重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従うと、ヒト化された抗体は、親の配列および親およびヒト化された配列の三次元モデルを使用して様々に概念的にヒト化された生成物を分析する方法によって調製される。三次元イムノグロブリン・モデルは、通常入手可能であり当業者には公知である。選択されたイムノグロブリン配列候補の推定される三次元構造を図表示するコンピューター・プログラムが利用可能である。これらの表示を詳細に調べることでイムノグロブリン配列候補の作用における残基の予想される役割の分析、すなわち、候補イムノグロブリンの抗体と結合する能力に影響を与える残基の分析が可能となる。このように、FR残基は受益者およびインポート配列から、所望の抗体特徴(目的抗原に対する親和性の増大等)が達成されるように選択され結合される。一般的に、超可変領域残基は、直接および最も実質的に抗原結合に影響する。
【0113】
(iv)ヒト抗体
ヒト化に代るものとして、ヒト抗体を生成することが可能である。例えば、免疫化されると内在性イムノグロブリン生成がない状態でヒト抗体の全範囲を生成することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を生成することが現在可能である。例えば、キメラ生殖細胞系変異マウスの抗体重鎖J領域(JH)遺伝子のホモ接合が欠損していれば結果として内在性抗体の生成が完全に阻害されることになる。ヒト生殖細胞系イムノグロブリン遺伝子アレイをこのような生殖細胞系変異マウスへの移入すると、抗原投与によってヒト抗体が生成される結果となる。例えば、Jakobovitsら、Proc.Mad.Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature、362;255−258(1993);Bruggermannら、Year in Immuno.、7;33(1993);および米国特許第5,591,669号,5,589,369号および5,545,807号参照。また、ファージ表示技法(McCaffertyら、Nature 348:552−553(1990))を使用して、ヒト抗体および抗体フラグメントが、未免疫化ドナー由来のイムノグロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからin vitroで生成できる。この技法によると、抗体Vドメイン遺伝子は、糸状性バクテリオファージ(M13またはfd)のメジャーまたはマイナー・コートタンパク質遺伝子のどちらかにインフレーム(in−flame)でクローンされ、機能的抗体フラグメントとしてファージ粒子の表面に表示される。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含んでいるので、抗体を機能的特質に基づいて選択するとそれらの特質を示す抗体をコードしている遺伝子を選択する事になる。このように、ファージはB細胞のいくつかの特質と類似する。ファージは様々なフォーマットで表示される。例えば、Johnson,Kevin S.およびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology 3:564−571(1993))参照下さい。V遺伝子セグメントの数個の供給源がファージ表示のために使用できる。Clacksonら、(Nature、352:624−628(1991))は抗オキサゾロン抗体の多様化したアレイを、免疫化されたマウスの脾臓由来のV遺伝子の小さなランダムに組み合わせたライブラリーから単離した。未免疫化ヒト供与者由来のV遺伝子のレパートリーが構築され、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、Marksら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991)またはGriffithら、EMBO J.12:725−734(1993)に記載の技法に本質的には従って単離することができる。また米国特許第5,565,332号および5,573,905号も参照。ヒト抗体はまたin vitroで活性化されたB細胞によって生成し得る(米国特許第5,567,610号および5,229,275号)。
【0114】
(V)抗体フラグメント
様々な技法が抗体フラグメントを生成するために開発されてきた。従来よりこれらのフラグメントは完全な抗体のタンパク質分解消化を経て得られた(例えばMorimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennanら、Science、229:81(1985)参照)。しかしながら、これらのフラグメントは現在では組換え宿主細胞によって直接生成することができる。例えば、抗体フラグメントは上記で記載された抗体ファージ・ライブラリーから単離可能である。またFab’−Sliフラグメントは大腸菌から直接回収できまた化学的に結合してF(ab’)2フラグメントを作ることが可能である[Carterら、Bio/Technology10:163−167(1992)]。もう1つのアプローチによると、F(ab’)2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離できる。他の抗体フラグメントを生成する別の技法は熟練者には明らかであろう。他の実施形態では、選択された抗体は一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO93/16185;米国特許第5,571,894号および米国特許第5,587,458参照。抗体フラグメントもまた、例えば米国特許第5,641,870号に記載のような直鎖抗体であってもよい。このような直鎖フラグメントは単一特異性または二重特異性であってよい。
【0115】
(vi)二重特異性抗体
二重特異性抗体は少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。典型的二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープ結合し得る。別のこのような抗体は、第1のB細胞マーカーに結合し、さらに第2のB細胞表面マーカーに結合する。また、抗B細胞マーカー結合アームは、T細胞受容体分子(例えばCD2またはCD3)またはIgG(FcyR)の受容体(例えば、FcyRI(CD64),FcyRII(CD32)、FcyRIII(CD16等)といった白血球上のトリガー分子と結合するアームと、B細胞に対する細胞防御機構に焦点をあわせるように、組み合わさっていてもよい。二重特異性抗体はB細胞に対して細胞毒性剤を局在化するために使用されてもよい。これらの抗体はB細胞マーカー結合アームおよび細胞毒性剤(例えば、サポリン(saporin)、抗インターフェロンa、ビンカ・アルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセートまたは放射活性アイソトープ・ハプテン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長の抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)Z二重特異性抗体)として調製できる。
【0116】
二重特異性抗体を作る方法は現況技術ではよく知られている。完全長二重特異性抗体を従来法で生成する場合は、2つのイムノグロブリン重鎖・軽鎖対(2つの鎖は異なる特異を有す)の共に発現させることに基づいて行う(Millsteinら、Nature、305:537−539(1983))。イムノグロブリン重鎖および軽鎖をランダムに組み合わせるために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ、quadroma)は、10個の異なる抗体分子の混合物を生成できてしまうが、その内ただ1つが正しい双特異的構造をもつのである。正しい分子の精製は、通常は親和性クロマトグラフィー工程で行われるが、これはどちらかといえば厄介で、生産量は低い。同様の手法がWO93/08829およびTrauneckerら、EMBO J、10:3655−3659(1991))に開示されている。
【0117】
異なるアプローチによると、所望の結合特異性を有する抗体の可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、イムノグロブリン定常ドメイン配列と融合されている。融合は、少なくともヒンジ部分、CH2およびCH3領域を含むイムノグロブリン重鎖定常ドメインと行うのが好ましい。軽鎖結合に必要な部位を含み、少なくとも1つの融合物中に存在する第1の重鎖定常領域(CH1)を有するのが好ましい。イムノグロブリン重鎖融合物、所望であれば、イムノグロブリンの軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入されて適切な宿主微生物中に共トランスフェクトされる。これによって、至適生成量が3つのポリペプチド鎖異なる割合で構築に使用されていることにより得られる実施の形態中、3つのポリペプチドフラグメントのお互い比率が高いフレキシビリテイをもって調節される。しかしながら、少なくとも2つのポリペプチド鎖が、同一量で発現されて高生成量となる場合、またはその割合が特に重要性をもたない場合に、2つまたは3つのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクター中に挿入することが可能である。
【0118】
本アプローチの好ましい実施の形態では、二重特異性抗体は、1つのアーム中の第1の結合特異性をもつハイブリッド・イムノグロブリン重鎖、および他のアーム中のハイブリッド・イムノグロブリン重鎖軽鎖対(第2結合特異性が与えられている)から構成されている。非対称構造によって、所望の二重特異性化合物が望ましくないイムノグロブリン鎖の組合せからの分離が容易になる。つまり、二重特異性分子の半分のみにイムノグロブリン軽鎖が存在するので、容易な分離方法が提供される。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体生成のさらなる詳細については、例えばSureshら、Methods in Enzymology、121:210(1986)を参照。
【0119】
米国特許第5,731,168号に記載されている別のアプローチによると、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最大にすることができる。界面は、抗体定常ドメインのうちCH3ドメインの少なくとも一部を含むことが好ましい。この方法では、第1抗体分子の界面由来の1つまたは複数の小さなアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)によって置換される。第2抗体分子の界面上には、大きな側鎖と同一あるいは同様のサイズの埋め合わせの「腔」が大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えばアラニンまたはスレオニン)で置換することによって作られる。これによって、ヘテロダイマーの生成量を、他の望ましくないホモダイマー等の最終産物を超えて増加させるためのメカニズムが提供される。
【0120】
二重特異性抗体には、架橋または「ヘテロ接合」抗体が含まれる。例えば、ヘテロ接合の抗体の1つはアビジンと結合可能であり、もう1つはビオチンと結合可能である。例えば、このような抗体が望ましくない細胞に対する免疫系細胞を標的とすること(米国特許第4,676,980号)が提案されておりまたHIV感染(WO91/00360、WO92/200373およびEP03089)の治療用として提案されている。ヘテロ接合抗体はどんな簡便な架橋方法を用いても作成し得る。適切な架橋剤は現況技術でよく知られており、米国特許第4,676,980号では多くの架橋技法と共に開示されている。
【0121】
二重特異性抗体を抗体フラグメントから生成する技術もまた文献に記載されている。たとえば、二重特異性抗体は化学架橋を使用して調製することが可能である。Brennanら、Science、229:81(1985)には、完全な抗体がタンパク質溶解で開裂されてF(ab’)2フラグメントが生成される方法が記載されている。これらのフラグメントはジチオール錯化剤ヒ酸ソーダの存在下還元されて近隣のジチオールを安定化させて分子内ジスルフィド形成を防ぐ。生成されたFab’フラグメントは、次にチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次にFab’−TNB誘導体の1つはメルカプトエチルアミンで還元されてFab’−チオールに再変換され、別の等分子量Fab’−TNB誘導体と混合されて二重特異性抗体を形成する。生成された二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用剤として使用可能である。
【0122】
最近の進展により、大腸菌からのFab’−SHフラグメントの直接回収が容易となり、化学的に結合されて二重特異性抗体を形成することが可能である。Shalabyら、J.Exp.Med.、175:217−225(1992)には十分にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)2分子の生成が記載されている。各Fab’フラグメントは別々に大腸菌から分泌されin vitroでの直接化学結合に供され二重特異性抗体を形成する。このように形成された二重特異性抗体はErbB2受容体を過発現している細胞および通常のヒトT細胞と結合できたばかりでなくヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶菌活性を誘発することができた。
【0123】
二重特異性抗体フラグメントを作成および組換え細胞培養物から直接単離するための様々技法もまた記載されてきた。例えば、二重特異性抗体はロイシン・ジッパーを使用して生成されてきた(Kostelnyら、J.Immunol.、148(5):1547−1553(1992))。FosおよびJunタンパク質由来のロイシン・ジッパー・ペプチドは2つの異なる抗体のFab’部分に遺伝子融合でリンクされた。抗体のホモダイマーはヒンジ領域において還元されモノマーを形成し、次に再び酸化されて抗体ヘテロダイマーを形成した。この方法はまた抗体ホモダイマーを生成するために利用され得る。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444−6448(1993)によって記載される「ダイアボディ」技法では二重特異的抗体フラグメントを作成するためのもう1つの機構が提供してされている。フラグメントは軽鎖可変ドメイン(VL)と、同じ鎖上の2つのドメインの間のペアを作るには短すぎるリンカーによって結合されている重鎖可変ドメイン(VH)が含まれる。
【0124】
したがって、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは他のフラグメントの相補的VLおよびVHドメインと対にさせられ、これによって2つの抗原結合部位を形成する。二重特異性抗体フラグメントを、一本鎖Fv(sFv)ダイマーを使用して作成する別の戦略も報告されている。Gruberら、J.Immunol.、152:5368(1994)参照。2原子価以上の抗体も考えられる。例えば三重特異性抗体が調製可能である。Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)。
【0125】
III.アンタゴニストの結合体および他の修飾法
該方法に使用されるかまたは本明細書で製造された製品に含まれるアンタゴニストは、場合によっては細胞毒性剤と結合されている。このようなアンタゴニスト−細胞毒性剤の結合体の生成に有用な化学療法剤は上記に記載してある。
【0126】
アンタゴニストおよびひとつまたは複数の小分子トキシン(カリキアマイシン、メイタンシン(maytansine)(米国特許第5,208,020号)、トリコセンおよびCC1065等)との結合物も本明細書では考えられる。本発明の実施形態では、アンタゴニストは、ひとつまたは複数のメイタンシン分子(例えばアンタゴニスト分子につき約1から約10メイタンシン分子)に結合される。メイタンシンは、例えば、May−SS−Meに変換され、これがMay−SH3に還元され、修飾されたアンタゴニストと反応して(Chariら、Cancer Research 52:127−131(1992))メイタンシノイド(maytansinoid)−アンタゴニスト結合体が生成される。
【0127】
また、アンタゴニストはひとつまたは複数のカリキアマイシン(calicheamicin)分子と結合される。抗生物質のカリキアマイシン族は、サブ−ピコモル濃度で二本鎖DNAの分断を生成することができる。使用可能なカリキアマイシンとの構造類似しているのは‘yJ1、a21、a31、N−アセチル−yl’、PSAGおよび011があるがこれには限られない(Hinmanら、Cancer Research、53:3336−3342(1993)およびLodeら、Cancer Research 58:2925−2928(1998))。
【0128】
使用可能な酵素学的に活性なトキシンおよびそのフラグメントには、ジフテリアA鎖、ジフテリア・トキシンの非結合活性フラグメント、エクソトキシン(exotoxin)A鎖(シュードモナス・エルギノーザ由来)、リシンA鎖、アブリン(abrin)A鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ−サルシン(sarcin)、41オイリテスフォルジ(41euritesfordii)タンパク質、ディアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI,PAPII、およびPAP−S)、モモルデイカ・キャランティア(momordica charantia)阻害剤、カーシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レスティクトシン(restictocin)、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコセシーン(tricothecenes)が含まれる。例えば1993年10月28日発行のWO93/21232を参照。
【0129】
本発明はさらに核溶解活性(例えば、リボヌクレアーゼまたはデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)等のDNAエンドヌクレアーゼ)を有する化合物と結合されたアンタゴニストを企図する。様々な放射活性同位元素が、放射活性結合されたアンタゴニストの生成に利用できる。例としては、Ate”,113’,1125、Y9o、Re186、Re188,Sm153,Bi212P32およびLuの放射活性同位元素が含まれる。アンタゴニストおよび細胞毒性剤との結合体は、様々な二機能性タンパク質カップリング剤(N−サクシンイミデイル−3−(2−ピリミジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、サクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−l−カルボキシレート、イミノチオレーン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジサクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビスアジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(pジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネート等)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)等を使用して作成され得る。例えば、リチン・イムノトキシンはVitettaら、Science 238:1098(1987)に記載されたように調製することが可能である。炭素14標識された1−イソチオシアネートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射活性ヌクレオチドとアンタゴニストを結合用の模範的なキレート剤である。WO94/11026参照。リンカーは細胞で細胞毒性ドラッグの分泌を促進する「開裂可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド配合リンカー(Chariら、Cancer Research 52:127−131(1992))を使用し得る。また、アンタゴニストおよび細胞毒性剤を含む融合タンパク質は、例えば組換え技法またはペプチド合成によって作成される。
【0130】
また別の実施の形態では、アンタゴニストは腫瘍を予備目標として使用するためには「受容体」(ストレプトアビジン等)と結合されていてもよく、この場合、アンタゴニスト・受容体結合体は患者に投与され、続いて未結合の結合体を循環系からキレート剤を使用して除去し、そして細胞毒性剤(例えば放射ヌクレオチド等)と結合されている「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。本発明のアンタゴニストはプロドラッグ(例えば、ペプチデイル化学療法剤、WO81/01145参照)を活性抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素と結合されてもよい。例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278参照。
【0131】
このような結合体の酵素成分には、プロドラッグをより活性な細胞毒性型に変換するようにプロドラッグに作用することができる酵素ならどれでも含まれる。本発明の方法に有用な酵素には、燐酸配合プロドラッグをフリードラッグ(free drug)に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;硫酸塩配合プロドラッグをフリードラッグに変換するのに有用なアリールサルファターゼ;無毒性5フルオロシトシンを抗癌剤5フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシン・デアミナーゼ;ペプチド配合プロドラッグをフリードラッグに変換するのに有用なプロテアーゼ(例えば、セラチア・プロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシルペプチダーゼ、およびカテプシン(カテプシンBおよびL等)等);Dアミノ酸代替物を含むプロドラッグを変換するのに有用なDアラニルカルボキシペプチダーゼ;グルコシル化されたプロドラッグをフリードラッグに変換するのに有用な炭水化物開裂酵素(1iガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ等):(3−ラクタムで誘導体化されたドラッグをフリードラッグに変換するのに有用な3−ラクタマーゼ;およびフェノキシアセチルまたはフェノキシアセチル基でそれぞれアミンナイトロジェンで誘導化したドラッグをフリードラッグに変換するのに有用なペニシリンアミダーゼ(ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼ等)が含まれるが、これらに限定されない。また、酵素活性を有する抗体、「アブザイム(abzyme)」としても現況技術では知られているが、本発明のプロドラッグをフリーの活性ドラッグに変換するのに使用可能である(例えばMassey、Nature 328:457−458(1987)参照)。アンタゴニスト−アブザイム結合体は、腫瘍細胞集団にアブサイムを行き渡らせるために本明細書に記載されたように調製できる。
【0132】
本発明の酵素は、現況技術によく知られている技法(上記に記載されているヘテロ二機能性架橋用試薬を使用する等)によって共有結合でアンタゴニストに結合できる。また本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部分と連結されている本発明のアンタゴニストの少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質が現況技術によく知られている組換えDNA技法を用いて構築することができる(例えば、Neubergerら、Nature、312:604−608(1984)参照)。
【0133】
本明細書ではアンタゴニストの別の修飾法が考えられる。例えば、アンタゴニストは様々な非タンパク質系ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー)の1つと連結されてもよい。本明細書に開示されているアンタゴニストはまた、リポソームとして処方されてもよい。アンタゴニストを配合するリポソームは、Epsteinら、Proc.Mad.Acad.Sci.USA 82:3688(1985).Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4030(1980);U.S.Pat.Nos.4,485,045および4,544,545;およびWO97/38731(1997年10月23日発行)に記載されているような現況技術に既知の方法で調製される。循環時間が高められたリポソームは米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0134】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、PEGに誘導されるホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成による逆相蒸発法で生成することができる。リポソームは規定サイズの孔を有するフィルターを通して押し出されると、所望の直径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab’フラグメントはMartinら、J.Biol.Chem.257:286−288(1982)に記載のリポソームとジスルフィド交換反応を経て結合することができる。場合によっては化学療法剤はリポソーム内に含まれる。Gabizonら、J.National Cancer Inst.81(19)1484(1989)参照。本明細書に記載されたタンパク質またはペプチド・アンタゴニストのアミノ酸配列の修飾も考えられる。例えば、アンタゴニストの結合親和性および/または生物学的特質の改善することが望ましい。
【0135】
アンタゴニストのアミノ酸配列変異は、アンタゴニスト核酸中に適切なヌクレオチドの変化を導入すること、またはペプチド合成によって調製される。このような修飾には例えば、アンタゴニストのアミノ酸配列内における残基の欠損および/または挿入および/または置換が含まれる。仮に最終構築物が所望の特質を有しているとすると、欠損、挿入、および置換のどのような組合せでも最終構築物に到達する。アミノ酸を変化させると、例えばグリコシル化部位の数または位置を変える等のアンタゴニストの翻訳後の過程を変化させることになる。
【0136】
変異誘発に好ましい場所であるアンタゴニストの特定の残基または領域を特定する有用な方法はCunninghamおよびWells Science、244:1081−1085(1989)によって記載される「アラニン・スキャニング変異誘発」と呼ばれる。よって残基または目的残基グループが(例えば、arg、asp、his、lys、およびglu等の荷電残基)と特定され、中性あるいはマイナスに荷電されたアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)によって置換され、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を与える。置換に機能的感受性を示すそのようなアミノ酸の位置を、更なるまたは別の変種を置換部位にまたは置換部位に代えて導入することで細かに区別する。このようにアミノ酸配列変異を導入するための部位は予め特定される一方、変異の性質自体は予め特定する必要はない。例えば、所与の部位における変異の性能を分析するために、目的コドンまたは領域にてアラニン・スキャニングまたはランダム変異誘発を行い、発現された変異種が所望される活性についてえり分けられる。
【0137】
アミノ酸配列の挿入物には、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドにわたる長さのアミノおよび/またはカルボキシル末端の融合物、ならびに1または多数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含まれる。末端挿入物の例には、N末端メチオニン残基を有するアンタゴニストまたは細胞毒性のポリペプチドと融合されたアンタゴニストを含む。他のアンタゴニスト分子の挿入変異種には、アンタゴニストの血清半減期を増加させる酵素またはポリペプチドのアンタゴニストのN末端またはC末端に対する挿入物が含まれる。
【0138】
別のタイプの変異にはアミノ酸置換変異種がある。これらの変異種は別の残基によって置換されたアンタゴニスト分子中に少なくとも1つのアミノ残基を有す。抗体アンタゴニストの置換変異誘発の最も興味深い部位には超可変領域があるが、FR変化もまた考えられる。
【0139】
保存的置換を「好ましい置換」と見出し下の表1に示す。もしこのような置換が結果として生物学的活性を変化されるとしたら、表1またはさらに下記に記載するように、アミノ酸クラスを参照して「典型的置換」と称すより多くの置換的変化がスクリーンされた生成物に導入される。
【0140】
【0141】
アンタゴニストの生物学的特質における実質的修飾は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えばシートまたはらせん構造等、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩を維持することに対するその影響が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。自然に発生する残基は、共通の側鎖の特質に基づいたグループにわけられる。
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中間的親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:gly、pro;および
(6)芳香性:trp、tyr、phe。
【0142】
非保存性置換は、これらのクラスの1つのメンバーと他のクラスとを交換することを伴う。
【0143】
分子の酸化安定性を改善し異常な架橋を防ぐために、アンタゴニストの適正な構造を維持することに係わらないシスチン残基であればどれでも通常はセリンと置換し得る。逆に安定性を改良するために、アンタゴニスト(特にアンタゴニストがFvフラグメントのような抗体フラグメントである場合)にシスチン結合を添加してもよい。
【0144】
特に好ましいタイプの置換変異種は、1つまたは複数の親抗体の超可変領域の置換を含む。通常、更なる進展のために選択された異種は、そこから生成された親抗体に対して生物学的特質が改良されることになる。このような置換変異種を生成する簡便な方法は、ファージ表示を使用する親和性成熟である。要するに、いくつかの超可変領域部位(例えば6から7部位)が変異化され、各部位に可能性のあるすべての置換を生成する。このように生成された抗体変異種は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物に対する融合物として、糸状ファージ粒子から単一分子価で表示される。該ファージに表示された変異種は、次に本明細書中で開示されたその生物学的活性(例えば結合親和性)についてふり分けられる。修飾のための候補となる超可変領域部位を特定するために、アラニン・スキャニング変異誘発を行い、抗原結合に顕著に貢献する超可変領域残基が特定される。別にあるいは加えて、抗体と抗原間の接合点を特定するために、抗原・抗体複合体の結晶構造を分析することが有益であろう。このような接合残基とその近傍の残基は本明細書で詳述した技法による置換候補である。このような変種が一度生成されると、変種団が本明細書で記載されたスクリーニングに供され、1つまたは複数の関連分析に優れた性質を有する抗体がさらなる開発のため選択され得る。
【0145】
別種のアンタゴニストのアミノ酸変種は、アンタゴニストのもともとのグリコシル化・パターンを変える。変えることは、アンタゴニストにおいては1つまたは複数の炭水化物部分の欠損が見られることを、および/またはアンタゴニト中には存在しない1つまたは複数のグリコシル化部位が添加することを意味する。
【0146】
ポリペプチドのグリコシル化は、一般的にNリンクまたはOリンクのどちらかである。Nリンクは炭水化物部分をアスパラギン残基の側鎖に対して付加することをいう。トリペプチド配列、つまり、アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(Xはプロリン以外のアミノ酸)が炭水化物部分のアスパラギン側鎖に対する酵素的付加の認識配列である。このように、ポリペプチドにおいてこれらトリペプチド配列のどれかが存在することによって、潜在的グリコシル化部位が創出される。Oリンクのグリコシル化はN−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースの糖のいずれかひとつがヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはスレオニン(5ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンも使用してもよい)に対する付加のことをいう。グリコシル化部位をアンタゴニストに付加することは、アミノ酸配列を(Nリンクグリコシル化部位の場合)1つまたは複数の上記記載のトリペプチド配列含むように変更させることによって簡単に達成される。この変更はまた、(Oリンクのグリコシル化部位の場合)もともとのアンタゴニストの配列に対して1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基を付加または置換する事によって行い得る。
【0147】
アンタゴニストのアミノ酸配列変種をコードする核酸分子は、現況技術に知られている多くの方法を使用して調製される。これらの方法には、(自然派生するアミノ酸配列変種の場合は)天然供給源からの単離、またはオリゴヌクレオチドに媒介される(または部位に向けて行われる)変異、PCR変異およびアンタゴニストの初期調製変種または非変種物のカセット変異による調製が含まれるがこれらには限定されない。
【0148】
エフェクター作用については、例えば、アンタゴニストの抗原依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)および/または補体依存細胞毒性(CDC)を高めるように本発明のアンタゴニストを修飾することは望ましい。これは1つまたは複数のアミノ酸置換を、抗体アンタゴニストのFc領域に導入することにより達成され得る。別にまたは付加的に、シスチン残基をFc領域に導入して、これによってこの領域に鎖内ジスルフィド結合形成をしてもよい。このように生成されたホモ二量体抗体がインターナリゼーション能力を高め、および/または補体媒介される細胞死および抗体依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)を増加させてきたかもしれない。Caronら、J.Exp.Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992)参照。抗腫瘍活性が高められたホモ二量体抗体はまた、Wolffら、Cancer research 53:2560−2565(1993)に記載されたように、ヘテロ二作用性クロスリンカーを使用しても調製され得る。また、二重Fc領域を有する抗体が工作でき、これによって補体の溶菌およびADCC能力が高められ得る。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design 3:219−230(1989)参照。
【0149】
アンタゴニストの血清半減期を増加させるために、例えば米国特許第5,739,277号に記載のように、アンタゴニスト(特に抗体フラグメント)にサルベージ受容体結合エピトープを入れてもよい。本明細書で使用された、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」はIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)Fc領域のエピトープをいい、in vivoでの血清半減期を増加させることに関与する。
【0150】
IV.医薬製剤
本発明によるアンタゴニストの治療用製剤が、所望の純度を有する1種または複数のアンタゴニストを任意の薬剤として許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol.A.Ed.(1980)と混合して冷凍乾燥製剤または水性溶液の形に貯蔵用として調製される。許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用される投与量および濃度でレシピエントに無毒であって、緩衝液(燐酸、クエン酸、他の有機酸等);抗酸化剤(アスコルビン酸、メチオニンを含む);保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;ヘキサメソニウムクロライド;ベンズアルコニウムクロライド;ベンズエソニウムクロライド;フェノール;ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン:セタコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;m−クレゾール);低分子量(約10残基以下)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、またはイムノグロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含むモノサッカライド、ジサッカライド、および他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;シュークロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール等の糖;ナトリウム等のカウンターイオンを作る塩;金属複合体(例えば、Znタンパク複合体);および/または;ツイーン(TWEEN)(登録商標)、プルロニクス(PLURONICS)(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン系表面活性剤が含まれる。
【0151】
典型的抗CD20抗体製剤がWO98/56418に記載されており、引用によって明確に本明細書にとり入れられている。この公報には40mg/mLのリツキシマブ、25mM酢酸、150mMトレハロース、0.9%ベンジルアルコール、0.02%ポリソルベート20(pH5.0)を含んだ、2から8℃にて2年の最小貯蔵期間を有する液体の複数回投与用製剤が記載されている。別の所定の抗CD20製剤は、9.0mg/mL塩酸ナトリウム中にいれた10mg/mLリツキシマブ、7.35mg/mLクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLポリソルベート80、注射用滅菌水、PH6.5が含まれる。皮下投与用に適する冷凍乾燥組成はWO97/04801に記載されている。このような冷凍乾燥組成は、適切な希釈剤で高タンパク質濃度に戻され、この戻された組成が本明細書で処理される哺乳類に皮下投与されてもよい。
【0152】
本明細書の製剤はまた、特定の兆候を治療するのに必要なひとつ以上の化合物zi;好ましくはお互いに不利に影響しあわない相補的活性を有するものを含んでいてもよい。例えば、細胞毒性剤、化学療法剤、サイトカインまたは免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン等のT細胞上で作用するもの、T細胞と結合する抗体、例えばLFA−1と結合するもの)がさらに提供されることが望ましい。このような他剤の有効量は、組成中に存在するアンタゴニストの量、疾病または疾患もしくは治療のタイプ、および上記に記載した他のファクターに左右される。これらは、上記で使用したような同じ投与量および同じ投与ルート、または上記で使用された投与量の約1から99%で一般的に使用される。
【0153】
活性成分は、例えばコアセルベーション(coacervation)技法または界面ポリメリゼーションによって調整されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンのマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中に、コロイド状ドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミン微細球、マイクロエマルジョン、ナノ−パーティクルおよびナノカプセル)中、またはマクロエマルジョン中に閉じこめられてもよい。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol,A.Ed(1980)に開示されている。
【0154】
持続放出調製物を調製してもよい。持続放出調製物の適切な例には、アンタゴニストを含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれる。このマトリックスは、成形品(例えばフィルムまたはマイクロカプセル)になっている。持続性分泌マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシメチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,919)、L−グルタミン酸とyエチルL−グルタミン酸のコポリマー、非生分解性エチレンー酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸/グリコール酸コポリマーおよびロイプロリド酢酸からなる注入可能な微細球化合物)等の生物分解性乳酸/グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸が含まれる。
【0155】
in vivo投与に使用される製剤は殺菌されていなければならない。これは、殺菌した濾過膜を通して濾過することで容易に達成される。
【0156】
V.アンタゴニストによる治療
B細胞表面抗原に結合するアンタゴニストを含む組成物およびサイトキシン・アンタゴニスト(例えば抗体)を含む組成物は、両方とも同じ組成物中に配合され、服用量に分けられ、適切な医学的慣習に合致した方法で投与され得るであろう。好ましくは、抗サイトカインは、抗IL10抗体を含んでおり、B細胞アンタゴニストはB細胞枯渇抗体、好ましくはリツキサン(登録商標)等の抗CD20抗体を含むことになる。本文章中で考慮される因子には、治療される特定の疾病または疾患、治療される特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、疾病または疾患の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与スケジュール、医療従事者に知られている他の要因が含まれる。投与すべきアンタゴニストの治療上有効な量はこのようなことを考慮することによって決定される。
【0157】
一般的に、非経口的に投与されるアンタゴニストの治療上有効な1回当たりの量は、患者の体重当たり1日約0.1から20mg/kgの範囲であって、使用されるアンタゴニストの初期範囲は、通常2から10mg/kgであるといわれている。
【0158】
好ましいアンタゴニストは、例えば細胞毒性剤と結合されていないリツキサン(登録商標)のような抗体である。未結合の抗体の適切な投与量は、例えば、約20mg/m2から約1000mg/m2である。ある実施の形態では、抗体の投与量は、現在リツキサン(登録商標)について推奨されている量とは異なる。例えば、実質的に375mg/m2未満の抗体(1回の服用量は、約20mg/m2から約250mg/m2、例えば、50mg/m2から約200mg/m2の範囲である)を1回かまたは複数回で、患者に投与してもよい。
【0159】
さらに、抗体の初回投与量を1回または複数回投与したあと、後続投与量を1回または複数回投与する。ここで、後続投与量の抗体のmg/m2は、初回投与量の抗体のmg/m2より多い。例えば、初回投与量は、約20mg/m2から約250mg/m2(例えば、50mg/m2から約200mg/m2)の範囲であって、後続投与量は約250mg/m2から約1000mg/m2の範囲でよい。
【0160】
しかしながら、上記に注釈したように、これらのアンタゴニストの示唆量はかなり治療的裁量にゆだねられる。適切な投与量および投与スケジュールを選択する際の重要な因子は、上記に記載された様に、得られる結果である。
【0161】
例えば、進行性の急性疾病の治療用には、比較的高い投与量が最初に必要とされるであろう。最も有効な結果を得るためには、疾病または疾患によってはアンタゴニストを疾病または疾患の最初の兆候、診断、出現または発生のあったできるだけ近時に、または疾病および疾患の緩解期に投与することである。
【0162】
アンタゴニストは、つまり、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻腔内および、望ましくは、局所的免疫抑制のためには病変内投与、を含めた手段のうち適宜な手段で投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。
【0163】
加えて、アンタゴニストは、脈動注入(パルス・インフュージョン)によって、例えばアンタゴニストを減らしながら適切に投与され得る。好ましくは、投与は注射によって、最も好ましくは静脈または皮下注入によって行われるが部分的には投与が短期であるかまた常習的であるかによって左右される。
【0164】
他の化合物(細胞毒性剤、化学療法剤、免疫抑制剤および/またはサイトカイン等)をアンタゴニストと共に投与してもよい。この併用投与には、別々の製剤をまたは単一医薬品的製剤を用いて同時投与すること、いずれかの順番で連続投与することが含まれ、両方(またはすべて)の活性薬剤が同時にその生物学的活性を示す期間があることが好ましい。
【0165】
タンパク質アンタゴニストの患者への投与とは別に、本出願では遺伝子治療によるアンタゴニストの投与が考えられる。アンタゴニストをコードする核酸のこのような投与は「治療学的有効量のアンタゴニストを投与する」という表現によって包含される。例えば、細胞内抗体を生成するための遺伝子治療の使用に関する1996年3月14日発行WO96/07321を参照。
【0166】
(ベクター中に任意に含まれる)核酸を患者の細胞中にいれるには、in vivoおよびex vivoの2つの主なアプローチがある。in vivoデリバリーの場合は、核酸は患者の通常はアンタゴニストが必要とされる部位に直接注入される。ex vivo治療の場合は、患者の細胞を取り出し、核酸をこれらの単離された細胞中に導入し、この改造された細胞は直接患者に投与されるかまたは例えば多孔質膜内にカプセル化されて患者に移植される(米国特許第4,892,538および5,283,187参照)。核酸を生細胞中に導入するには様々な技法がある。これらの技法は、核酸が培養細胞にin vitroで移されるかまたは所期のホストの細胞中にin vivoで移されるかどうかに依存して異なる。核酸をin vitroで哺乳類細胞中に移すのに適した技法には、リポソームの使用、電気穿孔法、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAEデキストラン、燐酸カルシウム沈殿法等が含まれる。遺伝子のエクスビボ・デリバリーに通常使用されるベクターはレトロウイルスである。
【0167】
現在好まれているin vivo核酸トランスファー技法には、ウイルスベクター(アデノウイスル、ヘルペスシンプレックスIウイルスまたはアデノ系ウイルス)によるトランスフェクションおよび脂質系(脂質に媒介される遺伝子の転移に有用な脂質には、例えばDOTMA、DOPE、DC−Chol)がある)が含まれる。ある状況では、核酸供給源に、目標細胞を標的とする作用剤(細胞表面膜タンパク質または目標細胞に特異的な抗体)および目標細胞上の受容体に対するリガンド等を供給することが望ましい。リポソームを使用する場合、例えば特定の細胞型に反応するキャプシドタンパク質またはフラグメント、循環中に内包化を行うタンパク質に対する抗体、および細胞内局在化を目標とし細胞内半減期を引き伸ばすタンパク質を標的とするか/または取り込みを促進するために、エンドサイトーシスに付随する細胞表面膜タンパク質と結合するタンパク質を使用し得る。受容体に媒介されるエンドサイトーシスの技法は、例えばWuら、J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)、およびWangnerら、Proc.Nad.Acad.Sci、USA 87:3410−3414(1990)に記載されている。現在知られている遺伝子作成および遺伝子治療プロトコールについては、Andersonら、Science 256:808−813(1992)参照。またWO93/25673およびそこに引用された引用例を参照。
【0168】
VI.製品
本発明の他の実施形態では、上記に記載された疾病または疾患の治療に有用な物質を含む製品が提供される。製品は、容器、および容器上のまたは容器に付随したラベルまたは添付文書が含まれる。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ等がある。容器はガラスまたはプラスチック等の様々な材質から作成されてもよい。容器は選択された疾病または疾患を治療するのに効果的な組成物を保持または含み、滅菌されたアクセス口を有す(例えば、容器は静脈溶液袋または皮下注射針によって孔があけられる穏やかなストッパーを有すバイアルであってよい)。構成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、B細胞表面マーカーに結合するアンタゴニストである。好ましくはCD20および抗サイトカイン抗体(例えば、抗IL10抗体)である。ラベルまたはパッケージ挿入物には、構成物が本明細書中に掲載されているような自己免疫疾病を有する患者またはかかりやすい患者を治療するために使用されることが表示されている。製品には、注入用静菌性水(BWF1)、燐酸緩衝生理食塩水、リンガー液およびデキストローゼ溶液等の薬剤として許容される希釈緩衝液を含む第2の容器が含まれていてもよい。商業的および使用者の立場からの望ましい他の物質(他の緩衝液、希釈材、フィルター、針、およびシリンジ等)を含んでいてもよい。
【0169】
本発明はさらに詳細に次の非限定実施例によって説明される。明細書中のすべての引用の開示が、引用することによって明確に取り込まれている。
【0170】
(例)
例1
非ホジキンリンパ腫の治療
非ホジキンリンパ腫を有す患者に、抗IL10抗体を1週に50mg/m2静脈注射の投与量で4週間、静脈内に投与する。その後、患者には、リツキサン(登録商標)を次の投与スケジュールに従って静脈内に投与する。
(A)50mg/m2静脈注射、1日目
150mg/m2静脈注射、8、15、および22日目
(B)150mg/m2静脈注射、1日目
375mg/m2静脈注射、8、15、および22日目
(C)375mg/m2静脈注射、1、8、15、および22日目
同じ患者に、米国特許5,736,137に記載のレジメンにしたがってCHOP化学療法を投与する。
治療後、患者をモニターし、リンパ腫の状態、数、および腫瘍のサイズに与える影響を評価する。
【0171】
例2
進行病気における固形腫瘍の処置
B細胞の関与によって特徴付けられる結腸直腸進行癌患者に、抗IL10抗体およびリツキサン(登録商標)を例1と同じ投与量で同時に投与する。
【0172】
治療後、腫瘍の縮小、腫瘍抗原の発現低下、または疾病の予後を評価する他の手段を基にして、このような処置が抗腫瘍応答を生じるかを決定するために、患者を評価した。
(発明の分野)
本発明は、B細胞リンパ腫および白血病等の血液学的悪性病変を抗体およびアンタゴニスト等の抗サイトカイン剤によって治療する方法に関し、ここで標的とされるサイトカインは、Bリンパ腫細胞および白血病細胞を含めた血液学的悪性病変細胞を刺激することによって疾病過程において働きを高める作用を果たす。治療を抗サイトカイン剤と化学療法および治療抗体の投与等の他の既知の療法との併用で行うと、相乗効果が与えられることが見出されている。
【0002】
本発明はまた、B細胞の関与を特徴とする腫瘍である固形非血液学的(非リンパ性)腫瘍、例えば、結腸直腸癌または肝臓癌を、サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストの投与をB細胞の標的、例えばCD20に対する抗体による治療と併用することによって治療することも包含する。
【0003】
(発明の背景)
脊椎動物類(例えば、ヒト、類人猿、サル等を含む霊長類)の免疫系は、いくつかの器官および細胞からなり、これらは脊椎動物宿主に侵入した外来微生物(「抗原」)を正確かつ特異的に認識し、このような外来微生物と特異的に結合し、このような外来微生物を排除/破壊するように進化してきた。リンパ球は他の種の細胞と共に免疫系および外来微生物の排除および破壊にとっては重要である。リンパ球は、胸腺、脾臓および骨髄(成人)で産生され、ヒト(成人)の循環系に存在する全白血球細胞の約30%に相当する。リンパ球には2つの主要な副集団、T細胞およびB細胞がある。T細胞は細胞性免疫に関与するが、B細胞は抗体生産(体液性免疫)に関与する。しかしながら、T細胞とB細胞は典型的な免疫応答においては相互依存していると考えることができる。すなわち、T細胞受容体が抗原提示細胞表面上の主要組織適合性複合体(「MHC」)糖タンパクに結合する抗原のフラグメントに結合すると、T細胞が活性化され、このような活性化によって、本質的にはB細胞を刺激して分化させ、抗原に対する抗体(「イムノグロブリン」)を産生させる生物学的メディエイター(「インターロイキン」または「サイトカイン」)の分泌が引き起こされる。
【0004】
宿主内のB細胞は各々その表面上に異なる抗体を発現する。つまり、このように1つのB細胞は1つの抗原に対して特異的な抗体を発現し、一方、別のB細胞は、別の抗原に対して特異的な抗体を発現する。したがって、B細胞は非常に多様であり、この多様性が免疫系にとっては重要なのである。ヒトにおいては、個々のB細胞は非常に多く(すなわち、約107から108)の抗体分子を産生することができる。このような抗体産生は、外来抗原が中和されると止まる(あるいは実質的に低下する)のがいちばん典型的である。しかし、ときには、特定のB細胞の増殖が引き続き衰えず、このような増殖が結果として「B細胞リンパ腫」と呼ばれる癌となる。
【0005】
非ホジキンリンパ腫はBリンパ球の悪性成長を特徴とするリンパ腫の1種である。米国癌学会によると、推定54,000例の新しい症例が診断され、そのうち65%が中等度または高度のリンパ腫と分類される。中等度のリンパ腫と診断された患者は2から5年の平均生存率を有し、高度のリンパ腫と診断された患者は診断後平均6カ月から2年生存する。
【0006】
従来の治療法には化学療法および放射線療法があり、適切なドナーがいる場合、または採集したときに骨髄が余りに多くの腫瘍細胞を含んでいる場合、自己あるいは同種型の骨髄または幹細胞移植を伴なうことは可能である。患者は従来の療法に応答することが多いが、通常は数カ月以内に再発する。
【0007】
非ホジキンリンパ腫の治療の比較的新しいアプローチは、癌性B細胞の表面上のタンパク質に対するモノクローナル抗体で患者を治療するものである。この抗体はトキシンまたは放射線標識と結合させることができ、それによって結合後に細胞死を招く。あるいは、抗体が結合するとヒト抗体エフェクター機構が生成され、その結果アポトーシスまたは細胞死をおこすように、抗体をヒト定常領域で操作してもよい。
【0008】
リツキシマブ(Rituximab(登録商標)、IDECファーマシューテイカルズ・コーポレーション)は、B細胞リンパ腫および特に非ホジキンリンパ腫の治療のために開発された新世代のモノクローナル抗体の1つである。リツキシマブ(登録商標)は、ネズミの軽鎖および重鎖の可変領域およびヒトガンマのI重鎖およびカッパ軽鎖定常領域を有す遺伝子工学で創出された抗CD20モノクローナル抗体である。リツキシマブ(登録商標)は、ネズミの親物質よりも効果的に補体を修復し、またADCCを媒介し、またリツキシマブ(登録商標)はヒト補体の存在下でCDCを媒介する。この抗体はB細胞系FL−18、ラモス(Ramos)、ラジ(Raji)の細胞成長を阻害し、化学耐性のヒトリンパ細胞系をジフテリア毒、リシン(ricin)、CDDP、ドキソルビシンおよびエトポサイド(etoposide)に対して感作し、DHL−4ヒトB細胞リンパ腫系で用量依存的にアポトーシスを引き起こす。
【0009】
しかしながら、多くの患者は、化学療法と同様、リツキシマブ(登録商標)治療後に治療抵抗性を示したり、再発する。したがって、リンパ腫患者において寛解の可能性を高め、再発率を低下させるために、リツキシマブ(登録商標)治療または化学療法と併用することができるリンパ腫治療の必要性がまだ残されている。
【0010】
多くのグループが様々なタイプの癌の治療にサイトカインを使用することを提案してきた。例えば、ワン(Wang)らは、サイトカインが「腫瘍細胞に対して直接的に細胞毒性」を示すことを示唆し、インターロイキン−1アルファ(IL1α)がin vitroで数種のヒト腫瘍細胞に対する抗腫瘍薬の抗腫瘍効果を強化することを示した(Int.J.Cancer(Nov.27、1996)68(5):583−587)。ボンビダ(Bonvida)らは、サイトカインが、「化学療法剤の有効性を高める」可能性を有すことを開示しており、また組換え腫瘍壊死因子と化学療法剤シスプラチンが卵巣癌細胞に対して相乗効果を呈することを示している(Gynecol.Oncol.(Sept.1990)38(3):333−339)。米国特許第5,716,612号はIL−4が癌の治療において化学療法剤の効果を高めるために使用できることを教示している。
【0011】
しかしながら、いくつかのグループはまた、サイトカインがいくつかの癌の進行を妨害する役割を果たし得ることを確認している。例えば、インターロイキン−6(IL6)は、いくつかの事例において、白血病細胞のアポトーシスを阻害する能力があることが知られている(Yonish−Rouachら、「野性型p53は脊髄性白血病細胞のアポトーシスを誘発し、またインターロイキン−6によって阻害される」Nature 352:345−347(1991)参照)。近年、IL6が抗癌化学療法剤に対するいくつかの白血病細胞が耐性を示すことに役割を果たし得ること、およびin vitroで、抗IL6抗体がシスプラチン耐性のK562細胞のシスプラチンで誘導されるアポトーシスに対する感受性を高めることが示された(Dedoussisら「内在性インターロイキン6は、ジアミンジクロロプラチナに媒介されるK562ヒト白血病細胞系のアポトーシスに対する耐性を与える」参照)。
【0012】
B細胞に対する増強効果は、その生成がB細胞リンパ腫に由来するある細胞系でアップレギュレートされることが報告されているIL10についても当然あるとみなされている(Cortesら、「非ホジキンリンパ腫におけるインターロイキン−10」、Leuk Lymphoma 26(3−4):251−259(July、1997)参照)。しかしながらNHL患者の血清をIL10レベルと予後との間に相関性があるかについてテストしたところ、同種のオープン・リーディング・フレームBCFR1から生成され、エプシュタイン・バー・ウイルス(EBV)のゲノムに位置するウイルスのIL10レベルに、より有意性が見られた。事実、別のグループが、ほぼ同時期に、IL10がEBVが感染したリンパ腫細胞の自己分泌成長因子であると報告した(Beattyら、「EBVで形質転換されたB細胞系の自己増殖におけるIL10関与」、J.Immonol.158(9):4045−51(May 1、1997)参照)。一方、他のグループは、マクロファージによるIL6およびIL10の生成はリンパ球性疾病の発症に重要な役割を果たすのではないかと仮定している(米国特許第5,639,600号参照)。
【0013】
IL10がIL6、IL2およびTNF−アルファと組合せで作用し、非ホジキンリンパ腫細胞の増殖を高めることができるとの報告もなされている(Voorzangerら、「インターロイキン−(IL)10およびIL6が非ホジキンリンパ腫細胞によってin vivoで産生され、協同的な成長因子として作用する」Cancer Res、56(23):5499−505(Dec.1、1996)参照)。また、対照群と比較すると統計学的に有意に高いレべルのIL2、IL6、IL8、IL10、溶解性IL2受容体、溶解性トランスフェリン受容体およびネオプテリンがNHL患者で観察されたが、予後に重要な単一パラメータは見つからなかった(Stasiら、「新たに非ホジキンリンパ腫と診断された患者におけるサイトカインおよび溶解性受容体の測定の臨床的含意」Eur.J.Haemotol.54(1):9−17(Jan.1995)参照)。
【0014】
しかしながら、IL10等のサイトカインは疾病の進行との相関は示さず、またこのようなサイトカインは現実に疾病に貢献するというよりむしろリンパ腫の治療に有用となり得ることを示唆する文献が実際多く報告されている。例えば、Bonnefoixらが10種のサイトカイン(IL2、IL3、IL4、IL6、IL10、IL13、G−CSF、GM−CSF、インターフェロン・アルファ、およびインターフェロン・ガンマ)の、様々な組織学的サブタイプの非ホジキンBリンパ腫細胞の自然発生的増殖反応を調整する可能性をテストしたとき、各サイトカインがサンプルに依存して阻害的に働くかあるいは促進的に働くかのいずれかであり得ること、および組織学的に異なるサブタイプ間には何の関係もないことを発見した。事実、本明細書に引用によって掲載されている米国特許第5,770,190号は、急性白血病の治療法としてIL10の投与を化学療法剤と併用することを示唆している。
【0015】
抗サイトカイン抗体を取り入れた治療レジメン(regimen)を考案し、それによって、このような抗体が他種治療薬に対するBリンパ腫細胞の感受性を高めることが可能ならばリンパ腫患者には有益となろう。リンパ腫患者において化学療法剤に対するBリンパ腫細胞の耐性を回避するかまたは解消する目的で、また治療抗体のアポトーシス活性を強化する目的で抗サイトカイン抗体が投与されることが可能であれば、特に有用となろう。このような併用療法がリンパ腫患者に利用可能な治療法に加えられて、これら患者において再発率を減らす可能性がある。
【0016】
(発明の目的)
本発明の目的は、血液学的悪性細胞または固形非血液学的腫瘍細胞の、少なくとも1つの化学療法剤に対する耐性を回避、低下または解消する方法であって、血液学的悪性腫瘍と診断された患者に対して、少なくとも1つの化学療法剤の投与前、投与時、または投与後に抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを投与することを含む方法を提供することである。
【0017】
本発明のより具体的な目的は、血液学的悪性腫瘍細胞の、治療剤によって誘発されるアポトーシスに対する耐性を回避、低下、または解消する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを血液学的悪性腫瘍と診断された患者に対して投与することを含む方法を提供することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、化学療法後再発した血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、化学療法に対して治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらにもう1つの目的は、治療抗体による治療の後再発した血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0021】
本発明のさらにもう1つの目的は、治療抗体による治療に対して治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを該患者に投与することを含む方法を提供することである。
【0022】
本発明のもう1つの目的は、B細胞リンパ腫患者を治療する方法であって、該患者に対して治療上有効量の抗CD20抗体を抗サイトカイン抗体と同時にまたは連続してどちらかの順番で投与することを含む方法を提供することである。
【0023】
本発明のもう1つの目的は、固形非血液学的(非リンパ)腫瘍を治療する方法であって、B細胞が抗サイトカイン抗体、例えば抗IL10抗体、および少なくとも1つのB細胞枯渇抗体(B cell depleting antibody)、例えば抗CD20抗体を投与することによって前腫瘍反応を誘発することを含む方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらに具体的な目的は、消化器系に関与する固形非リンパ腫瘍、殊に結腸直腸癌または肝臓癌を、抗サイトカイン抗体、好ましくは抗IL10抗体およびB細胞枯渇抗体、特に枯渇抗CD20抗体(depleting anti−CD20 antibody)を投与することによって治療する方法を提供することである。
【0025】
(発明の概要)
第1の態様において、本発明は、抗サイトカイン抗体およびサイトカインアンタゴニスト、特にIL10に対する抗体を、化学療法薬および/または治療抗体と併用投与して、血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫および白血病等)または固形非血液学的腫瘍(乳癌、卵巣癌、精巣癌他等)を有する患者の応答率を高め、および応答期間を延長することに関する。したがって、本発明は血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病等)を有する患者に対して、B細胞受容体に対する抗体および特定のサイトカインの作用を妨害する抗体またはアンタゴニストを投与することによって、血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病等)を治療する方法に関する。特に、本発明は、Bリンパ腫細胞のアポトーシスを開始するB細胞マーカーに対する抗体(抗CD20、抗CD22、抗CD40、抗CD23、抗CD19、抗CD37、および後で特定するもの等)、およびアポトーシスを妨害し得るサイトカインに対する抗体またはアンタゴニスト(例えば抗IL10)の投与に関する。抗サイトカイン療法(すなわち化学療法)からの恩恵をも受けるであろう他の治療法を含めた併用療法もまた包含される。これらの方法は、化学療法剤および治療抗体に対して耐性となった細胞によって特徴付けられる血液学的悪性腫瘍(Bリンパ腫または白血病等)を有する患者を治療するために特に使用される。
【0026】
第2の態様において、本発明は、サイトカイン(例えばIL10)に対する抗体の投与を、B細胞に特異的な抗体療法、特にB細胞枯渇抗体および好ましくはCD20抗体療法と組み合わせて、場合によっては、放射線療法または化学療法と組み合わせて投与することによって、B細胞が関与する、ただしB細胞起源ではない固形非血液学的(非リンパ系)腫瘍、特にB細胞が前腫瘍応答(pro−tumor response)を誘発する癌を治療する新規な方法を提供する。このような固形腫瘍の例には、結腸直腸癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、胃癌、頭頚部癌、卵巣癌、精巣癌、食道癌等がある。好ましい化学療法については後述する。これらの癌は前癌、病期Iおよび病期IIの癌、および進行癌、例えば、病期II以降および転移した固形腫瘍を含み得る。
【0027】
(発明の詳細な説明)
第1の態様において、本発明は、少なくとも1つの化学療法剤に対する血液学的悪性腫瘍細胞(例えばBリンパ腫細胞および白血病細胞を含む)の耐性を回避、低下または解消する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストをB細胞リンパ腫と診断された患者に投与することを含む方法を包含する。
【0028】
多くの場合、血液学的悪性腫瘍患者のB細胞によるこのような耐性は、1つまたは複数のサイトカインが、腫瘍形成性B細胞を、細胞がアポトーシス信号に反応しないように刺激することによって媒介される。このような場合、本発明の方法は、このような腫瘍形成性B細胞のアポトーシスに対する耐性を回避、低下または解消する方法であると記載し得る化学療法剤がアポトーシスを誘発する薬剤の例として挙げられる。また包含されるのは、B細胞の表面上の標的に向けられた治療抗体(抗CD19、抗CD20、抗CD22、抗CD40および抗CD28等)および後で特定される他のB細胞目標物に向けられた治療抗体である。
【0029】
患者が治療剤によって最初に治療を受けた後再発を起した後、または治療抵抗性を示した後に、B細胞の耐性が単に明らかになることが往々にしてあるため、本発明の方法は、化学療法または治療抗体による治療の後再発を起こしたりまたは治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病等)を有する患者を治療することを多くの場合包含することになる。しかしながら、本発明の抗サイトカイン抗体およびアンタゴニストはまた、新たにリンパ腫と診断された患者において、他の治療と併用してまたは他の治療の前に使用されて、再発率を減らしたり、また治療に対する応答期間の長さを延ばし得る。
【0030】
本発明の方法は、多種多様の血液学的悪性腫瘍(殊にはB細胞リンパ腫および白血病であって、軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽性NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病(bulky disease)NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom’s Macroglobulinemia);慢性白血球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球白血病、リンパ球性白血病、単核球性白血病、骨髄性白血病、および前骨髄球白血病を含むがこれらに限定されない)を治療するのに適切である。これらのリンパ腫が分類系の変更によってしばしば異なる名前を有することになること、および異なる名前の下で分類されたリンパ腫および白血病を有する患者も本発明の併用治療レジメンから恩恵を得ることは当業者には明らかであるはずである。
【0031】
例えば、ヨーロッパおよびアメリカ病理学者によって提唱された近年のシステムは、改定欧米リンパ腫(REAL)分類と呼ばれる。この分類システムでは、他の末梢B細胞新生物の中でも外套細胞リンパ腫および辺縁細胞リンパ腫を認めて、いくつかの分類項目を細胞学(すなわち小細胞、混合小および大細胞、大細胞)に基づく等級に選別している。このように分類されたすべてのリンパ腫が本発明の併用治療法から恩恵を受けるであろうことが理解されることであろう。
【0032】
米国国立癌研究所(NCI)は、次にREALクラスのいくつかをより臨床的に有用な「不活性」または「急速進行性」リンパ腫という呼称に分けている。不活性リンパ腫には、濾胞細胞リンパ腫が含まれ、細胞学的等級である、散在性小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ腫形質細胞増加症/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、辺縁層リンパ腫およびヘアリーセルリンパ腫に分類されている。急速進行性リンパ腫には、散在性混合大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/散在性小非分割細胞リンパ腫、リンパ芽リンパ腫、外套細胞リンパ腫およびAIDS関連リンパ腫が含まれる。必要とされるすべてのことは、前記抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与した結果、治療に対する応答性の程度または応答期間が延ばされることである。これらの方法は非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する患者を治療するために使用されることが最も好ましいが、ここで本発明者らは驚くべきことに抗サイトカイン抗体およびアンタゴニストの投与が相乗効果を有することを発見した。このようなサイトカインの効果および有害なサイトカインの特定は、個々の患者、個々のリンパ腫間で異なってもよいし、Bリンパ腫細胞の耐性に対する種々のサイトカインの影響は、個々の化学療法および免疫療法剤で異なってもよいので、個々の患者における各サイトカインのレベルは、抗サイトカイン治療を患者に施す前にテストすることが示唆される。
【0033】
第2の態様において、本発明は、B細胞がタンパク質応答(腫瘍成長および/または転移を促進する)を誘発する固形非血液学的腫瘍を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体(例えば、抗IL10抗体)およびB細胞標的に対する抗体(好ましくはB細胞枯渇活性を有する抗CD20抗体)を投与することを含む方法を提供する。しかしながら、本発明は後に特定される他のB細胞標的に対する抗体の使用を包含するものである。また、この態様はさらに化学療法および/または放射線療法の追加的使用を包含する。
【0034】
様々な化学療法剤が異なるタイプの癌の治療に適用されてきており、本発明の方法は、少なくとも1つ、しかしできれば数種のこれら化学療法剤に対する悪性腫瘍(例えばリンパ腫)細胞の耐性を回避、低下または解消することになる。特に、補助抗サイトカイン療法によって恩恵を得るであろう化学療法には、CHOP、ICE、ミトザントロン、シタラビン、DVP、ATRA、イダルビシン、へルザー(hoelzer)化学療法レジメン、ララ化学療法レジメン、ABVD、CEOP、2−CdA、FLAG&IDA(続いてG−CSF治療を施しても施さなくても可)、VAD、M&P、C−Weekly、ABCM、MOPP、DHAP、メトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、およびシスプラチンが含まれるが、これらには限定されない。他の化学療法剤は後の好ましい実施の形態に関連した項中で特定されている。
【0035】
種々のサイトカインが、白血病およびリンパ腫疾病含めた血液学的または非血液学的悪性腫瘍において、単独または他のサイトカインと協同して有害な刺激的役割を果たしている可能性がある。このように、患者あるいは疾病によっては、複数の抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストが、補助的治療法として特定の患者を利することがあり得る。そのようなサイトカインには、IL2、IL6、IL10およびTNF−アルファがあるがこれらに限定されない。他の適切なサイトカインが以下の好ましい実施の形態中で特定されている。非ホジキンリンパ腫については、好ましい抗サイトカイン療法に抗IL10療法が含まれる。
【0036】
現況技術では数個の抗IL−10抗体が知られており、本発明の目的のために使用し得る。米国特許第5,871,725号には19F1と命名されたラットの抗ヒト抗体が記載されている。別の抗IL10抗体であるアルファ−IL10は米国特許第5,837,293号に記載されている。抗IL10抗体はまた、Tim R.Mosmannら「固相ラジオ免疫吸着法使用によるIL−4、IL−5、IL−6および新Th2特異的サイトカイン(IL−10)に特異的なモノクローナル抗体、すなわち、サイトカイン合成阻害因子の単離」、(The Journal of immunology、145(9):2938−2945、Nov.1、1990)にも記載されている。アンタゴニストは受容体結合について競合するタンパク質の形態を取り、例えば、アンタゴニストは受容体活性化能に欠ける一方、IL−10結合またはIL−10結合分子(抗体等)を阻止する。または用語「抗体」は抗体全部のみならず抗体フラグメント(すなわち、Fab、Fab2、Fvフラグメント)も含むものと理解すべきである。抗体は別の動物をヒトIL−10で免疫化することによって単離し得るが、その後、その免疫性を低下させるために現況技術で知られている方法を使用して一旦、抗体をヒト患者に投与してヒト化してもよい。
【0037】
抗サイトカイン抗体の適切な投与量は、標的とされるサイトカイン、個々の患者の事前血清プロフィールの結果、治療されるリンパ腫のタイプおよび疾病の段階に依存する。新たに診断された軽度の非ホジキンリンパ腫の治療における抗IL10抗体については、好ましい投与量は0.001mgから100mg/kgの範囲、好ましくは約0.1から100mg/kg、最も典型的には、約0.4から20mg/体重kgであり、抗体が他の治療剤と同時に投与されるかまたは前もって投与されるかに依存している。好ましくは、抗サイトカイン抗体は化学療法剤または他の療法と同時または前もって投与され、典型的には、約1時間から約1カ月、好ましくは1日から7日、化学療法剤または他の作用剤の投与より前に投与される。
【0038】
また、本発明において包含されるのは、開示した方法を達成するためのキットである。本発明によるキットは、薬剤として許容される担体と簡単に混合されるかまたは再懸濁され、簡単にリンパ腫患者に注入し得る少なくとも1つの抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを含む。前記抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストの投与前にリンパ腫患者の血清を、好ましくはサイトカインプロフィールについてテストする場合、キットはまたあるいは代替として、患者の血清中の様々なサイトカイン個々の量をテストするための試薬および材料を含んでいてもよい。
【0039】
また本発明に包含されるのは、血液学的悪性腫瘍(B細胞リンパ腫および白血病等)を治療する併用治療法であって、血液学的悪性腫瘍を有する患者に治療上有効量の治療抗体を、抗サイトカイン抗体と同時にまたは連続していずれかの順番で投与することを含む方法である。治療抗体は血液学的悪性腫瘍細胞(例えば、腫瘍形成性B細胞)の表面上の受容体に結合する抗体であって、抗体がすなわち抗CD20、抗CD19、抗CD22、抗CD21、抗CD23、抗CD37および後に特定する他のB細胞標的と結合すると、抗体の破壊または消耗を媒介するものと定義される。本発明の抗サイトカイン剤は単独で、サイトカインに媒介される腫瘍形成性B細胞の増殖を阻害するという有益な効果を有するが、治療抗体の投与と抗サイトカイン剤とを併用投与すると応答期間および/または応答の程度が独立して適用した両方の治療の相加効果よりも良くなるという相乗効果を有する。
【0040】
次の理論に固執する気はないが、本発明者らは本発明の抗サイトカイン剤を併用投与することによって見られる相乗効果が、アポトーシスを阻害する効果を通常は有する目標となるサイトカインを阻害することに関与していると確信している。したがって、本発明の抗サイトカイン剤をアポトーシスを誘導することによって作用する剤(例えば、抗CD20、抗CD22、抗CD19、抗CD21、抗CD23、または抗CD40抗体)と併用すると、併用投与は、それぞれの剤の単独添加効果を超える良好な相乗効果を示す。
【0041】
にもかかわらず、これによって有効性がアポトーシスを通して促進されるのではない別の抗体または治療抗体との併用治療において本発明の抗サイトカイン抗体およびアンタゴニストの使用が除外されるものではない。例えば、放射線標識された抗体は、B細胞表面に結合し致死量の放射線を与えることによって腫瘍細胞の破壊を促進する。このような抗体ならびに毒素と結合された抗体もまた本発明の抗サイトカイン剤と組み合わせて使用され得る。好ましい放射線標識された抗体は、イットリウム−[90](90Y)で標識されたものである。特に好ましい放射線標識された抗体は、ゼベリン(IDECファーマシューテイカルズ株式会社)であって、これは90Yに結合された抗CD20抗体である。
【0042】
本発明の併用治療法はさらに、少なくとも1つの化学療法剤または化学療法を施すことを含むものであって、このような化学療法には、例えば、CHOP、ICE、ミトザントロン、シタラビン、DVP、ATRA、イダルビシン、ヘルザー化学療法レジメン、ララ化学療法レジメン、ABVD、CEOP、2−CdA、FLAG&IDA(続いてG−CSF治療を施しても施さなくても可)、VAD、M&P、C−Weekly、ABCM、MOPP、DHAP、ドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、メトトレキサートならびに後に特定されているその他の化学療法剤がある。非ホジキンリンパ腫患者の治療として好ましい化学療法レジメンは、CHOPである。抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストは、好ましくはB細胞標的抗体(例えば抗CD20、CD22、CD19またはCD40)および/または化学療法の前に投与され、したがって、サイトカインを標的とした結果としてB細胞治療法を施す前にBリンパ腫細胞の増殖が沈静化される。上記に記載されたように、標的のサイトカインは、中でもIL2、IL6、IL10またはTNF−アルファがあげられ、治療の前の患者のサイトカイン・プロフィールに依存する。しかし目標とされるサイトカインはIL10であることが好ましい。
【0043】
上記に述べたように、本発明の治療抗体はB細胞の表面上で発現される分子を標的とするどんな抗体でもよいが、特にB細胞枯渇活性を有するものがよい。適切なB細胞標的の一覧表が後に明記されている。
【0044】
患者および疾病の程度に依存して、抗B細胞標的結合抗体(例えばリツキシマブ(Rituximab(登録商標))が0.01から約100mg/kg、より好ましくは約0.1から50mg/kg、最も好ましくは約0.4から20mg/体重kgの範囲の投与量で投与され得る。抗サイトカイン剤を含む併用治療レジメンにおいて有効投与量は少なくなり得る。というのはBリンパ腫細胞の増殖可能性が減少されるからである。また、有効投与量は選択された抗サイトカイン療法および患者の血清のサイトカインの個々の増強レベルに依存することになる。
【0045】
本発明の併用治療法はまた広範のリンパ腫を治療するのにふさわしく、リンパ腫には軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症、慢性白血球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球白血病、リンパ球性白血病、単核球性白血病、骨髄性白血病、前骨髄球白血病があるがこれらに限定されない。好ましい標的疾病は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、特に軽度濾胞NHLである。また、抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストの投与の前に、リンパ腫患者の血清をサイトカインのプロフィールについてテストすることは有用であろう。
【0046】
既に論じたように、本明細書に提供された併用治療法、特に抗サイトカイン抗体(たとえば抗IL10)および抗B細胞標的抗体(例えば抗CD20)の併用使用もまた固形非血液学的(非リンパ)癌を治療するのに有用である。固形非血液学的(非リンパ)癌には、例えば、結腸直腸癌、肝臓癌、および他の消火器系癌、乳癌、食道癌、頭頚部癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、および精巣癌が含まれる。これらの癌は初期、中期または進行(たとえば転移)段階にあってもよい。
【0047】
本発明はまた、開示された方法による治療抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与するキットも包含する。キットは1種以上の治療抗体および1つ以上の抗サイトカイン剤を含んでいてもよい。キットはまた治療抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与する前にサイトカインプロフィールをテストする試薬および材料を含んでいてもよい。
【0048】
注記したように、本発明はさらに、抗サイトカイン抗体(例えば抗IL10抗体)およびB細胞特異的抗体、好ましくは実質的にB細胞枯渇活性を有する抗体(リツキサン(RITUXAN(登録商標))等)を投与することによって固形非リンパ腫を治療することを包含する。いくつかの固形腫瘍は明らかにB細胞が関与していると報告されている。すなわち、B細胞は腫瘍形成状態を促進または維持することに幾分関与し、このような腫瘍に対する体の免疫防御システムを妨害しているようだ。これに関し、本明細書に引用されて組み込まれているWO020864A1(バイオクリスタル(Biocrystal Inc.)が出願人であると明記)は、B細胞を標的とする抗体(例えば、Rituxan(登録商標))を使用した固形非リンパ系腫瘍の治療を記載している。この治療が進行性結腸直腸癌、肺癌および肝臓癌を有する患者においてさえも著しい抗腫瘍応答性を示すと報告されている。
【0049】
対照的に本発明は、改良された併用治療を提供するものであって、固形非リンパ系腫瘍が抗サイトカイン抗体(抗IL10等)およびB細胞枯渇抗体(抗CD20抗体の使用によって治療されるものである。
【0050】
この併用レジメンは固形腫瘍、特にB細胞が関与するがそれ自体は癌性細胞ではない腫瘍を治療する改良法を提供することになる。このレジメンではサイトカインアンタゴニスト(例えば抗サイトカイン抗体)およびB細胞枯渇抗体(例えばRituxan(登録商標)は別々にまたは共に、どういう順番でも投与される。
【0051】
加えて、このレジメンには、放射線治療(例えば外からのビーム照射、体全体の照射)、放射免疫療法または化学療法が含まれる。適切な化学療法は後に特定される。放射免疫療法は、固形腫瘍によって発現される標的に結合する放射性同位元素標識された抗体による治療を含む。
【0052】
典型的には、抗サイトカイン抗体はB細胞枯渇抗体の前に投与される。この併用療法はB細胞が関与しているいかなる固形腫瘍の治療にも適すると期待されている。適切な固形腫瘍の例は先に明記されている。1つ注意に値する例は、結腸直腸癌である。
【0053】
本実施の形態において、B細胞枯渇抗体およびサイトカインは、固形腫瘍部位に行き渡るように投与される。抗体は腫瘍部位の近くまたは直接腫瘍部位に、例えば腫瘍近辺の静脈に注射で注入されることが好ましい。
【0054】
本併合レジメンでは、固形腫瘍(例えば肺腫瘍または結腸直腸腫瘍)が結果として寛解または縮小する。
【0055】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
好ましい実施の形態および本発明の全範囲をさらに述べるために、下記の定義を行う。
【0056】
I.定義
「サイトカインアンタゴニスト」は、サイトカイン(例えばインターロイキンまたはインターフェロン)または別のサイトカインの発現および/または活性を阻害または阻止する化合物である。
【0057】
本明細書の「B細胞表面マーカー」または「B細胞標的」あるいは「B細胞抗原」はB細胞の表面で発現される抗原であって、そこに結合するアンタゴニストの標的となり得る抗原である。B細胞表面マーカーの例には、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78 CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86白血球表面マーカーが含まれる。特に興味あるB細胞表面マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比べてB細胞上で優先的に発現されるものであって、B細胞前駆体および成熟B細胞の両方で発現されるものである。1つの実施形態では、マーカーは、CD20またはCD19のように、幹細胞段階から形質細胞への最終分化の直前の時点までの系統分化の全体にわたってB細胞上で見られるものである。本明細書における好ましいB細胞表面マーカーは、CD19およびCD20である。
【0058】
「CD20」抗原は、35kDaの非グリコシル化リンタンパク質で、末梢血液またはリンパ系器官由来のB細胞の90%以上の表面に見られる。CD20は初期の前B細胞発生期間中に発現され形質細胞分化まで残っている。CD20は通常のB細胞のみならず悪性B細胞の両方の上に存在している。文献にあるCD20の別名には、「Bリンパ球に制約される抗原」および「Bp35」が含まれる。CD20抗原は、例えば、Clarkら、PNAS(USA)82:1766(1985)に記載されている。「CD19」抗原は、90kDa抗原であって、例えば、HD237−CD19または134抗体によって特定される(Kieselら、Leukemia Research 11、12:1119(1987))。CD20のように、CD19は幹細胞段階から形質細胞への最終分化の直前の時点までの系統分化の全体にわたって細胞上に認められる。アンタゴニストがCD19に結合することによってCD19抗原の嵌入がひき起こされ得る。
【0059】
「血液学的悪性病変」には、血流中の細胞に随伴するいかなる悪性病変も含まれる。その例として、BおよびT細胞リンパ腫、白血病であって、これには、軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽性NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症;慢性白血球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球白血病、リンパ球性白血病、単核球性白血病、骨髄性白血病、および前骨髄球白血病が含まれるが、これらに限定されない。これらのリンパ腫が分類系(先に記載)の変更によってしばしば異なる名前を有することになること、および異なる名前の下で分類されたリンパ腫および白血病を有する患者も本発明の併用治療レジメンから恩恵を得ることができることは当業者には明らかであるはずである。
【0060】
固形、非血液学的(非リンパ)腫瘍は、B細胞が関与する(つまりB細胞が前腫瘍応答にかかわる)非血液学的悪性腫瘍のことをいう。このような固形腫瘍は触診可能な、典型的には少なくとも直径0.5mm、より典型的には、少なくとも直径1.0mmの腫瘍であると特徴付けられる。その例としては、結腸直腸癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、頭頚部癌、胃癌、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮癌他が含まれる。これらの癌は、初期段階(前癌)、中期段階(段階IおよびII)または進行段階(たとえば転移した固形癌)にあってもよい。これらの固形癌はB細胞が前癌応答を誘発している癌であること、すなわち、B細胞の存在が腫瘍の進行、維持、または転移にかかわっていることが好ましい。
【0061】
B細胞「アンタゴニスト」は、哺乳動物中でB細胞表面マーカーに結合するや否やB細胞を破壊または枯渇させるかおよび/または、1つまたは複数のB細胞機能を、例えばB細胞によって誘発される体液性応答を減少させるかまたは防ぐことによって、妨害する分子である。アンタゴニストは、アンタゴニストによって処理された哺乳動物中でB細胞を枯渇させる(すなわち、循環しているB細胞のレベルを下げる)ことができることが好ましい。このような枯渇は、例えば、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)および/または補体依存性細胞毒性(CDC)、B細胞増殖阻害および/または(例えばアポトーシス経由で)B細胞死の誘導といった様々なメカニズムを通して達成し得る。本発明の範疇に含まれるアンタゴニストには、B細胞マーカーに結合し、場合によっては細胞毒性剤と結合されるかまたは融合される抗体、合成または自然配列のペプチドおよび小分子アンタゴニストが含まれる。好ましいアゴニストは抗体で、より好ましくはB細胞枯渇抗体である。
【0062】
「抗体依存性細胞媒介細胞毒性」および「ADCC」は、細胞に媒介される反応であって、Fc受容体(FcRs)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)を発現する非特異的細胞毒性細胞が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶菌をひき起こす反応である。ADCCを媒介する主要細胞、NK細胞はFcRIIIのみを発現するが、単核球はFcyRI、FcyRIIおよびFcyRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現はRavetchおよびKinet、Annu.Rev、Immunol 9;457−92(1991)の464頁、表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または5,821,337号に記載のようなin vitro ADCC分析を実行してもよい。このような分析用に有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいはまたは加えて、目的の分子のADCC活性は、例えばClynesら、PNAS(USA)95:652−656(1998)で開示されているような動物モデルにおいてin vivoで評価され得る。
【0063】
「ヒト・エフェクター細胞」はひとつ以上のFcRを発現しエフェクター作用をする白血球である。この細胞は、好ましくは少なくともFcyRIIIを発現し、ADCCエフェクター作用を実施する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血液単核球細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単核球、細胞毒性T細胞、および好中球が含まれ、中でもPBMCおよびNK細胞が好ましい。
【0064】
用語「Fc受容体」または「FCR」は抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。
【0065】
好ましいFcRは未変性配列(native sequence)のヒトFcRである。さらにまた、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)を結合するものであって、FcyRI、FcyRIIおよびFcyRIIIのサブクラスの受容体を含み、これら受容体の突然変異体および交互スプライス型もふくむ。FcyRII受容体には、FcyRIIA(活性受容体)、FcyRIIB(阻害受容体)が含まれ、これらは細胞質ドメインの配列が基本的に異なる類似アミノ酸配列を有す。活性受容体FcyRIIAは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を細胞質ドメインに含む。阻害受容体FcyRIIBは、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)をその細胞質ドメインに含む(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)参照)。FcRは、RavetchおよびKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991):Capelら、Immunomethods 4:25−34(1994);およびde Haasら、J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)を参照。その他のFcRは、将来特定されるものも含めて用語「FCR」で包括される。この用語はまた、新生児受容体FcRnを含み、これは母方IgGsを胎児に移す役割を荷う(Guyerら、J.Immunol.117:587(1976)およびKimら、J.Immunol.24:249(1994))。
【0066】
「補体依存性細胞毒性」または「CDC」は、分子が補体存在下で標的を溶菌する能力のことをいう。補体活性化経路は、補体系(Clq)の第一補体成分が同源抗原と複合体となっている分子(例えば抗体)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、CDC分析(例えばGazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されている)を行うことができる。
【0067】
「成長阻害」アンタゴニストは、アンタゴニストが結合する抗原を発現する細胞の増殖を防止したりあるいは減少させるものである。例えば、アンタゴニストは、in vitroおよび/またはin vivoでB細胞の増殖を防止したり減少させ得る。
【0068】
「アポトーシスを誘発」するアンタゴニストは、アネキシンVの結合、DNAのフラグメント化、細胞縮小、小胞体の拡大、細胞フラグメント化、および/または膜小胞(アポトーシス体)の形成等の標準アポトーシス分析で決定されるような(プログラムされた細胞死(例えばB細胞の細胞死)を誘発するものである。
【0069】
本明細書における用語「抗体」は、最も広範な意味で使用され、特に完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成される多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、および所望の生物学的活性を示す限りは抗体フラグメントも包含する。
【0070】
「抗体フラグメント」は、完全な抗体の部分、抗原結合領域または可変領域を含む部分が好ましい。抗体フラグメントの例にはFab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ(diabody)、直鎖抗体、単鎖抗体分子、抗原フラグメントから形成された多重特異的抗体が含まれる。
【0071】
「天然の抗体」は、通常へテロ四分節の約150,000ダルトンの糖タンパク質であり、2つの全く同一の軽鎖(L鎖)と2つの全く同一の重鎖(H鎖)からなる。各軽鎖は重鎖と単一の共有ジスルフィド結合で連結されているが、ジスルフィド結合の数は種々のイムノグロブリン・イソタイプの重鎖の間で異なる。各重鎖および軽鎖はまた、一定の間を開けた鎖間ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は一端に可変ドメイン(VH)を有し、続いて多くの定常ドメインを有する。各軽鎖は、可変領域を一端(VL)に有し、定常ドメインを他方の端に有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1定常ドメインと並んでおり、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並んでいる。特有のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖可変ドメイン間の境界面を形成していると思われる。
【0072】
用語「可変」は、抗体間で可変ドメインの特定部分の配列が大きく異なるという事実をいい、特定部分は特定の抗原に対する各特定の抗体の結合および特異性に使用される。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメイン中に均一に分布しているわけではない。軽鎖および重鎖可変領域の両者にある超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集結されている。可変ドメインのより高度に保存されている部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々4つのFRを含んでおり、多くがP字紙状をとり、3つの超可変領域によって結合されてループを形成し、3つの紙状構造をつなぎ、場合によってはその3つの紙状構造の部分を形成する。核鎖の超可変領域は一方の鎖由来の超可変領域と一緒に、FRによって極至近距離に保持されており、抗体の抗原結合部位の形成に貢献する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991))。定常ドメインは抗体抗原結合に直接的にはかかわっていないが、様々なエフェクター作用(抗体依存細胞性細胞毒性(ADCC)において抗体の関与等)を示す。
【0073】
抗体をパパインで分解すると、Fabフラグメントと呼ばれる2つの全く同一の抗原結合フラグメント(各Fabフラグメントは単一抗原結合部位を有す)と残りのFcフラグメント(この名前にたやすく結晶化する能力が反映している)が生成される。ペプシン処理によって2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2フラグメントを生じ、これは抗原とまだ架橋することができる。
【0074】
「Fv」は最小の抗体フラグメントであって完全な抗原認識および抗原結合部位を含んでいる。この領域は、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインが堅く非共有結合したダイマーからなる領域である。この形状では、各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用してVH−VLダイマーの表面に抗原結合部位を規定している。一括すると、6個の超可変領域は抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)であっても結合部位全体よりも親和性は低いが抗原を認識して結合する能力を有す。
【0075】
Fabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CHI)を含む。Fab’フラグメントは、抗体のヒンジ領域から1つまたは複数のシスチンを含む重鎖CHIドメインのカルボキシル末端に付加している数個の残基によってFabフラグメントとは異なる。その定常ドメインのシスチン残基が少なくとも1つの遊離チオール基を有すFab’を本明細書ではFab’SHと呼ぶ。F(ab’)Z抗体フラグメントは、その間にヒンジのシスチンを有す一対のFab’フラグメントとしてもともとは生成された。抗体フラグメントの他の化学的結合をすることも知られている。
【0076】
いかなる脊椎動物種由来の抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」も、その定常ドメインのアミノ酸配列が明らかに異なる2つのタイプ、カッパ(x)およびラムダ(k)の1つが割り当てられている。
【0077】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、抗体を異なるクラスに割り当てることができる。5つの主要クラスの完全な抗体:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、およびこれらのうちのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2)に分類されてもよい。異なるクラスの抗体に対応する重鎖可変ドメインはそれぞれa、8、s、yおよびRと呼ばれる。様々なクラスのイムノグロブリンのサブユニット構造および三次元形状はよく知られている。
【0078】
「単一鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、単一のポリペプチド鎖に存在しているVHおよびVLドメインを含む。好ましくはFvポリペプチドはさらにVHおよびVLドメイン間にポリペプチド・リンカーを含むことが好ましく、このリンカーによって抗原を結合させるに望ましい構造をscFvに形成させることができる。scFvについては、Pluckthun(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、vol.113、Rosenburg and Moore,eds.、Springer−Verlag、New York、pp269−315(1994))参照。
【0079】
用語「ダイアボディ」は2つの抗原結合部位を有する小抗体フラグメントのことをいい、該フラグメントは、軽鎖可変ドメイン(VL)と結合された重鎖可変ドメイン(VH)を同じペプチド鎖(VH−VL)中にふくんでいる。あまりに小さいので同じ鎖上で2つのドメイン間の対合ができないリンカーを使用することによって、ドメインは別の鎖の相補的ドメインとの対合が強いられて2つの抗原結合部位が創出される。ダイアボディについてはもっと十分に、例えばEP404,097;WO93/11161;およびHollingerら、Proc.Nad.Acad.Sci.USA、90:6444−6448(1993)に記載されている。
【0080】
本明細書の使用されている用語「モノクローナル抗体」は、実質的の同質の抗体の集団、(すなわち、集団が自然に起こり得る微量に存在しているかもしれない突然変異を除いて集団を構成する個々の抗体が同一である)から得られる抗体のことをいう。モノクローナル抗体は、高度に特異的であって単一の抗原部位に向けられている。さらに、種々の決定因子(エピトープ)に対して向けられる様々な抗体を典型的には含む従来の(ポリクローナル)抗体の調製と比較して、各モノクローナル抗体は抗原上の単一な決定因子に対して向けられている。その特異性に加え、モノクローナル抗体は、他のイムノグロブリンに汚染されていないハイブリドーマ培養によって合成されるという点で、有益である。修飾語である「モノクローナル」は、実質的に同質の抗体集団から得られた抗体の特徴を示しているのであって、なにか特殊の方法によって抗体を生成することを必要としていると解釈されるものではない。例えば、本発明にしたがって使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohlerら、Nature、256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作成されるかまたは組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)によって作成し得る。このモノクローナル抗体はまた、例えば、Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991)に記載の技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
【0081】
本明細書ではモノクローナル抗体には、重鎖および/または軽鎖の部分が特定の種に由来するかまたは特定の抗体またはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一かまたは相同であって、鎖の残りの部分が別の種に由来するかまたは別の抗体またはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一かまたは相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびに所望の生物学的活性を示す限りいかなる抗体のフラグメントも特に含まれる(米国特許第4,816,567;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855(1984))。本明細書中の目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えばヒヒ、アカゲザル、ヒヨケザル(cynomolgus monkey)等の古代ザル)由来の可変ドメイン抗原結合配列およびヒトの定常領域配列を含む「(霊長類化(primatized)」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
【0082】
非ヒト(例えばネズミ)抗体のヒト化型は、非ヒト・イムノグロブリン由来の配列を最小限含むキメラ抗体である。ほとんどの部分、ヒト化された抗体はヒト・イムノグロブリン(受益者抗体)であって、受容者の超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ラビット、非ヒト霊長類等の非ヒト種(提供者抗体)の超可変領域由来の残基によって置換されているヒト・イムノグロブリンである。ある例では、ヒト・イムノグロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化された抗体は、受益者抗体または提供者抗体中には見られない。これらの変更は、抗体性能をさらに改良するためになされる。一般に、ヒト化された抗体は実質的に少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にはすべてを含み、該可変ドメイン中では、超可変ループのすべてまたは実質的にはすべてが非ヒト・イムノグロブリンのループに対応しており、またFRのすべてまたは実質的にすべてがヒト・イムノグロブリン配列のFRである。ヒト化された抗体はまた、場合によっては少なくともイムノグロブリン定常領域(Fc)の部分、典型的にはヒト・イムノグロブリン部分を含むことになる。さらに詳細は、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)参照。
【0083】
用語「超可変領域」を本明細書で使用するときは、抗原結合の役割を担う抗体のアミノ酸残基のことをいう。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」(例えば軽鎖可変ドメインでは残基24から34(LI)、50から56(L2)および89から97(L3)残基、重鎖可変ドメインでは、31から35(H1),50から65(H2)、95から102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)由来のアミノ酸残基、および/または、「超可変ループ」(例えば、軽鎖可変ドメインでは残基26から32(L1)、50から52(L2)および91から96(L3)および重鎖可変ドメインでは26から32(H1)、53から55(H2)、および96から101(H3);ChothiaおよびLesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))由来のアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で規定された超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。目的の抗原(例えばB細胞表面マーカー)に「結合する」アンタゴニストは、抗原を発現する細胞を標的とする治療剤として有用であるように、十分な親和性および/または結合力を持って抗原に結合することができるものである。
【0084】
CD20抗原と結合する抗体の例には、「C2B8」、これはリツキシマブ(RITUXAN(登録商標)(米国特許第5,736,137号、引用によって本明細書中に明白に取り入れられている)と現在呼ばれている;「Y2B8」と呼ばれるイットリウム−[90]−標識された2138ネズミ抗体(米国特許第5,736,137号、引用によって本明細書中に特別に取り入れられている);131Iで任意に標識されたネズミIgG2a「131」であって「131I−B1」抗体(BEXXARTM)(米国特許第5,595,721号、引用によって本明細書中に特別に取り入れられている)を生成するもの;ネズミモノクローナル抗体「1F5」(Pressら、Blood 69(2):584−591(1987));「キメラ状2H7」抗体(米国特許第5,677,180号引用によって本明細書中に明確に取り入れられている)およびモノクローナル抗体L27,G28−2,93−1133、B−ClまたはNU−B2(International Leukocyte Typing Workshop(Valentineら、Leukocyte Typing III(McMichael,Ed.、p440、Oxford University Press(1987))が含まれる。CD19抗原と結合する抗体の例には、抗CD−19抗体(Hekmanら、Cancer Immunol.Immunother.32:364−372(1991)およびValsveldら、Cancer Immunol.Immunother.40:37−47(1995)およびB4抗体(Kieselら、Leukemia Research 11、12:1119(1987)が含まれる。
【0085】
本明細書の用語「リツキシマブ」(RituximabまたはRITUXAN(登録商標)は、CD20抗原に対して向けられた遺伝子工学で作成されたキメラネズミ/ヒトモノクローナル抗体のことをいい、特別に本明細書に引用されている米国特許5,736,137中ではC2B8」と命名されている。該抗体は、ネズミの軽鎖および重鎖可変領域配列およびヒト定常領域配列を含むIgGカッパ・イムノグロブリンである。リツキシマブは、約8.0nMのCD20抗原に対する結合親和性を有する。
【0086】
「単離」されたアンタゴニストは自然環境の成分から特定され、分離されおよびまたは回収されてきた。その自然環境の汚染成分は、アンタゴニストの診断用、治療用使用を妨害する物質であり、これには酵素、ホルモン、他のたんぱく質性または非たんぱく質性の溶質である。好ましい態様では、アンタゴニストは、(1)ローリー法により定量する場合、アンタゴニストの95重量%を上回って、より好ましくは99重量%を上回るまで(2)回転カップシークエンサーを使用することによって、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るに十分な程度まで、または(3)コマシーブルーまたは好ましくは銀染色を使用した還元または非還元状態でSDS−PAGEによって均一になるまで精製される。単離されたアンタゴニストには、組換え細胞内のin situでのアンタゴニストが含まれる。なぜなら、アンタゴニストの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかしながら通常は、単離されたアンタゴニストは少なくとも1つの精製工程によって調製されることになる。処置の目標となる「哺乳類」は、哺乳類(ヒト、家畜および農場動物:および動物園、スポーツ、またはペット動物(犬、馬、猫、牛等))に分類される動物なら何でもよい。哺乳動物はヒトであることが好ましい。
【0087】
「処置」は、治療的処置および予防的または防御手段のことをいう。治療を必要とするものは、既に疾病または疾患に罹患しているものならびに疾病または疾患にかかるのを防御すべきものである。したがって、哺乳類は疾病または疾患を有すると診断されていてもまたは疾病にかかり易いまたは受け入れやすくてもよい。
【0088】
「治療上有効量」という表現は、問題の自己免疫疾患を予防、改善または治療するために有効なアンタゴニストの量のことをいう。付加的治療のために明細書に使用されている用語「免疫抑制剤」は、本明細書中で治療される哺乳類の免疫系を抑制するかまたは遮蔽するような作用する物質のことをいう。これにはサイトカイン生成を抑制、または自己抗原の発現をダウンレギュレートまたは抑制するか、あるいはMHC抗原を遮蔽する物質が含まれる。
【0089】
このような抗原の例には、2−アミノ−6−アリール−5で置換されたピリミジン(本明細書に開示が引用されている米国特許4,665,077参照)、アザチオプリン、シクロホスホアミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプゾーン、グルタアルデヒド(これは米国特許4,120,649に記載されているように、MHC抗原を遮蔽する)、MHC抗原およびMHCフラグメントに対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、糖質副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン)、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(抗インターフェロン−y−(3、またはa抗体、抗腫瘍壊死因子−a−抗体、抗腫瘍壊死因子−(i抗体、抗インターロイキン−2抗体および抗IL−2受容体抗体を含む);抗LFA−1抗体(抗CD1Laおよび抗CD18抗体を含む)、抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;pan−T抗体、好ましくは抗CD3または抗CD4/CD4a抗体;LFA−3結合ドメインを含む溶解性ペプチド(WO90/08187、90年7月26日発行);ストレプトキナーゼ;TGF−0;ストレプトドルナーゼ;宿主のRNAまたはDNA;FK506;RS−61443;デオキシスパガリン;ラパマイシン;T細胞受容体(Cohenら、米国特許5,114,721);T細胞受容体フラグメント(Offnerら、Science 251:430−432(1991);WO90/11294;Ianeway、Nature、341:482(1989)およびWO91/01133);およびTLOB9等のT細胞受容体抗体(EP340,109)が含まれる。
【0090】
本明細書に使用されている用語「細胞毒性剤」は、細胞機能を阻害または阻止および/または細胞の破壊を引き起こす物質のことをいう。該用語は、放射活性同位元素(例えば、I131、Y90、Ar211、P32、Re188、Re186、Sm153、B212他)、化学療法剤、および小分子トキシンまたはバクテリア、菌類、植物または動物起源の酵素学的に活性なトキシン等のトキシン類、またはそれらのフラグメント)を含むことを企図する。
【0091】
「化学療法剤」とは、癌の治療に有用な化合物のことをいう。化学療法剤の例には、アルキル化剤(チオテパおよびシクロホスホアミド(CYTOXAN(登録商標))等);アルキルスルホン酸(ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン等);アジリジン(ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ等);エチレンイミンおよびメチルアメラミン(オルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレン燐アミド、トリエチレンチオ燐アミド、トリメチロロメラミンを含む);窒素マスタード(クロラムブシル、クロルマファジン、クロロホスホアミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロールエタミン、メクロールエタミンオキサイド塩酸塩、メルファラン、ノベムビーヒン(novembiehin)、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファアミド、ウラシルマスタード等);ニトロスウレア(カルマスチン、クロロゾトシン、ホテマスチン、ロマスチン、ニマスチン、ラニマスチン等)、抗生物質(アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリキアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモイニシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダムビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエロマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシデン(tubercidin)、ユベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等;抗代謝剤(メトトレキサート、および5−フルオロウラシル(5−FU)等);葉酸類似物(デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサート等);プリン類似物(フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等)、ピリミジン類似物(アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフアー、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FU等);アンドロゲン(カルステロン、ドロモスタノロンプロピン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン類;抗副腎剤(アミノグルテチミド、ミトーテン、トリロスタン等);葉酸補充剤(フロリニックアシッド等;アセガラトン;アルドホスホアミドグリコシド;アミノレブリン酸;アマサクリン;ベストラブシル;バイサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン;エリプチニウム酢酸;エトグルチド;硝酸ガリウム;水酸化尿素;レンチナン;ロニダミン;マイトグアゾン;マイトキサントロン;モピダモール;ナイトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリニックアシド;2−エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK(商標);ラゾキザン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾニックアシド;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マノムスチン;マイトブロニトール:マイトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスホアミド;チオテパ;タキソイド(例えば、パクリタキセル(TAXOLO、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、NJ)およびドキセタキセル(TAXOTEW、Rh6ne−Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル;ゲンシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトキシレート、プラチナ類似物(シスプラチン、カルボプラチン等);ビンブラスチン;プラチナム;エトポシド(VP−16);イホスホアミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ、イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;および薬剤として許容される塩、酸または上記の各誘導体が含まれる。また、この規定には、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤(抗エストロゲン等)が含まれ、これには例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、トレミフエン(Fareston)および抗アンドロゲン(フルタアミド、ニルタミド、バイカルタミド、レウプロリド、ゴセレリィン等);および薬剤として許容される塩、酸または上記の各誘導体が含まれる。
【0092】
用語「サイトカイン」は、細胞間メデイエーターとして別の細胞上で作用する1つの細胞集団によって分泌されるタンパク質の一般用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、伝統的ポリペプチドホルモンである。これらサイトカインの中でも、成長ホルモン(ヒト成長ホルモン、Nメチオニルヒト成長ホルモンおよび牛成長ホルモン等)、副甲状腺ホルモン;チロキシン;インシュリン;プロインシュリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン(卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)等);肝臓成長因子;フィブロブラスト成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子a、および−0;ミューラー管阻害物質;マウスゴナドロピン付随ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞成長因子;インテグリン;トロンボポイエチン(TPO);神経成長因子(NGF−P等);血小板成長因子;形質転換成長因子(TGFs)(TGF−aおよびTGF−0等);インシュリン様成長因子IおよびII;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン(インターフェロンα、Pおよびy等);コロニー刺激因子(CSF)(マクロファージCSF(M−CSF等);顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF);および顆粒球CSF(GCSF);インターロイキン(IL)(IL−1、IL−1a、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15等)、腫瘍壊死因子(TNF−aまたはTNF−P、および他のポリペプチド因子(LIFおよびキットリガンド(KL)を含む)がある。本明細書で使用されているように、用語サイトカインには、天然の供給源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質、および天然配列のサイトカインと生物学的に活性な同等物が含まれる。
【0093】
本出願で使用されている用語「プロドラッグ」は、親ドラックと比較すると腫瘍細胞に対してやや細胞毒性が低く、酵素的に活性化してまたは変換してより活性化された親医薬型にすることが可能な薬剤として活性な物質の前駆体または誘導体のことをいう。例えば、Wihnan、「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」Biochemical Society Transactios、14、pp.375−382、615th Meeting Belfast(1986)およびStellaら、「Prodrugs;A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery、Borchardtら、(ed)、pp.247−267、Humana Press(1985)参照。本発明のプロドラッグには、これらはより活性で細胞毒性の薬剤に変換可能である燐酸塩配合プロドラッグ、チオ燐酸塩配合プロドラッグ、硫酸塩配合プロドラッグ、ペプチド配合プロドラッグ、D−アミノ酸に修飾されたプロドラッグ、グリコシルされたプロドラッグ(3−ラクタムを含むプロドラッグ、場合によっては、置換フェノキシアセトアミド配合プロドラッグ、または場合によってはフェニルアセトアミド配合プロドラッグ、5フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれるがこれらに限定されない。本発明に使用するためプロドラッグ型に誘導され得る細胞毒性薬には上記に記載の化学治療剤を含むがこれには限定されない。
【0094】
「リポソーム」は、薬剤(本明細書に開示されているアンタゴニスト、場合によっては、化学療法剤等)を哺乳類に送達するのに有用な多種の脂質、燐酸脂質、および/または表面活性剤から構成される小胞である。リポソームの構成材料は、生物膜の脂質配置と同様に通例は二層型に配置されている。用語「添付文書」は、適応症、使用方法、用法用量、治療用製品の使用に関連する禁忌および/または警告についての情報を含む、治療用製品の商業用包装形態に通常含まれる説明書のことをいう。
【0095】
II.アンタゴニストの生成
本発明の製造方法、製造品は、B細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインに結合するアンタゴニストを使用するかまたは含む。したがって、このようなアンタゴニストを生成する方法を本明細書に記載する。アンタゴニストを生成するためまたはスクリーニングするために使用されるB細胞表面マーカーまたはサイトカインは、例えば、所望のエピトープを含む溶解型の抗原またはその一部であってよい。その代わりまたは加えて、アンタゴニストを生成またはスクリーニングするために細胞表面にB細胞表面マーカーを発現する細胞を使用することができる。アンタゴニストを生成するのに有利な他の形のB細胞表面マーカーは当業者には自明である。好ましくは、B細胞表面マーカーはCD19またはCD20抗原である。サイトカインはIL−10であることが好ましい。
【0096】
好ましいアンタゴニストは抗体であるが、抗体以外のアンタゴニストをここでは考えてみる。例えば、アンタゴニストには、場合によっては(ここに記載されているような)細胞毒性剤と融合または結合されている小分子アンタゴニストが含まれ得る。小分子ライブラリーを、目標のB細胞表面マーカーに対してスクリーニングして、抗原と結合する小分子を特定してもよい。小分子はさらにアンタゴニスト特性についてスクリーニングしておよび/または細胞毒性剤と結合してもよい。
【0097】
アンタゴニストは、合理的な設計またはファージ・デイスプレーによって生成され得る(例えば、WO98/35036、1998年8月13日発行を参照)。一態様においては、選択される分子は抗体のCDRにもとづいてデザインされた「CDR類似物」または抗体類似物であってよい。このようなペプチドはそれ自身アンタゴニスト的であるが、場合によってはペプチドのアンタゴニスト特性を加えるかまたは高めるために細胞毒性剤と融合されてもよい。
【0098】
本発明に従って使用される抗体アンタゴニストの生成の模範技術を次に記載する。
【0099】
ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、関連する抗原およびアジュバントの複数回の皮下注射(sc)または腹腔内(ip)注射によって動物中で生成されることが好ましい。免疫感作すべき種において免疫原性であるタンパク質(例えばキーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシ・チログロブリン、または二作用性または誘導剤(例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(シスチン残基経由で結合)、N−ヒドロキシサクシンイミド(リジン残基経由)、グルタルアルデヒド、無水琥珀酸、SOC12、またはR1N=C=NR(RおよびR1は異なるアルキル基))を使用している大豆トリプシン阻害剤)に対して対応する抗原を結合することが有用である。動物は、抗原、免疫原性結合体、または誘導体に対して、例えば(それぞれラビットまたはネズミに対して)タンパク質または結合体100pgまたは5wgと3体積のフロイント完全アジュバントとを併せ、その液を多部位に皮内に注入し免疫感作させる。1カ月後、その動物は、フロイント完全アジュバンド中ペプチドまたは結合体がもとの量の1/5から1/10で、多数部位に皮下注射することによってブーストされた。7から14日後、動物を放血させ血清を抗体力価について分析する。動物は力価がプラトーになるまでブーストされる。好ましくは、動物は、同じ抗原の結合体であるが、異なるタンパク質に対しておよび/または異なる架橋試薬を経て結合されたものでブーストされる。結合体はまた、タンパク質融合体として組換え細胞培養物中で作成できる。また、ミョウバン等の凝集剤は、免疫応答を高めるために適切に使用される。
【0100】
(ii)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に同種の抗体、すなわち少量で存在しているかもしれない自然発生の可能性のある突然変異を除いた細胞集団が同質である個々の抗体から得られる。このように、限定語「モノクローナル」は、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示している。例えば、モノクローナル抗体はKohlerら、Nature、256:495(1975)によって初めて記載されたハイブリドーマ法を使用して作成されるかまたは組換えDNA法(米国特許第4,816、567号)によって作製し得る。
【0101】
ハイブリドーマ法では、マウスまたはその他適宜な宿主動物(ハムスター等)を上記に記載されたように免疫感作し、免疫感作に使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を生成するかまたは生成することができるリンパ球を誘導する。または、リンパ球はin vitroで免疫感作されてもよい。リンパ球は骨髄腫細胞と適切な融合剤(ポリエチレングリコール等)を使用して融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、pp 59−103(Academic Press 1986)]。
【0102】
このように調製されたハイブリドーマ細胞は、未融合の親骨髄腫細胞の生育または生存を阻害する1つまたは複数の物質を好ましくは含む適切な培地に播種され生育される。例えば、もし親骨髄腫細胞が酵素ハイポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠いていたとしたら、ハイブリドーマの培地は概して、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる物質であるハイポキサンチン・アミノプテリンおよびチミジン(HAT培地)を含むことになる。
【0103】
好ましい骨髄腫細胞は、効率よく融合し、選択された抗体生成細胞によって抗体の安定で高度な生成を助け、HAT培地等の培地に感受性のある細胞である。中でも、好ましい骨髄腫細胞系は、Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、California USAから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍由来の細胞およびAmerican Type Culture Collection、Rockville、Maryland USAから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞である。ヒト骨髄腫細胞およびマウス・ヒトヘテロ骨髄腫細胞系もまたヒト・モノクローナル抗体を生成すると記載されている[Kozbor,J.Immunol.、133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987)]。
【0104】
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクロナル抗体の生成について分析する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈澱によって、または放射免疫測定法(RIA)または酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)等の免疫沈澱またはin vitro結合分析によって求められる。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonらのスカッチャード(Scatchard)分析(Anal.Biochem.、107:220(1980)によって求められる。
【0105】
ハイブリドーマ細胞が所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を生成することを確認した後、クローンを限界希釈法によってサブクローニングし、標準法によって生育させることができる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、pp.59−103(Academic Press、1986)。この目的のための適切な培地には、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。加えて、ハイブリドーマ細胞を動物において腹水腫瘍としてin vivoで生育してもよい。
【0106】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、培地、腹水または血清から従来のイムノグロブリン精製法(例えばタンパク質A−セファロース、ハイドロキシアパタイト・クロマトグラフィ、ゲル電気分解、透析、またはアフィニテイ・クロマトグラフ)によって適宜分離される。
【0107】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来法で(例えば、ネズミ抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子と特異的に結合することができるオリゴヌクレオチド・プローブを使用して)容易に単離され、シークエンスされる。ハイブリドーマ細胞はこのようなDNAの好ましい供給源となる。DNAは一端単離されると、発現ベクターに入れられ、ベクターは次に、イムノグロブリンタンパク質を別に生成しない宿主細胞(大腸菌、サルのCOS細胞、チャイニーズ・ハムスター卵胞細胞(CHO)または骨髄腫細胞等)にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体を合成する。抗体をコードしているDNAのバクテリア中での組換え発現についての参照論文には、Skerraら、Curr.Opinion in Immunol.、5:256−262(1993)およびPhickthun,Immunol.Revs.、130:151−188(1992)がある。
【0108】
さらなる実施の形態において、抗体または抗体フラグメントは、McCaffertyら、Nature、348:552−554(1990)に記載の技法を使用して生成された抗体ファージのライブラリーから単離することができる。Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991)はそれぞれ、ネズミおよびヒト抗体をファージ・ライブラリーを使用して単離することを記載している。その後の出版物では、大規模ファージ・ライブラリーを構築する戦略である鎖再編成(Marksら、BiolTechnology、10:779−783(1992)、ならびに組合せ感染およびin vivo組換えによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の生成を記載している(Waterhouseら、Nuc.Acids.Res.、21:2265−2266(1993)。したがって、このような技法は、モノクローナル抗体を単離するために伝統的抗体ハイブリドーマ技法にとって替わることが可能である。
【0109】
DNAはまた、たとえば、ヒト重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列を相同のネズミ配列の代りに置き換えること(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、81:6851(1984))によって、またはイムノグロブリンをコードする配列に対して非イムノグロブリン・ポリペプチドのすべてあるいは一部を共有結合することによって、変更してもよい。典型的には、このような非イムノグロブリン・ポリペプチドが抗体の定常ドメインにかわって置き換えられるか、またはこのペプチドは抗体の抗体結合部位の可変ドメインに代って置き換えられて、ある抗原に対して特異性を有する抗原結合部位と別の抗原に対して特異性を有するもう1つの抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を創生する。
【0110】
(iii)ヒト化された抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は現況技術に記載されている。好ましくは、ヒト化された抗体は非ヒトである供給源から該抗体に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有す。これらの非ヒトアミノ酸残基は「インポート」可変ドメインから一般的にとられるので、しばしば「インポート」残基と呼ばれる。ヒト化はWinterと同僚達の方法(Jonesら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science、239:1534−1536(1988)に従って基本的に行われるのであって、超可変領域の配列をヒト抗体の対応配列の代りに置き換えることによって行うことが可能である。従って、このようなヒト化された抗体は、キメラ抗体で(米国特許第4,816,567号)あって、完全なヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応配列によって置き換えられていることは実質的に少ないキメラ抗体である。実践では、ヒト化された抗体は概してヒト抗体であって、いくつかの超可変領域残基およびいくつかのFR残基が齧歯類抗体における類似部位由来の残基によって置き換えられているヒト抗体である。
【0111】
ヒト化された抗体を作製する際に使用される、軽鎖、重鎖両方のヒト可変ドメインの選択は抗原性を減少させるために重要である。いわゆる「最適」法によると、齧歯類抗体の可変ドメインの配列が、既知ヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。そして齧歯類の配列に一番近いヒト配列が、ヒト抗体に対してのヒトフレームワーク領域(FR)とされる(Simsら、J.Immunol、151:2296(1993);Chothiaら、J.Mol.Biol、196:901(1987))。もう1つの方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特殊なフレームワーク領域が使用される。同じフレームワークが数種の異なるヒト化された抗体に対して使用されてもよい(Carterら、Proc.Nad.Acad.Sci.USA、89:4285(1992);Prestaら、J.Immunol、151:2623(1993))。
【0112】
さらに、抗体を抗原に対する高親和性および他の好ましい生物学的特質を保持したままヒト化させることが重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従うと、ヒト化された抗体は、親の配列および親およびヒト化された配列の三次元モデルを使用して様々に概念的にヒト化された生成物を分析する方法によって調製される。三次元イムノグロブリン・モデルは、通常入手可能であり当業者には公知である。選択されたイムノグロブリン配列候補の推定される三次元構造を図表示するコンピューター・プログラムが利用可能である。これらの表示を詳細に調べることでイムノグロブリン配列候補の作用における残基の予想される役割の分析、すなわち、候補イムノグロブリンの抗体と結合する能力に影響を与える残基の分析が可能となる。このように、FR残基は受益者およびインポート配列から、所望の抗体特徴(目的抗原に対する親和性の増大等)が達成されるように選択され結合される。一般的に、超可変領域残基は、直接および最も実質的に抗原結合に影響する。
【0113】
(iv)ヒト抗体
ヒト化に代るものとして、ヒト抗体を生成することが可能である。例えば、免疫化されると内在性イムノグロブリン生成がない状態でヒト抗体の全範囲を生成することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を生成することが現在可能である。例えば、キメラ生殖細胞系変異マウスの抗体重鎖J領域(JH)遺伝子のホモ接合が欠損していれば結果として内在性抗体の生成が完全に阻害されることになる。ヒト生殖細胞系イムノグロブリン遺伝子アレイをこのような生殖細胞系変異マウスへの移入すると、抗原投与によってヒト抗体が生成される結果となる。例えば、Jakobovitsら、Proc.Mad.Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature、362;255−258(1993);Bruggermannら、Year in Immuno.、7;33(1993);および米国特許第5,591,669号,5,589,369号および5,545,807号参照。また、ファージ表示技法(McCaffertyら、Nature 348:552−553(1990))を使用して、ヒト抗体および抗体フラグメントが、未免疫化ドナー由来のイムノグロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからin vitroで生成できる。この技法によると、抗体Vドメイン遺伝子は、糸状性バクテリオファージ(M13またはfd)のメジャーまたはマイナー・コートタンパク質遺伝子のどちらかにインフレーム(in−flame)でクローンされ、機能的抗体フラグメントとしてファージ粒子の表面に表示される。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含んでいるので、抗体を機能的特質に基づいて選択するとそれらの特質を示す抗体をコードしている遺伝子を選択する事になる。このように、ファージはB細胞のいくつかの特質と類似する。ファージは様々なフォーマットで表示される。例えば、Johnson,Kevin S.およびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology 3:564−571(1993))参照下さい。V遺伝子セグメントの数個の供給源がファージ表示のために使用できる。Clacksonら、(Nature、352:624−628(1991))は抗オキサゾロン抗体の多様化したアレイを、免疫化されたマウスの脾臓由来のV遺伝子の小さなランダムに組み合わせたライブラリーから単離した。未免疫化ヒト供与者由来のV遺伝子のレパートリーが構築され、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、Marksら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991)またはGriffithら、EMBO J.12:725−734(1993)に記載の技法に本質的には従って単離することができる。また米国特許第5,565,332号および5,573,905号も参照。ヒト抗体はまたin vitroで活性化されたB細胞によって生成し得る(米国特許第5,567,610号および5,229,275号)。
【0114】
(V)抗体フラグメント
様々な技法が抗体フラグメントを生成するために開発されてきた。従来よりこれらのフラグメントは完全な抗体のタンパク質分解消化を経て得られた(例えばMorimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennanら、Science、229:81(1985)参照)。しかしながら、これらのフラグメントは現在では組換え宿主細胞によって直接生成することができる。例えば、抗体フラグメントは上記で記載された抗体ファージ・ライブラリーから単離可能である。またFab’−Sliフラグメントは大腸菌から直接回収できまた化学的に結合してF(ab’)2フラグメントを作ることが可能である[Carterら、Bio/Technology10:163−167(1992)]。もう1つのアプローチによると、F(ab’)2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離できる。他の抗体フラグメントを生成する別の技法は熟練者には明らかであろう。他の実施形態では、選択された抗体は一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO93/16185;米国特許第5,571,894号および米国特許第5,587,458参照。抗体フラグメントもまた、例えば米国特許第5,641,870号に記載のような直鎖抗体であってもよい。このような直鎖フラグメントは単一特異性または二重特異性であってよい。
【0115】
(vi)二重特異性抗体
二重特異性抗体は少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。典型的二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープ結合し得る。別のこのような抗体は、第1のB細胞マーカーに結合し、さらに第2のB細胞表面マーカーに結合する。また、抗B細胞マーカー結合アームは、T細胞受容体分子(例えばCD2またはCD3)またはIgG(FcyR)の受容体(例えば、FcyRI(CD64),FcyRII(CD32)、FcyRIII(CD16等)といった白血球上のトリガー分子と結合するアームと、B細胞に対する細胞防御機構に焦点をあわせるように、組み合わさっていてもよい。二重特異性抗体はB細胞に対して細胞毒性剤を局在化するために使用されてもよい。これらの抗体はB細胞マーカー結合アームおよび細胞毒性剤(例えば、サポリン(saporin)、抗インターフェロンa、ビンカ・アルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセートまたは放射活性アイソトープ・ハプテン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長の抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)Z二重特異性抗体)として調製できる。
【0116】
二重特異性抗体を作る方法は現況技術ではよく知られている。完全長二重特異性抗体を従来法で生成する場合は、2つのイムノグロブリン重鎖・軽鎖対(2つの鎖は異なる特異を有す)の共に発現させることに基づいて行う(Millsteinら、Nature、305:537−539(1983))。イムノグロブリン重鎖および軽鎖をランダムに組み合わせるために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ、quadroma)は、10個の異なる抗体分子の混合物を生成できてしまうが、その内ただ1つが正しい双特異的構造をもつのである。正しい分子の精製は、通常は親和性クロマトグラフィー工程で行われるが、これはどちらかといえば厄介で、生産量は低い。同様の手法がWO93/08829およびTrauneckerら、EMBO J、10:3655−3659(1991))に開示されている。
【0117】
異なるアプローチによると、所望の結合特異性を有する抗体の可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、イムノグロブリン定常ドメイン配列と融合されている。融合は、少なくともヒンジ部分、CH2およびCH3領域を含むイムノグロブリン重鎖定常ドメインと行うのが好ましい。軽鎖結合に必要な部位を含み、少なくとも1つの融合物中に存在する第1の重鎖定常領域(CH1)を有するのが好ましい。イムノグロブリン重鎖融合物、所望であれば、イムノグロブリンの軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入されて適切な宿主微生物中に共トランスフェクトされる。これによって、至適生成量が3つのポリペプチド鎖異なる割合で構築に使用されていることにより得られる実施の形態中、3つのポリペプチドフラグメントのお互い比率が高いフレキシビリテイをもって調節される。しかしながら、少なくとも2つのポリペプチド鎖が、同一量で発現されて高生成量となる場合、またはその割合が特に重要性をもたない場合に、2つまたは3つのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクター中に挿入することが可能である。
【0118】
本アプローチの好ましい実施の形態では、二重特異性抗体は、1つのアーム中の第1の結合特異性をもつハイブリッド・イムノグロブリン重鎖、および他のアーム中のハイブリッド・イムノグロブリン重鎖軽鎖対(第2結合特異性が与えられている)から構成されている。非対称構造によって、所望の二重特異性化合物が望ましくないイムノグロブリン鎖の組合せからの分離が容易になる。つまり、二重特異性分子の半分のみにイムノグロブリン軽鎖が存在するので、容易な分離方法が提供される。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体生成のさらなる詳細については、例えばSureshら、Methods in Enzymology、121:210(1986)を参照。
【0119】
米国特許第5,731,168号に記載されている別のアプローチによると、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最大にすることができる。界面は、抗体定常ドメインのうちCH3ドメインの少なくとも一部を含むことが好ましい。この方法では、第1抗体分子の界面由来の1つまたは複数の小さなアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)によって置換される。第2抗体分子の界面上には、大きな側鎖と同一あるいは同様のサイズの埋め合わせの「腔」が大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えばアラニンまたはスレオニン)で置換することによって作られる。これによって、ヘテロダイマーの生成量を、他の望ましくないホモダイマー等の最終産物を超えて増加させるためのメカニズムが提供される。
【0120】
二重特異性抗体には、架橋または「ヘテロ接合」抗体が含まれる。例えば、ヘテロ接合の抗体の1つはアビジンと結合可能であり、もう1つはビオチンと結合可能である。例えば、このような抗体が望ましくない細胞に対する免疫系細胞を標的とすること(米国特許第4,676,980号)が提案されておりまたHIV感染(WO91/00360、WO92/200373およびEP03089)の治療用として提案されている。ヘテロ接合抗体はどんな簡便な架橋方法を用いても作成し得る。適切な架橋剤は現況技術でよく知られており、米国特許第4,676,980号では多くの架橋技法と共に開示されている。
【0121】
二重特異性抗体を抗体フラグメントから生成する技術もまた文献に記載されている。たとえば、二重特異性抗体は化学架橋を使用して調製することが可能である。Brennanら、Science、229:81(1985)には、完全な抗体がタンパク質溶解で開裂されてF(ab’)2フラグメントが生成される方法が記載されている。これらのフラグメントはジチオール錯化剤ヒ酸ソーダの存在下還元されて近隣のジチオールを安定化させて分子内ジスルフィド形成を防ぐ。生成されたFab’フラグメントは、次にチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次にFab’−TNB誘導体の1つはメルカプトエチルアミンで還元されてFab’−チオールに再変換され、別の等分子量Fab’−TNB誘導体と混合されて二重特異性抗体を形成する。生成された二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用剤として使用可能である。
【0122】
最近の進展により、大腸菌からのFab’−SHフラグメントの直接回収が容易となり、化学的に結合されて二重特異性抗体を形成することが可能である。Shalabyら、J.Exp.Med.、175:217−225(1992)には十分にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)2分子の生成が記載されている。各Fab’フラグメントは別々に大腸菌から分泌されin vitroでの直接化学結合に供され二重特異性抗体を形成する。このように形成された二重特異性抗体はErbB2受容体を過発現している細胞および通常のヒトT細胞と結合できたばかりでなくヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶菌活性を誘発することができた。
【0123】
二重特異性抗体フラグメントを作成および組換え細胞培養物から直接単離するための様々技法もまた記載されてきた。例えば、二重特異性抗体はロイシン・ジッパーを使用して生成されてきた(Kostelnyら、J.Immunol.、148(5):1547−1553(1992))。FosおよびJunタンパク質由来のロイシン・ジッパー・ペプチドは2つの異なる抗体のFab’部分に遺伝子融合でリンクされた。抗体のホモダイマーはヒンジ領域において還元されモノマーを形成し、次に再び酸化されて抗体ヘテロダイマーを形成した。この方法はまた抗体ホモダイマーを生成するために利用され得る。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444−6448(1993)によって記載される「ダイアボディ」技法では二重特異的抗体フラグメントを作成するためのもう1つの機構が提供してされている。フラグメントは軽鎖可変ドメイン(VL)と、同じ鎖上の2つのドメインの間のペアを作るには短すぎるリンカーによって結合されている重鎖可変ドメイン(VH)が含まれる。
【0124】
したがって、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは他のフラグメントの相補的VLおよびVHドメインと対にさせられ、これによって2つの抗原結合部位を形成する。二重特異性抗体フラグメントを、一本鎖Fv(sFv)ダイマーを使用して作成する別の戦略も報告されている。Gruberら、J.Immunol.、152:5368(1994)参照。2原子価以上の抗体も考えられる。例えば三重特異性抗体が調製可能である。Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)。
【0125】
III.アンタゴニストの結合体および他の修飾法
該方法に使用されるかまたは本明細書で製造された製品に含まれるアンタゴニストは、場合によっては細胞毒性剤と結合されている。このようなアンタゴニスト−細胞毒性剤の結合体の生成に有用な化学療法剤は上記に記載してある。
【0126】
アンタゴニストおよびひとつまたは複数の小分子トキシン(カリキアマイシン、メイタンシン(maytansine)(米国特許第5,208,020号)、トリコセンおよびCC1065等)との結合物も本明細書では考えられる。本発明の実施形態では、アンタゴニストは、ひとつまたは複数のメイタンシン分子(例えばアンタゴニスト分子につき約1から約10メイタンシン分子)に結合される。メイタンシンは、例えば、May−SS−Meに変換され、これがMay−SH3に還元され、修飾されたアンタゴニストと反応して(Chariら、Cancer Research 52:127−131(1992))メイタンシノイド(maytansinoid)−アンタゴニスト結合体が生成される。
【0127】
また、アンタゴニストはひとつまたは複数のカリキアマイシン(calicheamicin)分子と結合される。抗生物質のカリキアマイシン族は、サブ−ピコモル濃度で二本鎖DNAの分断を生成することができる。使用可能なカリキアマイシンとの構造類似しているのは‘yJ1、a21、a31、N−アセチル−yl’、PSAGおよび011があるがこれには限られない(Hinmanら、Cancer Research、53:3336−3342(1993)およびLodeら、Cancer Research 58:2925−2928(1998))。
【0128】
使用可能な酵素学的に活性なトキシンおよびそのフラグメントには、ジフテリアA鎖、ジフテリア・トキシンの非結合活性フラグメント、エクソトキシン(exotoxin)A鎖(シュードモナス・エルギノーザ由来)、リシンA鎖、アブリン(abrin)A鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ−サルシン(sarcin)、41オイリテスフォルジ(41euritesfordii)タンパク質、ディアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI,PAPII、およびPAP−S)、モモルデイカ・キャランティア(momordica charantia)阻害剤、カーシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レスティクトシン(restictocin)、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコセシーン(tricothecenes)が含まれる。例えば1993年10月28日発行のWO93/21232を参照。
【0129】
本発明はさらに核溶解活性(例えば、リボヌクレアーゼまたはデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)等のDNAエンドヌクレアーゼ)を有する化合物と結合されたアンタゴニストを企図する。様々な放射活性同位元素が、放射活性結合されたアンタゴニストの生成に利用できる。例としては、Ate”,113’,1125、Y9o、Re186、Re188,Sm153,Bi212P32およびLuの放射活性同位元素が含まれる。アンタゴニストおよび細胞毒性剤との結合体は、様々な二機能性タンパク質カップリング剤(N−サクシンイミデイル−3−(2−ピリミジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、サクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−l−カルボキシレート、イミノチオレーン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジサクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビスアジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(pジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネート等)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)等を使用して作成され得る。例えば、リチン・イムノトキシンはVitettaら、Science 238:1098(1987)に記載されたように調製することが可能である。炭素14標識された1−イソチオシアネートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射活性ヌクレオチドとアンタゴニストを結合用の模範的なキレート剤である。WO94/11026参照。リンカーは細胞で細胞毒性ドラッグの分泌を促進する「開裂可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド配合リンカー(Chariら、Cancer Research 52:127−131(1992))を使用し得る。また、アンタゴニストおよび細胞毒性剤を含む融合タンパク質は、例えば組換え技法またはペプチド合成によって作成される。
【0130】
また別の実施の形態では、アンタゴニストは腫瘍を予備目標として使用するためには「受容体」(ストレプトアビジン等)と結合されていてもよく、この場合、アンタゴニスト・受容体結合体は患者に投与され、続いて未結合の結合体を循環系からキレート剤を使用して除去し、そして細胞毒性剤(例えば放射ヌクレオチド等)と結合されている「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。本発明のアンタゴニストはプロドラッグ(例えば、ペプチデイル化学療法剤、WO81/01145参照)を活性抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素と結合されてもよい。例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278参照。
【0131】
このような結合体の酵素成分には、プロドラッグをより活性な細胞毒性型に変換するようにプロドラッグに作用することができる酵素ならどれでも含まれる。本発明の方法に有用な酵素には、燐酸配合プロドラッグをフリードラッグ(free drug)に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;硫酸塩配合プロドラッグをフリードラッグに変換するのに有用なアリールサルファターゼ;無毒性5フルオロシトシンを抗癌剤5フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシン・デアミナーゼ;ペプチド配合プロドラッグをフリードラッグに変換するのに有用なプロテアーゼ(例えば、セラチア・プロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシルペプチダーゼ、およびカテプシン(カテプシンBおよびL等)等);Dアミノ酸代替物を含むプロドラッグを変換するのに有用なDアラニルカルボキシペプチダーゼ;グルコシル化されたプロドラッグをフリードラッグに変換するのに有用な炭水化物開裂酵素(1iガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ等):(3−ラクタムで誘導体化されたドラッグをフリードラッグに変換するのに有用な3−ラクタマーゼ;およびフェノキシアセチルまたはフェノキシアセチル基でそれぞれアミンナイトロジェンで誘導化したドラッグをフリードラッグに変換するのに有用なペニシリンアミダーゼ(ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼ等)が含まれるが、これらに限定されない。また、酵素活性を有する抗体、「アブザイム(abzyme)」としても現況技術では知られているが、本発明のプロドラッグをフリーの活性ドラッグに変換するのに使用可能である(例えばMassey、Nature 328:457−458(1987)参照)。アンタゴニスト−アブザイム結合体は、腫瘍細胞集団にアブサイムを行き渡らせるために本明細書に記載されたように調製できる。
【0132】
本発明の酵素は、現況技術によく知られている技法(上記に記載されているヘテロ二機能性架橋用試薬を使用する等)によって共有結合でアンタゴニストに結合できる。また本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部分と連結されている本発明のアンタゴニストの少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質が現況技術によく知られている組換えDNA技法を用いて構築することができる(例えば、Neubergerら、Nature、312:604−608(1984)参照)。
【0133】
本明細書ではアンタゴニストの別の修飾法が考えられる。例えば、アンタゴニストは様々な非タンパク質系ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー)の1つと連結されてもよい。本明細書に開示されているアンタゴニストはまた、リポソームとして処方されてもよい。アンタゴニストを配合するリポソームは、Epsteinら、Proc.Mad.Acad.Sci.USA 82:3688(1985).Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4030(1980);U.S.Pat.Nos.4,485,045および4,544,545;およびWO97/38731(1997年10月23日発行)に記載されているような現況技術に既知の方法で調製される。循環時間が高められたリポソームは米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0134】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、PEGに誘導されるホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成による逆相蒸発法で生成することができる。リポソームは規定サイズの孔を有するフィルターを通して押し出されると、所望の直径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab’フラグメントはMartinら、J.Biol.Chem.257:286−288(1982)に記載のリポソームとジスルフィド交換反応を経て結合することができる。場合によっては化学療法剤はリポソーム内に含まれる。Gabizonら、J.National Cancer Inst.81(19)1484(1989)参照。本明細書に記載されたタンパク質またはペプチド・アンタゴニストのアミノ酸配列の修飾も考えられる。例えば、アンタゴニストの結合親和性および/または生物学的特質の改善することが望ましい。
【0135】
アンタゴニストのアミノ酸配列変異は、アンタゴニスト核酸中に適切なヌクレオチドの変化を導入すること、またはペプチド合成によって調製される。このような修飾には例えば、アンタゴニストのアミノ酸配列内における残基の欠損および/または挿入および/または置換が含まれる。仮に最終構築物が所望の特質を有しているとすると、欠損、挿入、および置換のどのような組合せでも最終構築物に到達する。アミノ酸を変化させると、例えばグリコシル化部位の数または位置を変える等のアンタゴニストの翻訳後の過程を変化させることになる。
【0136】
変異誘発に好ましい場所であるアンタゴニストの特定の残基または領域を特定する有用な方法はCunninghamおよびWells Science、244:1081−1085(1989)によって記載される「アラニン・スキャニング変異誘発」と呼ばれる。よって残基または目的残基グループが(例えば、arg、asp、his、lys、およびglu等の荷電残基)と特定され、中性あるいはマイナスに荷電されたアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)によって置換され、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を与える。置換に機能的感受性を示すそのようなアミノ酸の位置を、更なるまたは別の変種を置換部位にまたは置換部位に代えて導入することで細かに区別する。このようにアミノ酸配列変異を導入するための部位は予め特定される一方、変異の性質自体は予め特定する必要はない。例えば、所与の部位における変異の性能を分析するために、目的コドンまたは領域にてアラニン・スキャニングまたはランダム変異誘発を行い、発現された変異種が所望される活性についてえり分けられる。
【0137】
アミノ酸配列の挿入物には、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドにわたる長さのアミノおよび/またはカルボキシル末端の融合物、ならびに1または多数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含まれる。末端挿入物の例には、N末端メチオニン残基を有するアンタゴニストまたは細胞毒性のポリペプチドと融合されたアンタゴニストを含む。他のアンタゴニスト分子の挿入変異種には、アンタゴニストの血清半減期を増加させる酵素またはポリペプチドのアンタゴニストのN末端またはC末端に対する挿入物が含まれる。
【0138】
別のタイプの変異にはアミノ酸置換変異種がある。これらの変異種は別の残基によって置換されたアンタゴニスト分子中に少なくとも1つのアミノ残基を有す。抗体アンタゴニストの置換変異誘発の最も興味深い部位には超可変領域があるが、FR変化もまた考えられる。
【0139】
保存的置換を「好ましい置換」と見出し下の表1に示す。もしこのような置換が結果として生物学的活性を変化されるとしたら、表1またはさらに下記に記載するように、アミノ酸クラスを参照して「典型的置換」と称すより多くの置換的変化がスクリーンされた生成物に導入される。
【0140】
【0141】
アンタゴニストの生物学的特質における実質的修飾は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えばシートまたはらせん構造等、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩を維持することに対するその影響が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。自然に発生する残基は、共通の側鎖の特質に基づいたグループにわけられる。
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中間的親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:gly、pro;および
(6)芳香性:trp、tyr、phe。
【0142】
非保存性置換は、これらのクラスの1つのメンバーと他のクラスとを交換することを伴う。
【0143】
分子の酸化安定性を改善し異常な架橋を防ぐために、アンタゴニストの適正な構造を維持することに係わらないシスチン残基であればどれでも通常はセリンと置換し得る。逆に安定性を改良するために、アンタゴニスト(特にアンタゴニストがFvフラグメントのような抗体フラグメントである場合)にシスチン結合を添加してもよい。
【0144】
特に好ましいタイプの置換変異種は、1つまたは複数の親抗体の超可変領域の置換を含む。通常、更なる進展のために選択された異種は、そこから生成された親抗体に対して生物学的特質が改良されることになる。このような置換変異種を生成する簡便な方法は、ファージ表示を使用する親和性成熟である。要するに、いくつかの超可変領域部位(例えば6から7部位)が変異化され、各部位に可能性のあるすべての置換を生成する。このように生成された抗体変異種は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物に対する融合物として、糸状ファージ粒子から単一分子価で表示される。該ファージに表示された変異種は、次に本明細書中で開示されたその生物学的活性(例えば結合親和性)についてふり分けられる。修飾のための候補となる超可変領域部位を特定するために、アラニン・スキャニング変異誘発を行い、抗原結合に顕著に貢献する超可変領域残基が特定される。別にあるいは加えて、抗体と抗原間の接合点を特定するために、抗原・抗体複合体の結晶構造を分析することが有益であろう。このような接合残基とその近傍の残基は本明細書で詳述した技法による置換候補である。このような変種が一度生成されると、変種団が本明細書で記載されたスクリーニングに供され、1つまたは複数の関連分析に優れた性質を有する抗体がさらなる開発のため選択され得る。
【0145】
別種のアンタゴニストのアミノ酸変種は、アンタゴニストのもともとのグリコシル化・パターンを変える。変えることは、アンタゴニストにおいては1つまたは複数の炭水化物部分の欠損が見られることを、および/またはアンタゴニト中には存在しない1つまたは複数のグリコシル化部位が添加することを意味する。
【0146】
ポリペプチドのグリコシル化は、一般的にNリンクまたはOリンクのどちらかである。Nリンクは炭水化物部分をアスパラギン残基の側鎖に対して付加することをいう。トリペプチド配列、つまり、アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(Xはプロリン以外のアミノ酸)が炭水化物部分のアスパラギン側鎖に対する酵素的付加の認識配列である。このように、ポリペプチドにおいてこれらトリペプチド配列のどれかが存在することによって、潜在的グリコシル化部位が創出される。Oリンクのグリコシル化はN−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースの糖のいずれかひとつがヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはスレオニン(5ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンも使用してもよい)に対する付加のことをいう。グリコシル化部位をアンタゴニストに付加することは、アミノ酸配列を(Nリンクグリコシル化部位の場合)1つまたは複数の上記記載のトリペプチド配列含むように変更させることによって簡単に達成される。この変更はまた、(Oリンクのグリコシル化部位の場合)もともとのアンタゴニストの配列に対して1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基を付加または置換する事によって行い得る。
【0147】
アンタゴニストのアミノ酸配列変種をコードする核酸分子は、現況技術に知られている多くの方法を使用して調製される。これらの方法には、(自然派生するアミノ酸配列変種の場合は)天然供給源からの単離、またはオリゴヌクレオチドに媒介される(または部位に向けて行われる)変異、PCR変異およびアンタゴニストの初期調製変種または非変種物のカセット変異による調製が含まれるがこれらには限定されない。
【0148】
エフェクター作用については、例えば、アンタゴニストの抗原依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)および/または補体依存細胞毒性(CDC)を高めるように本発明のアンタゴニストを修飾することは望ましい。これは1つまたは複数のアミノ酸置換を、抗体アンタゴニストのFc領域に導入することにより達成され得る。別にまたは付加的に、シスチン残基をFc領域に導入して、これによってこの領域に鎖内ジスルフィド結合形成をしてもよい。このように生成されたホモ二量体抗体がインターナリゼーション能力を高め、および/または補体媒介される細胞死および抗体依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)を増加させてきたかもしれない。Caronら、J.Exp.Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992)参照。抗腫瘍活性が高められたホモ二量体抗体はまた、Wolffら、Cancer research 53:2560−2565(1993)に記載されたように、ヘテロ二作用性クロスリンカーを使用しても調製され得る。また、二重Fc領域を有する抗体が工作でき、これによって補体の溶菌およびADCC能力が高められ得る。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design 3:219−230(1989)参照。
【0149】
アンタゴニストの血清半減期を増加させるために、例えば米国特許第5,739,277号に記載のように、アンタゴニスト(特に抗体フラグメント)にサルベージ受容体結合エピトープを入れてもよい。本明細書で使用された、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」はIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)Fc領域のエピトープをいい、in vivoでの血清半減期を増加させることに関与する。
【0150】
IV.医薬製剤
本発明によるアンタゴニストの治療用製剤が、所望の純度を有する1種または複数のアンタゴニストを任意の薬剤として許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol.A.Ed.(1980)と混合して冷凍乾燥製剤または水性溶液の形に貯蔵用として調製される。許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用される投与量および濃度でレシピエントに無毒であって、緩衝液(燐酸、クエン酸、他の有機酸等);抗酸化剤(アスコルビン酸、メチオニンを含む);保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;ヘキサメソニウムクロライド;ベンズアルコニウムクロライド;ベンズエソニウムクロライド;フェノール;ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン:セタコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;m−クレゾール);低分子量(約10残基以下)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、またはイムノグロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含むモノサッカライド、ジサッカライド、および他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;シュークロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール等の糖;ナトリウム等のカウンターイオンを作る塩;金属複合体(例えば、Znタンパク複合体);および/または;ツイーン(TWEEN)(登録商標)、プルロニクス(PLURONICS)(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン系表面活性剤が含まれる。
【0151】
典型的抗CD20抗体製剤がWO98/56418に記載されており、引用によって明確に本明細書にとり入れられている。この公報には40mg/mLのリツキシマブ、25mM酢酸、150mMトレハロース、0.9%ベンジルアルコール、0.02%ポリソルベート20(pH5.0)を含んだ、2から8℃にて2年の最小貯蔵期間を有する液体の複数回投与用製剤が記載されている。別の所定の抗CD20製剤は、9.0mg/mL塩酸ナトリウム中にいれた10mg/mLリツキシマブ、7.35mg/mLクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLポリソルベート80、注射用滅菌水、PH6.5が含まれる。皮下投与用に適する冷凍乾燥組成はWO97/04801に記載されている。このような冷凍乾燥組成は、適切な希釈剤で高タンパク質濃度に戻され、この戻された組成が本明細書で処理される哺乳類に皮下投与されてもよい。
【0152】
本明細書の製剤はまた、特定の兆候を治療するのに必要なひとつ以上の化合物zi;好ましくはお互いに不利に影響しあわない相補的活性を有するものを含んでいてもよい。例えば、細胞毒性剤、化学療法剤、サイトカインまたは免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン等のT細胞上で作用するもの、T細胞と結合する抗体、例えばLFA−1と結合するもの)がさらに提供されることが望ましい。このような他剤の有効量は、組成中に存在するアンタゴニストの量、疾病または疾患もしくは治療のタイプ、および上記に記載した他のファクターに左右される。これらは、上記で使用したような同じ投与量および同じ投与ルート、または上記で使用された投与量の約1から99%で一般的に使用される。
【0153】
活性成分は、例えばコアセルベーション(coacervation)技法または界面ポリメリゼーションによって調整されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンのマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中に、コロイド状ドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミン微細球、マイクロエマルジョン、ナノ−パーティクルおよびナノカプセル)中、またはマクロエマルジョン中に閉じこめられてもよい。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol,A.Ed(1980)に開示されている。
【0154】
持続放出調製物を調製してもよい。持続放出調製物の適切な例には、アンタゴニストを含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれる。このマトリックスは、成形品(例えばフィルムまたはマイクロカプセル)になっている。持続性分泌マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシメチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,919)、L−グルタミン酸とyエチルL−グルタミン酸のコポリマー、非生分解性エチレンー酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸/グリコール酸コポリマーおよびロイプロリド酢酸からなる注入可能な微細球化合物)等の生物分解性乳酸/グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸が含まれる。
【0155】
in vivo投与に使用される製剤は殺菌されていなければならない。これは、殺菌した濾過膜を通して濾過することで容易に達成される。
【0156】
V.アンタゴニストによる治療
B細胞表面抗原に結合するアンタゴニストを含む組成物およびサイトキシン・アンタゴニスト(例えば抗体)を含む組成物は、両方とも同じ組成物中に配合され、服用量に分けられ、適切な医学的慣習に合致した方法で投与され得るであろう。好ましくは、抗サイトカインは、抗IL10抗体を含んでおり、B細胞アンタゴニストはB細胞枯渇抗体、好ましくはリツキサン(登録商標)等の抗CD20抗体を含むことになる。本文章中で考慮される因子には、治療される特定の疾病または疾患、治療される特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、疾病または疾患の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与スケジュール、医療従事者に知られている他の要因が含まれる。投与すべきアンタゴニストの治療上有効な量はこのようなことを考慮することによって決定される。
【0157】
一般的に、非経口的に投与されるアンタゴニストの治療上有効な1回当たりの量は、患者の体重当たり1日約0.1から20mg/kgの範囲であって、使用されるアンタゴニストの初期範囲は、通常2から10mg/kgであるといわれている。
【0158】
好ましいアンタゴニストは、例えば細胞毒性剤と結合されていないリツキサン(登録商標)のような抗体である。未結合の抗体の適切な投与量は、例えば、約20mg/m2から約1000mg/m2である。ある実施の形態では、抗体の投与量は、現在リツキサン(登録商標)について推奨されている量とは異なる。例えば、実質的に375mg/m2未満の抗体(1回の服用量は、約20mg/m2から約250mg/m2、例えば、50mg/m2から約200mg/m2の範囲である)を1回かまたは複数回で、患者に投与してもよい。
【0159】
さらに、抗体の初回投与量を1回または複数回投与したあと、後続投与量を1回または複数回投与する。ここで、後続投与量の抗体のmg/m2は、初回投与量の抗体のmg/m2より多い。例えば、初回投与量は、約20mg/m2から約250mg/m2(例えば、50mg/m2から約200mg/m2)の範囲であって、後続投与量は約250mg/m2から約1000mg/m2の範囲でよい。
【0160】
しかしながら、上記に注釈したように、これらのアンタゴニストの示唆量はかなり治療的裁量にゆだねられる。適切な投与量および投与スケジュールを選択する際の重要な因子は、上記に記載された様に、得られる結果である。
【0161】
例えば、進行性の急性疾病の治療用には、比較的高い投与量が最初に必要とされるであろう。最も有効な結果を得るためには、疾病または疾患によってはアンタゴニストを疾病または疾患の最初の兆候、診断、出現または発生のあったできるだけ近時に、または疾病および疾患の緩解期に投与することである。
【0162】
アンタゴニストは、つまり、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻腔内および、望ましくは、局所的免疫抑制のためには病変内投与、を含めた手段のうち適宜な手段で投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。
【0163】
加えて、アンタゴニストは、脈動注入(パルス・インフュージョン)によって、例えばアンタゴニストを減らしながら適切に投与され得る。好ましくは、投与は注射によって、最も好ましくは静脈または皮下注入によって行われるが部分的には投与が短期であるかまた常習的であるかによって左右される。
【0164】
他の化合物(細胞毒性剤、化学療法剤、免疫抑制剤および/またはサイトカイン等)をアンタゴニストと共に投与してもよい。この併用投与には、別々の製剤をまたは単一医薬品的製剤を用いて同時投与すること、いずれかの順番で連続投与することが含まれ、両方(またはすべて)の活性薬剤が同時にその生物学的活性を示す期間があることが好ましい。
【0165】
タンパク質アンタゴニストの患者への投与とは別に、本出願では遺伝子治療によるアンタゴニストの投与が考えられる。アンタゴニストをコードする核酸のこのような投与は「治療学的有効量のアンタゴニストを投与する」という表現によって包含される。例えば、細胞内抗体を生成するための遺伝子治療の使用に関する1996年3月14日発行WO96/07321を参照。
【0166】
(ベクター中に任意に含まれる)核酸を患者の細胞中にいれるには、in vivoおよびex vivoの2つの主なアプローチがある。in vivoデリバリーの場合は、核酸は患者の通常はアンタゴニストが必要とされる部位に直接注入される。ex vivo治療の場合は、患者の細胞を取り出し、核酸をこれらの単離された細胞中に導入し、この改造された細胞は直接患者に投与されるかまたは例えば多孔質膜内にカプセル化されて患者に移植される(米国特許第4,892,538および5,283,187参照)。核酸を生細胞中に導入するには様々な技法がある。これらの技法は、核酸が培養細胞にin vitroで移されるかまたは所期のホストの細胞中にin vivoで移されるかどうかに依存して異なる。核酸をin vitroで哺乳類細胞中に移すのに適した技法には、リポソームの使用、電気穿孔法、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAEデキストラン、燐酸カルシウム沈殿法等が含まれる。遺伝子のエクスビボ・デリバリーに通常使用されるベクターはレトロウイルスである。
【0167】
現在好まれているin vivo核酸トランスファー技法には、ウイルスベクター(アデノウイスル、ヘルペスシンプレックスIウイルスまたはアデノ系ウイルス)によるトランスフェクションおよび脂質系(脂質に媒介される遺伝子の転移に有用な脂質には、例えばDOTMA、DOPE、DC−Chol)がある)が含まれる。ある状況では、核酸供給源に、目標細胞を標的とする作用剤(細胞表面膜タンパク質または目標細胞に特異的な抗体)および目標細胞上の受容体に対するリガンド等を供給することが望ましい。リポソームを使用する場合、例えば特定の細胞型に反応するキャプシドタンパク質またはフラグメント、循環中に内包化を行うタンパク質に対する抗体、および細胞内局在化を目標とし細胞内半減期を引き伸ばすタンパク質を標的とするか/または取り込みを促進するために、エンドサイトーシスに付随する細胞表面膜タンパク質と結合するタンパク質を使用し得る。受容体に媒介されるエンドサイトーシスの技法は、例えばWuら、J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)、およびWangnerら、Proc.Nad.Acad.Sci、USA 87:3410−3414(1990)に記載されている。現在知られている遺伝子作成および遺伝子治療プロトコールについては、Andersonら、Science 256:808−813(1992)参照。またWO93/25673およびそこに引用された引用例を参照。
【0168】
VI.製品
本発明の他の実施形態では、上記に記載された疾病または疾患の治療に有用な物質を含む製品が提供される。製品は、容器、および容器上のまたは容器に付随したラベルまたは添付文書が含まれる。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ等がある。容器はガラスまたはプラスチック等の様々な材質から作成されてもよい。容器は選択された疾病または疾患を治療するのに効果的な組成物を保持または含み、滅菌されたアクセス口を有す(例えば、容器は静脈溶液袋または皮下注射針によって孔があけられる穏やかなストッパーを有すバイアルであってよい)。構成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、B細胞表面マーカーに結合するアンタゴニストである。好ましくはCD20および抗サイトカイン抗体(例えば、抗IL10抗体)である。ラベルまたはパッケージ挿入物には、構成物が本明細書中に掲載されているような自己免疫疾病を有する患者またはかかりやすい患者を治療するために使用されることが表示されている。製品には、注入用静菌性水(BWF1)、燐酸緩衝生理食塩水、リンガー液およびデキストローゼ溶液等の薬剤として許容される希釈緩衝液を含む第2の容器が含まれていてもよい。商業的および使用者の立場からの望ましい他の物質(他の緩衝液、希釈材、フィルター、針、およびシリンジ等)を含んでいてもよい。
【0169】
本発明はさらに詳細に次の非限定実施例によって説明される。明細書中のすべての引用の開示が、引用することによって明確に取り込まれている。
【0170】
(例)
例1
非ホジキンリンパ腫の治療
非ホジキンリンパ腫を有す患者に、抗IL10抗体を1週に50mg/m2静脈注射の投与量で4週間、静脈内に投与する。その後、患者には、リツキサン(登録商標)を次の投与スケジュールに従って静脈内に投与する。
(A)50mg/m2静脈注射、1日目
150mg/m2静脈注射、8、15、および22日目
(B)150mg/m2静脈注射、1日目
375mg/m2静脈注射、8、15、および22日目
(C)375mg/m2静脈注射、1、8、15、および22日目
同じ患者に、米国特許5,736,137に記載のレジメンにしたがってCHOP化学療法を投与する。
治療後、患者をモニターし、リンパ腫の状態、数、および腫瘍のサイズに与える影響を評価する。
【0171】
例2
進行病気における固形腫瘍の処置
B細胞の関与によって特徴付けられる結腸直腸進行癌患者に、抗IL10抗体およびリツキサン(登録商標)を例1と同じ投与量で同時に投与する。
【0172】
治療後、腫瘍の縮小、腫瘍抗原の発現低下、または疾病の予後を評価する他の手段を基にして、このような処置が抗腫瘍応答を生じるかを決定するために、患者を評価した。
Claims (86)
- 血液学的悪性腫瘍細胞または固形非血液学的腫瘍細胞の、少なくとも1つの化学療法剤に対する耐性を回避、低下または解消する方法であって、血液学的悪性腫瘍または非血液学的腫瘍と診断された患者に対して、少なくとも1つの化学療法剤の投与前、投与時、または投与後に抗サイトカイン抗体またはそのフラグメントもしくはサイトカインアンタゴニストを投与することを含む方法。
- 前記血液学的細胞がB細胞リンパ腫または白血病細胞である請求項1記載の方法。
- 前記B細胞リンパ種が、軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽性NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症からなる群より選択される請求項2記載の方法。
- 前記B細胞リンパ種が軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)である請求項3に記載の方法。
- 前記白血病細胞が、急性リンパ芽球白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球白血病、リンパ球性白血病、単核球性白血病、骨髄性白血病、および前骨髄球白血病からなる群より選択される請求項2記載の方法。
- 前記少なくとも1つの化学療法剤が、CHOP、ICE、ミトザントロン、シタラビン、DVP、ATRA、イダルビシン、へルザー化学療法レジメン、ララ化学療法レジメン、ABVD、CEOP、2−CdA、FLAG&IDA(続いてG−CSF治療を施しても施さなくても可)、VAD、M&P、C−Weekly、ABCM、MOPP、DHAP、ダウノルビシン、ドキソルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、メトトレキセートおよびシスプラチンからなる群より選択される請求項1記載の方法。
- 前記サイトカインが、IL2、IL6、IL10およびTNFアルファからなる群より選択される請求項1記載の方法。
- 前記サイトカインがIL10である請求項7記載の方法。
- 前記抗IL10抗体がヒト化されているかまたはヒトモノクロナール抗体である請求項8記載の方法。
- 前記抗IL10抗体を体重kg当たり0.01から1000mgの投与量で投与する請求項9記載の方法。
- 抗体の投与量が体重kg当たり約0.1から50mgの範囲にある請求項10記載の方法。
- 前記抗サイトカイン抗体を前記化学療法剤と同時におよび/または化学療法剤の前に投与する請求項1記載の方法。
- 前記抗サイトカイン抗体を化学療法剤と同時にまたは化学療法剤投与の約1時間から30日前に投与する請求項12記載の方法。
- 前記リンパ腫の患者の血清を、前記抗サイトカイン抗体またはそのフラグメントもしくはアンタゴニストの投与の前にサイトカインプロフィールについてテストする請求項1記載の方法。
- 請求項1記載の方法に従って抗体またはアンタゴニストを投与するためのキット。
- 請求項14記載の方法に従ってサイトカインプロフィールをテストするキット。
- 請求項16記載の方法に従ってサイトカインプロフィールをテストして抗体またはアンタゴニストを投与するキット。
- 血液学的悪性腫瘍細胞の、治療剤に対する耐性を回避、低下、または解消する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを血液学的悪性腫瘍と診断された患者に対して投与することを含む上記方法。
- 血液学的悪性腫瘍細胞の、治療剤によって誘発されるアポトーシスに対する耐性を回避、低下、または解消する方法であって、抗サイトカイン抗体またはサイトカインアンタゴニストを血液学的悪性腫瘍と診断された患者に対して投与することを含む上記方法。
- 前記悪性腫瘍がB細胞リンパ腫または白血病である請求項18記載の方法。
- 前記悪性腫瘍がB細胞リンパ腫または白血病である請求項19記載の方法。
- 化学療法後再発をした血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはそのフラグメントもしくはサイトカインアンタゴニストを前記患者に投与することを含む上記方法。
- 化学療法に対して治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはそのフラグメントもしくはサイトカインアンタゴニストを前記患者に投与することを含む上記方法。
- 前記悪性腫瘍がB細胞リンパ腫または白血病である請求項21記載の方法。
- 治療抗体またはフラグメントによる治療の後再発した血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはフラグメントもしくはサイトカインアンタゴニストを前記患者に投与することを含む上記方法。
- 前記治療抗体が、抗CD20、抗CD19、抗CD22、抗CD37、抗CD40または抗CD28抗体である請求項23記載の方法。
- 治療抗体による治療に対して治療抵抗性である血液学的悪性腫瘍を有する患者を治療する方法であって、抗サイトカイン抗体またはフラグメントもしくはサイトカインアンタゴニストを前記患者に投与することを含む上記方法。
- 前記血液学的悪性腫瘍細胞がB細胞リンパ腫または白血病である請求項25記載の方法。
- B細胞リンパ腫患者を治療する方法であって、前記患者に治療上有効量のB細胞枯渇抗体を、抗サイトカイン抗体またはフラグメントと同時にまたは連続していずれかの順番で投与することを含む上記方法。
- このようなB細胞枯渇抗体が、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27、CD37、CD53、CD72、CD73、CD74、CDω78 CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86からなる群より選択されるB細胞抗原と結合する請求項29記載の方法。
- 前記B細胞枯渇抗体がCD20と結合する請求項21記載の方法。
- 前記B細胞枯渇抗体がCD22と結合する請求項29記載の方法。
- 少なくとも1つの化学療法剤を投与することをさらに含む請求項29記載の方法。
- 前記少なくとも1つの化学療法剤が、CHOP、ICE、ミトザントロン、シタラビン、DVP、ATRA、イダルビシン、へルザー化学療法レジメン、ララ化学療法レジメン、ABVD、CEOP、2−CdA、FLAG&IDA(続いてG−CSF治療を施しても施さなくても可)、VAD、M&P、C−Weekly、ABCM、MOPP、DHAP、ダウノルビシン、ドキソルビシン、メトトレキセートおよびシスプラチンからなる群より選択される請求項33記載の方法。
- 前記抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストが、前記抗CD20抗体および前記少なくとも1つの化学療法剤の前に投与される請求項33記載の方法。
- 前記抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストが抗CD20抗体の前に投与される請求項29記載の方法。
- 前記サイトカインが、IL2、IL6、IL10およびTNFアルファからなる群より選択される請求項29記載の方法。
- 前記サイトカインがIL10である請求項37記載の方法。
- 前記抗CD20抗体が、キメラ抗CD抗体、ヒト化抗CD20抗体またはヒト抗CD20抗体である請求項29記載の方法。
- 前記抗CD20抗体がキメラ抗CD20抗体である請求項39記載の方法。
- 前記キメラ抗CD20抗体がリツキシマブ(登録商標)である請求項40記載の方法。
- 前記リツキシマブ(登録商標)を体重kg当たり0.4から20mgの投与量で投与する請求項41記載の方法。
- 前記少なくとも1つの化学療法剤がCHOP化学療法レジメンの一部である請求項33記載の方法。
- 前記B細胞リンパ腫が、軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽性NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症からなる群より選択される請求項29記載の方法。
- 前記B細胞リンパ種が非ホジキンリンパ腫(NHL)である請求項44記載の方法。
- 前記B細胞リンパ種が軽度濾胞NHLである請求項45記載の方法。
- 前記リンパ腫の患者の血清を抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストの投与の前にサイトカインプロフィールについてテストする請求項29記載の方法。
- 請求項29記載の方法に従って抗CD20抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与するためのキット。
- 請求項42記載の方法に従ってサイトカインプロフィールをテストし、抗CD20抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与するためのキット。
- B細胞が関与する腫瘍を治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、サイトカインに特異的な抗体およびB細胞によって発現される抗原と結合するB細胞枯渇抗体を有効量投与することを含む上記方法。
- 請求項50記載の方法に従って抗CD20抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与するためのキット。
- 前記抗サイトカイン抗体が、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子およびコロニー刺激因子からなる群より選択されるサイトカインに結合する請求項50記載の方法。
- 前記抗サイトカイン抗体が、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子およびコロニー刺激因子からなる群より選択されるサイトカインに結合する請求項51記載の方法。
- 前記抗サイトカイン抗体がIL10に特異的に結合する請求項50記載の方法。
- 前記抗サイトカイン抗体がIL10に特異的に結合する請求項51記載の方法。
- B細胞抗原が、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27、CD37、CD53、CD72、CD73、CD74、CDω78 CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86からなる群より選択される請求項50記載の方法。
- 請求項51記載の方法に従って抗CD20抗体および抗サイトカイン抗体またはアンタゴニストを投与するためのキット。
- 前記B細胞抗原がCD20である請求項56記載の方法。
- 前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、ヒト化抗CD20抗体またはキメラ抗CD20抗体である請求項58記載の方法。
- 前記抗体がADCCおよび/またはCDC活性を有する請求項59記載の方法。
- 前記抗CD20がB細胞のアポトーシスを誘導する請求項59記載の方法。
- 前記抗CD20抗体が、ATCC69119によって産生されるリツキサン(登録商標)、キメラ抗CD20抗体である請求項59記載の方法。
- 前記患者は、肝臓癌、頭頚部癌、乳癌、前立腺癌、精巣癌、卵巣癌、肺癌、食道癌、気管癌、腎臓癌、膀胱癌および結腸直腸癌からなる群より選択された癌に付随した固形非リンパ腫腫瘍を有する請求項51記載の方法。
- 前記B細胞リンパ腫が、軽度/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球腫(SL)NHL、中等度/濾胞NHL、中等度散在性NHL、高度免疫芽性NHL、高度リンパ芽性NHL、高度小非分割細胞NHL、嵩高疾病NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症からなる群より選択される請求項50記載の方法。
- 前記抗体を、静脈内、筋肉内、腫瘍内または腹腔内投与によって投与する請求項50記載の方法。
- 前記抗体を、静脈内、筋肉内、腫瘍内または腹腔内投与によって投与する請求項51記載の方法。
- 前記固形腫瘍が、前癌、初期病期(病期Iおよび病期II固形癌)、(病期II以降の)進行癌、または転移した腫瘍を含む請求項51記載の方法。
- 前記患者が結腸直腸癌または肺癌を有する請求項51記載の方法。
- B細胞が関与する結腸直腸癌または肺癌を治療する方法であって、このような治療を必要としている患者にIL10に特異的な抗体および枯渇抗CD20抗体を有効量投与することを含む上記方法。
- 前記枯渇抗CD20抗体が、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体である請求項69記載の方法。
- 前記抗体がATCC69119によって産生されるリツキサン(登録商標)である請求項70記載の方法。
- その治療を必要としている患者でB細胞リンパ腫を治療する方法であって、抗IL10抗体を投与することを含む上記方法。
- その治療を必要としている患者で非ホジキンリンパ腫を治療する方法であって、少なくとも抗IL10抗体の投与することを含む上記方法。
- その治療を必要としている患者でB細胞リンパ腫を治療する方法であって、抗IL10抗体および少なくとも1つのB細胞枯渇抗体を投与することを含む上記方法。
- 前B細胞枯渇抗体が、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27、CD37、CD53、CD72、CD73、CD74、CDω78 CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86からなる群より選択されるB細胞抗原と結合する請求項63記載の方法。
- その治療を必要としている患者でB細胞リンパ腫を治療する方法であって、抗IL10抗体およびB細胞枯渇抗CD20または抗CD22抗体を投与することを含む上記方法。
- その治療を必要としている患者でB細胞リンパ腫を治療する方法であって、抗IL10抗体およびB細胞枯渇抗CD20抗体を投与することを含む上記方法。
- その治療を必要としている患者で非ホジキンリンパ腫を治療する方法であって、抗IL10抗体およびB細胞枯渇抗体を投与することを含む上記方法。
- その治療を必要としている患者で非ホジキンリンパ腫を治療する方法であって、抗IL10抗体およびB細胞枯渇抗CD20抗体を投与することを含む上記方法。
- その治療を必要としている患者で非ホジキンリンパ腫を治療する方法であって、抗IL10抗体およびB細胞枯渇抗CD22抗体を投与することを含む方法。
- 前記抗体がリツキサン(登録商標)である請求項77記載の方法。
- 前記抗体がリツキサン(登録商標)である請求項79記載の方法。
- 患者においてB細胞リンパ腫を治療する併用療法であって、抗IL10抗体、B細胞枯渇抗CD20抗体を有効量投与することおよび化学療法を含む上記方法。
- 前記抗CD20抗体がリツキサン(登録商標)である請求項83記載の方法。
- 前記患者がB細胞枯渇抗体による先治療の後再発する請求項83記載の方法。
- 前記抗体がリツキサン(登録商標)である請求項85記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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