JP2004360791A - 金属強化樹脂管用継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属強化樹脂管を接続する場合に安定した抜け止め効果を得ることができる金属強化樹脂管用継手を提供する。
【解決手段】継手は、金属強化樹脂管19を挿入接続可能に構成された継手本体11と、継手本体11に挿入された金属強化樹脂管19の同継手本体11からの抜け出しを規制する抜け止め部材35と、継手本体11と前記抜け止め部材35とを固定するための押し輪30とから構成されている。前記金属強化樹脂管19は内側樹脂層19aと外側樹脂層19bとの間に金属層19cが挟着されて構成されている。前記抜け止め部材35は規制片の食込み部が尖っており、その食込み部が金属強化樹脂管19の金属層19cまで到達し、食い込むように構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】継手は、金属強化樹脂管19を挿入接続可能に構成された継手本体11と、継手本体11に挿入された金属強化樹脂管19の同継手本体11からの抜け出しを規制する抜け止め部材35と、継手本体11と前記抜け止め部材35とを固定するための押し輪30とから構成されている。前記金属強化樹脂管19は内側樹脂層19aと外側樹脂層19bとの間に金属層19cが挟着されて構成されている。前記抜け止め部材35は規制片の食込み部が尖っており、その食込み部が金属強化樹脂管19の金属層19cまで到達し、食い込むように構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば水道配管、温水配管等と金属強化樹脂管との間を接続する金属強化樹脂管用継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば水道配管にパイプを接続するための継手としては、架橋ポリエチレン又はポリブテン製の樹脂パイプ又は樹脂層間に金属層が挟着された少なくとも3層を有する金属強化樹脂管が接続される継手が使用されている。この種の継手としては、以下に示すようなものが知られている。すなわち、継手本体内のパイプの当接面から先端部側へ突出し、パイプの端部が外嵌されるコア部材の外周面とパイプの内周面との間をシールする内径シールタイプのものと、内部にパイプを接続可能に構成した継手本体の内周面とパイプの外周面との間をシールする外径シールタイプのものである。内径シールタイプの継手は、継手本体からパイプを抜け止め保持するための抜け止め部材を含み、該抜け止め部材は先端が丸くなった規制片を有し、樹脂パイプの外周部に食い込むようにして接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、外径シールタイプの継手においては、抜け止め部材が樹脂パイプと金属強化樹脂管とで異なる。樹脂パイプにおいては、上記内径シールタイプ同様に、先端が丸くなった規制片を有する抜け止め部材によって樹脂パイプの外周部に食い込むようにして接続されている。一方、金属強化樹脂管においては、金属強化樹脂管の外周部をスリーブによってかしめることによって接続されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−254884号公報(第3〜5頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来構成の場合、仮に内径シールタイプの継手に金属強化樹脂管を接続した場合、先端が丸くなった規制片を有する抜け止め部材では、金属強化樹脂管の最外周の樹脂層は薄いため安定した抜け止め効果を得ることができないという問題がある。また、外径シールタイプの継手においては、内径シールタイプの場合に比べて金属強化樹脂管の外周面におけるシール性能を損なわないようにする必要があるため、金属強化樹脂管の外周面に傷付けないようにしなければならず、安定した抜け止め効果を得ることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、金属強化樹脂管を接続する場合に安定した抜け止め効果を得ることができる金属強化樹脂管用継手を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、筒状をなし、基端部には管体が接続され、先端部には樹脂層間に金属層が挟着された少なくとも3層を有する金属強化樹脂管が挿入されて接続されるとともに、中央部内周面は基端部の内径よりも先端部の内径が大きくなる段差状に形成され、その段差部分に金属強化樹脂管の先端が当接される当接面が設けられた継手本体と、継手本体の先端部に設けられ、金属強化樹脂管に食い込んで金属強化樹脂管を抜け止め保持するための規制片を有する抜け止め部材と、該抜け止め部材を継手本体との間で挟持して継手本体に固定するために継手本体の先端部に螺合される押し輪とを備え、前記規制片の先端を尖らせて、その先端が金属強化樹脂管の金属層まで食い込むように構成するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属強化樹脂管用継手において、前記継手本体内には当接面から先端部側へ突出し、金属強化樹脂管の端部が外嵌されるコア部材を設け、該コア部材の外周面と金属強化樹脂管の内周面との間をシール部材でシールするように構成したものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の金属強化樹脂管用継手において、前記抜け止め部材には継手本体又は押し輪と接触する部分を覆う絶縁カバーを設けるとともに、前記当接面と金属強化樹脂管の先端との当接部分には絶縁パッキンを備えた請求項1又は請求項2に記載のものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の金属強化樹脂管用継手において、前記絶縁カバー内には、一対の抜け止め部材と、それらの抜け止め部材間に介装されるスペーサとが保持されて一体化されているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を水道配管用の内径シールタイプの金属強化樹脂管用継手に具体化した一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、継手本体11は略円筒状をなし、その基端部外周面には第1雄ねじ部12が螺刻され、図示しない水道配管等の管体に螺合可能になっている。継手本体11の基端部内周面は基端部の内径よりも先端部の内径が大きくなる段差状に形成されており、その段差部分が第1当接面13となっている。
【0013】
継手本体11の軸線14方向の中央部内周面は、基端部の内径よりも先端部の内径が大きくなる段差状に形成され、その段差部分が第2当接面15となっている。第2当接面15の内周側には、継手本体11の基端側に向かうに従い縮径する第1面取り部16が設けられている。第2当接面15の直ぐ先端側には先端部の内径よりも大きい内径を有する円環状の嵌着溝17が凹設され、絶縁パッキン18の外周部が嵌着されている。絶縁パッキン18は、電気絶縁性を有するゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂等により形成される。この絶縁パッキン18を境として、継手本体11の先端側には樹脂層を構成する内側樹脂層19aと外側樹脂層19bとの間に金属層19cが挟着された少なくとも3層を有する金属強化樹脂管19が挿入される金属強化樹脂管挿入空間20が形成されている。この金属強化樹脂管挿入空間20に金属強化樹脂管19が挿入されてその先端が絶縁パッキン18に当接することにより、金属強化樹脂管19と継手本体11との間の電気的な絶縁が図られ、金属強化樹脂管19の金属層19cの電気腐食を防止できるようになっている。
【0014】
金属強化樹脂管19の内側樹脂層19a及び外側樹脂層19bを構成する樹脂としては、架橋ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂が用いられ、金属層19cを構成する金属としては、アルミニウム等が用いられる。金属層19cの厚みは0.3〜0.5mmが好ましく、内側樹脂層19aの厚みは1〜1.2mmが好ましく、外側樹脂層19bの厚みは0.2〜0.4mmが好ましい。金属層19cの厚みが0.3mm未満では金属層19cの強度が低下して補強効果が小さくなり、0.5mmを越えると可撓性が低くなって金属強化樹脂管19の取扱い性が低下する。内側樹脂層19aの厚みが1mm未満では金属強化樹脂管19としての強度を十分に保持することができず、1.2mmを越えると可撓性が低下する。外側樹脂層19bの厚みが0.2mm未満では金属層19cが露出しやすく、0.4mmを越えると可撓性が低下する。
【0015】
絶縁パッキン18より僅かに先端側には、略円柱状をなす貫通孔21が継手本体11の軸線14と直交する方向に延びるように1箇所形成されている。貫通孔21の内周面には第1段差部22が形成され、その第1段差部22よりも外方における孔径はその内方における孔径に比べて大きくなっている。第1段差部22よりも内方には略円筒状をなすカラー23が嵌入されており、その内周面には第2段差部24が設けられ、同第2段差部24より内部に環状凹部25が形成されている。そして、金属強化樹脂管19の継手本体11内への挿入状態を視認するための略円柱状をなす押出ピン26が前記カラー23を介して貫通孔21に挿通支持されている。この押出ピン26の内端部は円錐形状をなし、内方に向かうほど縮径するテーパ面27となっている。また、押出ピン26の中間部には大径部28が形成されており、この大径部28が前記環状凹部25をスライドすることによって、押出ピン26が貫通孔21内を往復動可能に構成されている。
【0016】
そして、図1に示すように、金属強化樹脂管19の先端が絶縁パッキン18に当接した際には、押出ピン26の大径部28の外端面がカラー23の第2段差部24に当接するとともに、押出ピン26の外端部が継手本体11の外周面から外方に突出するようになっている。
【0017】
継手本体11の先端部内周面には雌ねじ部29が螺刻され、略円筒状をなす押し輪30の先端部外周面に螺刻された第2雄ねじ部31が螺合されることにより、継手本体11の先端部に押し輪30が取り付けられる。該押し輪30の中心には、挿入孔32が貫通形成されており、先端部内周面には挿入孔側端縁から継手本体11の軸線14方向内方に向かうに従い縮径する第2面取り部33が設けられている。
【0018】
継手本体11の内周部において、雌ねじ部29よりも基端側には、内周全体にわたって係止段部34が形成されている。この係止段部34と押し輪30の先端面との間には、金属強化樹脂管19を抜け止め保持する一対の抜け止め部材35が、その間に円環状のスペーサ36を介装し、絶縁カバー40で被覆された状態で挟着されている。図3(a)及び(b)に示すように、これら抜け止め部材35は、ステンレス鋼等の金属材料製の円環状をなすベースリング37と、ベースリング37から内方へ同一長さで一定の角度をもって突出する複数の規制片38とからそれぞれ構成されている。規制片38の先端は金属強化樹脂管19の金属層19cに食い込み易いようにするため、それぞれ楔形状(三角形状)に尖った食込み部39となっている。
【0019】
図4及び図5に示すように、一対の抜け止め部材35の間にはスペーサ36が介装された状態で両抜け止め部材35のベースリング37とスペーサ36とを包むように絶縁カバー40が被覆されている。そして、一対の抜け止め部材35とスペーサ36との3部品が、絶縁カバー40により保持されて一体化され、1部品となっている。この1部品となったものが継手本体11の先端から挿入されて係止段部34に係止される。絶縁カバー40は電気絶縁性を有するゴム、合成樹脂等で形成される。絶縁カバー40の厚みは、好ましくは0.2〜2.0mm、さらに好ましくは0.2〜1.0mmである。この厚みが0.2mmより薄いと、3部品を保持する力が弱くなり、2.0mmを越えると、伸縮性が小さくなって3部品を被覆しにくくなる。
【0020】
そして、継手本体11内に接続された金属強化樹脂管19に引き抜き力が作用したときには、両抜け止め部材35の各規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19の金属層19cにまでそれぞれ食い込むことにより、金属強化樹脂管19は継手本体11内に抜け止め保持されるようになっている。このため、継手は、継手本体11内に金属強化樹脂管19を挿入する作業のみで金属強化樹脂管19を挿着することができるワンタッチ継手として構成されている。
【0021】
また、図1及び図2に示すように、コア部材41は略円筒状をなし、その内端部が継手本体11の基端部内に挿着されている。継手本体11の先端部内周面とコア部材41の外端部外周面との間には前記金属強化樹脂管挿入空間20が設けられ、金属強化樹脂管挿入空間20の厚みは金属強化樹脂管19の厚みと略同一に設定されている。コア部材41の外周面は内端部の外径よりも外端部の外径が小さくなる段差状に形成されており、その段差部分が規制面42となっている。この規制面42とコア部材41の内端面との継手本体11の軸線14方向への距離は、継手本体11内の第2当接面15と第1当接面13との前記軸線14方向への距離と略同一に形成されている。前述の絶縁パッキン18は継手本体11の第2当接面15に当接すると同時に、コア部材41の規制面42に当接している。さらに、その絶縁パッキン18には金属強化樹脂管19の先端が当接し、その結果コア部材41の抜け出しが防止されるようになっている。
【0022】
規制面42よりも内端側には一対の第1収容溝43が周設され、各第1収容溝43にはゴム材料製の断面円形状をなすシール部材としてのOリング44が嵌着されている。そして、継手本体11の基端部内周面に各Oリング44の外周面がそれぞれ密接されることにより、継手本体11の基端部内周面とコア部材41の内端部外周面との間がシールされるようになっている。また、コア部材41の内端部外周面と継手本体11の基端部内周面との間には前記軸線14方向に均一の間隔を有する空隙45が設けられている。この空隙45は継手本体11に接続された金属強化樹脂管19に加わる曲げ応力による金属強化樹脂管19の変形に追従して、継手本体11の軸線14と交差する方向へのコア部材41の動きを許容するためのものである。
【0023】
前記規制面42よりも外端側は円筒状の筒部46となっており、その外径は金属強化樹脂管19の内径と略同一に形成されている。また、コア部材41の外端部外周面、つまり筒部46の外周面には継手本体11の軸線14方向に沿って一対の第2収容溝47が周設され、各第2収容溝47にはシール機構を構成するシールリング48が嵌着されている。図4に示すように、シールリング48には筒部46の外周面よりも径方向外側に突出する突出部49が形成され、該突出部49よりも外端側には筒部46の外周面と略面一に形成された外周面を有する平坦部50が設けられている。そして、継手本体11に金属強化樹脂管19が挿入接続されたときには、金属強化樹脂管19の内周面に各シールリング48の外周面がそれぞれ密接されることにより、金属強化樹脂管19の内周面と筒部46の外周面との間がシールされるようになっている。
【0024】
前記継手本体11と、コア部材41と、金属強化樹脂管19の抜け止め部材35と、押し輪30等とにより本実施形態の金属強化樹脂管用継手が構成されている。
【0025】
次に、前記金属強化樹脂管用継手の作用について以下に記載する。
さて、金属強化樹脂管用継手を組み立てる場合には、図4に示すように、継手本体11内にコア部材41を挿入する。このとき、継手本体11内の第1面取り部16がコア部材41の挿入案内の役割をし、コア部材41の内端面が継手本体11内の第1当接面13に当接するまで挿入する。一方、一対の抜け止め部材35間にスペーサ36を挟んでそれを絶縁カバー40で覆い、3部品を予め1部品として構成する。そして、該3部品を継手本体11内に挿入し、係止段部34に係止させる。そして、継手本体11の先端部内周面の雌ねじ部29に押し輪30の第2雄ねじ部31を螺合し、継手本体11の先端部に押し輪30を取付け、その先端面と係止段部34との間に1部品化された抜け止め部材35を挟着する。
【0026】
次いで、継手本体11に金属強化樹脂管19を接続する場合には、まず金属強化樹脂管19の先端を金属強化樹脂管挿入空間20に挿入する。このとき、前記押し輪30の第2面取り部33が金属強化樹脂管19の挿入案内の役割をし、金属強化樹脂管19の端部にコア部材41の筒部46が内嵌される。そして、金属強化樹脂管19の端部がシールリング48を通過するときには、まずシールリング48の平坦部50が最初に金属強化樹脂管19に内挿され、続いて突出部49が内挿される。金属強化樹脂管19を継手本体11の内奥側へさらに挿入すると、両抜け止め部材35の各規制片38先端の食込み部39が外方へ押圧されながら金属強化樹脂管19にそれぞれ摺接される。このとき、金属強化樹脂管19は各規制片38の元に戻ろうとする力に基づく内方への付勢力に抗して継手本体11の内奥側へ挿入される。
【0027】
そして、金属強化樹脂管19を継手本体11の内奥側へさらに挿入すると、もう1つの第2収容溝47に嵌着されたシールリング48も同様に金属強化樹脂管19に内挿されるとともに、金属強化樹脂管19の先端が押出ピン26のテーパ面27に当接する。このとき、押出ピン26の外端部が貫通孔21内に没入した状態から外方へ突出し、押出ピン26の外周面の赤色の着色が視認される。金属強化樹脂管19を継手本体11の内奥側へさらに挿入すると、金属強化樹脂管19の先端は外周部が嵌着溝17に嵌着された絶縁パッキン18に当接する。
【0028】
そして、金属強化樹脂管19に引き抜き力が作用したときには、両抜け止め部材35の各規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19の外側樹脂層19bからさらに金属層19cまで食い込む。この金属層19cは硬く、強度が高いことから、抜け止め部材35の食込み部39の食い込みが維持される。その結果、金属強化樹脂管19は継手本体11内に抜け止め保持される。加えて、継手本体11に内嵌されたコア部材41にその抜け出し方向への力が作用したときには、コア部材41の規制面42が絶縁パッキン18を介して金属強化樹脂管19の先端に当接することによりコア部材41の動きも規制される。
【0029】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の金属強化樹脂管用継手は、抜け止め部材35の規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19の金属層19cまで食い込むように構成されている。このため、金属強化樹脂管19を接続する場合に安定した抜け止め効果を得ることができる。
【0030】
・ また、本実施形態の金属強化樹脂管用継手は、コア部材41の外周面と金属強化樹脂管19の内周面との間をシールリング48でシールするように構成されている。このため、金属強化樹脂管19の外周面に傷がついてもシール効果を維持することができる。
【0031】
・ 一対の抜け止め部材35の間にはスペーサ36が介装され、その状態で両抜け止め部材35のベースリング37とスペーサ36とを包むように絶縁カバー40が被覆されている。また、絶縁パッキン18は継手本体11の第2当接面15に当接するように構成されている。このため、抜け止め部材35の規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19内の金属層19cまで達していても、金属強化樹脂管19内のアルミニウム等の金属層19cが通電によって引き起こされる電気腐食を受けることを防止することができる。
【0032】
・ 一対の抜け止め部材35の間にはスペーサ36が介装された状態で絶縁カバー40が被覆されている。このため、一対の抜け止め部材35とスペーサ36との3部品が、絶縁カバー40により保持されて一体化され、1部品となっていることにより、金属強化樹脂管用継手内への装着を容易にすることができる。また、抜け止め部材35の変形を防止することができる。
【0033】
・ 第2当接面15の直ぐ先端側には先端部の内径よりも大きい内径を有する円環状の嵌着溝17が凹設され、絶縁パッキン18の外周部が嵌着されている。このため、コア部材41にその抜け出し方向へ力が作用したときには、嵌着溝17に絶縁パッキン18の外周部が押し付けられるため、コア部材41の抜け止め効果を得ることができる。
【0034】
なお、上記実施形態は以下のように変更して具体化することも可能である。
・ 抜け止め部材35の規制片38の食込み部39は、金属強化樹脂管19内の金属層19cを貫通して内側樹脂層19aまで到達してもよい。
【0035】
・ 規制片38の食込み部39の形状を、五角形、七角形等の多角形状、U字状、W状等に形成してもよい。
・ 金属強化樹脂管用継手としては、内部に金属強化樹脂管19を接続可能に構成した継手本体11の内周面と金属強化樹脂管19の外周面との間をシールする外径シールタイプのものを用いてもよい。
【0036】
・ 金属強化樹脂管19は、内側樹脂層19aと外側樹脂層19bとの間に金属層19cが挟着された4層以上のものを用いてもよい。
・ 絶縁カバー40は、合製樹脂製の半円筒状をなす一対の成形品により、一対の抜け止め部材35とスペーサ36とを挟み込むように構成してもよい。このように構成した場合、一対の抜け止め部材35とスペーサ36とを簡単に挟み込むことができる。
【0037】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記当接面の直ぐ先端側には先端部の内径よりも大きい内径を有する円環状の嵌着溝が凹設され、絶縁パッキンの外周部が嵌着されている請求項3又は請求項4に記載の金属強化樹脂管用継手。このように構成した場合、絶縁パッキンが抜け出すのを防止することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば次のような効果を奏することができる。
請求項1に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、金属強化樹脂管を接続する場合に安定した抜け止め効果を得ることができる。
【0039】
請求項2に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、金属強化樹脂管の内周面をシールするため金属強化樹脂管の外周面に傷がついてもシール効果を維持することができ、請求項1に記載の発明の効果を確実に発揮することができる。
【0040】
請求項3に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、金属強化樹脂管内のアルミニウム等の金属層が通電によって引き起こされる電気腐食を受けることを防止することができる。
【0041】
請求項4に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、一対の抜け止め部材とスペーサとの3部品が、絶縁カバーにより保持されて一体化され、1部品となっていることにより、金属強化樹脂管用継手内への装着を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における継手に金属強化樹脂管を接続した状態を示す部分破断側面図。
【図2】継手に金属強化樹脂管を接続した状態を示す要部拡大断面図。
【図3】(a)は抜け止め部材の平面図、(b)は抜け止め部材の側面図。
【図4】金属強化樹脂管用継手を示す分解側断面図。
【図5】絶縁パッキンに抜け止め部材とスペーサとを収容した状態を示す断面図。
【符号の説明】
11…継手本体、18…絶縁パッキン、19…金属強化樹脂管、19a…内側樹脂層、19b…外側樹脂層、19c…金属層、35…抜け止め部材、36…スペーサ、38…規制片、39…食込み部、40…絶縁カバー、41…コア部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば水道配管、温水配管等と金属強化樹脂管との間を接続する金属強化樹脂管用継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば水道配管にパイプを接続するための継手としては、架橋ポリエチレン又はポリブテン製の樹脂パイプ又は樹脂層間に金属層が挟着された少なくとも3層を有する金属強化樹脂管が接続される継手が使用されている。この種の継手としては、以下に示すようなものが知られている。すなわち、継手本体内のパイプの当接面から先端部側へ突出し、パイプの端部が外嵌されるコア部材の外周面とパイプの内周面との間をシールする内径シールタイプのものと、内部にパイプを接続可能に構成した継手本体の内周面とパイプの外周面との間をシールする外径シールタイプのものである。内径シールタイプの継手は、継手本体からパイプを抜け止め保持するための抜け止め部材を含み、該抜け止め部材は先端が丸くなった規制片を有し、樹脂パイプの外周部に食い込むようにして接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、外径シールタイプの継手においては、抜け止め部材が樹脂パイプと金属強化樹脂管とで異なる。樹脂パイプにおいては、上記内径シールタイプ同様に、先端が丸くなった規制片を有する抜け止め部材によって樹脂パイプの外周部に食い込むようにして接続されている。一方、金属強化樹脂管においては、金属強化樹脂管の外周部をスリーブによってかしめることによって接続されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−254884号公報(第3〜5頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来構成の場合、仮に内径シールタイプの継手に金属強化樹脂管を接続した場合、先端が丸くなった規制片を有する抜け止め部材では、金属強化樹脂管の最外周の樹脂層は薄いため安定した抜け止め効果を得ることができないという問題がある。また、外径シールタイプの継手においては、内径シールタイプの場合に比べて金属強化樹脂管の外周面におけるシール性能を損なわないようにする必要があるため、金属強化樹脂管の外周面に傷付けないようにしなければならず、安定した抜け止め効果を得ることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、金属強化樹脂管を接続する場合に安定した抜け止め効果を得ることができる金属強化樹脂管用継手を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、筒状をなし、基端部には管体が接続され、先端部には樹脂層間に金属層が挟着された少なくとも3層を有する金属強化樹脂管が挿入されて接続されるとともに、中央部内周面は基端部の内径よりも先端部の内径が大きくなる段差状に形成され、その段差部分に金属強化樹脂管の先端が当接される当接面が設けられた継手本体と、継手本体の先端部に設けられ、金属強化樹脂管に食い込んで金属強化樹脂管を抜け止め保持するための規制片を有する抜け止め部材と、該抜け止め部材を継手本体との間で挟持して継手本体に固定するために継手本体の先端部に螺合される押し輪とを備え、前記規制片の先端を尖らせて、その先端が金属強化樹脂管の金属層まで食い込むように構成するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属強化樹脂管用継手において、前記継手本体内には当接面から先端部側へ突出し、金属強化樹脂管の端部が外嵌されるコア部材を設け、該コア部材の外周面と金属強化樹脂管の内周面との間をシール部材でシールするように構成したものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の金属強化樹脂管用継手において、前記抜け止め部材には継手本体又は押し輪と接触する部分を覆う絶縁カバーを設けるとともに、前記当接面と金属強化樹脂管の先端との当接部分には絶縁パッキンを備えた請求項1又は請求項2に記載のものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の金属強化樹脂管用継手において、前記絶縁カバー内には、一対の抜け止め部材と、それらの抜け止め部材間に介装されるスペーサとが保持されて一体化されているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を水道配管用の内径シールタイプの金属強化樹脂管用継手に具体化した一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、継手本体11は略円筒状をなし、その基端部外周面には第1雄ねじ部12が螺刻され、図示しない水道配管等の管体に螺合可能になっている。継手本体11の基端部内周面は基端部の内径よりも先端部の内径が大きくなる段差状に形成されており、その段差部分が第1当接面13となっている。
【0013】
継手本体11の軸線14方向の中央部内周面は、基端部の内径よりも先端部の内径が大きくなる段差状に形成され、その段差部分が第2当接面15となっている。第2当接面15の内周側には、継手本体11の基端側に向かうに従い縮径する第1面取り部16が設けられている。第2当接面15の直ぐ先端側には先端部の内径よりも大きい内径を有する円環状の嵌着溝17が凹設され、絶縁パッキン18の外周部が嵌着されている。絶縁パッキン18は、電気絶縁性を有するゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂等により形成される。この絶縁パッキン18を境として、継手本体11の先端側には樹脂層を構成する内側樹脂層19aと外側樹脂層19bとの間に金属層19cが挟着された少なくとも3層を有する金属強化樹脂管19が挿入される金属強化樹脂管挿入空間20が形成されている。この金属強化樹脂管挿入空間20に金属強化樹脂管19が挿入されてその先端が絶縁パッキン18に当接することにより、金属強化樹脂管19と継手本体11との間の電気的な絶縁が図られ、金属強化樹脂管19の金属層19cの電気腐食を防止できるようになっている。
【0014】
金属強化樹脂管19の内側樹脂層19a及び外側樹脂層19bを構成する樹脂としては、架橋ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂が用いられ、金属層19cを構成する金属としては、アルミニウム等が用いられる。金属層19cの厚みは0.3〜0.5mmが好ましく、内側樹脂層19aの厚みは1〜1.2mmが好ましく、外側樹脂層19bの厚みは0.2〜0.4mmが好ましい。金属層19cの厚みが0.3mm未満では金属層19cの強度が低下して補強効果が小さくなり、0.5mmを越えると可撓性が低くなって金属強化樹脂管19の取扱い性が低下する。内側樹脂層19aの厚みが1mm未満では金属強化樹脂管19としての強度を十分に保持することができず、1.2mmを越えると可撓性が低下する。外側樹脂層19bの厚みが0.2mm未満では金属層19cが露出しやすく、0.4mmを越えると可撓性が低下する。
【0015】
絶縁パッキン18より僅かに先端側には、略円柱状をなす貫通孔21が継手本体11の軸線14と直交する方向に延びるように1箇所形成されている。貫通孔21の内周面には第1段差部22が形成され、その第1段差部22よりも外方における孔径はその内方における孔径に比べて大きくなっている。第1段差部22よりも内方には略円筒状をなすカラー23が嵌入されており、その内周面には第2段差部24が設けられ、同第2段差部24より内部に環状凹部25が形成されている。そして、金属強化樹脂管19の継手本体11内への挿入状態を視認するための略円柱状をなす押出ピン26が前記カラー23を介して貫通孔21に挿通支持されている。この押出ピン26の内端部は円錐形状をなし、内方に向かうほど縮径するテーパ面27となっている。また、押出ピン26の中間部には大径部28が形成されており、この大径部28が前記環状凹部25をスライドすることによって、押出ピン26が貫通孔21内を往復動可能に構成されている。
【0016】
そして、図1に示すように、金属強化樹脂管19の先端が絶縁パッキン18に当接した際には、押出ピン26の大径部28の外端面がカラー23の第2段差部24に当接するとともに、押出ピン26の外端部が継手本体11の外周面から外方に突出するようになっている。
【0017】
継手本体11の先端部内周面には雌ねじ部29が螺刻され、略円筒状をなす押し輪30の先端部外周面に螺刻された第2雄ねじ部31が螺合されることにより、継手本体11の先端部に押し輪30が取り付けられる。該押し輪30の中心には、挿入孔32が貫通形成されており、先端部内周面には挿入孔側端縁から継手本体11の軸線14方向内方に向かうに従い縮径する第2面取り部33が設けられている。
【0018】
継手本体11の内周部において、雌ねじ部29よりも基端側には、内周全体にわたって係止段部34が形成されている。この係止段部34と押し輪30の先端面との間には、金属強化樹脂管19を抜け止め保持する一対の抜け止め部材35が、その間に円環状のスペーサ36を介装し、絶縁カバー40で被覆された状態で挟着されている。図3(a)及び(b)に示すように、これら抜け止め部材35は、ステンレス鋼等の金属材料製の円環状をなすベースリング37と、ベースリング37から内方へ同一長さで一定の角度をもって突出する複数の規制片38とからそれぞれ構成されている。規制片38の先端は金属強化樹脂管19の金属層19cに食い込み易いようにするため、それぞれ楔形状(三角形状)に尖った食込み部39となっている。
【0019】
図4及び図5に示すように、一対の抜け止め部材35の間にはスペーサ36が介装された状態で両抜け止め部材35のベースリング37とスペーサ36とを包むように絶縁カバー40が被覆されている。そして、一対の抜け止め部材35とスペーサ36との3部品が、絶縁カバー40により保持されて一体化され、1部品となっている。この1部品となったものが継手本体11の先端から挿入されて係止段部34に係止される。絶縁カバー40は電気絶縁性を有するゴム、合成樹脂等で形成される。絶縁カバー40の厚みは、好ましくは0.2〜2.0mm、さらに好ましくは0.2〜1.0mmである。この厚みが0.2mmより薄いと、3部品を保持する力が弱くなり、2.0mmを越えると、伸縮性が小さくなって3部品を被覆しにくくなる。
【0020】
そして、継手本体11内に接続された金属強化樹脂管19に引き抜き力が作用したときには、両抜け止め部材35の各規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19の金属層19cにまでそれぞれ食い込むことにより、金属強化樹脂管19は継手本体11内に抜け止め保持されるようになっている。このため、継手は、継手本体11内に金属強化樹脂管19を挿入する作業のみで金属強化樹脂管19を挿着することができるワンタッチ継手として構成されている。
【0021】
また、図1及び図2に示すように、コア部材41は略円筒状をなし、その内端部が継手本体11の基端部内に挿着されている。継手本体11の先端部内周面とコア部材41の外端部外周面との間には前記金属強化樹脂管挿入空間20が設けられ、金属強化樹脂管挿入空間20の厚みは金属強化樹脂管19の厚みと略同一に設定されている。コア部材41の外周面は内端部の外径よりも外端部の外径が小さくなる段差状に形成されており、その段差部分が規制面42となっている。この規制面42とコア部材41の内端面との継手本体11の軸線14方向への距離は、継手本体11内の第2当接面15と第1当接面13との前記軸線14方向への距離と略同一に形成されている。前述の絶縁パッキン18は継手本体11の第2当接面15に当接すると同時に、コア部材41の規制面42に当接している。さらに、その絶縁パッキン18には金属強化樹脂管19の先端が当接し、その結果コア部材41の抜け出しが防止されるようになっている。
【0022】
規制面42よりも内端側には一対の第1収容溝43が周設され、各第1収容溝43にはゴム材料製の断面円形状をなすシール部材としてのOリング44が嵌着されている。そして、継手本体11の基端部内周面に各Oリング44の外周面がそれぞれ密接されることにより、継手本体11の基端部内周面とコア部材41の内端部外周面との間がシールされるようになっている。また、コア部材41の内端部外周面と継手本体11の基端部内周面との間には前記軸線14方向に均一の間隔を有する空隙45が設けられている。この空隙45は継手本体11に接続された金属強化樹脂管19に加わる曲げ応力による金属強化樹脂管19の変形に追従して、継手本体11の軸線14と交差する方向へのコア部材41の動きを許容するためのものである。
【0023】
前記規制面42よりも外端側は円筒状の筒部46となっており、その外径は金属強化樹脂管19の内径と略同一に形成されている。また、コア部材41の外端部外周面、つまり筒部46の外周面には継手本体11の軸線14方向に沿って一対の第2収容溝47が周設され、各第2収容溝47にはシール機構を構成するシールリング48が嵌着されている。図4に示すように、シールリング48には筒部46の外周面よりも径方向外側に突出する突出部49が形成され、該突出部49よりも外端側には筒部46の外周面と略面一に形成された外周面を有する平坦部50が設けられている。そして、継手本体11に金属強化樹脂管19が挿入接続されたときには、金属強化樹脂管19の内周面に各シールリング48の外周面がそれぞれ密接されることにより、金属強化樹脂管19の内周面と筒部46の外周面との間がシールされるようになっている。
【0024】
前記継手本体11と、コア部材41と、金属強化樹脂管19の抜け止め部材35と、押し輪30等とにより本実施形態の金属強化樹脂管用継手が構成されている。
【0025】
次に、前記金属強化樹脂管用継手の作用について以下に記載する。
さて、金属強化樹脂管用継手を組み立てる場合には、図4に示すように、継手本体11内にコア部材41を挿入する。このとき、継手本体11内の第1面取り部16がコア部材41の挿入案内の役割をし、コア部材41の内端面が継手本体11内の第1当接面13に当接するまで挿入する。一方、一対の抜け止め部材35間にスペーサ36を挟んでそれを絶縁カバー40で覆い、3部品を予め1部品として構成する。そして、該3部品を継手本体11内に挿入し、係止段部34に係止させる。そして、継手本体11の先端部内周面の雌ねじ部29に押し輪30の第2雄ねじ部31を螺合し、継手本体11の先端部に押し輪30を取付け、その先端面と係止段部34との間に1部品化された抜け止め部材35を挟着する。
【0026】
次いで、継手本体11に金属強化樹脂管19を接続する場合には、まず金属強化樹脂管19の先端を金属強化樹脂管挿入空間20に挿入する。このとき、前記押し輪30の第2面取り部33が金属強化樹脂管19の挿入案内の役割をし、金属強化樹脂管19の端部にコア部材41の筒部46が内嵌される。そして、金属強化樹脂管19の端部がシールリング48を通過するときには、まずシールリング48の平坦部50が最初に金属強化樹脂管19に内挿され、続いて突出部49が内挿される。金属強化樹脂管19を継手本体11の内奥側へさらに挿入すると、両抜け止め部材35の各規制片38先端の食込み部39が外方へ押圧されながら金属強化樹脂管19にそれぞれ摺接される。このとき、金属強化樹脂管19は各規制片38の元に戻ろうとする力に基づく内方への付勢力に抗して継手本体11の内奥側へ挿入される。
【0027】
そして、金属強化樹脂管19を継手本体11の内奥側へさらに挿入すると、もう1つの第2収容溝47に嵌着されたシールリング48も同様に金属強化樹脂管19に内挿されるとともに、金属強化樹脂管19の先端が押出ピン26のテーパ面27に当接する。このとき、押出ピン26の外端部が貫通孔21内に没入した状態から外方へ突出し、押出ピン26の外周面の赤色の着色が視認される。金属強化樹脂管19を継手本体11の内奥側へさらに挿入すると、金属強化樹脂管19の先端は外周部が嵌着溝17に嵌着された絶縁パッキン18に当接する。
【0028】
そして、金属強化樹脂管19に引き抜き力が作用したときには、両抜け止め部材35の各規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19の外側樹脂層19bからさらに金属層19cまで食い込む。この金属層19cは硬く、強度が高いことから、抜け止め部材35の食込み部39の食い込みが維持される。その結果、金属強化樹脂管19は継手本体11内に抜け止め保持される。加えて、継手本体11に内嵌されたコア部材41にその抜け出し方向への力が作用したときには、コア部材41の規制面42が絶縁パッキン18を介して金属強化樹脂管19の先端に当接することによりコア部材41の動きも規制される。
【0029】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の金属強化樹脂管用継手は、抜け止め部材35の規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19の金属層19cまで食い込むように構成されている。このため、金属強化樹脂管19を接続する場合に安定した抜け止め効果を得ることができる。
【0030】
・ また、本実施形態の金属強化樹脂管用継手は、コア部材41の外周面と金属強化樹脂管19の内周面との間をシールリング48でシールするように構成されている。このため、金属強化樹脂管19の外周面に傷がついてもシール効果を維持することができる。
【0031】
・ 一対の抜け止め部材35の間にはスペーサ36が介装され、その状態で両抜け止め部材35のベースリング37とスペーサ36とを包むように絶縁カバー40が被覆されている。また、絶縁パッキン18は継手本体11の第2当接面15に当接するように構成されている。このため、抜け止め部材35の規制片38の食込み部39が金属強化樹脂管19内の金属層19cまで達していても、金属強化樹脂管19内のアルミニウム等の金属層19cが通電によって引き起こされる電気腐食を受けることを防止することができる。
【0032】
・ 一対の抜け止め部材35の間にはスペーサ36が介装された状態で絶縁カバー40が被覆されている。このため、一対の抜け止め部材35とスペーサ36との3部品が、絶縁カバー40により保持されて一体化され、1部品となっていることにより、金属強化樹脂管用継手内への装着を容易にすることができる。また、抜け止め部材35の変形を防止することができる。
【0033】
・ 第2当接面15の直ぐ先端側には先端部の内径よりも大きい内径を有する円環状の嵌着溝17が凹設され、絶縁パッキン18の外周部が嵌着されている。このため、コア部材41にその抜け出し方向へ力が作用したときには、嵌着溝17に絶縁パッキン18の外周部が押し付けられるため、コア部材41の抜け止め効果を得ることができる。
【0034】
なお、上記実施形態は以下のように変更して具体化することも可能である。
・ 抜け止め部材35の規制片38の食込み部39は、金属強化樹脂管19内の金属層19cを貫通して内側樹脂層19aまで到達してもよい。
【0035】
・ 規制片38の食込み部39の形状を、五角形、七角形等の多角形状、U字状、W状等に形成してもよい。
・ 金属強化樹脂管用継手としては、内部に金属強化樹脂管19を接続可能に構成した継手本体11の内周面と金属強化樹脂管19の外周面との間をシールする外径シールタイプのものを用いてもよい。
【0036】
・ 金属強化樹脂管19は、内側樹脂層19aと外側樹脂層19bとの間に金属層19cが挟着された4層以上のものを用いてもよい。
・ 絶縁カバー40は、合製樹脂製の半円筒状をなす一対の成形品により、一対の抜け止め部材35とスペーサ36とを挟み込むように構成してもよい。このように構成した場合、一対の抜け止め部材35とスペーサ36とを簡単に挟み込むことができる。
【0037】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記当接面の直ぐ先端側には先端部の内径よりも大きい内径を有する円環状の嵌着溝が凹設され、絶縁パッキンの外周部が嵌着されている請求項3又は請求項4に記載の金属強化樹脂管用継手。このように構成した場合、絶縁パッキンが抜け出すのを防止することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば次のような効果を奏することができる。
請求項1に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、金属強化樹脂管を接続する場合に安定した抜け止め効果を得ることができる。
【0039】
請求項2に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、金属強化樹脂管の内周面をシールするため金属強化樹脂管の外周面に傷がついてもシール効果を維持することができ、請求項1に記載の発明の効果を確実に発揮することができる。
【0040】
請求項3に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、金属強化樹脂管内のアルミニウム等の金属層が通電によって引き起こされる電気腐食を受けることを防止することができる。
【0041】
請求項4に記載の発明の金属強化樹脂管用継手によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、一対の抜け止め部材とスペーサとの3部品が、絶縁カバーにより保持されて一体化され、1部品となっていることにより、金属強化樹脂管用継手内への装着を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における継手に金属強化樹脂管を接続した状態を示す部分破断側面図。
【図2】継手に金属強化樹脂管を接続した状態を示す要部拡大断面図。
【図3】(a)は抜け止め部材の平面図、(b)は抜け止め部材の側面図。
【図4】金属強化樹脂管用継手を示す分解側断面図。
【図5】絶縁パッキンに抜け止め部材とスペーサとを収容した状態を示す断面図。
【符号の説明】
11…継手本体、18…絶縁パッキン、19…金属強化樹脂管、19a…内側樹脂層、19b…外側樹脂層、19c…金属層、35…抜け止め部材、36…スペーサ、38…規制片、39…食込み部、40…絶縁カバー、41…コア部材。
Claims (4)
- 筒状をなし、基端部には管体が接続され、先端部には樹脂層間に金属層が挟着された少なくとも3層を有する金属強化樹脂管が挿入されて接続されるとともに、中央部内周面は基端部の内径よりも先端部の内径が大きくなる段差状に形成され、その段差部分に金属強化樹脂管の先端が当接される当接面が設けられた継手本体と、継手本体の先端部に設けられ、金属強化樹脂管に食い込んで金属強化樹脂管を抜け止め保持するための規制片を有する抜け止め部材と、該抜け止め部材を継手本体との間で挟持して継手本体に固定するために継手本体の先端部に螺合される押し輪とを備え、
前記規制片の先端を尖らせて、その先端が金属強化樹脂管の金属層まで食い込むように構成することを特徴とする金属強化樹脂管用継手。 - 前記継手本体内には当接面から先端部側へ突出し、金属強化樹脂管の端部が外嵌されるコア部材を設け、該コア部材の外周面と金属強化樹脂管の内周面との間をシール部材でシールするように構成した請求項1に記載の金属強化樹脂管用継手。
- 前記抜け止め部材には継手本体又は押し輪と接触する部分を覆う絶縁カバーを設けるとともに、前記当接面と金属強化樹脂管の先端との当接部分には絶縁パッキンを備えた請求項1又は請求項2に記載の金属強化樹脂管用継手。
- 前記絶縁カバー内には、一対の抜け止め部材と、それらの抜け止め部材間に介装されるスペーサとが保持されて一体化されている請求項3に記載の金属強化樹脂管用継手。
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