JP2004358983A - フロアマット、フロアマットの製造方法及び金型 - Google Patents
フロアマット、フロアマットの製造方法及び金型 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】製造効率の向上を図り、リサイクルの容易化が図られ且つ固定具による固定を強固に行なうことが可能なフロアマット、フロアマットの製造方法及び金型を提供すること。
【解決手段】本発明に係るフロアマット10は、ベース層13と、ベース層上に積層されたカーペット層14とを有し、ベース層を貫通している第1の孔18とカーペット層を貫通している第2の孔19とが連続して形成されているフロアマットであって、第2の孔が第1の孔より大きく、第1の孔におけるカーペット層側の端部の周縁が露出していることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明に係るフロアマット10は、ベース層13と、ベース層上に積層されたカーペット層14とを有し、ベース層を貫通している第1の孔18とカーペット層を貫通している第2の孔19とが連続して形成されているフロアマットであって、第2の孔が第1の孔より大きく、第1の孔におけるカーペット層側の端部の周縁が露出していることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロアマット、フロアマットの製造方法及びその製造に用いる金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車内において、靴などに付着した土、砂、泥、或いは砂利などがフロアに付着してフロアが汚れるのを防止するためにフロアマットを敷いている。
【0003】
このフロアマットの移動を防止するために次のようにしてフロアマットをフロアに固定していた。すなわち、フロアマットの一部に貫通孔をあけると共に、フロアにフック状の固定具を設ける。そして、フロアマットにあけられた貫通孔に固定具を挿入してフロアマットをフロアに固定する。
【0004】
このように固定具を用いてフロアマットをフロアに固定する場合には、上記貫通孔を補強するために、また、フロアマットが固定具から外れるのを防止したりフロアマットの表皮材構成繊維の脱落を防止したりするために、貫通孔に金属製リング又は樹脂製リングが嵌め合わされている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−104049号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−193016号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した金属製リング又は樹脂製リングを嵌め合わせる構成を採ると、これらリングを嵌め合わせる工程の分だけ製造工程が増加して製造効率が悪くなり、コストの上昇を招くという問題があった。また、フロアマットをリサイクルする際には、リングを取り外す必要があることからフロアマットをリサイクルしにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造効率の向上を図り、リサイクルの容易化が図られ且つ固定具による固定を強固に行なうことが可能なフロアマット、フロアマットの製造方法及び金型を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは、フロアマットが、フロアに設けられた固定具から外れる機構について鋭意検討した。一般に、フロアマットMは、図11(a)に示すように、フロアマットMに形成された貫通孔Xに、先端部にフック部23を有する固定具21が挿入されてフロアに固定される。
【0010】
本発明者らは、フロアマットMがフロアに対して動いたときに、図11(b)に示すように固定具21が曲がったり、又は、図11(c)に示すようにフロアマットMが跳ね上がったりしてフロアマットMが固定具21から外れることを見出した。また、何れの場合にも、固定具21からフロアマットMが外れる前には、固定具21のフック部23とフロアマットMとは貫通孔Xの周縁上部で接するので、貫通孔Xの周縁上部の強度と、フック部23との引っ掛かり具合(摩擦抵抗の大きさ)が重要であると考えた。
【0011】
更に、フロアマットMの上面はカーペット層であり、固定具21のフック部23はカーペット層と接する。そして、カーペット層の上面は繊維で構成されていることから、フック部23とフロアマットMとの摩擦抵抗が小さくなり、固定具21からフロアットMが外れやすくなっていることを見出した。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。
【0012】
すなわち、本発明に係るフロアマットは、ベース層と、そのベース層上に積層されたカーペット層とを有し、ベース層を貫通している第1の孔とカーペット層を貫通している第2の孔とが連続して形成されているフロアマットであって、第2の孔が第1の孔より大きく、第1の孔におけるカーペット層側の端部の周縁が露出していることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、フロアに設けられた固定具を介してフロアマットをフロアに固定した場合、第2の孔の方が第1の孔よりも大きく、第1の孔におけるカーペット層側の端部の周縁が露出しているので、固定具のカーペット層側の先端部はベース層と接する。そのため、固定具とフロアマットとの摩擦抵抗が大きくなる。したがって、固定具によるフロアマットの固定を強固に行なうことができる。
【0014】
また、第1の孔及び第2の孔を補強したり、固定具からフロアマットが外れることを防止したりするためにそれらの孔に金属製や樹脂製のリングを嵌め合わせていないので、フロアマットの製造効率を向上させることが可能である。
【0015】
また、本発明に係るフロアマットにおいては、ベース層は、カーペット層側に隆起した隆起部を有し、隆起部に第1の孔が形成されていることが好ましい。この場合には、第1の孔が隆起部に形成されているので、第1の孔の周囲の剛性が高くて変形しにくい。そのため、フロアに設けられた固定具からフロアマットが外れにくい。
【0016】
また、本発明に係るフロアマットの製造方法は、ベース部材上にカーペット部材を積層した積層体を用意し、積層体の積層方向にベース部材を貫通する第1の孔とカーペット部材を貫通する第2の孔とを連続して形成すると共に、第2の孔を第1の孔よりも押し広げて、第1の孔におけるカーペット部材側の端部の周縁を露出させることを特徴とする。この製造方法では、第1の孔と第2の孔とから構成される貫通孔であって、第1の孔におけるカーペット部材側の端部の周縁にベース部材が露出している貫通孔がフロアマットに形成される。
【0017】
その貫通孔に、フロアに設けられた固定具を挿入してフロアマットを固定すると、第2の孔の方が第1の孔よりも大きいことからベース部材が露出しているので、固定具のカーペット部材側の先端部は、露出しているベース部材と接する。そのため、固定具とフロアマットとの摩擦抵抗が大きくなる。したがって、固定具によるフロアマットの固定を強固に行なうことができる。また、フロアマットの第1の孔や第2の孔を補強したり、固定具との固定を強固にしたりすることを目的としてそれらの孔にリング等を嵌めていないので、リングを嵌める工程を要しない。そのため、リングなどを嵌める工程を有する場合に比べてフロアマットの製造効率を向上させることができる。
【0018】
更に、本発明に係るフロアマットの製造方法は、柱状の突起部を有する下金型と、突起部と対向する面に凹部を有し、凹部に突起部に嵌合する開口部が形成されている上金型とを含んで構成される金型を用意し、ベース部材上にカーペット部材を積層した積層体を用意し、積層体のベース部材側が下金型と対向するように積層体を突起部と上金型との間に配置し、突起部と開口部とを嵌め合わせて積層体を貫通する孔を形成し、更に、上金型と下金型との間で積層体を押さえ込んで積層体を成形することを特徴とする。
【0019】
この場合には、上金型に凹部が形成されているので、上金型と下金型とにより積層体が押さえ込まれると、上金型の凹部と下金型との間のベース部材が上金型に向かって隆起する。したがって、フロアマットには、ベース部材がカーペット部材側に隆起した隆起部が形成される。
【0020】
また、凹部に開口部が形成されているので、その隆起部にフロアマットを貫通する孔が形成される。また、積層体がベース部材及びカーペット部材から構成されているので、積層体を貫通する孔が形成されると、ベース部材を貫通している第1の孔及びカーペット部材を貫通している第2の孔が夫々形成されている。そして、上金型と下金型とにより積層体が成形される際に、上金型でカーペット部材が押さえ込まれている一方、ベース部材がカーペット部材側に隆起すると、第2の孔が第1の孔よりも押し広げられて、第1の孔のカーペット部材側の端部の周縁が露出する。
【0021】
更にまた、本発明に係る金型は、上述した隆起部を有するフロアマットを製造するために用いる金型であって、柱状の突起部を有する下金型と、凹部を有して、該凹部に前記突起部と嵌合する開口部を有する上金型とを備えることを特徴とする。このような金型を用いることで、上述した隆起部を有するフロアマットを好適に製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。全図を通し、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
図1〜図3を参照して、本実施形態によるフロアマットの構成について説明する。図1は、フロアマット10の平面図である。また、図2は、図1のII−II線に沿った拡大断面図である。フロアマット10は、自動車内において、靴などに付着した土、砂、泥、或いは砂利などがフロアに付着してフロアが汚れるのを防止するために用いられるものである。
【0024】
図1を参照すると、フロアマット10は、平坦部11及びこの平坦部11の周りを取り囲む周縁部12から構成されている。
【0025】
フロアマット10は、図2に示すように、ベース層13と、このベース層13の上面に積層され接着されているカーペット層14とを有している。ベース層13の材料としては、樹脂等が例示される。また、カーペット層14としては、例えば、基布14aにカーペットパイル14bを結びつけたものである。カーペット層14の裏面がスチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、天然ゴム、アクリロニトリロ・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、アクリル樹脂などによってバッキングされていることは、カーペットパイル14bが抜けにくくなるので好適である。
【0026】
周縁部12は、上面方向(ベース層13側からカーペット層14側に向かう方向)に隆起している。フロアマット10は、周縁部12がこのように上面方向に隆起していることによって、土、砂、泥、或いは砂利等を平坦部11で保持できる構造となっている。なお、周縁部12は必ずしも上面方向に隆起している必要はない。周縁部12が隆起していない場合には、例えば、オーバーロック加工やテープ加工を施しておけば良い。
【0027】
また、図1を参照すると、平坦部11には、リング状の固定部15,15が2つ形成されている。図3は、図1のIII−III線に沿った固定部15の拡大断面図である。図3には、フロアマット10をフロア20に固定するための固定具21を模式的に示している。固定具21は、円柱状の本体部22と、その本体部22の側周面の上部に突設されたフック部23とから構成されている。
【0028】
図3から理解されるように固定部15は上面方向(ベース層13側からカーペット層14側に向かう方向)に隆起している。より具体的に説明すると、ベース層13に上面方向に隆起した隆起部16が形成されており、そのベース層13上にカーペット層14が設けられているので平坦部11の一部が上面方向に隆起して固定部15となっている。図1及び図3を参照すると、固定部15,15のほぼ中央には円形の貫通孔17,17が設けられている。
【0029】
図3から理解されるように、貫通孔17は、固定具21と協働してフロアマット10をフロア20に固定するものである。貫通孔17は、ベース層13を貫通している孔(第1の孔)18、及び、カーペット層14を貫通している孔(第2の孔)19から構成されている。孔18及び孔19夫々の中心軸線は同一直線上にある。孔18の直径R1は、固定具21の本体部22の直径R2より若干大きい程度である。また、孔19の直径R3は、孔18の直径R1よりも大きい。これにより、孔18の周縁上部18a、言い換えれば、孔18におけるカーペット層14側の端部の周縁が露出し、固定具21のフック部23と貫通孔17との摩擦抵抗が大きくなるような構造となっている。
【0030】
上記構成のフロアマット10は、図1に示す2つの固定部15,15に設けられた貫通孔17,17夫々に固定具21が挿入されフロア20に固定される。この際、貫通孔17を構成している孔18の周縁上部18aが露出していることが重要である。
【0031】
すなわち、孔18におけるカーペット層14側の端部の周縁が露出していることから、固定具21のフック部23がカーペット層14と直に接する場合よりも固定具21と貫通孔17との摩擦抵抗が大きい。そのため、貫通孔17から固定具21が外れにくく、結果として固定具21からフロアマット10が外れにくい。また、貫通孔17の周縁は、隆起部16があることから平坦部11の他の領域よりも隆起しているので、剛性が高く変形が抑制されている。そのため、フロアマット10がフロア20に対して動いたとしても貫通孔17の周囲が変形しにくいので固定具21からフロアマット10が外れにくい。更に、カーペット層14と固定具21の先端部との接触が少なくなっているので、カーペット層14を構成している繊維(カーペットパイル)が抜けにくくなっている。
【0032】
次に、図4(a)〜図4(c)を参照して上記フロアマット10を製造する方法について説明する。図4(a)〜図4(c)は、フロアマット10を製造する方法を概略的に示す工程断面図である。
【0033】
まず、図1のフロアマット10を製造するために好適に用いられる金型30を用意する。金型30は、図4(a)を参照すると、一対の下金型30Aと上金型30Bとから構成されている。下金型30Aは、円柱状の突起部31を有している。突起部31の直径は、図3の孔18の直径R1とほぼ同じである。上金型30Bは、下金型30Aに対向する面32に凹部33を有しており、その凹部33の中央近傍に、下金型30Aの突起部31と嵌合する開口部34が形成されている。なお、開口部34の深さは、突起部31の高さよりも深く形成されていれば良く、開口部34の直径は、突起部31の直径R1とほぼ同じか若干大きい程度である。また、突起部31の高さは凹部33の深さと積層体150の厚さの和よりも高ければ特に限定されない。金型30は、例えば、炭素鋼鋼材、アルミ合金から構成される。
【0034】
次に、ベース層13となるべきベース部材130、及び、カーペット層14となるべきカーペット部材140を用意する。ベース部材130は、熱可塑性樹脂シート(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなど)、熱可塑性エラストマーシート(例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど)、熱硬化性樹脂シート(例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂など)、或いは天然又は合成ゴムシート(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなど)などが例示される。
【0035】
カーペット部材140としては、タフテッドカーペット、ニードルンチカーペット、緞通、フックカーペット、ウィルトンカーペット、アキスミンスターカーペットなどが例示される。なお、図4では、カーペット部材140を模式的に表示している。
【0036】
続いて、図4(a)に示すようにベース部材130上にカーペット部材140を積層した積層体150を形成する。ここで、ベース部材130とカーペット部材140とは単に重ね合わせていても良いが、例えば、ベース部材130の材質に応じてベース部材130を溶融させてカーペット部材140とベース部材130との仮接着を行なっていても良い。
【0037】
次に、積層体150を成形可能な温度に予備加熱した後、上記金型30に配置する。この際、図4(a)に示すように、積層体150を、下金型30Aの突起部31と上金型30Bとの間であって、ベース部材130が下金型30Aと対向するように配置する。続いて、金型30の温度を、成形可能な温度より低く維持しつつ、上金型30Bを下金型30Aの方に押し下げる。
【0038】
上金型30Bが下金型30Aの方に押し下げられると、下金型30Aに形成されている突起部31が上金型30Bの開口部34に嵌め合わされる。これにより、ベース部材130を貫通する径R1の孔131及びカーペット部材140を貫通する径R1の孔141が連続して形成される。言い換えれば、積層体150に孔131及び孔141から構成される貫通孔151が形成される。
【0039】
また、上金型30Bには、下金型30Aと対向する面32に凹部33が形成されているので、上金型30Bと下金型30Aとが近づくと、積層体150は、凹部33の段差部Aで押されて下金型30Aに向かって押し下げられる。このように凹部33で積層体150が押圧されると、カーペット部材140は、凹部33の形状に沿うように移動し、孔141の周縁のカーペット部材140は孔141の径外方に引っ張られる。そして、ベース部材130は流動性がある溶融状態であることから、孔141が押し広げられ、その押し広げられた部分へベース部材130が移動し、孔131におけるカーペット部材140側の端部の周縁が露出される
【0040】
また、段差部Aで積層体150が押圧されると、溶融状態にあるベース部材130は、突起部31周囲の下金型30Aの上面、突起部31及びベース部材130で形成される領域αを埋めるように図4(b)の矢印B方向に移動する。一方、突起部31はベース部材130に対して相対的に上側に移動するので、突起部31と接しているベース部材130の部分(即ち、孔131の内壁面)には矢印C方向に向かう流れが生じる。
【0041】
そして、図4(c)に示すように、上金型30Bを更に押し下げて金型30を完全に閉じて積層体150を成形する。上述したように上金型30Bと下金型30Aとが近づくにつれて孔141の径R1は大きくなり、金型30が閉じたとき孔141は、径R3の孔142となっている。
【0042】
上記のように金型温度が成形可能な温度より低く維持した金型30で成形すると、金型30が閉じた状態で、予備加熱されたベース部材130は成形可能な温度から下がり固定される。これにより、ベース部材130及びカーペット部材140夫々は、ベース層13及びカーペット層14となる。また、孔131及び孔142夫々は、孔18及び孔19になる。その後、金型30を取り外すと、図3に示すフロアマット10が得られる。
【0043】
なお、上記工程では積層体150を成形温度に予備加熱し、冷間プレスを行ったが、予備加熱なしで成形可能な温度に金型温度を高める加熱プレスであっても良い。加熱プレスの場合は、成形可能な温度に金型温度を高めた金型30が閉じた状態でベース部材130は化学反応が進み固定される。冷間プレスとするか加熱プレスとするかはベース部材130の材質に応じて適宜選択すれば良い。
【0044】
上述したように、突起部31と開口部34とが嵌合して貫通孔151が形成された後更に上金型30Bを押し下げると、ベース部材130が溶融状態にあることから、ベース部材130に図4(b)の矢印B及び矢印Cの方向に流れが生じてベース部材130が上面方向に隆起する。そのため、フロアマット10のベース層13には隆起部16が形成される。
【0045】
また、ベース部材130が隆起しつつ、凹部33の段差部Aでカーペット部材140が突起部31から離れる方向に引っ張られるので、突起部31により形成されたカーペット部材140の孔141の径がR1からR3に広がる。したがって、成形されたフロアマット10では、ベース層13の孔18とカーペット層14の孔19の大きさが異なる。そのため、孔18の周縁上部18aが露出したフロアマット10が製造される。
【0046】
ところで、比較のために、図5(a)〜図5(c)に示す製造工程でフロアマット40を製造する方法を説明する。この場合、フロアマット40を製造するために用いる金型50は、図5(a)に示すように、一対の下金型50Aと上金型50Bとから構成される。金型50は、下金型50Aの突起部51の長さが図4の突起部31よりも短くなっている点、及び、上金型50Bに開口部が形成されていない点で図4の金型30と相違する。なお、突起部51の長さは、形成すべき貫通孔の長さよりも若干短い程度である。
【0047】
この金型50の下金型50Aと上金型50Bとの間に積層体150を配置し、上金型50Bと下金型50Aとを近づけて積層体150を成形してフロアマット40を形成する。
【0048】
この場合、突起部51が形成すべき貫通孔の長さよりも短く、上金型50Bに開口部が形成されていないことから、フロアマット40には図5(b)に示すようなフロアマット40を貫通していない孔41が形成される。言い換えれば、孔41の上部がベース層13及びカーペット層14で覆われたフロアマット40が形成される。なお、上金型50Bには凹部33が形成されているので、ベース部材130は隆起して隆起部16が形成される。そして、孔41の上部のベース層13及びカーペット層14を切り抜いて貫通孔42を形成する。上述したように隆起部16が形成されているので貫通孔42は、固定部15に形成されている。
【0049】
図5に示す製造工程では、積層体150を成形する際には、孔41は積層体150を貫通していない。そのため、上金型50Bの凹部33の段差部Aでカーペット部材140が押圧されても、カーペット部材140は移動することができない。
【0050】
したがって、図5(b)の孔41の上のベース層13及びカーペット層14を打ち抜いて貫通孔42を形成しても、貫通孔42の径は、積層体150の積層方向に一様である。このようなフロアマット40を固定具21でフロア20に固定すると、固定具21はカーペット層14の上面と接する。そのため、固定具21との摩擦抵抗が小さくなり固定具21からフロアマット40が外れ易い。
【0051】
これに対して、図4(a)〜図4(c)に示した製造方法で製造したフロアマット10の貫通孔17では、孔18の周縁上部18aが露出していることから、固定具21のフック部23が設けられている先端部は、ベース層13と接する。そのため、固定具21との摩擦抵抗がカーペット層14の場合よりも大きくなり固定具21からフロアマット10が外れにくくなっている。また、積層体150を成形する過程において、ベース部材130には図4(b)の矢印C方向の流れが生じるので、孔18の周縁上部18aは図3に示すように盛り上がる。そのため、固定具21のフック部23がより引っ掛かりやすくなっている。
【0052】
また、上面方向に隆起した固定部15に貫通孔17が形成されているので、貫通孔17の周囲の剛性が高く変形しにくいので、固定具20からフロアマット10が外れにくくなっている。
【0053】
更に、貫通孔17を補強したり、固定具21による固定を強固にしたりするための金属製リングや樹脂製リングを用いていないので、それらのリングを貫通孔17に嵌める工程を要しない。そのため、リングを嵌めたフロアマットを製造する場合に比べて、製造効率を上げることができる。更に、フロアマット10には、金属製リングや樹脂製リングが嵌められていないので、フロアマット10を容易にリサイクルにまわすことが可能である。
【0054】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係るフロアマット10を製造する方法を説明するための工程断面図である。
【0055】
本実施形態では、図6(a)に示す金型60を用いてフロアマット10を製造する。本実施形態で用いる金型60は、一対の上金型60Bと下金型60Aとから構成されている。上金型60Bと下金型60Aとは、上金型60Bに円柱状の突起部31が設けられ、下金型60Aに突起部31と嵌合する開口部34が設けられている点で第1の実施形態の金型30と相違する。なお、突起部31は、上金型60Bの凹部33に形成されている。
【0056】
先ず、第1の実施形態と同様の積層体150を成形可能な温度に予備加熱した後、上記金型60に配置する。この際、積層体150を、上金型60Bの突起部31と下金型60Aとの間にベース部材130が下金型60Aと対向するように配置する。続いて、金型60の温度を、成形可能な温度より低く維持しつつ、上金型60Bを下金型60Aの方に押し下げる。突起部31と開口部34とは嵌合するので、突起部31の形状に積層体150は切断され、貫通孔151が形成される。より詳細に説明すると、カーペット部材140に孔141、及び、ベース部材130に孔131が連続して形成され、それらの孔131,141から構成される貫通孔151が積層体150に形成される。
【0057】
上金型60Bが更に押し下げられて、積層体150が上金型60Bと下金型60Aとの間で押し込まれると溶融状態のベース部材130には、上金型60Bの凹部33、積層体150及び突起部31で形成される領域βを埋めるように矢印Dの方向への流れが生じる。これにより、ベース部材130が上面方向に隆起する。一方、ベース部材130に対して突起部31は下側に移動しているので、突起部31と接しているベース部材130には矢印Eの方向、すなわち、下側に向かった流れが生じる。
【0058】
また、ベース部材130上のカーペット部材140は、ベース部材130の動きに合わせて上金型60Bの凹部33の形状に沿うように移動する。更に、カーペット部材140は、凹部33の段差部Aで押されている。したがって、孔141の周囲のカーペット部材140は、突起部31から離れる方向に引っ張られる。
【0059】
そして、上金型60Bをさらに押し下げて、金型60を完全に閉じる。ここで、上記工程に示したように金型温度を成形可能な温度より低く維持した金型60で成形した場合には、予備加熱されたベース部材130は成形可能な温度から下がり固定される。続いて、金型60を取り外すと、図7に示すようにベース層13が上面方向に隆起している隆起部16を有し、その中央近傍に貫通孔17が形成されたフロアマット10を得ることができる。
【0060】
なお、上記金型60によるプレスは、冷間プレスを示したが、加熱プレスであってもよいことは第1の実施形態と同様である。加熱プレスの場合には、成形可能な温度に金型温度を高めた金型60が閉じた状態でベース部材130は化学反応が進み固定される。冷間プレスとするか加熱プレスとするかは、ベース部材130の材質に応じて適宜選択すればよい。
【0061】
図7は、上記製造方法で製造されたフロアマット10の隆起部16に起因して盛り上がっている固定部15の拡大断面図である。
【0062】
上記製造方法では、貫通孔151が形成された後に更に上金型60Bが押し下げられると、ベース部材130がカーペット部材140側に盛り上がる。一方、カーペット部材140は段差部Aで押さえられているので、孔141の周縁のカーペット部材140が径外方に引っ張られる。そのため、孔141の径R1が大きくなり、径R1の孔131におけるカーペット部材140側の端部の周縁が露出する。したがって、成形されたフロアマット10では孔18の周縁上部18aが露出する。
【0063】
また、孔131の周縁には突起部31の移動により下側(図6の矢印Eの方向)の流れが生じ、孔131の周縁上部では突起部31に引き寄せられるような流れが生じる。一方、孔141の周りのカーペット部材140は、孔141の径R1が大きくなるように、すなわち、突起部31から離れる方向に移動する。そのため、金型60が閉じたときに孔141の径R1よりも孔142の径R3の方が大きくなる。
【0064】
そのため、上記製造方法で製造されたフロアマット10を、固定具21を用いてフロア20に固定した場合、固定具21の先端部は孔18の周縁上部18aが接する。これにより、固定具21とフロアマット10との摩擦抵抗が大きくなる。したがって、フロアマット10がフロア20に強固に固定される。更に、第1の実施形態の場合と同様に、上面方向に隆起した隆起部16があることで盛り上がっている固定部15に貫通孔17が形成されているので、貫通孔17の周囲の剛性が高く変形しにくい。したがって、フロアマット10の貫通孔17に固定具21が挿入されてフロア20に固定されても、固定具21からフロアマット10が外れにくくなっている。
【0065】
上記第1の実施形態及び第2の実施形態に示した製造方法で製造されたフロアマットが奏する効果について実施例を用いて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
第1の実施形態で説明したフロアマットの製造方法により略長方形のフロアマット10を製造し、固定具21からのはずれにくさの試験を行なった。
【0067】
フロアマット10として、図8(a)に示すように横幅L1が約100mmで縦幅L2が約50mmのものを準備した。また、フロアマット10の縁部10aから貫通孔17の中心までの距離L3は約35mmとした。貫通孔17を構成している孔18の径R1は約10mmとした。また、隆起部16の厚さ(孔17の高さ)t1は約4mmとした。また、固定部15の外周の直径R4は約25mmとした。
【0068】
上記フロアマット10は、次のようにして製造した。まず、ベース部材130として樹脂の厚みが約1.5mmのスチレン系熱可塑性エラストマーを用意し、カーペット部材140として目付け500g/m2のタフトカーペットを用意した。そして、カーペット部材140の裏面上にベース部材130を積層して積層体150を形成した。なお、ベース部材130及びカーペット部材140の大きさは、形成すべきフロアマット10の大きさとした。
【0069】
次に、第1の実施形態で説明した図4(a)の金型30における円柱上の突起部31と開口部34との間に積層体150を配置した。この際、積層体150におけるベース部材130側が下金型30Aと対向するように積層体150を配置した。次に、ベース部材130を190℃に加熱して、第1の実施形態で説明したように、上金型30Bを下金型30Aに押し付けて貫通孔151を形成すると共に積層体150を成形した。そして、金型30を取り外してフロアマット10を形成した。
【0070】
上記のようにして製造したフロアマット10を用いて実施した、フロアマット10の固定具21からのはずれにくさの試験方法について図8(a)〜図8(c)を参照して説明する。なお、試験は、フロアマット10を製造した後1日放置してから行った。
【0071】
まず、上記のようにして製造したフロアマット10を3枚用意した。また、図8(a)及び図8(b)に示すように、固定具21が取り付けられた試験板Tを用意した。試験板Tはアルミから構成されたものとし、試験板Tの厚さt2は約8mmとした。図8(a)は、フロアマット10を試験板Tに取り付けた場合の平面図である。また、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線に沿った断面図である。固定具21は、図8(c)に示すように、円柱状の本体部22と、その本体部22の側周面に突設されたフック部23とを有するものとした。本体部22の高さh1は約15mmであり、その径R2は約8mmとした。図8(a)に示すようにフック部23の幅wは、約4mmとした。また、図8(c)中の距離lは約3mmとし、高さh2は約9mmとし、高さh3は約10mmとした。
【0072】
次に、図8(a),(b)に示すように、フロアマット10の貫通孔17に固定具21を挿入してフロアマット10を試験板Tに固定した。そして、フロアマット10をクランプC1で挟み、試験板TをクランプC2で挟んで固定具21の挿入方向に対して直交する方向、すなわち、フロアマットを車両に敷いた際にフロアマットが車両に対してすべる方向にインストロン型引張試験機を用いて引張速度200mm/minで引っ張った。ここで、引っ張り強度を徐々に強くしていき固定具21から貫通孔17が外れた時の強度を測定した。以下では、固定具21から貫通孔17が外れた時の強度、言い換えれば、フロアマットが固定具からはずれたときの強度を最大点強度と称す。なお、測定で固定具21からフロアマット10が外れる際には、固定具21に対してフロアマット10がカーペット層14方向にまくれあがる挙動を示した。
【0073】
この測定を3枚のフロアマット10夫々について行なって最大点強度の平均値を算出した。測定結果を表1に示す。
【表1】
(実施例2)
第2の実施形態で説明したフロアマットの製造方法により略長方形のフロアマット10を製造し、実施例1と同様の固定具21からのはずれにくさの試験を行なった。
【0074】
実施例2におけるフロアマット10と実施例1のフロアマット10とは、実施例2のフロアマット10を第2の実施形態で示した製造方法で製造した点、即ち、図6の金型60を用いて製造した点で相違する。
【0075】
試験に用いた試験板T及び固定具21及び試験方法は実施例1と同様とした。すなわち、第2の実施形態で示した製造方法でフロアマット10を3枚製造し、1日放置した後で、図8(a),(b)の固定具21に固定して実施例1と同様の試験を行なった。そして、各フロアマット10について試験をして得られた最大点強度の平均値を算出した。測定結果は、表1に示すとおりである。
【0076】
(比較例1)
図5に示した製造工程で製造されたフロアマット40を用いて実施例1と同様の試験を行なった。フロアマット40は次のようにして用意した。すなわち、実施例1のフロアマット10を製造した場合と同じベース部材130とカーペット部材140との積層体150に図5に示した金型50で貫通していない孔41を形成し、成形してフロアマット40とした。そして、孔41上のベース層13及びカーペット層14を打ち抜いてフロアマット40に貫通孔42を形成した。
【0077】
フロアマット40の大きさ及び貫通孔41の位置は実施例1のフロアマット10と同様とした。フロアマット40の貫通孔42の径はベース層13及びカーペット層14の積層方向に対してほぼ一定である点で実施例1のフロアマット10と異なる。
【0078】
このフロアマット40を3枚製造してから1日放置した後に実施例1と同様の試験を行なった。測定結果は表1に示すとおりである。
【0079】
(比較例2)
図9(a),(b)のフロアマット70を用いて実施例1と同様の試験を行なった。図9(a)は、フロアマット70の平面図であり、図9(b)は、IXb−IXb線に沿った断面図である。フロアマット70は、実施例1と同様のベース層13及びカーペット層14から構成した。フロアマット70には、図9に示すように、実施例1の孔18と同様の径R1(約10mm)の貫通孔71を形成した。フロアマット70の大きさ及び貫通孔71の位置は実施例1のフロアマット10と同様とした。ただし、貫通孔71の周囲が隆起していない点、すなわち、隆起部16(または固定部15)が形成されていない点、及び、貫通孔71の径が積層方向でほぼ一定である点で実施例1のフロアマット10と相違する。
【0080】
図9のフロアマット70は次のようにして製造した。すなわち、実施例1のフロアマット10を製造する場合と同じベース部材130及びカーペット部材140を用意した。そして、カーペット部材140の裏面上にTダイにてベース部材130が約1.5mm厚となるようにラミネートし、実施例1の孔18の径R1と同じ径(約10mm)の貫通孔71を所定の位置にポンチで形成した。
【0081】
この方法でフロアマット70を3枚製造して1日放置した後に実施例1と同様の試験を行なった。測定結果は、表1に示すとおりである。
【0082】
(比較例3)
図10(a),(b)のフロアマット80を用いて実施例1と同様の試験を行なった。図10(a)は、フロアマット80の平面図である。図10(b)は、フロアマット80のXb−Xb線に沿った断面図である。図10のフロアマット80は、実施例1と同様のベース層13とカーペット層14とから構成されている。フロアマット80には実施例1の孔18と同じ径R1(すなわち、約10mm)の貫通孔81をポンチで形成した。貫通孔81の中心とフロアマット80の縁部80aとの距離L3は実施例1と同様に約35mmとした。フロアマット80における貫通孔81には金属グロメットGを取り付けた。ここで、金属グロメットGは、金属製のリングであって、貫通孔81を補強し、固定具21との固定を強化するものである。金属グロメットGは、図10(c)に示す上側グロメットG1と図10(d)に示す下側グロメットG2とから構成される。図10(c),(d)夫々は、上側グロメットG1及び下側グロメットG2夫々の側面断面図である。
【0083】
フロアマット80は次のようにして製造した。先ず、実施例1のフロアマット10を製造する場合と同様のベース部材130とカーペット部材140とを用意した。そして、カーペット部材140の裏面上にTダイにてベース部材130が約1.5mm厚となるようにラミネートし、フロアマット80の所定の位置に貫通孔81を形成した。その後、その貫通孔81に金属グロメットGを取り付けた。すなわち、下側グロメットG2の突起部をベース層13に押し込んでフロアマット80に下側グロメットG2を固定した。そして、カーペット層14側から上側グロメットG1を貫通孔81にはめ込み、下側グロメットG2にカシメを行なった。
【0084】
このような製造方法によりフロアマット80を3枚製造し、1日放置後に実施例1と同様の試験を行なった。測定結果は、表1に示すとおりである。
【0085】
表1から理解されるように、実施例1及び実施例2で用いたフロアマット10の方が、一般的に利用されている比較例3で用いたフロアマット80よりも固定具21に強固に固定されている。これは、実施例1及び実施例2で用いたフロアマット10には隆起部16が形成されており、外れにくさに最も寄与するベース層13の厚みがあることに加え、貫通孔17を構成する孔18及び孔19の径の大きさが異なることによりベース層13が露出しており、固定具21がベース層13と接するからである。なお、ベース層13に隆起部16が設けられていることがフロアマットの外れにくさに寄与することは、比較例1と比較例2との結果から理解できる。また、貫通孔17を構成する孔18及び孔19の径の大きさが異なり(孔19の径の方が大きい)、ベース層13が露出していることにより固定具21からフロアマットが外れにくくなっていることは実施例1及び実施例2の結果と、比較例1の結果とを比較することで確認できる。更に、実施例1の結果と実施例2の結果とは、製造方法の違いにより生じた貫通孔17の断面形状の違いに起因する固定具21の引っ掛かり易さの違いである。
【0086】
以上本発明の好適な実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されない。例えば、貫通孔17は円形としているが必ずしも円形に限らない。また、隆起部16は必ずしも形成しなくても良く、貫通孔18におけるカーペット層14側の端部の周縁が露出していれば良い。また、第1の実施形態及び第2の実施形態の金型30(60)によるプレスは、下金型30A(60A)及び上金型30B(60B)とに対する積層体150の配置関係を維持していれば、金型30(60)を上下逆にして行なっても良いし、積層体150を上下逆にして行っても良い。更に、貫通孔17は、隆起部16のほぼ中央部に形成されているとしているが必ずしも中央部にある必要は無い。
【0087】
【発明の効果】
本発明に係るフロアマットは、製造効率の向上が図られ、リサイクルに容易に回すことができ且つ固定具による固定を強固に行なうことができる。また、本発明に係るフロアマットの製造方法によれば、フロアマットの製造効率の向上を図ることができる。また、リサイクルに容易にまわすことができ且つ固定具による固定を強固に行なうことができるフロアマットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフロアマットの一実施形態の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1のフロアマットをII−II線に沿って切断した場合の拡大断面図である。
【図3】図1のフロアマットをIII−III線に沿って切断した場合の拡大断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、本発明に係るフロアマットの製造方法の一実施形態の製造工程を示す工程断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、比較のためのフロアマットの製造方法の工程を示す工程断面図である。
【図6】図6(a)〜図6(c)は、本発明に係るフロアマットの製造方法の他の実施形態の工程を示す工程断面図である。
【図7】図6の方法で製造されたフロアマットにおける隆起部の拡大断面図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、フロアマットの固定具からのはずれにくさを測定する試験方法を説明する図である。
【図9】図9(a)は、比較のためのフロアマットの平面図である。図9(b)は、図9(a)のフロアマットのIXb−IXb線に沿った断面図である。
【図10】図10(a)は、比較のためのフロアマットの平面図である。図10(b)は、図10(a)のフロアマットのXb−Xb線に沿った断面図である。図10(c)は、上側グロメットの側面断面図である。図10(d)は、下側グロメットの側面断面図である。
【図11】図11(a)〜図11(c)は、フロアマットの貫通孔が固定具から外れる機構の説明の為の模式図である。
【符号の説明】
10…フロアマット、11…平坦部、12…周縁部、13…ベース層、14…カーペット層、15…固定部、16…隆起部、17…貫通孔、18…孔、18a…周縁上部、19…孔、20…フロア、21…固定具、22…本体部、23…フック部、30…金型、30A…下金型、30B…上金型、31…突起部、33…凹部、34…開口部、40…フロアマット、41…貫通孔、50…金型、50A…下金型、50B…上金型、60…金型、70…比較例2のフロアマット、80…比較例3のフロアマット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロアマット、フロアマットの製造方法及びその製造に用いる金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車内において、靴などに付着した土、砂、泥、或いは砂利などがフロアに付着してフロアが汚れるのを防止するためにフロアマットを敷いている。
【0003】
このフロアマットの移動を防止するために次のようにしてフロアマットをフロアに固定していた。すなわち、フロアマットの一部に貫通孔をあけると共に、フロアにフック状の固定具を設ける。そして、フロアマットにあけられた貫通孔に固定具を挿入してフロアマットをフロアに固定する。
【0004】
このように固定具を用いてフロアマットをフロアに固定する場合には、上記貫通孔を補強するために、また、フロアマットが固定具から外れるのを防止したりフロアマットの表皮材構成繊維の脱落を防止したりするために、貫通孔に金属製リング又は樹脂製リングが嵌め合わされている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−104049号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−193016号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した金属製リング又は樹脂製リングを嵌め合わせる構成を採ると、これらリングを嵌め合わせる工程の分だけ製造工程が増加して製造効率が悪くなり、コストの上昇を招くという問題があった。また、フロアマットをリサイクルする際には、リングを取り外す必要があることからフロアマットをリサイクルしにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造効率の向上を図り、リサイクルの容易化が図られ且つ固定具による固定を強固に行なうことが可能なフロアマット、フロアマットの製造方法及び金型を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは、フロアマットが、フロアに設けられた固定具から外れる機構について鋭意検討した。一般に、フロアマットMは、図11(a)に示すように、フロアマットMに形成された貫通孔Xに、先端部にフック部23を有する固定具21が挿入されてフロアに固定される。
【0010】
本発明者らは、フロアマットMがフロアに対して動いたときに、図11(b)に示すように固定具21が曲がったり、又は、図11(c)に示すようにフロアマットMが跳ね上がったりしてフロアマットMが固定具21から外れることを見出した。また、何れの場合にも、固定具21からフロアマットMが外れる前には、固定具21のフック部23とフロアマットMとは貫通孔Xの周縁上部で接するので、貫通孔Xの周縁上部の強度と、フック部23との引っ掛かり具合(摩擦抵抗の大きさ)が重要であると考えた。
【0011】
更に、フロアマットMの上面はカーペット層であり、固定具21のフック部23はカーペット層と接する。そして、カーペット層の上面は繊維で構成されていることから、フック部23とフロアマットMとの摩擦抵抗が小さくなり、固定具21からフロアットMが外れやすくなっていることを見出した。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。
【0012】
すなわち、本発明に係るフロアマットは、ベース層と、そのベース層上に積層されたカーペット層とを有し、ベース層を貫通している第1の孔とカーペット層を貫通している第2の孔とが連続して形成されているフロアマットであって、第2の孔が第1の孔より大きく、第1の孔におけるカーペット層側の端部の周縁が露出していることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、フロアに設けられた固定具を介してフロアマットをフロアに固定した場合、第2の孔の方が第1の孔よりも大きく、第1の孔におけるカーペット層側の端部の周縁が露出しているので、固定具のカーペット層側の先端部はベース層と接する。そのため、固定具とフロアマットとの摩擦抵抗が大きくなる。したがって、固定具によるフロアマットの固定を強固に行なうことができる。
【0014】
また、第1の孔及び第2の孔を補強したり、固定具からフロアマットが外れることを防止したりするためにそれらの孔に金属製や樹脂製のリングを嵌め合わせていないので、フロアマットの製造効率を向上させることが可能である。
【0015】
また、本発明に係るフロアマットにおいては、ベース層は、カーペット層側に隆起した隆起部を有し、隆起部に第1の孔が形成されていることが好ましい。この場合には、第1の孔が隆起部に形成されているので、第1の孔の周囲の剛性が高くて変形しにくい。そのため、フロアに設けられた固定具からフロアマットが外れにくい。
【0016】
また、本発明に係るフロアマットの製造方法は、ベース部材上にカーペット部材を積層した積層体を用意し、積層体の積層方向にベース部材を貫通する第1の孔とカーペット部材を貫通する第2の孔とを連続して形成すると共に、第2の孔を第1の孔よりも押し広げて、第1の孔におけるカーペット部材側の端部の周縁を露出させることを特徴とする。この製造方法では、第1の孔と第2の孔とから構成される貫通孔であって、第1の孔におけるカーペット部材側の端部の周縁にベース部材が露出している貫通孔がフロアマットに形成される。
【0017】
その貫通孔に、フロアに設けられた固定具を挿入してフロアマットを固定すると、第2の孔の方が第1の孔よりも大きいことからベース部材が露出しているので、固定具のカーペット部材側の先端部は、露出しているベース部材と接する。そのため、固定具とフロアマットとの摩擦抵抗が大きくなる。したがって、固定具によるフロアマットの固定を強固に行なうことができる。また、フロアマットの第1の孔や第2の孔を補強したり、固定具との固定を強固にしたりすることを目的としてそれらの孔にリング等を嵌めていないので、リングを嵌める工程を要しない。そのため、リングなどを嵌める工程を有する場合に比べてフロアマットの製造効率を向上させることができる。
【0018】
更に、本発明に係るフロアマットの製造方法は、柱状の突起部を有する下金型と、突起部と対向する面に凹部を有し、凹部に突起部に嵌合する開口部が形成されている上金型とを含んで構成される金型を用意し、ベース部材上にカーペット部材を積層した積層体を用意し、積層体のベース部材側が下金型と対向するように積層体を突起部と上金型との間に配置し、突起部と開口部とを嵌め合わせて積層体を貫通する孔を形成し、更に、上金型と下金型との間で積層体を押さえ込んで積層体を成形することを特徴とする。
【0019】
この場合には、上金型に凹部が形成されているので、上金型と下金型とにより積層体が押さえ込まれると、上金型の凹部と下金型との間のベース部材が上金型に向かって隆起する。したがって、フロアマットには、ベース部材がカーペット部材側に隆起した隆起部が形成される。
【0020】
また、凹部に開口部が形成されているので、その隆起部にフロアマットを貫通する孔が形成される。また、積層体がベース部材及びカーペット部材から構成されているので、積層体を貫通する孔が形成されると、ベース部材を貫通している第1の孔及びカーペット部材を貫通している第2の孔が夫々形成されている。そして、上金型と下金型とにより積層体が成形される際に、上金型でカーペット部材が押さえ込まれている一方、ベース部材がカーペット部材側に隆起すると、第2の孔が第1の孔よりも押し広げられて、第1の孔のカーペット部材側の端部の周縁が露出する。
【0021】
更にまた、本発明に係る金型は、上述した隆起部を有するフロアマットを製造するために用いる金型であって、柱状の突起部を有する下金型と、凹部を有して、該凹部に前記突起部と嵌合する開口部を有する上金型とを備えることを特徴とする。このような金型を用いることで、上述した隆起部を有するフロアマットを好適に製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。全図を通し、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
図1〜図3を参照して、本実施形態によるフロアマットの構成について説明する。図1は、フロアマット10の平面図である。また、図2は、図1のII−II線に沿った拡大断面図である。フロアマット10は、自動車内において、靴などに付着した土、砂、泥、或いは砂利などがフロアに付着してフロアが汚れるのを防止するために用いられるものである。
【0024】
図1を参照すると、フロアマット10は、平坦部11及びこの平坦部11の周りを取り囲む周縁部12から構成されている。
【0025】
フロアマット10は、図2に示すように、ベース層13と、このベース層13の上面に積層され接着されているカーペット層14とを有している。ベース層13の材料としては、樹脂等が例示される。また、カーペット層14としては、例えば、基布14aにカーペットパイル14bを結びつけたものである。カーペット層14の裏面がスチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、天然ゴム、アクリロニトリロ・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、アクリル樹脂などによってバッキングされていることは、カーペットパイル14bが抜けにくくなるので好適である。
【0026】
周縁部12は、上面方向(ベース層13側からカーペット層14側に向かう方向)に隆起している。フロアマット10は、周縁部12がこのように上面方向に隆起していることによって、土、砂、泥、或いは砂利等を平坦部11で保持できる構造となっている。なお、周縁部12は必ずしも上面方向に隆起している必要はない。周縁部12が隆起していない場合には、例えば、オーバーロック加工やテープ加工を施しておけば良い。
【0027】
また、図1を参照すると、平坦部11には、リング状の固定部15,15が2つ形成されている。図3は、図1のIII−III線に沿った固定部15の拡大断面図である。図3には、フロアマット10をフロア20に固定するための固定具21を模式的に示している。固定具21は、円柱状の本体部22と、その本体部22の側周面の上部に突設されたフック部23とから構成されている。
【0028】
図3から理解されるように固定部15は上面方向(ベース層13側からカーペット層14側に向かう方向)に隆起している。より具体的に説明すると、ベース層13に上面方向に隆起した隆起部16が形成されており、そのベース層13上にカーペット層14が設けられているので平坦部11の一部が上面方向に隆起して固定部15となっている。図1及び図3を参照すると、固定部15,15のほぼ中央には円形の貫通孔17,17が設けられている。
【0029】
図3から理解されるように、貫通孔17は、固定具21と協働してフロアマット10をフロア20に固定するものである。貫通孔17は、ベース層13を貫通している孔(第1の孔)18、及び、カーペット層14を貫通している孔(第2の孔)19から構成されている。孔18及び孔19夫々の中心軸線は同一直線上にある。孔18の直径R1は、固定具21の本体部22の直径R2より若干大きい程度である。また、孔19の直径R3は、孔18の直径R1よりも大きい。これにより、孔18の周縁上部18a、言い換えれば、孔18におけるカーペット層14側の端部の周縁が露出し、固定具21のフック部23と貫通孔17との摩擦抵抗が大きくなるような構造となっている。
【0030】
上記構成のフロアマット10は、図1に示す2つの固定部15,15に設けられた貫通孔17,17夫々に固定具21が挿入されフロア20に固定される。この際、貫通孔17を構成している孔18の周縁上部18aが露出していることが重要である。
【0031】
すなわち、孔18におけるカーペット層14側の端部の周縁が露出していることから、固定具21のフック部23がカーペット層14と直に接する場合よりも固定具21と貫通孔17との摩擦抵抗が大きい。そのため、貫通孔17から固定具21が外れにくく、結果として固定具21からフロアマット10が外れにくい。また、貫通孔17の周縁は、隆起部16があることから平坦部11の他の領域よりも隆起しているので、剛性が高く変形が抑制されている。そのため、フロアマット10がフロア20に対して動いたとしても貫通孔17の周囲が変形しにくいので固定具21からフロアマット10が外れにくい。更に、カーペット層14と固定具21の先端部との接触が少なくなっているので、カーペット層14を構成している繊維(カーペットパイル)が抜けにくくなっている。
【0032】
次に、図4(a)〜図4(c)を参照して上記フロアマット10を製造する方法について説明する。図4(a)〜図4(c)は、フロアマット10を製造する方法を概略的に示す工程断面図である。
【0033】
まず、図1のフロアマット10を製造するために好適に用いられる金型30を用意する。金型30は、図4(a)を参照すると、一対の下金型30Aと上金型30Bとから構成されている。下金型30Aは、円柱状の突起部31を有している。突起部31の直径は、図3の孔18の直径R1とほぼ同じである。上金型30Bは、下金型30Aに対向する面32に凹部33を有しており、その凹部33の中央近傍に、下金型30Aの突起部31と嵌合する開口部34が形成されている。なお、開口部34の深さは、突起部31の高さよりも深く形成されていれば良く、開口部34の直径は、突起部31の直径R1とほぼ同じか若干大きい程度である。また、突起部31の高さは凹部33の深さと積層体150の厚さの和よりも高ければ特に限定されない。金型30は、例えば、炭素鋼鋼材、アルミ合金から構成される。
【0034】
次に、ベース層13となるべきベース部材130、及び、カーペット層14となるべきカーペット部材140を用意する。ベース部材130は、熱可塑性樹脂シート(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなど)、熱可塑性エラストマーシート(例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど)、熱硬化性樹脂シート(例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂など)、或いは天然又は合成ゴムシート(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなど)などが例示される。
【0035】
カーペット部材140としては、タフテッドカーペット、ニードルンチカーペット、緞通、フックカーペット、ウィルトンカーペット、アキスミンスターカーペットなどが例示される。なお、図4では、カーペット部材140を模式的に表示している。
【0036】
続いて、図4(a)に示すようにベース部材130上にカーペット部材140を積層した積層体150を形成する。ここで、ベース部材130とカーペット部材140とは単に重ね合わせていても良いが、例えば、ベース部材130の材質に応じてベース部材130を溶融させてカーペット部材140とベース部材130との仮接着を行なっていても良い。
【0037】
次に、積層体150を成形可能な温度に予備加熱した後、上記金型30に配置する。この際、図4(a)に示すように、積層体150を、下金型30Aの突起部31と上金型30Bとの間であって、ベース部材130が下金型30Aと対向するように配置する。続いて、金型30の温度を、成形可能な温度より低く維持しつつ、上金型30Bを下金型30Aの方に押し下げる。
【0038】
上金型30Bが下金型30Aの方に押し下げられると、下金型30Aに形成されている突起部31が上金型30Bの開口部34に嵌め合わされる。これにより、ベース部材130を貫通する径R1の孔131及びカーペット部材140を貫通する径R1の孔141が連続して形成される。言い換えれば、積層体150に孔131及び孔141から構成される貫通孔151が形成される。
【0039】
また、上金型30Bには、下金型30Aと対向する面32に凹部33が形成されているので、上金型30Bと下金型30Aとが近づくと、積層体150は、凹部33の段差部Aで押されて下金型30Aに向かって押し下げられる。このように凹部33で積層体150が押圧されると、カーペット部材140は、凹部33の形状に沿うように移動し、孔141の周縁のカーペット部材140は孔141の径外方に引っ張られる。そして、ベース部材130は流動性がある溶融状態であることから、孔141が押し広げられ、その押し広げられた部分へベース部材130が移動し、孔131におけるカーペット部材140側の端部の周縁が露出される
【0040】
また、段差部Aで積層体150が押圧されると、溶融状態にあるベース部材130は、突起部31周囲の下金型30Aの上面、突起部31及びベース部材130で形成される領域αを埋めるように図4(b)の矢印B方向に移動する。一方、突起部31はベース部材130に対して相対的に上側に移動するので、突起部31と接しているベース部材130の部分(即ち、孔131の内壁面)には矢印C方向に向かう流れが生じる。
【0041】
そして、図4(c)に示すように、上金型30Bを更に押し下げて金型30を完全に閉じて積層体150を成形する。上述したように上金型30Bと下金型30Aとが近づくにつれて孔141の径R1は大きくなり、金型30が閉じたとき孔141は、径R3の孔142となっている。
【0042】
上記のように金型温度が成形可能な温度より低く維持した金型30で成形すると、金型30が閉じた状態で、予備加熱されたベース部材130は成形可能な温度から下がり固定される。これにより、ベース部材130及びカーペット部材140夫々は、ベース層13及びカーペット層14となる。また、孔131及び孔142夫々は、孔18及び孔19になる。その後、金型30を取り外すと、図3に示すフロアマット10が得られる。
【0043】
なお、上記工程では積層体150を成形温度に予備加熱し、冷間プレスを行ったが、予備加熱なしで成形可能な温度に金型温度を高める加熱プレスであっても良い。加熱プレスの場合は、成形可能な温度に金型温度を高めた金型30が閉じた状態でベース部材130は化学反応が進み固定される。冷間プレスとするか加熱プレスとするかはベース部材130の材質に応じて適宜選択すれば良い。
【0044】
上述したように、突起部31と開口部34とが嵌合して貫通孔151が形成された後更に上金型30Bを押し下げると、ベース部材130が溶融状態にあることから、ベース部材130に図4(b)の矢印B及び矢印Cの方向に流れが生じてベース部材130が上面方向に隆起する。そのため、フロアマット10のベース層13には隆起部16が形成される。
【0045】
また、ベース部材130が隆起しつつ、凹部33の段差部Aでカーペット部材140が突起部31から離れる方向に引っ張られるので、突起部31により形成されたカーペット部材140の孔141の径がR1からR3に広がる。したがって、成形されたフロアマット10では、ベース層13の孔18とカーペット層14の孔19の大きさが異なる。そのため、孔18の周縁上部18aが露出したフロアマット10が製造される。
【0046】
ところで、比較のために、図5(a)〜図5(c)に示す製造工程でフロアマット40を製造する方法を説明する。この場合、フロアマット40を製造するために用いる金型50は、図5(a)に示すように、一対の下金型50Aと上金型50Bとから構成される。金型50は、下金型50Aの突起部51の長さが図4の突起部31よりも短くなっている点、及び、上金型50Bに開口部が形成されていない点で図4の金型30と相違する。なお、突起部51の長さは、形成すべき貫通孔の長さよりも若干短い程度である。
【0047】
この金型50の下金型50Aと上金型50Bとの間に積層体150を配置し、上金型50Bと下金型50Aとを近づけて積層体150を成形してフロアマット40を形成する。
【0048】
この場合、突起部51が形成すべき貫通孔の長さよりも短く、上金型50Bに開口部が形成されていないことから、フロアマット40には図5(b)に示すようなフロアマット40を貫通していない孔41が形成される。言い換えれば、孔41の上部がベース層13及びカーペット層14で覆われたフロアマット40が形成される。なお、上金型50Bには凹部33が形成されているので、ベース部材130は隆起して隆起部16が形成される。そして、孔41の上部のベース層13及びカーペット層14を切り抜いて貫通孔42を形成する。上述したように隆起部16が形成されているので貫通孔42は、固定部15に形成されている。
【0049】
図5に示す製造工程では、積層体150を成形する際には、孔41は積層体150を貫通していない。そのため、上金型50Bの凹部33の段差部Aでカーペット部材140が押圧されても、カーペット部材140は移動することができない。
【0050】
したがって、図5(b)の孔41の上のベース層13及びカーペット層14を打ち抜いて貫通孔42を形成しても、貫通孔42の径は、積層体150の積層方向に一様である。このようなフロアマット40を固定具21でフロア20に固定すると、固定具21はカーペット層14の上面と接する。そのため、固定具21との摩擦抵抗が小さくなり固定具21からフロアマット40が外れ易い。
【0051】
これに対して、図4(a)〜図4(c)に示した製造方法で製造したフロアマット10の貫通孔17では、孔18の周縁上部18aが露出していることから、固定具21のフック部23が設けられている先端部は、ベース層13と接する。そのため、固定具21との摩擦抵抗がカーペット層14の場合よりも大きくなり固定具21からフロアマット10が外れにくくなっている。また、積層体150を成形する過程において、ベース部材130には図4(b)の矢印C方向の流れが生じるので、孔18の周縁上部18aは図3に示すように盛り上がる。そのため、固定具21のフック部23がより引っ掛かりやすくなっている。
【0052】
また、上面方向に隆起した固定部15に貫通孔17が形成されているので、貫通孔17の周囲の剛性が高く変形しにくいので、固定具20からフロアマット10が外れにくくなっている。
【0053】
更に、貫通孔17を補強したり、固定具21による固定を強固にしたりするための金属製リングや樹脂製リングを用いていないので、それらのリングを貫通孔17に嵌める工程を要しない。そのため、リングを嵌めたフロアマットを製造する場合に比べて、製造効率を上げることができる。更に、フロアマット10には、金属製リングや樹脂製リングが嵌められていないので、フロアマット10を容易にリサイクルにまわすことが可能である。
【0054】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係るフロアマット10を製造する方法を説明するための工程断面図である。
【0055】
本実施形態では、図6(a)に示す金型60を用いてフロアマット10を製造する。本実施形態で用いる金型60は、一対の上金型60Bと下金型60Aとから構成されている。上金型60Bと下金型60Aとは、上金型60Bに円柱状の突起部31が設けられ、下金型60Aに突起部31と嵌合する開口部34が設けられている点で第1の実施形態の金型30と相違する。なお、突起部31は、上金型60Bの凹部33に形成されている。
【0056】
先ず、第1の実施形態と同様の積層体150を成形可能な温度に予備加熱した後、上記金型60に配置する。この際、積層体150を、上金型60Bの突起部31と下金型60Aとの間にベース部材130が下金型60Aと対向するように配置する。続いて、金型60の温度を、成形可能な温度より低く維持しつつ、上金型60Bを下金型60Aの方に押し下げる。突起部31と開口部34とは嵌合するので、突起部31の形状に積層体150は切断され、貫通孔151が形成される。より詳細に説明すると、カーペット部材140に孔141、及び、ベース部材130に孔131が連続して形成され、それらの孔131,141から構成される貫通孔151が積層体150に形成される。
【0057】
上金型60Bが更に押し下げられて、積層体150が上金型60Bと下金型60Aとの間で押し込まれると溶融状態のベース部材130には、上金型60Bの凹部33、積層体150及び突起部31で形成される領域βを埋めるように矢印Dの方向への流れが生じる。これにより、ベース部材130が上面方向に隆起する。一方、ベース部材130に対して突起部31は下側に移動しているので、突起部31と接しているベース部材130には矢印Eの方向、すなわち、下側に向かった流れが生じる。
【0058】
また、ベース部材130上のカーペット部材140は、ベース部材130の動きに合わせて上金型60Bの凹部33の形状に沿うように移動する。更に、カーペット部材140は、凹部33の段差部Aで押されている。したがって、孔141の周囲のカーペット部材140は、突起部31から離れる方向に引っ張られる。
【0059】
そして、上金型60Bをさらに押し下げて、金型60を完全に閉じる。ここで、上記工程に示したように金型温度を成形可能な温度より低く維持した金型60で成形した場合には、予備加熱されたベース部材130は成形可能な温度から下がり固定される。続いて、金型60を取り外すと、図7に示すようにベース層13が上面方向に隆起している隆起部16を有し、その中央近傍に貫通孔17が形成されたフロアマット10を得ることができる。
【0060】
なお、上記金型60によるプレスは、冷間プレスを示したが、加熱プレスであってもよいことは第1の実施形態と同様である。加熱プレスの場合には、成形可能な温度に金型温度を高めた金型60が閉じた状態でベース部材130は化学反応が進み固定される。冷間プレスとするか加熱プレスとするかは、ベース部材130の材質に応じて適宜選択すればよい。
【0061】
図7は、上記製造方法で製造されたフロアマット10の隆起部16に起因して盛り上がっている固定部15の拡大断面図である。
【0062】
上記製造方法では、貫通孔151が形成された後に更に上金型60Bが押し下げられると、ベース部材130がカーペット部材140側に盛り上がる。一方、カーペット部材140は段差部Aで押さえられているので、孔141の周縁のカーペット部材140が径外方に引っ張られる。そのため、孔141の径R1が大きくなり、径R1の孔131におけるカーペット部材140側の端部の周縁が露出する。したがって、成形されたフロアマット10では孔18の周縁上部18aが露出する。
【0063】
また、孔131の周縁には突起部31の移動により下側(図6の矢印Eの方向)の流れが生じ、孔131の周縁上部では突起部31に引き寄せられるような流れが生じる。一方、孔141の周りのカーペット部材140は、孔141の径R1が大きくなるように、すなわち、突起部31から離れる方向に移動する。そのため、金型60が閉じたときに孔141の径R1よりも孔142の径R3の方が大きくなる。
【0064】
そのため、上記製造方法で製造されたフロアマット10を、固定具21を用いてフロア20に固定した場合、固定具21の先端部は孔18の周縁上部18aが接する。これにより、固定具21とフロアマット10との摩擦抵抗が大きくなる。したがって、フロアマット10がフロア20に強固に固定される。更に、第1の実施形態の場合と同様に、上面方向に隆起した隆起部16があることで盛り上がっている固定部15に貫通孔17が形成されているので、貫通孔17の周囲の剛性が高く変形しにくい。したがって、フロアマット10の貫通孔17に固定具21が挿入されてフロア20に固定されても、固定具21からフロアマット10が外れにくくなっている。
【0065】
上記第1の実施形態及び第2の実施形態に示した製造方法で製造されたフロアマットが奏する効果について実施例を用いて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
第1の実施形態で説明したフロアマットの製造方法により略長方形のフロアマット10を製造し、固定具21からのはずれにくさの試験を行なった。
【0067】
フロアマット10として、図8(a)に示すように横幅L1が約100mmで縦幅L2が約50mmのものを準備した。また、フロアマット10の縁部10aから貫通孔17の中心までの距離L3は約35mmとした。貫通孔17を構成している孔18の径R1は約10mmとした。また、隆起部16の厚さ(孔17の高さ)t1は約4mmとした。また、固定部15の外周の直径R4は約25mmとした。
【0068】
上記フロアマット10は、次のようにして製造した。まず、ベース部材130として樹脂の厚みが約1.5mmのスチレン系熱可塑性エラストマーを用意し、カーペット部材140として目付け500g/m2のタフトカーペットを用意した。そして、カーペット部材140の裏面上にベース部材130を積層して積層体150を形成した。なお、ベース部材130及びカーペット部材140の大きさは、形成すべきフロアマット10の大きさとした。
【0069】
次に、第1の実施形態で説明した図4(a)の金型30における円柱上の突起部31と開口部34との間に積層体150を配置した。この際、積層体150におけるベース部材130側が下金型30Aと対向するように積層体150を配置した。次に、ベース部材130を190℃に加熱して、第1の実施形態で説明したように、上金型30Bを下金型30Aに押し付けて貫通孔151を形成すると共に積層体150を成形した。そして、金型30を取り外してフロアマット10を形成した。
【0070】
上記のようにして製造したフロアマット10を用いて実施した、フロアマット10の固定具21からのはずれにくさの試験方法について図8(a)〜図8(c)を参照して説明する。なお、試験は、フロアマット10を製造した後1日放置してから行った。
【0071】
まず、上記のようにして製造したフロアマット10を3枚用意した。また、図8(a)及び図8(b)に示すように、固定具21が取り付けられた試験板Tを用意した。試験板Tはアルミから構成されたものとし、試験板Tの厚さt2は約8mmとした。図8(a)は、フロアマット10を試験板Tに取り付けた場合の平面図である。また、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線に沿った断面図である。固定具21は、図8(c)に示すように、円柱状の本体部22と、その本体部22の側周面に突設されたフック部23とを有するものとした。本体部22の高さh1は約15mmであり、その径R2は約8mmとした。図8(a)に示すようにフック部23の幅wは、約4mmとした。また、図8(c)中の距離lは約3mmとし、高さh2は約9mmとし、高さh3は約10mmとした。
【0072】
次に、図8(a),(b)に示すように、フロアマット10の貫通孔17に固定具21を挿入してフロアマット10を試験板Tに固定した。そして、フロアマット10をクランプC1で挟み、試験板TをクランプC2で挟んで固定具21の挿入方向に対して直交する方向、すなわち、フロアマットを車両に敷いた際にフロアマットが車両に対してすべる方向にインストロン型引張試験機を用いて引張速度200mm/minで引っ張った。ここで、引っ張り強度を徐々に強くしていき固定具21から貫通孔17が外れた時の強度を測定した。以下では、固定具21から貫通孔17が外れた時の強度、言い換えれば、フロアマットが固定具からはずれたときの強度を最大点強度と称す。なお、測定で固定具21からフロアマット10が外れる際には、固定具21に対してフロアマット10がカーペット層14方向にまくれあがる挙動を示した。
【0073】
この測定を3枚のフロアマット10夫々について行なって最大点強度の平均値を算出した。測定結果を表1に示す。
【表1】
(実施例2)
第2の実施形態で説明したフロアマットの製造方法により略長方形のフロアマット10を製造し、実施例1と同様の固定具21からのはずれにくさの試験を行なった。
【0074】
実施例2におけるフロアマット10と実施例1のフロアマット10とは、実施例2のフロアマット10を第2の実施形態で示した製造方法で製造した点、即ち、図6の金型60を用いて製造した点で相違する。
【0075】
試験に用いた試験板T及び固定具21及び試験方法は実施例1と同様とした。すなわち、第2の実施形態で示した製造方法でフロアマット10を3枚製造し、1日放置した後で、図8(a),(b)の固定具21に固定して実施例1と同様の試験を行なった。そして、各フロアマット10について試験をして得られた最大点強度の平均値を算出した。測定結果は、表1に示すとおりである。
【0076】
(比較例1)
図5に示した製造工程で製造されたフロアマット40を用いて実施例1と同様の試験を行なった。フロアマット40は次のようにして用意した。すなわち、実施例1のフロアマット10を製造した場合と同じベース部材130とカーペット部材140との積層体150に図5に示した金型50で貫通していない孔41を形成し、成形してフロアマット40とした。そして、孔41上のベース層13及びカーペット層14を打ち抜いてフロアマット40に貫通孔42を形成した。
【0077】
フロアマット40の大きさ及び貫通孔41の位置は実施例1のフロアマット10と同様とした。フロアマット40の貫通孔42の径はベース層13及びカーペット層14の積層方向に対してほぼ一定である点で実施例1のフロアマット10と異なる。
【0078】
このフロアマット40を3枚製造してから1日放置した後に実施例1と同様の試験を行なった。測定結果は表1に示すとおりである。
【0079】
(比較例2)
図9(a),(b)のフロアマット70を用いて実施例1と同様の試験を行なった。図9(a)は、フロアマット70の平面図であり、図9(b)は、IXb−IXb線に沿った断面図である。フロアマット70は、実施例1と同様のベース層13及びカーペット層14から構成した。フロアマット70には、図9に示すように、実施例1の孔18と同様の径R1(約10mm)の貫通孔71を形成した。フロアマット70の大きさ及び貫通孔71の位置は実施例1のフロアマット10と同様とした。ただし、貫通孔71の周囲が隆起していない点、すなわち、隆起部16(または固定部15)が形成されていない点、及び、貫通孔71の径が積層方向でほぼ一定である点で実施例1のフロアマット10と相違する。
【0080】
図9のフロアマット70は次のようにして製造した。すなわち、実施例1のフロアマット10を製造する場合と同じベース部材130及びカーペット部材140を用意した。そして、カーペット部材140の裏面上にTダイにてベース部材130が約1.5mm厚となるようにラミネートし、実施例1の孔18の径R1と同じ径(約10mm)の貫通孔71を所定の位置にポンチで形成した。
【0081】
この方法でフロアマット70を3枚製造して1日放置した後に実施例1と同様の試験を行なった。測定結果は、表1に示すとおりである。
【0082】
(比較例3)
図10(a),(b)のフロアマット80を用いて実施例1と同様の試験を行なった。図10(a)は、フロアマット80の平面図である。図10(b)は、フロアマット80のXb−Xb線に沿った断面図である。図10のフロアマット80は、実施例1と同様のベース層13とカーペット層14とから構成されている。フロアマット80には実施例1の孔18と同じ径R1(すなわち、約10mm)の貫通孔81をポンチで形成した。貫通孔81の中心とフロアマット80の縁部80aとの距離L3は実施例1と同様に約35mmとした。フロアマット80における貫通孔81には金属グロメットGを取り付けた。ここで、金属グロメットGは、金属製のリングであって、貫通孔81を補強し、固定具21との固定を強化するものである。金属グロメットGは、図10(c)に示す上側グロメットG1と図10(d)に示す下側グロメットG2とから構成される。図10(c),(d)夫々は、上側グロメットG1及び下側グロメットG2夫々の側面断面図である。
【0083】
フロアマット80は次のようにして製造した。先ず、実施例1のフロアマット10を製造する場合と同様のベース部材130とカーペット部材140とを用意した。そして、カーペット部材140の裏面上にTダイにてベース部材130が約1.5mm厚となるようにラミネートし、フロアマット80の所定の位置に貫通孔81を形成した。その後、その貫通孔81に金属グロメットGを取り付けた。すなわち、下側グロメットG2の突起部をベース層13に押し込んでフロアマット80に下側グロメットG2を固定した。そして、カーペット層14側から上側グロメットG1を貫通孔81にはめ込み、下側グロメットG2にカシメを行なった。
【0084】
このような製造方法によりフロアマット80を3枚製造し、1日放置後に実施例1と同様の試験を行なった。測定結果は、表1に示すとおりである。
【0085】
表1から理解されるように、実施例1及び実施例2で用いたフロアマット10の方が、一般的に利用されている比較例3で用いたフロアマット80よりも固定具21に強固に固定されている。これは、実施例1及び実施例2で用いたフロアマット10には隆起部16が形成されており、外れにくさに最も寄与するベース層13の厚みがあることに加え、貫通孔17を構成する孔18及び孔19の径の大きさが異なることによりベース層13が露出しており、固定具21がベース層13と接するからである。なお、ベース層13に隆起部16が設けられていることがフロアマットの外れにくさに寄与することは、比較例1と比較例2との結果から理解できる。また、貫通孔17を構成する孔18及び孔19の径の大きさが異なり(孔19の径の方が大きい)、ベース層13が露出していることにより固定具21からフロアマットが外れにくくなっていることは実施例1及び実施例2の結果と、比較例1の結果とを比較することで確認できる。更に、実施例1の結果と実施例2の結果とは、製造方法の違いにより生じた貫通孔17の断面形状の違いに起因する固定具21の引っ掛かり易さの違いである。
【0086】
以上本発明の好適な実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されない。例えば、貫通孔17は円形としているが必ずしも円形に限らない。また、隆起部16は必ずしも形成しなくても良く、貫通孔18におけるカーペット層14側の端部の周縁が露出していれば良い。また、第1の実施形態及び第2の実施形態の金型30(60)によるプレスは、下金型30A(60A)及び上金型30B(60B)とに対する積層体150の配置関係を維持していれば、金型30(60)を上下逆にして行なっても良いし、積層体150を上下逆にして行っても良い。更に、貫通孔17は、隆起部16のほぼ中央部に形成されているとしているが必ずしも中央部にある必要は無い。
【0087】
【発明の効果】
本発明に係るフロアマットは、製造効率の向上が図られ、リサイクルに容易に回すことができ且つ固定具による固定を強固に行なうことができる。また、本発明に係るフロアマットの製造方法によれば、フロアマットの製造効率の向上を図ることができる。また、リサイクルに容易にまわすことができ且つ固定具による固定を強固に行なうことができるフロアマットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフロアマットの一実施形態の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1のフロアマットをII−II線に沿って切断した場合の拡大断面図である。
【図3】図1のフロアマットをIII−III線に沿って切断した場合の拡大断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、本発明に係るフロアマットの製造方法の一実施形態の製造工程を示す工程断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、比較のためのフロアマットの製造方法の工程を示す工程断面図である。
【図6】図6(a)〜図6(c)は、本発明に係るフロアマットの製造方法の他の実施形態の工程を示す工程断面図である。
【図7】図6の方法で製造されたフロアマットにおける隆起部の拡大断面図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、フロアマットの固定具からのはずれにくさを測定する試験方法を説明する図である。
【図9】図9(a)は、比較のためのフロアマットの平面図である。図9(b)は、図9(a)のフロアマットのIXb−IXb線に沿った断面図である。
【図10】図10(a)は、比較のためのフロアマットの平面図である。図10(b)は、図10(a)のフロアマットのXb−Xb線に沿った断面図である。図10(c)は、上側グロメットの側面断面図である。図10(d)は、下側グロメットの側面断面図である。
【図11】図11(a)〜図11(c)は、フロアマットの貫通孔が固定具から外れる機構の説明の為の模式図である。
【符号の説明】
10…フロアマット、11…平坦部、12…周縁部、13…ベース層、14…カーペット層、15…固定部、16…隆起部、17…貫通孔、18…孔、18a…周縁上部、19…孔、20…フロア、21…固定具、22…本体部、23…フック部、30…金型、30A…下金型、30B…上金型、31…突起部、33…凹部、34…開口部、40…フロアマット、41…貫通孔、50…金型、50A…下金型、50B…上金型、60…金型、70…比較例2のフロアマット、80…比較例3のフロアマット。
Claims (5)
- ベース層と、該ベース層上に積層されたカーペット層とを有し、該ベース層を貫通している第1の孔と該カーペット層を貫通している第2の孔とが連続して形成されているフロアマットであって、
前記第2の孔が前記第1の孔より大きく、前記第1の孔における前記カーペット層側の端部の周縁が露出していることを特徴とするフロアマット。 - 前記ベース層は、前記カーペット層側に隆起した隆起部を有し、該隆起部に前記第1の孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載のフロアマット。
- ベース部材上にカーペット部材を積層した積層体を用意し、前記積層体の積層方向に前記ベース部材を貫通する第1の孔と前記カーペット部材を貫通する第2の孔とを連続して形成すると共に、前記第2の孔を前記第1の孔よりも押し広げて、前記第1の孔における前記カーペット部材側の端部の周縁を露出させることを特徴とするフロアマットの製造方法。
- 柱状の突起部を有する下金型と、前記突起部と対向する面に凹部を有し、該凹部に該突起部に嵌合する開口部が形成されている上金型とを含んで構成される金型を用意し、
ベース部材上にカーペット部材を積層した積層体を用意し、
前記積層体の前記ベース部材側が前記下金型と対向するように該積層体を前記突起部と前記上金型との間に配置し、
前記突起部と前記開口部とを嵌め合わせて前記積層体を貫通する孔を形成し、更に、前記上金型と前記下金型との間で該積層体を押さえ込んで該積層体を成形することを特徴とするフロアマットの製造方法。 - 請求項2に記載のフロアマットを製造するために用いる金型であって、
柱状の突起部を有する下金型と、
凹部を有して、該凹部に前記突起部と嵌合する開口部が形成されている上金型と
を備えることを特徴とする金型。
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JP2010172648A (ja) * | 2009-02-02 | 2010-08-12 | M & F:Kk | マットおよびその製造方法、視覚障害者誘導用ブロック並びにマット構造体 |
JP2011240861A (ja) * | 2010-05-20 | 2011-12-01 | Masataka Nakajima | フロアマット保持部材 |
JP2014201178A (ja) * | 2013-04-04 | 2014-10-27 | 永大化工株式会社 | グロメット付き自動車用フロアーマット及びその製造方法 |
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2003
- 2003-05-30 JP JP2003155914A patent/JP2004358983A/ja active Pending
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