JP3939139B2 - フロアマット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロアマット及びその製造方法、特に、自動車用、住居用、店舗用、或いはオフィス用に用いることのできるフロアマット及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車内において、靴などに付着した土、砂、泥、或いは砂利などがフロアに付着してフロアが汚れるのを防止するために、フロアマットを敷いている。
【0003】
このフロアマットとして、カーペットなどの表材層と、この表材層を支持するゴムなどからなる下地層とを備えており、周縁にオーバーロック加工を施したものが知られている。このようなフロアマットは、オーバーロック加工した周縁の糸が擦り切れることがあったり、オーバーロック加工はコストの点でも不利であった。
【0004】
そのため、フロアマットの周縁を隆起させることによりオーバーロック加工を不要としたフロアマットが、例えば特開平6−24265号公報に開示されている。しかしながら、このようなフロアマットでは、フロアマットを成形した後にマット状に打ち抜く必要があるため、精度の高い位置合わせが要求されるという問題、周縁部からカーペット層とベース層とが剥離し易く、繊維が脱落しやすいという問題、さらに周縁部の未処理感が残り、美観を損ねるという問題があった。
【0005】
図5は、例えば特開2001−58536号公報に開示された他のフロアマットを示す斜視図であり、図6は図5のフロアマットの概略断面図である。これらの図において、フロアマット1は、表層カーペット2と裏打ち材3とを備えている。表層カーペット2は起毛2aと基布2bとからなり、裏打ち材3は表層カーペット2の基布2bに接合されている。また、フロアマット1は、中央平面部1aと突堤状周縁部1bとを備えており、突堤状周縁部1bは、中央平面部1aの周囲に設けられている。なお、かかるフロアマット1には、裏打ち材3の裏面に、滑り止め用突起3aが設けられる。
【0006】
また、フロアマット1は、フロアマット1の周縁部を切断すると同時に圧縮成形することにより製造されている。この製造方法によれば、上述した特開平6−24265号公報における位置合わせの問題、美観を損ねるという問題は解決される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フロアマット1の周縁部から表層カーペット2と裏打ち材3とが剥離しやすく、繊維が脱落しやすいという点は依然として解決されていないという問題点があった。
【0008】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたもので、精度の高い位置合わせが不要で、美観が優れ、しかも周縁部から表層カーペットとベース材とが剥離せず、繊維が脱落し難いフロアマット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、ベース層と、このベース層の上面に積層されるカーペット層とを有し、平坦部及びこの平坦部の周りを取り囲む周縁部とからなり、この周縁部の少なくとも一部が上面方向に隆起した帯状隆起部を有するフロアマットであって、前記フロアマットは、前記帯状隆起部における前記カーペット層の少なくとも周縁側端部を覆う被覆部を備えていることを特徴とする、フロアマットである。
【0010】
請求項2に係る発明は、ベース層と、このベース層の上面に積層されるカーペット層とを有し、平坦部及びこの平坦部の周りを取り囲む周縁部とからなり、この周縁部の少なくとも一部が上面方向に隆起した帯状隆起部を有するフロアマットの製造方法であって、ベース層を構成するベース層材料とカーペット層を構成するカーペット層材料とを積層し実質的に同じ大きさに切断するステップと、これらの積層体に前記帯状隆起部を形成可能な金型を押し付けて、前記カーペット層材料の周縁部を前記ベース層側へ引き寄せると同時に前記帯状隆起部を形成するステップと、前記帯状隆起部における前記カーペット層の少なくとも周縁側端部を覆う被覆部を形成するステップとを含む方法である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2におけるベース層材料とカーペット層材料との積層体を切断するステップ、帯状隆起部を形成するステップ及び被覆部を形成するステップを、上金型及び下金型を使用して行うことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、帯状隆起部上のカーペット層の周縁側端部が被覆部によって覆われているため、美観が優れ、しかもフロアマットの周縁部からカーペット層とベース層とが剥離せず、繊維が脱落し難いフロアマットが得られる。
【0013】
請求項2の発明によれば、成形前にベース層材料とカーペット層材料とを実質的に同じ大きさに切断するため、精度の高い位置合わせが不要となる。また、カーペット層材料の周縁部をベース層側へ引き寄せると同時に帯状隆起部を形成するので、フロアマットを容易に製造することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項2におけるベース層材料とカーペット層材料との積層体を切断するステップ、帯状隆起部を形成するステップ及び被覆部を形成するステップを上金型及び下金型を使用して行うので、フロアマットの製造工程を簡略化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態によるフロアマットの要部を示す概略拡大断面図である。図において、フロアマット10は、ベース層11と、このベース層11の上面に積層されるカーペット層12とを有しており、平坦部13及びこの平坦部13の周りを取り囲む周縁部14とからなり、この周縁部14の少なくとも一部が上面方向に隆起した帯状隆起部15を有する。このような帯状隆起部15を備えていることによって、土、砂、泥、或いは砂利等を平坦部13で保持できる構造となっている。そのため、周縁部14の全周が帯状隆起部15からなるのが好ましい。
【0016】
フロアマット10はさらに、帯状隆起部15におけるカーペット層12の少なくとも周縁側端部を覆って被覆部16が設けられている。カーペット層12の周縁側端部が被覆部16によって覆われているため、美観が優れ、しかも周縁部14からカーペット層12とベース11とが剥離したり、繊維が脱落しにくい作用を発揮する。なお、被覆部16は、上面方向に突出して設けられる場合だけでなく、フロアマット10の外周方向に突出して設けられていてもよい。
【0017】
また、被覆部16と平坦部13の下面を含む平面となす角度θは、実質的に垂直方向すなわち、85〜95゜の範囲にあることが好ましい。これにより、フロアマット10同士を突き合わせた場合に、フロアマット10同士が広い面積で密着することができるため、フロアマット10に加わる力に対して抗することができ、しかもゴミや砂などが進入する空隙が形成されないため、フロアを汚しにくい。また、フロアマット10同士を重ね合わせる必要がないため、フロアマット10同士の一体感が生まれ、美観も優れている。なお、フロアマット10同士だけではなく、フロアマット10とフロア壁(図示しない)とが密着することができるため、土、砂、泥、或いは砂利等がフロアに進入することができず、フロアの汚れを効果的に防止することができる。
【0018】
さらに、この帯状隆起部15は上面方向に隆起していることによって砂利等を保持できれば良く、その隆起高さ(t)は特に限定されるものではないが、5mm以上であるのが好ましく、帯状隆起部15の形態保持性などの点から35mm以下であるのが好ましい。
【0019】
なお、帯状隆起部15に形成される溝部15aの横断面形状は、特に限定されるものではないが、例えば、半円形、半楕円形、多角形(例えば、台形、正方形、三角形など)などを挙げることができる。このように帯状隆起部15が下面方向に開放された溝部15aを備えている場合、帯状隆起部15の周縁側側壁15bを構成するベース層11の壁厚が薄いと、帯状隆起部15の形状を維持することが困難になる場合があるため、周縁側側壁15bを構成するベース層11の壁厚(ta)は2mm以上あるのが好ましい。なお、周縁側側壁15bを構成するベース層11の壁厚が不均一な場合には、最も薄いところの壁厚をいう。
【0020】
また、帯状隆起部15の平坦部側側壁15cを構成するベース層11が薄くても、帯状隆起部15の形状を維持することが困難になる場合があるため、平坦部側側壁15cを構成するベース層11の壁厚(tb)は1.0mm以上あるのが好ましい。さらに、帯状隆起部15の天井部15dを構成するベース層11の壁厚が、周縁側側壁15bを構成するベース層11の壁厚よりも薄いと、周縁側側壁15bに作用する力によって天井部15dが変形して、フロアマット同士が密着しやすい。
【0021】
なお、図1において、ベース層11の下面側から下面方向に突出した多数の突起11aを備えていても良い。このような突起11aを備えていることによって、滑りにくくなり、フロアマットの移動を防止することができる。
【0022】
さらに、帯状隆起部15の幅(W)は、一定であっても一定でなくても良いが、一定であると美観の点でより優れている。なお、帯状隆起部15の幅(W)は10〜50mm程度が適当である。
【0023】
ベース層11とカーペット層12とを積層一体化した本発明の好適なフロアマット10は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0024】
まず、カーペット層12とベース層11を構成する材料を準備する。前者のカーペット層12を構成する材料としては、例えば、タフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、緞通、フックカーペット、ウィルトンカーペット、アキスミンスターカーペットなどを挙げることができる。後者のベース層11を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂シート(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなど)、熱可塑性エラストマーシート(例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど)、熱硬化性樹脂シート(例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂など)、或いは天然又は合成ゴムシート(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなど)などを挙げることができる。なお、ベース層11を構成する材料の硬度(ショアーA硬度)は50〜90程度であるのが好ましく、65〜75程度であるのがより好ましい。
【0025】
次に、例えば、ベース層11を構成する材料が熱可塑性樹脂シートや熱可塑性エラストマーシートからなる場合には、ベース層11を構成する材料とカーペット層12を構成する材料とを積層した後、ベース層11を構成する材料を成型可能な温度まで加熱し、次いで、冷間プレスを実施して、帯状隆起部15及びその上のカーペット層12の少なくとも周縁側端部を覆って被覆部16が形成されるように成型し、フロアマット10を製造することができる。なお、押出成型ノズルから押し出した熱可塑性樹脂シートや熱可塑性エラストマーシートを、カーペット層12を構成する材料と積層する場合には、ベース層11を成型可能な温度まで加熱する工程を省略することが可能である。また、ベース層11を構成する材料が熱硬化性樹脂シートやゴムシートからなる場合には、冷間プレスに替えて、加熱プレスを実施して、フロアマット10を製造することができる。
【0026】
次に、本発明の好適な一実施形態により、金型を使用してフロアマット10の裁断及び成形を行う場合について説明する。図2〜4は、ベース層11を構成する材料とカーペット層12を構成する材料とを積層したフロアマット10の積層体材料を金型により裁断、成形する過程を示す概略断面図である。まず、例えば上述したベース層11を構成する材料とカーペット層12を構成する材料とを積層したフロアマット10の材料を用意し、図2に示すように、上金型21及び下金型22を備えた成形装置20に装填する。次に、図3に示すように、上金型21を矢印A方向に下降させ、上金型21及び下金型22の切断部23a及び23bによりフロアマット10の積層体材料を裁断する。本発明においては、予め金型によりベース層11を構成する材料とカーペット層12を構成する材料とを実質的に同じ大きさに裁断するので、精度の高い位置合わせが不要となる。また、積層体材料の裁断、成形を同じ金型で連続的に行うことができ、製造工程を簡略化することができる。なお、必ずしも金型で裁断を行う必要はなく、所望により他の裁断装置により積層体材料の裁断を行ってもよい。
【0027】
ここで、上金型21と下金型22との外周部におけるギャップg(図2参照)は、0〜1mmであるのが好ましい。このギャップgが1mm以上であると、切断性に劣るためである。また、下金型22の切断部23bにおける角度αは、切断性及び耐久性に優れるように、45゜〜90゜であるのが好ましい。さらに、金型同士の接触面積を少なくするために、上金型21の切断部23aよりも上方に1mm以上離れた位置Bから、図中hで示すように、0.05〜0.5mm程度削るのが好ましい。切断部23aからの距離が1mm以上離れていないと、上金型21の強度的に問題がある。また、0.5mm以上削っても強度的に劣り、耐久性が減少する。さらに、0.05mm以下では効果が少なく、しかも上金型21の加工も困難である。
【0028】
次に、図4に示すように、上金型21を下死点まで下降させ、積層体材料の端部を変形加工する。すなわち、積層体材料のベース層11を構成する材料は、流動性がある溶融状態であり、積層体材料の端部近傍10aが上金型21により下金型22の凸部24に押圧されると、カーペット層12を構成する材料は内側に引き寄せられると同時に、ベース層11を構成する材料が下金型22の凹部25に樹脂が回り込み、帯状隆起部15が成形されるのと同時に被覆部16が形成される。この被覆部16は、カーペット層12の周縁側端部を埋設するように覆っているので、美観が優れ、しかも周縁部からカーペット層12とベース層11とが剥離せず、繊維が脱落し難いフロアマット10を製造することができる。なお、図4において被覆部16は、フロアマット10の外周方向に突出して設けられている。
【0029】
ここで、下金型22の凸部24の高さiは、2〜25mmであるのが好ましく、3〜8mmであるのがより好ましい。この高さiが2mm以下であると、ゴミ等の流出防止性の乏しいフロアマット10しか製造することができず、また、成形時におけるカーペット層を構成する材料の引き込みが不十分になり、被覆部16の形成が不十分となる。他方、高さiが25mmを超えると、カーペット層を構成する材料の引き込み量が大きすぎて樹脂が露出しやすくなり、見栄えが悪くなる傾向があり、しかもカーペット層を構成する材料のコーナー部における引き込み量と直線部における引き込み量との差が大きすぎて安定生産が困難になる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、帯状隆起部上のカーペット層の周縁側端部が被覆部によって覆われているため、美観が優れ、しかもフロアマットの周縁部からカーペット層とベース層とが剥離せず、繊維が脱落し難いフロアマットが得られるという効果を奏する。
【0031】
請求項2の発明によれば、成形前にベース層材料とカーペット層材料とを実質的に同じ大きさに切断するため、精度の高い位置合わせが不要となる。また、カーペット層材料の周縁部をベース層側へ引き寄せると同時に帯状隆起部を形成するので、前記フロアマットを容易に製造することができるという効果を奏する。
【0032】
請求項3の発明によれば、請求項2におけるベース層材料とカーペット層材料との積層体を切断するステップ、帯状隆起部を形成するステップ及び被覆部を形成するステップを上金型及び下金型を使用して行うので、フロアマットの製造工程を簡略化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるフロアマットの要部を示す概略拡大断面図である。
【図2】ベース層を構成する材料とカーペット層を構成する材料とを積層したフロアマットの積層体材料を金型により裁断、成形する過程を示す概略断面図である。
【図3】ベース層を構成する材料とカーペット層を構成する材料とを積層したフロアマットの積層体材料を金型により裁断、成形する過程を示す概略断面図である。
【図4】ベース層を構成する材料とカーペット層を構成する材料とを積層したフロアマットの積層体材料を金型により裁断、成形する過程を示す概略断面図である。
【図5】従来のフロアマットを示す斜視図である。
【図6】図5のフロアマットの概略断面図である。
【符号の説明】
10…フロアマット、10a…端部近傍、11…ベース層、12…カーペット、13…平坦部、14…周縁部、15…帯状隆起部、15a…溝部、15b…周縁側側壁、15c…平坦部側側壁、15d…天井部、16…被覆部、20…成形装置、21…上金型、22…下金型、23a,23b…切断部、24…凸部、25…凹部。
Claims (3)
- ベース層と、このベース層の上面に積層されるカーペット層とを有し、平坦部及びこの平坦部の周りを取り囲む周縁部とからなり、この周縁部の少なくとも一部が上面方向に隆起した帯状隆起部を有するフロアマットであって、
前記フロアマットは、前記帯状隆起部の周縁側側壁に設けられ且つ前記カーペット層の少なくとも周縁側端部を覆う被覆部を備え、
前記カーペット層の周縁側端部は、前記帯状隆起部の天井部に設けられていることを特徴とする、フロアマット。 - ベース層と、このベース層の上面に積層されるカーペット層とを有し、平坦部及びこの平坦部の周りを取り囲む周縁部とからなり、この周縁部の少なくとも一部が上面方向に隆起した帯状隆起部を有するフロアマットの製造方法であって、
ベース層を構成するベース層材料とカーペット層を構成するカーペット層材料とを積層し実質的に同じ大きさに切断するステップと、
これらの積層体に前記帯状隆起部を形成可能な金型を押し付けて、切断された前記カーペット層材料の周縁側端部とは反対の方向へ当該カーペット層材料の周縁部を引き寄せると同時に、前記カーペット層材料の周縁側端部が設けられた天井部を有する前記帯状隆起部を形成するステップと、
前記カーペット層材料の周縁側端部に前記ベース層材料を回り込ませることで、前記帯状隆起部の周縁側側壁に前記カーペット層の少なくとも周縁側端部を覆う被覆部を形成するステップと
を含む方法。 - 前記ベース層材料とカーペット層材料との積層体を切断するステップ、前記帯状隆起部を形成するステップ及び前記被覆部を形成するステップを、上金型、及び凸部を設けた下金型を使用して行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
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