JP2004354639A - 電子写真用転写紙の複写方法 - Google Patents

電子写真用転写紙の複写方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真用複写機により複写した後のカール(以下、通紙カールと称す。)特性に優れ、高速複写における処理量の向上が図れ、搬送性不良やカールの発生を低減することのできる電子写真用転写紙の複写方法を提供する。
【解決手段】抄紙機の流れ方向(以下、MD方向と略す。)と長辺方向が一致する縦目に断裁した電子写真用転写紙を用い、複写時の通紙方向が横通しとなるように電子写真用複写機に装着し、かつヒート処理し、調湿処理した時に、カール軸を有しない側の面が最終の被複写面となるように複写することを特徴とする電子写真用転写紙の複写方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用転写紙の複写方法に関するものであり、さらに詳しくは電子写真用複写機により複写した後のカール(以下、通紙カールと称す。)特性に優れ、高速複写における処理量の向上が図れ、搬送性不良やカールの発生を低減することのできる電子写真用転写紙の複写方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用複写機を用いて電子写真用転写紙に印字画像を複写して得られる複写紙は、これを平面上に静置した場合に、該複写紙の中央部が凹型に湾曲し、周縁部が挙上する現象、所謂”通紙カール”が発生することが知られている。
【0003】
従来より、通紙カールの発生を防止するためには、電子写真用転写紙のオモテ・ウラの繊維配向角度や弾性率を規定したり、予め逆方向のカールを付与しておき、複写紙に発生するカールを相殺する技術が開示されている。しかし、このようにして製造された電子写真用転写紙では、複写紙に発生する通紙カールの程度を低減することは可能であるが、紙がカールすることにより湾曲した際に溝状の凹部に沿って現れる軸、すなわち、”カール軸”を考慮したオモテ・ウラカールの相殺に関する技術については記述がなく、通紙カールの改良効果は不充分であり、高速での複写処理において搬送中の複写紙詰まりなどのトラブルが発生する(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−101653号公報
【特許文献2】
特開平02−217862号公報
【0005】
すなわち、通紙カールについては小さい方が好ましいことは無論であるが、特に重要であることはカールの軸と方向である。ここで、紙を抄造する際の抄紙機の流れ方向をMD方向、抄紙機の流れに直交する方向をCD方向と称することから、以下、MD方向をカール軸としたカールを”MD軸カール”、CD方向をカール軸としたカールを”CD軸カール”と称すことにする。
【0006】
通紙カールが大きい場合や、カールの軸がMD軸カールと一致せず、CD軸カールとの間にあるねじれカールの場合は、複写時の紙詰まり、複写後の紙揃い不良などのトラブルが特に多発するほか、見た目も悪く、商品価値が甚だしく低下する。さらに、電子写真用複写機の処理速度がより高速になるに伴い、通紙カールが小さいことは勿論のこと、搬送中の紙詰まりなどが発生しないことが必要であり、電子写真用転写紙の通紙カールに対する品質要求は極めて高度になりつつある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子写真用複写機により複写した後の通紙カール特性に優れ、高速複写における処理量の向上が図れ、搬送性不良やカールの発生を低減することのできる電子写真用転写紙の複写方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明の電子写真用転写紙の複写方法を発明するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の電子写真用転写紙の複写方法は、抄紙機の流れ方向(以下、MD方向と略す。)と長辺方向が一致する縦目に断裁した電子写真用転写紙を用い、複写時の通紙方向が横通しとなるように電子写真用複写機に装着し、かつヒート処理し、調湿処理した時に、カール軸を有しない側の面が最終の被複写面となるように複写することを特徴とするものである。
【0010】
上記発明において、電子写真用転写紙が、下記の貼りカール測定法に基づいてオモテ面を内巻きにした時の貼りカール値Liとオモテ面を外巻きとした時の貼りカール値Luとの差の絶対値|δL|が15mm以下であることを特徴とする。貼りカール測定法:MD方向に平行な辺を50mm、抄紙機の流れ方向に直交する方向(以下、CD方向と略す。)に平行な辺を200mmとする電子写真用転写紙のサンプルを10枚用意し、5枚をオモテ内巻き、もう5枚をオモテ外巻きとして直径110mmの円筒体にMD軸カールとなるようにCD方向に巻き付け、23℃/相対湿度50%/24hrの条件にて調湿処理して後、サンプルの取り出し直後に、オモテ内巻き5枚とオモテ外巻き5枚をそれぞれ束ねたまま水平な平面上にサンプルを立てて両端の間隔をmm単位まで測定し、オモテ内巻き貼りカール値Liとオモテ外巻き貼りカール値Luとし、LiとLuの差の絶対値を求めて、貼りカール値|δL|として表す。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における電子写真用転写紙は、木材繊維を主成分とするパルプスラリーを用いて抄造した原紙であって、該紙の断裁を縦目、かつ複写時の通紙方向を横通しとし、本発明における原紙のカール特性を顕在化するために、ヒート処理後に調湿した際に、カール軸を有しない面の側を最終の被複写面とすることによりねじれカールの発生がなく、通紙カールが確実に小さくなり、かつ搬送中の紙詰まりなどの搬送性不良、ならびに複写後の紙揃い不良などのトラブルの発生を著しく低減し、さらには単位時間当たりの処理枚数の向上や、製本時の頁めくり易さの向上を図ることが可能となった。
【0012】
上述のヒート処理ならびに調湿処理する処理条件について説明する。
本発明においては、紙のどちらの面の側がカール軸を有しないかを確認しなければならないが、原紙を105℃で5分間ヒート処理し、続いて、23℃、50%RH、24時間調湿することによりカール軸の確認をすることができる。紙を105℃で5分間ヒート処理し、続いて23℃、50%RH、24時間調湿する技術的理由は、紙のカール軸、ならびにカール方向を確実に知ることができる条件として設定したにすぎず、特に臨界的意義はない。
【0013】
すなわち、本発明においては、カール軸を確実に判断するために、一度絶乾状態に近づけるためのヒート処理をしてから調湿(吸湿)することにより、カールを大きく発現させてカール軸、ならびにカール方向を明確にさせている。また、調湿条件についても単にISOの規格の引用であり、時間はこれまでの経験から5分間ほどおけば必ず軸が明瞭に発現するので、これを具体的に条件としたのみである。こうした処理を行うことにより、カール軸、ならびにカール方向の確認を行うことができる。
【0014】
以下の説明において、フラットカール:カール軸を有しないもの、MD軸(−)カール:MD軸マイナスカール、MD軸(+)カール:MD軸プラスカール、CD軸(−)カール:CD軸マイナスカール、CD軸(+)カール:CD軸プラスカールと称することがある。また、紙の一方の面を”オモテ面”と特定した場合に、プラスカール:紙のオモテ面の側にカールするもの、マイナスカール:紙のウラ面の側にカールするものと称することがある。なお、オモテ面あるいはウラ面の定義は、抄造時における紙のワイヤーと接する面の是非とは関係しない。
【0015】
電子写真用転写紙において、紙をヒート処理後に調湿した時のカールが、カール軸を有しない面の側を最終の被複写面とすることにより、電子写真用転写紙の複写処理において、ねじれカールの発生が無く、複写後の通紙カールが確実に小さくなり、複写時の紙詰まりや紙の不揃いをなくすことができる。かかる構成の通紙カールが小さくなる真の理由は必ずしも明らかではないが、下記の如く考えられる。
【0016】
電子写真用転写紙における通紙カールの支配的因子は、電子写真用複写機でのトナー定着に伴う定着ロールでの熱印加によるカール(以下、定着カールと称する。)と、複写後に排出された被複写紙の吸脱湿によるカール(以下、吸脱湿カールと称する。)が合成され、最終の通紙カールとなると考えられる。
【0017】
定着ロール温度は180℃以上と非常に高温であることから、被複写面(定着ロールに接触した面)の水分が急激に加熱蒸発し、繊維が収縮するために、定着カールは複写面側へカールしようとするが、このカール量はどちらの面の側を複写面とするかによって異なってくる。つまり元々どちらかの側の面がより曲がりやすい性状を持っている場合、同じ紙でも複写面が変われば得られる定着カール量も異なってくることとなる。例えば、元々オモテ面の側により曲がりやすい性状を持っていた場合は、ウラ面の側よりもオモテ面の側を複写面とした定着カールの方が大きくなるのである。もしどちらの面にも同じように曲がりバランスしている場合は、どちらの面の側を複写面としても得られる定着カール量は同じになることは言うまでもない。また、両面複写の場合は、最初の複写処理における定着カール量の大小によって、最終複写処理における定着カールも異なってくる。例えば、最初の定着カールが大きい場合、最終の定着カールは必ずしも最終の被複写面の側にカールせず、最初の定着カールの側へのカールが残ることもあり得る。
【0018】
排出された複写紙は、定着時の加熱蒸発した水分が吸脱湿による水分変化によって吸脱湿カールが発生する。この吸脱湿カールは、本発明におけるヒート処理して調湿処理した時のカール軸であり、どちらの面の側を上にして排出されるかによって異なる。どちらかの面の側により曲がりやすい性状を持っている場合、片面上置きにてカール軸を有しない面となり、逆面上置きではMD軸カールのカール軸となる。もし、どちらの面にも同じように曲がりバランスしている場合は、どちらの面を上置きとしてもカール軸を有しない面となる。つまり、定着処理によって定着カールが一旦発生し、さらに排出後、吸脱湿カールへの変化が加わり、最終の通紙カールとなるのである。ただし、強制的な熱印加による定着カールの影響の方が、自然の水分変化による吸脱湿カールよりも強いため、通紙カールのカール方向は、最終の被複写面の定着カールで現れるカール方向を示す。つまり最終の被複写面の定着カールがプラスカールの場合、通紙カールもプラスカールとなるのである。すなわち、定着カールが小さく、かつ吸脱湿カールがカール軸を有しない場合において、通紙カールが確実に小さくなり、かつ搬送中の紙詰まりなどの搬送性不良、ならびに複写後の紙揃い不良などのトラブルの発生を著しく低減することが可能となる。
【0019】
さらに、複写処理速度の高速化および、処理枚数の効率化のため、電子写真用転写紙の通紙方向は横通しが主流となってきている。つまり、紙の長辺を電子写真用複写機の処理方向と直角とし、短辺と処理方向を一致させることにより単位時間当たりの処理枚数を増すことができる。以上のことから、本発明における通紙方向は横通しのみに限定するものである。
【0020】
紙の断裁方向は、抄紙機の流れ方向(MD方向)と長辺方向が一致したものを縦目、短辺方向が一致したものを横目と称するが、一般に通紙方向と紙のMD方向とを直角とした場合がねじれカールが発生しにくい。つまり、横通しの場合は、縦目の紙を用いることによりねじれカールは発生しにくくなる。
【0021】
この理由は、定着において、縦目や横目に関係なく、通紙方向と直角方向をカール軸とした定着カールが付加されやすい。さらに、繊維は吸脱湿によりCD方向に収縮、膨潤することから、繊維の流れ方向(MD方向)をカール軸としたMD軸カールである吸脱湿カールが発生する。この定着カールと吸脱湿カールのカール軸の方向が一致しない場合、つまり横通しの横目または縦通しの縦目の場合は、CD軸の定着カールとMD軸の吸脱湿カールの2つのカール軸が混在し、ねじれカールが発生しやすくなる。このことから定着カールと吸脱湿カールのカール軸を一致させること、つまりは横通しの縦目または縦通しの横目の場合においてのみ、MD軸の定着カールとMD軸の吸脱湿カールの2つのカール軸が一致し、ねじれカールを抑制することが可能となる。ただし、縦通しの横目は、ねじれカールの発生はないものの、前述のように単位時間当たりの処理枚数の低下を招くため不可である。また、横通しの縦目においても、従来技術で言うところの繊維配向がMD方向に揃っていない場合は、当然ねじれカールが発生することとなるため、本発明では繊維配向がMD方向に揃っている紙であることは言うまでもない。
【0022】
さらに製本時、めくり易さを考慮し、綴じに平行な紙の目となっている必要がある。もしも綴じに対し直角な紙の目の場合は、多頁をめくり辛くなることになる。つまり縦長製本においては、めくり易さを考慮すれば縦目としなければならないが、前述のように横通しではねじれカールの発生や処理枚数の低下などの問題は発生しないが、縦通しの場合は、ねじれカールの発生と処理枚数の低下を招く。また横長製本においては、めくり易さを考慮すれば横通しは横目としなければならないが、前述のように横通しではねじれカールが発生し、縦通しの場合は処理枚数の低下を招く。以上のことから、ねじれカールや処理枚数の向上および製本時のめくり易さを全て満足させうる条件は横通しの縦目のみであることが判る。さらに横長の製本は非常に特殊なケースであり、市場での大多数は縦長の製本であることから、本発明では縦長製本を前提としている。
【0023】
また、定着カールが大きい場合、搬送時に電子写真用複写機内のロール間でうまく搬送されず、トラブルが多発するので不可である。特に両面複写時においては、搬送不良が発生し易い傾向にある。つまり両面複写は片面複写した後、一旦、中間カセットにセットされ、再度、反対面を複写するため再搬送されるが、この最初の片面複写した後の定着カールが大きくなると、反対面複写時の再搬送における搬送距離が長くなることから搬送不良が多発する。
【0024】
本発明の電子写真用転写紙の複写方法について、図によって具体的に説明する。
図1〜図4は、紙の縦目と横目の断裁方法および縦通しと横通しの通紙方法を示す。抄紙機の流れ方向(MD方向)と紙の長辺方向が平行に一致したものを縦目の紙、短辺方向が水平に一致したものを横目の紙と一般に称する。さらに紙の長辺方向が通紙方向と直角になるように通紙するものを横通し、短辺方向が通紙方向と直角になるように通紙するものを縦通しと称する。
【0025】
図1における横通し、縦目の場合、横通しのため高速処理が可能であり、さらに縦目のため縦長製本時の頁めくりもし易い。また、MD軸カールの定着カールとMD軸カールの吸脱湿カールの2つのカール軸が一致して、MD軸カールのみとなり、ねじれにくくなる。
【0026】
図2における横通し、横目の場合、横通しのため高速処理は可能であるが、横目のため縦長製本時の頁めくり不良となる。さらにCD軸カール定着カールとMD軸カールの吸脱湿カールの2つのカール軸が混在によってねじれカールが発生しやすくなる。
【0027】
図3における縦通し、縦目の場合、縦目のため縦長製本時の頁めくりはし易いが、縦通しのため高速処理は不可となる。さらにCD軸カールの定着カールとMD軸カールの吸脱湿カールの2つのカール軸が混在によってねじれカールが発生しやすくなる。
【0028】
図4における縦通し、横目の場合、MD軸カールの定着カールとMD軸カールの吸脱湿カールの2つのカール軸が一致して、MD軸カールのみとなり、ねじれにくくなるが、縦通しのため高速処理は不可となり、さらに横目のため縦長製本時の頁めくり不良となる。
【0029】
ヒート処理後、調湿処理した紙のカール軸、カール方向について示す。ヒート処理後に調湿処理が意味するものは、定着ロールでの熱印加後、排出された紙の水分変化により発生する吸脱湿カールを疑似的に確認するものである。
【0030】
ここで、紙の繊維はMD軸方向に配向するため、吸脱湿によりCD軸方向に繊維が収縮膨潤するため、MD軸の吸脱湿カールが発生することとなるが、どちらの面の側にカールするのか、またはどちらの面の側にもカールしないのかを確認する必要がある。
【0031】
また、MD軸カールがどちらの面にカールするかは、どちらの面の側により曲がりやすいかによって決まる。例えば、ウラ面の側により曲がりやすい性状を有している場合、ウラ面の側に湾曲するカールが発生することとなる。逆にどちらの面の側にも同じように曲がりバランスしている場合は、どちらの面にもカールしないことになる。
【0032】
図5は、電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のウラ面の側により曲がりやすい性状を有する概念図である。
ウラ面の側により曲がりやすい性状を有している場合、本発明における電子写真用転写紙の坪量範囲は40〜100g/mの低坪量範囲であり、紙自体の自重を支えうるだけのこわさを有しておらないため、図5(2)のようにウラ面の側を上にして置いた場合、両端がオモテ面に持ち上がるMD軸(+)カールとなることはなく、ヒート処理後に調湿の際の吸脱湿により両耳は徐々に下がっていくことから、カール軸は明確には現れずカール軸を有しない状態となる。逆に、図5(1)のようにオモテ面の側を上にして置いた場合は、両端が平面上との接触により僅かながらでも固定されることから、中央部は徐々に持ち上がり、MD軸(−)カールが発生することになる。つまりどちらかの面の側により曲がりやすい性状の場合、どちらの面の側を上面とするかによって、カール軸を有しない面の側とMD軸(−)カールとなる面の側の2つの組み合わせとなり、MD軸(−)カールとなる面の側により曲がりやすい性状を有している紙であると言えるのである。
【0033】
また、どちらの面の側にも同じように曲がりバランスしている場合、図6(1)(2)のようにヒート処理後に調湿した際の吸脱湿カールは、どちらの面の側を上置きとしてもカール軸を有しない状態となる。
【0034】
最終的に本発明におけるヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向は、両面ともカール軸を有しない場合か、または片面がカール軸を有さず、その逆面がMD軸(−)カールとなる場合の2種類しか発生しない。つまりどちらの面の側にも同じように曲がりバランスしている場合は、どちらの面の側を複写し、どちらの面の側を上にして排出されても吸脱湿カールは発生しないことから問題はないが、どちらかの面の側により曲がりやすい性状の場合、どちらの面の側を複写し、どちらの面の側を上にして排出されるかによって、排出後の通紙カール高さは異なる結果となることを示すのである。このことから、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸を確認することによって、複写面を決定する必要がある。
【0035】
さらに、本発明者は、カール方向が逆転する時(プラスカールがマイナスカールに、あるいはマイナスカールがプラスカールに変化する)、カール軸も、MD軸カールのものはCD軸カールに、CD軸カールのものはMD軸カールに変わるという知見を得ていることから、片面複写において定着カールがMD軸(+)カールとなり、かつ吸脱湿カールがMD軸(−)カールの場合には、MD軸(−)の吸脱湿カールのカール軸、カール方向が逆転し、CD軸(+)カールとなる。このCD軸(+)カールとMD軸(+)カールの定着カールが混在し、ねじれカールとなることから不可である。
【0036】
以上のことから、どちらの面の側にも同じように曲がりバランスしている電子写真用転写紙を製造することが最も好ましくはあるが、強いて積極的な手段により、ヒート処理後に調湿した際のカール方向、カール軸を変える手段としては、ジェットワイヤー比の調節、ワイヤー上のスラリーの脱水の調節、プレスドロー、ドライヤードロー、サイズプレスによる両面の塗工量バランスの調節などにより適宜組み合わせて調節することが必要である。
【0037】
しかしながら、実操業においては皺の発生や地合不良などの各種の制約が発生し、どちらの面の側にも同じように曲がりバランスしている電子写真用転写紙を製造することは、必ずしも簡単なことではない。本発明ではどちらかの面の側により曲がりやすい電子写真用転写紙においてもヒート処理後に調湿した際のカール軸、カール方向を確認後、カール軸を有しない面の側を被複写面に特定し、横通しの縦目とすることにより搬送性、通紙カールに優れた電子写真用転写紙を得ることが可能となる。
【0038】
定着カールはつき難いことが好ましく、その定着カール特性は本発明で定義する貼りカール値によって、どちらの面の側により曲がりやすいかを確認することができ、オモテ面を内巻きとした場合(オモテ内巻き)のオモテ内巻き貼りカール値Liと、ウラ面を内巻きとした場合(ウラ内巻き)のウラ内巻き貼りカール値Luとの差の絶対値|δL|が15mm以下となるようにすることによって、より定着カールが小さくなり、さらには搬送性に問題が生ずることなく、紙詰まりや排出後の紙揃い不良などのトラブルの発生がなくなる。
【0039】
図7に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、片面複写(オモテ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、オモテ面複写のためカセットにはウラ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)オモテ面を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がMD軸(−)カールを示すことから、ウラ面に曲がりやすいこととなり、定着カールはオモテ面にカールするものの強くはならず、弱いMD軸(+)カールとなる。この弱い定着カールのため、搬送不良は発生しない。
(3)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、オモテ面複写のためオモテ面を上として排出されることから、ヒート処理後に調湿した紙のオモテ面上置きで発生するMD軸(−)カールとなる。
(4)最終の通紙カールの状態を示す。(2)で付加された弱いMD軸(+)の定着カールと、(3)の排出後のオモテ面上置きで発生するMD軸(−)の吸脱湿カールが合成し、さらには定着カールと吸脱湿カールのカール方向が逆であることから、MD軸(−)の吸脱湿カールはCD軸(+)カールとなり、このCD軸(+)カールとMD軸(+)の定着カールと2つのカール軸が混在してCD軸(+)ねじれカールを発生させ、紙揃え不良などのトラブルを発生する。
【0040】
図8に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、片面複写(ウラ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、ウラ面複写のためカセットにはオモテ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)ウラ面を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がMD軸(−)カールを示すことから、ウラ面に曲がりやすいこととなり、定着カールはさらにウラ面にカールし、強いMD軸(−)カールとなる。この強い定着カールのため、搬送不良が発生すると思われるが、実際には片面複写においては定着後から排出までの搬送距離は短いことから、搬送不良が発生することは無い。
(3)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、ウラ面複写のためウラ面を上として排出されることから、ヒート処理後に調湿した紙のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態となる。
(4)最終の通紙カールの状態を示す。(2)で付加された強いMD軸(−)の定着カールは、(3)の排出後のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態と合成し、弱められ、MD軸(−)カールの通紙カールは小さなものとなる。
【0041】
図9に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、両面複写(オモテ面→ウラ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、初めにオモテ面複写のためカセットにはウラ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)最初のオモテ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がMD軸(−)カールを示すことから、ウラ面に曲がりやすいこととなり、定着カールはオモテ面にカールするものの強くはならず、弱いMD軸(+)カールとなる。この弱い定着カールのため、最終のウラ面を複写するまでの搬送において搬送不良は発生しない。
(3)最終のウラ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がMD軸(−)カールを示すことから、ウラ面に曲がりやすいこととなり、定着カールはウラ面にカールするものの、最初のオモテ面複写での定着カールがMD軸(+)カールのため相殺されて、弱いMD軸(−)カールとなる。この弱い定着カールのため、搬送不良は発生しない。
(4)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、最終ウラ面複写のためウラ面を上として排出されることから、ヒート処理後に調湿した紙のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態となる。
(5)最終の通紙カールの状態を示す。(3)で付加された弱いMD軸(−)の定着カールは、(4)の排出後のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態と合成し、さらに弱いMD軸(−)カールとなり、通紙カールは非常に小さなものとなる。
【0042】
図10に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、両面複写(ウラ面→オモテ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、初めにウラ面複写のためカセットにはオモテ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)最初のウラ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がMD軸(−)カールを示すことから、ウラ面に曲がりやすいこととなり、定着カールはさらにウラ面にカールし、強いMD軸(−)カールとなる。この強い定着カールのため、最終のオモテ面を複写するまでの搬送において搬送不良が発生する。
(3)最終のオモテ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がMD軸(−)カールを示すことから、ウラ面に曲がりやすいこととなり、さらに最初のウラ面複写での定着カールが強いMD軸(−)カールのため相殺されて、最終ウラ面複写にもかかわらずオモテ面にはカールせずに弱いMD軸(−)カールとなる。この弱い定着カールのため、搬送不良は発生しない。
(4)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、最終オモテ面複写のためオモテ面を上として排出されることから、ヒート後、調湿した紙のオモテ面上置きで発生するMD軸(−)カールとなる。
(5)最終の通紙カールの状態を示す。(3)で付加された弱いMD軸(−)の定着カールは、(4)の排出後のオモテ面上置きで発生するMD軸(−)カールと合成し、強められるが、定着カールの影響のほうが大きいことから、それほど悪化はせずにMD軸(−)カールの通紙カールは小さなものとなる。
【0043】
電子写真用転写紙は、電子写真用複写機の機構上、オモテ面複写の場合は、カセットにウラ面上にてセットされ、ウラ面複写の場合は、オモテ面上にセットされる。さらに、排出された紙の上面は必ず最終の被複写面となる。つまりオモテ面複写の場合、排出紙の上面はオモテ面であり、ウラ面複写の場合、ウラ面となる。両面複写では、オモテ→ウラの場合、排出紙の上面は最終の被複写面であるウラ面となり、ウラ→オモテの場合はオモテ面となる。
【0044】
図11に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、どちらの面の側においてもカール軸が発生しない場合の、片面複写(オモテ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、オモテ面複写のためカセットにはウラ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)オモテ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がカール軸を有しない状態を示すことから、どちらの面にも同じように曲がりやすいこととなり、定着カールはオモテ面にカールするものの強くはならず、弱いMD軸(+)カールとなる。この弱い定着カールのため、搬送不良は発生しない。
(3)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、オモテ面複写のためオモテ面を上として排出されることから、ヒート処理後に調湿した紙のオモテ面上置きで発生するカール軸を有しない状態となる。
(4)最終の通紙カールの状態を示す。(2)で付加された弱いMD軸(+)の定着カールは、(3)の排出後のオモテ面上置きで発生するカール軸を有しない状態の吸脱湿カールと合成し、さらに弱いMD軸(−)カールとなり、通紙カールは非常に小さなものとなる。
【0045】
図12に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、どちらの面の側においてもカール軸が発生しない場合の、片面複写(ウラ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、ウラ面複写のためカセットにはオモテ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)ウラ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がカール軸を有しない状態を示すことから、どちらの面にも同じように曲がりやすいこととなり、定着カールはウラ面にカールするものの強くはならず、弱いMD軸(−)カールとなる。この弱い定着カールのため、搬送不良は発生しない。
(3)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、ウラ面複写のためウラ面を上として排出されることから、ヒート処理後に調湿した紙のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態となる。
(4)最終の通紙カールの状態を示す。(2)で付加された弱いMD軸(−)の定着カールは、(3)の排出後のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態の吸脱湿カールと合成し、さらに弱いMD軸(−)カールとなり、通紙カールは非常に小さなものとなる。
【0046】
図13に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、どちらの面の側においてもカール軸が発生しない場合の、両面複写(オモテ面→ウラ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、初めにオモテ面複写のためカセットにはウラ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)最初のオモテ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がカール軸を有しない状態を示すことから、どちらの面にも同じように曲がりやすいこととなり、定着カールはオモテ面にカールするものの強くはならず、弱いMD軸(+)カールとなる。この弱い定着カールのため、最終のウラ面を複写するまでの搬送において搬送不良は発生しない。
(3)最終のウラ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がカール軸を有しない状態を示すことから、どちらの面にも同じように曲がりやすいこととなり、定着カールはウラ面にカールするものの、最初のオモテ面複写での定着カールがMD軸(+)カールのため相殺されて、弱いMD軸(−)カールとなる。この弱い定着カールのため、搬送不良は発生しない。
(4)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、最終ウラ面複写のためウラ面を上として排出されることから、ヒート処理後に調湿した紙のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態となる。
(5)最終の通紙カールの状態を示す。(3)で付加された弱いMD軸(−)の定着カールは、(4)の排出後のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態と合成し、さらに弱いMD軸(−)カールとなり、通紙カールは非常に小さなものとなる。
【0047】
図14に、ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、カール方向が、どちらの面の側においてもカール軸が発生しない場合の、両面複写(ウラ面→オモテ面複写)した時のカールの流れを示す。
(1)カセットにおけるセットの状態を示し、初めにウラ面複写のためカセットにはオモテ面上にてセットされる。この段階では定着ロールの熱印加による定着カールも排出後の吸脱湿カールも発生しておらずフラットである。
(2)最初のウラ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がカール軸を有しない状態を示すことから、どちらの面にも同じように曲がりやすいこととなり、定着カールはウラ面にカールするものの強くはならず、弱いMD軸(−)カールとなる。この弱い定着カールのため、最終のオモテ面を複写するまでの搬送において搬送不良は発生しない。
(3)最終のオモテ面の側を複写した時の定着カールの状態を示す。ヒート処理後に調湿した紙のカール軸、およびカール方向がカール軸を有しない状態を示すことから、どちらの面にも同じように曲がりやすいこととなり、定着カールはオモテ面にカールするものの、最初のオモテ面複写での定着カールがMD軸(+)カールのため相殺されて、弱いMD軸(+)カールとなる。この弱い定着カールのため、搬送不良は発生しない。
(4)排出後の吸脱湿カールの状態を示し、最終オモテ面複写のためオモテ面を上として排出されることから、ヒート処理後に調湿した紙のオモテ面上置きで発生するカール軸を有しない状態となる。
(5)最終の通紙カールの状態を示す。(3)で付加された弱いMD軸(+)の定着カールは、(4)の排出後のウラ面上置きで発生するカール軸を有しない状態と合成し、さらに弱いMD軸(+)カールとなり、通紙カールは非常に小さなものとなる。
【0048】
本発明における電子写真用転写紙において、該紙が木材繊維を主成分とするパルプスラリーを用いて抄造した原紙であって、該紙の断裁を縦目、かつ複写時の通紙方向を横通しとし、さらにはヒート処理後に調湿した際に、カール軸を有しない面の側を最終の被複写面とすることを特徴とする電子写真用転写紙において、後述する本発明で定義する測定条件で測定した貼りカール特性が、オモテ面を内巻きにした時の貼りカール値Liと、ウラ面を内巻きとした時の貼りカール値Luの差の絶対値|δL|が15mm以下になるようにすることにより、15mmを越える場合と比較して、複写後の通紙カールがさらに確実に小さくなり、搬送性に問題を生ずることなく紙詰まりや電子写真用複写機より出てきた電子写真用転写紙の紙揃い不良などのトラブルの発生がなくなる。
【0049】
本発明における電子写真用転写紙は、木材パルプを主原料として製造される。木材パルプとしては通常工業的に最も多用される針葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白サルファイトパルプなどの漂白ケミカルパルプが1種、または2種以上混合して用いられる。
【0050】
パルプは抄紙適性、ならびに、強度、平滑性、地合の均一性などの紙の諸特性を向上させるため、ダブルディスクリファイナーなどの叩解機により叩解される。叩解の程度は、カナディアン スタンダード フリーネス(以下、CSFと記す。)で350〜500mlの範囲で叩解することが好ましい。ここで、500mlCSFを超えると、スラリー中の長繊維の割合が過多になり、ワイヤーパート上での脱水が過度に速くなり、地合の不良、サイズ性の低下を招くので品質上好ましくない。逆に、350mlCSF未満の場合には、スラリー中の長繊維の割合が過少になり、ワイヤーパート上で形成される湿紙の強度が低下するばかりでなく、得られる紙の引張強さ、引裂強さ、こわさなどの諸特性も低下するので、操業上、ならびに品質上好ましくない。本発明の電子写真用転写紙は天然パルプを主成分とするものであるが、必要に応じて天然パルプ以外の合成パルプ、合成繊維を混合して用いてもよい。
【0051】
叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、丸網抄紙機、またはツィンワイヤー抄紙機などの抄紙機により抄紙される。この際、本発明では、通常抄紙に際して用いられるパルプスラリーの分散助剤、乾紙力増強剤、湿紙力増強剤、填料、サイズ剤、定着剤、防黴剤などの諸添加物は全て必要に応じて添加することが可能である。さらに、必要であればpH調節剤、染料、有色顔料、および蛍光増白剤なども添加することが可能である。
【0052】
分散助剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、とろろあおいなどが、紙力増強剤としては、例えば、植物性ガム、澱粉、カルボキシ変性ポリビニルアルコールなどのアニオン性紙力増強剤、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂などのカチオン性紙力増強剤が、填料としては、例えば、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが、サイズ剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジンなどのロジン誘導体、ジアルキルケテンダイマー乳化物、アルケニル或いはアルキルコハク酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、多糖類エステルなどが、定着剤としては例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどの多価金属塩、カチオン化澱粉、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂などのカチオン性ポリマーなどが、pH調節剤としては、例えば、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが用いられる。
【0053】
上記水溶性高分子添加剤としては、例えば、完全鹸化または部分鹸化のポリビニルアルコール、カチオン変性、カルボキシ変性、シラノール変性などのポリビニルアルコールの変性物、澱粉および酸化澱粉、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、セルロースサルフェートなどのセルロース変性物、ゼラチン、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミンなどの天然高分子またはこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどの合成高分子が用いられ、さらに、サイズ剤として、石油樹脂エマルション、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、アルキルケテンダイマー乳化物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンなどのディスパーションなどが挙げられる。その他の添加剤としては、帯電防止剤として、無機電解質である塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムなどが、吸湿性物質として、グリセリン、ポリエチレングリコールなどが、顔料として、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンなどが、pH調節剤として、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが用いられ、その他、染料、蛍光増白剤などの添加剤を組み合わせて使用することも可能である。
【0054】
上記のバインダー、およびオモテ面サイズ剤などを塗工する装置としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはフィルムトランスファー方式のサイズプレス、ロッドコーター、ビルブレード、ショートドウェルコーターなどを用いることができる。これら塗工装置の中では、紙層内部へも上記のオモテ面処理液を含浸させるような方式のものが望ましい。
【0055】
本発明の電子写真用転写紙に用いられる原紙の坪量範囲は40〜100g/mであるが、50〜70g/mがさらに好ましい。坪量が30g/m未満の場合は、電子写真用転写紙としてのこわさ、ならびに平滑性が得られない。また、100g/mを超える坪量の場合は、これに伴う抄紙速度の低下によりコストが著しく増加するなどして実用性に問題が生ずる。
【0056】
本発明の電子写真用転写紙に用いる紙の白色度は、JIS−P−8123で測定したハンター白色度が85%以上であると、白色度が高く、高級感が得られるが、目的により求める白色度は異なり、天然パルプとして未晒しパルプを用いてもよい。また、染料などの着色剤を用いてもよい。
【0057】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。ただし、これらに限定されるものではない。なお以下に示す部、ならびに%はいずれも質量基準であり、塗工量は絶乾塗工量である。
【0058】
実施例1
広葉樹漂白クラフトパルプ100%よりなるパルプスラリーを、ダブルディスクリファイナーを用いて、濾水度が450mlCSFになるように叩解後、パルプ100部に対して、アニオン化ポリアクリルアミド0.6部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.3部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.2部、および適当量の蛍光増白剤、青色染料を添加して紙料スラリーを調製した。
【0059】
1150m/minで走行しているツィンワイヤー抄紙機を用いて紙匹を形成し、ウェットパートで50〜120kg/cmの範囲で線圧が調節された4段のウェットプレスを行った後、引き続く乾燥パートで乾燥した。さらに、乾燥の途中で、酸化澱粉4部、塩化ナトリウム4部、および水92部からなるサイズプレス液をゲートロールにてサイズプレスし、最終的に得られる紙水分が絶乾水分で5.0%、坪量64g/m、密度0.77g/cmになるように乾燥条件、およびカレンダー条件を調節し、電子写真用転写紙を製造した。
【0060】
該紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向を測定し、オモテ面上置きではMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きではカール軸を有しない状態となったことから、カール軸を有しない面の側であったウラ面を最終的な被複写面とする面の側に選定した。この時の貼りカール値|δL|は10mmであった。
【0061】
カッターにてA4縦目(MD方向と平行な辺を長辺297mmとし、CD方向と平行な辺を短辺210mmにて断裁)に断裁し、電子写真用複写機にて横通しにて片面複写100枚を行った。複写後、各種測定を実施し、長辺の左辺側を綴じ縦長製本とした。
【0062】
実施例2
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を15mmとした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0063】
実施例3
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を20mmとした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0064】
実施例4
カール軸を有しない面の側であったウラ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(オモテ→ウラ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0065】
実施例5
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を15mmとし、カール軸を有しない面の側であったウラ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(オモテ→ウラ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0066】
実施例6
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を20mmとし、カール軸を有しない面の側であったウラ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(オモテ→ウラ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0067】
実施例7
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、該紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向を測定し、オモテ面上置きとウラ面上置きともにカール軸を有しない状態となったことから、カール軸を有しない面の側であったオモテ面を最終の被複写面の側に選定した以外は、実施例1と同様に実施した。この場合、どちらの面の側にも同じように曲がりバランスしていることから、当然この時の貼りカール値|δL|は小さく5mmとなった。
【0068】
実施例8
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、該紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向を測定し、オモテ面上置きとウラ面上置きともにカール軸を有しない状態となったことから、カール軸を有しない面の側であったウラ面を最終の被複写面の側に選定した以外は、実施例1と同様に実施した。この場合、どちらの面の側にも同じように曲がりバランスしていることから、当然この時の貼りカール値|δL|は小さく5mmとなった。
【0069】
実施例9
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、該紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向を測定し、オモテ面上置きとウラ面上置きともにカール軸を有しない状態となったことから、カール軸を有しない面の側であったウラ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(オモテ→ウラ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。この場合、どちらの面の側にも同じように曲がりバランスしていることから、当然この時の貼りカール値|δL|は小さく5mmとなった。
【0070】
実施例10
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、該紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向を測定し、オモテ面上置きとウラ面上置きともにカール軸を有しない状態となったことから、カール軸を有しない面の側であったオモテ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(ウラ→オモテ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。この場合、どちらの面の側にも同じように曲がりバランスしていることから、当然この時の貼りカール値|δL|は小さく5mmとなった。
【0071】
比較例1
短辺の左辺側を綴じる横長製本とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0072】
比較例2
カッターにてA4横目(MD方向と平行な辺を短辺210mmとし、CD方向と平行な辺を長辺297mmにて断裁)に断裁した以外、実施例1と同様に実施した。
【0073】
比較例3
カッターにてA4横目(MD方向と平行な辺を短辺210mmとし、CD方向と平行な辺を長辺297mmにて断裁)に断裁し、短辺の左辺側を綴じ横長製本とした以外、実施例1と同様に実施した。
【0074】
比較例4
電子写真用複写機にて縦通しにて片面複写100枚を行った以外、実施例1と同様に実施した。
【0075】
比較例5
電子写真用複写機にて縦通しにて片面複写100枚を行い、短辺の左辺側を綴じ横長製本とした以外、実施例1と同様に実施した。
【0076】
比較例6
カッターにてA4横目(MD方向と平行な辺を短辺210mmとし、CD方向と平行な辺を長辺297mmにて断裁)に断裁し、電子写真用複写機にて縦通しにて片面複写100枚を行った以外、実施例1と同様に実施した。
【0077】
比較例7
カッターにてA4横目(MD方向と平行な辺を短辺210mmとし、CD方向と平行な辺を長辺297mmにて断裁)に断裁し、電子写真用複写機にて縦通しにて片面複写100枚を行い、さらには短辺の左辺側を綴じ横長製本とした以外、実施例1と同様に実施した。
【0078】
比較例8
ヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向がMD軸(−)カール軸となる面の側であったオモテ面を最終の被複写面とする面の側に選定した以外、実施例1と同様に実施した。
【0079】
比較例9
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を15mmとし、ヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向がMD軸(−)カール軸となる面の側であったオモテ面を最終の被複写面とする面の側に選定した以外、実施例1と同様に実施した。
【0080】
比較例10
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を20mmとし、ヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向がMD軸(−)カール軸となる面の側であったオモテ面を最終の被複写面とする面の側に選定した以外、実施例1と同様に実施した。
【0081】
比較例11
ヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向がMD軸(−)カールとなる面の側であったオモテ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(ウラ→オモテ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0082】
比較例12
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を15mmとし、ヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向がMD軸(−)カールとなる面の側であったオモテ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(ウラ→オモテ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0083】
比較例13
ジェットワイヤー比、サイズプレスによる両面の塗工量調整を行い、貼りカール値|δL|を20mmとし、ヒート処理後に調湿した際のカール軸、ならびにカール方向がMD軸(−)カールとなる面の側であったオモテ面を最終の被複写面とする面の側に選定し、電子写真用複写機にて両面複写(ウラ→オモテ面)とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0084】
以上のようにして得られた実施例1と比較例1〜7の電子写真用転写紙において、複写処理時のねじれカール、処理時間、および製本時の頁めくり性を測定した。測定結果を表1に示す。さらに、実施例1〜10、ならびに比較例8〜13の電子写真用転写紙につき、貼りカール値|δL|を測定した。また、複写処理時の通紙カール、ねじれカール、搬送性を測定した。予め測定した電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向と共に測定結果を表2に示す。
【0085】
評価方法:
<カール軸とカール方向>
電子写真用転写紙より、2辺がMD軸に平行になるように、10cm×10cmのサンプルを用意し、オモテ面、ウラ面およびMD軸を記録する。サンプルはCD軸に平行な一辺に近い中央に事務用パンチャーで穴をあけ、105℃の恒温器中に吊して5分間処理した後、直ちに23℃、50%の恒温恒湿器内の水平な平面上にオモテ面を上にして置いて5分間処理した後、カール軸(MD軸またはCD軸。ねじれが加わった場合はいずれか傾向が強いカール軸をそのサンプルのカール軸とする。)、およびカール方向(オモテ面方向へのカールをプラスカール、ウラ面方向へのカールをマイナスカールとする。)を測定する。
【0086】
<貼りカール>
電子写真用転写紙より、MD方向の平行な辺を50mm、CD方向に平行な辺を200mmのサンプルを10枚用意し、5枚をオモテ内巻き、もう5枚をオモテ外巻きで、直径110mmである円筒(紙管を用いた)に、CD方向(MD軸カールとなるように)に巻き付け、調湿処理(23℃、50%RH、24hr)する。24hr処理後にサンプルを取り出し直後、オモテ内巻き5枚とオモテ外巻き5枚をそれぞれセロテープにて両端を止める。5枚を重ねる意図は、単に1枚だけではこわさが無く僅かな風でも変化し測定精度が劣ることから、5枚重ねとしてこわさを出しているに過ぎない。水平な平面上にサンプルを立て両端の間隔をmm単位まで測定して貼りカール値とする。処理、および測定はオモテ内巻き、オモテ外巻きを同時に実施し、オモテ内巻き貼りカール値Liとオモテ外巻き貼りカール値Luとして表す。オモテ内巻き貼りカール値Liとオモテ外巻き貼りカール値Luの差の絶対値をmm単位まで求めて、貼りカール値|δL|として表す。貼りカール値|δL|が大きいほどどちらかの面の側により曲がりやすいことを意味する。(図15および図16参照。)
【0087】
<通紙カール>
電子写真用複写機で片面および両面100枚連続通紙後の電子写真用転写紙を、直ちに平面上に置き、上部より見下ろした場合、通紙方向の1辺の左角をA、右角をB、後尾の一辺の右角をC、左角をDとして、A点、B点、C点、D点より平面上に垂線を下ろした時、1mmまで測定した各角の平面までの距離をa、b、c、dとする。これらの測定値の最大値を測定して通紙カールとする。電子写真用複写機は、キャノン社製NP6250を用いた。判定に当たって、◎:通紙カールが非常に良好、○:通紙カールが良好、△:通紙カールがやや不良であるが、電子写真用転写紙としての商品価値上クレームが発生しない使用限界内、×:通紙カールが不良で使用不可とし、以下の測定値に基づいて示した。単位はmmである。
◎:20mm以下
○:21mm以上24mm以下
△:25mm以上28mm以下
×:29mm以上
【0088】
<ねじれカール>
電子写真用複写機で片面および両面100枚連続通紙後の電子写真用転写紙を、直ちに平面上に置き、上部より見下ろした場合、通紙方向の1辺の左角をA、右角をB、後尾の一辺の右角をC、左角をDとして、A点、B点、C点、D点より平面上に垂線を下ろした時、1mmまで測定した各角の平面までの距離をa、b、c、dとする。これらの測定値より求めた(a+c−b−d)/2の絶対値をねじれカールとする。電子写真用複写機は(キャノン社製NP6250)を用いた。判定に当たって、○:電子写真用転写紙としての商品価値上クレームが発生しない使用限界内、×:ねじれカールが不良で使用不可とし、以下の測定値に基づいて示した。単位はmmである。
○:3mm以下
×:4mm以上
【0089】
<処理時間>
電子写真用複写機で片面100枚連続通紙に掛かる処理時間を秒単位で測定する。
【0090】
<頁めくり性>
電子写真用複写機で片面100枚連続通紙後に左辺綴じにて製本し、手触り感にて頁めくり性を評価。めくり易いものを○、めくり難いものを×とした。
【0091】
<搬送性>
電子写真用複写機で片面、および両面100枚連続通紙時に一度でも搬送不良が発生したものを×。発生しなかったものを○とした。
【0092】
【表1】
Figure 2004354639
【0093】
【表2】
Figure 2004354639
【0094】
表1より明らかなごとく、電子写真用転写紙が木材繊維を主成分とするパルプスラリーを用いて抄造した紙であって、該紙の断裁を縦目とし、複写時の通紙方向を横通しとした実施例1の場合にのみ、ねじれカールの発生なし、処理時間の短縮、および頁めくりのし易さの全てを満たすことが可能である。さらに表2から、該紙の断裁を縦目とし、複写時の通紙方向を横通しとした場合に、ヒート処理後に調湿した際に、カール軸を有しない面の側を最終の被複写面の側とした実施例1〜10の場合のみ、搬送不良の発生なし、通紙カールの良化、ねじれカールの発生なしの全てを満足することが出来ることができる。また、ヒート処理後に調湿した際に、カール軸を有しない面の側を最終の被複写面の側としても、貼りカール値|δL|が15mmを越える場合には、通紙カールが使用可能限界内にまで悪化することも判る。
【0095】
【発明の効果】
電子写真用転写紙において、木材繊維を主成分とするパルプスラリーを用いて抄造した原紙であって、該紙の断裁を縦目、かつ複写時の通紙方向を横通しとし、さらにはヒート処理後に調湿した際に、カール軸を有しない面の側を最終の被複写面とすることにより、ねじれカールの発生がなく、通紙カールが確実に小さくなり、かつ搬送中の紙詰まりなどの搬送性不良、ならびに複写後の紙揃い不良などのトラブルの発生を著しく低減し、さらには単位時間当たりの処理枚数の向上や、製本時のめくり易さの向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】断裁処理を縦目とし、通紙方向を横通しとしたカセットへのサンプルセットの状況を示す概念図。
【図2】断裁処理を横目とし、通紙方向を横通しとしたカセットへのサンプルセットの状況を示す概念図。
【図3】断裁処理を縦目とし、通紙方向を縦通しとしたカセットへのサンプルセットの状況を示す概念図。
【図4】断裁処理を横目とし、通紙方向を縦通しとしたカセットへのサンプルセットの状況を示す概念図。
【図5】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のウラ面の側により曲がりやすい性状を有するもので、(1)カール軸、およびカール方向がオモテ面上置きがMD軸(−)カールとなるカール、(2)カール軸、およびカール方向がウラ面上置きがカール軸を有しない状況となるカール、である概念図。
【図6】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のオモテ、ウラ面にも曲がりバランスされ、(1)カール軸、およびカール方向がオモテ面上置きがカール軸を有しない状況となるカール、(2)カール軸、およびカール方向がウラ面上置きがカール軸を有しない状況となるカール、である概念図。
【図7】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、片面複写(オモテ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(4)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をウラ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をオモテ面複写した時に、弱いMD軸(+)カールとなる定着カールの概念図。
(3)(2)の定着後の電子写真用転写紙がオモテ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、MD軸(−)カールとなる吸脱湿カールの概念図。
(4)(2)の定着カールと(3)の吸脱湿カールが合成したCD軸(+)ねじれカールとなる通紙カールの概念図。
【図8】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、片面複写(ウラ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(4)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をオモテ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をオモテ面複写した時に、強いMD軸(−)カールとなる定着カールの概念図。
(3)(2)の定着後の電子写真用転写紙がウラ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、カール軸を有しない状態となる吸脱湿カールの概念図。
(4)(2)の定着カールと(3)の吸脱湿カールが合成したMD軸(−)カールとなる通紙カールの概念図。
【図9】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、両面複写(オモテ→ウラ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(5)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をウラ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をオモテ面複写した時に、弱いMD軸(+)カールとなる最初の定着カールの概念図。
(3)(2)の電子写真用転写紙をウラ面複写した時に、弱いMD軸(−)カールとなる最終の定着カールの概念図。
(4)(3)の定着後の電子写真用転写紙がウラ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、カール軸を有しない状態となる吸脱湿カールの概念図。
(5)(3)の定着カールと(4)の吸脱湿カールが合成した弱いMD軸(−)カールとなる通紙カールの概念図。
【図10】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置きはMD軸(−)カールとなり、ウラ面上置きはカール軸が発生しない場合の、両面複写(ウラ→オモテ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(5)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をオモテ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をウラ面複写した時に、強いMD軸(−)カールとなる最初の定着カールの概念図。
(3)(2)の電子写真用転写紙をオモテ面複写した時に、弱いMD軸(−)カールとなる最終の定着カールの概念図。
(4)(3)の定着後の電子写真用転写紙がオモテ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、MD軸(−)カールとなる吸脱湿カールの概念図。
(5)(3)の定着カールと(4)の吸脱湿カールが合成したMD軸(−)カールとなる通紙カールの概念図。
【図11】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置き、ウラ面上置きともにカール軸が発生しない場合の、片面複写(オモテ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(4)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をウラ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をオモテ面複写した時に、弱いMD軸(+)カールとなる定着カールの概念図。
(3)(2)の定着後の電子写真用転写紙がオモテ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、カール軸を有しない状態となる吸脱湿カールの概念図。
(4)(2)の定着カールと(3)の吸脱湿カールが合成した弱いMD軸(+)カールとなる通紙カールの概念図。
【図12】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置き、ウラ面上置きともにカール軸が発生しない場合の、片面複写(ウラ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(4)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をオモテ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をウラ面複写した時に、弱いMD軸(−)カールとなる定着カールの概念図。
(3)(2)の定着後の電子写真用転写紙がウラ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、カール軸を有しない状態となる吸脱湿カールの概念図。
(4)(2)の定着カールと(3)の吸脱湿カールが合成した弱いMD軸(−)カールとなる通紙カールの概念図。
【図13】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置き、ウラ面上置きともにカール軸が発生しない場合の、両面複写(オモテ→ウラ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(5)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をウラ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をオモテ面複写した時に、弱いMD軸(+)カールとなる最初の定着カールの概念図。
(3)(2)の電子写真用転写紙をウラ面複写した時に、弱いMD軸(−)カールとなる最終の定着カールの概念図。
(4)(3)の定着後の電子写真用転写紙がウラ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、カール軸を有しない状態となる吸脱湿カールの概念図。
(5)(3)の定着カールと(4)の吸脱湿カールが合成した弱いMD軸(−)カールとなる通紙カールの概念図。
【図14】電子写真用転写紙のヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、オモテ面上置き、ウラ面上置きともにカール軸が発生しない場合の、両面複写(ウラ→オモテ面複写)した時の、カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙(1)〜複写処理後の複写紙(5)に至るカールの態様を示す概念図。
(1)電子写真用転写紙をオモテ面上の状態でカセットにセットしたカールの概念図。
(2)(1)の電子写真用転写紙をウラ面複写した時に、弱いMD軸(−)カールとなる最初の定着カールの概念図。
(3)(2)の電子写真用転写紙をオモテ面複写した時に、弱いMD軸(+)カールとなる最終の定着カールの概念図。
(4)(3)の定着後の電子写真用転写紙がオモテ面上にて排出された時の吸脱湿カールを擬似的にオモテした、電子写真用転写紙をヒート処理後に調湿した際のカール軸、およびカール方向が、カール軸を有しない状態となる吸脱湿カールの概念図。
(5)(3)の定着カールと(4)の吸脱湿カールが合成した弱いMD軸(+)カールとなる通紙カールの概念図。
【図15】貼りカール値測定において、電子写真用転写紙を調湿処理(23℃、相対湿度50%、24hr)する際、直径110mm紙管に電子写真用転写紙をオモテ内巻きで巻き付けた状況を示す概念図。
【図16】貼りカール値測定において、貼りカール値|δL|を測定する際の、サンプルセットの状況を示す概念図。
【符号の説明】
1 カセットにセットされた複写処理前の電子写真用転写紙
2 ヒート処理後に調湿した際の電子写真用転写紙
3 片面複写での定着直後の電子写真用転写紙
4 定着後、排出された複写処理後の電子写真用転写紙
5 両面複写での最初の定着直後の電子写真用転写紙
6 両面複写での最終の定着直後の電子写真用転写紙
7 貼りカールサンプル
8 紙管
9 台

Claims (2)

  1. 抄紙機の流れ方向(以下、MD方向と略す。)と長辺方向が一致する縦目に断裁した電子写真用転写紙を用い、複写時の通紙方向が横通しとなるように電子写真用複写機に装着し、かつヒート処理し、調湿処理した時に、カール軸を有しない側の面が最終の被複写面となるように複写することを特徴とする電子写真用転写紙の複写方法。
  2. 電子写真用転写紙が、下記の貼りカール測定法に基づいてオモテ面を内巻きにした時の貼りカール値Liとオモテ面を外巻きとした時の貼りカール値Luとの差の絶対値|δL|が15mm以下であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用転写紙の複写方法。
    貼りカール測定法:MD方向に平行な辺を50mm、抄紙機の流れ方向に直交する方向(以下、CD方向と略す。)に平行な辺を200mmとする電子写真用転写紙のサンプルを10枚用意し、5枚をオモテ内巻き、もう5枚をオモテ外巻きとして直径110mmの円筒体にMD軸カールとなるようにCD方向に巻き付け、23℃/相対湿度50%/24hrの条件にて調湿処理して後、サンプルの取り出し直後に、オモテ内巻き5枚とオモテ外巻き5枚をそれぞれ束ねたまま水平な平面上にサンプルを立てて両端の間隔をmm単位まで測定し、オモテ内巻き貼りカール値Liとオモテ外巻き貼りカール値Luとし、LiとLuの差の絶対値を求めて、貼りカール値|δL|として表す。
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