JP2004354592A - 光学フィルタ、光学フィルタの製造方法、光量調節装置および光学機器 - Google Patents
光学フィルタ、光学フィルタの製造方法、光量調節装置および光学機器 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】透明基材111と、この透明基材の表面に形成されたインク受容層112とを有し、インク受容層112が、実質的に透明な第1の領域101Rと、着色されたインクを含み光量調節可能な第2の領域101Pとで構成された光学フィルタであって、第1の領域101Rおよび第2の領域101Pにおける光路長が略等しくなっている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等の撮影装置や光学機器等に使用される光量調節装置における光学フィルタに関するものであり、特に、分光透過特性が可視光域においてほぼ一定であるNDフィルタの製造に好適な光学フィルタの製造方法、この光学フィルタを用いた光量調節装置及び光学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器には、光量調節のために絞り装置が組み込まれている。そして、この絞り装置においては、通常、絞り羽根を用いて光量を調節することが行われている。
【0003】
しかし、特に、高輝度被写体に対しては、その絞り径が小さくなり過ぎると、回折による解像力の劣化が生じるため、絞り径に制限を加えると同時に、光量調節部材としてNeutral Densityフィルタ(以下、NDフィルタと略す)等を用いて通過光量を制限し、これにより画質低下を防止している。
【0004】
具体的には、絞り羽根の一部に、絞り羽根とは別部材であるNDフィルタを接着剤で装着した構成とし、被写体が高輝度の時には、絞り径をあまり小さくなるまで絞り込まずに絞り開口を一定の大きさに維持し、その代わりにNDフィルタを光軸上に位置させるようにして通過光量を制限(光量調節)している。
【0005】
一方、NDフィルタとして、その光量調節機能に勾配(以下、濃度勾配と呼ぶ)を有したフィルタを用い、このフィルタを光軸に対して進退させることにより、更なる光量調節を行うこともある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
また、NDフィルタを絞り羽根に装着せずに、独立して光学的作用を持たせて構成した絞り装置も種々提案されている。
【0007】
上述したような絞り装置における光量調節部材としてのNDフィルタには、通常、金属膜又は誘電体膜を蒸着等により成膜したものや、これらを多層積層したものが一般に使用されている。これは、これらの材料が、光学特性が良好で、且つ、耐久性が優れていることに起因している。
【0008】
また、その他のNDフィルタとしては、ガラスや、透明フィルムの形成材料であるセルロースアセテート、PET等中に、光を吸収する染料や顔料を混ぜて練り込むことにより形成されたフィルタや、上記の材料からなる透明基材に光を吸収する染料や顔料を塗布することにより形成されたフィルムがある。
【0009】
さらに、銀塩フィルムを利用したNDフィルタの製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
一方、濃度勾配を有する光学フィルタは、分光透過特性が一定でなくとも、レーザービームプリンタ等の光量調節装置として利用されている(例えば、特許文献4参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−95208号公報
【特許文献2】
特開平11−15042号公報
【特許文献3】
特開平5−173004号公報
【特許文献4】
特開平11−14923号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蒸着により膜を形成してなるNDフィルタは、この製造装置の規模が大きくなること、製造工程が複雑であること等の理由により、製品コストが高くなるという問題がある。
【0013】
また、フィルム等の形成材料中に染料や顔料を練り込むタイプや、基材表面に染料や顔料を塗布するタイプのものでは、均一濃度のNDフィルタを作成することはできても、濃度勾配を有するフィルタを作製することは非常に困難である。
【0014】
ここで、特許文献3におけるNDフィルタの製造方法のように、銀塩フィルムを利用すれば濃度勾配を有するフィルタを作成することも可能であるが、フィルム中に残存する銀粒子によって光の散乱が生じ、フィルタの光学特性が悪化するという問題点がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、安価で、且つ、光学特性の優れた光量調節部材である光学フィルタと、この光学フィルタの簡易な製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、上記した簡便な製造方法によって製造された、安価でしかも優れた光学特性を有する光学フィルタを具備する光量調節装置及び光学機器を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願第1の発明は、透明基材と、この透明基材の表面に形成されたインク受容層とを有し、インク受容層が、実質的に透明な第1の領域と、着色されたインクを含み光量調節可能な第2の領域とで構成された光学フィルタであって、第1の領域および第2の領域における光路長が略等しいことを特徴とする。
【0017】
すなわち、第1の領域および第2の領域における光路長を略等しくすることにより、例えば、本発明の光学フィルタを撮影装置における光量調節装置に用いた場合において、撮影画像の解像度が低下するのを防止することができる。
【0018】
具体的には、第1の領域および第2の領域におけるインク受容層の厚みを略等しくすることで、光路長を略等しくすることができる。
【0019】
ここで、インク受容層のうち第1の領域に実質的に透明なインクを含ませ、第2の領域に着色されたインクを含ませることにより、第1の領域および第2の領域におけるインク受容層の厚みを略等しくすることができる。すなわち、インク受容層にインクを含ませると、インクを含ませた分だけインク受容層の厚みが厚くなるため、光量調節可能な第2の領域にインク(着色されたインク)を含ませるだけでなく、実質的に透明な領域となる第1の領域にもインク(実質的に透明なインク)を含ませることにより、インク受容層の厚みを第2の領域および第1の領域で略等しくすることができる。
【0020】
一方、第1の領域および第2の領域における光路長差は、可視光帯域において1/4波長以下であることが好ましい。
【0021】
なお、第2の領域において透過率を変化、すなわち、濃度勾配を設けるようにしてもよい。また、第2の領域における可視光帯域の分光透過率を略等しくするようにしてもよい。
【0022】
またインク受容層上にインク受容層を保護し,かつ平坦化する平坦化層および反射防止膜層を設けてもよい。
【0023】
本願第2の発明は、実質的に透明な第1の領域と、着色されて光量調節可能な第2の領域とを有する光学フィルタの製造方法であって、透明基材の表面にインク受容層を形成する受容層形成工程と、インク受容層のうち第1の領域に、実質的に透明なインクを付与し、インク受容層のうち第2の領域に、着色されたインクを付与するインク付与工程とを有することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、インク受容層にインクを付与するだけであるため、既存のインクを付与するための装置を用いて、光量調節機能を備えた光学フィルタを製造することができる。
【0025】
このため、従来技術のように蒸着処理や、染料等を練り込んで光学フィルタを製造する必要はなく、非常に容易に、しかも歩留まりよく安価に、光学特性に優れた光学フィルタを製造することができる。しかも、インクの付与状態を調整することで、均一濃度の光学フィルタだけでなく、濃度勾配を有する光学フィルタも容易に製造することができる。
【0026】
ここで、インクを付与する際には、第1の領域および第2の領域における光路長が略等しくなるようにインクを付与することが好ましい。具体的には、第1の領域および第2の領域におけるインク受容層の厚みが略等しくなるようにインクを付与する。
【0027】
さらにインクを付与したインク受容層上に、インク受容層を保護し、かつ平坦化する平坦化層および反射防止膜層を形成する工程を有することが望ましい。
【0028】
なお、本発明の光学フィルタは、光通過口の開口面積を変化させるとともに、光学フィルタを光通過口内に進退させる光量調節部材を備えた光量調節装置に用いることができる。そして、この光量調節装置は、カメラやレーザービームプリンタ等の光学機器に用いることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明の製造方法によって光量調節部材である光学フィルタを製造する場合には、まず始めに、透明基材上にインクを吸収するためのインク受容層を形成する。インク受容層の形成工程については後に説明する。透明基材の材料としては、透明基板を光学フィルタとして用いる場合における、機械的強度及び光学的特性等の必要特性を有していれば、特に限られるものではない。
【0031】
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテート、トリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等を透明基材の材料として用いることができる。また、上述した必要特性を満たすものであれば、ガラス製の基材も使用可能である。
【0032】
本発明の光学フィルタの製造方法では、上述した透明基材の表面に、後述のようにしてインク受容層を形成する。ここで、インク受容層に用いられる材料としては、インクを吸収し、インク中の色材をインク受容層中に受容して定着し得るものであればいかなるものでもよく、具体的には下記に挙げるような水溶性樹脂および水分散性樹脂を用いることができる。
【0033】
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、及びアニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;水系ポリウレタン;ポリビニルピロリドン、及びビニルピロリドンと酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、4級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系水溶性樹脂;及びカチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、或いはこれらの変性物、少なくともポリエステルとポリウレタンとを含むグラフト共重合体等の合成樹脂;又、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂が挙げられる。
【0034】
また、水分散性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコン−アクリル系共重合体等が挙げられる。
【0035】
さらに、上述した樹脂にアルミナ水和物や非晶質シリカ等を含有させた塗工液を、透明基材の表面に塗工して、この塗工膜に細孔部(アルミナ水和物や非晶質シリカの微粒子間の隙間)を生じさせ、この細孔部にインクを吸収させる隙間吸収タイプのインク受容層を用いることも可能である。
【0036】
また、インク受容層のコーティング性、インクの吸収性能の制御、光学フィルタの機械的特性の向上等のために、インク受容層の形成材料中に、界面活性剤、架橋剤、染料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防カビ剤及び可塑剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
【0037】
インク受容層を形成する方法としては、例えば、下記のようにして行う。まず、上述したインクを受容しうる水溶性樹脂および水分散性樹脂等の材料を、必要に応じて添加される他の添加剤と共に、水若しくはアルコール、多価アルコール類、又は他の適当な有機溶媒等から選択される液媒体に溶解又は分散させて塗工液を調製する。
【0038】
次いで、得られた塗工液を、例えば、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲ−トロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、スピンコート法等の塗工方法によって、透明基材表面に塗工する。その後、例えば、熱風乾燥炉、熱ドラム、ホットプレート等を用いて、塗工膜を乾燥させることでインクを含有したインク受容層が形成される。
【0039】
本発明における光学フィルタの製造方法は、上記のようにして透明基材上にインク受容層を形成した後、液体吐出装置を用いてインク受容層にインクを吐出させることにより光学フィルタを製造するものである。具体的には、液体吐出装置に設けられたインクジェットヘッドを透明基材に対して相対的に走査させながら、インクジェットヘッドからインク受容層にインクを吐出させる。
【0040】
本発明において用いられるインクとしては、インクジェットヘッドにより吐出可能なものであれば特に限られるものではない。ここで、インクとしては、水系インク、油系インク共に用いることができるが、インクジェットヘッドからの吐出信頼性の点から水系インクを使用することが好ましい。
【0041】
光学フィルタに光量調節機能を付与するためのインクの色材としては、各種の染料や顔料を用いることができる。例えば、NDフィルタを製造する場合においては、可視光域全域にわたって、ほぼフラットな透過率特性が求められるため、各種染料や顔料を適宜組み合わせたものを色材として使用することが望ましい。
【0042】
本発明において用いられるインクは、上述した色材と液媒体とで構成される。この液媒体としては、水又は各種の有機溶剤が挙げられ、水性媒体としては、下記に挙げるような各種の水溶性有機溶剤を用いることができる。
【0043】
すなわち、水溶性有機溶剤には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2、6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0044】
上述の水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。また、本発明で使用するインクとしては、上記の成分の他に、所望の物性値を持つインクとするために、必要に応じて例えば、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等の各種の添加剤を添加したものを用いることができる。
【0045】
本発明においては、透明基材上に形成されたインク受容層に、液体吐出装置を利用して上記のような成分(液媒体)と色材を含むインクを付与して、所望の光量調節領域を形成する。また、光量調節領域以外の透明領域には、色材を含まない(実質的に透明な)インクを付与する。
【0046】
この場合のインクの付与方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたサーマルタイプ、インク内に気泡を生じさせることによりインクを吐出させるインク付与方式や、圧電素子を用いてこの圧電素子の振動によりインクを吐出させるピエゾタイプのインク付与方式が利用可能である。
【0047】
以下に示すように、インクの吐出量を変化させる必要がある場合には、吐出量の変調を比較的簡単に行うことができるピエゾタイプのインク付与方式を用いることが好ましい。
【0048】
インクジェットヘッドを駆動してインクを付与する装置としては、市販の液体吐出装置を用いることも可能であるが、この場合には、プリンタドライバによるガンマ補正や色変換の処理が行われるため、若干の留意が必要である。従って、インクの吐出条件に対応可能な液体吐出装置を用いることが好ましい。
【0049】
本発明では、インクジェットヘッドから吐出されるインクの状態を適宜に制御することで、均一の光量調節機能(均一濃度)を付与した光量調節領域を形成したり、連続的に又は段階的に光量調節機能が変化した濃度勾配を有する光量調節領域を形成したりすることが可能である。特に本発明による製造方法によれば、濃度勾配を有する光学フィルタも、均一濃度の光学フィルタと同じ工程で簡便に作成することが可能である。
【0050】
この点は、従来技術で説明した蒸着等によって光学フィルタを製造する場合と大きく異なる点であり、製造上有利な点でもある。
【0051】
インク受容層に付与されたインクによって形成される光量調節領域の状態は、例えば、インクジェットヘッドから吐出されるインクの吐出量、インク受容層表面におけるインクの吐出位置、使用されるインクの種類やインクドットの数を制御することによって所望の状態とすることができる。
【0052】
上述したように、本発明では、光量調節領域以外の領域、つまり透明領域には色材を含まないインクを付与している。この場合、インクの吐出量やインクのドット数を制御することによって、透明領域と光量調節領域の光路長を同じにすることが可能となる。
【0053】
透明基材上のインク受容層にインクを付与した後、必要に応じて、熱風乾燥炉、熱ドラム、ホットプレート等を用いて乾燥を行ってもよい。特に、インクを吸収しうる材料中に架橋剤を混合した場合には、加熱又は光照射を行うことにより、インク受容層を硬化させる処理を行うことが効果的である。これにより、光学フィルタを機械的強度に優れたものとすることができる。
【0054】
本発明の光学フィルタの製造方法では、上述したように透明基材のインク受容層上に色材を含むインクを付与して光量調節領域を形成した後、透明領域に色材を含まないインクを付与して、光量調節領域と透明領域の光路長を等しくする。また、必要に応じて、インク受容層上に透明の平坦化層を設けることも好ましい形態である。
【0055】
この透明平坦化層は、インク受容層の表面や、内部における光散乱を防ぐ目的で設けられるものである。透明平坦化層の形成に用いられる材料としては、先に挙げたインクを受容し得る材料(インク受容層の材料)と比較した場合に、屈折率差の少ないものを使用することが好ましい。インク受容層および透明平坦化層間での屈折率の差が大きい場合には、これらの層境界面における反射等の影響によって、光学フィルタの散乱成分が増加するためである。
【0056】
透明平坦化層に用いられる材料としては、先にインクを受容し得る材料として列挙したもののうち、インク受容層との密着性が良好で、平坦化層を形成した場合の機械的強度、光学的特性等が光学フィルタの必要性能を満たし、且つ、インク受容層の上に積層可能な材料を好適に用いることができる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0057】
このような材料を塗工液として用い、インク受容層の表面に透明平坦化層の成膜を形成する場合、例えば、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、スピンコート法等の方法によって行うことができる。また、これらの方法により透明平坦化層の成膜を形成した後、例えば、熱風乾燥炉、熱ドラム、ホットプレート等を用いて成膜を乾燥させるようにしてもよい。
【0058】
また、先に述べた、インク受容層中にアルミナ等の粒子を含ませ、これらの粒子間に生じた隙間にインクを吸収させる隙間吸収タイプの光学フィルタである場合には、インクを付与した後、これらの隙間にシリコーンオイルや脂肪酸エステル等の液状材料を埋め込んでもよい。この場合には、充填した液状材料がインク受容層から流失することを防ぐために、上述したような透明平坦化層をインク受容層の表面に形成(被膜)することが好ましい。
【0059】
本発明の光量調節部材である光学フィルタの製造方法では、光学フィルタの光学特性を向上させる目的で、透明平坦化層や透明基材上に反射防止膜等を形成してもよい。反射防止膜として使われる材料としては,表面反射を防止できる材料であればよく,例えば蒸着膜に使用される無機物でもよく,またフッ素樹脂などのような有機物でも構わない.しかし,本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0060】
以下、本発明の光学フィルタの製造方法、この方法によって得られる本発明の光学フィルタ、この光学フィルタを用いた光量調節装置について、実施例を挙げて具体的に説明する。
【0061】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明において、「部」或いは「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
【0062】
(第1実施例)
図1から図7は、本発明の第1実施例を説明する図である。本実施例においては、光量調節部材として可視光を各波長帯域に渡って一様に減衰するNDフィルタとしているが、可視帯域内の特定波長帯の光を減衰させる光学フィルタ、紫外線や赤外線を減衰させる光学フィルタにも同様に適用できる。
【0063】
図1(a)は、NDフィルタの正面図である。同図において、110はNDフィルタであり、実質的に透明な第1の領域である透明領域101Rと光量調節機能を有する第2の領域である光量調節領域101Pとで構成されている。 図1(b)は、図1(a)でのA−A’におけるNDフィルタの断面図である。
【0064】
本実施例におけるNDフィルタの製造方法について以下に説明する。
【0065】
まず、NDフィルタ110の透明基材として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム111を用い、この上面に下記の方法でインク受容層112を形成する。
【0066】
塗工液として、ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製、ゴーセノールGM−14L)を用い、このポリビニルアルコール樹脂が固形分換算で10部となる水溶液を調製した。次に、得られた塗工液をワイヤーバーを用いて、透明基材であるPETフィルム111上に塗工した後、熱風乾燥オーブンによって、100℃、5分の条件で乾燥を行った。このようにして作製したインク受容層112の厚みは7μmであった。
【0067】
本実施例では、NDフィルタ110に光量調節機能を付与するためのインクを、下記の方法で調製した。すなわち、図1のNDフィルタ110のうち透明領域101Rに付与される色材を含まないインク(インク1)を1種類、光量調節機能を有する光量調節領域101Pに付与する色材を含むインク(インク2〜6)を5種類とし、計6種類のインクを調整した。
【0068】
光量調節機能を付与するインクとしては、表1に示す組成からなる色材濃度の異なる黒色の色材を含むインク2〜6の5種類である。
【0069】
また使用する色材は、可視光領域においてほぼフラットな分光透過率を得るために、数種類の染料を混合したものを使用するのが望ましい。
【0070】
【表1】
【0071】
そして、これらの異なる色材濃度を有する5種類の色材を含むインク(インク2〜5)および色材の含まないインク(インク1)を、PETフィルム111上に微小液滴吐出装置で付与することでNDフィルタを形成する。この形成方法を以下に述べる。
【0072】
図3は、微小液滴吐出装置201の構造を示したものである。同図において、PETフィルム111は、ピンチローラ212によってプラテン211に圧接保持される。そして、ラインフィードモータ213の回転に伴うピンチローラ212の回転により、PETフィルム111は矢印Av方向に搬送される。214はシートセンサで、PETフィルム111がプラテン211上に給紙されているか否かを検出する。
【0073】
231は記録ヘッドで、ガイド軸221により矢印AH方向に移動可能に保持されている。そして、記録ヘッド231は、キャリッジモータ222の回転に伴うベルト223の動作を受けて、プラテン211の長手方向に沿って一定速度で駆動される。記録ヘッド231の位置は、リニアエンコーダ224で検出される。225はホームポジションセンサで、記録ヘッド231が図中右端の初期位置に戻っているか否かを検出する。
【0074】
また、記録ヘッド231は6組のノズルユニットから形成されている。各ノズルユニットには、表1に示したインク1〜インク6が充填されている。また、各ノズルユニット内にはヒータが設けられており、このヒータの熱によりノズルユニット内のインクが気化して気泡が発生する。そして、気泡による圧力波によりインク液滴が吐出される。
【0075】
図4は、微小液滴吐出装置の制御回路図である。
【0076】
251は微小液滴吐出装置全体の動作を制御するCPU、252は電源投入や印刷開始等を指示するためのスイッチ群である。253は、インク受容層112に対するインクの印刷濃度パターン等を生成するPC(Personal Computer)等の外部機器である。
【0077】
CPU251からの制御信号を受けたモータ制御回路215は、ラインフィードモータ213を駆動する。これにより、PETフィルム111は、ピンチローラ212を介して図3中矢印Av方向に搬送(副走査)される。このとき、シートセンサ214は、PETフィルム111の有無を検知しており、プラテン211上にPETフィルム111が無いときには、PETフィルム111の給紙が行われるようになっている。CPU251からの制御信号を受けたモータ制御回路226は、キャリッジモータ222を駆動し、これにより記録ヘッド231が図3中矢印AH方向に駆動(主走査)する。
【0078】
具体的には、キャリッジモータ222として連続回転する直流モータが用いられ、CPU251はリニアエンコーダ224からの位置信号に基づいて、キャリッジモータ222の駆動を精密に制御する。ホームポジションセンサ225は、1回の主走査終了後に記録ヘッド231が初期位置に戻ったか否かを検出する。
【0079】
233は外部機器253で生成された濃度パターンを、微小液滴の吐出パターンに変換するための記録データ処理回路である。そして、この処理回路233で生成された信号に基づき、ヘッドドライバ232が記録ヘッド231内のヒータ244を発熱制御することにより、インク受容層112にノズルユニット内のインクが吐出される。
【0080】
本実施例では、表1に示す色材を含むインク2〜5を使用して、PETフィルム111におけるインク受容層112上にインクを付与し所定の濃度パターンを有した光量調節領域101Pを形成した。また、光量調節領域101P以外の領域には、色材を含まないインク1を付与し透明領域101Rを形成した。
【0081】
インク受容層112は高分子で形成されているため、このインク受容層112にインク、すなわち水分がとりこまれると膨潤し、この結果、インク受容層112の膜厚が変化する。光量調節領域101Pのみにインクを付与した場合には、光量調節領域101Pにおけるインク受容層112は膨潤するが、透明領域101Rにおけるインク受容層112は膨潤しない。その結果、光量調節領域101Pと透明領域101Rに段差が生じ、各領域101P、101Rにおける光路長が異なってしまう。
【0082】
これに対して、本実施例のように光量調節領域101Pだけでなく透明領域101Rにもインクを付与することで、どちらの領域のインク受容層も膨潤させて光量調節領域101Pおよび透明領域101Rにおける光路長を等しくしている。
【0083】
次に、インクが付与されたインク受容層112上に、以下のようにして透明平坦化層113を設けた。
【0084】
まず、インク受容層112を設けた基材上に、エポキシ系UV硬化樹脂をスピンコータにて塗布した。そのときのスピンコータの条件は、2,000rpm、60秒であった。塗布後、照射強度、200mW/cm2、60秒間の条件で、UV光を照射し、透明平坦化層113を作製した。このようにして作製された平坦化層の厚みは20μmであった。
【0085】
次いで、蒸着法によって反射防止膜114を形成した。反射防止膜の形成法、形成材料としては、特開平6−273601号公報に記載されているようにケイ素酸化物を主成分とするものと、酸化チタンを主成分とするものを用い、これらを抵抗加熱法或いは電子ビーム加熱法によって上記2種の材料を加熱蒸発させることにより交互に積層して5層からなる反射防止膜を形成した。
【0086】
その後、プレス工程で打ち抜くことで、所望の形状のNDフィルタ110を得た。
【0087】
なお、NDフィルタ110の光量調節領域101Pにおける透過率を段階的に、又は連続的に変化させた場合の光学的優位性は、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0088】
上述したように本発明における簡易な光学フィルタの製造方法によって、第2の領域である光量調節領域101Pの透過率が、段階的に、又は連続的に変化するように、着色パターンを形成して光量調節部材である光学フィルタを製造し、この光学フィルタを光量調節装置に適用すれば、簡易且つ経済的に優れた光量調節部材を用いているにもかかわらず、本発明の光量調節装置は、上記した公知技術(特許文献2等)の場合と同様の効果が得られる優れたものとなる。
【0089】
次に、本実施例で作製したNDフィルタを用いて、ビデオカメラ用の光量調節装置である絞り装置を作製した。図5(a、b)は、絞り装置を構成する部材の1つである絞り羽根を示したものである。101は、1枚の絞り羽根であり、110は、本発明の製造方法により製造され、絞り羽根101に組み込まれたNDフィルタである。
【0090】
図6は、上述の絞り羽根を備えた絞り装置の構成を示す図であり、101は、図5で示した第1の絞り羽根、102は、第2の絞り羽根である。103は、不図示のモータの軸に孔部103aにて嵌合されて、孔部103aを中心に回動可能な絞り羽根駆動レバーである。
【0091】
第1の絞り羽根101および第2の絞り羽根102は、この溝穴部において、絞り羽根駆動レバー103の両端に設けられた突設ピン103b、103cに係合している。105は、不図示の地板に形成されたガイドピンであり、第1の絞り羽根101及び第2の絞り羽根102の側縁部に形成された溝部に摺動可能に係合している。106は、地板に円形状に貫設されている光路孔部である。
【0092】
図6は、絞りが全開状態にあるときの絞り機構の正面図を示している。絞りが全開の状態から絞りを絞っていくと、絞りの開口部である光路孔部106を通過する光束は、第1の絞り羽根101及び第2の絞り羽根102により遮光されるとともに、濃度勾配を有する光学フィルタ110により減光される。これにより、光路孔部106を通る光束の透過率を徐々に低くすることができ、且つ、極端に絞りの開口面積を減少しなくとも充分な減光効果を得ることが可能となる。
【0093】
なお、絞り羽根に組込むNDフィルタの形状としては、図5(a)の点線110aに示すように、開放状態において不図示の地板の光路孔部106を覆わないような形状としたり、図5(b)の点線110bに示すように、開放状態においてNDフィルタの透明領域101Rが光路孔部106を覆うような形状としたりすることができる。
【0094】
本実施例のNDフィルタを備えた絞り装置を撮影装置に組み込んだ場合における、NDフィルタの光学特性を評価した。以下に、この評価結果を示す。
【0095】
光量調節装置を撮影装置における撮影光学系のレンズ内に組み込み、解像力チャートを撮影してMTFを測定した。なお、測定した解像力チャートの像面上での空間周波数は、63 line pairs / mmである。
【0096】
NDフィルタ110が光路孔部106の半分を覆っている状態(F2.4)での水平方向のMTFは、61.5%であった。
【0097】
これに対し、色材を含まない透明なインク1が透明領域101R(光量調節領域101S以外の領域)に付与されていないNDフィルタのMTFを測定した結果、41.5%であった。なお、このときの測定条件は、上述した本実施例のNDフィルタ110を用いて測定した場合と同じ条件である。
【0098】
以上より、本実施例のNDフィルタ110を用いた方がMTF値は向上するという結果が得られた。すなわち、色材を含まない透明なインクを透明領域101Rに付与する効果は充分にあることが分かった。
【0099】
また、図2に、本実施例におけるNDフィルタのレーザ干渉計による波面収差の測定結果を示した。図2は、図1のA−A’における透過波面収差の測定結果である。
【0100】
図2に示したように、本実施例におけるNDフィルタの波面の位相の最大値と最小値の差、すなわち波面収差は、0.2λであった。一般に、波面収差がλ/4以下であれば、撮影画像に影響しないと言われており、上記結果はこの値を充分に満足しうるものであった。
【0101】
図7は、図6で示した光量調節装置である絞り装置を光学装置内に配置したものである。本実施例では、光学装置として動画像又は静止画像を撮像素子で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録するビデオカメラを用いた場合について説明する。
【0102】
400は複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群401、第2レンズ群402、第3レンズ群403および、図6で示した絞り装置100で構成される。具体的には、第1レンズ群401は固定の前玉レンズ群、第2レンズ群402はバリエータレンズ群、第3レンズ群403はフォーカシングレンズ群である。404は光学ローパスフィルタである。
【0103】
撮影光学系400の焦点位置(予定結像面)には、撮像素子411が配置される。この撮像素子は、撮影光学系を介して受光した光エネルギを電荷に変換する複数の光電変換部と、変換された電荷を蓄える電荷蓄積部と、変換された電荷を外部に転送する電荷転送部とで構成されている。具体的には、2次元CCD等の光電変換素子が用いられる。
【0104】
421は、液晶ディスプレイ等の表示器で、CPU431からの制御信号に基づいて撮像素子411で取得した被写体像や、光学装置の動作状況を表示する。422は操作スイッチ群で、ズームスイッチ、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ、シャッター秒時等を設定する撮影条件スイッチで構成される。CPU431は、これらのスイッチからの出力に応じて所定の動作を行う。
【0105】
423はアクチュエータで、CPU431からの出力信号に応じて駆動する。このアクチュエータ423は、撮影光学系400の焦点状態を調節するためにフォーカシングレンズ群403を駆動したり、その他の部材を駆動したりするときの駆動源となる。
【0106】
CPU431では、撮像素子411で取り込まれた被写体像の平均濃度の大きさが自身内にメモリーされている適正露出に相当する数値と一致しているかどうかを算出し、両者に差がある場合は、この差分との絶対符号との絶対値に応じて、絞り開口を変化させ、もしくは、撮像素子411への電荷蓄積時間を変化させることになる。
【0107】
絞りを変化させる場合、CPU431は、絞り駆動回路432を介して、不図示のモータを駆動して図6に示す絞り羽根駆動レバー103を、孔部103aを回転中心に回動させる。これにより、絞り羽根101、102が図6中矢印fに示す方向に上下にスライド移動する。これにより、光路孔部106における開口面積の大きさが変化する。すなわち、絞り羽根駆動レバー103が、図6中時計方向に回動すれば光路孔部106の開口面積が徐々に小さくなり、反時計方向に回動すれば開口面積が大きくなる。
【0108】
このように絞りの開口面積又は電荷蓄積時間を変化させて最適の露出を得ることができる。
【0109】
最適露出にて、撮像素子411上に結像した被写体像は、この明るさの強弱に応じた画素毎の電荷量として、電気信号に変換される。そして、アンプ回路441で増幅された後、カメラ信号処理回路442で所定のγ補正等の処理が施される。なお、この処理は、A/D変換後のデジタル信号処理で行われてもよい。このようにして作られた映像信号はレコーダにて記録される.
本実施例において光学フィルタを備えた絞り装置を、上記のような構成の撮影装置(光学装置)に配置して画像を形成したところ、回折の影響の少ない良好な画像を記録することができた。
【0110】
なお、本実施例における絞り装置では、NDフィルタ110を絞り羽根101、102に装着した構成としたが、NDフィルタを絞り羽根に装着せずに独立した構成として使用してもよい。
【0111】
【発明の効果】
本願第1の発明である光学フィルタによれば、第1の領域および第2の領域における光路長を略等しくしているため、例えば、本発明の光学フィルタを撮影装置における光量調節装置に用いた場合において、撮影画像の解像度が低下するのを防止することができる。
【0112】
具体的には、第1の領域および第2の領域におけるインク受容層の厚みを略等しくすることで、光路長を略等しくすることができる。
【0113】
ここで、インク受容層のうち第1の領域に実質的に透明なインクを含ませ、第2の領域に着色されたインクを含ませることにより、第1の領域および第2の領域におけるインク受容層の厚みを略等しくすることができる。すなわち、インク受容層にインクを含ませると、インクを含ませた分だけインク受容層の厚みが厚くなるため、光量調節可能な第2の領域にインク(着色されたインク)を含ませるだけでなく、実質的に透明な領域となる第1の領域にもインク(実質的に透明なインク)を含ませることにより、インク受容層の厚みを第2の領域および第1の領域で略等しくすることができる。
【0114】
本願第2の発明によれば、インク受容層にインクを付与するだけであるため、既存のインクを付与するための装置を用いて、光量調節機能を備えた光学フィルタを製造することができる。
【0115】
このため、従来技術のように蒸着処理や、染料等を練り込んで光学フィルタを製造する必要はなく、非常に容易に、しかも歩留まりよく安価に、光学特性に優れた光学フィルタを製造することができる。しかも、インクの付与状態を調整することで、均一濃度の光学フィルタだけでなく、濃度勾配を有する光学フィルタも容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に関わるNDフィルタの正面図及び断面図。
【図2】本発明の第1実施例に関わるNDフィルタの波面収差の測定結果。
【図3】本発明の第1実施例で使用した微小液滴吐出装置の要部構造図。
【図4】本発明の第1実施例で使用した微小液滴吐出装置の制御回路図。
【図5】本発明の第1実施例に関わるNDフィルタを組込んだ絞り羽根の図(a、b)。
【図6】本発明の第1実施例に関わる絞り羽根を備えた絞り装置の図。
【図7】本発明の第1実施例に関わる絞り装置を組み込んだ撮影装置の構成図。
【符号説明】
100:光量調節装置
101R:透明領域 101P:光量調節領域
101、 102:絞り羽根 103:絞り羽根駆動レバー
105:ガイドピン 106:地板の光路孔部
110:NDフィルタ
111:PETフィルム 112:インク受容層 113:透明平坦化層
114:反射防止膜
201:微小液滴吐出装置
211:プラテン 212:ピンチローラ
213:ラインフィードモータ
214:シートセンサ 215:(ラインフィード)モータ制御回路
221:ガイド軸 222:キャリッジモータ
223:ベルト 224:リニアエンコーダ
225:ホームポジションセンサ
226:(キャリッジ)モータ制御回路
231:記録ヘッド 232:ヘッドドライバ
233:記録データ処理回路
251:CPU 252:スイッチ群
253:外部機器
400:撮影光学系
401:第1レンズ群(前玉レンズ群)
402:第2レンズ群(バリエータレンズ群)
403:第3レンズ群(フォーカシングレンズ群)
404:光学ローパスフィルタ
411:撮像素子 421:表示器
422:操作スイッチ群、 423:アクチュエータ
431:CPU 432:絞り駆動回路
433:CCD駆動回路
441:アンプ回路 442:カメラ信号処理回路
Claims (15)
- 透明基材と、この透明基材の表面に形成されたインク受容層とを有し、前記インク受容層が、実質的に透明な第1の領域と、着色されたインクを含み光量調節可能な第2の領域とで構成された光学フィルタであって、
前記第1の領域および前記第2の領域における光路長が略等しいことを特徴とする光学フィルタ。 - 前記第1の領域および前記第2の領域におけるインク受容層の厚みが略等しいことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
- 前記インク受容層は、前記第1の領域において実質的に透明なインクを含み、前記第2の領域において着色されたインクを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
- 前記第1の領域および前記第2の領域における光路長差が、可視光帯域において1/4波長以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学フィルタ。
- 前記第2の領域における透過率が一定であるか又は,段階的にあるいは連続的に変化していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学フィルタ。
- 前記第2の領域における可視光帯域の分光透過率が略等しいことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光学フィルタ。
- 前記インク受容層上に該インク受容層を保護し、且つ平坦化するための平坦化層とを有していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光学フィルタ。
- 前記インク受容層の前記平坦化層とは対向しない側の面上及び平坦化層の該第1の層とは対向しない側の面上の少なくとも一方に、反射防止層を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の光学フィルタ。
- 実質的に透明な第1の領域と、着色されて光量調節可能な第2の領域とを有する光学フィルタの製造方法であって、
透明基材の表面にインク受容層を形成する受容層形成工程と、
前記インク受容層のうち前記第1の領域に、実質的に透明なインクを付与し、前記インク受容層のうち前記第2の領域に、着色されたインクを付与するインク付与工程とを有することを特徴とする光学フィルタの製造方法。 - 前記インク付与工程において、前記第1の領域および前記第2の領域における光路長が略等しくなるようにインクを付与することを特徴とする請求項9に記載の光学フィルタの製造方法。
- 前記インク付与工程において、前記第1の領域および前記第2の領域におけるインク受容層の厚みが略等しくなるようにインクを付与することを特徴とする請求項9又は10に記載の光学フィルタの製造方法。
- 前記インク受容層上に該インク受容層を保護し、且つ平坦化するための平坦化層を積層する工程を有することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の光学フィルタの製造方法。
- 前記インク受容層の前記平坦化層とは対向しない側の面上及び平坦化層の該第1の層とは対向しない側の面上の少なくとも一方に、反射防止層を積層する工程を有することを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の光学フィルタの製造方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載の光学フィルタと、
光通過口の開口面積を変化させるとともに、前記光学フィルタを光通過口内に進退させる光量調節部材とを備えたことを特徴とする光量調節装置。 - 請求項14に記載の光量調節装置を備えたことを特徴とする光学機器。
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