JP2004198654A - 光量調節部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストが低く、製品歩留まりの高い、簡便な光量調節部材の製造方法によって得られ、しかも、着色部と透明部の境界面の回折による解像度の低下を生じない、画質低下の少ない光量調節部材の提供。又、上記に加えて、簡便な方法で得られる、光学濃度が連続的に或いは段階的に変化した濃度分布を有する領域(着色部)を持つ光量調節部材の提供、更に、多種多様の光量調節装置及び撮影装置に適用できる、安価で優れた特性を有する光量調節部材の提供
【解決手段】透明基材上に樹脂層が形成されており、該樹脂層が、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなることを特徴とする光量調節部材。
【選択図】 なし
【解決手段】透明基材上に樹脂層が形成されており、該樹脂層が、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなることを特徴とする光量調節部材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器や、或いは、電子写真方式記録装置等に使用される光量調節部材とその製造方法、光量調節装置及び撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の光学機器に用いられる結像(撮影)光学系には、一般に入射光束の光量を調節する光量調節装置、いわゆる絞り装置が内蔵されている。かかる絞り装置においては、複数の絞り羽根が所定面積の開口部を形成し、アクチュエータで該開口部の開口径を調節することで、開口部を通過する光束の量を調節している。しかし、該開口部の開口径を小さくするに従って、絞り羽根の端部で生ずる回折の影響が大きくなり、結像光学系の結像性能が低下する。これに対しては、上記欠点を回避する技術として、絞り羽根の一部に光量調節部材としての光学フィルタを設け、開口径を小さくする代わりに、光学フィルタで開口部を通過する光束の量(光量)を減衰させる技術が知られている。そして、このような目的に用いられる光学フィルタには、光の散乱、屈折異常、分光透過率偏差等の光学的欠陥が少ないことが要求される。
【0003】
従来より、上記の目的に用いられる光量調節部材としては、光透過性のフィルム状の材料中に、光を吸収する顔料や染料等の色材を混合して練り込むタイプのものが一般的である。しかしながら、この方式によって製造される光量調節部材は非常に高価であり、拡大する需要に対して要求されているコストダウンに対して十分に応えられるものではなかった。又、光透過性のフィルム状の材料中に色材を練り込む従来の方式では、連続的に、或いは段階的に変化する光学濃度分布を有する(以下、「多濃度の」と呼ぶ)光量調節部材を製造することは著しく困難である。
【0004】
又、他の製造方法として、銀塩フィルムを用いて多濃度の光量調節部材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この場合には、フィルタに内在する銀粒子表面での光束の反射や、銀粒子端部を通過する光束の回折により、該フィルタを通過した光線の直進性が損なわれて光学系の結像性能が低下する、といった銀塩フィルムを用いることによる特有の問題が生じる。
【0005】
又、蒸着法により多濃度の光量調節部材を製造する方法についての開示もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、この場合には、製造コストがかかり、高価なものとなるのに加えて、濃度によって膜厚が変化することが生じるために、濃度の高いところと低いところで膜厚差が生じ、結果として光路差が生じてしまい、解像力が低下するといった問題が発生する。又、この方式では、連続的に濃度分布が変化するものを製造することは困難であり、製造したとしても、濃度分布が段階的に変化するものになってしまう。
【0006】
又、その他の方式として、先ず、光によって褪色する有機色素をフィルム材料中に練り込み、得られたフィルムに部分的に高エネルギーの光を照射することで照射部分の有機色素を分解させ、これによって濃度分布を有する光量調節部材を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この方式では、使用可能な色材が、光によって褪色するものに限定されてしまうため、十分な光学的特性を有する製品を得ることが非常に困難である。更に、その製法から得られる製品は、非常に高価なものになってしまうであろうことは容易に推測できる。
【0007】
更に、蒸着或いは写真製版等の印刷工程により、単一濃度の膜を網点状に形成し、網点パターンを場所によって変えることで、透過率が無段階に変わる光量調節部材としてのフィルタの製造方法もが開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、上記の方法は、写真製版或いは蒸着で所定濃度の膜を形成するものであり、いずれの工程を採用したとしても、装置が大型化し、高価であり、フィルタの製造コストが高くなってしまうという課題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−173004号公報
【特許文献2】
特開平10−133254号公報
【特許文献3】
特開平10−96971号公報
【特許文献4】
特開2000−352736公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、製造コストが低く、製品歩留まりの高い、簡便な光量調節部材の製造方法によって得られ、しかも、着色部と透明部の境界面の回折による解像度の低下を生じない、画質低下の少ない光量調節部材を提供することにある。又、本発明の目的は、上記に加えて、簡便な方法で得られる、光学濃度が連続的に或いは段階的に変化した濃度分布を有する領域(着色部)を持つ光量調節部材を提供することにある。更に、本発明の目的は、多種多様の光量調節装置及び撮影装置に適用することができる、安価でしかも上記の優れた特性を有する光量調節部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、透明基材上に樹脂層が形成されており、該樹脂層が、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなることを特徴とする光量調節部材である。
【0011】
又、好ましい実施形態としては、下記のものが挙げられる。(1)上記した構成において、更に、樹脂層の上に透明樹脂層が積層されて平坦化処理されている光量調節部材、(2)樹脂層表面が研磨されて平坦化処理されている光量調節部材、(3)上記色材が、染料或いは顔料、又はこれらの混合物である光量調節部材、(4)上記特定の光学濃度領域が、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させることで形成された、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有する光量調節部材が挙げられる。
【0012】
又、本発明の別の実施形態としては、下記のものが挙げられる。(5)上記光量調節部材を製造するための製造方法であって、透明基材上に、液体吐出装置を用いて、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液と、透明樹脂を少なくとも含有する透明液を吐出し、上記透明基材上に該着色液及び該透明液を付与して、特定の光学濃度領域からなる着色部及び透明部を形成する工程を有することを特徴とする光量調節部材の製造方法、(6)更に、上記着色部及び透明部を形成する工程の後に、樹脂層の上に透明樹脂層を設けて平坦化処理する工程を有する光量調節部材の製造方法、(7)更に、上記着色部及び透明部を形成する工程の後に、樹脂層表面を研磨して平坦化処理する工程を有する光量調節部材の製造方法、(8)上記色材が、染料或いは顔料、又はこれらの混合物である光量調節部材の製造方法、(9)上記着色部の特定の光学濃度領域を、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させて、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を形成することで形成する光量調節部材の製造方法が挙げられる。
【0013】
又、本発明の別の実施形態としては、下記のものが挙げられる。(10)少なくとも上記いずれかの構成の光量調節部材が具備されていることを特徴とする光量調節装置、(11)光量調節装置と、被写体像を形成するための撮影光学系と、該被写体像を光電変換する撮像手段と、光電変換された信号を記録する記録手段とを有する撮影装置であって、上記撮影光学系に配置した光量調節装置が、上記光量調節装置であることを特徴とする撮影装置が挙げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明にかかる光量調節部材は、透明基材上に樹脂層が形成されており、該樹脂層が、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなることを特徴とする。以下、これらの構成材料について説明する。
【0015】
本発明の光量調節部材を構成する材料である透明基材としては、光量調節部材としての機械的強度及び光学的特性等の必要特性を有していれば、特に限られるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテート、トリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる透明フィルムを挙げることができる。又、上記した必要特性を満たすものであれば、透明ガラスも、基材に使用可能である。更に、上記に列挙した材料から適宜に選択される透明基材は、その表面を、プラズマ処理やUV処理、UVオゾン処理、コロナ処理、シランカップリング処理等の各種の処理を施すことで、透明基材の表面を改質してもよい。これらの処理は、当該透明基材上に着色液を付与して着色部を形成した場合に、着色液であるインクの広がりを制御したり、密着性を向上させるのに役立つ場合がある。
【0016】
本発明の光量調節部材は、上記したような材料からなる透明基材の上に、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなる樹脂層を有して構成されている。本発明社らの検討によれば、このように、光量調節部材の透明部を、従来のように透明基板によって形成するのではなく、着色部と同様に、透明基板上に形成した透明樹脂層とすれば、従来のものと比べて透明部と着色部の境界で回折が生じにくくなる結果、解像力の低下の少ない光学特性をもつを光量調節部材が得られることを見いだして本発明に至った。
【0017】
本発明では、少なくとも透明樹脂と色材とを含む着色液を使用して着色部を形成するが、この際に使用する着色液については後述する。先ず、透明基材に透明部を形成する際に使用する透明液について説明する。本発明では、透明液に、少なくとも透明樹脂を含むものを使用する。該透明樹脂としては、下記に挙げたようなものを使用することができるが、透明基材上に形成する樹脂層の形成に共に用いる着色液に含まれる透明樹脂と同一の樹脂を用いてもよいし、着色液に使用する透明樹脂とは種類の異なった樹脂を用いてもよい。又、透明液に使用する透明樹脂としては、特に、可視領域での着色が少ないものが望ましい。これに対して、着色液に使用する透明樹脂の場合は、透明液の場合と同様に可視領域での着色が少ないものが望ましいが、着色液に使用する顔料等の色材の結着剤として機能して色材を透明基材上に定着させることができ、且つ、使用する色材によって透明基材に付与される光学的な特性を損ねるものでない限り、特に限られるものではない。
【0018】
透明樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ブチラール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられるが、インクに水を含有させて液滴吐出装置から吐出させるためには親水性樹脂を用いることが、より好ましい。親水性樹脂としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合物塩等の、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合物塩、スチレン−メタクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合塩、ポリリン酸塩等の陰イオン性高分子、ポリビニルアルコール、メチロール化メラミンポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。本発明においては、これらの樹脂のうちから1種類を選択して、或いは、これらの中の2種類以上を混合して用いることができる。その他のものとして、例えば、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、及びアルギン酸ソーダ等の天然樹脂等、多数を列挙することができる。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0019】
次に、本発明において用いる着色液について説明する。該着色液は、少なくとも透明樹脂と色材とを含むが、該透明樹脂には、上記に列挙したものの中から適宜に選択して用いることができる。着色液中の色材としては、透明基材上に付与された場合に、特定の光学濃度を有する領域である着色部を形成し得るものであれば、いずれのものでもよい。従って、本発明でいう色材とは、可視光、紫外光、赤外光を含む所定波長帯の光の透過率を制御する材料を指す。
【0020】
本発明の光量調節部材であるNDフィルタ(Neutral Density Filter)を製造する場合には、例えば、可視光帯域全体に渡って均一な、特定の透過特性を与える色材が利用できる。勿論、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、赤外線カメラ用の光量調節装置に用いる光量調節部材とする場合には、赤外域の特定波長のみを透過する材料を用いるが、これも本発明でいう色材に含まれる。更に、透過光量を制御する際の光の吸収が、材料内部で生じるものや、材料表面で生じるもの等、いずれも本発明でいう色材に含まれる。具体的には、各種染料や顔料を用いることができる。顔料としては、有機顔料、無機顔料(各種金属、各種金属酸化物、金属窒化物等その複合体、有機微粒子等との複合体)も使用可能である。又、以上のような各種染料、有機顔料、無機顔料等を適宜混合し使用することができる。
【0021】
本発明において用いる着色液には、その他に、上記で説明した透明樹脂や色材を溶解或いは分散させる目的で、通常、液媒体が含まれる。水系の液媒体としては、水、或いは水と各種水溶性有機溶剤との混合物が用いられる。この際に用いる水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独で使用しても、或いは混合物としても使用してもよい。
【0022】
本発明において用いる着色液には、更に、上記の成分の他、必要に応じて所望の物性値を持つ着色液とするために、各種の、界面活性剤、染料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、可塑剤、防腐剤等を添加させることができる。又、アルミナ水和物、シリカ、及び炭酸カルシウム等の微粒子を上記の着色液に混合分散させたものも、本発明で所望する光学的特性を満たす範囲内で、適宜に使用できる。
【0023】
本発明において用いる、上記したような透明樹脂を含有してなる着色液若しくは透明液は、微小液滴吐出装置によって吐出可能なものであれば、特に限られるものではない。又、着色液若しくは透明液としては、水系及び油系のものを共に用いることができるが、微小液滴吐出装置からの吐出信頼性の点から、水系の着色液及び透明液を使用することが好ましい。
【0024】
本発明の光量調節部材は、上記のような構成を有する着色液及び透明液を用い、先に列挙したような透明基材上に、これらの液を微小液滴吐出装置を用いて吐出し、透明基材上に着色液若しくは透明液を付与して、特定の光学濃度を有する領域である着色部と透明部を有するる樹脂層を形成する。この際に使用することのできる着色液及び透明液を吐出して透明基材上に付与する方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等があり、本発明においては、これらの機能を有する微小液滴吐出装置をいずれも使用できる。プリント装置としての微小液滴吐出装置としては、市販されているプリンタがあるが、本発明においては、これらをいずれも用いることができる。勿論、これに限定されず、本発明のために特別に製造されたプリント装置を用いてもよい。
【0025】
本発明の光量調節部材を上記したような製造方法で製造する場合に、透明基材上に形成する着色部は、特定の光学濃度を有する領域となるように、目的によって各種のパターンとすることができる。例えば、均一の光学濃度を有する領域(着色部)としてもよいし、連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させて、濃度勾配をつけた領域(着色部)としてもよい。この連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させた領域(着色部)は、上記に挙げたようなプリント装置に搭載する着色液として、色材濃度が段階的に異なるものを複数搭載させることで、或いは、これらの着色液を用い且つ着色液の吐出量を適宜に制御することで、容易に形成することができる。
【0026】
本発明の光量調節部材は、上記着色部以外の領域である透明部が、透明樹脂を少なくとも含有する透明液によって、上記した着色部と同様にして樹脂層として形成されていることを特徴とする。透明部は、透明基材に着色液を付与しないことでも形成できるが、その場合には、着色部と透明部との境界で回折が生じて、解像度の低下を起こす場合があるので望ましくない。
【0027】
上記で説明した微小液滴吐出装置によって着色液若しくは透明液を付与して本発明の光量調節部材を製造する方法によれば、光学濃度が、連続的に、或いは段階的に変化する濃度勾配を有する着色部を持つ光量調節部材を簡便に作製することができる。更に、上記の方法は、従来の方法に比べて形成できる光学濃度勾配パターンの自由度が高いので、光量調節部材に所望される特性に対して、光学上の最適化が容易であるという利点もある。
【0028】
本発明の光量調節部材を製造する方法では、上記のようにして透明基材上に着色液及び透明液を付与した後、必要に応じて、熱風乾燥炉、熱ドラム、及びホットプレート等を用いて乾燥処理を行ってもよい。特に、着色部及び/又は透明部の形成材料中に架橋剤を混合させた場合には、透明基材上に着色液及び/又は透明液を付与した後に加熱或いは光照射を行って、着色部及び透明部を形成している樹脂層の硬化処理をすることが好ましい。
【0029】
本発明の光量調節部材は、上記のような方法によって、透明基材上に、着色樹脂層として着色部が形成され、且つ、透明樹脂層として透明部が形成されてなるが、更に必要に応じて、下記に挙げるような方法によって、構成している樹脂層の表面を平坦化処理することが好ましい。即ち、特に上記のようにして形成される着色部及び透明部は、着色液及び透明液を吐出し、透明基材上に着色液及び透明液を付与することで形成された樹脂層であるため、部分的に表面に凹凸ができる恐れがある。これに対して、部分的にでも表面に凹凸があると光学的な特性が均一でなくなり、着色部において、特定の光学濃度領域を形成することが困難となったり、着色部と透明部とに厚みの段差が生じて光学特性が損なわれることも考えられる。従って、着色部及び透明部を形成後、これらを構成している樹脂層の表面を平坦化処理することが有効である。平坦化処理の方法としては、例えば、着色部及び透明部を構成している樹脂層の上に透明樹脂層を積層して平坦化層を形成する方法、或いは、該樹脂層表面を研磨して平坦化処理する方法を挙げることができる。以下、着色部及び透明部を構成している樹脂層の上を平坦化処理する場合を例にとって説明する。
【0030】
透明樹脂層からなる平坦化層の形成に用いることのできる材料としては、前記した着色液を受容する材料の他、着色部及び透明部を形成している樹脂との密着性、機械的強度、光学的特性等の必要性能を満たしていれば、特に限られるものではない。具体的には、例えば、アクリル系やエポキシ系の、熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂を使用することが好適である。平坦化層の形成方法としては、上記したような樹脂形成材料からなる塗工液を、着色部及び透明部が形成されている透明基材上に塗布して塗工膜を形成した後、該基材を、オーブン、ホットプレート等を用いてべーキングして硬化被膜を形成させる方法や、或いは、上記基材に、電子線や紫外線等を照射して硬化被膜を形成させる方法等を用いることができる。この際に形成する平坦化層の厚みは、要求性能等にもよるが、例えば、0.1〜30μm程度とすることが適当である。
【0031】
更に、本発明の光量調節部材の、着色部及び透明部を構成している樹脂層の表面に生じる部分的な凹凸の解消手段として、着色樹脂層表面を研磨処理することで平坦化させる方法も有効である。その際に行う平坦化を目的にした研磨方法としては、テープ研磨、バフ研磨等の方法が考えられるが、本発明においては、特に、バフ(buff)研磨を好適に用いることができる。尚、バフ研磨とは、研磨母材表面に研磨材を設置し、この研磨母材を回転させた状態で基材の研磨すべき部分を、上記研磨母材に当接させることで、表層を研磨材によって研磨する方法である。
【0032】
図4は、バフ研磨による平坦化方法を実施するための研磨装置の構成を示す図である。図4に示したように、研磨装置50は、光量調節部材20を吸着保持するための下方保持部40と、この下方保持部40に対向して設けられた上方保持部42とを備えている。図4に示した例では、上方保持部42の下面には、多孔質状の研磨母材に、微粒子状の研磨材を浸み込ませた研磨部材44が取り付けられている。そして、この研磨部材44が、下方保持部40に吸着保持されている光量調節部材20の表面に接触する状態となるようにして、上方保持部42を回転させる。これによって、光量調節部材20の表面は、研磨部材44の、研磨母材に浸み込まれた研磨材によって表面が研磨されて、凹凸のない平坦面となる。研磨部材44に使用する研磨母材には、例えば、不織布やスウェード等の多孔質体を用いることが好ましい。図4に示した装置では、不織布を用いている。又、研磨材としては、無機酸化物微粒子等を用いることができるが、本発明では、アルミナを主成分とした無機酸化物微粒子を好ましく用いることができる。又、用いる研磨部材の粒径としては、例えば、0.001〜0.3μm程度とすることが好ましい。
【0033】
更に、このようにして得られた光量調節部材の両面に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、可視光帯域において反射防止特性が優れる、及び水分や有害ガスの遮断特性に優れる、という特性が必要とされる。この要求を満たすためには、無機材料の蒸着多層膜を用いるのが好適である。
例えば、本出願人による特開平06−273601号公報に記載された反射防止膜を用いることで、フィルタの表面反射による迷光の発生を防止するとともに、水分や有害ガスの色材への浸入を遮断し、色材の劣化を防止することができる。
【0034】
次に、上記のような製造方法によって得られる本発明の光量調節部材の光学特性について、説明する。先ず、光量調節部材の良否を判断する場合、(1)単体で用いた場合に、色材が光束を散乱或いは屈折することによって生じる光学性能の低下、(2)絞り装置等に組み込んで使用した場合の回折防止効果、(3)分光透過率の、上記3項目の評価が必要である。
【0035】
ここで(3)は、使用する色材の種類によってフィルタの特性を自在に調節でき、且つ市販の分光透過率計を用いて簡単に測定できるので、説明は省略する。一方(2)の評価項目は、絞り羽根の形状や評価時の絞り値(Fナンバー)等の因子が評価結果に大きく影響するため、光量調節部材単独の光学特性を評価するのには適していない。光量調節部材単独の光学特性を評価するためには、上記(1)の方法が適している。そこで、後述する各実施例では、光量調節部材単独の光学特性評価方法と、それぞれの実施例の製造方法で作成した均一濃度の光量調節部材の測定結果を記した。
【0036】
光量調節部材の光学濃度を、段階的或いは連続的に変化させた場合の光学的優位性は、例えば、特開平6−95208号公報、特開平11−15042号公報等に記載されている。これに対して、本発明者らの検討によれば、前記した製造方法によって製造した光学濃度が段階的或いは連続的に変化する光量調節部材は、絞り装置に適用した場合に、簡便な製造方法で得られたものであるにもかかわらず、上記した従来公知の技術によって得られているのと同等の効果を得ることができることが確認できた。
【0037】
以下、本発明の光量調節部材を使用した光量調節装置について説明する。しかし、本発明は、以下に記載する構成に限定されるものではない。図1(a)は、本発明の光量調節部材を具備した絞り羽根を示す図である。尚、ここでは光量調節装置として、ビデオカメラ等で使用される絞り装置を例にとって説明する。図1(b)は、図1(a)でのA−A’における断面図である。図中の101は、絞り羽根全体を示すが、透明基材111上に樹脂層112が形成されてなる光量調節部材と、光遮断部材101Qとから構成されている。そして、光量調節部材を構成する樹脂層112は、先に説明したようにして形成した、特定の光学濃度領域からなる着色部101P(図1のグラデーション部)と、光を透過させる透明部101R(グラデーション隣接部分)とからなる。尚、図1及び2中、光遮断部材101Qについては、光量調節部材との境界等を明確にするために彩色を施していないが、本来は光を遮断する部材であるので、黒色等で形成されている。
【0038】
図2は、図1の絞り羽根を用いた光量調節装置の図である。図2において、100は光量調節装置全体を示している。101は、図1で示した第1の絞り羽根であり、102は第2の絞り羽根である。第2の絞り羽根102は、第1の絞り羽根と同様に、着色部102Pと光を透過させる透明部102Rとからなる光量調節部材と、光遮断部材102Qとを有している。103は、不図示のモータの軸に孔103aにおいて嵌着されており、該孔103aを中心として回動される絞り羽根駆動レバーである。第1の絞り羽根101及び第2の絞り羽根102は、絞り羽根駆動レバー103の両端の突設ピン103b及び103cにそれぞれの溝穴101a及び102aにおいて係合している。105は、第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの側縁部の溝101b及び102bに、相対摺動可能に係合している不図示の地板のガイドピンであり、106は、該地板に貫設されている光路孔、101c及び102cは、第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの絞り開口縁である。
【0039】
図2は、絞りが全開のときの状態を示している。絞りが全開の状態から、絞りを次第に絞っていくと、絞りの開口部である光路孔106は、第1及び第2の絞り羽根に設けられているそれぞれの着色部101P及び102Pで覆われるため、光路孔106を通る光束の透過率が徐々に低くなる。尚、絞り羽根に組込む光学フィルタの形状としては、図5(a)のように、開放状態では地板(不図示)に貫設されている光路孔106を覆っていないものでもよく、又、図5(b)のように、光学フィルタの透明領域101Rが、開放状態の段階から光路孔106を覆っているものでも構わない。
【0040】
図3は、図2で示した光量調節装置を光学装置に配置した例における概略配置図である。ここでは、光学装置は動画像若しくは静止画像を撮像手段で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録するビデオカメラを例にとって説明する。400は、複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群401、第2レンズ群402、第3レンズ群403、及び、図2で示した絞り装置100で構成される。401は固定の前玉レンズ群、402はバリエータレンズ群、403はフォーカシングレンズ群である。404は、光学ローパスフィルタである。又、撮影光学系400の焦点位置(予定結像面)には、撮像手段411が配置される。これには、照射された光エネルギを電荷に変換する複数の光電変換部、該電荷を蓄える電荷蓄積部、及び該電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部からなる2次元CCD等の光電変換手段が用いられる。
【0041】
421は、液晶ディスプレイ等の表示器であり、CCD等の撮像手段411で取得した被写体像や、光学装置の動作状況を表示する。422は、操作スイッチ群であり、ズームスイッチ、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ、及びシャッター秒時等を設定する撮影条件スイッチ、で構成される。423は、アクチュエータであり、これによりフォーカス駆動を行い、撮影光学系400の焦点状態を調節したり、その他の部材を駆動する。
【0042】
CPU431では、取り込まれた平均濃度の大きさが、自身内にメモリーされている適正露出に相当する数値と一致しているかどうかを算出し、差のある場合は、その差分との絶対符号との絶対値に応じて絞り開口を変化させ、若しくは、撮像手段411への電荷蓄積時間を変化させることになる。絞りを動かす場合には、絞り駆動回路432により、先の図2の説明で述べた絞り羽根駆動レバー103が、孔103aを回転中心とし回動することで、絞り羽根101及び102が上下にスライドする。これにより、光量調節部材の着色部102Pが開口部である光路孔106を適宜に覆い、この結果、光路孔106の大きさが変化する。このようにして、絞り開口面積或いは電荷蓄積時間を変化させることで、最適の露出を得ることができる。
【0043】
上記のようにすることで、最適露出にて撮像手段411上に結像した被写体の像は、その明るさの強弱に応じた画素毎の電荷量として電気信号に変換され、アンプ回路441で増幅された後、カメラ信号処理回路442で所定のγ補正等の処理を施される。尚、この処理は、A/D変換後のデジタル信号処理で行われてもよい。そして、このようにして作られた映像信号は、レコーダ443にて記録される。
【0044】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
透明基材として、厚さ100μmの、透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この上に、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタであるキヤノン(株)製BJ S600のインクタンクに、以下の組成を有する着色液と透明液の2種を充填し、これらを用いて上記の透明基材上に着色部と透明部とを形成して、本実施例の図1に示した構造の光量調節部材を作製した。この際、上記プリンタによって着色液を付与して形成される着色部は、着色部の光学濃度が連続的に変化する濃度勾配を与えるものとした。又、透明基材の着色部を形成した以外の部分には、上記プリンタによって透明液を付与して透明領域(透明部)を形成した。ここで形成される着色部は、黒色染料がスチレン−マレイン酸樹脂によって結着された着色樹脂層からなり、透明部は、スチレン−マレイン酸樹脂によって形成された透明の樹脂層からなる。
【0045】
【0046】
【0047】
(実施例2)
上記実施例1で得た光量調節部材において、透明基材上に、着色部である着色樹脂層と透明部である透明樹脂層を形成した後、これらの樹脂層表面に、更に、以下の手順で透明樹脂層を形成して、着色部及び透明部の上が平坦化処理された図1に示した光量調節部材を作製した。先ず、下記のようなスチレン−ブタジエン共重合体(JSR(株)製 TR2000C)を含む塗工液を用意した。該塗工液は、上記共重合体が固形分換算で10部となるように、トルエン/メチルエチルケトン溶液を用いて調製した。この塗工液を、ワイヤーバーを用いて着色層及び透明樹脂層上に塗工し、熱風乾燥オーブンにより100℃、5分の条件で乾燥を行った。このようにして作成された平坦化層の厚みは10μmであった。
【0048】
(実施例3)
上記実施例1で得た光量調節部材において、透明基材上に、着色部である着色樹脂層と透明部である透明樹脂層を形成した後、これらの樹脂層表面を、図4に示した研磨装置で研磨した。その際、研磨母材には不織布を用い、これに浸み込ませる研磨材としては、粒径が、0.1μm程度のアルミナを主成分とした微粒子を用いた。このようにして、着色部及び透明部を構成する樹脂層の表面上が平坦化処理された図1に示した光量調節部材を作製した。表面粗さを測定したところ、表面粗さRaが0.02nmであった。
【0049】
(実施例4)
実施例2のようにして得られた光量調節部材の両面に特開平6−273601号公報実施例に記載されたものと同様にして、下記のような無機材料の蒸着多層膜からなる反射防止膜を形成した。
【0050】
上記の反射防止膜としては、可視光帯域において反射防止特性が優れる、及び水分や有害ガスの遮断特性に優れる、という特性が必要となるが、この要求を満たすためには、無機材料の蒸着多層膜を用いることが好適である。従って、本実施例で形成した反射防止膜は、それぞれの表面に蒸着したアンダーコート層と、これに積層した繰返し膜である多層膜からなる。具体的には、上記アンダーコート層は、表面に対して良好な密着性を有し、且つ、耐薬品性、及び耐摩耗性に優れたケイ素酸化物SiOx(2>x>1)を主成分とする屈折率n=1.5程度の低屈折率材料からなる膜厚が300nm程度の薄膜であり、この上に積層させた多層膜は、酸化チタンTiO2と酸化ジルコニウムZrO2の混合物を主成分とする高屈折率材料からなる第1層の薄膜と、ケイ素酸化物SiOx(2≧x≧1)を主成分とする低屈折率材料からなる第2層の薄膜と、酸化チタンTiO2と酸化ジルコニウムZrO2の混合物を主成分とする高屈折率材料からなる第3層の薄膜と、ケイ素酸化物SiOx(2≧x≧1)を主成分とする低屈折率材料からなる第4層の薄膜によりなる。
【0051】
(比較例)
実施例1において、透明基材上に透明液を付与をしないで透明部を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例の光量調整部材を作成した。
【0052】
[評価]
上記のようにして作製した実施例1〜4及び比較例の光量調節部材(光学フィルタ)を有する光量調節装置である絞り装置を、それぞれ光量調節装置に組み込んで、各光学フィルタの光学特性を評価した。評価方法としては、各光量調節装置を撮影系のレンズ内に組み込み、解像力チャートを撮影し、結像性能を定量的に表現できる尺度であるMTF(Modulation Transfer Function)を測定した。尚、測定した解像力チャートの像面上での空間周波数は、63 line pairs/mmである。その結果、実施例2〜4の表面を平坦化処理した光学フィルタにおいては、開口部の半分を光学フィルタが覆っている状態(F2.4)での水平方向のMTFは、それぞれ60.5%、60.2%、61.4%であった。平坦化処理しない実施例1の光学フィルタの場合は、MTFが58.1%であった。
【0053】
これに対し、透明基材上の透明領域[光量調節部(着色部)以外の領域]に透明液を付与して透明樹脂層を形成しない状態の、比較例の光量調節部材を光量調節装置に組み込んで、実施例の場合と同様にしてMTFを測定した結果、39.5%であった。以上の通り、透明部を透明樹脂層を形成することで構成した本発明の実施例の光量調節部材は、比較例の光量調節部材と比べてMTF値が向上するという結果が得られた。即ち、透明液を付与して透明樹脂層を形成することで、光量調節部材の透明部を構成したことによる光学系の効果は充分にあることが確認できた。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、光量調節部材の透明領域[光量調節部(着色部)以外の領域=透明部]にも透明樹脂を含有する透明液が付与されて、着色部と同様に樹脂層が形成されているため、透明部と着色部の境界で回折が生じにくくなり、解像力の低下の少ない優れた光学特性を有する光量調節部材が提供される。又、本発明によれば、上記光量調節部材は、液体吐出装置によって製造できるため、非常に簡便に、歩留まりよく安価に、上記した優れた光学特性を有する光量調節部材を製造することが可能となる。特に、本発明によれば、他の製造方法では著しく困難であった、光学濃度が、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有する光量調節部材を、簡便に、歩留まりよく安価に製造することが可能となる。更に、本発明によれば、上記の優れた光学特性を有する光量調節部材を利用することによって、安価で光学特性に優れた光量調節装置及び撮影装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光量調節部材を具備した絞り羽根の概略図である。
【図2】図1の絞り羽根を用いた光量調節装置の概略図である。
【図3】図2の光量調節装置を組み込んだ撮影装置の模式的な構成図である。
【図4】光量調節部材の作製に用いた研磨装置の模式的な構成図である。
【図5】本発明にかかる別の形態の光量調節部材を具備した絞り羽根を用いた光量調節装置の概略図である。
【符号の説明】
20:光量調節部材
40:下方保持部
42:上方保持部
44:研磨部材
50:研磨装置
100:光量調節装置
101、102:絞り羽根
101a、102a:溝穴
101b、102b:溝
101c、102c:絞り開口縁
103:絞り羽根駆動レバー
103a:孔
103b、103c:突設ピン
101P、102P:本発明による光量調節部材の着色部
101Q、102Q:光遮断部材
101R、102R:本発明による光量調節部材の透明部
105:ガイドピン
106:地板の光路孔
111:透明基材
112:樹脂層
400:撮影光学系
401:第1レンズ群
402:第2レンズ群
403:第3レンズ群
404:光学ローパスフィルタ
411:撮像手段
421:表示器
422:操作スイッチ群
423:アクチュエータ
431:CPU
432:絞り駆動回路
433:CCD駆動回路
441:アンプ回路
442:カメラ信号処理回路
443:レコーダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器や、或いは、電子写真方式記録装置等に使用される光量調節部材とその製造方法、光量調節装置及び撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の光学機器に用いられる結像(撮影)光学系には、一般に入射光束の光量を調節する光量調節装置、いわゆる絞り装置が内蔵されている。かかる絞り装置においては、複数の絞り羽根が所定面積の開口部を形成し、アクチュエータで該開口部の開口径を調節することで、開口部を通過する光束の量を調節している。しかし、該開口部の開口径を小さくするに従って、絞り羽根の端部で生ずる回折の影響が大きくなり、結像光学系の結像性能が低下する。これに対しては、上記欠点を回避する技術として、絞り羽根の一部に光量調節部材としての光学フィルタを設け、開口径を小さくする代わりに、光学フィルタで開口部を通過する光束の量(光量)を減衰させる技術が知られている。そして、このような目的に用いられる光学フィルタには、光の散乱、屈折異常、分光透過率偏差等の光学的欠陥が少ないことが要求される。
【0003】
従来より、上記の目的に用いられる光量調節部材としては、光透過性のフィルム状の材料中に、光を吸収する顔料や染料等の色材を混合して練り込むタイプのものが一般的である。しかしながら、この方式によって製造される光量調節部材は非常に高価であり、拡大する需要に対して要求されているコストダウンに対して十分に応えられるものではなかった。又、光透過性のフィルム状の材料中に色材を練り込む従来の方式では、連続的に、或いは段階的に変化する光学濃度分布を有する(以下、「多濃度の」と呼ぶ)光量調節部材を製造することは著しく困難である。
【0004】
又、他の製造方法として、銀塩フィルムを用いて多濃度の光量調節部材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この場合には、フィルタに内在する銀粒子表面での光束の反射や、銀粒子端部を通過する光束の回折により、該フィルタを通過した光線の直進性が損なわれて光学系の結像性能が低下する、といった銀塩フィルムを用いることによる特有の問題が生じる。
【0005】
又、蒸着法により多濃度の光量調節部材を製造する方法についての開示もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、この場合には、製造コストがかかり、高価なものとなるのに加えて、濃度によって膜厚が変化することが生じるために、濃度の高いところと低いところで膜厚差が生じ、結果として光路差が生じてしまい、解像力が低下するといった問題が発生する。又、この方式では、連続的に濃度分布が変化するものを製造することは困難であり、製造したとしても、濃度分布が段階的に変化するものになってしまう。
【0006】
又、その他の方式として、先ず、光によって褪色する有機色素をフィルム材料中に練り込み、得られたフィルムに部分的に高エネルギーの光を照射することで照射部分の有機色素を分解させ、これによって濃度分布を有する光量調節部材を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この方式では、使用可能な色材が、光によって褪色するものに限定されてしまうため、十分な光学的特性を有する製品を得ることが非常に困難である。更に、その製法から得られる製品は、非常に高価なものになってしまうであろうことは容易に推測できる。
【0007】
更に、蒸着或いは写真製版等の印刷工程により、単一濃度の膜を網点状に形成し、網点パターンを場所によって変えることで、透過率が無段階に変わる光量調節部材としてのフィルタの製造方法もが開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、上記の方法は、写真製版或いは蒸着で所定濃度の膜を形成するものであり、いずれの工程を採用したとしても、装置が大型化し、高価であり、フィルタの製造コストが高くなってしまうという課題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−173004号公報
【特許文献2】
特開平10−133254号公報
【特許文献3】
特開平10−96971号公報
【特許文献4】
特開2000−352736公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、製造コストが低く、製品歩留まりの高い、簡便な光量調節部材の製造方法によって得られ、しかも、着色部と透明部の境界面の回折による解像度の低下を生じない、画質低下の少ない光量調節部材を提供することにある。又、本発明の目的は、上記に加えて、簡便な方法で得られる、光学濃度が連続的に或いは段階的に変化した濃度分布を有する領域(着色部)を持つ光量調節部材を提供することにある。更に、本発明の目的は、多種多様の光量調節装置及び撮影装置に適用することができる、安価でしかも上記の優れた特性を有する光量調節部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、透明基材上に樹脂層が形成されており、該樹脂層が、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなることを特徴とする光量調節部材である。
【0011】
又、好ましい実施形態としては、下記のものが挙げられる。(1)上記した構成において、更に、樹脂層の上に透明樹脂層が積層されて平坦化処理されている光量調節部材、(2)樹脂層表面が研磨されて平坦化処理されている光量調節部材、(3)上記色材が、染料或いは顔料、又はこれらの混合物である光量調節部材、(4)上記特定の光学濃度領域が、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させることで形成された、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有する光量調節部材が挙げられる。
【0012】
又、本発明の別の実施形態としては、下記のものが挙げられる。(5)上記光量調節部材を製造するための製造方法であって、透明基材上に、液体吐出装置を用いて、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液と、透明樹脂を少なくとも含有する透明液を吐出し、上記透明基材上に該着色液及び該透明液を付与して、特定の光学濃度領域からなる着色部及び透明部を形成する工程を有することを特徴とする光量調節部材の製造方法、(6)更に、上記着色部及び透明部を形成する工程の後に、樹脂層の上に透明樹脂層を設けて平坦化処理する工程を有する光量調節部材の製造方法、(7)更に、上記着色部及び透明部を形成する工程の後に、樹脂層表面を研磨して平坦化処理する工程を有する光量調節部材の製造方法、(8)上記色材が、染料或いは顔料、又はこれらの混合物である光量調節部材の製造方法、(9)上記着色部の特定の光学濃度領域を、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させて、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を形成することで形成する光量調節部材の製造方法が挙げられる。
【0013】
又、本発明の別の実施形態としては、下記のものが挙げられる。(10)少なくとも上記いずれかの構成の光量調節部材が具備されていることを特徴とする光量調節装置、(11)光量調節装置と、被写体像を形成するための撮影光学系と、該被写体像を光電変換する撮像手段と、光電変換された信号を記録する記録手段とを有する撮影装置であって、上記撮影光学系に配置した光量調節装置が、上記光量調節装置であることを特徴とする撮影装置が挙げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明にかかる光量調節部材は、透明基材上に樹脂層が形成されており、該樹脂層が、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなることを特徴とする。以下、これらの構成材料について説明する。
【0015】
本発明の光量調節部材を構成する材料である透明基材としては、光量調節部材としての機械的強度及び光学的特性等の必要特性を有していれば、特に限られるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテート、トリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる透明フィルムを挙げることができる。又、上記した必要特性を満たすものであれば、透明ガラスも、基材に使用可能である。更に、上記に列挙した材料から適宜に選択される透明基材は、その表面を、プラズマ処理やUV処理、UVオゾン処理、コロナ処理、シランカップリング処理等の各種の処理を施すことで、透明基材の表面を改質してもよい。これらの処理は、当該透明基材上に着色液を付与して着色部を形成した場合に、着色液であるインクの広がりを制御したり、密着性を向上させるのに役立つ場合がある。
【0016】
本発明の光量調節部材は、上記したような材料からなる透明基材の上に、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなる樹脂層を有して構成されている。本発明社らの検討によれば、このように、光量調節部材の透明部を、従来のように透明基板によって形成するのではなく、着色部と同様に、透明基板上に形成した透明樹脂層とすれば、従来のものと比べて透明部と着色部の境界で回折が生じにくくなる結果、解像力の低下の少ない光学特性をもつを光量調節部材が得られることを見いだして本発明に至った。
【0017】
本発明では、少なくとも透明樹脂と色材とを含む着色液を使用して着色部を形成するが、この際に使用する着色液については後述する。先ず、透明基材に透明部を形成する際に使用する透明液について説明する。本発明では、透明液に、少なくとも透明樹脂を含むものを使用する。該透明樹脂としては、下記に挙げたようなものを使用することができるが、透明基材上に形成する樹脂層の形成に共に用いる着色液に含まれる透明樹脂と同一の樹脂を用いてもよいし、着色液に使用する透明樹脂とは種類の異なった樹脂を用いてもよい。又、透明液に使用する透明樹脂としては、特に、可視領域での着色が少ないものが望ましい。これに対して、着色液に使用する透明樹脂の場合は、透明液の場合と同様に可視領域での着色が少ないものが望ましいが、着色液に使用する顔料等の色材の結着剤として機能して色材を透明基材上に定着させることができ、且つ、使用する色材によって透明基材に付与される光学的な特性を損ねるものでない限り、特に限られるものではない。
【0018】
透明樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ブチラール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられるが、インクに水を含有させて液滴吐出装置から吐出させるためには親水性樹脂を用いることが、より好ましい。親水性樹脂としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合物塩等の、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合物塩、スチレン−メタクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合塩、ポリリン酸塩等の陰イオン性高分子、ポリビニルアルコール、メチロール化メラミンポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。本発明においては、これらの樹脂のうちから1種類を選択して、或いは、これらの中の2種類以上を混合して用いることができる。その他のものとして、例えば、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、及びアルギン酸ソーダ等の天然樹脂等、多数を列挙することができる。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0019】
次に、本発明において用いる着色液について説明する。該着色液は、少なくとも透明樹脂と色材とを含むが、該透明樹脂には、上記に列挙したものの中から適宜に選択して用いることができる。着色液中の色材としては、透明基材上に付与された場合に、特定の光学濃度を有する領域である着色部を形成し得るものであれば、いずれのものでもよい。従って、本発明でいう色材とは、可視光、紫外光、赤外光を含む所定波長帯の光の透過率を制御する材料を指す。
【0020】
本発明の光量調節部材であるNDフィルタ(Neutral Density Filter)を製造する場合には、例えば、可視光帯域全体に渡って均一な、特定の透過特性を与える色材が利用できる。勿論、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、赤外線カメラ用の光量調節装置に用いる光量調節部材とする場合には、赤外域の特定波長のみを透過する材料を用いるが、これも本発明でいう色材に含まれる。更に、透過光量を制御する際の光の吸収が、材料内部で生じるものや、材料表面で生じるもの等、いずれも本発明でいう色材に含まれる。具体的には、各種染料や顔料を用いることができる。顔料としては、有機顔料、無機顔料(各種金属、各種金属酸化物、金属窒化物等その複合体、有機微粒子等との複合体)も使用可能である。又、以上のような各種染料、有機顔料、無機顔料等を適宜混合し使用することができる。
【0021】
本発明において用いる着色液には、その他に、上記で説明した透明樹脂や色材を溶解或いは分散させる目的で、通常、液媒体が含まれる。水系の液媒体としては、水、或いは水と各種水溶性有機溶剤との混合物が用いられる。この際に用いる水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独で使用しても、或いは混合物としても使用してもよい。
【0022】
本発明において用いる着色液には、更に、上記の成分の他、必要に応じて所望の物性値を持つ着色液とするために、各種の、界面活性剤、染料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、可塑剤、防腐剤等を添加させることができる。又、アルミナ水和物、シリカ、及び炭酸カルシウム等の微粒子を上記の着色液に混合分散させたものも、本発明で所望する光学的特性を満たす範囲内で、適宜に使用できる。
【0023】
本発明において用いる、上記したような透明樹脂を含有してなる着色液若しくは透明液は、微小液滴吐出装置によって吐出可能なものであれば、特に限られるものではない。又、着色液若しくは透明液としては、水系及び油系のものを共に用いることができるが、微小液滴吐出装置からの吐出信頼性の点から、水系の着色液及び透明液を使用することが好ましい。
【0024】
本発明の光量調節部材は、上記のような構成を有する着色液及び透明液を用い、先に列挙したような透明基材上に、これらの液を微小液滴吐出装置を用いて吐出し、透明基材上に着色液若しくは透明液を付与して、特定の光学濃度を有する領域である着色部と透明部を有するる樹脂層を形成する。この際に使用することのできる着色液及び透明液を吐出して透明基材上に付与する方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等があり、本発明においては、これらの機能を有する微小液滴吐出装置をいずれも使用できる。プリント装置としての微小液滴吐出装置としては、市販されているプリンタがあるが、本発明においては、これらをいずれも用いることができる。勿論、これに限定されず、本発明のために特別に製造されたプリント装置を用いてもよい。
【0025】
本発明の光量調節部材を上記したような製造方法で製造する場合に、透明基材上に形成する着色部は、特定の光学濃度を有する領域となるように、目的によって各種のパターンとすることができる。例えば、均一の光学濃度を有する領域(着色部)としてもよいし、連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させて、濃度勾配をつけた領域(着色部)としてもよい。この連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させた領域(着色部)は、上記に挙げたようなプリント装置に搭載する着色液として、色材濃度が段階的に異なるものを複数搭載させることで、或いは、これらの着色液を用い且つ着色液の吐出量を適宜に制御することで、容易に形成することができる。
【0026】
本発明の光量調節部材は、上記着色部以外の領域である透明部が、透明樹脂を少なくとも含有する透明液によって、上記した着色部と同様にして樹脂層として形成されていることを特徴とする。透明部は、透明基材に着色液を付与しないことでも形成できるが、その場合には、着色部と透明部との境界で回折が生じて、解像度の低下を起こす場合があるので望ましくない。
【0027】
上記で説明した微小液滴吐出装置によって着色液若しくは透明液を付与して本発明の光量調節部材を製造する方法によれば、光学濃度が、連続的に、或いは段階的に変化する濃度勾配を有する着色部を持つ光量調節部材を簡便に作製することができる。更に、上記の方法は、従来の方法に比べて形成できる光学濃度勾配パターンの自由度が高いので、光量調節部材に所望される特性に対して、光学上の最適化が容易であるという利点もある。
【0028】
本発明の光量調節部材を製造する方法では、上記のようにして透明基材上に着色液及び透明液を付与した後、必要に応じて、熱風乾燥炉、熱ドラム、及びホットプレート等を用いて乾燥処理を行ってもよい。特に、着色部及び/又は透明部の形成材料中に架橋剤を混合させた場合には、透明基材上に着色液及び/又は透明液を付与した後に加熱或いは光照射を行って、着色部及び透明部を形成している樹脂層の硬化処理をすることが好ましい。
【0029】
本発明の光量調節部材は、上記のような方法によって、透明基材上に、着色樹脂層として着色部が形成され、且つ、透明樹脂層として透明部が形成されてなるが、更に必要に応じて、下記に挙げるような方法によって、構成している樹脂層の表面を平坦化処理することが好ましい。即ち、特に上記のようにして形成される着色部及び透明部は、着色液及び透明液を吐出し、透明基材上に着色液及び透明液を付与することで形成された樹脂層であるため、部分的に表面に凹凸ができる恐れがある。これに対して、部分的にでも表面に凹凸があると光学的な特性が均一でなくなり、着色部において、特定の光学濃度領域を形成することが困難となったり、着色部と透明部とに厚みの段差が生じて光学特性が損なわれることも考えられる。従って、着色部及び透明部を形成後、これらを構成している樹脂層の表面を平坦化処理することが有効である。平坦化処理の方法としては、例えば、着色部及び透明部を構成している樹脂層の上に透明樹脂層を積層して平坦化層を形成する方法、或いは、該樹脂層表面を研磨して平坦化処理する方法を挙げることができる。以下、着色部及び透明部を構成している樹脂層の上を平坦化処理する場合を例にとって説明する。
【0030】
透明樹脂層からなる平坦化層の形成に用いることのできる材料としては、前記した着色液を受容する材料の他、着色部及び透明部を形成している樹脂との密着性、機械的強度、光学的特性等の必要性能を満たしていれば、特に限られるものではない。具体的には、例えば、アクリル系やエポキシ系の、熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂を使用することが好適である。平坦化層の形成方法としては、上記したような樹脂形成材料からなる塗工液を、着色部及び透明部が形成されている透明基材上に塗布して塗工膜を形成した後、該基材を、オーブン、ホットプレート等を用いてべーキングして硬化被膜を形成させる方法や、或いは、上記基材に、電子線や紫外線等を照射して硬化被膜を形成させる方法等を用いることができる。この際に形成する平坦化層の厚みは、要求性能等にもよるが、例えば、0.1〜30μm程度とすることが適当である。
【0031】
更に、本発明の光量調節部材の、着色部及び透明部を構成している樹脂層の表面に生じる部分的な凹凸の解消手段として、着色樹脂層表面を研磨処理することで平坦化させる方法も有効である。その際に行う平坦化を目的にした研磨方法としては、テープ研磨、バフ研磨等の方法が考えられるが、本発明においては、特に、バフ(buff)研磨を好適に用いることができる。尚、バフ研磨とは、研磨母材表面に研磨材を設置し、この研磨母材を回転させた状態で基材の研磨すべき部分を、上記研磨母材に当接させることで、表層を研磨材によって研磨する方法である。
【0032】
図4は、バフ研磨による平坦化方法を実施するための研磨装置の構成を示す図である。図4に示したように、研磨装置50は、光量調節部材20を吸着保持するための下方保持部40と、この下方保持部40に対向して設けられた上方保持部42とを備えている。図4に示した例では、上方保持部42の下面には、多孔質状の研磨母材に、微粒子状の研磨材を浸み込ませた研磨部材44が取り付けられている。そして、この研磨部材44が、下方保持部40に吸着保持されている光量調節部材20の表面に接触する状態となるようにして、上方保持部42を回転させる。これによって、光量調節部材20の表面は、研磨部材44の、研磨母材に浸み込まれた研磨材によって表面が研磨されて、凹凸のない平坦面となる。研磨部材44に使用する研磨母材には、例えば、不織布やスウェード等の多孔質体を用いることが好ましい。図4に示した装置では、不織布を用いている。又、研磨材としては、無機酸化物微粒子等を用いることができるが、本発明では、アルミナを主成分とした無機酸化物微粒子を好ましく用いることができる。又、用いる研磨部材の粒径としては、例えば、0.001〜0.3μm程度とすることが好ましい。
【0033】
更に、このようにして得られた光量調節部材の両面に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、可視光帯域において反射防止特性が優れる、及び水分や有害ガスの遮断特性に優れる、という特性が必要とされる。この要求を満たすためには、無機材料の蒸着多層膜を用いるのが好適である。
例えば、本出願人による特開平06−273601号公報に記載された反射防止膜を用いることで、フィルタの表面反射による迷光の発生を防止するとともに、水分や有害ガスの色材への浸入を遮断し、色材の劣化を防止することができる。
【0034】
次に、上記のような製造方法によって得られる本発明の光量調節部材の光学特性について、説明する。先ず、光量調節部材の良否を判断する場合、(1)単体で用いた場合に、色材が光束を散乱或いは屈折することによって生じる光学性能の低下、(2)絞り装置等に組み込んで使用した場合の回折防止効果、(3)分光透過率の、上記3項目の評価が必要である。
【0035】
ここで(3)は、使用する色材の種類によってフィルタの特性を自在に調節でき、且つ市販の分光透過率計を用いて簡単に測定できるので、説明は省略する。一方(2)の評価項目は、絞り羽根の形状や評価時の絞り値(Fナンバー)等の因子が評価結果に大きく影響するため、光量調節部材単独の光学特性を評価するのには適していない。光量調節部材単独の光学特性を評価するためには、上記(1)の方法が適している。そこで、後述する各実施例では、光量調節部材単独の光学特性評価方法と、それぞれの実施例の製造方法で作成した均一濃度の光量調節部材の測定結果を記した。
【0036】
光量調節部材の光学濃度を、段階的或いは連続的に変化させた場合の光学的優位性は、例えば、特開平6−95208号公報、特開平11−15042号公報等に記載されている。これに対して、本発明者らの検討によれば、前記した製造方法によって製造した光学濃度が段階的或いは連続的に変化する光量調節部材は、絞り装置に適用した場合に、簡便な製造方法で得られたものであるにもかかわらず、上記した従来公知の技術によって得られているのと同等の効果を得ることができることが確認できた。
【0037】
以下、本発明の光量調節部材を使用した光量調節装置について説明する。しかし、本発明は、以下に記載する構成に限定されるものではない。図1(a)は、本発明の光量調節部材を具備した絞り羽根を示す図である。尚、ここでは光量調節装置として、ビデオカメラ等で使用される絞り装置を例にとって説明する。図1(b)は、図1(a)でのA−A’における断面図である。図中の101は、絞り羽根全体を示すが、透明基材111上に樹脂層112が形成されてなる光量調節部材と、光遮断部材101Qとから構成されている。そして、光量調節部材を構成する樹脂層112は、先に説明したようにして形成した、特定の光学濃度領域からなる着色部101P(図1のグラデーション部)と、光を透過させる透明部101R(グラデーション隣接部分)とからなる。尚、図1及び2中、光遮断部材101Qについては、光量調節部材との境界等を明確にするために彩色を施していないが、本来は光を遮断する部材であるので、黒色等で形成されている。
【0038】
図2は、図1の絞り羽根を用いた光量調節装置の図である。図2において、100は光量調節装置全体を示している。101は、図1で示した第1の絞り羽根であり、102は第2の絞り羽根である。第2の絞り羽根102は、第1の絞り羽根と同様に、着色部102Pと光を透過させる透明部102Rとからなる光量調節部材と、光遮断部材102Qとを有している。103は、不図示のモータの軸に孔103aにおいて嵌着されており、該孔103aを中心として回動される絞り羽根駆動レバーである。第1の絞り羽根101及び第2の絞り羽根102は、絞り羽根駆動レバー103の両端の突設ピン103b及び103cにそれぞれの溝穴101a及び102aにおいて係合している。105は、第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの側縁部の溝101b及び102bに、相対摺動可能に係合している不図示の地板のガイドピンであり、106は、該地板に貫設されている光路孔、101c及び102cは、第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの絞り開口縁である。
【0039】
図2は、絞りが全開のときの状態を示している。絞りが全開の状態から、絞りを次第に絞っていくと、絞りの開口部である光路孔106は、第1及び第2の絞り羽根に設けられているそれぞれの着色部101P及び102Pで覆われるため、光路孔106を通る光束の透過率が徐々に低くなる。尚、絞り羽根に組込む光学フィルタの形状としては、図5(a)のように、開放状態では地板(不図示)に貫設されている光路孔106を覆っていないものでもよく、又、図5(b)のように、光学フィルタの透明領域101Rが、開放状態の段階から光路孔106を覆っているものでも構わない。
【0040】
図3は、図2で示した光量調節装置を光学装置に配置した例における概略配置図である。ここでは、光学装置は動画像若しくは静止画像を撮像手段で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録するビデオカメラを例にとって説明する。400は、複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群401、第2レンズ群402、第3レンズ群403、及び、図2で示した絞り装置100で構成される。401は固定の前玉レンズ群、402はバリエータレンズ群、403はフォーカシングレンズ群である。404は、光学ローパスフィルタである。又、撮影光学系400の焦点位置(予定結像面)には、撮像手段411が配置される。これには、照射された光エネルギを電荷に変換する複数の光電変換部、該電荷を蓄える電荷蓄積部、及び該電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部からなる2次元CCD等の光電変換手段が用いられる。
【0041】
421は、液晶ディスプレイ等の表示器であり、CCD等の撮像手段411で取得した被写体像や、光学装置の動作状況を表示する。422は、操作スイッチ群であり、ズームスイッチ、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ、及びシャッター秒時等を設定する撮影条件スイッチ、で構成される。423は、アクチュエータであり、これによりフォーカス駆動を行い、撮影光学系400の焦点状態を調節したり、その他の部材を駆動する。
【0042】
CPU431では、取り込まれた平均濃度の大きさが、自身内にメモリーされている適正露出に相当する数値と一致しているかどうかを算出し、差のある場合は、その差分との絶対符号との絶対値に応じて絞り開口を変化させ、若しくは、撮像手段411への電荷蓄積時間を変化させることになる。絞りを動かす場合には、絞り駆動回路432により、先の図2の説明で述べた絞り羽根駆動レバー103が、孔103aを回転中心とし回動することで、絞り羽根101及び102が上下にスライドする。これにより、光量調節部材の着色部102Pが開口部である光路孔106を適宜に覆い、この結果、光路孔106の大きさが変化する。このようにして、絞り開口面積或いは電荷蓄積時間を変化させることで、最適の露出を得ることができる。
【0043】
上記のようにすることで、最適露出にて撮像手段411上に結像した被写体の像は、その明るさの強弱に応じた画素毎の電荷量として電気信号に変換され、アンプ回路441で増幅された後、カメラ信号処理回路442で所定のγ補正等の処理を施される。尚、この処理は、A/D変換後のデジタル信号処理で行われてもよい。そして、このようにして作られた映像信号は、レコーダ443にて記録される。
【0044】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
透明基材として、厚さ100μmの、透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この上に、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタであるキヤノン(株)製BJ S600のインクタンクに、以下の組成を有する着色液と透明液の2種を充填し、これらを用いて上記の透明基材上に着色部と透明部とを形成して、本実施例の図1に示した構造の光量調節部材を作製した。この際、上記プリンタによって着色液を付与して形成される着色部は、着色部の光学濃度が連続的に変化する濃度勾配を与えるものとした。又、透明基材の着色部を形成した以外の部分には、上記プリンタによって透明液を付与して透明領域(透明部)を形成した。ここで形成される着色部は、黒色染料がスチレン−マレイン酸樹脂によって結着された着色樹脂層からなり、透明部は、スチレン−マレイン酸樹脂によって形成された透明の樹脂層からなる。
【0045】
【0046】
【0047】
(実施例2)
上記実施例1で得た光量調節部材において、透明基材上に、着色部である着色樹脂層と透明部である透明樹脂層を形成した後、これらの樹脂層表面に、更に、以下の手順で透明樹脂層を形成して、着色部及び透明部の上が平坦化処理された図1に示した光量調節部材を作製した。先ず、下記のようなスチレン−ブタジエン共重合体(JSR(株)製 TR2000C)を含む塗工液を用意した。該塗工液は、上記共重合体が固形分換算で10部となるように、トルエン/メチルエチルケトン溶液を用いて調製した。この塗工液を、ワイヤーバーを用いて着色層及び透明樹脂層上に塗工し、熱風乾燥オーブンにより100℃、5分の条件で乾燥を行った。このようにして作成された平坦化層の厚みは10μmであった。
【0048】
(実施例3)
上記実施例1で得た光量調節部材において、透明基材上に、着色部である着色樹脂層と透明部である透明樹脂層を形成した後、これらの樹脂層表面を、図4に示した研磨装置で研磨した。その際、研磨母材には不織布を用い、これに浸み込ませる研磨材としては、粒径が、0.1μm程度のアルミナを主成分とした微粒子を用いた。このようにして、着色部及び透明部を構成する樹脂層の表面上が平坦化処理された図1に示した光量調節部材を作製した。表面粗さを測定したところ、表面粗さRaが0.02nmであった。
【0049】
(実施例4)
実施例2のようにして得られた光量調節部材の両面に特開平6−273601号公報実施例に記載されたものと同様にして、下記のような無機材料の蒸着多層膜からなる反射防止膜を形成した。
【0050】
上記の反射防止膜としては、可視光帯域において反射防止特性が優れる、及び水分や有害ガスの遮断特性に優れる、という特性が必要となるが、この要求を満たすためには、無機材料の蒸着多層膜を用いることが好適である。従って、本実施例で形成した反射防止膜は、それぞれの表面に蒸着したアンダーコート層と、これに積層した繰返し膜である多層膜からなる。具体的には、上記アンダーコート層は、表面に対して良好な密着性を有し、且つ、耐薬品性、及び耐摩耗性に優れたケイ素酸化物SiOx(2>x>1)を主成分とする屈折率n=1.5程度の低屈折率材料からなる膜厚が300nm程度の薄膜であり、この上に積層させた多層膜は、酸化チタンTiO2と酸化ジルコニウムZrO2の混合物を主成分とする高屈折率材料からなる第1層の薄膜と、ケイ素酸化物SiOx(2≧x≧1)を主成分とする低屈折率材料からなる第2層の薄膜と、酸化チタンTiO2と酸化ジルコニウムZrO2の混合物を主成分とする高屈折率材料からなる第3層の薄膜と、ケイ素酸化物SiOx(2≧x≧1)を主成分とする低屈折率材料からなる第4層の薄膜によりなる。
【0051】
(比較例)
実施例1において、透明基材上に透明液を付与をしないで透明部を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例の光量調整部材を作成した。
【0052】
[評価]
上記のようにして作製した実施例1〜4及び比較例の光量調節部材(光学フィルタ)を有する光量調節装置である絞り装置を、それぞれ光量調節装置に組み込んで、各光学フィルタの光学特性を評価した。評価方法としては、各光量調節装置を撮影系のレンズ内に組み込み、解像力チャートを撮影し、結像性能を定量的に表現できる尺度であるMTF(Modulation Transfer Function)を測定した。尚、測定した解像力チャートの像面上での空間周波数は、63 line pairs/mmである。その結果、実施例2〜4の表面を平坦化処理した光学フィルタにおいては、開口部の半分を光学フィルタが覆っている状態(F2.4)での水平方向のMTFは、それぞれ60.5%、60.2%、61.4%であった。平坦化処理しない実施例1の光学フィルタの場合は、MTFが58.1%であった。
【0053】
これに対し、透明基材上の透明領域[光量調節部(着色部)以外の領域]に透明液を付与して透明樹脂層を形成しない状態の、比較例の光量調節部材を光量調節装置に組み込んで、実施例の場合と同様にしてMTFを測定した結果、39.5%であった。以上の通り、透明部を透明樹脂層を形成することで構成した本発明の実施例の光量調節部材は、比較例の光量調節部材と比べてMTF値が向上するという結果が得られた。即ち、透明液を付与して透明樹脂層を形成することで、光量調節部材の透明部を構成したことによる光学系の効果は充分にあることが確認できた。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、光量調節部材の透明領域[光量調節部(着色部)以外の領域=透明部]にも透明樹脂を含有する透明液が付与されて、着色部と同様に樹脂層が形成されているため、透明部と着色部の境界で回折が生じにくくなり、解像力の低下の少ない優れた光学特性を有する光量調節部材が提供される。又、本発明によれば、上記光量調節部材は、液体吐出装置によって製造できるため、非常に簡便に、歩留まりよく安価に、上記した優れた光学特性を有する光量調節部材を製造することが可能となる。特に、本発明によれば、他の製造方法では著しく困難であった、光学濃度が、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有する光量調節部材を、簡便に、歩留まりよく安価に製造することが可能となる。更に、本発明によれば、上記の優れた光学特性を有する光量調節部材を利用することによって、安価で光学特性に優れた光量調節装置及び撮影装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光量調節部材を具備した絞り羽根の概略図である。
【図2】図1の絞り羽根を用いた光量調節装置の概略図である。
【図3】図2の光量調節装置を組み込んだ撮影装置の模式的な構成図である。
【図4】光量調節部材の作製に用いた研磨装置の模式的な構成図である。
【図5】本発明にかかる別の形態の光量調節部材を具備した絞り羽根を用いた光量調節装置の概略図である。
【符号の説明】
20:光量調節部材
40:下方保持部
42:上方保持部
44:研磨部材
50:研磨装置
100:光量調節装置
101、102:絞り羽根
101a、102a:溝穴
101b、102b:溝
101c、102c:絞り開口縁
103:絞り羽根駆動レバー
103a:孔
103b、103c:突設ピン
101P、102P:本発明による光量調節部材の着色部
101Q、102Q:光遮断部材
101R、102R:本発明による光量調節部材の透明部
105:ガイドピン
106:地板の光路孔
111:透明基材
112:樹脂層
400:撮影光学系
401:第1レンズ群
402:第2レンズ群
403:第3レンズ群
404:光学ローパスフィルタ
411:撮像手段
421:表示器
422:操作スイッチ群
423:アクチュエータ
431:CPU
432:絞り駆動回路
433:CCD駆動回路
441:アンプ回路
442:カメラ信号処理回路
443:レコーダ
Claims (1)
- 透明基材上に樹脂層が形成されており、該樹脂層が、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する特定の光学濃度領域を有する着色部と、透明樹脂を少なくとも含有する透明部とからなることを特徴とする光量調節部材。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008233356A (ja) * | 2007-03-19 | 2008-10-02 | Canon Electronics Inc | 光学フィルタの製造方法 |
JP2012173675A (ja) * | 2011-02-24 | 2012-09-10 | Seiko Epson Corp | レンズの製造方法 |
JP2018041096A (ja) * | 2017-10-30 | 2018-03-15 | セイコーエプソン株式会社 | 光学デバイス及び画像表示装置並びに光学デバイスの製造方法 |
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2002
- 2002-12-17 JP JP2002365743A patent/JP2004198654A/ja active Pending
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