JP2005013877A - 皮膜形成方法、光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置 - Google Patents

皮膜形成方法、光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光量調節部材の製造方法を提供する。
【解決手段】非吸収性の基材上に、微小液滴吐出装置を用いて少なくとも皮膜を形成する成分を有する液体を吐出させた後、皮膜化を行う皮膜形成方法において、上記微小液滴吐出装置の1回の主走査で吐出される液滴が接触しないように配置され、該液滴が流動性を失った後に次の主走査を行い、複数回の主走査により皮膜化領域の形成を行う皮膜形成方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス基板やPETフィルムのような非吸収性の媒体に対して任意の領域に任意のパターンを有する皮膜を形成させる方法に関するものである。さらには、デジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器や、或いは、電子写真方式記録装置等に使用される光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の光学機器に用いられる結像(撮影)光学系には、一般に入射光束の光量を調節する光量調節装置、いわゆる絞り装置が内蔵されている。かかる絞り装置においては、複数の絞り羽根が所定面積の開口部を形成し、アクチュエータで該開口部の開口径を調節することで、開口部を通過する光束の量を調節している。しかし、該開口部の開口径を小さくするに従って、絞り羽根の端部で生ずる回折の影響が大きくなり、結像光学系の結像性能が低下する。これに対して、この欠点を回避するために、上記絞り羽根の一部に光量調節部材としての光学フィルタを設け、開口径を小さくする代わりに、光学フィルタで開口部を通過する光束の量(光量)を減衰させる技術が知られている。このような目的に用いられる光学フィルタには、光の散乱、屈折異常、分光透過率偏差等の光学的欠陥が少ないことが要求される。
【0003】
従来、この光量調節部材には、光透過性のフィルム状の材料中に、光を吸収する顔料や染料等の色材を混合して練り込むタイプのものが一般的に使用されている。しかしながら、この方式によって製造される光量調節部材は非常に高価であり、拡大する需要に対して要求されているコストダウンに対して十分に応えられるものではなかった。又、この光透過性のフィルム状の材料中に色材を練り込む方式では、連続的に或いは段階的に変化する光学濃度分布を有する(以下、「多濃度の」と呼ぶ)光量調節部材を製造することは著しく困難である。
【0004】
又、他の製造方法として、例えば、特開平5−173004号公報には、銀塩フィルムを用いて、多濃度の光量調節部材を製造する方法が開示されているが、この場合には、フィルタに内在する銀粒子表面での光束の反射や、銀粒子端部を通過する光束の回折により、該フィルタを通過した光線の直進性が損なわれて光学系の結像性能が低下する、といった銀塩フィルムを用いることによる特有の問題が生じる。
【0005】
特開平10−133254号公報には、蒸着法により、多濃度の光量調節部材を製造する方法が開示されているが、製造コストがかかり、高価なものとなるのに加えて、濃度によって膜厚が変化することが生じるために、濃度の高いところと低いところで膜厚差が生じ、結果として、光路差が生じてしまい解像力が低下するといった問題が発生する。又、この方式では、連続的に濃度分布が変化するものを製造することは困難であり、製造したとしても、濃度分布が段階的に変化するものになってしまう。
【0006】
特開平10−96971号公報には、先ず、光によって褪色する有機色素をフィルム材料中に練り込み、得られたフィルムに部分的に高エネルギーの光を照射することで照射部分の有機色素を分解させ、これによって濃度分布を有する光量調節部材を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方式では、使用可能な色材が、光によって褪色するものに限定されてしまうため、十分な光学的特性を有する製品を得ることが非常に困難である。更に、その製法から、得られる製品が非常に高価なものになってしまうであろうことは容易に推測できる。
【0007】
さらに、特開2000−352736公報では、蒸着或いは写真製版等の印刷工程により、単一濃度の膜を網点状に形成し、網点パターンを場所によって変えることで、透過率が無段階に変わる光量調節部材としてのフィルタの製造方法が開示されている。しかしながら、上記の方法は、写真製版或いは蒸着で所定濃度の膜を形成するものであり、いずれの工程を採用したとしても、装置が大型化し、高価であり、フィルタの製造コストが高くなってしまうという課題がある。
【0008】
さらに、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、スピンコート法等により光を吸収する顔料や染料等の色材を含む塗工液を非吸収性媒体上に均一に塗布することで着色フィルムを作成することはできるが、フィルム内に任意のパターンを形成させることは非常に困難である。
【0009】
また、インクジェット等の微小液滴吐出手段を用いて塗布する場合でも、帯電制御式のインクジェットで揮発性の溶剤等を使用したインクを用いれば非吸収媒体へのマーキング等は可能であるが、ドット径が大きく本発明の光量調節部材のような微細なパターンを有する平滑な皮膜を作成する用途には使用困難であり、装置も高額である。また、プリンタとして用いられているようなピエゾ方式やサーマル方式のインクジェットを用いれば微細なパターニングは可能であるが、使用できるインクはノズル詰まりを防止するため難揮発性でなければならず、通常のプリントモードでパターニングした場合、浸透乾燥が行われない非吸収性の基材に着弾されたインク滴は乾燥する前に隣接するように打たれたインク滴と結合し、着弾された位置とは異なる位置に大きな1つのインク滴を形成してしまう現象(ビーディング)が起こってしまう。そのため一定の面積を完全に覆うベタをパターニングする場合、均一な皮膜は形成できたとしてもその皮膜の中での色材の有無、または複数の色材による精密なパターンを維持することは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、非吸収性の基材上に任意のパターンを有する皮膜を形成させる方法を提供することにある。また、製造コストが低く、製品歩留まりの高い、簡便な光量調節部材の製造方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、上記に加えて、光学濃度が連続的に或いは段階的に変化した濃度分布を有する領域を持つ光量調節部材が簡便に得られる光量調節部材の製造方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、上記した簡便な製造方法によって製造された、安価でしかも優れた特性を有する光量調節部材、該光量調節部材を具備する光量調節装置及び撮影装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、下記の本発明で上記課題が解決されることを見出した。即ち、本発明は、非吸収性の基材上に、微小液滴吐出装置を用いて少なくとも皮膜を形成する成分を有する液体を吐出させた後、皮膜化を行う皮膜形成方法において、上記微小液滴吐出装置の1回の主操作で吐出された液滴が接触しないように配置され、該液滴が流動性を失った後に次の主走査を行い、複数回の主走査により皮膜化領域の形成を行う皮膜形成方法である。
【0012】
また、本発明は、非吸収性の基材上に、微小液滴吐出装置を用いて少なくとも皮膜を形成する成分を有する液体を吐出させた後、皮膜化を行う皮膜形成方法において、上記微小液滴吐出装置の1回の主操作で吐出された液滴が少なくとも上記主走査方向においてのみ接触する配置され、該液滴が流動性を失った後に次の主走査を行い、複数回の主走査により皮膜化領域の形成を行う皮膜形成方法である。
【0013】
また、本発明の一実施様態にかかる前記液体に着色剤を含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明の一実施様態にかかる上記皮膜形成法で特定の光学濃度領域からなる着色皮膜を形成する工程を有する光量調節部材の製造方法を包含する。
【0015】
本発明はまた、上記特定の光学濃度領域が、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させることで形成された、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有する前記光量調節部材の製造方法をも包含する。
【0016】
本発明はまた、上記光量調節部材の製造方法で製造されたことを特徴とする光量調節部材をも包含する。
【0017】
本発明はまた、上記光量調節部材が具備されている光量調節装置をも包含する。
【0018】
本発明はまた、上記光量調節装置と、被写体像を形成するための撮影光学系と、該被写体像を光電変換する撮像手段と、光電変換された信号を記録する記録手段とを有する撮影装置であって、上記光量調節装置を、上記撮影光学系に配置する撮影装置をも包含する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、より具体的な構成例について記載するが、本発明は下記方法に限定されるものではない。
【0020】
本発明において用いることのできる非吸収性の基材とは、インクジェット等の微小液滴吐出装置を用いて液滴を吐出させた後に、溶剤の吸収および浸透による乾燥が行われず、蒸発を主体として乾燥するような基材である。具体的には、特に限定されるものではないが、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、ガラスセラミック、フッ化物ガラス等からなるガラス類。鉄、銅、金、アルミニウム、青銅、鋼、ステンレス鋼等の金属類、合金類、普通鋼類および特殊鋼類。ポリエチレンテレフタレート、ジアセテート、トリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック類。その他、炭素やシリコン等の基板、セラミックス材料等、多数を列挙することができる。上記の非吸収性の基材を構成する材料は、一つの基板内で複合して用いることができ、さらにこれらの材料でコートされた基材も用いることができる。また、これらの基板は部分的または全面において、段差または局面を有していてもよい。また、このなかでも特に光量調節部材として用いる基材には、機械的強度および光学的特性の必要特性を有しているもが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテート、トリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる透明フィルムが好ましく利用できる。更に、上記に列挙した材料から適宜に選択される基板は、その表面を、プラズマ処理やUV処理、UVオゾン処理、コロナ処理、シランカップリング処理等の各種の処理を施すことで、基板の表面を改質してもよい。これらの処理は、当該基板上に液滴を付与してドットを形成した場合に、ドットの広がりの制御や密着性を向上させるのに役立つ場合がある。
【0021】
本発明において用いることのできる微小液滴吐出装置とは、基板に接触せずに微小の液滴を任意に吐出させて、液滴を基板に付着させることのできる装置であり、具体的には、通常プリンタとして用いられる電気熱変換体を用いたサーマル方式のインクジェット装置、圧電素子を用いたピエゾ方式のインクジェット装置、あるいは電磁ソレノイド型のインクジェット装置等が挙げられる。これらインクジェットのヘッドは一種類以上のインクを吐出させることのできるマルチヘッドのものが好ましく、さらに各ヘッドに配列しているノズルはマルチノズルであることも好ましい。図1は本発明が適用できる微小液滴吐出装置の概略構成例を示す斜視図である。この図において、701はインクカートリッジである。これらは4種の異なる少なくとも皮膜を形成する成分を有する液体(以下、「皮膜インク」と略記する)がそれぞれ詰め込まれたインクタンクと、各皮膜インクに対応したマルチヘッド702より構成されている。このマルチヘッドに配列するマルチノズルの様子をz方向から示したものが図2あり、801はマルチヘッド702上に配列するマルチノズルである。尚、本図ではマルチノズル801がY軸に沿って平行に配列されているが、例えば、図のXY平面上多少の傾きを持っていても良い。この場合には、ヘッドが進行方向Xに進んで行くのに対し、各ノズルはそれぞれタイミングをずらしながら描画を行っていくことになる。再び図1に戻る。703は基材送りローラで、704の補助ローラとともに基材Pを抑えながら図の矢印の方向に回転し、基材PをY方向に随時送っていく。また、705は基材供給ローラであり、基材の供給を行うとともに、基材送りローラ703、補助ローラ704と同様、基材Pを抑える役割も果たす。706は4つのインクカートリッジを支持し、描画とともにこれらを移動させるキャリッジである。キャリッジ706は描画を行っていないとき、あるいは、マルチヘッドの回復作業を行うときには図の点線で示した位置のホームポジションhに待機するようになっている。
【0022】
図3は、図1に示すインクジェット描画装置の制御部を示すブロック図である。図中1201はCPU、ROM、RAM等を中心に構成された制御部であり、ROMに格納されたプログラムに従って装置各部の制御を行う。1202は制御部1201からの信号に基づいてキャリッジ706をx方向に移動(主走査)させるためのキャリッジモータ1205を駆動するドライバ、1203は制御部1201からの信号に基づいて基材供給ローラ705及び基材送りローラ703を駆動し基材をy方向に搬送(副走査)するための搬送モータ1206を駆動するドライバ、1204は制御部1201からの描画データに基づいて各マルチヘッド1207〜1210(図1の702に相当)を駆動するドライバ、1211は各種キーの入力及び各種表示を行う操作表示部、1212は制御部1201に対し描画データを供給するためのホスト装置である。
【0023】
描画開始前、図の位置(ホームポジション)にあるキャリッジ706は、描画開始命令がくると、x方向に往動しながら、マルチヘッド702上のn個のマルチノズル801により、基材上に描画を行う。基材面端部までデータの描画が終了し、反転位置に達するとキャリッジはホームポジション方向に復動を開始し、再びデータの描画を行う。このキャリッジの往動による最初の描画が終了してからキャリッジの復動による2回目の描画が始まる前までに、基材送りローラ703が矢印方向へ回転することにより、描画領域の幅に応じてy方向への基材送りを行う。このようにしてキャリッジのスキャン(主走査)に応じてマルチヘッドによる描画と基材送り(副走査)を行う繰り返しにより、一基材面上のデータ描画が完成する。上記の構成をもつ微小液滴吐出装置としては、市販されているインクジェットプリンタがあるが、基材がフィルム状または、厚さが1.5mm前後のディスク状である場合は、これを好ましく用いることができる。もちろん、これに限定されず本発明において1.0cm以上の厚さをもつ基材等に描画を行う場合には、基材送りの機構に相当する部分をXYZステージ等で行うことのできる特別に製造された微小液滴吐出装置等を用いてもよい。
【0024】
本発明の一形態は上記の微小液滴吐出装置の1回の主操作で吐出された皮膜インクの液滴が接触しないように配置され、複数回の主走査により皮膜化領域の形成を行う皮膜形成方法である。ここでいう接触しないように配置することとは、USP4748453、特登録4748453等に開示されているビーディングを低減する描画法ような、上下左右に隣接しないというだけでなく、対角線の位置にあるドットに対しても接触してはならないということである。例えば基材上一面を皮膜インクで均一に被覆する場合、配置されるドットを真円とし、碁盤目のマス中にちょうど一つが埋まるように示した場合図4Aのようになるが、少なくとも1回の主走査の間で、1つのドットに隣接する8個のマスに、吐出してはならないということである。つまり1回の主走査では最も高密度に描画するときで図4Bまたは、図4Cのようになる。図4Aの描画ではドットで埋められていない部分があるため、実際の描画の際には着弾位置は変化させずにドット径を100〜200%程度に調節して描画する必要がある。基材一面を被覆するには図5のように描画する必要があり、最低でも4回の主走査を必要とする。
【0025】
本発明のもう一つの形態は上記の微小液滴装置の1回の主走査で吐出された液滴が少なくとも上記主走査方向においてのみ接触する配置され、複数回の主走査により皮膜化領域の形成を行う皮膜形成方法である。これは主走査方向に対して隣接するドットが同じ皮膜インク、または主走査方向でのドット間の境界にじみが問題にならない場合において特に有効である。図6Aにおいて、有色の皮膜インクで「F」というパターンを形成する例を示す。この場合、最上段のドットは8個連続して同じ有色の皮膜インクであるため、この8個は1回の主走査で描画を行うことができる。この場合、図6Bに示すように乾燥していない8個のドットは1本の均一な線状になり、単独ドットと同様にビーディングを防ぐことができる。1回の主走査で複走査方向にもドットが重なるように描画した場合はビーディングが起こりやすいため、ドットの接触は主走査方向でのみ起こるようにするのが好ましい。図7に示すように、描画するには最低でも2回の主走査を必要とする。また、この方法では、主走査方向におけるドットの重なりによる段差が低減されている。
【0026】
本発明において用いることのできる皮膜インクとは、上記非吸収性の基材上で皮膜を形成することのできる成分を含んでいるインクであって、上記微小液滴吐出装置から吐出させることができ、かつ1回の主走査にかかる時間を経ることで、新たに隣接して着弾した皮膜インクの液滴とビーディングを起こさない程度に乾燥するインクである。
【0027】
皮膜を形成することのできる成分として、具体的にはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、ビニルエステル類、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、クロトン酸、クロトン酸誘導体、アルケニルスルホン酸類、ビニルアミン類、アリルアミン類、ハロゲン化ビニル類、シアノビニル類、ビニルホスホン酸類、ビニルピロリドン類、(メタ)アクリル酸アミド類、N−ビニルアセトアミド類、N−ビニルホルムアミド類、オレフィンアルデヒド類、ビニル系芳香族アミン類、オレフィンフェノール類から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体から構成されるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの変性物、及びこれらの塩等が挙げられる。或いは、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアリルアミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メラミン樹脂あるいはこれらの変性物、及びこれらの塩等の合成樹脂などが挙げられる。また、アルブミン、ゼラチン、ロジン、シェラック、デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然高分子化合物、およびこれらの変性物も好ましく使用することが出来る。さらに、これらの重合体および高分子化合物には架橋性または重合性の官能基を有していてもよく、この場合皮膜インクには重合開始剤および重合性単量体、または架橋剤等を加えておくこともできる。上記の成分はいずれも溶解した状態または分散体等として用いることができ、1種類単独でまたは2種類以上を併用して使用することができる。
【0028】
また、皮膜インクには着色剤を加えることができる。着色剤としては、特に限定されるものではなく従来公知の着色剤を使用することができるが、本発明の光量調節部材の製造において用いる皮膜インク中の色材としては、透明な基材上に付与された場合に、特定の光学濃度を有する領域である着色部を形成し得るものであれば、いずれのものでもよい。従って、ここで言う着色剤は、可視光、紫外光、赤外光を含む所定波長帯の光の透過率を制御する材料を指す。本発明の光量調節部材の製造方法によってNDフィルタ(Neutral Density Filter)を製造する場合には、例えば、可視光帯域全体に渡って均一な、特定の透過特性を与えるものが利用できるが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、赤外線カメラ用の光量調節装置に用いる場合には、赤外域の特定波長のみを透過する材料が用いられるが、これも本発明で言う色材に含まれる。更に、透過光量を制御する際の光の吸収が、材料内部で生じるものや、材料表面で生じるもの等、何れも本発明で言う色材に含まれる。具体的には、各種染料や顔料を用いることができる。顔料としては、有機顔料、無機顔料(各種金属、各種金属酸化物、金属窒化物等その複合体、有機微粒子等との複合体)も使用可能である。
【0029】
本発明の皮膜インクにおいて、水およびアルコール等の沸点100℃以下の溶媒を主溶媒として用いる場合は、微小液滴吐出装置のノズル部分での乾燥、固化、および粘度調節を目的として、水溶性有機用剤を添加できる。水溶性有機溶剤としては、例えば炭素数1から4のアルキルアルコール類(例えばメタノール、エタノール、n―プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n―ブチルアルコール、sec―ブチルアルコール、tert―ブチルアルコール等)、ケトンまたはケトアルコール類(例えばアセトン、ジアセトンアルコール等)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ポリアルキレングリコール類(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6―ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等)、多価アルコール等のアルキルエーテル類(例えばエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、トリエチレンモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等)さらにはN―メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等があげられる。また非吸収性の基材上での液滴形成を調節するために界面活性剤を添加できる。界面活性剤としてはノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤など従来公知の界面活性剤をいずれも好ましく利用できる。また、上記した皮膜を形成する成分、着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤の他にも防黴剤、酸化防止剤、pH調整剤などの添加剤を適宜配合してもかまわない。皮膜インクの主溶剤の沸点が100度以下である場合、一回の主走査にかかる時間である程度の乾燥が進行し、皮膜を形成する成分が濃縮されるため次の主走査で吐出される液滴と接触してもビーディングを起こしにくくなる。乾燥性の調節においては、液滴の大きさ、主走査の時間および上記皮膜インクの成分によって適宜調節することができるが、基板の加熱、基板の冷却、熱風の送風、冷風の送風、乾燥、加湿、光線または電子線の照射等によって調節することもできる。
【0030】
吐出される液滴は小さいほど微細なパターニングが可能であり、また乾燥も早いためより好ましい。液滴が大きいと、1つのドット内においてビーディングおよび膜厚のむらが生じてしまう。液滴のサイズは具体的には0.1pl〜1.0μlであることが好ましい。
【0031】
上記の皮膜形成方法を用いることで、非吸収性の基材上に任意のパターンを有する皮膜を精密に形成させることができる。
【0032】
また、本発明の皮膜形成方法において、基材として透明基板、皮膜を形成する成分として透明樹脂を用いることで光量調節部材を好ましく製造することができる。
【0033】
本発明の製造方法で透明基材上形成する着色部は、特定の光学濃度を有する領域となるように、目的によって各種のパターンとすることができる。例えば、均一の光学濃度を有する領域としてもよいし、連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させて、濃度勾配をつけた領域としてもよい。この連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させた領域は、上記に挙げたような微小液滴装置に搭載する皮膜インクとして、濃度が段階的に異なる着色剤を添加したものを複数搭載させることで、或いは、これらの皮膜インクを用い、且つ皮膜インクの吐出量を適宜に制御することで、容易に形成できる。
【0034】
特に、本発明による光量調節部材の製造方法によれば、光学濃度が、連続的に、或いは段階的に変化する濃度勾配を有する着色部を持つ光量調節部材を簡便に作製することができる。更に、本発明の方法は、形成できる光学濃度勾配パターンの自由度が高いので、光量調節部材に所望される特性に対して、光学上の最適化が容易であるという利点もある。
【0035】
本発明の光量調節部材の製造方法では、上記のようにして透明基板上に皮膜インクを付与した後、必要に応じて、熱風乾燥炉、熱ドラム、及びホットプレート等を用いて乾燥処理を行ってもよい。また、使用した皮膜形成成分に応じてはUV照射等を行ってもよい。
【0036】
ドットの重なりが目立つときは、樹脂の軟化温度程度またはそれを超えて加熱をおこない皮膜の平坦化を促進してもよい。さらには、乾燥処理の前もしくは後に、皮膜形成成分を溶解または膨潤させる溶媒で処理することによっても平坦化を促進させることができる。
【0037】
本発明の方法では、上記のようにして、着色部が、透明基材上に着色樹脂被膜として形成されるが、更に、必要に応じて該被膜上に平坦化層を設けることも好ましい。即ち、上記で形成される着色部は、着色液を吐出して付与された着色樹脂被膜であるため、部分的に表面に凹凸ができる恐れがある。これに対して、部分的にでも表面に凹凸があると光学的な特性が均一でなくなり、特定の光学濃度領域を有する着色部を形成することが困難となる場合がある。従って、着色部を形成後、表面を平坦化処理することは有効である。
【0038】
平坦化層の形成に用いられる材料としては、上記皮膜を形成する成分の他、着色層を形成している成分との密着性、機械的強度、光学的特性等の必要性能を満たしていれば、特に限られるものではない。具体的には、例えば、アクリル系やエポキシ系の、熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂が好適に使用できる。平坦層の形成方法としては、これらの樹脂形成材料からなる塗工液を、着色部が形成されている透明基板上に塗布して塗工膜を形成した後、該基板を、オーブン、ホットプレート等を用いてベーキングして硬化被膜を形成させる方法や、或いは、上記基板に、電子線や紫外線等を照射して硬化被膜を形成させる方法等を用いることができる。(この際に形成する平坦化層の厚みは、要求性能等にもよるが、例えば、0.1〜10μm程度とすることが適当である。
【0039】
さらに、このようにして得られた光量調節部材の両面に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、可視光帯域において反射防止特性が優れる、及び水分や有害ガスの遮断特性に優れる、という特性が必要とされる。この要求を満たすためには、無機材料の蒸着多層膜を用いるのが好適である。例えば、本出願人による特開平06−273601号公報に記載された反射防止膜を用いることで、フィルタの表面反射による迷光の発生を防止するとともに、水分や有害ガスの色材への浸入を遮断し、色材の劣化を防止することができる。
【0040】
更に、本発明の光量調節部材の製造方法においては、着色部である着色樹脂被膜表面に生じる部分的な凹凸の解消手段として、表面を研磨処理して平坦化させる方法も好適に利用できる。その際に行う平坦化を目的にした研磨方法としては、テープ研磨、バフ研磨等の方法が考えられるが、本発明においては、特に、バフ(buff)研磨を好適に用いられることができる。尚、バフ研磨とは、研磨母材表面に研磨材を設置し、この研磨母材を回転させた状態で基材の研磨すべき部分を、上記研磨母材に当接させることで、表層を研磨材によって研磨する方法である。
【0041】
図8は、バフ研磨による平坦化方法を実施するための研磨装置の構成を示す図である。図8に示したように、研磨装置50は、光量調節部材20を吸着保持するための下方保持部40と、この下方保持部40に対向して設けられた上方保持部42とを備えている。図8に示したに示した例では、上方保持部42の下面には、多孔質状の研磨母材に微粒子状の研磨材を浸み込ませた研磨部材44が取り付けられている。そして、上方保持部42の下面に設置した研磨部材44が、下方保持部40に吸着保持されている光量調節部材20の表面に接触するようにした状態で、上方保持部42を回転させる。これによって、光量調節部材20の表面は、研磨材によって表面が研磨されて、凹凸のない平坦面となる。研磨部材44に使用する研磨母材には、例えば、不織布やスウェード等の多孔質体を用いることが好ましい。図8に示した装置では、不織布を用いている。又、研磨材としては、無機酸化物微粒子等を用いることができるが、本発明では、アルミナを主成分とした無機酸化物微粒子を好ましく用いることができる。又、用いる研磨部材の粒径としては、例えば、0.001〜0.3μm程度とすることが好ましい。
【0042】
次に、上記で説明した本発明の光量調節部材の製造方法によって得られる光量調節部材の光学特性について、説明する。
【0043】
先ず、光量調節部材の良否を判断する場合、(1)単体で用いた場合に、色材が光束を散乱或いは屈折することによって生じる光学性能の低下、(2)絞り装置等に組み込んで使用した場合の回折防止効果、(3)分光透過率の、上記3項目の評価が必要である。
【0044】
ここで(3)は、使用する色材の種類によってフィルタの特性を自在に調節でき、且つ市販の分光透過率計を用いて簡単に測定できるので、説明は省略する。一方(2)の評価項目は、絞り羽根の形状や評価時の絞り値(Fナンバー)等の因子が評価結果に大きく影響するため、光量調節部材単独の光学特性を評価するのには適していない。光量調節部材単独の光学特性を評価するためには、上記(1)の方法が適している。そこで、後述する各実施例では、光量調節部材単独の光学特性評価方法と、それぞれの実施例の製造方法で作成した均一濃度の光量調節部材の測定結果を記した。
【0045】
光量調節部材の光学濃度を、段階的或いは連続的に変化させた場合の光学的優位性は、例えば、特開平6−95208号公報、特開平11−15042号公報等に記載されている。これに対して、本発明者らの検討によれば、本発明の製造方法によって製造された光学濃度が段階的或いは連続的に変化する光量調節部材は、絞り装置に適用した場合に、簡便な製造方法で得られたものであるにもかかわらず、上記した従来公知の技術によって得られているのと同等の効果を得ることができることを確認できることがわかった。
【0046】
以下、本発明の製造方法によって得られた光量調節部材を使用した光量調節装置について説明する。尚、本発明は、以下に記載する構成に限定されるものではない。図9は、本発明の光量調節部材を具備した絞り羽根を示す図である。尚、ここでは光量調節装置として、ビデオカメラ等で使用される絞り装置を例にとって説明する。図9中の101は絞り羽根全体を示し、先に説明したようにして形成した特定の光学濃度領域からなる着色部を有する光量調節部材101P(図9のグラデーション部)と、光を遮断する光遮断部材101Q(グラデーション以外の部分)で構成されている。尚、図9及び10中、光遮断部材101Qについては、光量調節部材101Pとの境界等を明確にするために彩色を施していないが、本来は、光を遮断する部材であるので黒色等で形成されている。
【0047】
図10は、図9の絞り羽根を用いた光量調節装置の図である。図10において、100は光量調節装置全体を示している。101は、図9で示した第1の絞り羽根であり、102は第2の絞り羽根である。第2の絞り羽根102は、第1の絞り羽根と同様の方法で製造され、光量調節部材102Pと光遮断部材102Qとを有している。103は、不図示のモータの軸に孔103aにおいて嵌着されており、該孔103aを中心として回動される絞り羽根駆動レバーである。第1の絞り羽根101及び第2の絞り羽根102は、絞り羽根駆動レバー103の両端の突設ピン103b及び103cにそれぞれの溝穴101a及び102aにおいて係合している。105は、第1及び第2の絞り羽根101及び102それぞれの側縁部の溝101b及び102bに、相対摺動可能に係合している不図示の地板のガイドピン、106は、該地板に貫設されている光路孔、101c及び102cは第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの絞り開口縁である。
【0048】
図10は、絞りが全開の時の状態を示している。絞りが全開の状態から、絞りを次第に絞っていくと、絞りの開口部である光路孔106は、第1及び第2の絞り羽根の光透過部101P及び102Pで覆われるため、光路孔106を通る光束の透過率が徐々に低くなる。
【0049】
図11は、図10で示した光量調節装置を光学装置に配置した場合における概略配置図である。本実施例では、光学装置は動画像若しくは静止画像を撮像手段で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録するビデオカメラを例にとって説明する。400は、複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群401、第2レンズ群402、第3レンズ群403、及び、図10で示した絞り装置100で構成される。401は固定の前玉レンズ群、402はバリエータレンズ群、403はフォーカシングレンズ群である。404は光学ローパスフィルタである。また撮影光学系400の焦点位置(予定結像面)には、撮像手段411が配置される。これには、照射された光エネルギを電荷に変換する複数の光電変換部、該電荷を蓄える電荷蓄積部、及び該電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部からなる2次元CCD等の光電変換手段が用いられる。
【0050】
421は、液晶ディスプレイ等の表示器で、撮像手段411で取得した被写体像や、光学装置の動作状況を表示する。422は、操作スイッチ群でズームスイッチ、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ、シャッター秒時等を設定する撮影条件スイッチで構成される。423はアクチュエータであり、これによりフォーカス駆動を行い、撮影光学系400の焦点状態を調節したりその他の部材を駆動する。
【0051】
CPU431では、取り込まれた平均濃度の大きさが、自身内にメモリーされている適正露出に相当する数値と一致しているかどうかを算出し、差のある場合は、その差分との絶対符号との絶対値に応じて絞り開口を変化させ、若しくは、撮像手段411への電荷蓄積時間を変化させることになる。絞りを動かす場合には、絞り駆動回路432により、絞り羽根駆動レバー103が103aを回転中心とし回動することで、絞り羽根101及び102が上下にスライドする。これにより、開口部である光路孔106の大きさが変化する。このようにして、絞り開口面積或いは電荷蓄積時間を変化させることで、最適の露出を得ることができる。
【0052】
最適露出にて、撮像手段411上に結像した被写体の像は、その明るさの強弱に応じた画素毎の電荷量として、電気信号に変換され、アンプ回路441で増幅された後、カメラ信号処理回路442で所定のγ補正等の処理を施される。尚、この処理は、A/D変換後のデジタル信号処理で行われてもよい。そして、このようにして作られた映像信号は、レコーダ443にて記録される。
【0053】
(実施例)
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。尚、文中「部」および「%」とあるのは特に示さない限り重量基準とする。
【0054】
実施例1
下記のものを混合した後、保留粒子径が1.0μmの濾紙にて加圧濾過して皮膜インクを得た。
【0055】
サルファーブラック 4部
アクリル変性高分子ポリエステル分散体 5部
グリセリン 10部
スチレン−アクリル酸の共重合体 5部
(分子量5000、酸価250、モノエタノールアミン中和)
イオン交換水 76部
次にこの皮膜インクをインクタンクに充填し、微小液滴吐出装置としてサーマル式のインクジェットプリンタ:キヤノン(株)PIXUS950iを使用して、膜厚75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、光学濃度が0.5(透過率32%)で均一になるように4パスで、図5のように1回の主走査でドットが接触しないように画像を分割し描画を行った。この際、1回の主走査毎に5秒の間隔をおいた。このように描画した後、熱乾燥オーブンを用いて120℃で2h乾燥した。
【0056】
上記のようにして形成した着色部である着色樹脂層の表面に、更に、以下の手順で平坦化層を設けた。先ず、スチレン−ブタジエン共重合体(JSR(株)製TR2000C)を含む塗工液を、固形分換算で上記共重合体が10部となるようにトルエン/メチルエチルケトン溶液を用いて調製した。この塗工液を、ワイヤーバーを用いて着色層上に塗工し、熱風乾燥オーブンにより100℃、5分の条件で乾燥を行った。このようにして作成された平坦化層の厚みは5μmであった。
【0057】
次いでこれの両面に特開平06−273601号公報実施例に記載されたものと同様にして無機材料の蒸着多層膜からなる反射防止膜を形成した。
【0058】
上記のようにして作製された本発明にかかる光量調節部材を、キヤノン(株)製デジタルカメラPower Shot G1の撮影レンズの前方に配置し、ISO規格電子スチルカメラ用解像力チャートを撮影した。露出制御モードは絞り開放による絞り優先AEを使用し、光量調節部材の有無に係わらず適正露出が得られるようにした。この撮影画像から白黒バーチャート(像面上での空間周波数14.5 line pairs/mm)を切り出し、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを評価コントラストとした。次いで、光量調節部材を外して同様の撮影を行ない、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを参照コントラストとした。
【0059】
このようにして得られた参照コントラストに対する評価コントラストの比率を求め、フィルタコントラストと定義したが、本実施例の場合、この値は0.92であった。フィルタコントラストの許容下限値は、撮影装置の用途や価格帯により異なるが、普及クラスの撮影装置では0.9以上、高級クラスでは0.92以上が好ましいことがわかっている。従って、本発明の光量調節部材のフィルタコントラスト値0.92は、充分に高性能であることがわかった。
【0060】
実施例2
実施例1と同様の方法で光量調節部材を作製した。但し、インクジェットプリンタによって行う皮膜インクの付与を、実施例1の場合のように均一ではなく、実施例1の皮膜インクの組成からサルファーブラックのみを抜いた透明な皮膜インクと組み合わせることによって、着色部の光学濃度が連続的に変化する濃度勾配を与えるものとした。本実施例で得られた光量調節部材を実施例1と同様にして評価したところ、得られたコントラストの値は、0.92と高性能なものであった。
【0061】
実施例3
下記のものを混合した後、保留粒子径が1.0μmの濾紙にて加圧濾過して皮膜インクを得た。
【0062】
サルファーブラック 4部
アクリル変性高分子ポリエステル分散体 5部
グリセリン 10部
スチレン−アクリル酸の共重合体 5部
(分子量5000、酸価250、モノエタノールアミン中和)
イオン交換水 76部
次にこの皮膜インクをインクタンクに充填し、微小液滴吐出装置としてサーマル式のインクジェットプリンタ:キヤノン(株)PIXUS950iを使用して、膜厚75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、光学濃度が0.5(透過率32%)で均一になるように4パスで、図5のように1回の主走査でドットが接触しないように画像を分割し描画を行った。この際、1回の主走査毎に5秒の間隔をおいた。このように描画した後、熱乾燥オーブンを用いて120℃で2h乾燥した。
【0063】
上記のようにして形成した着色部である着色樹脂層の表面を、図4に示した表面研磨装置で研磨して、表面粗さRaが0.2μm以下になるようにした。この際、研磨部材44には、研磨母材である不織布に、研磨材としてアルミナを主成分とした無機酸化物微粒子を浸み込ませたものを用いた。又、研磨材には、0.1μmの粒径のものを使用した。
【0064】
次いでこれの両面に特開平06−273601号公報実施例に記載されたものと同様にして無機材料の蒸着多層膜からなる反射防止膜を形成した。
【0065】
上記のようにして作製された本発明にかかる光量調節部材を、キヤノン(株)製デジタルカメラPower Shot G1の撮影レンズの前方に配置し、ISO規格電子スチルカメラ用解像力チャートを撮影した。露出制御モードは絞り開放による絞り優先AEを使用し、光量調節部材の有無に係わらず適正露出が得られるようにした。この撮影画像から白黒バーチャート(像面上での空間周波数14.5 line pairs/mm)を切り出し、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを評価コントラストとした。次いで、光量調節部材を外してから同様の撮影を行って画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを参照コントラストとした。
【0066】
このようにして得られた参照コントラストに対する評価コントラストの比率を求め、フィルタコントラストと定義したが、本実施例の場合、この値は0.92であった。フィルタコントラストの許容下限値は、撮影装置の用途や価格帯により異なるが、普及クラスの撮影装置では0.9以上、高級クラスでは0.92以上が好ましいことがわかっている。従って、本発明の光量調節部材のフィルタコントラスト値0.92は、充分に高性能であることがわかった。
【0067】
実施例4
実施例3と同様の方法で光量調節部材を作製した。但し、インクジェットプリンタによって行う皮膜インクの付与を、実施例3の場合のように均一ではなく、実施例3の皮膜インクの組成からサルファーブラックのみを抜いた透明な皮膜インクと組み合わせることによって、着色部の光学濃度が連続的に変化する濃度勾配を与えるものとした。本実施例で得られた光量調節部材を実施例3と同様にして評価したところ、得られたコントラストの値は、0.93と高性能なものであった。
【0068】
実施例5
実施例2と同様の方法で光量調節部材を作成した。但し、インクジェットプリンタによって行う皮膜インクの付与を、図12に示すように、主走査方向に連なった線状に2パスの描画で行った。本実施例で得られた光量調節部材を実施例2と同様に評価したところ、得られたコントラストの値は、0.93と高性能なものであった。
【0069】
比較例1
実施例2と同様の方法で光量調節部材を作成した。但し、インクジェットプリンタによって行う皮膜インクの付与を、図13に示すように、千鳥格子状に2パスの描画で行った。皮膜には濃度のムラが生じており、本実施例で得られた光量調節部材を実施例2と同様に評価したところ、得られたコントラストの値は、0.75と高性能なものではなかった。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上記した従来技術の課題を解決し、非吸収性の基材上に任意のパターンを有する皮膜を形成させる方法が提供される。また、製造コストが低く、製品歩留まりの高い、簡便な光量調節部材の製造方法が提供される。さらに、本発明の目的は、上記に加えて、光学濃度が連続的に或いは段階的に変化した濃度分布を有する領域を持つ光量調節部材が簡便に得られる光量調節部材の製造方法が提供される。さらに、本発明の目的は、上記した簡便な製造方法によって製造された、安価でしかも優れた特性を有する光量調節部材、該光量調節部材を具備する光量調節装置及び撮影装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な微小液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】記録ヘッドを示す図である。
【図3】図1に示す微小液滴吐出装置の制御部を示すブロック図である。
【図4】本発明による分割記録の間引き配列を示す図である。
【図5】本発明による分割記録を4回の主走査に分けて示した図である。
【図6】本発明による分割記録の間引き配列を示す図である。
【図7】本発明による分割記録を2回の主走査に分けて示した図である。
【図8】光量調節部材の作成に用いた研磨装置の模式的な図である。
【図9】本発明による光量調節部材を具備した絞り羽の図である。
【図10】図9の絞り羽を用いた光量調節装置の図である。
【図11】図10の光量調節装置を組み込んだ撮影装置の図である。
【図12】本発明の実施例5における記録状態を示す図である。
【図13】本発明の比較例1における記録状態を示す図である。
【符号の説明】
701 インクカートリッジ
702 マルチヘッド
703 紙送りローラ
704 補助ローラ
705 給紙ローラ
706 キャリッジ
801 マルチノズル
1201 制御部
1202 キャリッジモータ
1206 搬送モータ
1207〜1210 マルチヘッド
1212 ホスト装置
20 光量調節装置
40 下方保持部
42 上方保持部
44 研磨部材
50 研磨装置
100 光量調節装置
101、102 絞り羽根
101a、102a 溝穴
101b、102b 溝
101c、102c 絞り開口縁
103 絞り羽根駆動レバー
103a 孔
103b、103c 突設ピン
101P、102P 本発明による光量調節部材
101Q、102Q 光遮断部材
111 透明基材
112 着色層
113 平坦化層
114 反射防止膜
105 ガイドピン
106 地板の光路孔
400 撮影光学系
401 第1レンズ群
402 第2レンズ群
403 第3レンズ群
404 光学ローパスフィルタ
411 撮像手段
421 表示器
422 操作スイッチ群
423 アクチュエータ
431 CPU
432 絞り駆動回路
433 CCD駆動回路
441 アンプ回路
442 カメラ信号処理
443 レコーダ

Claims (8)

  1. 非吸収性の基材上に、微小液滴吐出装置を用いて少なくとも皮膜を形成する成分を有する液体を吐出させた後、皮膜化を行う皮膜形成方法において、上記微小液滴吐出装置の1回の主走査で吐出される液滴が接触しないように配置され、該液滴が流動性を失った後に次の主走査を行い、複数回の主走査により皮膜化領域の形成を行う皮膜形成方法。
  2. 非吸収性の基材上に、微小液滴吐出装置を用いて少なくとも皮膜を形成する成分を有する液体を吐出させた後、皮膜化を行う皮膜形成方法において、上記微小液滴吐出装置の1回の主走査で吐出された液滴が少なくとも上記主走査方向においてのみ接触するように配置され、該液滴が流動性を失った後に次の主走査を行い、複数回の主走査により皮膜化領域の形成を行う皮膜形成方法。
  3. 前記液体に着色剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の皮膜形成方法。
  4. 請求項3記載の皮膜形成方法で、特定の光学濃度領域からなる着色皮膜を形成する工程を有することを特徴とする光量調節部材の製造方法。
  5. 前記特定の光学濃度領域が、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させることで形成された、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有する請求項4記載の光量調節部材の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の光量調節部材の製造方法で製造されたことを特徴とする光量調節部材。
  7. 請求項6に記載の光量調節部材が具備されている光量調節装置。
  8. 請求項7に記載の光量調節装置と、被写体像を形成するための撮影光学系と、該被写体像を光電変換する撮像手段と、光電変換された信号を記録する記録手段とを有する撮影装置であって、上記光量調節装置を、上記撮影光学系に配置する撮影装置。
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