JP2005055684A - 光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置 - Google Patents

光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 非常に簡便な操作で、歩留まりよく安価に、平坦性に優れ、且つ長期にわたる信頼性、特に耐湿性に優れる光量調節部材及びその製造方法、光量調節装置及び撮影装置の提供。
【解決手段】 転写用基材上にインク受容層を設け、該層に液体噴射記録法により着色インクを付与して着色層を形成した後、該着色層を透明基材上へ転写する工程からなることを特徴とする光量調節部材の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の光学機器等、又、電子写真方式記録装置等に使用される光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置に関する。
カメラ等の光学機器に用いられる結像(撮影)光学系には、一般に入射光束の光量を調節する光量調節装置、いわゆる絞り装置が内蔵されている。かかる絞り装置においては、複数の絞り羽根が所定面積の開口部を形成し、アクチュエータで該開口部の開口径を調節することで、開口部を通過する光束の量を調節している。しかし、該開口部の開口径を小さくするに従って、絞り羽根の端部で生ずる回折の影響が大きくなり、結像光学系の結像性能が低下する。これに対して、この欠点を回避するために、上記絞り羽根の一部に光量調節部材としてのフィルタを設け、開口径を小さくする代わりに光学フィルタで、開口部を通過する光束の量(光量)を減衰させる技術が知られている。このような目的に用いられる光学フィルタには、光の散乱、屈折異常、分光透過率偏差等の光学的欠陥が少ないことが要求される。
従来、この光量調節部材としては、光透過性のフィルム形成材料中に、光を吸収する顔料や染料等の色材を混合して練り込んで着色フィルムとしたタイプのものが一般的に使用されている。しかしながら、この方法によって製造される光量調節部材は非常に高価であり、拡大する需要に対して要求されているコストダウンに十分に応えられるものではなかった。又、光透過性のフィルム材料中に色材を練り込んで着色フィルムとする方式では、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する(以下、「多濃度の」と呼ぶ)光量調節部材を製造することは著しく困難である。
又、他の製造方法として、例えば、特許文献1には、銀塩フィルムを用いて、多濃度の光量調節部材を製造する方法が開示されているが、この場合には、フィルタに内在する銀粒子表面での光束の反射や、銀粒子端部を通過する光束の回折により、該フィルタを通過した光線の直進性が損なわれ、光学系の結像性能が低下するといった銀塩フィルムを用いることによる特有の問題が生じる。
特許文献2には、蒸着法により、多濃度の光量調節部材を製造する方法が開示されているが、この方法では製造コストがかかり高価なものとなるのに加えて、濃度によって光量調節部材の膜厚が変化するために、濃度の高いところと低いところで膜厚差が生じ、結果として光路差が生じて解像力が低下するといった問題が発生する。又、この方式では、連続的に濃度分布を有するものを製造することは困難であり、製造したとしても濃度分布が段階的に変化するものになる。
特許文献3には、先ず光によって褪色する有機色素をフィルム材料中に練り込み、得られたフィルムに部分的に高エネルギーの光を照射することで照射部分の有機色素を分解させ、これによって濃度分布を有する光量調節部材を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方式では、使用可能な色材が、光によって褪色するものに限定されてしまうため、十分な光学的特性を有する製品を得ることが非常に困難である。更に、その煩雑な製法から、得られる製品が非常に高価なものになってしまうであろうことは容易に推測できる。
更に、特許文献4では、蒸着或いは写真製版等の印刷工程により、単一濃度の膜を網点状に形成し、網点パターンを場所によって変えることで、透過率が無段階に変わる光量調節部材としてのフィルタの製造方法が開示されている。しかしながら、かかる方法は、写真製版或いは蒸着で所定濃度の膜を形成するものであり、いずれの工程を採用したとしても、装置が大型化し、高価であり、フィルタの製造コストが高くなってしまうという課題がある。
上記の問題を解決するべく近年液体噴射記録法による光量調節部材としてのフィルタ製造方法が注目されてきている。この方法においては、透明基板上に着色液(以下本明細書全体において「着色インク」という)を吸収し得る材料からなる層(以下本明細書全体において「インク受容層」という)を設け、該層に液体噴射記録法により着色インクを付与して着色層を形成し、着色層上に平坦化層を設けることを特徴とするものである。
上記方法によれば簡便に優れた性能を有する光量調節部材を製造することが可能であるが、インク受容層を透明基板上に塗布して形成する際に、塗布膜の平坦性を実現することが難しく、平坦でないと、塗布膜に膜厚差が存在することによる光路長の差異が光学特性を損なうことがある。又、該インク受容層が直接外気にさらされるために長期の保存、或いは湿度の高い状況下において空気中の水分を吸収してしまうことにより、インク受容層が膨潤し、結果的に光量調節部材の周辺部の膜厚が増大するために光路差が生じて解像力が低下するといった問題が発生していた。
特開平5−173004号公報 特開平10−133254号公報 特開平10−96971号公報 特開2000−352736公報
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、製造コストが低く、歩留まりの高い、簡便な操作によって光量調節部材を経済的に製造することが可能であり、更に信頼性、特に耐湿性能に優れた光量調節部材、及びその製造方法を提供することにある。
又、本発明の目的は、上記に加えて、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する光量調節部材を簡便に得ることができる光量調節部材の製造方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、上記した簡便な製造方法により製造された、安価でしかも優れた特性を有し、信頼性の高い光量調節部材、該光量調節部材を具備する光量調節装置及び撮影装置を提供することにある。
上記目的は下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、転写用基材上にインク受容層を設け、該層に液体噴射記録法により着色インクを付与して着色層を形成した後、該着色層を透明基材上へ転写する工程からなることを特徴とする光量調節部材の製造方法を提供する。
上記本発明においては、インク受容層の転写用基材面側に、透明な防湿層を有すること;前記転写用基材が、離型層を有すること;前記着色層を、該着色層上に設けられた透明な接着層を介して透明基材上へ転写すること;及び前記着色層が、連続的に、或いは段階的に濃度分布を有するように着色インクを付与することが好ましい。
又、上記本発明においては、前記防湿層と前記接着層とが、これらの端面において前記着色層を介することなく積層され、防湿層と接着層とで着色層の端部が露出しないように封止し、前記着色層の吸湿によって生じる光路長の部分的変化を防止するようにすること;前記着色層の一部を除去して、前記防湿層と接着層とで着色層の端面を封止すること;及び着色層が存在しない部分で切断することが好ましい。
又、本発明は、上記記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする光量調節部材;該光量調節部材を具備していることを特徴とする光量調節装置;及び該光量調節装置と、被写体像を形成する撮影光学系と、形成した被写体像を光電変換する撮像手段と、上記光電変換された信号を記録する記録手段とを有し、且つ上記光量調節装置が上記撮影光学系に配置されていることを特徴とする撮影装置を提供する。
本発明によれば、非常に簡便な操作で、歩留まりよく安価に、平坦性に優れ、且つ長期にわたる信頼性、特に耐湿性に優れる光量調節部材及びその製造方法、光量調節装置及び撮影装置が提供される。又、本発明によれば、他の製造方式では著しく困難な、連続的に、或いは段階的に濃度分布を有する光量調節部材を簡便に提供できる。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。先ず、本発明の光量調節部材の製造方法を説明する。
本発明にかかる光量調節部材の製造方法の概要を、図1を参照して説明する。先ず、転写用基材上に、必要に応じて離型層を設ける(a)。転写用基材が十分な離型性を有する場合には離型層の形成は省略することができる。次に離型層の表面に必要に応じて防湿層を設け(b)、更にその表面にインク受容層を設ける(c)。該インク受容層に液体噴射記録装置のインクジェットヘッドから着色インクを付与して着色層を形成する(d)。この着色層の解放表面に必要に応じて接着層を形成する(f)。次に接着層を透明基材に対向させて積層し(g)、転写用基材を剥離して本発明の光量調節部材を得る(h)。尚、上記透明基材の解放表面及び防湿層の解放表面には反射防止膜を形成することができる(i)。上記工程においてインク受容層(着色層)が透明基材に対して十分な接着性を有する場合には、接着層の形成は必須ではない。
次に本発明の製造方法の別の実施形態を図2を参照して説明する。着色層の形成までは、図1に示す製造方法と同じである(a)。形成された着色層の一部を除去する(b)。着色層の除去方法としては、例えば、レーザー光を照射して着色層の一部を除去する方法、フォトリソグラフィー法、カッターナイフ等の工具を用いて着色層の一部を除去する方法等、光量調節部材としての機能に損傷を与えることが無ければ、特に限られるものではない。その時に用いるレーザー光としては、着色層の一部を除去することができれば特に限られるものではなく、例えば、YAGレーザ、エキシマレーザ、炭酸ガスレーザ等が挙げられる。
次に着色層を含む全面に接着層を形成し(c)、以下図1に示す方法と同様にして、工程(d)〜(f)を行ない、本発明の光量調節部材(e)が得られる。この光量調節部材を、着色層が存在しない場所で切断する(f)ことによって、着色層の端面が接着層及び防湿層によって封止され、着色層の吸湿によって生じる光路長の部分的変化が防止されている本発明の光量調節部材(g)が得られる。
以上の本発明において使用される各部材の厚みは光量調節部材に要求される性能等によって変化するが、転写用基材の厚みは特に限定されず、離型層の厚みは一般的に0.1〜10μmであり、防湿層の厚みは一般的に1〜30μmであり、インク受容層の厚みは一般的に1〜15μmであり、接着層の厚みは一般的に0.1〜10μmであり、透明基材の厚みは一般的に50〜2,000μmであり、反射防止膜の厚みは一般的に0.1〜10μmである。
上記本発明において用いる転写用基材としては、光量調節部材の表面平坦性を実現する平坦性を有していれば、特に限られるものではない。例えば、金属板、研磨ガラス、シリコン基板等を挙げることができる。しかし、好ましくは、高温の加熱に対して安定な材料である方が望ましい。
上記転写用基材上に、離型層を形成させるために使用する離型剤の具体的な材質としては、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カスターワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、メチルヒドロキシステアレート、グリセリンモノヒドロキシステアレート等の高級脂肪酸、或いはその金属塩、エステル等の誘導体、ポリアミド系樹脂、石油系樹脂、ロジン誘導体、クロマン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、酸化ポリオレフィン等のオレフィン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。又、この他に、シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂、フルオロオレフィンビニルエーテルターポリマー、パーフルオロエポキシ樹脂、パーフルオロアルキル基を側鎖に持つ熱硬化型アクリル樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン系硬化型樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数組み合わせて使用できるが、勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明において、転写用基材(又は離型層又は防湿層)上にインク受容層を形成する場合の塗工液材料としては、該材料によって形成されたインク受容層に着色インクが吸収され、該着色インク中の色材を受容し定着できるものであれば特に限られるものではないが、下記に挙げるような水溶性樹脂及び水分散性樹脂が好ましく用いられる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、及びアニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;水系ポリウレタン;ポリビニルピロリドン、及びビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、4級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系水溶性樹脂、及びカチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、或いはこれらの変性物、少なくともポリエステルとポリウレタンとを含むグラフト共重合体等の合成樹脂、又、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂等を挙げることができる。
又、水分散性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体等、多数列挙することができるが、勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。これらの中でも、特に、アセタール変性ポリビニルアルコール、水系ポリウレタン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル酸、メラミン樹脂等、耐熱性に優れた樹脂が好ましく用いられる。
又、上記の水溶性樹脂或いは水分散性樹脂をバインダーとし、これらの材料に、例えば、アルミナ水和物、シリカ、炭酸カルシウム等の顔料を混合させた隙間吸収タイプのものも、光学的特性を満たす範囲内で使用できる。
更に、塗工液中には上記材料に加えて、コーティング性、着色インクの吸収性能の制御、機械的特性の向上等のために、必要に応じて、各種の界面活性剤、架橋剤、染料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防カビ剤、可塑剤等を含有させてもよい。
本発明においては、転写用基材(又は離型層又は防湿層)上に、上記のような材料を含む塗工液を塗布してインク受容層を形成し、かかる層に液体噴射記録法により着色インクを付与し、着色インクをインク受容層中に吸収・受容させて着色層を形成し、前記図1及び図2に示す如き方法で光量調節部材を形成するが、この際に用いる着色インクとしては、微小液滴吐出装置により吐出可能なものであれば特に限定されない。
本発明においては、着色インクとして、水系及び油系のものをいずれも用いることができるが、吐出信頼性の点から水系の着色インクを使用することが好ましい。着色インク中の色材としては、各種染料、顔料を用いることができるが、各種金属、無機微粒子、有機微粒子等も使用可能である。尚、本発明において、着色インクを構成する色材とは、可視光、紫外光、赤外光を含む所定波長帯の光の透過率を制御する材料を指す。即ち、本明細書において例示した光量調節部材の製造においては、色材として、可視光帯域全体に渡って均一な透過特性を与えるものを利用したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、赤外線カメラ用の光量調節装置に用いる光量調節部材を形成する場合には、赤外域の特定波長のみを透過する材料を用いることが必要となるが、これも色材に含まれる。更に、透過光量を制御する際の光の吸収が、材料内部で生じるもの、材料表面で生じるもの等、いずれも本発明で使用する色材に含まれる。
本発明において使用する着色インクの形成材料である溶剤としては、水性媒体を使用することが好ましいが、水性媒体としては、下記に挙げるような各種の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
本発明において使用する着色インクは、更に、上記の成分の他に必要に応じて所望の物性値を持つ着色インクとするために、各種の界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加することができる。
本発明では、先に説明したインク受容層に、上記のような材料からなる着色インクを微小液滴吐出装置を用いて付与して光量調節部材の着色層を形成する。その際に使用する微小液滴吐出装置による着色インクの付与方式は特に限定されず、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等のものが使用可能である。プリント装置としての微小液滴吐出装置としては、市販の汎用プリンタを用いることができるが、本発明はこれに限定されず、本発明のために特別に製造されたプリント装置であってもよい。
着色インクを付与するパターンとしては特に限定されず、目的によって、全面に均一濃度に付与してもよいし、図6に示したような、段階的に濃度勾配をつけたグラデーションパターンでもよい。更に、連続的に濃度勾配をつけた濃淡の段階が不明瞭な状態のグラデーションパターンであってもよい。特に、本発明の製造方法によれば、連続的な、或いは段階的な濃度勾配を持つ光量調節部材の着色層を簡便に作成することが可能となる。又、その濃度勾配パターンを形成する方法の自由度が高いので、光量調節部材の光学上の最適化が容易であるという利点もある。
本発明の方法では、上記のようにして着色インクを付与した後、必要に応じて、熱風乾燥炉、熱ドラム、ホットプレート等を用いた乾燥を行ってもよい。特に、インク受容層の形成材料中に架橋剤を混合させた態様とし、加熱或いは光照射を行うことで転写用基材上の着色インク受容層を硬化させ、着色層に防湿性を付与する方法も有効である。
本発明において必要に応じて設ける接着層は、透明性を有するとともに、前記したインク受容層、透明基材に対する密着性、着色層を保護し得る機械的強度、光学特性等の必要性能を満たしていれば、特に限られるものではなく、具体的には、例えば、アクリル系やエポキシ系の熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂を用い、これらの接着層形成材料からなる塗工液を、着色層の表面に塗布して塗工膜を形成し、透明基材と接着させた後、該接着物を、オーブン、ホットプレート等を用いてべーキングして接着層を硬化させて接着する方法や、或いは電子線や紫外線等を照射して接着層を硬化させて接着する方法等を用いることができる。
本発明において必要に応じて設ける防湿層は、透明性を有するとともに、前記したインク受容層に対する密着性、着色層の吸湿を防止し得る性質、機械的強度、光学特性等の必要性能を満たしていれば、特に限られるものではなく、具体的には、例えば、アクリル系やエポキシ系の熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂を用い、これらの防湿層形成材料からなる塗工液を、転写用基材又は離型層の表面に塗布して塗工膜を形成し、オーブン、ホットプレート等を用いてべーキングして硬化させ、或いは電子線や紫外線等を照射して硬化させて形成する方法等を用いることができる。
前記離型層、防湿層、インク受容層、或いは接着層を形成するために用いる方法としては、前記した材料を、必要により他の添加剤と共に、水或いはアルコール、多価アルコール類、又は他の適当な有機溶媒に溶解又は分散し、塗工液を調製し、次いで得られた塗工液を、例えば、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、スピンコート法等により塗工し、その後、例えば、熱風乾燥炉、熱ドラム、ホットプレート等を用いて乾燥を行って、離型層、防湿層、インク受容層、或いは接着層を形成する方法が挙げられる。
本発明において用いる透明基材は、光量調節部材としての機械的強度及び光学的特性等の必要特性を有していれば、特に限られるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる透明フィルム基板を挙げることができる。又、上記必要特性を満たすものであれば、ガラス基板も使用可能である。
更に、以上の如くして得られた光量調節部材の両面に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、可視光帯域において反射防止特性が優れる、及び水分や有害ガスの遮断特性に優れる、という特性が必要とされる。この要求を満たすためには、無機材料の蒸着多層膜を用いるのが好適である。例えば、本出願人による特開平06−273601号公報に記載された反射防止膜を用いることで、光量調節部材の表面反射による迷光の発生を防止するとともに、水分や有害ガスの着色層への浸入を遮断し、着色層中の色材の劣化を防止することができる。
本発明の光量調節部材は、上記のようにして製造されるが、本発明の光量調節部材の光学特性について説明する。先ず、光量調節部材の良否を判断する場合、(1)単体で用いた場合に、色材が光束を散乱或いは屈折することによって生じる光学性能の低下、(2)絞り装置等に組み込んで使用した場合の回折防止効果、(3)分光透過率、の3項目の評価が必要である。
ここで上記(3)は、使用する色材の種類によって光量調節部材の特性を自在に調節でき、且つ市販の分光透過率計を用いて簡単に測定できるので、説明は省略する。一方、上記(2)の評価項目は、絞り羽根の形状や評価時の絞り値(Fナンバー)等の因子が評価結果に大きく影響するため、光量調節部材単独の光学特性を評価するのには適していない。光量調節部材単独の光学特性を評価するためには、上記(1)の方法が適している。そこで、後述する各実施例では、光量調節部材単独の光学特性評価方法と、それぞれの実施例の製造方法で作成した均一濃度の光量調節部材の測定結果を記した。
光量調節部材の光学濃度を、段階的或いは連続的に変化させた場合の光学的優位性は、例えば、特開平6−95208号公報、特開平11−15042号公報等に記載されている。これに対して、本発明者らの検討によれば、本発明の方法によって簡便に製造される光学濃度が段階的或いは連続的に変化する光量調節部材を絞り装置に適用すれば、上記した公知技術と同様の効果を得ることができることがわかった。
以下に本発明の製造方法によって得られる光量調節部材を具備した光量調節装置について説明する。尚、本発明は、以下に記載する構成に限定されるものではない。図3は、本発明の光量調節部材の一例である絞り羽根を示し、図4は、かかる光量調節部材を具備した絞り羽根装置を示す図である。図3(a)は、絞り羽根の平面図であり、図3(b)は、図3(a)中のA−A’断面図(光量調節部材(0〜x1)のみを示す)である。尚、ここでは光量調節装置として、ビデオカメラ等で使用される絞り装置を例にとって説明する。図中の101は絞り羽根全体を示すが、図に示したように、所定の透過率が付与された光量調節部材101P(図3のグラデーション部)と、光を遮断する光遮断部材101Q(グラデーション以外の部分)とで構成されている。尚、図3及び4中、光遮断部材101Qについては、光量調節部材101Pとの境界を明確にするために彩色を施していないが、本来は、光を遮断するためのものであるので黒色等で形成されている。
図4は、図3の絞り羽根を用いた光量調節装置の一例を示す図である。図4において、100は光量調節装置全体を示している。101は、図3で示した第1の絞り羽根であり、102は第2の絞り羽根である。第2の絞り羽根102は、第1の絞り羽根と同様の方法で製造され、光量調節部材102Pと光遮断部材102Qを有している。103は、不図示のモータの軸に孔103aにおいて嵌着されて該孔103aを中心として回動される絞り羽根駆動レバーである。第1の絞り羽根101及び第2の絞り羽根102は、絞り羽根駆動レバー103の両端の突設ピン103b及び103cにそれぞれの溝穴101a及び102aにおいて係合している。105は、第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの側縁部の溝101b及び102bに相対摺動可能に係合している不図示の地板のガイドピン、106は、該地板に貫設されている光路孔、101c及び102cは第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの絞り開口縁である。
図4は、絞りが全開の時の状態を示している。絞りが全開の状態から絞りを絞っていくと、絞りの開口部である光路孔106は第1及び第2の絞り羽根の光透過部101P及び102Pで遮蔽されて、開口径が小さくなるため、光路孔106を通る光束の透過率(光量)が徐々に低くなる。
図5は、図4で示した光量調節装置を光学装置に配置した場合における概略配置図である。本実施例では、光学装置は動画像若しくは静止画像を撮像手段で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録するビデオカメラを例として説明する。400は、複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群401、第2レンズ群402、第3レンズ群403、及び、図4で示した絞り装置100で構成される。401は固定の前玉レンズ群、402はバリエータレンズ群、403はフォーカシングレンズ群である。404は光学ローパスフィルタである。又、撮影光学系400の焦点位置(予定結像面)には、撮像手段411が配置される。これは照射された光エネルギーを電荷に変換する複数の光電変換部、該電荷を蓄える電荷蓄積部、及び該電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部からなる2次元CCD等の光電変換手段が用いられる。
421は、液晶ディスプレイ等の表示器で、撮像手段411で取得した被写体像や、光学装置の動作状況を表示する。422は、操作スイッチ群でズームスイッチ、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ及びシャッター秒時等を設定する撮影条件スイッチで構成される。423はアクチュエータで、これによりフォーカス駆動を行い撮影光学系400の焦点状態を調節したり、その他の部材を駆動する。
CPU431では、取り込まれた平均濃度の大きさが、自身内にメモリーされている適正露出に相当する数値と一致しているかどうかを算出し、差のある場合は、その差分との絶対符号との絶対値に応じて絞り開口を変化させ、若しくは、撮像手段411への電荷蓄積時間を変化させることになる。絞りを動かす場合には、絞り駆動回路432により、絞り羽根駆動レバー103が103aを回転中心とし回動することで、絞り羽根101及び102が上下にスライドする。これにより、開口部である光路孔106の大きさが変化する。このように絞り開口面積或いは、電荷蓄積時間を変化させて最適の露出を得ることができる。
最適露出にて、撮像手段411上に結像した被写体の像は、その明るさの強弱に応じた画素毎の電荷量として、電気信号に変換され、アンプ回路441で増幅された後、カメラ信号処理回路442で所定のγ補正等の処理を施される。尚、この処理は、A/D変換後のデジタル信号処理で行われてもよい。そして、このようにして作られた映像信号は、レコーダ443にて記録される。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中にある「%」は質量基準である。
<実施例1>
シリコン系ゴム(東芝シリコーン(株)製 シリコーンTPR6712、触媒CM670)をスピンコーターを用いてシリコン基板上に塗工し、離型層を形成し、転写用基材とした。次に、上記で形成した離型層上に、エポキシ系UV硬化性樹脂をスピンコーターを用いて塗工し、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60秒の条件で光照射を行うことにより硬化させ、防湿層を形成した。このようにして作製された防湿層の厚みは10μmであった。
次に、ポリビニルアセタール(積水化学(株)製 エスレックK KW−1)の溶液を、ワイヤーバーを用いて、上記で形成した防湿層の上に塗工し、熱風乾燥オーブンにより100℃、5分の条件で乾燥を行った。このようにして作成されたインク受容層の厚みは7μmであった。次いで、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタ;キヤノン(株)製 BJ F930のインクタンクに以下の組成からなる着色インクを充填し、上記で作成されたインク受容層上に付与した。その際、光学濃度0.5(透過率32%)が均一濃度になるように付与し、更に着色層を180℃、2分の条件で乾燥させ、着色層の耐水化処理を行った。
・黒色顔料:水分散性カーボンブラック 4%
(キャボット製IJX−102B)
・エチレングリコール 5%
・ジエチレングリコール 5%
・イソプロピルアルコール 2%
・アセチレノールEH 1%
(川研ファインケミカル製)
・イオン交換水 83%
次いで、着色インクを付与及び受容させることで形成された着色層上に、接着層を形成する材料として、上記で防湿層の材料として使用したエポキシ系UV硬化樹脂を用い、スピンコーターを用いて塗工し、接着層を設けた。次に、上記で設けた接着層の上に透明基材としてのポリエチレンテレフタラートフィルムを、気泡が入らないように密着させ、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60秒の条件で光照射を行うことにより硬化させ、接着を行った。次に上記で形成したものを、シリコン基板から剥離させた。このとき、離型層のシリコン基板と防湿層に対する接着性の違いにより、剥離は離型層と防湿層の間で行われた。
このようにして作製された本発明の光量調節部材を、キヤノン(株)製デジタルカメラPower Shot G1の撮影レンズの前方に配置し、ISO規格電子スチルカメラ用解像力チャートを撮影した。露出制御モードは絞り開放による絞り優先AEを使用し、光量調節部材の有無に係わらず適正露出が得られるようにした。この撮影画像から白黒バーチャート(像面上での空間周波数:14.5 line pairs/mm)を切り出し、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを評価コントラストとした。次いで光量調節部材をはずして同様の撮影を行ない、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを参照コントラストとした。
このようにして得られた参照コントラストに対する評価コントラストの比率を求め、フィルタコントラストと定義したが、本実施例の場合、この値は0.93であった。フィルタコントラストの許容下限値は、撮影装置の用途や価格帯により異なるが、普及クラスの撮影装置では0.9以上、高級クラスでは0.92以上が好ましいことがわかっている。従って、本発明の光量調節部材のフィルタコントラスト値0.93は、充分に高性能であることがわかる。又、上記のようにして作成された光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した結果、全面において平坦性が非常に高いことがわかった。
更に、上記のようにして作製された本発明の光量調節部材を温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置した後に、レーザ干渉計によって波面収差を測定した。その結果、高温高湿放置前と比較して波面収差測定結果に大きな変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤及び膜厚の増加現象が少ないことがわかった。
<実施例2>
実施例1と同様に、シリコン系ゴム(東芝シリコーン(株)製 シリコーンTPR6712、触媒CM670)をスピンコーターを用いて、シリコン基板上に塗工し、離型層を形成し、転写用基材とした。次に、上記で形成した離型層上に、エポキシ系UV硬化性樹脂をスピンコーターを用いて塗工し、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60秒の条件で光照射を行うことにより硬化させ、防湿層を形成した、このようにして作製された防湿層の厚みは10μmであった。
次に、水性ウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 パテラコールIJ−80)をダイコーターを用いて、上記で形成した防湿層の上に塗工し、熱風乾燥オーブンにより100℃、5分の条件で乾燥を行った。このようにして作成されたインク受容層の厚みは7μmであった。
次いで、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタ;キヤノン(株)製 BJ F930のインクタンクに以下の組成からなる着色インクを充填し、上記で作成したインク受容層上に、光学濃度0.5(透過率32%)の均一濃度になるように付与し、更に着色層を160℃、5分の条件で乾燥させ、着色層の耐水化処理を行った。
・黒色染料フードブラック2 5%
・エチレングリコール 5%
・ジエチレングリコール 5%
・イソプロピルアルコール 2%
・アセチレノールEH 1%
(川研ファインケミカル製)
・イオン交換水 82%
次いで、上記で形成した着色層の一部にYAGレーザビームを照射し、着色層の一部を除去した。その際に、着色層の除去幅が、50〜150μmとなるようにレーザビーム径を調整した。着色層の一部を除去する際に防湿層の一部も除去される場合があるが、除去される深さが浅い場合には実害はない。
次いで、着色インクを付与及び受容させることで形成された着色層上に、接着層を形成する材料として、上記で防湿層の材料として使用したエポキシ系UV硬化樹脂を用い、スピンコーターを用いて塗工し、接着層を設けた。次に、上記で設けた接着層の上に透明基材としてのポリエチレンテレフタラートフィルムを、気泡が入らないように密着させ、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60秒の条件で光照射を行うことにより硬化させ、接着させた。
次に、上記で形成したものを、シリコン基板から剥離させた。このとき、離型層のシリコン基板と防湿層との接着性の違いにより、剥離は離型層と防湿層の間で行われた。次いで着色層の存在しない部分で切断し、外気に着色層が暴露されていない光量調節部材を作成した。
上記のようにして作製された本発明の光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めた。この結果、コントラスト値は0.93であり、実施例1と同様に高性能なものであることが分かった。又、上記のようにして作成された光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した結果、全面において平坦性が非常に高いことがわかった。
更に、上記のようにして作製された本発明の光量調節部材を温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置した後に、レーザ干渉計によって波面収差を測定した。その結果、高温高湿放置前と比較すると、波面収差測定結果に変化が無いことから、光量調節部材の端面の膨潤及び膜厚の増加現象が発生していないことがわかった。
<実施例3>
アクリル系ポリマー(日新化学研究所(株)製 リペレットCP−732)の溶液をスピンコーターを用いて、シリコン基板上に塗工し、離型層を形成し、転写用基材とした。次に、上記で形成した離型層上に、エポキシ系UV硬化性樹脂をスピンコーターを用いて塗工し、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60秒の条件で光照射を行うことにより硬化させ、防湿層を形成した、このようにして作製された防湿層の厚みは10μmであった。
次に、ポリビニルアセタール(積水化学(株)製 エスレックK KW−1)をワイヤーバーを用いて、上記で形成した防湿層の上に塗工し、熱風乾燥オーブンにより100℃、5分の条件で乾燥を行った。このようにして作成されたインク受容層の厚みは7μmであった。次いで、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタ;キヤノン(株)製 BJ F930のインクタンクに以下の組成からなる着色インクを充填し、上記で作成されたインク受容層上に付与した。その際、光学濃度0.5(透過率32%)が均一濃度になるように付与し、更に着色層を180℃、2分の条件で乾燥させ、着色層の耐水化処理を行った。
・黒色顔料:水分散性カーボンブラック 4%
(キャボット製IJX−102B)
・エチレングリコール 5%
・ジエチレングリコール 5%
・イソプロピルアルコール 2%
・アセチレノールEH 1%
(川研ファインケミカル製)
・イオン交換水 83%
次いで、着色インクを付与及び受容させることで形成された着色層上に、接着層を形成する材料として、上記で防湿層の材料として使用したエポキシ系UV硬化樹脂を用い、スピンコーターを用いて塗工し、接着層を設けた。次に、上記で設けた接着層の上に透明基材としてのポリエチレンテレフタラートフィルムを、気泡が入らないように密着させ、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60秒の条件で光照射を行うことにより硬化させ、接着を行った。次に上記で形成したものを、シリコン基板から剥離させた。このとき、離型層のシリコン基板と防湿層に対する接着性の違いにより、剥離は離型層と防湿層の間で行われた。
このようにして作製された本発明の光量調節部材を、キヤノン(株)製デジタルカメラPower Shot G1の撮影レンズの前方に配置し、ISO規格電子スチルカメラ用解像力チャートを撮影した。露出制御モードは絞り開放による絞り優先AEを使用し、光量調節部材の有無に係わらず適正露出が得られるようにした。この撮影画像から白黒バーチャート(像面上での空間周波数:14.5 line pairs/mm)を切り出し、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを評価コントラストとした。次いで光量調節部材をはずして同様の撮影を行ない、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを参照コントラストとした。
このようにして得られた参照コントラストに対する評価コントラストの比率を求め、フィルタコントラストと定義したが、本実施例の場合、この値は0.93であった。フィルタコントラストの許容下限値は、撮影装置の用途や価格帯により異なるが、普及クラスの撮影装置では0.9以上、高級クラスでは0.92以上が好ましいことがわかっている。従って、本発明の光量調節部材のフィルタコントラスト値0.93は、充分に高性能であることがわかる。又、上記のようにして作成された光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した結果、全面において平坦性が非常に高いことがわかった。
更に、上記のようにして作製された本発明の光量調節部材を温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置した後に、レーザ干渉計によって波面収差を測定した。その結果、高温高湿放置前と比較して波面収差測定結果に大きな変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤及び膜厚の増加現象が少ないことがわかった。
<実施例4>
実施例1と同様にして光量調節部材を作製した。但し、着色インクの付与はインク受容層の全面に渡って均一とするのではなく、段階的に濃度勾配を与え、図6に示したようなグラデーションパターンとした。このようにして作成した光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めて評価を行ったところ、得られたコントラストの値は0.93と高性能なものであった。又、上記のようにして作成された光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した結果、全面において平坦性が非常に高いことがわかった。
更に、上記のようにして作製された本発明の光量調節部材を温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置した後に、レーザ干渉計によって波面収差を測定した。その結果、高温高湿放置前と比較して、波面収差測定結果に大きな変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤及び膜厚の増加現象が少ないことがわかった。
<実施例5>
実施例1と同様にして光量調節部材を作成した。但し、着色インクの付与は均一ではなく、連続的に濃度勾配をつけ、濃淡の段階が不明瞭な状態のグラデーションパターンとした。このようにして作成した光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めて評価を行ったところ、得られたコントラストの値は0.93であり、高性能なものであった。又、上記のようにして作成された光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した結果、全面において平坦性が非常に高いことがわかった。
更に、上記のようにして作製された本発明の光量調節部材を温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置した後に、レーザ干渉計によって波面収差を測定した。その結果、高温高湿放置前と比較して、波面収差測定結果に大きな変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤及び膜厚の増加現象が少ないことがわかった。
<比較例1>
実施例1においてインク受容層を、透明基材としてのポリエチレンテレフタラートフィルム上に全面に塗工し、熱風乾燥オーブンにより100℃、5分の条件で乾燥を行い、実施例1と全く同様にして着色層及び防湿層の形成を行なった。これを10mm×10mmの大きさに切り出して外気に着色層が暴露されている光量調節部材を作成した。
上記のようにして作製された光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めた。この結果、コントラスト値は0.93であり、実施例1と同様に高性能なものであることがわかった。しかし、上記のようにして作成された光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した結果、全面においてうねりがあることがわかった。
又、上記のようにして作製された光量調節部材を、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置した後に、レーザ干渉計によって波面収差を測定した。その結果、高温高湿放置前と比較して、端面から1mm幅の範囲全周に渡って波面収差が増加し、端面では波面収差が最大でλ/2程度増加していることがわかった。これは着色層が光量調節部材の端面に露出しており、該露出部から空気中の水分が浸入して膨潤現象が発生し、周辺部の膜厚の増加をきたしたものと考えられる。
本発明によれば、非常に簡便な操作で、歩留まりよく安価に、平坦性に優れ、且つ長期にわたる信頼性、特に耐湿性に優れる光量調節部材及びその製造方法、光量調節装置及び撮影装置が提供される。又、本発明によれば、他の製造方式では著しく困難な、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する光量調節部材を簡便に提供できる。
本発明の光量調節部材の製造方法の説明図。 本発明の光量調節部材の製造方法の説明図。 本発明の光量調節部材の一例の説明図。 本発明の光量調節装置の説明図。 本発明の光量調節装置を組み込んだ撮影装置の構成図。 段階的に濃度勾配を有する光量調節部材の説明図。
符号の説明
100:光量調節装置
101、102:絞り羽根
103:絞り羽根駆動レバー
101P、102P:光量調節部材
101Q、102Q:光遮断部材
105:ガイドピン
106:地板の光路孔
111:透明基材
112:着色層
400:撮影光学系
401:第1レンズ群
402:第2レンズ群
403:第3レンズ群
404:光学ローパスフィルタ
411:撮像手段
421:表示器
422:操作スイッチ群
423:アクチュエータ
431:CPU
432:絞り駆動回路
433:撮像手段駆動回路
441:アンプ回路
442:カメラ信号処理回路
443:レコーダ

Claims (11)

  1. 転写用基材上に着色液を吸収し得る材料からなる層を設け、該層に液体噴射記録法により色材を含む着色液を付与して着色層を形成した後、該着色層を透明基材上へ転写する工程からなることを特徴とする光量調節部材の製造方法。
  2. 前記着色液を吸収し得る材料からなる層の転写用基材面側に、透明な防湿層を有する請求項1に記載の光量調節部材の製造方法。
  3. 前記転写用基材が、離型層を有する請求項1又は2に記載の光量調節部材の製造方法。
  4. 前記着色層を、該着色層上に設けられた透明な接着層を介して透明基材上へ転写する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光量調節部材の製造方法。
  5. 前記着色層が、連続的に、或いは段階的に濃度分布を有するように着色液を付与する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光量調節部材の製造方法。
  6. 前記防湿層と前記接着層とが、これらの端面において前記着色層を介することなく積層され、防湿層と接着層とで着色層の端部が露出しないように封止し、前記着色層の吸湿によって生じる光路長の部分的変化を防止するようにする請求項4又は5に記載の光量調節部材の製造方法。
  7. 前記着色層の一部を除去して、前記防湿層と接着層とで着色層の端面を封止する請求項6に記載の光量調節部材の製造方法。
  8. 着色層が存在しない部分で切断する請求項6又は7に記載の光量調節部材の製造方法。
  9. 請求項1〜8いずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする光量調節部材。
  10. 請求項9に記載の光量調節部材を具備してなることを特徴とする光量調節装置。
  11. 請求項10に記載の光量調節装置と、被写体像を形成する撮影光学系と、形成した被写体像を光電変換する撮像手段と、上記光電変換された信号を記録する記録手段とを有し、且つ上記光量調節装置が上記撮影光学系に配置されていることを特徴とする撮影装置。
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