JP2005052752A - 光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置 - Google Patents
光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 製造コストが低く、歩留まりの高い、簡便な操作によって光量調節部材を経済的に製造することが可能であり、更に信頼性、特に耐湿性能に優れた光量調節部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】 透明基材上に、液体吐出装置を用いて透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液及び上記透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を別々に吐出し、上記基材上にて混合することにより、特定の光学濃度領域からなる着色部を形成する工程を有することを特徴とする光量調節部材の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 透明基材上に、液体吐出装置を用いて透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液及び上記透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を別々に吐出し、上記基材上にて混合することにより、特定の光学濃度領域からなる着色部を形成する工程を有することを特徴とする光量調節部材の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の光学機器等、又、電子写真方式記録装置等に使用される光量調節部材の製造方法、これによって得られる光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置に関する。
カメラ等の光学機器に用いられる結像(撮影)光学系には、一般に入射光束の光量を調節する光量調節装置、いわゆる絞り装置が内蔵されている。かかる絞り装置においては、複数の絞り羽根が所定面積の開口部を形成し、アクチュエータで該開口部の開口径を調節することで、開口部を通過する光束の量を調節している。しかし、該開口部の開口径を小さくするに従って、絞り羽根の端部で生ずる回折の影響が大きくなり、結像光学系の結像性能が低下する。これに対して、この欠点を回避するために、上記絞り羽根の一部に光量調節部材としてのフィルタを設け、開口径を小さくする代わりに光学フィルタで、開口部を通過する光束の量(光量)を減衰させる技術が知られている。このような目的に用いられる光学フィルタには、光の散乱、屈折異常、分光透過率偏差等の光学的欠陥が少ないことが要求される。
従来、この光量調節部材としては、光透過性のフィルム形成材料中に、光を吸収する顔料や染料等の色材を混合して練り込んで着色フィルムとしたタイプのものが一般的に使用されている。しかしながら、この方式によって製造される光量調節部材は非常に高価であり、拡大する需要に対して要求されているコストダウンに十分に応えられるものではなかった。又、光透過性のフィルム材料中に色材を練り込んで着色フィルムとする方式では、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する(以下、「多濃度の」と呼ぶ)光量調節部材を製造することは著しく困難である。
又、他の製造方法として、例えば、特許文献1には、銀塩フィルムを用いて、多濃度の光量調節部材を製造する方法が開示されているが、この場合には、フィルタに内在する銀粒子表面での光束の反射や、銀粒子端部を通過する光束の回折により、該フィルタを通過した光線の直進性が損なわれ、光学系の結像性能が低下するといった銀塩フィルムを用いることによる特有の問題が生じる。
特許文献2には、蒸着法により、多濃度の光量調節部材を製造する方法が開示されているが、この方法は製造コストがかかり、高価なものとなるのに加えて、濃度によって部材の膜厚が変化するために、濃度の高いところと低いところで膜厚差が生じ、結果として光路差が生じて解像力が低下するといった問題が発生する。又、この方式では、連続的に濃度分布を有するものを製造することは困難であり、製造したとしても濃度分布が段階的に変化するものになる。
特許文献3には、先ず光によって褪色する有機色素をフィルム材料中に練り込み、得られたフィルムに部分的に高エネルギーの光を照射することで照射部分の有機色素を分解させ、これによって濃度分布を有する光量調節部材を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、使用可能な色材が、光によって褪色するものに限定されてしまうため、十分な光学的特性を有する製品を得ることが非常に困難である。更に、その煩雑な製法から、得られる製品が非常に高価なものになってしまうであろうことは容易に推測できる。
更に、特許文献4では、蒸着或いは写真製版等の印刷工程により、単一濃度の膜を網点状に形成し、網点パターンを場所によって変えることで、透過率が無段階に変わる光量調節部材としてのフィルタの製造方法が開示されている。しかしながら、かかる方法は、写真製版或いは蒸着で所定濃度の膜を形成するものであり、何れの工程を採用したとしても、装置が大型化し、高価であり、フィルタの製造コストが高くなってしまうという課題がある。
上記の問題を解決するべく、近年液体噴射記録法による光量調節部材としてのフィルタ製造方法が注目されてきている。この方法によれば簡便に優れた性能を有する光量調節部材を製造することが可能であるが、着色層が直接外気にさらされるために長期の保存、或いは湿度の高い状況下において空気中の水分を吸収してしまうことにより着色層が膨潤し、結果的に光量調節部材の周辺部の膜厚が増大するために光路差が生じて解像力が低下するといった問題が発生していた。
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、製造コストが低く、歩留まりの高い、簡便な操作によって光量調節部材を経済的に製造することが可能であり、更に信頼性、特に耐湿性能に優れた光量調節部材の製造方法を提供することにある。
又、本発明の目的は、上記に加えて、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する光量調節部材を簡便に得ることができる光量調節部材の製造方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、上記した簡便な製造方法により製造された、安価でしかも優れた特性を有し、信頼性の高い光量調節部材、該光量調節部材を具備する光量調節装置及び撮影装置を提供することにある。
又、本発明の目的は、上記に加えて、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する光量調節部材を簡便に得ることができる光量調節部材の製造方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、上記した簡便な製造方法により製造された、安価でしかも優れた特性を有し、信頼性の高い光量調節部材、該光量調節部材を具備する光量調節装置及び撮影装置を提供することにある。
上記目的は下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、透明基材上に、液体吐出装置を用いて透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液及び上記透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を別々に吐出し、上記基材上にて混合することにより、特定の光学濃度領域からなる着色部を形成する工程を有することを特徴とする光量調節部材の製造方法を提供する。
上記本発明においては、前記着色部を形成する工程の後に、更に、着色部表面上に平坦化層を設ける工程を有すること;前記色材が、染料或いは顔料、又はこれらの混合物であること;及び前記特定の光学濃度領域が、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させることで形成された、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有することが好ましい。
又、本発明は、上記本発明の方法で製造された光量調節部材;該光量調節部材が具備されている光量調節装置;及び該光量調節装置と、被写体像を形成するための撮影光学系と、該被写体像を光電変換する撮像手段と、光電変換された信号を記録する記録手段とを有する撮影装置であって、上記光量調節装置が上記撮影光学系に配置されている撮影装置を提供する。
本発明によれば、非常に簡便な操作で、歩留まりよく安価に光量調節部材、光量調節装置及び該光量調節装置を備えた撮影装置を提供することができる。又、本発明によれば、他の製造方式では著しく困難な、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する光量調節部材を簡便に製造することができ、該光量調節部材は、長期にわたる信頼性、特に耐湿性に優れている。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。先ず、本発明による光量調節部材の製造方法について説明する。
本発明において用いることのできる透明基材としては、光量調節部材としての機械的強度及び光学的特性等の必要特性を有していれば、特に限られるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる透明フィルムを挙げることができる。
本発明において用いることのできる透明基材としては、光量調節部材としての機械的強度及び光学的特性等の必要特性を有していれば、特に限られるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる透明フィルムを挙げることができる。
又、上記した必要特性を満たすものであれば、透明ガラスも、基材として使用可能である。更に、上記に列挙した材料から適宜に選択される透明基材は、その表面を、プラズマ処理やUV処理、UVオゾン処理、コロナ処理、シランカップリング処理等の各種の処理を施すことで表面を改質してもよい。これらの処理は、当該透明基材上に着色液を付与して着色部を形成した場合に、着色液であるインクの広がりを制御したり、着色部の密着性を向上させるのに役立つ場合がある。
次に上記透明基材に付与する着色液について説明する。本発明で使用する着色液としては、少なくとも透明樹脂と色材とを含むものを使用する。この際に用いる透明樹脂としては、可視領域で着色の少ないものが望ましいが、着色液中に含まれる顔料等の色材の結着剤として機能し、色材を透明基材上に定着させることができ、且つ使用する色材によって透明基材に付与される光学的な特性を損ねるものでなければ、特に限られるものではない。
透明樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ブチラール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられるが、インクに含有させて液滴吐出装置から吐出させるためには、透明樹脂として親水性樹脂を用いることがより好ましい。
親水性樹脂としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合物塩等の、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合物塩、スチレン−メタクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合塩、ポリリン酸塩等の陰イオン性高分子、ポリビニルアルコール、メチロール化メラミン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。
本発明においては、これらの樹脂のうちから1種類を選択して、或いは、これらの中の2種類以上を混合して用いることができる。その他のものとして、例えば、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、及びアルギン酸ソーダ等の天然樹脂等を多数を列挙することができる。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において用いる上記のような透明樹脂を含有してなる着色液は、微小液滴吐出装置によって吐出可能なものであれば、特に限られるものではない。又、着色液としては、水系及び油系のものが共に用いることができるが、微小液滴吐出装置からの吐出信頼性の点から、水系の着色液を使用することが好ましい。
本発明において用いる着色液中の色材としては、透明基材上に付与された場合に、特定の光学濃度を有する領域である着色部を形成し得るものであれば、何れのものでもよい。従って、本発明でいう色材は、可視光、紫外光、赤外光を含む所定波長帯の光の透過率を制御する材料を指す。本発明の光量調節部材の製造方法によってNDフィルタ(Neutral Density Filter)を製造する場合には、例えば、可視光帯域全体に渡って均一な、特定の透過特性を与えるものが利用できるが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、赤外線カメラ用の光量調節装置に用いる場合には、赤外域の特定波長のみを透過する材料が用いられるが、これも本発明でいう色材に含まれる。
更に、透過光量を制御する際の光の吸収が、材料内部で生じるものや、材料表面で生じるもの等、何れも本発明でいう色材に含まれる。具体的には、各種染料や顔料を用いることができる。顔料としては、有機顔料、無機顔料(各種金属、各種金属酸化物、金属窒化物等、それらの複合体、有機微粒子等との複合体)も使用可能である。
本発明において用いる着色液には、その他に、先に説明した透明樹脂や色材を溶解或いは分散させる目的で、通常、溶媒が含まれる。溶媒としては、水系では、水、或いは水と各種水溶性有機溶剤との混合物が用いられる。この際に用いる水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独で使用しても、或いは混合物としても使用してもよい。
本発明において用いる着色液には、更に、上記の成分の他、必要に応じて所望の物性値を持つ着色液とするために、各種の、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、可塑剤、防腐剤等を添加させることができる。又、アルミナ水和物、シリカ、及び炭酸カルシウム等の微粒子を上記の着色液に混合分散させたものも、本発明で所望する光学的特性を満たす範囲内で、適宜に使用できる。
以上、透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液について説明したが、本発明における特徴である上記透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体について次に説明する。上記透明樹脂と反応し得る化合物は特に限られるものではないが架橋反応をするものが好ましい。前述した透明樹脂として挙げた材料と架橋反応する化合物としては多数挙げられるが、例えば、アクリル酸、マレイン酸等の如くカルボキシル基を有するモノマーを構造単位として含むアクリル樹脂、或いはメラミン樹脂、メチロール化尿素、グリオキザール、イソシアネート、エポキシ系樹脂等があり、これらに限られるものではない。このような透明樹脂と反応し得る材料は前述したような理由により水系で使用することが好ましい。又、前述したような各種水溶性有機溶剤や各種添加剤を混合して用いることができる。
本発明の製造方法では、上記のような構成を有する透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液及び透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を先に列挙したような透明基材上に微小液滴吐出装置を用いて別々に吐出し、両者を混合させることで特定の光学濃度を有する領域である着色部を形成する。この際に使用することのできる液体を吐出して透明基材上に付与する方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等があり、本発明においては、これらの機能を有する微小液滴吐出装置を何れも使用できる。プリント装置としての微小液滴吐出装置としては、市販されているプリンタがあるが、本発明においては、これらを何れも用いることができる。勿論、これに限定されず、本発明のために特別に製造されたプリント装置を用いてもよい。
本発明の製造方法で透明基材上に形成する着色部は、特定の光学濃度を有する領域となるように、目的によって各種のパターンとすることができる。例えば、均一な光学濃度を有する領域としてもよいし、連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させて、濃度勾配をつけた領域としてもよい。この連続的に、或いは段階的に光学濃度を変化させた領域は、上記に挙げたようなプリント装置に搭載する着色液として、濃度が段階的に異なるインクを複数搭載させることで、或いは、これらのインクを用い、且つインクの吐出量を適宜に制御することで、容易に形成できる。
特に、本発明による光量調節部材の製造方法によれば、光学濃度が、連続的に、或いは段階的に変化する濃度勾配を有する着色部を持つ光量調節部材を簡便に作製することができる。更に、本発明の方法は、形成できる光学濃度勾配パターンの自由度が高いので、光量調節部材に所望される特性に対して、光学上の最適化が容易であるという利点もある。
本発明の光量調節部材の製造方法では、上記のようにして透明基材上に透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液及び透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を別々に付与して、混合した後、必要に応じて、熱風乾燥炉、熱ドラム、及びホットプレート等を用いて乾燥処理を行ってもよい。
この加熱処理により透明樹脂と上記透明樹脂と反応し得る化合物との間の反応、特に架橋反応が有効に進行することにより、本発明の目的である信頼性、特に耐湿性に効果がある光量調節部材を作成することができる。
本発明の方法では、上記のようにして、着色部が、透明基材上に着色樹脂被膜として形成されるが、更に、必要に応じて該被膜上に平坦化層を設けることも好ましい。即ち、上記で形成される着色部は、着色液を吐出して付与された着色樹脂被膜であるため、部分的に表面に凹凸ができる畏れがある。これに対して、部分的にでも表面に凹凸があると光学的な特性が均一でなくなり、特定の光学濃度領域を有する着色部を形成することが困難となる場合がある。従って、着色部を形成後、表面を平坦化処理することは有効である。
平坦化層の形成に用いられる材料としては、上記着色液を受容する材料の他、着色層を形成している樹脂との密着性、機械的強度、光学的特性等の必要性能を満たしていれば、特に限られるものではない。具体的には、例えば、アクリル系やエポキシ系の、熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂が好適に使用できる。平坦化層の形成方法としては、これらの樹脂形成材料からなる塗工液を、着色部が形成されている透明基材上に塗布して塗工膜を形成した後、該基材を、オーブン、ホットプレート等を用いてべーキングして硬化被膜を形成させる方法や、或いは、上記基材に、電子線や紫外線等を照射して硬化被膜を形成させる方法等を用いることができる。この際に形成する平坦化層の厚みは、要求性能等にもよるが、例えば、1〜30μm程度とすることが適当である。
更に、このようにして得られた光量調節部材の両面に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、可視光帯域において反射防止特性が優れる、及び水分や有害ガスの遮断特性に優れる、という特性が必要とされる。この要求を満たすためには、無機材料の蒸着多層膜を用いるのが好適である。
例えば、本出願人による特開平6−273601号公報に記載された反射防止膜を用いることで、フィルタの表面反射による迷光の発生を防止するとともに、水分や有害ガスの色材への浸入を遮断し、色材の劣化を防止することができる。
以上の本発明において使用される各部材の厚みは光量調節部材に要求される性能等によって変化するが、平坦化層の厚みは一般的に1〜30μmであり、着色層の厚みは一般的に1〜15μmであり、透明基材の厚みは一般的に50〜2,000μmであり、反射防止膜の厚みは一般的に0.1〜10μmである。
本発明にかかる光量調節部材は、上記のようにして製造されるが、次に、本発明の光量調節部材の光学特性について説明する。先ず、光量調節部材の良否を判断する場合、(1)単体で用いた場合に、色材が光束を散乱或いは屈折することによって生じる光学性能の低下、(2)絞り装置等に組み込んで使用した場合の回折防止効果、(3)分光透過率、の3項目の評価が必要である。
ここで(3)は、使用する色材の種類によってフィルタの特性を自在に調節でき、且つ市販の分光透過率計を用いて簡単に測定できるので、説明は省略する。一方(2)の評価項目は、絞り羽根の形状や評価時の絞り値(Fナンバー)等の因子が評価結果に大きく影響するため、光量調節部材単独の光学特性を評価するのには適していない。光量調節部材単独の光学特性を評価するためには(1)の方法が適している。そこで、後述する各実施例では、光量調節部材単独の光学特性評価方法と、それぞれの実施例の製造方法で作成した均一濃度の光量調節部材の測定結果を記した。
光量調節部材の光学濃度を、段階的或いは連続的に変化させた場合の光学的優位性は、例えば、特開平6−95208号公報、特開平11−15042号公報等に記載されている。これに対して、本発明者らの検討によれば、本発明の方法によって簡便に製造される光学濃度が段階的或いは連続的に変化する光量調節部材を絞り装置に適用すれば、上記した公知技術と同様の効果を得ることができることがわかった。
以下に、上記の光量調節部材を具備している光量調節装置について説明する。尚、本発明は、以下に記載する構成に限定されるものではない。図1は、本発明の光量調節部材を具備した絞り羽根を示し、図2は、かかる光量調節部材を具備した絞り羽根装置を示す図である。図1(a)は、絞り羽根の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A’で切断し、矢印方向に見た時の側面図(光量調節部材(0〜x1)のみ示す)である。尚、ここでは光量調節装置として、ビデオカメラ等で使用される絞り装置を例にとって説明する。図1(a)中の101は絞り羽根全体を示すが、図に示したように、所定の透過率が付与された光量調節部材101P(図1のグラデーション部)と、光を遮断する光遮断部材101Q(グラデーション以外の部分)とで構成されている。図1(b)中の111は透明基材を示し、112は先に説明したようにして形成した着色層である。尚、図1及び2中、光遮断部材101Qについては、光量調節部材101Pとの境界を明確にするために彩色を施していないが、本来は、光を遮断するためのものであるので黒色等で形成されている。
図2は、図1の絞り羽根を用いた光量調節装置の図である。図2において、100は光量調節装置全体を示している。101は、図1で示した第1の絞り羽根であり、102は第2の絞り羽根である。第2の絞り羽根102は、第1の絞り羽根と同様の方法で製造され、光量調節部材102Pと光遮断部材102Qを有している。103は、不図示のモータの軸に孔103aにおいて嵌着されて該孔103aを中心として回動される絞り羽根駆動レバーである。第1の絞り羽根101及び第2の絞り羽根102は、絞り羽根駆動レバー103の両端の突設ピン103b及び103cにそれぞれの溝穴101a及び102aにおいて係合している。105は、第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの側縁部の溝101b及び102bに相対摺動可能に係合している不図示の地板のガイドピン、106は、該地板に貫設されている光路孔、101c及び102cは第1及び第2の絞り羽根101及び102のそれぞれの絞り開口縁である。
図2は、絞りが全開の時の状態を示している。絞りが全開の状態から絞りを絞っていくと、絞りの開口部である光路孔106は第1及び第2の絞り羽根の光透過部101P及び102Pで遮蔽されて、開口径が小さくなるため、光路孔106を通る光束の透過率(光量)が徐々に低くなる。
図3は、図2で示した光量調節装置を光学装置に配置した場合における概略配置図である。本実施例では、光学装置は動画像若しくは静止画像を撮像手段で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録するビデオカメラを例として説明する。400は、複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群401、第2レンズ群402、第3レンズ群403、及び、図2で示した絞り装置100で構成される。401は固定の前玉レンズ群、402はバリエータレンズ群、403はフォーカシングレンズ群である。404は光学ローパスフィルタである。又、撮影光学系400の焦点位置(予定結像面)には、撮像手段411が配置される。これは照射された光エネルギーを電荷に変換する複数の光電変換部、該電荷を蓄える電荷蓄積部、及び該電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部からなる2次元CCD等の光電変換手段が用いられる。
421は、液晶ディスプレイ等の表示器で、撮像手段411で取得した被写体像や、光学装置の動作状況を表示する。422は、操作スイッチ群でズームスイッチ、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ、シャッター秒時等を設定する撮影条件スイッチで構成される。423はアクチュエータで、これによりフォーカス駆動を行い撮影光学系400の焦点状態を調節したり、その他の部材を駆動する。
CPU431では、取り込まれた平均濃度の大きさが、自身内にメモリーされている適正露出に相当する数値と一致しているかどうかを算出し、差のある場合は、その差分との絶対符号との絶対値に応じて絞り開口を変化させ、若しくは、撮像手段411への電荷蓄積時間を変化させることになる。絞りを動かす場合には、絞り駆動回路432により、絞り羽根駆動レバー103が103aを回転中心とし回動することで、絞り羽根101及び102が上下にスライドする。これにより、開口部である光路孔106の大きさが変化する。このように絞り開口面積或いは、電荷蓄積時間を変化させて最適の露出を得ることができる。
最適露出にて、撮像手段411上に結像した被写体の像は、その明るさの強弱に応じた画素毎の電荷量として、電気信号に変換され、アンプ回路441で増幅された後、カメラ信号処理回路442で所定のγ補正等の処理を施される。尚、この処理は、A/D変換後のデジタル信号処理で行われてもよい。そして、このようにして作られた映像信号は、レコーダ443にて記録される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
透明基材として、厚さ100μmの、透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この上に、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタであるキヤノン(株)製 BJ S600のインクタンクの一つに、以下の組成を有する透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液を充填した。
[実施例1]
透明基材として、厚さ100μmの、透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この上に、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタであるキヤノン(株)製 BJ S600のインクタンクの一つに、以下の組成を有する透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液を充填した。
・黒色顔料(水分散性カーボンブラック)
(キャボット社製 CaboJet 200) 4%
・スチレン−マレイン酸樹脂のモノエタノールアミン
塩(平均分子量2万、酸価300) 3%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 66%
(キャボット社製 CaboJet 200) 4%
・スチレン−マレイン酸樹脂のモノエタノールアミン
塩(平均分子量2万、酸価300) 3%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 66%
又、別のインクタンクの一つに以下の組成を有する透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を充填した。
・メラミン/ホルムアルデヒド樹脂(住友化学(株)
製 Sumirez Resin 613) 3%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 70%
上記のプリンタを用いて上記の透明基材上に上記2種の液体を吐出及び混合させることにより着色部を形成した。この際、上記プリンタによってインクを付与する場合に、形成される着色部が、光学濃度が0.5(透過率32%)の均一濃度領域となるようにした。
・メラミン/ホルムアルデヒド樹脂(住友化学(株)
製 Sumirez Resin 613) 3%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 70%
上記のプリンタを用いて上記の透明基材上に上記2種の液体を吐出及び混合させることにより着色部を形成した。この際、上記プリンタによってインクを付与する場合に、形成される着色部が、光学濃度が0.5(透過率32%)の均一濃度領域となるようにした。
次いで、熱風乾燥オーブンにより140℃10分の条件により乾燥を行い、着色液中の透明樹脂と、該透明樹脂と反応し得る化合物間の反応を進行させた。
次いで、上記のようにして形成された着色層上に、以下のようにして透明の平坦化層を設けた。該平坦化層の形成は、先ず、エポキシ系UV硬化型材料(旭電化(株)製 KR−566)を用い、この塗工液をワイヤーバーを用いてパターン状の着色層を含む基材全面上に塗工し、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60sec.の条件で光照射を行うことにより形成した。このようにして作成された平坦化層の厚みは15μmであった。更に、このようにして得られた光量調節部材の両面に特開平6−273601号公報の実施例に記載されたものと同様にして無機材料の蒸着多層膜からなる反射防止膜を形成した。
次いで、上記のようにして形成された着色層上に、以下のようにして透明の平坦化層を設けた。該平坦化層の形成は、先ず、エポキシ系UV硬化型材料(旭電化(株)製 KR−566)を用い、この塗工液をワイヤーバーを用いてパターン状の着色層を含む基材全面上に塗工し、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60sec.の条件で光照射を行うことにより形成した。このようにして作成された平坦化層の厚みは15μmであった。更に、このようにして得られた光量調節部材の両面に特開平6−273601号公報の実施例に記載されたものと同様にして無機材料の蒸着多層膜からなる反射防止膜を形成した。
上記のようにして作製された本発明にかかる光量調節部材を、キヤノン(株)製デジタルカメラPower Shot G1の撮影レンズの前方に配置し、ISO規格電子スチルカメラ用解像力チャートを撮影した。露出制御モードは絞り開放による絞り優先AEを使用し、光量調節部材の有無に係わらず適正露出が得られるようにした。この撮影画像から白黒バーチャート(像面上での空間周波数:14.5 line pairs/mm)を切り出し、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを評価コントラストとした。次いで光量調節部材をはずして同様の撮影を行ない、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、これを参照コントラストとした。
このようにして得られた参照コントラストに対する評価コントラストの比率を求め、フィルタコントラストと定義したが、本実施例の場合、この値は0.92であった。フィルタコントラストの許容下限値は、撮影装置の用途や価格帯により異なるが、普及クラスの撮影装置では0.9以上、高級クラスでは0.92以上が好ましいことがわかっている。従って、本発明の光量調節部材のフィルタコントラスト値0.92は、充分に高性能であることがわかる。
更に、上記のようにして作製された本発明に関わる光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した。その結果、高温高湿放置前と、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置後の波面収差測定結果に変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤や膜厚の増加現象が発生していないことがわかった。
[実施例2]
透明基材として、厚さ100μmの、透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この上に、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタであるキヤノン(株)製 BJ S600のインクタンクの一つに、以下の組成を有する透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液を充填した。
透明基材として、厚さ100μmの、透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この上に、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプのインクジェットプリンタであるキヤノン(株)製 BJ S600のインクタンクの一つに、以下の組成を有する透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液を充填した。
・黒色染料(フードブラック2) 5%
・ヒドロキシプロピルセルロース HPC−SL
(日本曹達製) 4%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 64%
・ヒドロキシプロピルセルロース HPC−SL
(日本曹達製) 4%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 64%
又、別のインクタンクの一つに以下の組成を有する透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を充填した。
・イソブチレン/無水マレイン酸共重合体
(クラレ(株)製 イソバン110) 3%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 70%
上記プリンタを用いて上記の透明基材上に上記2種の液体を吐出、混合させることにより着色部を形成した。この際、上記プリンタによってインクを付与する場合に、形成される着色部が、光学濃度が0.5(透過率32%)の均一濃度領域となるようにした。
・イソブチレン/無水マレイン酸共重合体
(クラレ(株)製 イソバン110) 3%
・エチレングリコール 10%
・ジエチレングリコール 15%
・イソプロピルアルコール 2%
・イオン交換水 70%
上記プリンタを用いて上記の透明基材上に上記2種の液体を吐出、混合させることにより着色部を形成した。この際、上記プリンタによってインクを付与する場合に、形成される着色部が、光学濃度が0.5(透過率32%)の均一濃度領域となるようにした。
次いで、熱風乾燥オーブンにより140℃10分の条件により乾燥を行い、着色液中の透明樹脂と、該透明樹脂と反応し得る化合物間の反応を進行させた。次いで、上記のようにして形成された着色層上に、以下のようにして透明の平坦化層を設けた。該平坦化層の形成は、先ず、エポキシ系UV硬化型材料(旭電化(株)製 KR−566)を用い、この塗工液をワイヤーバーを用いてパターン状の着色層を含む基材全面上に塗工し、更に、高圧水銀灯を用いて200mW、60sec.の条件で光照射を行うことにより形成した。このようにして作成された平坦化層の厚みは15μmであった。更に、このようにして得られた光量調節部材の両面に特開平6−273601号公報の実施例に記載されたものと同様にして無機材料の蒸着多層膜からなる反射防止膜を形成した。
上記のようにして作製された本実施例の光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めた。この結果、コントラスト値は0.92であり、実施例1と同様に高性能なものであることがわかった。更に、上記のようにして作製された本発明に関わる光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した。その結果、高温高湿放置前と、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置後の波面収差測定結果に変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤や膜厚の増加現象が発生していないことがわかった。
[実施例3]
実施例1と同様にして光量調節部材を作成した。但し、インクの付与パターンは着色濃度が全面にわたって均一とするのではなく、段階的に濃度勾配を与えた、図4に示したようなグラデーションパターンとした。このようにして作成した光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めて評価を行ったところ、得られたコントラストの値は0.92と高性能なものであった。更に、上記のようにして作製された本発明に関わる光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した。その結果、高温高湿放置前と、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置後の波面収差測定結果に変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤や膜厚の増加現象が発生していないことがわかった。
実施例1と同様にして光量調節部材を作成した。但し、インクの付与パターンは着色濃度が全面にわたって均一とするのではなく、段階的に濃度勾配を与えた、図4に示したようなグラデーションパターンとした。このようにして作成した光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めて評価を行ったところ、得られたコントラストの値は0.92と高性能なものであった。更に、上記のようにして作製された本発明に関わる光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した。その結果、高温高湿放置前と、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置後の波面収差測定結果に変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤や膜厚の増加現象が発生していないことがわかった。
[実施例4]
実施例1と同様にして光量調節部材を作成した。但し、インクの付与パターンは着色濃度が全面にわたって均一とするのではなく、連続的に濃度勾配をつけ、濃淡の段階が不明瞭な状態のグラデーションパターンとした。このようにして作成した光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めて評価を行ったところ、得られたコントラストの値は0.92と高性能なものであった。更に、上記のようにして作製された本発明に関わる光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した。その結果、高温高湿放置前と、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置後の波面収差測定結果に変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤や膜厚の増加現象が発生していないことがわかった。
実施例1と同様にして光量調節部材を作成した。但し、インクの付与パターンは着色濃度が全面にわたって均一とするのではなく、連続的に濃度勾配をつけ、濃淡の段階が不明瞭な状態のグラデーションパターンとした。このようにして作成した光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めて評価を行ったところ、得られたコントラストの値は0.92と高性能なものであった。更に、上記のようにして作製された本発明に関わる光量調節部材の波面収差をレーザ干渉計によって測定した。その結果、高温高湿放置前と、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置後の波面収差測定結果に変化がないことから、光量調節部材の端面の膨潤や膜厚の増加現象が発生していないことがわかった。
[比較例1]
実施例1において、着色液中の透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を付与しない他は実施例1と全く同様にして着色部、平坦化層及び反射防止膜を設けることにより光量調節部材を作成した。上記のようにして作製された光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めた。この結果、コントラスト値は0.92であり、実施例1と同様に高性能なものであることがわかった。
実施例1において、着色液中の透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を付与しない他は実施例1と全く同様にして着色部、平坦化層及び反射防止膜を設けることにより光量調節部材を作成した。上記のようにして作製された光量調節部材について、実施例1と同様にしてコントラスト値を求めた。この結果、コントラスト値は0.92であり、実施例1と同様に高性能なものであることがわかった。
しかしながら、上記のようにして作製された本発明に関わる光量調節部材を、温度60℃相対湿度90%の環境下で100時間放置した後に、レーザ干渉計によって波面収差を測定した。その結果、高温高湿放置前と比較して、端面から1mm幅の範囲全周に渡って波面収差が増加し、端面では波面収差が最大でλ/2程度増加していることがわかった。これは着色部が化学的に耐湿性に劣る材料系からなるために、該露出部から空気中の水分が浸入して膨潤現象が発生し、周辺部の膜厚の増加をきたしたものと考えられる。
本発明によれば、非常に簡便な操作で、歩留まりよく安価に光量調節部材、光量調節装置及び該光量調節装置を備えた撮影装置を提供することができる。又、本発明によれば、他の製造方式では著しく困難な、連続的に或いは段階的に濃度分布を有する光量調節部材を簡便に製造することができ、該光量調節部材は、長期にわたる信頼性、特に耐湿性に優れている。
100:光量調節装置(絞り装置)
101、102:絞り羽根
101P、102P:光量調節部材
101Q、102Q:光遮断部材
101a、102a:溝穴
101b、102b:溝
101c、102c:絞り開口縁
103:絞り羽根駆動レバー
103a:孔
103b、103c:突設ピン
105:ガイドピン
106:地板の光路孔
111:透明基材
112:着色層
113:反射防止膜
114:平坦化層
400:撮影光学系
401:第1レンズ群
402:第2レンズ群
403:第3レンズ群
404:光学ローパスフィルタ
411:撮像手段
421:表示器
422:操作スイッチ群
423:アクチュエータ
431:CPU
432:絞り駆動回路
441:アンプ回路
442:カメラ信号処理回路
443:レコーダ
101、102:絞り羽根
101P、102P:光量調節部材
101Q、102Q:光遮断部材
101a、102a:溝穴
101b、102b:溝
101c、102c:絞り開口縁
103:絞り羽根駆動レバー
103a:孔
103b、103c:突設ピン
105:ガイドピン
106:地板の光路孔
111:透明基材
112:着色層
113:反射防止膜
114:平坦化層
400:撮影光学系
401:第1レンズ群
402:第2レンズ群
403:第3レンズ群
404:光学ローパスフィルタ
411:撮像手段
421:表示器
422:操作スイッチ群
423:アクチュエータ
431:CPU
432:絞り駆動回路
441:アンプ回路
442:カメラ信号処理回路
443:レコーダ
Claims (7)
- 透明基材上に、液体吐出装置を用いて透明樹脂及び色材を少なくとも含有する着色液及び上記透明樹脂と反応し得る化合物を少なくとも含有する液体を別々に吐出し、上記基材上にて混合することにより、特定の光学濃度領域からなる着色部を形成する工程を有することを特徴とする光量調節部材の製造方法。
- 前記着色部を形成する工程の後に、更に、着色部表面上に平坦化層を設ける工程を有する請求項1に記載の光量調節部材の製造方法。
- 前記色材が、染料或いは顔料、又はこれらの混合物である請求項1又は2に記載の光量調節部材の製造方法。
- 前記特定の光学濃度領域が、色材の種類及び/又は付与量を部分的に変化させることで形成された、連続的に或いは段階的に変化する濃度分布を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の光量調節部材の製造方法。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の光量調節部材の製造方法で製造されたことを特徴とする光量調節部材。
- 請求項5に記載の光量調節部材が具備されていることを特徴とする光量調節装置。
- 請求項6に記載の光量調節装置と、被写体像を形成するための撮影光学系と、該被写体像を光電変換する撮像手段と、光電変換された信号を記録する記録手段とを有する撮影装置であって、上記光量調節装置が上記撮影光学系に配置されていることを特徴とする撮影装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003286598A JP2005052752A (ja) | 2003-08-05 | 2003-08-05 | 光量調節部材の製造方法、光量調節部材、光量調節装置及び撮影装置 |
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