JP2004212463A - Ndフィルタの製造方法及びこのndフィルタを有する光量絞り装置及びカメラ - Google Patents
Ndフィルタの製造方法及びこのndフィルタを有する光量絞り装置及びカメラ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】光量の均一性が向上し、各濃度においては分光特性がフラットなグラデーション濃度分布を有するNDフィルタの製造方法及びこのNDフィルタを有し、高画質化に対応することが可能な光量絞り装置及びカメラを提供する。
【解決手段】基板上に少なくとも2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するに際し、蒸発源16と成膜基板3との間に設けられた可変マスク19を用いて最表層以外の膜をグラデーション濃度分布を形成して成膜する工程と、最表層の膜を前記マスクを用いて一定膜厚に成膜する工程とで構成する。
【選択図】 図4
【解決手段】基板上に少なくとも2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するに際し、蒸発源16と成膜基板3との間に設けられた可変マスク19を用いて最表層以外の膜をグラデーション濃度分布を形成して成膜する工程と、最表層の膜を前記マスクを用いて一定膜厚に成膜する工程とで構成する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、NDフィルタの製造方法及びこのNDフィルタを有する光量絞り装置及びカメラ等に関する。
【0002】
【従来の技術】
一眼レフカメラ、コンパクトスチルカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラに代表される光学機器の光学系に搭載される光量絞りは、銀塩フィルムあるいはCCD等の固体撮像素子といった撮像手段へ入射する光量を制御するために設けられている。光量絞りは、被写界が明るすぎる場合、光量を制御するために小さく絞り込まれる(開口を小さくする)様になっている。
【0003】
従って、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると、光量絞りは光量を減らすために小絞りとなる。しかし、小絞りになると、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く、像性能の劣化を生じる。
【0004】
これに対する対策として絞り羽根にフィルム状のND(Neutral Density)フィルタを取りつけて被写界の明るさが同一でも絞りの開口が大きくなる様な工夫をしている。
【0005】
近年、撮像素子の感度が向上するに従い、前記NDフィルタの濃度を濃くして、光の透過率をさらに低下させ、被写界の明るさが同一でも絞りの開口を大きくする様になっている。しかしながら、この様にNDフィルタの濃度が濃くなると図20に示す様な状態でNDフィルタを通過した光束aと通過しない光束bの光量差が大きくなり、画面内で明るさが異なる“シェーディング”現象が起きたり、解像度が低下してしまうという欠点がある。この欠点を解決するためにNDフィルタの透過率を、光軸中心に近づくにつれ次第に透過率が大きくなるようにするグラデーションタイプのNDフィルター(グラデーションNDフィルタ)が知られている。
【0006】
因みに図20はデジタルカメラ又はデジタルビデオカメラの撮影光学系である。図20において、6A,6B,6C,6Dは撮影光学系6を構成するレンズ,7は固体撮像素子で8はローパスフィルタである。また11〜14は光量絞り装置で、11がNDフィルタ、12と13が対向的に移動する絞り羽根で、2枚の絞り羽根は略菱形の開口を形成する。NDフィルタは通常、絞り羽根に接着されている。14は絞り羽根支持板である。
【0007】
一般的にNDフィルタの作製方法としては、フィルム状をなす材料(セルロースアセテート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル等)中に光を吸収する有機色素または顔料を混ぜ、練り込むタイプのものと、前記材料に光を吸収する有機色素または顔料を塗布するタイプのものがある。これらの製造方法では、濃度、即ち透過率が場所によって均一なフィルタは作製可能であるが、濃度が場所によって変化するタイプのフィルタ(グラデーションフィルタ)は作製が著しく困難である。
【0008】
このような濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)のNDフィルタに関して、本発明者らは、既にマイクロ写真法による濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)のNDフィルタの作製方法等を提案している(特許文献1〜3参照)。
また、グラデーションフィルタの製造方法として、真空蒸着法により楕円形グラデーションフィルタを製造するようにしたものもある(特許文献4参照)。
【0009】
【特許文献1】特許第2754518号公報(特開平05−281593号公報)
【特許文献2】特許第2771078号公報(特開平06−095208号公報)
【特許文献3】特許第2771084号公報(特開平06−175193号公報)
【特許文献4】特開平11−38206号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜3が提案された当時のビデオカメラでは、これらの方法により作製したNDフィルタで、画質の向上が図られたが、近年のCCDの更なる高感度化、小型化、高画質対応により特に特殊条件での使用(例えば逆光下での小径絞り状態)において、銀塩粒子による光の散乱の影響で画質が劣化してしまうことがある。
また、上述した特許文献4に開示された方法では、微少領域で濃度を変化させること(例えば3mmの範囲で透過率を3%から80%まで変化させること)が難しい。
【0011】
そこで、本発明は、光量の均一性が向上し、各濃度においては分光特性がフラットなグラデーション濃度分布を有するNDフィルタの製造方法及びこのNDフィルタを有し、高画質化に対応することが可能な光量絞り装置及びカメラを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のNDフィルタの製造方法は、基板上に少なくとも2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するに際し、蒸発源と成膜基板との間に設けられた可変マスクを用いて最表層以外の膜をグラデーション濃度分布を形成して成膜する工程と、最表層の膜を前記マスクを用いて一定膜厚に成膜する工程と、を有することを特徴としている。
そして、本発明のNDフィルタの製造方法においては、前記グラデーション濃度分布を形成して成膜する工程が、前記マスクを前記蒸発源と前記成膜基板間で移動させることによって行われ、あるいは、前記マスクに開口部を設け、該マスクの開口部の面積を変化させることにより行われることを特徴としている。
また、本発明の光量絞り装置は、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、
前記NDフィルタが、上記したいずれかに記載の製造方法によって製造されたNDフィルタによって構成されていることを特徴としている。
また、カメラは、光学系と該光学系を通過する光量を制限する上記の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴としている
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態によって何ら限定されるものではない。特に、以下の図3等の説明においては、NDフィルターの成膜の実施方法として、真空蒸着法を用いた場合を例にとって説明しているが、本発明はスパッタリング法・インクジェットプリンティング法・スプレー法等においても同様な効果を得ることができ、これらの成膜法は一般的に知られていることでもあるから、ここでは記述を省略している。
【0014】
図3は本実施の形態を説明するため、一例として用いる真空蒸着機におけるチャンバー内の簡易図であり、図3において3は成膜を施す基板、4は実際に成膜を実施する基材、5は基材4を固定する為の基板治具、15は蒸着傘、16は蒸発源である。また、本実施の形態として説明する基板3とは、図3(b)に示すように基板治具5に基材4がセットされた状態を示しているものとする。
【0015】
図4(a)は本実施の形態における、蒸発源と成膜基板との間にマスクを設けた方式のチャンバー内の簡易図であり、図4(b)は図4(a)中の遮蔽マスクを図4(a)の鳥観から見て拡大したものである。図4において17はマスクの固定部である固定マスク、18はマスクの可変部である可変マスク、19はこの固定マスク17と可変マスク18を合わせた遮蔽マスクである。
【0016】
一般的に真空蒸着法においては、図3の様にチャンバー内の基板は蒸着傘15に備え付けられ、この蒸着傘15と共に基板3が回転し成膜が行われる。この蒸着傘15と蒸発源との間に、図4(a)で示す様に遮蔽マスク19を設け、遮蔽マスク19の可変部である可変マスク18が移動する事により、蒸発源16と基板3との幾何学的な位置関係から、蒸着する蒸着粒子はマスクを通過し基板3に到達できたり、マスクに遮られ基板3まで到達できなかったりする事になる。例えば、図4(a)のように可変マスク18を、基板全面に蒸着粒子が到達できる位置から図4(a)の固定マスク17の位置まで、等速で移動させ成膜すると、図5(a)に示すような膜厚分布を得る事となる。
【0017】
図5(a)は、実際に図4(b)に示す形状のマスクを用いて膜厚分布シミュレーションを実施した結果であり、図5(b)は図5(a)のパラメータである基板上の位置Δxの説明図、図5(c)は蒸着傘中の位置の断面図をそれぞれ示している。20は蒸着傘15中の基板位置である。
【0018】
本実施の形態で目的としている濃度分布は、透過率が順次小、若しくは大になるようなグラデーション濃度分布である。この様な濃度分布はNDフィルタの用途を考慮すると、最も一般的な仕様であると考えられる。具体的には、例えば図7(a)で示すような透過特性を持つ分布である。この仕様を満足するNDフィルタを作成する為には、図7(b)で示すような濃度分布を得る必要がある。濃度と膜厚はリニアの関係にあるため、言い換えれば、図7(b)で示すような膜厚分布を得る必要があると言える。
【0019】
図5(a)で示されている膜厚分布は、当然、蒸着傘中の基板位置20や、可変マスク18の移動速度や移動方向等によっても異なったものになる。したがって、反対に、可変マスク18の移動速度や移動方向等を制御することにより、基板上に成膜される薄膜に任意の膜厚分布を得る事が可能となる。
【0020】
膜厚が増加すると言う事は、膜の濃度が濃くなり透過率が下がることを意味している為、任意の膜厚分布を得る事とは、言い換えれば本発明の目的である、任意の濃度分布を得る事と言える。
【0021】
また、このような任意の濃度分布を作製する為のマスクの形状は、本実施例では図4(b)に示すような円形のマスクを用い、図5(a)におけるシミュレーション結果と共に説明してきたが、実際は、様々なものが考えられ、作製したいNDフィルターの濃度分布によって多種多様である事が予想される。
【0022】
さらに、可変マスク18を動かさず、可変マスク18の面積を増減させる事によっても同様の効果を得る事ができる。図6(a)に示す様に、固定マスク17と同じ高さの位置に可変マスク18を置き、成膜を開始すると同時に可変マスク18の面積を縮小、若しくは拡大させる。可変マスク18の面積を縮小させると言う事は、遮蔽マスク19の開口部の面積を拡大させる事、可変マスク18の面積を拡大させると言う事は、遮蔽マスク19の開口部の面積を縮小させる事であるから、図4(a)の様に可変マスク18を上下に移動させ、遮蔽マスク19の開口部の面積を増減させ任意の膜厚分布を得る作成方法と全く同様の効果を得る事ができる。また、この作成方法の場合、開口部の面積を制御すれば良いのだから、図4(a)の固定マスク17と可変マスク18を反対に配置することも可能であるし、蒸着粒子を遮蔽するのが狙いであるから、必ずしも固定マスク17と可変マスク18を同一平面上に設置する必要は無い。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例]
本実施例においては、まず、材質厚75μmのプラスチック基材(以下、PET基材と記す)上に、真空蒸着法により図8に示す膜構成のうち第1層から最表層手前までを、同図のようにAl2O3・TixOyを交互に積層して膜を形成した。
本実施例においては、マスクはその形状が、図4(b)のような円形のものを用い、図4(a)に示す様に配置した。
可変マスクは図4(a)の基板全面に蒸着粒子が到達できる位置から固定マスクの位置まで、等速で移動させて膜厚分布を変化させて成膜した。
また、膜生成法として、膜厚を比較的容易に制御でき、かつ可視域の波長域で散乱が非常に小さいことから、真空蒸着法を選択した。
また、基材の材質としては、耐熱性(ガラス転移点Tg)が高く、可視域の波長域で透明性が高く、また吸水率が低い、PETを選択した。
【0024】
次に、最表層を光学膜厚n×d(nは屈折率、dは機械膜厚)で1/4λ λ:540nmの条件で成膜した。この際の遮蔽マスクの可変部である可変マスクの位置は、成膜基板全面に蒸着粒子が成膜される位置で固定し、一定膜厚に成膜した。この最表層の膜の屈折率nは可視域の波長域で1.5以下のものを選んだ。具体的にはMgF2を使用した。
【0025】
以上の様に、第1層から最表層まで成膜した後、110℃の温度で1時間、空気中で熱処理を行った。110℃を選んだのは、100℃未満では環境安定性の効果が不十分であり、130℃を超えると基材の熱的劣化を生じて膜にクラックが発生する等問題が発生する。したがって、熱処理の温度は、110℃から130℃の間が適当である。
【0026】
環境安定性を調べるため、前記プラスチックNDフィルタを60℃85%240時間の放置試験を行い、試験前後での透過率を測定すると、その差が0.2%以下とほとんど差は見られなかった。参考として、熱処理を行わないものを同様な環境試験を行い、試験前後での透過率を測定すると2%前後増加していた。
このような現象が起きる要因としては、真空蒸着時の基板温度が低いことがあげられる。
膜の封止密度は成膜時の基板温度が大きく影響し、温度が低いと封止密度が低くなり、水分・酸素等を透過しやすく、そのため吸収膜であるTixOy自体の酸化が促進されること、及びそれを保護するAl2O3膜等の誘電体膜の保護効果が少ないことの両方の影響から透過率が上昇するものと考えられる。熱処理を行うと環境安定性が向上するのは、“エージング効果”であると考えられる。
【0027】
通常、ガラス基板を用いる場合、基板温度は200℃〜250℃、望ましくは300℃前後まで加熱して成膜する。
しかし、今回のように基板がプラスチックの場合、基板が熱収縮を起こさない温度で成膜する必要があり、その基板温度は150℃未満に制約される。
膜厚分布は図5(a)に示す様にシミュレーションの結果とほぼ同等な結果が得られた。但し第1層から第8層までの分布である。最表層は一定膜厚である。
【0028】
一例を示すと、図1(a)のようなパターンを作製して、略三角形の形状に切りぬき、その後、この切りぬいたフィルタ1を羽根2に貼ると図2の状態になる。絞り装置は、図20を用いて説明したものと同様のもので、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根を備えている。フィルタ1枚は図1(b)のようになっていて、0が端面部でそこからX1X2X3までが濃度変化領域である。X3からX4は最も濃い均一濃度が形成されている。X4からX5はフィルタを羽根に接着するための接着領域である。
【0029】
本実施例において、距離(X)と膜厚の構成は、図9、図10に示すようになった。
また、距離(X)と透過率、距離(X)と反射率の関係は図11、図12に示すようになった。
さらに分光透過率は図13、分光反射率は図14に示すようになった。
【0030】
[比較例]
材質厚75μmのPET基材上に、真空蒸着法により成膜した点は実施例と同様であるが、実施例とは異なり図8に示す膜構成の第1層から第9層までの全層を、膜厚変化させ成膜した。
また、最表層は光学膜厚n×d(nは、屈折率dは機械膜厚)で1/4λ λ:540nmの条件で成膜した点、最表層の膜の屈折率nとして可視域の波長域で1.5以下のものを選んだ点、具体的にはMgF2を使用した点等も実施例と同様である。
また、実施例と同様にマスク形状として図4(b)のような円形のものを用い、図4(a)に示す様に配置し、この可変マスクは図4(a)の基板全面に蒸着粒子が到達できる位置から固定マスクの位置まで、等速で移動させて膜厚分布を変化させて成膜した。
また、実施例と同様の理由により、膜生成法として真空蒸着法を選択し、基材の材質としてPETを選択した。
【0031】
以上のように第1層から最表層まで成膜した後、110℃の温度で1時間空気中で熱処理を行った。110℃を選んだ理由は実施例と同様である。
また、環境安定性を調べるため、上記実施例と同様に、前記プラスチックNDフィルタを60℃85%240時間の放置試験を行ったところ、上記実施例と同様の結果が得られた。
また、膜厚分布は図5(a)に示す様にシミュレーションの結果とほぼ同等な結果が得られた。
【0032】
本比較例において、距離(X)と膜厚の構成は、図15に示すようになった。また、この時の距離と透過率、距離と反射率の関係は図16、図17に示すようになった。
また、分光透過率、分光反射率はそれぞれ図18、図19に示すようになった。本比較例のように、全層を膜厚変化させると、反射防止条件が合わなくなり、反射率の上昇が起き、画質上“ゴースト現象”“フレア現象”が発生することとなる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、光量の均一性が向上し、各濃度においては分光特性がフラットなグラデーション濃度分布を有するNDフィルタの製造方法及びこのNDフィルタを有し、高画質化に対応することが可能な光量絞り装置及びカメラを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるフィルタ製造の際のプレス抜き状態を説明する図であり、(a)は略三角形状の切りぬきパターンを示す図、(b)は切りぬかれた略三角形状のNDフィルタの構成を示す図。
【図2】本発明で得られたグラデーションNDフィルタを絞り羽根に取り付けた状態を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態における真空蒸着法によるNDフィルタの製造方法を説明するための図であり、(a)は真空蒸着機におけるチャンバー内の構成図、(b)は基板の拡大図。
【図4】本発明の実施の形態における遮蔽マスクによるNDフィルタの製造方法を説明するための図であり、(a)は遮蔽マスクを設けた真空蒸着機におけるチャンバー内の構成図、(b)は遮蔽マスクの構成を示す図。
【図5】本発明の実施の形態の遮蔽マスクによるシミュレーション例を示す図であり、(a)は実際に図4(b)に示す形状のマスクを用いて膜厚分布シミュレーションを実施した結果であり、(b)は図5(a)のパラメータである基板上の位置Δxの説明図、(c)は蒸着傘中の位置の断面図をそれぞれ示す図。
【図6】本発明の別の実施の形態における遮蔽マスクによるNDフィルタの製造方法を説明するための図であり、(a)は遮蔽マスクを設けた真空蒸着機におけるチャンバー内の構成図、(b)は遮蔽マスクの構成を示す図。
【図7】(a)は理想型グラデーションの透過特性を示す図、(b)は濃度分布を示す図。
【図8】本発明の実施の形態及び実施例等を説明するための蒸着NDフィルタの膜構成を示す図。
【図9】実施例による距離と膜厚の関係を表わしたグラフ(第1層から最表層手前まで)。
【図10】実施例による距離と膜厚の関係を表わしたグラフ(第9層)。
【図11】実施例による距離と透過率の関係を表わしたグラフ。
【図12】実施例による距離と反射率の関係を表わしたグラフ。
【図13】実施例による分光透過率を表わしたグラフ。
【図14】実施例による分光反射率を表わしたグラフ。
【図15】比較例による距離と膜厚の関係を表わしたグラフ(第1層から最終層〈第9層〉まで)。
【図16】比較例による距離と透過率の関係を表わしたグラフ。
【図17】比較例による距離と反射率の関係を表わしたグラフ。
【図18】比較例による分光透過率を表わしたグラフ。
【図19】比較例による分光反射率を表わしたグラフ。
【図20】従来技術を説明するためのビデオカメラに使用される撮影光学系を表わした図。
【符号の説明】
1:NDフィルター
2:絞り羽根
3:基板
4:基材
5:基板治具
6A、6B、6C、6D:撮影光学系6を構成するレンズ
7:固体撮像素子
8:ローパスフィルタ
11:NDフィルタ
12、13:絞り羽根
14:絞り羽根支持板
15:蒸着傘
16:蒸発源
17:固定マスク
18:可変マスク
19:遮蔽マスク
20:蒸着傘中の基板位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、NDフィルタの製造方法及びこのNDフィルタを有する光量絞り装置及びカメラ等に関する。
【0002】
【従来の技術】
一眼レフカメラ、コンパクトスチルカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラに代表される光学機器の光学系に搭載される光量絞りは、銀塩フィルムあるいはCCD等の固体撮像素子といった撮像手段へ入射する光量を制御するために設けられている。光量絞りは、被写界が明るすぎる場合、光量を制御するために小さく絞り込まれる(開口を小さくする)様になっている。
【0003】
従って、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると、光量絞りは光量を減らすために小絞りとなる。しかし、小絞りになると、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く、像性能の劣化を生じる。
【0004】
これに対する対策として絞り羽根にフィルム状のND(Neutral Density)フィルタを取りつけて被写界の明るさが同一でも絞りの開口が大きくなる様な工夫をしている。
【0005】
近年、撮像素子の感度が向上するに従い、前記NDフィルタの濃度を濃くして、光の透過率をさらに低下させ、被写界の明るさが同一でも絞りの開口を大きくする様になっている。しかしながら、この様にNDフィルタの濃度が濃くなると図20に示す様な状態でNDフィルタを通過した光束aと通過しない光束bの光量差が大きくなり、画面内で明るさが異なる“シェーディング”現象が起きたり、解像度が低下してしまうという欠点がある。この欠点を解決するためにNDフィルタの透過率を、光軸中心に近づくにつれ次第に透過率が大きくなるようにするグラデーションタイプのNDフィルター(グラデーションNDフィルタ)が知られている。
【0006】
因みに図20はデジタルカメラ又はデジタルビデオカメラの撮影光学系である。図20において、6A,6B,6C,6Dは撮影光学系6を構成するレンズ,7は固体撮像素子で8はローパスフィルタである。また11〜14は光量絞り装置で、11がNDフィルタ、12と13が対向的に移動する絞り羽根で、2枚の絞り羽根は略菱形の開口を形成する。NDフィルタは通常、絞り羽根に接着されている。14は絞り羽根支持板である。
【0007】
一般的にNDフィルタの作製方法としては、フィルム状をなす材料(セルロースアセテート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル等)中に光を吸収する有機色素または顔料を混ぜ、練り込むタイプのものと、前記材料に光を吸収する有機色素または顔料を塗布するタイプのものがある。これらの製造方法では、濃度、即ち透過率が場所によって均一なフィルタは作製可能であるが、濃度が場所によって変化するタイプのフィルタ(グラデーションフィルタ)は作製が著しく困難である。
【0008】
このような濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)のNDフィルタに関して、本発明者らは、既にマイクロ写真法による濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)のNDフィルタの作製方法等を提案している(特許文献1〜3参照)。
また、グラデーションフィルタの製造方法として、真空蒸着法により楕円形グラデーションフィルタを製造するようにしたものもある(特許文献4参照)。
【0009】
【特許文献1】特許第2754518号公報(特開平05−281593号公報)
【特許文献2】特許第2771078号公報(特開平06−095208号公報)
【特許文献3】特許第2771084号公報(特開平06−175193号公報)
【特許文献4】特開平11−38206号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜3が提案された当時のビデオカメラでは、これらの方法により作製したNDフィルタで、画質の向上が図られたが、近年のCCDの更なる高感度化、小型化、高画質対応により特に特殊条件での使用(例えば逆光下での小径絞り状態)において、銀塩粒子による光の散乱の影響で画質が劣化してしまうことがある。
また、上述した特許文献4に開示された方法では、微少領域で濃度を変化させること(例えば3mmの範囲で透過率を3%から80%まで変化させること)が難しい。
【0011】
そこで、本発明は、光量の均一性が向上し、各濃度においては分光特性がフラットなグラデーション濃度分布を有するNDフィルタの製造方法及びこのNDフィルタを有し、高画質化に対応することが可能な光量絞り装置及びカメラを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のNDフィルタの製造方法は、基板上に少なくとも2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するに際し、蒸発源と成膜基板との間に設けられた可変マスクを用いて最表層以外の膜をグラデーション濃度分布を形成して成膜する工程と、最表層の膜を前記マスクを用いて一定膜厚に成膜する工程と、を有することを特徴としている。
そして、本発明のNDフィルタの製造方法においては、前記グラデーション濃度分布を形成して成膜する工程が、前記マスクを前記蒸発源と前記成膜基板間で移動させることによって行われ、あるいは、前記マスクに開口部を設け、該マスクの開口部の面積を変化させることにより行われることを特徴としている。
また、本発明の光量絞り装置は、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、
前記NDフィルタが、上記したいずれかに記載の製造方法によって製造されたNDフィルタによって構成されていることを特徴としている。
また、カメラは、光学系と該光学系を通過する光量を制限する上記の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴としている
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態によって何ら限定されるものではない。特に、以下の図3等の説明においては、NDフィルターの成膜の実施方法として、真空蒸着法を用いた場合を例にとって説明しているが、本発明はスパッタリング法・インクジェットプリンティング法・スプレー法等においても同様な効果を得ることができ、これらの成膜法は一般的に知られていることでもあるから、ここでは記述を省略している。
【0014】
図3は本実施の形態を説明するため、一例として用いる真空蒸着機におけるチャンバー内の簡易図であり、図3において3は成膜を施す基板、4は実際に成膜を実施する基材、5は基材4を固定する為の基板治具、15は蒸着傘、16は蒸発源である。また、本実施の形態として説明する基板3とは、図3(b)に示すように基板治具5に基材4がセットされた状態を示しているものとする。
【0015】
図4(a)は本実施の形態における、蒸発源と成膜基板との間にマスクを設けた方式のチャンバー内の簡易図であり、図4(b)は図4(a)中の遮蔽マスクを図4(a)の鳥観から見て拡大したものである。図4において17はマスクの固定部である固定マスク、18はマスクの可変部である可変マスク、19はこの固定マスク17と可変マスク18を合わせた遮蔽マスクである。
【0016】
一般的に真空蒸着法においては、図3の様にチャンバー内の基板は蒸着傘15に備え付けられ、この蒸着傘15と共に基板3が回転し成膜が行われる。この蒸着傘15と蒸発源との間に、図4(a)で示す様に遮蔽マスク19を設け、遮蔽マスク19の可変部である可変マスク18が移動する事により、蒸発源16と基板3との幾何学的な位置関係から、蒸着する蒸着粒子はマスクを通過し基板3に到達できたり、マスクに遮られ基板3まで到達できなかったりする事になる。例えば、図4(a)のように可変マスク18を、基板全面に蒸着粒子が到達できる位置から図4(a)の固定マスク17の位置まで、等速で移動させ成膜すると、図5(a)に示すような膜厚分布を得る事となる。
【0017】
図5(a)は、実際に図4(b)に示す形状のマスクを用いて膜厚分布シミュレーションを実施した結果であり、図5(b)は図5(a)のパラメータである基板上の位置Δxの説明図、図5(c)は蒸着傘中の位置の断面図をそれぞれ示している。20は蒸着傘15中の基板位置である。
【0018】
本実施の形態で目的としている濃度分布は、透過率が順次小、若しくは大になるようなグラデーション濃度分布である。この様な濃度分布はNDフィルタの用途を考慮すると、最も一般的な仕様であると考えられる。具体的には、例えば図7(a)で示すような透過特性を持つ分布である。この仕様を満足するNDフィルタを作成する為には、図7(b)で示すような濃度分布を得る必要がある。濃度と膜厚はリニアの関係にあるため、言い換えれば、図7(b)で示すような膜厚分布を得る必要があると言える。
【0019】
図5(a)で示されている膜厚分布は、当然、蒸着傘中の基板位置20や、可変マスク18の移動速度や移動方向等によっても異なったものになる。したがって、反対に、可変マスク18の移動速度や移動方向等を制御することにより、基板上に成膜される薄膜に任意の膜厚分布を得る事が可能となる。
【0020】
膜厚が増加すると言う事は、膜の濃度が濃くなり透過率が下がることを意味している為、任意の膜厚分布を得る事とは、言い換えれば本発明の目的である、任意の濃度分布を得る事と言える。
【0021】
また、このような任意の濃度分布を作製する為のマスクの形状は、本実施例では図4(b)に示すような円形のマスクを用い、図5(a)におけるシミュレーション結果と共に説明してきたが、実際は、様々なものが考えられ、作製したいNDフィルターの濃度分布によって多種多様である事が予想される。
【0022】
さらに、可変マスク18を動かさず、可変マスク18の面積を増減させる事によっても同様の効果を得る事ができる。図6(a)に示す様に、固定マスク17と同じ高さの位置に可変マスク18を置き、成膜を開始すると同時に可変マスク18の面積を縮小、若しくは拡大させる。可変マスク18の面積を縮小させると言う事は、遮蔽マスク19の開口部の面積を拡大させる事、可変マスク18の面積を拡大させると言う事は、遮蔽マスク19の開口部の面積を縮小させる事であるから、図4(a)の様に可変マスク18を上下に移動させ、遮蔽マスク19の開口部の面積を増減させ任意の膜厚分布を得る作成方法と全く同様の効果を得る事ができる。また、この作成方法の場合、開口部の面積を制御すれば良いのだから、図4(a)の固定マスク17と可変マスク18を反対に配置することも可能であるし、蒸着粒子を遮蔽するのが狙いであるから、必ずしも固定マスク17と可変マスク18を同一平面上に設置する必要は無い。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例]
本実施例においては、まず、材質厚75μmのプラスチック基材(以下、PET基材と記す)上に、真空蒸着法により図8に示す膜構成のうち第1層から最表層手前までを、同図のようにAl2O3・TixOyを交互に積層して膜を形成した。
本実施例においては、マスクはその形状が、図4(b)のような円形のものを用い、図4(a)に示す様に配置した。
可変マスクは図4(a)の基板全面に蒸着粒子が到達できる位置から固定マスクの位置まで、等速で移動させて膜厚分布を変化させて成膜した。
また、膜生成法として、膜厚を比較的容易に制御でき、かつ可視域の波長域で散乱が非常に小さいことから、真空蒸着法を選択した。
また、基材の材質としては、耐熱性(ガラス転移点Tg)が高く、可視域の波長域で透明性が高く、また吸水率が低い、PETを選択した。
【0024】
次に、最表層を光学膜厚n×d(nは屈折率、dは機械膜厚)で1/4λ λ:540nmの条件で成膜した。この際の遮蔽マスクの可変部である可変マスクの位置は、成膜基板全面に蒸着粒子が成膜される位置で固定し、一定膜厚に成膜した。この最表層の膜の屈折率nは可視域の波長域で1.5以下のものを選んだ。具体的にはMgF2を使用した。
【0025】
以上の様に、第1層から最表層まで成膜した後、110℃の温度で1時間、空気中で熱処理を行った。110℃を選んだのは、100℃未満では環境安定性の効果が不十分であり、130℃を超えると基材の熱的劣化を生じて膜にクラックが発生する等問題が発生する。したがって、熱処理の温度は、110℃から130℃の間が適当である。
【0026】
環境安定性を調べるため、前記プラスチックNDフィルタを60℃85%240時間の放置試験を行い、試験前後での透過率を測定すると、その差が0.2%以下とほとんど差は見られなかった。参考として、熱処理を行わないものを同様な環境試験を行い、試験前後での透過率を測定すると2%前後増加していた。
このような現象が起きる要因としては、真空蒸着時の基板温度が低いことがあげられる。
膜の封止密度は成膜時の基板温度が大きく影響し、温度が低いと封止密度が低くなり、水分・酸素等を透過しやすく、そのため吸収膜であるTixOy自体の酸化が促進されること、及びそれを保護するAl2O3膜等の誘電体膜の保護効果が少ないことの両方の影響から透過率が上昇するものと考えられる。熱処理を行うと環境安定性が向上するのは、“エージング効果”であると考えられる。
【0027】
通常、ガラス基板を用いる場合、基板温度は200℃〜250℃、望ましくは300℃前後まで加熱して成膜する。
しかし、今回のように基板がプラスチックの場合、基板が熱収縮を起こさない温度で成膜する必要があり、その基板温度は150℃未満に制約される。
膜厚分布は図5(a)に示す様にシミュレーションの結果とほぼ同等な結果が得られた。但し第1層から第8層までの分布である。最表層は一定膜厚である。
【0028】
一例を示すと、図1(a)のようなパターンを作製して、略三角形の形状に切りぬき、その後、この切りぬいたフィルタ1を羽根2に貼ると図2の状態になる。絞り装置は、図20を用いて説明したものと同様のもので、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根を備えている。フィルタ1枚は図1(b)のようになっていて、0が端面部でそこからX1X2X3までが濃度変化領域である。X3からX4は最も濃い均一濃度が形成されている。X4からX5はフィルタを羽根に接着するための接着領域である。
【0029】
本実施例において、距離(X)と膜厚の構成は、図9、図10に示すようになった。
また、距離(X)と透過率、距離(X)と反射率の関係は図11、図12に示すようになった。
さらに分光透過率は図13、分光反射率は図14に示すようになった。
【0030】
[比較例]
材質厚75μmのPET基材上に、真空蒸着法により成膜した点は実施例と同様であるが、実施例とは異なり図8に示す膜構成の第1層から第9層までの全層を、膜厚変化させ成膜した。
また、最表層は光学膜厚n×d(nは、屈折率dは機械膜厚)で1/4λ λ:540nmの条件で成膜した点、最表層の膜の屈折率nとして可視域の波長域で1.5以下のものを選んだ点、具体的にはMgF2を使用した点等も実施例と同様である。
また、実施例と同様にマスク形状として図4(b)のような円形のものを用い、図4(a)に示す様に配置し、この可変マスクは図4(a)の基板全面に蒸着粒子が到達できる位置から固定マスクの位置まで、等速で移動させて膜厚分布を変化させて成膜した。
また、実施例と同様の理由により、膜生成法として真空蒸着法を選択し、基材の材質としてPETを選択した。
【0031】
以上のように第1層から最表層まで成膜した後、110℃の温度で1時間空気中で熱処理を行った。110℃を選んだ理由は実施例と同様である。
また、環境安定性を調べるため、上記実施例と同様に、前記プラスチックNDフィルタを60℃85%240時間の放置試験を行ったところ、上記実施例と同様の結果が得られた。
また、膜厚分布は図5(a)に示す様にシミュレーションの結果とほぼ同等な結果が得られた。
【0032】
本比較例において、距離(X)と膜厚の構成は、図15に示すようになった。また、この時の距離と透過率、距離と反射率の関係は図16、図17に示すようになった。
また、分光透過率、分光反射率はそれぞれ図18、図19に示すようになった。本比較例のように、全層を膜厚変化させると、反射防止条件が合わなくなり、反射率の上昇が起き、画質上“ゴースト現象”“フレア現象”が発生することとなる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、光量の均一性が向上し、各濃度においては分光特性がフラットなグラデーション濃度分布を有するNDフィルタの製造方法及びこのNDフィルタを有し、高画質化に対応することが可能な光量絞り装置及びカメラを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるフィルタ製造の際のプレス抜き状態を説明する図であり、(a)は略三角形状の切りぬきパターンを示す図、(b)は切りぬかれた略三角形状のNDフィルタの構成を示す図。
【図2】本発明で得られたグラデーションNDフィルタを絞り羽根に取り付けた状態を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態における真空蒸着法によるNDフィルタの製造方法を説明するための図であり、(a)は真空蒸着機におけるチャンバー内の構成図、(b)は基板の拡大図。
【図4】本発明の実施の形態における遮蔽マスクによるNDフィルタの製造方法を説明するための図であり、(a)は遮蔽マスクを設けた真空蒸着機におけるチャンバー内の構成図、(b)は遮蔽マスクの構成を示す図。
【図5】本発明の実施の形態の遮蔽マスクによるシミュレーション例を示す図であり、(a)は実際に図4(b)に示す形状のマスクを用いて膜厚分布シミュレーションを実施した結果であり、(b)は図5(a)のパラメータである基板上の位置Δxの説明図、(c)は蒸着傘中の位置の断面図をそれぞれ示す図。
【図6】本発明の別の実施の形態における遮蔽マスクによるNDフィルタの製造方法を説明するための図であり、(a)は遮蔽マスクを設けた真空蒸着機におけるチャンバー内の構成図、(b)は遮蔽マスクの構成を示す図。
【図7】(a)は理想型グラデーションの透過特性を示す図、(b)は濃度分布を示す図。
【図8】本発明の実施の形態及び実施例等を説明するための蒸着NDフィルタの膜構成を示す図。
【図9】実施例による距離と膜厚の関係を表わしたグラフ(第1層から最表層手前まで)。
【図10】実施例による距離と膜厚の関係を表わしたグラフ(第9層)。
【図11】実施例による距離と透過率の関係を表わしたグラフ。
【図12】実施例による距離と反射率の関係を表わしたグラフ。
【図13】実施例による分光透過率を表わしたグラフ。
【図14】実施例による分光反射率を表わしたグラフ。
【図15】比較例による距離と膜厚の関係を表わしたグラフ(第1層から最終層〈第9層〉まで)。
【図16】比較例による距離と透過率の関係を表わしたグラフ。
【図17】比較例による距離と反射率の関係を表わしたグラフ。
【図18】比較例による分光透過率を表わしたグラフ。
【図19】比較例による分光反射率を表わしたグラフ。
【図20】従来技術を説明するためのビデオカメラに使用される撮影光学系を表わした図。
【符号の説明】
1:NDフィルター
2:絞り羽根
3:基板
4:基材
5:基板治具
6A、6B、6C、6D:撮影光学系6を構成するレンズ
7:固体撮像素子
8:ローパスフィルタ
11:NDフィルタ
12、13:絞り羽根
14:絞り羽根支持板
15:蒸着傘
16:蒸発源
17:固定マスク
18:可変マスク
19:遮蔽マスク
20:蒸着傘中の基板位置
Claims (10)
- 基板上に少なくとも2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するに際し、蒸発源と成膜基板との間に設けられた可変マスクを用いて最表層以外の膜をグラデーション濃度分布を形成して成膜する工程と、最表層の膜を前記マスクを用いて一定膜厚に成膜する工程と、を有することを特徴とするNDフィルタの製造方法。
- 前記グラデーション濃度分布を形成して成膜する工程が、前記マスクを前記蒸発源と前記成膜基板間で移動させることによって行われることを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記マスクの移動する速度及び方向を制御することにより、任意のグラデーション濃度分布を形成することを特徴とする請求項2に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記最表層は、前記マスクを基板全面に膜が成膜される位置に固定して成膜されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記グラデーション濃度分布を形成して成膜する工程が、前記マスクに開口部を設け、該マスクの開口部の面積を変化させることにより行われることを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記マスクの開口部の面積を制御することにより、任意のグラデーション濃度分布を形成することを特徴とする請求項5に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記最表層は、前記マスクの開口部の面積を基板全面に膜が成膜される面積に固定して成膜されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記最表層以外の膜に引き続いて前記最表層の膜を成膜した後に、成膜された前記基板を100℃から130℃の温度で空気中で熱処理する工程を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
- 相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、
前記NDフィルタが、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたNDフィルタによって構成されていることを特徴とする光量絞り装置。 - 光学系と、該光学系を通過する光量を制限する請求項9に記載の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴とするカメラ。
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