JP2004351190A - マスク及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】呼吸が楽に行え、かつ容易に低コストで製造できるマスク及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】布地で構成され、少なくとも口と鼻を覆うマスク本体1と、一対の耳掛け部2、2とを備える。マスク本体1は、その中央部分でかつ上下方向、左右方向及び斜め方向のうちの少なくともいずれか1つの方向に、布地を補強し、着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に布地を前方へ湾曲させ保持する剛性部を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】布地で構成され、少なくとも口と鼻を覆うマスク本体1と、一対の耳掛け部2、2とを備える。マスク本体1は、その中央部分でかつ上下方向、左右方向及び斜め方向のうちの少なくともいずれか1つの方向に、布地を補強し、着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に布地を前方へ湾曲させ保持する剛性部を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鼻と口を覆うマスクに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
この種のマスクとしては、例えば衛生マスク、防塵マスク、手術用マスクなどが知られているが、具体的には、花粉の吸引や、病原菌などの吸引又は放出を防止する目的で装着する従来の衛生マスクとしては、平面状のガーゼからなるマスク本体に耳掛け紐が付いたものが一般的である。しかし、このマスクでは、着用すると呼吸しずらいという問題があった。
【0003】
そのため、最近では、マスク本体の内部にカップを入れたマスク(例えば、特許文献1参照)や、布地をひだ状に折って縫製した蛇腹状のマスク本体を使用時に外側へ膨らませるマスク(例えば、特許文献2参照)等、装着状態において鼻の下に空間を形成して呼吸が楽にできるマスクが使用されるようになってきている。しかしながら、前者では、部材点数及び製造工程数が増加してコストアップとなり、また、装着した状態で話をしたりガムや食べ物を噛んだりして顎を上下に動かすと、マスクが目の方へずれ上がり易く、ずれ上がったマスクをその都度手で下へ引っ張って元の位置に戻さなければならず面倒であるという不具合もあった。後者では、製造に手間を要しかつデザインもよくなかった。また、これら従来のマスクでは、装着した際に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスクとの間に隙間が形成され、この隙間からマスク内側に花粉や微粒子や病原菌等が侵入し易く、特に俯いたときに隙間が大きくなるので、花粉などの鼻や口への浸入をマスクによって十分に遮断しているとは言えなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−276424号公報
【特許文献2】
特開2001−314520号公報
【0005】
そこで、本発明の主要な目的の一つは、呼吸が楽に行え、かつ容易に低コストで製造できるマスク及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明のもう一つの主要な目的の一つは、装着時に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスクとの間に隙間が形成されないマスクを提供することにある。
また、本発明のもう一つの主要な目的の一つは、装着時に顎を上下に動かしてもずれ上がり難いマスクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明に係るマスクは、布地で構成され、少なくとも口と鼻を覆うマスク本体と、一対の耳掛け部とを備え、マスク本体は、その中央部分でかつ上下方向、左右方向及び斜め方向のうちの少なくともいずれか1つの方向に、布地を補強し、着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に布地を前方へ湾曲させ保持する剛性部を備えたものである。
【0007】
つまり、本発明のマスクは、剛性部がマスク本体の中央部分で前方に突出し、それによって剛性部の内側に凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。
【0008】
本発明において、マスク本体の布地は、外面布地部と内面部布地部とからなる二重構造に形成されてなるものであれば、剛性部の膨らみ形状がより一層補強されると共に、外部からの花粉や病原菌の侵入及び外部への病原菌の放出をより一層防止することができる。
【0009】
本発明において、剛性部は、その頂部が上下方向の中間位置よりも上位に形成されていれば、マスク着用状態を横から見て、縫い合わせ部の上部は鼻筋に沿って傾斜し、頂部が鼻頭の位置に一致し、頂部から下方にかけてはあごの方へ傾斜したマスク形状となるため、横顔のラインにマッチするデザイン性に優れたマスクとなって好ましい。なお、後述するが、剛性部は、布地の縫い合わせ部又は接着部にて構成されていてもよく、あるいはマスク本体内に保持されたワイヤ、ゴム、軟質合成樹脂、形状記憶樹脂又はこれらのうちの少なくとも2つを選択してなる複合材料で構成された芯材であってもよい。
【0010】
本発明において、マスク本体の内側にフィルタ挟持部が設けられれば、例えば微小な花粉や病原菌あるいは微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等を吸着除去し得るフィルタをフィルタ挟持部に収納、交換することができて好ましい。
また、フィルタ挟持部は、少なくともその唇に接する部分が水分をマスクの内側から外側へ移動させる材質にて構成されてなることが、マスク内側の蒸れを軽減できる上で好ましく、さらに、少なくともその唇に接する部分に抗菌性が付与されていることが、衛生上好ましい。
【0011】
本発明において、剛性部は、布地の縫い合わせ部又は接着部にて構成されていてもよい。この場合、マスク本体を以下の(1)(2)のような具体的構成にしてもよい。
【0012】
(1)マスク本体が、左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とからなり、剛性部が、前記左布地部と右布地部とを相互に縫い合わせ又は接着し、その上下方向の縫い合わせライン又は接着ラインを、左布地部と右布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部又は接着部からなるものとしてもよい。
このマスクの場合、左布地部と右布地部を開くと、マスク本体の左右中心位置に形成された上下方向の縫い合わせ部又は接着部が前方に膨らみ、かつ内側に上下方向の凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。また、左布地部と右布地部とを単に縫い合わせただけ又は接着しただけで立体的に外側へ膨らむマスク本体が形成されるため、部材点数が増加することがなく、かつ縫製又は接着にもそれほど手間がかからず、低コストにて容易にマスクを製造することができる。また、左布地部と右布地部の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫い合わせ部又は接着した接着部が、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の骨となってその形状を補強し、それによって左布地部及び右布地部が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。さらに、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の形成にはカップ材のようなものが使用されず、全体が布地から構成されるので、そのまま手軽に丸洗いすることができると共に、収納時は縫い合わせ部又は接着部で半分の大きさにきれいに折り畳むことができる。
【0013】
また、上記構成(1)の場合、左布地部及び右布地部のそれぞれが、2又はそれ以上の分割布地部分からなり、それらが縫い合わされ又は接着されて分割布地部分毎に湾曲度が異なるように構成されてなるようにしてもよい。このようにすれば、マスク本体を立体的に外側へ膨らむ形状に形成することが容易であり、かつ鼻及び口の周囲により広い呼吸用空間を形成することができる。
【0014】
(2)マスク本体が、上下複数枚に分割された分割布地部からなり、剛性部が、上側の前記分割布地部と下側の前記分割布地部とを相互に縫い合わせ又は接着し、その左右方向の縫い合わせライン又は接着ラインを、上下の分割布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部又は接着部からなる構成であってもよい。
このマスクの場合、上下の分割布地部を開くと、マスク本体に形成された左右方向の縫い合わせ部又は接着部が前方に膨らみ、かつ内側に凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。また、上下の分割布地部を単に縫い合わせただけ又は接着しただけで立体的に外側へ膨らむマスク本体が形成されるため、部材点数が増加することがなく、かつ縫製又は接着にもそれほど手間がかからず、低コストにて容易にマスクを製造することができる。また、上下の分割布地部の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫い合わせ部又は接着した接着部が、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の骨となってその形状を補強し、それによって上下の分割布地部が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。さらに、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の形成にはカップ材のようなものが使用されず、全体が布地から構成されるので、そのまま手軽に丸洗いすることができると共に、収納時は縫い合わせ部又は接着部できれいに折り畳むことができる。
なお、この構成(2)の場合、上下の分割布地部の間に中間の分割布地部を設けた構成でもよい。
【0015】
また、本発明のマスクは、剛性部が、マスク本体内に保持されたワイヤ、ゴム、軟質合成樹脂、形状記憶樹脂又はこれらのうちの少なくとも2つを選択してなる複合材料で構成された芯材であってもよい。複合材料からなる芯材としては、例えばワイヤ線をゴム又は軟質合成樹脂にて被覆したものが挙げられる。この芯材は、マスク本体の左右方向の中央位置に、かつ上下方向の中間位置よりも上位に頂部が配置されるように略への字形に折り曲がった形状に形成され、マスク本体内に挿入される。この場合、マスク本体には、その左右方向の中央位置に、例えば上端に開口部を有する上下方向の芯材挿入用筒袋部を予め形成するか、あるいは左右端の一方に開口部を有し、鼻頭がくる位置を通る左右方向の芯材挿入用筒袋部を予め形成する。
このように剛性部を芯材にて構成することにより、マスク本体内に芯材を挿入するだけで布地を前方へ容易に湾曲させ保持することができ、それによって呼吸用空間を形成できると共に、マスク本体を一枚の布地にて簡素化して製作することができる。なお、ワイヤとして形状記憶合金を用いれば、マスク本体の膨らみ形状を長期間保持できて好ましい。
【0016】
さらに、本発明のマスクにおいて、マスク本体の剛性部が縫い合わせ部又は接着部、あるいは芯材からなり、かつ剛性部が上下方向に形成される場合には、マスク本体の左右両端部にギャザが設けられてもよい。このようにすれば、ギャザの伸縮によって使用者の顔の形状、大きさに対応しながら両耳側の頬にマスク本体の左右両端部を隙間無くフィットさせることができ、マスク本体の左右両端部から内側への塵、埃及び微粒子等の侵入を確実に防止することができる。
【0017】
また、本発明のマスクは、マスク本体の裏面側の上縁近傍でかつ左右1対で設けられ、装着時に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体の少なくとも上縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する上部閉塞部材をさらに備えてなるものであってもよい。
つまり、両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスクとの間を上部閉塞部材にて閉塞することにより、マスク上縁側からの花粉や微粒子や病原菌等の侵入を防止し、より衛生的に呼吸することができるようにしている。
この上部閉塞部材としては、弾性や可塑性や可撓性を有するシート状もしくは塊(パッド)状の部材を用いることができるが、具体的に次の(3)、(4)の構成を挙げることができる。
【0018】
(3)上部閉塞部材が、マスク本体の裏面側の上縁近傍に、内側に折り返し可能に取り付けられる弾性フラップからなる。この弾性フラップは、例えば1〜5mmのスポンジ、布地、これらの複合体等を構成材料に用いることができ、その左右中央寄りの内端側が、該フラップを内側に折り返したときに鼻梁又はその近傍に沿うような形状に形成される。例えば、略台形状、略矩形状、略三角形状、略楕円形状等の所望の形状に形成した2枚の弾性フラップを、その下端側をマスク本体の裏面側の上縁近傍にそれぞれ縫い付け、上端側を内側へ折り返してマスクを装着する。また、弾性フラップを内側へ折り返し、少なくともその外端部を予めマスクの内面に縫い付けたり接着等により固定してもよい。
(4)上部閉塞部材が、マスク本体の裏面側の上縁近傍で、かつ左右中央寄りに付設されるパッド材からなる。このパッド材としては、弾性パッド、あるいは外力に応じて変形可能な可塑性パッドが好ましく、さらにはマスク本体に一体的に取り付けられたもの、あるいはマスク本体に対して別体で着脱可能なものであってもよい。一体的に取り付けられたものとしては、例えば、マスク本体の所定部位にパッドを構成するポケット部を左右1対設け、そのポケット部の中にスポンジ体、軟質ゴム体、軟質プラスチック体等の弾性体を入れて縫い込んで弾性パッドを形成したり、流動性を維持する粉体やゲル状物又は液体を充填封入した袋体を入れ込んで縫い込んで可塑性パッドを形成したり、あるいは先に布袋に上記弾性体又は袋体を入れて縫い込んでパッド材を形成し、後でパッド材をマスク本体に縫い付ける構成が挙げられる。着脱可能なものとしては、例えば、上述のように布袋に弾性体又は袋体を入れて縫い込んで形成したパッド材とマスク本体に、面状ファスナーのフック部とループ部を縫い付けておき、フック部とループ部の掛合により上部パッド材がマスク本体に取り付けられ、フック部とループ部の離脱により上部パッド材がマスク本体から取り外される。なお、弾性フラップ又は弾性パッドに用いられる各種弾性体の弾性力は、長時間マスクをつけていてもその押圧が苦にならない程度のもので、かつ十分な閉塞性を確保できる程度のものが好ましい。また、可塑性パッドを構成する粉体としては砂、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム等の無機粉体や粒状体等を用いることができ、ゲル状物としてはカルボキシビニルポリマー(カーボポール)、ポリアクリル酸又はその塩類等を用いることができ、液体としてはシリコーンオイル等を用いることができ、いずれも人体に無害な物質が望ましい。
【0019】
また、本発明のマスクは、マスク本体の裏面側の下縁近傍に設けられ、装着時に少なくとも下唇の下部とマスク本体下縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する下部閉塞部材をさらに備えてなるものであってもよい。
つまり、マスク装着時に下唇の下部とマスク本体下縁部との間に形成され得る隙間を下部閉塞部材にて閉塞することにより、話をしたり食べ物を噛んだりして下顎を上下に動かしても下部閉塞部材が滑り止めとなってマスク本体がずれ上がることがなく、従来のようなマスクのずれ上がりを手で直すような煩わしさがなくなる。
【0020】
この下部閉塞部材としては、マスク本体の裏面側の下縁近傍に付設される下パッド材とすることができる。この下部パッド材は、下弾性パッド、あるいは外力に応じて変形可能な下可塑性パッドが好ましく、さらに上述のようにマスク本体に一体的に取り付けられたもの、あるいはマスク本体に対して別体で着脱可能なものであってもよい。なお、下弾性パッドは、上述の上部閉塞部材と同様にスポンジ体、軟質ゴム体、軟質プラスチック体等の弾性体を布袋に入れて縫い込んだ構成とすることができ、一方下可塑性パッドは、上述の上部閉塞部材と同様に流動性を維持する粉体やゲル状物又は液体を充填封入した袋体を布袋に入れ込んで縫い込んだ構成とすることができる。
【0021】
本発明において、耳掛け部としては、伸縮性を有するゴム紐、あるいは紐長さ調節部材を備える耳掛け紐を用いることができる。なお、紐長さ調節部材の具体構成については、後述の実施の形態にて説明する。
また、耳掛け部が耳掛け紐からなる場合には、この耳掛け紐は、その幅の略中央部で折曲げられてマスク本体の上縁部及び下縁部を挟み込んだ状態で、縫い込みまたは接着により取り付けられるようにしてもよい。つまり、耳掛け紐をマスク本体の左右両端部内側に取り付けたマスクを装着した場合では、その耳掛け紐の取付部分の跡が頬に付き易いため、このような跡を付き難くしている。
【0022】
また、本発明のマスクは、マスク本体、耳掛け部又は紐長さ調節部材の少なくともいずれかにアクセサリが設けられているのもよい。特に、耳掛け紐の長さを調節するための紐長さ調節部材を有する場合には、この紐長さ調節部材を隠す、あるいは目立たなくする目的と、マスクをデザイン的、ファッション的に改善する目的で、アクセサリが設けられる。なお、アクセサリとしては、例えば布地やプラスチック、金属等にて蝶、リボン、ハート、星、花等の各種形状に形成されたものを挙げることができ、その取り付けは縫込みや接着等により行うことができる。
【0023】
また、本発明のマスクは、マスク本体の外側又は内側の何れかに、マスク本体の外面又は内面を実質的に覆う大きさで、かつ直径が0.3μm以上の大きさの空気中の微粒子を95%以上カットできるろ過能力を有するフィルタ部材がさらに設けられてなるものであってもよい。ここで、「直径が0.3μm以上の大きさの空気中の微粒子を95%以上カットできるろ過能力」とは、CDC(米国疾病対策センター)の「医療施設における結核感染防止のガイドライン(1994年)」に適合(N95に適合)したろ過能力を意味している。
このようなフィルタ部材を備えることによって、塵、埃、花粉等よりも小さな微生物、菌等(例えば結核菌、肺炎ウイルス)をフィルタ部材にて除去することができ、このような菌の空気感染の予防、拡大に有効である。
【0024】
このようなフィルタ部材は、マスク本体に着脱可能に取り付けられているのが、容易に交換できる上で好ましく、マスク本体の内側に着脱可能に取り付ける場合は、上述したフィルタ挟持部にフィルタ部材を収納すればよい。また、フィルタ部材をマスク本体の外側に着脱可能に取り付ける場合には、マスク本体の外側に着脱可能に取り付けられる通気性のマスクカバーをさらに備えることにより、フィルタ部材をマスクカバーとマスク本体との間に収納することができる。なお、マスクカバーのマスク本体への着脱手段としては、ホックや面状ファスナーなどの従来公知の方法を用いることができる。
【0025】
また、本発明は、別の観点によれば、左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とを有するマスク本体と、一対の耳掛け紐とを備えたマスクを製造するマスクの製造方法であって、
マスク本体を、左布地片と右布地片とを重ね合せ、左布地片と右布地片とを相互に縫い合わせて又は接着して形成し、かつこの縫い合わせ又は接着に際して、縫い合わせるライン又は接着するラインを、左布地部と右布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に湾曲させるマスクの製造方法を提供することができる。
【0026】
また、本発明は、さらに別の観点によれば、上下複数枚に分割された分割布地部を有するマスク本体と、一対の耳掛け紐とを備えたマスクを製造するマスクの製造方法であって、
マスク本体を、上側の分割布地片と下側の分割布地片とを重ね合せ、上下の分割布地片を相互に縫い合わせて又は接着して形成し、かつこの縫い合わせ又は接着に際して、縫い合わせるライン又は接着するラインを、上下の分割布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に湾曲させるマスクの製造方法を提供することができる。なお、この場合、上下とは、上下2枚の分割布地部以外にも、その中間に配置される分割布地部をも含むことを意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳説する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【0028】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るマスクの正面図であり、図2は同実施の形態1のマスクの平面図であり、図3は同実施の形態1のマスクの背面図であり、図4は図1のA−A断面図であり、図5は同実施の形態1のマスクの使用状態を示す説明図である。
【0029】
実施の形態1のマスクMは、正面から見て左半面を構成する呼吸に適した通気性を有する左布地部11と右半面を構成する呼吸に適した通気性を有する右布地部12とを具備するマスク本体1と、一対の耳掛け部2、2と、左布地部11の左端部側及び右布地部12の右端部側に設けられた左右のネット部3、3と、マスク本体1の内面側に設けられたフィルタ挟持部17とを備えている。
【0030】
マスク本体1は、左布地部11と、この左布地部11と左右対称形の右布地部12とが相互に縫い合わされた剛性部としての縫い合わせ部13を有している。この縫い合わせ部13は、左布地部11と右布地部12を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間16を形成可能なように前方へ湾曲している。つまり、マスク本体1は、横から見ると上下方向の中間位置よりも少し上位に、かつ縫い合わせライン上に頂部14が配置された前方突出山形状(図4、図5参照)に膨らんでいる。
【0031】
このように前方(外側)へ膨らむ縫い合わせ部13をマスク本体1の左右中間位置に形成したことにより、マスク本体1の内面側にはこれとは逆の凹み15が形成され、この凹み15にマスク本体1を装着した使用者の鼻が収まるようになっている(図5参照)。したがって、この凹み15によって、使用者の鼻の下に上記呼吸用空間16が形成され、この空間16によって使用者は鼻及び/又は口による呼吸を楽に行うことができる。なお、上記空間16によって発声もし易くなる。また、平面状の一般的なマスクを着用した場合では、鼻筋の左右側にマスク辺縁との隙間が形成され、この隙間から外気中の花粉や病原菌がマスク内側に侵入して体内に吸入するおそれがあったが、これに対し本発明のマスクMでは上記凹み15が鼻筋の左右の傾斜に沿うので隙間が形成されず、上述のようなおそれがない。また、左布地部11と右布地部12の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫い合わせ部13が、その剛性により膨らみ形状の骨となってその膨らみ形状を補強し、それによって左布地部11及び右布地部12が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。
【0032】
また、左布地部11及び右布地部12は、それぞれ外面布地部11a、12aと内面布地部11b、12bとから二重構造に形成されている。左布地部11及び右布地部12の素材としては、綿、麻、絹、合成繊維などの各種素材からなる通気性を有する布地を使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、外面布地部11a、12aは綿布にて構成し、内面布地部11b、12bは合成繊維布にて構成するなど内外面の素材を変えてもよく、あるいは同じくしてもよい。また、本発明のマスクMにおいて、外面布地部11a、12aの色は一般的な白以外にも、青、赤、黄、緑等の原色や中間色など各種色彩を選択し、病気のイメージを消し、ファッション性を付加するようにしてもよい。
【0033】
左右一対の耳掛け部2、2は平らなゴム紐からなり、マスク本体1の左右布地部11、12の左右端縁に輪状にそれぞれ縫い付けられている。この耳掛け部2、2は、ゴム紐の伸縮性により使用者の顔のサイズに対応することができると共に、平らであるためマスク着用時の耳への締め付けを緩和し、長時間着用しても耳が痛くならないように配慮している。また、各耳掛け部2の上辺と下辺を繋ぐゴム紐3aがマスク本体1寄りに設けられており、この各ゴム紐3aと各耳掛け部2とマスク本体1とで囲まれたスペースに上記ネット部3が張設されている。このネット部3、3によって、マスク着用時において、使用者の頬へのマスクMのフィット感を向上させるとともに、デザイン性を付加している。
【0034】
ポケット状のフィルタ挟持部17は、例えば通気性のよい網生地からなるポケット布地部4の左右端縁と下端縁を、マスク本体1の内面周縁に縫い付けることにより上方開口状に形成されている。このフィルタ挟持部17は、少なくともその唇に接する部分には、水分をマスクの内側から外側へ移動させる材質にて構成されている。具体的には、例えば、東レ(株)の商品名:フィールドセンサーが用いられる。このようなフィルタ挟持部17によれば、マスク内側の蒸れを軽減することができる。さらに、このフィルタ挟持部17の少なくとも唇に接する部分には、抗菌性が付与されている。この場合、例えば、フィルタ挟持部の意図する部分に銀メッキを施して抗菌性を付与したり、また、銀メッキコーティングした繊維やポピドンヨードを含浸させた繊維等でフィルタ挟持部を構成してこれ全体に抗菌性を付与したりできる。
【0035】
このフィルタ挟持部17には、例えば微小な花粉、病原菌(例えば結核菌、肺炎ウイルス)、微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等を吸着除去し得るフィルタ18、好ましくは上記N95に適合するフィルタが収納される。
なお、微小な花粉や微粒子等を濾過し得る優れたフィルタとしては、例えば特許第3281480号を挙げることができる。より詳しくは、フィルタを通過する空気流の方向での断面が最大30ミクロンを有するマイクロフィラメントのストランド織物の単一層からなり、それらのストランドは最大20ミクロンの間隔を置いて配置され、かつ平滑な外面を有するフィルタである。マイクロフィラメントのストランドの素材としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、カーボン、ファイバーグラス、セラミック、金属ストランドが挙げられる。このフィルタでは、一般的に20ミクロンよりも大きいアレルギー性の花粉を除去することができる。このような素材は市販で入手し得る。その他、濾過材の1枚の単層シート中に、濾過される微粒子の最小径よりも小さい最大径を有する複数の穴を、レーザカット、X線リソグラフィー、化学エッチング又は微孔シートの延伸によって形成するフィルタがある。レーザカット、X線リソグラフィー又は化学エッチングによる穴開けには濾過材として不織布の使用が可能であり、微孔シートの延伸による穴開けには濾過材として微孔プラスチックシートの使用が可能である。このフィルタは、タバコの煙の微粒子や車の排気ガスの微粒子等を濾過する場合に用いられ、孔径はそれらの微粒子よりも小さい0.01ミクロン程度とされる。
【0036】
また、上記とは別に、不織布に放射線グラフト重合法を利用して作製したフィルタを本発明のマスクに好適に用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の繊維からなる不織布に、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等の放射線を照射してラジカルを発生させ、これにグラフトモノマーを反応させることにより所望のグラフト重合体側鎖を導入して所望の機能を具備したフィルタを製造することができる。
具体例としては、グラフトモノマーにビニルピロリドンを選択することにより、ポリビニルピロリドンを導入した不織布が得られ、これをさらにヨウ素溶液に浸漬することによってポピドンヨードが添着された不織布となり、抗菌フィルタとして好適に用いることができる。
また、グラフトモノマーにビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(VBTAC)を選択しさらに適当なモノマーを存在させることにより、VBTACが導入された不織布が得られ、これは花粉フィルタとして好適に用いることができる。
【0037】
次に、このように構成されたマスクMのマスク本体1の製造方法について説明する。
マスク本体1は、上述したように二重構造であるため、その外側と内側は個別に形成される。つまり、左布地部11及び右布地部12の外面布地部11a、12aを相互に縫い合わせて外側部材を形成し、かつ左布地部11及び右布地部12の内面布地部11b、12bを相互に縫い合わせて内側部材を形成する。そして、外側部材と内側部材とを重ね合わせてその周縁を縫い合わせて、マスク本体1を形成する。
【0038】
ところで、外側部材及び内側部材は、例えば下記の(a)(b)のようにしてそれぞれ形成することができる。
(a)左布地部11を構成する左布地片と右布地部12を構成する右布地片を、左右対称で、かつ隣接するそれぞれの辺縁が面外方へ凸形に湾曲した所定の形状、この場合略への字形に予め形成する。そして、形成した左布地片と右布地片を重ね合わせ、略への字形の辺縁に沿って縫い合わせる。このようにすれば、略への字形に湾曲した辺縁に沿って縫い合わせるだけで、左布地片と右布地片とを目的とするライン形状に容易に縫い合わせることができる。
(b)上記(a)において、左布地片と右布地片とが隣接するそれぞれの辺縁をストレート形にしておく。そして、形成した左布地片と右布地片を重ね合わせ、重ね合わた辺縁を、例えば型紙を用いて面外方へ凸形に、この場合略への字形に湾曲して縫い合わせ、その後、縫い合わせた辺縁の余剰部分を縫い合わせラインに沿って鋏などでカットする。このようにすれば、上記(a)のように予め辺縁を略への字形に面外方へ湾曲した形状に形成する必要がなく、左布地片及び右布地片の製作が容易となる。
なお、上記(a)(b)において、外側部材及び内側部材の各縫い合わせ部の縫い代は、外部から見えないように二重構造の内部に配置処理される。
【0039】
上記(a)(b)の方法により形成した外側部材及び内側部材は、その左布地部11と右布地部12を開くことにより、横から見て縫い合わせラインが略への字形に立体的に湾曲したものとなる。そして、このように縫い合わせラインが膨らんだ外側部材と内側部材を上述の如く重ね合わせてその周縁を縫い合わせることにより、マスク本体1が形成される。
なお、実施の形態1では、左布地部と右布地部とを縫い合わせる手法を用いたが、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。
【0040】
[実施の形態2]
図6は実施の形態2に係るマスクの正面図であり、このマスクM2は、左半面を構成する左布地部21と右半面を構成する右布地部22とを具備する前方突出山形状に膨らんだマスク本体20と、マスク本体20に両端が縫い付けられた一対の耳掛け部25、25と、マスク本体20の内面側に設けられたポケット布地部24とを備え、実施の形態1と異なる点は、実施の形態1におけるネット部3、3及びゴム紐3a、3a(図1、図3等参照)を省略したことのみである。
【0041】
[実施の形態3]
図7は実施の形態3に係るマスクの背面図であり、図8は図7のB−B線断面図であり、図9は同実施の形態3のマスクの平面図であり、図10は同実施の形態3のマスクの使用状態を示す説明図である。
【0042】
この実施の形態3のマスクM3は、左半面を構成する左布地部21と右半面を構成する右布地部22とを具備する前方突出山形状に膨らんだマスク本体20と、マスク本体20に縫い付けられた一対の耳掛け部25、25と、マスク本体20の内面側に設けられたポケット布地部24とを備え、ここまでの構成は実施の形態2と同様であり、同一の要素には同一の符号を付している。さらに、実施の形態3のマスクM3は、マスク本体20の裏面側の上縁近傍で、かつ左右中央寄りに略左右対称に設けられ、装着時に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分にフィットして、この部分とマスク本体20の上縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する左右一対の上部閉塞部材としてのパッド材26、27が設けられている。
【0043】
各パッド材26、27は、具体的にはそれぞれ外力に応じて変形可能な可塑性パッドからなり、この可塑性パッドは、流動性を維持する粉体、ゲル状物又は液体を充填封入した袋体を布袋に入れて縫い込まれて形成されている。この場合、各パッド材26、27は、マスク本体M3の裏面にぶらつかない程度に縫い付けられ、下端がポケット布地部24にて覆われている。
このパッド材26、27を備えるマスクM3を装着することにより、両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体20との間の隙間が閉塞されるので外気中の花粉、病原菌、微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等が侵入できず、使用者はより衛生的に呼吸することができる。なお、上記パッド材26、27は縫い付ける以外に、マスク本体に接着されるものであってもよい。また、この縫い付けや接着は、各パッド材26、27の上部のみにして、各パッド材26、27のフリーな下部にポケット布地部24の上縁部を挿入する構成であってもよい。なお、各パッド材26、27は、例えば図9に示すように、略三角形の平面図を与えるような形状に形成されるものであっても良い。この場合、各パッド材はそれぞれ別体に構成されていてもよく、またこれらが一体に構成されていて、縫い付け等の取り付けにより2分割されるようなものであってもよい。
【0044】
[実施の形態4]
図11は本発明の実施の形態4に係るマスクを示す背面図であり、この実施の形態4のマスクM4は、上記実施の形態3における左右一対のパッド材26、27を左右一対の弾性フラップ31、32に替えたものであり、その他の構成は実施の形態3と同様であり、同一の要素には同一の符号を付している。
【0045】
各弾性フラップ31、32は、略台形状のシート状のスポンジ体が布袋に入れられて縫い込まれて形成されてなり、下端側がマスク本体20の裏面側の上縁近傍にそれぞれ縫い付けられており、装着前の状態では弾性によって平面状に延びている。
このマスクM4では、各弾性フラップ31、32を内側へ折り曲げて装着するが、折り曲げることにより弾性フラップ31、32が上下逆の形状(底辺が短い台形)になり、弾性による膨らみと相まって、その左右中央寄りの内端側が鼻梁又はその近傍に沿い、かつ頬から鼻梁にかけて密着する。したがって、両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体20との間の隙間が閉塞され、外気中の花粉、病原菌、微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等のマスクM3の内側への侵入が防止される。
【0046】
[実施の形態5]
図12は本発明の実施の形態5に係るマスクを示す背面図であり、この実施の形態5のマスクM5は、実施の形態4における各弾性フラップ31、32を内側へ折り曲げ、折り曲げて上下逆形状(底辺が短い台形)にした状態で外端部をマスク本体20の裏面に縫い付けて固定したものである。マスクM5の装着前の状態では、各弾性フラップ31、32の折り曲げられた部分の左右中央寄りの内端側は、弾性によって膨らんでいる。マスクM5を装着することにより、上述のごとく弾性フラップ31、32はその左右中央寄りの内端側が鼻梁又はその近傍に沿い、かつ頬から鼻梁にかけて密着し、それによって両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体20との間の隙間が閉塞される。
【0047】
[実施の形態6]
図13は本発明の実施の形態6に係るマスクを示す背面図である。この実施の形態6のマスクM6は、実施の形態3のように、マスク本体20と、左右一対の耳掛け部25、25と、ポケット布地部24aと、左右一対のパッド材26、27を備えるものであるが、ポケット布地部24aはその上端がマスク本体20の上縁近傍に封着され、左右の少なくともいずれか一方側にフィルタの挿入口を有している。また、各パッド材26、27は、マスク本体20の上縁近傍に縫い付けられて、図13に示すように自由状態では内側へ折り返した状態で下部がぶらつくように垂れている。この場合、各パッド材26、27は、スポンジ、ゴム、軟質プラスチック等の弾性体を収納した布袋からなる。
また、この実施の形態6のマスクM6は、上記実施の形態1〜5とは異なり、下部閉塞部材としての下パッド40がマスク本体20の裏面側の下縁近傍に設けられている。
【0048】
このマスクM6の下パッド40は、装着時に少なくとも下唇の下部とマスク本体20の下縁部との間に形成され得る隙間を閉塞するものであり、下唇と下顎との間の窪みラインに沿う棒状に形成されており、マスク本体20の裏面側の下縁近傍に面状ファスナーにより着脱自在に取り付けられている。具体的に下部パッド材40は、外力に応じて変形可能な下可塑性パッドであり、この下可塑性パッドは、流動性を維持する粉体、ゲル状物又は液体を充填封入した袋体を布袋に入れて縫い込んで形成されている。
このマスクM6を装着することにより、上記実施の形態3の効果に加え、話をしたり食べ物を噛んだりして下顎を上下に動かした場合に下パッド40が滑り止めとなり、マスク本体20がずれ上がることが抑制され、従来のようなマスクのずれ上がりを手で直すような煩わしさがなくなる。
【0049】
[実施の形態7]
図14は本発明の実施の形態7に係るマスクを示す背面図である。この実施の形態7のマスクM7は、実施の形態5のように弾性フラップ31、32を有するマスク本体の裏面側の下縁近傍に下パッド材41が設けられたものである。なお、ポケット布地部24aはその上端がマスク本体20の上縁近傍に封着され、左右の少なくともいずれか一方側にフィルタの挿入口を有している。
【0050】
この実施の形態7の場合、下パッド材41は、マスク本体20の下縁に沿って縫い付けられた細長状の布袋と、袋部内に縫い込まれたスポンジとからなり、マスク装着前の状態ではマスク本体20の下縁付近に垂れており、装着時には図14に示すごとく内側(上方)へ折り返され、下唇の下部とマスク本体20との間の隙間を閉塞する。
このマスクM7を装着することにより、上記実施の形態4又は5の効果に加え、話をしたり食べ物を噛んだりして下顎を上下に動かした場合に下パッド40が滑り止めとなり、マスク本体20がずれ上がることが抑制され、従来のようなマスクのずれ上がりを手で直すような煩わしさがなくなる。
【0051】
[実施の形態8]
図15は本発明の実施の形態8に係るマスクを示す正面図であり、図16は図15のマスクの平面図である。
【0052】
この実施の形態8のマスクM8は、マスク本体50が、左半面を構成する左布地部51と右半面を構成する右布地部52とからなる通気性のマスク芯部53と、このマスク芯部53の表面を覆う通気性のカバー54とから構成されている。さらに、マスク芯部53において、左布地部51は2つの分割布地部分51a、51bからなると共に、右布地部52は2つの分割布地部分52a、52bからなり、分割布地部分51a、51bは湾曲度が異なるように縫い合わされると共に、分割布地部分52a、52bは湾曲度が異なるように縫い合わされている。これら左布地部51と右布地部52が相互に縫い合わせられてマスク芯部53が形成されており、その縫い合わせラインが、左布地部51と右布地部52を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた剛性部としての縫い合わせ部からなっている。また、カバー54は、左カバー布地部54aと右カバー布地部54bとを相互に縫い合わせて形成されており、この縫い合わせ部(縫い合わせライン)55は、カバー54をマスク芯部53の立体膨らみ形状と略同じ形状に保持する剛性部となっている。
【0053】
このマスクM8によれば、マスク本体50を立体的に外側へ膨らむ形状に形成することが容易であり、装着の際に鼻及び口の周囲により広い呼吸用空間を形成することができると共に、マスク本体50の裏面の左右端側を両頬にフィットさせる湾曲度が得られ易くなる。なお、このマスクM8に、実施の形態3〜7で説明した上閉塞部材及び/又は下閉塞部材を設けて、マスク上縁側の隙間からの花粉や微粒子等の侵入を防止したり、下顎の動きによるマスクのずり上がりを防止するように構成してもよい。
【0054】
[実施の形態9]
図17は本発明の実施の形態9のマスクを示す正面図であり、図18は図17における2点鎖線の円内の部分の拡大断面図である。
この実施の形態9のマスクM9は、マスク本体60の左右側縁に設けられた耳掛け部が平らな耳掛け紐61、61からなり、さらに各耳掛け紐61、61の長さを調節する紐長さ調節部材62、62と、左の紐長さ調節部材62に付設された蝶形のアクセサリ63とを備えたものである。
【0055】
紐長さ調節部材62は、耳掛け紐61の部分(途中部)であって、マスクM9を装着した状態で耳に触れない位置に設けられ、本実施の形態9の場合、耳掛け紐61の上辺に設けられている。この紐長さ調節部材62は、マスク本体60の耳掛け紐接続部側に配置されたOリング部材64と、Oリング部材64の近傍に配置された日の字形の調節具65とからなる。耳掛け紐61の上辺部分は、Oリング部材64と接続する部分が切断されており、その切断部分のマスク本体60側の端部61aは輪を形成して接続され、もう一方の端部61bは調節具65にへの字状に通され、Oリング部材64に通されて折り返して調節具65の端部65aに輪を形成して接続されている。この紐長さ調節部材62によって、Oリング部材64と調節具65との間に耳掛け紐61の長さを変えることができる輪状部61cが形成される。つまり、調節具65をOリング部材64側へ移動させれば輪状部61cが短くなって耳賭け紐61の全長が長くなり、調節具65をOリング部材64から離れる方向へ移動させれば輪状部61cが長くなって耳賭け紐61の全長が短くなる。
また、アクセサリ63は、左右の紐長さ調節部材62の各Oリング部材64、64の表面、あるいはいずれか一方のOリング部材64の表面に接着されている。
【0056】
このマスクM9によれば、装着する使用者の顔の大きさに対応して左右の耳掛け紐61、61の長さを調整することができるので、耳掛け紐が短くてマスクが装着できない、あるいは耳が痛くなるといったことや、反対に耳掛け紐が長くてマスク本体が顔にフィットせず隙間ができるといったことがなく、快適に装着することができる。また、アクセサリ63は、無機質的な長さ調節部材62を隠すことができると共に、マスクM9のファッション性を付加するワンポイントとなり、マスクの病的なイメージを和らげることができる。なお、このマスクM9のマスク本体60としては、実施の形態1〜7のもの、あるいは実施の形態8のものを適用することができる。また、実施の形態3〜7で説明した上閉塞部材及び/又は下閉塞部材をマスク本体M9に設けるのも好ましい。
【0057】
[実施の形態10]
図19は本発明の実施の形態10のマスクを示す正面図である。このマスクM10は、紐長さ調節部材62の構成は上記実施の形態9と同様であるが取付位置が若干異なっている。
【0058】
つまり、左右の耳掛け紐66、66の各上辺端部を取り付ける部位であるマスク本体60の耳掛け紐接続部(左右側縁の上端)に、各紐長さ調節部材62のOリング部材64の一部が縫い込まれている。それに伴って、アクセサリ67もマスク本体60の耳掛け紐接続部に取り付けられている。この場合、アクセサリ67はリボン形であり、耳掛け紐接続部に縫い付けられている。
【0059】
[実施の形態11]
図20は本発明の実施の形態11のマスクの正面図であり、図21は同実施の形態11のマスクにおける右の耳掛け紐を示す拡大断面図である。このマスクM11は、マスク本体70の左右側縁に設けられた耳掛け紐71、71及び各耳掛け紐71、71の長さを調整する紐長さ調節部材72、72の構成が、上記実施の形態9、10とは異なっている。なお、マスク本体70としては、実施の形態1〜7のもの、あるいは実施の形態8のものが適用される。
【0060】
マスクM11の右側について説明すると、紐長さ調節部材72は、上記実施の形態9、10で説明した調節具65が2個設けられてなり、各調節具65、65は、耳掛け紐71の上辺及び下辺のそれぞれマスク寄りに配置されている。
耳掛け紐71は、一端が上の調節具65にへの字状に通されてマスク本体70の上の耳掛け紐接続部に縫い付けられ、かつ他端が下の調節具65の端部に輪を形成して取り付けられた上紐部71aと、一端が下の調節具65にへの字状に通されてマスク本体70の下の耳掛け紐接続部に縫い付けられ、かつ他端が上の調節具65の端部に輪を形成して取り付けられた下紐部71bとからなる。そして、耳掛け紐71における上紐部71aと下紐部71bが重なる部分は、全長を変えることができる重なり部71cとされている。
なお、マスクM11の左側の耳掛け紐71及び紐長さ調節部材72の構成も、右側と同様である。
【0061】
このマスクM11によれば、上の調節具65及び/又は下の調節具65をマスク本体70から離れる方向に移動させれば重なり部71cが短くなって耳賭け紐71の全長が長くなり、上の調節具65及び/又は下の調節具65をマスク本体70に近づける方向に移動させれば重なり部71cが長くなって耳賭け紐71の全長が短くなる。なお、上紐部71aと下紐部71bのそれぞれの少なくとも接触面側は、摩擦抵抗の大きい(例えば、毛羽立ちの多い)布地にて構成したり、あるいは重なり部71cにおける耳に触れない部位に筒状の絞り部材を設けることにより、装着したマスクM11の耳賭け紐71が不意に伸びないように構成してもよい。また、実施の形態3〜7で説明した上閉塞部材及び/又は下閉塞部材をマスク本体M11に設けるのも好ましく、さらに実施の形態9、10で説明したアクセサリを、マスク本体70又は耳賭け紐71の少なくともいずれか一方に1個以上設けてもよい。
【0062】
[実施の形態12]
図22は本発明の実施の形態12のマスクを示す正面図である。この実施の形態12のマスクM12は、実施の形態2のマスク(図6参照)においてマスク本体80の左右両端部にギャザ81、81がそれぞれ設けられたものであり、その他の構成は同様である。各ギャザ81は、マスク本体80の左右両端部の内部又は内面側に、例えばゴム紐をそれぞれ縫い付けることにより形成することができる。なお、上記ギャザ81は図22に示すよりももっときつく絞ってギャザ長を短くすると、ギャザが緻密になってこのギャザを通じての花粉等の侵入を防止できると共に、マスク全体の湾曲度も増すので装着時の顔面との密着性がさらに良好となる点で好ましい。
【0063】
[実施の形態13]
図23は本発明の実施の形態13のマスクを示す正面図である。この実施の形態13のマスクM13は、マスク本体90が、上下2枚に分割された分割布地部91、92からなる。なお、このマスクM13は、実施の形態1と同様に、マスク本体90が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部91、92のみ示されており、内側にも外側と同様の上下の分割布地部が設けられている。
【0064】
このマスクM13は、その剛性部が、上側の分割布地部91と下側の分割布地部92とを相互に縫い合わせ、その左右方向の縫い合わせラインを、上下の分割布地部91、92を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部93から構成されている。このマスクM13の開いた状態を正面から見ると、縫い合わせ部93が、マスク本体90の外側に膨らむ頂部の直上又はその近傍を直線的に通るように配置されている。つまり、剛性部が、左右方向に形成されている。
【0065】
次に、このように構成されたマスクM13のマスク本体90の製造方法について説明する。
マスク本体90は、上述したように二重構造であるため、その外側と内側は個別に形成される。上下の分割布地部91、92からそれぞれ構成される外側部材及び内側部材は、例えば下記の(c)(d)のようにしてそれぞれ形成することができる。
【0066】
(c)上下の分割布地片を、隣接するそれぞれの辺縁が面外方へ凸形に湾曲した形状に予め形成し、上下の分割布地片を相互に縫い合わせるに際して、重ね合わせた上下の分割布地片の辺縁に沿って縫い合わせる。
【0067】
(d)上下の分割布地片を相互に縫い合わせるに際して、重ね合わた上下の分割左布地片の辺縁を面外方へ凸形に湾曲して縫い合わせ、その後、その縫い合わせた辺縁の余剰部分を縫い合わせラインに沿ってカットする。
【0068】
また、上記(c)(d)において、上下の分割布地部91、92は、それらが縫い合わされて上下の分割布地部91、92毎に湾曲度が異なるように構成してもよく、それによってマスクM13を装着した使用者の顔のラインに沿うようにすることができる。
なお、上記(c)(d)において、外側部材及び内側部材の各縫い合わせ部の縫い代は、外部から見えないように二重構造の内部に配置処理される。
【0069】
上記(c)(d)の方法により形成した外側部材及び内側部材は、その上下の分割左布地部91、92を開くことにより、上又は下から見て縫い合わせラインが略への字形に立体的に湾曲したものとなる。そして、このように縫い合わせラインが膨らんだ外側部材と内側部材を重ね合わせてその周縁を縫い合わせることにより、マスク本体90が形成される。
なお、この実施の形態13では、上下の分割左布地部を縫い合わせる手法を用いたが、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。また、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0070】
[実施の形態14]
図24は本発明の実施の形態14のマスクを示す正面図である。この実施の形態14のマスクM14は、マスク本体100が、上下2枚に分割された分割布地部101、102からなる。なお、このマスクM14も、実施の形態13と同様に、マスク本体100が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部101、102のみ示されており、内側にも外側と同様の上下の分割布地部が設けられている。
【0071】
このマスクM14は、その剛性部が、上側の分割布地部101と下側の分割布地部102とを相互に縫い合わせ、その左右方向の縫い合わせラインを、上下の分割布地部101、102を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部103から構成されている。このマスクM14の開いた状態を正面から見ると、縫い合わせ部103が、マスク本体100の外側に膨らむ頂部の直上又はその近傍から左右両端部の上下略中間位置へ斜めに通るヘの字形に形成されている。つまり、剛性部が、斜め方向に形成されている。
【0072】
このように構成されたマスクM14のマスク本体100の製造方法は、上述の実施の形態13の場合とは分割布地部の形状は異なるものの、同様の上記方法(c)(d)にて形成することができる。
なお、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0073】
[実施の形態15]
図25は本発明の実施の形態15のマスクを示す正面図である。この実施の形態15のマスクM15は、マスク本体110が、上下3枚に分割された分割布地部111、112、113からなる。なお、このマスクM15も、実施の形態13と同様に、マスク本体110が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部111、112、113のみ示されており、内側にも外側と同様の上下の分割布地部が設けられている。
【0074】
このマスクM15は、その剛性部が、上側の分割布地部111と中間の分割布地部112とを相互に縫い合わせ、かつ中間の分割布地部112と下側の分割布地部113とを相互に縫い合わせ、それら左右方向の縫い合わせラインを、上下の分割布地部111、113を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部114、115から構成されている。このマスクM15の開いた状態を正面から見ると、縫い合わせ部114が、マスク本体100の外側に膨らむ頂部の少し上から左右両端部の上側へ斜めに通るヘの字形に形成されており、縫い合わせ部115は、マスク本体110の頂部の下から左右両端部の下側へ斜めに通る逆ヘの字形に形成されている。つまり、2本の剛性部が、斜め方向に形成されている。
【0075】
このように構成されたマスクM15のマスク本体110の製造方法は、上述の実施の形態13の場合とは分割布地部の形状、枚数は異なるものの、同様の上記方法(c)(d)にて形成することができる。
なお、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0076】
[実施の形態16]
図26は本発明の実施の形態16のマスクを示す正面図である。この実施の形態16のマスクM16は、マスク本体120が、左布地部121と右布地部122からなり、左右中間部に上下方向の縫い合わせ部(剛性部)123を有するものであって、左布地部121は2つの分割布地部分121a、121bからなると共に、右布地部122は2つの分割布地部分122a、122bからなる。なお、このマスクM16も、実施の形態13と同様に、マスク本体120が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部101、102のみ示されており、内側にも外側と同様の左布地部121と右布地部122が設けられている。
【0077】
左布地部121は、耳掛け部25側に設けられた略三角形の上記分割布地部分121bと、左右中間側に設けられ、前記分割布地部分121bの頂部にて食い込まれた形状の上記分割布地部分121aとからなり、各分割布地部分121a、121bの縫い合わせ部(剛性部)124がへの字形に斜め方向に形成されている。これと同様に、右布地部122も、耳掛け部25側に設けられた略三角形の上記分割布地部分122bと、左右中間側に設けられ、前記分割布地部分122bの頂部にて食い込まれた形状の上記分割布地部分122aとからなり、各分割布地部分122a、122bの縫い合わ部(剛性部)125がへの字形に斜め方向に形成されている。なお、縫い合わせ部124、125の屈曲部は、マスク本体120の頂部の辺りとなるように配置されている。
このように構成されたマスクM16は、その左布地部121と右布地部122を開くことにより、内側に呼吸用空間を確保する凹部が形成される。
【0078】
このように構成されたマスクM16のマスク本体120の製造方法は、先に、分割布地部分121a、121bを相互に縫い合わせて左布地部121を形成し、かつ分割布地部分122a、122bを相互に縫い合わせて右布地部122を形成すれば、その後は上述の実施の形態1で説明した方法(a)(b)にて形成することができる。
なお、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0079】
[実施の形態17]
図27は本発明の実施の形態17のマスクを示す正面図であり、図28は図27のC−C線断面図である。この実施の形態17のマスクM17は、実施の形態2(図6参照)の変形例であって、耳掛け部25a、25aが耳掛け紐からなり、この耳掛け紐は、その幅の略中央部で折曲げられてマスク本体20の上縁部及び下縁部を挟み込んだ状態で縫い込みにより取り付けられている。この場合、1本の平たい紐の両端をマスク本体20の下縁の左右中間位置で対向するように配置し、下縁を挟み込んだ状態に折り曲げて下縁に沿って縫い込み、かつ紐の長手方向中間位置をマスク本体20の上縁の左右中間位置に配置し、上縁を挟み込んだ状態に折り曲げて上縁に沿って縫い込むことにより、耳掛け部25a、25aの形成及び取り付けが行われる。
このように耳掛け部25a、25aを構成することにより、使用者の頬に耳掛け部の跡が付き難いという利点がある。
【0080】
[実施の形態18]
図29は本発明の実施の形態18のマスクを示す断面図である。このマスクM18は、内外二重構造のマスク本体130の内側からマスク挟持部が省略されたものであって、マスク本体130の外側に通気性のマスクカバー131が着脱可能に設けられ、さらにマスクカバー131とマスク本体130との間の空間にフィルタ18が設けられたものである。このマスクカバー131のマスク本体130への着脱可能な取付構造としては、例えば、マスク本体の外面における上下左右の端部及びマスクカバーの内面の上下左右の端部に、ホックの雄部及び雌部あるいは面状ファスナーのループ部及びフック部をそれぞれ複数個設けるようにしてもよい。
このようにすれば、マスクカバー131をマスク本体130から取り外してフィルタ18の交換が容易であり、マスク本体130とマスクカバー131とを個別に洗濯することもできる。
なお、一重構造のマスク本体にマスクカバー131を着脱可能に取り付けてもよい。
【0081】
[他の実施の形態]
1.上記実施の形態1、2等では、左布地部と右布地部とを縫い合わせた縫い合わせ部を剛性部としたマスクを例示し、実施例12〜14では複数枚の分割布地部を縫い合わせた縫い合わせ部を剛性部としたマスクを例示したが、マスクを一枚の布地から構成し、マスク本体内に芯材からなる剛性部を挿入して中央部分を前方へ湾曲させ保持するように構成してもよい。
2.上記実施の形態1、2等では、マスク本体が外側部材と内側部材を重ねた状態で、その周囲を縫い合わせた二重構造のマスクを例示したが、一重構造のマ スクであってもよい。
3.上記実施の形態1、2等では、マスク本体の正面視形状が一般的な略矩形状の場合を例示したが、マスク本体の形状はこれに限定されず、例えば長円形、 楕円形、円形、多角形(例えば略六角形)、さらに菱形、三角形等であって もよい。
4.上記実施の形態1、2では、耳掛け部がゴム紐からなる場合を例示したが、素材としては伸縮性を有さない紐でもよい。また、実施の形態1において、紐の耳掛け部の両端をネット部に縫い付けるようにすれば、ネット部の伸縮によってマスクを使用者の顔のサイズに対応させることができる。
5.上記実施の形態9、10、11における耳掛け紐は、上端と下端を逆にしてマスク本体に取り付けるようにしてもよい。
6.上記実施の形態1、2、3、4、5におけるポケット布地部は、実施の形態6、7と同様にしてもよい。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、マスク本体の左右中央位置に形成された上下方向の剛性部が前方に突出し、それによって剛性部の内側に上下方向の凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。
さらに、マスク本体を、左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とから構成し、左布地部と右布地部とを相互に縫い合わせた縫い合わせラインを剛性部とすることにより、左布地部と右布地部とを単に縫い合わせただけで立体的に外側へ膨らむマスク本体が形成されるため、部材点数が増加することがなく、かつ縫製にもそれほど手間がかからず、低コストにて容易にマスクを製造することができる。また、左布地部と右布地部の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫いあわせ部が、縫い合わせ部の膨らみ形状の骨となってその形状を補強し、それによって左布地部及び右布地部が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。さらに、縫い合わせ部の膨らみ形状の形成にはカップ材のようなものが使用されず、マスク全体が布地からか構成されるので、そのまま手軽に丸洗いすることができると共に、収納時は縫い合わせ部で半分の大きさにきれいに折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るマスクの正面図である。
【図2】同実施の形態1のマスクの平面図である。
【図3】同実施の形態1のマスクの背面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】同実施の形態1のマスクの使用状態を示す説明図である。
【図6】実施の形態2に係るマスクの正面図である。
【図7】実施の形態3に係るマスクの背面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】同実施の形態3のマスクの平面図である。
【図10】同実施の形態3のマスクの使用状態を示す説明図である。
【図11】実施の形態4に係るマスクの背面図である。
【図12】実施の形態5に係るマスクの背面図である。
【図13】実施の形態6に係るマスクの背面図である。
【図14】実施の形態7に係るマスクの背面図である。
【図15】実施の形態8に係るマスクの一部断面の正面図である。
【図16】図13のマスクの一部断面の平面図である。
【図17】実施の形態9に係るマスクの正面図である。
【図18】図16における2点鎖線の円内の部分の拡大断面図である。
【図19】実施の形態10に係るマスクの正面図である。
【図20】実施の形態11に係るマスクの正面図である。
【図21】同実施の形態11のマスクにおける右の耳掛け紐を示す拡大断面図である。
【図22】本発明の実施の形態12のマスクを示す正面図である。
【図23】本発明の実施の形態13のマスクを示す正面図である。
【図24】本発明の実施の形態14のマスクを示す正面図である。
【図25】本発明の実施の形態15のマスクを示す正面図である。
【図26】本発明の実施の形態16のマスクを示す正面図である。
【図27】本発明の実施の形態17のマスクを示す正面図である。
【図28】図26のC−C線断面図である。
【図29】本発明の実施の形態18のマスクを示す断面図である。
【符号の説明】
1、20、50、60、70、80、90、100、110 マスク本体
2、25、25a 耳掛け部(ゴム紐)
4 フィルタ挟持部
11、21、51、121 左布地部
11a、12a 外面布地部
11b、12b 内面布地部
12、22、52、122 右布地部
13、55、93、103、114、115、123 縫い合わせ部
14 頂部
16 呼吸用空間
18 フィルタ
61、66、71 耳掛け紐(耳掛け部)
91、92、101、102、111、112、113 分割布地部
M〜M18 マスク
【発明の属する技術分野】
本発明は、鼻と口を覆うマスクに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
この種のマスクとしては、例えば衛生マスク、防塵マスク、手術用マスクなどが知られているが、具体的には、花粉の吸引や、病原菌などの吸引又は放出を防止する目的で装着する従来の衛生マスクとしては、平面状のガーゼからなるマスク本体に耳掛け紐が付いたものが一般的である。しかし、このマスクでは、着用すると呼吸しずらいという問題があった。
【0003】
そのため、最近では、マスク本体の内部にカップを入れたマスク(例えば、特許文献1参照)や、布地をひだ状に折って縫製した蛇腹状のマスク本体を使用時に外側へ膨らませるマスク(例えば、特許文献2参照)等、装着状態において鼻の下に空間を形成して呼吸が楽にできるマスクが使用されるようになってきている。しかしながら、前者では、部材点数及び製造工程数が増加してコストアップとなり、また、装着した状態で話をしたりガムや食べ物を噛んだりして顎を上下に動かすと、マスクが目の方へずれ上がり易く、ずれ上がったマスクをその都度手で下へ引っ張って元の位置に戻さなければならず面倒であるという不具合もあった。後者では、製造に手間を要しかつデザインもよくなかった。また、これら従来のマスクでは、装着した際に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスクとの間に隙間が形成され、この隙間からマスク内側に花粉や微粒子や病原菌等が侵入し易く、特に俯いたときに隙間が大きくなるので、花粉などの鼻や口への浸入をマスクによって十分に遮断しているとは言えなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−276424号公報
【特許文献2】
特開2001−314520号公報
【0005】
そこで、本発明の主要な目的の一つは、呼吸が楽に行え、かつ容易に低コストで製造できるマスク及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明のもう一つの主要な目的の一つは、装着時に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスクとの間に隙間が形成されないマスクを提供することにある。
また、本発明のもう一つの主要な目的の一つは、装着時に顎を上下に動かしてもずれ上がり難いマスクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明に係るマスクは、布地で構成され、少なくとも口と鼻を覆うマスク本体と、一対の耳掛け部とを備え、マスク本体は、その中央部分でかつ上下方向、左右方向及び斜め方向のうちの少なくともいずれか1つの方向に、布地を補強し、着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に布地を前方へ湾曲させ保持する剛性部を備えたものである。
【0007】
つまり、本発明のマスクは、剛性部がマスク本体の中央部分で前方に突出し、それによって剛性部の内側に凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。
【0008】
本発明において、マスク本体の布地は、外面布地部と内面部布地部とからなる二重構造に形成されてなるものであれば、剛性部の膨らみ形状がより一層補強されると共に、外部からの花粉や病原菌の侵入及び外部への病原菌の放出をより一層防止することができる。
【0009】
本発明において、剛性部は、その頂部が上下方向の中間位置よりも上位に形成されていれば、マスク着用状態を横から見て、縫い合わせ部の上部は鼻筋に沿って傾斜し、頂部が鼻頭の位置に一致し、頂部から下方にかけてはあごの方へ傾斜したマスク形状となるため、横顔のラインにマッチするデザイン性に優れたマスクとなって好ましい。なお、後述するが、剛性部は、布地の縫い合わせ部又は接着部にて構成されていてもよく、あるいはマスク本体内に保持されたワイヤ、ゴム、軟質合成樹脂、形状記憶樹脂又はこれらのうちの少なくとも2つを選択してなる複合材料で構成された芯材であってもよい。
【0010】
本発明において、マスク本体の内側にフィルタ挟持部が設けられれば、例えば微小な花粉や病原菌あるいは微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等を吸着除去し得るフィルタをフィルタ挟持部に収納、交換することができて好ましい。
また、フィルタ挟持部は、少なくともその唇に接する部分が水分をマスクの内側から外側へ移動させる材質にて構成されてなることが、マスク内側の蒸れを軽減できる上で好ましく、さらに、少なくともその唇に接する部分に抗菌性が付与されていることが、衛生上好ましい。
【0011】
本発明において、剛性部は、布地の縫い合わせ部又は接着部にて構成されていてもよい。この場合、マスク本体を以下の(1)(2)のような具体的構成にしてもよい。
【0012】
(1)マスク本体が、左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とからなり、剛性部が、前記左布地部と右布地部とを相互に縫い合わせ又は接着し、その上下方向の縫い合わせライン又は接着ラインを、左布地部と右布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部又は接着部からなるものとしてもよい。
このマスクの場合、左布地部と右布地部を開くと、マスク本体の左右中心位置に形成された上下方向の縫い合わせ部又は接着部が前方に膨らみ、かつ内側に上下方向の凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。また、左布地部と右布地部とを単に縫い合わせただけ又は接着しただけで立体的に外側へ膨らむマスク本体が形成されるため、部材点数が増加することがなく、かつ縫製又は接着にもそれほど手間がかからず、低コストにて容易にマスクを製造することができる。また、左布地部と右布地部の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫い合わせ部又は接着した接着部が、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の骨となってその形状を補強し、それによって左布地部及び右布地部が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。さらに、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の形成にはカップ材のようなものが使用されず、全体が布地から構成されるので、そのまま手軽に丸洗いすることができると共に、収納時は縫い合わせ部又は接着部で半分の大きさにきれいに折り畳むことができる。
【0013】
また、上記構成(1)の場合、左布地部及び右布地部のそれぞれが、2又はそれ以上の分割布地部分からなり、それらが縫い合わされ又は接着されて分割布地部分毎に湾曲度が異なるように構成されてなるようにしてもよい。このようにすれば、マスク本体を立体的に外側へ膨らむ形状に形成することが容易であり、かつ鼻及び口の周囲により広い呼吸用空間を形成することができる。
【0014】
(2)マスク本体が、上下複数枚に分割された分割布地部からなり、剛性部が、上側の前記分割布地部と下側の前記分割布地部とを相互に縫い合わせ又は接着し、その左右方向の縫い合わせライン又は接着ラインを、上下の分割布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部又は接着部からなる構成であってもよい。
このマスクの場合、上下の分割布地部を開くと、マスク本体に形成された左右方向の縫い合わせ部又は接着部が前方に膨らみ、かつ内側に凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。また、上下の分割布地部を単に縫い合わせただけ又は接着しただけで立体的に外側へ膨らむマスク本体が形成されるため、部材点数が増加することがなく、かつ縫製又は接着にもそれほど手間がかからず、低コストにて容易にマスクを製造することができる。また、上下の分割布地部の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫い合わせ部又は接着した接着部が、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の骨となってその形状を補強し、それによって上下の分割布地部が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。さらに、縫い合わせ部又は接着部の膨らみ形状の形成にはカップ材のようなものが使用されず、全体が布地から構成されるので、そのまま手軽に丸洗いすることができると共に、収納時は縫い合わせ部又は接着部できれいに折り畳むことができる。
なお、この構成(2)の場合、上下の分割布地部の間に中間の分割布地部を設けた構成でもよい。
【0015】
また、本発明のマスクは、剛性部が、マスク本体内に保持されたワイヤ、ゴム、軟質合成樹脂、形状記憶樹脂又はこれらのうちの少なくとも2つを選択してなる複合材料で構成された芯材であってもよい。複合材料からなる芯材としては、例えばワイヤ線をゴム又は軟質合成樹脂にて被覆したものが挙げられる。この芯材は、マスク本体の左右方向の中央位置に、かつ上下方向の中間位置よりも上位に頂部が配置されるように略への字形に折り曲がった形状に形成され、マスク本体内に挿入される。この場合、マスク本体には、その左右方向の中央位置に、例えば上端に開口部を有する上下方向の芯材挿入用筒袋部を予め形成するか、あるいは左右端の一方に開口部を有し、鼻頭がくる位置を通る左右方向の芯材挿入用筒袋部を予め形成する。
このように剛性部を芯材にて構成することにより、マスク本体内に芯材を挿入するだけで布地を前方へ容易に湾曲させ保持することができ、それによって呼吸用空間を形成できると共に、マスク本体を一枚の布地にて簡素化して製作することができる。なお、ワイヤとして形状記憶合金を用いれば、マスク本体の膨らみ形状を長期間保持できて好ましい。
【0016】
さらに、本発明のマスクにおいて、マスク本体の剛性部が縫い合わせ部又は接着部、あるいは芯材からなり、かつ剛性部が上下方向に形成される場合には、マスク本体の左右両端部にギャザが設けられてもよい。このようにすれば、ギャザの伸縮によって使用者の顔の形状、大きさに対応しながら両耳側の頬にマスク本体の左右両端部を隙間無くフィットさせることができ、マスク本体の左右両端部から内側への塵、埃及び微粒子等の侵入を確実に防止することができる。
【0017】
また、本発明のマスクは、マスク本体の裏面側の上縁近傍でかつ左右1対で設けられ、装着時に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体の少なくとも上縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する上部閉塞部材をさらに備えてなるものであってもよい。
つまり、両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスクとの間を上部閉塞部材にて閉塞することにより、マスク上縁側からの花粉や微粒子や病原菌等の侵入を防止し、より衛生的に呼吸することができるようにしている。
この上部閉塞部材としては、弾性や可塑性や可撓性を有するシート状もしくは塊(パッド)状の部材を用いることができるが、具体的に次の(3)、(4)の構成を挙げることができる。
【0018】
(3)上部閉塞部材が、マスク本体の裏面側の上縁近傍に、内側に折り返し可能に取り付けられる弾性フラップからなる。この弾性フラップは、例えば1〜5mmのスポンジ、布地、これらの複合体等を構成材料に用いることができ、その左右中央寄りの内端側が、該フラップを内側に折り返したときに鼻梁又はその近傍に沿うような形状に形成される。例えば、略台形状、略矩形状、略三角形状、略楕円形状等の所望の形状に形成した2枚の弾性フラップを、その下端側をマスク本体の裏面側の上縁近傍にそれぞれ縫い付け、上端側を内側へ折り返してマスクを装着する。また、弾性フラップを内側へ折り返し、少なくともその外端部を予めマスクの内面に縫い付けたり接着等により固定してもよい。
(4)上部閉塞部材が、マスク本体の裏面側の上縁近傍で、かつ左右中央寄りに付設されるパッド材からなる。このパッド材としては、弾性パッド、あるいは外力に応じて変形可能な可塑性パッドが好ましく、さらにはマスク本体に一体的に取り付けられたもの、あるいはマスク本体に対して別体で着脱可能なものであってもよい。一体的に取り付けられたものとしては、例えば、マスク本体の所定部位にパッドを構成するポケット部を左右1対設け、そのポケット部の中にスポンジ体、軟質ゴム体、軟質プラスチック体等の弾性体を入れて縫い込んで弾性パッドを形成したり、流動性を維持する粉体やゲル状物又は液体を充填封入した袋体を入れ込んで縫い込んで可塑性パッドを形成したり、あるいは先に布袋に上記弾性体又は袋体を入れて縫い込んでパッド材を形成し、後でパッド材をマスク本体に縫い付ける構成が挙げられる。着脱可能なものとしては、例えば、上述のように布袋に弾性体又は袋体を入れて縫い込んで形成したパッド材とマスク本体に、面状ファスナーのフック部とループ部を縫い付けておき、フック部とループ部の掛合により上部パッド材がマスク本体に取り付けられ、フック部とループ部の離脱により上部パッド材がマスク本体から取り外される。なお、弾性フラップ又は弾性パッドに用いられる各種弾性体の弾性力は、長時間マスクをつけていてもその押圧が苦にならない程度のもので、かつ十分な閉塞性を確保できる程度のものが好ましい。また、可塑性パッドを構成する粉体としては砂、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム等の無機粉体や粒状体等を用いることができ、ゲル状物としてはカルボキシビニルポリマー(カーボポール)、ポリアクリル酸又はその塩類等を用いることができ、液体としてはシリコーンオイル等を用いることができ、いずれも人体に無害な物質が望ましい。
【0019】
また、本発明のマスクは、マスク本体の裏面側の下縁近傍に設けられ、装着時に少なくとも下唇の下部とマスク本体下縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する下部閉塞部材をさらに備えてなるものであってもよい。
つまり、マスク装着時に下唇の下部とマスク本体下縁部との間に形成され得る隙間を下部閉塞部材にて閉塞することにより、話をしたり食べ物を噛んだりして下顎を上下に動かしても下部閉塞部材が滑り止めとなってマスク本体がずれ上がることがなく、従来のようなマスクのずれ上がりを手で直すような煩わしさがなくなる。
【0020】
この下部閉塞部材としては、マスク本体の裏面側の下縁近傍に付設される下パッド材とすることができる。この下部パッド材は、下弾性パッド、あるいは外力に応じて変形可能な下可塑性パッドが好ましく、さらに上述のようにマスク本体に一体的に取り付けられたもの、あるいはマスク本体に対して別体で着脱可能なものであってもよい。なお、下弾性パッドは、上述の上部閉塞部材と同様にスポンジ体、軟質ゴム体、軟質プラスチック体等の弾性体を布袋に入れて縫い込んだ構成とすることができ、一方下可塑性パッドは、上述の上部閉塞部材と同様に流動性を維持する粉体やゲル状物又は液体を充填封入した袋体を布袋に入れ込んで縫い込んだ構成とすることができる。
【0021】
本発明において、耳掛け部としては、伸縮性を有するゴム紐、あるいは紐長さ調節部材を備える耳掛け紐を用いることができる。なお、紐長さ調節部材の具体構成については、後述の実施の形態にて説明する。
また、耳掛け部が耳掛け紐からなる場合には、この耳掛け紐は、その幅の略中央部で折曲げられてマスク本体の上縁部及び下縁部を挟み込んだ状態で、縫い込みまたは接着により取り付けられるようにしてもよい。つまり、耳掛け紐をマスク本体の左右両端部内側に取り付けたマスクを装着した場合では、その耳掛け紐の取付部分の跡が頬に付き易いため、このような跡を付き難くしている。
【0022】
また、本発明のマスクは、マスク本体、耳掛け部又は紐長さ調節部材の少なくともいずれかにアクセサリが設けられているのもよい。特に、耳掛け紐の長さを調節するための紐長さ調節部材を有する場合には、この紐長さ調節部材を隠す、あるいは目立たなくする目的と、マスクをデザイン的、ファッション的に改善する目的で、アクセサリが設けられる。なお、アクセサリとしては、例えば布地やプラスチック、金属等にて蝶、リボン、ハート、星、花等の各種形状に形成されたものを挙げることができ、その取り付けは縫込みや接着等により行うことができる。
【0023】
また、本発明のマスクは、マスク本体の外側又は内側の何れかに、マスク本体の外面又は内面を実質的に覆う大きさで、かつ直径が0.3μm以上の大きさの空気中の微粒子を95%以上カットできるろ過能力を有するフィルタ部材がさらに設けられてなるものであってもよい。ここで、「直径が0.3μm以上の大きさの空気中の微粒子を95%以上カットできるろ過能力」とは、CDC(米国疾病対策センター)の「医療施設における結核感染防止のガイドライン(1994年)」に適合(N95に適合)したろ過能力を意味している。
このようなフィルタ部材を備えることによって、塵、埃、花粉等よりも小さな微生物、菌等(例えば結核菌、肺炎ウイルス)をフィルタ部材にて除去することができ、このような菌の空気感染の予防、拡大に有効である。
【0024】
このようなフィルタ部材は、マスク本体に着脱可能に取り付けられているのが、容易に交換できる上で好ましく、マスク本体の内側に着脱可能に取り付ける場合は、上述したフィルタ挟持部にフィルタ部材を収納すればよい。また、フィルタ部材をマスク本体の外側に着脱可能に取り付ける場合には、マスク本体の外側に着脱可能に取り付けられる通気性のマスクカバーをさらに備えることにより、フィルタ部材をマスクカバーとマスク本体との間に収納することができる。なお、マスクカバーのマスク本体への着脱手段としては、ホックや面状ファスナーなどの従来公知の方法を用いることができる。
【0025】
また、本発明は、別の観点によれば、左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とを有するマスク本体と、一対の耳掛け紐とを備えたマスクを製造するマスクの製造方法であって、
マスク本体を、左布地片と右布地片とを重ね合せ、左布地片と右布地片とを相互に縫い合わせて又は接着して形成し、かつこの縫い合わせ又は接着に際して、縫い合わせるライン又は接着するラインを、左布地部と右布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に湾曲させるマスクの製造方法を提供することができる。
【0026】
また、本発明は、さらに別の観点によれば、上下複数枚に分割された分割布地部を有するマスク本体と、一対の耳掛け紐とを備えたマスクを製造するマスクの製造方法であって、
マスク本体を、上側の分割布地片と下側の分割布地片とを重ね合せ、上下の分割布地片を相互に縫い合わせて又は接着して形成し、かつこの縫い合わせ又は接着に際して、縫い合わせるライン又は接着するラインを、上下の分割布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に湾曲させるマスクの製造方法を提供することができる。なお、この場合、上下とは、上下2枚の分割布地部以外にも、その中間に配置される分割布地部をも含むことを意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳説する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【0028】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るマスクの正面図であり、図2は同実施の形態1のマスクの平面図であり、図3は同実施の形態1のマスクの背面図であり、図4は図1のA−A断面図であり、図5は同実施の形態1のマスクの使用状態を示す説明図である。
【0029】
実施の形態1のマスクMは、正面から見て左半面を構成する呼吸に適した通気性を有する左布地部11と右半面を構成する呼吸に適した通気性を有する右布地部12とを具備するマスク本体1と、一対の耳掛け部2、2と、左布地部11の左端部側及び右布地部12の右端部側に設けられた左右のネット部3、3と、マスク本体1の内面側に設けられたフィルタ挟持部17とを備えている。
【0030】
マスク本体1は、左布地部11と、この左布地部11と左右対称形の右布地部12とが相互に縫い合わされた剛性部としての縫い合わせ部13を有している。この縫い合わせ部13は、左布地部11と右布地部12を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間16を形成可能なように前方へ湾曲している。つまり、マスク本体1は、横から見ると上下方向の中間位置よりも少し上位に、かつ縫い合わせライン上に頂部14が配置された前方突出山形状(図4、図5参照)に膨らんでいる。
【0031】
このように前方(外側)へ膨らむ縫い合わせ部13をマスク本体1の左右中間位置に形成したことにより、マスク本体1の内面側にはこれとは逆の凹み15が形成され、この凹み15にマスク本体1を装着した使用者の鼻が収まるようになっている(図5参照)。したがって、この凹み15によって、使用者の鼻の下に上記呼吸用空間16が形成され、この空間16によって使用者は鼻及び/又は口による呼吸を楽に行うことができる。なお、上記空間16によって発声もし易くなる。また、平面状の一般的なマスクを着用した場合では、鼻筋の左右側にマスク辺縁との隙間が形成され、この隙間から外気中の花粉や病原菌がマスク内側に侵入して体内に吸入するおそれがあったが、これに対し本発明のマスクMでは上記凹み15が鼻筋の左右の傾斜に沿うので隙間が形成されず、上述のようなおそれがない。また、左布地部11と右布地部12の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫い合わせ部13が、その剛性により膨らみ形状の骨となってその膨らみ形状を補強し、それによって左布地部11及び右布地部12が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。
【0032】
また、左布地部11及び右布地部12は、それぞれ外面布地部11a、12aと内面布地部11b、12bとから二重構造に形成されている。左布地部11及び右布地部12の素材としては、綿、麻、絹、合成繊維などの各種素材からなる通気性を有する布地を使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、外面布地部11a、12aは綿布にて構成し、内面布地部11b、12bは合成繊維布にて構成するなど内外面の素材を変えてもよく、あるいは同じくしてもよい。また、本発明のマスクMにおいて、外面布地部11a、12aの色は一般的な白以外にも、青、赤、黄、緑等の原色や中間色など各種色彩を選択し、病気のイメージを消し、ファッション性を付加するようにしてもよい。
【0033】
左右一対の耳掛け部2、2は平らなゴム紐からなり、マスク本体1の左右布地部11、12の左右端縁に輪状にそれぞれ縫い付けられている。この耳掛け部2、2は、ゴム紐の伸縮性により使用者の顔のサイズに対応することができると共に、平らであるためマスク着用時の耳への締め付けを緩和し、長時間着用しても耳が痛くならないように配慮している。また、各耳掛け部2の上辺と下辺を繋ぐゴム紐3aがマスク本体1寄りに設けられており、この各ゴム紐3aと各耳掛け部2とマスク本体1とで囲まれたスペースに上記ネット部3が張設されている。このネット部3、3によって、マスク着用時において、使用者の頬へのマスクMのフィット感を向上させるとともに、デザイン性を付加している。
【0034】
ポケット状のフィルタ挟持部17は、例えば通気性のよい網生地からなるポケット布地部4の左右端縁と下端縁を、マスク本体1の内面周縁に縫い付けることにより上方開口状に形成されている。このフィルタ挟持部17は、少なくともその唇に接する部分には、水分をマスクの内側から外側へ移動させる材質にて構成されている。具体的には、例えば、東レ(株)の商品名:フィールドセンサーが用いられる。このようなフィルタ挟持部17によれば、マスク内側の蒸れを軽減することができる。さらに、このフィルタ挟持部17の少なくとも唇に接する部分には、抗菌性が付与されている。この場合、例えば、フィルタ挟持部の意図する部分に銀メッキを施して抗菌性を付与したり、また、銀メッキコーティングした繊維やポピドンヨードを含浸させた繊維等でフィルタ挟持部を構成してこれ全体に抗菌性を付与したりできる。
【0035】
このフィルタ挟持部17には、例えば微小な花粉、病原菌(例えば結核菌、肺炎ウイルス)、微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等を吸着除去し得るフィルタ18、好ましくは上記N95に適合するフィルタが収納される。
なお、微小な花粉や微粒子等を濾過し得る優れたフィルタとしては、例えば特許第3281480号を挙げることができる。より詳しくは、フィルタを通過する空気流の方向での断面が最大30ミクロンを有するマイクロフィラメントのストランド織物の単一層からなり、それらのストランドは最大20ミクロンの間隔を置いて配置され、かつ平滑な外面を有するフィルタである。マイクロフィラメントのストランドの素材としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、カーボン、ファイバーグラス、セラミック、金属ストランドが挙げられる。このフィルタでは、一般的に20ミクロンよりも大きいアレルギー性の花粉を除去することができる。このような素材は市販で入手し得る。その他、濾過材の1枚の単層シート中に、濾過される微粒子の最小径よりも小さい最大径を有する複数の穴を、レーザカット、X線リソグラフィー、化学エッチング又は微孔シートの延伸によって形成するフィルタがある。レーザカット、X線リソグラフィー又は化学エッチングによる穴開けには濾過材として不織布の使用が可能であり、微孔シートの延伸による穴開けには濾過材として微孔プラスチックシートの使用が可能である。このフィルタは、タバコの煙の微粒子や車の排気ガスの微粒子等を濾過する場合に用いられ、孔径はそれらの微粒子よりも小さい0.01ミクロン程度とされる。
【0036】
また、上記とは別に、不織布に放射線グラフト重合法を利用して作製したフィルタを本発明のマスクに好適に用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の繊維からなる不織布に、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等の放射線を照射してラジカルを発生させ、これにグラフトモノマーを反応させることにより所望のグラフト重合体側鎖を導入して所望の機能を具備したフィルタを製造することができる。
具体例としては、グラフトモノマーにビニルピロリドンを選択することにより、ポリビニルピロリドンを導入した不織布が得られ、これをさらにヨウ素溶液に浸漬することによってポピドンヨードが添着された不織布となり、抗菌フィルタとして好適に用いることができる。
また、グラフトモノマーにビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(VBTAC)を選択しさらに適当なモノマーを存在させることにより、VBTACが導入された不織布が得られ、これは花粉フィルタとして好適に用いることができる。
【0037】
次に、このように構成されたマスクMのマスク本体1の製造方法について説明する。
マスク本体1は、上述したように二重構造であるため、その外側と内側は個別に形成される。つまり、左布地部11及び右布地部12の外面布地部11a、12aを相互に縫い合わせて外側部材を形成し、かつ左布地部11及び右布地部12の内面布地部11b、12bを相互に縫い合わせて内側部材を形成する。そして、外側部材と内側部材とを重ね合わせてその周縁を縫い合わせて、マスク本体1を形成する。
【0038】
ところで、外側部材及び内側部材は、例えば下記の(a)(b)のようにしてそれぞれ形成することができる。
(a)左布地部11を構成する左布地片と右布地部12を構成する右布地片を、左右対称で、かつ隣接するそれぞれの辺縁が面外方へ凸形に湾曲した所定の形状、この場合略への字形に予め形成する。そして、形成した左布地片と右布地片を重ね合わせ、略への字形の辺縁に沿って縫い合わせる。このようにすれば、略への字形に湾曲した辺縁に沿って縫い合わせるだけで、左布地片と右布地片とを目的とするライン形状に容易に縫い合わせることができる。
(b)上記(a)において、左布地片と右布地片とが隣接するそれぞれの辺縁をストレート形にしておく。そして、形成した左布地片と右布地片を重ね合わせ、重ね合わた辺縁を、例えば型紙を用いて面外方へ凸形に、この場合略への字形に湾曲して縫い合わせ、その後、縫い合わせた辺縁の余剰部分を縫い合わせラインに沿って鋏などでカットする。このようにすれば、上記(a)のように予め辺縁を略への字形に面外方へ湾曲した形状に形成する必要がなく、左布地片及び右布地片の製作が容易となる。
なお、上記(a)(b)において、外側部材及び内側部材の各縫い合わせ部の縫い代は、外部から見えないように二重構造の内部に配置処理される。
【0039】
上記(a)(b)の方法により形成した外側部材及び内側部材は、その左布地部11と右布地部12を開くことにより、横から見て縫い合わせラインが略への字形に立体的に湾曲したものとなる。そして、このように縫い合わせラインが膨らんだ外側部材と内側部材を上述の如く重ね合わせてその周縁を縫い合わせることにより、マスク本体1が形成される。
なお、実施の形態1では、左布地部と右布地部とを縫い合わせる手法を用いたが、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。
【0040】
[実施の形態2]
図6は実施の形態2に係るマスクの正面図であり、このマスクM2は、左半面を構成する左布地部21と右半面を構成する右布地部22とを具備する前方突出山形状に膨らんだマスク本体20と、マスク本体20に両端が縫い付けられた一対の耳掛け部25、25と、マスク本体20の内面側に設けられたポケット布地部24とを備え、実施の形態1と異なる点は、実施の形態1におけるネット部3、3及びゴム紐3a、3a(図1、図3等参照)を省略したことのみである。
【0041】
[実施の形態3]
図7は実施の形態3に係るマスクの背面図であり、図8は図7のB−B線断面図であり、図9は同実施の形態3のマスクの平面図であり、図10は同実施の形態3のマスクの使用状態を示す説明図である。
【0042】
この実施の形態3のマスクM3は、左半面を構成する左布地部21と右半面を構成する右布地部22とを具備する前方突出山形状に膨らんだマスク本体20と、マスク本体20に縫い付けられた一対の耳掛け部25、25と、マスク本体20の内面側に設けられたポケット布地部24とを備え、ここまでの構成は実施の形態2と同様であり、同一の要素には同一の符号を付している。さらに、実施の形態3のマスクM3は、マスク本体20の裏面側の上縁近傍で、かつ左右中央寄りに略左右対称に設けられ、装着時に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分にフィットして、この部分とマスク本体20の上縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する左右一対の上部閉塞部材としてのパッド材26、27が設けられている。
【0043】
各パッド材26、27は、具体的にはそれぞれ外力に応じて変形可能な可塑性パッドからなり、この可塑性パッドは、流動性を維持する粉体、ゲル状物又は液体を充填封入した袋体を布袋に入れて縫い込まれて形成されている。この場合、各パッド材26、27は、マスク本体M3の裏面にぶらつかない程度に縫い付けられ、下端がポケット布地部24にて覆われている。
このパッド材26、27を備えるマスクM3を装着することにより、両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体20との間の隙間が閉塞されるので外気中の花粉、病原菌、微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等が侵入できず、使用者はより衛生的に呼吸することができる。なお、上記パッド材26、27は縫い付ける以外に、マスク本体に接着されるものであってもよい。また、この縫い付けや接着は、各パッド材26、27の上部のみにして、各パッド材26、27のフリーな下部にポケット布地部24の上縁部を挿入する構成であってもよい。なお、各パッド材26、27は、例えば図9に示すように、略三角形の平面図を与えるような形状に形成されるものであっても良い。この場合、各パッド材はそれぞれ別体に構成されていてもよく、またこれらが一体に構成されていて、縫い付け等の取り付けにより2分割されるようなものであってもよい。
【0044】
[実施の形態4]
図11は本発明の実施の形態4に係るマスクを示す背面図であり、この実施の形態4のマスクM4は、上記実施の形態3における左右一対のパッド材26、27を左右一対の弾性フラップ31、32に替えたものであり、その他の構成は実施の形態3と同様であり、同一の要素には同一の符号を付している。
【0045】
各弾性フラップ31、32は、略台形状のシート状のスポンジ体が布袋に入れられて縫い込まれて形成されてなり、下端側がマスク本体20の裏面側の上縁近傍にそれぞれ縫い付けられており、装着前の状態では弾性によって平面状に延びている。
このマスクM4では、各弾性フラップ31、32を内側へ折り曲げて装着するが、折り曲げることにより弾性フラップ31、32が上下逆の形状(底辺が短い台形)になり、弾性による膨らみと相まって、その左右中央寄りの内端側が鼻梁又はその近傍に沿い、かつ頬から鼻梁にかけて密着する。したがって、両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体20との間の隙間が閉塞され、外気中の花粉、病原菌、微粒子(例えばタバコの煙の微粒子、排気ガスの微粒子など)等のマスクM3の内側への侵入が防止される。
【0046】
[実施の形態5]
図12は本発明の実施の形態5に係るマスクを示す背面図であり、この実施の形態5のマスクM5は、実施の形態4における各弾性フラップ31、32を内側へ折り曲げ、折り曲げて上下逆形状(底辺が短い台形)にした状態で外端部をマスク本体20の裏面に縫い付けて固定したものである。マスクM5の装着前の状態では、各弾性フラップ31、32の折り曲げられた部分の左右中央寄りの内端側は、弾性によって膨らんでいる。マスクM5を装着することにより、上述のごとく弾性フラップ31、32はその左右中央寄りの内端側が鼻梁又はその近傍に沿い、かつ頬から鼻梁にかけて密着し、それによって両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体20との間の隙間が閉塞される。
【0047】
[実施の形態6]
図13は本発明の実施の形態6に係るマスクを示す背面図である。この実施の形態6のマスクM6は、実施の形態3のように、マスク本体20と、左右一対の耳掛け部25、25と、ポケット布地部24aと、左右一対のパッド材26、27を備えるものであるが、ポケット布地部24aはその上端がマスク本体20の上縁近傍に封着され、左右の少なくともいずれか一方側にフィルタの挿入口を有している。また、各パッド材26、27は、マスク本体20の上縁近傍に縫い付けられて、図13に示すように自由状態では内側へ折り返した状態で下部がぶらつくように垂れている。この場合、各パッド材26、27は、スポンジ、ゴム、軟質プラスチック等の弾性体を収納した布袋からなる。
また、この実施の形態6のマスクM6は、上記実施の形態1〜5とは異なり、下部閉塞部材としての下パッド40がマスク本体20の裏面側の下縁近傍に設けられている。
【0048】
このマスクM6の下パッド40は、装着時に少なくとも下唇の下部とマスク本体20の下縁部との間に形成され得る隙間を閉塞するものであり、下唇と下顎との間の窪みラインに沿う棒状に形成されており、マスク本体20の裏面側の下縁近傍に面状ファスナーにより着脱自在に取り付けられている。具体的に下部パッド材40は、外力に応じて変形可能な下可塑性パッドであり、この下可塑性パッドは、流動性を維持する粉体、ゲル状物又は液体を充填封入した袋体を布袋に入れて縫い込んで形成されている。
このマスクM6を装着することにより、上記実施の形態3の効果に加え、話をしたり食べ物を噛んだりして下顎を上下に動かした場合に下パッド40が滑り止めとなり、マスク本体20がずれ上がることが抑制され、従来のようなマスクのずれ上がりを手で直すような煩わしさがなくなる。
【0049】
[実施の形態7]
図14は本発明の実施の形態7に係るマスクを示す背面図である。この実施の形態7のマスクM7は、実施の形態5のように弾性フラップ31、32を有するマスク本体の裏面側の下縁近傍に下パッド材41が設けられたものである。なお、ポケット布地部24aはその上端がマスク本体20の上縁近傍に封着され、左右の少なくともいずれか一方側にフィルタの挿入口を有している。
【0050】
この実施の形態7の場合、下パッド材41は、マスク本体20の下縁に沿って縫い付けられた細長状の布袋と、袋部内に縫い込まれたスポンジとからなり、マスク装着前の状態ではマスク本体20の下縁付近に垂れており、装着時には図14に示すごとく内側(上方)へ折り返され、下唇の下部とマスク本体20との間の隙間を閉塞する。
このマスクM7を装着することにより、上記実施の形態4又は5の効果に加え、話をしたり食べ物を噛んだりして下顎を上下に動かした場合に下パッド40が滑り止めとなり、マスク本体20がずれ上がることが抑制され、従来のようなマスクのずれ上がりを手で直すような煩わしさがなくなる。
【0051】
[実施の形態8]
図15は本発明の実施の形態8に係るマスクを示す正面図であり、図16は図15のマスクの平面図である。
【0052】
この実施の形態8のマスクM8は、マスク本体50が、左半面を構成する左布地部51と右半面を構成する右布地部52とからなる通気性のマスク芯部53と、このマスク芯部53の表面を覆う通気性のカバー54とから構成されている。さらに、マスク芯部53において、左布地部51は2つの分割布地部分51a、51bからなると共に、右布地部52は2つの分割布地部分52a、52bからなり、分割布地部分51a、51bは湾曲度が異なるように縫い合わされると共に、分割布地部分52a、52bは湾曲度が異なるように縫い合わされている。これら左布地部51と右布地部52が相互に縫い合わせられてマスク芯部53が形成されており、その縫い合わせラインが、左布地部51と右布地部52を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた剛性部としての縫い合わせ部からなっている。また、カバー54は、左カバー布地部54aと右カバー布地部54bとを相互に縫い合わせて形成されており、この縫い合わせ部(縫い合わせライン)55は、カバー54をマスク芯部53の立体膨らみ形状と略同じ形状に保持する剛性部となっている。
【0053】
このマスクM8によれば、マスク本体50を立体的に外側へ膨らむ形状に形成することが容易であり、装着の際に鼻及び口の周囲により広い呼吸用空間を形成することができると共に、マスク本体50の裏面の左右端側を両頬にフィットさせる湾曲度が得られ易くなる。なお、このマスクM8に、実施の形態3〜7で説明した上閉塞部材及び/又は下閉塞部材を設けて、マスク上縁側の隙間からの花粉や微粒子等の侵入を防止したり、下顎の動きによるマスクのずり上がりを防止するように構成してもよい。
【0054】
[実施の形態9]
図17は本発明の実施の形態9のマスクを示す正面図であり、図18は図17における2点鎖線の円内の部分の拡大断面図である。
この実施の形態9のマスクM9は、マスク本体60の左右側縁に設けられた耳掛け部が平らな耳掛け紐61、61からなり、さらに各耳掛け紐61、61の長さを調節する紐長さ調節部材62、62と、左の紐長さ調節部材62に付設された蝶形のアクセサリ63とを備えたものである。
【0055】
紐長さ調節部材62は、耳掛け紐61の部分(途中部)であって、マスクM9を装着した状態で耳に触れない位置に設けられ、本実施の形態9の場合、耳掛け紐61の上辺に設けられている。この紐長さ調節部材62は、マスク本体60の耳掛け紐接続部側に配置されたOリング部材64と、Oリング部材64の近傍に配置された日の字形の調節具65とからなる。耳掛け紐61の上辺部分は、Oリング部材64と接続する部分が切断されており、その切断部分のマスク本体60側の端部61aは輪を形成して接続され、もう一方の端部61bは調節具65にへの字状に通され、Oリング部材64に通されて折り返して調節具65の端部65aに輪を形成して接続されている。この紐長さ調節部材62によって、Oリング部材64と調節具65との間に耳掛け紐61の長さを変えることができる輪状部61cが形成される。つまり、調節具65をOリング部材64側へ移動させれば輪状部61cが短くなって耳賭け紐61の全長が長くなり、調節具65をOリング部材64から離れる方向へ移動させれば輪状部61cが長くなって耳賭け紐61の全長が短くなる。
また、アクセサリ63は、左右の紐長さ調節部材62の各Oリング部材64、64の表面、あるいはいずれか一方のOリング部材64の表面に接着されている。
【0056】
このマスクM9によれば、装着する使用者の顔の大きさに対応して左右の耳掛け紐61、61の長さを調整することができるので、耳掛け紐が短くてマスクが装着できない、あるいは耳が痛くなるといったことや、反対に耳掛け紐が長くてマスク本体が顔にフィットせず隙間ができるといったことがなく、快適に装着することができる。また、アクセサリ63は、無機質的な長さ調節部材62を隠すことができると共に、マスクM9のファッション性を付加するワンポイントとなり、マスクの病的なイメージを和らげることができる。なお、このマスクM9のマスク本体60としては、実施の形態1〜7のもの、あるいは実施の形態8のものを適用することができる。また、実施の形態3〜7で説明した上閉塞部材及び/又は下閉塞部材をマスク本体M9に設けるのも好ましい。
【0057】
[実施の形態10]
図19は本発明の実施の形態10のマスクを示す正面図である。このマスクM10は、紐長さ調節部材62の構成は上記実施の形態9と同様であるが取付位置が若干異なっている。
【0058】
つまり、左右の耳掛け紐66、66の各上辺端部を取り付ける部位であるマスク本体60の耳掛け紐接続部(左右側縁の上端)に、各紐長さ調節部材62のOリング部材64の一部が縫い込まれている。それに伴って、アクセサリ67もマスク本体60の耳掛け紐接続部に取り付けられている。この場合、アクセサリ67はリボン形であり、耳掛け紐接続部に縫い付けられている。
【0059】
[実施の形態11]
図20は本発明の実施の形態11のマスクの正面図であり、図21は同実施の形態11のマスクにおける右の耳掛け紐を示す拡大断面図である。このマスクM11は、マスク本体70の左右側縁に設けられた耳掛け紐71、71及び各耳掛け紐71、71の長さを調整する紐長さ調節部材72、72の構成が、上記実施の形態9、10とは異なっている。なお、マスク本体70としては、実施の形態1〜7のもの、あるいは実施の形態8のものが適用される。
【0060】
マスクM11の右側について説明すると、紐長さ調節部材72は、上記実施の形態9、10で説明した調節具65が2個設けられてなり、各調節具65、65は、耳掛け紐71の上辺及び下辺のそれぞれマスク寄りに配置されている。
耳掛け紐71は、一端が上の調節具65にへの字状に通されてマスク本体70の上の耳掛け紐接続部に縫い付けられ、かつ他端が下の調節具65の端部に輪を形成して取り付けられた上紐部71aと、一端が下の調節具65にへの字状に通されてマスク本体70の下の耳掛け紐接続部に縫い付けられ、かつ他端が上の調節具65の端部に輪を形成して取り付けられた下紐部71bとからなる。そして、耳掛け紐71における上紐部71aと下紐部71bが重なる部分は、全長を変えることができる重なり部71cとされている。
なお、マスクM11の左側の耳掛け紐71及び紐長さ調節部材72の構成も、右側と同様である。
【0061】
このマスクM11によれば、上の調節具65及び/又は下の調節具65をマスク本体70から離れる方向に移動させれば重なり部71cが短くなって耳賭け紐71の全長が長くなり、上の調節具65及び/又は下の調節具65をマスク本体70に近づける方向に移動させれば重なり部71cが長くなって耳賭け紐71の全長が短くなる。なお、上紐部71aと下紐部71bのそれぞれの少なくとも接触面側は、摩擦抵抗の大きい(例えば、毛羽立ちの多い)布地にて構成したり、あるいは重なり部71cにおける耳に触れない部位に筒状の絞り部材を設けることにより、装着したマスクM11の耳賭け紐71が不意に伸びないように構成してもよい。また、実施の形態3〜7で説明した上閉塞部材及び/又は下閉塞部材をマスク本体M11に設けるのも好ましく、さらに実施の形態9、10で説明したアクセサリを、マスク本体70又は耳賭け紐71の少なくともいずれか一方に1個以上設けてもよい。
【0062】
[実施の形態12]
図22は本発明の実施の形態12のマスクを示す正面図である。この実施の形態12のマスクM12は、実施の形態2のマスク(図6参照)においてマスク本体80の左右両端部にギャザ81、81がそれぞれ設けられたものであり、その他の構成は同様である。各ギャザ81は、マスク本体80の左右両端部の内部又は内面側に、例えばゴム紐をそれぞれ縫い付けることにより形成することができる。なお、上記ギャザ81は図22に示すよりももっときつく絞ってギャザ長を短くすると、ギャザが緻密になってこのギャザを通じての花粉等の侵入を防止できると共に、マスク全体の湾曲度も増すので装着時の顔面との密着性がさらに良好となる点で好ましい。
【0063】
[実施の形態13]
図23は本発明の実施の形態13のマスクを示す正面図である。この実施の形態13のマスクM13は、マスク本体90が、上下2枚に分割された分割布地部91、92からなる。なお、このマスクM13は、実施の形態1と同様に、マスク本体90が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部91、92のみ示されており、内側にも外側と同様の上下の分割布地部が設けられている。
【0064】
このマスクM13は、その剛性部が、上側の分割布地部91と下側の分割布地部92とを相互に縫い合わせ、その左右方向の縫い合わせラインを、上下の分割布地部91、92を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部93から構成されている。このマスクM13の開いた状態を正面から見ると、縫い合わせ部93が、マスク本体90の外側に膨らむ頂部の直上又はその近傍を直線的に通るように配置されている。つまり、剛性部が、左右方向に形成されている。
【0065】
次に、このように構成されたマスクM13のマスク本体90の製造方法について説明する。
マスク本体90は、上述したように二重構造であるため、その外側と内側は個別に形成される。上下の分割布地部91、92からそれぞれ構成される外側部材及び内側部材は、例えば下記の(c)(d)のようにしてそれぞれ形成することができる。
【0066】
(c)上下の分割布地片を、隣接するそれぞれの辺縁が面外方へ凸形に湾曲した形状に予め形成し、上下の分割布地片を相互に縫い合わせるに際して、重ね合わせた上下の分割布地片の辺縁に沿って縫い合わせる。
【0067】
(d)上下の分割布地片を相互に縫い合わせるに際して、重ね合わた上下の分割左布地片の辺縁を面外方へ凸形に湾曲して縫い合わせ、その後、その縫い合わせた辺縁の余剰部分を縫い合わせラインに沿ってカットする。
【0068】
また、上記(c)(d)において、上下の分割布地部91、92は、それらが縫い合わされて上下の分割布地部91、92毎に湾曲度が異なるように構成してもよく、それによってマスクM13を装着した使用者の顔のラインに沿うようにすることができる。
なお、上記(c)(d)において、外側部材及び内側部材の各縫い合わせ部の縫い代は、外部から見えないように二重構造の内部に配置処理される。
【0069】
上記(c)(d)の方法により形成した外側部材及び内側部材は、その上下の分割左布地部91、92を開くことにより、上又は下から見て縫い合わせラインが略への字形に立体的に湾曲したものとなる。そして、このように縫い合わせラインが膨らんだ外側部材と内側部材を重ね合わせてその周縁を縫い合わせることにより、マスク本体90が形成される。
なお、この実施の形態13では、上下の分割左布地部を縫い合わせる手法を用いたが、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。また、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0070】
[実施の形態14]
図24は本発明の実施の形態14のマスクを示す正面図である。この実施の形態14のマスクM14は、マスク本体100が、上下2枚に分割された分割布地部101、102からなる。なお、このマスクM14も、実施の形態13と同様に、マスク本体100が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部101、102のみ示されており、内側にも外側と同様の上下の分割布地部が設けられている。
【0071】
このマスクM14は、その剛性部が、上側の分割布地部101と下側の分割布地部102とを相互に縫い合わせ、その左右方向の縫い合わせラインを、上下の分割布地部101、102を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部103から構成されている。このマスクM14の開いた状態を正面から見ると、縫い合わせ部103が、マスク本体100の外側に膨らむ頂部の直上又はその近傍から左右両端部の上下略中間位置へ斜めに通るヘの字形に形成されている。つまり、剛性部が、斜め方向に形成されている。
【0072】
このように構成されたマスクM14のマスク本体100の製造方法は、上述の実施の形態13の場合とは分割布地部の形状は異なるものの、同様の上記方法(c)(d)にて形成することができる。
なお、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0073】
[実施の形態15]
図25は本発明の実施の形態15のマスクを示す正面図である。この実施の形態15のマスクM15は、マスク本体110が、上下3枚に分割された分割布地部111、112、113からなる。なお、このマスクM15も、実施の形態13と同様に、マスク本体110が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部111、112、113のみ示されており、内側にも外側と同様の上下の分割布地部が設けられている。
【0074】
このマスクM15は、その剛性部が、上側の分割布地部111と中間の分割布地部112とを相互に縫い合わせ、かつ中間の分割布地部112と下側の分割布地部113とを相互に縫い合わせ、それら左右方向の縫い合わせラインを、上下の分割布地部111、113を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部114、115から構成されている。このマスクM15の開いた状態を正面から見ると、縫い合わせ部114が、マスク本体100の外側に膨らむ頂部の少し上から左右両端部の上側へ斜めに通るヘの字形に形成されており、縫い合わせ部115は、マスク本体110の頂部の下から左右両端部の下側へ斜めに通る逆ヘの字形に形成されている。つまり、2本の剛性部が、斜め方向に形成されている。
【0075】
このように構成されたマスクM15のマスク本体110の製造方法は、上述の実施の形態13の場合とは分割布地部の形状、枚数は異なるものの、同様の上記方法(c)(d)にて形成することができる。
なお、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0076】
[実施の形態16]
図26は本発明の実施の形態16のマスクを示す正面図である。この実施の形態16のマスクM16は、マスク本体120が、左布地部121と右布地部122からなり、左右中間部に上下方向の縫い合わせ部(剛性部)123を有するものであって、左布地部121は2つの分割布地部分121a、121bからなると共に、右布地部122は2つの分割布地部分122a、122bからなる。なお、このマスクM16も、実施の形態13と同様に、マスク本体120が内外二重構造であり、図面では外側の分割布地部101、102のみ示されており、内側にも外側と同様の左布地部121と右布地部122が設けられている。
【0077】
左布地部121は、耳掛け部25側に設けられた略三角形の上記分割布地部分121bと、左右中間側に設けられ、前記分割布地部分121bの頂部にて食い込まれた形状の上記分割布地部分121aとからなり、各分割布地部分121a、121bの縫い合わせ部(剛性部)124がへの字形に斜め方向に形成されている。これと同様に、右布地部122も、耳掛け部25側に設けられた略三角形の上記分割布地部分122bと、左右中間側に設けられ、前記分割布地部分122bの頂部にて食い込まれた形状の上記分割布地部分122aとからなり、各分割布地部分122a、122bの縫い合わ部(剛性部)125がへの字形に斜め方向に形成されている。なお、縫い合わせ部124、125の屈曲部は、マスク本体120の頂部の辺りとなるように配置されている。
このように構成されたマスクM16は、その左布地部121と右布地部122を開くことにより、内側に呼吸用空間を確保する凹部が形成される。
【0078】
このように構成されたマスクM16のマスク本体120の製造方法は、先に、分割布地部分121a、121bを相互に縫い合わせて左布地部121を形成し、かつ分割布地部分122a、122bを相互に縫い合わせて右布地部122を形成すれば、その後は上述の実施の形態1で説明した方法(a)(b)にて形成することができる。
なお、マスク本体の二重構造の外側部材の代わりに、通気性のカバー(図15参照)を設けるようにしてもよい。
【0079】
[実施の形態17]
図27は本発明の実施の形態17のマスクを示す正面図であり、図28は図27のC−C線断面図である。この実施の形態17のマスクM17は、実施の形態2(図6参照)の変形例であって、耳掛け部25a、25aが耳掛け紐からなり、この耳掛け紐は、その幅の略中央部で折曲げられてマスク本体20の上縁部及び下縁部を挟み込んだ状態で縫い込みにより取り付けられている。この場合、1本の平たい紐の両端をマスク本体20の下縁の左右中間位置で対向するように配置し、下縁を挟み込んだ状態に折り曲げて下縁に沿って縫い込み、かつ紐の長手方向中間位置をマスク本体20の上縁の左右中間位置に配置し、上縁を挟み込んだ状態に折り曲げて上縁に沿って縫い込むことにより、耳掛け部25a、25aの形成及び取り付けが行われる。
このように耳掛け部25a、25aを構成することにより、使用者の頬に耳掛け部の跡が付き難いという利点がある。
【0080】
[実施の形態18]
図29は本発明の実施の形態18のマスクを示す断面図である。このマスクM18は、内外二重構造のマスク本体130の内側からマスク挟持部が省略されたものであって、マスク本体130の外側に通気性のマスクカバー131が着脱可能に設けられ、さらにマスクカバー131とマスク本体130との間の空間にフィルタ18が設けられたものである。このマスクカバー131のマスク本体130への着脱可能な取付構造としては、例えば、マスク本体の外面における上下左右の端部及びマスクカバーの内面の上下左右の端部に、ホックの雄部及び雌部あるいは面状ファスナーのループ部及びフック部をそれぞれ複数個設けるようにしてもよい。
このようにすれば、マスクカバー131をマスク本体130から取り外してフィルタ18の交換が容易であり、マスク本体130とマスクカバー131とを個別に洗濯することもできる。
なお、一重構造のマスク本体にマスクカバー131を着脱可能に取り付けてもよい。
【0081】
[他の実施の形態]
1.上記実施の形態1、2等では、左布地部と右布地部とを縫い合わせた縫い合わせ部を剛性部としたマスクを例示し、実施例12〜14では複数枚の分割布地部を縫い合わせた縫い合わせ部を剛性部としたマスクを例示したが、マスクを一枚の布地から構成し、マスク本体内に芯材からなる剛性部を挿入して中央部分を前方へ湾曲させ保持するように構成してもよい。
2.上記実施の形態1、2等では、マスク本体が外側部材と内側部材を重ねた状態で、その周囲を縫い合わせた二重構造のマスクを例示したが、一重構造のマ スクであってもよい。
3.上記実施の形態1、2等では、マスク本体の正面視形状が一般的な略矩形状の場合を例示したが、マスク本体の形状はこれに限定されず、例えば長円形、 楕円形、円形、多角形(例えば略六角形)、さらに菱形、三角形等であって もよい。
4.上記実施の形態1、2では、耳掛け部がゴム紐からなる場合を例示したが、素材としては伸縮性を有さない紐でもよい。また、実施の形態1において、紐の耳掛け部の両端をネット部に縫い付けるようにすれば、ネット部の伸縮によってマスクを使用者の顔のサイズに対応させることができる。
5.上記実施の形態9、10、11における耳掛け紐は、上端と下端を逆にしてマスク本体に取り付けるようにしてもよい。
6.上記実施の形態1、2、3、4、5におけるポケット布地部は、実施の形態6、7と同様にしてもよい。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、マスク本体の左右中央位置に形成された上下方向の剛性部が前方に突出し、それによって剛性部の内側に上下方向の凹みを形成するので、その凹みに使用者の鼻が収まってマスク本体によって鼻が押さえ付けられず、かつ鼻の下に呼吸用空間が形成されて呼吸を楽に行うことができる。
さらに、マスク本体を、左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とから構成し、左布地部と右布地部とを相互に縫い合わせた縫い合わせラインを剛性部とすることにより、左布地部と右布地部とを単に縫い合わせただけで立体的に外側へ膨らむマスク本体が形成されるため、部材点数が増加することがなく、かつ縫製にもそれほど手間がかからず、低コストにて容易にマスクを製造することができる。また、左布地部と右布地部の隣接する辺縁を重ね合わせて縫い合わされた縫いあわせ部が、縫い合わせ部の膨らみ形状の骨となってその形状を補強し、それによって左布地部及び右布地部が薄い布地であっても上記膨らみ形状が形状保持される。さらに、縫い合わせ部の膨らみ形状の形成にはカップ材のようなものが使用されず、マスク全体が布地からか構成されるので、そのまま手軽に丸洗いすることができると共に、収納時は縫い合わせ部で半分の大きさにきれいに折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るマスクの正面図である。
【図2】同実施の形態1のマスクの平面図である。
【図3】同実施の形態1のマスクの背面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】同実施の形態1のマスクの使用状態を示す説明図である。
【図6】実施の形態2に係るマスクの正面図である。
【図7】実施の形態3に係るマスクの背面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】同実施の形態3のマスクの平面図である。
【図10】同実施の形態3のマスクの使用状態を示す説明図である。
【図11】実施の形態4に係るマスクの背面図である。
【図12】実施の形態5に係るマスクの背面図である。
【図13】実施の形態6に係るマスクの背面図である。
【図14】実施の形態7に係るマスクの背面図である。
【図15】実施の形態8に係るマスクの一部断面の正面図である。
【図16】図13のマスクの一部断面の平面図である。
【図17】実施の形態9に係るマスクの正面図である。
【図18】図16における2点鎖線の円内の部分の拡大断面図である。
【図19】実施の形態10に係るマスクの正面図である。
【図20】実施の形態11に係るマスクの正面図である。
【図21】同実施の形態11のマスクにおける右の耳掛け紐を示す拡大断面図である。
【図22】本発明の実施の形態12のマスクを示す正面図である。
【図23】本発明の実施の形態13のマスクを示す正面図である。
【図24】本発明の実施の形態14のマスクを示す正面図である。
【図25】本発明の実施の形態15のマスクを示す正面図である。
【図26】本発明の実施の形態16のマスクを示す正面図である。
【図27】本発明の実施の形態17のマスクを示す正面図である。
【図28】図26のC−C線断面図である。
【図29】本発明の実施の形態18のマスクを示す断面図である。
【符号の説明】
1、20、50、60、70、80、90、100、110 マスク本体
2、25、25a 耳掛け部(ゴム紐)
4 フィルタ挟持部
11、21、51、121 左布地部
11a、12a 外面布地部
11b、12b 内面布地部
12、22、52、122 右布地部
13、55、93、103、114、115、123 縫い合わせ部
14 頂部
16 呼吸用空間
18 フィルタ
61、66、71 耳掛け紐(耳掛け部)
91、92、101、102、111、112、113 分割布地部
M〜M18 マスク
Claims (46)
- 布地で構成され、少なくとも口と鼻を覆うマスク本体と、一対の耳掛け部とを備え、マスク本体は、その中央部分でかつ上下方向、左右方向及び斜め方向のうちの少なくともいずれか1つの方向に、布地を補強し、着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に布地を前方へ湾曲させ保持する剛性部を備えたことを特徴とするマスク。
- 布地は、外面布地部と内面布地部とからなる二重構造に形成されている請求項1に記載のマスク。
- 剛性部は、その頂部が上下方向の中間位置よりも上位に形成されている請求項1又は2に記載のマスク。
- マスク本体の内側に、フィルタ挟持部が設けられている請求項1〜3の何れか1つに記載のマスク。
- フィルタ挟持部は、少なくともその唇に接する部分が水分をマスクの内側から外側へ移動させる材質にて構成されてなる請求項4に記載のマスク。
- フィルタ挟持部は、少なくともその唇に接する部分に抗菌性が付与されている請求項4又は5に記載のマスク。
- 剛性部が、布地の縫い合わせ部又は接着部にて構成されている請求項1〜6の何れか1つに記載のマスク。
- 剛性部が、マスク本体内に保持されたワイヤ、ゴム、軟質合成樹脂、形状記憶樹脂又はこれらのうちの少なくとも2つを選択してなる複合材料で構成された芯材である請求項1〜6の何れか1つに記載のマスク。
- 上下方向の剛性部を有するマスク本体は、その左右両端部にギャザがさらに設けられてなる請求項1〜8の何れか1つに記載のマスク。
- マスク本体が、左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とからなり、剛性部が、前記左布地部と右布地部とを相互に縫い合わせ又は接着し、その上下方向の縫い合わせライン又は接着ラインを、左布地部と右布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部又は接着部からなる請求項7又は9に記載のマスク。
- 左布地部及び右布地部のそれぞれが、2又はそれ以上の分割布地部分からなり、それらが縫い合わされ又は接着されて分割布地部分毎に湾曲度が異なるように構成されてなる請求項10に記載のマスク。
- マスク本体が、上下複数枚に分割された分割布地部からなり、剛性部が、上側の前記分割布地部と下側の前記分割布地部とを相互に縫い合わせ又は接着し、その左右方向の縫い合わせライン又は接着ラインを、上下の分割布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に前方へ湾曲させた縫い合わせ部又は接着部からなる請求項7に記載のマスク。
- 上下複数枚の分割布地部は、それらが縫い合わされ又は接着されて分割布地部毎に湾曲度が異なるように構成されてなる請求項12に記載のマスク。
- マスク本体の裏面側の上縁近傍でかつ左右1対で設けられ、装着時に両頬から鼻梁へ立ち上がる部分とマスク本体の少なくとも上縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する上部閉塞部材をさらに備えてなる請求項1〜13の何れか1つに記載のマスク。
- 上部閉塞部材が、マスク本体の裏面側の上縁近傍に、内側に折り曲げ可能に取り付けられる弾性フラップである請求項14に記載のマスク。
- 弾性フラップは、その左右中央寄りの内端側が、該フラップを内側に折り曲げたときに鼻梁又はその近傍に沿うように形成されてなる請求項15に記載のマスク。
- 弾性フラップは、該フラップを内側に折り曲げた状態で少なくともその外端部がマスク本体に固定されてなる請求項15又は16に記載のマスク。
- 上部閉塞部材が、マスク本体の裏面側の上縁近傍で、かつ左右中央寄りに付設されるパッド材である請求項14に記載のマスク。
- パッド材が、マスク本体に着脱可能に取り付けられている請求項18に記載のマスク。
- パッド材が、マスク本体の裏面側の上縁近傍に、内側に折り返し可能に取り付けられている請求項18に記載のマスク。
- パッド材が、弾性パッドである請求項18〜20の何れか1つに記載のマスク。
- パッド材が、外力に応じて変形可能な可塑性パッドである請求項18〜20の何れか1つに記載のマスク。
- 可塑性パッドが、流動性を維持する粉体、ゲル状物又は液体を充填封入した袋体からなる請求項22に記載のマスク。
- マスク本体の裏面側の下縁近傍に設けられ、装着時に少なくとも下唇の下部とマスク本体下縁部との間に形成され得る隙間を閉塞する下部閉塞部材をさらに備えてなる請求項1〜23の何れか1つに記載のマスク。
- 下部閉塞部材が、マスク本体の裏面側の下縁近傍に付設される下パッド材である請求項24に記載のマスク。
- 下パッド材が、マスク本体に着脱可能に取り付けられている請求項25に記載のマスク。
- 下パッド材が、マスク本体の裏面側の下縁近傍に、内側に折り返し可能に取り付けられている請求項25に記載のマスク。
- 下パッド材が、下弾性パッドである請求項25〜27の何れか1つに記載のマスク。
- 下パッド材が、外力に応じて変形可能な下可塑性パッドである請求項25〜27の何れか1つに記載のマスク。
- 下可塑性パッドが、流動性を維持する粉体、ゲル状物又は液体を充填封入した袋体からなる請求項29に記載のマスク。
- 耳掛け部が耳掛け紐からなり、この耳掛け紐は、その幅の略中央部で折曲げられてマスク本体の上縁部及び下縁部を挟み込んだ状態で取り付けられている請求項1〜30の何れか1つに記載のマスク。
- 耳掛け部が、耳掛け紐の長さを調節する紐長さ調節部材をさらに備えてなる請求項31に記載のマスク。
- マスク本体又は耳掛け部の少なくともいずれかにアクセサリが設けられている請求項1〜32の何れか1つに記載のマスク。
- マスク本体、耳掛け紐又は紐長さ調節部材の少なくともいずれかにアクセサリが設けられている請求項31に記載のマスク。
- 紐長さ調節部材が、耳掛け紐部分又は耳掛け紐部分とマスク本体の耳掛け紐接続部に設けられている請求項32〜34の何れか1つに記載のマスク。
- マスク本体の外側又は内側の何れかに、マスク本体の外面又は内面を実質的に覆う大きさで、かつ直径が0.3μm以上の大きさの空気中の微粒子を95%以上カットできるろ過能力を有するフィルタ部材がさらに設けられてなる請求項1〜35の何れか1つに記載のマスク。
- フィルタ部材が、マスク本体に着脱可能に取り付けられている請求項36に記載のマスク。
- マスク本体の外側に着脱可能に取り付けられる通気性のマスクカバーをさらに備えてなる請求項1〜37の何れか1つに記載のマスク。
- 左半面を構成する左布地部と右半面を構成する右布地部とを有するマスク本体と、一対の耳掛け紐とを備えたマスクを製造するマスクの製造方法であって、
マスク本体を、左布地片と右布地片とを重ね合せ、左布地片と右布地片とを相互に縫い合わせて又は接着して形成し、かつこの縫い合わせ又は接着に際して、縫い合わせるライン又は接着するラインを、左布地部と右布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に湾曲させることを特徴とするマスクの製造方法。 - 左布地片及び右布地片を、左右対称で、かつ隣接するそれぞれの辺縁が面外方へ凸形に湾曲した形状に予め形成し、左布地片と右布地片とを相互に縫い合わせ又は接着するに際して、重ね合わせた左布地片と右布地片の前記辺縁に沿って縫い合わせる請求項39に記載のマスクの製造方法。
- 左布地片と右布地片とを相互に縫い合わせ又は接着するに際して、重ね合わた左布地片と右布地片の辺縁を面外方へ凸形に湾曲して縫い合わせ又は接着し、その後、その縫い合わせ又は接着した辺縁の余剰部分を縫い合わせライン又は接着ラインに沿ってカットする請求項39に記載のマスクの製造方法。
- 左布地部及び右布地部のそれぞれが、2又はそれ以上の分割布地部分からなり、それらが縫い合わされ又は接着されて分割布地部分毎に湾曲度が異なるように構成されてなる請求項39〜41の何れか1つに記載のマスクの製造方法。
- 上下複数枚に分割された分割布地部を有するマスク本体と、一対の耳掛け紐とを備えたマスクを製造するマスクの製造方法であって、
マスク本体を、上側の分割布地片と下側の分割布地片とを重ね合せ、上下の分割布地片を相互に縫い合わせて又は接着して形成し、かつこの縫い合わせ又は接着に際して、縫い合わせるライン又は接着するラインを、上下の分割布地部を開いて着用した状態で内側に呼吸用空間を形成可能に湾曲させることを特徴とするマスクの製造方法。 - 上下複数枚の分割布地片を、隣接するそれぞれの辺縁が面外方へ凸形に湾曲した形状に予め形成し、上下の分割布地片を相互に縫い合わせ又は接着するに際して、重ね合わせた上下の分割布地片の前記辺縁に沿って縫い合わせ又は接着する請求項43に記載のマスクの製造方法。
- 上下複数枚の分割布地片を相互に縫い合わせ又は接着するに際して、重ね合わた上下の分割左布地片の辺縁を面外方へ凸形に湾曲して縫い合わせ又は接着し、その後、その縫い合わせ又は接着した辺縁の余剰部分を縫い合わせライン又は接着ラインに沿ってカットする請求項43に記載のマスクの製造方法。
- 上下複数枚の分割布地部は、それらが縫い合わされ又は接着されて上下の分割布地部毎に湾曲度が異なるように構成されてなる請求項43〜45の何れか1つに記載のマスクの製造方法。
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