JP2004350565A - 作業車両の昇降制御装置 - Google Patents

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敏之 三輪
Akishi Kuroda
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Abstract

【課題】従来の作業車両においては、作業機を下降させる際には作業機を徐々に減速させるように油圧シリンダの電磁弁の流量制御を行うことにより衝撃を軽減していたが、手動操作により作業機を所定の耕深(耕耘深さ)に保持した状態から上昇させる場合に、上昇開始時には機体に衝撃(ショック)が生じていた。
【解決手段】作業機40をリフトアーム24と連結し、該リフトアーム24を油圧シリンダ25の伸縮により回動して作業機を昇降させるトラクタ201において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁76・77により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動を検知する手段とを制御手段90と接続して昇降制御を行う構成であって、下降時に、所定高さより緩下降させるとともに、該緩下降時の前記リフトアームの角速度を徐々に遅くするように、ソレノイドへの印加電流を制御する。
【選択図】 図21

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車両の本機に対して作業機装着装置を介して作業機を連結し、作業機昇降手段により作業機を昇降制御する技術に関する。
詳細には、作業機昇降手段を構成する油圧シリンダに供給される作動油、または該油圧シリンダから排出される作動油の流量を調節し、回行時など作業機を上昇または下降させる際に油圧シリンダに係る作動油の流量の急激な変化に起因する衝撃を軽減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、作業機装着装置を介して作業機を連結し、作業機昇降手段により作業機を昇降させる作業車両の技術は公知となっている。
また、作業機後部のリアカバーの上端を作業機に回動可能に枢着するとともに、リアカバーの下端を圃場に接触する方向に付勢し、リアカバーの枢着部における回動角を角度センサで検出して、該回動角に基づき耕深(作業機のロータリの圃場への耕耘深さ)を略一定に保持する技術も公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
さらに、枕地旋回終了後に作業機を上に持ち上げた状態(最上げ位置)から所定の耕深(耕耘深さ)となる位置まで下降させる際に、作業機が所定の耕深(耕耘深さ)に到達したときに急激に下降速度を減少させる(ゼロにする)ことに起因する衝撃(ショック)を軽減するとともに、所定の耕深(耕耘深さ)に作業機を精度良く到達させるまでに要する時間を短縮するために、作業機下降の終盤において作業機昇降装置を構成する油圧シリンダの作動油の排出流路を開閉する電磁弁をパルス信号により繰り返し開閉して作業機の下降速度を徐々に減速させる技術は公知となっている。例えば、特許文献2に記載の如くである。
さらにまた、作業機昇降装置を構成する油圧シリンダの作動油の排出流路を開閉する電磁弁を流量調整弁とし、該電磁弁のソレノイド(アクチュエータ)をON/OFFすることにより作動油の流量を調整可能とする技術も公知となっている。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−14806号公報
【特許文献2】
特公平7−16325号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の作業車両においては、作業機を下降させる際には作業機を徐々に減速させるように油圧シリンダの電磁弁を開閉して衝撃を軽減していたが、例えば枕地旋回時において、作業車両の運転席に設けられた手動スイッチ等を操作することにより作業機を所定の耕深(耕耘深さ)に保持した状態から上昇させる場合に、上昇開始時には機体に衝撃(ショック)が生じていた。これは、上昇開始時に油圧シリンダの電磁弁を最初から全開または大きな開度とするため、上昇速度が急激に大きくなることに起因するものであり、作業者にとっては不快であった。
また、図21中の点線で示す如く、従来の作業車両では作業機を昇降するときの電磁弁の印加電流値は時間を横軸に取ったときにステップ状となっていたので、特許文献2に記載の作業車両に比較すれば衝撃は小さいものの、それでも小刻みな振動が生じ、やはり作業者にとっては不快であった。
本発明は上記の如き状況に鑑み、作業機の上昇、下降の開始時および終了時のショックを軽減し、作業者の快適性を向上させると共に作業機の耕深制御の精度を向上させるものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、下降時に、所定高さより緩下降させるとともに、該緩下降時の前記リフトアームの角速度を徐々に遅くするように、ソレノイドへの印加電流を制御するものである。
【0007】
請求項2においては、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、スイッチの操作で作業機を最上げまたは最下げとするとともに、最上げ時から前記スイッチ操作で下げる時、前記電磁比例弁を徐々に開くように、ソレノイドへの印加電流を制御するものである。
【0008】
請求項3においては、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、下降時に、前記ソレノイドへの印加電流の移動平均値を制御して所定高さより緩下降させるものである。
【0009】
請求項4においては、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、
油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、予め作業機を緩下降させる電磁弁の開度のパターンを定めるとともに、該パターンに基づいて緩下降を開始するリフトアームの回動角を設定する昇降速度設定手段を備えるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の一形態であるトラクタの左側面図、図2は本発明の実施の一形態であるトラクタの後部および作業機を示す左側面一部断面図、図3は本発明の実施の一形態であるトラクタの後部および作業機を示す平面図、図4は本発明の実施の一形態であるトラクタの油圧回路を示す図、図5は本発明の実施の一形態であるトラクタの制御手段を示すブロック図、図6はリフトアームの回動角の変化と耕深との関係を示す模式図、図7は偏差と時間との関係の一例を示す図、図8は積分項と時間との関係の一例を示す図、図9は微分項と時間との関係の一例を示す図、図10は微分項に係る操作量と時間との関係の一例を示す図、図11は本実施例の微分項の算出に係るブロック線図、図12は本実施例の微分項と入力値の周波数との関係を示す図、図13は不感帯処理の実施例を示す図、図14は不感帯処理の別実施例を示す図、図15は耕深に係る偏差の符号と操作量の符号とに基づく作業機の昇降指令の実施例を示すフローチャート図、図16は作業機を上昇させる供給弁または下降させる排出弁への信号(電流値)と作動油の流量との関係を示す図、図17は操作量と供給弁または排出弁の流量とを略比例させるための操作量と電流との関係を示す図、図18は操作量の絶対値と供給弁または排出弁の流量との関係を示す図、図19は作業機の耕深の時間による変化の一例を示す図、図20は手動による作業機の昇降開始時における時間と電流との関係を示す図、図21は手動による作業機の昇降終了時における時間と電流との関係を示す図、図22はリフトアーム回動角とリフトアームの角速度との関係を示す図である。
【0011】
まず、図1を用いて本発明の実施の一形態であるトラクタ201の全体構成について説明する。なお本発明は本実施例のトラクタ201に限らず、作業機昇降手段を備える作業車両に広く適用可能である。
【0012】
トラクタ201本機の前後には前輪1・1および後輪2・2が支承され、前部のボンネット6内部にはエンジン5が配置され、該ボンネット6の後方にはステアリングハンドル10が配設されている。ステアリングハンドル10の後方には座席11が配設され、座席11の側部には主変速レバー、副変速レバー、PTO操作レバー等の操作レバー群が配設されている。これらステアリングハンドル10、座席11および操作レバー群等はキャビン12内の運転部に配置されている。
また、キャビン12内には作業機40の耕深(本実施例においてはロータリ41の圃場への耕耘深さ)を設定する耕深設定手段である耕深ダイヤル30(図5に図示)が設けられている。作業者は耕深ダイヤル30を操作して、所望の耕深を設定する。
【0013】
エンジン5の後部にはクラッチハウジング7が配置され、クラッチハウジング7の後部にミッションケース9が配設され、エンジン5からの駆動力を前輪1・1および後輪2・2に伝達して駆動する。なお、トラクタ201を後輪駆動方式としても、専用のクラッチを介して前輪1・1への駆動力の伝達・遮断を切換可能な方式としても、常に前輪1・1に駆動力を伝達する方式としてもよく、限定されない。
【0014】
また、前記エンジン5の駆動力はミッションケース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて、該PTO軸15から図示しないユニバーサルジョイント等を介して車両後端に作業機装着装置20を介して装着した作業機40を駆動するように構成している。そして、前記座席11前下方のステップ上にはクラッチを断接操作するためのクラッチペダルやブレーキペダル等が配設されている。
【0015】
さらに、本実施例においては、トラクタ201の底面において四つの車輪である前輪1・1および後輪2・2の中心となる位置に超音波センサ等の距離センサ58を取り付け、トラクタ201の底面部と圃場表面との距離Lを測定することが可能であるとともに、トラクタ201の前後方向の傾斜角(傾斜角θ3)を、トラクタ201の機体に設けられた傾斜角検出手段である前後傾斜センサ60(図5に図示)により検出することが可能である。
なお、前記傾斜角θ3は、図1に示す如く、トラクタ201の機体の長手方向と水平方向(重力の作用する方向に垂直な面(水平面)上に機体の長手方向を投影した方向)との成す角度である。そして、水平面に平行な地面にトラクタ201が接地しているときに、機体の長手方向と水平方向とは互いに平行になる。
【0016】
以下では図1、図2および図3を用いて作業機装着装置20について説明する。作業機装着装置20は主に上部リンク21および下部リンク22・22の計三本のリンクからなる。
上部リンク21の一端はミッションケース9の後面に機体後方に向けて突設されたブラケット23に上下回動可能に枢着され、他端は作業機40の前上部に上下回動可能に枢着される。
下部リンク22・22の一端は機体後下端部の左右にそれぞれ上下回動可能に枢着され、他端は作業機40の前下部に上下回動可能に枢着される。
また、トラクタ201の機体後部にはリフトアーム24・24の一端が回動可能に枢着され、リフトアーム24・24の他端にはリフトロッド26・26の一端が回動可能に枢着され、リフトロッド26・26の他端は下部リンク22・22の中途部に回動可能に枢着される。
【0017】
昇降用油圧シリンダ25・25のシリンダ側端部はミッションケース9の後下部左右側面に回動可能に枢着され、昇降用油圧シリンダ25・25のロッド側端部は左右のリフトアーム24・24の中途部に回動可能に枢着される。
昇降用油圧シリンダ25・25を伸縮させるとリフトアーム24・24が回動し、リフトロッド26・26を介して下部リンク22・22が回動する。従って、トラクタ201の機体に対して作業機40を上下方向に昇降させる事が可能である。
このとき、上部リンク21も下部リンク22・22の回動に伴い回動するが、リフトアーム24の長手方向とトラクタ201の機体の前後方向とが成す角度(図1に示すθ1であり、以後「リンク回動角」と呼ぶ)を検知するためのリンク回動角検出手段であるリフトアーム回動角センサ28が、リフトアーム24根元部の回動支点に設けられている。
【0018】
左右のリフトロッド26・26のうち、一方のリフトロッド26(本実施例では、機体左側のリフトロッド26)の中途部には、作業機40を左右方向(トラクタ201の左側方または右側方に傾斜する方向)に回動させるための傾倒用油圧シリンダ27が介装される。
傾倒用油圧シリンダ27を伸縮させることにより、機体左側方の(傾倒用油圧シリンダ27が介装された方の)リフトロッド26の長さが機体右側方のリフトロッド26に対して変化し、作業機40がトラクタ201の機体に対して右側方または左側方に傾斜する。従って、作業機40を用いた作業中において、圃場の状況によりトラクタ201の機体が左側方または右側方に傾斜した場合でも、作業機40を圃場に対して所定の姿勢(例えば、本実施例における作業機40のロータリ41の右端部と左端部の耕深が略同じとなる姿勢)に保持することが可能である。
なお、作業機40の左右側方への傾斜角は、トラクタ201の機体側に設けられた左右傾斜センサ59(図5に図示)の検出値(傾斜角θ4)に基づいて調整される。
【0019】
以下では図1、図2および図3を用いて作業機40について説明する。なお、本実施例の作業機40はロータリ式の耕耘機であるが、これに限定されず、他の形式の耕耘機やプラウ等でも良い。
作業機40は主に、耕耘爪軸と耕耘爪からなるロータリ41、ギアケース42、メインビーム44・44、チェーンケース45、サイドサポート46、アッパーカバー47、リアカバー48、ハンガーロッド49、リンク部材52等で構成される。
作業機40の左右中央上部にはギアケース42が配設される。該ギアケース42の前部には入力軸が突出しており、ユニバーサルジョイント43等の駆動力伝達手段を介してPTO軸15と連結されている。
【0020】
ギアケース42の左右側方にはメインビーム44・44が突設され、左側方に突設されたメインビーム44の左端部にはチェーンケース45、右側方に突設されたメインビーム44の右端部にはサイドサポート46が設けられる。
チェーンケース45とサイドサポート46の間にはロータリ41が横架され、ロータリ41の回転軸の両端がそれぞれチェーンケース45とサイドサポート46に前後回転自在に軸支される。ギアケース42の入力軸に伝達された駆動力は、ギアケース42、左側方に突設されたメインビーム44、およびチェーンケース45内に設けられた駆動力伝達機構(ベベルギアや駆動力伝達軸、スプロケット、チェーンなど)によりロータリ41の回転軸(耕耘爪軸)に伝達され、該ロータリ41を回転駆動する。ロータリ41は圃場を耕耘するためのものであり、回転軸(耕耘爪軸)の半径方向には複数の耕耘爪が植設されている。
【0021】
また、チェーンケース45とサイドサポート46との間にアッパーカバー47が横架される。該アッパーカバー47はちょうどロータリ41の上方を覆う位置に配設され、ロータリ41により耕耘された圃場の土が周囲に飛散しないようにし、前後回動可能に構成されている。そして、アッパーカバー47の後端にはリアカバー48の上端が回動支点47bにて回動可能に枢着される。
【0022】
リアカバー48はロータリ41により耕耘された圃場の土が周囲に飛散しないように覆うとともに、ロータリ41の圃場への耕耘深さ(耕深)を検知する機能を兼ねている。
アッパーカバー47上面に突設されたブラケット47a・47aとリアカバー48上面中途部に形成された枢着部48a・48aとの間には、ハンガーロッド49・49が介装される。該ハンガーロッド49・49は伸縮可能であり、かつ巻きバネ等の付勢部材が外嵌されている。従って、リアカバー48は、回動支点47bを中心として下方に回動し、リアカバー48の下端が圃場表面に接触するよう付勢されている。
【0023】
リアカバー48上面には第一フィードバックロッド50が突設され、該第一フィードバックロッド50の上端には第一フィードバックワイヤ51の一端が取り付けられる。
一方、第一フィードバックワイヤ51の他端はギアケース42の左側面上部に設けられたリンク部材52の第一作動アーム52aの先端部に取り付けられる。該リンク部材52は第一作動アーム52aと第二作動アーム52bの二本の作動アームを備えており、作業機40が作業機装着装置20を介してトラクタ201に連結されているときは、第一作動アーム52aと第二作動アーム52bとは根元部において一体となって回動可能に枢着されている。
【0024】
第二フィードバックワイヤ53の一端は第二作動アーム52bの先端部に取り付けられ、第二フィードバックワイヤ53の他端は第二フィードバックロッド54の先端部に取り付けられる。第二フィードバックロッド54の根元部はリアカバー回動角センサ57の回動軸に固設されている。例えば、耕深が深くなって下端部にて圃場と接触しているリアカバー48が上方に回動すると、第一フィードバックワイヤ51がリアカバー48側に引き寄せられ、該リンク部材52の第一作動アーム52aおよび第二作動アーム52bが後方に回動される。そして、第二フィードバックワイヤ53がリンク部材52側に引き寄せられてリアカバー回動角センサ57の回動軸が後方に回動される。
【0025】
従って、リアカバー48の下端部と回動支点47bとを結ぶ直線と、トラクタ201の機体の前後方向とが成す角度(図1に示すθ2であり、以後「リアカバー回動角」と呼ぶ)を、リアカバー回動角センサ57により検知することが可能である。
なお、作業機40をトラクタ201から取り外す際には、リンク部材52を第一作動アーム52aが作業機40に取り付けられ、第二作動アーム52bが作業機装着装置20に取り付けられた状態に分離することが可能である。
このように構成することにより、作業機40をトラクタ201から着脱する度にフィードバックワイヤの着脱作業およびフィードバックワイヤの作動量の調整作業を行う必要がなく、作業性に優れる。
【0026】
本実施例においては、昇降用油圧シリンダ25・25、昇降用油圧シリンダ25・25を作動させるための油圧回路(図4に図示)、および該昇降用油圧シリンダ25・25の伸縮を制御する制御手段90(図5に図示)等が、作業機40をトラクタ201に対して上下方向に昇降させる「作業機昇降手段」に相当する。
また、本実施例においては、傾倒用油圧シリンダ27、傾倒用油圧シリンダ27を作動させるための油圧回路(図4に図示)、および該傾倒用油圧シリンダ27の伸縮を制御する制御手段90(図5に図示)等が、作業機40をトラクタ201に対して左右方向に傾斜させる「作業機傾斜手段」に相当する。
【0027】
以上の如き構成のトラクタ201においては、図1に示す耕深Hをリフトアーム回動角センサ28により検知されるリンク回動角θ1と、リアカバー回動角センサ57により検知されるリアカバー回動角θ2の二つを変数とする関数F1(θ1、θ2)として表す(H=F1(θ1、θ2))ことが可能である。なお、関数F1(θ1、θ2)に係る情報(耕深Hとリンク回動角θ1とリアカバー回動角θ2の関係に係る情報)は、実験等により予め求められており、後述する制御手段90(より厳密にはデータ記憶部92)に記憶されている。
なお、関数F1(θ1、θ2)は作業車両の種類やリフトアーム24、上部リンク21、下部リンク22・22の形状、作業機の種類等により幾何学的に(計算により)求めることも可能である。
【0028】
以下では、図4を用いて本実施例のトラクタ201の作業機昇降手段に係る油圧回路構成について説明する。
本実施例のトラクタ201においてミッションケース9内の潤滑油を兼ねる作動油は、ミッションケース9の底部9aに貯溜されている。本実施例では該作動油を各種油圧装置に圧送するための油圧ポンプとして、ミッション系油圧ポンプ61およびリフト系油圧ポンプ62の二つが備えられている。
ミッション系油圧ポンプ61はパワーステアリング機構や油圧クラッチで構成される主クラッチ、変速機および四輪駆動時の倍速機構やブレーキに作動油を供給する。
リフト系油圧ポンプ62は作業機40の昇降を行う昇降用油圧シリンダ25および傾倒用油圧シリンダ27に作動油を供給する。
【0029】
ミッションケース9の底部9aに貯溜されている作動油は、リフト系油圧ポンプ62により油圧配管68を経て分流弁64に圧送される。
機外油圧取出部63はリフト系油圧ポンプ62と分流弁64との間における油圧配管68の中途部に設けられ、作業機等(トラクタ201の機体外部)において油圧により駆動力を得たい場合に用いられる。機外油圧取出部63はバルブ65、取出側油圧配管66a、戻り側油圧配管66b、リリーフ弁67等で構成される。
取出側油圧配管66aおよび戻り側油圧配管66bの一端は油圧配管68と連通している。取出側油圧配管66aは戻り側油圧配管66bよりも上流側(リフト系油圧ポンプ62に近い側)に接続され、油圧配管68において取出側油圧配管66aと戻り側油圧配管66bとで挟まれる部分にはバルブ65が設けられる。バルブ65は通常時(作業機等において油圧により駆動力を必要としない時)には開いた状態としておく。
【0030】
作業機等において油圧により駆動力を得たいときは、取出側油圧配管66aの先端と作業機の作動油導入口とを連結し、戻り側油圧配管66bの先端と作業機の作動油戻し口とを連結するとともに、バルブ65を閉じる。
リフト系油圧ポンプ62から圧送されてくる作動油は取出側油圧配管66aを経て作業機に供給されて駆動力を伝達し、戻り側油圧配管66bを経て油圧配管68に戻ってくる。
【0031】
分流弁64まで圧送されてきた作動油の一部は油圧配管69を経て切替弁70に送られるとともに、作動油の残りは油圧配管72を経て油圧ケース73に送られる。
【0032】
切替弁70は電磁式の切替弁であり、「中立位置」、「シリンダ伸長位置」、「シリンダ短縮位置」の三つの位置を取ることができる。
「中立位置」では油圧配管71の一端と油圧配管69とが連通される。油圧配管71の他端はミッションケース9の底部9aと連通している。従って、「中立位置」では傾倒用油圧シリンダ27は作動しない。
「シリンダ伸長位置」では、傾倒用油圧シリンダ27の根元側と連通する油圧配管74aと油圧配管69とが連通されるとともに、傾倒用油圧シリンダ27のロッド側と連通する油圧配管74bと油圧配管71とが連通される。従って、「シリンダ伸長位置」では傾倒用油圧シリンダ27が伸長する。本実施例では傾倒用油圧シリンダ27は機体左側のリフトロッド26に介装されているので、作業機40は傾倒用油圧シリンダ27が伸長するとトラクタ201に対して作業機40の左端が下方に傾斜した姿勢となる。
「シリンダ短縮位置」では、傾倒用油圧シリンダ27の根元側と連通する油圧配管74aと油圧配管71とが連通されるとともに、傾倒用油圧シリンダ27のロッド側と連通する油圧配管74bと油圧配管69とが連通される。従って、「シリンダ短縮位置」では傾倒用油圧シリンダ27が短くなる。本実施例では傾倒用油圧シリンダ27は機体左側のリフトロッド26に介装されているので、作業機40は傾倒用油圧シリンダ27が短くなるとトラクタ201に対して作業機40の右端が下方に傾斜した姿勢となる。
【0033】
油圧配管72を経て圧送されてきた作動油はミッションケース9の上面に設けられた油圧ケース73内に導入される。油圧ケース73の後部はリフトアーム24・24の根元側が回動可能に枢着される。
油圧ケース73上面にはフロートコントロール弁75、作業機上昇用切替弁76、作業機下降用切替弁77、切替弁78および切替弁79の計五個の弁が設けられる。
また、油圧ケース73下部には上記五個の弁のポートや油圧配管群を連通するための油路群が形成される。
【0034】
フロートコントロール弁75は、油圧配管72の端部72aと戻り油圧配管80の端部80aとを連通する位置(ドレン位置)と、油圧配管72の端部72aと戻り油圧配管80の端部80aとが遮断される位置(遮断位置)の二つの位置を取ることが可能である。
【0035】
作業機上昇用切替弁76は電磁式の流量調整弁であり、該作業機上昇用切替弁76を作動させるアクチュエータ(ソレノイド)に入力する電流値を変化させることにより、「非作動位置」と「作動位置」の二つの位置の間で任意の位置を取る(すなわち、作業機上昇用切替弁76を通過する作動油の流量を連続的に変化させる)ことが可能である。
【0036】
作業機下降用切替弁77は電磁式の流量調整弁であり、該作業機下降用切替弁77を作動させるアクチュエータ(ソレノイド)に入力する電流値を変化させることにより、「非作動位置」と「作動位置」の二つの位置の間で任意の位置を取る(すなわち、作業機下降用切替弁77を通過する作動油の流量を連続的に変化させる)ことが可能である。
【0037】
切替弁78は、油圧配管72の端部72bが閉塞される位置(非作動位置)と、油圧配管72の端部72bと油圧配管81の端部81aとを連通する位置(作動位置)の二つの位置を取ることが可能である。
【0038】
切替弁79は油圧配管81の端部81bが閉塞される位置(非作動位置)と、油圧配管81の端部81bと戻り油圧配管82の端部82aとが連通する位置(作動位置)の二つの位置を取ることが可能である。
【0039】
以下では作業機上昇用切替弁76が「非作動位置」を取り、作業機下降用切替弁77が「非作動位置」を取る時の作業機40(昇降用油圧シリンダ25)の挙動について説明する。
作業機上昇用切替弁76が「非作動位置」を取り、作業機下降用切替弁77が「非作動位置」を取る時、油圧配管72の中途部より分岐した油路83の端部83aが閉塞され、切替弁78を非作動位置から作動位置に切り替えるための油路84と、油路83とが遮断される。従って、切替弁78は非作動位置を取り、油圧配管72内の作動油は油圧配管81には圧送されない。よって昇降用油圧シリンダ25は伸長せず、リフトアーム24は上方に回動しない。
また、油圧配管81の端部81a・81b・81cがいずれも閉塞される(厳密には、端部81cと連通する作業機下降用切替弁77内の油路の中途部に設けられた逆止弁により、端部81cは閉塞されたのと略同じ状態となる)とともに、油路83の端部83bが閉塞される。よって、昇降用油圧シリンダ25側の作動油が油圧ケース73内を通過してミッションケース9の底部9aに戻ることがなく、作業機40の自重により昇降用油圧シリンダ25が短くなりリフトアーム24が下方に回動することがない。
すなわち、昇降用油圧シリンダ25の長さは変化せず、作業機40はトラクタ201に対して上昇も下降もしない。
なお、油圧配管72内の油圧が所定値以上となると、フローコントロール弁75が遮断位置からドレン位置に切り替わり、戻り油圧配管80を経て余剰の作動油がミッションケース9の底面9aに戻される。
【0040】
以下では作業機上昇用切替弁76が「作動位置」を取り、作業機下降用切替弁77が「非作動位置」を取る時の作業機40(昇降用油圧シリンダ25)の挙動について説明する。
作業機上昇用切替弁76が「作動位置」を取り、作業機下降用切替弁77が「非作動位置」を取る時、油圧配管72の中途部より分岐した油路83の端部83aと切替弁78を非作動位置から作動位置に切り替えるための油路84とが連通される。また、油圧配管81の端部81a・81b・81cがいずれも閉塞される(厳密には、端部81cと連通する作業機下降用切替弁77内の油路の中途部に設けられた逆止弁により、端部81cは閉塞されたのと略同じ状態となる)とともに、油路83の端部83bが閉塞される。
従って、切替弁78は作動位置を取り、油圧配管72内の作動油は油圧配管81に圧送され、昇降用油圧シリンダ25に供給される。よって昇降用油圧シリンダ25は伸長し、リフトアーム24は上方に回動する。
なお、油圧配管72内の油圧が所定値以上となると、フローコントロール弁75が遮断位置からドレン位置に切り替わり、戻り油圧配管80を経て余剰の作動油がミッションケース9の底面9aに戻される。
【0041】
以下では作業機上昇用切替弁76が「非作動位置」を取り、作業機下降用切替弁77が「作動位置」を取る時の作業機40(昇降用油圧シリンダ25)の挙動について説明する。
作業機上昇用切替弁76が「非作動位置」を取り、作業機下降用切替弁77が「作動位置」を取る時、油圧配管72の中途部より分岐した油路83の端部83aが閉塞され、切替弁78を非作動位置から作動位置に切り替えるための油路84と、油路83とが遮断される。従って、切替弁78は非作動位置を取り、油圧配管72内の作動油は油圧配管81には圧送されない。また、フロートコントロール弁75を遮断位置側に付勢するとともに切替弁79を作動位置に切り替えるための油路85の端部85aと油路83の端部83aとが連通し、戻り油圧配管82の端部82bと油圧配管81の端部81cとが連通するので、昇降用油圧シリンダ25側の作動油が油圧ケース73内を通過して、戻り油圧配管82を経てミッションケース9の底部9aに戻る。
すなわち、作業機40の自重により昇降用油圧シリンダ25内の作動油がミッションケース9の底部9aに圧送されて昇降用油圧シリンダ25が短くなり、リフトアーム24が下方に回動する。
なお、油圧配管72内の油圧が所定値以上となると、フローコントロール弁75が遮断位置からドレン位置に切り替わり、戻り油圧配管80を経て余剰の作動油がミッションケース9の底面9aに戻される。
【0042】
以下では、図5を用いて本実施例のトラクタ201に係る制御手段90について説明する。
制御手段90はトラクタ201に設けられた各種センサ(より具体的には、リフトアーム回動角センサ28、リアカバー回動角センサ57、前後傾斜センサ60、距離センサ58、左右傾斜センサ59)からの入力信号に基づいて作業機40の耕深を算出し(以後、算出された耕深を「算出耕深」と呼ぶ)、耕深ダイヤル30により設定された耕深の設定値(以後、「設定耕深」と呼ぶ)と比較して、作業機40の耕深が目標耕深を精度良く保持するように作業機40の昇降および左右傾倒を行うものであり、主にCPU91とデータ記憶部92とで構成される。
CPU91は各種入力信号およびデータ記憶部92に記憶された各種データを基に算出耕深等を算出するための演算処理を行う。
データ記憶部92には、前記関数F1(θ1、θ2)に係る情報(耕深Hとリンク回動角θ1とリアカバー回動角θ2の関係に係る情報)が記憶される。
なお、本実施例では該データ記憶部92としてEEPROM(Electrionically Erasable and Programmable Read Only Memory:不揮発性半導体メモリの一種で、電気的に内容を書き込み可能な読み出し専用記憶装置)を用いたが、その他の形式のROMや他の記憶媒体などでも良い。また、制御手段90は、トラクタ201を構成する他の構成部材を制御するための別の制御手段と別体としても、一体としても良い。
【0043】
CPU91への入力信号としては、リフトアーム回動角センサ28により検出されたリンク回動角θ1に関する信号、リアカバー回動角センサ57により検出されたリアカバー回動角θ2に関する信号、前後傾斜センサ60により検出された傾斜角θ3に関する信号、距離センサ58により検出された距離Lに関する信号、左右傾斜センサ59により検出された傾斜角θ4に関する信号、耕深ダイヤル30により設定された設定耕深に関する信号、等が挙げられる。
【0044】
一方、CPU91からの出力信号としては、昇降用油圧シリンダ25・25(より厳密には、作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77)を作動させるための信号、傾倒用油圧シリンダ27(より厳密には、切替弁70)を作動させるための信号、等が挙げられる。
【0045】
以上の如き構成の本実施例のトラクタ201は以下の如き利点を有する。
すなわち、従来の作業車両においては、耕深Hをリアカバー回動角θ2のみを用いて求めていたが、作業車両に対して作業機が昇降する(リンク回動角θ1が変化する)と、作業機装着装置は平行リンクではないため作業機の作業車両に対する前後方向の傾きが変化する(作業機が機体に対して前下がりまたは後下がりの姿勢となる)。従って、同じリアカバー回動角θ2であっても耕深Hが変化する場合がある。
つまり、リアカバー回動角センサ57はリアカバー48のアッパーカバー47に対する回動角θ2を検知する構造となっているため、図6に示すように、リフトアーム24・24の回動角がα1でリアカバー48の回動角がβ1の時の耕深をH1とした時、作業機40を上昇させてリフトアーム24・24の回動角がα2となった時にも、リアカバー48の回動角がβ1となる位置が存在する。このとき、耕深はH2となり、リアカバー48の回動角が同じβ1であるにもかかわらず前記耕深H1よりも深くなる(H1<H2となる)。そこで、リフトアーム24・24の角度に対してリアカバー48の角度と耕深との関係をマップ状のデータとしてデータ記憶部92に記憶させておくのである。
すなわち、本実施例のトラクタ201は作業機装着装置20を介して作業機40を連結し、作業機昇降手段により作業機40を昇降させる構成であり、作業機装着装置20のリフトアーム24の回動角を検出するリフトアーム回動角センサ28と、作業機40のリアカバー48の回動角を検出するリアカバー回動角センサ57とを備え、リフトアーム回動角センサ28により検出されたリンク回動角θ1と、リアカバー回動角センサ57により検出されたリアカバー回動角θ2と、に基づいて耕深H(作業機40の圃場に対する高さと略同じ)を制御手段90で算出するようにしたので、作業機40が昇降しても耕深Hを精度良く把握することが可能であり、耕耘作業時の耕深制御の精度が向上する。
なお、上記の耕深制御は、耕耘作業以外の目的で使用される作業機においても、圃場に対する高さ制御を行う場合に広く適用可能である。
【0046】
また、前記傾斜センサ59により求められるトラクタ201の左右側方への傾斜角度(傾斜角θ3)を併用して、耕深Hをリンク回動角θ1、リアカバー回動角θ2、傾斜角θ3の三つを変数とする関数F2(θ1、θ2、θ3)として求めることも可能である。
例えば、トラクタ201の前輪1・1が耕盤の凸部に乗り上げて機体が後ろ下がりに傾斜した場合、前記リンク回動角θ1とリアカバー回動角θ2とにより制御していると、機体後方が下がるので、耕深は深くなってしまう。そこで、機体の前後方向の傾斜角θ3を検出して、その前後方向の傾斜角θ3に応じて耕深が設定値となるリアカバー回動角度を演算し、該リフトアーム24の回動角度を制御するのである。具体的には、機体前部が上がればリフトアーム24をその分上昇させ、機体後部が上昇すればその分リフトアーム24を下降させるのである。
すなわち、本実施例のトラクタ201は作業機装着装置20を介して作業機40を連結し、作業機昇降手段により作業機40を昇降させる構成であり、作業機装着装置20のリフトアーム24の回動角を検出するリフトアーム回動角センサ28と、作業機40のリアカバー48の回動角を検出するリアカバー回動角センサ57と、トラクタ201の前後方向の傾斜角を検出する前後傾斜センサ60とを備え、リフトアーム回動角センサ28により検出されたリンク回動角θ1と、リアカバー回動角センサ57により検出されたリアカバー回動角θ2と、前後傾斜センサ60により検出された傾斜角θ3と、に基づいて耕深H(作業機40の圃場に対する高さと略同じ)を算出するので、圃場の凹凸によりトラクタ201の前後方向の傾きが変化して、作業機40の前後方向の傾斜角度が変化しても、耕深Hを精度良く把握することが可能であり、耕耘作業時の耕深制御の精度をより向上することができる。
【0047】
さらに、図1に示す如く、トラクタ201の底面部と圃場表面との距離Lを耕深制御に用いて、耕深Hをリンク回動角θ1、リアカバー回動角θ2、距離Lの三つを変数とする関数F3(θ1、θ2、L)として求めることも可能である。例えば、硬い圃場に対して軟弱な圃場の作業では作業車両本機は沈んで走行することになるため、同じ耕深作業を行う場合、作業機の位置は本機に対して硬い圃場よりも軟弱な圃場の場合の方が高くなるので、リフトアーム24の回動角もリアカバー48の回動角も沈む量に応じて変更する必要がある。この沈む量を距離センサ58で検知して、その沈む量に応じて耕深の設定値のリアカバー角度を演算し、リフトアーム24の回動角度を制御するのである。
すなわち、本実施例のトラクタ201は作業機装着装置20を介して作業機40を連結し、作業機昇降手段により作業機40を昇降させる構成であり、
作業機装着装置20のリフトアーム24の回動角を検出するリフトアーム回動角センサ28と、作業機40のリアカバー48の回動角を検出するリアカバー回動角センサ57と、トラクタ201底面と圃場との距離を検出する距離センサ58とを備え、リフトアーム回動角センサ28により検出されたリンク回動角θ1と、リアカバー回動角センサ57により検出されたリアカバー回動角θ2と、距離センサ58により検出されたトラクタ201の底面と圃場との距離Lと、に基づいて耕深H(作業機40の圃場に対する高さと略同じ)を算出するので、作業機40が昇降しても、圃場の状況(例えば、圃場の凸部に前輪1・1が乗り上げて後下がりになっているとか、圃場の凹部に後輪2・2がはまり込んで後下がりになっているなど)が変化しても、耕深Hを精度良く把握することが可能であり、耕耘作業時の耕深制御の精度が向上する。
【0048】
さらにまた、図1に示す如く、トラクタ201の底面部と圃場表面との距離Lを耕深制御に用いて、耕深Hをリンク回動角θ1、リアカバー回動角θ2、傾斜角θ3、距離Lの四つを変数とする関数F4(θ1、θ2、θ3、L)として求めることも可能である。
すなわち、本実施例のトラクタ201は作業機装着装置20を介して作業機40を連結し、作業機昇降手段により作業機40を昇降させる構成であり、
作業機装着装置20のリフトアーム24の回動角を検出するリフトアーム回動角センサ28と、作業機40のリアカバー48の回動角を検出するリアカバー回動角センサ57と、トラクタ201の前後方向の傾斜角を検出する前後傾斜センサ60と、トラクタ201底面と圃場との距離を検出する距離センサ58とを備え、リフトアーム回動角センサ28により検出されたリンク回動角θ1と、リアカバー回動角センサ57により検出されたリアカバー回動角θ2と、前後傾斜センサ60により検出された傾斜角θ3と、距離センサ58により検出されたトラクタ201の底面と圃場との距離Lと、に基づいて耕深H(作業機40の圃場に対する高さと略同じ)を算出するので、作業機40が昇降しても、圃場の凹凸によりトラクタ201の前後方向の傾きが変化して、作業機40の前後方向の傾斜角度が変化しても、圃場の状況(例えば、圃場の凸部に前輪1・1が乗り上げて後下がりになっているとか、圃場の凹部に後輪2・2がはまり込んで後下がりになっているなど)が変化しても、耕深Hを精度良く把握することが可能であり、耕耘作業時の耕深制御の精度が向上する。
【0049】
なお、本実施例では、リンク回動角検出手段としてリフトアーム回動角センサ
なお、本実施例では、リンク回動角検出手段としてリフトアーム回動角センサ28をリフトアーム24とトラクタ201の機体との回動支点に設けて、リフトアーム24の回動角を検出したが、リフトアーム回動角センサ28の取付位置は他の場所でも良く、限定されない。また、上部リンク21または下部リンク22・22の回動角を検出してこれをリンク回動角θ1として用いても良い。さらに、昇降用油圧シリンダ25・25の長さをリニアスケールやロータリエンコーダで検出し、これをリンク回動角θ1の代用としても良い。
【0050】
また、本実施例では、リアカバー回動角検出手段であるリアカバー回動角センサ57はトラクタ201の機体側に取り付けられていたが、リアカバー回動角センサ57を作業機40に取り付けても良い。
【0051】
さらに、本実施例では、傾斜角検出手段である左右傾斜センサ59はトラクタ201の機体側に取り付けられていたが、左右傾斜センサ59を作業機40側に取り付けても良い。
【0052】
また、本実施例においては四つの車輪である前輪1・1および後輪2・2の中心となる位置に一個の距離センサ58を設けたが、距離センサを複数設けても良く、個数は限定されない。また、作業車両底面部における距離センサの配設位置も四つの車輪である前輪1・1および後輪2・2の中心に限定されず、機体前部や機体後部に距離センサ58を配設しても良い。
【0053】
さらに、本実施例では、作業機40はトラクタ201の後部に配置されているが、作業車両前部にPTO軸および作業機装着装置を設け、作業車両前部に作業機を連結する構成としても良い。
【0054】
以下では、図7から図15を用いて制御手段90にて行われる作業機40の耕深制御方法の実施例について説明する。
【0055】
従来の作業車両における作業機の耕深制御は、主にP動作(比例動作)とI動作(積分動作)とを組み合わせたPI制御で行っていたが、応答性に問題があった(算出耕深Hcを設定耕深Hsに短時間で近づけるのが困難であった)ので、本実施例においてはP動作およびI動作にD動作(微分動作)を加えたPID制御を用いて耕深制御を行うこととした。
ただし、単にD動作を加えると応答性が向上する反面、周波数応答における周波数が高くなる場合(例えば耕耘作業中の作業機のロータリが局部的に圃場表面から浅い位置にある地中の硬い地層に接触して上方に跳ね上げられる場合や、圃場表面に細かい凹凸が連続する場合など)には、PID制御により作業機に与えられる作業機の上下方向の操作量が過度に大きくなり、作業機が上下方向に揺動(ハンチング)して、耕深制御がかえって不安定になる場合がある。
そこで、本実施例のトラクタ201の耕深制御においては、D動作(微分動作)の高周波数域における操作量を小さくして、作業機の応答性を向上させつつ、耕深制御の安定性(ハンチング防止)を確保することとした。
【0056】
また、設定耕深と算出耕深との差(偏差)が同一符号で長時間保持される場合(すなわち、応答性が良くない場合)、I動作を耕深制御に用いると、I動作に係る操作量が大きくなり、これも作業機のハンチングの原因となっていた。そこで、従来の耕深制御においてはI動作に係る操作量を所定の周期、または設定耕深から所定の範囲に算出耕深が到達した時点でリセット(積分項をゼロにする)し、リセットした時点から再び積分項の算出を行っていた。しかし、この方法はリセットした時点で操作量が大きく変化し、作業機の昇降による衝撃(ショック)が発生するため、作業車両の作業者にとって不快であるとともに耕深制御の安定性を低下させる原因となっていた。
そこでI動作における操作量の算出方法を変更し、I動作に係る操作量をリセットしたときのショックを軽減し、耕深制御の安定性を向上させることとした。
【0057】
まず、ある時刻tにおいて、リフトアーム回動角センサ28により検出されたリンク回動角θ1、リアカバー回動角センサ57により検出されたリアカバー回動角θ2、前後傾斜センサ60により検出された傾斜角θ3、距離センサ58により検出されたトラクタ201の底面と圃場との距離Lに基づいて、算出耕深(以後Hc(t)と表記する)が求められる。Hc(t)の算出方向については前記関数F1(θ1、θ2)、関数F2(θ1、θ2、θ3)、関数F3(θ1、θ2、L)、関数F4(θ1、θ2、θ3、L)のいずれを用いても良い。また、他の方法で算出耕深を求めても良い。
次に、耕深ダイヤル30からの入力信号に基づき、ある時刻tにおける設定耕深(以後Hs(t)と表す)が設定される。
【0058】
次に、設定耕深Hs(t)と算出耕深Hc(t)との偏差E(t)を求める。なお、設定耕深Hs(t)と算出耕深Hc(t)と偏差E(t)との間には、E(t)=Hs(t)−Hc(t)が成立する。
この偏差E(t)は本実施例の作業機40の耕深制御におけるP動作の操作量Upを決めるものであり、該操作量Upは以下の(式1)で表される。
Up=Kp×E(t) (式1)
ここで、Kpは比例ゲインと呼ばれる係数であり、作業車両の種類、作業機の種類および作業の方法や圃場の状況に応じて適宜設定される。
【0059】
以下では、図7から図9を用いて本実施例の耕深制御におけるI動作の操作量Uiを決める積分項(以後、A(t)と表記する)の算出方法について説明する。
なお、以後の説明では本実施例におけるD動作の操作量Udを決める微分項をB(t)と表記する。
【0060】
図7から図9は、スタート時刻から時刻t4までの偏差E(t)、積分項A(t)、微分項B(t)の変化の一例を示している。偏差E(t)は、スタート時刻ではゼロであり、スタート時刻から時刻t1までは増加し、時刻t1から時刻t4までは減少し、時刻t4で再びゼロとなった場合を想定している。
なお、「偏差E(t)が正の値を取る」とは、設定耕深Hsよりも算出耕深Hcの方が小さい、すなわち作業機40のロータリ41の圃場への耕耘深さが浅いことを意味し、作業者が耕深ダイヤル30により設定している位置よりも、作業機40が圃場に対して上がり気味になった状態である。
また、時刻t2および時刻t3においては作業機40が外力により一時的に上方に移動(例えば、耕耘作業中の作業機のロータリが局部的に圃場表面から浅い位置にある地中の硬い地層に接触して上方に跳ね上げられる場合など)している。
【0061】
従来のPID制御で用いられる積分項はスタート時刻から時刻tまでの偏差を時間により積分したものであり、従来のPID制御で用いられる積分項(図8中の点線で示す)は、偏差E(t)の絶対値の大小に関わらず、偏差E(t)が正の値を取っている間は単調増加する。
このような従来の積分項は、偏差E(t)が正の値から長時間かけてゼロ近傍となった時点で大きな値となっている場合があり、設定耕深Hsを越えて逆方向に作業機40を昇降させる(ハンチング)原因となる場合がある。また、このようなハンチングを防止する目的で積分項を所定の周期、または設定耕深Hsから所定の範囲(例えば、後述する不感帯)に算出耕深Hcが到達した時点でリセットする(積分項をゼロにする)場合、大きな絶対値を持つ積分項をゼロにリセットすると、P動作に係る操作量Up、I動作に係る操作量UiおよびD動作に係る操作量Udの総和であり、制御手段90が算出する作業機40の昇降を行うための操作量であるUtotalがリセットの前後で大きく変化し、作業機40のショックの原因となる。
【0062】
そこで、PI制御またはPID制御により昇降制御する作業車両において、設定手段により設定された目標値と算出手段により算出された算出値(制御出力値)との差である偏差の絶対値が、増加から減少に変化すると、積分項を減算して算出する。つまり、本実施例における積分項A(t)は、図8中の実線で示す如く、偏差E(t)と後述する微分項B(t)の符号が逆になるとき(図8中の時刻t1からt4の領域)は積分項A(t)の絶対値が小さくなるように算出する。
より具体的には、本実施例の積分項A(t)は、微小時間Δtを用いて、A(t)=A(t−Δt)+{(E(t)/B(t))/(|E(t)/B(t)|)}×{E(t)×Δt}と表される。
なお、前記式の{(E(t)/B(t))/(|E(t)/B(t)|)}の部分は、偏差E(t)と微分項B(t)の符号(同符号か異符号か)を判定するものであり、偏差E(t)と微分項B(t)が同符号の時は1、異符号の時は−1の値を取り、E(t)またはB(t)がゼロの時は{(E(t)/B(t))/(|E(t)/B(t)|)}=0とみなす。また、微小時間Δtは制御部90にて適宜設定可能である。
さらに、本実施例では、積分項A(t)においては{(E(t)/B(t))/(|E(t)/B(t)|)}により偏差E(t)と微分項B(t)の符号を判定していたがこれに限定されず、例えば制御部90にて偏差E(t)と微分項B(t)の値を比較し、偏差E(t)と微分項B(t)が同符号の時はk=1、異符号の時はk=−1として、A(t)=A(t−Δt)+k×{E(t)×Δt}という式に基づいて積分項A(t)を求めても良い。
【0063】
この積分項A(t)が本実施例の作業機40の耕深制御におけるI動作の操作量Uiを決めるものであり、操作量Uiは以下の(式2)で表される。
Ui=Ki×A(t) (式2)
ここで、Kiは積分ゲインと呼ばれる係数であり、作業車両の種類、作業機の種類および作業の方法や圃場の状況に応じて適宜設定される。
【0064】
以下では、図7から図12を用いて本実施例の耕深制御におけるD動作の操作量Udの算出方法について説明する。
【0065】
従来のPID制御で用いられる微分項(図9中の点線で示す)はある時刻tにおける偏差E(t)の微分値を示すものである。
微分項B(t)は、本実施例の作業機40の耕深制御におけるD動作の操作量Udを決めるものであり、操作量Udは以下の(式3)で表される。
Ud=Kd×B(t) (式3)
ここで、Kdは微分ゲインと呼ばれる係数であり、作業車両の種類、作業機の種類および作業の方法や圃場の状況に応じて適宜設定される。従来の微分ゲインKdは通常は定数(正の値)であり、従来のD動作における操作量Udは微分項に比例する。
このような微分項は、時刻t2および時刻t3に示す如く、例えば、耕耘作業中の作業機のロータリが局部的に圃場表面から浅い位置にある地中の硬い地層に接触して上方に跳ね上げられる場合や、圃場表面に細かい凹凸がある場合には、微分項の値が一時的に大きく変動する。このとき、PID制御により作業機に与えられる作業機の上下方向の操作量が過度に大きくなり、作業機が上下方向に揺動(ハンチング)して、耕深制御がかえって不安定になる場合がある。
【0066】
リフトアーム回動角センサ28、リアカバー回動角センサ57、前後傾斜角センサ60、距離センサ58等から、算出耕深Hcを算出するために制御手段90に入力される信号(入力値)には、種々の周波数成分が含まれる。微分値(出力値)の算出は各周波数成分の信号の位相を90度進ませることにより算出されるが、その振幅は周波数が高くなるにつれて大きくなる(すなわち、微分項は入力値の周波数に略比例する)。従って、微分値をそのまま本実施例における微分項として用いると、耕深制御が不安定になる場合がある。
そこで、本実施例では、図11で示す如く、まず、入力値の高周波成分を除去するフィルタ(一次遅れフィルタ)をかけ、さらに、不完全微分(カットオフ周波数ωc以上の周波数については、入力値が大きくなっても出力値を略一定の値とする)を行うフィルタ(不完全微分フィルタ)をかける。本実施例においては、このようにして得られる出力信号を微分項B(t)として用いる。すなわち、微分項B(t)を一次遅れ系と不完全微分とを用いて算出する。
図12に示す如く、微分項B(t)は、入力値の周波数がカットオフ周波数以下の領域では周波数に略比例して大きくなり、入力値の周波数がカットオフ周波数ωc以上の領域では周波数が大きくなるのに伴って小さくなる。
【0067】
以下では、微分項B(t)の計算方法の一例を示す。
不完全微分の周波数領域での出入力値の関係を表す式(伝達関数)G(s)は、G(s)=(2×π×ωc×s)/(s+2×π×ωc)で表される。ここで、sはラプラス演算子、ωcはカットオフ周波数を表す。
制御手段90にてこれを行うためには、伝達関数G(s)を時間領域の式に直す必要がある。そこで、G(s)を離散化して差分方程式で表すと、以下の式で表される。
X1(n)=u1(n)−(2×π×ωc×dt−1)×X1(n−1)
Y1(n)=2×π×ωc×{X1(n)−X1(n−1)}
ここで、u1(n)は時刻nにおける入力値、X1(n)は時刻nにおける中間変数、dtはサンプリング時間(制御周期:制御手段90内で計算を実行する周期)、X1(n−1)は1サンプリング前(時刻n−dt)の中間変数、Y1(n)は時刻nにおける微分値を表す。
一方、一次遅れフィルタにおける周波数領域での出入力値の関係を表す式(伝達関数)Gfilter(s)は、Gfilter(s)=(2×π×ωc)/(s+2×π×ωc)で表される。同様にGfilter(s)を離散化して差分方程式で表すと、以下の式で表される。
X2(n)=u2(n)−(2×π×ωc×dt−1)×X2(n−1)
Y2(n)=2×π×ωc×dt×X2(n−1)
ここで、u2(n)は時刻nにおける入力値、X2(n)は時刻nにおける中間変数、dtはサンプリング時間(制御周期:制御手段90内で計算を実行する周期)、X2(n−1)は1サンプリング前(時刻n−dt)の中間変数、Y2(n)は時刻nにおける微分値を表す。
【0068】
本実施例の場合、まずu2(n)を偏差E(t)としてY2(n)を求め、次に該Y2(n)をu1(n)としてY1(n)を求める。このようにして求められたY1(n)が微分項B(t)となる。
なお、微分項B(t)の計算方法は上記方法に限定されず、入力値の高周波成分を減衰させて微分項B(t)を算出するものであればよい。
また、カットオフ周波数ωcの値については、実験等により、作業機やトラクタの種類、作業内容等に応じて適宜選択される。
【0069】
以上の如く、P動作に係る操作量Ud、I動作に係る操作量Ui、D動作に係る操作量Udを用いて、制御手段90が算出する作業機40の昇降を行うための操作量Utotalは、以下の(式4)で表される。
Utotal=Up+Ui+Ud (式4)
ここで、操作量Utotalは、作業機40の昇降を行う昇降用油圧シリンダ25・25に作動油を供給する作業機上昇用切替弁76、または昇降用油圧シリンダ25・25から作動油を戻す作業機下降用切替弁77、の弁体を作動させるアクチュエータ(ソレノイド)への出力信号(電流値)の大きさを決定するものである。
なお、操作量Utotalは本実施例の如く作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77の弁体を作動させるための出力信号(電流値)の大きさを決定するものに限定されず、該作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77の弁の開度や作動油の流量あるいは昇降用油圧シリンダ25・25の伸縮量を決定するものとしても良い。
【0070】
また、場合によっては前記操作量Utotalにより昇降用油圧シリンダ25・25を作動させる方向が、偏差E(t)の絶対値を大きくする方向となること、すなわち、作業機が設定より上方に位置しているにもかかわらず作業機を上昇させる信号が発せられる(E(t)>0かつUtotal<0)こと、または作業機が設定より下方に位置しているにもかかわらず作業機を下降させる信号が発せられる(E(t)<0かつUtotal>0)ことが起こり得る。このような場合には、図15に示す如く、Utotal=0とみなす(すなわち、昇降用油圧シリンダ25・25を作動させない)ように制御部90を構成しても良い。このように構成することにより、耕深制御の安定性(ハンチング防止)が向上する。
【0071】
以上の如く構成することにより、本実施例のトラクタ201における耕深制御は、以下の利点を有する。
PI制御またはPID制御により昇降制御する作業車両において、設定手段により設定された目標値と算出手段により算出された算出値(制御出力値)との差である偏差の絶対値が、増加から減少に変化すると、積分項を減算して算出する、より具体的には、作業機装着装置20を介して作業機40を連結し、作業機昇降手段により作業機40を昇降させるトラクタ201において、耕深設定手段である耕深ダイヤル30により設定された設定耕深Hsと耕深算出手段(リフトアーム回動角センサ28、リアカバー回動角センサ57、前後傾斜センサ60、距離センサ58等のセンサ群と、制御部90等で構成される)により算出された算出耕深Hcとの差である偏差E(t)により定められる操作量Upと、偏差E(t)の時間による積分項A(t)により定められる操作量Uiと、偏差E(t)の時間による微分項B(t)により定められる操作量Udと、に基づいて作業機昇降手段の昇降量を決定し、該積分項A(t)は、微小時間Δtと偏差E(t)との積に、偏差E(t)と微分項B(t)とが互いに同符号の時は1、偏差E(t)と微分項B(t)とが互いに異符号の時は−1を掛けた値を、微小時間Δt前の積分項A(t―Δt)に加算して算出するので、PI制御またはPID制御を用いた作業機の耕深制御において、I動作に係る操作量が他の操作量(P動作に係る操作量およびD動作に係る操作量)に比べて過度に大きくなることに起因する作業機のハンチングを防止し、耕深制御の安定性が向上する。また、耕深制御中にPI制御またはPID制御に係るI動作の操作量をリセットする場合にも作業機の昇降量の急激な変化による衝撃(ショック)が軽減され、耕深制御の安定性が向上する。
また、作業機装着装置を介して作業機を連結し、作業機昇降手段を制御手段と接続して、作業機をPID制御により昇降制御する作業車両において、微分項B(t)は一次遅れ系と不完全微分とを用いて算出され、高さ検出値の周波数がカットオフ周波数ωc以下では周波数に略比例し、高さ検出値の周波数がカットオフ周波数ωc以上では周波数の増加に伴い減少するので、微分項B(t)の値が一時的に大きく変動しても、操作量Udは大きく変動することがなく、耕深制御の安定性(ハンチングの防止)を保持しつつ応答性(短時間で偏差の絶対値を小さくし、算出耕深を設定耕深に近づける)が向上する。
【0072】
なお、上記説明ではトラクタ201の作業機40の耕深制御をPID制御を用いて行う場合について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、PI制御を用いて耕深制御を行う場合に、上記積分項A(t)を用いてI動作の操作量Uiを算出し、これに基づいて制御手段90が算出する作業機40の昇降を行うための操作量Utotal(=Up+Ui)を算出しても良い。
また、PD制御を用いて耕深制御を行う場合に、上記微分ゲインKdを用いてD動作の操作量Udを算出し、これに基づいて制御手段90が算出する作業機40の昇降を行うための操作量Utotal(=Up+Ud)を算出しても良い。
さらに、PID制御を用いて耕深制御を行う場合に、I動作の操作量Uiを算出するときには本実施例の積分項A(t)を用いるとともに、D動作の操作量Udを算出するときには従来の微分ゲイン(縦軸に微分項、縦軸に入力値の周波数を取ったときに傾きが正の値を持つ一次関数となる)を用いて制御手段90が算出する作業機40の昇降を行うための操作量Utotalを算出しても良い。
さらにまた、PID制御を用いて耕深制御を行う場合に、I動作の操作量Uiを算出するときには従来の積分項を用いるとともに、D動作の操作量Udを算出するときには図12に示す微分項B(t)を用いて制御手段90が算出する作業機40の昇降を行うための操作量Utotalを算出しても良い。
【0073】
以下では、図13および図14を用いて偏差E(t)に施される「不感帯処理」および「ゲイン付き不感帯処理」について説明する。なお、ゲイン付き不感帯処理は、不感帯処理の一種である。
「不感帯処理」とは、図13に実線で示す如く、縦軸を補正後(不感帯処理後)の偏差E(t)、横軸を補正前(不感帯処理前)の偏差E(t)としたときに、補正前の偏差E(t)がゼロを挟んだ不感帯の範囲にあるときは、補正後の偏差E(t)をゼロとして制御手段90が算出する作業機40の昇降を行うための操作量Utotalを算出するものである。なお、図13に示す不感帯はゼロを挟んで左右対称となる位置に配置されるが、該不感帯を補正前の偏差E(t)の正側または負側にずれた位置に配置しても良い。
「ゲイン付き不感帯処理」とは、図14に実線で示す如く、縦軸を補正後(不感帯処理後)の偏差E(t)、横軸を補正前(不感帯処理前)の偏差E(t)としたときに、補正前の偏差E(t)がゼロを挟んだ不感帯の範囲にあるときは、補正後の偏差E(t)は補正前の偏差E(t)よりも小さくする(図14の不感帯における直線の傾きが1よりも小さくなる)ものである。なお、図14に示す不感帯はゼロを挟んで左右対称となる位置に配置されるが、該不感帯を補正前の偏差E(t)の正側または負側にずれた位置に配置しても良い。
【0074】
以上の如く、偏差E(t)に不感帯処理またはゲイン付き不感帯処理を施した後、P動作の操作量Upの算出に用いることにより、算出耕深Hcが設定耕深Hs近傍にあるときの作業機40のハンチングが低減され、耕深制御の安定性が向上する。
なお、上記不感帯処理およびゲイン付き不感帯処理は偏差E(t)だけでなく、積分項A(t)や微分項B(t)に対しても行うことが可能である。積分項A(t)や微分項B(t)に不感帯処理またはゲイン付き不感帯処理を施した場合も、算出耕深Hcが設定耕深Hs近傍にあるときの作業機40のハンチングが低減され、耕深制御の安定性が向上する。
また、不感帯処理またはゲイン付き不感帯処理を施した後の偏差E(t)に基づいて積分項A(t)に係る操作量Uiや微分項B(t)に係る操作量Udを算出しても略同様の効果を奏する。
【0075】
以下では図4、図5、図16、図17、図18および図19を用いて作業機昇降手段を構成する昇降用油圧シリンダ25・25の作動油の流量制御について説明する。
【0076】
図4および図5に示す如く、作業機上昇用切換弁76および作業機下降用切替弁77は、作業機40をトラクタ201に対して昇降させる作業機昇降手段を構成する部材の一つである昇降用油圧シリンダ25・25への作動油の供給、または昇降用油圧シリンダ25・25からの作動油の排出を行う。作業機上昇用切換弁76および作業機下降用切替弁77はいずれも電磁弁であり、内部の弁体を作動させるアクチュエータ(ソレノイド)に印加される電流の大きさ(電流値)に応じてこれらの弁の開度(弁体の作動量)が変化し、作業機上昇用切換弁76および作業機下降用切替弁77内を通過する作動油の流量を変化させることが可能である。なお、「弁の開度」とは、弁を全開にしたときの流量を100%として弁を通過する作動油の流量を百分率で表したものである。
制御手段90により出力される信号は、作業機上昇用切換弁76および作業機下降用切替弁77内部の弁体を作動させるアクチュエータ(ソレノイド)に印加される電流であり、その大きさ(電流値)はこれらの弁の開度に対応する。
【0077】
続いて、作業機40を昇降させるための制御手段90から出力される信号の生成方法について説明する。
なお、本実施例のトラクタ201においては、操作量Utotalが正の値を取るときには作業機下降用切替弁77が作動して作業機40が下降し、操作量Utotalが負の値を取るときには作業機上昇用切換弁76が作動して作業機40が上昇するものとする。
【0078】
以下では操作量Utotalが負の値を取る場合(作業機40が上昇するとき)を例に取って制御手段90から出力される信号の生成方法の説明を行う。
【0079】
図16中の実線で示す如く、作業機上昇用切換弁76の流量Q1(単位:リットル/分)と、作業機上昇用切換弁76を作動させるための信号の大きさ(電流値)J1と、の関係を示す関数Q1=f1(J1)は非線形である。本実施例においては、電流値J1が所定値j1min以下の領域では流量Q1は0、電流値がj1minからj1maxまでの領域では流量Q1は下に凸の曲線、電流値が所定値j1max以上では流量Q1は最大流量q1maxで一定となる。
なお、所定値j1min、所定値j1max、最大流量q1max、およびj1min≦J1≦j1maxのときの関数Q1=f1(J1)の形状は作業機上昇用切換弁76に固有の値であり、図16中の点線で示す作業機下降用切換弁77の開度Q2と作業機下降用切換弁77を作動させるための信号の大きさ(電流値)J2との関係を示す関数Q2=f2(J2)とは異なる曲線となる。すなわち、流量と出力信号の大きさとの関係は弁の種類により異なり、実験等により予め求められるものである。
【0080】
このように弁の流量と電流値(信号の大きさ)との間に比例関係が成立しない(非線形の)場合、従来の如く、制御手段90にて算出されるPI制御またはPD制御またはPID制御に基づく操作量Utotalの絶対値|Utotal|と電流値J1とを線形的に取り扱う、すなわちJ1=V1×|Utotal|+W1の関係を満たすものとして取り扱う(V1、W1は定数)と、操作量Utotalの絶対値の大きさと弁の流量Q1との関係は非線形となる。従って、操作量Utotalに基づいて作動油の流量(昇降用油圧シリンダ25の伸長速度に略比例する)を所望の値に調整することが困難である。
【0081】
そこで、本実施例のトラクタ201においては、操作量Utotalと電流値J1とを線形的に取り扱わずに、図17に示す如く、信号の大きさ(電流値)J1と操作量Utotalとの関係を示す情報(第一の情報)に基づいて操作量Utotalを電流値J1に変換する。該情報は、関数J1=g1(Utotal)で表され、関数J1=g1(Utotal)と関数Q1=f1(J1)との間にはQ1=f1{g1(Utotal)}=k1×|Utotal|の関係が成立するように、該関数J1=g1(Utotal)を実験等により予め定めておく。ここで、k1は定数である。なお、該情報(第一の情報)は制御手段90のデータ記憶部92に記憶されている。
【0082】
制御手段90にて算出されたPI制御またはPD制御またはPID制御に基づく操作量Utotalの絶対値の大きさを、図17に示す関数J1=g1(Utotal)に基づいて電流値(信号の大きさ)J1に変換する。そして、その電流値J1の大きさに等しい信号を作業機上昇用切換弁76のアクチュエータ(ソレノイド)に印加することにより、作業機上昇用切替弁76の流量Q1を調整する。
【0083】
このように構成することにより、作業機上昇用切替弁76の流量Q1(すなわち昇降用油圧シリンダ25の伸長速度)は、図18に示す如く操作量Utotalの絶対値の大きさに比例することとなる。
すなわち、耕深設定手段である耕深ダイヤル30により設定される作業機40の設定耕深Hsと算出された算出耕深Hcとの差を偏差E(t)として用いたPI制御またはPD制御またはPID制御に基づく操作量Utotalと、作業機昇降手段の昇降用油圧シリンダ25に供給される作動油の流量を調節する供給弁(作業機上昇用切替弁76)の開度を変更するアクチュエータを作動させる信号(電流値)J1と、の関係に係る情報(図17に示す関数J1=g1(Utotal))を、該信号J1を発信する制御手段90に備え、該情報に基づいて操作量Utotalを信号J1に変換し、作業機上昇用切替弁76の流量Q1を操作量Utotalに比例させた(Q1=k1×Utotal)ので、PI制御またはPD制御またはPID制御に基づいて作業機40の上昇速度を精度良く調節することが可能であり、耕深制御の精度が向上する。
なお、制御手段90(より詳細にはデータ記憶部92)に記憶される信号の大きさ(電流値)J1と操作量Utotalとの関係に係る情報は、関数J1=g1(Utotal)の形に限定されず、電流値J1と操作量Utotalとの数値換算表の形でも良い。
また、上記実施例では作業機上昇用切替弁76の開度M1と、作業機上昇用切替弁76の流量Q1とは比例関係にある、すなわち、Q1=R1×M1の関係が成立する(R1は定数)ので、流量に代えて作業機上昇用切替弁76の開度M1を操作量Utotalに比例させても良い。
【0084】
以下では操作量Utotalが正の値を取る場合(作業機40が下降するとき)を例に取って制御手段90から出力される信号の生成方法の説明を行う。
【0085】
図16中の点線で示す如く、作業機下降用切換弁77の流量Q2(単位:リットル/分)と、作業機下降用切換弁77を作動させるための信号の大きさ(電流値)J2との関係を示す関数Q2=f2(J2)は非線形である。本実施例においては、電流値J2が所定値j2min以下の領域では流量Q2は0、電流値がj2minからj2maxまでの領域では流量Q2は下に凸の曲線、電流値が所定値j2max以上では流量Q2は最大流量q2maxで一定となる。
なお、所定値j2min、所定値j2max、最大流量q2max、およびj2min≦J2≦j2maxのときの関数Q2=f2(J2)の形状は作業機下降用切換弁77に固有の値であり、実験等により予め求められるものである。
【0086】
このように弁の流量と電流値(信号の大きさ)との間に比例関係が成立しない(非線形の)場合、従来の如く、制御手段90にて算出されるPI制御またはPD制御またはPID制御に基づく操作量Utotalの絶対値|Utotal|と電流値J2とを線形的に取り扱う、すなわちJ2=V2×|Utotal|+W2の関係を満たすものとして取り扱う(V2、W2は定数)と、操作量Utotalの絶対値の大きさと弁の流量Q2との関係は非線形となる。従って、操作量Utotalに基づいて作動油の流量(昇降用油圧シリンダ25の短縮速度に略比例する)を所望の値に調整することが困難である。
【0087】
そこで、本実施例のトラクタ201においては、操作量Utotalと電流値J2とを線形的に取り扱わずに、図17に示す如く、信号の大きさ(電流値)J2と操作量Utotalとの関係を示す情報(第二の情報)に基づいて操作量Utotalを電流値J2に変換する。該情報は、関数J2=g2(Utotal)で表され、関数J2=g2(Utotal)と関数Q2=f2(J2)との間にはQ2=f2{g2(Utotal)}=k2×|Utotal|の関係が成立するように、該関数J2=g2(Utotal)を実験等により予め定めておく。ここで、k2は定数である。なお、該情報(第二の情報)は制御手段90のデータ記憶部92に記憶されている。
【0088】
制御手段90にて算出されたPI制御またはPD制御またはPID制御に基づく操作量Utotalの絶対値の大きさを、図17に示す関数J2=g2(Utotal)に基づいて電流値(信号の大きさ)J2に変換する。そして、その電流値J2の大きさに等しい信号を作業機下降用切換弁77のアクチュエータ(ソレノイド)に印加することにより、作業機下降用切換弁77の流量Q2を調整する。
【0089】
このように構成することにより、作業機下降用切換弁77の流量Q2(すなわち昇降用油圧シリンダ25の短縮速度)は、図18に示す如く操作量Utotalの絶対値の大きさに比例することとなる。
すなわち、耕深設定手段である耕深ダイヤル30により設定される作業機40の設定耕深Hsと算出された算出耕深Hcとの差を偏差E(t)として用いたPI制御またはPD制御またはPID制御に基づく操作量Utotalと、作業機昇降手段の昇降用油圧シリンダ25から排出される作動油の流量を調節する排出弁(作業機下降用切替弁77)の開度を変更するアクチュエータを作動させる信号(電流値)J2と、の関係に係る情報(図17に示す関数J2=g2(Utotal))を、該信号J2を発信する制御手段90に備え、該情報に基づいて操作量Utotalを信号J2に変換し、作業機下降用切替弁77の流量Q2を操作量Utotalに比例させた(Q2=k2×Utotal)ので、PI制御またはPD制御またはPID制御に基づいて作業機40の下降速度を精度良く調節することが可能であり、耕深制御の精度が向上する。
なお、制御手段90(より詳細にはデータ記憶部92)に記憶される信号の大きさ(電流値)と操作量Utotalとの関係に係る情報は、関数J2=g2(Utotal)の形に限定されず、電流値J2と操作量Utotalとの数値換算表の形でも良い。
また、上記実施例では作業機下降用切替弁77の開度M2と、作業機下降用切替弁77の流量Q2とは比例関係にある、すなわち、Q2=R2×M2の関係が成立する(R2は定数)ので、流量に代えて作業機下降用切替弁77の開度M2を操作量Utotalに比例させても良い。
【0090】
また、本実施例では、操作量Utotalが負の値である−U1のときに、制御手段90に記憶された第一の情報である関数J1=g1(Utotal)に基づいて変換された信号(電流値)J1により調整された作業機上昇用切替弁76の流量Q1=k1×|−U1|と、操作量Utotalが前記−U1と絶対値が同じで正の値であるU1のときに、制御手段90に記憶された第二の情報である関数J2=g2(Utotal)に基づいて変換された信号(電流値)J2により調整された作業機上昇用切替弁76の流量Q2=k2×|U1|とが略同じ値になる、すなわち、比例係数k1と比例係数k2とが略同じ(k1≒k2)となるように、関数J1=g1(Utotal)および関数関数J2=g2(Utotal)が予め定められている。
【0091】
すなわち、耕深設定手段である耕深ダイヤル30により設定される作業機40の設定耕深Hsと算出された算出耕深Hcとの差を偏差E(t)として用いたPI制御またはPD制御またはPID制御に基づく操作量Utotalと、作業機昇降手段の昇降用油圧シリンダ25に供給される作動油の流量Q1を調節する供給弁(作業機上昇用切替弁76)の開度を変更するアクチュエータを作動させるための信号J1と、の関係に係る第一の情報(図17に示す関数J1=g1(Utotal))と、前記操作量Utotalと、作業機昇降手段の昇降用油圧シリンダ25から排出される作動油の流量Q2を調節する排出弁(作業機下降用切替弁77)の開度を変更するアクチュエータを作動させるための信号J2との関係に係る第二の情報(図17に示す関数J2=g2(Utotal))とを、供給弁に係る信号J1および排出弁に係る信号J2を発信する制御手段90に備え、該第一の情報と該第二の情報とに基づいて操作量Utotalを信号J1または信号J2に変換し、供給弁を通過する作動油の流量Q1および排出弁を通過する作動油の流量Q2を操作量Utotalに比例させるとともに、供給弁を通過する作動油の流量Q1と操作量Utotalとの間の比例係数k1と、排出弁を通過する作動油の流量Q2と操作量Utotalとの間の比例係数k2と、が略等しいので、作業機40を上昇させるときに作動させる供給弁(作業機上昇用切替弁76)と作業機40を下降させるときに作動させる排出弁(作業機下降用切替弁77)とが異なる印加電流−流量特性(図16の実線および点線で示される)を持っていても、PI制御またはPD制御またはPID制御に基づいて算出された操作量Utotalと作業機40を昇降させる昇降用油圧シリンダ25の伸縮速度とが略比例する。従って、作業機40の昇降速度も操作量Utotalに略比例し、耕深制御の精度が向上する。
【0092】
なお、本実施例においては、異なる流量調整弁の間第一の情報と第二の情報に基づき、操作量と作動油の流量とを略比例させる場合に適用されているが、同一の流量調整弁を用いて作業機を昇降させる油圧シリンダを伸縮させる場合において、伸縮時と短縮時の電流−流量が異なる場合にも適用可能である。
【0093】
また、図16において、作業機上昇用切替弁76および作業機下降用切替弁77は所定の電流値j1minまたはj2min以下では作動油の流量がゼロである(作動油が流れない)。このとき、作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77のアクチュエータ(ソレノイド)に電流が印加されてから、作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77の弁の開度(流量)が所望の値になるまでには、アクチュエータ(ソレノイド)の発生する力によりバネ等の付勢手段に抗して、弁体(スプール)が電流値ゼロの時の位置から所望の弁の開度が得られる位置まで移動するためのタイムラグ(むだ時間)が生じる。
そこで、図19に示す如く、作業機40の設定耕深Hsに対して所定の幅ΔHの不感帯が設定され、不感帯に作業機40がある時には作業機の昇降が行われないものとする場合において、作業機40が該不感帯にあるとき(偏差E(t)が−ΔH<E(t)<ΔHの領域にあるときであり、図19に示す実施例では時刻t5からt6の間)には所定の電流値j1minまたはj2minよりわずかに小さい電流値を作業機上昇用切替弁76および作業機下降用切替弁77のアクチュエータ(ソレノイド)に印加しておくことも可能である。すなわち、作業機昇降手段の油圧シリンダを作動させる電磁弁が作動油を流さないときには、該電磁弁を通過する作動油の流量がゼロから正の値に変化する時の印加電流値以下の電流を、該電磁弁に印加するのである。
このように構成することにより、信号が入力されてから作業機上昇用切替弁76および作業機下降用切替弁77の弁体(スプール)が所望の位置に移動する(所定の流量となる)までに要する時間(むだ時間)を短縮することが可能であり、耕深制御の精度が向上する。
なお、不感帯を設定しない場合でも、偏差E(t)<0のとき(作業機40が設定位置よりも低い位置にあるとき)には所定の電流値j1minよりわずかに小さい電流値を作業機上昇用切替弁76のアクチュエータ(ソレノイド)に印加し、偏差E(t)>0のとき(作業機40が設定位置よりも高い位置にあるとき)には所定の電流値j2minよりわずかに小さい電流値を作業機下降用切替弁77のアクチュエータ(ソレノイド)に印加しても、同様の効果を奏する。
【0094】
以下では、図5および図20を用いて手動操作による作業機40の昇降開始時における昇降用油圧シリンダ25の作動油の流量制御について説明する。
図5に示す作業機昇降スイッチ94は、トラクタ201の運転席に設けられ、手動で作業機40の昇降操作を行うための操作手段である。作業機昇降スイッチ94は、一個のツマミを上昇側または下降側に傾倒させることにより作業機40の上昇または下降を行う。
なお、作業機昇降スイッチ94は本実施例に限定されず、上昇側のスイッチと下降側のスイッチの計二個のスイッチで前記操作手段を構成しても良い。
【0095】
作業機昇降スイッチ94が上昇側または下降側に傾倒されると、作業機昇降スイッチ94が上昇側または下降側に傾倒されたことを示す信号が制御手段90に入力される。一方、制御手段90には昇降速度設定手段である昇降速度設定ダイヤル95(図5に図示)からも信号が入力されており、該信号に基づき作業機40の昇降を行う昇降用油圧シリンダ25の昇降速度が設定される。具体的には、昇降用油圧シリンダ25の昇降速度は作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77を通過する作動油の流量、すなわち作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77の開度によって決まるので、昇降速度設定ダイヤル95から入力される信号に基づき、作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77の弁体(スプール)を作動させるアクチュエータ(ソレノイド)に印加される電流の大きさ(図20における電流値y1)が算出される。そして、図20中の点線で示す如く、この大きさの電流を昇降開始から作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77に印加し続ける印加電流のパターン(以後、「第一の昇降開始時印加電流パターン」と呼ぶ)が形成される。
【0096】
次に、第一の昇降開始時印加電流パターンに基づき、ある時刻における電流から所定回数分の移動平均値を算出する。本実施例においては電流の繰り返し周期(制御手段90の計算周期)は10[msec]であり、移動平均値を算出するための電流の所定回数を25回としているので、ある時刻における移動平均値は、ある時刻から250[msec]前までの電流の平均値となる。
また、昇降開始時刻の電流の大きさ(以後、初期印加電流値)y2は予め定められており、第一の昇降開始時印加電流パターンは昇降開始時刻以前には初期印加電流値y2の電流が継続して印加されていたものとみなして移動平均値が算出される。このようにして算出された移動平均値を時間軸に沿ってプロットしたものが図20中の実線で示す「第二の昇降開始時印加電流パターン」である。
なお、電流の繰り返し周期や移動平均値を算出するための所定回数、初期印加電流値y2の大きさについては作業車両の種類や作業機の種類等に応じて適宜選択される。
【0097】
該第二の昇降開始時印加電流パターンを形成後、制御手段90は第二の昇降開始時印加電流パターンに基づいて電流を信号として作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77に出力する。
このように構成することにより、手動操作による昇降開始時の作業機の昇降速度は徐々に段階を経て大きくなる。従って、高速で昇降開始することに起因するショックを軽減することが可能である。
【0098】
すなわち、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、
油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、スイッチの操作で作業機を最上げまたは最下げとするとともに、最上げ時から前記スイッチ操作で下げる時、前記電磁比例弁を徐々に開くように、ソレノイドへの印加電流を制御するので、手動操作で作業機の下降を行う場合に、下降開始時の下降速度の急激な変化に起因するショックを軽減することが可能であるとともに、作業者の快適性が向上する。
【0099】
以下では、図5および図22を用いて手動操作による作業機40の昇降終了時における昇降用油圧シリンダ25の作動油の流量制御について説明する。
【0100】
作業機昇降スイッチ94が上昇側または下降側に傾倒されて作業機40が昇降を開始した後、昇降が終了する目標位置は、作業機40を上昇させたときは予め設定された所定の最上げ位置(作業機40が圃場から離れるまで持ち上げられた位置)であり、作業機40が下降しているときは作業機40の耕深が前述の耕深制御における設定耕深Hsとなる位置である。
なお、作業機40を手動操作で下降させる際の下降終了位置は耕深が設定耕深Hsとなる位置に限定されず、予め下降終了位置を設定しておいても良い。
また、手動操作による下降の場合、目標位置からの偏差(=Hc−Hs)の絶対値が所定の大きさ以下になった時点で下降動作を終了させ、前記PI制御またはPD制御またはPID制御に基づく耕深制御に移行しても良い。
【0101】
作業機40が目標位置近傍に近づくと、作業機40の昇降速度を徐々に減速するための作動油の流量制御(下降クッションまたは上昇クッション)が開始される。ここで、作業機40が目標位置近傍に近づいたことは、前記算出耕深Hcの算出に用いられるリフトアーム回動角センサ28により検知されるリンク回動角θ1により検知しても良く、他の方法で検知しても良い。
まず、「第一の昇降終了時印加電流パターン」が制御手段90にて形成される。該第一の昇降終了時印加電流パターンは、昇降速度設定ダイヤル95(図5に図示)により定められた昇降速度と、目標位置と現在の作業機の位置との偏差と、に基づいて形成される。
本実施例の場合、図21中の点線で示す如く、偏差(の絶対値)が小さくなるにつれて作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77に印加される電流の大きさがステップ状に小さくなる。なお、第一の昇降終了時印加電流パターンは前記ステップ状の形状に限定されず、偏差に比例して小さくなるなど、他の形状でも良い。
【0102】
次に、第一の昇降終了時印加電流パターンに基づき、ある時刻における電流から所定回数分の移動平均値を算出する。本実施例においては前記第二の昇降開始時印加電流パターンの形成と同様に、電流の繰り返し周期は10[msec]であり、移動平均値を算出するための電流の所定回数を25回としているので、ある時刻における移動平均値は、ある時刻から250[msec]前までの電流の平均値となる。
なお、電流の繰り返し周期や移動平均値を算出するための所定回数については作業車両の種類や作業機の種類等に応じて適宜選択される。
このようにして算出された移動平均値を時間軸に沿ってプロットしたものが図21中の実線で示す「第二の昇降終了時印加電流パターン」である。
【0103】
該第二の昇降終了時印加電流パターンを形成後、制御手段90は第二の昇降終了時印加電流パターンに基づいて電流を信号として作業機上昇用切替弁76または作業機下降用切替弁77に出力する。このように構成することにより、手動操作による昇降終了時の作業機の昇降速度は徐々に小さくなり、ショックを軽減することが可能である。
【0104】
すなわち、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、スイッチの操作で作業機を最上げまたは最下げとするとともに、最上げ時から前記スイッチ操作で下げる時、前記電磁比例弁を徐々に開くように、ソレノイドへの印加電流を制御するので、手動操作で作業機の下降を行う場合に、下降終了直前の下降速度の急激な変化に起因するショックを軽減することが可能であるとともに、作業者の快適性が向上する。
また、作業機を高速で下降させる場合において、作業機の自重により勢いがついて目標位置よりも下方まで作業機が下降するのを防止することが可能である。
【0105】
また、図22に示す如く、上記の如き印加電流パターンを用いる代わりに、予め作業機40を緩下降させる作業機下降用切替弁77の開度のパターン(徐々に作業機下降用切替弁77の開度を小さくする)を定めておき、座席11近傍に設けられた昇降速度設定手段である昇降速度設定ダイヤル95により、該パターンに基づいて緩下降を開始するリフトアーム24の回動角を設定する構成とすることも可能である。なお、以下の説明では該回動角は、目標となる回動角と、緩下降を開始する回動角との差(相対角度)であるが、リフトアーム回動角センサ28により検出されるリフトアーム24の回動角そのもの(絶対角度)としてもよい。
【0106】
図22の場合、昇降速度設定ダイヤル95で下降速度を最も速い側である「速」に設定した場合、実線で示すリフトアーム24の回動角の角速度(rad/sec)で、回動角ψ31(下降開始時の回動角)から回動角ψ32(作業機が目標となる高さに来たときの回動角)までリフトアーム24が回動する。一方、昇降速度設定ダイヤル95で最も遅い側である「遅」に設定した場合、点線で示すリフトアーム24回動角の角速度(rad/sec)で、回動角ψ31(下降開始時の回動角)から回動角ψ32(作業機が目標となる高さに来たときの回動角)までリフトアーム24が回動する。
このとき、作業機下降用切替弁77の開度のパターンに基づいて作業機下降用切替弁77の開度が徐々に小さくなる制御が行われているのは、昇降速度設定ダイヤル95で下降速度を「速」に設定した場合には回動角ψ11から回動角ψ12であり、昇降速度設定ダイヤル95で下降速度を「遅」に設定した場合には回動角ψ21から回動角ψ22である。そして、該回動角ψ11から回動角ψ12までの角速度の変化と、該回動角ψ21から回動角ψ22までの角速度の変化は略同じである。
すなわち、昇降速度設定ダイヤル95で下降速度を変更したときには、作業機下降用切替弁77の開度が徐々に小さくなる制御が開始される回動角(回動角ψ11または回動角ψ21)が変更されるが、作業機下降用切替弁77の開度が徐々に小さくなる制御が行われている間の作業機下降用切替弁77の開度の変化は予め定められた開度のパターンに基づいている。
【0107】
このように構成することにより、下降終了時の作業機の昇降速度は徐々に小さくなり、ショックを軽減することが可能であるとともに、下降開始から下降終了までに要する時間を昇降速度設定ダイヤル95により調節することが可能であり、作業性に優れる。
【0108】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0109】
即ち、請求項1に示す如く、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、下降時に、所定高さより緩下降させるとともに、該緩下降時の前記リフトアームの角速度を徐々に遅くするように、ソレノイドへの印加電流を制御するので、手動操作で作業機の下降を行う場合に、下降終了直前の下降速度の急激な変化に起因するショックを軽減することが可能であるとともに、作業者の快適性が向上する。
また、作業機を高速で下降させる場合において、作業機の自重により勢いがついて目標位置よりも下方まで作業機が下降するのを防止することが可能である。
【0110】
請求項2に示す如く、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、スイッチの操作で作業機を最上げまたは最下げとするとともに、最上げ時から前記スイッチ操作で下げる時、前記電磁比例弁を徐々に開くように、ソレノイドへの印加電流を制御するので、手動操作で作業機の下降を行う場合に、下降開始時の下降速度の急激な変化に起因するショックを軽減することが可能であるとともに、作業者の快適性が向上する。
【0111】
請求項3に示す如く、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、下降時に、前記ソレノイドへの印加電流の移動平均値を制御して所定高さより緩下降させるので、手動操作で作業機の下降を行う場合に、下降開始時の下降速度の急激な変化に起因するショックを軽減することが可能であるとともに、作業者の快適性が向上する。
また、手動操作で作業機の下降を行う場合に、下降終了直前の下降速度の急激な変化に起因するショックを軽減することが可能であるとともに、作業者の快適性が向上する。
さらに、作業機を高速で下降させる場合において、作業機の自重により勢いがついて目標位置よりも下方まで作業機が下降するのを防止することが可能である。
【0112】
請求項4に示す如く、作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、
油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、予め作業機を緩下降させる電磁弁の開度のパターンを定めるとともに、該パターンに基づいて緩下降を開始するリフトアームの回動角を設定する昇降速度設定手段を備えるので、下降終了時の作業機の昇降速度は徐々に小さくなり、ショックを軽減することが可能であるとともに、下降開始から下降終了までに要する時間を昇降速度設定手段により調節することが可能であり、作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるトラクタの左側面図。
【図2】本発明の実施の一形態であるトラクタの後部および作業機を示す左側面一部断面図。
【図3】本発明の実施の一形態であるトラクタの後部および作業機を示す平面図。
【図4】本発明の実施の一形態であるトラクタの油圧回路を示す図。
【図5】本発明の実施の一形態であるトラクタの制御手段を示すブロック図。
【図6】リフトアームの回動角の変化と耕深との関係を示す模式図。
【図7】偏差と時間との関係の一例を示す図。
【図8】積分項と時間との関係の一例を示す図。
【図9】微分項と時間との関係の一例を示す図。
【図10】微分項に係る操作量と時間との関係の一例を示す図。
【図11】本実施例の微分項の算出に係るブロック線図。
【図12】本実施例の微分項と入力値の周波数との関係を示す図。
【図13】不感帯処理の実施例を示す図。
【図14】不感帯処理の別実施例を示す図。
【図15】耕深に係る偏差の符号と操作量の符号とに基づく作業機の昇降指令の実施例を示すフローチャート図。
【図16】作業機を上昇させる供給弁または下降させる排出弁への信号(電流値)と作動油の流量との関係を示す図。
【図17】操作量と供給弁または排出弁の流量とを略比例させるための操作量と電流との関係を示す図。
【図18】操作量の絶対値と供給弁または排出弁の流量との関係を示す図。
【図19】作業機の耕深の時間による変化の一例を示す図。
【図20】手動による作業機の昇降開始時における時間と電流との関係を示す図。
【図21】手動による作業機の昇降終了時における時間と電流との関係を示す図。
【図22】リフトアーム回動角とリフトアームの角速度との関係を示す図。
【符号の説明】
20 作業機装着手段
25 昇降用油圧シリンダ
40 作業機
76 作業機上昇用切替弁(電磁弁)
77 作業機下降用切替弁(電磁弁)
90 制御手段
94 作業機昇降スイッチ(操作手段)
95 昇降速度設定ダイヤル(昇降速度設定手段)
201 トラクタ

Claims (4)

  1. 作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、
    油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、下降時に、所定高さより緩下降させるとともに、該緩下降時の前記リフトアームの角速度を徐々に遅くするように、ソレノイドへの印加電流を制御することを特徴とする作業車両の昇降制御装置。
  2. 作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、
    油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、スイッチの操作で作業機を最上げまたは最下げとするとともに、最上げ時から前記スイッチ操作で下げる時、前記電磁比例弁を徐々に開くように、ソレノイドへの印加電流を制御することを特徴とする作業車両の昇降制御装置。
  3. 作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、
    油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、下降時に、前記ソレノイドへの印加電流の移動平均値を制御して所定高さより緩下降させることを特徴とする作業車両の昇降制御装置。
  4. 作業機をリフトアームと連結し、該リフトアームを油圧シリンダの伸縮により回動して作業機を昇降させる作業車両において、
    油圧シリンダへの送油切換を電磁比例弁により行い、該電磁比例弁のソレノイドと、リフトアームの回動角を検知する手段とを制御手段と接続して昇降制御を行う構成であって、予め作業機を緩下降させる電磁弁の開度のパターンを定めるとともに、該パターンに基づいて緩下降を開始するリフトアームの回動角を設定する昇降速度設定手段を備えることを特徴とする作業車両の昇降制御装置。
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