JP2004347949A - 有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合でもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現可能な有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】機光導電性材料は、特定の材料、例えば、下記構造式(1)で示されるエナミン構造を有するものであり、かかる有機光導電性材料を導電性支持体上の感光層に電荷輸送物質として含有させた電子写真感光体及び、それを用いた画像形成装置である。
Figure 2004347949

【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機光導電性材料は幅広く研究開発され、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称す)に利用されるだけでなく、静電記録素子、センサ材料または有機エレクトロルミネセント(略称:EL)素子などに応用され始めている。また、有機光導電性材料を用いた電子写真感光体は、複写機の分野に限らず、従来では写真技術が使われていた印刷版材、スライドフィルム及びマイクロフィルムなどの分野においても利用されており、レーザ、発光ダイオード(略称:LED)または陰極線管(略称:CRT)などを光源とする高速プリンタにも応用されている。したがって、有機光導電性材料及びそれを用いた電子写真感光体に対する要求は、高度で幅広いものになりつつある。
【0003】
従来から、電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛またはカドミウムなどの無機光導電性材料を主成分とする感光層を備える無機感光体が広く用いられている。無機感光体は、感光体としての基礎特性をある程度は備えているけれども、感光層の成膜が困難で、可塑性が悪く、製造原価が高いなどの問題がある。また無機光導電性材料は一般に毒性が強く、製造上及び取り扱い上、大きな制約がある。
【0004】
これに対し、有機光導電性材料を用いた有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている。更に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、次第に電子写真感光体の主力として開発されてきている。初期の有機感光体は感度及び耐久性に欠点を有していた。
これらの欠点は電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別々の物質に分担させた機能分離型電子写真感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、電荷発生機能を担う電荷発生物質及び電荷輸送機能を担う電荷輸送物質のそれぞれの材料選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
【0005】
機能分離型感光体に使用される電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクアリン酸染料及びピリリウム塩系色素などの多種の物質が挙げられ、耐光性が強く電荷発生能力の高い種々の材料が提案されている。
【0006】
電荷輸送物質としては、従来からピラゾリン化合物(たとえば、特許文献1参照)、ヒドラゾン化合物(たとえば、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照)、トリフェニルアミン化合物(たとえば、特許文献5及び特許文献6参照)及びスチルベン化合物(たとえば、特許文献7及び特許文献8参照)などの種々の化合物が知られている。最近では、縮合多環式炭化水素系をその中心母核に持つ、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体及びターフェニル誘導体(たとえば、特許文献9参照)なども開発されている。
【0007】
電荷輸送物質としては、
(1)光及び熱に対して安定であること、
(2)感光体の表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、窒素酸化物(NOx)及び硝酸などに対して安定であること、
(3)高い電荷輸送能力を有すること、
(4)有機溶剤や結着剤との相溶性が高いこと、
(5)製造が容易で安価であること
などが要求される。
【0008】
しかしながら、前述の電荷輸送物質は、これらの要求の一部を満足するけれども、すべてを高いレベルで満足するには至っていない。
また、前述の要求の中でも、特に、高い電荷輸送能力を有することが求められる。たとえば、電荷輸送物質がバインダ樹脂とともに分散されて形成された電荷輸送層が感光体の表面層となる場合、充分な光応答性を確保するために、電荷輸送物質には高い電荷輸送能力が求められる。感光体が複写機またはレーザビームプリンタなどに搭載されて使用される際、感光体の表面層は、クリーニングブレードや帯電ローラなどの接触部材によってその一部が削り取られることを余儀なくされる。複写機やレーザビームプリンタの高耐久化のためには、それらの接触部材に対して強い表面層、すなわちそれらの接触部材によって削り取られることの少ない耐刷性の高い表面層が求められる。
【0009】
そこで、表面層を強くして耐久性を向上させるために、表面層である電荷輸送層中のバインダ樹脂の含有率を高くする。しかし、感光体は光応答性が低下する。これは、電荷輸送物質の電荷輸送能力が低いため、バインダ樹脂の含有率の増加に伴って電荷輸送層中の電荷輸送物質が希釈され、電荷輸送層の電荷輸送能力が一層低下して光応答性が悪くなるものである。光応答性が悪いと、残留電位が上昇し、感光体の表面電位が充分に減衰していない状態で繰返し使用されることになるので、露光によって消去されるべき部分の表面電荷が充分に消去されず、早期に画像品質が低下するなどの弊害が生じる。したがって、充分な光応答性を確保するためには、電荷輸送物質に高い電荷輸送能力が求められる。
【0010】
また最近ではデジタル複写機及びプリンタなどの電子写真装置の小型化及び高速化が進み、感光体特性として高速化に対応した高感度化が要求され、電荷輸送物質はますます高い電荷輸送能力が求められている。また高速プロセスでは、露光から現像までの時間が短いので、光応答性のよい感光体が求められる。前述のように、光応答性は電荷輸送物質の電荷輸送能力に依存するので、このような点からもより高い電荷輸送能力を有する電荷輸送物質が求められる。
【0011】
このような要求を満たす電荷輸送物質として、前述の電荷輸送物質よりも高い電荷移動度を有するエナミン化合物が提案されている(たとえば、特許文献10、特許文献11、特許文献12及び特許文献13参照)。
【0012】
【特許文献1】
特公昭52−4188号公報
【特許文献2】
特開昭54−150128号公報
【特許文献3】
特公昭55−42380号公報
【特許文献4】
特開昭55−52063号公報
【特許文献5】
特公昭58−32372号公報
【特許文献6】
特開平2−190862号公報
【特許文献7】
特開昭54−151955号公報
【特許文献8】
特開昭58−198043号公報
【特許文献9】
特開平7−48324号公報
【特許文献10】
特開平1−33556号公報
【特許文献11】
特開平4−353856号公報
【特許文献12】
特開平2−51162号公報
【特許文献13】
特開平2−96767号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の種々のエナミン化合物を用いた感光体の性能は充分ではなく、更なる改良が望まれる。また、感光体の特性としては、低温環境下で用いた場合にも感度が低下せず、種々の環境下において特性の変化が小さく信頼性が高いことが求められ、このような特性までも実現する電荷輸送物質は得られていない。
【0014】
従って、本発明の目的は、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体の実現可能な有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)または(2)で示される有機光導電性材料である。
【化13】
Figure 2004347949
【化14】
Figure 2004347949
【0016】
ここで、前記一般式(1)および(2)中、Ar、Ar及びArは、水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアルキル基を示す。但し、Ar及びArにおいては共に水素原子になることはない。
また、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、及び置換基を有してもよいアルキル基を示す。
また、R、R及びRは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、及び置換基を有してもよいアラルキル基を示す。
また、nは1〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のArは同一でも異なってもよい。mは0〜2の整数を示し、mが2のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。
また、Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。
【0017】
また前記一般式(2)において、NArは、置換基を有してもよい複素環基を示す。
【0018】
更に前記一般式(1)および(2)におけるXは、下記一般式(3)または(4)で示される原子群を示す。
【化15】
Figure 2004347949
【0019】
【化16】
Figure 2004347949
ここで、一般式(3)中、Ar及びArは、水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアルキル基を示す。但し、Ar及びArが共に水素原子になることはなく、また、Ar及びArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成しても良い。
【0020】
一般式(4)中、Ar及びAr10は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアルキル基を示す。Ar及びAr10は、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。
【0021】
本発明の有機光導電性材料は、前記一般式(1)または(2)で示されるエナミン化合物であるので、高い電荷移動度を有する。このように高い電荷移動度を有する前記本発明の有機光導電性材料を電荷輸送物質として用いることによって、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示す。また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現することができる。また、前記有機光導電性材料を、センサ材料、EL素子または静電記録素子などに使用すれば、応答性の優れたデバイスを提供することができる。
【0022】
また本発明の前記一般式(1)または(2)で示される有機光導電性材料は、更に下記一般式(5)〜(8)で示されることを特徴とする。
a)下記一般式(5)で示される有機光導電性材料。
【化17】
Figure 2004347949
【0023】
ここで、一般式(5)中、aおよびbは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、pは1〜4の整数、qは1〜5の整数を示す。pが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またqが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0024】
b)下記一般式(6)で示される有機光導電性材料。
【化18】
Figure 2004347949
【0025】
ここで一般式(6)中、cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、rは1〜4の整数、sは1〜5の整数を示す。rが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またsが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar10,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0026】
c)下記一般式(7)で示される有機光導電性材料。
【化19】
Figure 2004347949
【0027】
ここで一般式(7)中、wは、単結合あるいは該式中の2つのベンゼン環と窒素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を示す。
また、eは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、tは1〜7の整数を示す。tが2以上のとき、複数のeは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0028】
d)下記一般式(8)で示される有機光導電性材料。
【化20】
Figure 2004347949
【0029】
ここで一般式(8)中、vは、単結合あるいは該式中の2つのベンゼン環と窒素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を示す。
また、fは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、uは1〜7の整数を示す。uが2以上のとき、複数のfは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar10,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0030】
本発明に従えば、前記一般式(5)〜(8)で示される有機光導電性材料は、前記一般式(1)または(2)で示されるエナミン化合物で、合成も容易であるので、特に高い電荷移動度を有する有機光導電性材料を低コストで得ることができる。このように特に高い電荷移動度を有する前記本発明の有機光導電性材料を電荷輸送物質として用いることによって、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現することができる。また、前記有機光導電性材料を、センサ材料、EL素子または静電記録素子などに使用すれば、応答性の優れたデバイスを提供することができる。
【0031】
本発明の有機光導電性材料にあっては、前記一般式(1)または(2)中に含まれる下記一般式(9)で示されるエナミン構造部分は、下記一般式(10)で示されることを特徴とすることができる。
【化21】
Figure 2004347949
【0032】
【化22】
Figure 2004347949
ここで、一般式(9)中、Ar,Ar,Ar,R,Rおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
また、一般式(10)中、lは1〜3の整数を示す。
【0033】
更に、本発明の有機光導電性材料にあっては、前述の一般式(5)乃至(8)中に何れかに含まれる下記一般式(11)で示されるエナミン構造部分は、前記一般式(10)で示されることを特徴とする。
【化23】
Figure 2004347949
ここで、一般式(11)中、Ar,Ar,Ar,Rおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0034】
本発明は、たとえば、前記一般式(1)または(2)のエナミン構造部分、或いは、更に具体的に前記一般式(5)〜(8)のエナミン構造部分が、前記一般式(10)で示される比較的単純なエナミン構造有する場合には、合成が容易であり、またこの構造により、特に高い電荷移動度を示す。このことから、前記一般式(10)で示されるエナミン構造有する有機光導電性材料は、特に高い電荷移動度を有し、低コストで提供できる。
このように高い電荷移動度を有する前記本発明の有機光導電性材料を電荷輸送物質として用いることによって、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示す。また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現することができる。更に、前記有機光導電性材料を、センサ材料、EL素子または静電記録素子などに使用すれば、応答性の優れたデバイスを提供することができる。
【0035】
また本発明は、導電性材料からなる導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられ電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層とを備える電子写真感光体において、前記電荷輸送物質は、前記有機光導電性材料を含むことを特徴とする電子写真感光体である。
このような本発明の電子写真感光体の感光層には、電荷輸送物質として、前記一般式(1)、(2)または(5)〜(8)で示される電荷移動度の高い有機光導電性材料が含有されるので、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示す。また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下しない。
【0036】
また本発明は、前記電荷発生物質は、Cu−Ka特性X線回折(波長:1.54Å)におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.2°に明確な回折ピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンを含むことを特徴とする。
本発明に従えば、感光層には、電荷発生物質として、Cu−Ka特性X線回折(波長:1.54Å)におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.2°に明確な回折ピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンが含有される。このオキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質に効率よく注入する。また、前述のように、感光層には、電荷輸送物質として、前記一般式(1)、(2)または前記一般式(5)〜(8)で示される電荷移動度の高い有機光導電性材料が含有される。
したがって、光吸収によって電荷発生物質で発生する電荷は、電荷輸送物質に効率的に注入されて円滑に輸送されるので、高感度かつ高解像度の電子写真感光体を得ることができる。
【0037】
また本発明は、前記感光層は、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造からなることを特徴とする。本発明に従えば、感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造からなる。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、電荷発生機能及び電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、さらに繰り返し使用時の安定性も増した高耐久性を有する電子写真感光体を得ることができる。
【0038】
また本発明は、前記電荷輸送層は、さらにバインダ樹脂を含有し、前記電荷輸送層において、前記電荷輸送物質(A)と前記バインダ樹脂(B)との比率A/Bは、質量比で10/12〜10/30の範囲であることを特徴とする。
本発明に従えば、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質(A)とバインダ樹脂(B)との比率A/Bは、質量比で12分の10(10/12)〜30分の10(10/30)である。前述のように、電荷輸送物質は電荷移動度の高い前記本発明の有機光導電性材料を含むので、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、従来公知の電荷輸送物質を用いる場合よりも高い比率でバインダ樹脂を加えても、光応答性を維持することができる。したがって、光応答性を低下させることなく、電荷輸送層の耐刷性を向上させ、電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。
【0039】
また本発明は、前記導電性支持体と前記感光層との間には、中間層が設けられることを特徴とする。
本発明に従えば、導電性支持体と感光層との間には中間層が設けられる。このことによって、導電性支持体から感光層への電荷の注入を防止することができるので、感光層の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。また導電性支持体表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層の成膜性を高めることができる。また感光層の導電性支持体からの剥離を抑え、導電性支持体と感光層との接着性を向上させることができる。
【0040】
また本発明は、前記電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置である。
本発明に従えば、前述のように、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下しない電子写真感光体が備えられるので、各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の有機光導電性材料は、下記一般式(1)または(2)で示されるエナミン化合物である。
【化24】
Figure 2004347949
【化25】
Figure 2004347949
【0042】
前記一般式(1)および(2)において、Ar、Ar及びArは、水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、Ar及びArにおいては共に水素原子になることはない。
Ar、Ar及びArの具体例としては、水素原子以外では、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル及びビフェニルなどのアリール基、ならびにフリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル及びN−メチルインドリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジル及び1−チエニルメチルなどのアラルキル基、ならびにメチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル及び2−チエニルエチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0043】
また前記一般式(1)および(2)において、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R及びRの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びトリフルオロメチルなどのアルキル基、ならびにフッ素原子及び塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0044】
また前記一般式(1)および(2)において、R、R及びRは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基等を示す。
、R及びRの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル及び2−チエニルメチルなどのアルキル基、フェニル、トリル、メトキシフェニル及びナフチルなどのアリール基、フリル、チエニル及びチアゾリルなどの複素環基、ならびにベンジル及びp−メトキシベンジルなどのアラルキル基を挙げることができる。
【0045】
また前記一般式(1)および(2)において、nは1〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のArは同一でも異なってもよい。
また前記一般式(1)および(2)において、mは0〜2の整数を示し、mが2のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。
【0046】
前記一般式(1)中において、Arは、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arの具体例としては、フェニル、トリル、ナフチル、ピレニル、ビフェニル等のアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、N−エチルカルバゾリル等の複素環基を挙げることができる。
【0047】
また前記一般式(1)中において、Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。Arの具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニル及びp−(フェニルチオ)フェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル及びN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジル及び1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにイソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル及びシクロペンチルなどのアルキル基を挙げることができる。
また前記一般式(2)において、NArは、置換基を有してもよい窒素原子を環内に含む複素環基を示す。NArの具体例としては、カルバゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、インドール環、イミダゾール環、ピロール環、オキサゾール環及びチアゾール環などの複素環基を挙げることができる。
【0048】
また前記一般式(1)および(2)において、Xは下記一般式(3)または(4)で示される原子群を示す。
【化26】
Figure 2004347949
【0049】
【化27】
Figure 2004347949
【0050】
前記一般式(3)において、Ar及びArは、水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、Ar及びArにおいて、共に水素原子になることはない。ArおよびArの具体例としては、水素原子以外では、フェニル、トリル、メトキシフェニル、p?(N?ジフェニル)アミノフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニル、p?(フェニルチオ)フェニルおよびp?スチリルフェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N?メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN?エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p?メトキシベンジルおよび1?ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにメチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、イソプロピル、t?ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよび2?チエニルメチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0051】
ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。ArとArとを結合する原子の具体例としては、酸素原子および硫黄原子などを挙げることができる。ArとArとを結合する原子団の具体例としては、アルキル基を有する窒素原子などの2価の原子団、ならびにメチレン、エチレンおよびメチルメチレンなどのアルキレン基、ビニレンおよびプロペニレンなどの不飽和アルキレン基、オキシメチレン(化学式:?O?CH2?)などのヘテロ原子を含むアルキレン基、チオビニレン(化学式:?S?CH=CH?)などのヘテロ原子を含む不飽和アルキレン基などの2価基などを挙げることができる。
【0052】
また前記一般式(4)において、Ar及びAr10は、それぞれ置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。
【0053】
ArおよびAr10の具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニル、p?(フェニルチオ)フェニルおよびp?スチリルフェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N?メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN?エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p?メトキシベンジルおよび1?ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにメチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、イソプロピル、t?ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよび2?チエニルメチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0054】
ArおよびAr10は、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。ArとAr10とを結合する原子の具体例としては、酸素原子および硫黄原子などを挙げることができる。ArとAr10とを結合する原子団の具体例としては、アルキル基を有する窒素原子などの2価の原子団、ならびにメチレン、エチレンおよびメチルメチレンなどのアルキレン基、ビニレンおよびプロペニレンなどの不飽和アルキレン基、オキシメチレン(化学式:?O?CH?)などのヘテロ原子を含むアルキレン基、チオビニレン(化学式:?S?CH=CH?)などのヘテロ原子を含む不飽和アルキレン基などの2価基などを挙げることができる。
【0055】
本発明の有機光導電性材料は、前記一般式(1)または(2)で示されるエナミン化合物であるので、高い電荷移動度を有する。このように高い電荷移動度を有する本発明の有機光導電性材料を電荷輸送物質として用いることによって、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を実現することができる。また、前記有機光導電性材料を、センサ材料、EL素子または静電記録素子などに使用すれば、応答性の優れたデバイスを提供することができる。
【0056】
前記一般式(1)または(2)で示される有機光導電性材料のうち、好ましい化合物としては、下記一般式(5)〜(8)で示されるエナミン化合物を挙げることができる。
【化28】
Figure 2004347949
【化29】
Figure 2004347949
【化30】
Figure 2004347949
【化31】
Figure 2004347949
【0057】
前記一般式(5)において、aおよびbは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、pは1〜4の整数、qは1〜5の整数を示す。pが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またqが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また前記一般式(5)において、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0058】
また前記一般式(6)において、cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、rは1〜4の整数、sは1〜5の整数を示す。rが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またsが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また前記一般式(6)において、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar10,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0059】
また前記一般式(7)において、wは、単結合あるいは2つのベンゼン環と窒素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を示す。eは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、tは1〜7の整数を示す。tが2以上のとき、複数のeは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また前記一般式(7)において、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0060】
また前記一般式(8)において、vは、単結合あるいは2つのベンゼン環と窒素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を示す。fは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、uは1〜7の整数を示す。uが2以上のとき、複数のfは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
また前記一般式(8)において、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar10,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0061】
前記一般式(5)〜(8)において、a,b,c,d,e及びfの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチル及び1−メトキシエチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及びジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、フェニル、トリル、メトキシフェニル及びナフチルなどのアリール基、ならびにフッ素原子及び塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0062】
前記一般式(7)及び(8)において、w及びvの具体例としては、単結合以外では、メチレン鎖、エチレン鎖及びジメチルメチレン鎖などのアルキレン鎖、ビニレン鎖及びプロピレン鎖などの不飽和アルキレン鎖、オキシメチレン鎖及びチオビニレン鎖などのヘテロ原子を含むアルキレン鎖及び不飽和アルキレン鎖、ならびにカルボニル結合、SO、酸素原子,イオウ原子、セレン原子、及びアルキル基などの置換基を有する窒素原子やシリコン原子などのヘテロ原子などを挙げることができる。
【0063】
前記一般式(1)または(2)で示される有機光導電性材料のうち、より好ましい化合物としては、前記一般式(1)または(2)に含まれる下記一般式(9)で示されるエナミン構造部分が、下記一般式(10)で示されるエナミン化合物を挙げることができる。
【化32】
Figure 2004347949
【化33】
Figure 2004347949
前記一般式(9)において、Ar,Ar,Ar,R,Rおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
前記一般式(10)において、lは1〜3の整数を示す。
【0064】
前記一般式(1)または(2)で示される有機光導電性材料のうち、特性、原価及び生産性などの観点から特に優れた化合物としては、Ar及びArがフェニル基であり、R、R及びArが共に水素原子であり、nが1である。ここで、
(A)前記一般式(1)の場合、Arがフェニレン基、ナフチレン基であり、Arがフェニル基、トリル基、p−メトキシフェニル基、ビフェニリル基またはナフチル基であり、また前記一般式(2)の場合、NArがカルバゾール環またはフェノチアジン環である。
【0065】
(B)Xが前記一般式(3)で示される原子群の場合、Ar及びArのうちの少なくともいずれか一方がフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基またはチエニル基であり、またXが前記一般式(4)で示される原子群の場合、Ar及びAr10のうちの少なくともいずれか一方がフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基またはナフチル基であり、
、R及びRが共に水素原子であり、mが0または1であるものを挙げることができる。
【0066】
前記一般式(1)または(2)で示される本発明の有機光導電性材料の具体例としては、たとえば以下の表1〜表99に示す基を有する例示化合物を挙げることができるけれども、これによって本発明の有機光導電性材料が限定されるものではない。
表1〜30に前記一般式(1)で、Xが前記一般式(3)で示される原子群(=CArAr)の場合である下記一般式(12)で示される有機光導電性材料の具体例を示す。
【0067】
【化34】
Figure 2004347949
(一般式(12)中、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、R、R、R、R、R、n及びmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0068】
なお、表1〜30に示す各基は、前記一般式(1)の各基に対応する。たとえば、表1に示す例示化合物No.1−1は、下記構造式(1−1)で示されるエナミン化合物である。ただし、Ar及びArが互いに結合し環構造を形成するものについては、Arの欄からArの欄に渡って、Ar及びArが結合する炭素−炭素二重結合と、その炭素−炭素二重結合の炭素原子と共にAr及びArが形成する環構造とを合わせて示す。
【0069】
【化35】
Figure 2004347949
【0070】
【表1】
Figure 2004347949
【0071】
【表2】
Figure 2004347949
【0072】
【表3】
Figure 2004347949
【0073】
【表4】
Figure 2004347949
【0074】
【表5】
Figure 2004347949
【0075】
【表6】
Figure 2004347949
【0076】
【表7】
Figure 2004347949
【0077】
【表8】
Figure 2004347949
【0078】
【表9】
Figure 2004347949
【0079】
【表10】
Figure 2004347949
【0080】
【表11】
Figure 2004347949
【0081】
【表12】
Figure 2004347949
【0082】
【表13】
Figure 2004347949
【0083】
【表14】
Figure 2004347949
【0084】
【表15】
Figure 2004347949
【0085】
【表16】
Figure 2004347949
【0086】
【表17】
Figure 2004347949
【0087】
【表18】
Figure 2004347949
【0088】
【表19】
Figure 2004347949
【0089】
【表20】
Figure 2004347949
【0090】
【表21】
Figure 2004347949
【0091】
【表22】
Figure 2004347949
【0092】
【表23】
Figure 2004347949
【0093】
【表24】
Figure 2004347949
【0094】
【表25】
Figure 2004347949
【0095】
【表26】
Figure 2004347949
【0096】
【表27】
Figure 2004347949
【0097】
【表28】
Figure 2004347949
【0098】
【表29】
Figure 2004347949
【0099】
【表30】
Figure 2004347949
【0100】
下記表31〜54に前記一般式(1)でXが前記一般式(3)で示される原子群(=N−NArAr10)の場合である下記一般式(13)で示される有機光導電性材料の具体例を示す。
【0101】
【化36】
Figure 2004347949
(一般式(13)中、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar10、R、R、R、R、R、n及びmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0102】
なお、表31〜54に示す各基は、前記一般式(1)の各基に対応する。たとえば、表31に示す例示化合物No.2−1は、下記構造式(2−1)で示されるエナミン化合物である。ただし、Ar及びAr10が互いに結合し環構造を形成するものについては、Arの欄からAr10の欄に渡って、Ar及びAr10が結合する窒素原子と、その窒素原子と共にAr及びAr10が形成する環構造とを合わせて示す。
【0103】
【化37】
Figure 2004347949
【0104】
【表31】
Figure 2004347949
【0105】
【表32】
Figure 2004347949
【0106】
【表33】
Figure 2004347949
【0107】
【表34】
Figure 2004347949
【0108】
【表35】
Figure 2004347949
【0109】
【表36】
Figure 2004347949
【0110】
【表37】
Figure 2004347949
【0111】
【表38】
Figure 2004347949
【0112】
【表39】
Figure 2004347949
【0113】
【表40】
Figure 2004347949
【0114】
【表41】
Figure 2004347949
【0115】
【表42】
Figure 2004347949
【0116】
【表43】
Figure 2004347949
【0117】
【表44】
Figure 2004347949
【0118】
【表45】
Figure 2004347949
【0119】
【表46】
Figure 2004347949
【0120】
【表47】
Figure 2004347949
【0121】
【表48】
Figure 2004347949
【0122】
【表49】
Figure 2004347949
【0123】
【表50】
Figure 2004347949
【0124】
【表51】
Figure 2004347949
【0125】
【表52】
Figure 2004347949
【0126】
【表53】
Figure 2004347949
【0127】
【表54】
Figure 2004347949
【0128】
表55〜79に前記一般式(2)でXが前記一般式(3)で示される原子群(=CArAr)の場合である下記一般式(14)で示される有機光導電性材料の具体例を示す。
【0129】
【化38】
Figure 2004347949
(一般式(14)中、Ar、Ar、Ar、NAr、Ar、Ar、R、R、R、R、R、n及びmは、前記一般式(1)および(2)において定義したものと同義である。)
【0130】
なお、表55〜79に示す各基は、前記一般式(1)または(2)の各基に対応する。たとえば、表55に示す例示化合物No.3−1は、下記構造式(3−1)で示されるエナミン化合物である。ただし、Ar及びArが互いに結合し環構造を形成するものについては、Arの欄からArの欄に渡って、Ar及びArが結合する炭素−炭素二重結合と、その炭素−炭素二重結合の炭素原子と共にAr及びArが形成する環構造とを合わせて示す。
【0131】
【化39】
Figure 2004347949
【0132】
【表55】
Figure 2004347949
【0133】
【表56】
Figure 2004347949
【0134】
【表57】
Figure 2004347949
【0135】
【表58】
Figure 2004347949
【0136】
【表59】
Figure 2004347949
【0137】
【表60】
Figure 2004347949
【0138】
【表61】
Figure 2004347949
【0139】
【表62】
Figure 2004347949
【0140】
【表63】
Figure 2004347949
【0141】
【表64】
Figure 2004347949
【0142】
【表65】
Figure 2004347949
【0143】
【表66】
Figure 2004347949
【0144】
【表67】
Figure 2004347949
【0145】
【表68】
Figure 2004347949
【0146】
【表69】
Figure 2004347949
【0147】
【表70】
Figure 2004347949
【0148】
【表71】
Figure 2004347949
【0149】
【表72】
Figure 2004347949
【0150】
【表73】
Figure 2004347949
【0151】
【表74】
Figure 2004347949
【0152】
【表75】
Figure 2004347949
【0153】
【表76】
Figure 2004347949
【0154】
【表77】
Figure 2004347949
【0155】
【表78】
Figure 2004347949
【0156】
【表79】
Figure 2004347949
【0157】
次に表80〜表99に前記一般式(2)でXが前記一般式(3)で示される原子群(=N−NArAr10)の場合である下記一般式(15)で示される有機光導電性材料の具体例を示す。
【0158】
【化40】
Figure 2004347949
(一般式(15)中、Ar、Ar、Ar、NAr、Ar、Ar10、R、R、R、R、R、n及びmは、前記一般式(1)および(2)において定義したものと同義である。)
【0159】
なお、表80〜99に示す各基は、前記一般式(1)または(2)の各基に対応する。たとえば、表80に示す例示化合物No.4−1は、下記構造式(4−1)で示されるエナミン化合物である。ただし、Ar及びAr10が互いに結合し環構造を形成するものについては、Arの欄からAr10の欄に渡って、Ar及びAr10が結合する窒素原子と、その窒素原子と共にAr及びAr10が形成する環構造とを合わせて示す。
【0160】
【化41】
Figure 2004347949
【0161】
【表80】
Figure 2004347949
【0162】
【表81】
Figure 2004347949
【0163】
【表82】
Figure 2004347949
【0164】
【表83】
Figure 2004347949
【0165】
【表84】
Figure 2004347949
【0166】
【表85】
Figure 2004347949
【0167】
【表86】
Figure 2004347949
【0168】
【表87】
Figure 2004347949
【0169】
【表88】
Figure 2004347949
【0170】
【表89】
Figure 2004347949
【0171】
【表90】
Figure 2004347949
【0172】
【表91】
Figure 2004347949
【0173】
【表92】
Figure 2004347949
【0174】
【表93】
Figure 2004347949
【0175】
【表94】
Figure 2004347949
【0176】
【表95】
Figure 2004347949
【0177】
【表96】
Figure 2004347949
【0178】
【表97】
Figure 2004347949
【0179】
【表98】
Figure 2004347949
【0180】
【表99】
Figure 2004347949
【0181】
本発明の有機光導電性材料である前記一般式(1)または(2)で示されるエナミン化合物は、たとえば以下のようにして製造することができる。
まず、下記一般式(16)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、下記一般式(17)で示される2級アミン化合物またはNH基を有する複素環化合物との脱水縮合反応を行うことによって、下記一般式(18)または(19)で示されるエナミン中間体を製造する。
【0182】
【化42】
Figure 2004347949
【0183】
【化43】
Figure 2004347949
【0184】
【化44】
Figure 2004347949
【0185】
【化45】
Figure 2004347949
【0186】
尚、一般式(16)〜(19)式中、kは0〜2の整数を示し、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、NAr、R、R及びnは、前記一般式(1)および(2)において定義したものと同義である。
【0187】
この脱水縮合反応は、たとえば以下のように行う。前記一般式(16)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、これと略等モル量の前記一般式(17)で示される2級アミン化合物またはNH基を有する複素環化合物とを、芳香族系溶剤、アルコール類またはエーテル類などの溶剤に溶解させ、溶液を調製する。用いる溶剤の具体例としては、たとえばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ブタノール及びジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。調製した溶液中に、触媒、たとえばp−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはピリジニュウム−p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を加え、加熱下で反応させる。
【0188】
触媒の添加量は、前記一般式(16)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物に対して、10分の1(1/10)〜1000分の1(1/1000)モル当量であることが好ましく、より好ましくは25分の1(1/25)〜500分の1(1/500)モル当量(以下、単に当量という。)であり、50分の1(1/50)〜200分の1(1/200)当量が最適である。反応中、水が副成し反応を妨げるので、生成した水を溶剤と共沸させ系外に取り除く。これによって、前記一般式(18)または(19)で示されるエナミン中間体を高収率で製造することができる。
以下の合成例は前記一般式(1)で示される有機光導電性材料の場合を示す。なお、前記一般式(2)で示される有機光導電性材料の場合も全く同様な手法により製造することができる。
【0189】
次に、前記一般式(18)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化またはフリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うことによって、下記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体を製造する。このとき、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うと、下記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を製造することができ、フリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うと、下記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を製造することができる。
【0190】
【化46】
Figure 2004347949
(式中、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、R、R、R、及びnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0191】
ビルスマイヤー反応は、たとえば以下のように行う。N,N−ジメチルホルムアミド(略称:DMF)または1,2−ジクロロエタンなどの溶剤中に、オキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミド、オキシ塩化リンとN−メチル−N−フェニルホルムアミド、またはオキシ塩化リンとN,N−ジフェニルホルムアミドとを加え、ビルスマイヤー試薬を調製する。調製したビルスマイヤー試薬1.0当量〜1.3当量に、前記一般式(18)で示されるエナミン中間体1.0当量を加え、60〜110℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を高収率で製造することができる。
【0192】
また、フリーデル−クラフト反応は、たとえば以下のように行う。1,2−ジクロロエタンなどの溶剤中に、塩化アルミニウムと酸塩化物とによって調製した試薬1.0当量〜1.3当量と、前記一般式(18)で示されるエナミン中間体1.0当量とを加え、−40〜80℃で、2〜8時間撹拌する。このとき、場合によっては加熱する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を高収率で製造することができる。
最後に、前記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体と下記一般式(21)で示されるヴィッティッヒ(Wittig)試薬とを塩基性条件下で反応させるヴィッティッヒ−ホーナー(Horner)反応を行うことによって、本発明の有機光導電性材料である前記一般式(1)で示される化合物のうち、Xが前記一般式(3)で示されるをエナミン化合物製造することができる。
【0193】
【化47】
Figure 2004347949
【0194】
(式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar、Ar、R、R及びmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0195】
また、前記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体と下記一般式(22)で示されるヒドラジン試薬と反応させることにより、本発明の有機光導電性材料である前記一般式(1)で示される化合物のうち、Xが前記一般式(4)で示されるをエナミン化合物製造することができる。
【0196】
【化48】
Figure 2004347949
(式中、Ar及びAr10は、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0197】
このヴィッティッヒ−ホーナー反応は、たとえば以下のように行う。トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(略称:THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなどの溶剤中に、前記一般式(20)で示されるエナミン−カルボニル中間体1.0当量と、前記一般式(21)で示されるヴィッティッヒ試薬1.0〜1.20当量と、カリウムt−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイドまたはナトリウムメトキサイドなどの金属アルコキシド塩基1.0〜1.5当量とを加え、室温または30〜60℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。これによって、前記一般式(1)で示される化合物のうち、Xが前記一般式(3)で示されるをエナミン化合物を高収率で製造することができる。
【0198】
また、ヒドラゾン化反応は、たとえば以下のように行う。エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルまたは1,4−ジオキサン等の溶剤中において、前記一般式(20)で表されるエナミン−カルボニル中間体1.0当量と、前記一般式(22)で表されるヒドラジン試薬あるいはその塩酸塩1.0〜1.2当量とを、酢酸等の有機酸、あるいは酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機塩の触媒を触媒量(0.001〜0.1当量)と共に60〜110℃で2〜8時間加熱撹拌することにより、前記一般式(1)で示される化合物のうち、Xが前記一般式(4)で示されるをエナミン化合物を高収率で製造することができる。
【0199】
本発明による電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)は、以上に述べた前記一般式(1)、(2)または(5)〜(8)で示される本発明の有機光導電性材料を電荷輸送物質として用いるものであり、種々の実施形態がある。以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0200】
本発明による電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)は、以上に述べた前記一般式(1)、(2)または(5)〜(8)で示される本発明の有機光導電性材料を電荷輸送物質として用いるものであり、種々の実施形態がある。以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0201】
図1は、本発明による電子写真感光体の一例である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体1は、導電性材料からなるシート状の導電性支持体11上に、電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と、電荷輸送物質13及び電荷輸送物質13を結着させるバインダ樹脂17を含有する電荷輸送層16とが、導電性支持体11から外方に向かってこの順序で積層されてなる積層構造からなる感光層14を有する積層型感光体である(図においては電荷発生物質12及び電荷輸送物質13を示すために強調描写してあるが、実際は各層を構成、或いはバインダ樹脂等の成分に均一に分散しているものである。)。
【0202】
電荷輸送層16には、電荷輸送物質13として、本発明の有機光導電性材料である前記一般式(1)〜(5)で示される電荷移動度の高いエナミン化合物が含有される。したがって、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下しない電子写真感光体を得ることができる。更に前述のように、感光層14は、電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と電荷輸送物質13を含有する電荷輸送層16との積層構造からなる。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、電荷発生機能及び電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、さらに繰り返し使用時の安定性も増した高耐久性を有する電子写真感光体を得ることができる。
【0203】
導電性支持体11を構成する導電性材料としては、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼及びチタンなどの金属材料を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に、金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。導電性支持体11の形状は、電子写真感光体1ではシート状であるけれども、これに限定されることなく、円筒状、円柱状または無端ベルト状などであってもよい。
【0204】
導電性支持体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているため、入射するレーザ光と電子写真感光体内で反射された光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥を起こすことがある。導電性支持体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
【0205】
電荷発生層15は、光を吸収することによって電荷を発生させる電荷発生物質12を主成分として含有する。電荷発生物質12として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料及びトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミド及びペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノン及びピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類及びチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、ならびにセレン及び非晶質シリコンなどの無機材料などを挙げることができる。これらの電荷発生物質は、1種が単独でまたは2種以上が組合わされて使用される。
【0206】
これらの電荷発生物質の中でも、オキソチタニウムフタロシアニンを用いることが好ましい。オキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質13に効率よく注入する。また、前述のように電荷輸送物質13には、前記一般式(1)〜(5)で示される電荷移動度の高い有機光導電性材料が使用される。したがって、光吸収によって電荷発生物質12で発生する電荷は、電荷輸送物質13に効率的に注入されて円滑に輸送されるので、高感度かつ高解像度の電子写真感光体を得ることができる。
【0207】
電荷発生物質12は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー及びビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ及びフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルー及びメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルー及びメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用されてもよい。
【0208】
電荷発生層15の形成方法としては、電荷発生物質12を導電性支持体11上に真空蒸着する方法、または溶剤中に電荷発生物質12を分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性支持体11上に塗布する方法などがある。これらの中でも、結着剤であるバインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質12を従来公知の方法によって分散し、得られた塗布液を導電性支持体11上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
【0209】
バインダ樹脂には、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。共重合体樹脂の具体例としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂及びアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。
【0210】
溶剤には、たとえばジクロロメタン及びジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサンなどのエーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素類、またはN,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが用いられる。また、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤を用いることもできる。
【0211】
電荷発生物質12とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生物質12の割合が10質量%〜99質量%の範囲にあることが好ましい。電荷発生物質12の割合が10質量%未満であると、感度が低下する。電荷発生物質12の割合が99質量%を越えると、電荷発生層15の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質12の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき以外の表面電荷が減少するので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。したがって、10質量%〜99質量%とした。
バインダ樹脂溶液中に電荷発生物質12を分散させる前に、予め電荷発生物質12を粉砕機によって粉砕処理してもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル及び超音波分散機などを挙げることができる。
【0212】
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルまたはサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散して得られる電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性及び生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に導電性支持体11を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体11上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
【0213】
電荷発生層15の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層15の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感度が低下する。電荷発生層15の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する。したがって、0.05μm以上5μm以下とした。
【0214】
電荷輸送層16は、前記一般式(1)、(2)および(5)〜(8)で示される本発明の有機光導電性材料を、電荷発生物質12で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する電荷輸送物質13として、バインダ樹脂17中に含有させることによって得られる。前記一般式(1)、(2)および(5)〜(8)で示される有機光導電性材料は、前述の表1乃至表99に示す例示化合物などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
前記一般式(1)、(2)および(5)〜(8)で示される有機光導電性材料は、他の電荷輸送物質と混合されて使用されてもよい。
その他の電荷輸送物質としては、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体及びベンジジン誘導体などを挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセンなども挙げられる。
しかしながら、特に高い電荷輸送能力を実現するためには、電荷輸送物質13の全量が、前記一般式(1)、(2)および(5)〜(8)で示される本発明の有機光導電性材料であることが好ましい。
【0215】
電荷輸送層16に使用するバインダ樹脂17には、電荷輸送物質13との相溶性に優れるものが選ばれる。具体例としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂及びそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。これらの樹脂は、単独で使用されてもよく、また2種以上混合されて使用されてもよい。前述した樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れており、また皮膜性及び電位特性などにも優れているので、これらをバインダ樹脂17に用いることが特に好ましい。
【0216】
電荷輸送物質13(A)とバインダ樹脂17(B)との比率A/Bは、一般的には質量比で10/12程度であるけれども、本発明による電子写真感光体1では、質量比で10/12〜10/30である。
前述のように、電荷輸送物質13は前記一般式(1)、(2)および(5)〜(8)で示される電荷移動度の高い本発明の有機光導電性材料を含むので、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、従来公知の電荷輸送物質を用いる場合よりも高い比率でバインダ樹脂を加えても、光応答性を維持することができる。したがって、光応答性を低下させることなく、電荷輸送層16の耐刷性を向上させ、電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。
なお、前記比率A/Bが10/30未満でありバインダ樹脂17の比率が高くなると、浸漬塗布法によって電荷輸送層16を形成する場合、塗布液の粘度が増大するので、塗布速度低下を招き生産性が著しく悪くなる。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶剤の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層16に白濁が発生する。また前記比率A/Bが10/12を超えバインダ樹脂17の比率が低くなると、バインダ樹脂17の比率が高いときに比べて耐刷性が低くなり、感光層の摩耗量が増加する。したがって、10/12以上10/30以下とした。
【0217】
電荷輸送層16には、成膜性、可撓性及び表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤またはレベリング剤などの添加剤を添加してもよい。可塑剤としては、たとえば二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、塩素化パラフィン及びエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
【0218】
また電荷輸送層16には、機械的強度の増強や電気的特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加してもよい。
さらに電荷輸送層16には、必要に応じて酸化防止剤及び増感剤などの各種添加剤を添加してもよい。これによって、電位特性が向上するとともに、塗布液としての安定性が高まり、また感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
【0219】
酸化防止剤には、ヒンダードフェノール誘導体またはヒンダードアミン誘導体が好適に用いられる。ヒンダードフェノール誘導体は電荷輸送物質13に対して0.1質量%以上50質量%以下の範囲で使用されることが好ましい。ヒンダードアミン誘導体は電荷輸送物質13に対して0.1質量%以上50質量%以下の範囲で使用されることが好ましい。ヒンダードフェノール誘導体とヒンダードアミン誘導体とは、混合されて使用されてもよい。この場合、ヒンダードフェノール誘導体及びヒンダードアミン誘導体の合計使用量は、電荷輸送物質13に対して0.1質量%以上50質量%以下の範囲にあることが好ましい。ヒンダードフェノール誘導体の使用量、ヒンダードアミン誘導体の使用量、またはヒンダードフェノール誘導体及びヒンダードアミン誘導体の合計使用量が0.1質量%未満であると、塗布液の安定性の向上及び感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない。また50質量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。したがって、0.1質量%以上50質量%以下とした。
【0220】
電荷輸送層16は、たとえば前述の電荷発生層15を形成する場合と同様に、適当な溶剤中に電荷輸送物質13及びバインダ樹脂17、ならびに必要な場合には前述の添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗布液をスプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法または浸漬塗布法などによって、電荷発生層15上に塗布することによって形成される。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述したように種々の点で優れているので、電荷輸送層16を形成する場合にも多く利用されている。
【0221】
塗布液に用いられる溶剤には、ベンゼン、トルエン、キシレン及びモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン及びジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、THF、ジオキサン及びジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。また前述した溶剤に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。
【0222】
電荷輸送層16の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層16の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層16の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
【0223】
感光層14には、感度の向上を図り、繰返し使用時の残留電位の上昇及び疲労などを抑えるために、さらに1種以上の電子受容物質や色素を添加してもよい。電子受容物質には、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン及びテレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン及び1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン及び2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、ならびにジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料、またはこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることができる。
色素には、たとえばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料または銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
【0224】
感光層14の表面には、保護層を設けてもよい。保護層を設けることによって、感光層14の耐刷性を向上させることができるとともに、感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾンや窒素酸化物などの感光層14への化学的悪影響を防止することができる。保護層には、たとえば樹脂、無機フィラー含有樹脂または無機酸化物などからなる層が用いられる。
【0225】
図2は、本発明による電子写真感光体の他の実施形態例である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体2は、図1に示す電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。注目すべきは、導電性支持体11と感光層14との間に中間層18が設けられることである。
【0226】
導電性支持体11と感光層14との間に中間層18がない場合、導電性支持体11から感光層14に電荷が注入され、感光層14の帯電性が低下し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し画像にかぶりなどの欠陥が発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷が減少した部分にトナー画像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化が生じる。
すなわち、導電性支持体11または感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ポチなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となる。前述のように中間層18を設けることによって、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができるので、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。
また中間層18を設けることによって、導電性支持体11表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性支持体11からの剥離を抑え、導電性支持体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
【0227】
中間層18には、各種樹脂材料からなる樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。樹脂層を形成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びポリアミド樹脂などの樹脂、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ならびにエチルセルロースなどを挙げることができる。これらの中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン及び2−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロン及びN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
【0228】
中間層18は、金属酸化物などの粒子を含有してもよい。これらの粒子を含有させることによって、中間層18の体積抵抗値を調節し、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入をさらに防止することができるとともに、各種環境下において感光体の電気特性を維持することができる。
金属酸化物粒子としては、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
中間層18に金属酸化物などの粒子を含有させる場合、たとえば、前述の樹脂が溶解した樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11上に塗布することによって中間層18を形成することができる。
【0229】
樹脂溶液の溶剤には、水または各種有機溶剤が用いられる。特に、水、メタノール、エタノールもしくはブタノールなどの単独溶剤、または水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルム及びトリクロロエタンなどの塩素系溶剤とアルコール類などの混合溶剤が好適に用いられる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルまたは超音波分散機などを用いる一般的な方法を使用することができる。
【0230】
中間層用塗布液中の樹脂及び金属酸化物の合計含有量Cは、中間層用塗布液に使用されている溶剤の含有量Dに対し、C/Dが質量比で1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂と金属酸化物との比率(樹脂/金属酸化物)は、質量比で90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法などを挙げることができる。特に浸漬塗布法は、前述したように、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、中間層18を形成する場合にも多く利用されている。
【0231】
中間層18の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層18の膜厚が0.01μmより薄いと、実質的に中間層18として機能しなくなり、導電性支持体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。中間層18の膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層18を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層18の形成が困難になるとともに、中間層18上に感光層14を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するので好ましくない。
【0232】
図3は、本発明の更に他の実施形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体3は、図2に示す電子写真感光体2に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
注目すべきは、電子写真感光体3が、電荷発生物質12と電荷輸送物質13との両者をバインダ樹脂17中に含有させてなる単層構造からなる感光層14を有する単層型感光体であることである。
感光層14は、前述の電荷輸送層13を形成する場合と同様の方法で形成される。たとえば、前述の電荷発生物質12と前記一般式(1)、(2)または(5)〜(8)で示される本発明の有機光導電性材料を含む電荷輸送物質13とバインダ樹脂17とを、前述の適当な溶剤に溶解または分散させて感光層用塗布液を調製し、この感光層用塗布液を浸漬塗布法などによって中間層18上に塗布することによって形成される。
【0233】
感光層14中の電荷輸送物質13とバインダ樹脂17との比率は、前述の電荷輸送層16中の電荷輸送物質13とバインダ樹脂17との比率A/Bと同様に、質量比で10/12〜10/30である。
感光層14の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。感光層14の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層14の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。したがって、5μm以上100μm以下とした。
【0234】
本発明による電子写真感光体は、以上に述べた図1〜図3に示す構成に限定されることなく、種々の層構成を採ることができる。
また感光体の各層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤及び紫外線吸収剤などの各種添加剤を添加してもよい。これによって、電位特性を向上させることができる。また塗布によって層を形成する際の塗布液の安定性が高まる。また感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。特に酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物及びアミン系化合物などを挙げることができる。これらの酸化防止剤は、電荷輸送物質13に対して0.1質量%以上50質量%以下の範囲で使用されることが好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1質量%未満であると、塗布液の安定性の向上及び感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない。酸化防止剤の使用量が50質量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。したがって、0.1質量%以上50質量%以下とした。
【0235】
次に、本発明による電子写真感光体を備える画像形成装置について説明する。なお、本発明による画像形成装置は、以下の記載内容に限定されるものではない。
図4は、本発明による電子写真感光体を備える画像形成装置の構成を簡略化して示す構成図である。
図に示す如く画像形成装置5は、本発明による電子写真感光体10(以下、単に「感光体10」とも称する。)を備える。感光体10は、円筒状であって、図示しない駆動手段によって参照符41の方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体10の周囲には、感光体10の回転方向に沿って、帯電器32、図示しない半導体レーザ、現像器33、転写帯電器34、クリーナ36がこの順序で設けられる。また転写紙51の進行方向には定着器35が設けられる。
【0236】
この画像形成装置5による画像形成過程について説明する。まず感光体10は、接触式または非接触式の帯電器32によって、帯電器32を臨む表面43に正または負の所定電位の均一帯電を受ける。次いで、図示しない半導体レーザからレーザビーム31が照射され、感光体10の表面43に露光が施される。レーザビーム31は、主走査方向である感光体10の長手方向に繰返し走査され、これに伴って感光体10の表面43に静電潜像が順次形成される。静電潜像は、レーザビーム31の結像点よりも回転方向下流側に設けられた現像器33によって、トナー画像として現像される。
また、感光体10への露光と同期して、転写紙51が参照符42の方向から現像器33の回転方向下流側に設けられた転写帯電器34に与えられる。
【0237】
現像器33において感光体10の表面43に形成されたトナー画像は、転写帯電器34によって転写紙51の表面上に転写される。トナー画像が転写された転写紙51は図示しない搬送ベルトによって定着器35に搬送され、定着器35によってトナー画像が転写紙51に定着され、画像の一部が形成される。
感光体10の表面43上に残留するトナーは、転写帯電器34のさらに回転方向下流側であって帯電器32の回転方向上流側に、図示しない除電ランプと共に設けられるクリーナ36によって除去される。感光体10をさらに回転させることによって以上の過程が繰返され、転写紙51上に画像が形成される。このようにして画像が形成された転写紙51は、画像形成装置5の外部に排紙される。
【0238】
画像形成装置5に備えられる電子写真感光体10は、前述のように、前記一般式(1)、(2)または(5)〜(8)で示される本発明の有機光導電性材料を電荷輸送物質として含有するので、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、またそれらの特性は、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にも低下しない。
したがって、各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。
【0239】
【実施例】
次に実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
【0240】
(製造例1)例示化合物No.1−5の製造
(製造例1−1)エナミン中間体の製造
トルエン100mlに、ジフェニルアミン16.9g(1.0当量)と、下記構造式(23)で示されるアルデヒド化合物23.3g(1.05当量)と、DL−10−カンファースルホン酸0.23g(0.01当量)とを加えて加熱し、副生した水をトルエンと共沸させて系外に取り除きながら、6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を10分の1(1/10)程度に濃縮し、激しく撹拌されているヘキサン100ml中に徐々に滴下し、結晶を生成させた。生成した結晶を濾別し、冷エタノールで洗浄することによって、淡黄色粉末状化合物33.2gを得た。
【0241】
【化49】
Figure 2004347949
【0242】
得られた化合物を液体クロマトグラフィー−質量分析法(略称:LC−MS)で分析した結果、下記構造式(24)で示されるエナミン中間体(分子量の計算値:373.18)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが374.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(24)で示されるエナミン中間体であることが判った(収率:89%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン中間体の純度は99.1%であることが判った。
【0243】
【化50】
Figure 2004347949
【0244】
以上のように、2級アミン化合物であるジフェニルアミンと、アルデヒド化合物である前記構造式(23)で示されるアルデヒド化合物との脱水縮合反応を行うことによって、前記構造式(24)で示されるエナミン中間体を得ることができた。
【0245】
(製造例1−2)エナミン−アルデヒド中間体の製造
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100ml中に、氷冷下、オキシ塩化リン9.2g(1.2当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、製造例1−1で得られた前記構造式(24)で示されるエナミン中間体18.7g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を80℃まで上げ、80℃を保つように加熱しながら3時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷やした4規定(4N)−水酸化ナトリウム水溶液800ml中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物18.5gを得た。
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、下記構造式(25)で示されるエナミン−アルデヒド中間体(分子量の計算値:401.18)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが402.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(25)で示されるエナミン−アルデヒド中間体であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン−アルデヒド中間体の純度は99.2%であることが判った。
【0246】
【化51】
Figure 2004347949
【0247】
以上のように、前記構造式(24)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うことによって、前記構造式(25)で示されるエナミン−アルデヒド中間体を得ることができた。
【0248】
(製造例1−3)例示化合物No.1−5の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(25)で示されるエナミン−アルデヒド中間体8.0g(1.0当量)と、下記構造式(26)で示されるp−メトキシベンジル亜リン酸ジエチルエステル6.0g(1.2当量)とを、無水DMF80mlに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド2.8g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶9.1gを得た。
【0249】
【化52】
Figure 2004347949
【0250】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表1に示す例示化合物No.1−5のエナミン化合物(分子量の計算値:505.24)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが506.5に観測されたことから、得られた結晶は、例示化合物No.1のエナミン化合物であることが判った(収率:90%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.1−5のエナミン化合物の純度は99.2%であることが判った。
以上のように、前記構造式(25)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と、ヴィッティッヒ試薬である前記構造式(26)で示されるp−メトキシベンジル亜リン酸ジエチルエステルとのヴィッティッヒ−ホーナー反応を行うことによって、表1に示す例示化合物No.1−5のエナミン化合物を得ることができた。
【0251】
(製造例2)例示化合物No.2−99の製造
前記構造式(23)で示されるアルデヒド化合物23.3g(1.05当量)に代えて、下記構造式(27)で示されるアルデヒド化合物5.0g(1.05当量)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、脱水縮合反応によるエナミン中間体の製造(収率:92%)及びビルスマイヤー反応によるエナミン−アルデヒド中間体の製造(収率:89%)を行い、下記構造式(28)で示されるエナミン−アルデヒド中間体を得た[(M+H)+=416.5(Calcd=415.19)]。
【0252】
【化53】
Figure 2004347949
【0253】
【化54】
Figure 2004347949
得られたエナミン−アルデヒド中間体(28)6.8g(1.0当量)をエタノール33mlに溶解して、その溶液に下記構造式(29)で示されるN,N−ジフェニルヒドラジン3.6g(1.2当量)、触媒として酢酸0.2mlを室温で加え、その後、60〜70℃、5時間、加熱撹拌した。反応終了後、放冷し、生じた固形物を濾別し、エタノールで再結晶を行うことによって、黄色結晶8.2gを得た。
【0254】
【化55】
Figure 2004347949
【0255】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表50に示す例示化合物No.2−99のエナミン化合物(分子量の計算値:581.28)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが582.6に観測されたことから、得られた結晶は、例示化合物No.2−99のエナミン化合物であることが判った(収率:87%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.2−99のエナミン化合物の純度は99.0%であることが判った。
以上のように、前記構造式(28)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と、前記構造式(29)で示されるN,N−ジフェニルヒドラジンとのヒドラゾン化反応を行うことによって、表50に示す例示化合物No.2−99のエナミン化合物を得ることができた。
【0256】
(製造例3)例示化合物No.3−107の製造
ジフェニルアミン16.9g(1.0当量)に代えて、カルバゾール3.3g(1.0当量)
、前記構造式(23)で示されるアルデヒド化合物23.3g(1.05当量)に代えて、下記構造式(30)で示されるアルデヒド化合物4.7g(1.05当量)、ヴィッティッヒ試薬をp−メトキシベンジル亜リン酸ジエチルエステル6.0g(1.2当量)に代えて、下記構造式(31)で示されるジエチルシンナミルホスホネート5.0g(1.2当量)、を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、脱水縮合反応によるエナミン中間体の製造(収率:89%)及びビルスマイヤー反応によるエナミン−アルデヒド中間体の製造(収率:92%)を行い、さらにWittig−Horner反応を行うことによって、黄色粉末状化合物7.3gを得た。なお、各反応において使用した試薬と基質との当量関係は、製造例1で使用した試薬と基質との当量関係と同様である。
【0257】
【化56】
Figure 2004347949
【0258】
【化57】
Figure 2004347949
【0259】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表76に示す例示化合物No.3−107のエナミン化合物(分子量の計算値:499.23)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが500.6に観測されたことから、得られた結晶は、例示化合物No.3−107のエナミン化合物であることが判った(収率:89%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.3?107のエナミン化合物の純度は98.5%であることが判った。
【0260】
以上のように、脱水縮合反応、ビルスマイヤー反応及びウィッティッヒ−ホールナー反応の3段階の反応を行うことによって、3段階収率73%で、表76に示す例示化合物No.3−107のエナミン化合物を得ることができた。
【0261】
(実施例1)
電荷発生物質12である下記構造式(32)で示されるアゾ化合物1質量部を、THF99質量部にフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製:PKHH)1質量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで2時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、導電性支持体11である、表面にアルミニウムが蒸着された膜厚80μmのポリエステルフィルムのアルミニウム上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層15を形成した。
【0262】
【化58】
Figure 2004347949
【0263】
次に、電荷輸送物質13である表1に示す例示化合物No.1−5のエナミン化合物8質量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製:C−1400)10質量部とをTHF80質量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層15上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚10μmの電荷輸送層16を形成した。
以上のようにして、図1に示す構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
【0264】
(実施例2〜9)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−5に代えて、表9に示す例示化合物No.1−45、表24に示す例示化合物No.1−120、表28に示す例示化合物No.1−138、表30に示す例示化合物No.1−148、表36に示す例示化合物No.2−30、表50に示す例示化合物No.2−99、表76に示す例示化合物No.3−107または表84に示す例示化合物No.4−22のエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、8種類の電子写真感光体を作製した。
【0265】
(比較例1)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−5に代えて、下記構造式(33)で示される比較化合物Aを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0266】
【化59】
Figure 2004347949
【0267】
(比較例2)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−5に代えて、下記構造式(34)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0268】
【化60】
Figure 2004347949
【0269】
(比較例3)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−5に代えて、下記構造式(35)で示される比較化合物Cを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0270】
【化61】
Figure 2004347949
【0271】
[評価1]
以上の実施例1〜9及び比較例1〜3で作製した各電子写真感光体について、表面分析装置(理研計器株式会社製:AC−1)を用いてイオン化ポテンシャルを測定した。また、各電子写真感光体の感光層の表面に金を蒸着し、室温、減圧下で、飛行時間(Time−of−Flight)法によって電荷輸送物質13の電荷移動度を測定した。表33に測定結果を示す。なお、表100に示す電荷移動度の値は、電界強度が2.5×10V/cmのときの値である。
【0272】
【表100】
Figure 2004347949
【0273】
実施例1〜9と比較例3との比較から、前記一般式(1)で示される本発明の有機光導電性材料は、従来公知の電荷輸送物質である比較化合物Cなどのトリフェニルアミンダイマー(略称:TPD)に比べ、1〜3桁高い電荷移動度を有することが判った。
また実施例1〜9と比較例1との比較から、前記一般式(1)で示される本発明の有機光導電性材料は、前記一般式(1)のエナミン官能基がジフェニルエナミン基である比較化合物Aに比べ、同程度から2桁以上高い電荷移動度を有することが判った。
また実施例1〜9と比較例2との比較から、前記一般式(1)で示される本発明の有機光導電性材料は、本発明の有機光導電性材料の中間体に相当する比較化合物Bに比べ、1桁以上高い電荷移動度を有することが判った。
また実施例1、実施例2、実施例5、実施例9より、前記一般式(1)のエナミン構造部分が、前記一般式(11)で示されるエナミン構造を有している方が比較的高い電荷移動度を有することが判った。
【0274】
(実施例10)
酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO55A)21質量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)39質量部とを、メタノール329質量部と1,2−ジクロロエタン611質量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて8時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。調製した中間層用塗布液を、導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。次いで、電荷発生物質12であるY型オキソチタニウムフタロシアニン2質量部を、メチルエチルケン97質量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:BX−1)1質量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで10時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層18の上に、ベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚0.4μmの電荷発生層15を形成した。
【0275】
次いで、電荷輸送物質13である表1に示す例示化合物No.1−5のエナミン化合物10質量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:PCZ400)18質量部とを、THF100質量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層15上に、ベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、膜厚23μmの電荷輸送層16を形成した。
以上のようにして、図2に示す構成の積層型の電子写真感光体を作製した。
【0276】
(実施例11〜16)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−5に代えて、表9に示す例示化合物No.1−45、表28に示す例示化合物No.1−138、表30に示す例示化合物No.1−148、表36に示す例示化合物No.2−30、表76に示す例示化合物No.3−107または表84に示す例示化合物No.4−22のエナミン化合物を用いる以外は、実施例10と同様にして、6種類の電子写真感光体を作製した。
【0277】
(比較例4〜6)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−5に代えて、前記構造式(33)で示される比較化合物A、前記構造式(34)で示される比較化合物Bまたは前記構造式(35)で示される比較化合物Cを用いる以外は、実施例10と同様にして、3種類の電子写真感光体を作製した。
【0278】
(実施例17)
実施例10と同様にして、中間層用塗布液を調製し、これを導電性支持体11である厚み0.2mmのアルミニウム基板上に塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層18を形成した。
次に、電荷発生物質12であるY型オキソチタニウムフタロシアニン1質量部、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:Z−400)12質量部、電荷輸送物質13である表1に示す例示化合物No.1−5のエナミン化合物10質量部、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン5質量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5質量部及びTHF65質量部をボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製した。調製した感光層用塗布液を、先に形成した中間層18上に、ベーカアプリケータによって塗布した後、110℃で1時間、熱風乾燥し、膜厚20μmの感光層140を形成した。
以上のようにして、図3に示す構成の単層型の電子写真感光体を作製した。
【0279】
[評価2]
以上の実施例10〜17及び比較例3〜6で作製した各電子写真感光体について、静電複写紙試験装置(株式会社川口電機製作所製:EPA−8200)を用いて初期特性及び繰返し特性を評価した。なお、初期特性及び繰返し特性の評価は、温度22℃、相対湿度(Relative Humidity)65%(22℃/65%RH)の常温/常湿環境下(以下、N/N環境下と称する)と、温度5℃、相対湿度20%(5℃/20%RH)の低温/低湿環境下(以下、L/L環境下と称する)とにおいて行った。
【0280】
初期特性の評価は以下のように行った。感光体にマイナス(−)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させ、このときの感光体の表面電位を帯電電位V(V)として測定した。ただし、実施例13の単層型感光体の場合には、プラス(+)5kVの電圧を印加した。次に、帯電された感光体表面に対して露光を施した。このとき、感光体の表面電位を帯電電位V0から半減させるために要したエネルギーを半減露光量E1/2(μJ/cm)として測定し、感度の評価指標とした。また露光開始から10秒間経過した時点の感光体の表面電位を残留電位V(V)として測定し、光応答性の評価指標とした。なお、露光には、モノクロメータにて分光して得られた波長780nm、露光エネルギー1μW/cmの光を用いた。
繰返し特性の評価は、以下のように行った。前述の帯電及び露光の操作を1サイクルとして5000回繰返した後、初期特性の評価と同様にして、半減露光量E1/2、帯電電位V及び残留電位Vを測定した。
以上の測定結果を表101に示す。
【0281】
【表101】
Figure 2004347949
実施例10〜17と比較例4〜6との比較から、電荷輸送物質13に前記一般式(1)で示される本発明の有機光導電性材料を用いた実施例10〜17の感光体の方が、電荷輸送物質13に比較化合物A、BまたはCを用いた比較例4〜6の感光体よりも、半減露光量E1/2が小さく高感度で、また残留電位Vが負の方向に低いすなわち残留電位Vと基準電位との電位差が小さく、光応答性に優れることが判った。またこの特性は、繰返し使用した場合であっても維持され、また低温/低湿(L/L)環境下においても維持されることが判った。
【0282】
(実施例18)
酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO55A)21質量部と共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)39質量部とを、メタノール329質量部と1,2−ジクロロエタン611質量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて8時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。この中間層塗布液を塗工槽に満たし、直径40mm、全長340mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体11を塗工槽に浸漬した後引上げることによって、膜厚1.0μmの中間層18を導電性支持体11上に形成した。
【0283】
次いで、電荷発生物質12であるオキソチタニウムフタロシアニンとしてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニンの2質量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBM−S)1質量部と、メチルエチルケトン97質量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層18と同様の方法、すなわち浸漬塗布法にて、先に形成した中間層18上に塗布することによって、膜厚0.4μmの電荷発生層15を中間層18上に形成した。
【0284】
次いで、電荷輸送物質13である例示化合物No.1−45のエナミン化合物10質量部と、バインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ200)20質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール1質量部と、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:KF−96)0.004質量部とを、テトラヒドロフラン110質量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した中間層18と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層15上に塗布した後、110℃にて1時間乾燥させ、膜厚23μmの電荷輸送層16を形成した。
以上のようにして、電子写真感光体を作製した。
【0285】
(実施例19、20)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−45に代えて、表36に示す例示化合物No.2−30または表76に示す例示化合物No.3−107のエナミン化合物を用いる以外は、実施例18と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
【0286】
(比較例7、8)
電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−45に代えて、前記構造式(33)で示される比較化合物Aまたは前記構造式(34)で示される比較化合物Bを用いる以外は、実施例18と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
【0287】
(実施例21)
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を25質量部とする以外は、実施例18と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0288】
(実施例22、23)
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を25質量部とし、電荷輸送物質13に、例示化合物No.1−45に代えて、表36に示す例示化合物No.2−30または表76に示す例示化合物No.3−107のエナミン化合物を用いる以外は、実施例18と同様にして、2種類の電子写真感光体を作製した。
【0289】
(実施例24)
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を10質量部とする以外は、実施例18と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0290】
(実施例25)
電荷輸送層16のバインダ樹脂17であるポリカーボネート樹脂の量を31質量部とする以外は、実施例18と同様にして電子写真感光体を作製した。
ただし、電荷輸送層16の形成の際、実施例21と同量のテトラヒドロフランではポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製することができなかったので、テトラヒドロフランを追加し、ポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製し、これを用いて電荷輸送層16を形成した。
しかしながら、電荷輸送層用塗布液中の溶剤の量が過剰であるために、円筒状の感光体の長手方向端部にブラッシング現象による白濁が生じ、特性評価を行うことができなかった。
【0291】
[評価3]
以上の実施例18〜25及び比較例7、8で作製した各電子写真感光体について、耐刷性及び電気特性の安定性の評価を以下のように行った。
実施例18〜25及び比較例7、8で作製した各電子写真感光体を、プロセススピードを117mm/secとしたデジタル複写機(シャープ株式会社製:AR−C150)にそれぞれ搭載した。画像形成を40,000枚行った後、感光層の膜厚dを測定し、この値と作製時の感光層の膜厚dとの差を膜減り量Δd(=d−d)として求め、耐刷性の評価指標とした。
【0292】
また複写機内部に、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(ジェンテック社製:CATE751)を設け、22℃/65%RHのN/N環境下において、帯電直後の表面電位である帯電電位V(V)及びレーザ光によって露光を施した直後の表面電位V(V)を測定した。また5℃/20%RHのL/L環境下においても同様にして、レーザ光によって露光を施した直後の表面電位Vを測定した。N/N環境下で測定した表面電位VをV(1)とし、L/L環境下で測定した表面電位VをV(2)としたとき、V(1)とV(2)との差を電位変動ΔV(=V(2)−V(1))として求め、電気特性の安定性の評価指標とした。なお、感光体表面の帯電は、負帯電プロセスで行った。
これらの評価結果を表102に示す。
【0293】
【表102】
Figure 2004347949
【0294】
実施例18〜23と比較例7、8との比較から、電荷輸送物質13に本発明の有機光導電性材料を用いた実施例18〜23の感光体は、比較化合物AまたはBを用いた比較例7、8の感光体に比べ、高い比率でバインダ樹脂を加えた場合であっても、N/N環境下の表面電位Vの大きさが小さく光応答性に優れることが判った。また電位変動ΔVの大きさも小さく、L/L環境下においても充分な光応答性を示すことが判った。
【0295】
実施例18〜23と実施例24との比較から、電荷輸送物質(A)とバインダ樹脂(B)との比率A/Bが10/12〜10/30の範囲にある実施例21〜26の感光体の方が、前記比率A/Bが10/10であり10/12を超え、バインダ樹脂の比率が低い実施例24の感光体よりも、膜減り量Δdが小さく、耐刷性が高いことが判った。
以上のように、本発明の有機光導電性材料を含有させて電荷輸送層を形成することによって、光応答性を低下させることなく、電荷輸送層の耐刷性を向上させることができた。
【0296】
【発明の効果】
本発明に係る有機光導電性材料によれば、特定の分子構造を有するので、高い電荷移動度を有する。
また、特定の有機光導電性材料にあっては分子構造的に簡単に製造することができるので、特に高い電荷移動度を有する有機光導電性材料を容易に提供することができる。
【0297】
更に本発明に係る電子写真感光体によれば、有機光導電性材料のエナミン構造が特定の構造を有するので、低コストで高い電荷移動度を有する有機光導電性材料を提供することができので、感光層には、このような電荷移動度の高い有機光導電性材料が電荷輸送物質として含有されるので、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示すことができる。これにより、耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体を提供することができる。
また、本発明においては、感光層に高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるオキソチタニウムフタロシアニンが含有されるので、高感度かつ高解像度の電子写真感光体を提供することができる。
【0298】
更に、本発明に係る電子写真感光体よれば、その感光層を、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造とするので、より高感度で、さらに繰り返し使用時の安定性も増した高耐久性を有することができる。
また、従来公知の電荷輸送物質を用いる場合よりも高い比率でバインダ樹脂を加えても、光応答性を維持することができるので、光応答性を低下させることなく、電荷輸送層の耐刷性を向上させ、電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。
更に、導電性支持体と感光層との間には中間層が設けられると、感光層の帯電性の低下を防ぎ、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができるとともに、感光層の成膜性及び導電性支持体と感光層との接着性を向上させることができる。
【0299】
本発明に係る画像形成装置によれば、帯電電位が高く、高感度で、充分な光応答性を示し、また耐久性に優れ、低温環境下または高速プロセスで用いた場合にもそれらの特性が低下することのない信頼性の高い電子写真感光体が備えられるので、各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の一例である電子写真感光体の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図2】本実施形態の他の例である電子写真感光体の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図3】本実施形態のさらに他の例である電子写真感光体の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図4】本発明による電子写真感光体を備える画像形成装置の構成を簡略化して示す構成図である。
【符号の説明】
1,2,3,10 電子写真感光体
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14 感光層
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 バインダ樹脂
18 中間層
31 レーザビーム
32 帯電器
33 現像器
34 転写帯電器
35 定着器
36 クリーナ
51 転写紙
100 画像形成装置

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)または(2)で示される有機光導電性材料。
    Figure 2004347949
    Figure 2004347949
    Figure 2004347949
    Figure 2004347949
    (一般式(1)および(2)中、Ar、ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R,RおよびRは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは1〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のArは同一でも異なってもよい。mは0〜2の整数を示し、mが2のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。前記一般式(2)中、NArは、置換基を有してもよい複素環基を示す。Xは前記一般式(3)または(4)で示される原子群を示す。前記一般式(3)中、ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。前記一般式(4)中、ArおよびAr10は、それぞれ置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびAr10は、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。)
  2. 前記一般式(1)で示される有機光導電性材料が、下記一般式(5)で示されることを特徴とする請求項1記載の有機光導電性材料。
    Figure 2004347949
    (一般式(5)中、aおよびbは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、pは1〜4の整数、qは1〜5の整数を示す。pが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またqが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
  3. 前記一般式(1)で示される有機光導電性材料が、下記一般式(6)で示されることを特徴とする請求項1記載の有機光導電性材料。
    Figure 2004347949
    (一般式(6)中、cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、rは1〜4の整数、sは1〜5の整数を示す。rが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またsが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,Ar,Ar,Ar10,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
  4. 前記一般式(2)で示される有機光導電性材料が、下記一般式(7)で示されることを特徴とする請求項1記載の有機光導電性材料。
    Figure 2004347949
    (一般式(7)中、wは、単結合あるいは該式中の2つのベンゼン環と窒素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を示す。eは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、tは1〜7の整数を示す。tが2以上のとき、複数のeは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
  5. 前記一般式(2)で示される有機光導電性材料が、下記一般式(8)で示されることを特徴とする請求項1記載の有機光導電性材料。
    Figure 2004347949
    (一般式(8)中、vは、単結合あるいは該式中の2つのベンゼン環と窒素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を示す。fは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、uは1〜7の整数を示す。uが2以上のとき、複数のfは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,Ar,Ar,Ar10,R,nおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
  6. 前記一般式(1)または(2)中に含まれる下記一般式(9)で示されるエナミン構造部分が、下記一般式(10)で示されることを特徴とする請求項1記載の有機光導電性材料。
    Figure 2004347949
    Figure 2004347949
    (一般式(9)中、Ar,Ar,Ar,R,Rおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。一般式(10)中、lは1〜3の整数を示す。)
  7. 前記一般式(5)乃至(8)中に含まれる下記一般式(11)で示されるエナミン構造部分が、下記一般式(10)で示されることを特徴とする請求項2乃至5項の何れかの項に記載の有機光導電性材料。
    Figure 2004347949
    Figure 2004347949
    (一般式(11)中、Ar,Ar,Ar,Rおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
  8. 導電性材料からなる導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられ電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層とを備える電子写真感光体において、前記電荷輸送物質は、請求項1〜7項の何れかの項に記載の有機光導電性材料を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  9. 前記電荷発生物質は、Cu−Ka特性X線回折(波長:1.54Å)におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.2°に明確な回折ピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンを含むことを特徴とする請求項8記載の電子写真感光体。
  10. 前記感光層は、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造からなることを特徴とする請求項8または9記載の電子写真感光体。
  11. 前記電荷輸送層は、さらにバインダ樹脂を含有し、前記電荷輸送層において、前記電荷輸送物質(A)と前記バインダ樹脂(B)との比率A/Bは、重量比で10/12〜10/30であることを特徴とする請求項10記載の電子写真感光体。
  12. 前記導電性支持体と前記感光層との間には、中間層が設けられることを特徴とする請求項8〜11の何れかの項に記載の電子写真感光体。
  13. 請求項8〜12の何れかの項に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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