JP2004342889A - 半導体記憶装置、半導体装置、半導体記憶装置の製造方法、および携帯電子機器 - Google Patents

半導体記憶装置、半導体装置、半導体記憶装置の製造方法、および携帯電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】1つのチップ上に揮発性および不揮発性の各メモリを簡易なプロセスにより形成可能な構成とする。
【解決手段】1つの半導体チップ上に電界効果トランジスタからなる揮発性メモリ素子312と不揮発性メモリ素子313を形成する。揮発性メモリ素子312は、ボディ領域42、ゲート電極15、拡散層領域31,32を備え、ボディ領域42が保持する電荷の多寡により、ゲート電極15に電圧を印加した際の拡散層領域33,34間の電流量を変化させる。不揮発性メモリ素子313は、拡散層領域35,36、ゲート電極15、メモリ機能部25,26を備え、メモリ機能部25,26が保持する電荷の多寡により、ゲート電極15に電圧を印加した際の拡散層領域35,36間の電流量を変化させる。
【選択図】 図21

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置および半導体記憶装置とそれらの製造方法、並びに携帯電子機器に関する。より詳細には、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを1つのチップ上に混載した半導体記憶装置および半導体装置、および半導体記憶装置の製造方法、並びにそれら半導体記憶装置または半導体装置の何れかを備えた携帯電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、異なる構造を有する複数の素子を1つのチップ上に混載するプロセスが開発されており、システムLSI(Large Scale Integration)の製造に応用されている。例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)論理回路と揮発性メモリであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)が混載され(例えば、特開2001−196461参照)、あるいは、CMOS論理回路と不揮発性メモリであるフラッシュメモリが混載されている。このように、異なる構造を有する複数の素子を1つのチップ上に混載することにより、LSIの動作速度の向上や製造コストの削減を実現していた。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−196461公報(公開日平成13年07月19日)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本来構造が異なる複数の素子を1つのチップ上に混載するためには、複雑なプロセスが要求される。特に、1つのチップ上に揮発性メモリ、および不揮発性メモリを混載するのは甚だ困難であった。例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリとして最も一般的なDRAM、フラッシュメモリをそれぞれ選んだ場合、DRAMを構成するキャパシタンス、フラッシュメモリを構成するフローティングゲートを同時に形成するのは困難であった。したがって、簡易なプロセスを用いて製造できる、揮発性メモリ、および不揮発性メモリ混載技術を開発することが大きな課題となっている。
【0005】
本発明は前記課題に鑑みなされたものであり、簡易なプロセスにより製造可能な、1つのチップ上に揮発性メモリおよび不揮発性メモリを備えた半導体記憶装置および半導体装置を提供することを目的とする。そしてまた、そのような半導体記憶装置および半導体装置の製造方法、並びにそのような半導体記憶装置または半導体装置を備えた携帯電子機器を提供することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の半導体記憶装置は、1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、ゲート電極と、第1および第2の拡散層領域とを備え、前記ウェル領域またはボディ領域に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成され、第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたメモリ機能部とを備え、これらメモリ機能部が電荷保持機能を有し(例えば電荷保持機能を有する材料を含んでおり)、前記メモリ機能部に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の半導体記憶装置は、1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、このウェル領域またはボディ領域に対する積層方向位置に設けられたゲート電極と、前記ウェル領域またはボディ領域のゲート長方向におけるゲート電極の両側位置に設けられた各1つの第1および第2の拡散層領域とを備え、第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜の下における第1および第2の拡散層領域の間に形成されるチャネル領域と、ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成された電荷保持機能を有するメモリ機能部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、第1および第2の電界効果トランジスタは1つのチップ上に形成され、第1の電界効果トランジスタは、それ自身のウェル領域またはボディ領域に保持された電荷の多寡を記憶情報とする揮発性メモリとなっており、第2の電界効果トランジスタは、ゲート電極の両側に形成された2つの電荷保持部に保持された電荷の多寡を記憶情報とする不揮発性メモリとなっている。
【0009】
上記第1および第2の電界効果トランジスタは、外部キャパシタンスやフローティングゲートなど、形成するのに特別なプロセスを要する構造を有していないので、通常の電界効果トランジスタを形成するプロセスに非常に近いプロセスにより形成することができる。したがって、簡易なプロセスにより製造可能な、1つのチップ上に揮発性メモリおよび不揮発性メモリを備えた半導体記憶装置を提供することができる。
【0010】
本発明の半導体装置は、前記の半導体記憶装置を含むとともに、前記半導体チップ上に、各1個の第1および第2の拡散層領域とゲート電極とを備え、論理回路部として機能する複数の第3の電界効果トランジスタが形成されていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、論理回路部として機能する複数の第3の電界効果トランジスタをさらに備えているので、1つの半導体チップ上に揮発性メモリ、不揮発性メモリおよび論理回路とが混載された状態となっている。このように論理回路も混載された場合、揮発性メモリおよび不揮発性メモリのみが混載された場合に比べて、LSIの動作速度の向上や製造コストの削減などの混載による効果が顕著となる。
【0012】
上記の半導体記憶装置は、前記半導体チップ上に、第1および第2の電界効果トランジスタがそれぞれ複数個形成され、これら第1および第2の電界効果トランジスタはそれぞれ配列されて第1および第2のメモリセルアレイを構成し、前記半導体チップ上に、第1のメモリセルアレイを構成するメモリセルのリフレッシュ動作を行なう第1のメモリ周辺回路と、第2のメモリセルアレイを構成するメモリセルの書換え動作のための電圧発生回路を有する第2のメモリ周辺回路とが設けられ、これら第1および第2のメモリ周辺回路は、各1個の第1および第2の拡散層領域とゲート電極とを備えた複数個の第3の電界効果トランジスタを備えている構成としてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第1および第2の電界効果トランジスタをそれぞれ配列して上記第1および第2のメモリセルアレイが構成され、第1のメモリセルアレイにはリフレッシュ動作を行なう回路を含む第1のメモリ周辺回路が備えられ、第2のメモリセルアレイには書換え動作のための電圧発生回路を有する第2のメモリ周辺回路が備えられている。したがって、第1のメモリセルアレイに記憶された情報は、第1のメモリ周辺回路により一定時間内にリフレッシュすることができるため、持続的に記憶を保持することが可能となる。
【0014】
しかも、第1のメモリ周辺回路を第3の電界効果トランジスタで構成することにより、リフレッシュ動作回路(第1のメモリ周辺回路)を設けたことによりプロセスが複雑になる事態を避けることができる。
【0015】
さらには、電圧発生回路を有する第2のメモリ周辺回路を備えるので、第2の電界効果トランジスタの電荷保持部に保持される電荷量を変化させるために要する電圧が、第1の電界効果トランジスタを駆動する電圧よりも大きい場合であっても、その電圧を電圧発生回路(第2のメモリ周辺回路)にて発生させ、第2のメモリセルの書換え動作を行なうことができる。
【0016】
本発明の半導体装置は、上記の半導体記憶装置を含むとともに、第3の電界効果トランジスタにより構成された論理回路部をさらに備えていることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、論理回路部を構成する第3の電界効果トランジスタをさらに備えているので、1つの半導体チップ上に揮発性メモリ、不揮発性メモリおよび論理回路とが混載された状態となっている。このように論理回路も混載された場合、揮発性メモリおよび不揮発性メモリのみが混載された場合に比べて、LSIの動作速度の向上や製造コストの削減などの混載による効果が顕著となる。
【0018】
上記の半導体装置は、前記論理回路部に供給される電源電圧が、第2のメモリセルアレイおよび第2のメモリ周辺回路に供給される電源電圧よりも低くなっている構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、不揮発性メモリ部となる第2のメモリセルアレイでは書換えのために十分な電圧を与えることにより高速動作を確保し、論理回路部では消費電力を抑制することができる。さらには、論理回路部を構成する素子(第3の電界効果トランジスタ)は、耐圧を低くすることができるため、微細化することができる。したがって、高速かつ低消費電力であって、集積度の高い半導体装置を提供することができる。
【0020】
上記の半導体記憶装置において、第2の電界効果トランジスタにおける第1および第2の拡散層領域は、それぞれ、半導体チップにおけるゲート電極の積層方向において、ゲート電極と重合しないように、ゲート長方向におけるゲート電極の外方へずれた位置に形成されており、第3の電界効果トランジスタにおける第1および第2の拡散層領域は、それぞれ、半導体チップにおけるゲート電極の積層方向において、ゲート電極と重合するように形成されている構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域が半導体チップにおけるゲート電極の積層方向においてゲート電極と重合しない(第1および第2の拡散層領域がゲート電極下に達していない)構造であるオフセット構造を有している。これにより、ゲート電極に電圧を印加したとき、メモリ機能部下のオフセット領域の反転しやすさが、メモリ機能部に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大する(拡散層領域の一方から他方に流れる電流量の変化が大きくなる)。
【0022】
一方、第3の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域が半導体チップにおけるゲート電極の積層方向においてゲート電極と重合している(第1および第2の拡散層領域がゲート電極下に達している)ので、駆動電流を十分に大きくすることができる。したがって、高速な論理回路部と良好なメモリ特性とを両立した半導体記憶装置を提供することができる。
【0023】
上記の半導体記憶装置は、第2の電界効果トランジスタにおける2つのメモリ機能部が保持する電荷量をそれぞれ独立に制御し、1個の第2の電界効果トランジスタに4値以上の記憶情報を保持させる構成としてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、不揮発性メモリ部(第2の電界効果トランジスタ)の記憶容量を大きくすることができる。
【0025】
上記の半導体記憶装置において、第1の電界効果トランジスタのウェル領域またはボディ領域は、絶縁膜上に形成されており、隣接する他の電界効果トランジスタのウェル領域またはボディ領域とは、前記絶縁膜および前記ウェル領域またはボディ領域に設けられた素子分離領域により電気的に分離されている構成としてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、ウェル領域またはボディ領域の静電容量を大幅に小さくすることができるため、第1の電界効果トランジスタのメモリ効果が顕著になる。
【0027】
上記の半導体記憶装置において、前記の各電界効果トランジスタは、SOI基板上に形成されている構成としてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、ウェル領域またはボディ領域と拡散層領域とのPN接合における静電容量が十分に小さくなるため、第1の電界効果トランジスタのメモリ効果がさらに顕著になる。
【0029】
上記の半導体記憶装置において、第2の電界効果トランジスタにおける前記メモリ機能部は、第1の絶縁膜、第2の絶縁膜および第3の絶縁膜からなり、電荷を蓄積する機能を有する第1の絶縁膜が、電荷の散逸を防ぐ機能を有する第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とにより挟まれている構成としてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、電荷を蓄積する機能を有する第1の絶縁膜は膜状であるから、電荷の注入により短い時間で第1の絶縁膜内の電荷密度を上げ、かつ電荷密度を均一にすることができる。また、電荷を蓄積する第1の絶縁膜は、導電体部(ゲート電極、拡散層領域、ウェル領域またはボディ領域)とは第2または第3の絶縁膜で隔てられているので、電荷の漏れが抑制されて十分な保持時間を得ることができる。したがって、半導体記憶装置の高速書換え、信頼性の向上、および十分な保持時間の確保が可能となる。
【0031】
上記の半導体記憶装置において、前記ゲート電極の下にはゲート絶縁膜が形成され、前記メモリ機能部の第1の絶縁膜には、第2の絶縁膜を介して前記ゲート絶縁膜の表面と平行な面と対向し、この面に沿って広がった面を有する部分が含まれている構成としてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、第2の電界効果トランジスタにおけるメモリ効果のばらつきを小さくすることができるので、半導体記憶装置の読出し電流ばらつきを抑えることができる。さらには、記憶を保持している第2の電界効果トランジスタの特性変化を小さくすることができるので、半導体記憶装置の記憶保持特性が向上する。
【0033】
上記の半導体記憶装置において、前記メモリ機能部の第1の絶縁膜には、第2の絶縁膜を介して前記ゲート電極の側面と対向し、この側面に沿って広がった部分が含まれている構成としてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、第2の電界効果トランジスタの書換え動作時にメモリ機能部に注入される電荷が増加し、書換え速度が増大するので、半導体記憶装置の書換え動作を高速にすることができる。
【0035】
上記の半導体記憶装置において、第2の電界効果トランジスタにおける前記ゲート電極はゲート絶縁膜を介してウェル領域またはボディ領域上に形成され、前記メモリ機能部の第1の絶縁膜は第2の絶縁膜により前記ウェル領域またはボディ領域と隔てられ、第2の絶縁膜の膜厚は、ゲート絶縁膜の膜厚より薄く、かつ0.8nm以上である構成としてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、第2の絶縁膜の膜厚がゲート絶縁膜の膜厚より薄いので、半導体記憶装置の書込み動作および消去動作の電圧を低下させること、または書込み動作および消去動作を高速にすることが可能となる。さらには、半導体記憶装置を構成する第2の電界効果トランジスタのメモリ効果が増大するので、半導体記憶装置の読出し速度を高速にすることが可能となる。なお、第2絶縁膜の厚さは、製造プロセスによる均一性や膜質が一定の水準を維持することが可能であり、かつ保持特性が極端に劣化しない限界となる0.8nm以上とすることが好ましい。
【0037】
上記の半導体記憶装置において、第2の電界効果トランジスタにおける前記ゲート電極はゲート絶縁膜を介してウェル領域またはボディ領域上に形成され、前記メモリ機能部の第1の絶縁膜は第2の絶縁膜により前記ウェル領域またはボディ領域と隔てられ、第2の絶縁膜の膜厚は、ゲート絶縁膜の膜厚より厚く、かつ20nm以下である構成としてもよい。
【0038】
上記の構成によれば、第2の絶縁膜の膜厚がゲート絶縁膜の膜厚より厚いので、メモリ機能部に蓄積された電荷の散逸防止機能が高くなる。したがって、半導体記憶装置を構成する第2の電界効果トランジスタの短チャネル効果を悪化させることなく保持特性を改善することができる。この結果、半導体記憶装置を高集積化しても十分な記憶保持性能を得ることができる。なお、第2の絶縁膜の厚さは、書換え速度の低下を考慮して、20nm以下であることが好ましい。
【0039】
上記の半導体記憶装置において、第1の絶縁膜はシリコン窒化膜であり、第2および第3の絶縁体はシリコン酸化膜である構成としてもよい。
【0040】
上記の構成によれば、第1の絶縁膜は電荷をトラップする準位が多数存在するシリコン窒化膜であるから、不揮発性メモリのヒステリシスを大きくすることができる。また、第2の絶縁膜は、バンドギャップが大きく、電荷の散逸を防ぐ効果が特に大きいシリコン酸化膜であるから、不揮発性メモリの保持特性が良い。さらには、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜は共にLSIプロセスでごく標準的に用いられる材料であるため、好ましい。
【0041】
上記の半導体記憶装置において、第1の電界効果トランジスタは、前記ゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部にゲート側壁絶縁膜が形成されており、このゲート側壁絶縁膜は電荷保持機能を有していない(例えば電荷保持機能を有する材料を含んでいない)構成としてもよい。
【0042】
上記の構成によれば、揮発性メモリとなる第1の電界効果トランジスタは、ゲート側壁絶縁膜中に電荷を保持する機能を有する材料を含んでいない。したがって、第1の電界効果トランジスタにおいて、ゲート側壁絶縁膜中に電荷が注入されてトランジスタ特性が変化するのを防ぐことができる。これにより、揮発性メモリ素子として機能する第1の電界効果トランジスタの信頼性を向上することができる。
【0043】
本発明の半導体記憶装置に製造方法は、1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたゲート側壁絶縁膜と、第1および第2の拡散層領域とを備え、これらゲート側壁絶縁膜は電荷保持機能を有しておらず(例えば電荷保持機能を有する材料を含んでおらず)、前記ウェル領域またはボディ領域に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成され、第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたメモリ機能部とを備え、これらメモリ機能部が電荷保持機能を有し(例えば電荷保持機能を有する材料を含んでおり)、前記メモリ機能部に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成されている半導体記憶装置の製造方法であって、前記ゲート電極を形成するステップと、電荷保持機能を有する膜を前記ウェル領域またはボディ領域上、および前記ゲート電極上を含む全面に形成するステップと、第1の電界効果トランジスタにおけるゲート電極近傍の電荷保持機能を有する膜を除去するステップとを含んでいることを特徴としている。
【0044】
上記の構成によれば、簡易なプロセスにより、高い信頼性を有する、揮発性メモリ素子として機能する第1の電界効果トランジスタを形成することができる。また、簡易なプロセスにより、書換え速度が高速で、十分な保持時間を持ち、高い信頼性を有する、不揮発性メモリ素子として機能する第2の電界効果トランジスタを形成することができる。
【0045】
本発明の携帯電子機器は、上記の何れかの半導体記憶装置または半導体装置を備えていることを特徴としている。
【0046】
上記の構成によれば、簡易なプロセスにて形成可能な素子、例えばLSIを混載した構成となるので、携帯電子機器の機能と動作速度を向上させ、製造コストを削減することが可能である。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体記憶装置および半導体装置は、揮発性メモリ素子と不揮発性メモリ素子とを1つのチップ上に混載したものであり、簡易なプロセスで形成することが可能なものである。以下に、本発明の実施の形態における半導体記憶装置および半導体装置を構成する揮発性メモリ素子と不揮発性メモリ素子についてそれぞれ説明する。
【0048】
まず、以下の実施の形態1において、本発明の実施の形態における半導体記憶装置および半導体装置を構成する揮発性メモリ素子を説明する。
【0049】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態の揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)は、1個のトランジスタでDRAMに類似した機能を果たすものであり、一定時間毎にリフレッシュ動作を要する。
【0050】
図1に示すように、揮発性メモリ素子1は、主として、ウェル領域またはボディ領域42と、ゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に形成されたゲート電極15と、ゲート電極15の両側(ウェル領域またはボディ領域42の両側)に形成された拡散層領域(ソース・ドレイン領域)33,34と、ゲート電極15下に配置されたチャネル領域(図示せず)とから構成される。
【0051】
揮発性メモリ素子1は、上記ウェル領域またはボディ領域に蓄積された電荷の多寡により、少なくとも2値の情報を記憶することが可能なメモリ素子として機能する。
【0052】
揮発性メモリ素子1は、半導体基板10上、好ましくは半導体基板10内に形成された第1導電型(P型またはN型の何れか一方)のウェル領域上に形成されることが好ましい。第1導電型のウェル領域は、揮発性メモリ素子1毎に電気的に独立している。半導体基板では、上記第1導電型のウェル領域を電気的に分離するために、上記第1導電型のウェル領域より深い位置に第2導電型の深いウェル領域を設け、この第2導電型の深いウェル領域と素子分離領域とで第1導電型の素子分離領域を素子毎に分離するのが好ましい。
【0053】
上記揮発性メモリ素子1は、SOI(Silicon on Insulator)基板上に形成されるのがより好ましい。この場合、素子分離領域を設けることにより、容易に第1導電型のボディ領域を電気的に分離することができる。
【0054】
半導体基板10としては、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、GaAs、InGaAs、ZnSe等の化合物半導体による基板、SOI基板または多層SOI基板等の種々の基板を用いることができる。なかでもシリコン基板または表面半導体層(半導体基板10の上面の半導体層)としてシリコン層が形成されたSOI基板が好ましい。
【0055】
この半導体基板10上には、素子分離領域が形成されていることが好ましく、さらにトランジスタ、キャパシタ、抵抗等の素子、これらによる回路、半導体装置や層間絶縁膜が組み合わせられて、シングルまたはマルチレイヤー構造で形成されていてもよい。なお、素子分離領域は、LOCOS膜、トレンチ酸化膜、STI膜等種々の素子分離膜により形成することができる。
【0056】
半導体基板10は、P型またはN型の導電型を有していてもよく、半導体基板10には、少なくとも1つの第1導電型(P型またはN型)のウェル領域が形成されていることが好ましい。半導体基板10およびウェル領域の不純物濃度は、当該分野で公知の範囲のものが使用できる。なお、半導体基板10としてSOI基板を用いる場合には、チャネル領域下にボディ領域が配置されている。
【0057】
ゲート絶縁膜14は、通常、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜;酸化アルミニウム膜、酸化チタニウム膜、酸化タンタル膜、酸化ハフニウム膜などの高誘電体膜の単層膜または積層膜を使用することができる。なかでも、シリコン酸化膜が好ましい。
【0058】
ゲート電極15は、ゲート絶縁膜14上に、通常半導体装置に使用されるような形状で形成されている。ゲート電極15は、実施の形態のなかで特に指定がない限り、特に限定されるものではなく、導電膜、例えば、ポリシリコン:銅、アルミニウム等の金属:タングステン、チタン、タンタル等の高融点金属:高融点金属とのシリサイド等の単層膜または積層膜等を使用することができる。ゲート電極15の膜厚は、例えば50〜400nm程度の膜厚で形成することが適当である。なお、ゲート電極15の下には、チャネル領域が形成される。
【0059】
拡散層領域(ソース/ドレイン領域)33,34は、ウェル領域またはボディ領域と逆導電型(第2導電型)の拡散層領域として、ゲート電極15の両側のそれぞれに配置されている。拡散層領域33,34と半導体基板10またはウェル領域との接合は急峻であること、すなわち濃度勾配が大きく、その結果接合が急峻になることが好ましい。これは、高エネルギーのキャリア(ホットエレクトロンまたはホットホール)が低電圧で効率良く発生し、より低電圧で高速な動作が可能となるからである。なお、接合が急峻とは、より詳細には、PN接合の両側の不純物濃度が濃く、かつ接合付近での不純物濃度濃度の勾配が急峻であること(したがって、接合付近でのポテンシャルの勾配が急峻となる)ことである。
【0060】
拡散層領域33,34の接合深さは、特に限定されるものではなく、得ようとする半導体記憶装置の性能等に応じて、適宜調整することができる。なお、半導体基板10としてSOI基板を用いる場合には、拡散層領域33,34は、表面半導体層の膜厚よりも小さな接合深さを有していてもよいが、表面半導体層の膜厚とほぼ同程度の接合深さを有していることが好ましい。
【0061】
拡散層領域(ソース/ドレイン領域)33,34は、その一部が、チャネル領域表面、つまり、ゲート絶縁膜15の下面よりも高い位置に延設されていてもよい。この場合には、半導体基板10内に形成された拡散層領域33,34上に、この拡散層領域33,34と一体化した導電膜が積層されて構成されていることが適当である。
【0062】
上記導電膜としては、例えば、ポリシリコン、アモルファスシリコン等の半導体、シリサイド、上述した金属、高融点金属等が挙げられる。なかでも、ポリシリコンが好ましい。ポリシリコンは、不純物拡散速度が半導体基板に比べて非常に大きいために、半導体基板内におけるソース/ドレイン領域の接合深さを浅くするのが容易で、短チャネル効果の抑制がしやすいためである。
【0063】
上記揮発性メモリ1の構造および動作原理を図1および図2を用いて説明する。図1は、揮発性メモリ1の概略の断面図であり、Nチャネル型の揮発性メモリ1を半導体基板10としてのSOI基板上に形成した場合の例である。
【0064】
SOI基板は、シリコン基板11上に、埋め込み酸化膜12が形成されており、さらにその上にSOI層13が形成されている。SOI層13には、P型のボディ領域42およびN型の拡散層領域33、34が形成されている。ボディ領域42は部分的に空乏化している。また、ボディ領域42は、他のノードと電気的に直接に接続されておらず、フローティング状態にある。
【0065】
ボディ領域42上には、ゲート酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介してポリシリコンよりなるゲート電極15が形成されている。ゲート電極15におけるゲート長方向の両側壁には、シリコン窒化膜からなるゲート側壁絶縁膜23,24が形成されている。これらゲート側壁絶縁膜23,24は電荷保持機能を有していない。
【0066】
次に、揮発性メモリ1の書込み動作原理を、図1および図2を用いて説明する。この揮発性メモリ1は、ボディ領域42に蓄積された正孔の多寡が電界効果トランジスタからなる揮発性メモリ1の閾値差となって読み出されるものである。ここで、「1」値の書込みとは、トランジスタの閾値を低い状態にすることとし、「0」値の書込みとは、トランジスタの閾値を高い状態にすることとする。
【0067】
揮発性メモリ1において、「1」値を書込むためには、図1に示すように、拡散層領域33をソース電極として接地電位GNDを印加し、拡散層領域34をドレイン電極として正電圧VBL1を印加し、ゲート電極15に正電圧VW1を印加する。これにより、トランジスタはオン状態となる。
【0068】
このとき、反転層91は拡散層領域33(ソース領域)から延びるものの、拡散層領域34(ドレイン領域)には達せずにピンチオフする。このようにピンチオフするためには、トランジスタは飽和領域動作する必要があるため、拡散層領域34(ドレイン領域)の電圧VBL1は、ゲート電極15の電圧VW1と同程度かそれ以上であることが好ましい。具体的には、例えば、VW1を1Vに、VBL1を1.5Vにすればよいが、電圧値はこれに限るものではない。
【0069】
ピンチオフ点に達した反転層91の電子は、強い電界により加速され、拡散層領域34(ドレイン領域)の端部付近にてインパクトイオン化を引き起こす。これにより、正孔92が発生し、ボディ領域42に蓄積される。ボディ領域42に正孔92が蓄積されると、ボディ領域42の電位は上昇する。これにより、トランジスタの閾値が低下し、駆動電流が増加する。なお、ボディ領域42に蓄積された正孔92は、時間の経過とともに拡散層領域33、34に逃げていく。具体的には、室温において数秒後には殆どの正孔92が散逸して記憶情報を失ってしまう。しかしながら、記憶情報が失われる前に、リフレッシュ動作を行なえば、引き続き記憶情報を保持しつづけることができる。
【0070】
揮発性メモリ1において、「0」値を書込むためには、図2に示すように、拡散層領域34に負電圧VBL2を印加して、ボディ領域42に蓄積された正孔を拡散層領域34に引き出せばよい。具体的には、例えば、VW2を1Vに、VBL2を−1Vにすればよいが、電圧値はこれに限るものではない。こうすることにより、ボディ領域42に蓄積された正孔92の数が減少し、トランジスタの閾値が高い状態となって、駆動電流が減少する。
【0071】
揮発性メモリ1において、記憶情報を読み出すには、トランジスタをオン状態にして拡散層領域33(ソース領域)から拡散層領域34(ドレイン領域)へ流れる電流(駆動電流)を検知すればよい。このとき、書込みが起きない程度に拡散層領域34(ドレイン領域)の電圧の絶対値を低くしておくのが好ましい。具体的には、例えば、VW2を1Vに、VBL2を0.1Vにすればよいが、電圧値はこれに限るものではない。
【0072】
トランジスタの閾値は、ボディ領域42の電位の変化量が大きいほど大きく変化する。また、ボディ領域42の電位の変化量は、正孔92の数が同じであればボディ領域42の静電容量が小さいほど大きくなる。そのため、トランジスタのメモリ効果(閾値変化)は、ボディ領域42の静電容量が小さいほど大きくなる。したがって、半導体基板10には、ボディ領域42と拡散層領域33、34との接合容量を非常に小さくすることができるSOI基板を用いるのが特に好ましい。しかしながら、バルク基板を用いて、ウェル領域を素子毎に電気的に分離し、分離されたウェル領域に正孔を蓄積するようにしてもよい。
【0073】
上記揮発性メモリ1は、電界効果トランジスタを形成するための通常の半導体プロセスによって形成することができる。
【0074】
これまでの説明で明らかなように、上記揮発性メモリ1は、1個の通常構造の電界効果トランジスタにより、DRAMと同様な機能を得ることができる。また、上記揮発性メモリ1はDRAMのようにトランジスタの外にキャパシタンスを必要とせず、ボディ領域またはウェル領域に電荷を蓄積するものである。したがって、非常に簡単なプロセスで形成することが可能であり、メモリセルの微細化が容易である。
【0075】
次に、以下の実施の形態2から10において、本発明の半導体記憶装置および半導体装置を構成する不揮発性メモリ素子3について詳細に説明する。
【0076】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態の不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)は、図3および図4に示す構成を有している。図3に示すように、不揮発性メモリ素子3は、主として、第1導電型(P型またはN型の何れか一方)の領域である拡散層領域35,36と、これら拡散層領域35,36の間に設けられた第2導電型(P型またはN型の他方)の領域であるボディ領域43と、半導体基板10上において、それぞれ、拡散層領域35とボディ領域43との境界、拡散層領域36とボディ領域43との境界を跨って配置された、電荷保持部であるメモリ機能部25,26と、これら両メモリ機能部25,26間における半導体基板10上に形成されたゲート絶縁膜14と、両メモリ機能部25,26間におけるゲート絶縁膜14上に形成されたゲート電極15とから構成される。
【0077】
あるいは、不揮発性メモリ素子3は、主として、半導体基板10上に設けられたゲート絶縁膜14と、このゲート絶縁膜14上に形成されたゲート電極15と、ゲート電極15のゲート長方向における両側壁部に形成されたメモリ機能部(ゲート側壁絶縁膜)25,26と、メモリ機能部25,26のゲート電極15側とは反対側の位置における半導体基板10の位置にそれぞれに配置された拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36と、半導体基板10におけるゲート電極15下の位置に配置されたチャネル領域(図示せず)とから構成される。
【0078】
この不揮発性メモリ素子3は、メモリ機能部25,26を構成するそれぞれ1つの電荷保持膜(電荷を保持し、蓄積する機能を有する膜)に2値またはそれ以上の情報を記憶することにより、4値またはそれ以上の情報を記憶する不揮発性メモリ素子として機能する。また、不揮発性メモリ素子3は、メモリ機能部25,26による可変抵抗効果により、選択トランジスタとメモリトランジスタとの機能を兼ね備えたメモリセルとしても機能する。しかしながら、この不揮発性メモリ素子3は、必ずしも4値またはそれ以上の情報を記憶して機能させる必要はなく、例えば、2値の情報を記憶して機能させてもよい。
【0079】
本発明の実施の形態における半導体記憶装置(半導体装置)としての不揮発性メモリ素子3は、半導体基板10上、好ましくは半導体基板10内に形成された第1導電型(P型またはN型の何れか一方)のウェル領域上に形成されることが好ましい。
【0080】
半導体基板10としては、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、シリコンゲルマニウム、GaAs、InGaAs、ZnSe、GaN等の化合物半導体によるバルク基板が挙げられる。また、表面に半導体層を有するものとして、SOI(Silicon on Insulator)基板または多層SOI基板等の種々の基板、ガラスやプラスチック基板上に半導体層を有するものを用いてもよい。なかでもシリコン基板または表面にシリコン層が形成されたSOI基板等が好ましい。半導体基板または半導体層からなる半導体部材は、内部を流れる電流量に多少の差が生じるものの、単結晶(例えば、エピタキシャル成長によるもの)、多結晶またはアモルファスのいずれであってもよい。
【0081】
この半導体基板または半導体層からなる半導体部材上には、素子分離領域が形成されていることが好ましく、さらにトランジスタ、キャパシタ、抵抗等の素子、これらによる回路、半導体装置や層間絶縁膜が組み合わせられて、シングルまたはマルチレイヤー構造で形成されていてもよい。なお、素子分離領域は、LOCOS膜、トレンチ酸化膜、STI膜等種々の素子分離膜により形成することができる。
【0082】
半導体基板10は、P型またはN型の導電型を有していてもよい。また、半導体基板10には、少なくとも1つの第1導電型(P型またはN型)のウェル領域が形成されていることが好ましい。半導体基板10およびウェル領域の不純物濃度は、当該分野で公知の範囲のものが使用できる。なお、半導体基板10としてSOI基板を用いる場合には、表面半導体層にウェル領域が形成されていてもよいが、チャネル領域下にボディ領域を有していてもよい。
【0083】
ゲート絶縁膜14または絶縁膜は、通常、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜;酸化アルミニウム膜、酸化チタニウム膜、酸化タンタル膜、酸化ハフニウム膜などの高誘電体膜の単層膜または積層膜を使用することができる。なかでも、シリコン酸化膜が好ましい。
【0084】
ゲート絶縁膜14は、例えば、1〜20nm程度、好ましく1〜6nm程度の膜厚とすることが適当である。ゲート絶縁膜14は、ゲート電極15直下にのみ形成されていてもよいし、ゲート電極15よりも大きく(幅広)で形成されていてもよい。
【0085】
ゲート電極15は、ゲート絶縁膜14上に、通常半導体装置に使用されるような形状または下端部に凹部を有した形状で形成されている。なお、単一のゲート電極15とは、ゲート電極15としては、単層または多層の導電膜によって分離されることなく、一体形状として形成されているゲート電極15を意味する。また、ゲート電極15は、側壁に側壁絶縁膜を有していてもよい。
【0086】
ゲート電極15は、通常、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、導電膜、例えば、ポリシリコン:銅、アルミニウム等の金属:タングステン、チタン、タンタル等の高融点金属:高融点金属とのシリサイド等の単層膜または積層膜等が挙げられる。ゲート電極15の膜厚は、例えば50〜400nm程度の膜厚で形成することが適当である。なお、ゲート電極15の下にはチャネル領域が形成されている。
【0087】
メモリ機能部25,26は、少なくとも、電荷を保持するか、電荷を蓄え、保持する機能を有するか、電荷をトラップするか、電荷分極状態を保持する機能を有する膜または領域を含んで構成される。これらの機能を果たすものとしては、シリコン窒化物;シリコン;リン、ボロン等の不純物を含むシリケートガラス;シリコンカーバイド;アルミナ;ハフニウムオキサイド、ジルコニウムオキサイド、タンタルオキサイド等の高誘電体;酸化亜鉛;強誘電体;金属等が挙げられる。
【0088】
メモリ機能部25,26は、例えば、シリコン窒化膜を含む絶縁体膜;導電膜もしくは半導体層を内部に含む絶縁体膜;導電体もしくは半導体ドットを1つ以上含む絶縁体膜;電界により内部電荷が分極し、その状態が保持される強誘電体膜を含む絶縁膜等の単層または積層構造によって形成することができる。なかでも、シリコン窒化膜は、電荷をトラップする準位が多数存在するため大きなヒステリシス特性を得ることができ、また、電荷保持時間が長く、リークパスの発生による電荷漏れの問題が生じないため保持特性が良好であり、さらに、LSIプロセスではごく標準的に用いられる材料であるため、好ましい。
【0089】
不揮発性メモリ素子3では、リコン窒化膜などの電荷保持機能を有する絶縁膜を内部に含む絶縁膜をメモリ機能部25,26として用いることにより、記憶保持に関する信頼性を高めることができる。これは、シリコン窒化膜が絶縁体であるから、その一部に電荷のリークが生じた場合でも、直ちにシリコン窒化膜全体の電荷が失われることがないからである。
【0090】
さらには、複数の不揮発性メモリ素子3を配列する場合において、不揮発性メモリ素子3間の距離が縮まって隣接するメモリ機能部25,26同士が接触しても、メモリ機能部25,26が導電体からなる場合のように夫々のメモリ機能部25,26に記憶された情報が失われることがない。また、コンタクトプラグをよりメモリ機能部25,26と接近して配置することができ、場合によってはメモリ機能部25,26と重なるように配置することができるので、不揮発性メモリ素子3の微細化が容易となる。
【0091】
さらに、不揮発性メモリ素子3において、記憶保持に関する信頼性を高めるためには、電荷を保持する機能を有する絶縁膜が必ずしも膜状である必要はなく、電荷を保持する機能を有する絶縁体が絶縁膜に離散的に存在することが好ましい。具体的には、電荷を保持しにくい材料、例えば、シリコン酸化物中に電荷を保持する機能を有する絶縁体がドット状に分散していることが好ましい。
【0092】
また、導電膜もしくは半導体層を内部に含む絶縁体膜をメモリ機能部25,26として用いた場合には、導電体もしくは半導体中への電荷の注入量を自由に制御できるため、多値化しやすい効果がある。
【0093】
さらに、導電体もしくは半導体ドットを1つ以上含む絶縁体膜をメモリ機能部25,26として用いた場合には、電荷の直接トンネリングによる書込・消去が行ないやすくなり、低消費電力化の効果がある。
【0094】
また、メモリ機能部25,26としては、電界により分極方向が変化するPZT、PLZT等の強誘電体膜を用いてもよい。この場合、分極により強誘電体膜の表面に実質的に電荷が発生し、その状態で保持される。したがって、メモリ機能部25,26は、メモリ機能を有する膜外から電荷を供給され電荷をトラップする膜と同様なヒステリシス特性を得ることができ、かつ、強誘電体膜の電荷保持は、膜外からの電荷注入の必要がなく、膜内の電荷の分極のみによってヒステリシス特性を得ることができるため、高速に書込・消去ができる効果がある。
【0095】
すなわち、メモリ機能部25,26は、電荷を逃げにくくする領域または電荷を逃げにくくする機能を有する膜をさらに含むことが好ましい。電荷を逃げにくくする機能を果たすものとしては、シリコン酸化膜等が挙げられる。
【0096】
メモリ機能部25,26に含まれる電荷保持膜は、直接または絶縁膜を介してゲート電極15の両側に形成されており、また、直接、ゲート絶縁膜14または絶縁膜を介して半導体基板10(ウェル領域、ボディ領域または拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36)上に配置されている。
【0097】
ゲート電極15の両側の電荷保持膜(メモリ機能部25,26)は、直接または絶縁膜を介してゲート電極15の側壁の全てまたは一部を覆うように形成されていることが好ましい。応用例として、メモリ機能部25,26は、ゲート電極15が下端部に凹部を有する場合には、直接または絶縁膜(ゲート絶縁膜14)を介して凹部を完全にまたは凹部の一部を埋め込むように形成されていてもよい。
【0098】
ゲート電極15は、メモリ機能部25,26の側壁のみに形成されるか、あるいはメモリ機能部25,26の上部を覆わないことが好ましい。このような配置により、コンタクトプラグをよりゲート電極15と接近して配置することができるので、不揮発性メモリ素子3の微細化が容易となる。また、このような単純な配置を有する不揮発性メモリ素子3は製造が容易であり、歩留まりを向上することができる。
【0099】
メモリ機能部25,26の電荷保持膜として導電膜を用いる場合には、電荷保持膜が半導体基板10(ウェル領域、ボディ領域または拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36)またはゲート電極15と直接接触しないように、絶縁膜を介して配置させることが好ましい。この場合のメモリ機能部25,26の構造としては、例えば、導電膜と絶縁膜との積層構造、絶縁膜内に導電膜をドット状等に分散させた構造、ゲートの側壁に形成された側壁絶縁膜内の一部に配置した構造等が挙げられる。
【0100】
拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36は、半導体基板10またはウェル領域とは逆導電型の拡散層領域として、メモリ機能部25,26におけるゲート電極15側とは反対側の位置における半導体基板10の位置にそれぞれに配置されている。拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36と半導体基板10またはウェル領域との接合は急峻であること、すなわち濃度勾配が大きく、その結果接合が急峻になることが好ましい。これは、ホットエレクトロンやホットホールが低電圧で効率良く発生し、より低電圧で高速な動作が可能となるからである。
【0101】
拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36の接合深さは、特に限定されるものではなく、得ようとする半導体記憶装置(不揮発性メモリ素子3)の性能等に応じて、適宜調整することができる。なお、半導体基板10としてSOI基板を用いる場合、拡散層領域35,36は、表面半導体層(例えば後述のSOI層13)の膜厚よりも小さな接合深さを有していてもよいが、表面半導体層の膜厚とほぼ同程度の接合深さを有していることが好ましい。
【0102】
拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36は、ゲート電極15の端部とオーバーラップ(一部オーバーラップ)するように配置していてもよいし、ゲート電極ゲート電極15の端部に対してオフセットされて配置(オーバーラップせずに配置)されていてもよい。特に、オフセットされている場合には、ゲート電極15に電圧を印加したとき、メモリ機能部25,26下のオフセット領域の反転しやすさが、メモリ機能部25,26に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大するとともに、短チャネル効果の低減をもたらすため、好ましい。
【0103】
ただし、あまりオフセットしすぎると、拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36の駆動電流が著しく小さくなる。したがって、オフセット量、すなわちゲート長方向に対して平行方向の電荷保持膜の厚さよりもオフセット量つまり、ゲート長方向における一方のゲート電極端から近い方のソース・ドレイン領域までの距離は短い方が好ましい。特に重要なことは、メモリ機能部25,26中の電荷蓄積領域(電荷保持膜)の少なくとも一部が、拡散層領域であるソース/ドレイン領域の一部とオーバーラップしていることである。これは、本発明の半導体記憶装置または半導体装置を構成する不揮発性メモリ素子3の本質が、メモリ機能部25,26の側壁部にのみ存在するゲート電極15とソース/ドレイン領域間の電圧差によりメモリ機能部25,26を横切る電界によって記憶を書き換えることであるためである。
【0104】
拡散層領域(ソース/ドレイン領域)35,36は、その一部が、チャネル領域表面、つまり、ゲート絶縁膜14の下面よりも高い位置に延設されていてもよい。この場合には、半導体基板10内に形成された拡散層領域35,36に、この拡散層領域35,36と一体化した導電膜が積層されて構成されていることが適当である。導電膜としては、例えば、ポリシリコン、アモルファスシリコン等の半導体、シリサイド、上述した金属、高融点金属等が挙げられる。なかでも、ポリシリコンが好ましい。ポリシリコンは、不純物拡散速度が半導体基板10に比べて非常に大きいために、半導体基板10内における拡散層領域35,36の接合深さを浅くするのが容易で、短チャネル効果の抑制がしやすいためである。なお、この場合には、拡散層領域35,36の一部は、ゲート電極15とともに、メモリ機能部25,26の少なくとも一部を挟持するように配置することが好ましい。
【0105】
ここで、上記のようにソース・ドレインの一部がチャネル領域表面より高い位置に形成されている場合の一例を図30に示す。メモリ機能部401,402の側壁には、例えばポリシリコン又はアモルファスシリコン等からなる導電性のサイドウォール403が形成されている。ソース・ドレイン領域は、導電性のサイドウォール403に不純物注入を行った後に熱処理を行って不純物を拡散させて形成する。このとき不純物は半導体基板407内(領域404,405)にも拡散する。この場合、ソース領域(あるいはドレイン領域)は、サイドウォール403と領域404(あるいは405)とから構成される。したがって、ソース・ドレインの一部がチャネル領域表面より高い位置に存在ことになる。
【0106】
なお、メモリ機能部401,402は、サイドウォール形状をした第1の絶縁膜であるシリコン窒化膜412と、このシリコン窒化膜412とゲート電極15、半導体基板407および拡散層領域404(または405)とを隔てる第2の絶縁膜であるシリコン酸化膜411とからなる。電荷(電子または正孔)を蓄積する機能を有するのはシリコン窒化膜412であり、シリコン酸化膜411はシリコン窒化膜412に蓄積された電荷の漏れを防いでいる。また、406は素子分離領域である。
【0107】
上記のような構成では、ソース・ドレイン領域が領域404,405のみからなる場合に比べて、ソース・ドレイン領域が厚さを増すことになるため、ソース・ドレイン抵抗を低減することができる。したがって、メモリ素子の読み出し動作を高速にすることができる。さらに、導電性のサイドウォール403がポリシリコン又はアモルファスシリコンからなる場合、ポリシリコン又はアモルファスシリコン中における不純物拡散速度が、半導体基板407中における不純物拡散速度よりも極めて大きいため、熱処理によるソース・ドレイン領域形成の際に、領域404,405の紙面垂直方向(ゲート長方向および半導体基板407とゲート電極15との積層方向に直行する方向)の厚さを非常に薄くすることが容易になる。すなわち、ソース・ドレイン領域の浅接合化が容易になる。したがって、メモリ素子の微細化が容易となる。
【0108】
本発明の実施の形態における不揮発性メモリ素子3は、通常の半導体プロセスによって、例えば、ゲート電極15の側壁に単層または積層構造のサイドウォールスペーサ(メモリ機能部25,26)を形成する方法と同様の方法によって形成することができる。具体的には、下記の方法を挙げることができる。
【0109】
第1の方法としては、ゲート電極15または電極を形成した後、電荷保持膜、電荷保持膜/絶縁膜、絶縁膜/電荷保持膜、あるいは絶縁膜/電荷保持膜/絶縁膜等の順序にて電荷保持膜を含む単層膜または積層膜を形成し、適当な条件下でエッチバックしてこれらの膜をサイドウォールスペーサ状に残す方法である。
【0110】
第2の方法としては、絶縁膜または電荷保持膜を形成し、適当な条件下でエッチバックしてサイドウォールスペーサ状に残し、さらに電荷保持膜または絶縁膜を形成し、同様にエッチバックしてサイドウォールスペーサ状に残す方法である。
【0111】
第3の方法としては、粒子状の電荷保持材料を分散させた絶縁膜材料をゲート電極15を含む半導体基板10上に塗布または堆積し、適当な条件下でエッチバックして、絶縁膜材料をサイドウォールスペーサ形状に残す方法である。
【0112】
第4の方法としては、ゲート電極15を形成した後、上記単層膜または積層膜を形成し、マスクを用いてパターニングする方法である。
【0113】
第5の方法としては、ゲート電極15または電極を形成する前に、電荷保持膜、電荷保持膜/絶縁膜、絶縁膜/電荷保持膜、絶縁膜/電荷保持膜/絶縁膜等の順序にて何れかの積層膜を形成し、これらの膜のチャネル領域となる領域に開口を形成し、その上全面にゲート電極材料膜を形成し、このゲート電極材料膜を、開口を含み、開口よりも大きな形状でパターニングする方法である。
【0114】
本発明の実施の形態の不揮発性メモリ素子3を配列してメモリセルアレイを構成した場合、不揮発性メモリ素子3の最良の形態は、例えば、
(1)複数の不揮発性メモリ素子3のゲート電極15が一体となってワード線の機能を有する。
(2)上記ワード線の両側にはメモリ機能部25,26が形成されている。
(3)メモリ機能部25,26内で電荷を保持するのは絶縁体、特にシリコン窒化膜である。
(4)メモリ機能部25,26はONO(Oxide Nitride Oxide)膜で構成されており、シリコン窒化膜はゲート絶縁膜の表面と略並行な表面を有している。
(5)メモリ機能部25,26中のシリコン窒化膜はワード線およびチャネル領域とシリコン酸化膜で隔てられている。
(6)メモリ機能部25,26内のシリコン窒化膜と拡散層領域35,36とがオーバーラップしている。
(7)ゲート絶縁膜14の表面と略並行な表面を有するシリコン窒化膜とチャネル領域または半導体層とを隔てる絶縁膜の厚さとゲート絶縁膜14の厚さとが異なる。
(8)1個の不揮発性メモリ素子3の書込みおよび消去動作は単一のワード線により行なう。
(9)メモリ機能部25,26の上には書込みおよび消去動作を補助する機能を有する電極(ワード線)がない。
(10)メモリ機能部25,26の直下で拡散層領域35,36と接する部分に拡散層領域35,36の導電型とは反対の導電型の不純物濃度が濃い領域を有する。
なる要件を満たすものである。すなわち、不揮発性メモリ素子3は、上記要件を全て満たす場合が最良の形態となるものの、必ずしも上記要件を全て満たす必要はない。
【0115】
不揮発性メモリ素子3において、上記要件を複数満たす場合、特に好ましい組み合わせが存在する。例えば、
(3)メモリ機能部25,26内で電荷を保持するのが絶縁体、特にシリコン窒化膜である。
(9)メモリ機能部25,26体の上には書込みおよび消去動作を補助する機能を有する電極(ワード線)がない。
(6)メモリ機能部25,26内の絶縁膜(シリコン窒化膜)と拡散層領域35,36とがオーバーラップしている。
場合である。すなわち、本願発明者らは、メモリ機能部25,26内で電荷を保持しているのが絶縁体であり、かつメモリ機能部25,26の上には書込みおよび消去動作を補助する機能を有する電極がない場合には、メモリ機能部25,26内の絶縁膜(シリコン窒化膜)と拡散層領域35,36とがオーバーラップしている場合にのみ、書込み動作が良好に行なわれることを発見した。これは、要件(3)および(9)を満たす場合に、要件(6)を満たすことが必須であることを示す。
【0116】
一方、メモリ機能部25,26内で電荷を保持するのが導電体である場合は、メモリ機能部25,26内の導電体と拡散層領域35,36とがオーバーラップしていない場合でも、書込み動作を行なうことができた。これは、メモリ機能部25,26内の導体が書込み電極との容量カップリングにより書込み補助を行なうためである。また、メモリ機能部25,26体の上に書込みおよび消去動作を補助する機能を有する電極がある場合は、メモリ機能部25,26内の絶縁膜と拡散層領域35,36とがオーバーラップしていない場合でも、書込み動作を行なうことができた。
【0117】
しかしながら、メモリ機能部25,26内で電荷を保持するのが導電体ではなく絶縁体であり、かつメモリ機能部25,26の上に書込みおよび消去動作を補助する機能を有する電極がない場合には、以下のような非常に大きな効果を得ることができる。
【0118】
まず、ビット線コンタクトをワード線側壁のメモリ機能部25,26により接近させて配置することができる。または不揮発性メモリ素子3同士の距離が接近しても複数のメモリ機能部25,26が干渉せず記憶情報を保持できる。したがって、不揮発性メモリ素子3の微細化が容易となる。逆に、メモリ機能部25,26内の電荷保持領域が導体の場合、容量カップリングにより不揮発性メモリ素子3同士が近づくにつれて電荷保持領域間で干渉が起き、記憶情報を保持できなくなる。
【0119】
また、メモリ機能部25,26内の電荷保持領域が絶縁体(例えばシリコン窒化膜)である場合、メモリセル毎にメモリ機能部3を独立させる必要が無くなる。例えば、複数のメモリセルで共有される1本のワード線の両側に形成されたメモリ機能部3は、メモリセル毎に分離する必要が無く、1本のワード線の両側に形成されたメモリ機能部3を、ワード線を共有する複数のメモリセルで共有することが可能となる。そのため、メモリ機能部を分離するフォト、エッチング工程が不要となり製造工程が簡略化される。さらには、フォトの位置合わせマージン、エッチングの膜減りマージンが不要となるため、メモリセル間のマージンを縮小できる。したがって、メモリ機能部25,26内の電荷保持領域が導電体(例えば多結晶シリコン膜)である場合と比較して、同じ微細加工レベルで形成しても、メモリセル占有面積を微細化できる効果がある。逆に、メモリ機能部25,26内の電荷保持領域が導電体である場合、メモリ機能部25,26をメモリセル毎に分離するフォト、エッチング工程が必要となり、フォトの位置合わせマージン、エッチングの膜減りマージンが必要となる。
【0120】
さらに、メモリ機能部25,26の上に書込みおよび消去動作を補助する機能を有する電極がなく素子構造が単純であるから工程数が減少し、歩留まりを向上し、論理回路やアナログ回路を構成するトランジスタとの混載を容易にすることができる。
【0121】
さらに、非常に重要な設計事項として、本願発明者らは、下記の事項を見いだした。すなわち、メモリ機能部25,26内の電荷保持領域が絶縁体であり、かつメモリ機能部25,26の上に書込みおよび消去動作を補助する機能を有する電極がない場合であっても、メモリ機能部25,26内の電荷保持領域と拡散層領域35,36とをオーバーラップさせることにより、非常に低電圧で書込、消去が可能となる。また、これに加えて、上記2つの条件を満たすことにより、セル占有面積の縮小、製造方法の簡略化による歩留まり向上、ならびにコスト削減という非常に重要な効果が得られる。
【0122】
具体的には、上記電圧に関し、5V以下という低電圧により書込みおよび消去動作が行なわれることを確認した。この機能は回路設計上において非常に大きな効果を有する。すなわち、フラッシュメモリの場合のような高電圧をチップ内で作る必要がなくなるため、莫大な占有面積が必要となるチャージポンピング回路を省略すること、もしくは規模を小さくすることが可能となる。特に、小規模容量のメモリを調整用としてロジックLSIに内蔵する場合、メモリ部の占有面積は、メモリセルよりもメモリセルを駆動する周辺回路の占有面積が支配的となるため、メモリセル用電圧昇圧回路を省略できること、もしくは規模を小さくできることは、チップサイズを縮小する上において最も効果的となる。
【0123】
以上の説明から明らかなように、不揮発性メモリ素子3においては、要件(3)、(9)および(6)を満たすことが特に好ましい。
【0124】
次に、上記不揮発性メモリ3の構造および動作原理を、図3から図6を用いてさらに詳細に説明する。
【0125】
図3は、上記不揮発性メモリ3の概略の断面図であり、Nチャネル型の不揮発性メモリ3をSOI基板からなる半導体基板10上に形成した場合の例である。半導体基板10では、シリコン基板11上に埋め込み酸化膜12が形成されており、さらにその上に表面半導体層であるSOI層13が形成されている。SOI層には、P型のボディ領域43およびN型の拡散層領域35,36が形成されている。
【0126】
ボディ領域43上にはゲート酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介してポリシリコンからなるゲート電極15が形成されている。ゲート電極15の側壁には、シリコン窒化膜からなるゲート側壁絶縁膜、すなわちメモリ機能部25,26が形成されている。メモリ機能部25,26は、それぞれ第1および第2の電荷保持部を構成している。
【0127】
拡散層領域35,36はSOI層13におけるゲート電極15下に達していない。すなわち、拡散層領域35,36は、ゲート電極15の端部に対して(ゲート電極15が形成された領域から)オフセットされて配置されている。すなわち、拡散層領域35,36は、半導体基板10、ゲート絶縁膜14およびゲート電極15の積層方向において、ゲート電極15と重合(オーバーラップ)せず、それぞれ、メモリ機能部25,26におけるゲート電極15とは反対側の端部付近と重合するように形成されている。また、図示しないが、ボディ領域43には端子を通じて所望の電位を与えることができるようになっている。
【0128】
次に、不揮発性メモリ3の書込み動作原理を、図3および図4を用いて説明する。この不揮発性メモリ3は、電荷保持部であるメモリ機能部25,26(ゲート側壁絶縁膜)に蓄積された電子の多寡が電界効果トランジスタ(不揮発性メモリ3)の閾値差となって読み出されるものである。ここで、書込みとは、メモリ機能部25,26に電子を注入してトランジスタの閾値を高い状態に変化させることとする。
【0129】
不揮発性メモリ3において、第2のメモリ機能部26(電荷保持部)に電子を注入する(書込む)ためには、図3に示すように、拡散層領域35をソース電極とし、拡散層領域36をドレイン電極とする。この場合には、例えば、拡散層領域35およびボディ領域43に接地電位GND(0V)、拡散層領域36に正電位VBL3(例えば、+5V)、ゲート電極15に正電位VW3(例えば、+2V)を印加すればよい。
【0130】
このような電圧条件によれば、反転層91が、拡散層領域35(ソース電極)から拡散層領域36(ドレイン電極)方向へ伸びるものの、拡散層領域36(ドレイン電極)に達することなく、ピンチオフ点が発生する。電子93は、ピンチオフ点から拡散層領域36(ドレイン電極)までドレイン電界により加速され、第2のメモリ機能部26に注入されて、書込みが行なわれる。
【0131】
なお、第1のメモリ機能部25近傍では、ドレイン電界により加速された電子が発生しないため、書込みは行なわれない。また、書込み動作のための電圧は上記に限らず、例えば、拡散層領域35およびボディ領域43に0V、拡散層領域36に+10V、ゲート電極15に+5Vを印加した場合にも、第2のメモリ機能部26にホットエレクトロン(熱電子)が注入されて書込みが行なわれた。
【0132】
不揮発性メモリ素子3では、このようにして、第2のメモリ機能部26のみに選択的に電子を注入して、書込みを行なうことができる。
【0133】
一方、第1のメモリ機能部25(電荷保持部)に電子を注入する(書込む)ためには、図4に示すように、拡散層領域36をソース電極とし、拡散層領域35をドレイン電極とする。例えば、拡散層領域36およびボディ領域43に接地電位0V、拡散層領域35に正電位VBL3(例えば、+5V)、ゲート電極15に正電位VW3(例えば、+2V)を印加すればよい。
【0134】
この場合、電子93は第1のメモリ機能部25に注入される。このように、第1のメモリ機能部25に電子を注入する場合には、第2のメモリ機能部26に電子を注入する場合とは、ソース/ドレイン領域を入れ替えることにより、第1のメモリ機能部25のみに選択的に電子を注入して、書込みを行なうことができる。
【0135】
次に、不揮発性メモリ3の消去動作原理を、図5および図6を用いて説明する。ここで、消去とは、メモリ機能部25,26に蓄積された電子を減少させて、トランジスタの閾値を低い状態に変化させることとする。以下、2つの消去方法について順次説明する。
【0136】
第1の方法において、第2のメモリ機能部26に記憶された情報を消去する場合には、図5に示すように、拡散層領域36に正電圧VBL4(例えば、+6V)、ボディ領域43に接地電位GND(0V)を印加して、拡散層領域36とボディ領域43とのPN接合に逆方向バイアスをかけ、さらにゲート電極15に負電位VW4(例えば、−5V)を印加すればよい。
【0137】
このとき、上記PN接合のうちゲート電極15付近では、負電圧が印加されたゲート電極15の影響により、特にポテンシャルの勾配が急になる。そのため、バンド間トンネルによりPN接合のボディ領域43側にホットホール(高エネルギーの正孔)が発生する。このホットホールが負の電位をもつゲート電極15方向に引きこまれ、その結果、第2のメモリ機能部26にホールが注入される。これにより、第2のメモリ機能部26の消去が行なわれる。なお、このとき、拡散層領域35には0Vを印加すればよい。
【0138】
一方、第1のメモリ機能部25に記憶された情報を消去する場合には、上記の方法において拡散層領域35と拡散層領域36との電位を入れ替えればよい。
【0139】
第2の方法において、第2のメモリ機能部26に記憶された情報を消去する場合には、図6に示すように、拡散層領域36に正電位VBL5(例えば、+5V)、拡散層領域35に接地電位GND(0V)、ゲート電極14に負電位VW5(例えば、−4V)、ボディ領域43に正電圧VBD5(例えば、+0.8V)を印加すればよい。
【0140】
この際、ボディ領域43と拡散層領域35との間に順方向電圧が印加され、ボディ領域43に電子93が注入される。注入された電子93は、ボディ領域43と拡散層領域36とのPN接合まで拡散し、そこで強い電界により加速されてホットエレクトロンとなる。このホットエレクトロンは、PN接合において、電子−正孔対を発生させる。すなわち、ボディ領域43と拡散層領域35との間に順方向電圧を印加することにより、ボディ領域43に注入された電子がトリガーとなって、反対側に位置するPN接合で正孔が発生する。PN接合で発生した正孔は負の電位をもつゲート電極15方向に引きこまれ、その結果、第2のメモリ機能部26に正孔が注入される。
【0141】
この第2の方法によれば、ボディ領域43と拡散層領域36とのPN接合において、バンド間トンネルによりホットホールが発生するに足りない電圧しか印加されない場合においても、正孔を発生させることができる。したがって、消去動作時の電圧を低下させることができる。特に、拡散層領域35,36がゲート電極15下に存在しない場合(すなわち、ゲート電極15に対してオフセットされている場合)には、一般に、負の電位が印加されたゲート電極15により上記PN接合が急峻となる効果が少ない。そのため、バンド間トンネルによるホットホールの発生が難しくなる。このような問題に対し、第2の方法はその欠点を補い、低電圧で消去動作を実現することができる。
【0142】
なお、第2のメモリ機能部26に記憶された情報を消去する場合、第1の消去方法では、拡散層領域36に+6Vを印加しなければならなかったが、第2の消去方法では、+5Vで足りた。このように、第2の方法によれば、消去時の電圧を低減することができるので、消費電力が低減され、ホットキャリアによる記憶素子の劣化を抑制することができる。
【0143】
また、この第2の消去方法においても、第1のメモリ機能体25に記憶された情報を消去する場合は、同様に、拡散層領域35と拡散層領域36の電位を入れ替えればよい。
【0144】
次に、不揮発性メモリ素子3の読み出し動作原理を説明する。
第1のメモリ機能部25に記憶された情報を読み出す場合には、拡散層領域35をソース電極とし、拡散層領域36をドレイン電極とし、トランジスタを飽和領域動作させる。例えば、拡散層領域35およびボディ領域43に0V、拡散層領域36に+2V、ゲート電極15に+1Vを印加すればよい。
【0145】
この際、第1のメモリ機能部25に電子が蓄積していない場合には、ドレイン電流が流れやすい。一方、第1のメモリ機能部25に電子が蓄積している場合には、第1のメモリ機能部25近傍で反転層が形成されにくいので、ドレイン電流は流れにくい。したがって、ドレイン電流を検出することにより、第1のメモリ機能部25の記憶情報を読み出すことができる。このとき、第2のメモリ機能部26における電荷蓄積の有無は、ドレイン近傍がピンチオフしているため、ドレイン電流に影響を与えない。
【0146】
第2のメモリ機能部26に記憶された情報を読み出す場合、拡散層領域36をソース電極とし、拡散層領域35をドレイン電極とし、トランジスタを飽和領域動作させる。例えば、拡散層領域36およびボディ領域43に0V、拡散層領域35に+2V、ゲート電極15に+1Vを印加すればよい。
【0147】
このように、第1のメモリ機能部25に記憶された情報を読み出す場合とは、ソース/ドレイン領域を入れ替えることにより、第2のメモリ機能部26に記憶された情報の読出しを行なうことができる。
【0148】
なお、ゲート電極15で覆われないチャネル領域(オフセット領域)が残されている場合、ゲート電極15で覆われないチャネル領域においては、メモリ機能部の余剰電子の有無によって反転層が消失または形成され、その結果、大きなヒステリシス(閾値の変化)が得られる。ただし、オフセット領域の幅があまり大きいと、ドレイン電流が大きく減少し、読出し速度が大幅に遅くなる。したがって、十分なヒステリシスと読出し速度が得られるように、オフセット領域の幅を決定することが好ましい。
【0149】
また、拡散層領域35,36がゲート電極15端に達している場合、つまり、拡散層領域35,36とゲート電極15とがオーバーラップしている場合であっても、書込み動作によりトランジスタの閾値はほとんど変わらなかった。しかしながら、ソース/ドレイン端での寄生抵抗が大きく変わり、ドレイン電流は大きく(1桁以上)減少した。したがって、ドレイン電流の検出により読出しが可能であり、メモリとしての機能を得ることができる。ただし、より大きなメモリヒステリシス効果を必要とする場合には、拡散層領域35,36とゲート電極15とがオーバーラップしていない(ゲート電極15に対して拡散層領域35,36がオフセットしている、すなわちオフセット領域が存在する)ほうが好ましい。
【0150】
以上の動作方法により、不揮発性メモリ素子3では、1トランジスタ当り選択的に2ビットの書込みおよび消去が可能となる。なお、上記動作方法では、ソース電極とドレイン電極を入れ替えることによって1トランジスタ当り2ビットの書込みおよび消去をさせているが、ソース電極とドレイン電極を固定して1ビットメモリとして動作させてもよい。
【0151】
本発明の実施の形態における不揮発性メモリ素子(半導体記憶装置)3は、電界効果トランジスタを形成するための通常の半導体プロセスによって、例えば、ゲート電極15の側壁に積層構造のサイドウォールスペーサを形成する方法と同様の方法によって形成することができる。具体的には、ゲート電極15を形成した後、絶縁膜(第2の絶縁体)/電荷蓄積膜(第1の絶縁体)/絶縁膜(第2の絶縁体)の積層膜を形成し、適当な条件下でエッチバックしてこれらの膜をサイドウォールスペーサ状に残す方法が挙げられる。このほか、所望のメモリ機能部25,26の構造に応じて、適宜サイドウォール形成時の条件や堆積物を選択すればよい。
【0152】
以下の実施の形態において、上記不揮発性メモリ素子についてより詳細に説明する。
【0153】
〔実施の形態3〕
図7は、本実施の形態における不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)4の断面構造を示すものである。不揮発性メモリ素子4は、半導体基板101の表面に形成されたP型ウェル領域102上に形成されている。P型ウェル領域102上にはゲート絶縁膜103を介してゲート電極104が形成されている。上記ゲート電極104の両側には、メモリ機能部105a,105bが形成されている。
【0154】
ここで、メモリ機能部とは、メモリ機能体または電荷保持膜のうちで書換え動作により実際に電荷が蓄積される部分を指している。図7に示す例では、ゲート電極104の上面および側面を、電荷を保持するトラップ準位を有し、電荷保持膜となるシリコン窒化膜109が連続して覆っており、上記シリコン窒化膜109のなかでゲート電極104の両側壁部分が、それぞれ実際に電荷を保持するメモリ機能部105a,105bとなっている。
【0155】
不揮発性メモリ素子4の拡散層領域107a,107bは、それぞれソース領域またはドレイン領域として機能する。この拡散層領域107a,107bはオフセット構造を有している。すなわち、拡散層領域107a,107bは、ゲート電極下領域121には存在せず、半導体基板101、P型ウェル領域102、ゲート絶縁膜103およびゲート電極104の積層方向において、それぞれ、メモリ機能部105a,105bの外端部付近と重合している。したがって、メモリ機能部105a,105b下における、ゲート電極下領域121と拡散層領域107a,107bとの間は、それぞれオフセット領域120となっている。したがって、オフセット領域120は、拡散層領域107a,107b間の領域であるチャネル領域の一部を構成している。
【0156】
なお、不揮発性メモリ素子4において、メモリ機能部105a,105bは、ナノメートルサイズの導電体または半導体からなる微粒子が絶縁膜中に散点状に分布する構造を有していてもよい。このとき、上記微粒子は、1nm未満であると、量子効果が大きすぎるためにドットに電荷がトンネルするのが困難になる一方、10nmを超えると室温では顕著な量子効果が現れなくなる。したがって、上記微粒子の直径は1nm〜10nmの範囲にあることが好ましい。
【0157】
図8には、不揮発性メモリ素子の他の例を示す。同図に示す不揮発性メモリ素子5は、図7に示した不揮発性メモリ素子4と下記の点において異なる。すなわち、不揮発性メモリ素子5は、各メモリ機能部131a,131bにおいて、電荷を保持するトラップ準位を有し、電荷保持膜となるシリコン窒化膜113がシリコン酸化膜111,112に挟まれた構造を有している。不揮発性メモリ素子5では、このように、シリコン窒化膜113がシリコン酸化膜111,112で挟まれた構造とすることにより、書換え動作時の電荷注入効率が高くなり、より高速な動作が可能となる。
【0158】
なお、不揮発性メモリ素子5において、シリコン窒化膜113は強誘電体膜で置き換えてもよい。
【0159】
また、不揮発性メモリ素子5において、メモリ機能部131a,131bは、必ずしも図8に示したようにサイドウォールスペーサ形状である必要はない。例えば、不揮発性メモリ素子4(図7)において、電荷を保持するトラップ準位を有し、メモリ機能部105a,105bを構成するシリコン窒化膜109は、ゲート電極104の側面および上面を覆っている。しかしながら、実質的に電荷を保持するメモリ機能部105a,105bとなる部分は、ゲート電極104両側壁部と対向する領域である。すなわち、これらの領域に電荷を保持する機能もしくは分極を保持する物質が配置されていればよい。
【0160】
以上の説明から明らかなように、以上の実施の形態における不揮発性メモリ素子において、メモリ機能部はゲート絶縁膜と独立して形成され、ゲート電極の両側に形成されている。そのため、2ビット動作が可能である。さらには、各メモリ機能部はゲート電極により分離されているので書換え時の干渉が効果的に抑制される。また、ゲート絶縁膜はメモリ機能部とは分離されている(メモリ機能部とは積層されていない)ので、ゲート絶縁膜を薄膜化して短チャネル効果を抑制することができる。したがって、以上の実施の形態の不揮発性メモリ素子は微細化が容易となる。
【0161】
〔実施の形態4〕
本実施の形態の不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)は、図9に示す構成を有している。この不揮発性メモリ素子6は、メモリ機能部261,262が電荷を保持する領域と電荷を逃げにくくする領域とから構成されている。電荷を保持する領域は、電荷を蓄える領域であって、例えば電荷を保持する機能を有する膜であってもよい。電荷を逃げにくくする領域は、例えば電荷を逃げにくくする機能を有する膜であってもよい。
【0162】
メモリ機能部261,262は、例えば図9に示すように、ONO構造を有している。すなわち、メモリ機能部261,262は、シリコン酸化膜241とシリコン酸化膜243との間にシリコン窒化膜242が挟まれることにより構成されている。シリコン窒化膜242は電荷を保持する機能を有する。シリコン酸化膜241,243はシリコン窒化膜242中に蓄えられた電荷を逃げにくくする機能を有する。
【0163】
メモリ機能部261,262における電荷を保持する領域であるシリコン窒化膜242は、拡散層領域212,213とそれぞれオーバーラップしている。ここで、シリコン窒化膜242が拡散層領域212,213とオーバーラップするとは、拡散層領域212,213の少なくとも一部の領域上にシリコン窒化膜242の少なくとも一部が存在することを意味する。すなわち拡散層領域212,213の少なくとも一部の領域とシリコン窒化膜242の少なくとも一部の領域とが、半導体基板211、ゲート絶縁膜214およびゲート電極217との積層方向において、重合していることを意味する。
【0164】
なお、同図において、271は、ゲート電極217と拡散層領域212,213とが上記積層方向において重合していないオフセット領域を示している。また、ゲート絶縁膜214下であって半導体基板211の最表面部はチャネル領域となる。
【0165】
ここで、メモリ機能部261,262におけるシリコン窒化膜242(電荷を保持する領域)と拡散層領域212,213とがオーバーラップすることによる効果を説明する。
【0166】
図10は、図9に示したメモリ機能部261,262の一方、例えば右側のメモリ機能部262の周辺部の拡大図である。同図において、W1はゲート電極217と拡散層領域213とのオフセット量(オフセット領域271)を示している。また、W2はゲート電極217のチャネル長方向の切断面におけるメモリ機能部262の幅を示している。なお、不揮発性メモリ素子6においては、メモリ機能部262におけるシリコン窒化膜242のゲート電極217から離れた側の端が、メモリ機能部262における、ゲート電極217から離れた側の端と一致している。したがって、メモリ機能部262の幅をW2として定義した。
【0167】
メモリ機能部262と拡散層領域213とのオーバーラップ量はW2−W1で表される。特に重要なことは、メモリ機能部262のうちシリコン窒化膜242が、拡散層領域213とオーバーラップすること、つまり、W2>W1なる関係を満たすことである。
なお、図11に示すように、メモリ機能部262aにおけるシリコン窒化膜242aのゲート電極217aと離れた側の端が、ゲート電極217aから離れた側のメモリ機能部262aの端と一致していない場合は、W2をゲート電極217a端からシリコン窒化膜142aのゲート電極217aと遠い側の端までと定義すればよい。
【0168】
図12は、図10の構造において、メモリ機能部262の幅W2を100nmに固定し、オフセット量W1を変化させたときのドレイン電流Idを示している。ここで、ドレイン電流は、メモリ機能部262を消去状態(ホールが蓄積されている状態)とし、拡散層領域212,213をそれぞれソース電極、ドレイン電極として、デバイスシミュレーションにより求めた。
【0169】
図12から明らかなように、W1が100nm以上の場合、すなわち、シリコン窒化膜242と拡散層領域213とがオーバーラップしない場合では、ドレイン電流が急速に減少している。ドレイン電流値は、読出し動作速度にほぼ比例するので、W1が100nm以上ではメモリの性能は急速に劣化する。一方、シリコン窒化膜242と拡散層領域213とがオーバーラップする範囲においては、ドレイン電流の減少は緩やかである。したがって、量産製造においてばらつきも考慮した場合、電荷を保持する機能を有する膜であるシリコン窒化膜242の少なくとも一部と拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213とがオーバーラップしなければ、事実上メモリ機能を得ることが困難である。
【0170】
上述したデバイスシミュレーションの結果を踏まえて、W2を100nm固定とし、W1を設計値において60nmおよび100nmとし、メモリセルアレイを作製した。W1が60nmの場合、シリコン窒化膜242と拡散層領域212,213とは設計値において40nmオーバーラップし、W1が100nmの場合、設計値においてオーバーラップしない。
【0171】
これらのメモリセルアレイの読出し時間を測定した結果、ばらつきを考慮したワーストケースで比較して、W1を設計値において60nmとした場合の方が、読出しアクセス時間で100倍高速であった。実用上、読み出しアクセス時間は1ビットあたり100ナノ秒以下であることが好ましいが、W1=W2では、この条件を到底達成できないことが分かった。また、製造ばらつきまで考慮した場合、W2−W1>10nmであることがより好ましいことが判明した。
【0172】
また、メモリ機能部261(図10に示す領域281)に記憶された情報の読み出しは、実施の形態3の場合と同様に、拡散層領域212をソース電極とし、拡散層領域213をドレイン領域としてチャネル領域中のドレイン領域に近い側にピンチオフ点を形成するのが好ましい。すなわち、2つのメモリ機能部261,262のうち一方に記憶された情報を読み出す時に、ピンチオフ点をチャネル領域内であって、他方のメモリ機能部に近い領域に形成させるのが好ましい。これにより、メモリ機能部262の記憶状況の如何にかかわらず、メモリ機能部261の記憶情報を感度よく検出することができる。これは不揮発性メモリ素子6の2ビット動作を可能にする大きな要因となる。
【0173】
一方、2つのメモリ機能部261,262の片側のみに情報を記憶させる場合または2つのメモリ機能部261,262を同じ記憶状態にして使用する場合には、読出し時に必ずしもピンチオフ点を形成しなくてもよい。
【0174】
なお、図9には図示していないが、半導体基板211の表面にウェル領域(Nチャネル素子の場合はP型ウェル)を形成することが好ましい。ウェル領域を形成することにより、チャネル領域の不純物濃度をメモリ動作(書換え動作および読出し動作)において最適にしつつ、その他の電気特性(耐圧、接合容量、短チャネル効果)を制御するのが容易になる。
【0175】
メモリ機能部261,262は、不揮発性メモリ素子6の保持特性を向上させる観点から、電荷を保持する機能を有する電荷保持膜と絶縁膜とを含んでいるのが好ましい。この実施の形態では、電荷保持膜として電荷をトラップする準位を有するシリコン窒化膜242、絶縁膜として電荷保持膜に蓄積された電荷の散逸を防ぐ働きのあるシリコン酸化膜241,243を用いている。メモリ機能部261,262が電荷保持膜と絶縁膜とを含むことにより電荷の散逸を防いで保持特性を向上させることができる。さらに、メモリ機能部261,262が電荷保持膜のみで構成される場合に比べて電荷保持膜の体積を適度に小さくすることができる。電荷保持膜の体積を適度に小さくすることにより電荷保持膜内での電荷の移動を制限し、記憶保持中に電荷移動による特性変化が起こるのを抑制することができる。
【0176】
また、メモリ機能部261,262は、ゲート絶縁膜214の表面と略平行に配置された部分を有する電荷保持膜を含むこと、言い換えると、メモリ機能部261,262における電荷保持膜の上面が、ゲート絶縁膜214の上面から等しい距離に位置するように配置される部分を含むことが好ましい。
【0177】
具体的には、図13に示すように、メモリ機能部262の電荷保持膜242a(例えばシリコン窒化膜)が、ゲート絶縁膜214表面と略平行な面を有している。言い換えると、メモリ機能部262の電荷保持膜(第1の絶縁膜)242aには、シリコン酸化膜244を介してゲート絶縁膜214の表面と平行な面と対向し、この面に沿って広がった面を有する部分が含まれている。すなわち、電荷保持膜242aは、ゲート絶縁膜214表面に対応する高さから、均一な高さに形成されることが好ましい。図10に示したシリコン窒化膜242において、上記電荷保持膜242aの構成は、ゲート絶縁膜214表面と略平行な面を有する部分である領域281に相当する。
【0178】
メモリ機能部262中に、ゲート絶縁膜214表面と略平行な電荷保持膜242aがあることにより、電荷保持膜242aに蓄積された電荷の多寡によりオフセット領域271での反転層の形成されやすさを効果的に制御することができ、ひいてはメモリ効果を大きくすることができる。また、電荷保持膜242aをゲート絶縁膜214の表面と略平行とすることにより、オフセット量(W1)がばらついた場合でもメモリ効果の変化を比較的小さく保つことができ、メモリ効果のばらつきを抑制することができる。しかも、電荷保持膜242aの上部方向への電荷の移動が抑制され、記憶保持中に電荷移動による特性変化が起こるのを抑制することができる。
【0179】
さらに、メモリ機能部262は、ゲート絶縁膜214の表面と略平行な電荷保持膜242aとチャネル領域(またはウェル領域)とを隔てる絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜244のうちオフセット領域271上の部分)を含むことが好ましい。この絶縁膜により、電荷保持膜に蓄積された電荷の散逸が抑制され、さらに保持特性の良い不揮発性メモリ素子を得ることができる。
【0180】
なお、電荷保持膜242aの膜厚を制御すると共に、電荷保持膜242a下の絶縁膜(シリコン酸化膜244のうちオフセット領域271上の部分)の膜厚を一定に制御することにより、半導体基板211表面から電荷保持膜242a中に蓄えられる電荷までの距離を概ね一定に保つことが可能となる。つまり、半導体基板211表面から電荷保持膜242a中に蓄えられる電荷までの距離を、電荷保持膜242a下の絶縁膜の最小膜厚値から、電荷保持膜242a下の絶縁膜の最大膜厚値と電荷保持膜242aの最大膜厚値との和までの間に制御することができる。これにより、電荷保持膜242aに蓄えられた電荷により発生する電気力線の密度を概ね制御することが可能となり、不揮発性メモリ素子のメモリ効果の大きさばらつきを非常に小さくすることが可能となる。
【0181】
〔実施の形態5〕
本実施の形態において、図14に示すように、不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)6は、メモリ機能部261,262のシリコン窒化膜(電荷保持膜)242が、略均一な膜厚で、ゲート絶縁膜214の表面と略平行に配置された部分(領域281)、およびゲート電極217側面と略平行に配置された部分(領域282)を有している。すなわち、シリコン窒化膜(電荷保持膜)242の領域282は、シリコン酸化膜(第2の絶縁膜)241を介してゲート電極217の側面と対向し、この側面に沿って広がった部分である。
【0182】
この不揮発性メモリ素子6において、ゲート電極217に正電圧が印加された場合には、メモリ機能部262中での電気力線は矢印283のように、シリコン窒化膜242を2回通過する(領域182の通過+領域181の通過)。なお、ゲート電極217に負電圧が印加された場合の電気力線の向きは図示の方向とは反対となる。
【0183】
ここで、シリコン窒化膜242の比誘電率は約6であり、シリコン酸化膜241,243の比誘電率は約4である。したがって、メモリ機能部261,262は、領域281のみが存在する場合よりも、電気力線283方向における実効的な比誘電率が大きくなり、電気力線の両端での電位差をより小さくすることができる。すなわち、ゲート電極217に印加された電圧の多くの部分が、オフセット領域271における電界を強くするために使われることになる。
【0184】
不揮発性メモリ素子6において、書換え動作時に電荷がシリコン窒化膜242に注入されるのは、発生した電荷がオフセット領域271における電界により引き込まれるためである。したがって、シリコン窒化膜242が領域282を含むことにより、書換え動作時にメモリ機能部262に注入される電荷が増加し、書換え速度が増大する。
【0185】
なお、シリコン酸化膜243の部分もシリコン窒化膜であった場合、つまり、シリコン窒化膜(電荷保持膜)がゲート絶縁膜214の表面に対応する高さにおいえ均一でない場合、シリコン窒化膜の上方向への電荷の移動が顕著になって、保持特性が悪化する。
【0186】
電荷保持膜は、シリコン窒化膜に代えて、比誘電率が非常大きい酸化ハフニウムなどの高誘電体により形成されることがより好ましい。
【0187】
さらに、メモリ機能部261,262は、ゲート絶縁膜214表面と略平行な電荷保持膜(シリコン窒化膜の領域281)とチャネル領域(またはウェル領域)とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241のうちオフセット領域271上の部分)をさらに含むことが好ましい。この絶縁膜により、電荷保持膜(シリコン窒化膜242)に蓄積された電荷の散逸が抑制され、さらに保持特性を向上させることができる。
【0188】
また、メモリ機能部261,262は、ゲート電極217と、ゲート電極217側面と略平行な向きに延びた電荷保持膜(シリコン窒化膜242の領域282)とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241のうちゲート電極217に接した部分)をさらに含むことが好ましい。この絶縁膜により、ゲート電極から電荷保持膜へ電荷が注入されて電気的特性が変化することを防止し、不揮発性メモリ素子の信頼性を向上させることができる。
【0189】
さらに、実施の形態4と同様に、電荷保持膜242下の絶縁膜(シリコン酸化膜241のうちオフセット領域271上の部分)の膜厚を一定に制御すること、さらにゲート電極側面上に配置する絶縁膜(シリコン酸化膜241のうちゲート電極217に接した部分)の膜厚を一定に制御することが好ましい。これにより、電荷保持膜242に蓄えられた電荷により発生する電気力線の密度を概ね制御することができるとともに、電荷リークを防止することができる。
【0190】
〔実施の形態6〕
この実施の形態は、不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)6におけるゲート電極217、メモリ機能部261,262および拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213間距離の最適化に関する。
【0191】
図15において、Aはチャネル長方向の切断面におけるゲート電極長、Bは拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213間の距離(チャネル長)、Cはチャネル長方向におけるメモリ機能部261,262の外端間の距離を示す。さらにCについて詳細に説明すると、Cは、一方のメモリ機能部261のシリコン窒化膜242(電荷保持膜)におけるゲート電極217と離れている側の端部(外端部)から、他方のメモリ機能部262のシリコン窒化膜242(電荷保持膜)におけるゲート電極217と離れている側の端部(外端部)までのチャネル長方向の距離を示す。
【0192】
上記A〜Cの関係においては、まず、B<Cであることが好ましい。チャネル領域のうち、ゲート電極217下の部分(半導体基板211におけるゲート電極217との対向領域)と拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213との間にはオフセット領域271が存する。B<Cであれば、メモリ機能部261,262(シリコン窒化膜242)に蓄積された電荷により、オフセット領域271の全領域において、反転の容易性が効果的に変動する。したがって、メモリ効果が増大し、特に読出し動作の高速化が実現する。
【0193】
また、ゲート電極217に対して拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213がオフセットしている場合、つまり、A<Bが成立する場合には、ゲート電極217に電圧を印加したときのオフセット領域271の反転のしやすさがメモリ機能部261,262に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大するとともに、短チャネル効果を低減することができる。ただし、メモリ効果が発現する限りにおいて、オフセット領域271は必ずしも存在する必要がない。すなわち、オフセット領域271が存在しない場合においても、拡散層領域212,213の不純物濃度が十分に薄ければ、メモリ機能部261,262(シリコン窒化膜242)においてメモリ効果が発現し得る。
【0194】
以上の説明から明らかなように、A〜Cの関係は、A<B<Cであるのが最も好ましい。
【0195】
なお、図16に示す不揮発性メモリ素子7のように、上記の不揮発性メモリ素子6において、半導体基板211に代えてSOI基板285を使用してもよい。
【0196】
この不揮発性メモリ素子7において、SOI基板285は、半導体基板286上に埋め込み酸化膜288が形成され、さらにその上にSOI層289が形成されている。SOI層289内には拡散層領域212,213が形成され、それ以外の領域はボディ領域287となっている。
【0197】
この不揮発性メモリ素子7においては、拡散層領域212,213とボディ領域287との接合容量を著しく小さくすることができるので、素子の高速化や低消費電力化が可能となる。他の機能については、前述した不揮発性メモリ素子6の場合と同様である。
【0198】
〔実施の形態7〕
この実施の形態の不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)8は、図17に示すように、実施の形態4(図9)に示した不揮発性メモリ素子6において、N型の拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213のチャネル側に隣接して、P型高濃度領域291を追加している。この点以外は、実質的に前述した不揮発性メモリ素子6と同様の構成を有する。
【0199】
P型高濃度領域291では、P型を与える不純物(例えばボロン)濃度が、P型高濃度領域291間の領域292におけるP型を与える不純物濃度よりも高くなっている。P型高濃度領域291におけるP型の不純物濃度は、例えば、5×1017〜1×1019cm−3程度が適当である。また、領域292のP型の不純物濃度は、例えば、5×1016〜1×1018cm−3とすることができる。
【0200】
このように、P型高濃度領域291を設けることにより、拡散層領域212,213と半導体基板211との接合が、メモリ機能部261,262の直下で急峻となる。そのため、書込みおよび消去動作時にホットキャリアが発生し易くなり、書込み動作および消去動作の電圧を低下させ、あるいは書込み動作および消去動作を高速にすることが可能となる。さらに、領域292の不純物濃度は比較的薄いので、メモリが消去状態にあるときの閾値が低く、ドレイン電流は大きくなる。そのため、読出し速度が向上する。したがって、書換え電圧が低くまたは書換え速度が高速で、かつ、読出し速度が高速な不揮発性メモリ素子を得ることができる。
【0201】
また、図17に示すように、半導体基板211には、拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213近傍であってメモリ機能部261,262との対向部(ゲート電極217との対向部ではない)において、P型高濃度領域291を設けることにより、トランジスタ全体としての閾値が著しく上昇する。この上昇の程度は、P型高濃度領域291がゲート電極217の直下(半導体基板211におけるゲート電極217との対向部)にある場合に比べて著しく大きい。メモリ機能部261,262に書込み電荷(トランジスタがNチャネル型の場合は電子)が蓄積した場合は、この差がいっそう大きくなる。
【0202】
一方、メモリ機能部261,262に十分な消去電荷(トランジスタがNチャネル型の場合は正孔)が蓄積された場合は、トランジスタ全体としての閾値は、ゲート電極217下のチャネル領域(領域292)の不純物濃度で決まる閾値まで低下する。すなわち、消去時の閾値は、P型高濃度領域291の不純物濃度には依存しない一方、書込み時の閾値はP型高濃度領域291の不純物濃度に非常に大きな影響を受ける。よって、P型高濃度領域291をメモリ機能部261,262の下(半導体基板211における電荷保持部261、262との対向部)であって拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213近傍に配置することにより、書込み時の閾値のみが非常に大きく変動し、メモリ効果(書込み時と消去時での閾値の差)を著しく増大させることができる。
【0203】
〔実施の形態8〕
この実施の形態の不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)6Aは、図18に示すように、実施の形態4(図9)に示した不揮発性メモリ素子6において、電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さT1をゲート絶縁膜214の厚さT2よりも薄くしたものである。この点以外は、実質的に前述の不揮発性メモリ素子6と同様の構成を有する。
【0204】
ゲート絶縁膜214は、メモリの書換え動作時における耐圧の要請から、その厚さT2に下限値が存在する。しかしながら、メモリ機能部261,262の絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1は、耐圧の要請にかかわらず、T2よりも薄くすることが可能である。
【0205】
本実施の形態の不揮発性メモリ素子6Aにおいて、上述のように絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1に対する設計の自由度が高いのは以下の理由による。
【0206】
不揮発性メモリ素子6Aにおいては、メモリ機能部261,262の電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241)が、ゲート電極217とチャネル領域またはウェル領域とに挟まれていない。したがって、この絶縁膜(シリコン酸化膜241)には、ゲート電極217とチャネル領域またはウェル領域との間に働く高電界が直接作用せず、ゲート電極217から横方向に広がる比較的弱い電界が作用するのみである。これにより、ゲート絶縁膜214に対する耐圧の要請にかかわらず、シリコン酸化膜241の厚さT1はゲート絶縁膜214の厚さT2よりも薄くすることが可能となる。
【0207】
一方、例えば、フラッシュメモリに代表されるEEPROMにおいては、フローティングゲートとチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜がゲート電極(コントロールゲート)とチャネル領域またはウェル領域に挟まれているので、ゲート電極からの高電界が直接作用する。それゆえ、EEPROMにおいては、フローティングゲートとチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さが制限され、不揮発性メモリ素子の機能の最適化が阻害されるのである。
【0208】
以上より明らかなように、本実施の形態の不揮発性メモリ素子6Aにおいては、電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241)が、ゲート電極217とチャネル領域またはウェル領域とに挟まれていないことが、絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1の自由度を高くする本質的な理由となっている。
【0209】
不揮発性メモリ素子6Aでは、絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1を薄くすることにより、メモリ機能部261,262すなわち電荷保持膜(シリコン窒化膜242)への電荷の注入が容易になり、書込み動作および消去動作の電圧を低下させること、または書込み動作および消去動作を高速にすることが可能となる。また、電荷保持膜(シリコン窒化膜242)に電荷が蓄積された時にチャネル領域またはウェル領域に誘起される電荷量が増えるため、メモリ効果を増大させることができる。
【0210】
ところで、メモリ機能部261,262中での電気力線は、図14に矢印284で示したように、シリコン窒化膜242を通過しない短いものもある。このような短い電気力線284上では比較的電界強度が大きいので、この電気力線284に沿った電界は書換え動作時においては大きな役割を果たしている。
【0211】
一方、本実施の形態の不揮発性メモリ素子6Aのように、シリコン酸化膜241の厚さT1を薄くした場合には、シリコン窒化膜242が図の下側に移動するので(半導体基板211に近づくので)、電気力線284がシリコン窒化膜242を通過するようになる。それゆえ、電気力線284に沿ったメモリ機能部261,262中の実効的な比誘電率が大きくなり、電気力線284の両端での電位差をより小さくすることができる。したがって、ゲート電極217に印加された電圧の多くの部分が、オフセット領域271における電界を強くするために使われ、書込み動作および消去動作が高速になる。
【0212】
以上より明らかなように、不揮発性メモリ素子6Aにおいては、T1<T2とすることにより、メモリ素子の耐圧性能を低下させることなく、書込み動作および消去動作の電圧を低下させ、または書込み動作および消去動作を高速にし、さらにメモリ効果を増大することが可能となる。
【0213】
なお、絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1は、製造プロセスによる均一性や膜質が一定の水準を維持することが可能であり、かつ保持特性が極端に劣化しない限界となる0.8nm以上であることがより好ましい。
【0214】
次に、本実施の形態のメモリ素子9の好適な適用例について説明する。
例えば、デザインルールの大きな高耐圧が必要とされる液晶ドライバーLSIのような場合、液晶パネルのTFTを駆動するために、最大15〜18Vの電圧が必要となる。このため、前記LSIではゲート酸化膜(ゲート絶縁膜)を薄膜化することができない。
【0215】
一方、上記液晶ドライバーLSIに画像調整用として本実施の形態の不揮発性メモリ9を混載する場合、不揮発性メモリ素子6Aではゲート絶縁膜214の厚とは独立して、電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さを最適に設計できる。例えば、ゲート電極長(ワード線幅)250nmのメモリセルに対して、T1=20nm、T2=10nmで個別に設定でき、書込み効率の良いメモリセルを実現できる。
【0216】
なお、不揮発性メモリ素子6Aにおいて、シリコン酸化膜241の厚さT1が通常のロジックトランジスタのものより厚くても短チャネル効果が発生しない理由は、ゲート電極217に対して、拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213がオフセットしているためである。
【0217】
〔実施の形態9〕
この実施の形態の不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)6Bは、図19に示すように、実施の形態4(図9)に示した不揮発性メモリ素子6において、電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1をゲート電極217の厚さT2よりも厚くしたものである。この点以外は、実質的に前述の不揮発性メモリ素子6と同様の構成を有する。
【0218】
ゲート絶縁膜214は、素子の短チャネル効果防止の要請から、その厚さT2には上限値が存在する。しかしながら、メモリ機能部261,262の絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1は、短チャネル効果防止の要請にかかわらず、ゲート絶縁膜214の厚さT2よりも厚くすることが可能である。すなわち、微細化スケーリングが進んだとき(ゲート絶縁膜214の薄膜化が進行したとき)にゲート絶縁膜214の厚とは独立して電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さを最適に設計できる。このため、メモリ機能部261,262がスケーリングの障害にならないという効果を奏する。
【0219】
本実施の形態の不揮発性メモリ素子6Bにおいて、上述のように絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1に対する設計の自由度が高い理由は、既に述べた通り、メモリ機能部261,262の電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241)が、ゲート電極217とチャネル領域またはウェル領域とに挟まれていないことによる。そのため、ゲート絶縁膜214に対する短チャネル効果防止の要請にかかわらず、シリコン酸化膜241の厚さT1をゲート絶縁膜214の厚さT2よりも厚くすることが可能となる。
【0220】
シリコン酸化膜241の厚さT1を厚くすることにより、メモリ機能部261,262に蓄積された電荷が散逸するのを防ぎ、メモリの保持特性を改善することが可能となる。したがって、T1>T2とすることにより、メモリの短チャネル効果を悪化させることなく保持特性を改善することが可能となる。なお、絶縁膜(シリコン酸化膜241)の厚さT1は、書換え速度の低下を考慮して、20nm以下であることが好ましい。
【0221】
次に、本実施の形態の不揮発性メモリ素子6Bの好適な適用例について説明する。
フラッシュメモリに代表される従来の不揮発性メモリは、選択ゲート電極が書込み消去ゲート電極を構成し、上記書込み消去ゲート電極に対応するゲート絶縁膜(フローティングゲートを内包する)が電荷蓄積膜を兼用している。このため、微細化の要求(短チャネル効果抑制のため薄膜化が必須であること)、および信頼性確保の要求(保持電荷のリーク抑制のため、フローティングゲートとチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さを7nm程度以下には薄膜化できないこと)という相反する要求を内包している。したがって、このような従来の不揮発性メモリでは微細化が困難である。実際上、ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)によれば、物理ゲート長の微細化は0.2ミクロン程度以下に対して目処が立っていない。
【0222】
一方、本実施の形態の不揮発性メモリ素子6Bでは、上述したようにT1とT2を個別に設計できることにより、微細化が可能となる。本発明では、例えば、ゲート電極長(ワード線幅)45nmのメモリセルに対して、T2=4nm、T1=7nmに個別に設定し、短チャネル効果の発生しない不揮発性メモリ素子6Bを実現した。
【0223】
なお、不揮発性メモリ素子6Bにおいて、T2を通常のロジックトランジスタより厚く設定しても短チャネル効果が発生しない理由は、ゲート電極217に対して、拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213がオフセットしているためである。また、本実施の形態のメモリセルはゲート電極217に対して拡散層領域(ソース/ドレイン領域)212,213がオフセットしているため、通常のロジックトランジスタと比較してもさらに微細化が容易となっている。
【0224】
以上の点を要約すると、本実施の形態における以上の不揮発性メモリ素子では、メモリ機能部261,262の上に書込、消去を補助する電極すなわちゲート電極217が存在しないため、メモリ機能部261,262の電荷保持膜(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜(シリコン酸化膜241)には、ゲート電極217とチャネル領域またはウェル領域との間に働く高電界が直接作用せず、ゲート電極217から横方向に広がる比較的弱い電界が作用するのみである。そのため、ロジックトランジスタのゲート長と同程度以上に微細化されたゲート長を保有するメモリセルの実現が可能になる。
【0225】
〔実施の形態10〕
この実施の形態は、不揮発性メモリ素子(半導体装置、半導体記憶装置)の書換えを行ったときの電気特性の変化に関する。
【0226】
図20は、本実施の形態におけるNチャネル型不揮発性メモリ素子のメモリ機能部261,262中の電荷量が変化したときの、ドレイン電流(Id)対ゲート電圧(Vg)の特性(実測値)を示すグラフである。
【0227】
図20から明らかなように、消去状態(実線)から書込み動作を行った場合、単純に閾値が上昇するのみならず、特にサブスレッショルド領域においてグラフの傾きが顕著に減少している。そのため、ゲート電圧(Vg)が比較的高い領域においても、消去状態と書込み状態でのドレイン電流比が大きくなっている。例えば、Vg=2.5Vにおいても、電流比は2桁以上を保っている。この特性は、フラッシュメモリの場合(図29)と大きく異なる。このような特性の出現は、ゲート電極と拡散層領域とがオフセットし、ゲート電界がオフセット領域におよびにくいために起こる特有な現象である。
【0228】
不揮発性メモリ素子が書込み状態にあるときには、ゲート電極217に正電圧を加えてもメモリ機能部261,262メモリ機能部下(半導体基板211におけるメモリ機能部261,262との対向部)のオフセット領域271には反転層が極めてできにくい状態になっている。これが、書込み状態においてサブスレッショルド領域でのId−Vg曲線の傾きが小さくなる原因となっている。
【0229】
一方、不揮発性メモリ素子が消去状態にあるときには、オフセット領域271には高密度の電子が誘起されている。なおかつ、ゲート電極217に0Vが印加されているとき(すなわちオフ状態にあるとき)は、ゲート電極217下のチャネルには電子が誘起されない(そのためオフ電流が小さい)。これが、消去状態においてサブスレッショルド領域でのId−Vg曲線の傾きが大きく、かつ閾値以上の領域でも電流の増加率(コンダクタンス)が大きい原因となっている。
【0230】
以上の説明から明らかなように、本発明の半導体記憶装置および半導体装置を構成するメモリ素子は、書込み時と消去時のドレイン電流比を特に大きくすることができる。
【0231】
以上、本発明の半導体記憶装置および半導体装置を構成する揮発性メモリ素子と不揮発性メモリ素子とについてそれぞれ説明した。以下に、本発明の半導体記憶装置および半導体装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0232】
〔実施の形態11〕
本発明の実施の形態の半導体装置(半導体記憶装置)を図21から図23に基づいて以下に説明する。
【0233】
図21は、本実施の形態における半導体装置301を示す概略の縦断面図である。図22は、図21に示した半導体装置301とは使用する基板が異なる半導体装置302を示す概略の縦断面図である。図23は、半導体装置301,302が備える各機能部を示すブロック図である。
【0234】
本実施の形態の半導体装置301,302は、1つの半導体基板上に、論理回路311、揮発性メモリ素子312および不揮発性メモリ素子313が混載されている。これら素子は何れも電界効果トランジスタからなる。
【0235】
図1に示す半導体装置301は、シリコン基板11上に埋め込み酸化膜12が形成され、さらにその上にSOI層13が形成された半導体基板10を使用している。半導体装置301では、この半導体基板10上に、電界効果トランジスタからなる論理回路311、揮発性メモリ素子312および不揮発性メモリ素子313が形成されている。
【0236】
論理回路311は、SOI層13に形成された拡散層領域31,32、これら拡散層領域31,32間に形成されボディ領域41、このボディ領域41上にゲート酸化膜14を介して形成されたゲート電極15、およびこのゲート電極15の両側壁に形成されたゲート側壁絶縁膜21,22を備えている。なお、ゲート電極15はポリシリコンからなり、ゲート側壁絶縁膜21,22はシリコン窒化膜からなる。これらゲート側壁絶縁膜21,22は電荷保持機能を有していない。
【0237】
揮発性メモリ素子312および不揮発性メモリ素子313の構成は、それぞれ、図1(実施の形態1)および図3(実施の形態2)に基づいて説明した揮発性メモリ素子1および不揮発性メモリ素子3のとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0238】
論理回路311、揮発性メモリ素子312および不揮発性メモリ素子313の領域は、SOI層13に形成された素子分離領域314により分離されている。
【0239】
論理回路311、揮発性メモリ素子312および不揮発性メモリ素子313を構成する各電界効果トランジスタは、ほぼ同様な構造を有している。ただし、不揮発性メモリ素子313として機能する電界効果トランジスタのみは、拡散層領域35,36がゲート電極15下に存在せず、半導体基板10、ゲート絶縁膜14およびゲート電極15の積層方向において、拡散層領域35,36がゲート電極15と重合していない。すなわち、不揮発性メモリ素子313のみは、拡散層領域35,36がゲート電極15に対してオフセットした構造(オフセット構造)を有している。
【0240】
図22には、図21に示した半導体装置301において、半導体基板10に代えてバルク基板320を用いた場合を示している。このバルク基板320は、N型の半導体基板(またはN型のウェル領域)321上に、P型のウェル領域322が形成されている。
【0241】
バルク基板320において、少なくとも揮発性メモリ素子312に属するP型のウェル領域322は他の素子に属する領域と分離されている。具体的には、P型のウェル領域322は、素子分離領域314とN型の半導体基板321とにより素子毎に分離されている。したがって、揮発性メモリ素子312においては、P型のウェル領域322に蓄積された電荷の多寡が記憶情報となる。
【0242】
図23は、上記半導体装置301,302にて構成される半導体装置1101を各機能部により示すブロック図である。この半導体装置1101は、論理回路部1110、揮発性メモリ部1120および不揮発性メモリ部1130を備えている。
【0243】
論理回路部1110は論理回路1111を備え、この論理回路1111は、例えばMPU(Micro Processing Unit)を構成している。
【0244】
揮発性メモリ部1120は、揮発性メモリセルアレイ1121、行ドライバを含む行デコーダ1122、列ドライバを含む列デコーダ1123、センスアンプ1124およびリフレッシュ動作回路1125を備えている。揮発性メモリセルアレイ1121は、電界効果トランジスタからなる揮発性メモリ素子312を配列して構成されている。行デコーダ1122、列デコーダ1123、センスアンプ1124およびリフレッシュ動作回路1125は、揮発性メモリ周辺回路であり、電界効果トランジスタからなる論理回路311を配列して構成されている。
【0245】
不揮発性メモリ部1130は、不揮発性メモリセルアレイ1131、行デコーダ1132、列デコーダ1133、センスアンプ1134および書換え電圧発生回路1135を備えている。不揮発性メモリセルアレイ1131は、電界効果トランジスタからなる不揮発性メモリ素子313を配列して構成されている。行デコーダ1132、列デコーダ1133、センスアンプ1134および書換え電圧発生回路1135は不揮発性メモリ周辺回路であり、電界効果トランジスタからなる論理回路311を配列して構成されている。
【0246】
なお、上記揮発性メモリ周辺回路および不揮発性メモリ周辺回路に含まれる回路は、上記論理回路部1110に属していても良い。
【0247】
また、図23に示した半導体装置1101では、論理回路部1110、揮発性メモリ部1120および不揮発性メモリ部1130が混載された構成としているが、揮発性メモリ部1120および不揮発性メモリ部1130みが混載されている構成であってもよい。さらには、周辺回路をも含まず、揮発性メモリセルアレイ1121および不揮発性メモリセルアレイ1131のみが混載されている構成であってもよい。このように、半導体装置1101(半導体装置301,302)では、1つの半導体チップ上に、揮発性メモリ素子312と不揮発性メモリ素子313とが混載されており、かつこれらの混載が容易となっている。
【0248】
以上より明らかなように、本実施の形態の半導体装置301,302,1101では、1つの半導体チップ上に揮発性メモリ素子と不揮発性メモリ素子とが混載されているにもかかわらず、各素子の構造は類似点が多く、なおかつそれら素子の構造は通常の電界効果トランジスタに近いものとなっている。それゆえ、通常の電界効果トランジスタを形成する工程を殆ど変えずに形成することができる。したがって、簡易なプロセスにて製造可能であり、かつ1つのチップ上に揮発性メモリ素子および不揮発性メモリ素子を備えた構成を容易に得ることができる。
【0249】
また、電界効果トランジスタからなる揮発性メモリ素子312を配列して構成された揮発性メモリセルアレイ1121は、リフレッシュ動作回路1125を有する周辺回路を備えるのが好ましい。そのような構成とすることにより、揮発性メモリセルアレイ1121に記憶された情報は、一定時間内にリフレッシュされるため、持続的に保持される。しかも、上記周辺回路を電界効果トランジスタ(論理回路311)で構成することにより、リフレッシュ動作回路1125を設けたことによりプロセスが複雑になる事態を避けることができる。
【0250】
また、電界効果トランジスタからなる不揮発性メモリ素子313を配列して構成された不揮発性メモリセルアレイ1131は、メモリセルを書き換えるための電圧発生回路を有する周辺回路を備えるのが好ましい。そのような構成とすることにより、不揮発性メモリ素子313の書換えに要する電圧が他の素子を駆動する電圧よりも大きい場合であっても、上記電圧発生回路が不揮発性メモリ素子313の書換え動作に必要な電圧を発生するので、不揮発性メモリ素子313の書き替えを容易に行なうことができる。この場合には、必要に応じて高電圧が供給される電界効果トランジスタ(不揮発性メモリ素子313)のゲート絶縁膜14の膜厚を厚くしておくのが好ましい。
【0251】
既に述べたように、本実施の形態の半導体装置1101は必ずしも論理回路部1110を含む必要はない。しかしながら、揮発性メモリ部1120および不揮発性メモリ部1130に加えて論理回路部1110が混載された場合には、LSIの動作速度の向上や製造コストの削減などの混載による効果が顕著になり、好ましい。
【0252】
また、論理回路部1110に供給される電源電圧は、不揮発性メモリ部1130に供給される電源電圧よりも低いことが好ましい。こうすることにより、不揮発性メモリ部1130では書換えのために十分な電圧を与えることにより高速動作を確保し、論理回路部1110では消費電力を抑制することができる。さらには、論理回路部1110を構成する素子の耐圧を低くすることができるため、論理回路部1110を構成する素子を微細化することができる。したがって、半導体装置1101は、高速かつ低消費電力であって、集積度の高いものとすることができる。
【0253】
また、電界効果トランジスタからなる揮発性メモリ素子312に属するウェル領域またはボディ領域は、絶縁膜上に形成されていることが好ましい。これは、図22に示すようにP型のウェル領域322がN型の半導体基板321とPN接合を持つ場合に比べて、ウェル領域またはボディ領域の静電容量を大幅に小さくすることができるからである。すなわち、ウェル領域またはボディ領域の静電容量が小さい場合、ウェル領域またはボディ領域に電荷が蓄積したときの電位の変化量が大きくなり、メモリ効果が顕著になる。特に、図21に示すように、揮発性メモリ素子312をSOI基板上に形成した場合、ボディ領域42と拡散層領域33,34との静電容量も十分に小さくすることができるので、より好ましい。
【0254】
また、電界効果トランジスタからなる不揮発性メモリ素子313は、拡散層領域35,36がゲート電極15下に存せず、オフセット構造を有しているのが好ましい。これは、オフセット構造を有する場合、ゲート電極15に電圧を印加したときの電荷保持膜(メモリ機能部25,26)下におけるオフセット領域の反転しやすさがメモリ機能部25,26に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大するからである。
【0255】
一方、電界効果トランジスタからなる論理回路311は、拡散層領域31,32がゲート電極15下に達している(オフセット構造を有しない)ことが好ましい。これにより、論理回路311の駆動電流を十分に大きくすることができ、論理回路311を高速で動作させることができる。
【0256】
また、不揮発性メモリ素子313としての電界効果トランジスタは、既に説明した通り、1つのトランジスタで2ビットの記憶情報を保持することが可能であるが、1ビットのみ記憶させて使用することも可能である。しかしながら、1つのトランジスタで2ビットの記憶情報を保持させて使用した方が不揮発性メモリ素子313の記憶容量を大きくすることができるので、好ましい。
【0257】
また、不揮発性メモリ素子として機能する電界効果トランジスタ3は、実施の形態4に記載するように、メモリ機能部261,262における電荷を保持する領域(シリコン窒化膜242)は、拡散層領域212,213とそれぞれオーバーラップするのが好ましい。このようなメモリ素子を本実施の形態の半導体記憶装置に用いれば、半導体記憶装置または半導体装置の読出し速度を十分に高速にすることができる。
【0258】
また、不揮発性メモリ素子313は、実施の形態2で述べた最良の形成を用いるのが最も好ましい。この場合には、半導体記憶装置または半導体装置の性能を最良のものにすることができる。
【0259】
〔実施の形態12〕
本実施の形態の半導体装置(半導体記憶装置)を図24に基づいて以下に説明する。図24は本実施の形態の半導体装置304の構成を示す概略の縦断面図である。なお、ここでは、前記実施の形態11(図21,図22)にて説明した構成と異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0260】
本実施の形態の半導体装置304は、1つの半導体基板上に、論理回路314、揮発性メモリ素子315および不揮発性メモリ素子316が混載されている。これら論理回路314、揮発性メモリ素子315および不揮発性メモリ素子316は電界効果トランジスタからなる。これら論理回路314、揮発性メモリ素子315および不揮発性メモリ素子316は、前記実施の形態11に示した論理回路311、揮発性メモリ素子312および不揮発性メモリ素子313と、メモリ機能部(ゲート側壁絶縁膜)の構造が異なる。
【0261】
すなわち、半導体装置304において、論理回路314のメモリ機能部331は、シリコン窒化膜51がシリコン酸化膜61,71にて挟まれた構造であり、メモリ機能部332はシリコン窒化膜52がシリコン酸化膜62,72にて挟まれた構造である。揮発性メモリ素子315のメモリ機能部333は、シリコン窒化膜53がシリコン酸化膜63,73にて挟まれた構造であり、メモリ機能部334はシリコン窒化膜54がシリコン酸化膜64,74にて挟まれた構造である。不揮発性メモリ素子316のメモリ機能部335は、シリコン窒化膜55がシリコン酸化膜65,75にて挟まれた構造であり、メモリ機能部336はシリコン窒化膜56がシリコン酸化膜66,76にて挟まれた構造である。
【0262】
電界効果トランジスタからなる不揮発性メモリ素子316では、上記のように、メモリ機能部335,336において、電荷をトラップする機能を有する第1の絶縁体からなる膜(シリコン窒化膜55,56)が、第2の絶縁体からなる膜(シリコン酸化膜65,75、シリコン酸化膜66,76)にて挟まれたサンドウィッチ構造を有するのが好ましい。
【0263】
このような構成によれば、電荷を蓄積する第1の絶縁体(シリコン窒化膜55,56)が膜状であるから、電荷の注入により短い時間で第1の絶縁体(シリコン窒化膜55,56)内の電荷密度を上げ、また、電荷密度を均一にすることができる。なお、電荷を蓄積する第1の絶縁体内の電荷分布が不均一であった場合、電荷の保持中に第1の絶縁体内を電荷が移動してメモリ素子の信頼性が低下する恐れがある。
【0264】
また、電荷を蓄積する第1の絶縁体(シリコン窒化膜55,56)は、導電体部(ゲート電極15、拡散層領域35,36、チャネル領域、半導体基板10)とは他の絶縁膜(シリコン酸化膜65,66)で隔てられているので、電荷の漏れが抑制されて十分な保持時間を得ることができる。したがって、メモリ機能部335,336が上記サンドウィッチ構造を有する場合、不揮発性メモリ素子(半導体記憶装置)316の高速書換え、信頼性の向上、十分な保持時間の確保が可能となる。
【0265】
上記の機能が得られるメモリ機能部335,336の具体的構成として特に好ましいのは、第1の絶縁体をシリコン窒化膜(シリコン窒化膜55,56)とし、第2の絶縁体をシリコン酸化膜(シリコン酸化膜65,66、シリコン酸化膜75,76)としたものである。シリコン窒化膜は、電荷をトラップする準位が多数存在するので大きなヒステリシス特性を得ることができる。シリコン酸化膜は、バンドギャップが大きく、電荷の散逸を防ぐ効果が特に大きい。また、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜は共にLSIプロセスでごく標準的に用いられる材料であるため、製造工程の面からも好ましい。
【0266】
シリコン酸化膜65、66の厚さは、3nm〜15nmであるのが好ましい。シリコン酸化膜65、66の厚さが3nm未満の場合、シリコン窒化膜55、56に蓄積された電荷が逃げやすくなり、保持特性が劣化する。シリコン酸化膜65、66の厚さが15nmを超える場合、シリコン窒化膜55、56への書込み効率が低下し、書込み時間が増大する。したがって、シリコン酸化膜65、66の厚さを3nm〜15nmとすれば、不揮発性メモリ素子316は十分な保持時間と高速な書換えが両立するので、好ましい。
【0267】
また、シリコン窒化膜55、56の厚さは、2nm〜10nmであるのが好ましい。シリコン窒化膜55、56の厚さが2nm未満の場合、シリコン窒化膜中に含まれる電荷トラップ密度が十分でなくなるため、メモリ素子の閾値変化が十分でなくなる。シリコン窒化膜55、56の厚さが10nmを超える場合には、書換え時にシリコン窒化膜中に一様に電荷を注入するのが難しく、もしくはより長い時間を要する。したがって、シリコン窒化膜55、56の厚さを2nm〜10nmとすれば、不揮発性メモリ素子316は十分な信頼性を備えるので、好ましい。
【0268】
また、不揮発性メモリ素子316は、実施の形態4(図9)において説明したように、メモリ機能部335,336が、ゲート絶縁膜14の表面と略平行に配置されている電荷保持膜を含むことが好ましい。このような不揮発性メモリ素子316を本実施の形態の半導体記憶装置または半導体装置304に用いれば、不揮発性メモリ素子316のメモリ効果のばらつきを小さくすることができるので、半導体記憶装置または半導体装置304の読出し電流ばらつきを抑えることができる。さらには、記憶保持中の不揮発性メモリ素子316の特性変化を小さくすることができるので、半導体記憶装置または半導体装置304の記憶保持特性が向上する。
【0269】
また、不揮発性メモリ素子316は、実施の形態5(図14)において説明したように、メモリ機能部335,336が、ゲート絶縁膜14の表面と略平行に配置されている電荷保持膜を含み、かつゲート電極15の側面と略並行に延びた部分を含むことが好ましい。このような不揮発性メモリ素子316を本実施の形態の半導体記憶装置または半導体装置304に用いれば、不揮発性メモリ素子316の書換え速度が増大するので、半導体記憶装置または半導体装置304の書換え動作を高速にすることができる。
【0270】
また、半導体装置304において、不揮発性メモリ素子316には、実施の形態8(図18)の不揮発性メモリ素子(不揮発性メモリ素子6A)を用いることが好ましい。すなわち、不揮発性メモリ素子316では、電荷保持膜であるシリコン窒化膜55,56(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜であるシリコン酸化膜65,66(シリコン酸化膜241)の厚さT1が、ゲート絶縁膜14(ゲート絶縁膜214)の厚さT2よりも薄く、0.8nm以上であることが好ましい。
【0271】
このような不揮発性メモリ素子316を本実施の形態の半導体記憶装置または半導体装置304に用いれば、書込み動作および消去動作の電圧を低下させ、または書込み動作および消去動作を高速にすることが可能となる。さらには、不揮発性メモリ素子316のメモリ効果が増大するので、半導体記憶装置または半導体装置304の読出し速度を高速にすることが可能となる。
【0272】
また、不揮発性メモリ素子316は、実施の形態9(図19)の不揮発性メモリ素子(不揮発性メモリ素子6B)を用いることが好ましい。すなわち、不揮発性メモリ素子316の電荷保持膜であるシリコン窒化膜55,56(シリコン窒化膜242)とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜であるシリコン酸化膜65,66(シリコン酸化膜241)の厚さT1が、ゲート絶縁膜14(ゲート絶縁膜214)の厚さT2よりも厚く、20nm以下であることが好ましい。
【0273】
このような不揮発性メモリ素子316を本実施の形態の半導体記憶装置または半導体装置304に用いれば、不揮発性メモリ素子316の短チャネル効果を悪化させることなく保持特性を改善することができる。したがって、半導体記憶装置または半導体装置304を高集積化しても十分な記憶保持性能を得ることができる。
【0274】
〔実施の形態13〕
本実施の形態の半導体装置(半導体記憶装置)を図25から図27に基づいて以下に説明する。図25は本実施の形態の半導体装置305を示す概略の縦断面である。図26および図27は本実施の形態の半導体装置305の製造工程を示す概略の縦断面図である。なお、ここでは、実施の形態12(図24)にて説明した構成と異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0275】
本実施の形態の半導体装置305は、1つの半導体基板上に、論理回路317、揮発性メモリ素子318および不揮発性メモリ素子319が混載されている。これら論理回路317、揮発性メモリ素子318および不揮発性メモリ素子319は電界効果トランジスタからなる。これら論理回路317、揮発性メモリ素子318および不揮発性メモリ素子319のうち、論理回路317および揮発性メモリ素子318は、前記実施の形態12に示した論理回路314および揮発性メモリ素子315と、メモリ機能部(ゲート側壁絶縁膜)の構造が異なる。
【0276】
すなわち、半導体装置305において、論理回路317のメモリ機能部81,82、および揮発性メモリ素子318のメモリ機能部83,84は、シリコン酸化膜のみからなる。一方、不揮発性メモリ素子319のメモリ機能部337,338は前記不揮発性メモリ素子316のメモリ機能部335,336と同様であり、メモリ機能部337はシリコン窒化膜55がシリコン酸化膜65,75にて挟まれた構造であり、メモリ機能部338はシリコン窒化膜56がシリコン酸化膜66,76にて挟まれた構造である。
【0277】
本実施の形態の半導体装置305によれば、電界効果トランジスタからなる揮発性メモリ素子318において、メモリ機能部83,84中に電荷が注入されてトランジスタ特性が変化するのを防ぐことができる。すなわち、例えば図24に示した揮発性メモリ素子315においては、「1」値を書込む際に発生したホットエレクトロンがシリコン窒化膜53,54に注入され、トランジスタの閾値が変化する恐れがある。これに対し、メモリ機能部83,84がシリコン酸化膜のみからなる揮発性メモリ素子318では、このような事態を防止することができる。したがって、揮発性メモリ素子318すなわち半導体装置305では、信頼性を向上することができる。
【0278】
次に、半導体装置305の製造工程の要部を図26および図27を用いて説明する。
【0279】
半導体装置305の製造の際には、まず、図26(a)に示すように、ゲート電極15を形成し、上記ゲート電極15をマスクとしてN型の不純物をイオン注入する。このイオン注入時、不揮発性メモリ素子319となるべき領域は、フォトレジストでマスクしておく。
【0280】
このイオン注入は、論理回路317および揮発性メモリ素子318のLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成するためのものである。したがって、このイオン注入がなされない不揮発性メモリ素子319のみオフセットさせることができる。上記工程は、図21、図22および図24に示した半導体装置301,302,304の製造においても適用することができる。
【0281】
次に、図26(b)に示すように、半導体基板10上全面に、シリコン酸化膜82とシリコン窒化膜83をこの順に積層する。シリコン酸化膜82は、0.8nm〜20nmの厚さに形成するのが好ましく、シリコン窒化膜83は、2nm〜10nmの厚さに形成するのが好ましい。
【0282】
次に、図26(c)に示すように、フォトレジスト84をパターン加工して不揮発性メモリ素子319となるべき領域をマスクし、シリコン窒化膜83を選択的に除去する。シリコン窒化膜83を除去するためには、燐酸によるウェットエッチングや、等方性エッチングの成分が大きなドライエッチングを用いればよい。
【0283】
次に、図27(a)に示すように、フォトレジスト84を除去した後にシリコン酸化膜85を全面に積層する。
【0284】
次に、図27(b)に示すように、シリコン酸化膜82,85およびシリコン窒化膜83を選択的にエッチングバックし、メモリ機能部337,338を形成する。これにより、不揮発性メモリ素子319のメモリ機能部337,338のみにシリコン窒化膜55,56を備えさせることができる。その後、ゲート電極15およびメモリ機能部337,338をマスクとしてN型の不純物をイオン注入する。このイオン注入と、その後に行なわれる熱処理により、拡散層領域31,32、33,34、35,36が形成される。
【0285】
その後、公知の方法で上部配線を形成し、半導体装置305が完成する。
【0286】
上記の手順によれば、簡易なプロセスにより、揮発性メモリ素子318としての電界効果トランジスタの信頼性を向上することができる。さらには、簡易なプロセスにより、書換え速度が高速で、十分な保持時間を持ち、高い信頼性を持つ不揮発性メモリ素子319としての電界効果トランジスタを形成することができる。
【0287】
上記の実施の形態11から13に示した半導体装置301,302,304,305は、電池駆動の携帯電子機器、特に携帯情報端末に用いることができる。携帯電子機器としては、携帯情報端末、携帯電話、ゲーム機器などが挙げられる。
【0288】
図28は、半導体装置301,302,304,305の何れかを適用した携帯電話1410の一例である。同図において、制御回路1411には、本実施の形態の半導体装置が組み込まれている。制御回路1411は、実施の形態11から13で説明したような、同一構造の素子を揮発性メモリ素子、不揮発性メモリ素子および論理回路素子として兼用した集積回路であるのが好ましい。1412は電池、1413はRF(無線周波数)回路部、1414は表示部、1415はアンテナ部、1416は信号線、1417は電源線である。
【0289】
本実施の形態の半導体装置は、揮発性メモリ素子と不揮発性メモリ素子とを1つの半導体チップ上に混載したものであり、簡易なプロセスで形成することが可能である。それゆえ、この半導体装置は高機能であって、しかも製造コストが低い。したがって、上記半導体装置を携帯電子機器に用いることにより、携帯電子機器の機能と動作速度を向上させ、製造コストを削減することが可能になる。
【0290】
【発明の効果】
以上のように、本発明の半導体記憶装置は、1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、ゲート電極と、第1および第2の拡散層領域とを備え、前記ウェル領域またはボディ領域に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成され、第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたメモリ機能部とを備え、これらメモリ機能部が電荷保持機能を有し、前記メモリ機能部に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成されている構成である。
【0291】
また、本発明の半導体記憶装置は、1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、このウェル領域またはボディ領域に対する積層方向位置に設けられたゲート電極と、前記ウェル領域またはボディ領域のゲート長方向におけるゲート電極の両側位置に設けられた各1つの第1および第2の拡散層領域とを備え、第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜の下における第1および第2の拡散層領域の間に形成されるチャネル領域と、ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成された電荷保持機能を有するメモリ機能部とを備えている構成である。
【0292】
上記構成によれば、第1および第2の電界効果トランジスタは、外部キャパシタンスやフローティングゲートなど、形成するのに特別なプロセスを要する構造を有していないので、通常の電界効果トランジスタを形成するプロセスに非常に近いプロセスにより形成することができる。したがって、簡易なプロセスにより製造可能な、1つのチップ上に揮発性メモリおよび不揮発性メモリを備えた半導体記憶装置を提供することができる。
【0293】
本発明の半導体装置は、前記の半導体記憶装置を含むとともに、前記半導体チップ上に、各1個の第1および第2の拡散層領域とゲート電極とを備え、論理回路部として機能する複数の第3の電界効果トランジスタが形成されている構成である。
【0294】
上記の構成によれば、論理回路部として機能する複数の第3の電界効果トランジスタをさらに備えているので、1つの半導体チップ上に揮発性メモリ、不揮発性メモリおよび論理回路とが混載された状態となっている。このように論理回路も混載された場合、揮発性メモリおよび不揮発性メモリのみが混載された場合に比べて、LSIの動作速度の向上や製造コストの削減などの混載による効果が顕著となる。
【0295】
上記の半導体記憶装置は、前記半導体チップ上に、第1および第2の電界効果トランジスタがそれぞれ複数個形成され、これら第1および第2の電界効果トランジスタはそれぞれ配列されて第1および第2のメモリセルアレイを構成し、前記半導体チップ上に、第1のメモリセルアレイを構成するメモリセルのリフレッシュ動作を行なう第1のメモリ周辺回路と、第2のメモリセルアレイを構成するメモリセルの書換え動作のための電圧発生回路を有する第2のメモリ周辺回路とが設けられ、これら第1および第2のメモリ周辺回路は、各1個の第1および第2の拡散層領域とゲート電極とを備えた複数個の第3の電界効果トランジスタを備えている構成としてもよい。
【0296】
上記構成によれば、第1および第2の電界効果トランジスタをそれぞれ配列して上記第1および第2のメモリセルアレイが構成され、第1のメモリセルアレイにはリフレッシュ動作を行なう回路を含む第1のメモリ周辺回路が備えられ、第2のメモリセルアレイには書換え動作のための電圧発生回路を有する第2のメモリ周辺回路が備えられている。したがって、第1のメモリセルアレイに記憶された情報は、第1のメモリ周辺回路により一定時間内にリフレッシュすることができるため、持続的に記憶を保持することが可能となる。
【0297】
しかも、第1のメモリ周辺回路を第3の電界効果トランジスタで構成することにより、リフレッシュ動作回路(第1のメモリ周辺回路)を設けたことによりプロセスが複雑になる事態を避けることができる。
【0298】
さらには、電圧発生回路を有する第2のメモリ周辺回路を備えるので、第2の電界効果トランジスタの電荷保持部に保持される電荷量を変化させるために要する電圧が、第1の電界効果トランジスタを駆動する電圧よりも大きい場合であっても、その電圧を電圧発生回路(第2のメモリ周辺回路)にて発生させ、第2のメモリセルの書換え動作を行なうことができる。
【0299】
本発明の半導体装置は、上記の半導体記憶装置を含むとともに、第3の電界効果トランジスタにより構成された論理回路部をさらに備えていることを特徴としている。
【0300】
上記構成によれば、論理回路部を構成する第3の電界効果トランジスタをさらに備えているので、1つの半導体チップ上に揮発性メモリ、不揮発性メモリおよび論理回路とが混載された状態となっている。このように論理回路も混載された場合、揮発性メモリおよび不揮発性メモリのみが混載された場合に比べて、LSIの動作速度の向上や製造コストの削減などの混載による効果が顕著となる。
【0301】
本発明の半導体記憶装置に製造方法は、1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたゲート側壁絶縁膜と、第1および第2の拡散層領域とを備え、これらゲート側壁絶縁膜は電荷保持機能を有しておらず、前記ウェル領域またはボディ領域に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成され、第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたメモリ機能部とを備え、これらメモリ機能部が電荷保持機能を有し、前記メモリ機能部に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成されている半導体記憶装置の製造方法であって、前記ゲート電極を形成するステップと、電荷保持機能を有する膜を前記ウェル領域またはボディ領域上、および前記ゲート電極上を含む全面に形成するステップと、第1の電界効果トランジスタにおけるゲート電極近傍の電荷保持機能を有する膜を除去するステップとを含んでいる構成である。
【0302】
上記の構成によれば、簡易なプロセスにより、高い信頼性を有する、揮発性メモリ素子として機能する第1の電界効果トランジスタを形成することができる。また、簡易なプロセスにより、書換え速度が高速で、十分な保持時間を持ち、高い信頼性を有する、不揮発性メモリ素子として機能する第2の電界効果トランジスタを形成することができる。
【0303】
本発明の携帯電子機器は、上記の何れかの半導体記憶装置または半導体装置を備えている構成である。
【0304】
上記の構成によれば、簡易なプロセスにて形成可能な素子、例えばLSIを混載した構成となるので、携帯電子機器の機能と動作速度を向上させ、製造コストを削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態における半導体記憶装置または半導体装置を構成する揮発性メモリ素子の書込み動作を説明する概略の縦断面図である。
【図2】図1に示した揮発性メモリ素子の消去動作を説明する概略の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態における半導体記憶装置または半導体装置を構成する不揮発性メモリ素子を示すものであって、第2のメモリ機能部への書込み動作を説明する概略の縦断面図である。
【図4】図3に示した不揮発性メモリ素子における第1のメモリ機能部への書込み動作を説明する概略の縦断面図である。
【図5】図3に示した不揮発性メモリ素子における第1の消去動作を説明する概略の縦断面図である。
【図6】図3に示した不揮発性メモリ素子における第2の消去動作を説明する概略の縦断面図である。
【図7】本発明の実施のさらに他の形態における半導体記憶装置または半導体装置を構成する不揮発性メモリ素子を示す概略の縦断面図である。
【図8】本発明の実施のさらに他の形態における半導体記憶装置または半導体装置を構成する不揮発性メモリ素子を示す概略の縦断面図である。
【図9】本発明の実施のさらに他の形態における半導体記憶装置または半導体装置を構成する不揮発性メモリ素子を示す概略の縦断面図である。
【図10】図9に示した不揮発性メモリ素子における要部の拡大断面図である。
【図11】図9に示した不揮発性メモリ素子の他の例を示す要部の拡大断面図である。
【図12】図9に示した不揮発性メモリ素子における、図10に示したオフセット量W1とドレイン電流Idとの関係を示すグラフである。
【図13】図9に示した不揮発性メモリ素子のさらに他の例を示す要部の拡大断面図である。
【図14】図9に示した不揮発性メモリ素子のメモリ機能部に生じる電気力線を示す説明図である。
【図15】図9に示した不揮発性メモリ素子のチャネル長方向におけるゲート電極寸法、メモリ機能部の外端間距離、および拡散層領域間距離の最適関係を説明する不揮発性メモリ素子の概略の縦断面図である。
【図16】図9に示した不揮発性メモリ素子において半導体基板に代えてSOI基板を使用した例を示す概略の縦断面図である。
【図17】図9に示した不揮発性メモリ素子のさらに他の例を示す概略の縦断面図である。
【図18】図9に示した不揮発性メモリ素子において、電荷保持膜とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さT1をゲート絶縁膜の厚さT2よりも薄くした場合を示す概略の縦断面図である。
【図19】図9に示した不揮発性メモリ素子において、電荷保持膜とチャネル領域またはウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さT1をゲート絶縁膜の厚さT2よりも厚くした場合を示す概略の縦断面図である。
【図20】本発明の実施の形態におけるNチャネル型不揮発性メモリ素子のメモリ機能部2中の電荷量が変化したときの、ドレイン電流(Id)対ゲート電圧(Vg)の特性(実測値)を示すグラフである。
【図21】本発明の実施の一形態における半導体記憶装置または半導体装置を示す概略の縦断面図である。
【図22】図21に示した半導体記憶装置または半導体装置の他の例を示す概略の縦断面図である。
【図23】本発明の実施の一形態における半導体記憶装置または半導体装置を示すブロック図である。
【図24】本発明の実施の他の形態における半導体記憶装置または半導体装置を示す概略の縦断面図である。
【図25】本発明の実施のさらに他の形態における半導体記憶装置または半導体装置を示す概略の縦断面図である。
【図26】図26(a)は、図25に示した半導体記憶装置または半導体装置の製造工程を示すものであって、ゲート電極の形成工程および半導体基板へのN型の不純物のイオン注入工程を示す縦断面図、図26(b)は、同製造工程における半導体基板上へのシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜の積層工程を示す縦断面図、図26(c)は、上記シリコン窒化膜のエッチング工程を示す縦断面図である。
【図27】図27(a)は、図26(c)に続く半導体記憶装置または半導体装置の製造工程を示すものであって、シリコン酸化膜の形成工程を示す縦断面図、図27(b)は、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜のエッチングによるメモリ機能部の形成工程を示す縦断面図である。
【図28】図21、図22、図24または図25に示した半導体装置の何れかを適用した携帯電話の一例を示すブロック図である。
【図29】従来技術であるフラッシュメモリの電気特性を示すグラフである。
【図30】図3に示した半導体記憶装置の他の例を示す要部の概略断面図である。
【符号の説明】
1,312,315,318 揮発性メモリ素子
3,4,5,6,6A,6B 313,316,319 不揮発性メモリ素子
10,101,211 半導体基板
14,103,214 ゲート絶縁膜
15,104,217 ゲート電極
21,22,23,24 ゲート側壁絶縁膜
25,26,81,82,83,84,105a,105b,261,262 メモリ機能部
31,32,33,34,35,36,212,213 拡散層領域
41,42,43 ボディ領域
51,55,56,113,242 シリコン窒化膜
61,65,66,71,111,112,241,243 シリコン酸化膜
92 正孔
120,271 オフセット領域
121 ゲート電極下領域
281,283 電気力線
285 SOI基板
291 P型高濃度領域
301,302,304,305 半導体装置
311,314,317 論理回路
320 バルク基板

Claims (20)

  1. 1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、
    第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、ゲート電極と、第1および第2の拡散層領域とを備え、前記ウェル領域またはボディ領域に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成され、
    第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたメモリ機能部とを備え、これらメモリ機能部が電荷保持機能を有し、前記メモリ機能部に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成されていることを特徴とする半導体記憶装置。
  2. 前記半導体チップ上に、第1および第2の電界効果トランジスタがそれぞれ複数個形成され、これら第1および第2の電界効果トランジスタはそれぞれ配列されて第1および第2のメモリセルアレイを構成し、
    前記半導体チップ上に、第1のメモリセルアレイを構成するメモリセルのリフレッシュ動作を行なう第1のメモリ周辺回路と、第2のメモリセルアレイを構成するメモリセルの書換え動作のための電圧発生回路を有する第2のメモリ周辺回路とが設けられ、
    これら第1および第2のメモリ周辺回路は、各1個の第1および第2の拡散層領域とゲート電極とを備えた複数個の第3の電界効果トランジスタを備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
  3. 第2の電界効果トランジスタにおける第1および第2の拡散層領域は、それぞれ、半導体チップにおけるゲート電極の積層方向において、ゲート電極と重合しないように、ゲート長方向におけるゲート電極の外方へずれた位置に形成されており、
    第3の電界効果トランジスタにおける第1および第2の拡散層領域は、それぞれ、半導体チップにおけるゲート電極の積層方向において、ゲート電極と重合するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体記憶装置。
  4. 第2の電界効果トランジスタにおける2つのメモリ機能部が保持する電荷量をそれぞれ独立に制御し、1個の第2の電界効果トランジスタに4値以上の記憶情報を保持させることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
  5. 第1の電界効果トランジスタのウェル領域またはボディ領域は、絶縁膜上に形成されており、隣接する他の電界効果トランジスタのウェル領域またはボディ領域とは、前記絶縁膜および前記ウェル領域またはボディ領域に設けられた素子分離領域により電気的に分離されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
  6. 前記の各電界効果トランジスタは、SOI基板上に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体記憶装置。
  7. 第2の電界効果トランジスタにおける前記メモリ機能部は、第1の絶縁膜、第2の絶縁膜および第3の絶縁膜からなり、電荷を蓄積する機能を有する第1の絶縁膜が、電荷の散逸を防ぐ機能を有する第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とにより挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
  8. 前記ゲート電極の下にはゲート絶縁膜が形成され、前記メモリ機能部の第1の絶縁膜には、第2の絶縁膜を介して前記ゲート絶縁膜の表面と平行な面と対向し、この面に沿って広がった面を有する部分が含まれていることを特徴とする請求項7に記載の半導体記憶装置。
  9. 前記メモリ機能部の第1の絶縁膜には、第2の絶縁膜を介して前記ゲート電極の側面と対向し、この側面に沿って広がった部分が含まれていることを特徴とする請求項8に記載の半導体記憶装置。
  10. 第2の電界効果トランジスタにおける前記ゲート電極はゲート絶縁膜を介してウェル領域またはボディ領域上に形成され、前記メモリ機能部の第1の絶縁膜は第2の絶縁膜により前記ウェル領域またはボディ領域と隔てられ、第2の絶縁膜の膜厚は、ゲート絶縁膜の膜厚より薄く、かつ0.8nm以上であることを特徴とする請求項7に記載の半導体記憶装置。
  11. 第2の電界効果トランジスタにおける前記ゲート電極はゲート絶縁膜を介してウェル領域またはボディ領域上に形成され、前記メモリ機能部の第1の絶縁膜は第2の絶縁膜により前記ウェル領域またはボディ領域と隔てられ、第2の絶縁膜の膜厚は、ゲート絶縁膜の膜厚より厚く、かつ20nm以下であることを特徴とする請求項7に記載の半導体記憶装置。
  12. 第1の絶縁膜はシリコン窒化膜であり、第2および第3の絶縁体はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項7に記載の半導体記憶装置。
  13. 第1の電界効果トランジスタは、前記ゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部にゲート側壁絶縁膜が形成されており、このゲート側壁絶縁膜は電荷保持機能を有していないことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
  14. 請求項1に記載の半導体記憶装置を含むとともに、前記半導体チップ上に、各1個の第1および第2の拡散層領域とゲート電極とを備え、論理回路部として機能する複数の第3の電界効果トランジスタが形成されていることを特徴とする半導体装置。
  15. 第2の電界効果トランジスタにおける第1および第2の拡散層領域は、それぞれ、半導体チップにおけるゲート電極の積層方向において、ゲート電極と重合しないように、ゲート長方向におけるゲート電極の外方へずれた位置に形成されており、
    第3の電界効果トランジスタにおける第1および第2の拡散層領域は、それぞれ、半導体チップにおけるゲート電極の積層方向において、ゲート電極と重合するように形成されていることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
  16. 請求項2に記載の半導体記憶装置を含むとともに、第3の電界効果トランジスタにより構成された論理回路部をさらに備えていることを特徴とする半導体装置。
  17. 前記論理回路部に供給される電源電圧が、第2のメモリセルアレイおよび第2のメモリ周辺回路に供給される電源電圧よりも低くなっていることを特徴とする請求項16に記載の半導体装置。
  18. 1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、
    第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、このウェル領域またはボディ領域に対する積層方向位置に設けられたゲート電極と、前記ウェル領域またはボディ領域のゲート長方向におけるゲート電極の両側位置に設けられた各1つの第1および第2の拡散層領域とを備え、
    第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜の下における第1および第2の拡散層領域の間に形成されるチャネル領域と、ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成された電荷保持機能を有するメモリ機能部とを備えていることを特徴とする半導体記憶装置。
  19. 1つの半導体チップ上に第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとが形成され、
    第1の電界効果トランジスタは、ウェル領域またはボディ領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたゲート側壁絶縁膜と、第1および第2の拡散層領域とを備え、これらゲート側壁絶縁膜は電荷保持機能を有しておらず、前記ウェル領域またはボディ領域に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成され、
    第2の電界効果トランジスタは、第1および第2の拡散層領域と、ゲート電極と、このゲート電極におけるゲート長方向の両側壁部に形成されたメモリ機能部とを備え、これらメモリ機能部が電荷保持機能を有し、前記メモリ機能部に保持された電荷の多寡により、ゲート電極に電圧を印加した際の第1の拡散層領域から第2の拡散層領域に流れる電流量を変化させるように構成されている半導体記憶装置の製造方法であって、
    前記ゲート電極を形成するステップと、
    電荷保持機能を有する膜を前記ウェル領域またはボディ領域上、および前記ゲート電極上を含む全面に形成するステップと、
    第1の電界効果トランジスタにおけるゲート電極近傍の電荷保持機能を有する膜を除去するステップとを含んでいることを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
  20. 請求項1から18の何れか1項に記載の半導体記憶装置または半導体装置を備えていることを特徴とする携帯電子機器。
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