JP2004342575A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 正極活物質として単体硫黄(S)を用いたリチウム二次電池において、充放電容量が高く、かつ充放電特性に優れたリチウム二次電池を得る。
【解決手段】 20質量%以上、好ましくは50質量%以上の単体硫黄を活物質として含み、非水電解質が融点60℃以下の室温溶融塩(好ましくは、第4級アンモニウム塩)を含むことを特徴としており、単体硫黄としては、ゴム状硫黄などの無定形硫黄が好ましく、バインダーとしてはポリイミドが好ましく用いられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二次電池に係り、特に単体硫黄を活物質として含む正極を用いた二次電池に関する。
近年、高エネルギー密度の二次電池として、非水電解質を使用し、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにした非水電解質二次電池の研究が盛んに行われている。
小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用電子・通信機器等に用いられる電池として、イオン伝導媒体としてリチウムイオンを用いたものが実用化されている。これらは、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な合金もしくは炭素材料などを負極活物質とし、層状のコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、あるいはスピネル型のマンガン酸リチウム(LiMn24)等のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質材料とするとともに、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートなどの有機溶媒にLiBF4やLiPF6等のリチウム塩からなる電解質を溶解させたものを用いたリチウムイオン電池で代表されるものであり、これらの非水電解質電池は、小型軽量でかつ高容量で充放電可能な電池として広く用いられるようになっている。
従来、理論容量が大きな正極材料として硫黄が知られているが、単体硫黄を用いた場合、リチウムと可逆的に反応させるためには、非常に高い温度にしなければならず、一般の非水電解質二次電池として使用することができないという問題があった。
このため、近年、高容量で高エネルギー密度を得ることができる正極の材料として、DMcT(2,5−ジメルカプトー1,3,4−チアジアゾール)等の有機ジスルフィド化合物を用いることが提案されている。しかしながら、このような有機ジルスフィド化合物を用いた場合においても、60℃以上の高温でしかリチウムと可逆的に反応することができず、通常の非水電解質二次電池として使用することは困難であった。
また近年、安全性と、容量の増大を企図して、電解酸化により硫黄(S)−硫黄結合を生成する硫黄−リチウムイオン結合を有するリチウムチオレート化合物を主体とする正極活物質を用いた電池も提案されている(特許文献1参照)。
そしてこの非水電解質電池では、溶解性であるリチウムチオレート化合物を正極に固定するために、常温で固体あるいは固形状であるリチウムイオン伝導性電解質を用いている。
一方、DMcT等の有機ジスルフィド化合物をポリアニリンなどの導電性高分子と複合させた正極材料を用いて、常温で充放電反応を行うことができるようにしたものが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、前記特許文献2の場合、正極材料に有機ジスルフィド化合物など、化合物を用いているため充放電反応に関与する部分はジスルフィド結合の部分であり、それ以外の炭素や水素などの部分は反応に寄与しないため、単位質量あたりの容量をさらに高めることは困難であった。
この問題は、上述したような硫黄化合物を用いた場合にはいずれの場合にも生じることになり、高容量化には限界があった。
このため非水電解質二次電池としては、更なる高容量化が求められている。
特開平4−267093号公報 特開平8−115724号公報
このように硫黄化合物を活物質として用いた正極を具備した非水電解質二次電池も提案されているものの、容量の増大には限界があり、さらなる容量の増大を求められていた。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、常温で充放電可能で、エネルギー密度の高い二次電池を提供することを目的とする。
そこで、本発明の二次電池は、正極に、20質量%以上の単体硫黄(S)を活物質として含むとともに、非水電解質が融点60℃以下の室温溶融塩を含むようにしたことを特徴とする。
本発明者らは種々の実験の結果、非水電解質に融点60℃以下の室温溶融塩を含むものを用いることにより、単体硫黄を用いた場合にも、常温で充放電が可能となり、エネルギー密度の増大をはかることができることを発見した。本発明は、この結果に着目してなされたもので、20質量%以上の単体硫黄(S)を活物質として含む正極を用いることにより、有機ジスルフィド化合物などの硫黄化合物を用いる場合に比べて大幅に充放電に寄与する硫黄原子の含有率を向上することができ、活物質の利用効率を向上することができ、その結果容量の増大をはかることができる。
ここで単体硫黄を、20質量%以上とすることにより、充放電に寄与する硫黄原子の量を増大することができ、エネルギー密度の高い二次電池を提供することが可能となる。
また、単体硫黄は絶縁体であるため、導電性材料を添加する必要がある。そこで活物質に、炭素などの導電剤を添加して、導電性を向上するようにしている。ここでこの導電剤の添加量が少ないと正極における導電性を十分に向上させることが出来ず、単体硫黄の利用率が低下する。一方添加量が多くなりすぎると、正極における単体硫黄の割合が少なくなって高い容量を得ることができなくなる。このように、単体硫黄の割合を適切に選択することにより単位体積あたりの容量を高めることができる。
ここでは、単体硫黄の量が電極(活物質層)全体の20質量%以上であるのが望ましい。またさらに望ましくは50質量%以上であり、さらに望ましくは50〜70質量%である。
また炭素材料を正極全体の5〜80質量%とするのが望ましい。
さらにまた、炭素材料は正極全体の5〜50質量%、より好ましくは5〜20
質量%とするのが望ましい。ここで上記単体硫黄の望ましい質量%は正極全体に対する質量%で示したが、正極が集電体を具備した場合には、集電体を除く正極質量の割合をいうものとする。
また、正極において、バインダーは、全体の0.1〜30質量%含まれていることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。バインダーの量が少なすぎると、活物質である単体硫黄及び導電剤である炭素材料を正極に保持することができず、電池特性が悪くなる。また、バインダーの量が多すぎると、正極に含まれる硫黄の割合が少なくなるため、高い容量が得られなくなる。
上記組成の正極を用いることにより、容量密度の向上をはかることができるが、正極を電解液に浸漬して、真空含液させるようにすれば、容量密度をさらに高めることができる。
硫黄には、結晶性である斜方晶系硫黄及び単斜晶系硫黄、並びに無定形であるゴム状硫黄及び鎖状硫黄が知られている。一般に市販されている硫黄粉末は、斜方晶系硫黄に近いものである。結晶性硫黄の方が、無定形硫黄よりも密度が大きいため、エネルギー密度も高いと考えられる。しかしながら、本発明者は、無定形硫黄の方が、粘性があるため、結晶性の硫黄よりも導電剤をその表面にコーティングしやすく、このため、結晶性硫黄よりも高い放電容量が得られることを見出している。無定形硫黄と導電剤をボールミルなどで粉砕混合することにより、良好な導電性を有する正極材料とすることができる。
本発明において、バインダーとしては、リチウム二次電池の電極作製に用いることができるバインダーであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニリデンのようなフッ素系樹脂のバインダーが挙げられる。特に好ましいバインダーとしては、ポリイミドが挙げられる。ポリイミドをバインダーとして用いることにより、サイクル特性及び充放電効率を向上させることができる。
ポリイミドは、イミド基(−CO−NR−CO−)を有するポリマーの総称である。ポリイミドには、熱硬化性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドがあり、活物質、導電剤、及び集電体金属に対する結着性が優れたものであれば、いずれを用いてもよい。また、熱硬化性ポリイミドとしては、縮合型ポリイミド及び付加型ポリイミドのいずれを用いてもよい。
縮合型ポリイミドの代表的な具体例としては、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液を加熱することにより、以下の(化1)に示す脱水縮合反応により得られるポリイミド樹脂が挙げられる。
Figure 2004342575
また、付加型ポリイミドの代表的な具体例としては、無水マレイン酸とジアミンとから合成したビスマレイミドと芳香族ジアミンとを加熱することにより、以下の(化2)に示す付加反応により得られるポリイミド樹脂が挙げられる。
Figure 2004342575
熱硬化性ポリイミドを用いる場合には、イミド化率が80%以上のものが好ましい。ポリイミドのイミド化率が80%未満であると、活物質粒子及び集電体との密着性が良好でなくなる場合がある。ここで、イミド化率とは、ポリイミド前駆体に対する生成したポリイミドのモル%である。
また、硫黄の沸点が450℃であるため、それ以下の温度で熱処理できるポリイミドが好ましい。さらに、熱処理の必要のない予め縮合されたポリイミドを用いることがより好ましい。
また、融点が60℃以下の室温溶融塩を用いているため、単体硫黄を20質量%以上含む正極を用いても、充放電が容易となる。このような融点が60℃以下の室温溶融塩に、リチウム塩等を添加した場合、その融点は2種の塩単独で用いる場合よりも低下すると考えられ、液体状態を保つことができる。また、融点が60℃以下の室温溶融塩は、室温でイオンのみからなる液体であり、蒸気圧が0で難燃性であるため、過充電などの異常な操作時においても分解したり、燃えたりすることがない。従って、保護回路などを設けなくても安全に使用できるようになる。
なお、この室温溶融塩としては、広い温度範囲で液体であることが必要であり、一般には−20℃〜60℃の範囲で液体であれば使用することができる。また、導電率が10-4S/cm以上であることが望ましい。
さらに、前記非水電解質は、単体硫黄の還元生成物を含むようにすることにより、正極からの硫黄の流出を防ぐことができ、充放電容量密度を高めることが可能となる。
なお、前記融点60℃以下の室温溶融塩中で前記単体硫黄を還元させることにより、確実に単体硫黄の還元生成物が得られ、充放電容量密度をより確実に高めることができる。単体硫黄の還元生成物としては、例えば、リチウムポリサルファイドが挙げられる。
さらに、前記非水電解質は、環状エーテル、鎖状エーテル、及びフッ素化されたカーボネートから選ばれる一種類以上の溶媒をさらに含むことにより、電解液の粘度が下がり、正極への含液がなされやすい状態となり、より単体硫黄の利用効率を高めることができる。
本発明においては、特に常温溶融塩とエーテルを混合することが好ましい。常温溶融塩にエーテルを混合することにより、電解質の粘度を低下させることができ、電解質を電極内部へ含浸しやすくなる。エーテルと常温溶融塩の混合割合は、体積比(エーテル:常温溶融塩)で0.1:99.9〜40:60の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.1:99.9〜30:70の範囲であり、特に好ましくは1:99〜25:75の範囲内である。エーテルの割合が多くなると、サイクル特性が低下したり、充放電効率が低くなる傾向にある。また、エーテルの混合割合が少ないと、サイクル特性及び充放電効率は良くなるが、電解質が電極内部に含浸しにくくなるので、硫黄の利用率が低くなる傾向にある。
また、前記融点60℃以下の室温溶融塩としては、第4級アンモニウム塩を用いることにより、耐還元性が向上するため、長寿命化をはかることができる。
第4級アンモニウム塩としては、トリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C37)N-(SO2CF32)、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C817)N-(SO2CF32)、トリメチルアリルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(Allyl)N-(SO2CF32)、トリメチルヘキシルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C613)N-(SO2CF32)、トリメチルエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH33+(C25)(CF3CO)N-(SO2CF3))、トリメチルアリルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH33+(Allyl)(CF3CO)N-(SO2CF3))、トリメチルプロピルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((CH33+(C37)(CF3CO)N-(SO2CF3))、テトラエチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C254+(CF3CO)N-(SO2CF3))、トリエチルメチルアンモニウム・2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミド((C253+(CH3)(CF3CO)N-(SO2CF3))から選択される少なくとも1種を含むようにするのが望ましい。
第4級アンモニウム塩は、イミダゾリウム塩、ピラゾリウム塩などのその他の常温溶融塩に比べると、耐還元性が優れており、またリチウム金属と反応しないことが知られている。このため、イミダゾリウム塩、ピラゾリウム塩などの常温溶融塩は、耐還元性が低く、リチウム金属と反応するため、リチウムイオン電池の電解液として用いるには好ましくないと考えられる。
環状エーテルとしては、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテルから選択される少なくとも1種であるのが望ましい。
鎖状エーテルとしては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1種であるのが望ましい。
フッ素化されたカーボネートとしては、トリフルオロプロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートから選択される少なくとも1種であるのが望ましい。
また、電解質としては、リチウム塩など、通例の非水電解質二次電池において、電解質(溶質)として一般に使用されているものを用いることができ、例えば、LiBF4,LiPF6,LiCF3SO3,LiC49SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiN(CF3SO2)(COCF3)、LiAsF6、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムから選択される少なくとも1種を用いることができる。ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムは、以下の(化3)に示す構造式を有している。
Figure 2004342575
加えて、前記負極材料としては、通例の非水電解質二次電池において一般に使用されているリチウム等を吸蔵・放出する材料を用いることができ、リチウム金属、リチウム合金や、黒鉛などの炭素材料を使用することができるが、高いエネルギー密度の非水電解質二次電池を得るためには、容量の大きなケイ素材料を用いるのが望ましい。特に、本出願人が出願している国際公開第01/029912号パンフレットに記載されたケイ素負極が好ましく用いられる。具体的には、集電体上のケイ素薄膜が厚み方向の切れ目によって柱状に分離されたケイ素負極、集電体成分が薄膜内部に拡散したケイ素負極、表面が粗面化された集電体の上にCVD法またはスパッタリング法などにより形成されたケイ素負極などが挙げられる。
なおリチウム電池として用いる場合には、充放電反応に関与するリチウムを上記の正極と負極のいずれかに保持させるようにするのが望ましい。
以上説明してきたように、本発明の二次電池によれば、20質量%以上の単体硫黄を含有する正極を用い、融点60℃以下の室温溶融塩を含む電解質を用いているため、電極あたりの充放電容量を増大することができ、より大きなエネルギー密度を得ることが可能となる。
また、単体硫黄として、ゴム状硫黄などの無定形硫黄を用いることにより、正極活物質の利用率を高め、さらに充放電容量を向上させることができる。
また、バインダーとしてポリイミドを用いることにより、サイクル特性及び充放電効率をさらに向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
<実験1>
以下の実施例の二次電池は、正極に、単体硫黄(S)を活物質として含むとともに、非水電解質が融点60℃以下の室温溶融塩を含むようにしたことを特徴とするものである。
(実施例1)
1.非水電解質の調製
室温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C37)N-(SO2CF32)に、リチウム塩としてLiN(SO2CF32を0.3モル/リットルの濃度になるように溶解させて非水電解質を作製した。
2.正極の作製
活物質として単体硫黄(市販品硫黄粉末)を20質量%、導電剤としてアセチレンブラック70質量%、結着剤としてポリテトラフロオロエチレンを10質量%の割合で混合したものを合剤とし、これを混練し、乳鉢で30分間粉砕した後、これを成形器に入れ、150kg/cm2の圧力で5秒間プレスして直径が10.3mmの円板状に成形し、これをアルミニウム製の網で包み、これを正極(作用極)とした。
3.負極、参照極の作製
リチウム金属板を所定の大きさにカットし、リチウム金属からなる負極(対極)および参照極とした。
4.試験セルの組み立て
上述のようにして作製した正極にリードを取り付け、正極11とし、上述のようにして作製された負極にリードを取り付け、負極12とし、上述のようにして作製された参照極13とともに、上記非水電解質14を試験セル容器10内に注液して図1に示すような試験セルを形成した。
5.試験
上述のようにして作製した試験セルを、室温で放電電流0.13mA/cm2の定電流で参照極13に対する正極11の電位が1.0V(vs.Li/Li+)になるまで放電を行った後、放電電流0.13mA/cm2の定電流で参照極13に対する正極11の電位が2.7V(vs.Li/Li+)になるまで充電を行って、初期の充放電特性を調べ、その結果を図2に示した。なお放電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す放電曲線を実線aで、充電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す充電曲線を破線bで示した。
この結果、実施例1の試験セルにおいては初期における単体硫黄1gあたりの放電容量密度は約654mAh/gであり、理論容量密度の1675mAh/gより低くなっていたが、一般に正極に用いられているLiCoO2に比べると、放電容量密度が著しく高くなっていた。また初期における単体硫黄1g当たりの充電容量密度の623mAh/gと、大きな値を示し、単体硫黄が可逆的に反応することもわかった。
さらに、この実施例1の試験セルにおいて放電電流0.13mA/cm2で放電終止電位1.0V(vs.Li/Li+)になるまで放電を行った後、充電電流0.13mA/cm2で充電終止電位2.7V(vs.Li/Li+)になるまで充電を行う操作を繰り返して行い、各サイクルにおける充電容量Qa(mAh/g)と放電容量Qb(mAh/g)とを測定すると共に、下記の式により各サイクルにおける充放電効率(%)を求め、図3において、各サイクルにおける放電容量(mAh/g)を○と実線で示すと共に、各サイクルにおける充放電効率(%)を□と実線とで示した。
充放電効率=(Qb/Qa)×100
この結果、実施例1の試験セルにおいては、3サイクル目以降の放電容量が約490mAh/gになって一定しており、充放電効率も約100%で安定していた。
(実施例2)
次に本発明の実施例2について説明する。
この例では、非水電解質として1,3−ジオキソランとトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドとを体積比=10:90で混合したものを用いたことを特徴とするもので、これに濃度0.5モル/リットルとなるようにリチウム塩を添加している。以下に詳述する。
1.非水電解質の調製
1、3−ジオキソランと室温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C37)N-(SO2CF32)とを体積比10:90で混合したものに、リチウム塩としてLiN(SO2CF32を0.5モル/リットルの濃度になるように溶解させて非水電解質を作製した。
2.正極の作製
3.負極、参照極の作製
4.試験セルの組み立て
正極、負極および参照極については実施例1と同様に形成し、同様にして試験セルを作製した。
5.試験
上述のようにして作製した試験セルを、室温で放電電流0.13mA/cm2で参照極13に対する正極11の電位が1.0V(vs.Li/Li+)になるまで放電を行った後、放電電流0.13mA/cm2で3.0V(vs.Li/Li+)になるまで充電を行って、初期の充放電特性を調べ、その結果を図4に示した。なお放電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す放電曲線を実線aで、充電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す充電曲線を破線bで示した。
この結果、実施例2の試験セルにおいては初期における単体硫黄1gあたりの放電容量密度は約1341mAh/gであり、理論容量密度の1675mAh/gより低くなっていたが、一般に正極に用いられているLiCoO2に比べると、放電容量密度が著しく高くなっていた。また初期における単体硫黄1g当たりの充電容量密度の1171mAh/gと、大きな値を示し、単体硫黄が可逆的に反応することもわかった。
(実施例3)
次に本発明の実施例3について説明する。
この例では、非水電解質における室温溶融塩と1、3−ジオキソランの混合比を代えたもので、1、3−ジオキソランとトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドとを体積比=10:90で混合していたものに代えて25:75で混合したものに、濃度0.5モル/リットルとなるようにリチウム塩を添加している。以下に詳述する。
1.非水電解質の調製
1、3−ジオキソランと室温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C37)N-(SO2CF32)とを体積比25:75で混合したものに、リチウム塩としてLiN(SO2CF32を0.5モル/リットルの濃度になるように溶解させて非水電解質を作製した。
2.正極の作製
3.負極、参照極の作製
4.試験セルの組み立て
正極、負極および参照極については実施例1と同様に形成し、同様にして試験セルを作製した。
5.試験
上述のようにして作製した試験セルを、室温で放電電流0.13mA/cm2で参照極13に対する正極11の電位が1.0V(vs.Li/Li+)になるまで放電を行った後、放電電流0.13mA/cm2で3.0V(vs.Li/Li+)になるまで充電を行って、初期の充放電特性を調べ、その結果を図5に示した。なお放電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す放電曲線を実線aで、充電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す充電曲線を破線bで示した。
この結果、実施例1の試験セルにおいては初期における単体硫黄1gあたりの放電容量密度は約2290mAh/gであり、一般に正極に用いられているLiCoO2に比べると、放電容量密度が著しく高くなっていた。また初期における単体硫黄1g当たりの充電容量密度の1650mAh/gと、大きな値を示し、単体硫黄が可逆的に反応することもわかった。
(実施例4)
次に本発明の実施例4について説明する。
この例では、正極の単体硫黄の含有量を50質量%と多くしたことを特徴とするもので、非水電解質における室温溶融塩の混合比を実施例2と同様にし、1、3−ジオキソランとトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドとを体積比=10:90で混合したものに、濃度0.5モル/リットルとなるようにリチウム塩を添加している。以下に詳述する。
1.非水電解質の調製
1、3−ジオキソランと室温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C37)N-(SO2CF32)とを体積比10:90で混合したものに、リチウム塩としてLiN(SO2CF32を0.5モル/リットルの濃度になるように溶解させて非水電解質を作製した。
2.正極の作製
活物質として単体硫黄を50質量%、導電剤としてアセチレンブラック40質量%、結着剤としてポリテトラフロオロエチレンを10質量%の割合で混合したものを合剤とし、これを混練し、乳鉢で30分間粉砕した後、これを成形器に入れ、150kg/cm2の圧力で5秒間プレスして直径が10.3mmの円板状に成形し、これをアルミニウム製の網で包み、これを正極(作用極)とした。
3.負極、参照極の作製
4.試験セルの組み立て
負極および参照極については実施例1と同様に形成し、同様にして試験セルを作製した。
5.試験
上述のようにして作製した試験セルを、実施例1、2、3よりも放電電流を大きくし、室温で放電電流0.26mA/cm2で参照極13に対する正極11の電位が1.0V(vs.Li/Li+)になるまで放電を行った後、放電電流0.26mA/cm2で3.0V(vs.Li/Li+)になるまで充電を行って、初期の充放電特性を調べ、その結果を図6に示した。なお放電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す放電曲線を実線aで、充電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す充電曲線を破線bで示した。
この結果、実施例4の試験セルにおいては初期における単体硫黄1gあたりの放電容量密度は約816mAh/gであり、一般に正極に用いられているLiCoO2に比べると、放電容量密度が著しく高くなっていた。また初期における単体硫黄1g当たりの充電容量密度の849mAh/gと、大きな値を示し、単体硫黄が可逆的に反応することもわかった。
また単体硫黄と導電剤と結着剤とを合計した電極あたりの放電容量密度を計算した結果実施例4の試験セルにおいては408mAh/gであった。一方、実施例2のものは268mAh/gであり、単体硫黄の含有量を大きくしたほうが、電極あたりの放電容量密度を大きくすることが出来、単体硫黄の含有量が多いほうがより容量を増大することができることがわかる。
(実施例5)
次に本発明の実施例5について説明する。
この例でも、実施例4と同様正極の単体硫黄の含有量を50質量%と多くしたことを特徴とするもので、非水電解質における室温溶融塩の混合比を実施例3と同様にし、1、3−ジオキソランとトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドとを体積比=25:75で混合したものに、濃度0.5モル/リットルとなるようにリチウム塩を添加している。以下に詳述する。
1.非水電解質の調製
1、3−ジオキソランと室温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C37)N-(SO2CF32)とを体積比25:75で混合したものに、リチウム塩としてLiN(SO2CF32を0.5モル/リットルの濃度になるように溶解させて非水電解質を作製した。
2.正極の作製
3.負極、参照極の作製
4.試験セルの組み立て
正極、負極および参照極については実施例4と同様に形成し、同様にして試験セルを作製した。
5.試験
上述のようにして作製した試験セルを、実施例1、2、3よりも放電電流を大きくし、室温で放電電流0.26mA/cm2で参照極13に対する正極11の電位が1.0V(vs.Li/Li+)になるまで放電を行った後、放電電流0.26mA/cm2で3.0V(vs.Li/Li+)になるまで充電を行って、初期の充放電特性を調べ、その結果を図7に示した。なお放電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す放電曲線を実線aで、充電時における電位と単体硫黄1gあたりの容量密度との関係を示す充電曲線を破線bで示した。
この結果、実施例5の試験セルにおいては初期における単体硫黄1gあたりの放電容量密度は約986mAh/gであり、一般に正極に用いられているLiCoO2に比べると、放電容量密度が著しく高くなっていた。また初期における単体硫黄1g当たりの充電容量密度の1249mAh/gと、大きな値を示し、単体硫黄が可逆的に反応することもわかった。
また、単体硫黄と導電剤と結着剤とを合計した電極あたりの放電容量密度を計算した結果、実施例5の試験セルにおいては493mAh/gであった。一方、実施例3のものは458mAh/gであり、単体硫黄の含有量を大きくしたほうが、電極あたりの放電容量密度を大きくすることが出来、単体硫黄の含有量が多いほうがより容量を増大することができることがわかる。
(実施例6)
正極における硫黄の含有率を、60質量%、65質量%、70質量%、及び75質量%に変化させて、電極を作製した。硫黄の含有率を増やす代わりに、導電剤であるアセチレンブラックの量を減らし、バインダーの量は一定にして電極を作製した。電解液としては、実施例2及び4で用いた電解液と実施例3及び5で用いた電解液の2種類の電解液を用いて試験セルを作製した。各試験セルについて、上記と同様にして充放電試験を行い、それぞれの電極当たりの初期放電容量密度を求め、その結果を図8に示した。
図8において、○印と実線で示した結果は、1,3−ジオキサランとトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドとを体積比=10:90で混合したものに、濃度0.5モル/リットルとなるようにリチウム塩を添加した電解液を用いた結果である。また、□印と破線で示した結果は、1,3−ジオキサランとトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドとを体積比=25:75で混合したものに、濃度0.5モル/リットルとなるようにリチウム塩を添加した電解液を用いたものである。なお、図8には、上記の実施例2〜5の結果も併せて示している。
図8に示す結果から明らかなように、硫黄の含有率が50〜70質量%の時に、電極当たりの初期放電容量密度が大きくなることがわかる。特に、硫黄の含有率が60質量%の時に初期放電容量密度が最も大きくなっている。また、硫黄の含有率が75質量%のものは、硫黄の含有率が20質量%のものよりも、初期放電容量密度が小さくなっている。この原因としては、電極内の導電性が低下したためであると考えられる。正極における硫黄の含有率が大きくなるほど、電池としてのエネルギー密度が大きくなるので望ましいが、電極の導電性が低下するため利用率が低下する。従って、硫黄の含有率を大きくして、大きな放電容量密度が得られるようにするには、導電剤としてアセチレンブラックよりも電気伝導性の高いものを用いれば良いことがわかる。
(実施例7)
硫黄の還元生成物を含む非水電解液を、以下のようにして調製した。
室温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドに、リチウム塩としてLiN(SO2CF32を0.3モル/リットルの濃度となるように溶解させた非水電解液を調製した後、この非水電解液中において硫黄とリチウムと接触させて硫黄の還元生成物を合成した。その後、未反応の硫黄とリチウムを回収し、硫黄の還元生成物であるリチウムポリサルファイドを含む非水電解液を調製した。上記電解液を用いる以外は、実施例1と同様にして試験セルを作製した。
作製した試験セルについて、充放電試験を行った。放電電流0.13mA/cm2で放電終止電位1.0V(vs.Li/Li+)まで放電を行った後、充電電流0.13mA/cm2で充電終止電位3.5V(vs.Li/Li+)まで充電を行い、初期の充放電特性を評価した。評価結果を図9に示す。図9において、実線は、放電時における電位と硫黄1g当たりの容量密度との関係を示す放電曲線であり、破線は、充電時における電位と硫黄1g当たりの容量密度との関係を示す充電曲線である。
図9に示すように、初期における硫黄1g当たりの放電容量密度は約749mAh/gであり、理論容量密度の1675mAh/gより低くなっているが、一般に正極に用いられているLiCoO2に比べると、放電容量密度が著しく高い。また、実施例1と比較した場合においても、非水電解液中に硫黄の還元生成物を含有させた本実施例は、放電容量密度が高くなっている。
<実験2>
以下、単体硫黄として、ゴム状硫黄、斜方硫黄、及び単斜硫黄を用いて比較検討した。
(実施例8)
活物質としてのゴム状硫黄60質量%、及び導電剤としてのケッチェンブラック35質量%をボールミルで4時間粉砕混合した。その後、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴムが4質量%、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースが1質量%となるように混合して合剤とし、これに水を加えてスラリーを調製した。
このスラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔の片面にドクターブレード法により塗布し、真空下で50℃で乾燥し、水を蒸発させて正極とした。
負極及び参照極は、それぞれリチウム金属箔を所定の大きさにカットしたものを用いた。
非水電解液としては、4−メチル−1,3−ジオキソランと常温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを10:90の体積割合で混合した電解質に、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウムLiN(CF3SO22を0.5モル/リットルの濃度となるように添加したものを用いた。
上記の正極、負極、参照極、及び非水電解液を用いて、実施例1と同様にして試験セルを作製した。
作製した試験セルについて、充放電試験を行った。放電電流0.05mA/cm2で放電終止電位1.5V(vs.Li/Li+)まで放電を行った後、充電電流0.05mA/cm2で充電終止電位2.8V(vs.Li/Li+)まで充電を行い、充放電特性を評価した。評価結果を図10に示す。図10において、実線は放電曲線であり、破線は充電曲線である。容量密度は、流した電流を活物質と導電剤とバインダーの総重量で除したものである。図10に示すように初期放電容量密度は、720mAh/gであった。活物質である硫黄の利用率は、72%であった。
(実施例9)
正極活物質として、ゴム状硫黄に代えて、斜方硫黄を用いる以外は、上記実施例8と同様にして試験セルを作製し、この試験セルについて実施例8と同様にして充放電特性を評価した。評価結果を図11に示す。
図11に示すように、初期放電容量密度は634mAh/gであった。活物質である硫黄の利用率は、63%であった。斜方硫黄は、室温で安定なため、一般に市販されている硫黄粉末は、斜方硫黄であると考えられる。
(実施例10)
正極活物質として、ゴム状硫黄に代えて、単斜硫黄を用いる以外は、上記実施例8と同様にして試験セルを作製し、この試験セルを用いて実施例8と同様にして充放電特性を評価した。評価結果を図12に示す。
図12に示すように、初期放電容量密度は、631mAh/gであった。活物質である硫黄の利用率は63%であった。
(実施例11)
正極活物質として、ゴム状硫黄に代えて、実施例1で用いた市販品の硫黄粉末を用いる以外は、上記実施例8と同様にして試験セルを作製し、この試験セルを用いて上記実施例8と同様にして充放電特性を評価した。評価結果を図13に示す。
図13に示すように、初期放電容量密度は、651mAh/gであった。活物質である硫黄の利用率は、65%であった。
実施例8〜11の評価結果を表1に示す。
Figure 2004342575
表1に示すように、単体硫黄としては、特にゴム状硫黄が初期放電容量が高く、かつ利用率も高くなっている。これはおそらく、ゴム状硫黄が高い粘性を有するため、その周囲に導電剤がコーティングされやすく、電極内において良好な導電性が確保されやすいためであると思われる。
(比較例1)
非水電解液として、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを体積比=50:50の割合で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1.0モル/リットルの濃度となるように添加したものを用いた。それ以外は、上記実施例8と同様にして試験セルを作製し、実施例8と同様にして充放電特性を評価した。評価結果を図14に示す。
図14から明らかなように、初期放電容量密度は360mAh/gであり、小さくなっている。また、次の充電容量も小さくなっており、可逆性が悪いことがわかる。
<実験3>
以下、バインダーとしてポリイミドを用いた場合の効果について検討する。
(実施例12)
活物質としての硫黄(市販品硫黄粉末)が60質量%、導電剤としてのケッチェンブラックが30質量%、バインダーとしてのポリイミドが10質量%となるように混合して合剤とし、これにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔の片面にドクターブレード法により塗布し、真空下50℃で乾燥し、NMPを蒸発させて正極とした。
負極及び参照極としては、リチウム金属箔を所定の大きさにカットしたものを用いた。
電解液としては、4−メチル−1,3−ジオキソランと常温溶融塩であるトリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを体積比=10:90の割合で混合した電解質に、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウムを0.5モル/リットルの濃度となるように添加したものを用いた。
上記の正極、負極、参照極及び非水電解液を用いて、実施例1と同様にして試験セルを作製した。
作製した試験セルについて充放電試験を行った。放電電流0.05mA/cm2で放電終止電位1.5V(vs.Li/Li+)まで放電を行った後、充電電流0.05mA/cm2で充電終止電位2.8V(vs.Li/Li+)まで充電を行って充放電特性を評価した。評価結果を図15に示す。図15において、実線は放電曲線を示しており、破線は充電曲線を示している。容量密度は、流した電流を活物質の重量で除したものである。
図15に示すように、初期放電容量密度は702mAh/gであった。
また、上記の充放電サイクルを繰り返した時の放電容量密度の変化を図16に示した。図16において、○印は放電容量密度を示し、□印は充放電効率を示している。図16から明らかなように、2サイクル目以降の容量低下は小さくなっており、10サイクル後の容量維持率は85%であった。また、各サイクルにおける充放電効率はほぼ100%と高かった。
(実施例13)
バインダーとして、ポリイミドに代えて、ポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、上記実施例12と同様にして試験セルを作製し、この試験セルを用いて上記実施例12と同様にして評価した。
図17は、放電容量密度と充放電効率を示している。図17から明らかなように、サイクルによる劣化が大きく、10サイクル後の容量維持率は51%であった。
以上のことから、バインダーとしてポリイミドを用いることにより、サイクル特性及び充放電効率が向上することがわかる。
本発明の実施例の二次電池の試験セルを示す図である。 本発明実施例1の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例1の試験セルのサイクル数と放電容量密度との関係を示す図である。 本発明実施例2の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例3の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例4の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例5の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例6における正極中の硫黄の含有率と初期放電容量との関係を示す図である。 本発明実施例7の試験セルの初期放電特性を示す図である。 本発明実施例8の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例9の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例10の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例11の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 比較例1の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例12の試験セルの初期充放電特性を示す図である。 本発明実施例12の試験セルのサイクル数と放電容量密度及び充放電効率との関係を示す図である。 本発明実施例13の試験セルのサイクル数と放電容量密度及び充放電効率との関係を示す図である。
符号の説明
10 試験セル容器
11 正極
12 負極
13 参照極
14 非水電解質

Claims (16)

  1. 負極と、
    20質量%以上の単体硫黄(S)を活物質として含む正極と、
    融点60℃以下の室温溶融塩を含む非水電解質とを具備したことを特徴とする二次電池。
  2. 前記正極は、50質量%以上の単体硫黄を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記正極は、5〜80質量%の導電剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記単体硫黄が無定形硫黄であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
  5. 前記無定形硫黄がゴム状硫黄であることを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
  6. 前記ゴム状硫黄が、硫黄粉末を160℃以上で溶融した後、急冷して得られるものであることを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
  7. 前記正極は、0.1〜30質量%のバインダーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池。
  8. 前記バインダーとしてポリイミドが含まれていることを特徴とする請求項7に記載の二次電池。
  9. 前記非水電解質は、単体硫黄の還元生成物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の二次電池。
  10. 前記単体硫黄の還元生成物は、前記融点60℃以下の室温溶融塩中で前記単体硫黄を還元させたものであることを特徴とする請求項9に記載の二次電池。
  11. 前記単体硫黄の還元生成物が、リチウムポリサルファイドであることを特徴とする請求項9または10に記載の二次電池。
  12. 前記非水電解質は、環状エーテル、鎖状エーテル、及びフッ素化されたカーボネートから選ばれる一種類以上の溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の二次電池。
  13. 前記融点60℃以下の室温溶融塩は、第4級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の二次電池。
  14. 前記第4級アンモニウム塩が、トリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CH33+(C37)N-(SO2CF32)であることを特徴とする請求項13に記載の二次電池。
  15. 前記環状エーテルが、1,3−ジオキソラン及び/または4−メチル−1,3−ジオキソランであることを特徴とする請求項12に記載の二次電池。
  16. 前記負極は、炭素材料またはケイ素材料で構成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の二次電池。
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