JP2016033929A - 二次電池、二次電池の製造方法、二次電池用正極、二次電池用正極の製造方法、電池パック、電子機器および電動車両 - Google Patents

二次電池、二次電池の製造方法、二次電池用正極、二次電池用正極の製造方法、電池パック、電子機器および電動車両 Download PDF

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陽介 齊藤
一正 武志
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一正 武志
雅貴 中陳
Masaki Nakajin
雅貴 中陳
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Abstract

【課題】硫黄を含む正極を作製する場合に工程の簡略化および歩留まりの改善を図ることができるとともに、電極体積当たりの容量密度の向上を図ることができ、しかも極めて安定な充放電特性が得られる二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、電解質とを含む二次電池の製造方法であって、二硫化炭素内に気体状態の硫黄を投入した際の沈澱生成物として得られた不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより上記正極を形成し、塗膜の密度が0.5g/cc以上である。
【選択図】図2

Description

本開示は、二次電池、二次電池の製造方法、二次電池用正極、二次電池用正極の製造方法、電池パック、電子機器および電動車両に関する。より詳細には、本開示は、硫黄を含む正極を有する二次電池およびその正極ならびにそれらの製造方法ならびにこの二次電池の応用に関する。
リチウムイオン電池に比べて蓄電性能の大幅な向上が期待される二次電池として、正極活物質として硫黄を用いたリチウム硫黄電池が注目されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。従来の一般的なリチウム硫黄電池においては、正極に結晶性硫黄(あるいは環状硫黄)(S8 )、負極にリチウム金属、電解質にリチウムイオン(Li+ )を含む非水電解質が用いられている。しかしながら、硫黄単体は非常に導電性が低いため、活物質として有効に利用するためには、硫黄に導電助剤を混合させる必要がある。また、その混合形態としては、微粒子化した硫黄の方が、導通を確保するために有利であるため、高い特性を得るためには微粉化された硫黄が望ましい。
特開2005−251473号公報 特開2009−76260号公報 特開2003−197196号公報
しかしながら、従来のリチウム硫黄電池において用いられる硫黄原料としては、上述のように一般的に結晶性硫黄が用いられるが、昇華精製や二硫化炭素による再結晶による精製工程を経るために、得られる粒子の粒径が大きい。これを粉砕加工したものが市販されているものの、結晶性硫黄の粒子の粒径が元々大きいことから、その粒径は40〜100μm程度で比較的大きく、粉砕の追加工が必要であった。また、結晶性硫黄を用いた正極を作製するために用いるスラリーは、結晶性硫黄に加えて導電助剤としてカーボンを用いるため、スラリー中の結晶性硫黄の分散性が悪くなりやすく、塗布性が悪い。そのため、このスラリーの塗布によって得られる塗膜は膜厚が不均一であり、製造時の歩留まりが悪い。さらに、塗膜に凝集物が多く点在するため、塗膜の密度が低く(例えば0.3〜0.4g/cc程度)、電極体積当たりの容量密度が悪くなってしまう。
そこで、本開示が解決しようとする課題は、硫黄を含む正極を作製する場合に工程の簡略化および歩留まりの改善を図ることができるとともに、電極体積当たりの容量密度の向上を図ることができ、しかも極めて安定な充放電特性が得られる二次電池およびその製造方法を提供することである。
本開示が解決しようとする他の課題は、硫黄を含む正極を作製する場合に工程の簡略化および歩留まりの改善を図ることができるとともに、電極体積当たりの容量密度の向上を図ることができ、しかも極めて安定な充放電特性が得られる二次電池用正極およびその製造方法を提供することである。
本開示が解決しようとするさらに他の課題は、上記の優れた二次電池を用いた高性能の電池パック、電子機器および電動車両を提供することである。
上記課題を解決するために、本開示は、
不溶性硫黄を含む正極と、
負極と、
電解質とを有する二次電池である。
また、本開示は、
不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより正極を形成する工程を有する二次電池の製造方法である。
また、本開示は、
導電性基体と、
上記導電性基体上に保持された不溶性硫黄とを有する二次電池用正極である。
また、本開示は、
不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより正極を形成する二次電池用正極の製造方法である。
また、本開示は、
不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池と、
上記二次電池に関する制御を行う制御手段と、
上記二次電池を内包する外装とを有する電池パックである。
この電池パックにおいて、制御手段は、例えば、二次電池に関する充放電、過放電または過充電の制御を行う。
また、本開示は、
不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池を有し、
上記二次電池から電力の供給を受ける電子機器である。
また、本開示は、
不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池と、
上記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置とを有する電動車両である。
この電動車両において、変換装置は、典型的には、二次電池から電力の供給を受けてモータを回転させ、駆動力を発生させる。このモータは、回生エネルギーを利用することもできる。また、制御装置は、例えば、二次電池の電池残量に基づいて車両制御に関する情報処理を行う。この電動車両は、例えば、電気自動車、電動バイク、電動自転車、鉄道車両などのほか、いわゆるハイブリッド車も含む。
また、本開示は、
不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池を有し、
上記二次電池から電力の供給を受け、および/または、電力源から上記二次電池に電力を供給するように構成された電力システムである。
この電力システムは、およそ電力を使用するものである限り、どのようなものであってもよく、単なる電力装置も含む。この電力システムは、例えば、スマートグリッド、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)、車両など含み、蓄電も可能である。
また、本開示は、
不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池を有し、
電力が供給される電子機器が接続されるように構成された電力貯蔵用電源である。
この電力貯蔵用電源の用途は問わず、基本的にはどのような電力システムまたは電力装置にも用いることができるが、例えば、スマートグリッドに用いることができる。
ここで、不溶性硫黄(ポリマー硫黄ともいう)について説明する。硫黄は、温度の上昇とともにその構造を少しずつ変えていき、単純な固体、液体、気体の三態のみの変化だけではなく、結晶構造そのものが変化し長鎖構造を形成していく。この長鎖構造の硫黄が不溶性硫黄と呼ばれる硫黄である。不溶性硫黄の「不溶性」とは、二硫化炭素(CS2 )に不溶であるという意味である。不溶性硫黄はゴムの硫黄加硫に使用される加硫剤として知られている。これに対し、結晶性硫黄(S8 )は環状構造を有する硫黄であり、二硫化炭素に可溶である。本開示においては、正極は、一般的には、不溶性硫黄と導電助剤とを含み、典型的にはさらにバインダーを含む。正極は、より具体的には、例えば、導電性基体上に不溶性硫黄と導電助剤との混合物あるいは不溶性硫黄と導電助剤とバインダーとの混合物が保持されたものである。導電助剤は、例えばカーボン材料からなる。カーボン材料は、例えば、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびグラフェンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む。カーボンブラックには、例えば、カーボンブラック#3030B、#3040B、#3050B、#3230B、#3350B(三菱化学社製)、トーカブラック#5500、トーカブラック#4500、トーカブラック#4400、トーカブラック#4300(東海カーボン社製)、Printex L6、Printex L(デグサ社製)、Conductex 975、Conductex SC(コロンビアン社製)、Vulcan XC 72、Vulcan 9A 32、Black Pearls 2000、Black Pearls 3700(キャボット社製)、デンカブラック粒状品、デンカブラック FX−35、デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD、ECP、ECP−600JD(ライオン社製)等が挙げられるが、これらの中でもケッチェンブラックが好適である。活性炭は、原料として石炭系(泥炭、亜炭、かつ炭、瀝青炭等)、木質バイオマス系(ヤシ殻、おが屑、籾殻、木材、大鋸屑)、その他(石油ピッチ、合成樹脂(高分子)、各種有機灰等)が用いられる。一般に活性炭はこれら原料を炭化および賦活することによって製造される。炭化は、一般的に原料中の炭素、水素、酸素を不活性ガス雰囲気中で400〜700℃で加熱し、揮発分の一部分を除去したのち、賦活に適した炭化物を調製する工程である。賦活は、炭化工程で生成した炭化物を600〜1000℃の高温で水蒸気、炭酸ガス、空気を用いて反応させ、炭化物中の揮発成分あるいは炭素原子をガス化し、主に10〜100Åの微細孔構造を発達させ内部表面積を1000m2 /g以上にまでにする工程を云う。この工程によって多孔質性の活性炭を得ることができる。炭素繊維のうち気相法炭素繊維は、アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維であり、例えば、VGDF(昭和電工株式会社の登録商標)である。バインダーは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸ナトリウム(PANa)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、テトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、寒天などを用いることができる。負極は、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を含む。あるいは、より一般的には、負極は、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、マグネシウム塩、アルミニウム、リチウム含有合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料、酸化スズ、シリコンおよび酸化チタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む。また、電解質は、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよびテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の陽イオンを含む。
上述の本開示においては、不溶性硫黄を含むスラリーは不溶性硫黄の分散性に優れ、混練プロセスの平易化を図ることができる。このため、塗膜の均一性および平滑性の向上を図ることができる。また、不溶性硫黄は微粉化されたものが工業製品として市販されており、粉砕の追加工が不要である。
本開示によれば、硫黄を含む正極を作製する場合に工程の簡略化および歩留まりの改善を図ることができるとともに、電極体積当たりの容量密度の向上を図ることができ、しかも極めて安定な充放電特性が得られる二次電池を実現することができる。そして、この優れた二次電池を用いることにより、高性能の電子機器、電池パック、電動車両、電力システム、電力貯蔵用電源などを実現することができる。
第1の実施の形態によるリチウム硫黄電池用正極を示す断面図および平面図である。 第1の実施の形態によるリチウム硫黄電池用正極の製造方法を説明するための断面図である。 第2の実施の形態によるリチウム硫黄電池を模式的に示す略線図である。 比較例において結晶性硫黄を用いて作製された正極を用いたリチウム硫黄電池の充放電特性を示す略線図である。 実施例において不溶性硫黄を用いて作製された正極を用いたリチウム硫黄電池の充放電特性を示す略線図である。 実施例において不溶性硫黄を用いて作製された正極を用いたリチウム硫黄電池の充放電特性を示す略線図である。 比較例において結晶性硫黄を含むスラリーの塗始めおよび塗終わりの状態の電極表面の走査型電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 実施例において不溶性硫黄を含むスラリーの塗始めおよび塗終わりの状態の電極表面の走査型電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 比較例において結晶性硫黄を含むスラリーの塗終りの状態の電極表面に観察される凝集物近傍の走査型電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 図9に観察される凝集物の四角で囲んだ領域を拡大した走査型電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。 第3の実施の形態によるリチウム硫黄電池の分解斜視図である。 図11に示すリチウム硫黄電池の巻回電極体のX−X線に沿っての断面図である。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(リチウム硫黄電池用正極およびその製造方法)
2.第2の実施の形態(リチウム硫黄電池)
3.第3の実施の形態(リチウム硫黄電池およびその製造方法)
〈1.第1の実施の形態〉
[リチウム硫黄電池用正極]
図1Aは第1の実施の形態による二次電池用正極を示す断面図、図1Bは二次電池用正極の平面図である。
図1Aおよび図1Bに示すように、このリチウム硫黄電池用正極においては、導電性基体11上に不溶性硫黄含有層12が設けられている。不溶性硫黄含有層12は、典型的には、不溶性硫黄と導電助剤とを含み、あるいは、不溶性硫黄と導電助剤とバインダーとを含み、好適には不溶性硫黄を50重量%以上、例えば60重量%含むが、これに限定されるものではない。導電助剤としては、例えば既に挙げたものの中から必要に応じて選ばれるが、好適にはケッチェンブラックが用いられる。不溶性硫黄含有層12には、必要に応じて、不溶性硫黄、導電助剤およびバインダー以外の成分を含んでもよい。
導電性基体11は、特に限定されないが、例えば、金属(単体金属および合金)、導電性酸化物材料、導電性プラスチックなどの各種の導電性材料からなる基板である。金属の具体例を挙げると、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ゲルマニウム(Ge)およびハフニウム(Hf)からなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属の単体または合金(ステンレス鋼など)である。この導電性基体11は、非導電性基体上に導電層を形成したものであってもよい。導電性基体11の厚さは必要に応じて選ばれるが、例えば、20μm以上50μm以下である。
[リチウム硫黄電池用正極の製造方法]
このリチウム硫黄電池用正極は、例えば、次のようにして製造することができる。
図2Aに示すように、まず、導電性基板11を用意する。
次に、図2Bに示すように、予め調製された不溶性硫黄を含むスラリー13を導電性基板11上に塗布する。スラリー13は、典型的には、例えば、不溶性硫黄とカーボン粒子などの導電助剤とPVAなどのバインダーと溶媒とからなる。塗布の方法に特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、例えば、ロールギャップ法、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などを用いることができる。
次に、図2Cに示すように、スラリー13が形成された導電性基板11を加熱することによりスラリー13を乾燥させて不溶性硫黄含有層12を形成する。加熱は、例えば加熱炉などで行う。この加熱温度は、必要に応じて選ばれるが、例えば50℃以上100℃以下である。この加熱は、不溶性硫黄や導電助剤の酸化を防止するために、好適には、アルゴン(Ar)や窒素(N2 )などの不活性ガス雰囲気中で行う。
以上により、目的とするリチウム硫黄電池用正極が製造される。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、導電性基体11上に不溶性硫黄含有層12が設けられた新規なリチウム硫黄電池用正極を得ることができる。このリチウム硫黄電池用正極によれば、不溶性硫黄を含むスラリー13を導電性基体11上に塗布することにより製造することができ、結晶性硫黄を含むスラリーを用いた場合に比べて塗膜の均一性および平滑性の向上を図ることができるだけでなく、塗膜の密度の向上を図ることができ、具体的には例えば塗膜の密度を0.5g/cc以上にすることができ、リチウム硫黄電池の高エネルギー密度化に有利である。また、不溶性硫黄は、二硫化炭素内に気体状態の硫黄を投入した際の沈澱生成物として得る方法で製造されるため、元々の粒径が小さく、微粉化が容易である。そのため、粒径4〜10μm程度の微粉化されたものが工業製品として市販されており、結晶性硫黄を用いる場合のように粉砕の追加工が不要であるため、リチウム硫黄電池用正極の製造工程の簡略化を図ることができ、歩留まりの向上および製造コストの低減を図ることができる。このため、このリチウム硫黄電池用正極を用いてリチウム硫黄電池を構成した場合、リチウム硫黄電池の製造コストの低減を図ることができる。また、このリチウム硫黄電池用正極は、不溶性硫黄を含むスラリー13の塗布時に発生する凝集物を極めて少なくすることができるため、塗膜の均一性および平滑性の向上を図ることができ、このリチウム硫黄電池用正極を用いてリチウム硫黄電池を構成した場合、極めて安定な充放電特性を得ることができる。
〈2.第2の実施の形態〉
[リチウム硫黄電池]
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態においては、二次電池としてのリチウム硫黄電池の正極として、第1の実施の形態によるリチウム硫黄電池用正極を用いる。
図3はこのリチウム硫黄電池の基本構成を模式的に示す。
図3に示すように、このリチウム硫黄電池は、正極21と負極22とが電解質23を介して対向した構造を有する。正極21と負極22との間にはセパレータが設けられるが、図3においては図示が省略されている。正極21としては、第1の実施の形態によるリチウム硫黄電池用正極が用いられる。負極22としては、リチウム金属からなるものが用いられる。なお、負極22の材料としては、リチウム金属以外に、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料、酸化スズ、シリコン、酸化チタンなどの材料を採用することも可能である。
電解質23は液体、ゲル、固体のいずれであってもよい。電解質層23をゲルまたは固体とする場合には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HEP)、ポリアニリン(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)などの高分子あるいはさらにこれに加えて重合体を用いてもよい。
電解質23として電解液を用いる場合、この電解液としては、例えば、従来公知のリチウムイオン電池やキャパシタなどに用いられている有機溶媒または二以上の有機溶媒の混合溶媒にリチウム塩を溶解したものを用いることができる。この有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート類、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−ブチロラクトン、2−メチル−γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類、1、4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン(MTHF)、3−メチル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソランなどの環状エーテル類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエータルなどの鎖状エーテル類などを用いることができる。有機溶媒としては、上記のほかに、例えば、プロピオン酸メチル(MPR)、プロピオン酸エチル(EPR)、エチレンサルファイト(ES)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、テトラフェニルベンゼン(tPB)、酢酸エチル(EA)、アセトニトリル(AN)などを用いることもできる。
電解液に溶解させるリチウム塩としては、例えば、LiSCN、LiBr、LiI、LiClO4 、LiASF6 、LiSO3 CF3 、LiSO3 CH3 、LiBF4 、LiB(Ph)4 、LiPF6 、LiC(SO2 CF3 3 、LiN(SO2 CF3 2 などのいずれか一つあるいはこれらのうちの二以上の混合物を用いることができる。
電解質23には、リチウム硫黄電池の様々な特性の改善のために、必要に応じて上記以外の各種の材料を添加することができる。これらの材料としては、例えば、イミド塩、スルホン化化合物、芳香族化合物、これらのハロゲン置換体などを挙げることができる。
[リチウム硫黄電池の動作]
このリチウム硫黄電池においては、 充電時には、リチウムイオン(Li+ )が正極21から電解質23を通って負極22に移動することにより電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄電する。放電時には、負極22から電解質23を通って正極21にリチウムイオンが戻ることにより電気エネルギーを発生させる。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態によるリチウム硫黄電池用正極を正極21に用いていることにより、充放電特性が極めて安定でしかも製造コストが安い新規なリチウム硫黄電池を実現することができる。
このリチウム硫黄電池は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、コードレスフォン子機、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、電子辞書、携帯音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリーカード、心臓ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥機、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機、鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの駆動用電源または補助用電源、住宅をはじめとする建築物または発電設備用の電力貯蔵用電源などに搭載し、あるいは、これらに電力を供給するために使用することができる。電気自動車において、電力を供給することにより電力を駆動力に変換する変換装置は、一般的にはモータである。車両制御に関する情報処理を行う制御装置としては、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う制御装置などが含まれる。このリチウム硫黄電池は、いわゆるスマートグリッドにおける蓄電装置としても用いることができる。このような蓄電装置は、電力を供給するだけでなく、他の電力源から電力の供給を受けることにより蓄電することができる。他の電力源としては、例えば、火力発電、原子力発電、水力発電、太陽電池、風力発電、地熱発電、燃料電池(バイオ燃料電池を含む)などを用いることができる。
〈実施例〉
次のようにしてリチウム硫黄電池用正極を作製した。
導電性基板11として厚さ20μmのアルミニウム製基板を用いた。
不溶性硫黄を含むスラリーを次のようにして調製した。
(1)不溶性硫黄(S)とケッチェンブラック(KB ECP)とを30分程度乳鉢混合した。
(2)ポリビニルアルコール(PVA)をホットプレートスターラーを用いてN−メチルピロリドン(NMP)に溶解させた。
(3)(1)と(2)とをカップに計量し、市販の自転公転攪拌機で混合した。混合比は重量比でS:KB:PVA=60:30:10とした。
(4)固形成分が20重量%となるようにNMPを追加し、市販の自転公転攪拌機で混合した。
(5)ボールミルポッドに移して、ビーズを入れボールミルにて攪拌する。
(6)ビーズを分離し、スラリーを完成させる。
こうして調製された不溶性硫黄を含むスラリーをロールギャップ塗布法によりアルミニウム製基板の表面に塗布した。
この後、アルミニウム製基板の表面に塗布されたスラリーを乾燥させた。こうして、不溶性硫黄とケッチェンブラックとPVAとを含む不溶性硫黄含有層を形成し、リチウム硫黄電池用正極を作製した。
〈比較例〉
次のようにしてリチウム硫黄電池用正極を作製した。
導電性基板11として厚さ20μmのアルミニウム製基板を用いた。
結晶性硫黄(S8 )を含むスラリーを実施例と同様にして調製した。
こうして調製された結晶性硫黄を含むスラリーをロールギャップ塗布法によりアルミニウム製基板の表面に塗布した。
この後、ステンレス鋼製基板の表面に塗布されたスラリーを乾燥させた。こうして、結晶性硫黄とケッチェンブラックとPVAとを含む結晶性硫黄含有層を形成し、リチウム硫黄電池用正極を作製した。
実施例および比較例により作製した電極試料の重量、膜厚、密度などを測定した結果を表1に示す。試料1〜6は比較例の方法により作製したもので、試料1〜3は1バッチ(ロット1)で作製したもの、試料4〜6も1バッチ(ロット2)で作製したものである。試料11〜16は実施例の方法により作製したもので、試料11〜13は1バッチ(ロット3)で作製したもの、試料14〜16も1バッチ(ロット4)で作製したものである。
一般的に、ロールギャップ法はスラリーをダム(液溜め)に貯めて塗る方式であるため、凝集物が沈澱して、膜厚に差が生じやすい。表1から分かるように、結晶性硫黄(S8 )を用いた場合は、塗始めに比べて塗終わりの方が、約10μmも電極の平均膜厚が厚くなっている。これは、塗終わりの方が凝集物が多いためと思われる。一方、不溶性硫黄(S)では、結晶性硫黄(S8 )を用いた場合に比べて凝集物は少なく、塗始めと比較した塗終わりの平均膜厚の増加は3μm程度であり、膜厚はほぼ均一である。しかも結晶性硫黄(S8 )を用いた場合に比べて、体積密度が高い。
正極として実施例または比較例のリチウム硫黄電池用正極、負極としてリチウム金属、電解液として0.5M LiTFSI+0.4MLiNO3 DOL/DMEを用いてリチウム硫黄電池を作製した。比較例のリチウム硫黄電池用正極として、塗始めのものである二つ(n=2)の試料1、2または塗終わりのものである二つ(n=2)の試料4、5を用いて作製したリチウム硫黄電池をそれぞれ試料21〜24とする。実施例のリチウム硫黄電池用正極として、塗始めのものである三つ(n=3)の試料11〜13、塗終わりのものである三つ(n=3)の試料14〜16を用いて作製したリチウム硫黄電池をそれぞれ試料25〜30とする。
試料21〜30のリチウム硫黄電池の充放電特性を測定した。その結果を図4〜図6に示す。図4〜図6には2回目の充放電サイクルの結果が示されている。いずれも、放電電流は0.1mA/cm2 、充電電流は0.3mA/cm2 である。
図4に示すように、結晶性硫黄(S8 )を用いた場合には、塗始めと塗終わりとで充放電容量に大きな差が見られた。これは、塗終わりでは凝集物が多いことが原因と考えられる。
図5および図6に示すように、不溶性硫黄(S)を用いた場合には、塗始めと塗終わりとで充放電容量に大きな差は見られない。これは、不溶性硫黄(S)はスラリー中の分散性が良いためである。
図7Aおよび図7Bはそれぞれ、結晶性硫黄(S8 )を含むスラリーを用いて塗り始めた時および塗り終った時の電極表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。図7Bに示すように、塗り終わった時には直径が20〜100μmの多数の凝集物が観察される。
図8Aおよび図8Bはそれぞれ、不溶性硫黄(S)を含むスラリーを用いて塗り始めた時および塗り終った時の電極表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。図8Aおよび図8Bに示すように、塗り始めた時および塗り終わった時の双方とも、凝集物は少ないことが分かる。
図9は、結晶性硫黄(S8 )を含むスラリーを用いて塗終った時の電極表面の走査型電子顕微鏡写真を示し、凝集物の近傍を拡大して示したものである。図10は、図9に示す凝集物の四角で囲んだ領域(孔)を拡大して示した走査型電子顕微鏡写真である。図10の電極表面に電子顕微鏡の電子線を照射したところ、凝集物が容易に揮発したことから、凝集物の主成分は硫黄であると考えられる。
レーザー顕微鏡(キーエンス社製)により電極表面の算術平均表面粗さ(Ra )を評価した。その結果を表2に示す。表2から分かるように、結晶性硫黄(S8 )を用いた場合は、塗始めと塗終りのRa 値が大きく異なり、塗終りの方が電極表面が非常に粗いことが分かる。これは、塗終りの方が凝集物が多いためと思われる。一方、不溶性硫黄では、結晶性硫黄(S8 )を用いた場合に比べて、塗始めと塗終りのRa 値の差異が少なく、均一な膜厚の電極が得られていることが分かる。
〈3.第3の実施の形態〉
[リチウム硫黄電池]
第3の実施の形態においては、第2の実施の形態によるリチウム硫黄電池の具体的構成例を説明する。
図11はこのリチウム硫黄電池の分解斜視図である。
図11に示すように、このリチウム硫黄電池においては、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体33がフィルム状の外装部材34a、34bの内部に収容されている。
正極リード31および負極リード32は、外装部材34a、34bの内部から外部に向かって、例えば同一方向にそれぞれ引き出されている。これらの正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ステンレス鋼などの金属によりそれぞれ構成されている。これらの正極リード31および負極リード32は、例えば、薄板状または網目状に構成される。
外装部材34a、34bは、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成される。これらの外装部材34a、34bは、例えば、それらのポリエチレンフィルム側と巻回電極体33とが互いに対向するように設けられており、それぞれの外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。これらの外装部材30a、30bと正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム35が挿入されている。密着フィルム35は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード31および負極リード32が上述の金属により構成される場合には、好適には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成される。
外装部材30a、30bは、上述のラミネートフィルムの代りに、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルム、金属フィルムなどにより構成するようにしてもよい。
図12は、図11に示す巻回電極体33のX−X線に沿った断面構造を示す。
図12に示すように、巻回電極体33は、正極21と負極22とをセパレータ36および電解質23を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極21は、例えば、互いに対向する一対の面を有する正極集電体21aと、この正極集電体21aの両面あるいは片面に設けられた正極合剤層21bとを有する。正極集電体21aには、その長手方向における一方の端部に正極合剤層21bが設けられておらず露出している部分があり、この露出部分に正極リード31が取り付けられている。正極集電体21aは、図1に示すリチウム硫黄電池用正極の導電性基体11に対応し、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔などの金属箔により構成される。正極合剤層21bは、図1に示すリチウム硫黄電池用正極の導電性基体11上に形成されたカーボンナノチューブ12および硫黄13に対応する。
負極22は、例えば、互いに対向する一対の面を有する負極集電体22aと、この負極集電体22aの両面あるいは片面に設けられた負極合剤層22bとを有する。負極集電体22aは、好適には、例えば、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する銅(Cu)箔,ニッケル箔、ステンレス鋼箔などの金属箔により構成される。これらの中でも銅箔は高い電気伝導性を有するので最も好ましい。負極合剤層22bは、例えば、リチウム金属により構成されている。
セパレータ36は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、あるいは、セラミック製の多孔質膜により構成され、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造を有するものであってもよい。これらの中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れているだけでなく、シャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特にポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、しかも電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化することで用いることができる。
[リチウム硫黄電池の製造方法]
このリチウム硫黄電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極集電体21a上に正極合剤層21bを形成して正極21を作製するとともに、負極集電体22a上に負極合剤層22bを形成して負極22を作製する。
次に、例えば、正極集電体21aに正極リード31を取り付けるとともに、正極合剤層21bの上、すなわち正極21の両面あるいは片面に電解質23を形成する。また、負極集電体22aに負極リード32を取り付けるとともに、負極合剤層22bの上、すなわち負極22の両面あるいは片面に電解質23を形成する。
上述のようにして電解質23を形成した後、正極21と負極22とを積層する。次に、この積層体を巻回し、さらに最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体33を形成する。
こうして巻回電極体33を形成した後、例えば、外装部材34a、34bの間に巻回電極体33を挟み込み、外装部材34a、34bの外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材34a、34bとの間には密着フィルム35を挿入する。
以上により、図11および図12に示すリチウム硫黄電池が製造される。
この第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
以上、本開示の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
例えば、電池セルの形態は巻回体に限定されず、積層型、バイセル型などが採用可能である。ここで、バイセル型とは、図示しないが例えば、「正極/電解質/セパレータ/電解質/負極/電解質/セパレータ/電解質/正極」を積層したユニットAと、正極、負極を入れ替えた「負極/電解質/セパレータ/電解質/正極/電解質/セパレータ/電解質/負極」を積層したユニットBを、ジグザグに折り込まれた1枚の帯状セパレータの隙間に交互に挿入していく形態である。
また、本開示においては、リチウム硫黄二次電池について述べたが、負極にリチウムイオン以外のイオンを吸蔵放出可能な材料を含むように構成してもよい。例えば、ナトリウム、マグネシウム、マグネシウム塩、アルミニウム等のイオンを吸蔵放出可能な材料を含む負極とすることができる。この場合、電解質としては、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、テトラアルキルアンモニウムおよびこれらの組み合わせ、からなる群から選択された陽イオンを含む電解質を用いることができる。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池。
(2)上記正極は上記不溶性硫黄と導電助剤とを含む前記(1)に記載の二次電池。
(3)上記導電助剤はカーボン材料からなる前記(2)に記載の二次電池。
(4)上記カーボン材料は、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびグラフェンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む前記(3)に記載の二次電池。
(5)上記負極は、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を含む前記(1)から(4)のいずれかに記載の二次電池。
(6)上記負極は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、マグネシウム塩、アルミニウム、リチウム含有合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料、酸化スズ、シリコンおよび酸化チタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む前記(1)から(4)のいずれかに記載の二次電池。
(7)上記電解質は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよびテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の陽イオンを含む前記(1)から(7)のいずれかに記載の二次電池。
(8)不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより正極を形成する工程を有する二次電池の製造方法。
(9)上記スラリーは上記不溶性硫黄と導電助剤とを含む前記(8)に記載の二次電池の製造方法。
(10)導電性基体と、上記導電性基体上に保持された不溶性硫黄とを有する二次電池用正極。
(11)不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより正極を形成する二次電池用正極の製造方法。
(12)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池と、上記二次電池に関する制御を行う制御手段と、上記二次電池を内包する外装とを有する電池パック。
(13)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池を有し、上記二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
(14)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池と、上記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置とを有する電動車両。
11…導電性基体、12…不溶性硫黄含有層、13…スラリー、21…正極、21a…正極集電体、21b…正極合剤層、22…負極、22a…負極集電体、22b…負極合剤層、23…電解質、31…正極リード、32…負極リード、33…巻回電極体、34a…外装部材、34b…外装部材、35…密着フィルム、36…セパレータ、37…保護テープ
ここで、不溶性硫黄(ポリマー硫黄ともいう)について説明する。硫黄は、温度の上昇とともにその構造を少しずつ変えていき、単純な固体、液体、気体の三態のみの変化だけではなく、結晶構造そのものが変化し長鎖構造を形成していく。この長鎖構造の硫黄が不溶性硫黄と呼ばれる硫黄である。不溶性硫黄の「不溶性」とは、二硫化炭素(CS2 )に不溶であるという意味である。不溶性硫黄はゴムの硫黄加硫に使用される加硫剤として知られている。これに対し、結晶性硫黄(S8 )は環状構造を有する硫黄であり、二硫化炭素に可溶である。本開示においては、正極は、一般的には、不溶性硫黄と導電助剤とを含み、典型的にはさらにバインダーを含む。正極は、より具体的には、例えば、導電性基体上に不溶性硫黄と導電助剤との混合物あるいは不溶性硫黄と導電助剤とバインダーとの混合物が保持されたものである。導電助剤は、例えばカーボン材料からなる。カーボン材料は、例えば、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびグラフェンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む。カーボンブラックには、例えば、カーボンブラック#3030B、#3040B、#3050B、#3230B、#3350B(三菱化学社製)、トーカブラック#5500、トーカブラック#4500、トーカブラック#4400、トーカブラック#4300(東海カーボン社製)、Printex L6、Printex L(デグサ社製)、Conductex 975、Conductex SC(コロンビアン社製)、Vulcan XC 72、Vulcan 9A 32、Black Pearls 2000、Black Pearls 3700(キャボット社製)、デンカブラック粒状品、デンカブラック FX−35、デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD、ECP、ECP−600JD(ライオン社製)等が挙げられるが、これらの中でもケッチェンブラックが好適である。活性炭は、原料として石炭系(泥炭、亜炭、かつ炭、瀝青炭等)、木質バイオマス系(ヤシ殻、おが屑、籾殻、木材)、その他(石油ピッチ、合成樹脂(高分子)、各種有機灰等)が用いられる。一般に活性炭はこれら原料を炭化および賦活することによって製造される。炭化は、一般的に原料中の炭素、水素、酸素を不活性ガス雰囲気中で400〜700℃で加熱し、揮発分の一部分を除去したのち、賦活に適した炭化物を調製する工程である。賦活は、炭化工程で生成した炭化物を600〜1000℃の高温で水蒸気、炭酸ガス、空気を用いて反応させ、炭化物中の揮発成分あるいは炭素原子をガス化し、主に10〜100Åの微細孔構造を発達させ内部表面積を1000m2 /g以上にまでにする工程を云う。この工程によって多孔質性の活性炭を得ることができる。炭素繊維のうち気相法炭素繊維は、アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維であり、例えば、VGCF(昭和電工株式会社の登録商標)である。バインダーは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸ナトリウム(PANa)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、寒天などを用いることができる。負極は、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を含む。あるいは、より一般的には、負極は、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、マグネシウム塩、アルミニウム、リチウム含有合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料、酸化スズ、シリコンおよび酸化チタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む。また、電解質は、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよびテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の陽イオンを含む。
〈1.第1の実施の形態〉
[リチウム硫黄電池用正極]
図1Aは第1の実施の形態によるリチウム硫黄電池用正極を示す断面図、図1Bはリチウム硫黄電池用正極の平面図である。
電解質23は液体、ゲル、固体のいずれであってもよい。電解質23をゲルまたは固体とする場合には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)、ポリアニリン(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)などの高分子あるいはさらにこれに加えて重合体を用いてもよい。
電解質23として電解液を用いる場合、この電解液としては、例えば、従来公知のリチウムイオン電池やキャパシタなどに用いられている有機溶媒または二以上の有機溶媒の混合溶媒にリチウム塩を溶解したものを用いることができる。この有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート類、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−ブチロラクトン、2−メチル−γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類、1、4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン(MTHF)、3−メチル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソランなどの環状エーテル類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどの鎖状エーテル類などを用いることができる。有機溶媒としては、上記のほかに、例えば、プロピオン酸メチル(MPR)、プロピオン酸エチル(EPR)、エチレンサルファイト(ES)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、テトラフェニルベンゼン(tPB)、酢酸エチル(EA)、アセトニトリル(AN)などを用いることもできる。
不溶性硫黄を含むスラリーを次のようにして調製した。
(1)不溶性硫黄(S)とケッチェンブラック(KB ECP)とを30分程度乳鉢混合した。
(2)ポリビニルアルコール(PVA)をホットプレートスターラーを用いてN−メチルピロリドン(NMP)に溶解させた。
(3)(1)と(2)とをカップに計量し、市販の自転公転攪拌機で混合した。混合比は重量比でS:KB:PVA=60:30:10とした。
(4)固形成分が20重量%となるようにNMPを追加し、市販の自転公転攪拌機で混合した。
(5)ボールミルポットに移して、ビーズを入れボールミルにて攪拌する。
(6)ビーズを分離し、スラリーを完成させる。
外装部材34a、34bは、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成される。これらの外装部材34a、34bは、例えば、それらのポリエチレンフィルム側と巻回電極体33とが互いに対向するように設けられており、それぞれの外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。これらの外装部材34a34bと正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム35が挿入されている。密着フィルム35は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード31および負極リード32が上述の金属により構成される場合には、好適には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成される。
外装部材34a34bは、上述のラミネートフィルムの代りに、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルム、金属フィルムなどにより構成するようにしてもよい。
正極21は、例えば、互いに対向する一対の面を有する正極集電体21aと、この正極集電体21aの両面あるいは片面に設けられた正極合剤層21bとを有する。正極集電体21aには、その長手方向における一方の端部に正極合剤層21bが設けられておらず露出している部分があり、この露出部分に正極リード31が取り付けられている。正極集電体21aは、図1に示すリチウム硫黄電池用正極の導電性基体11に対応し、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔などの金属箔により構成される。正極合剤層21bは、図1に示すリチウム硫黄電池用正極の導電性基体11上に形成された不溶性硫黄含有層12に対応する。
セパレータ36は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、あるいは、セラミック製の多孔質膜により構成され、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造を有するものであってもよい。これらの中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れているだけでなく、シャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特にポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、しかも電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ36を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化することで用いることができる。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池。
(2)上記正極は上記不溶性硫黄と導電助剤とを含む前記(1)に記載の二次電池。
(3)上記導電助剤はカーボン材料からなる前記(2)に記載の二次電池。
(4)上記カーボン材料は、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびグラフェンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む前記(3)に記載の二次電池。
(5)上記負極は、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を含む前記(1)から(4)のいずれかに記載の二次電池。
(6)上記負極は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、マグネシウム塩、アルミニウム、リチウム含有合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料、酸化スズ、シリコンおよび酸化チタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む前記(1)から(4)のいずれかに記載の二次電池。
(7)上記電解質は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよびテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の陽イオンを含む前記(1)から()のいずれかに記載の二次電池。
(8)不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより正極を形成する工程を有する二次電池の製造方法。
(9)上記スラリーは上記不溶性硫黄と導電助剤とを含む前記(8)に記載の二次電池の製造方法。
(10)導電性基体と、上記導電性基体上に保持された不溶性硫黄とを有する二次電池用正極。
(11)不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより正極を形成する二次電池用正極の製造方法。
(12)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池と、上記二次電池に関する制御を行う制御手段と、上記二次電池を内包する外装とを有する電池パック。
(13)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池を有し、上記二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
(14)不溶性硫黄を含む正極と、負極と、電解質とを有する二次電池と、上記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置とを有する電動車両。

Claims (34)

  1. 正極と、負極と、電解質とを含む二次電池の製造方法であって、
    不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより上記正極を形成し、
    塗膜の密度が0.5g/cc以上である、
    二次電池の製造方法。
  2. 上記スラリーは上記不溶性硫黄と導電助剤とを含む、
    請求項1に記載の二次電池の製造方法。
  3. 不溶性硫黄含有層を有する正極と、負極と、電解質とを含む二次電池の製造方法であって、
    少なくとも不溶性硫黄および導電助剤を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより上記不溶性硫黄含有層を形成し、
    上記不溶性硫黄含有層は、上記不溶性硫黄を50重量%以上含む、
    二次電池の製造方法。
  4. 上記導電助剤はカーボン材料からなる、
    請求項2または請求項3に記載の二次電池の製造方法。
  5. 上記カーボン材料は、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびグラフェンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む、
    請求項4記載の二次電池の製造方法。
  6. 上記負極は、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を含む、
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  7. 上記負極は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、マグネシウム塩、アルミニウム、リチウム含有合金、炭素材料、酸化スズ、シリコンおよび酸化チタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む、
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  8. 上記電解質は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよびテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の陽イオンを含む、
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  9. 上記不溶性硫黄は、二硫化炭素内に気体状態の硫黄を投入した際の沈澱生成物として得られたものである、
    請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  10. 上記スラリーはバインダーを含む、
    請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  11. 上記バインダーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸ナトリウム(PANa)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)および寒天のうち少なくとも一種類を含む、
    請求項10に記載の二次電池の製造方法。
  12. 上記塗布工程終了後の上記塗膜または上記不溶性硫黄含有層の合材重量は、2.37〜2.59[mg]である、
    請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  13. 上記塗布工程終了後の上記塗膜または上記不溶性硫黄含有層の面積密度は、1.34〜1.49[mg/cm2]である、
    請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  14. 上記塗布工程終了後の上記塗膜または上記不溶性硫黄含有層の体積密度は、0.516〜0.573[g/cc]である、
    請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  15. 上記塗布工程終了後の上記塗膜または上記不溶性硫黄含有層の活物質量は、1.42〜1.58[mg]である、
    請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  16. 不溶性硫黄を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより正極を形成し、
    塗膜の密度が0.5g/cc以上である、
    二次電池用正極の製造方法。
  17. 上記スラリーは上記不溶性硫黄と導電助剤とを含む、
    請求項16に記載の二次電池用正極の製造方法。
  18. 少なくとも不溶性硫黄および導電助剤を含むスラリーを導電性基体上に塗布することにより不溶性硫黄含有層を有する正極を形成し、
    上記不溶性硫黄含有層は、上記不溶性硫黄を50重量%以上含む、
    二次電池用正極の製造方法。
  19. 上記導電助剤はカーボン材料からなる、
    請求項16ないし請求項18のいずれか1項に記載の二次電池用正極の製造方法。
  20. 上記カーボン材料は、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびグラフェンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む、
    請求項19に記載の二次電池用正極の製造方法。
  21. 上記不溶性硫黄は、二硫化炭素内に気体状態の硫黄を投入した際の沈澱生成物として得られたものである、
    請求項16ないし請求項20のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  22. 上記スラリーはバインダーを含む、
    請求項16ないし請求項21のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
  23. 上記バインダーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸ナトリウム(PANa)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)および寒天のうち少なくとも一種類を含む、
    請求項22に記載の二次電池の製造方法。
  24. 請求項1ないし請求項15のいずれか1項の製造方法によって製造された二次電池と、
    上記二次電池に関する制御を行う制御手段と、
    上記二次電池を内包する外装とを有する電池パック。
  25. 請求項1ないし請求項15のいずれか1項の製造方法によって製造された二次電池を有し、
    上記二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
  26. 請求項1ないし請求項15のいずれか1項の製造方法によって製造された二次電池と、
    上記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置とを有する電動車両。
  27. 導電性基体上に、少なくとも不溶性硫黄および導電助剤を含む不溶性硫黄含有層を有する正極と、
    負極と、
    電解質とを含み、
    上記不溶性硫黄含有層は、上記不溶性硫黄を50重量%以上含む、
    二次電池。
  28. 上記不溶性硫黄含有層はバインダーを含む、
    請求項27に記載の二次電池。
  29. 上記バインダーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸ナトリウム(PANa)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)および寒天のうち少なくとも一種類を含む、
    請求項28に記載の二次電池。
  30. 上記負極は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、マグネシウム塩、アルミニウム、リチウム含有合金、炭素材料、酸化スズ、シリコンおよび酸化チタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類を含む、
    請求項27ないし請求項29のいずれか1項に記載の二次電池。
  31. 上記電解質は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよびテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の陽イオンを含む、
    請求項27ないし請求項30のいずれか1項に記載の二次電池。
  32. 導電性基体上に、少なくとも不溶性硫黄および導電助剤を含む不溶性硫黄含有層を有し、
    上記不溶性硫黄含有層は、上記不溶性硫黄を50重量%以上含む、
    二次電池用正極。
  33. 上記不溶性硫黄含有層はバインダーを含む、
    請求項32に記載の二次電池用正極。
  34. 上記バインダーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸ナトリウム(PANa)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)および寒天のうち少なくとも一種類を含む、
    請求項33に記載の二次電池用正極。
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