JP2004329664A

JP2004329664A - 使い捨て吸収性物品

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Publication number: JP2004329664A
Application number: JP2003131741A
Authority: JP
Inventors: Kenji Nakaoka; 健次中岡
Original assignee: Livedo Corp
Current assignee: Livedo Corp
Priority date: 2003-05-09
Filing date: 2003-05-09
Publication date: 2004-11-25
Anticipated expiration: 2023-05-09
Also published as: PT1632206E; ATE519463T1; US20070093164A1; AU2004235698A1; KR101073475B1; CA2525402A1; EP1632206B1; JP4416431B2; EP1632206A4; CN1784190A; WO2004098473A1; EP1632206A1; CA2525402C; ES2369909T3; CN1784190B; KR20060007386A; HK1084858A1; US8524355B2; AU2004235698B2

Abstract

【課題】体液を吸収しても型くずれを起こし難く、かつ、吸水速度が速く、快適な着用感を有する吸収マットを備えた使い捨て吸収性物品を提供する。
【解決手段】液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備する使い捨て吸収性物品であって、前記吸収マットは、吸水性樹脂粉末を含んでパルプ繊維を含まないシート状吸水層と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、前記繊維集合層は、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維存在領域と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方が存在しない繊維非存在領域とが隣接して形成されている。
【選択図】図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨てオムツや使い捨てパンツなどの使い捨て吸収性物品に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、使い捨ておむつ、使い捨てパンツ、生理用ナプキンなどの吸収性物品を用いる衛生材料の分野において、特に、中・軽度の失禁者に対する薄型で快適な吸収性物品の開発が求められている。上記中・軽度の失禁を対象とする使い捨て吸収性物品としては、着用者の歩行の動作を妨げることなく、より薄型で、はき心地のよいパンツ型の吸収性物品が求められる場合が多い。
【０００３】
従来から使用されている吸収性物品は、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートとの間に吸収体を備えてなるものであり、この吸収体としては、解繊パルプ繊維、吸水性樹脂粉末、熱可塑性繊維などをマット状に形成し、薄葉紙などで包み込んで固着した吸収マットが用いられてきた。
【０００４】
上記吸収マットを備えた吸収性物品では、吸収性能を維持したままはき心地を向上させるため、吸収マットを構成する解繊パルプ繊維量を少なくすると共に、吸収性樹脂粉末量を多くして吸収マットの薄型化を図ることが行われている。
【０００５】
しかしながら、吸収マット中の吸収性樹脂粉末量を多くして吸収性能を高めた場合には、尿などの排泄物を吸収して膨潤した吸収性樹脂粉末によって吸収マットが型くずれを起こし易くなる傾向があった。
【０００６】
これまでに、超薄型で、吸水後に型くずれを起こさない吸収性物品として、不織布以外のパルプ繊維を含まず吸水性樹脂粉末がウェブ状のホットメルト接着剤と共に２枚の不織布間に設けられた構成の使い捨て製品用の吸水用積層体が報告されている（特許文献１）。
【０００７】
かかる技術においては、吸水性樹脂粉末がウェブ状のホットメルト接着剤によって堅固に保持されるので型くずれを起こす心配が無い上に、パルプ繊維が含まれていないので、超薄型で着用者にとって快適な吸収性物品が提供されている。しかしながら、上記吸水用積層体では、主に吸収性能を発揮する成分は吸水性樹脂粉末であるため、パルプ繊維を吸収体の主成分とする従来の吸収マットと比較すると、吸水速度に劣る場合があった。
【０００８】
また、吸収量を確保するために該吸水用積層体を多数用いても、下側の吸水用積層体へ排泄物をうまく誘導できず、吸水性樹脂の吸水能力を十分発揮させることができないおそれがあった。
【０００９】
【特許文献１】
国際公開第０１／８９４３９号パンフレット
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような事情に着目してなされたもので、その目的は、体液を吸収しても型くずれを起こし難く、かつ、吸水速度が速く、快適な着用感を有する吸収マットを備えた使い捨て吸収性物品を提供することにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明の使い捨て吸収性物品は、液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備する使い捨て吸収性物品であって、前記吸収マットは、吸水性樹脂粉末を含んでパルプ繊維を含まないシート状吸水層と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、前記繊維集合層は、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維存在領域と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方が存在しない繊維非存在領域とが隣接して形成されているところに要旨を有するものである。
【００１２】
このような構成を採用することで、着用者から排出された体液を速やかに吸収することができる。
【００１３】
前記繊維集合層は、不織布シート間に、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維存在領域と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方が存在しない繊維非存在領域とが隣接して形成されているのが好ましい。
【００１４】
前記シート状吸水層は、不織布シート間に、吸水性樹脂粉末を含む複数の吸水性樹脂粉末存在領域と、吸水性樹脂粉末非在領域とが隣接して形成されたものであるのが好ましい。
【００１５】
また、前記繊維集合層の繊維非存在領域の上側に、前記シート状吸収層の吸水性樹脂粉末非存在領域の全部または一部が位置するようにシート状吸水層と繊維集合層とを積層することで、一層速やかな吸収速度を実現できる。
【００１６】
また、前記繊維集合層の不織布シート同士が、繊維非存在領域において溶着されており、前記シート状吸水層の不織布シート同士が、吸水性樹脂粉末非存在領域において溶着されていることが推奨される。
【００１７】
さらに、前記繊維集合層における繊維非存在領域は吸収性物品の長手方向に形成され、且つ、弾性部材が該長さ方向に沿って伸張状態で、繊維集合層における繊維非存在領域に接合されているか、または繊維集合層の繊維非存在領域下側の裏面シートまたは、裏面シートに他のシートを介して接合されているものも本発明の好ましい実施形態である。
【００１８】
【発明の実施の形態】
本発明に係る使い捨て吸収性物品は、液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備するものであって、本発明の最大の特徴は、前記吸収マットが、吸水性樹脂粉末を含んでパルプ繊維を含まないシート状吸水層と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、前記繊維集合層は、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維存在領域と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方が存在しない繊維非存在領域とが隣接して形成されているところにある。
【００１９】
上述のような構成の吸収マットを採用することで、体液を吸収しても型くずれし難く、また、吸収速度が速い吸収性物品とすることができたのである。
【００２０】
図１および図２に、本発明の吸収性物品に用いられる吸収マットの代表的な実施形態を示した平面図、および、図１中Ｘ−Ｘ線部分の断面模式図を示す。図１、図２において、１は吸収マット、２は繊維集合層、３はシート状吸水層を示している。
【００２１】
まず、上記吸収マットを構成する繊維集合層について説明する。
【００２２】
上記繊維集合層２は、本発明にかかる吸収マット１において、上記シート状吸水層３の下部に設けられるものであり、前記吸収マット１が具備される吸収性物品が十分な吸水性能を確保すると共に、速やかな吸収を実現するために不可欠なものである。
【００２３】
図３、４に繊維集合層の一部切欠き斜視図および断面模式図を示す。繊維集合層２は、上側被覆シート２１と下側被覆シート２２間に、パルプ繊維２４と吸水性樹脂粉末２３の両方が包み込まれてなるものである。本発明に係る吸収性物品では、着用者に違和感を与えることなく、且つ、十分な吸水性能を有する薄型の吸収性物品とするため、後述するシート状吸水層３に加えて、繊維集合層２にも一定量の吸水性樹脂粉末を含有させている。
【００２４】
ここで、２ａは幅方向両端部の繊維非存在領域（両端部領域２ａ）で、２ｂはパルプ繊維も吸水性樹脂粉末も実質的に存在しない繊維非存在領域であり（中間領域２ｂとする）、２ｃはパルプ繊維および吸水性樹脂粉末の両方が存在する繊維存在領域である。つまり、繊維集合層２における繊維存在領域２ｃは、上側（下側）被覆シートの長手方向には連続して、幅方向には繊維非存在領域によって隔てられて存在している。
【００２５】
上記上側被覆シート２１と下側被覆シート２２は繊維非存在領域２ａおよび２ｂにおいて接合されている。なお繊維非存在領域２ｂ（間隔部２５）は、前記繊維非存在領域２ｂ部分に位置する上側および下側被覆シート２１、２２をホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールなどの手段でシールすることにより形成してもよい。
【００２６】
この繊維集合層２の厚みは特に限定されないが１〜８ｍｍが好ましい。
【００２７】
次に、上記シート状吸水層３について説明する。図５および図６に、本発明に係るシート状吸水層の代表的な実施形態を示した一部切欠き斜視図および断面模式図を示す。シート状吸水層３は、第１不織布シート３１と、これとほぼ同面積、同形状の第２不織布シート３２との間に、吸水性樹脂粉末３３が挟持されており、この吸水性樹脂粉末３３は、第１不織布シート３１上に塗布した第１接着剤層Ｓ１と、第２不織布シート３２上に塗布した第２接着剤層Ｓ２によって各不織布シートに固着されている。
【００２８】
ここで、３ａはシート状吸水層幅方向両端部の吸水性樹脂粉末非存在領域（両端部領域３ａとする）で、３ｂはシート状吸水層中間部に設けられた吸水性樹脂粉末非存在領域（中間領域３ｂとする）であり、３ｃが吸水性樹脂粉末存在領域である。つまり、図５において吸水性樹脂粉末存在領域３ｃは、不織布シート３１、３２の長手方向に連続して、幅方向には吸水性樹脂粉末非存在領域３ｂにより隔てられて複数存在している。
【００２９】
そして、第１および第２不織布シート３１、３２は、吸水性樹脂粉末が存在しない両端部領域３ａおよび中間領域３ｂにおいて接合されている。すなわち、上記吸水性樹脂粉末存在領域３ｃは、封止部３５によって、隣接する吸水性樹脂粉末存在領域３ｃとは画成されることとなる。なお、図５、６では、接着剤層Ｓ１、Ｓ２は、吸水性樹脂粉末存在領域３ｃにのみ配設する例を示したが、吸水性樹脂非存在領域にも配設してもかまわない。また、封止部３５は、ヒートシールや超音波接合等の手段によってシールすることにより形成してもよい。
【００３０】
上記繊維集合層２の上側に上記シート状吸水層３を積層して、シート状吸水層３が吸収性物品の着用者の肌側となるようにすることで吸収マット１が得られる。
【００３１】
図２に示したように、吸収マット１は、繊維集合層２の間隔部２５（繊維非存在領域２ｂ）の上側にシート状吸水層３の中間領域３ｂに相当する封止部３５の全部または一部が位置するように積層するのが好ましい。このように構成することで、吸水速度を向上させることができるからである。
【００３２】
すなわち、着用者から排泄された体液は、シート状吸水層３の吸水性樹脂粉末３３に吸収されるのと同時に封止部３５を通じて下側の繊維集合層２へと移動する。繊維集合層２へ到達した体液の一部は、繊維集合層２に吸収され、一部は繊維集合層２の間隔部２５を通じて、さらに最下層にある不透液性のバックシートにまで到達する。そして、バックシートに到達した体液は、繊維集合層２の間隔部２５と液不透過性のバックシート１２との間の空隙４（図１５参照）を通じて、吸収マット１の長さ方向に拡散されながら繊維集合層２に吸収される。このように、間隔部２５と封止部３５が上下に対向する積層状態とすることで、シート状吸水層３や繊維集合層２に吸収されるのを待つことなく、排出された体液を速やかに吸収マット１の下側へと移動させて吸収マット内に拡散させることができる。このため、シート状吸水層３の下側の繊維集合層２においても体液の排出とほぼ同時に吸水させることができる。この結果、吸収速度を速めることができるのである。
【００３３】
もちろん上記繊維集合層２における間隔部２５とシート状吸水層３における封止部３５が、図２に示したように全て一致していればより速やかな吸収が実現できるため好ましいが、例えば図７ａ、７ｂに示すように上記間隔部２５と封止部３５の一部とが上下に位置する関係であればよい。図７ａでは、シート状吸水層３の封止部３５を通った体液は、下側に存在する繊維集合層２の間隔部２５を通過して速やかに最下層にまで移動し、シート状吸水層３の中央部分に存在する封止部３５を通った体液は、その下側に存在する繊維集合層２に吸収され、さらに間隔部２５によって拡散される。より吸収速度を高めるためには、図７ｂに示すように着用者の排泄部の真下に相当する部分に、間隔部２５と封止部３５が位置するようにするのが好ましい。
【００３４】
ただし、シート状吸水層３の両端部領域３ａの下側には、繊維存在領域２ｃが存在するのが好ましい。着用者が横向きの姿勢をとった場合などに、吸収性物品の端部に流れた体液を吸収して横漏れを防止することができるからである。
【００３５】
さらに、本発明に係る吸収マット１は、これを構成するシート状吸水層３中の吸水性樹脂粉末３３が体液を吸収し膨潤することで以下に示す▲１▼〜▲３▼の特徴も有している。
【００３６】
▲１▼吸水性樹脂粉末３３の吸水・膨潤によりシート状吸水層３が膨張することで、一旦吸収された体液のウェットバックを防ぐことが可能となる。
【００３７】
図８に、本発明に係る吸収マット１が体液を吸収した状態を示す。ここで、２は上述した繊維集合層であり、３はシート状吸水層を示している。図８に示したように、シート状吸水層３の吸水性樹脂粉末３３は、着用者から排泄された体液を吸収して膨潤する。このとき、吸水性樹脂粉末３３は、封止部３５、３５で区切られた吸水性樹脂粉末存在領域３ｃの不織布シート３１、３２が許容する伸びの範囲においてその体積を増し、シート状吸収層３の厚みを増大させる。その結果、シート状吸水層３の下部に設けられた繊維集合層２と着用者の肌との距離が大きく開くことになる。
【００３８】
尚、繊維集合層２は、その繊維間に多数の空間を有しており、また、繊維集合層２中の吸水性樹脂粉末２３は、一箇所に集中することなく分散して存在している。従って、吸水時には、上記空間が繊維あるいは吸水性樹脂２３の膨潤スペースとなるため、体液の吸収前後において、繊維集合層２が、その厚みを極端に変化させることは無い。
【００３９】
一般に、吸収性物品における逆戻り（ウェットバック）の現象は、該物品に具備される繊維集合層に由来するものである。繊維集合層は、排出された体液を、主として、その繊維間の空間において保水している。従って、繊維間に保水された体液は、繊維集合層が何らかの押圧を受けることによって、容易に繊維集合層表面に染み出してくるのである。これに対して、吸水性樹脂は、吸収した体液を、吸水性樹脂内部に強固に保持しており、樹脂が押圧された場合であっても、一度吸収した体液が、再び樹脂表面に染み出すことは非常に少ない。
【００４０】
つまり、本発明の吸収性物品では、上述のように一度体液を吸収すると、シート状吸水層３の厚みが吸水性樹脂３３の膨潤により増大するので、最終保水層である繊維集合層２を着用者の肌から遠ざけることができ、繊維集合層２が押圧された場合であっても、繊維集合層２から染み出した体液が、この厚みを増したシート状吸収層３を超えて表面シート９（図１５参照）にまで到達するのは困難となって、体液の逆戻りを効果的に抑制するのである。
【００４１】
▲２▼繊維集合層とシート状吸水層間に生じる空隙により体液を拡散・吸収させることができる。
【００４２】
繊維集合層２の間隔部２５及びシート状吸水層３の封止部３５を、互いに向き合うように位置させることで吸収速度を速めることができるのは上述した通りである。これに加えて、例えば、繊維集合層２の繊維存在領域２ｃの上側にシート状吸水層３の吸水性樹脂粉末非存在領域３ａ、３ｂが存在する場合には、吸水性樹脂粉末非存在領域３ａ、３ｂに設けられた封止部３５は、吸水性樹脂粉末３３の膨潤に伴い、吸水前の位置から徐々に、厚み方向の上側へと上昇する。その結果、繊維集合層２と該封止部３５との間には空隙５が生じる（図８参照）。こうして生じた空隙５は、封止部３５を通じてきた体液あるいは押圧を受けた繊維集合層２から染み出した体液を、該空隙部分を通じて吸収性物品の長さ方向へと拡散できるため、この空隙５によっても逆戻りを防止することができる。
【００４３】
繊維集合層２とシート状吸水層３との間に生じる空隙５は、特に２回目以降に排出された体液を吸収する際に有効に機能する。すなわち、シート状吸水層３が、既にある程度の体液を吸収している場合、ここへ新たな体液が排出されても、もはや吸収可能な水分量は限られており、当該部分は許容量を越えて吸水を行うことはできない。このような場合、シート状吸水層３の下側に上述のような空隙５が存在すれば、吸収されなかった体液を、空隙部分を通じて、繊維集合層２内の未だ吸水の余地を有する部分へと拡散させることができる。
【００４４】
▲３▼さらに、シート状吸水層３は、繊維集合層２側からシート状吸水層３上側への体液の通過を防ぐことでも、逆戻りの防止に寄与する。すなわち、体液吸収時、シート状吸水層３における吸収性樹脂粉末領域３ｃは、膨潤した吸水性樹脂粉末３３が密に詰まった状態となっており、このような領域は非常に液体を通過させにくいのである。
【００４５】
尚、この膨潤した吸収性樹脂粉末存在領域３ｃは、繊維集合層からの体液が逆戻りするのを防止するのと同時に、新たに排出された体液のシート状吸水層の透過も妨げてしまうこともある。しかしながら、本発明に係るシ−ト状吸収層３には、封止部３５（中間領域３ｂ）を設けており、この封止部３５には吸水性樹脂が存在しないか、あるいは存在していても極わずかな量であるので、新たに排出された体液は、封止部３５を通って速やかに下側の繊維集合層２へ移行することができるため、２回目以降の排出液も確実に吸収することができる。
【００４６】
以上のように本発明では繊維集合層２とシート状吸水層３を上記構造とすることにより、吸収速度を向上できることに加えて、２回目以降の排出液も速やかに吸収でき、さらに、体液の逆戻りをより低レベルに抑え、着用者の肌が汚染されるのを防いで、清潔に保つことができる。
【００４７】
なお、シート状吸水層３は吸収性樹脂粉末からなる比較的剛性の高い層であるため、吸収マット１が着用者の動きによってもまれるような場合であっても、上記シート状吸水層３の剛性によって、繊維集合層２がよれたりその形状が破壊するのを防ぎ、吸収マット１全体としての形態を保持するのにも寄与する。
【００４８】
本発明に係る繊維集合層２は、吸水性を確保するための解繊パルプ繊維、保形成を高めるための熱融着性繊維と共に、これらの繊維中に分散された吸水性樹脂粉末を含むものである。この解繊パルプ繊維としては、公知のパルプ繊維を用いることができ、熱融着性繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維や複合繊維等を用いることができる。また、保形性を高めるために、さらにレーヨンやコットンなどの親水性繊維を加えてもよい。
【００４９】
上記繊維集合層２中に分散させる吸水性樹脂粉末としては、公知の吸水性樹脂が使用でき、例えば、ポリアクリル酸系、セルロース系、でんぷん・アクリロニトリル系などの吸水性樹脂が挙げられる。吸水性樹脂粉末の量は、繊維集合層に使用する解繊パルプ繊維量に対して７０質量％以上、１２０質量％以下とするのが好ましい。吸水性樹脂量が１２０質量％を超えると、樹脂が多すぎて全体として硬い印象となり、また膨潤した吸水性樹脂が型くずれの原因となることもあるため好ましくない。一方７０質量％未満では、吸水性樹脂粉末量が少なすぎて、薄型の吸収性物品として十分な吸収量が得られ難くなる。
【００５０】
上記繊維および吸水性樹脂粉末を混合して一体型に形成するか、繊維を成型した後、吸水性樹脂粉末を散布して繊維集合層とする。一体型とした繊維集合層は、加熱しながら機械的な押圧を加え、その形状を安定化させるのが好ましい。その後、繊維非存在領域に該当する部分をくりぬき、全体を被覆シートで包む。あるいは、繊維存在領域を構成する繊維部分を予め作製しておいて、被覆シート上に繊維存在領域と繊維非存在領域が存在するように並べた後、被覆シートによって包んでもよい。なお、繊維集合層２は、図３に示したように上下の被覆シートに挟持された形態であってもよく、また１枚の被覆シートで全体を包んだものであってもよい。また、このときホットメルト接着剤などを用いて繊維集合層を被覆シートに固定してもよい。
【００５１】
なお、繊維非存在領域２ｂは、本発明に係る吸収性物品の長手方向に沿って直線状に伸びる形態のほかに、図９ａに示すようなジグザグ状に設けてもかまわない。繊維非存在領域２ｂ（または間隔部２５）がジグザグ状であれば、直線状に設けられる場合に比べて間隔部２５と繊維存在領域２ｃとの接触面積が大きくなるため、体液の拡散が一層促進されるからである。
【００５２】
なお繊維集合層２は、繊維非存在領域２ｂの存在によって、繊維集合層２の幅方向に曲がり易くなっているため着用者の体型に追従し易くなっているが、さらに着用時のフィット感を向上させるために、繊維非存在領域２ｂの長手方向に沿って弾性部材６を伸張状態で接合・固定してもよい（図１０）。弾性部材６の収縮作用により、間隔部２５の上・下側の被覆シートが収縮して着用者の動きに追従し易くなり、フィット感が向上する。また、弾性部材６が収縮することで吸収マットを上へ持ち上げる力が働き、着用者と吸収性物品との間に隙間が生じるのを防いで、横漏れを防止することができる。
【００５３】
上記弾性部材６は、繊維集合層２の繊維非存在領域２ｂの上および下側被覆シート２１、２２に挟んで固定すればよい。固定方法は限定されず、熱溶融接着、超音波溶融接着、ホットメルト接着剤による固定などが挙げられる。これらの中でも、ホットメルト接着剤により固定するのが好ましい。弾性部材６は、通常使い捨ておむつに用いられる弾性部材であればよく、例えばポリウレタンや天然ゴムなどが挙げられ、これらを糸条あるいはフィルム状として用いることができる。
【００５４】
なお、弾性部材６は上述のように繊維集合層の繊維非存在領域以外に、後述する吸収性物品を構成する被覆シート間などに設けることもできる（図１５ｂ〜１５ｄ参照）。
【００５５】
上記被覆シート２１，２２は、ティッシュペーパーやプラスティックフィルムなど体液を透過し得るものであればよく、例えば、セルロース、レーヨン、コットンなどの親水性繊維を用いた不織布材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドなどの疎水性繊維を使用した不織布でその表面を界面活性剤により処理して透液性としたもの、あるいは、開孔を有するプラスティックフィルム等、通常使い捨ておむつに使用される透液性のシート材料が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンを主原料とした不織布が好ましい。特に、繊維径１．０〜３．０デシテックスの細い繊維からスパンボンド法によって形成された不織布は透水性に優れるため好ましい。
【００５６】
繊維集合層２を被覆シートによって包んだ後、繊維非存在領域２ｂにおける被覆シートを接合し、あるいは、接合した後、ヒートシール、超音波シールなどによって間隔部２５を形成する。間隔部２５は少なくとも隣接する各繊維存在領域２ｃが夫々独立して存在するように設けなければならない。このようにすることで繊維集合層２が吸水した場合であっても、その形状を保持することができる。
【００５７】
間隔部２５は、吸水により破壊されない程度の強度を有している必要があり，このような間隔部２５の形成手段としては、ヒートシール、ホットメルト接着剤による接合、超音波接合、縫合などが挙げられる。なお上記間隔部は、繊維非存在領域に沿って連続的に接合してもよいが、図９ｂに示すように断続的に接合した間隔部としてもよい。
【００５８】
尚、繊維集合層２の全体的な平面形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、ひょうたん型や長方形、砂時計型など種々の形状が挙げられる。
【００５９】
本発明に係るシート状吸水層３の第１不織布シート３１と第２不織布シート３２には、液透過性の不織布が用いられるが、この不織布としては上記繊維集合層で用いたものと同様のものが使用可能である。また、封止部３５をヒートシールにより形成する場合は、ヒートシール性の不織布を用いるとよい。なお、不織布シート３１、３２は複数の不織布が積層されたものであってもよい。
【００６０】
上記不織布シート３１、３２に設けられる接着剤層Ｓ１、Ｓ２は、吸水性樹脂粉末３３を各シート３１，３２へ付着させるための層である。従って、この接着剤層Ｓ１、Ｓ２は、吸水性樹脂粉末３３の脱落を防ぎつつも、吸水、膨潤を阻害することなく、また使用時の通気性をも確保するために、網状に形成するのが好ましい。
【００６１】
接着剤層Ｓ１、Ｓ２を網状体に形成するには、複数のノズルから溶融状態の接着剤を糸状に吐出する方法（カーテンスプレー法、スパイラルコーティング法）が簡便で望ましい。具体的には、複数の小さな吐出孔群が直線状に配列され、各吐出孔近傍に加熱空気を高速で噴出することのできるエアー噴出口を供えたカーテンスプレーコーターを利用すれば、吐出孔から線状に吐出された溶融状態の接着剤にエアーを吹き付けることにより、多数の細繊維状の接着剤がランダムに付着しあった網状の集合体として塗布することができる。また、ホットメルト接着剤吐出孔近傍に、ノズル中心方向にエアーを吹き出すことのできるエアー噴出口が３個以上点対称に備えられたスパイラルスプレーノズルガンを利用すれば、不織布上にらせん状の接着剤層を形成することができる。なお、図５においては、接着剤層Ｓ１をカーテンスプレー法で、Ｓ２をスパイラルコーティング法で塗布した例を示したが、図例に限定されず、接着剤層Ｓ１、Ｓ２は自由に形成することができる。
【００６２】
接着剤層Ｓ１とＳ２は、複数の接着剤塗布部を有する形態としても良く、または、不織布シート全面に接着層を塗布する形態としてもよい。
【００６３】
第１接着剤層Ｓ１と第２接着剤層Ｓ２に用いる接着剤としては、同種の、または異種のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレンなどのゴム系、ＳＩＳ、ＳＢＳ、ＳＩＢＳ、ＳＥＢＳ、ＳＥＰＳなどのスチレン系エラストマー、エチレン・酢酸ビニルコポリマー（ＥＶＡ）、ポリエステル、アクリル系、ポリオレフィン系エラストマーなどのホットメルト型接着剤が用いられる。吸水後の吸水性樹脂の脱落を防ぎ得る程度の接着力を有し、吸水性樹脂の膨潤に追従し得る程度の伸びやすさを有するものが好ましく、この点で、ゴム系やスチレン系エラストマーを用いるのが好ましい。
【００６４】
シート状吸水層３に用いる吸水性樹脂としては、上述の繊維集合層で使用したものと同様のものを用いることができる。
【００６５】
シート状吸水層３において、吸水性樹脂粉末存在領域３ｃは、その上下が不織布シート３１、３２で挟まれ、さらに、不織布シート３１、３２が吸水性樹脂非存在部において封止されるため、吸水性樹脂３３が膨潤できるスペースには限りがある。従って、本発明を適切に実施するためには、吸水性樹脂３３の散布量は、その存在領域に対して１００ｇ／ｍ^２以上、２５０ｇ／ｍ^２以下とするのが好ましい。１００ｇ／ｍ^２未満では十分な吸水性を確保することや、膨潤後に繊維集合層２と着用者の肌との間に十分な間隔を保つのが困難であり、一方、２５０ｇ／ｍ^２を超えて使用してもコストが増加するのみだからである。好ましくは１３０ｇ／ｍ^２以上、２２０ｇ／ｍ^２以下、より好ましくは１５０ｇ／ｍ^２以上、２００ｇ／ｍ^２以下である。
【００６６】
上述のようにして、接着剤層Ｓ１、Ｓ２を各不織布シート３１，３２に形成し、吸水性樹脂粉末３３を付着させて、不織布シート３１，３２を接合した後、吸水性樹脂粉末非存在領域３ａ、３ｂの全体あるいは一部を封止する。封止部３５は、少なくとも隣接する各吸水性樹脂存在領域３ｃ、３ｃが夫々独立して存在するように設けなければならない。なぜなら、吸水性樹脂３３は、膨潤して空間部に広がる性質を有する。従って、シート状吸収層に、吸水性樹脂非存在領域を形成しておいても、封止部が存在しない場合、吸水後にはシート状吸水層を構成する不織布シート間全面に膨潤した吸水性樹脂が広がり、繊維集合層との間に空隙を確保することができないのはもちろんのこと、膨潤した吸水性樹脂が、２回目以降に排出された体液の透過を阻害する。尚、封止部３５を形成する吸水性樹脂粉末非存在領域には、封止に影響の無い程度であれば吸水性樹脂粉末が存在していてもかまわない。
【００６７】
上記封止部は、樹脂の膨潤により破壊されない程度の強度を有している必要があり、このような封止部の形成手段としては、繊維集合層の場合と同様の手段が採用できる。なお、上記繊維集合層の間隔部と同様に、シート状吸水層に設ける封止部も、吸水性樹脂非存在領域に沿って直線的あるいは断続的に設けることができる。断続的にシールしたシート状吸水層の非シール部分は、吸水性樹脂粉末の膨潤時に伸び代として機能する。また、封止部の形状も直線状のみに限られず、ジグザグ状やその他の形状であってもよい（図９ａ，ｂ参照）。
【００６８】
また、上記両端領域３ａおよび中間領域３ｂ以外に、樹脂粉末非存在領域がシート状吸水層の幅方向に平行に設けられている場合、該領域を封止部としてもよい。このようにすれば、製造工程において、シート状吸水層３を切断するのが容易となるからである。
【００６９】
本発明の吸収性物品が具備する吸収マットは、繊維集合層２上にシート状吸水層３を重ねることにより形成される。吸収性物品使用時のよれや形態の変形を防ぐために、繊維集合層２とシート状吸水層３を、接着剤等の手段で接合し、固定しておいてもよい。ただし、吸水後に空隙５が形成されるのを妨げないように、また、吸収性物品の通気性等を確保するために、接着剤層は網状とするのが好ましい。このとき用いる接着剤としては、上記シート状吸水層３に用いたものと同様のものが使用可能である。
【００７０】
上記吸収マットは、十分な吸収量を確保するため、２層以上のシート状吸水層３および／または繊維集合層２からなる積層構造としてもよい。シート状吸水層３を２層以上の積層構造とする場合は、複数個のシート状吸水層３を単に積層してもよく、また、幅広のシート状吸水層３を折り返して、積層構造としてもよい。折り返し構造とする場合には、１枚のシート状吸水層３の幅方向中央で折り返す形態、幅方向端縁を下方あるいは上方に折り返す形態などの態様であれば、製造上簡便に積層構造を得ることができ、必要な吸収量を確保することができる。
【００７１】
上述のような積層構造を有するシート状吸水層３を採用する場合には、これを用いる吸収性物品の逆戻り量を低減し、速やかな吸収速度、拡散性を確保するため、シート状吸水層３の吸水性樹脂粉末存在領域３ｃが夫々重なるようにするのが好ましい。上下のシート状吸水層３において、吸水性樹脂粉末存在領域３ｃ同士が重なることで、膨潤後のシート状吸水層３の厚みが大きくなり、着用者の肌と繊維集合層との間隔がさらに大きくなるので、液体の逆戻り現象を抑える効果が大きくなる。吸水性樹脂粉末存在領域３ｃと封止部３５とが重なると、空隙５が有効に形成されず、２回目以降に排出された体液をスムーズに吸水することができない。なお、上述のような積層構造を安定に保つため、各シート状吸水層は、接合・固定しておくのが好ましい。
【００７２】
また、図１１に示すように、第１不織布シート３２と、中間不織布シート３４と、第２不織布シート３２の３枚の不織布シートの間に、接着剤層Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３に付着した吸水性樹脂層３を配したシート状吸水層３’も使用可能である。なお、接着剤層Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３の塗布形態はそれぞれ自由に選択することができ、多数の細繊維状のホットメルト接着剤がランダムに付着しあった網状であってもスパイラル状であってもよい。
【００７３】
このシート状吸水層３’には、厚み方向上下の吸水性樹脂粉末３３の層間に、不織布シートが１枚しか存在していないので、いくつかのシート状吸水層３を折り畳んだり積層したりする場合に比べて、製造工程が簡略化され、かつ、吸収性物品自体のコストを抑えることも可能となる。また、シート状吸水層３を折り返す場合に比べて、製造するシートは狭幅でよく、折り返し工程も不要となるため、製造スペースを省略することもできる。
【００７４】
一方、繊維集合層２を積層構造とする場合には、体液の拡散を速めるために、上下の間隔部２５の、全部または一部が重なるように積層することが好ましい（図１２）。また、繊維集合層２をあまり多く使用すると、吸収マットの厚みの増大につながり、着用者の股間部においてゴワゴワ感が増して、使用感を悪化させるので、適宜積層枚数を決定すればよい。
【００７５】
なお、上記繊維集合層２の間隔部２５あるいはシート状吸水層３の封止部３５のどちらか一方がジグザグ状である場合、例えば間隔部は直線状であって、封止部がジグザグ状であるときにも、上下の積層関係にある間隔部２５と封止部３５とが大部分において重なるようにするのが好ましい。
【００７６】
さらに、上記吸収マットの繊維集合層２の下側には、吸収マットと同様の面積を有する拡散用シートを配置してもよい。拡散用シートを設けることによって、吸収性物品の長手方向全域に亘って排水を拡散できるからである。上記拡散用シートとしては、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）などの疎水性繊維を界面活性剤によって処理した繊維を使用したエアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布などの透液性の不織布が好ましく、さらにレーヨン繊維やコットン繊維などの親水性繊維を含んでいればより好ましい。
【００７７】
次に、本発明の吸収性物品にかかる吸収マットの好ましい製造方法例について説明する。まず、前記シート状吸水層が長手方向に連続した連続シート状吸水層を専用のシート状吸水層製造ラインで製造し、所定の幅にカットした後、ロール状に巻き取る。前記シート状吸水層製造ラインとは別の製造ライン（これを吸収性物品製造ラインとすることが好ましい）で、吸収マットの下層に該当する繊維集合層の連続体（連続繊維集合層）を製造する。ついで、前記ロールから連続シート状吸水層を繰り出しながら、該シート状吸水層上の繊維集合層との接合面にホットメルト接着剤を塗布する。連続繊維集合層を走行させながら、その上に前記シート状吸水層を載置し、接合・一体化させる。得られた連続吸収マットを加圧プレスして、その形状を安定化させ、所望の大きさに切断することで個々の吸収マットが得られる。次いで、こうして得られた吸収マットを、従来公知の方法で、液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に配設して吸収性物品、または吸収性物品用吸収体とする。尚、上記シート状吸水層が繊維集合層より小面積の場合には、予め所定の長さに切断したシート状吸水層にホットメルト接着剤を塗布し、これを繊維集合層上の適当な箇所（例えば、吸収性物品の股間部に相当する中央領域）に転写して吸収マットとしてから、吸収性物品製造ラインへと導入してもよい。
【００７８】
また、吸収性物品１個ずつの繊維集合層を、パターンドラム等を用いてライン上で間欠的に製造する場合も、上述の場合と同様にして、予め所定の長さに切断したシート状吸水層と繊維集合層とを一体化させ、吸収マットとしてから、吸収性物品製造ラインへと導入し、吸収性物品を製造することができる。
【００７９】
上述のようにして得られた吸収マットは、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートとの間にシート状吸水層が表面シート側（着用者側）となるようにして吸収マットを挟み込んだ状態で使い捨ておむつや、尿取りパッドとして用いることができる。また、表面シート、裏面シートに吸収マットを挟み、これを使い捨てパンツの吸収体として用いることもできる。使い捨ておむつ、尿取りパッド、使い捨てパンツなどの使い捨て吸収性物品を製造する場合は、これらの公知の形状・構造を採用し、これらに用いられる公知の各種部材を取り付けることができる。
【００８０】
図１３、図１４および図１５に、本発明の吸収性物品の好適な実施形態として、使い捨てパンツを示す。図１３は使い捨てパンツ７の正面図、図１４は、図１３の使い捨てパンツを展開した状態の平面図であり、図１５（ａ）は図１４における吸収体８のみのＹ−Ｙ線断面図である。この使い捨てパンツ７の吸収体として、これまで説明した吸収マットが用いられている。この吸収体８は、液透過性の表面シート９と液不透過性の裏面シート１０との間にシート状吸水層３が表面シート９側（着用者側）となるようにして吸収マット１を挟み込んだ後、該吸収マット１の裾部から側部を覆うように液不透過性のサイドシート１１を設けてなるものである。
【００８１】
ここでサイドシート１１は、吸収マット１裾部の外方延出部に設けたフラップ部１２において、表面シート９および裏面シート１０と接合され、フラップ部１２の吸収マット１側において表面シート９を裏面シート１０とサイドシート１１とで挟み込むようにして接合されている（起立端部１３）。さらに、サイドシート１１は、起立端部１３から上方に立ち上がる起立部１４を有している。尚、サイドシート１１は、吸収体８の長さと略同等の長さを有しており、吸収体８の前および後端部において伏せられて、表面シート９の上面と接合されている（図示せず）。
【００８２】
上記起立部１４の先端は、吸収マット１の幅方向内側に折り返され（立体シール部１５）、該立体シール部１５内部には立体用弾性部材１６が伸張状態で添設されており、さらに立体シール部１５でサイドシート１１同士が接合されている。このような起立部１４は、吸収性物品１０着用時に、起立部端部１５を基端として、内方向端縁１６が着用者の肌に沿うように立ち上がり、股間部における体液の横漏れを防止する。
【００８３】
この吸収体８がパンツ形状を形成する積層シート１７の中央股下部に配設され、積層シート１７の両側部をヒートシールなどで接合することにより使い捨てパンツ７が形成される。積層シート１７は最外層シート１８とそのすぐ内側の内層シート１９で形成される。そして、着用時のフィット感を向上させると共に、着用者と吸収性物品との間に生じる隙間による尿漏れを防止するため、ウエスト開口部にはウエスト用弾性部材２０ａが、前腹領域Ａおよび後背領域Ｃには、ボディフィット用弾性部材２０ｂが最外層シート１８と内層シート１９との間に複数本伸張状態で添設されており、脚開口部の周縁に沿って複数本の脚用弾性部材２０ｃが伸張状態で添設されている。
【００８４】
なお、上述の繊維集合層２に設けた弾性部材６は、繊維集合層内に設ける場合に限られず、例えば、図１５ｂに示すように裏面シート１０上で繊維集合層２との間に設けてもよい。また、裏面シート１０の外側にもう１枚シート１０’を設けて２層構造として、これらのシート１０、１０’間に弾性部材６を挟み込んで設けてもよく（図１５ｃ）、弾性部材６を挟み込んだ別のシート６０を、裏面シート１０と積層シート１７との間に設けてもよい（図１５ｄ）。なお弾性部材６は、上記いずれの場合においても、繊維集合層２の繊維非存在領域２ｂに相当する位置に設けるのが好ましい。
【００８５】
上記液透過性の表面シート９としては、着用者からの体液（排泄物）を素早く捕捉し、吸収マット１へ移行させる必要があるため、透液性のシート材料を用いるのが好ましい。具体的には、セルロ―ス、レーヨン、コットンなどの親水性繊維を用いた不織布材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドなどの疎水性繊維を使用した不織布でその表面を界面活性剤により処理し透液性としたもの、あるいは、開孔を有するプラスティックフィルム等通常使い捨ておむつに使用される透液性のシート材料が挙げられる。
【００８６】
液不透過性の裏面シート１０としては、吸収マット１で吸収された体液が、吸収性物品１０の外側へ染み出すのを防ぐため、撥水性あるいは液不透過性のシート材料を用いるのが好ましい。より好ましくは、通常、使い捨ておむつに用いられる撥水性不織布材料（例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ＳＭＳ不織布など）やプラスティックフィルム（好ましくは通気性プラスティックフィルム）やこれらの複合材料が挙げられる。
【００８７】
上記サイドシート１１としては、上述の裏面シート１０と同様のものが用いられる。
【００８８】
表面シート９、裏面シート１０、サイドシート１１を接合するフラップ部１４およびサイドシート１１同士を接合する立体シール部１５は、ヒートシール、ホットメルト接着剤接合、超音波接合などの方法で接合すればよい。
【００８９】
起立部１４の先端内部に添設する立体用弾性部材１６および２０ａ〜ｃの弾性部材としては、通常使い捨ておむつに用いられる弾性部材であればよく、例えばポリウレタンや天然ゴムなどが挙げられ、これらを糸条あるいはフィルム状として用いることができる。尚、これらの弾性部材は、それぞれの添設部位に伸張状態で、熱融着接合、ホットメルト接着剤接合、超音波接合などの方法で固定される。
【００９０】
図１３〜１５ではパンツ型の吸収性物品を例として示したが、本発明はこれに限られるものではなく、使い捨ておむつや尿取りパッド、あるいはテープ付き使い捨ておむつなど、種々の吸収性物品が本発明の技術的範囲に含まれる。
【００９１】
上記本発明によれば、上述のような構造を採用することにより、吸収速度を向上し得たことに加えて、拡散性や吸収量を良好にし、さらに逆戻り性をより低レベルに抑えた吸収性物品を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる吸収マットを示す平面図である。
【図２】上記吸収マットの断面模式図である。
【図３】本発明にかかる繊維集合層を示した一部切欠き斜視図である。
【図４】上記繊維集合層の断面模式図である。
【図５】本発明にかかるシート状吸水層を示した一部切欠き斜視図である。
【図６】上記シート状吸水層の断面模式図である
【図７】本発明にかかる繊維集合層とシート状吸収層の積層状態を示す断面模式図である。
【図８】上記吸収マットの膨潤状態を示す断面模式図である。
【図９】本発明にかかる繊維集合層に設ける間隔部またはシート状吸水層に設ける封止部を示す平面図である。
【図１０】本発明に係る他の繊維集合層の断面模式図である。
【図１１】上記シート状吸水層の積層構造を示す断面模式図である。
【図１２】上記シート状吸水層の他の積層構造を示す断面模式図である。
【図１３】本発明の好適な使い捨てパンツの具体例を示す図である。
【図１４】上記使い捨てパンツの展開状態を示す平面図である。
【図１５】上記使い捨てパンツの吸収体のＹ−Ｙ線部における断面模式図である。
【符号の説明】
１吸収マット
２繊維集合層
２１上側被覆シート
２２下側被覆シート
２３吸水性樹脂粉末
２４パルプ繊維
２５間隔部
２ａ繊維非存在領域（両端部領域）
２ｂ繊維非存在領域（中間領域）
２ｃ繊維存在領域
３シート状吸水層
３１第１不織布
３２第２不織布
３３吸水性樹脂粉末
３５封止部
３ａ吸水性樹脂粉末非存在領域（両端部領域）
３ｂ吸水性樹脂粉末非存在領域（中間領域）
３ｃ吸水性樹脂粉末存在領域
４空隙
５空隙
６弾性部材
７使い捨てパンツ
８吸収体
９表面シート
１０、１０’ 裏面シート
１１サイドシート
１２フラップ部
１３起立端部
１４起立部
１５立体シール部
１６立体用弾性部材
１７積層シート
１８最外層シート
１９内層シート
２０ａウエスト用弾性部材
２０ｂボディフィット用弾性部材
２０ｃ脚用弾性部材
６０弾性部材挟持シート
Ａ前腹領域
Ｂ長さ方向中間部
Ｃ後背領域
Ｓ１、Ｓ２ホットメルト接着剤層

Claims

液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備する使い捨て吸収性物品であって、
前記吸収マットは、吸水性樹脂粉末を含んでパルプ繊維を含まないシート状吸水層と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、
前記繊維集合層は、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維存在領域と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方が存在しない繊維非存在領域とが隣接して形成されていることを特徴とする使い捨て吸収性物品。
前記繊維集合層は、不織布シート間に、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方を含む繊維存在領域と、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末の両方が存在しない繊維非存在領域とが隣接して形成されている請求項１に記載の使い捨て吸収性物品。
前記シート状吸水層は、不織布シート間に、吸水性樹脂粉末を含む複数の吸水性樹脂粉末存在領域と、吸水性樹脂粉末非在領域とが隣接して形成されている請求項１または２に記載の使い捨て吸収性物品。
前記繊維集合層の繊維非存在領域の上側に前記シート状吸水層の吸水性樹脂粉末非存在領域の全部または一部が位置するように、シート状吸水層と繊維集合層とが積層されている請求項１または２に記載の使い捨て吸収性物品。
前記シート状吸水層の不織布シート同士が、吸水性樹脂粉末非存在領域において溶着されている請求項１〜４のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。
前記繊維集合層における繊維非存在領域は吸収性物品の長手方向に形成され、且つ、弾性部材が該長さ方向に沿って伸張状態で繊維集合層における繊維非存在領域に接合されているものである請求項１〜５のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。
前記繊維集合層における繊維非存在領域は吸収性物品の長手方向に形成され、且つ、弾性部材が該長さ方向に沿って伸張状態で繊維集合層の繊維非存在領域下側の裏面シート、または、裏面シートに他のシートを介して接合されているものである請求項１〜５のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。