JP2008284167A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】排泄液の吸収性に優れた吸収性物品を提供する。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備え、吸収体22とバックシート20との間に拡散シート23が配置されており、この拡散シート23は、拡散シート23の着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体22の側縁よりも外側に延出するように配置され、トップシート18は、吸収体22の表面を被覆するとともに、拡散シート23の表面における吸収体22の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備え、吸収体22とバックシート20との間に拡散シート23が配置されており、この拡散シート23は、拡散シート23の着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体22の側縁よりも外側に延出するように配置され、トップシート18は、吸収体22の表面を被覆するとともに、拡散シート23の表面における吸収体22の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、吸収性物品に関する。更に詳しくは、排泄液の吸収性に優れた吸収性物品に関する。
吸収性物品は、尿などの排泄液を吸収する使い捨ておむつ(例えば、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、尿パッド等)や、経血を吸収する生理用ナプキン、おりものを吸収するおりものシートなどで利用されている。例えば、乳幼児用、或いは高齢者・障害者等の成人用の吸収性物品として、トップシートと、バックシートと、両シートの間の一部に介装された吸収体とを備えた使い捨ておむつが用いられている。
このような吸収性物品、例えば、使い捨ておむつは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、排泄液の外部への漏洩が防止されるというものである。
従来の吸収性物品では、トップシートから浸透した排泄液を、吸収体の表面側(着用者の肌側)から、吸収体の吸収速度に合わせて吸収していた。しかしながら、吸収体の吸収速度を超える排泄速度、又は一度に大量の排泄液が排泄された場合は、トップシート上を排泄液が流れていくという現象が起きていた。このような場合には、吸収されずトップシート上を流れた排泄液は、吸収性物品の外へ漏れてしまうということもあった。
一方、吸収性物品のトップシート側、即ち、吸収体の表面側から順次吸収される排泄液は、吸収体の厚さ方向で、吸収体の表面側に多く偏在し易かった。このため、着用者が体圧を掛けた場合等において、トップシート側から排泄液が逆戻りし易く、不快なだけでなく、かぶれ等の原因ともなっていた。
このようなことから、トップシートと吸収体の間に拡散層を配置した吸収性物品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、吸収体に吸収しきれない排泄液を拡散層内で分散させ、一時的に排泄液を保持するとともに、より広い範囲で分散吸収を促すことで、吸収速度を早めて、トップシート上での排泄液の流れを防いで、液漏れを防止するという効果があった。
しかしながら、トップシートと吸収体の間に拡散層を配置した従来の吸収性物品においては、吸収体のトップシート側の表面における吸収面積を広げるだけであり、拡散した排泄液は吸収体の表面からのみ吸収されるということは、拡散層のない吸収性物品と変わらないため、排泄液がトップシート側に偏在してしまい排泄液が逆戻りしやすいという問題は解決されていなかった。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、排泄液の吸収性に優れた吸収性物品を提供するものである。
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、吸収体とトップシートとバックシートとを備えた吸収性物品において、吸収体とバックシートとの間に拡散シートを配置し、拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部を、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の吸収性物品が提供される。
[1] 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品であって、前記吸収体と前記バックシートとの間には拡散シートが配置されており、前記拡散シートは、前記拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置され、前記トップシートは、前記吸収体の表面を被覆するとともに、前記拡散シートの表面における前記吸収体の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている吸収性物品(以下、「第一の吸収性物品」ということがある)。
[2] 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品であって、前記吸収体は、前記トップシート側に配置された第一の吸収体と、前記第一の吸収体の裏面側に配置され、前記第一の吸収体よりも少なくとも着用時における股下部が幅広に形成された第二の吸収体とを有し、前記第一の吸収体と前記第二の吸収体との間には拡散シートが配置されており、前記拡散シートは、前記拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置され、前記トップシートは、前記第一の吸収体の表面を被覆するとともに、前記拡散シートの表面における前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている吸収性物品(以下、「第二の吸収性物品」ということがある)。
[3] 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品であって、前記吸収体は、前記トップシート側に配置された第一の吸収体と、前記第一の吸収体の裏面側に配置され、前記第一の吸収体よりも少なくとも着用時における股下部が幅広に形成された第二の吸収体とを有し、前記第一の吸収体と前記第二の吸収体との間には拡散シート(第一の拡散シート)が配置され、且つ前記第二の吸収体と前記バックシートとの間には拡散シート(第二の拡散シート)が配置されており、前記第一の拡散シートは、前記第一の拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置されるとともに、前記第二の拡散シートは、前記第二の拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記第二の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置され、前記トップシートは、前記第一の吸収体の表面を被覆するとともに、前記第一の拡散シートの表面における前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出している部位と、前記第二の拡散シートの表面における前記第二の吸収体の側縁よりも外側に延出している部位とを被覆するように配置されている吸収性物品(以下、「第三の吸収性物品」ということがある)。
[4] 前記拡散シートは、この前記拡散シートの表面側に配置された前記吸収体よりも液透過性の高いものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の吸収性物品。
[5] 前記拡散シートの前記側縁の延出部分の最大幅が、10〜50mmである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の吸収性物品。
本発明の吸収性物品(第一〜第三の吸収性物品)は、排泄液の吸収性に優れたものである。即ち、本発明の吸収性物品は、排泄液を吸収体のトップシート側の面(表面)における排泄部位にて吸収するとともに、吸収体(第二及び第三の吸収性物品においては、第一の吸収体)の表面にて吸収しきれずに股下部の側縁側に流出した排泄液を、吸収体(第一の吸収体)の裏面側に配置された拡散シート(第三の吸収性物品においては、第一の拡散シート)に浸透させて、この拡散シート(第一の拡散シート)を経由させて吸収体(第一の吸収体)の裏面から排泄液を吸収することができる。このように、排泄液をより広い領域で吸収することができるため、本発明の吸収性物品は、排泄液の吸収速度が高く、吸収性に優れている。また、吸収体の側縁側に流出した排泄液を拡散シートによって捕捉することができるため、脚周り等からの液漏れを有効に防止することができる。更に、トップシート側への水分の偏在を防止し、逆戻りによる不快感を軽減することができる。
また、第二及び第三の吸収性物品は、上記した第一の吸収体に配置された拡散シートの裏面に、第二の吸収体を更に有しているため、吸収性物品の吸収性を更に向上させることができる。
更に、第三の吸収性物品は、第二の吸収体の裏面側に第二の拡散シートが配置されているため、この第二の拡散シートを経由させて、第二の吸収体の裏面からも排泄液が吸収される。このため、排泄液の吸収速度が更に高くなり、より吸収性に優れている。
以下、本発明の吸収性物品(第一〜第三の吸収性物品)を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える吸収性物品を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
[1]吸収性物品:
本発明の吸収性物品(第一〜第三の吸収性物品)は、吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品である。
本発明の吸収性物品(第一〜第三の吸収性物品)は、吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品である。
このような吸収性物品は、尿などの排泄液を吸収性する使い捨ておむつ(例えば、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、尿パッド等)や、経血を吸収する生理用ナプキン、おりものを吸収するおりものシート等として利用することができる。
[1−1]第一の吸収性物品:
本発明の第一の吸収性物品は、図1〜図3に示す吸収性物品1のように、吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えた吸収性物品1である。
本発明の第一の吸収性物品は、図1〜図3に示す吸収性物品1のように、吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えた吸収性物品1である。
本発明の第一の吸収性物品1は、吸収体22とバックシート20との間に、拡散シート23が配置されており、この拡散シート23は、拡散シート23の着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体22の側縁よりも外側に延出するように配置され、トップシート18は、吸収体22の表面を被覆するとともに、拡散シート23の表面における吸収体22の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている。なお、上記した「股下部」とは、吸収性物品を着用した際に、着用者の股下を覆う部分を意味するものとする。
ここで、図1は、本発明の第一の吸収性物品の一の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、第一の吸収性物品をトップシート側から見た状態を示す図である。また、図2は、図1に示す第一の吸収性物品をA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図3は、図1に示す第一の吸収性物品をB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
このように、本発明の第一の吸収性物品は、排泄液を吸収体のトップシート側の面(表面)にて吸収するとともに、吸収体の表面にて吸収しきれずに吸収体の側縁側に流出した排泄液を、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置された拡散シートの股下部の側縁部に浸透させて、拡散シートを経由させて吸収体の裏面から吸収することができる。このように、第一の吸収性物品は、実際に排泄液と接触し、その排泄液を吸収する部位の面積を増大させることが可能であり、吸収体の吸収速度を大きく向上させることができる。このため、本発明の第一の吸収性物品は、従来では処理することのできなかった大量の排泄液や、排泄速度の速い排泄液を良好に吸収し、液漏れを防止することができる。
更に、上記したように吸収体の裏面からも排泄液を直接吸収することができるため、吸収された排泄液が吸収体の表面側(即ち、着用者の肌側)に偏在することがなく、吸収した排泄液が逆戻り(液戻り、ともいう)し難いため、べた付きが少なく、良好に使用することができる。
なお、特に限定されることはないが、本発明の第一の吸収性物品においては、拡散シートとして、拡散シートの表面側に配置される吸収体よりも液透過性の高いシートを用いることが好ましい。このように構成することによって、股下部の側縁側に流出した排泄液を素早く拡散シートに浸透させることができる。拡散シートと吸収体との液透過性を比較する方法としては、以下に挙げる方法を用いることができる。
まず、本発明の第一の吸収性物品に用いる吸収体と、この吸収体の上面に拡散シートを配置した吸収体との、二種類の吸収体を用意する。それぞれの吸収体をトップシートとバックシートとの間に介装させて、排泄液に見立てた同量の生理食塩水を吸収させ、全ての生理食塩水が吸収体に吸収されるのにかかる時間(吸収時間)を測定する。
吸収体の上面に拡散シートを配置した吸収体のほうが吸収時間が短い場合には、拡散シートの液透過性が、吸収体よりも高いということであり、逆に、吸収体単体のほうが吸収時間が短い場合には、拡散シートの液透過性が、吸収体よりも低いということである。
[1−1a]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、トップシートとバックシートとの周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されているか、前記トップシートとバックシートとのうちの少なくとも一方により吸収体縁部が包まれている。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体全体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。
なお、図1〜図3においては、吸収体22として、砂時計型の吸収体を用い、この吸収体22の股下部における括れた側縁よりも外側に、拡散シート23の股下部における側縁部の少なくとも一部が延出するように配置された場合の例を示している。本発明の吸収性物品においては、例えば、図4及び図5に示すように、矩形状の吸収体22の裏面に、この吸収体よりも幅広の拡散シート23を配置したものであってもよい。このように、本発明の吸収性物品においては、拡散シートの着用時における股下部だけでなく、例えば、着用時における腹側(身体前方)や、背側(身体後方)にかけて拡散シートの側縁が延出するように配置されていてもよい。
また、本発明の吸収性物品は、図6及び図7に示すように、吸収体22として、その吸収体22の表面から裏面に貫通する孔部15が形成されたものを用いてもよい。このような吸収体22を用いる場合には、拡散シート23を、上記吸収体22の孔部15の開口部を覆うように配置する。このような吸収体を用いることによって、吸収体の側縁側に流出した排泄液以外に、吸収体の孔部を通過させて、排泄液の一部を拡散シートに浸透させることができ、拡散シートを経由させて吸収体の裏面から排泄液を良好に吸収することができる。
なお、図6及び図7に示す吸収性物品1においては、拡散シート23として、吸収体22の長手方向の長さよりも短い拡散シートを配置した例を示している。
ここで、図1、図4及び図6は、本発明の第一の吸収性物品の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、第一の吸収性物品をトップシート側から見た状態を示す図である。図2は、図1に示す第一の吸収性物品をA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図3は、図1に示す第一の吸収性物品をB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図5は、図4に示す第一の吸収性物品をC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図7は、図6に示す第一の吸収性物品をD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
なお、図6及び図7に示す第一の吸収性物品1においては、吸収体22の長手方向の一方の端部側に、開口部が長手方向に延びる細長形状の孔部15が、吸収体22の幅方向における中央に1個形成された場合の例を示しているが、孔部の数及び形成する位置については特に制限はない。例えば、この孔部は、吸収体の幅方向に複数個形成してもよいし、吸収体の幅方向の略中央部に、長手方向に沿って複数個形成してもよい。
また、図1〜図3に示す吸収性物品1は、全体形状が砂時計型の一つの吸収体22を用いた例を示しているが、二以上の吸収体によって構成されたものであってもよい。例えば、図示は省略するが、図1に示すような砂時計型の吸収体を、一方の側縁側と他方の側縁側とで二つに分離した吸収体を、幅方向の中央部分に一定間隔をあけて左右に配置してもよい。
このような吸収性物品においても、上述した孔部を形成した吸収体と同様の効果を得ることができる。なお、吸収性物品に用いられる吸収体が、上記のように一つの吸収体を分割したような形状の二以上の吸収体から構成される場合には、拡散シートは、拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収性物品の幅方向の最も外側に位置する吸収体の側縁よりも幅方向の外側に延出するように配置すればよい。
吸収体を構成する吸収性材料としては、一般的な吸収性物品、例えば、使い捨ておむつ等に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。また、吸収体の型崩れ対策として熱融着繊維等の合成繊維を含んでいてもよい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
なお、吸収体には、その表面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるための他の拡散シート(以下、「表面側拡散シート」ということがある)を付帯的に配置してもよい。この表面側拡散シートを付設すると、吸収体の吸収速度以上の勢いで排泄液が排泄された場合でも、表面側拡散シートで排泄液を一時保管、及び拡散させることができるために、排泄液の吸収が間に合わずにトップシート上を流れて漏れることを防ぐ効果がある。
表面側拡散シートを構成する材料としては、吸収体の裏面に配置する拡散シートと同様に構成されたものを用いることができる。
[1−1b]拡散シート:
本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートは、吸収体とバックシートとの間、即ち、上記した吸収体の裏面に配置されている。この拡散シートは、拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置されている。このような拡散シートを配置することによって、排泄液が吸収体の表面を伝って股下部の側縁側に流出した場合に、素早く拡散シートに排泄液を浸透させて拡散させることができる。
本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートは、吸収体とバックシートとの間、即ち、上記した吸収体の裏面に配置されている。この拡散シートは、拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置されている。このような拡散シートを配置することによって、排泄液が吸収体の表面を伝って股下部の側縁側に流出した場合に、素早く拡散シートに排泄液を浸透させて拡散させることができる。
このような拡散シートとしては、不織布や多孔性プラスチックフィルム等を用いることができる。拡散シートを構成する主な繊維及び樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド、アクリル、ビニロン、或いはこれらの複合繊維又は複合樹脂等を挙げることができる。不織布の場合、これらの繊維をサーマルボンド法、レジンボンド等のケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法などの方法で成形することによって拡散シートを得ることができる。特に好ましくは、サーマルボンド法の中でも熱風で形成する嵩高のカード熱風不織布や、ケミカルボンド法で目が粗く形成されたレジンボンド不織布を挙げることができる。その坪量は、10〜50g/m2であることが好ましく、20〜35g/m2であることが更に好ましい。また、多孔性プラスチックフィルムの場合は、その坪量は15〜60g/m2であることが好ましく、20〜45g/m2であることが更に好ましい。
拡散シートの幅方向の長さについては、拡散シートの側縁の少なくとも一部が、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置されるものであれば特に制限はない。なお、拡散シートにおける吸収体の側縁よりも外側に延出する部分(延出部分)の最大幅は、10〜50mmであることが好ましく、15〜30mmであることが更に好ましい。このように構成することによって、吸収体の表面にて吸収しきれずに側縁側に流出した排泄液を、良好に捕捉することができる。なお、延出部分の最大幅が10mm未満であると、側縁側から大量の排泄液が流出した場合に、延出部分にて処理しきれなくなることがある。一方、延出部分の最大幅が50mmを越えると、吸収体までの距離が長くなりすぎて、延出部分に浸透した排泄液が吸収体に吸収されずに漏れてしまうことがある。
また、本発明の吸収性物品を使い捨ておむつ等として用い、着用者が排泄を行う場合には、着用者の股下部において集中的に排泄液が排泄される。本発明の吸収性物品における拡散シートは、上記したように拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置されているため、股下部において集中的に排泄液が排泄され、吸収体の表面にて排泄液を吸収しきれずに、吸収体の側縁側に排泄液が流出してしまうことがあったとしても、股下部の側縁側に流出した排泄液を拡散シートの側縁の延出部分から浸透させて、吸収体のより広い範囲を用いて吸収させることができる。また、砂時計型等の股下部の幅が狭く構成された吸収体であっても、股下部からの液漏れを有効に防止することができる。
また、図1〜図3の吸収性物品においては、一枚の拡散シート23が、吸収体22の裏面側に配置されているが、例えば、図8〜図10に示すように、吸収体22の一方の側縁側に配置される拡散シート23aと、他方の側縁側に配置される拡散シート23bとの二枚の拡散シート23が吸収体22の裏面に配置されていてもよい。図8は、本発明の第一の吸収性物品の他の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、第一の吸収性物品をトップシート側から見た状態を示す図であり、図9は、図8に示す第一の吸収性物品をE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図10は、図8に示す第一の吸収性物品をF−F’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。図8〜図10に示す吸収性物品1においては、それぞれの拡散シート23a,23bの着用時における股下部の側縁部が、砂時計型の吸収体22の側縁よりも外側に延出するように配置されている。
このように構成することによって、比較的高価な拡散シートの使用量を少なくすることができ、吸収性物品をより安価なものとすることができる。このように、吸収体の幅方向の中央部分にまで拡散シートが配置されていなくとも、吸収体の側縁から一定の領域において拡散シートと吸収体とが接触するように構成されていれば、拡散シートの側縁の延出部分から浸透した排泄液を吸収体の裏面側から良好に吸収することができる。
また、拡散シートは、拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置されたものであれば、例えば、図1の吸収性物品1のように、吸収体22の長手方向全体に亘って配置されていてもよいし、例えば、図6に示す吸収性物品1のように、吸収体22の長手方向の一部に配置されていてもよい。なお、特に限定されることはないが、拡散シートの長さは、吸収体の長手方向長さの35%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましい。このように構成することによって、吸収体の股下部の側縁側に流出した排泄液を良好に拡散させることができるとともに、吸収速度を良好に向上させることができる。
もちろん、拡散シートは、図1の吸収性物品1のように、吸収体22の長手方向の全域を覆うように配置してもよい。このように構成することによって、製造時に長手方向の位置合わせをしなくとも、拡散シート23を、吸収体22の裏面側に配置することができるため、吸収性物品1を簡便に製造することが可能となる。
なお、図示はしていないが、吸収体は高吸収性ポリマーの漏れを防止するためや、製造ライン上で、吸収体の変形を防止するために、キャリアーとしてシート状である親水性シート等で吸収体の裏面や側面を包む構成が一般的に採用されており、本発明の吸収性物品においても、このような親水性シート等で吸収体を包んでいてもよい。
拡散シートとして多孔性プラスチックフィルムを用いた場合には、この多孔性プラスチックフィルムの孔の形状は、漏斗状、即ち、多孔性プラスチックフィルムの表面側から裏面側に向って、孔の開口部の大きさが漸減する形状であることが好ましい。このように構成することによって、多孔性プラスチックフィルムの孔から排泄液の通過が良好に行われるとともに、液戻りが軽減される。
また、拡散シートの厚みについては特に制限はないが、例えば、拡散シートとして多孔性プラスチックフィルムを用いた場合には、200〜1500μmであることが好ましく、350〜1200μmであることが更に好ましい。
通常、気孔径の大きな多孔性プラスチックフィルム等は、排泄液の拡散性には優れているが、トップシートの直下に配置した場合などでは、フィルムの上部に当たるトップシートに液が残り易く、表面のドライ感が悪くなることがあった。本発明の第一の吸収性物品においては、吸収体に裏面に拡散シートが配置され、この拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体の側縁よりも外側に延出するように構成されているため、拡散シートが吸収体に対して十分な面積を設けて配置されながらも、トップシートに対しては限られた面積で接するように配置されるため、上記したようにトップシートの液残りが少なくなり、十分な拡散性を発揮させることができる。
[1−2]第二の吸収性物品:
次に、本発明の第二の吸収性物品の一の実施形態について具体的に説明する。本発明の第二の吸収性物品は、図11〜図13に示すように、吸収体62と、吸収体62の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体62の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えた吸収性物品61である。
次に、本発明の第二の吸収性物品の一の実施形態について具体的に説明する。本発明の第二の吸収性物品は、図11〜図13に示すように、吸収体62と、吸収体62の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体62の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えた吸収性物品61である。
本発明の第二の吸収性物品61においては、上記吸収体62が、トップシート18側に配置された第一の吸収体62aと、第一の吸収体62aの裏面側に配置され、第一の吸収体62aよりも少なくとも着用時における股下部が幅広に形成された第二の吸収体62bとを有し、第一の吸収体62aと第二の吸収体62bとの間には拡散シート63が配置されている。
そして、上記拡散シート63は、拡散シート63の着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、第一の吸収体62aの側縁よりも外側に延出するように配置され、トップシート18は、第一の吸収体62aの表面を被覆するとともに、拡散シート63の表面における第一の吸収体62aの側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている。
即ち、本発明の第二の吸収性物品は、これまでに説明した第一の吸収性物品の拡散シートの裏面側に、更に、この第一の吸収体よりも幅広に形成された第二の吸収体を備えたものである。このように構成することによって、上記した第一の吸収性物品と同様の効果を得ることができる。また、本発明の第二の吸収性物品は、吸収体全体の吸収力を増大させることができるとともに、第一の吸収体の側縁から流出し、拡散シートの側縁の延出部分に到達した排泄液を、この拡散シートによって拡散させて、第一の吸収体の裏面と第二の吸収体の表面とにて吸収することができる。このため、排泄液の吸収速度を更に増加させることが可能であるとともに、排泄液の液漏れを有効に防止することができる。
なお、この第二の吸収体は、拡散シートの表面における第一の吸収体62aの側縁よりも外側に延出している部分(延出部分)の裏面を覆うように配置されていることが好ましい。これにより、拡散シートに到達した排泄液が第二の吸収体に吸収され易くなる。このため、第一の吸収体に対してトップシート側からの排泄液の浸透が少なく、比較的に吸収余力が残り易い第二の吸収体において、拡散シートに到達した排泄液をより多く吸収させることができる。なお、本発明の第二の吸収性物品においては、拡散シートは、第二の吸収体よりも幅広のものであってもよい。
なお、ここで、図11は、本発明の第二の吸収性物品の一の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、第二の吸収性物品をトップシート側から見た状態を示す図である。また、図12は、図11に示す第二の吸収性物品G−G’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図13は、図11に示す第二の吸収性物品H−H’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
[1−2a]第一の吸収体:
本発明の第二の吸収性物品に用いられる第一の吸収体は、その表面にトップシートが配置されるとともに、第一の吸収体と第二の吸収体との間、即ち、第一の吸収体の裏面側には、拡散シートが配置されている。
本発明の第二の吸収性物品に用いられる第一の吸収体は、その表面にトップシートが配置されるとともに、第一の吸収体と第二の吸収体との間、即ち、第一の吸収体の裏面側には、拡散シートが配置されている。
この第一の吸収体は、これまでに説明した第一の吸収性物品における吸収体と同様に構成されたものを好適に用いることができる。例えば、図6及び図7に示す第一の吸収性物品1のように、吸収体22の表面から裏面に貫通する孔部15が形成されたものであってもよい。
[1−2b]第二の吸収体:
本発明の第二の吸収性物品に用いられる第二の吸収体は、図11及び図12に示すように、前記第一の吸収体の裏面側、より具体的には、第一の吸収体62aに配置された拡散シート63の裏面に配置された吸収体である。
本発明の第二の吸収性物品に用いられる第二の吸収体は、図11及び図12に示すように、前記第一の吸収体の裏面側、より具体的には、第一の吸収体62aに配置された拡散シート63の裏面に配置された吸収体である。
本発明の第二の吸収性物品に用いられる第一の吸収体と第二の吸収体とは、その構成する吸収性材料が同様のものであってもよいし、異なるものであってもよい。即ち、第一の吸収体と第二の吸収体の一方については、型崩れ防止のために、熱融着繊維等の合成繊維を混合してもよい。また、トップシート側から厚さ方向に距離のある第二の吸収体を、排泄液を貯蔵するための吸収体となるように、第一の吸収体よりも高吸水性ポリマーの配合比率を高める方法が有効である。このように構成することによって、第一の吸収体における排泄液の偏在を低下させることができ、体圧が掛かった場合に逆戻りを生じ難くすることができる。例えば、上記とは逆の構成、即ち、トップシート側に近い第一の吸収体における高吸収性ポリマーの配合比率を高くした場合には、トップシートからポリマー漏れが起こってしまうことがある。
第二の吸収体は、第一の吸収体よりも少なくとも着用時における股下部が幅広に形成されたものであれば、その形状については特に制限はない。例えば、図11〜図13においては、第一の吸収体の形状が矩形であり、第二の吸収体の形状が砂時計型の場合の例を示している。なお、この図11〜図13に示す吸収性物品61は、第二の吸収体62bが長手方向の全域において、第一の吸収体62aよりも幅広に形成されたものであるが、例えば、図14及び図15に示すように、第一の吸収体62aの形状が砂時計型であり、第二の吸収体62bの形状が矩形であり、砂時計型の第一の吸収体62aの股下部の括れ部分においてのみ、第二の吸収体62bの幅が広くなるように構成されたものであってもよい。
ここで、図14は、本発明の第二の吸収性物品の他の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、第二の吸収性物品をトップシート側から見た状態を示す図である。また、図15は、図14に示す第二の吸収性物品I−I’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
また、例えば、図示は省略するが、第二の吸収体は、第二の吸収体の表面から裏面に貫通する孔部が形成されたものであってもよいし、例えば、砂時計型等の公知の吸収体を二つ以上に分離した複数の吸収体から構成されたものであってもよい。
なお、図示はしていないが、吸収体は高吸収性ポリマーの漏れを防止するためや、製造ライン上で、吸収体の変形を防止するために、キャリアーとしてシート状である親水性シート等で吸収体の裏面や側面を包む構成が一般的に採用されており、本発明の吸収性物品においても、このような親水性シート等で第一の吸収体や第二の吸収体を包んでいてもよい。なお、吸収体の全体が親水性シートによって包まれていてもよいし、吸収体の一部が親水性シートによって包まれていてもよい。
また、本発明の第二の吸収性物品においては、図示は省略するが、三つ以上の吸収体を積層した積層構造としてもよい。
更に、例えば、図16に示すように、第一の吸収体62aの裏面に配置された拡散シート63は、第一の吸収体62aよりも幅広に形成された第二の吸収体62b全体を、即ち、第二の吸収体62bの表面側から裏面側にかけて覆うように配置して、拡散シート63の一部が第一の吸収体62a側縁よりも外側に延出するように構成されたものであってもよい。このように構成することによって、拡散シート63に浸透した排泄液は、第一の吸収体62aの裏面と第二の吸収体62bの表面とから吸収されるだけでなく、第二の吸収体62bの側面及び裏面からも吸収されることとなり、排泄液の量が多い場合に有効である。なお、図16においては、拡散シート63によって第二の吸収体62b全体を覆うように構成された場合の例を示しているが、例えば、少なくとも第二の吸収体の側縁を覆い、第二の吸収体の中央部分に隙間ができるように拡散シートを配置してもよいし、また、第二の吸収体全体を覆った後に、拡散シートの側縁が重なり合うように配置されていてもよい。
[1−2c]拡散シート:
本発明の第二の吸収性物品に用いられる拡散シートは、上記した本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
本発明の第二の吸収性物品に用いられる拡散シートは、上記した本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
例えば、図11〜図13の吸収性物品61においては、一枚の拡散シート63が、吸収体62の裏面側に配置されているが、例えば、吸収体は、一つの吸収体が二つ以上に分割して構成されたものであってもよいし、吸収体の表面から裏面に連通する孔部が形成されたものであってもよい。
[1−3]第三の吸収性物品:
次に、本発明の第三の吸収性物品の一の実施形態について具体的に説明する。本発明の第三の吸収性物品は、図17〜図19に示すように、吸収体72と、吸収体72の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体72の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えた吸収性物品71である。
次に、本発明の第三の吸収性物品の一の実施形態について具体的に説明する。本発明の第三の吸収性物品は、図17〜図19に示すように、吸収体72と、吸収体72の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体72の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えた吸収性物品71である。
本発明の第三の吸収性物品71においては、上記吸収体72が、トップシート18側に配置された第一の吸収体72aと、第一の吸収体72aの裏面側に配置され、第一の吸収体72aよりも少なくとも着用時における股下部が幅広に形成された第二の吸収体72bとを有し、第一の吸収体72aと第二の吸収体72bとの間には、拡散シート73(第一の拡散シート73)が配置され、且つ第二の吸収体72bとバックシート18との間には、拡散シート74(第二の拡散シート74)が配置されている。
そして、上記第一の拡散シート73は、第一の拡散シート73の着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、第一の吸収体72aの側縁よりも外側に延出するように配置されるとともに、第二の拡散シート74は、第二の拡散シート74の着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、第二の吸収体72bの側縁よりも外側に延出するように配置され、トップシート18は、第一の吸収体72aの表面を被覆するとともに、第一の拡散シート73の表面における第一の吸収体72aの側縁よりも外側に延出している部位と、第二の拡散シート74の表面における第二の吸収体72bの側縁よりも外側に延出している部位とを被覆するように配置されている。
即ち、本発明の第三の吸収性物品は、これまでに説明した第二の吸収性物品に対して、第二の吸収体の裏面に、股下部の側縁部の少なくとも一部が第二の吸収体の側縁よりも外側に延出した第二の拡散シートを更に配置した吸収性物品である。このように構成することによって、上記した第一の吸収性物品及び第二の吸収性物品と同様の効果を得ることができる。また、本発明の第三の吸収性物品は、吸収体全体の吸収力を増大させることができるとともに、第一の吸収体の少なくとも股下部の側縁から流出し、第一の拡散シートの延出部分に到達した排泄液を、この第一の拡散シートによって拡散させて、第一の吸収体の裏面と第二の吸収体の表面とにて吸収することができるとともに、第二の拡散シートの延出部分に到達した排泄液を、この第二の拡散シートによって拡散させて、第二の吸収体の裏面にて吸収することができる。このため、排泄液の吸収速度を更に増加させることが可能であるとともに、排泄液の液漏れを有効に防止することができる。
ここで、図17は、本発明の第三の吸収性物品の一の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、第三の吸収性物品をトップシート側から見た状態を示す図である。また、図18は、図17に示す第三の吸収性物品をJ−J’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図19は、図17に示す第三の吸収性物品をK−K’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
なお、図17においては、第一の拡散シート73よりも、第二の拡散シート74の方が幅広に形成された場合の例を示しているが、本発明の第三の吸収性物品においては、第一の拡散シートと第二の拡散シートとが同一の幅のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、図17においては、第一の拡散シート73と第二の拡散シート74とが、吸収体72の長手方向の全域に亘って配置された場合の例を示しているが、例えば、一方の拡散シートを長手方向の全域に配置し、他方の拡散シートを一部に配置してもよい。
例えば、図20及び図21に示す吸収性物品71は、第一の拡散シート73と第二の拡散シート74とが同一の幅のものであり、第一の拡散シート73は、吸収体72の裏面の一部(股下部を含む)に配置された場合の例を示している。この図20及び図21に示す吸収性物品71においては、第一の拡散シート73と第二の拡散シート74との側縁部の延出部分が、重なり合うように構成されている。
ここで、図20は、本発明の第三の吸収性物品の他の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、第三の吸収性物品をトップシート側から見た状態を示す図である。また、図21は、図20に示す第三の吸収性物品をL−L’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
[1−3a]第一の吸収体:
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第一の吸収体は、この第一の吸収体の表面にトップシートが配置されるとともに、第一の吸収体の裏面側、即ち、第一の吸収体と第二の吸収体との間には第一の拡散シートが配置されている。
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第一の吸収体は、この第一の吸収体の表面にトップシートが配置されるとともに、第一の吸収体の裏面側、即ち、第一の吸収体と第二の吸収体との間には第一の拡散シートが配置されている。
この第一の吸収体は、これまでに説明した第二の吸収性物品における第一の吸収体と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
[1−3b]第二の吸収体:
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第二の吸収体は、図17〜図19に示すように、第一の吸収体72aに配置された第一の拡散シート73の裏面に配置された吸収体である。なお、第三の吸収性物品に用いられる第二の吸収体は、上述した第二の吸収性物品に用いられる第二の吸収体と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第二の吸収体は、図17〜図19に示すように、第一の吸収体72aに配置された第一の拡散シート73の裏面に配置された吸収体である。なお、第三の吸収性物品に用いられる第二の吸収体は、上述した第二の吸収性物品に用いられる第二の吸収体と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第一の吸収体と第二の吸収体とは、上記した第二の吸収性物品と同様に、その構成する吸収性材料が同様のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
[1−3c]第一の拡散シート:
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第一の拡散シートは、上記した本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第一の拡散シートは、上記した本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
[1−3d]第二の拡散シート:
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第二の拡散シートは、この第二の拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、第二の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置される拡散シートである。この第二の拡散シートは、上記した本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
本発明の第三の吸収性物品に用いられる第二の拡散シートは、この第二の拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、第二の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置される拡散シートである。この第二の拡散シートは、上記した本発明の第一の吸収性物品に用いられる拡散シートと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
なお、第三の吸収性物品においては、この第一の拡散シートと第二の拡散シートとが、同じ素材からなる拡散シートであってもよいし、異なる素材からなる拡散シートであってもよい。
例えば、トップシートに近い位置に配置される第一の拡散シートには、第二の拡散シートと比較して、流入する排泄液の量が多くなることがあるため、より液透過性の高い、即ち、拡散能力の高い素材からなる拡散シートを用いることが好ましい。また、例えば、第一の拡散シート及び第二の拡散シートのうち、一方の拡散シートとして嵩高不織布を用い、他方の拡散シートとしてレジンボンド不織布を用いることもできる。このように、製法の異なるシートを、その特性に応じて使い分けることができる。
また、素材の異なる拡散シート、例えば、一方の拡散シートとして不織布を用い、他方の拡散シートとして多孔性プラスチックフィルムを用いることもできる。例えば、吸収性物品に体圧が掛からないような場合には、拡散シートとして嵩高不織布を用い、排泄液を高速で拡散させるようにしてもよいし、体圧が掛かる場合には、多孔性プラスチックフィルムにより拡散を阻害しないようにするなど、吸収性物品の使用状況に応じて、拡散シートの素材を適宜選択してもよい。
また、第二の拡散シートとしては、例えば、第二の吸収体の一方の側縁側に配置される第二の拡散シートと、他方の側縁側に配置される第二の拡散シートとの二枚の拡散シートが第二の吸収体の裏面のそれぞれの側縁側に配置されていてもよい。
また、本発明の第三の吸収性物品においては、吸収体を三つ以上有するものとし、第二の拡散シートの裏面側に、更に別の吸収体(例えば、第三の吸収体)を配置してもよい。
[1−4]本発明の吸収性物品(第一〜第三の吸収性物品)の共通の構成:
以下、本発明の吸収性物品(第一〜第三の吸収性物品)に共通する各要素の構成について説明する。
以下、本発明の吸収性物品(第一〜第三の吸収性物品)に共通する各要素の構成について説明する。
[1−4a]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(吸収性物品を使い捨ておむつとして用いた場合には、おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その裏面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。
トップシートは、吸収体の表面(吸収性物品を使い捨ておむつとして用いた場合には、おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その裏面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。
[1−4b]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面、例えば、吸収性物品を使い捨ておむつとして用いた場合には、着用者の着衣側に位置する面を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、尿等の排泄液が外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートは、吸収体の裏面、例えば、吸収性物品を使い捨ておむつとして用いた場合には、着用者の着衣側に位置する面を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、尿等の排泄液が外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、使い捨ておむつして用いた場合に、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、本発明の吸収性物品を使い捨ておむつとして用いる場合には、このバックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[2]使い捨ておむつ:
次に、本発明の吸収性物品を、使い捨ておむつとして用いた実施形態について説明する。なお、本発明の吸収性物品は、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、尿パッド等の使い捨ておむつに適用することができる。以下、1ピースタイプのテープ型おむつを例として説明する。
次に、本発明の吸収性物品を、使い捨ておむつとして用いた実施形態について説明する。なお、本発明の吸収性物品は、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、尿パッド等の使い捨ておむつに適用することができる。以下、1ピースタイプのテープ型おむつを例として説明する。
なお、本明細書において「テープ型おむつ」とは、図22に示すテープ型おむつ100のように、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、後身頃6を前身頃2に対して固定するためのファスニングテープ7を更に備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
また、本明細書において「パンツ型おむつ」というときは、図24に示すパンツ型おむつ110のように、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士(側縁部2a,6a、側縁部2b,6b)を接合することによって、接合部8、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12a,12bが形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。
そして、「1ピースタイプ」とは、後述する2ピースタイプとは異なり、トップシート、バックシート、吸収体を備えているが、吸収・保持機能を担う吸収体がトップシートとバックシートの間に介装(内蔵)され、装着機能を担うトップシートとバックシートとのうちの少なくとも一方に一体的に構成されたタイプのおむつを意味するものとする。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
[2−1]テープ型おむつの構成:
本発明の吸収性物品の実施形態であるテープ型おむつは、これまでに説明した第一〜第三の吸収性物品と同様に構成された吸収体と拡散シートとを備えている。
本発明の吸収性物品の実施形態であるテープ型おむつは、これまでに説明した第一〜第三の吸収性物品と同様に構成された吸収体と拡散シートとを備えている。
即ち、例えば、第一の吸収性物品のように、吸収体とバックシートとの間に拡散シートが配置されており、この拡散シートは、拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置され、トップシートは、吸収体の表面を被覆するとともに、拡散シートの表面における吸収体の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている。
なお、テープ型おむつが第二の吸収性物品と同様に構成されたものである場合には、吸収体が、トップシート側に配置された第一の吸収体と、第一の吸収体の裏面側に配置され、第一の吸収体よりも幅広に形成された第二の吸収体とを有するものが用いられ、また、テープ型おむつが第三の吸収性物品と同様に構成されたものである場合には、上記した第二の吸収体とバックシートとの間に、第二の拡散シートが更に配置される。
例えば、図22に示すテープ型おむつは、第一の吸収性物品と同様の構成、即ち、吸収体22とバックシート20との間には、拡散シート23が配置されており、この拡散シート23は、拡散シート23の着用時の股下部の側縁部の少なくとも一部が、吸収体22の側縁よりも外側に延出するように配置され、トップシート18は、吸収体22の表面を被覆するとともに、拡散シート23の表面における吸収体22の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている。
本実施形態のテープ型おむつは、排泄液の吸収性に優れるとともに、着用者に対するフィット性が良好なものである。即ち、尿等の排泄液は、吸収体(第二及び第三の吸収性物品においては、第一の吸収体)の排尿部位にて吸収されるとともに、この吸収体の表面にて吸収しきれずに側縁側に流出した排泄液を、拡散シートを経由させて吸収体の裏面から吸収することができる。このように、排泄液がより広い領域で吸収されるため、吸収性に優れている。
なお、本実施形態のテープ型おむつを構成する吸収体、トップシート、及びバックシートは、これまでに説明した本発明の第一〜第三の吸収性物品における各構成要素と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
なお、本実施形態のテープ型おむつにおいては、トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば、吸収体の上面部に配置されるトップシートと、おむつのサイドフラップの部分に配置されるトップシートとを異なるシートによって構成する形態もよく利用される。図22に示すテープ型おむつ100は、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート18(センターシート18a)を配置し、おむつのサイドフラップ5部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるトップシート18(サイドシート18b)を配置した例である。
また、例えば、バックシートは、おむつの外形と一致するように構成されたものを用いてもよいし、バックシートの外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。なお、図22に示すテープ型おむつ100においては、おむつの外形と一致する形状のバックシート20を配置した例を示している。また、バックシートは少なくとも吸収体を覆う範囲で配置されていればよい。吸収体よりやや大きい範囲でバックシートを配置し、着用者の側部にあたるサイドフラップ部にカバーシートとサイドトップシートにより構成することで、より通気性に優れた使い捨ておむつとすることができる。サイドフラップ部を別体の不織布などで構成してもよい。
なお、本実施形態のテープ型おむつ100においては、図22に示すように、テープ型おむつ100の前身頃2から股下部4までの部位において、拡散シート23の側縁が吸収体22の外側に延出していることが好ましい。このように構成することによって、排泄液(尿)の吸収性に優れ、排泄液の液漏れを有効に防止することができる。
[2−2]立体ギャザー:
本実施形態のテープ型おむつにおいては、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの横漏れを有効に防止することができる。
本実施形態のテープ型おむつにおいては、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの横漏れを有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつや、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
なお、立体ギャザーは、トップシートやバックシートとは全く別個のシート材により形成してもよいが、センターシートやサイドシート等のトップシートを折り返すことにより形成してもよい。例えば、図22に示すテープ型おむつ100は、サイドシート18bを折り返すことにより立体ギャザー26(26a,26b)を形成した例である。但し、立体ギャザーは、バックシート等のトップシート以外の部材を折り返すことにより形成してもよい。
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図22に示すテープ型おむつ100は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26(26a,26b)が形成された例を示すものである。また、立体ギャザーは、少なくとも一対形成する必要があるが、二対以上形成してもよい。
立体ギャザーはおむつの内側に向って傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向って傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)とすることもできる。例えば、図22に示すテープ型おむつ100は、立体ギャザー26(26a,26b)を内倒しギャザーとした例である。
[2−3]ファスニングテープ
ファスニングテープは、テープ型おむつを着用者に対して装着させるためのテープである。おむつの背部と腹部とを相互に固定することで、テープ型おむつをパンツ型とし、着用者に装着可能なものであれば特にその形状や構造について制限はない。
ファスニングテープは、テープ型おむつを着用者に対して装着させるためのテープである。おむつの背部と腹部とを相互に固定することで、テープ型おむつをパンツ型とし、着用者に装着可能なものであれば特にその形状や構造について制限はない。
例えば、図22に示すテープ型おむつ100は、後身頃6の両側縁部に二対のファスニングテープ7が配置されたものである。これらのファスニングテープ7は、前身頃2の外表面に配置されたフロントパッチ11に対して貼着可能に構成されている。ファスニングテープ7をフロントパッチ11に貼着することによって、おむつの後身頃6と前身頃2とが相互に固定され、おむつを着用者に装着することができる。
また、図22に示すテープ型おむつ100は、ファスニングテープ7を二対備えたものであるが、ファスニングテープ7を一対だけ備えたものや三対以上備えたものであっても同様の効果を得ることができる。また、一対のファスニングテープ7の先端に、2箇所の止着部分が延出した二山テープであってもよい。
本発明において、ファスニングテープとしては、粘着テープ、メカニカルファスナー等のいずれを使用してもよい。メカニカルファスナーは、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置されたもの、もしくは短繊維で構成された不織布等の凹部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。このファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を剥離可能な状態に、かつ、強固に固着させることができるものである。
[2−4]各種伸縮材:
テープ型おむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
テープ型おむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの液漏れを効果的に防止することができる。また、脚周り伸縮材を配置すると、おむつを交換する際に吸収体の両側で脚周り伸縮材が収縮するため、股下部近傍が椀状に変形し、凹部が形成される。このため、尿や体液がその凹部に溜まり、尿や体液をこぼすことなく、容易におむつの交換を行うことができる。
例えば、図22に示すテープ型おむつ100は、おむつの長手方向に沿って、直線的に二本の脚周り伸縮材40を配置してレグギャザーを形成した例である。この脚周り伸縮材40は、糸ゴムによって構成されている。但し、脚周り伸縮材は、必ずしも直線的に配置する必要はなく、例えば、おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
脚周り伸縮材は、例えば、図22に示すテープ型おむつ100のように、立体ギャザー26の起立線46より外側の部分に、脚周り伸縮材40が形成されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
なお、図22に示すテープ型おむつ100は、脚周り伸縮材40の形状、配置位置、配置数等を左右対称とした例を示したが、これらが左右非対称なものも本発明の範囲に含まれる。そして、図22に示すテープ型おむつ100では、脚周り伸縮材40が片側につき二本配置された例を示したが、一本だけ配置されていてもよいし、三本以上配置されていてもよい。また、複数の脚周り伸縮材を用いる場合、その太さや伸張率等も目的に応じて適宜設定すればよく、全て同じものを用いる必要はない。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの液漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
なお、図22に示すテープ型おむつ100は、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウレタンフィルムからなるウエスト周り伸縮材42を配置した例である。この帯状のウエスト周り伸縮材42は、ウレタンフォーム等の伸縮性フォームによって構成されていてもよい。図示の例では、後身頃(背側)のみにウエスト周り伸縮材42を配置しているが、前身頃(腹側)にウエスト周り伸縮材を配置してもよい。
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、110〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
[2−5]テープ型おむつの製造方法:
以下、本発明の吸収性物品であるテープ型おむつの製造方法を、図22に示すテープ型おむつ100を製造する場合の例で説明する。まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の上面に、拡散シート23を載置し、その上に吸収体22を載置する。また、脚周り伸縮材40をおむつの脚周りに相当する部位に載置する。更に、これらの上面にトップシート18の材料となる長尺のシート材(トップシート材)を載置することにより、おむつの中間体となる積層体(おむつ連続体)を得る。
以下、本発明の吸収性物品であるテープ型おむつの製造方法を、図22に示すテープ型おむつ100を製造する場合の例で説明する。まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の上面に、拡散シート23を載置し、その上に吸収体22を載置する。また、脚周り伸縮材40をおむつの脚周りに相当する部位に載置する。更に、これらの上面にトップシート18の材料となる長尺のシート材(トップシート材)を載置することにより、おむつの中間体となる積層体(おむつ連続体)を得る。
この際、拡散シート23の着用時における側縁部の少なくとも一部が、吸収体22の側縁よりも外側に延出するように配置し、トップシート材は、吸収体22の表面を被覆するとともに、拡散シート23の表面における吸収体22の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置する。
また、トップシート材は、センターシート18aに相当するトップシート材と、サイドシート18bに相当するトップシート材の2種類が使用される。サイドシート18bに相当するシート材には折り返し部分を設けることによって、立体ギャザー26が形成されている。
なお、吸収体として、例えば、本発明の第二の吸収性物品のように、第二の吸収体を有するものを製造する場合には、拡散シートの裏面に第二の吸収体を配置する。この第二の吸収体としては、第一の吸収体よりも幅広に形成されたものを用いる。なお、この第二の吸収体の裏面に第二の拡散シートを更に配置してもよい。
前記のようにして得られたおむつ連続体は、おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除し(Rカット)、脚周り開口部を形成する。最後にファスニングテープ7を付設し、おむつ連続体を個々のおむつに切断することにより、テープ型おむつ100を製造する。
なお、上記のような方法の他、予めトップシート材にファスニングテープを付設しておき、バックシート材の上面に、拡散シート、吸収体及び脚周り伸縮材を載置し、更にその上面にファスニングテープが付設されたトップシート材を載置することにより、おむつ連続体を得てもよい。また、前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、テープ型おむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。
[2−6]使い捨ておむつの適用対象:
本発明の吸収性物品である使い捨ておむつの適用対象は、前記1ピースタイプのテープ型おむつに限られるものではなく、例えば、2ピースタイプのテープ型おむつにも適用することができる。また、1ピースタイプ及び2ピースタイプのパンツ型おむつにも適用することができる。また、おむつ等の股下部に配置して使用する尿パッドに適用することもできる。即ち、これらの使い捨ておむつにおいても、第一〜第三の吸収性物品と同様に構成された吸収体及び拡散シートを有する構成とすることにより、これまでに説明した1ピースタイプのテープ型おむつと同様の効果を得ることができる。
本発明の吸収性物品である使い捨ておむつの適用対象は、前記1ピースタイプのテープ型おむつに限られるものではなく、例えば、2ピースタイプのテープ型おむつにも適用することができる。また、1ピースタイプ及び2ピースタイプのパンツ型おむつにも適用することができる。また、おむつ等の股下部に配置して使用する尿パッドに適用することもできる。即ち、これらの使い捨ておむつにおいても、第一〜第三の吸収性物品と同様に構成された吸収体及び拡散シートを有する構成とすることにより、これまでに説明した1ピースタイプのテープ型おむつと同様の効果を得ることができる。
「2ピースタイプ」とは、着用者の排泄物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体と、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材とから構成され、外装部材の内側に吸収性本体が配置されたタイプのおむつである。
吸収性本体は、吸収体、トップシート及びバックシートを構成要素として備えた部材であり、トップシートとバックシートの間に吸収体を挟み込み、吸収体の周縁部を封着することによって製造することができる。吸収性本体は、少なくともおむつの股下部をカバーするサイズに構成される。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成することが好ましい。吸収性本体は、例えばホットメルト接着剤等を用いて、外装部材に対して固定することができる。
一方、外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。2ピースタイプのテープ型おむつやパンツ型おむつは、着用者の排泄液を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収性本体が果たすことになるので、外装部材を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はない。外装部材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等を挙げることができる。
本発明の吸収性物品は、乳幼児用、或いは高齢者・障害者等の成人用のテープ型又はパンツ型の使い捨ておむつや衣類等の内部に配置して排泄液を吸収するための尿パッド、経血を吸収する生理用ナプキン、及びおりものを吸収するおりものシート等として利用することができる。
1:吸収性物品(第一の吸収性物品)、2:前身頃、2a,2b:側縁部、4:股下部、5:サイドフラップ、6:後身頃、6a,6b:側縁部、7:ファスニングテープ、8:接合部、10:ウエスト周り開口部、11:フロントパッチ、12,12a,12b:脚周り開口部、15:孔部、18:トップシート、18a:センターシート、18b:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、23:拡散シート、26,26a,26b:立体ギャザー、36,36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、46:起立線、61:吸収性物品(第二の吸収性物品)、62:吸収体、62a:第一の吸収体、62b:第二の吸収体、63:拡散シート、71:吸収性物品(第三の吸収性物品)、72:吸収体、72a:第一の吸収体、72b:第二の吸収体、73:拡散シート(第一の拡散シート)、74:拡散シート(第二の拡散シート)、100:テープ型おむつ、110:パンツ型おむつ。
Claims (5)
- 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品であって、
前記吸収体と前記バックシートとの間には拡散シートが配置されており、
前記拡散シートは、前記拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置され、
前記トップシートは、前記吸収体の表面を被覆するとともに、前記拡散シートの表面における前記吸収体の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている吸収性物品。 - 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記トップシート側に配置された第一の吸収体と、前記第一の吸収体の裏面側に配置され、前記第一の吸収体よりも少なくとも着用時における股下部が幅広に形成された第二の吸収体とを有し、
前記第一の吸収体と前記第二の吸収体との間には拡散シートが配置されており、
前記拡散シートは、前記拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置され、
前記トップシートは、前記第一の吸収体の表面を被覆するとともに、前記拡散シートの表面における前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出している部位を被覆するように配置されている吸収性物品。 - 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面に配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記トップシート側に配置された第一の吸収体と、前記第一の吸収体の裏面側に配置され、前記第一の吸収体よりも少なくとも着用時における股下部が幅広に形成された第二の吸収体とを有し、
前記第一の吸収体と前記第二の吸収体との間には拡散シート(第一の拡散シート)が配置され、且つ前記第二の吸収体と前記バックシートとの間には拡散シート(第二の拡散シート)が配置されており、
前記第一の拡散シートは、前記第一の拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置されるとともに、前記第二の拡散シートは、前記第二の拡散シートの着用時における股下部の側縁部の少なくとも一部が、前記第二の吸収体の側縁よりも外側に延出するように配置され、
前記トップシートは、前記第一の吸収体の表面を被覆するとともに、前記第一の拡散シートの表面における前記第一の吸収体の側縁よりも外側に延出している部位と、前記第二の拡散シートの表面における前記第二の吸収体の側縁よりも外側に延出している部位とを被覆するように配置されている吸収性物品。 - 前記拡散シートは、この前記拡散シートの表面側に配置された前記吸収体よりも液透過性の高いものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記拡散シートの前記側縁部の延出部分の最大幅が、10〜50mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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