JP2018050833A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】保水性が高く且つ高保水状態において加圧下で潰れにくい、複数の吸水性ポリマー粒子を含む吸収体を備え、液体の吸収性に優れ、そして高保水状態において、吸水性ポリマー粒子が吸収性物品から飛び出しにくい吸収性物品を提供すること。【解決手段】液透過性シート3、吸収体5及び液不透過性シート7を備える吸収性物品1であって、吸収体5が、保水性試験における、生理食塩水に対する、45〜110倍の保水倍率(質量比)と、吸水時ゲル強度試験における、生理食塩水に対する、20〜50mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子11を含むことを特徴とする吸収性物品1。【選択図】図2

Description

本開示は、吸収性物品に関する。
吸収性物品、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー等では、長年積み重ねられてきた技術開発により基本的性能が向上し、以前と比較して、経血等の排泄物を吸収した後に、漏れ等が生ずることが少なくなってきており、現在は、さらなる高機能化が求められている。
例えば、特許文献1には、吸水性ポリマー粒子において、吸水速度と、吸水量と、膨潤時のゲル強度との間には負の相関があることが記載されている。
特許文献2には、高い保水能と、ゲルブロッキング現象を抑制して液浸透速度の低下を防ぐことができる高いゲル強度特性とを兼ね備えた吸水性樹脂、並びに当該吸収性樹脂を含む吸収性物品が記載されている。特許文献2に記載の吸水性樹脂は、以下の構成を有する。
下記(1)及び(2)の条件を満足する吸水性樹脂:
(1)生理食塩水保水能が40g/g以上であること、
(2)30倍膨潤時のゲル強度a、40倍膨潤時のゲル強度b、及び50倍膨潤時のゲル強度cの総和で表される総ゲル強度が5500Pa以上であること、
但し、30倍膨潤時のゲル強度aとは、ゲルと生理食塩水の合計質量がゲルの質量の30倍となるようにゲルに生理食塩水を加えて膨潤させた際のゲル強度であり、40倍膨潤時のゲル強度bとは、ゲルと生理食塩水の合計質量がゲルの質量の40倍となるようにゲルに生理食塩水を加えて膨潤させた際のゲル強度であり、50倍膨潤時のゲル強度cとは、ゲルと生理食塩水の合計質量が、ゲルの質量の50倍となるようにゲルに生理食塩水を加えて膨潤させた際のゲル強度である。
特開2004−329664号公報 特開平06−057010号公報 国際公開第2012/144564号公報
特許文献2に記載の吸収性樹脂は、高い保水能と、ゲルブロッキング現象を抑制しうる程度の吸水時のゲル強度とを有しているが、高保水状態において、体圧が加わっても、吸水性樹脂が潰れない程度のゲル強度を有するものではない。
従って、本開示は、保水性が高く且つ高保水状態において加圧下で潰れにくい、複数の吸水性ポリマー粒子を含む吸収体を備え、液体の吸収性に優れ、そして高保水状態において、吸水性ポリマー粒子が吸収性物品から飛び出しにくい吸収性物品を提供することを目的とする。
本開示者らは、液透過性シート、吸収体及び液不透過性シートを備える吸収性物品であって、上記吸収体が、保水性試験における、生理食塩水に対する、45〜110倍の保水倍率(質量比)と、吸水時ゲル強度試験における、生理食塩水に対する、20〜50mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子を含むことを特徴とする吸収性物品を見出した。
本開示の吸収性物品は、保水性が高く且つ高保水状態において加圧下で潰れにくい、複数の吸水性ポリマー粒子を含む吸収体を備え、液体の吸収性に優れ、そして高保水状態において、吸水性ポリマー粒子が吸収性物品から飛び出しにくい。
図1は、第1実施形態に従う吸収性物品1の正面側の展開図である。 図2は、図1のII−II端面における、吸収体5の端面図である。 図3は、第2実施形態に従う吸収性物品1を説明するための図である。 図4は、重合装置201を説明するための模式図である。 図5は、粒子No.1の粒度分布(個数基準)である。 図6は、粉末No.2の粒度分布(個数基準)である。 図7は、粉末No.3の粒度分布(個数基準)である。
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
液透過性シート、吸収体及び液不透過性シートを備える吸収性物品であって、
上記吸収体が、保水性試験における、生理食塩水に対する、45〜110倍の保水倍率(質量比)と、吸水時ゲル強度試験における、生理食塩水に対する、20〜50mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子を含む、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
上記吸収性物品では、上記複数の吸水性ポリマー粒子が、生理食塩水に対する所定の保水倍率と、生理食塩水に対する所定の吸水時ゲル強度とを有し、保水性が高く且つ高保水状態において加圧下で潰れにくい。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、体圧等による圧力が加わっても、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様2]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、20N以上の破断強度を有する、態様1に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、上記複数の吸水性ポリマー粒子が所定の破断強度を有するので、使用前に、例えば、吸収性物品の搬送中に、複数の吸水性ポリマー粒子が強い衝撃を受けた場合であっても、それらの表面の一部に欠損部分(吸水性ポリマー粒子の表面のヒビ、表面の一部の欠け等)が生じにくく、上記吸水性ポリマー粒子が、高保水状態において、欠損部分に起因して潰れにくくなる。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子、又は上記欠損部分から生じた欠損片が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様3]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、発塵試験における、0.00〜0.20質量%の発塵率を有する、態様1又は2に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子が所定の発塵率を有するので、使用前に、例えば、吸収性物品の搬送中に、複数の吸水性ポリマー粒子同士が擦れるような力を受けた場合であっても、それらの表面の一部に欠損部分(吸水性ポリマー粒子の表面のヒビ、表面の一部の欠け等)が生じにくく、上記吸水性ポリマー粒子が、高保水状態において欠損部分に起因して潰れるような不具合が生じにくくなる、すなわち、高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子、又は上記欠損部分から生じた欠損片が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様4]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.90〜0.99の平均真球度を有する、態様1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、上記複数の吸水性ポリマー粒子が所定の平均真球度を有するので、保水前において、それらの表面の一部に欠損部分(吸水性ポリマー粒子の表面のヒビ、表面の一部の欠け等)が生じにくくなる。その結果、上記吸水性ポリマー粒子が、高保水状態において欠損部分の少なさに起因して、欠損部分から潰れにくくなり、高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子、又は上記欠損部分から生じた欠損片が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様5]
液透過性シート、吸収体及び液不透過性シートを、その順で備える吸収性物品であって、
上記吸収体が、保水性試験における、生理食塩水に対する、45〜110倍の保水倍率(質量比)と、吸水時ゲル強度試験における、生理食塩水に対する、20〜50mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層を含み、
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出し、上記疎水性溶媒中で、上記複数の液滴内の上記重合組成物を重合させ、上記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成し、上記疎水性溶媒から、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取り出し、そして上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより製造された、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
上記吸収性物品は、態様1に記載のものと同等の効果を有する。
[態様6]
上記複数の液滴が、0.01〜0.20の液滴径の変動係数を有する、態様5に記載の吸収性物品。
上記複数の液滴が、所定の液滴径の変動係数を有することにより、製造される複数の吸水性ポリマー粒子において、相対的に粒径が小さい吸水性ポリマー粒子の比率が少なくなる。その結果、上記吸収性物品において、吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様7]
上記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、上記複数の液滴に光を照射することにより、上記複数の液滴内の上記重合組成物を光重合させた、態様5又は6に記載の吸収性物品。
上記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であることにより、製造される上記複数の吸水性ポリマー粒子が、保水性が高く且つ高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様8]
上記複数の液滴内の上記重合組成物を重合させる際の、上記疎水性溶媒の温度が、0℃超且つ30℃以下の範囲にある、態様5〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記疎水性溶媒の温度が所定の範囲にあることにより、製造される上記複数の吸水性ポリマー粒子が、保水性が高く且つ高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。また、上記複数の吸水性ポリマー粒子が、気泡を含みにくくなる。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様9]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、一次粒子として、300〜800μmの平均粒径を有する、態様1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、複数の吸水性ポリマー粒子が、一次粒子として、所定の平均粒径を有するので、保水前において、それらの表面の一部に欠損部分が生じにくく、そして保水後において、加圧下で潰れにくい。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様10]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.01〜0.20の粒径の変動係数を有する、態様1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、複数の吸水性ポリマー粒子が所定の粒径の変動係数を有するので、上記吸水性ポリマー粒子において、相対的に粒径が小さい吸水性ポリマー粒子の比率が少なくなる。その結果、上記吸収性物品において、吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様11]
上記吸収体が、第1吸収体と、第1吸収体よりも上記液不透過性シートに近い第2吸収体とを含み、
第1吸収体が、上記複数の吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層を含む、態様1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品は、第2吸収体よりも液透過性シートに近い第1吸収体が、所定の吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層を含むので、第1吸収体が、液体の保水性に優れるとともに、高保水状態において、第1吸収体内の複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
[態様12]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸上げ試験において、生理食塩水に対する、15〜40mmの吸上げ高さを有する、態様11に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、複数の吸水性ポリマー粒子が所定の吸上げ高さを有するので、第1吸収体の吸水性ポリマー粒子層が、体液を吸収しつつ、第2吸収体に体液を受け渡すことができるので、体液の吸収性に優れる。
[態様13]
第2吸収体が、第2吸収コアと、第2コアラップとを含み、第2吸収コアが、パルプと、複数の吸水性ポリマー粉末とを含む、態様1〜12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品は、第2吸収コアと、第2コアラップとを含む第2吸収体を含み、液体の吸収性に優れる。
[定義]
・「吸水性ポリマー粒子」及び「吸水性ポリマー粉末」
本明細書では、「吸水性ポリマー粒子」及び「吸水性ポリマー粉末」は、区別して用いられている。
「吸水性ポリマー粒子」は、本開示が対象としている、所定の保水倍率と、所定の吸水時ゲル強度とを有するものを意味する。
それに対して、「吸水性ポリマー粉末」は、上記吸水性ポリマー粒子に加え、逆相懸濁重合法、溶液重合法、気相法等の任意の製法により製造された、当技術分野で高吸収性ポリマー、SAP等と称されるものを含む。
上記吸水性ポリマー粒子は、1質量%以下の水分率を有することが好ましい。
水分率は、以下の通り測定される。
質量:ma(g)を測定した吸水性ポリマー粒子を、110℃のオーブンで10時間乾燥することにより乾燥後粒子を形成し、乾燥後粒子の質量:mb(g)を測定し、以下の式:
水分率(質量%)=(ma−mb)/ma
により算出する。
・「保水機能」及び「吸水機能」
本明細書において、吸水性ポリマー粉末の「保水機能」に関連する用語(例えば、保水性、保水性試験、保水倍率、高保水状態等)は、吸水性ポリマー粉末が、その内部に有している液体(例えば、イオン交換水、生理食塩水、体液)等を対象としている。
また、本明細書において、吸水性ポリマー粉末の「吸水機能」に関連する用語(例えば、吸水性、吸水性試験、吸水倍率等)は、吸水性ポリマー粉末が、その内部又はその表面に有している液体(例えば、イオン交換水、生理食塩水、体液)等を対象としている。
本開示の吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う吸収性物品1、具体的には、テープ型の使い捨ておむつの正面側の展開図である。図2は、図1のII−II端面における吸収体5の端面図である。
図1に示されるように、吸収性物品1は、液透過性シート3と、吸収体5と、液不透過性シート7とを、その順で備える。なお、第1実施形態では、図1に示されるように、吸収性物品1が、弾性部材103を含む一対の防漏壁101、防漏壁101を液透過性シート3に固定するための固定部105、弾性部材107、テープファスナ109等を有するが、これらは、当技術分野で公知のものであるため、説明を省略する。
図2に示されるように、吸収体5は、複数の吸水性ポリマー粒子11及び複数のパルプ繊維13を含む吸収コア9と、吸収コア9を包装するコアラップ15とを含む。
複数の吸水性ポリマー粒子11は、保水性試験における、生理食塩水に対する、45〜110倍の保水倍率(質量比)と、吸水時ゲル強度試験における、生理食塩水に対する、20〜100mNの吸水時ゲル強度とを有する。複数の吸水性ポリマー粒子11は、体液等の液体の保水性に優れるとともに、高保水状態において、体圧等の加圧下において潰れにくい。従って、高保水状態及び加圧下において、潰れた、複数の吸水性ポリマー粒子11が、コアラップ15及び液透過性シート3を通り抜けて吸収性物品1から飛び出す状況が生じにくい。
図3は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う吸収性物品1を説明するための図である。図3は、図1のII−II断面に相当し、示されていない部分は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、吸収性物品1が、液透過性シート3と、第1吸収体21と、第2吸収体23と、液不透過性シート7とを、その順で備える。第2吸収体23よりも液透過性シート3に近い第1吸収体21は、複数の吸水性ポリマー粒子11から成る吸水性ポリマー粒子層25と、吸水性ポリマー粒子層25を覆う第1コアラップ27とから成る。第1吸収体21よりも液不透過性シート7に近い第2吸収体23は、吸水性ポリマー粉末29と、パルプ繊維31とを含む第2吸収コア33と、第2吸収コア33を覆う第2コアラップ35とから成る。
第2実施形態に従う吸収性物品1では、上層の第1吸収体21が、複数の吸水性ポリマー粒子11から成る吸水性ポリマー粒子層25を含むので、第1吸収体21が、液体を保水しながらも、下層の第2吸収体23に液体を受け渡すことができる。また、第2実施形態に従う吸収性物品1では、下層の第2吸収体23が、吸水性ポリマー粉末29と、パルプ繊維31とを含むので、液体の吸収性に優れる。体圧等が加わって、下層の第2吸収体23から、上層の第1吸収体21に液体が戻った場合であっても、第1吸収体21がその液体を吸収することができるので、吸収性物品1がリウェット性に優れる。
また、吸収性物品1では、第1吸収体21が、高保水状態にある場合であっても、第1吸収体21内の複数の吸水性ポリマー粒子11が潰れにくく、潰れた複数の吸水性ポリマー粒子11が、吸収性物品1の外部に飛び出しにくい。
本開示の吸収性物品では、複数の吸水性ポリマー粒子(以下、単に「吸水性ポリマー粒子」と称する場合がある)は、保水性試験において、生理食塩水に対する、45〜110倍、好ましくは55〜95倍、そしてより好ましくは60〜85倍の保水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、吸水性ポリマー粒子が、尿、経血等の体液を、その内部に大量に保持し続けることができる。その結果、吸水性ポリマー粒子に力等が加わった場合であっても、吸収した体液を放出しにくくなる。
上記吸水性ポリマー粒子は、保水性試験において、水に対する、好ましくは500〜1,000倍、より好ましくは700〜950倍、そしてさらに好ましくは800〜900倍の保水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、吸水性ポリマー粒子が、イオン濃度の低い体液を、その内部に大量に保持し続けることができる。
なお、上述の保水性試験において、水に対する、保水倍率を測定する場合には、「生理食塩水約3.0mL(サンプルの約150倍の質量)」の代わりに、『イオン交換水約22mL(サンプルの約1,100倍の質量)』を加える。
本明細書では、上述の保水性試験は、以下の通り実施される。
(1)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に24時間静置する。
(2)20mg程度のサンプルの質量:m1(g)を正確に秤量し、秤量したサンプルに、生理食塩水約3.0mL(サンプルの約150倍の質量)を加えて3時間静置し、サンプルを膨潤させる。
(3)サンプルを、目開き75μmのナイロンメッシュで形成した袋に入れ、サンプルを含む袋を、150Gで90秒間、遠心分離器で脱水する。
(4)袋から、サンプルを取り出し、その質量:m2(g)を測定する。
(5)サンプルの保水倍率(質量比):WHRを、次の式:
HR=100×(m2−m1)/m1
により算出する。
(6)異なるサンプルで、工程(1)〜工程(5)を計3回繰り返し、3つのサンプルの保水倍率:WHRの相加平均を保水倍率として採用する。
本開示の吸収性物品では、吸水性ポリマー粒子は、吸水時ゲル強度試験において、生理食塩水に対して、20〜50mN、好ましくは23〜45mN、そしてより好ましくは25〜40mNの吸水時ゲル強度を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子が、体液を保持した状態において、力が加わっても潰れにくくなる。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして体液を保水した状態において、体圧等による圧力が加わっても、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に飛び出しにくくなる。
また、当技術分野では、吸水性ポリマー粒子の保水倍率(吸水量)と、膨潤時の粒子強度との間には負の相関があることが知られており、上記吸水性ポリマー粒子は、従来の吸水性ポリマー粉末と比較して、高い保水倍率と、高い吸水時ゲル強度とを両立するものである。
本明細書では、上述の吸水時ゲル強度試験は、以下の通り実施される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、ミネベア製テクノグラフTG−500Nを準備する。
(2)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、上記恒温恒湿室に24時間静置する。
(3)10mg程度のサンプルの質量を正確に秤量し、サンプル10mg当たり、生理食塩水1gを加え、3時間静置して、サンプルを膨潤させる。
(4)膨潤したサンプルから、膨潤した粒子1つを、テクノグラフTG−500Nの試料ステージに載せ、膨潤した粒子を2mm/分の速度で圧縮する。
(5)膨潤した粒子が破断した際の荷重を測定する。
(6)異なる膨潤した粒子で計50回の測定を行い、50回分の上記荷重の相加平均を吸水時ゲル強度として採用する。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、吸水時ゲル強度試験において、水に対して、好ましくは60〜200mN、より好ましくは80〜160mN、そしてさらに好ましくは100〜140mNの吸水時ゲル強度を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子が、イオン濃度の低い体液の高保水状態において力が加わっても潰れにくくなる。
なお、上述の吸水時ゲル強度試験において、水に対する、吸水時ゲル強度を測定する場合には、正確に秤量した約10mgのサンプルに、サンプル10mg当たり、「生理食塩水1g」の代わりに、『イオン交換水10g』を加える。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、好ましくは20N以上、より好ましくは30N以上、さらに好ましくは40N以上、そしてさらにいっそう好ましくは50N以上の破断強度を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子を含む吸収性物品が、使用前に、例えば、搬送中に強い衝撃を受けた場合であっても、上記吸水性ポリマー粒子の表面の一部に欠損部分(例えば、吸水性ポリマー粒子の表面のヒビ、表面の一部の欠け等)が生じにくく、上記吸水性ポリマー粒子が、高保水状態において欠損部分に起因して潰れるような不具合が生じにくくなる、すなわち、高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。
上記破断強度は、工程(3)を省略した以外は、吸水時ゲル強度試験と同様にして測定され、工程(4)及び工程(5)における、「膨潤したサンプル」及び「膨潤した粒子」は、それぞれ、「サンプル」及び「粒子」と読み替える。なお、荷重は、50Nを上限とする。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、発塵試験において、好ましくは0.00〜0.20質量%、より好ましくは0.00〜0.15質量%、さらに好ましくは0.00〜0.10質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.00〜0.05質量%の発塵率を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子を含む吸収性物品が、使用前に、例えば、搬送中に、吸水性ポリマー粒子同士が擦れるような力を受けた場合であっても、上記吸水性ポリマー粒子の表面の一部に欠損部分が生じにくく、上記吸水性ポリマー粒子が、高保水状態において欠損部分に起因して潰れるような不具合が生じにくくなる、すなわち、高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。
また、そうすることにより、吸収性物品に製造する際に、吸水性ポリマー粒子から生じた微粉が、吸収性物品の製造ラインを汚染する可能性が低くなる。また、吸収性物品から、吸水性ポリマー粒子から生じた微粉が外に漏れる可能性が低くなる。
本明細書では、上述の発塵試験は、以下の通り実施される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、NISSEI社製のエクセルオートホモジナイザーを準備する。
(2)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、目開き150μmのふるいにかけ、上記恒温恒湿室に24時間静置する。
(3)おおよそ10gのサンプルの質量:m3(g)を正確に秤量し、サンプルをホモジナイザーに投入し、サンプルを1,000rpmの回転速度で1分間攪拌する。
(4)攪拌を終えたサンプルを、目開き150μmのふるいにかけ、ふるいを通過した微粉の質量:m4(g)を測定する。
(5)発塵率:D(質量%)を、次の式:
D(質量%)=100×m4/m3
により算出する。
(6)試験を異なる試料で計3回実施し、3回の発塵率の相加平均を採用する。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、好ましくは0.90〜0.99、より好ましくは0.92〜0.98、そしてさらに好ましくは0.93〜0.97の平均真球度を有する。そうすることにより、保水前において、それらの表面の一部に欠損部分が生じにくくなる。その結果、上記吸水性ポリマー粒子が、高保水状態において欠損部分の少なさに起因して、欠損部分から潰れにくくなり、高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、好ましくは0.01〜0.20、より好ましくは0.03〜0.15、そしてさらに好ましくは0.05〜0.10の粒径の変動係数を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子において、相対的に粒径が小さい吸水性ポリマー粒子の比率が小さくなり、その結果、吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に飛び出しにくくなる。
なお、本明細書では、吸水性ポリマー粒子の粒径(個々の吸水性ポリマー粒子の粒径)、平均粒径、粒径の変動係数及び平均真球度は、以下の通り測定される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−1000,ズームレンズ:×20〜×200)及び付属のソフトウェアを準備する。
(2)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、上記恒温恒湿室に24時間静置する。
(3)上記デジタルマイクロスコープでサンプルを撮影する。
(4)各粒子の粒径は、各粒子の投影画像の投影面積から算出した円相当径を意味する。具体的には、各粒子の投影面積:Aを付属のソフトウェアで計測し、各粒子の円相当径:CDを、次の式:
Figure 2018050833
から算出する。
(5)平均粒径は、粒度分布(個数基準)におけるメジアン径(50p)を意味する。具体的には、付属のソフトウェアにて、吸水性ポリマー粒子1,000個の円相当径CDの粒度分布(個数基準)を作成し、当該粒度分布(個数基準)からメジアン径(50p)を決定する。
(6)粒径の変動係数は、上記粒度分布(個数基準)から、付属のソフトウェアにて算出する。
(7)平均真球度:Spは、吸水性ポリマー粒子1,000個の真球度spの相加平均である。具体的には、各吸水性ポリマー粒子の真球度:spは、各吸水性ポリマー粒子の外縁から、最も長い径である長径:k1と、最も短い径である短径:k2とを測定し、次の式:
p=k2/k1
により算出する。なお、各粒子の長径:k1及び短径:k2は、付属のソフトウェアにより、自動で決定される。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、好ましくは0.05〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30、そしてさらに好ましくは0.12〜0.20の粒径分散係数を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子において、相対的に粒径が小さい吸水性ポリマー粒子の比率が小さくなり、その結果、吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に飛び出しにくくなる。
上述の粒径分散係数(δ)は、上述の吸水性ポリマー粒子1,000個の円相当径CDの粒度分布(個数基準)において、10%粒子径:10p,メジアン径:50p及び90%粒子径:90pにより、次の式:
δ=(90p10p)/50p
により算出される。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、吸水性試験において、生理食塩水に対する、好ましくは60〜120倍、より好ましくは70〜100倍、そしてさらに好ましくは75〜90倍の吸水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子、ひいては吸収性物品が、尿、経血等の体液の吸収性に優れる。
当技術分野では、吸水性ポリマー粒子の吸水倍率(吸水量)と、膨潤時の粒子強度との間には負の相関があることが知られており、上記吸水性ポリマー粒子は、従来の吸水性ポリマー粉末と比較して、高い吸水倍率と、高い吸水時ゲル強度とを両立するものである。従って、所定の吸水倍率を有する吸水性ポリマーを含む吸収性物品は、高い吸水性を有するとともに、吸水状態において、吸水性ポリマー粒子の飛び出しにくい。
本明細書では、上述の吸水性試験は、以下の通り実施される。
(1)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に24時間静置する。
(2)おおよそ30mgのサンプルの質量:m5(g)を正確に秤量し、秤量したサンプルに、生理食塩水約6mL(サンプルの約200倍の質量)を加えて3時間静置し、サンプルを膨潤させる。
(3)サンプルを、ポリアミド系繊維のメッシュシートの上に取り出し、ろ紙で吸水性ポリマー粒子の表面に付着した水分を拭取り、膨潤したサンプルの質量:m6(g)を測定する。
(4)サンプルの吸水倍率(質量比):WARを、次の式:
AR=100×(m6−m5)/m5
により算出する。
(5)異なるサンプルで、工程(1)〜工程(4)を計3回繰り返し、3つのサンプルの吸水倍率:WARの相加平均を吸水倍率として採用する。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、上述の吸水性試験において、水に対する、好ましくは700〜1,500倍、より好ましくは800〜1,200倍、そしてさらに好ましくは900〜1,100倍の吸水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子、ひいては上記吸収性物品が、イオン濃度の低い体液の吸収性に優れる。
なお、上述の吸水性試験において、水に対する、吸水倍率を測定する場合には、正確に秤量した約30mgのサンプルに、サンプル30mg当たり、「生理食塩水約6mL(サンプルの約200倍の質量)」の代わりに、『イオン交換水約60mL(サンプルの約2,000倍の質量)』を加える。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、吸上げ試験において、生理食塩水に対する、好ましくは15〜40mm、より好ましくは18〜35mm、そしてさらに好ましくは20〜30mmの吸上げ高さを有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子が、体液を吸収体の内部により引き込むことができる。
上記吸上げ機能は、吸収体が、吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層を含む場合に好ましい。吸水性ポリマー粒子層が、体液を、吸収体の内部に引き込むことができるからである。また、上記吸上げ機能は、吸収体が、第2実施形態に示されるような、液透過性シートに近い第1吸収体と、液不透過性シートに近い第2吸収体とを含み、第1吸収体が、吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層を含む場合により好ましい。第1吸収体の吸水性ポリマー粒子層が、体液を吸収しつつ、第2吸収体に体液を受け渡すことができるからである。
本明細書では、上述の吸上げ試験は、以下の通り実施される。
(1)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に24時間静置する。
(2)1.0gのサンプルを計量し、底面に、目開き75μmのナイロンメッシュが張られている筒(内径:25mm、高さ:30mm)の中に、サンプルの高さが均一となるように調整しながら配置する。
(3)シャーレ(内径:90mm,高さ:15mm)に、2枚のスペーサー(長さ:25mm×幅:5mm×高さ:0.5mm)を間隔を空けて入れ、次いで、シャーレ内に、24mLの、着色された生理食塩水(生理食塩水1L当たり、1gの青色1号を含む)を注ぐ。
(4)2枚のスペーサーの上に、サンプルが配置された筒を、底面を下を向くように配置し、底面のナイロンメッシュを通過した生理食塩水を、サンプルに吸上げさせる。
なお、サンプルは、着色された生理食塩水を吸上げると、青色に着色した膨潤部分が上昇し、そして膨潤部分と未膨潤部分との境界面もあわせて上昇する。
(5)筒をシャーレ内に入れてから2時間後、筒の底面(ナイロンメッシュ)から、上記境界面のうち最も低い部分の高さを測定する。
(6)試験を異なる試料で計10回実施し、10回の高さの相加平均を、吸上げ高さとして採用する。
(7)上記境界面の均一吸上げ性を、下記3段階で評価する。
○:境界面がフラットに近く、生理食塩水の吸上げが均一である。
△:境界面に凹凸があり、生理食塩水の吸い上げが均一でない。
×:境界面の凹凸が大きく、生理食塩水の吸い上げが非常に不均一である。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、吸上げ試験において、水に対する、好ましくは15〜40mm、より好ましくは18〜35mm、そしてさらに好ましくは20〜30mmの吸上げ高さを有する。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子が、イオン濃度の低い体液を吸収体の内部により引き込むことができる。なお、好ましい吸収体の構造は、吸上げ試験において、生理食塩水に関連して説明したものと同様である。
なお、吸上げ試験において、水に対する吸上げ高さを測定する場合には、「24mLの、着色された生理食塩水(生理食塩水1L当たり、1gの青色1号を含む)」の代わりに、『24mLの、着色されたイオン交換水(イオン交換水1L当たり、1gの青色1号を含む)』を加え、そして「生理食塩水」を『イオン交換水』と読み替える。
上記吸水性ポリマー粒子の平均粒径は、特に制限されず、用途によって変わりうるが、一般的には、10〜5,000μm、好ましくは100〜1,000μm、そしてより好ましくは300〜800μmである。
なお、平均粒径の測定方法は、上述の通りである。
上記吸水性ポリマー粒子が、逆相懸濁重合法により製造された吸水性ポリマー粉末と比較して、特に高い効果を有する平均粒径として、好ましくは300〜1,000μm、そしてより好ましくは300〜800μmが挙げられる。逆相懸濁重合法では、一次粒子として、50〜100μmの平均粒径を有する吸水性ポリマー粉末を製造し、それ以上の平均粒径を有する吸水性ポリマー粉末を製造するためには、造粒することが必要となるからである。上記吸水性ポリマー粒子は、造粒せずに、一次粒子として、上記平均粒径を有することができるため、上記平均粒径の範囲では、逆相懸濁重合法により製造された吸水性ポリマー粉末と比較して、保水前において、それらの表面の一部に欠損部分が生じにくく、そして保水後において、加圧下で潰れにくい効果を有する。
上記吸水性ポリマー粒子は、当技術分野で一般的に用いられるモノマー骨格を有することができ、例えば、後述の吸水性ポリマー粒子の製造方法の箇所にて例示されるモノマー骨格、例えば、エチレン系不飽和モノマーに由来する骨格、架橋剤に由来する骨格等を含むことができる。
本開示の吸収性物品では、上記吸水性ポリマー粒子は、気泡を有しないことができる。そうすることにより、上記吸水性ポリマー粒子が、保水倍率、吸水時ゲル強度等に優れる。
本開示の吸収性物品の実施形態の1つ(以下、「第3実施形態」と称する)に従う吸収性物品では、吸収体が、吸収コアとして、第1実施形態に示されるような、吸水性ポリマー粒子と、その他成分(例えば、パルプ繊維等)との混合物を含む。第3実施形態では、吸収体は、吸収コアとして、吸水性ポリマー粒子及びその他の成分を、当技術分野で公知の比率、例えば、10〜90質量%及び90〜10質量%の比率で含むことができる。また、当該実施形態では、吸収体が、吸収コアを覆うコアラップを備えていてもよい。
本開示の別の実施形態(以下、「第4実施形態」と称する)に従う吸収性物品では、吸収体が、吸収コアとして、上記吸水性ポリマー粒子のみ(すなわち、吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層)を含む。第4実施形態では、吸水性ポリマー粒子が、コアラップにより覆われていてもよく、そして、例えば、基材シートに接着されていてもよい。
本開示のさらに別の実施形態(以下、「第5実施形態」と称する)に従う吸収性物品では、吸収体が、複数の吸収体に区画されてもよく、すなわち、例えば、第2実施形態に示されるような、第1吸収体と、第2吸収体とを備えている。第1吸収体としては、例えば、第4実施形態に示される吸収体が挙げられる。また、第2吸収体としては、例えば、第3実施形態に従う吸収体、吸収コアとして、吸水性ポリマー粉末及びその他成分(例えば、パルプ繊維等)の混合物を含む吸収体等が挙げられる。
本開示の吸収性物品としては、吸水性ポリマー粉末を含みうるものであれば、特に制限されず、尿を吸収するための吸収性物品、例えば、使い捨ておむつ、尿取りパッド、軽失禁パッド、ペット用シート、女性用の吸収性物品、例えば、生理用ナプキン、パンティーライナー等が挙げられる。
上記吸水性ポリマー粒子の製造方法の一例を説明する。上記製造方法は、以下のステップを含む。
(i)エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出するステップ(以下、「液滴放出ステップ」と称する場合がある)
(ii)上記疎水性溶媒内で、上記複数の液滴内の上記重合組成物を重合させ、上記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップ(以下、「吸水性ポリマー含水粒子形成ステップ」と称する場合がある)
(iii)上記疎水性溶媒から、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取出し、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより、上記複数の吸水性ポリマー粒子を形成するステップ(以下、「吸水性ポリマー粒子形成ステップ」と称する場合がある)
[液滴放出ステップ]
液滴放出ステップにおける重合組成物は、エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤、水等を含む。
上記エチレン系不飽和モノマーとしては、当技術分野で用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸系モノマーが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
上記重合組成物は、上記エチレン系不飽和モノマーを、一般的には40〜70質量%、好ましくは60〜70質量%の比率で含む。
上記(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(すなわち、(メタ)アクリル酸の非中和物)、(メタ)アクリル酸の中和物、(メタ)アクリル酸の誘導体、例えば、エステル化物等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸の中和物としては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩が挙げられる。上記アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム塩等が挙げられ、ナトリウム及びカリウム塩が好ましい。
なお、上記重合組成物から形成される吸水性ポリマー粒子が、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来するモノマー骨格を有する場合には、吸水性ポリマー粒子において、(メタ)アクリル酸の誘導体に由来するモノマー骨格を除き、酸基(カルボキシル基)の85〜100モル%が、中和されていることが好ましい。
従って、吸水性ポリマー粒子において、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸の中和物に由来する骨格の酸基(カルボキシル基)の85〜100モル%が中和されている場合には、上記重合組成物が、酸基の85〜100モル%が中和された(メタ)アクリル酸系モノマーを含んでもよく、あるいは、例えば、吸水性ポリマー含水粒子に含まれる上記酸基を中和し、最終的に、吸水性ポリマー粒子が、酸基の85〜100モル%が中和された(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する骨格を含むようにしてもよい。
上記重合組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。上記架橋剤としては、例えば、(i)重合性不飽和基を少なくとも2つ有する重合性架橋剤、(ii)カルボキシル基と反応しうる反応性基を少なくとも2つ有する反応性架橋剤、(iii)重合性不飽和基と、カルボキシル基と反応しうる反応性基とを有する重合性反応性架橋剤が挙げられる。形成される吸水性ポリマー粒子の吸水特性の観点からは、上記架橋剤としては、アクリレート系、アリル系、アクリルアミド系の重合性架橋剤であることが好ましい。上記重合組成物が架橋剤を含む場合には、上記重合組成物は、上記架橋剤を、エチレン系不飽和モノマーに対して、好ましくは0.02〜0.15モル%の割合で含む。
上記架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。形成される吸水性ポリマー粒子の特性の観点からは、上記ラジカル重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤を含む場合には、光ラジカル重合開始剤と併用されることが好ましい。
上記重合組成物は、上記ラジカル重合開始剤を、エチレン系不飽和モノマーに対して、好ましくは0.001〜20質量%、そしてより好ましくは0.1〜10質量%の割合で含む。
上記光ラジカル重合開始剤としては、約200nm〜約600nmの波長の光によりラジカルを発生しうるものが好ましく、例えば、ベンゾイン、アセトイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、キサントン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ナフトール、アントラキノン、ヒドロキシアントラセン、アセトフェノンジエチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパン、それらの任意の組み合わせ等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
上記重合組成物が水を含むこと、一定温度に保持された疎水性溶媒に放出されること等により、重合組成物の液滴の温度が、エチレン系不飽和モノマーの重合に伴って発生する熱により上昇しにくくなる。なお、水は、重合組成物から吸水性ポリマー含水粒子を形成した後、その多くが取り除かれる。
上記疎水性溶媒としては、重合組成物と混和せず、重合組成物中の成分と反応しないものであれば、特に制限されない。また、上記疎水性溶媒は、重合組成物が反応する時間を確保する観点から、重合組成物に近い比重を有することが好ましい。
上記疎水性溶媒としては、例えば、シリコーンオイル(例えば、ジメチルポリシロキサン)、油(例えば、トリグリセリド、例えば、植物性油、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド)、炭化水素(例えば、流動パラフィン)、それらの任意の組み合わせ等が挙げられる。
上記疎水性溶媒の温度は、好ましくは0℃超且つ30℃以下の範囲にある。そうすることにより、製造される上記複数の吸水性ポリマー粒子が、保水性が高く且つ高保水状態において加圧下で潰れにくくなる。また、上記複数の吸水性ポリマー粒子が、気泡を含みにくくなる。その結果、上記吸収性物品は、液体の保水性が高く、そして高保水状態において、複数の吸水性ポリマー粒子が潰れにくく、潰れた吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品の外部に、特に、液透過性シートから飛び出しにくくなる。
上記重合組成物は、疎水性溶媒に液滴として放出されるのであれば、放出方法は特に制限されず、例えば、上記重合組成物は、射出ノズルを備える重合装置を用いて、液滴として、疎水性溶媒に放出される。具体的には、上記射出ノズルの先端を、疎水性溶媒に浸漬した状態で、上記重合組成物を、上記射出ノズルから、疎水性溶媒の内部に、直接、定量的に射出し、疎水性溶媒内で上述の液滴を形成する。上記射出ノズルから、重合組成物を射出する量としては、例えば、30〜60mL/秒が挙げられる。上記射出ノズルは、特開2008−11765号公報等に記載されるものを利用することができ、そして図4に示される重合装置201に関連して後述する。
上記複数の液滴のそれぞれが、原則として、重合により、複数の吸水性ポリマー含水粒子のそれぞれ、並びに複数の吸水性ポリマー粒子のそれぞれを形成する。従って、所定の粒径の変動係数を有する、複数の吸水性ポリマー粒子を製造する観点からは、上記複数の液滴は、所定の液滴径の変動係数を有することが好ましい。具体的には、上記複数の液滴は、吸水性ポリマー粒子の粒径の変動係数と同様の液滴径の変動係数を有することが好ましく、好ましくは0.01〜0.20、より好ましくは0.03〜0.15、そしてさらに好ましくは0.05〜0.10の粒径の変動係数を有する。
また、上記複数の液滴が、上述の液滴径の変動係数を有することにより、製造される複数の吸水性ポリマー粒子の個々の粒子が、均質な特性を有しやすくなり、ひいては、製造される複数の吸水性ポリマー粒子が、高い保水倍率、高い吸水時ゲル強度等を有しやすくなる。
上記液滴径の変動係数は、上述の吸水性ポリマー粒子の変動係数の測定方法と同様に測定されうる。
[吸水性ポリマー含水粒子形成ステップ]
吸水性ポリマー含水粒子形成ステップでは、疎水性溶媒内で、複数の液滴内の重合組成物を重合させ、複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成する。
ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤である場合には、光源、例えば、水銀灯、蛍光灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、UV-LEDランプ等から、光、例えば、約200nm〜約600nmの波長の光を、例えば、疎水性溶媒及び複数の液滴を含む形成管に照射し、複数の液滴のそれぞれにおいて、重合組成物を光重合させ、複数の液滴のそれぞれから、吸水性ポリマー含水粒子を形成することができる。当該観点からは、疎水性溶媒は、光源から照射される光の波長に対する透過率が高いことが好ましい。また、上記形成管は、光源から照射される光の波長に対する透過率が高いことが好ましく、例えば、石英ガラスから形成される。
上記ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤のみを含む場合には、重合組成物及び疎水性溶媒は、加熱されないことが好ましい。形成される、複数の吸水性ポリマー含水粒子、ひいては複数の吸水性ポリマー粒子が、気泡を含みにくくなるためである。
上記ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤のみを含む場合には、疎水性溶媒の温度は、熱ラジカル重合開始剤が機能しうる温度、例えば、10時間半減期温度以上の温度に維持することが好ましい。上記ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤のみを含む場合には、例えば、疎水性溶媒及び複数の液滴を含む重合槽を、当該熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度以上の温度に維持することにより、複数の液滴のそれぞれにおいて、重合組成物を熱重合させ、複数の液滴のそれぞれから、吸水性ポリマー含水粒子を形成することができる。
なお、この場合には、液滴を形成する前の重合組成物を加熱しないことが好ましい。重合組成物が疎水性溶媒に液滴として放出される前に重合が開始し、重合性組成物が液滴化しにくくなる可能性があるからである。
上記ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤の両方を含む場合には、液滴を形成する前の重合組成物を、加熱しないことが好ましい。重合組成物が疎水性溶媒に液滴として放出される前に重合が開始し、重合性組成物が液滴化しにくくなる可能性があるからである。また、疎水性溶媒を、熱ラジカル重合開始剤が機能しうる温度に維持することができる。さらに、例えば、形成管及び重合槽を備える重合装置を準備し、上記形成管において疎水性溶媒を室温に維持するとともに光源から光を照射して、重合組成物を光重合させ、次いで、上記重合槽において、疎水性溶媒を熱ラジカル重合開始剤が機能しうる温度に維持し、重合組成物を熱重合させてもよい。
[吸水性ポリマー粒子形成ステップ]
吸水性ポリマー粒子形成ステップでは、疎水性溶媒から、複数の吸水性ポリマー含水粒子を取出し、複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより、複数の吸水性ポリマー粒子を形成する。
疎水性溶媒から取り出された吸水性ポリマー含水粒子を、常温又は高温条件下、例えば、40〜200℃の温度で、常圧又は減圧下で乾燥し、複数の吸水性ポリマー粒子を形成する。
上記製造方法を実施するための重合装置の例を、図4に示す。図4において、重合装置201は、重合組成物303を保持している重合組成物タンク203、重合組成物303の搬送速度を調節する定量ポンプ205、重合組成物303を搬送する送液管207、光源211を備える光照射室209、重合組成物303を射出する射出ノズル213、整流多孔盤215、疎水性溶媒305を保持し、液滴を光重合させる形成管217、吸水性ポリマー含水粒子301を疎水性溶媒305から分離する分離スクリーン219、疎水性溶媒305を保持する疎水性溶媒タンク221、疎水性溶媒305の搬送速度を調整する定量ポンプ223、疎水性溶媒305の温度を調整する温度調整器225、及び疎水性溶媒305を搬送する送液管227を備える。
疎水性溶媒305は、形成管217、疎水性溶媒タンク221、定量ポンプ223、温度調整器225、送液管227及び整流多孔盤215の間を循環しており、循環速度は、定量ポンプ223により制御され、疎水性溶媒305の温度は、温度調整器225により制御されている。形成管217は、その大部分が、光照射室209の内部に配置されている。
重合組成物303は、重合組成物タンク203から、定量ポンプ205及び送液管207を介して、射出ノズル213に供給される。次いで、重合組成物303は、射出ノズル213から射出され、形成管217内で液滴307を形成する。次いで、液滴307は、形成管217内で、光源211から照射された光に暴露され、液滴307内の重合組成物303が光重合し、吸水性ポリマー含水粒子301を形成する。吸水性ポリマー含水粒子301は、分離スクリーン219により、疎水性溶媒305と分離される。
次いで、吸水性ポリマー含水粒子301を乾燥し、吸水性ポリマー粒子(図示せず)を製造する。
当技術分野では、吸水性ポリマー粉末の製造方法として、溶液重合法、逆相懸濁重合法、気相法等の製造方法が知られている。
溶液重合法では、重合されたポリマー塊を粉砕することにより、吸水性ポリマー粉末が製造されているが、溶液重合法は、ポリマー塊を粉砕する工程を含むため、製造される吸水性ポリマー粉末は、不定形の形状を有し、そして微粉を多く含む傾向がある。従って、溶液重合法で製造された、複数の吸水性ポリマー粉末は、吸水性ポリマー粉末層を形成した際に、粒子間の空隙が大きい部分を含むので、毛細管現象等を利用した、水の吸上げが行いにくい。また、溶液重合法で製造された、複数の吸水性ポリマー粉末では、微粉が水の吸上げを阻害する傾向がある。
また、逆相懸濁重合法では、製造される吸水性ポリマー粉末の粒径の調整が難しく、吸収性物品用途では、造粒等の追加の工程を行い、吸水性ポリマー粉末を大粒径化することが好ましいが、造粒された吸水性ポリマー粉末は、その構造がもろく、保水前にそれらの表面の一部に欠損部分が生じやすく、そして保水後に加圧下で潰れやすい傾向がある。
また、逆相懸濁重合法では、界面活性剤を用いることが必須であるが、上記製造方法では、界面活性剤を用いてもよい、例えば、重合組成物が界面活性剤を含んでもよいが、上記製造方法では、界面活性剤を用いなくてもよい、例えば、重合組成物が界面活性剤を含まなくともよい。
上記製造方法が、界面活性剤を用いない場合には、形成される吸水性ポリマー粒子が、その表面に界面活性剤を有しない。その結果、製造された吸水性ポリマー粒子の表面において、界面活性剤が、その疎水性部分を外側に向けて配置されることがなくなり、吸水性ポリマー粒子の吸水性及び保水性が、界面活性剤の疎水性部分により阻害されない。
さらに、気相法では、重合組成物を射出する射出ノズルまで熱が伝わり、射出光で詰まりやすいとの課題がある。また、気相法で製造された吸水性ポリマー粉末は、その内部に気泡を保持する傾向があり、保水倍率、吸水時ゲル強度等の観点からの問題がある。
上記製造方法では、製造される吸水性ポリマー粒子が、その内部に気泡を含みにくく、そして上記吸水性ポリマー粒子は、気相法で製造された吸水性ポリマー粉末と比較して、保水倍率、吸水時ゲル強度等に優れる利点を有する。
本明細書では、乾燥は、水分を昇華させずに行う乾燥を意味する。上記乾燥は、通常、0℃以上、例えば、常温、好ましくは、高温、例えば、40〜200℃の温度で実施することができる。上記乾燥は、1気圧又は減圧下で実施することができる。
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
エチレン系不飽和モノマーとしての60質量%のアクリル酸カリウム(日本触媒製)水溶液90質量部及びアクリルアミド(和光純薬製)10質量部と、光ラジカル重合開始剤としてのベンゾインイソブチルエーテル1.0質量部と、架橋剤としてのN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.5重量部とを混合し、重合組成物No.1を準備した。
図4に示される重合装置201を用いて、重合組成物No.1から、複数の吸水性ポリマー粒子(以下、「粒子No.1」と称する)を製造した。具体的には、重合組成物No.1を、射出ノズル213から、30mL/秒の速度で、形成管217の疎水性溶媒の内部に液滴として射出した。なお、形成管217は、全長:約1.0m、内径:約12mmの大きさを有し、形成管217内では、疎水性溶媒として、約10℃に保持されたジメチルポリシロキサンが、約3L/分の速度で循環していた。
形成管217内に液滴として射出された重合組成物No.1に、光源211としての高圧水銀灯(波長320〜400nm)から紫外線を照射し、液滴内の重合組成物No.1を重合し、複数の吸水性ポリマー含水粒子No.1を形成した。
ジメチルポリシロキサンから、複数の吸水性ポリマー含水粒子No.1を取り出し、減圧下、80℃で乾燥し、粒子No.1を製造した。
[製造例2]
逆相懸濁重合法により製造された、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する骨格を有する吸水性ポリマー粉末(市販品、以下、「粉末No.2」と称する)を準備した。粉末No.2は、逆相懸濁重合法により、約80μmの一次粒子を製造し、次いで、当該一次粒子を造粒することにより形成されたものである。
[製造例3]
溶液重合法により製造された、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する骨格を有する吸水性ポリマー粉末(市販品、以下、「粉末No.3」と称する)を準備した。粉末No.3は、溶液重合法により製造されたポリマー塊を粉砕し、粉末化することにより形成されたものである。
[実施例1、並びに比較例1及び比較例2]
粒子No.1、粉末No.2及び粉末No.3の、平均粒径、粒径の変動係数、粒径分散係数、平均真球度、発塵試験における発塵率、破断強度、吸水時ゲル強度試験における吸水時ゲル強度、吸水性試験における吸水倍率(質量比、水、生理食塩水)、保水性試験における保水倍率(質量比、水、生理食塩水)、並びに吸上げ試験における吸上げ高さ及び均一吸上げ性を評価した。なお、測定方法は、本明細書に記載の通りである。
結果を表1に示す。また、粒子No.1、粉末No.2及び粉末No.3の粒度分布(個数基準)を、図5〜図7に示す。図5〜図7に示される粒度分布は、本明細書の平均粒径等の測定方法に従って測定されたものであり、粒径/μmの「400−450」は、『400μm超且つ450μm以下』を意味する。
Figure 2018050833
表1に示されるように、実施例1の粒子No.1は、比較例1の逆相懸濁重合法で製造された粉末No.2及び比較例2の溶液重合法で製造された粉末No.3と比較して、発塵率が低く且つ破断強度が高く、そして吸水時ゲル強度(水、生理食塩水)が高いことが分かる。従って、粒子No.1は、粉末No.2及び粉末No.3と比較して、保水前において、それらの表面の一部に欠損部分が生じにくく、そして保水後において、加圧下で潰れにくいことが分かる。
[製造例4]
10cm×10cmのサイズにカットされた、親水処理されたスパンボンド不織布(旭化成株式会社製 エルタスアクア,坪量:18g/m2)の上に、10cm×10cmのサイズにカットされた、エアスルー不織布(ユニ・チャーム株式会社製,坪量:20g/m2)を積み重ね、その上(周縁部を除く)に、製造例1で製造された粒子No.1を、坪量が100g/m2となるように散布し、その上に、10cm×10cmのサイズにカットされた、親水処理されたスパンボンド不織布(旭化成株式会社製 エルタスアクア,坪量:18g/m2)を積み重ね、積み重ね物の周縁をシール融着して、第1吸収体No.1を形成した。
シートパルプ(インターナショナル・ペーパー製)を粉砕及び積層し、10cm×10cmのサイズにカットした積層パルプ(坪量:100g/m2)の上に、吸水性ポリマー粉末(住友精化株式会社製 SA60S,平均粒径:350μm,坪量:100g/m2)を散布し、その上に、シートパルプ(インターナショナル・ペーパー製)を粉砕及び積層し、10cm×10cmのサイズにカットした積層パルプ(坪量:100g/m2)を積み重ね、それらをティッシュ(坪量:15g/m2)で覆い、第2吸収体No.1を形成した。
なお、住友精化株式会社製 SA60Sは、逆相懸濁重合法により製造された、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する骨格を有する吸水性ポリマー粉末であり、そして造粒により大粒径化したものである。
第2吸収体No.1の上に、第1吸収体No.1を積み重ね、その上に、液透過性シートとしてのエアスルー不織布を積み重ね、簡易吸収性物品No.1を製造した。
[製造例5]
製造例1で製造された粒子No.1の坪量を、「100g/m2」から『200g/m2』に変更した以外は、製造例4の第1吸収体No.1の形成方法と同様にして、第1吸収体No.2を形成した。また、「第1吸収体No.1」を『第1吸収体No.2』に変更した以外は、製造例4の簡易吸収性物品No.1の製造方法と同様にして、簡易吸収性物品No.2を製造した。
[製造例6]
住友精化株式会社製 SA60Sをふるい分けし、平均粒径:430nmを有する、SA60S調整物を形成した。次いで、「製造例1で製造された粒子No.1を、坪量が100g/m2となるように」散布する部分を、『SA60S調整物を、坪量が150g/m2となるように」散布した以外は、製造例4の第1吸収体No.1の形成方法と同様にして、第1吸収体No.3を形成した。また、「第1吸収体No.1」を『第1吸収体No.3』に変更した以外は、製造例4の簡易吸収性物品No.1の製造方法と同様にして、簡易吸収性物品No.3を製造した。
なお、SA60Sは、保水性試験において、生理食塩水に対する、38倍の保水倍率(質量比)を有し、そして吸水性試験において、生理食塩水に対する、58倍の吸水倍率(質量比)を有していた。
[製造例7]
「製造例1で製造された粒子No.1を、坪量が100g/m2となるように」散布する部分を、『SA60S調整物を、坪量が300g/m2となるように」散布した以外は、製造例4の第1吸収体No.1の形成方法と同様にして、第1吸収体No.4を形成した。また、「第1吸収体No.1」を『第1吸収体No.4』に変更した以外は、製造例4の簡易吸収性物品No.1の製造方法と同様にして、簡易吸収性物品No.4を製造した。
[実施例2及び3,並びに比較例3及び4]
簡易吸収性物品No.1〜No.4の吸収時間(秒)、リウェット(g)、並びに第1吸収体保持率(質量%)及び第2吸収体保持率(質量%)を、下記測定方法に従って評価した。結果を表2にまとめる。
[吸収時間及びリウェットの測定]
(1)簡易吸収性物品No.1〜No.4の各サンプルの液透過性シートの上に、内径が60mmの円筒を置き、円筒内に生理食塩水(1回目)を50g滴下する(1回目の滴下)。
(2)1回目の滴下の開始から55分後に、液透過性シートの上に、初期質量を測定したろ紙を置き、その上に3.5kgのおもりを載せる。
(3)1回目の滴下の開始から58分(おもりを載せてから3分)後に、おもり及びろ紙を取り除き、生理食塩水を吸収したろ紙の試験後質量を測定し、ろ紙の質量の増加分を1回目リウェット(g)とする。
(4)1回目の滴下の開始から60分後に、円筒内に生理食塩水(2回目)を50g滴下する(2回目の滴下)。
(5)2回目の滴下の開始から、上記円筒内の液透過性シート上に液溜まりがなくなるまでの時間を測定し、2回目吸収時間(秒)とする。
(6)1回目の滴下の開始から115分(2回目の滴下の開始から55分)後に、液透過性シートの上に、初期質量を測定したろ紙を置き、その上に3.5kgのおもりを載せる。
(7)1回目の滴下の開始から118分(2回目の滴下の開始から58分,おもりを載せてから3分)後に、おもり及びろ紙を取り除き、生理食塩水を吸収したろ紙の試験後質量を測定し、ろ紙の質量の増加分を2回目リウェット(g)とする。
(8)異なるサンプルで(1)〜(7)の工程を計5回繰り返し、全サンプルの2回目吸収時間(秒)の平均値及び2回目リウェット(g)の平均値を、それぞれ、吸収時間(秒)及びリウェット(g)として採用する。
[第1吸収体保持率(質量%)及び第2吸収体保持率(質量%)の測定]
(1)簡易吸収性物品No.1〜No.4の各サンプルにおいて、第1吸収体の初期質量:M10(g)と、第2吸収体の初期質量:M20(g)とを測定する。
(2)簡易吸収性物品No.1〜No.4の各サンプルの液透過性シートの上に、内径が60mmの円筒を置き、円筒内に生理食塩水(1回目)を50g滴下する(1回目の滴下)。
(3)1回目の滴下の開始から60分後に、円筒内に生理食塩水(2回目)を50g滴下する(2回目の滴下)。
(4)1回目の滴下の開始から90分(2回目の滴下の開始から30分)後に、第1吸収体及び第2吸収体を分離し、第1吸収体の試験後質量:M11(g)と、第2吸収体の試験後質量:M21(g)とを測定する。
(5)第1吸収体の生理食塩水吸収量:M1(g)を、次の式:
M1(g)=M11(g)−M10(g)
から算出する。
同様に、第2吸収体の生理食塩水吸収量:M2(g)を、次の式:
M2(g)=M21(g)−M20(g)
から算出する。
(6)第1吸収体保持率:M1h(質量%)を、次の式:
M1h(質量%)=100×M1/(M1+M2)
から算出する。
同様に、第2吸収体保持率:M2h(質量%)を、次の式:
M2h(質量%)=100×M2/(M1+M2)
から算出する。
(7)異なるサンプルで、(1)〜(6)の工程を計5回繰り返し、全サンプルの第1吸収体保持率(質量%)の平均値及び第2吸収体保持率(質量%)の平均値を、それぞれ、第1吸収体保持率(質量%)及び第2吸収体保持率(質量%)として採用する。
Figure 2018050833
生理食塩水の吸水性能(=[吸水性ポリマー粉末の坪量]×[吸水性ポリマー粉末の生理食塩水に対する吸水倍率])が近い、簡易吸収性物品No.1と、簡易吸収性物品No.3とを比較すると、簡易吸収性物品No.1は、吸収時間が短く、そしてリウェット性にも優れている。簡易吸収性物品No.2と、簡易吸収性物品No.4とを比較しても同様である。
また、簡易吸収性物品No.1及びNo.2は、簡易吸収性物品No.3及びNo.4と比較して、第2吸収体保持率が高かった。このことは、生理食塩水の吸収量が増えても、これらの第1吸収体に含まれる粒子No.1は、第2吸収体に積極的に生理食塩水を受け渡すことができたものと思われる。一方、簡易吸収性物品No.3及びNo.4では、生理食塩水の量が増えるとともに、これらの第1吸収体に含まれるSA60S調整物がブロッキングし、第2吸収体に生理食塩水を受け渡しにくくなっていたことが示唆される。
また、吸収時間及びリウェットの測定の終了後、第1吸収体を観察したところ、簡易吸収性物品No.1及びNo.2では、粒子No.1が、スパンボンド不織布から外に飛び出していなかったが、簡易吸収性物品No.3及びNo.4では、SA60S調整物の一部が、スパンボンド不織布の外に飛び出しているのが観察された。
1 吸収性物品
3 液透過性シート
5 吸収体
7 液不透過性シート
9 吸収コア
11 吸水性ポリマー粒子
13 パルプ繊維
15 コアラップ
21 第1吸収体
23 第2吸収体
25 吸水性ポリマー粒子層
27 第1コアラップ
29 吸水性ポリマー粉末
31 パルプ繊維
33 第2吸収コア
35 第2コアラップ
101 防漏壁
103 弾性部材
105 固定部
107 弾性部材
109 テープファスナ
201 重合装置
203 重合組成物タンク
205 定量ポンプ
207 送液管
209 光照射室
211 光源
213 射出ノズル
215 整流多孔盤
217 形成管
219 分離スクリーン
221 疎水性溶媒タンク
223 定量ポンプ
225 温度調整器
227 送液管
301 吸水性ポリマー含水粒子
303 重合組成物
305 疎水性溶媒
307 液滴

Claims (13)

  1. 液透過性シート、吸収体及び液不透過性シートを備える吸収性物品であって、
    前記吸収体が、保水性試験における、生理食塩水に対する、45〜110倍の保水倍率(質量比)と、吸水時ゲル強度試験における、生理食塩水に対する、20〜50mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子を含む、
    ことを特徴とする、前記吸収性物品。
  2. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、20N以上の破断強度を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、発塵試験における、0.00〜0.20質量%の発塵率を有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.90〜0.99の平均真球度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  5. 液透過性シート、吸収体及び液不透過性シートを、その順で備える吸収性物品であって、
    前記吸収体が、保水性試験における、生理食塩水に対する、45〜110倍の保水倍率(質量比)と、吸水時ゲル強度試験における、生理食塩水に対する、20〜50mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層を含み、
    前記複数の吸水性ポリマー粒子が、エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出し、前記疎水性溶媒中で、前記複数の液滴内の前記重合組成物を重合させ、前記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成し、前記疎水性溶媒から、前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取り出し、そして前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより製造された、
    ことを特徴とする、前記吸収性物品。
  6. 前記複数の液滴が、0.01〜0.20の液滴径の変動係数を有する、請求項5に記載の吸収性物品。
  7. 前記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、前記複数の液滴に光を照射することにより、前記複数の液滴内の前記重合組成物を光重合させた、請求項5又は6に記載の吸収性物品。
  8. 前記複数の液滴内の前記重合組成物を重合させる際の、前記疎水性溶媒の温度が、0℃超且つ30℃以下の範囲にある、請求項5〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  9. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、一次粒子として、300〜800μmの平均粒径を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  10. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.01〜0.20の粒径の変動係数を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  11. 前記吸収体が、第1吸収体と、第1吸収体よりも前記液不透過性シートに近い第2吸収体とを含み、
    第1吸収体が、前記複数の吸水性ポリマー粒子から成る吸水性ポリマー粒子層を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  12. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸上げ試験において、生理食塩水に対する、15〜40mmの吸上げ高さを有する、請求項11に記載の吸収性物品。
  13. 第2吸収体が、第2吸収コアと、第2コアラップとを含み、第2吸収コアが、パルプと、複数の吸水性ポリマー粉末とを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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