JP2018053041A - 複数の吸水性ポリマー粒子、並びに複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法 - Google Patents

複数の吸水性ポリマー粒子、並びに複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法 Download PDF

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【課題】0.90〜0.99の平均真球度と、0.01〜0.20の粒径の変動係数と、吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子の提供。【解決手段】エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出するステップ、前記疎水性溶媒内で、前記複数の液滴内の前記重合組成物を重合させ、前記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップ、そして前記疎水性溶媒から、前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取出し、そして前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより、前記複数の吸水性ポリマー粒子を形成するステップ、を含む方法によって製造される、複数の吸水性ポリマー粒子。【選択図】図1

Description

本開示は、複数の吸水性ポリマー粒子、並びに複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法に関する。
吸水性ポリマー粒子は、吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等)、農園芸用資材(例えば、保水剤、土壌改良剤等)、工業用資材(例えば、ケーブル用止水剤、結露防止剤等)等の広範囲の分野で用いられている。また、上記吸水性ポリマー粒子には、種々の観点から改良が行われている。
例えば、特許文献1には、微粒子の発生が抑制され、取り扱いやすい適度の平均粒径(200〜350μm程度)を有し、かつ流動分布のシャープな高吸水性樹脂が開示されている。特許文献1に記載の高吸収性樹脂は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸水溶性塩とを主成分とする水溶性不飽和モノマーの水溶液を架橋剤の存在下または不存在下にラジカル重合開始剤を用いて炭化水素溶媒中で逆相懸濁重合させることにより高吸水性樹脂を製造するにあたり、上記逆相懸濁重合をガム質多糖類の共存下に行うことにより製造される。
特許文献2には、微粉および粗粉が少なく、粒度分布が狭い吸水性樹脂粒子が開示されている。特許文献2に記載の吸水性樹脂粒子は、以下の製法により製造される。
水溶性エチレン性不飽和単量体を逆相懸濁重合させて吸水性樹脂粒子を製造する方法であって、
(A)界面活性剤および/または高分子保護コロイド、ならびに必要に応じて内部架橋剤の存在下、水溶性ラジカル重合開始剤を用いて、炭化水素系溶媒中で水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を第1段目の逆相懸濁重合に付し、
(B)界面活性剤および/または高分子保護コロイドが炭化水素系溶媒に溶解している状態で、第1段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に、水溶性ラジカル重合開始剤、第1段目の重合に付した水溶性エチレン性不飽和単量体1モルに対して1.2〜2.5モルの水溶性エチレン性不飽和単量体、および必要に応じて内部架橋剤を含む水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、
(C)次いで界面活性剤および/または高分子保護コロイドを析出させた後、第2段目の逆相懸濁重合を行うことを特徴とする吸水性樹脂粒子の製造方法。
特開平8−120019号公報 特開2006−089525号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の高吸水性樹脂及び吸水性樹脂粒子(以下、「粒子」と称する)は、粒度分布がある程度狭く且つ微粉をあまり含まないので、複数の粒子が、使用に際して塊状体を形成した場合であっても、粒子と粒子との間に吸収すべき水の「通水路」がある程度確保されるため、吸収すべき初期の水の吸上げ性である「初期吸上げ性」を有する。しかし、複数の粒子が水を吸収すると、水を吸収した粒子の強度が不十分であるために、粒子と粒子との間の通水路が潰れやすく、水を吸収した後の水の吸上げ性である「経時吸上げ性」に劣る。
従って、本開示は、所定の平均真球度と、所定の粒径の変動係数と、所定の吸水時ゲル強度とを有し、初期吸上げ性及び経時吸上げ性に優れる、複数の吸水性ポリマー粒子を提供することを目的とする。
本開示者らは、0.90〜0.99の平均真球度と、0.01〜0.20の粒径の変動係数と、吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度とを有する、複数の吸水性ポリマー粒子を見出した。
本開示の、複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の平均真球度と、所定の粒径の変動係数と、所定の吸水時ゲル強度とを有し、初期吸上げ性及び経時吸上げ性に優れる。
図1は、重合装置1を説明するための模式図である。 図2は、粒子No.1の粒度分布(個数基準)である。 図3は、粉末No.2の粒度分布(個数基準)である。 図4は、粉末No.3の粒度分布(個数基準)である。
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
0.90〜0.99の平均真球度と、
0.01〜0.20の粒径の変動係数と、
吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度と、
を有する、複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の平均真球度と、所定の粒径の変動係数とを有し、各吸水性ポリマー粒子が略真球であり且つ吸水性ポリマー粒子の粒度分布が非常に狭い。従って、上記複数の吸水性ポリマー粒子は、使用の際に、それらが塊状体を形成した場合に、吸水性ポリマー粒子と、吸水性ポリマーとの間に空隙を有し、当該空隙が、吸水すべき水の「通水路」として機能する。上記通水路は、毛管現象等により、吸水性ポリマー粒子に到達した水を吸上げる(吸込む)ことができる。上記複数の吸水性ポリマー粒子は、平均粒径と比較して粒径の小さな粒子(微粉)をほぼ含まないので、上記通水路が、上記微粉により塞がれにくい。その結果、上記複数の吸水性ポリマー粒子は、毛細管現象等により、上記通水路を介して水を吸上げることができ、初期の水の吸上げ性(吸込み性)を意味する「初期吸上げ性」に優れる。
また、上記複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の吸水時ゲル強度を有するので、上記複数の吸水性ポリマー粒子が、水を保時した保水状態において、上記複数の吸水性ポリマー粒子に力が加わっても、それらの表面が欠けにくく、欠け落ちた粒子片である微粉が発生しにくい。その結果、上記複数の吸水性ポリマー粒子は、水を保時した保水状態においても、上述の通水路を保持しやすく、水を吸収した後の水のさらなる吸上げ性を意味する「経時吸上げ性」に優れる。
[態様2]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、発塵試験における、0.00〜0.20質量%の発塵率を有する、態様1に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の発塵率を有するので、上記複数の吸水性ポリマー粒子が水を吸収する前、例えば、複数の吸水性ポリマー粒子の製造時、搬送時等に、吸水性ポリマー粒子同士が衝突した場合であっても、吸水性ポリマー粒子から微細な粒子片が発生しにくい。従って、上記複数の吸水性ポリマー粒子では、微細な粒子片が通水路を塞ぎにくく、上記複数の吸水性ポリマー粒子は、初期吸上げ性及び経時吸上げ性に優れる。
[態様3]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸水性試験において、水に対する、700〜1,500倍の吸水倍率(質量比)を有する、態様1又は2に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の吸水倍率と、所定の吸水時ゲル強度とを両立するものであり、上記複数の吸水性ポリマー粒子は、特に、経時吸上げ性に優れる。
[態様4]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸上げ試験において、水に対する、15〜40mmの吸上げ高さを有する、態様1〜3のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の吸上げ高さを有し、経時吸上げ性に優れる。
[態様5]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸上げ試験において、生理食塩水に対する、15〜40mmの吸上げ高さを有する、態様1〜4のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の吸上げ高さを有し、イオン含有水に対する、経時吸上げ性に優れる。
[態様6]
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、保水性試験において、水に対する、500〜1,000倍の保水倍率(質量比)を有する、態様1〜5のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の吸水性ポリマー粒子は、所定の保水倍率と、所定の吸水時ゲル強度とを両立するものであり、上記複数の吸水性ポリマー粒子は、特に、経時吸上げ性に優れる。
[態様7]
エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出し、上記疎水性溶媒内で、上記複数の液滴内の上記重合組成物を重合させ、上記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成し、上記疎水性溶媒から、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取り出し、そして上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより製造された、複数の吸水性ポリマー粒子であって、
上記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.90〜0.99の平均真球度と、0.01〜0.20の粒径の変動係数と、吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度とを有する、
ことを特徴とする、上記複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の吸水性ポリマー粒子は、態様1に記載のものと同等の効果を有する。
[態様8]
上記複数の液滴が、0.01〜0.20の液滴径の変動係数を有する、態様7に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記複数の液滴が、所定の液滴径の変動係数を有することにより、製造される複数の吸水性ポリマー粒子が、所定の粒径の変動係数を有しやすくなり、ひいては上記複数の吸水性ポリマー粒子が、「初期吸上げ性」及び「経時吸上げ性」に優れる。
[態様9]
上記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、上記複数の液滴に光を照射することにより、上記複数の液滴内の上記重合組成物を光重合させた、態様7又は8に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であることにより、製造される上記複数の吸水性ポリマー粒子が、「初期吸上げ性」及び「経時吸上げ性」に優れる。
[態様10]
上記複数の液滴内の上記重合組成物を重合させる際の、上記疎水性溶媒の温度が、0℃超且つ30℃以下の範囲にある、態様7〜9のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
上記疎水性溶媒の温度が所定の範囲にあることにより、製造される上記複数の吸水性ポリマー粒子が、「初期吸上げ性」及び「経時吸上げ性」に優れる。また、上記複数の吸水性ポリマー粒子が、気泡を含みにくい。
[態様11]
複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、
エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出するステップ、
上記疎水性溶媒内で、上記複数の液滴内の上記重合組成物を重合させ、上記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップ、そして
上記疎水性溶媒から、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取出し、そして上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより、上記複数の吸水性ポリマー粒子を形成するステップ、
を含み、上記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.01〜0.20の粒径の変動係数と、0.90〜0.99の平均真球度と、吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度とを有する、
ことを特徴とする、上記製造方法。
上記複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法により製造された、複数の吸水性ポリマー粒子は、態様1と同等の効果を有する。
[態様12]
上記放出するステップにおいて、上記複数の液滴が0.01〜0.20の液滴径の変動係数を有するように、上記複数の液滴を上記疎水性溶媒に放出する、態様11に記載の製造方法。
上記製造方法では、複数の液滴のそれぞれが、所定の液滴径の変動係数を満たすように放出されるため、製造される複数の吸水性ポリマー粒子が、均一な体積/質量を有しやすくなり、ひいては、それらが所定の粒径の変動係数を有しやすくなる。その結果、複数の吸水性ポリマー粒子が、「初期吸上げ性」及び「経時吸上げ性」に優れる。
[態様13]
上記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップにおいて、上記複数の液滴に光を照射することにより、上記複数の液滴内の上記重合組成物を光重合させる、態様11又は12に記載の製造方法。
上記製造方法では、複数の吸水性ポリマー粒子が、光重合により製造されるので、製造される複数の吸水性ポリマー粒子が、所定の平均真球度と、所定の吸水時ゲル強度とを有しやすくなる。また、上記製造方法は、熱重合により製造される場合と比較して、短時間で完了する。
[態様14]
複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップにおいて、上記疎水性溶媒の温度が、0℃超且つ30℃以下の範囲にある、態様11〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
上記製造方法では、複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップを所定の温度で実施するため、吸水性ポリマー含水粒子に気泡が入りにくく、複数の液滴中の水分が揮発しにくく、そして形成される複数の吸水性ポリマー含水粒子が、その体積を維持しやすいため、形成される複数の吸水性ポリマー粒子が、所定の粒径の変動係数と、所定の平均真球度とを有しやすくなる。また、形成される複数の吸水性ポリマー粒子が、気泡を含みにくくなる。
[態様15]
上記疎水性溶媒が、シリコーンオイル、油及び炭化水素、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、態様11〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
上記製造方法では、製造される複数の吸水性ポリマー粒子が、所定の平均真球度と、所定の粒径の変動係数とを有しやすい。
[定義]
・「吸水性ポリマー粒子」及び「吸水性ポリマー粉末」
本明細書では、「吸水性ポリマー粒子」及び「吸水性ポリマー粉末」は、区別して用いられている。
「吸水性ポリマー粒子」は、本開示が対象としている、所定の保水倍率と、所定の吸水時ゲル強度とを有するものを意味する。「吸水性ポリマー粉末」は、逆相懸濁重合法、溶液重合法、気相法等の公知の製法により製造された、当技術分野で公知の高吸収性ポリマー、SAP等と称されるものを意味する。
上記吸水性ポリマー粒子は、1質量%以下の水分率を有することが好ましい。
水分率は、以下の通り測定される。
質量:ma(g)を測定した吸水性ポリマー粒子を、110℃のオーブンで10時間乾燥することにより乾燥後粒子を形成し、乾燥後粒子の質量:mb(g)を測定し、以下の式:
水分率(質量%)=(ma−mb)/ma
により算出する。
本開示の複数の吸水性ポリマー粒子、並びに複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法について、以下、詳細に説明する。
<複数の吸水性ポリマー粒子>
本開示の複数の吸水性ポリマー粒子(以下、単に「吸水性ポリマー粒子」と称する場合がある)は、0.01〜0.20、好ましくは0.03〜0.15、そしてより好ましくは0.05〜0.10の粒径の変動係数を有する。そうすることにより、複数の吸水性ポリマー粒子が塊状体を形成した場合に、保水前において、複数の吸水性ポリマー粒子が高密度に充填しつつ、複数の吸水性ポリマー粒子の間の、吸収すべき水の通り道となる通水路が確保される。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、0.90〜0.99、好ましくは0.92〜0.98、そしてより好ましくは0.93〜0.97の平均真球度を有する。そうすることにより、複数の吸水性ポリマー粒子が塊状体を形成した場合に、吸水性ポリマー粒子が高密度に充填することができる。また、そうすることにより、保水前及び保水後において、吸水性ポリマー粒子の表面が欠けにくくなり、欠け落ちた粒子片である微粉が発生しにくくなる。なお、微粉は、通水路を塞ぐ傾向があるので好ましくない。
なお、本明細書では、吸水性ポリマー粒子の粒径(個々の吸水性ポリマー粒子の粒径)、平均粒径、粒径の変動係数及び平均真球度は、以下の通り測定される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−1000,ズームレンズ:×20〜×200)及び付属のソフトウェアを準備する。
(2)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、上記恒温恒湿室に24時間静置する。
(3)上記デジタルマイクロスコープでサンプルを撮影する。
(4)各粒子の粒径は、各粒子の投影画像の投影面積から算出した円相当径を意味する。具体的には、各粒子の投影面積:Aを付属のソフトウェアで計測し、各粒子の円相当径:CDを、次の式:
Figure 2018053041
から算出する。
(5)平均粒径は、粒度分布(個数基準)のメジアン径(50p)を意味する。具体的には、付属のソフトウェアにて、吸水性ポリマー粒子1,000個の円相当径CDの粒度分布(個数基準)を作成し、当該粒度分布(個数基準)からメジアン径(50p)を決定する。
(6)粒径の変動係数は、上記粒度分布(個数基準)から、付属のソフトウェアにて算出する。
(7)平均真球度:Spは、吸水性ポリマー粒子1,000個の真球度spの相加平均である。具体的には、各吸水性ポリマー粒子の真球度:spは、各吸水性ポリマー粒子の外縁から、最も長い径である長径:k1と、最も短い径である短径:k2とを測定し、次の式:
p=k2/k1
により算出する。なお、各粒子の長径:k1及び短径:k2は、付属のソフトウェアにより、自動で決定される。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、好ましくは0.05〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30、そしてさらに好ましくは0.12〜0.20の粒径分散係数を有する。そうすることにより、複数の吸水性ポリマー粒子が塊状体を形成した場合に、保水前において、複数の吸水性ポリマー粒子が高密度に充填しつつ、複数の吸水性ポリマー粒子の間の、吸収すべき水の通り道となる通水路が確保されやすくなる。
上述の粒径分散係数(δ)は、上述の吸水性ポリマー粒子1,000個の円相当径CDの粒度分布(個数基準)において、10%粒子径:10p,メジアン径:50p及び90%粒子径:90pにより、次の式:
δ=(90p10p)/50p
により算出される。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、吸水時ゲル強度試験において、水に対して、60〜200mN、好ましくは80〜160mN、そしてより好ましくは100〜140mNの吸水時ゲル強度を有する。そうすることにより、本開示の吸水性ポリマー粒子が、高保水状態において力が加わっても欠けにくくなり、欠け落ちた粒子片が発生しにくくなる。その結果、吸水性ポリマー粒子の高保水状態において、上述の通水路が保持されやすくなる。
本明細書では、上述の吸水時ゲル強度試験は、以下の通り実施される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、ミネベア製テクノグラフTG−500Nを準備する。
(2)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、上記恒温恒湿室に24時間静置する。
(3)10mg程度のサンプルの質量を正確に秤量し、サンプル10mg当たり、イオン交換水10gを加え、3時間静置して、サンプルを膨潤させる。
(4)膨潤したサンプルから、膨潤した粒子1つを、テクノグラフTG−500Nの試料ステージに載せ、膨潤した粒子を2mm/分の速度で圧縮する。
(5)膨潤した粒子が破断した際の荷重を測定する。
(6)異なる膨潤した粒子で計50回の測定を行い、50回分の上記荷重の相加平均を吸水時ゲル強度として採用する。
本開示の吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品等の、イオン含有水を吸収する用途に用いられる場合には、本開示の吸水性ポリマー粒子は、吸水時ゲル強度試験において、生理食塩水に対して、好ましくは20〜50mN、より好ましくは23〜45mN、そしてさらに好ましくは25〜40mNの吸水時ゲル強度を有する。そうすることにより、本開示の吸水性ポリマー粒子が、イオン含有水を保水した際に、力が加わっても欠けにくくなり、欠け落ちた粒子片が発生しにくくなる。その結果、吸水性ポリマー粒子の高保水状態において、上述の通水路が保持されやすくなる。
なお、上述の吸水時ゲル強度試験において、生理食塩水に対する吸水時ゲル強度を測定する場合には、正確に秤量した約10mgのサンプルに、サンプル10mg当たり、「イオン交換水10g」の代わりに、『生理食塩水1g』を加える。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、発塵試験において、好ましくは0.00〜0.20質量%、より好ましくは0.00〜0.15質量%、さらに好ましくは0.00〜0.10質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.00〜0.05質量%の発塵率を有する。そうすることにより、使用前に、例えば、搬送中に、吸水性ポリマー同士が擦れるような力を受けた場合であっても、吸水性ポリマー粒子の表面が欠けにくくなり、欠け落ちた粒子片である微粉が発生しにくくなる。その結果、上記吸水性ポリマー粒子の使用時に、微粉により、上述の通水路が塞がれにくくなる。
また、そうすることにより、吸水性ポリマー粒子の製造時、吸水性ポリマー粒子を物品、例えば、吸収性物品に適用する際に、吸水性ポリマー粒子から生じた微粉が、製造ラインを汚染する可能性が低くなる。また、本開示の吸水性ポリマー粒子が適用された物品から、吸水性ポリマー粒子から生じた微粉が外に漏れる可能性が低くなる。
本明細書では、上述の発塵試験は、以下の通り実施される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、NISSEI社製のエクセルオートホモジナイザーを準備する。
(2)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、目開き150μmのふるいにかけ、上記恒温恒湿室に24時間静置する。
(3)おおよそ10gのサンプルの質量:m1(g)を正確に秤量し、サンプルをホモジナイザーに投入し、サンプルを1,000rpmの回転速度で1分間攪拌する。
(4)攪拌を終えたサンプルを、目開き150μmのふるいにかけ、ふるいを通過した微粉の質量:m2(g)を測定する。
(5)発塵率:D(質量%)を、次の式:
D(質量%)=100×m2/m1
により算出する。
(6)試験を異なる試料で計3回実施し、3回の発塵率の相加平均を採用する。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、好ましくは20N以上、より好ましくは30N以上、さらに好ましくは40N以上、そしてさらにいっそう好ましくは50N以上の破断強度を有する。そうすることにより、使用前に、例えば、搬送中に強い衝撃を受けた場合であっても、吸水性ポリマー粒子の表面が欠けにくくなり、欠け落ちた粒子片である微粉が発生しにくくなる。その結果、上記吸水性ポリマー粒子の使用時に、微粉により、上述の通水路が塞がれにくくなる。
上記破断強度は、工程(3)を省略した以外は、吸水時ゲル強度試験と同様にして測定され、工程(4)及び工程(5)における、「膨潤したサンプル」及び「膨潤した粒子」は、それぞれ、「サンプル」及び「粒子」と読み替える。なお、荷重は、50Nを上限とする。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、吸水性試験において、水に対する、好ましくは700〜1,500倍、より好ましくは800〜1,200倍、そしてさらに好ましくは900〜1,100倍の吸水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、本開示の吸水性ポリマー粒子は、所定の吸水倍率と、所定の吸水時ゲル強度とを両立することができ、本開示の吸水性ポリマー粒子が、経時吸上げ性に優れる。
なお、当技術分野では、吸水性ポリマー粒子の吸水倍率(吸水量)と、膨潤時の粒子強度との間には負の相関があることが知られており、本開示の吸水性ポリマー粒子は、従来の吸水性ポリマー粒子と比較して、高い吸水倍率と、高い吸水時ゲル強度とを両立するものである。
本明細書では、上述の吸水性試験は、以下の通り実施される。
(1)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に24時間静置する。
(2)おおよそ30mgのサンプルの質量:m3(g)を正確に秤量し、秤量したサンプルに、イオン交換水約60mL(サンプルの約2,000倍の質量)を加えて3時間静置し、サンプルを膨潤させる。
(3)サンプルを、ポリアミド系繊維のメッシュシートの上に取り出し、ろ紙で吸水性ポリマー粒子の表面に付着した水分を拭取り、膨潤したサンプルの質量:m4(g)を測定する。
(4)サンプルの吸水倍率(質量比):WARを、次の式:
AR=100×(m4−m3)/m3
により算出する。
(5)異なるサンプルで、工程(1)〜工程(4)を計3回繰り返し、3つのサンプルの吸水倍率:WARの相加平均を吸水倍率として採用する。
本開示の吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品等の、イオン含有水を吸収する用途に用いられる場合には、本開示の吸水性ポリマー粒子は、上述の吸水性試験において、生理食塩水に対する、好ましくは60〜120倍、より好ましくは70〜100倍、そしてさらに好ましくは75〜90倍の吸水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、本開示の吸水性ポリマー粒子が、イオン含有水を吸水する絶対量が多く、その結果、経時吸上げ性に優れる。
なお、上述の吸水性試験において、生理食塩水に対する吸水倍率を測定する場合には、正確に秤量した約30mgのサンプルに、サンプル30mg当たり、「イオン交換水約60mL(サンプルの約2,000倍の質量)」の代わりに、『生理食塩水約6mL(サンプルの約200倍の質量)』を加える。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、吸上げ試験において、水に対する、好ましくは15〜40mm、より好ましくは18〜35mm、そしてさらに好ましくは20〜30mmの吸上げ高さを有する。そうすることにより、本開示の吸水性ポリマー粒子が、水に対する上述の経時吸上げ性に優れる。
本明細書では、上述の吸上げ試験は、以下の通り実施される。
(1)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に24時間静置する。
(2)1.0gのサンプルを計量し、底面に、目開き75μmのナイロンメッシュが張られている筒(内径:25mm、高さ:30mm)の中に、サンプルの高さが均一となるように調整しながら配置する。
(3)シャーレ(内径:90mm,高さ:15mm)に、2枚のスペーサー(長さ:25mm×幅:5mm×高さ:0.5mm)を間隔を空けて入れ、次いで、シャーレ内に、24mLの、着色されたイオン交換水(イオン交換水1L当たり、1gの青色1号を含む)を注ぐ。
(4)2枚のスペーサーの上に、サンプルが配置された筒を、底面を下を向くように配置し、底面のナイロンメッシュを通過したイオン交換水を、サンプルに吸上げさせる。
なお、サンプルは、着色されたイオン交換水を吸上げると、青色に着色した膨潤部分が上昇し、そして膨潤部分と未膨潤部分との境界面もあわせて上昇する。
(5)筒をシャーレ内に入れてから2時間後、筒の底面(ナイロンメッシュ)から、上記境界面のうち最も低い部分の高さを測定する。
(6)試験を異なる試料で計10回実施し、10回の高さの相加平均を、吸上げ高さとして採用する。
(7)上記境界面の均一吸上げ性を、下記3段階で評価する。
○:境界面がフラットに近く、イオン交換水の吸上げが均一である。
△:境界面に凹凸があり、イオン交換水の吸上げが均一でない。
×:境界面の凹凸が大きく、イオン交換水の吸上げが非常に不均一である。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、吸上げ試験において、生理食塩水に対する、好ましくは15〜40mm、より好ましくは18〜35mm、そしてさらに好ましくは20〜30mmの吸上げ高さを有する。そうすることにより、本開示の吸水性ポリマー粒子が、イオン含有水に対する上述の経時吸上げ性に優れる。
なお、吸上げ試験において、生理食塩水に対する吸上げ高さを測定する場合には、「24mLの、着色されたイオン交換水(イオン交換水1L当たり、1gの青色1号を含む)」の代わりに、『24mLの、着色された生理食塩水(生理食塩水1L当たり、1gの青色1号を含む)』を加え、そして「イオン交換水」を『生理食塩水』と読み替える。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、保水性試験において、水に対する、好ましくは500〜1,000倍、より好ましくは700〜950倍、そしてさらに好ましくは800〜900倍の保水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、吸水性ポリマー粒子が、大量の水を、その内部に保持し続けることができる。その結果、吸水性ポリマー粒子に力等が加わった場合であっても、吸収した水を放出しにくくなる。
また、当技術分野では、吸水性ポリマー粒子の保水倍率(吸水量)と、膨潤時の粒子強度との間には負の相関があることが知られており、本開示の吸水性ポリマー粒子は、従来の吸水性ポリマー粒子と比較して、高い保水倍率と、高い吸水時ゲル強度とを両立するものである。
本明細書では、上述の保水性試験は、以下の通り実施される。
(1)吸水性ポリマー粒子のサンプルを、温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に24時間静置する。
(2)20mg程度のサンプルの質量:m5(g)を正確に秤量し、秤量したサンプルに、イオン交換水約22mL(サンプルの約1,100倍の質量)を加えて3時間静置し、サンプルを膨潤させる。
(3)サンプルを、目開き75μmのナイロンメッシュで形成した袋に入れ、サンプルを含む袋を、150Gで90秒間、遠心分離器で脱水する。
(4)袋から、サンプルを取り出し、その質量:m6(g)を測定する。
(5)サンプルの保水倍率(質量比):WHRを、次の式:
HR=100×(m6−m5)/m5
により算出する。
(6)異なるサンプルで、工程(1)〜工程(5)を計3回繰り返し、3つのサンプルの保水倍率:WHRの相加平均を保水倍率として採用する。
本開示の吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品等の、イオン含有水を吸収する用途に用いられる場合には、本開示の吸水性ポリマー粒子は、保水性試験において、生理食塩水に対する、好ましくは45〜110倍、より好ましくは55〜95倍、そしてさらに好ましくは60〜85倍の保水倍率(質量比)を有する。そうすることにより、本開示の吸水性ポリマー粒子が、大量のイオン含有水を、その内部に保持し続けることができる。その結果、吸水性ポリマー粒子に力等が加わった場合であっても、吸収した水を放出しにくくなる。
なお、上述の保水性試験において、生理食塩水に対する、保水倍率を測定する場合には、「イオン交換水約22mL(サンプルの約1,100倍の質量)」の代わりに、『生理食塩水約3.0mL(サンプルの約150倍の質量)』を加える。
本開示の吸水性ポリマー粒子の平均粒径は、特に制限されず、用途によって変わりうるが、一般的には、100〜1,000μm、好ましくは300〜1,000μm、そしてより好ましくは300〜800μmである。例えば、上記吸水性ポリマー粒子が、吸収性物品に用いられる場合には、300〜800μmの平均粒径を有することができる。
なお、平均粒径の測定方法は、上述の通りである。
本開示の吸水性ポリマー粒子が、逆相懸濁重合法により製造された吸水性ポリマー粉末と比較して、特に高い効果を有する平均粒径として、好ましくは300〜1,000μm、そしてより好ましくは300〜800μmが挙げられる。逆相懸濁重合法では、一次粒子として、50〜100μmの平均粒径を有する吸水性ポリマー粉末を製造し、それ以上の平均粒径を有する吸水性ポリマー粉末を製造するためには、造粒することが必要となるからである。本開示の吸水性ポリマー粒子は、造粒せずに、一次粒子として、上記平均粒径を有することができるため、上記平均粒径の範囲では、逆相懸濁重合法により製造された吸水性ポリマー粉末には達成することが難しい、所定の平均真球度と、所定の粒径の変動係数と、所定の吸水時ゲル強度を有することができ、本開示の吸水性ポリマー粒子が、初期吸上げ性及び経時吸上げ性に優れる。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、当技術分野で一般的に用いられるモノマー骨格を有することができ、例えば、後述の「複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法」にて例示されるモノマー骨格、例えば、エチレン系不飽和モノマーに由来する骨格、架橋剤に由来する骨格等を含むことができる。
本開示の複数の吸水性ポリマー粒子は、使用に際し、単体として存在することができ、2つ以上の塊状体として存在することができ、そして単体及び塊状体が共存する状態で存在することができる。
本開示の複数の吸水性ポリマー粒子は、使用に際し、塊状体、又は単体及び塊状体が共存する状態で存在することが好ましい。また、上記塊状体は、吸水性ポリマー粒子の平均粒径の、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、さらに好ましくは4倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは5倍以上の、最薄部分の厚さを有する。そうすることにより、本開示の複数の吸水性ポリマー粒子が、高い初期吸上げ性及び高い経時吸上げ性を発揮しやすくなる。
上記塊状体は、高い充填率、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、そしてさらに好ましくは60%以上の充填率を有する。本開示の効果の観点からである。
本開示の吸水性ポリマー粒子は、吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等)、農園芸用資材(例えば、保水剤、土壌改良剤等)、工業用資材(例えば、ケーブル用止水剤、結露防止剤等)等の用途に用いられうる。
<複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法>
本開示の複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法(以下、単に「本開示の製造方法」と称する場合がある)により、上述の複数の吸水性ポリマー粒子が製造される。本開示の製造方法は、以下のステップを含む。
(i)エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出するステップ(以下、「液滴放出ステップ」と称する場合がある)
(ii)上記疎水性溶媒内で、上記複数の液滴内の上記重合組成物を重合させ、上記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップ(以下、「吸水性ポリマー含水粒子形成ステップ」と称する場合がある)
(iii)上記疎水性溶媒から、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取出し、上記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより、上記複数の吸水性ポリマー粒子を形成するステップ(以下、「吸水性ポリマー粒子形成ステップ」と称する場合がある)
[液滴放出ステップ]
液滴放出ステップにおける重合組成物は、エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤、水等を含む。
上記エチレン系不飽和モノマーとしては、当技術分野で用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸系モノマーが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
上記重合組成物は、上記エチレン系不飽和モノマーを、一般的には40〜70質量%、好ましくは60〜70質量%の比率で含む。
上記(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(すなわち、(メタ)アクリル酸の非中和物)、(メタ)アクリル酸の中和物、(メタ)アクリル酸の誘導体、例えば、エステル化物等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸の中和物としては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩が挙げられる。上記アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム塩等が挙げられ、ナトリウム及びカリウム塩が好ましい。
なお、上記重合組成物から形成される吸水性ポリマー粒子が、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来するモノマー骨格を有する場合には、吸水性ポリマー粒子において、(メタ)アクリル酸の誘導体に由来するモノマー骨格を除き、酸基(カルボキシル基)の85〜100モル%が、中和されていることが好ましい。
従って、吸水性ポリマー粒子において、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸の中和物に由来する骨格の酸基(カルボキシル基)の85〜100モル%が中和されている場合には、上記重合組成物が、酸基の85〜100モル%が中和された(メタ)アクリル酸系モノマーを含んでもよく、あるいは、例えば、吸水性ポリマー含水粒子に含まれる上記酸基を中和し、最終的に、吸水性ポリマー粒子が、酸基の85〜100モル%が中和された(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する骨格を含むようにしてもよい。
上記重合組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。上記架橋剤としては、例えば、(i)重合性不飽和基を少なくとも2つ有する重合性架橋剤、(ii)カルボキシル基と反応しうる反応性基を少なくとも2つ有する反応性架橋剤、(iii)重合性不飽和基と、カルボキシル基と反応しうる反応性基とを有する重合性反応性架橋剤が挙げられる。形成される吸水性ポリマー粒子の吸水特性の観点からは、上記架橋剤としては、アクリレート系、アリル系、アクリルアミド系の重合性架橋剤であることが好ましい。上記重合組成物が架橋剤を含む場合には、上記重合組成物は、上記架橋剤を、エチレン系不飽和モノマーに対して、好ましくは0.02〜0.15モル%の割合で含む。
上記架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。形成される吸水性ポリマー粒子の特性の観点からは、上記ラジカル重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤を含む場合には、光ラジカル重合開始剤と併用されることが好ましい。
上記重合組成物は、上記ラジカル重合開始剤を、エチレン系不飽和モノマーに対して、好ましくは0.001〜20質量%、そしてより好ましくは0.1〜10質量%の割合で含む。
上記光ラジカル重合開始剤としては、約200nm〜約600nmの波長の光によりラジカルを発生しうるものが好ましく、例えば、ベンゾイン、アセトイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、キサントン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ナフトール、アントラキノン、ヒドロキシアントラセン、アセトフェノンジエチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパン、それらの任意の組み合わせ等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
上記重合組成物が水を含むこと、一定温度に保持された疎水性溶媒に放出されること等により、重合組成物の液滴の温度が、エチレン系不飽和モノマーの重合に伴って発生する熱により上昇しにくくなる。なお、水は、重合組成物から吸水性ポリマー含水粒子を形成した後、その多くが取り除かれる。
上記疎水性溶媒としては、重合組成物と混和せず、重合組成物中の成分と反応しないものであれば、特に制限されない。また、上記疎水性溶媒は、重合組成物に近い比重を有することが好ましい。
上記疎水性溶媒としては、例えば、シリコーンオイル(例えば、ジメチルポリシロキサン)、油(例えば、トリグリセリド、例えば、植物性油、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド)、炭化水素(例えば、流動パラフィン)、それらの任意の組み合わせ等が挙げられる。
上記疎水性溶媒の温度は、好ましくは0℃超且つ30℃以下の範囲にある。そうすることにより、製造される上記複数の吸水性ポリマー粒子が、「初期吸上げ性」及び「経時吸上げ性」に優れる。また、上記複数の吸水性ポリマー粒子が、気泡を含みにくい。
上記重合組成物は、疎水性溶媒に液滴として放出されるのであれば、放出方法は特に制限されず、例えば、上記重合組成物は、射出ノズルを備える重合装置を用いて、液滴として、疎水性溶媒に放出される。具体的には、上記射出ノズルの先端を、疎水性溶媒内に浸漬した状態で、上記重合組成物を、上記射出ノズルから、疎水性溶媒内に、直接、定量的に射出し、疎水性溶媒内で上述の液滴を形成する。上記射出ノズルから、重合組成物を射出する量としては、例えば、30〜60mL/分が挙げられる。上記射出ノズルは、特開2008−11765号公報等に記載されるものを利用することができ、そして図1に示される重合装置1に関連して後述する。上記重合組成物は、疎水性溶媒の内部に液滴として放出されることが好ましい。液滴の形状を保持するためである。
上記複数の液滴のそれぞれが、原則として、重合により、複数の吸水性ポリマー含水粒子のそれぞれ、並びに複数の吸水性ポリマー粒子のそれぞれを形成する。従って、所定の粒径の変動係数を有する、複数の吸水性ポリマー粒子を製造する観点からは、上記複数の液滴は、所定の液滴径の変動係数を有することが好ましい。具体的には、上記複数の液滴は、吸水性ポリマー粒子の粒径の変動係数と同様の液滴径の変動係数を有することが好ましく、好ましくは0.01〜0.20、より好ましくは0.03〜0.15、そしてさらに好ましくは0.05〜0.10の粒径の変動係数を有する。
また、上記複数の液滴が、上述の液滴径の変動係数を有することにより、複数の吸水性ポリマー粒子の個々の粒子が、均質な特性を有しやすくなり、ひいては、複数の吸水性ポリマー粒子が、高い平均真球度、小さな粒径の変動係数、高い吸水時ゲル強度、高い保水倍率等を有しやすくなる。
上記液滴径の変動係数は、上述の吸水性ポリマー粒子の変動係数の測定方法と同様に測定されうる。
[吸水性ポリマー含水粒子形成ステップ]
吸水性ポリマー含水粒子形成ステップでは、疎水性溶媒内で、複数の液滴内の重合組成物を重合させ、複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成する。
ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤である場合には、光源、例えば、水銀灯、蛍光灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、UV-LEDランプ等から、光、例えば、約200nm〜約600nmの波長の光を、例えば、疎水性溶媒及び複数の液滴を含む形成管に照射し、複数の液滴のそれぞれにおいて、重合組成物を光重合させ、複数の液滴のそれぞれから、吸水性ポリマー含水粒子を形成することができる。当該観点からは、疎水性溶媒は、光源から照射される光の波長に対する透過率が高いことが好ましい。また、上記形成管は、光源から照射される光の波長に対する透過率が高いことが好ましく、例えば、石英ガラスから形成される。
上記ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤のみを含む場合には、重合組成物及び疎水性溶媒は、加熱されないことが好ましい。形成される、複数の吸水性ポリマー含水粒子、ひいては複数の吸水性ポリマー粒子が、気泡を含みにくくなるためである。
上記ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤のみを含む場合には、疎水性溶媒の温度は、熱ラジカル重合開始剤が機能しうる温度、例えば、10時間半減期温度以上の温度に維持することが好ましい。上記ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤のみを含む場合には、例えば、疎水性溶媒及び複数の液滴を含む重合槽を、当該熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度以上の温度に維持することにより、複数の液滴のそれぞれにおいて、重合組成物を熱重合させ、複数の液滴のそれぞれから、吸水性ポリマー含水粒子を形成することができる。
なお、この場合には、液滴を形成する前の重合組成物を加熱しないことが好ましい。重合組成物が、疎水性溶媒に液滴として放出される前に重合が開始し、重合性組成物が液滴化しにくくなる可能性があるからである。
上記ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤の両方を含む場合には、液滴を形成する前の重合組成物を、加熱しないことが好ましい。重合組成物が疎水性溶媒に液滴として放出される前に重合が開始し、重合性組成物が液滴化しにくくなる可能性があるからである。また、疎水性溶媒を、熱ラジカル重合開始剤が機能しうる温度に維持することができる。さらに、例えば、形成管及び重合槽を備える重合装置を準備し、上記形成管において疎水性溶媒を室温に維持するとともに光源から光を照射して、重合組成物を光重合させ、次いで、上記重合槽において、疎水性溶媒を熱ラジカル重合開始剤が機能しうる温度に維持し、重合組成物を熱重合させてもよい。
[吸水性ポリマー粒子形成ステップ]
吸水性ポリマー粒子形成ステップでは、疎水性溶媒から、複数の吸水性ポリマー含水粒子を取出し、複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより、複数の吸水性ポリマー粒子を形成する。
疎水性溶媒から取り出された吸水性ポリマー含水粒子を、常温又は高温条件下、例えば、40〜200℃の温度で、常圧又は減圧下で乾燥し、複数の吸水性ポリマー粒子を形成する。
本開示の製造方法では、上述の液滴放出ステップ、吸水性ポリマー含水粒子形成ステップ及び吸水性ポリマー粒子形成ステップは、連続して実施してもよく、そして各ステップを独立して実施してもよい。
本開示の複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法を実施するための重合装置の例を、図1に示す。図1において、重合装置1は、重合組成物103を保持している重合組成物タンク3、重合組成物103の搬送速度を調節する定量ポンプ5、重合組成物103を搬送する送液管7、光源11を備える光照射室9、重合組成物103を射出する射出ノズル13、整流多孔盤15、疎水性溶媒105を保持し、液滴を光重合させる形成管17、吸水性ポリマー含水粒子101を疎水性溶媒105から分離する分離スクリーン19、疎水性溶媒105を保持する疎水性溶媒タンク21、疎水性溶媒105の搬送速度を調整する定量ポンプ23、疎水性溶媒105の温度を調整する温度調整器25、及び疎水性溶媒105を搬送する送液管27を備える。
疎水性溶媒105は、形成管17、疎水性溶媒タンク21、定量ポンプ23、温度調整器25、送液管27及び整流多孔盤15の間を循環しており、循環速度は、定量ポンプ23により制御され、疎水性溶媒105の温度は、温度調整器25により制御されている。形成管17は、その大部分が、光照射室9の内部に配置されている。
重合組成物103は、重合組成物タンク3から、定量ポンプ5及び送液管7を介して、射出ノズル13に供給される。次いで、重合組成物103は、射出ノズル13から射出され、形成管17内で液滴107を形成する。次いで、液滴107は、形成管17内で、光源11から照射された光に暴露され、液滴107内の重合組成物103が光重合し、吸水性ポリマー含水粒子101を形成する。吸水性ポリマー含水粒子101は、分離スクリーン19により、疎水性溶媒105と分離される。
次いで、吸水性ポリマー含水粒子101は、乾燥され、吸水性ポリマー粒子(図示せず)が製造される。
当技術分野では、吸水性ポリマー粒子の製造方法として、溶液重合法、逆相懸濁重合法、気相法等の製造方法が知られている。
溶液重合法では、重合されたポリマー塊を粉砕することにより、吸水性ポリマー粉末が製造されているが、溶液重合法は、ポリマー塊を粉砕する工程を含むため、製造される吸水性ポリマー粉末は、不定形の形状を有し、そして微粉を多く含む傾向がある。従って、溶液重合法で製造された、複数の吸水性ポリマー粉末は、塊状体を形成した際に、粒子間の空隙が大きい部分、すなわち、通水路の幅が広い部分を含むので、毛細管現象等を利用した、水の吸上げが行いにくい。また、溶液重合法で製造された、複数の吸水性ポリマー粉末では、微粉が通水路の狭い部分を塞ぐ傾向があり、水を吸上げにくくなる。その結果、溶液重合法で製造された、複数の吸水性ポリマー粉末は、初期吸上げ性及び経時吸上げ性に劣る傾向がある。
また、逆相懸濁重合法では、製造される吸水性ポリマー粉末の粒径の制御が難しく、用途によっては、造粒等の追加の工程が必要となるが、造粒された吸水性ポリマー粉末は、粒径の変動係数、平均真球度、吸水時ゲル強度等に劣り、そして一次粒子が微粉として通水路を塞ぐ傾向がある。その結果、逆相懸濁重合法で製造された、複数の吸水性ポリマー粉末は、初期吸上げ性及び経時吸上げ性に劣る傾向がある。
また、逆相懸濁重合法では、界面活性剤を用いることが必須であるが、本開示の製造方法では、界面活性剤を用いてもよい、例えば、重合組成物が界面活性剤を含んでもよいが、本開示の製造方法では、界面活性剤を用いなくてもよい。例えば、重合組成物が界面活性剤を含まなくともよい。
本開示の製造方法が、界面活性剤を用いない場合には、形成される吸水性ポリマー粒子が、その表面に界面活性剤を有しない。その結果、製造された吸水性ポリマー粒子の表面において、界面活性剤が、その疎水性部分を外側に向けて配置されることがなくなり、吸水性ポリマー粒子の吸水が、界面活性剤の疎水性部分により阻害されない。
さらに、気相法では、重合組成物を射出する射出ノズルまで熱が伝わり、射出光で詰まりやすいとの課題がある。また、気相法で製造された吸水性ポリマー粉末は、その内部に気泡を保持する傾向があり、吸水性、吸水時ゲル強度等の観点から問題がある。
本開示の製造方法では、製造される吸水性ポリマー粒子が、その内部に気泡を含みにくく、そして上記吸水性ポリマー粒子は、気相法で製造された吸水性ポリマー粉末と比較して、吸水性、吸水時ゲル強度等に優れる利点を有する。
本明細書では、乾燥は、水分を昇華させずに行う乾燥を意味する。上記乾燥は、通常、0℃以上、例えば、常温、好ましくは、高温、例えば、40〜200℃の温度で実施することができる。上記乾燥は、1気圧又は減圧下で実施することができる。
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
エチレン系不飽和モノマーとしての60質量%のアクリル酸カリウム(日本触媒製)水溶液90質量部及びアクリルアミド(和光純薬製)10質量部と、光ラジカル重合開始剤としてのベンゾインイソブチルエーテル1.0質量部と、架橋剤としてのN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.5重量部とを混合し、重合組成物No.1を準備した。
図1に示される重合装置1を用いて、重合組成物No.1から、複数の吸水性ポリマー粒子(以下、「粒子No.1」と称する)を製造した。具体的には、重合組成物No.1を、射出ノズル13から、30mL/秒の速度で、形成管17の疎水性溶媒の内部に液滴として射出した。なお、形成管17は、全長:約1.0m、内径:約12mmの大きさを有し、形成管17内では、疎水性溶媒として、約10℃に保持されたジメチルポリシロキサンが、約3L/分の速度で循環していた。
形成管17内に液滴として射出された重合組成物No.1に、光源11としての高圧水銀灯(波長320〜400nm)から紫外線を照射し、液滴内の重合組成物No.1を重合し、複数の吸水性ポリマー含水粒子No.1を形成した。
ジメチルポリシロキサンから、複数の吸水性ポリマー含水粒子No.1を取り出し、減圧下、80℃で乾燥し、粒子No.1を製造した。
[製造例2]
逆相懸濁重合法により製造された、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する骨格を有する吸水性ポリマー粉末(市販品、以下、「粉末No.2」と称する)を準備した。粉末No.2は、逆相懸濁重合法により、約80μmの一次粒子を製造し、次いで、当該一次粒子を造粒することにより形成されたものである。
[製造例3]
溶液重合法により製造された、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する骨格を有する吸水性ポリマー粉末(市販品、以下、「粉末No.3」と称する)を準備した。粉末No.3は、溶液重合法により製造されたポリマー塊を粉砕し、粒子化することにより形成されたものである。
[実施例1、並びに比較例1及び比較例2]
粒子No.1、粉末No.2及び粉末No.3の、平均粒径、粒径の変動係数、粒径分散係数、平均真球度、発塵試験における発塵率、破断強度、吸水時ゲル強度試験における吸水時ゲル強度、吸水性試験における吸水倍率(質量比、水、生理食塩水)、保水性試験における保水倍率(質量比、水、生理食塩水)、並びに吸上げ試験における吸上げ高さ及び均一吸上げ性を評価した。なお、測定方法は、本明細書に記載の通りである。
結果を表1に示す。また、粒子No.1、粉末No.2及び粉末No.3の粒度分布(個数基準)を、図2〜図4に示す。図2〜図4に示される粒度分布は、本明細書の平均粒径等の測定方法に従って測定されたものであり、粒径/μmの「400−450」は、『400μm超且つ450μm以下』を意味する。
Figure 2018053041
表1に示されるように、実施例1の粒子No.1は、比較例1の逆相懸濁重合法で製造された粉末No.2及び比較例2の溶液重合法で製造された粉末No.3と比較して、吸上げ試験において、優れた吸上げ高さが及び均一吸上げ性を有することが分かる。従って、粒子No.1では、通水路が確保され続けたことが示唆される。一方、粉末No.2及びNo.3では、吸上げ高さ及び均一吸上げ性の両方が、粒子No.1よりも劣り、微粉等により通水路が塞がれたことが示唆される。粒子No.1の優れた吸上げ高さ及び均一吸上げ性は、粒子No.1の粒径の変動係数が0.08と小さく、平均真球度が0.94と高く、そして吸水時ゲル強度が112mNと高いこととに起因する。
表1には示されていないが、粒子No.1は、粉末No.2及び粉末No.3と比較して、サンプルが配置された筒を生理食塩水に浸漬直後の吸上げ性、すなわち、初期吸上げ性に優れていた。なお、表1に示されるように、粒子No.1は、粉末No.2及び粉末No.3と比較して、吸上げ高さ、すなわち、経時吸上げ性に優れることが明らかである。
1 重合装置
3 重合組成物タンク
5 定量ポンプ
7 送液管
9 光照射室
11 光源
13 射出ノズル
15 整流多孔盤
17 形成管
19 分離スクリーン
21 疎水性溶媒タンク
23 定量ポンプ
25 温度調整器
27 送液管
101 吸水性ポリマー含水粒子
103 重合組成物
105 疎水性溶媒
107 液滴

Claims (15)

  1. 0.90〜0.99の平均真球度と、
    0.01〜0.20の粒径の変動係数と、
    吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度と、
    を有する、複数の吸水性ポリマー粒子。
  2. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、発塵試験における、0.00〜0.20質量%の発塵率を有する、請求項1に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  3. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸水性試験において、水に対する、700〜1,500倍の吸水倍率(質量比)を有する、請求項1又は2に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  4. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸上げ試験において、水に対する、15〜40mmの吸上げ高さを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  5. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、吸上げ試験において、生理食塩水に対する、15〜40mmの吸上げ高さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  6. 前記複数の吸水性ポリマー粒子が、保水性試験において、水に対する、500〜1,000倍の保水倍率(質量比)を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  7. エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出し、前記疎水性溶媒内で、前記複数の液滴内の前記重合組成物を重合させ、前記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成し、前記疎水性溶媒から、前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取り出し、そして前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより製造された、複数の吸水性ポリマー粒子であって、
    前記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.90〜0.99の平均真球度と、0.01〜0.20の粒径の変動係数と、吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度とを有する、
    ことを特徴とする、前記複数の吸水性ポリマー粒子。
  8. 前記複数の液滴が、0.01〜0.20の液滴径の変動係数を有する、請求項7に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  9. 前記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、前記複数の液滴に光を照射することにより、前記複数の液滴内の前記重合組成物を光重合させた、請求項7又は8に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  10. 前記複数の液滴内の前記重合組成物を重合させる際の、前記疎水性溶媒の温度が、0℃超且つ30℃以下の範囲にある、請求項7〜9のいずれか一項に記載の複数の吸水性ポリマー粒子。
  11. 複数の吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、
    エチレン系不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤及び水を含む重合組成物を、複数の液滴として、疎水性溶媒に放出するステップ、
    前記疎水性溶媒内で、前記複数の液滴内の前記重合組成物を重合させ、前記複数の液滴から複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップ、そして
    前記疎水性溶媒から、前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を取出し、そして前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を乾燥することにより、前記複数の吸水性ポリマー粒子を形成するステップ、
    を含み、前記複数の吸水性ポリマー粒子が、0.01〜0.20の粒径の変動係数と、0.90〜0.99の平均真球度と、吸水時ゲル強度試験における、水に対する、60〜200mNの吸水時ゲル強度とを有する、
    ことを特徴とする、前記製造方法。
  12. 前記放出するステップにおいて、前記複数の液滴が0.01〜0.20の液滴径の変動係数を有するように、前記複数の液滴を前記疎水性溶媒に放出する、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、前記複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップにおいて、前記複数の液滴に光を照射することにより、前記複数の液滴内の前記重合組成物を光重合させる、請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 複数の吸水性ポリマー含水粒子を形成するステップにおいて、前記疎水性溶媒の温度が、0℃超且つ30℃以下の範囲にある、請求項11〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 前記疎水性溶媒が、シリコーンオイル、油及び炭化水素、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
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