JP2004328698A - 無線受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】弱電界強度時には低周波信号に含まれる雑音成分を除去することができ、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保されている無線受信装置の実現を目的とする。
【解決手段】放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る無線受信装置であって、放送若くは通信の電波を受信する受信部12と、受信部12での受信により生成された高周波信号を検波して低周波信号を生成する検波・復調部13と、検波・復調部13で生成された低周波信号より雑音成分を低減するノイズキャンセル手段18と、受信した電波の電界強度を監視し、ノイズキャンセル手段18の動作/非動作を選択するように制御する制御部1と、を備え、制御部1は、受信した電波の電界強度が弱いときにノイズキャンセル手段18を動作状態にする。
【選択図】 図1
【解決手段】放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る無線受信装置であって、放送若くは通信の電波を受信する受信部12と、受信部12での受信により生成された高周波信号を検波して低周波信号を生成する検波・復調部13と、検波・復調部13で生成された低周波信号より雑音成分を低減するノイズキャンセル手段18と、受信した電波の電界強度を監視し、ノイズキャンセル手段18の動作/非動作を選択するように制御する制御部1と、を備え、制御部1は、受信した電波の電界強度が弱いときにノイズキャンセル手段18を動作状態にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る無線受信装置に関し、特に弱電界強度時の受信感度の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る構成の無線受信装置では、所望の電波が強電界の領域で入感している場合には雑音(ノイズ)が抑圧された明瞭な低周波信号が復調される。
しかしながら、無線受信装置では、電波が弱電界の領域で入感している場合には雑音が抑圧されずに、雑音の混じった低周波信号が復調されてしまう。
【0003】
更に、所望の電波が入感していない場合(無信号時)は、低周波信号として雑音のみが出力される。
斯かる状態を防止するためには、通常、音声ミュート部(スケルチ回路)によって無信号に近い場合において低周波信号の出力を停止させるようにしている。
斯かる構成のスケルチ回路はきわめて一般的な回路であり、例えば、以下の特許文献1などにも記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−7716号公報(第1頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
他方、騒音下での会話音を明瞭に収音する等のために、ノイズキャンセラー技術(アナログ方式又は、デジタル方式)が存在している。
前述の無線受信装置で発生する雑音(ノイズ)は、騒音によるものではないが騒音の成分に近いホワイトノイズ(白色雑音)であり、既存のノイズキャンセラー技術を利用することで低減することができる。
従って、無線受信装置に既存のノイズキャンセラー技術を付加することで、無線受信装置の受信感度を改善することが考えられる。
【0006】
しかしながら、このようなノイズキャンセラー技術を単純に無線受信装置に用いた際、以下に述べるような良い場合と悪い場合とが生じる。
つまり、良い場合とは、例えば、無線受信装置に弱電界の領域で電波が入感している際に、低周波信号(会話音)より雑音成分が低減されて受信感度の改善につながることである。
【0007】
他方、悪い場合とは、例えば、本来であれば、中・強電界の領域で電波が入感している際には雑音が抑圧された状態で明瞭な低周波信号(会話音)が復調されるにも拘わらず、ノイズキャンセル回路を通した為に低周波信号(会話音)が自然に再生されず少し違和感のある音になってしまうことである。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、弱電界強度時には低周波信号に含まれる雑音成分を低減することができ、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保された無線受信装置の実現を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、前記した課題を解決する本発明は、以下に説明するようなものである。
(1)請求項1記載の無線受信装置は、放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る無線受信装置であって、放送若くは通信の電波を受信する受信部と、前記受信部での受信により生成された高周波信号を検波して低周波信号を生成する検波・復調部と、前記検波・復調部で生成された低周波信号より雑音成分を低減するノイズキャンセル手段と、受信した電波の電界強度を監視し、前記ノイズキャンセル手段の動作/非動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、受信した電波の電界強度が弱いときに前記ノイズキャンセル手段を動作状態にする、ことを特徴とする。
【0010】
斯かる構成の無線受信装置では、制御部が作動して、受信した電波の電界強度が弱い場合に、低周波信号より雑音を低減するノイズキャンセル手段を動作状態にしているため、弱電界強度時にはノイズキャンセル手段の動作によって低周波信号に含まれる雑音成分を低減することができる。
又、斯かる構成の無線受信装置では、中・強電界強度時にはノイズキャンセル手段が実質的に非動作となることによって低周波信号(会話音)の明瞭度が低下することはない。
【0011】
この結果、弱電界強度時の低周波信号に含まれる雑音成分を低減することで無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になり、且つ、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度を低下させることがない無線受信装置を実現することが可能になる。
【0012】
(2)請求項2記載の無線受信装置は、上述した(1)に加え、前記低周波信号の出力を遮断する音声ミュート部を備え、前記制御部は、電界強度が第1のレベルに達した時点で前記ノイズキャンセル手段を動作状態にし、更に、電界強度が前記第1のレベルより弱い第2のレベルに達した時点で前記音声ミュート部によって低周波信号の出力を遮断する、ことを特徴とする。
【0013】
斯かる構成の無線受信装置では、制御部が作動して、電界強度が第1のレベルに達した時点でノイズキャンセル手段が動作状態になり、電界強度が第1のレベルより弱い第2のレベルに達した時点で音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断される。
すなわち、電波の入感が中・強電界強度時にはノイズキャンセル手段が実質的に非動作状態であるために低周波信号の明瞭度が低下せず、弱電界強度時にはノイズキャンセル手段が動作状態であるために低周波信号に含まれる雑音成分が低減され、更なる弱電界強度時には音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断される。
【0014】
この結果、弱電界強度時の低周波信号に含まれる雑音成分を低減することで無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になり、更に、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保されている無線受信装置を実現することが可能になる。
【0015】
(3)請求項3記載の無線受信装置は、上述した(1)又は(2)に加え、前記ノイズキャンセル手段は、雑音の低減量(ノイズキャンセルの度合い)を複数段階に切り替えることが可能であり、前記制御部は、受信した電波の電界強度が弱くなるに従って、雑音の低減量を増やすように前記切り替えを制御する、ことを特徴とする。
【0016】
斯かる構成の無線受信装置では、制御部が作動することにより、受信した電波の電界強度が弱いときに、ノイズキャンセル手段を選択して動作状態にして低周波信号に含まれる雑音成分を低減する際に、電界強度がより一層弱くなって行くことに対して雑音の低減量を増やすことで、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度を確保させて、電界強度が弱くなるに従って雑音成分を有効に低減することが可能になる。
【0017】
この結果、弱電界強度時の低周波信号に含まれる雑音成分を低減することで無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になり、更に、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保されている無線受信装置を実現することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態例の無線受信装置を詳細に説明する。しかし、この実施の形態例で本願発明が限定されるものではない。
又、本実施の形態例の無線受信装置は単体の無線受信装置であってもよいし、無線送信装置と無線受信装置とが一体となった無線送受信装置(トランシーバ)であってもよい。
尚、以下の説明では、周波数変調されたRF信号を送受信する無線送受信装置について本発明を適用したものを実施の形態例の具体例として用いる。
【0019】
〈無線受信装置の構成〉
図1において、1は、無線受信装置各部の制御を行うための手段であってマイコンなどで構成された制御部であり、2は、制御部1の制御に必要な各種データが格納される手段である記憶部であり、3は、送信及び受信に必要な信号の基準となる基準周波数を出力(発信)するための基準発振部である。
【0020】
4は、基準発振部3からの基準周波数に基づいて送受信に必要な信号を生成して、更に、送信のための変調を行う変調・PLL・発振部である。
5は、音声を送信用の低周波信号に変換するマイクロホンであり、6は、送信時のプリエンファシスのために低周波信号の高域成分を強調しつつ増幅する送信音声増幅部である。
【0021】
10は、電波の送受信を行うためのアンテナであり、11は、送信と受信とでアンテナ10への信号の流れを切り替えるアンテナスイッチであり、12は、アンテナ10で捕捉した電波を受信する受信部であり、13は、受信した信号をFM検波して低周波信号を復調する検波・復調部である。
又、14は、検波出力に含まれる低周波信号中の超高域雑音成分(例えば、4Hz以上)を増幅・整流して超高域雑音成分の振幅に応じた電圧を生成して制御部1に印加する雑音増幅・整流部であり、15は、復調された低周波信号を一定レベルまで増幅する受信音声増幅部であり、16は、送信時にプリエンファシスによって強調されている低周波信号の高域成分を減衰させるディエンファシス部である。
【0022】
17は、制御部1からのノイズキャンセル制御信号に基づいてノイズキャンセル手段18の動作/非動作を切り替えるスイッチ部であり、17aは、制御部1からのノイズキャンセル制御信号に基づいてディエンファシス部16からの低周波信号を遮断又は通過させるアナログスイッチAであり、17bは、制御部1からのノイズキャンセル制御信号の反転信号に基づいてディエンファシス部16からの低周波信号を通過又は遮断させるアナログスイッチBである。
【0023】
18は、雑音成分を低減するノイズキャンセル手段であり、18aは、低周波信号より所定の雑音成分を低減するノイズキャンセル部であり、18bは、ノイズキャンセル部18aで生じた周波数対利得特性の或る成分の強調等をフラットな又は聞き易い特性に補正する周波数特性補正部である。
【0024】
尚、周波数対利得特性をフラットにしたままの状態でノイズキャンセルが実行可能な回路であれば周波数特性補正部を有する必要はないが、ノイズキャンセルで周波数対利得特性の或る成分の強調等が発生する場合には、周波数特性補正部を設けることが望ましい。
【0025】
19は、制御部1のスケルチ制御信号により低周波信号を遮断又は通過させる音声ミュート部であり、20は、低周波信号を増幅する電力増幅部である。
又、21は、増幅された低周波信号を音声として出力するスピーカである。
尚、この無線送受信装置は、シングルスーパヘテロダイン、ダブルスーパヘテロダイン又はトリプルスーパヘテロダイン、更には、他の形式であってもよい。
【0026】
又、以上の送信音声増幅部6における送信時のプリエンファシス特性は、図2の▲1▼に示すように、300Hz〜3kHzでは高域成分を強調する特性が得られている。
更に、上述したディエンファシス部16における受信時のディエンファシス特性は、図2の▲2▼に示すように、300Hz〜3kHzでは高域成分を減衰する特性が得られている。
この結果、送信時のプリエンファシスによって強調されている低周波信号の高域成分が、受信時に減衰されてフラットな周波数対利得特性に戻されることになる。
そうして、比較的高域の側に多く発生する雑音は、受信時のディエンファシス特性により抑制される。
【0027】
又、本件出願の発明者は、ノイズキャンセル部18aに、一般的な市販品を用いるようにし、沖電気株式会社製のMSM7731−02(デジタルノイズキャンセラーIC)を使用して実験を行った。
このデジタルノイズキャンセラーICは、雑音の低減量を8dB/13.5dB/17dBの3種類より選択して使用することが可能な構成であるが、このデジタルノイズキャンセラーICを通過した後の音質の明瞭度は雑音の低減量8dBの際が最も良く、雑音の低減量が増えるに従って多少明瞭度が低下する傾向にある。
【0028】
尚、このデジタルノイズキャンセラーICはホワイトノイズを低減することはもちろんだが、シングルトーンも低減してしまうので、キー入力の際などに出力するビープ音(シングルトーン)はノイズキャンセル部18aの後段に入力する必要がある。
【0029】
更に、このデジタルノイズキャンセラーICは送信部用に作られているため、このICを通過した後の低周波信号はプリエンファシスによって300Hz〜3kHzにおける高域成分を強調する特性になっている。
そこで、周波数特性補正部18bにより低周波信号の高域成分を減衰させることでフラットな周波数対利得特性に戻している。
【0030】
〈無線受信装置の動作〉
アンテナ10で捕捉された電波は、高周波信号として受信部12に送られ、変調・PLL・発振部4から供給された局部発振信号と混合されて、所定の中間周波数のIF信号に変換される。
このIF信号は、受信部12内で振幅制限されつつ増幅される。
そうして、IF信号は、検波・復調部13でFM検波されて低周波信号に復調される。
【0031】
この際に、雑音増幅・整流部14は、検波出力に含まれる低周波信号中の超高域雑音成分を増幅・整流して超高域雑音成分の振幅に応じた電圧を生成して制御部1に印加している。
ここで、超高域雑音成分の振幅に応じた電圧(雑音整流後の電圧)は、図3に示す通り、一定以下の電界強度(弱電界における電界強度)とほぼ逆比例する特性を示している。
【0032】
そこで、制御部1が雑音整流後の電圧を監視することが、電界強度の監視を行っていることに相当する(図4のS1、S2、S5)。
尚、請求項における電界強度の第1のレベルとして0dBμV、電界強度の第2のレベルとして−17dBμVを具体例とするが、この数値に限定されるものではない。
又、この数値は記憶部2に格納されており、制御部1は必要に応じて記憶部2を参照する。
【0033】
制御部1による雑音整流後の電圧の監視によって、電界強度が0dBμV以上であると判断される場合には(図4のS2で「0dBμV以上」)、制御部1はアナログスイッチA17aをオンにすると共にアナログスイッチB17bをオフすることで、ノイズキャンセル部18aを非動作状態(オフ)にする(図4のS3)。
更に、制御部1は、音声ミュート部19を通過状態となるように(スケルチ・オフの状態)に制御する(図4のS6)。
尚、この電界強度が0dBμV以上とは、復調された低周波信号に雑音があまり含まれない状態の弱電界以上の電界強度を意味している。
【0034】
上述の制御部1の制御に基づくスイッチ部17と音声ミュート部19の作用により、検波・復調部13からの低周波信号はディエンファシス部16によって、送信時のプリエンファシスで強調されている低周波信号の高域成分が減衰されてフラットな周波数対利得特性に戻された後、アナログスイッチA17aと音声ミュート部19を通過して、電力増幅部20で一定レベルまで増幅され、スピーカ21から音声として出力される。
【0035】
又、制御部1による雑音整流後の電圧の監視によって電界強度が0dBμV未満の範囲であると判断される場合(図4のS2で「0dBμV未満」)には、制御部1はアナログスイッチA17aをオフにすると共にアナログスイッチB17bをオンすることによって、ノイズキャンセル部18aを動作状態(オン)にする(図4のS4)。
【0036】
尚、この電界強度が0dBμV未満とは、復調された低周波信号に雑音がある程度含まれる状態の弱電界の電界強度を意味している。
続いて、制御部1によって、雑音整流後の電圧の監視によって電界強度が0dBμV未満の範囲のうちで−17dBμV未満の範囲であるか否かの判別が行われる(図2S5)。
【0037】
ここで、電界強度が0dBμV〜−17dBμVの範囲であると判断された場合には(図4のS5で「−17dBμV以上」)、音声ミュート部21を通過状態(スケルチ・オフの状態)に制御する(図4のS6)。
これにより、検波・復調部13からの低周波信号はディエンファシス部16によって、送信時のプリエンファシスで強調されている低周波信号の高域成分が減衰されてフラットな周波数対利得特性に戻された後、アナログスイッチB17bを通りノイズキャンセル部18aに送られ、ノイズキャンセル部18aによって低周波信号より所定の雑音成分が低減される。
【0038】
上記の制御手段1の制御に基づくスイッチ部17、ノイズキャンセル手段18及び音声ミュート部19の作用により、低周波信号は、本来なら弱電界強度であって復調した低周波信号に雑音が含まれているのだが、ノイズキャンセル部18aによって雑音成分が有効に低減されることになる。
そうして、この雑音成分が低減された低周波信号は、周波数特性補正部18bでフラットな周波数対利得特性に戻され、音声ミュート部19を通過し、電力増幅部20で一定レベルまで増幅され、スピーカ21から音声として出力される。
【0039】
又、制御部1による雑音整流後の電圧の監視結果に基づき、電界強度が−17dBμV未満であると判断される場合(図4のS5で「−17dBμV未満」)には、制御部1は、音声ミュート部19を遮断状態(スケルチ・オンの状態)に制御する(図4のS7)。
尚、この電界強度が−17dBμV未満とは、復調された低周波信号より会話音を聞き分けるのが困難な微弱な電界強度を意味している。
従って、低周波信号は音声ミュート部19を通過せず、よってスピーカ21から音声は出力されない。
【0040】
尚、図5に、無線受信装置の具体的な雑音抑圧の特性を示す。
まず、無線受信装置に所望の受信信号を無入力の状態にし、更に、ディエンファシス部16からの低周波信号をノイズキャンセル部18aに通過させないつまりノイズキャンセル手段18に送らずスイッチ部17を経由して音声ミュート部19に送って低周波信号(雑音)を出力させ、その出力レベルを基準レベル(0dB)として設定する。
次に、無変調の受信信号を高周波シグナルジェネレータで発生して無線受信装置に与え、低周波信号(雑音)の出力レベルが前述の基準レベルよりどのように抑圧されるかを観測しその結果をプロットする。
ここで得られる特性は、従来技術の意味を持つので、対照区の値となる。
【0041】
他方、前述の基準レベルをそのままに保持し、ディエンファシス部16からの低周波信号をノイズキャンセル部18aに通過させつまりノイズキャンセル手段18に送り、音声ミュート部19を経由して低周波信号(雑音)を出力させる。
続いて、無変調の受信信号を高周波シグナルジェネレータで発生して無線受信装置に与え、低周波信号(雑音)の出力レベルが前述の基準レベルよりどのように抑圧されるかを観測し、その結果をプロットする。
ここで得られる特性は、本発明の実験区の値ということにる。
【0042】
この特性では、一般的に雑音が20dB抑圧された際の受信信号レベルを受信感度(20dB QS感度)としている。
ここでは、同一の構成を有する150MHz帯の無線受信装置を用いて実験した結果について、従来例と本実施の形態例とを比較して示している。
ノイズキャンセル部18aを通過していないつまりノイズキャンセル手段18を持たない構成の従来技術の低周波信号(対照区)では、20dB QS感度は−8.0dBμVであった。
他方、弱電界でノイズキャンセル部18aを通過させる本実施の形態例の低周波信号では、ノイズキャンセル部18aの雑音低減量が−8dBの場合に、20dB QS感度が−11.0dBμVとなって受信感度が3.0dB程度改善されたことが読み取れた。
【0043】
又、ノイズキャンセル部18aの雑音低減量が−13.5dBの場合、20dB QS感度が−14.0dBμVとなって受信感度が6.0dB程度改善されたことが読み取れた。
更に、ノイズキャンセル部18aの雑音低減量が−17dBの場合、20dBQS感度が−16.0dBμVとなって受信感度が8.0dB程度改善されたことが読み取れた。
【0044】
上述したように、ノイズキャンセル手段18を備えたことにより、スケルチをオンするポイントも、図3に示すように、従来スケルチポイントよりも更に低い電界強度に設定することができる。
この結果、受信の高感度化、つまり通信エリアの拡大を実現することが可能になっている。
【0045】
〈その他の実施の形態例〉
以上の実施の形態例では、ノイズキャンセル部18aは所定の雑音低減量に設定した場合について説明していたが、電界強度の数値に応じて雑音低減量を切り替えるようにすることも可能である。
すなわち、ノイズキャンセル部18aに関して、制御部1で雑音低減量の制御ができるように構成しておく。
そうして、制御部1は、受信した電波の電界強度が弱くなるに従って、雑音低減量を増やす方向に切り替える(8dB→13.5dB→17dB)といったことが可能である。
【0046】
上述したように、制御部1からの制御信号に基づき、ノイズキャンセル手段18の動作と非動作、及び、ノイズキャンセル部18aの選択的に使用することよって、弱電界になるにつれてノイズキャンセル部の雑音低減量を切り替えることで、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度を確保して、弱電界になるに従って雑音成分を有効に低減することが可能になる。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【0047】
上述した本発明の実施の形態例では、制御部1によってノイズキャンセル部18aの動作/非動作及び雑音低減量を選択的に切り替えが可能な構成になっている。
受信した電波の電界強度が弱い環境下で長時間使用する場合の為に、使用者がノイズキャンセル部18aを常に動作状態にすると共に、雑音低減量も選択可能な切り替えスイッチ手段を制御部1に付加した構成であってもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下に述べるような効果が得られる。
(1)請求項1記載の無線受信装置の発明では、受信した電波の電界強度が弱いときに、ノイズキャンセル部を動作状態にしているため、弱電界強度時にはノイズキャンセル部を通過させることによって低周波信号に含まれる雑音成分を低減することができると共に、中・強電界強度時にはノイズキャンセル部が非動作(非通過)となることによって低周波信号の明瞭度が確保されている。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【0049】
(2)請求項2記載の無線受信装置の発明では、電界強度が第1のレベルに達した時点でノイズキャンセル部が動作状態になり、電界強度が第1のレベルより弱い第2のレベルに達した時点で音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断されるため、中・強電界強度時にはノイズキャンセル部が非動作状態のため低周波信号の明瞭度が確保されたままで、弱電界強度時にはノイズキャンセル部が動作状態のため低周波信号に含まれる雑音成分が低減され、更なる微弱電界強度時には音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断される。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【0050】
(3)請求項3記載の無線受信装置の発明では、受信した電波の電界強度が弱いときに、ノイズキャンセル部を動作状態にして低周波信号に含まれる雑音成分を低減する際に、弱電界になるにつれて雑音の低減量を増やすことで、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保されたままで、弱電界になるに従って雑音成分を有効に低減することが可能になる。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態例の無線受信装置の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態例の無線受信装置の主要部の特性を示す特性図である。
【図3】本発明の実施の形態例の無線受信装置の受信手段の特性を示す特性図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態例の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態例の無線受信装置のノイズキャンセル手段の動作の特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1: 制御部
2: 記憶部
3: 基準発振部
4: 変調・PLL・発振部
7: 送信部
10: アンテナ
11: アンテナスイッチ
12: 受信部
13: 検波・復調部
14: 雑音増幅・整流部
15: 受信音声増幅部
16: ディエンファシス部
17: スイッチ部
17a: アナログスイッチA
17b: アナログスイッチB
18: ノイズキャンセル手段
18a: ノイズキャンセル部
18b: 周波数特性補正部
19: 音声ミュート部
20: 電力増幅部
21: スピーカ
【発明の属する技術分野】
本発明は、放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る無線受信装置に関し、特に弱電界強度時の受信感度の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る構成の無線受信装置では、所望の電波が強電界の領域で入感している場合には雑音(ノイズ)が抑圧された明瞭な低周波信号が復調される。
しかしながら、無線受信装置では、電波が弱電界の領域で入感している場合には雑音が抑圧されずに、雑音の混じった低周波信号が復調されてしまう。
【0003】
更に、所望の電波が入感していない場合(無信号時)は、低周波信号として雑音のみが出力される。
斯かる状態を防止するためには、通常、音声ミュート部(スケルチ回路)によって無信号に近い場合において低周波信号の出力を停止させるようにしている。
斯かる構成のスケルチ回路はきわめて一般的な回路であり、例えば、以下の特許文献1などにも記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−7716号公報(第1頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
他方、騒音下での会話音を明瞭に収音する等のために、ノイズキャンセラー技術(アナログ方式又は、デジタル方式)が存在している。
前述の無線受信装置で発生する雑音(ノイズ)は、騒音によるものではないが騒音の成分に近いホワイトノイズ(白色雑音)であり、既存のノイズキャンセラー技術を利用することで低減することができる。
従って、無線受信装置に既存のノイズキャンセラー技術を付加することで、無線受信装置の受信感度を改善することが考えられる。
【0006】
しかしながら、このようなノイズキャンセラー技術を単純に無線受信装置に用いた際、以下に述べるような良い場合と悪い場合とが生じる。
つまり、良い場合とは、例えば、無線受信装置に弱電界の領域で電波が入感している際に、低周波信号(会話音)より雑音成分が低減されて受信感度の改善につながることである。
【0007】
他方、悪い場合とは、例えば、本来であれば、中・強電界の領域で電波が入感している際には雑音が抑圧された状態で明瞭な低周波信号(会話音)が復調されるにも拘わらず、ノイズキャンセル回路を通した為に低周波信号(会話音)が自然に再生されず少し違和感のある音になってしまうことである。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、弱電界強度時には低周波信号に含まれる雑音成分を低減することができ、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保された無線受信装置の実現を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、前記した課題を解決する本発明は、以下に説明するようなものである。
(1)請求項1記載の無線受信装置は、放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る無線受信装置であって、放送若くは通信の電波を受信する受信部と、前記受信部での受信により生成された高周波信号を検波して低周波信号を生成する検波・復調部と、前記検波・復調部で生成された低周波信号より雑音成分を低減するノイズキャンセル手段と、受信した電波の電界強度を監視し、前記ノイズキャンセル手段の動作/非動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、受信した電波の電界強度が弱いときに前記ノイズキャンセル手段を動作状態にする、ことを特徴とする。
【0010】
斯かる構成の無線受信装置では、制御部が作動して、受信した電波の電界強度が弱い場合に、低周波信号より雑音を低減するノイズキャンセル手段を動作状態にしているため、弱電界強度時にはノイズキャンセル手段の動作によって低周波信号に含まれる雑音成分を低減することができる。
又、斯かる構成の無線受信装置では、中・強電界強度時にはノイズキャンセル手段が実質的に非動作となることによって低周波信号(会話音)の明瞭度が低下することはない。
【0011】
この結果、弱電界強度時の低周波信号に含まれる雑音成分を低減することで無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になり、且つ、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度を低下させることがない無線受信装置を実現することが可能になる。
【0012】
(2)請求項2記載の無線受信装置は、上述した(1)に加え、前記低周波信号の出力を遮断する音声ミュート部を備え、前記制御部は、電界強度が第1のレベルに達した時点で前記ノイズキャンセル手段を動作状態にし、更に、電界強度が前記第1のレベルより弱い第2のレベルに達した時点で前記音声ミュート部によって低周波信号の出力を遮断する、ことを特徴とする。
【0013】
斯かる構成の無線受信装置では、制御部が作動して、電界強度が第1のレベルに達した時点でノイズキャンセル手段が動作状態になり、電界強度が第1のレベルより弱い第2のレベルに達した時点で音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断される。
すなわち、電波の入感が中・強電界強度時にはノイズキャンセル手段が実質的に非動作状態であるために低周波信号の明瞭度が低下せず、弱電界強度時にはノイズキャンセル手段が動作状態であるために低周波信号に含まれる雑音成分が低減され、更なる弱電界強度時には音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断される。
【0014】
この結果、弱電界強度時の低周波信号に含まれる雑音成分を低減することで無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になり、更に、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保されている無線受信装置を実現することが可能になる。
【0015】
(3)請求項3記載の無線受信装置は、上述した(1)又は(2)に加え、前記ノイズキャンセル手段は、雑音の低減量(ノイズキャンセルの度合い)を複数段階に切り替えることが可能であり、前記制御部は、受信した電波の電界強度が弱くなるに従って、雑音の低減量を増やすように前記切り替えを制御する、ことを特徴とする。
【0016】
斯かる構成の無線受信装置では、制御部が作動することにより、受信した電波の電界強度が弱いときに、ノイズキャンセル手段を選択して動作状態にして低周波信号に含まれる雑音成分を低減する際に、電界強度がより一層弱くなって行くことに対して雑音の低減量を増やすことで、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度を確保させて、電界強度が弱くなるに従って雑音成分を有効に低減することが可能になる。
【0017】
この結果、弱電界強度時の低周波信号に含まれる雑音成分を低減することで無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になり、更に、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保されている無線受信装置を実現することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態例の無線受信装置を詳細に説明する。しかし、この実施の形態例で本願発明が限定されるものではない。
又、本実施の形態例の無線受信装置は単体の無線受信装置であってもよいし、無線送信装置と無線受信装置とが一体となった無線送受信装置(トランシーバ)であってもよい。
尚、以下の説明では、周波数変調されたRF信号を送受信する無線送受信装置について本発明を適用したものを実施の形態例の具体例として用いる。
【0019】
〈無線受信装置の構成〉
図1において、1は、無線受信装置各部の制御を行うための手段であってマイコンなどで構成された制御部であり、2は、制御部1の制御に必要な各種データが格納される手段である記憶部であり、3は、送信及び受信に必要な信号の基準となる基準周波数を出力(発信)するための基準発振部である。
【0020】
4は、基準発振部3からの基準周波数に基づいて送受信に必要な信号を生成して、更に、送信のための変調を行う変調・PLL・発振部である。
5は、音声を送信用の低周波信号に変換するマイクロホンであり、6は、送信時のプリエンファシスのために低周波信号の高域成分を強調しつつ増幅する送信音声増幅部である。
【0021】
10は、電波の送受信を行うためのアンテナであり、11は、送信と受信とでアンテナ10への信号の流れを切り替えるアンテナスイッチであり、12は、アンテナ10で捕捉した電波を受信する受信部であり、13は、受信した信号をFM検波して低周波信号を復調する検波・復調部である。
又、14は、検波出力に含まれる低周波信号中の超高域雑音成分(例えば、4Hz以上)を増幅・整流して超高域雑音成分の振幅に応じた電圧を生成して制御部1に印加する雑音増幅・整流部であり、15は、復調された低周波信号を一定レベルまで増幅する受信音声増幅部であり、16は、送信時にプリエンファシスによって強調されている低周波信号の高域成分を減衰させるディエンファシス部である。
【0022】
17は、制御部1からのノイズキャンセル制御信号に基づいてノイズキャンセル手段18の動作/非動作を切り替えるスイッチ部であり、17aは、制御部1からのノイズキャンセル制御信号に基づいてディエンファシス部16からの低周波信号を遮断又は通過させるアナログスイッチAであり、17bは、制御部1からのノイズキャンセル制御信号の反転信号に基づいてディエンファシス部16からの低周波信号を通過又は遮断させるアナログスイッチBである。
【0023】
18は、雑音成分を低減するノイズキャンセル手段であり、18aは、低周波信号より所定の雑音成分を低減するノイズキャンセル部であり、18bは、ノイズキャンセル部18aで生じた周波数対利得特性の或る成分の強調等をフラットな又は聞き易い特性に補正する周波数特性補正部である。
【0024】
尚、周波数対利得特性をフラットにしたままの状態でノイズキャンセルが実行可能な回路であれば周波数特性補正部を有する必要はないが、ノイズキャンセルで周波数対利得特性の或る成分の強調等が発生する場合には、周波数特性補正部を設けることが望ましい。
【0025】
19は、制御部1のスケルチ制御信号により低周波信号を遮断又は通過させる音声ミュート部であり、20は、低周波信号を増幅する電力増幅部である。
又、21は、増幅された低周波信号を音声として出力するスピーカである。
尚、この無線送受信装置は、シングルスーパヘテロダイン、ダブルスーパヘテロダイン又はトリプルスーパヘテロダイン、更には、他の形式であってもよい。
【0026】
又、以上の送信音声増幅部6における送信時のプリエンファシス特性は、図2の▲1▼に示すように、300Hz〜3kHzでは高域成分を強調する特性が得られている。
更に、上述したディエンファシス部16における受信時のディエンファシス特性は、図2の▲2▼に示すように、300Hz〜3kHzでは高域成分を減衰する特性が得られている。
この結果、送信時のプリエンファシスによって強調されている低周波信号の高域成分が、受信時に減衰されてフラットな周波数対利得特性に戻されることになる。
そうして、比較的高域の側に多く発生する雑音は、受信時のディエンファシス特性により抑制される。
【0027】
又、本件出願の発明者は、ノイズキャンセル部18aに、一般的な市販品を用いるようにし、沖電気株式会社製のMSM7731−02(デジタルノイズキャンセラーIC)を使用して実験を行った。
このデジタルノイズキャンセラーICは、雑音の低減量を8dB/13.5dB/17dBの3種類より選択して使用することが可能な構成であるが、このデジタルノイズキャンセラーICを通過した後の音質の明瞭度は雑音の低減量8dBの際が最も良く、雑音の低減量が増えるに従って多少明瞭度が低下する傾向にある。
【0028】
尚、このデジタルノイズキャンセラーICはホワイトノイズを低減することはもちろんだが、シングルトーンも低減してしまうので、キー入力の際などに出力するビープ音(シングルトーン)はノイズキャンセル部18aの後段に入力する必要がある。
【0029】
更に、このデジタルノイズキャンセラーICは送信部用に作られているため、このICを通過した後の低周波信号はプリエンファシスによって300Hz〜3kHzにおける高域成分を強調する特性になっている。
そこで、周波数特性補正部18bにより低周波信号の高域成分を減衰させることでフラットな周波数対利得特性に戻している。
【0030】
〈無線受信装置の動作〉
アンテナ10で捕捉された電波は、高周波信号として受信部12に送られ、変調・PLL・発振部4から供給された局部発振信号と混合されて、所定の中間周波数のIF信号に変換される。
このIF信号は、受信部12内で振幅制限されつつ増幅される。
そうして、IF信号は、検波・復調部13でFM検波されて低周波信号に復調される。
【0031】
この際に、雑音増幅・整流部14は、検波出力に含まれる低周波信号中の超高域雑音成分を増幅・整流して超高域雑音成分の振幅に応じた電圧を生成して制御部1に印加している。
ここで、超高域雑音成分の振幅に応じた電圧(雑音整流後の電圧)は、図3に示す通り、一定以下の電界強度(弱電界における電界強度)とほぼ逆比例する特性を示している。
【0032】
そこで、制御部1が雑音整流後の電圧を監視することが、電界強度の監視を行っていることに相当する(図4のS1、S2、S5)。
尚、請求項における電界強度の第1のレベルとして0dBμV、電界強度の第2のレベルとして−17dBμVを具体例とするが、この数値に限定されるものではない。
又、この数値は記憶部2に格納されており、制御部1は必要に応じて記憶部2を参照する。
【0033】
制御部1による雑音整流後の電圧の監視によって、電界強度が0dBμV以上であると判断される場合には(図4のS2で「0dBμV以上」)、制御部1はアナログスイッチA17aをオンにすると共にアナログスイッチB17bをオフすることで、ノイズキャンセル部18aを非動作状態(オフ)にする(図4のS3)。
更に、制御部1は、音声ミュート部19を通過状態となるように(スケルチ・オフの状態)に制御する(図4のS6)。
尚、この電界強度が0dBμV以上とは、復調された低周波信号に雑音があまり含まれない状態の弱電界以上の電界強度を意味している。
【0034】
上述の制御部1の制御に基づくスイッチ部17と音声ミュート部19の作用により、検波・復調部13からの低周波信号はディエンファシス部16によって、送信時のプリエンファシスで強調されている低周波信号の高域成分が減衰されてフラットな周波数対利得特性に戻された後、アナログスイッチA17aと音声ミュート部19を通過して、電力増幅部20で一定レベルまで増幅され、スピーカ21から音声として出力される。
【0035】
又、制御部1による雑音整流後の電圧の監視によって電界強度が0dBμV未満の範囲であると判断される場合(図4のS2で「0dBμV未満」)には、制御部1はアナログスイッチA17aをオフにすると共にアナログスイッチB17bをオンすることによって、ノイズキャンセル部18aを動作状態(オン)にする(図4のS4)。
【0036】
尚、この電界強度が0dBμV未満とは、復調された低周波信号に雑音がある程度含まれる状態の弱電界の電界強度を意味している。
続いて、制御部1によって、雑音整流後の電圧の監視によって電界強度が0dBμV未満の範囲のうちで−17dBμV未満の範囲であるか否かの判別が行われる(図2S5)。
【0037】
ここで、電界強度が0dBμV〜−17dBμVの範囲であると判断された場合には(図4のS5で「−17dBμV以上」)、音声ミュート部21を通過状態(スケルチ・オフの状態)に制御する(図4のS6)。
これにより、検波・復調部13からの低周波信号はディエンファシス部16によって、送信時のプリエンファシスで強調されている低周波信号の高域成分が減衰されてフラットな周波数対利得特性に戻された後、アナログスイッチB17bを通りノイズキャンセル部18aに送られ、ノイズキャンセル部18aによって低周波信号より所定の雑音成分が低減される。
【0038】
上記の制御手段1の制御に基づくスイッチ部17、ノイズキャンセル手段18及び音声ミュート部19の作用により、低周波信号は、本来なら弱電界強度であって復調した低周波信号に雑音が含まれているのだが、ノイズキャンセル部18aによって雑音成分が有効に低減されることになる。
そうして、この雑音成分が低減された低周波信号は、周波数特性補正部18bでフラットな周波数対利得特性に戻され、音声ミュート部19を通過し、電力増幅部20で一定レベルまで増幅され、スピーカ21から音声として出力される。
【0039】
又、制御部1による雑音整流後の電圧の監視結果に基づき、電界強度が−17dBμV未満であると判断される場合(図4のS5で「−17dBμV未満」)には、制御部1は、音声ミュート部19を遮断状態(スケルチ・オンの状態)に制御する(図4のS7)。
尚、この電界強度が−17dBμV未満とは、復調された低周波信号より会話音を聞き分けるのが困難な微弱な電界強度を意味している。
従って、低周波信号は音声ミュート部19を通過せず、よってスピーカ21から音声は出力されない。
【0040】
尚、図5に、無線受信装置の具体的な雑音抑圧の特性を示す。
まず、無線受信装置に所望の受信信号を無入力の状態にし、更に、ディエンファシス部16からの低周波信号をノイズキャンセル部18aに通過させないつまりノイズキャンセル手段18に送らずスイッチ部17を経由して音声ミュート部19に送って低周波信号(雑音)を出力させ、その出力レベルを基準レベル(0dB)として設定する。
次に、無変調の受信信号を高周波シグナルジェネレータで発生して無線受信装置に与え、低周波信号(雑音)の出力レベルが前述の基準レベルよりどのように抑圧されるかを観測しその結果をプロットする。
ここで得られる特性は、従来技術の意味を持つので、対照区の値となる。
【0041】
他方、前述の基準レベルをそのままに保持し、ディエンファシス部16からの低周波信号をノイズキャンセル部18aに通過させつまりノイズキャンセル手段18に送り、音声ミュート部19を経由して低周波信号(雑音)を出力させる。
続いて、無変調の受信信号を高周波シグナルジェネレータで発生して無線受信装置に与え、低周波信号(雑音)の出力レベルが前述の基準レベルよりどのように抑圧されるかを観測し、その結果をプロットする。
ここで得られる特性は、本発明の実験区の値ということにる。
【0042】
この特性では、一般的に雑音が20dB抑圧された際の受信信号レベルを受信感度(20dB QS感度)としている。
ここでは、同一の構成を有する150MHz帯の無線受信装置を用いて実験した結果について、従来例と本実施の形態例とを比較して示している。
ノイズキャンセル部18aを通過していないつまりノイズキャンセル手段18を持たない構成の従来技術の低周波信号(対照区)では、20dB QS感度は−8.0dBμVであった。
他方、弱電界でノイズキャンセル部18aを通過させる本実施の形態例の低周波信号では、ノイズキャンセル部18aの雑音低減量が−8dBの場合に、20dB QS感度が−11.0dBμVとなって受信感度が3.0dB程度改善されたことが読み取れた。
【0043】
又、ノイズキャンセル部18aの雑音低減量が−13.5dBの場合、20dB QS感度が−14.0dBμVとなって受信感度が6.0dB程度改善されたことが読み取れた。
更に、ノイズキャンセル部18aの雑音低減量が−17dBの場合、20dBQS感度が−16.0dBμVとなって受信感度が8.0dB程度改善されたことが読み取れた。
【0044】
上述したように、ノイズキャンセル手段18を備えたことにより、スケルチをオンするポイントも、図3に示すように、従来スケルチポイントよりも更に低い電界強度に設定することができる。
この結果、受信の高感度化、つまり通信エリアの拡大を実現することが可能になっている。
【0045】
〈その他の実施の形態例〉
以上の実施の形態例では、ノイズキャンセル部18aは所定の雑音低減量に設定した場合について説明していたが、電界強度の数値に応じて雑音低減量を切り替えるようにすることも可能である。
すなわち、ノイズキャンセル部18aに関して、制御部1で雑音低減量の制御ができるように構成しておく。
そうして、制御部1は、受信した電波の電界強度が弱くなるに従って、雑音低減量を増やす方向に切り替える(8dB→13.5dB→17dB)といったことが可能である。
【0046】
上述したように、制御部1からの制御信号に基づき、ノイズキャンセル手段18の動作と非動作、及び、ノイズキャンセル部18aの選択的に使用することよって、弱電界になるにつれてノイズキャンセル部の雑音低減量を切り替えることで、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度を確保して、弱電界になるに従って雑音成分を有効に低減することが可能になる。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【0047】
上述した本発明の実施の形態例では、制御部1によってノイズキャンセル部18aの動作/非動作及び雑音低減量を選択的に切り替えが可能な構成になっている。
受信した電波の電界強度が弱い環境下で長時間使用する場合の為に、使用者がノイズキャンセル部18aを常に動作状態にすると共に、雑音低減量も選択可能な切り替えスイッチ手段を制御部1に付加した構成であってもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下に述べるような効果が得られる。
(1)請求項1記載の無線受信装置の発明では、受信した電波の電界強度が弱いときに、ノイズキャンセル部を動作状態にしているため、弱電界強度時にはノイズキャンセル部を通過させることによって低周波信号に含まれる雑音成分を低減することができると共に、中・強電界強度時にはノイズキャンセル部が非動作(非通過)となることによって低周波信号の明瞭度が確保されている。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【0049】
(2)請求項2記載の無線受信装置の発明では、電界強度が第1のレベルに達した時点でノイズキャンセル部が動作状態になり、電界強度が第1のレベルより弱い第2のレベルに達した時点で音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断されるため、中・強電界強度時にはノイズキャンセル部が非動作状態のため低周波信号の明瞭度が確保されたままで、弱電界強度時にはノイズキャンセル部が動作状態のため低周波信号に含まれる雑音成分が低減され、更なる微弱電界強度時には音声ミュート部によって低周波信号の出力が遮断される。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【0050】
(3)請求項3記載の無線受信装置の発明では、受信した電波の電界強度が弱いときに、ノイズキャンセル部を動作状態にして低周波信号に含まれる雑音成分を低減する際に、弱電界になるにつれて雑音の低減量を増やすことで、中・強電界強度時には低周波信号の明瞭度が確保されたままで、弱電界になるに従って雑音成分を有効に低減することが可能になる。
この結果、弱電界強度時の低周波信号の雑音混入率を改善して無線受信装置の受信感度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態例の無線受信装置の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態例の無線受信装置の主要部の特性を示す特性図である。
【図3】本発明の実施の形態例の無線受信装置の受信手段の特性を示す特性図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態例の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態例の無線受信装置のノイズキャンセル手段の動作の特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1: 制御部
2: 記憶部
3: 基準発振部
4: 変調・PLL・発振部
7: 送信部
10: アンテナ
11: アンテナスイッチ
12: 受信部
13: 検波・復調部
14: 雑音増幅・整流部
15: 受信音声増幅部
16: ディエンファシス部
17: スイッチ部
17a: アナログスイッチA
17b: アナログスイッチB
18: ノイズキャンセル手段
18a: ノイズキャンセル部
18b: 周波数特性補正部
19: 音声ミュート部
20: 電力増幅部
21: スピーカ
Claims (3)
- 放送若くは通信の電波を受信及び検波して低周波信号を得る無線受信装置であって、
放送若くは通信の電波を受信する受信部と、
前記受信部での受信により生成された高周波信号を検波して低周波信号を生成する検波・復調部と、
前記検波・復調部で生成された低周波信号より雑音成分を低減するノイズキャンセル手段と、
受信した電波の電界強度を監視し、前記ノイズキャンセル手段の動作/非動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、受信した電波の電界強度が弱いときに前記ノイズキャンセル手段を動作状態に制御する、
ことを特徴とする無線受信装置。 - 前記低周波信号の出力を遮断する音声ミュート部を備え、
前記制御部は、電界強度が第1のレベルに達した時点で前記ノイズキャンセル手段を動作状態にし、更に、電界強度が前記第1のレベルより弱い第2のレベルに達した時点で前記音声ミュート部によって低周波信号の出力を遮断する、
ことを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。 - 前記ノイズキャンセル手段は、雑音の低減量を複数段階に切り替えることが可能であり、
前記制御部は、受信した電波の電界強度が弱くなるに従って、雑音の低減量を増やすように前記切り替えを制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の無線受信装置。
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Cited By (2)
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-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003153503A patent/JP2004328698A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
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