JP2004325778A - 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004325778A
JP2004325778A JP2003120135A JP2003120135A JP2004325778A JP 2004325778 A JP2004325778 A JP 2004325778A JP 2003120135 A JP2003120135 A JP 2003120135A JP 2003120135 A JP2003120135 A JP 2003120135A JP 2004325778 A JP2004325778 A JP 2004325778A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrophotographic
substituent
group
photoreceptor
photosensitive member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003120135A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3980516B2 (ja
Inventor
Kazuya Ishida
一也 石田
Akihiro Kondo
晃弘 近藤
Takatsugu Obata
孝嗣 小幡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2003120135A priority Critical patent/JP3980516B2/ja
Priority to PCT/JP2004/005506 priority patent/WO2004095144A1/ja
Priority to CNB200480010923XA priority patent/CN100422858C/zh
Priority to US10/554,099 priority patent/US7727693B2/en
Publication of JP2004325778A publication Critical patent/JP2004325778A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3980516B2 publication Critical patent/JP3980516B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】低温低湿環境下においても高い応答性を示し、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化を両立させることのできる電子写真感光体を提供する。
【解決手段】電子写真感光体1の感光層14に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを電荷発生物質12として含有させ、下記一般式(1)たとえば下記構造式(1−1)で示されるエナミン化合物を電荷輸送物質13として含有させる。このことによって、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体1が実現される。
Figure 2004325778

Figure 2004325778

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、ならびにこれを用いる電子写真画像形成方法および電子写真装置に関し、より詳細には、特定の電荷発生物質と特定の電荷輸送物質とを含有する感光層を有する電子写真感光体、ならびにこれを用いる電子写真画像形成方法および電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタまたはファクシミリ装置などには、電子写真画像形成方法を用いて画像を形成する画像形成装置(以下、単に「電子写真装置」とも称する)が多用されている。電子写真装置では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)の表面を所定の電位に一様に帯電させる。帯電された感光体の表面に対して画像情報に応じた露光を施し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像を、トナーなどを含む現像剤で現像し、可視像であるトナー画像を形成する。形成されたトナー画像を感光体の表面から紙などの被転写体上に転写し、定着させることによって画像を形成する。
【0003】
電子写真感光体は、導電性材料から成る導電性支持体と、導電性支持体上に設けられる感光層とを含んで構成される。感光体の感光層を構成する材料としては、従来から、セレン、硫化カドミウムまたは酸化亜鉛などの無機光導電性材料が知られている。これらの無機光導電性材料を用いた無機系感光体は、暗所で適当な電位に帯電できること、暗所での電荷の逸散が少ないこと、光照射によって速やかに電荷を逸散できることなどの数多くの利点を有する反面、種々の欠点も有する。たとえば、セレンを用いたセレン系感光体は、製造する条件が難しく、製造原価が高い。また熱や機械的な衝撃に弱いので、取扱いに注意を要する。硫化カドミウムを用いた硫化カドミウム系感光体および酸化亜鉛を用いた酸化亜鉛系感光体は、湿度の高い環境下では安定した感度を得ることができず、また増感剤として色素を添加した場合には、色素が感光体表面を帯電させる際のコロナ帯電によって帯電劣化したり、露光によって光退色したりするので、長期に渡って安定した特性を提供することができない。
【0004】
このように無機系感光体は多くの欠点を有することから、無機系感光体に代わる感光体として、有機光導電性材料を用いた有機系感光体が提案されている。たとえば、ポリビニルカルバゾールを始めとする各種有機光導電性ポリマーを用いた感光体がある。しかしながら、これらのポリマーを用いた感光体は、前述の無機光導電性材料を用いた無機系感光体に比べ、感光層の成膜性および軽量性などの点では優れるけれども、感度、耐久性および環境の変化に対する安定性などの点では劣るという欠点を有する。
【0005】
これらの欠点を解消するために種々の研究開発が行われ、これらの有機系感光体では有機光導電性ポリマーが担っていた光導電性機能である電荷発生機能および電荷輸送機能を、それぞれ別々の物質に分担させた機能分離型感光体が提案されている。機能分離型感光体には積層型と単層型とがある。積層型の機能分離型感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて成る積層型の感光層が設けられる。単層型の機能分散型感光体では、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一の層に分散されて成る単層型の感光層が設けられる。
【0006】
このような機能分離型感光体では、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、帯電特性、感度、残留電位特性、繰返し特性および耐刷性などの電子写真特性が最良になるように材料を組合せることによって、高性能の感光体を提供することができる。また、感光層を塗工によって形成することができるので、極めて生産性が高く、安価な感光体を提供することができる。
【0007】
また機能分離型感光体では、感光体に照射された光を電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ、この電荷が電荷輸送物質に注入されて感光体表面に輸送されることによって、光が照射された部分の感光体の表面電荷が消去される。このように、感光体に照射された光は電荷発生物質に吸収されるので、電荷発生物質を適当に選択することによって、感光体の感光波長域を自在に制御することができる。
【0008】
近年、より高画質な画像を得るためや、入力される画像情報を記憶したり自由に編集したりするために、画像情報のデジタル化が急速に進行している。これまで、デジタル化された画像情報を用いて画像を形成する電子写真装置は、ワードプロセッサやパソコンなどの出力機器であるレーザプリンタおよびLED(
Light Emitting Diode)プリンタ、ならびに一部のカラーレーザ複写機などに限られていたけれども、従来はアナログの画像情報を用いた画像形成が主流であった普通の複写機の分野においてもデジタル化が進行している。
【0009】
デジタル化された電子写真装置では、感光体表面に対する露光は、以下のようにして行われる。たとえば、コンピュータで作成されたデジタル画像情報を直接使用して画像を形成する場合には、コンピュータから出力される画像情報であるデジタル電気信号を光信号に変換し、この光信号に対応する光を感光体表面に照射することによって、感光体表面に対して画像情報に応じた露光を施す。また複写機のように、原稿画像から読取られた画像情報を使用して画像を形成する場合には、原稿画像の画像情報を光信号として読取り、デジタル電気信号に変換した後、再度光信号に変換し、この光信号に対応する光を感光体表面に照射することによって、感光体表面に対して画像情報に応じた露光を施す。
【0010】
デジタルの電子写真装置において、デジタル画像情報である光信号に対応する光として感光体表面に照射される光には、主としてレーザ光やLED光が用いられている。そのうち、最もよく使用されている光は、波長780nmの近赤外光や波長660nmの赤色光などの長波長域の光である。したがって、デジタルの電子写真装置に使用される感光体に第一に要求されることは、これらの長波長域の光に対して感度を有することである。
【0011】
感光体の感光波長域は、前述のように電荷発生物質を適当に選択することによって自在に選択することができる。前述の近赤外光や赤色光などの長波長域の光に感度を示す電荷発生物質としては、これまでに多種多様な材料が検討されている。その中でもフタロシアニン化合物は、合成が比較的容易であり、また長波長光に感度を示すものが多いことから、幅広く検討され、実用に供されている。
【0012】
たとえば、オキソチタニウムフタロシアニンを用いた感光体(特許文献1参照)、β型インジウムフタロシアニンを用いた感光体(特許文献2参照)、X型無金属フタロシアニンを用いた感光体(特許文献3参照)およびオキソバナジウムフタロシアニンを用いた感光体(特許文献4参照)が提案されている。
【0013】
また最近では、特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが長波長域の光に対して特に高い感度を示すことが見出され、これらを用いた感光体が提案されている。たとえば、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、7.4°、9.7°および24.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニン(特許文献5参照)、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.5゜、9.7゜、11.7゜、15.0゜、23.5゜、24.1゜および27.3゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニン(特許文献6参照)またはブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.0゜、14.2゜、23.9゜および27.1゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニン(特許文献7参照)などを用いた感光体がある。
【0014】
また、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)7.3゜、9.4゜、9.6゜、11.6゜、13.3゜、17.9゜、24.1゜および27.2゜に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4゜の回折ピークと9.6゜の回折ピークとが重なった回折ピーク束が最大強度を示し、かつ27.2゜の回折ピークが2番目に高い強度を示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用いた感光体は、長波長域の光に対して特に高感度であり、かつ繰返し使用における特性の安定性が良好であることが知られている(特許文献8参照)。
【0015】
一方、電子写真装置には、小型化および画像形成速度の高速化も要求されるようになっている。複写機、プリンタおよびファクシミリ装置などの電子写真装置では、円筒状または円柱状の導電性支持体の外周面上に感光層を設けた感光体が一般に用いられており、電子写真装置の小型化のためには、感光体の小径化が必要である。しかしながら、径の小さい感光体では、露光位置から現像位置までの距離が短いので、画像形成速度を高速化するために高速で電子写真プロセスを行うと、露光から現像までの時間が短くなり、以下のような問題が生じる。たとえば、応答性の低い感光体、すなわち露光後の表面電位の減衰速度が遅い感光体を用いると、露光によって消去されるべき部分の表面電位が充分に減衰していない状態で現像されることになるので、正規現像の場合には、画像の白地となるべき部分にトナーが付着する地汚れと呼ばれる現象が発生し、反転現像の場合には、画像濃度が低下する。したがって、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化とを両立させるためには、応答性の高い感光体が求められる。
【0016】
【特許文献1】
特公平5−55860号公報
【特許文献2】
特開昭59−155851号公報
【特許文献3】
特開平2−233769号公報
【特許文献4】
特開昭61−28557号公報
【特許文献5】
特公平7−91486号公報
【特許文献6】
特許第2700859号公報
【特許文献7】
特開平3−128973号公報
【特許文献8】
特開2000−129155号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特許文献5〜8に記載の感光体に用いられている特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生能力と高い電荷注入効率とを有するので、特許文献5〜8に記載の感光体は、ある程度の応答性を有する。しかしながら、これらの感光体では、電荷発生物質である特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと電荷輸送物質との組合せが適切でないので、充分な応答性は得られていない。特に、温度が低くかつ湿度の低い環境(以下、このような環境を「低温低湿環境」と称する)下では、充分な応答性を得ることができず、これらの感光体を小径化し、高速の電子写真プロセスで用いた場合には、地汚れや画像濃度の低下が発生する。したがって、これらの感光体を小径化して用いる場合には、電子写真プロセスの速度を抑える必要があり、電子写真装置の画像形成速度を高速化することはできない。すなわち、これらの感光体を用いた場合、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化とを両立させることはできない。
【0018】
本発明の目的は、特定の電荷発生物質と特定の電荷輸送物質とを組合せることによって、低温低湿環境下においても高い応答性を示し、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化とを両立させることのできる電子写真感光体、ならびにこれを用いる電子写真画像形成方法および電子写真装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性材料から成る導電性支持体と、
前記導電性支持体上に設けられ、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンおよび下記一般式(1)で示されるエナミン化合物を含有する感光層とを有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0020】
【化3】
Figure 2004325778
【0021】
(式中、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R,RおよびRは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。)
【0022】
本発明に従えば、電子写真感光体は導電性支持体と感光層とを有し、感光層には、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが電荷発生物質として含有され、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物が電荷輸送物質として含有される。このことによって、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体を得ることができる。本発明の電子写真感光体が低温低湿環境下においても高い応答性を示すのは、電荷発生物質として含有される前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと電荷輸送物質として含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物との組合せが好適であることによると推察される。すなわち、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生能力と高い電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生させた電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質に効率よく注入する。また前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、高い電荷輸送能力を有する電荷輸送物質であるので、光吸収によって前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンで発生する電荷は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物に効率的に注入され、感光層表面に円滑に輸送される。したがって、前述のように、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと前記一般式(1)で示されるエナミン化合物とを組合せて感光層に含有させることによって、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体を得ることができる。
【0023】
このように、本発明の電子写真感光体は、低温低湿環境下においても高い応答性を示すので、小型化され、高速の電子写真プロセスで用いられた場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。すなわち、本発明の電子写真感光体を小型化して用いる場合には、電子写真プロセスの速度を抑える必要はないので、電子写真装置の画像形成速度を高速化することができる。したがって、本発明の電子写真感光体を用いることによって、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化とを両立させることができ、小型で画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することができる。
【0024】
また本発明は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、下記一般式(2)で示されるエナミン化合物であることを特徴とする。
【0025】
【化4】
Figure 2004325778
【0026】
(式中、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0027】
本発明に従えば、感光層には、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、特に高い電荷輸送能力を有する前記一般式(2)で示されるエナミン化合物が含有されるので、さらに高い応答性を示す電子写真感光体を得ることができる。このような電子写真感光体を用いることによって、電子写真装置の画像形成速度をさらに高速化することができる。また、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、合成が比較的容易で収率が高く、安価に製造することができるので、前述のように高い応答性を示す前記本発明の電子写真感光体を低い製造原価で製造することができる。
【0028】
また本発明は、前記オキソチタニウムフタロシアニンは、
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)7.3゜、9.4゜、9.6゜、11.6゜、13.3゜、17.9゜、24.1゜および27.2゜に主要な回折ピークを示し、前記回折ピークのうち、9.4゜の回折ピークと9.6゜の回折ピークとが重なった回折ピーク束が最大強度を示し、かつ27.2゜の回折ピークが2番目に高い強度を示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、感光層には、後述する図2に示すX線回折スペクトルを与える特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが含有される。前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、近赤外光や赤色光などの長波長域の光に対して特に高い感度を示すので、半導体レーザまたは発光ダイオードなどから出射される長波長域の光を露光に用いるデジタルの電子写真装置に最適な感光波長域を有する電子写真感光体を得ることができる。また、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、結晶型が安定であり、他の結晶型への転移が起こりにくいので、繰返し使用された場合であっても応答性の低下が小さく、繰返し使用における特性安定性に優れる電子写真感光体を得ることができる。
【0030】
また本発明は、前記オキソチタニウムフタロシアニンは、
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.5゜、9.7゜、11.7゜、15.0゜、23.5゜、24.1゜および27.3゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、感光層には、後述する図3に示すX線回折スペクトルを与える特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが含有される。前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、近赤外光や赤色光などの長波長域の光に対して特に高い感度を示すので、半導体レーザまたは発光ダイオードなどから出射される長波長域の光を露光に用いるデジタルの電子写真装置に最適な感光波長域を有する電子写真感光体を得ることができる。また、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、結晶型が安定であり、他の結晶型への転移が起こりにくいので、繰返し使用された場合であっても応答性の低下が小さく、繰返し使用における特性安定性に優れる電子写真感光体を得ることができる。
【0032】
また本発明は、前記オキソチタニウムフタロシアニンは、
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.0゜、14.2゜、23.9゜および27.1゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、感光層には、後述する図4に示すX線回折スペクトルを与える特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが含有される。前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、近赤外光や赤色光などの長波長域の光に対して特に高い感度を示すので、半導体レーザまたは発光ダイオードなどから出射される長波長域の光を露光に用いるデジタルの電子写真装置に最適な感光波長域を有する電子写真感光体を得ることができる。また、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、結晶型が安定であり、他の結晶型への転移が起こりにくいので、繰返し使用された場合であっても応答性の低下が小さく、繰返し使用における特性安定性に優れる電子写真感光体を得ることができる。
【0034】
また本発明は、電子写真感光体の表面を帯電させる工程と、帯電された前記表面に対して露光を施し、静電潜像を形成する工程と、前記静電潜像を現像する工程とを含む電子写真画像形成方法であって、
前記電子写真感光体には、前記本発明の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真画像形成方法である。
【0035】
本発明に従えば、電子写真画像は、前記本発明の電子写真感光体の表面を帯電し、帯電された電子写真感光体の表面に対して露光を施して静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像することによって形成される。前記本発明の電子写真感光体は、前述のように低温低湿環境下においても高い応答性を示すので、本発明の電子写真画像形成方法では、電子写真感光体の表面に対する露光の開始から静電潜像の現像の終了までの時間を短くした場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。
【0036】
また本発明は、前記電子写真感光体の表面に対する露光の開始から前記静電潜像の現像の終了までの時間は、90ミリ秒(90msec)以下であることを特徴とする。
【0037】
本発明に従えば、電子写真感光体の表面に対する露光の開始から静電潜像の現像の終了までの時間は、90ミリ秒(90msec)以下と短いので、高速で画像を形成することが可能である。このように電子写真感光体の表面に対する露光の開始から静電潜像の現像の終了までの時間が短い場合、低温低湿環境下において、電子写真感光体の応答性が低下し、画像品質の低下することがあるけれども、本発明の電子写真画像形成方法では、前述のように低温低湿環境下においても高い応答性を示す前記本発明の電子写真感光体が用いられるので、電子写真感光体の表面に対する露光の開始から静電潜像の現像の終了までの時間が短い場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。
【0038】
また本発明は、前記本発明の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記表面に対して露光を施す露光手段と、
露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする電子写真装置である。
【0039】
本発明に従えば、電子写真装置は、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段とを備える。前記本発明の電子写真感光体は、前述のように低温低湿環境下においても高い応答性を示すので、本発明の電子写真装置では、露光手段による電子写真感光体の表面に対する露光の開始から現像手段による静電潜像の現像の終了までの時間を短くした場合、たとえば電子写真感光体を小型化し、高速で電子写真プロセスを行った場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。したがって、小型で画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することが可能である。
【0040】
また本発明は、前記本発明の電子写真感光体であって装置本体に回転自在に支持される電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を回転周速Vpで回転駆動させる感光体駆動手段と、
前記電子写真感光体の外周面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記外周面に対して露光を施す露光手段と、
露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、
前記露光手段による露光位置から前記現像手段による現像位置までの前記電子写真感光体の外周面に沿った距離Lを前記回転周速Vpで除した値d(=L/Vp)が90ミリ秒(90msec)以下になるように、前記感光体駆動手段の動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする電子写真装置である。
【0041】
本発明に従えば、電子写真装置は、前記本発明の電子写真感光体と、感光体駆動手段と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、制御手段とを備える。感光体駆動手段は、電子写真感光体を回転周速Vpで回転駆動させる。この感光体駆動手段の動作は、露光手段による露光位置から現像手段による現像位置までの電子写真感光体の外周面に沿った距離Lを回転周速Vpで除した値d(=L/Vp)が90ミリ秒(90msec)以下になるように、制御手段によって制御される。前記値dは、露光手段による電子写真感光体の外周面に対する露光の開始から現像手段による静電潜像の現像の終了までの時間に略一致する。したがって、露光手段による電子写真感光体の外周面に対する露光の開始から現像手段による静電潜像の現像の終了までの時間は短い。すなわち、本発明の電子写真装置では、電子写真プロセスを高速で行うことが可能であるので、画像形成速度の速い電子写真装置を実現することができる。
【0042】
露光手段による電子写真感光体の外周面に対する露光の開始から現像手段による静電潜像の現像の終了までの時間が短い場合、たとえば前記距離Lの短い小型の電子写真感光体を用いて前記回転周速Vpを大きくし、高速で電子写真プロセスを行った場合、低温低湿環境下において、電子写真感光体の応答性が低下し、画像品質の低下することがある。
【0043】
しかしながら、本発明の電子写真装置は、前述のように低温低湿環境下においても高い応答性を示す前記本発明の電子写真感光体を備えるので、露光手段による電子写真感光体の外周面に対する露光の開始から現像手段による静電潜像の現像の終了までの時間が短い場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。したがって、前述のように、前記本発明の電子写真感光体を備え、感光体駆動手段の動作を前記値dが90msec以下になるように制御することによって、画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することができる。
【0044】
また本発明は、前記電子写真感光体は、円筒状または円柱状の形状を有し、
前記電子写真感光体の直径は、24mm以上40mm以下であることを特徴とする。
【0045】
本発明に従えば、電子写真装置に備わる電子写真感光体は、円筒状または円柱状の形状を有し、直径が24mm以上40mm以下であって小型であるので、電子写真装置を小型化することができる。したがって、小型で画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す斜視図である。図1(b)は、電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。電子写真感光体1(以下、単に「感光体」とも称する)は、導電性材料から成る円筒状の導電性支持体11と、導電性支持体11の外周面上に設けられる感光層14とを含んで構成される。感光層14は、光を吸収することによって電荷を発生させる電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と、電荷発生物質12で発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質13および電荷輸送物質13を結着させる結着性樹脂17を含有する電荷輸送層16とが、導電性支持体11の外周面上にこの順序で積層されて成る積層型の感光層である。すなわち、感光体1は、積層型感光体である。
【0047】
電荷発生物質12には、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが用いられる。電荷輸送物質13には、下記一般式(1)で示されるエナミン化合物が用いられる。
【0048】
【化5】
Figure 2004325778
【0049】
前記一般式(1)において、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。
【0050】
また前記一般式(1)において、aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0051】
また前記一般式(1)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R,RおよびRは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。
【0052】
ただし、前記一般式(1)において、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。
【0053】
このように、感光層14には、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが電荷発生物質12として含有され、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物が電荷輸送物質13として含有されるので、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体1を得ることができる。
【0054】
本実施形態の電子写真感光体1が低温低湿環境下においても高い応答性を示すのは、電荷発生物質12として含有される前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと電荷輸送物質13として含有される前記一般式(1)で示されるエナミン化合物との組合せが好適であることによると推察される。すなわち、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、高い電荷発生能力と高い電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生させた電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質13に効率よく注入する。また前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、高い電荷輸送能力を有する電荷輸送物質であるので、光吸収によって前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンで発生する電荷は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物に効率的に注入され、感光層14表面に円滑に輸送される。したがって、前述のように、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと前記一般式(1)で示されるエナミン化合物とを組合せて感光層14に含有させることによって、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体1を得ることができる。
【0055】
このように、本実施形態の電子写真感光体1は、低温低湿環境下においても高い応答性を示すので、小型化され、高速の電子写真プロセスで用いられた場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。すなわち、感光体1を小型化して用いる場合には、電子写真プロセスの速度を抑える必要はないので、電子写真装置の画像形成速度を高速化することができる。したがって、感光体1を用いることによって、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化とを両立させることができ、小型で画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することができる。
【0056】
電荷発生物質12として電荷発生層15に含有される前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンの具体例としては、たとえば、X線回折スペクトルにおいて、図2に示すように、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)7.3゜、9.4゜、9.6゜、11.6゜、13.3゜、17.9゜、24.1゜および27.2゜に主要な回折ピークを示し、前記回折ピークのうち、9.4゜の回折ピークと9.6゜の回折ピークとが重なった回折ピーク束が最大強度を示し、かつ27.2゜の回折ピークが2番目に高い強度を示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニン、図3に示すように、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.5゜、9.7゜、11.7゜、15.0゜、23.5゜、24.1゜および27.3゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニン、図4に示すように、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.0゜、14.2゜、23.9゜および27.1゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニン、ならびにブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、7.4°、9.7°および24.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンなどを挙げることができる。これらのオキソチタニウムフタロシアニンは、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
【0057】
前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、前述のように高い電荷発生能力と高い電荷注入効率とを有するだけでなく、近赤外光や赤色光などの長波長域の光に対して高い感度を示す。前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンの中でも、図2、図3または図4に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、近赤外光や赤色光などの長波長域の光に対して特に高い感度を示すので、これらのオキソチタニウムフタロシアニンを電荷発生物質12に用いることによって、半導体レーザまたは発光ダイオードなどから出射される長波長域の光を露光に用いるデジタルの電子写真装置に最適な感光波長域を有する電子写真感光体1を得ることができる。また、これらのオキソチタニウムフタロシアニンは、結晶型が安定であり、他の結晶型への転移が起こりにくいので、繰返し使用された場合であっても応答性の低下が小さく、繰返し使用における特性安定性に優れる電子写真感光体1を得ることができる。
【0058】
図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキシチタニウムフタロシアニンは、たとえば特開2000−129155号公報に開示の製造方法で製造することができる。また図3に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキシチタニウムフタロシアニンは、たとえば特許第2700859号公報に開示の製造方法で製造することができる。また図4に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキシチタニウムフタロシアニンは、たとえば特開平3−128973号公報に開示の製造方法で製造することができる。また前述のX線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、7.4°、9.7°および24.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、たとえば特公平7−91486号公報に開示の製造方法で製造することができる。
【0059】
前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンは、他の電荷発生物質と混合されて使用されてもよい。前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと混合されて使用される他の電荷発生物質としては、前記特定の結晶型とは異なる結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニン、他のフタロシアニン化合物、ならびにクロロダイアンブルーなどのビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロンなどの多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物およびアズレニウム塩系化合物などを挙げることができる。このように前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと他の電荷発生物質とを混合して用いる場合、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが主成分として含有される混合物を電荷発生物質12に用いることが好ましい。
【0060】
電荷発生層15の形成方法としては、電荷発生物質12を導電性支持体11の外周面上に真空蒸着することによって形成する方法、または結着性樹脂を適当な溶剤に溶解または分散させて得られる結着性樹脂溶液中に、電荷発生物質12を混合し、分散させて電荷発生層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布することによって成膜する方法などが用いられる。これらの中でも、後者の方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
【0061】
電荷発生層15に用いられる結着性樹脂の具体例としては、たとえばメラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂およびポリビニルブチラール樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2種以上を含む共重合体樹脂、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。結着性樹脂は、これらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着性樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
【0062】
電荷発生層用塗布液の溶剤としては、たとえば塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、ならびにN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などを挙げることができる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
【0063】
電荷発生物質12と結着性樹脂との配合比率は、電荷発生物質12の割合が10重量%〜99重量%の範囲にあることが好ましい。電荷発生物質12の割合が10重量%未満であると、感度が低下する。電荷発生物質12の割合が99重量%を越えると、電荷発生層15の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質12の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の部分の表面電荷が減少して画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。したがって、10重量%〜99重量%とした。
【0064】
電荷発生物質12を結着性樹脂溶液中に混合して分散させる方法としては、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、コロイドミルまたは超音波分散機などを用いる一般的な方法を適用することができる。電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、スプレイ法、ビード法またはノズル法などの一般的な方法を適用することができる。
【0065】
電荷発生層15の膜厚は、0.05μm以上5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。電荷発生層15の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感度が低下する。電荷発生層15の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する。したがって、0.05μm以上5.0μm以下とした。
【0066】
電荷発生層15の外周面上に形成される電荷輸送層16には、前述のように、電荷輸送物質13として、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物が含有される。
【0067】
前記一般式(1)において、ArおよびArの具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチルおよびビフェニリルなどのアリール基、ならびにフリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリルおよびN−メチルインドリルなどの複素環基を挙げることができる。
【0068】
また前記一般式(1)において、Arの具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニルおよびp−(フェニルチオ)フェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにイソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0069】
また前記一般式(1)において、ArおよびArの具体例としては、水素原子以外では、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニル、p−(フェニルチオ)フェニルおよびp−スチリルフェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにメチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0070】
ArおよびArは、前述のように、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。ArとArとを結合する原子の具体例としては、酸素原子および硫黄原子などを挙げることができる。ArとArとを結合する原子団の具体例としては、アルキル基を有する窒素原子などの2価の原子団、ならびにメチレン、エチレンおよびメチルメチレンなどのアルキレン基、ビニレンおよびプロペニレンなどの不飽和アルキレン基、オキシメチレン(化学式:−O−CH−)などのヘテロ原子を含むアルキレン基、チオビニレン(化学式:−S−CH=CH−)などのヘテロ原子を含む不飽和アルキレン基などの2価基などを挙げることができる。
【0071】
また前記一般式(1)において、aの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、ならびにフッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0072】
また前記一般式(1)において、Rの具体例としては、水素原子以外では、フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子、ならびにメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびトリフルオロメチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0073】
また前記一般式(1)において、R,RおよびRの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、フリル、チエニルおよびチアゾリルなどの複素環基、ならびにベンジルおよびp−メトキシベンジルなどのアラルキル基を挙げることができる。
【0074】
電荷輸送物質13には、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、下記一般式(2)で示されるエナミン化合物が好適に用いられる。
【0075】
【化6】
Figure 2004325778
【0076】
前記一般式(2)において、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0077】
b,cおよびdの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、ならびにフッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0078】
また前記一般式(2)において、Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0079】
前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、特に高い電荷輸送能力を有するので、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物を電荷輸送物質13に用いることによって、さらに高い応答性を示す電子写真感光体1を得ることができる。このような電子写真感光体1を用いることによって、電子写真装置の画像形成速度をさらに高速化することができる。また、前記一般式(2)で示されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の中でも、合成が比較的容易で収率が高く、安価に製造することができるので、前述のように高い応答性を示す電子写真感光体1を低い製造原価で製造することができる。
【0080】
また前記一般式(1)で示されるエナミン化合物のうち、特性、原価および生産性などの観点から特に優れた化合物としては、ArおよびArが共にフェニル基であるものを挙げることができる。その中でも、ArおよびArが共にフェニル基であり、Arがフェニル基、トリル基、p−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基またはチエニル基であり、ArおよびArのうちの少なくともいずれか一方がフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基、チエニル基またはチアゾリル基であり、R,R,RおよびRが共に水素原子であり、nが1であるものが特に好ましい。
【0081】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物の具体例としては、たとえば以下の表1〜表32に示す例示化合物を挙げることができるけれども、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、これに限定されるものではない。なお、表1〜表32では、各例示化合物を前記一般式(1)の各基に対応する基で表している。たとえば、表1に示す例示化合物No.1は、下記構造式(1−1)で示されるエナミン化合物である。ただし、表1〜表32において、ArおよびArが互いに結合し環構造を形成するものを例示する場合には、Arの欄からArの欄に渡って、ArおよびArの結合する炭素−炭素二重結合と、その炭素−炭素二重結合の炭素原子と共にArおよびArが形成する環構造とを合わせて示す。
【0082】
【化7】
Figure 2004325778
【0083】
【表1】
Figure 2004325778
【0084】
【表2】
Figure 2004325778
【0085】
【表3】
Figure 2004325778
【0086】
【表4】
Figure 2004325778
【0087】
【表5】
Figure 2004325778
【0088】
【表6】
Figure 2004325778
【0089】
【表7】
Figure 2004325778
【0090】
【表8】
Figure 2004325778
【0091】
【表9】
Figure 2004325778
【0092】
【表10】
Figure 2004325778
【0093】
【表11】
Figure 2004325778
【0094】
【表12】
Figure 2004325778
【0095】
【表13】
Figure 2004325778
【0096】
【表14】
Figure 2004325778
【0097】
【表15】
Figure 2004325778
【0098】
【表16】
Figure 2004325778
【0099】
【表17】
Figure 2004325778
【0100】
【表18】
Figure 2004325778
【0101】
【表19】
Figure 2004325778
【0102】
【表20】
Figure 2004325778
【0103】
【表21】
Figure 2004325778
【0104】
【表22】
Figure 2004325778
【0105】
【表23】
Figure 2004325778
【0106】
【表24】
Figure 2004325778
【0107】
【表25】
Figure 2004325778
【0108】
【表26】
Figure 2004325778
【0109】
【表27】
Figure 2004325778
【0110】
【表28】
Figure 2004325778
【0111】
【表29】
Figure 2004325778
【0112】
【表30】
Figure 2004325778
【0113】
【表31】
Figure 2004325778
【0114】
【表32】
Figure 2004325778
【0115】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0116】
まず、下記一般式(3)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、下記一般式(4)で示される2級アミン化合物との脱水縮合反応を行うことによって、下記一般式(5)で示されるエナミン中間体を製造する。
【0117】
【化8】
Figure 2004325778
【0118】
(式中、Ar,ArおよびRは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0119】
【化9】
Figure 2004325778
【0120】
(式中、Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0121】
【化10】
Figure 2004325778
【0122】
(式中、Ar,Ar,Ar,R,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0123】
この脱水縮合反応は、たとえば以下のように行う。前記一般式(3)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、これと略等モル量の前記一般式(4)で示される2級アミン化合物とを、芳香族系溶剤、アルコール類またはエーテル類などの溶剤に溶解させ、溶液を調製する。用いる溶剤の具体例としては、たとえばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ブタノールおよびジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。調製した溶液中に、触媒、たとえばp−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはピリジニュウム−p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を加え、加熱下で反応させる。触媒の添加量は、前記一般式(3)で示されるアルデヒド化合物またはケトン化合物に対して、10分の1(1/10)〜1000分の1(1/1000)モル当量であることが好ましく、より好ましくは25分の1(1/25)〜500分の1(1/500)モル当量であり、50分の1(1/50)〜200分の1(1/200)モル当量が最適である。反応中、水が副成し反応を妨げるので、生成した水を溶剤と共沸させ系外に取除く。これによって、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体を高収率で製造することができる。
【0124】
次に、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化またはフリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うことによって、下記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体を製造する。このとき、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うと、下記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を製造することができ、フリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うと、下記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を製造することができる。
【0125】
【化11】
Figure 2004325778
【0126】
(式中、Rは、前記一般式(1)において、nが0のときRを示し、nが1,2または3のときRを示す。Ar,Ar,Ar,R,R,R,a,mおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0127】
ビルスマイヤー反応は、たとえば以下のように行う。N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−Dimethylformamide;略称:DMF)または1,2−ジクロロエタンなどの溶剤中に、オキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミド、オキシ塩化リンとN−メチル−N−フェニルホルムアミド、またはオキシ塩化リンとN,N−ジフェニルホルムアミドとを加え、ビルスマイヤー試薬を調製する。調製したビルスマイヤー試薬1.0当量〜1.3当量に、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体1.0当量を加え、60〜110℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を高収率で製造することができる。
【0128】
また、フリーデル−クラフト反応は、たとえば以下のように行う。1,2−ジクロロエタンなどの溶剤中に、塩化アルミニウムと酸塩化物とによって調製した試薬1.0当量〜1.3当量と、前記一般式(5)で示されるエナミン中間体1.0当量とを加え、−40〜80℃で、2〜8時間撹拌する。このとき、場合によっては加熱する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体のうち、Rが水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を高収率で製造することができる。
【0129】
最後に、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体と下記一般式(7−1)または(7−2)で示されるWittig試薬とを塩基性条件下で反応させるWittig−Horner反応を行うことによって、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を製造することができる。このとき、下記一般式(7−1)で示されるWittig試薬を用いると、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物のうち、nが0であるものを得ることができ、下記一般式(7−2)で示されるWittig試薬を用いると、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物のうち、nが1,2または3であるものを得ることができる。
【0130】
【化12】
Figure 2004325778
【0131】
(式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。ArおよびArは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0132】
【化13】
Figure 2004325778
【0133】
(式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。nは1〜3の整数を示す。Ar,Ar,R,RおよびRは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0134】
このWittig−Horner反応は、たとえば以下のように行う。トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran;略称:THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなどの溶剤中に、前記一般式(6)で示されるエナミン−カルボニル中間体1.0当量と、前記一般式(7−1)または(7−2)で示されるWittig試薬1.0〜1.20当量と、カリウムt−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイドまたはナトリウムメトキサイドなどの金属アルコキシド塩基1.0〜1.5当量とを加え、室温または30〜60℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。これによって、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を高収率で製造することができる。
【0135】
前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、たとえば前述の表1〜表32に示す例示化合物からなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
【0136】
また前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、他の電荷輸送物質と混合されて使用されてもよい。前記一般式(1)で示されるエナミン化合物に混合されて使用される他の電荷輸送物質としては、たとえば前記一般式(1)で示されるエナミン化合物に類似のエナミン化合物、その他のエナミン化合物、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、芳香族アミン化合物、スチリル系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物およびスチルベン系化合物、ならびにこれらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有する重合体などの電子供与性物質などを挙げることができる。このように前記一般式(1)で示されるエナミン化合物と他の電荷輸送物質とを混合して用いる場合、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物が主成分として含有される混合物を電荷輸送物質13に用いることが好ましい。
【0137】
電荷輸送層16は、電荷輸送物質13が結着性樹脂17に結着された形で形成される。電荷輸送層16は、たとえば、結着性樹脂17を前述の電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤と同様の溶剤に溶解または分散させて得られる結着性樹脂溶液中に、電荷輸送物質13を溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗布液を前述の電荷発生層用塗布液の塗布方法と同様の方法を用いて電荷発生層15の外周面上に塗布することによって成膜される。
【0138】
結着性樹脂17には、前述の電荷発生層15に用いられる結着性樹脂と同様の樹脂を用いることができる。これらの中でも、電荷輸送物質13との相溶性に優れるものが好適に使用される。たとえば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂もしくはこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂またはフェノール樹脂などを用いることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。前述した樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上であって電気絶縁性に優れており、また皮膜性および電位特性などにも優れているので、好適に用いられる。
【0139】
電荷輸送層16における電荷輸送物質13の重量Aと結着性樹脂17の重量Bとの比率A/Bは、感光層14の耐刷性の観点から、重量比で3分の2(2/3)以下であることが好ましい。前記比率A/Bが2/3を超え、結着性樹脂17の比率が低くなると、結着性樹脂17の比率が高いときに比べて、感光層14の耐刷性が低下する。
【0140】
また前記比率A/Bは、浸漬塗布法で電荷輸送層16を形成する場合には、3分の1(1/3)以上であることが好ましい。前記比率A/Bが1/3未満となり、結着性樹脂17の比率が高くなると、塗布液の粘度が増大するので、塗布速度低下を招き、生産性が著しく悪くなる。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶剤の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層16に白濁が発生する。
【0141】
電荷輸送層16の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層16の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層16の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
【0142】
前述のように、感光層14は、以上のようにして形成される電荷発生層15と電荷輸送層16とが積層されて成る積層型の感光層である。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、各層を構成する材料に、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、繰返し使用における特性安定性に特に優れる電子写真感光体1を得ることができる。
【0143】
導電性支持体11を構成する導電性材料としては、たとえばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケルもしくはチタンなどの金属、またはアルミニウム合金もしくはステンレス鋼などの合金などの金属材料を用いることができる。また前述の金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ナイロン、ポリスチレンなどの高分子材料、ガラスまたは硬質紙などの表面に、導電処理を施したもの、たとえば金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、カーボンブラックなどの導電性物質を適当な結着性樹脂と共に塗布したものなどを用いることもできる。これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。導電性支持体11の形状は、本実施形態では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
【0144】
以上に述べたように、本実施形態では、感光層14は、電荷発生層15と電荷輸送層16とが、この順序で導電性支持体11の外周面上に積層された構成であるけれども、これに限定されることなく、電荷輸送層16および電荷発生層15の順に導電性支持体11の外表面上に積層された構成であってもよい。
【0145】
図5は、本発明の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。本実施形態の電子写真感光体2は、実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0146】
電子写真感光体2において注目すべきは、導電性支持体11と感光層14との間に下引き層18が設けられていることである。
【0147】
このことによって、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止し、電荷ブロッキング性を向上させることができる。したがって、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の部分における表面電荷の減少を抑え、形成される画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。また感光層14の導電性支持体11からの剥離を抑え、導電性支持体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
【0148】
下引き層18には、樹脂を主成分とする層が多用されている。下引き層18の外周面上に設けられる感光層14は、前述のように溶剤を用いて形成されるので、下引き層18を構成する樹脂は、感光層14を形成する際に一般に用いられる有機溶剤に対して溶解しにくい樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼインおよびポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹脂、共重合ナイロンおよびメトキシメチル化ナイロンなどのアルコール可溶性樹脂、ならびにアクリル樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂などの三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などを挙げることができる。
【0149】
下引き層18には、たとえば酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズまたは酸化インジウムなどの金属酸化物の微粉末顔料を添加してもよい。これらの金属酸化物を添加することによって、下引き層18への電荷の蓄積を防ぎ、繰返し使用されることによる感光体の残留電位の上昇を低減することができる。また、形成される画像にモアレと呼ばれる干渉縞が発生することを防ぐことができる。
【0150】
下引き層18は、たとえば、前述の樹脂を適当な溶剤に溶解または分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布することによって形成される。下引き層18に前述の金属酸化物の微粉末顔料などを添加する場合には、前述の樹脂および金属酸化物の微粉末顔料などを適当な溶剤に溶解または分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の外周面上に塗布することによって下引き層18を形成することができる。
【0151】
下引き層用塗布液の溶剤には、前述の電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤と同様の溶剤を用いることができる。
【0152】
前述の樹脂や金属酸化物の微粉末顔料などを溶剤中に溶解または分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、コロイドミルまたは超音波分散機などを用いる一般的な方法を適用することができる。下引き層用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、スプレイ法、ビード法またはノズル法などの一般的な方法を適用することができる。
【0153】
下引き層18の膜厚は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上5μm以下である。下引き層18の膜厚が0.1μmより薄いと、実質的に下引き層18として機能しなくなり、導電性支持体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体11から感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。下引き層18の膜厚を20μmよりも厚くすることは、下引き層18を浸漬塗布法によって形成する場合に、下引き層18を均一に形成することが困難になり、形成された下引き層18の機械的強度が低下するとともに、感度が低下するので好ましくない。
【0154】
図6は、本発明の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施形態の電子写真感光体3は、実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0155】
電子写真感光体3において注目すべきは、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを含む電荷発生物質12と、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13とが含有される単一の層から成る単層型の感光層140を有することである。すなわち、電子写真感光体3が単層型感光体であることである。
【0156】
本実施形態の電子写真感光体3では、前述の実施の第1形態の電子写真感光体1と同様に、感光層140には、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが電荷発生物質12として含有され、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物が電荷輸送物質13として含有される。したがって、実施の第1形態と同様に、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体3を得ることができる。また電子写真感光体3を用いることによって、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化とを両立させることができ、小型で画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することができる。
【0157】
感光層140は、電荷発生物質12および電荷輸送物質13が結着性樹脂17に結着された形で形成される。感光層140は、たとえば、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを含む電荷発生物質12、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質13および結着性樹脂17を、前述の電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤と同様の適当な溶剤に溶解または分散させて感光層用塗布液を調製し、この塗布液を前述の電荷発生層用塗布液の塗布方法と同様の方法を用いて導電性支持体11の外周面上に塗布することによって形成される。
【0158】
感光層140における電荷輸送物質13の重量A’と結着性樹脂17の重量B’との比率A’/B’は、実施の第1形態の感光体1の電荷輸送層16における電荷輸送物質13の重量Aと結着性樹脂17の重量Bとの比率A/Bと同様に、2/3以下であることが好ましい。また、浸漬塗布法で感光層140を形成する場合には、前記比率A/Bは1/3以上であることが好ましい。
【0159】
感光層140の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上40μm以下である。感光層140の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層140の膜厚が50μmを超えると、生産性が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
【0160】
以上に述べた実施の第1〜第3形態の電子写真感光体に設けられる感光層14,140の外周面上には、感光層14,140の表面を保護するために、保護層を設けてもよい。保護層には、たとえば熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などから成る層が用いられる。保護層は、紫外線防止剤、酸化防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物または電子受容性物質などを含有してもよい。
【0161】
また感光層14,140および保護層には、必要に応じて、フタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステルまたは塩素化パラフィンなどの可塑剤を添加してもよい。これによって、加工性を向上させることができる。また感光層14,140または保護層に可撓性を付与し、機械的特性を改良することができる。
【0162】
また感光層14,140および保護層には、シリコーン樹脂などのレベリング剤を添加してもよい。これによって、表面平滑性を向上させることができる。
【0163】
本発明の実施の第4の形態である電子写真装置として、以下では前述の実施の第1形態の電子写真感光体1(感光体1)を備える電子写真装置100を例示する。図7は、電子写真装置100の構成を簡略化して示す側面配置図である。
【0164】
電子写真装置100は、図示しない装置本体に回転自在に支持される感光体1と、感光体1を回転軸線44まわりに矢符41方向に回転駆動させる感光体駆動手段37と、感光体駆動手段37の動作を制御する制御手段38とを備える。感光体駆動手段37は、たとえば動力源としてモータを備え、モータからの動力を図示しない歯車を介して感光体1の芯体を構成する支持体に伝えることによって、感光体1を回転周速Vpで回転駆動させる。
【0165】
感光体1の周囲には、帯電器32と、露光手段30と、現像器33と、転写器34と、クリーナ36とが、矢符41で示される感光体1の回転方向上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。クリーナ36は、図示しない除電器と共に設けられる。
【0166】
帯電器32は、感光体1の外周面43を所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電器32は、たとえばローラ帯電方式などの接触式の帯電手段である。
【0167】
露光手段30は、たとえば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光31を帯電器32と現像器33との間に位置する感光体1の外周面43に照射することによって、帯電された感光体1の外周面43に対して画像情報に応じた露光を施す。
【0168】
現像器33は、露光によって感光体1の外周面43に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、感光体1に対向して設けられ感光体1の外周面43にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持するとともにその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
【0169】
転写器34は、現像によって感光体1の外周面43に形成される可視像であるトナー画像を、図示しない搬送手段によって矢符42方向から感光体1と転写器34との間に供給される記録媒体である転写紙51上に転写させる転写手段である。転写器34は、たとえば、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー画像を転写紙51上に転写させる非接触式の転写手段である。
【0170】
クリーナ36は、転写器34による転写動作後に感光体1の外周面43に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体1の外周面43に残留するトナーを前記外周面43から剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。
【0171】
また、感光体1と転写器34との間を通過した後の転写紙51が搬送される方向には、転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
【0172】
感光体1の直径は、24mm以上40mm以下であることが好ましい。これによって、電子写真装置100を小型化することができる。
【0173】
本発明の実施の一形態である電子写真画像形成方法は、電子写真感光体の表面を帯電させる工程と、帯電された電子写真感光体の表面に対して露光を施し、静電潜像を形成する工程と、形成された静電潜像を現像する工程とを含み、前記電子写真感光体には、本発明による電子写真感光体が用いられることを特徴とする。この電子写真画像形成方法は、本実施形態の電子写真装置100によって実行される。
【0174】
電子写真装置100の動作について説明する。まず、感光体1が感光体駆動手段37によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段30からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、感光体1の外周面43が正または負の所定電位に均一に帯電される。
【0175】
次いで、露光手段30から、感光体1の外周面43に対して光31が照射される。光源からの光31は、主走査方向である感光体1の長手方向に繰返し走査される。感光体1を回転駆動させ、光源からの光31を繰返し走査することによって、感光体1の外周面43に対して画像情報に応じた露光が施される。この露光によって、光31が照射された部分の表面電荷が消去され、光31が照射された部分の表面電位と光31が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、感光体1の外周面43に静電潜像が形成される。
【0176】
次いで、光源からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33の現像ローラ33aから、静電潜像の形成された感光体1の外周面43にトナーが供給されることによって、静電潜像が現像され、感光体1の外周面43にトナー画像が形成される。
【0177】
また、感光体1への露光と同期して、転写紙51が、搬送手段によって感光体1と転写器34との間に矢符42方向から供給される。感光体1と転写器34との間に転写紙51が供給されると、転写器34はトナーと逆極性の電荷を転写紙51に与える。これによって、感光体1の外周面43に形成されたトナー画像が、転写紙51上に転写される。
【0178】
トナー画像が転写された転写紙51は、搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧される。これによって、転写紙51上のトナー画像が転写紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙51は、搬送手段によって電子写真装置100の外部へ排紙される。
【0179】
一方、転写器34による転写動作後に感光体1の外周面43上に残留するトナーは、クリーナ36のクリーニングブレード36aによって感光体1の外周面43から剥離され、回収用ケーシング36b内に回収される。このようにしてトナーが除去された感光体1の外周面43の電荷は、除電器によって除去され、感光体1の外周面43上の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転駆動され、再度感光体1の帯電から始まる一連の動作が繰返される。以上のようにして、連続的に画像が形成される。
【0180】
このとき、感光体駆動手段37の動作は、光31の結像点に相当する露光手段30による露光位置45から現像器33による現像位置46までの感光体1の外周面43に沿った距離Lを回転周速Vpで除した値d(=L/Vp)が90ミリ秒(90msec)以下になるように、制御手段38によって制御される。たとえば、前述のように直径が24mm以上40mm以下であるような前記距離Lの短い小型の感光体1を用いる場合には、回転周速Vpが大きくなるように制御される。
【0181】
前記値dは、露光手段30による感光体1の外周面43に対する露光の開始から現像器33による静電潜像の現像の終了までの時間に略一致する。したがって、露光手段30による感光体1の外周面43に対する露光の開始から現像器33による静電潜像の現像の終了までの時間は、90msec以下と短い。すなわち、本実施形態では、電子写真プロセスは高速で行われるので、画像形成速度の速い電子写真装置100を得ることができる。
【0182】
このように露光手段30による感光体1の外周面43に対する露光の開始から現像器33による静電潜像の現像の終了までの時間が短い場合、低温低湿環境下において、感光体の応答性が低下し、画像品質の低下することがある。
【0183】
しかしながら、本実施形態の電子写真装置100は、前述のように、前記特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと前記一般式(1)で示されるエナミン化合物とを含有する感光層14を有し、低温低湿環境下においても高い応答性を示す感光体1を備えるので、露光手段30による感光体1の外周面43に対する露光の開始から現像器33による静電潜像の現像の終了までの時間が短い場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。したがって、画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置100を得ることができる。
【0184】
以上に述べたように、本実施形態の電子写真装置100は、実施の第1形態の電子写真感光体1を備えるけれども、これに限定されることなく、実施の第2形態の電子写真感光体2または実施の第3形態の電子写真感光体3などを備えてもよい。
【0185】
また帯電器32は、接触式の帯電手段であるけれども、これに限定されることなく、コロナ帯電方式などの非接触式の帯電手段であってもよい。
【0186】
また転写器34は、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー画像を転写紙51上に転写させる非接触式の転写手段であるけれども、これに限定されることなく、ローラを備え、ローラを用いて転写紙51と感光体1とを圧接させることによってトナー画像を転写紙51上に転写させる接触式の転写手段であってもよい。
【0187】
また感光体1の周囲には、帯電器32、露光手段30および現像器33がそれぞれ1つずつ設けられるけれども、これに限定されることなく、現像器33と転写器34との間に、さらに第2の帯電手段、第2の露光手段および第2の現像手段を設けてもよい。これによって、帯電器32、露光手段30および現像器33によって一色目のトナー画像を形成し、現像器33と転写器34との間に設けられる第2の帯電手段、第2の露光手段および第2の現像手段によって一色目と異なる色のトナー画像を形成することが可能であるので、転写紙51上に多色画像を形成することのできる電子写真装置を実現することができる。
【0188】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
【0189】
[製造例]
(製造例1)例示化合物No.1の製造
(製造例1−1)エナミン中間体の製造
トルエン100mLに、下記構造式(8)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)と、下記構造式(9)で示されるジフェニルアセトアルデヒド20.6g(1.05当量)と、DL−10−カンファースルホン酸0.23g(0.01当量)とを加えて加熱し、副生した水をトルエンと共沸させて系外に取除きながら、6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を10分の1(1/10)程度に濃縮し、激しく撹拌されているヘキサン100mL中に徐々に滴下し、結晶を生成させた。生成した結晶を濾別し、冷エタノールで洗浄することによって、淡黄色粉末状化合物36.2gを得た。
【0190】
【化14】
Figure 2004325778
【0191】
【化15】
Figure 2004325778
【0192】
得られた化合物を液体クロマトグラフィー−質量分析法(Liquid Chromatography−Mass Spectrometry;略称:LC−MS)で分析した結果、下記構造式(10)で示されるエナミン中間体(分子量の計算値:411.20)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが412.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(10)で示されるエナミン中間体であることが判った(収率:88%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン中間体の純度は99.5%であることが判った。
【0193】
【化16】
Figure 2004325778
【0194】
以上のように、2級アミン化合物である前記構造式(8)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミンと、アルデヒド化合物である前記構造式(9)で示されるジフェニルアセトアルデヒドとの脱水縮合反応を行うことによって、前記構造式(10)で示されるエナミン中間体を得ることができた。
【0195】
(製造例1−2)エナミン−アルデヒド中間体の製造
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100mL中に、氷冷下、オキシ塩化リン9.2g(1.2当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、製造例1−1で得られた前記構造式(10)で示されるエナミン中間体20.6g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を80℃まで上げ、80℃を保つように加熱しながら3時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷やした4規定(4N)−水酸化ナトリウム水溶液800mL中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物20.4gを得た。
【0196】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、下記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体(分子量の計算値:439.19)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが440.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体であることが判った(収率:93%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン−アルデヒド中間体の純度は99.7%であることが判った。
【0197】
【化17】
Figure 2004325778
【0198】
以上のように、前記構造式(10)で示されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うことによって、前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体を得ることができた。
【0199】
(製造例1−3)例示化合物No.1の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体8.8g(1.0当量)と、下記構造式(12)で示されるジエチルシンナミルホスホネート6.1g(1.2当量)とを、無水DMF80mLに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド2.8g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶10.1gを得た。
【0200】
【化18】
Figure 2004325778
【0201】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物(分子量の計算値:539.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが540.5に観測された。
【0202】
また、得られた結晶の重クロロホルム(化学式:CDCl)中における核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;略称:NMR)スペクトルを測定したところ、例示化合物No.1のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図8は、製造例1−3の生成物のH−NMRスペクトルを示す図であり、図9は、図8に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図10は、製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図11は、図10に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図12は、製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図13は、図12に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図8〜図13において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図8および図9において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図8の参照符500で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0203】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた結晶は、例示化合物No.1のエナミン化合物であることが判った(収率:94%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.1のエナミン化合物の純度は99.8%であることが判った。
【0204】
以上のように、前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と、Wittig試薬である前記構造式(12)で示されるジエチルシンナミルホスホネートとのWittig−Horner反応を行うことによって、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物を得ることができた。
【0205】
(製造例2)例示化合物No.61の製造
前記構造式(8)で示されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)に代えて、N−(p−メトキシフェニル)−α−ナフチルアミン4.9g(1.0当量)を用いる以外は、製造例1と同様にして、脱水縮合反応によるエナミン中間体の製造(収率:94%)およびビルスマイヤー反応によるエナミン−アルデヒド中間体の製造(収率:85%)を行い、さらにWittig−Horner反応を行うことによって、黄色粉末状化合物7.9gを得た。なお、各反応において使用した試薬と基質との当量関係は、製造例1で使用した試薬と基質との当量関係と同様である。
【0206】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、目的とする表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物(分子量の計算値:555.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが556.7に観測された。
【0207】
また、得られた化合物の重クロロホルム(CDCl)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物No.61のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図14は、製造例2の生成物のH−NMRスペクトルを示す図であり、図15は、図14に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図16は、製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図17は、図16に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図18は、製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図であり、図19は、図18に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図14〜図19において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図14および図15において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図14の参照符501で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0208】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた化合物は、例示化合物No.61のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.61のエナミン化合物の純度は99.0%であることが判った。
【0209】
以上のように、脱水縮合反応、ビルスマイヤー反応およびWittig−Horner反応の3段階の反応を行うことによって、3段階収率73.5%で、表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物を得ることができた。
【0210】
(製造例3)例示化合物No.46の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)と、下記構造式(13)で示されるWittig試薬1.53g(1.2当量)とを、無水DMF15mLに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド0.71g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶2.37gを得た。
【0211】
【化19】
Figure 2004325778
【0212】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表7に示す例示化合物No.46のエナミン化合物(分子量の計算値:565.28)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが566.4に観測されたことから、得られた結晶は、例示化合物No.46のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.46のエナミン化合物の純度は99.8%であることが判った。
【0213】
以上のように、前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体と前記構造式(13)で示されるWittig試薬とのWittig−Horner反応を行うことによって、表7に示す例示化合物No.46のエナミン化合物を得ることができた。
【0214】
(比較製造例1)下記構造式(14)で示される化合物の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で示されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)を無水THF15mLに溶解させ、その溶液中に、アリルブロマイドと金属マグネシウムとから調製したグリニヤール試薬であるアリルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(モル濃度:1.0mol/L)5.23mL(1.15当量)を0℃で徐々に加えた。0℃で0.5時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーによって反応の進行状況を確認したところ、明確な反応生成物は確認できず、複数の生成物が確認された。常法により、後処理、抽出、濃縮を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、反応混合物の分離、精製を行った。
【0215】
しかしながら、目的とする下記構造式(14)で示される化合物を得ることはできなかった。
【0216】
【化20】
Figure 2004325778
【0217】
[実施例]
以下の実施例および比較例で用いたオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルの測定は、CuKα特性X線(波長:1.54050Å)をX線源とし、θ/2θスキャン法で行った。
【0218】
(実施例1)
表33に示す材料をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層用塗布液を調製した。得られた下引き層用塗布液を、直径30mm、長さ335mmのアルミニウム製円筒状導電性支持体11の外周面上に膜厚を調製しながら浸漬塗布し、膜厚が1μmの下引き層18を形成した。なお、下引き層用塗布液の塗工後には、熱処理を行わなかった。
【0219】
【表33】
Figure 2004325778
【0220】
次に、表34に示す材料をペイントシェーカで2時間分散し、電荷発生層用塗布液を調製した。なお、電荷発生物質12には、前述の図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用いた。図2から、本実施例で用いたオキソチタニウムフタロシアニンは、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)7.3゜、9.4゜、9.6゜、11.6゜、13.3゜、17.9゜、24.1゜および27.2゜に主要な回折ピークを示し、前記回折ピークのうち、9.4゜の回折ピークと9.6゜の回折ピークとが重なった回折ピーク束が最大強度を示し、かつ27.2゜の回折ピークが2番目に高い強度を示す結晶型を有することが判る。
【0221】
得られた電荷発生層用塗布液を、先に形成した下引き層18の外周面上に浸漬塗布した後、120℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層15を形成した。
【0222】
【表34】
Figure 2004325778
【0223】
次に、表35に示す材料を撹拌して溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。なお、電荷輸送物質13には、前述の表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物を用いた。得られた電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層15の外周面上に浸漬塗布した後、110℃で60分間乾燥し、膜厚25μmの電荷輸送層16を形成した。
【0224】
【表35】
Figure 2004325778
【0225】
以上のようにして、本発明の要件を満足する図5に示す構成の電子写真感光体を作製した。
【0226】
(実施例2)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、前述の図3に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0227】
図3から、本実施例で用いたオキソチタニウムフタロシアニンは、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.5゜、9.7゜、11.7゜、15.0゜、23.5゜、24.1゜および27.3゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有することが判る。
【0228】
(実施例3)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、前述の図4に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0229】
図4から、本実施例で用いたオキソチタニウムフタロシアニンは、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.0゜、14.2゜、23.9゜および27.1゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有することが判る。
【0230】
(実施例4)
実施例1において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、前述の表1に示す例示化合物No.1を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0231】
(実施例5)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、図3に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、例示化合物No.1を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0232】
(実施例6)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、図4に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、例示化合物No.1を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する電子写真感光体を作製した。
【0233】
(比較例1)
実施例1において、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、下記構造式(15)で示されるエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0234】
【化21】
Figure 2004325778
【0235】
(比較例2)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、図3に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、前記構造式(15)で示されるエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0236】
(比較例3)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、図4に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、前記構造式(15)で示されるエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0237】
(比較例4)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)7.5゜、12.3゜、16.3゜、25.3゜および28.7゜に回折ピークを示す結晶型を有する、いわゆるα型オキソチタニウムフタロシアニンを用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0238】
(比較例5)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、前述のα型オキソチタニウムフタロシアニンを用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、例示化合物No.1を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0239】
(比較例6)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、下記構造式(16)で示されるトリスアゾ顔料を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0240】
【化22】
Figure 2004325778
【0241】
(比較例7)
実施例1において、電荷発生物質12に、図2に示すX線回折スペクトルを与える結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンに代えて、前記構造式(16)で示されるトリスアゾ顔料を用い、電荷輸送物質13に、例示化合物No.61に代えて、例示化合物No.1を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない電子写真感光体を作製した。
【0242】
(評価1)
実施例1〜6および比較例1〜7で作製した各電子写真感光体を、現像器が取外され、代わりに現像部位に表面電位計(ジェンテック社製:CATE751)が設けられたデジタル複写機(シャープ株式会社製:AR−M450)にそれぞれ搭載した。複写機に、感光体表面の一部には露光を施し、他の部分には露光を施さないデータを入力し、現像部位において、未露光部の感光体の表面電位を暗部電位Vo(−V)として測定し、露光部の感光体の表面電位を明部電位VL(−V)として測定し、これを初期の測定結果とした。なお、評価に用いたデジタル複写機では、露光光源として、発振波長780nmのレーザを用いている。
【0243】
次に、デジタル複写機から表面電位計を取出し、代わりに現像器を搭載し、所定のパターンの試験用画像を3万枚複写させた。その後、再び現像器を取出して現像部位に前述の表面電位計を設け、初期と同様にして、暗部電位Voおよび明部電位VLを測定し、これを繰返し使用後の評価結果とした。
【0244】
(評価2)
実施例1〜6および比較例1〜7で作製した各電子写真感光体を、市販のレーザビームプリンタ(シャープ株式会社製:DM4501)を正規現像ができるように、また露光光源の光量と感光体の回転周速とを変化させることができるように改造して得られた装置にそれぞれ搭載した。なお、このレーザビームプリンタでは、露光光源として、発振波長780nmのレーザを用いている。
【0245】
感光体の回転周速を変化させることによって、感光体の表面に対する露光の開始から静電潜像の現像の終了までの時間を50ミリ秒(50msec)、90ミリ秒(msec)または130ミリ秒(msec)に設定し、各設定時間で記録紙上に画像を形成した。得られた画像を目視観察し、画像の品質を評価した。ただし、画像に地汚れの発生が認められた場合には、地汚れが発生しなくなるか、または地汚れの程度が改善されなくなるまで、露光光源の光量を増加させて繰返し画像を形成し、最終的に得られた画像を評価に用いた。なお、以上の評価は、温度25℃、相対湿度(Relative Humidity)55%(55%RH)の常温常湿環境下と、温度5℃、相対湿度20%(20%RH)の低温低湿環境下とにおいて行った。
以上の評価1および評価2の評価結果を表36に示す。
【0246】
【表36】
Figure 2004325778
【0247】
実施例1〜6および比較例1〜3と比較例4〜7との比較から、電荷発生物質に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを用いた実施例1〜6および比較例1〜3の感光体は、電荷発生物質に、前記特定の結晶型以外の結晶型を有するα型オキソチタニウムフタロシアニンまたは前記構造式(16)で示されるトリスアゾ顔料を用いた比較例4〜7の感光体に比べ、明部電位VLの絶対値が小さく、応答性に優れることが判った。また実施例1〜6および比較例1〜3の感光体は、初期の明部電位VLと繰返し使用後の明部電位VLとの電位差の絶対値が小さく、繰返し使用による応答性の低下が小さいことが判った。
【0248】
また、表36から、実施例1〜6および比較例1〜3の感光体のうち、電荷輸送物質に、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物を用いた実施例1〜6の感光体が搭載された装置では、低温低湿環境下において、感光体の表面に対する露光の開始から静電潜像の現像の終了までの時間を50msecまたは90msecとして高速で電子写真プロセスを行った場合であっても、高品質の画像が得られることが判った。
【0249】
一方、電荷輸送物質に、前記一般式(1)に含まれない前記構造式(15)で示されるエナミン化合物を用いた比較例1〜3の感光体は、実施例1〜6の感光体と同様に、応答性に優れ、かつ繰返し使用による応答性の低下が小さいけれども、比較例1〜3の感光体が搭載された装置では、低温低湿環境下において、高速で電子写真プロセスを行った場合、画像に地汚れが発生することが判った。
【0250】
以上のように、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと前記一般式(1)で示されるエナミン化合物とを組合せて感光層に含有させることによって、低温低湿環境下においても高い応答性を示し、小型化され、高速の電子写真プロセスで用いられた場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる電子写真感光体を得ることができた。
【0251】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、感光層には、電荷発生能力および電荷注入効率の高い特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンと、電荷輸送能力の高い特定の構造を有するエナミン化合物とが含有されるので、低温低湿環境下においても高い応答性を示し、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができ、電子写真装置の小型化と画像形成速度の高速化とを両立させることのできる電子写真感光体を得ることができる。
【0252】
また本発明によれば、感光層には、特に高い電荷輸送能力を有し、かつ合成が比較的容易で収率が高く、安価に製造することのできる特定の構造を有するエナミン化合物が含有されるので、さらに高い応答性を有する電子写真感光体を低い製造原価で製造することができる。
【0253】
また本発明によれば、感光層には、近赤外光や赤色光などの長波長域の光に対して特に高い感度を示し、かつ他の結晶型への転移が起こりにくい特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが含有されるので、デジタルの電子写真装置に最適な感光波長域を有し、かつ繰返し使用における特性安定性に優れる電子写真感光体を得ることができる。
【0254】
また本発明によれば、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体が用いられるので、電子写真感光体の表面に対する露光の開始から静電潜像の現像の終了までの時間が短い場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することができる。
【0255】
また本発明によれば、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体を備えるので、画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い電子写真装置を実現することが可能である。
【0256】
また本発明によれば、円筒状または円柱状の電子写真感光体の直径が好適な範囲に選択されるので、電子写真装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す斜視図である。図1(b)は、電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図2】本発明によるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図である。
【図3】本発明によるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図である。
【図4】本発明によるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図7】電子写真装置100の構成を簡略化して示す側面配置図である。
【図8】製造例1−3の生成物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図9】図8に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図10】製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図11】図10に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図12】製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図13】図12に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図14】製造例2の生成物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図15】図14に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図16】製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図17】図16に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図18】製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図19】図18に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【符号の説明】
1,2,3 電子写真感光体
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14,140 感光層
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 結着性樹脂
18 下引き層
30 露光手段
32 帯電器
33 現像器
34 転写器
35 定着器
36 クリーナ
37 感光体駆動手段
38 制御手段
51 転写紙
100 電子写真装置

Claims (10)

  1. 導電性材料から成る導電性支持体と、
    前記導電性支持体上に設けられ、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンおよび下記一般式(1)で示されるエナミン化合物を含有する感光層とを有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2004325778
    (式中、ArおよびArは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、ArおよびArが共に水素原子になることはない。ArおよびArは、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R,RおよびRは、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。)
  2. 前記一般式(1)で示されるエナミン化合物は、下記一般式(2)で示されるエナミン化合物であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
    Figure 2004325778
    (式中、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar,Ar,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
  3. 前記オキソチタニウムフタロシアニンは、
    X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)7.3゜、9.4゜、9.6゜、11.6゜、13.3゜、17.9゜、24.1゜および27.2゜に主要な回折ピークを示し、前記回折ピークのうち、9.4゜の回折ピークと9.6゜の回折ピークとが重なった回折ピーク束が最大強度を示し、かつ27.2゜の回折ピークが2番目に高い強度を示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  4. 前記オキソチタニウムフタロシアニンは、
    X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.5゜、9.7゜、11.7゜、15.0゜、23.5゜、24.1゜および27.3゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  5. 前記オキソチタニウムフタロシアニンは、
    X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)9.0゜、14.2゜、23.9゜および27.1゜に主要な回折ピークを示す結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
  6. 電子写真感光体の表面を帯電させる工程と、帯電された前記表面に対して露光を施し、静電潜像を形成する工程と、前記静電潜像を現像する工程とを含む電子写真画像形成方法であって、
    前記電子写真感光体には、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真画像形成方法。
  7. 前記電子写真感光体の表面に対する露光の開始から前記静電潜像の現像の終了までの時間は、90ミリ秒(90msec)以下であることを特徴とする請求項6記載の電子写真画像形成方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記表面に対して露光を施す露光手段と、
    露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする電子写真装置。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体であって装置本体に回転自在に支持される電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を回転周速Vpで回転駆動させる感光体駆動手段と、
    前記電子写真感光体の外周面を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記外周面に対して露光を施す露光手段と、
    露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、
    前記露光手段による露光位置から前記現像手段による現像位置までの前記電子写真感光体の外周面に沿った距離Lを前記回転周速Vpで除した値d(=L/Vp)が90ミリ秒(90msec)以下になるように、前記感光体駆動手段の動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする電子写真装置。
  10. 前記電子写真感光体は、円筒状または円柱状の形状を有し、
    前記電子写真感光体の直径は、24mm以上40mm以下であることを特徴とする請求項9記載の電子写真装置。
JP2003120135A 2003-04-24 2003-04-24 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置 Expired - Lifetime JP3980516B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003120135A JP3980516B2 (ja) 2003-04-24 2003-04-24 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置
PCT/JP2004/005506 WO2004095144A1 (ja) 2003-04-24 2004-04-16 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置
CNB200480010923XA CN100422858C (zh) 2003-04-24 2004-04-16 电子照相感光体、电子照相图像形成方法以及电子照相装置
US10/554,099 US7727693B2 (en) 2003-04-24 2004-04-16 Electrophotographic photoreceptor, electrophotographic image forming method, and electrophotographic apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003120135A JP3980516B2 (ja) 2003-04-24 2003-04-24 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004325778A true JP2004325778A (ja) 2004-11-18
JP3980516B2 JP3980516B2 (ja) 2007-09-26

Family

ID=33499150

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003120135A Expired - Lifetime JP3980516B2 (ja) 2003-04-24 2003-04-24 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP3980516B2 (ja)
CN (1) CN100422858C (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010276679A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Sharp Corp 画像形成装置

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4134200B2 (ja) * 2006-06-02 2008-08-13 シャープ株式会社 電子写真感光体および画像形成装置
JP4910595B2 (ja) * 2006-09-22 2012-04-04 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、並びにこれを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP5405873B2 (ja) * 2009-03-31 2014-02-05 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 単層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP4809465B2 (ja) * 2009-07-27 2011-11-09 シャープ株式会社 電子写真感光体およびそれを搭載した画像形成装置
JP7430112B2 (ja) * 2020-05-22 2024-02-09 シャープ株式会社 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3175160B2 (ja) * 1990-07-20 2001-06-11 日本電気株式会社 電子写真プロセス
US5246807A (en) * 1991-08-05 1993-09-21 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, and electrophotographic apparatus, device unit, and facsimile machine employing the same
JPH06308744A (ja) * 1993-04-27 1994-11-04 Hitachi Chem Co Ltd 電荷輸送層用塗液及びこれを用いた電子写真感光体
JP3554607B2 (ja) * 1994-06-22 2004-08-18 三菱化学株式会社 フタロシアニン混晶体の製造方法及びフタロシアニン混晶体
JPH1069107A (ja) * 1996-08-28 1998-03-10 Mitsubishi Paper Mills Ltd 電子写真感光体
JP3845226B2 (ja) * 1999-05-26 2006-11-15 シャープ株式会社 電子写真感光体及び画像形成方法
JP2001033992A (ja) * 1999-07-26 2001-02-09 Hitachi Chem Co Ltd 電荷発生層用塗液及びそれを用いた電子写真感光体
JP2001117246A (ja) * 1999-10-21 2001-04-27 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真感光体及びプロセスカートリッジ
JP3737958B2 (ja) * 2001-06-07 2006-01-25 シャープ株式会社 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置
JP2003012619A (ja) * 2001-07-02 2003-01-15 Sharp Corp エナミン化合物、それを用いた電子写真感光体および画像形成装置
JP4078858B2 (ja) * 2002-03-19 2008-04-23 松下電器産業株式会社 光増幅回路
JP4101668B2 (ja) * 2002-09-04 2008-06-18 シャープ株式会社 有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体および画像形成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010276679A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Sharp Corp 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN100422858C (zh) 2008-10-01
JP3980516B2 (ja) 2007-09-26
CN1777843A (zh) 2006-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3580426B1 (ja) 有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体および画像形成装置
US8003287B2 (en) Electrophotographic photoconductor and image-forming apparatus
US7457565B2 (en) Image forming apparatus
JP2004151666A (ja) 有機光導電性材料、それを用いた電子写真感光体および画像形成装置
WO2004095144A1 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置
WO2004109406A1 (ja) 電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置
JP2004264351A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP3901547B2 (ja) 電子写真感光体
JP3980516B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置
JP2012128355A (ja) 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置
US7364823B2 (en) Amine compound, electrophotographic photoreceptor using the amine compound and image forming apparatus having the same
JP3947473B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置
JP4275600B2 (ja) ヒドラゾン化合物および該ヒドラゾン化合物を用いた電子写真感光体、ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置
JP4177240B2 (ja) アミン化合物およびその製造方法、ならびに該アミン化合物を用いた電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置
JP3881651B2 (ja) 電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置
JP4202963B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP2009098366A (ja) トリアミン化合物を含有する電子写真感光体とそれを備えた画像形成装置およびトリアミン化合物とその製造方法
JP3987452B2 (ja) 電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置
JP2004354637A (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成方法および電子写真装置
JP3980499B2 (ja) 電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置
JP4495666B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP2002311607A (ja) 電子写真感光体
JP2004175743A (ja) エナミン化合物並びに、それを用いた電子写真感光体及び画像形成装置
JP4441363B2 (ja) 画像形成装置
JP2006285034A (ja) 電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070627

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3980516

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110706

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110706

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120706

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120706

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

SG99 Written request for registration of restore

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R316G99

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term