JP2004322617A - 感熱記録体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、無色ないしは淡色の塩基性染料、呈色剤および増感剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、呈色剤が4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアから選ばれる少なくとも一種であり、更に増感剤としてシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルに対してシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルを5〜90質量%含有させたことを特徴とする感熱記録体。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無色ないしは淡色の塩基性染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関し、記録感度と記録像の保存性に優れ、しかも地肌カブリの少ない感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無色ないしは淡色のロイコ染料と有機または無機の呈色剤との呈色反応を利用し、熱により両発色物質を接触させて記録像を得るようにした感熱記録体はよく知られている。かかる感熱記録体は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで、且つその保守も容易な為、ファクシミリや各種計算機等の記録媒体としてのみならず巾広い分野において使用されている。
【0003】
特に近年、この様な感熱記録方式を用いるプリンター装置の印字速度の高速化が進み、それに使用される感熱記録材料の高感度化が要求され、低融点の熱可融性物質(増感剤)の添加が提案されている。
【0004】
しかし、低融点の熱可融性物質の添加により発色開始温度を低下させる結果になり、従来にもまして耐熱保存性の悪化という問題を招いた。この様な事態に対し、発色開始温度の高い感熱記録材料の提案がされている。例えば、2−アリニノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランに2種類の低融点の熱可融性物質の添加が提案されている(特許文献1参照)が、記録像の保存性に問題がある。
【0005】
記録像の保存性に優れ、しかも地肌カブリの少ない感熱記録材料として2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及びシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステル、又はシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルを用いることが記載され(特許文献2参照)、また呈色剤として2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用し、増感剤としてシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステル及びシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルの比率を規定して使用した感熱記録体が記載され(特許文献3参照)、更に増感剤として、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルを併用した感熱記録材料が記録感度に優れていることが記載されている(特許文献4参照)が、記録像の保存性、耐熱性および記録感度を満足するものが得られていないのが現状である。また、呈色剤として、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよびN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを含有する感熱記録体が記載されている(特許文献5)が、記録感度を満足するものが得られていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−281983号公報
【特許文献2】
特開平8−1069号公報
【特許文献3】
特開平8−58240号公報
【特許文献4】
特開平5−139031号公報
【特許文献5】
特開2002−160462号公報
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、記録感度と記録像の保存性に優れ、しかも耐熱試験においても地肌カブリの少ない感熱記録体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に、無色ないしは淡色の塩基性染料、呈色剤および増感剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、呈色剤が4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアから選ばれる少なくとも一種であり、更に増感剤としてシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルに対してシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルを5〜90質量%含有させたことを特徴とする。
呈色剤が4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよびN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアであり、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアに対して、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンを30〜95質量%を含有させることが好ましい。
感熱記録層上に更に保護層を設け、前記保護層中に紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルを含有させることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、感熱記録層中に呈色剤として、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアから選ばれる少なくとも一種を使用し、増感剤としてシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルを特定の比率で含有することを特徴とし、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの使用量として特に限定されないが、感熱記録層の全固形分に対して1〜50質量%程度、好ましくは5〜40質量%程度である。
【0010】
増感剤としては、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルを含有し、シュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルの含有量は、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルに対して、5〜90質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。シュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルの含有量が、90質量%を越えると、感度の低下が大きくなる。一方、5質量%を下まわると、耐熱保存時の地肌かぶりが大きくなる。増感剤として作用するシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルを特定の割合で併用すると地肌カブリが改良されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、一方の増感剤の分子構造中に存在する−OOC−COO−基が他方の増感剤と何等かの相互作用または化学結合することによって、単独の融点よりもブレンド物の融点の方が高くなるものと考えられる。
【0011】
記録層の使用される無色ないしは淡色の塩基性染料としては、各種公知のものが使用でき、具体的には、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、フルオラン等の青発色性染料、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン等の緑発色性染料、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン等の赤発色性染料、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2,2−ビス{4−〔6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ〔フタリド−3,9’−キサンテン−2’−イルアミノ〕フェニル}プロパン、3−ジエチルアミノ−7−(3’−トリフルオロメチルフェニル)アミノフルオラン等の黒発色性染料、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等の近赤外領域に吸収波長を有する染料等。勿論、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて二種以上を併用することもできる。
【0012】
上記の如き塩基性染料と組み合わせて使用される呈色剤については、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアであるが、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアとN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアに対して、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンを30〜95質量%使用する、特定範囲の呈色剤の併用系がより好ましい。即ち、それぞれの呈色剤を単独で使用するより、前記の配合比で使用すると記録感度を高く維持しながら、より良好な記録部の保存性を得ることができる。
【0013】
他の呈色剤としては、支障のない範囲で公知の各種の材料、例えば活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソポロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン等のフェノール性化合物、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−トリル)尿素等の分子内に−SO2NH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸、およびこれら芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属との塩、更にはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等の有機酸性物質等が添加される。
【0014】
塩基性染料と呈色剤との使用比率は、用いる塩基性染料や呈色剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、特に限定するものではないが、一般に塩基性染料100質量部に対して100〜500質量部、好ましくは150〜400質量部程度の呈色剤が使用される。
【0015】
本発明で用いる増感剤については、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルの混合であるが、特にシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルを一緒に分散処理したものが好ましい。また、支障のない範囲で例えばステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミルド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が添加される。
【0016】
記録層中に使用される増感剤の使用比率は、用いる塩基性染料や呈色剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、特に限定するものではないが、一般に呈色剤に対して400質量%以下であり、、好ましくは30〜300質量%程度である。
【0017】
本発明では記録層中に保存性改良剤を添加することも可能である。かかる保存性改良剤としては例えば次のものが挙げられる。2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。なかでも1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンおよび1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンは記録像の耐水性に優れた効果をもち、また地肌カブリを起こしにくいため、好ましく用いられる。
【0018】
これらの物質を含む感熱記録層用塗料は、一般に水を分散媒体とし、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機により染料、呈色剤、増感剤および特定の化合物を一緒に又は別々に平均粒子径が2μm以下となるように粉砕した後、下記の接着剤を添加して調整される。
【0019】
感熱記録層用塗料に添加される接着剤としては、たとえば、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・ブタジエン共重合体エマルジョン、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の少なくとも一種が、感熱記録層の全固形分に対して5〜30質量%程度の範囲で配合される。
【0020】
また、塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、消泡剤、着色染料、および顔料等が適宜添加される。顔料としては、例えばカオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー、焼成カオリン、酸化チタン、珪藻土、微粒子状無水シリカ、活性白土等の無機顔料やスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、生デンプン粒子等の有機顔料等が挙げられる。
【0021】
本発明では、必要であれば、支持体と感熱記録層との間に、記録感度及び記録走行性をより高めるために、下塗り層を設けることもできる。下塗り層は、吸油量が70ml/100g以上、特に80〜150ml/100g程度の吸油性顔料、有機中空粒子、熱膨張性粒子の少なくとも1種、並びに接着剤を主成分とする下塗り層用塗液を支持体上に塗布乾燥して形成される。ここで、上記吸油量はJIS K5101の方法に従って求められる値である。
【0022】
上記吸油性顔料としては、各種のものが使用できるが、具体例としては、焼成カオリン、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、タルク等の無機顔料があげられる。これら吸油性顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01〜5μm程度、特に0.02〜3μm程度であるのが好ましい。吸油性顔料の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層全固形分に対して50〜95質量%、特に70〜90質量%程度であるのが好ましい。
【0023】
また、有機中空粒子としては、従来公知のもの、例えば、膜材がアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等からなる中空率が50〜99%程度の粒子が例示できる。ここで中空率は(d/D)×100で求められる値である。該式中、dは有機中空粒子の内径を示し、Dは有機中空粒子の外径を示す。有機中空粒子の平均粒子径は0.5〜10μm程度、特に1〜3μm程度であるのが好ましい。上記有機中空粒子の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層全固形分に対して20〜90質量%、特に30〜70質量%程度であるのが好ましい。
なお、上記吸油性無機顔料を有機中空粒子と併用する場合、吸油性無機顔料と有機中空粒子とは上記使用量範囲で使用し、且つ吸油性無機顔料と有機中空粒子の合計量が下塗り層全固形分に対して、40〜90質量%、特に50〜80質量%程度であるのが好ましい。
【0024】
また、上記接着剤としては、前記感熱記録層に使用される接着剤、特にデンプン−酢酸ビニルグラフト共重合体、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン系ラテックス等が好ましい。
上記接着剤の使用割合は広い範囲で選択できるが、一般には下塗り層全固形分に対して5〜30質量%程度、特に8〜20質量%程度の量で使用するのが好ましい。
【0025】
本発明の感熱記録体は、記録層上に可塑剤や油等の薬品に対する記録像の保存性、或いは記録適性を改良する目的で保護層を設けるが保護層形成用塗液の調製方法については特に限定するものではなく、一般に水を分散媒体とし、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等のバインダーとカオリン、軽質炭酸カルシウム、微粒子シリカ等の顔料を混合、攪拌して調製される。
【0026】
更に、保護層用塗液中には、必要に応じてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤(分散剤、湿潤剤)、消泡剤、カリミョウバンや酢酸アルミニウム等の水溶性多価金属塩等の各種助剤を適宜添加することもできる。また耐水性を一層向上させるためにグリオキザ−ル、ホウ酸、ジアルデヒドデンプン、エポキシ系化合物等の硬化剤を併用することもできる。
【0027】
特に、保護層中に、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の常温で液体の紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルを保護層の全固形量に対して紫外線吸収剤が10〜40質量%となるように添加すると光暴露に対して地肌部の黄変や記録像の退色が著しく改良される。
【0028】
下塗り層、感熱記録層および保護層の形成方法については特に限定されず、例えばエアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の適当な塗布方法により、塗布・乾燥して形成される。下塗り層用塗液を支持体上に塗布・乾燥した後、感熱記録層用塗液を下塗り層上に塗布・乾燥し、更に保護層用塗液を感熱記録層上に塗布・乾燥する等の方法で形成される。なお、支持体としては、紙、プラスチックフィルム、合成紙、不織布、金属蒸着物等のうちから適宜選択して使用される。また、下塗り層用塗液の塗布量は、乾燥重量で2〜15g/m2、好ましくは3〜10g/m2程度、感熱記録層用塗液の塗布量は、乾燥重量で2〜12g/m2、好ましくは3〜10g/m2程度、保護層用塗液の塗布量は乾燥重量で0.5〜15g/m2、好ましくは1〜8g/m2程度の範囲で調節される。
【0029】
なお、必要に応じて感熱記録体の裏面側にも保護層を設け、一層保存性を高めたり、強光沢を持たせることも可能である。さらに、各層塗抹後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施したり、あるいは記録体裏面に粘着剤処理を施して粘着ラベルに加工したり、磁気記録層や印刷用塗被層さらには熱転写記録層を設けるなど、感熱記録体製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加し得るものである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。なお、例中の部および%は、特に断らない限りそれぞれ質量部および質量%を示す。
【0031】
(実施例1)
・下塗り層用塗液の調製
焼成カオリン(商品名:アンシレックス、EC社製、吸油量80ml/100g)100部、ポリアクリル酸ナトリウムの40%水溶液1部、固形濃度48%のスチレン−ブタジエン系ラテックス(商品名:L−1571、旭化成社製)14部、ポリビニルアルコール(鹸化度98モル%、重合度500)の10%水溶液50部及び水200部からなる組成物を混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
【0032】
・増感剤分散液(A液)の調製
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル(商品名:HS−3520、大日本インキ化学工業社製)18部、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル(商品名:HS−3519、大日本インキ化学工業社製)2部、ポリビニルアルコ−ル(商品名:ゴ−セランL−3266、日本合成化学社製)の10%水溶液20部および水10部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス社製)にて、平均粒子径が1μmになるまで粉砕してA液を得た。
【0033】
・ロイコ染料分散液(B液)の調製
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部および水40部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が0.5μmになるまで粉砕してB液を得た。
【0034】
・呈色剤分散液(C液)の調製
4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン(商品名:PF−201、チバスペシャリティーケミカルズ社製)30部、ポリビニルアルコ−ル(商品名:ゴ−セランL−3266、日本合成化学社製)の10%水溶液20部、および水10部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス社製)にて、粒径1μmになるまで分散した。
【0035】
・感熱記録層用塗液の調製
A液50部、B液45部、C液50部、ポリビニルアルコールの10%水溶液170部、ステアリン酸亜鉛の36%分散体(商品名:ハイドリンZ−8、中京油脂社製)12部および炭酸カルシウム(商品名:ブリリアント15、白石工業社製)の60%分散体50部を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
【0036】
・感熱記録体の作成
44g/m2の中性紙(支持体)の片面側に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液を乾燥後の塗布量がそれぞれ8g/m2、5g/m2となるように順次塗布乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い感熱記録体を得た。
【0037】
(実施例2)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル16.8部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル3.2部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0038】
(実施例3)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル14部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル6部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0039】
(実施例4)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル11部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル9部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0040】
(実施例5)
実施例1のC液調製において、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン(商品名:PF−201、チバスペシャリティーケミカルズ社製)の代わりに、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア(商品名:UU、旭化成社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0041】
(実施例6)
実施例1のC液調製において、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン(商品名:PF−201、チバスペシャリティーケミカルズ社製)30部の代わりに、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン10部とN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0042】
(実施例7)
実施例1のC液調製において、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン(商品名:PF−201、チバスペシャリティーケミカルズ社製)30部の代わりに、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン20部とN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア10部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0043】
(実施例8)
・保護層用塗液(D液)の調製
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴ−セファイマ−Z−100、日本合成化学社製)の20%水溶液200部、カオリン(商品名:UW−90、EMC社製)の60%分散体100部、ステアリン酸亜鉛の36%分散体(商品名:ハイドリンZ−8、中京油脂製)8部更に水35部添加して保護層用塗液を調製した。
・感熱記録体の作成
実施例1の感熱記録体の記録層上にD液を乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるように塗布乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い感熱記録体を得た。
【0044】
(実施例9)
・紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセル液(E液)の調製
加熱装置を備えた攪拌混合溶器中に、アセトアセチル基変性部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:ゴ−セファイマ−Z−210、日本合成化学社製)の12%水溶液220部を加え、カプセル製造用水性媒体とした。別に、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル(商品名:チヌビン171、チバガイギ−社製)77部、主成分がイソシアネ−ト型ヘキサメチレンジイソシアネ−トである化合物(商品名:タケネ−トD−170HN、武田薬品工業社製)23部の混合液を40℃まで加熱攪拌して得られた溶液を前記カプセル製造用水性媒体中にTKホモミキサ−(モデルHV−M、特殊機化工業社製)を用いて、平均粒子径が1.5μmとなるように冷却しながら乳化分散した。次いでこの乳化分散液に水175部を加えて、攪拌しながら90℃で5時間反応させて紫外線吸収剤を内包したポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセル分散液を調製した。
【0045】
・保護層用塗液(F液)の調製
E液108部、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの10%水溶液195部、平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウム40部、カオリン(商品名:UW−90、EMC社製)10部、ステアリン酸亜鉛の30%分散液16部、濃度30%の硬化剤(商品名:PA−800、日本PMC社製)0.7部および水100部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を調製した。
・感熱記録体の作成
実施例1の感熱記録体の記録層上にF液を乾燥後の塗布量が4.0g/m2となるように塗布乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い感熱記録体を得た。
【0046】
(実施例10)
実施例6で得られた記録層上に実施例9で得られたF液を乾燥後の塗布量が4.0g/m2となるように塗布乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い感熱記録体を得た。
【0047】
(比較例1)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル20部使用した以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0048】
(比較例2)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル20部使用した以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0049】
(比較例3)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル10部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル10部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0050】
(比較例4)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル6部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル14部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0051】
(比較例5)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0052】
(比較例6)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル10部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル10部を用いた以外は、実施例6と同様にして感熱記録体を得た。
【0053】
(比較例7)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル14部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル6部を用い、実施例1の呈色剤分散液の調製において、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホンの代わりに、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用した以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0054】
(比較例8)
実施例1の増感剤分散液の調製において、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル18部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル2部の代わりに、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル14部とシュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル6部を用い、実施例1の呈色剤分散液の調製において、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホンの代わりに、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを使用した以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0055】
(比較例9)
実施例1の呈色剤分散液の調製において、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンの代わりに、4,4’−イソプロピリデンジフェノ−ルを用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0056】
かくして得られた19種類の感熱記録体について以下の評価試験を行い、その結果を表1に記載した。
【0057】
(発色性)
感熱評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー0.15mJ/dotおよび0.25mJ/dotにて各感熱記録体を発色させ、記録部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
【0058】
(耐熱性)
感熱評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー0.25mJ/dotにて発色させた各感熱記録体を、100℃中に24時間放置した後の記録部と未記録部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
【0059】
(耐水性)
感熱評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー0.25mJ/dotにて発色させた各感熱記録体を、20℃の水道水に72時間浸漬放置した後の発色濃度をマクベス濃度計(ビジュアルモード)にて測定し、耐水性を評価した。
【0060】
(耐光性)
発色性を評価する前の感熱記録体について、キセノンフェードメーター(スガ試験機社製)で14時間(キセノンアーク)照射した後の地肌部の濃度をマクベス濃度計(ブルーフィルター使用)にて測定した。
【0061】
(耐可塑剤性)
ポリカーボネイトパイプ(40mmΦ)上にラップフィルム(商品名:ハイラップKMA−W、三井化学社製)を3重に巻き付け、その上に発色性の評価条件(0.15mJ/dot)で発色された感熱記録体をのせさらにその上にラップフィルムを3重に巻き付けて40℃で24時間放置した後に記録部を下記評価基準にて目視評価した。
◎:記録部分がはっきり読み取れる
○:記録部分が読み取れる。
△:消色しているものの記録部分が読み取れる。
×:記録部分が読み取れない。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】
表1に示されているように、本発明の感熱記録体は、記録感度と記録部の保存性に優れ、しかも地肌カブリの少ないものである。
Claims (3)
- 支持体上に、無色ないしは淡色の塩基性染料、呈色剤および増感剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、呈色剤が4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアから選ばれる少なくとも一種であり、更に増感剤としてシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルに対してシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルを5〜90質量%含有させたことを特徴とする感熱記録体。
- 呈色剤が4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよびN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアであり、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアに対して、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンを30〜95質量%を含有させた請求項1に記載の感熱記録体。
- 感熱記録層上に更に保護層を設け、前記保護層中に紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルを含有させた請求項1または2に記載の感熱記録体。
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2003
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