JP2004322553A - 透湿性エラストマーシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量10〜150g/m2の多孔質エラストマーシートと熱可塑性エラストマーからなる厚さ5〜50μmの透湿フィルムとが融着接合面積1〜70%で複合されてなり、透湿度が1000g/m2・24h以上、耐水圧が500mmH2O以上であることを特徴とする透湿性エラストマーシート。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透湿性エラストマーシートに関するものであり、より詳細には、透湿フィルムと多孔質エラストマーシートが複合されてなり、救急絆創膏、貼付材等の用途に有用な柔軟性、耐水性、透湿性を有する透湿性エラストマーシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、傷を保護したり治療する救急絆は、皮膚表面あるいは指等の関節屈曲部分に貼り付けて使用するため、柔軟性に富み、かつ耐水性、透湿性を有する必要があり、透湿性のフィルムを使用することが多かった。
しかしながら、これらのフィルムは柔軟性に富んでいるが、厚みが数十μmと薄いために、取扱性が悪く、フィルムの両面をコシのあるプラスチック製のフィルムを貼り付けることで取扱性を向上させていた。
【0003】
これらの問題を解消するために、繊維質の不織布を支持層としてその上に透湿性フィルムをラミネートし、さらに不織布面側に粘着剤を塗布した救急絆が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、透湿性ポリウレタンフィルムと不織布を積層する方法として、ポリウレタン樹脂溶液を支持体や離型紙に塗布し、加熱乾燥によりポリウレタン樹脂溶液が半乾燥状態になった時点で不織布を重ね合わせて押圧する方法や透湿性ポリウレタンフィルムの表面に線状に接着剤を塗布した後、不織布を複合させる方法が提案されている(例えば特許文献3、特許文献4参照)。
【0005】
現在でも不織布等の支持層の上にフィルムを製膜直後に重ね合わせてラミネートする方法が主として取られているが、この方法では不織布とフィルム間の接着強力が小さく、救急絆、貼付材等への使用を考えた場合、使用中もしくは使用後に皮膚から剥がす際に、フィルムと不織布が剥離してしまうことがある。
【0006】
また、ラミネート後、さらにカレンダー処理する方法もあるが、フィルムと不織布との間の充分な接着強力を得るためには、かなりの高温、高圧が必要となり、不織布自体がフィルム化し支持体としてのコシが低減する。
一方、繊維形態を残すために、圧力をコントロールしようとすると、カレンダー斑が生じて、外観が悪くなる。さらに、接着剤にて複合する方法は温度、湿度により接着剤が変質し、はがれやすくなる。
支持体として伸縮性の織布、編布等を使用することもあるが、伸縮性が充分でなく、使用時に不快感を与えるという問題点が指摘されていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−10283号公報
【特許文献2】
特開平8−33673号公報
【特許文献3】
特許第2993170号明細書
【特許文献4】
特開2002−178427号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透湿性、防水性に優れ、かつ使用時、使用後も透湿フィルムと基材とが剥離することなく、また、適度なコシを有しているため取扱性に優れた救急絆等の粘着シートに有用な透湿性エラストマーシートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、質量10〜150g/m2の多孔質エラストマーシートと熱可塑性エラストマーからなる厚さ5〜50μmの透湿フィルムとが融着接合面積1〜70%で複合されてなり、透湿度が1000g/m2・24h以上、耐水圧が500mmH2O以上であることを特徴とする透湿性エラストマーシートである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の透湿性エラストマーシートは透湿フィルムと多孔質エラストマーシートとが融着により複合されてなることを特徴とし、柔軟性、伸縮性、さらに、透湿性を有しながら、取扱性にも優れ、強度的にも救急絆等の粘着シート用途に充分に耐えうるものである。
以下、本発明の透湿性エラストマーシートを構成する各シート及び製造法について説明する。
【0011】
<透湿フィルム>
本発明に用いる透湿フィルムを構成する熱可塑性エラストマーとしてはポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系の各種エラストマー樹脂を用いることができるが、伸縮性、成形性、耐水性等を考慮するとポリウレタン系の透湿フィルムが好ましい。
該透湿フィルムの透湿度は1000g/m2・24h以上が好ましく、さらに好ましくは1500g/m2・24h以上である。
また、透湿フィルムの厚みは5〜50μmであり、薄ければ薄いほど透湿性も高くなるが、効率よく成形するために20〜40μmが好ましい。
【0012】
該透湿フィルムは単体での取扱いが困難であること、また、フィルム単体と後述する多孔質エラストマーシートとを複合する際、フィルムに孔があきやすいので、ポリプロピレン等からなる非伸縮性のフィルムをセパレータとし、そのフィルム上に成形することが好ましい。該セパレータの厚みはコスト的にも薄いことが好ましいが、多孔質エラストマーシートと複合する際にセパレータが薄過ぎると、フィルムに孔があきやすいので20〜150μm、好ましくは50〜100μmがよい。該セパレータの厚みが厚過ぎると複合時に熱がかかりにくく、多孔質エラストマーシートとの接着が弱くなる場合がある。
【0013】
<多孔質エラストマーシート>
本発明に用いる多孔質エラストマーシートは伸縮性、通気性を有するものであれば特に限定されないが、メルトブローン法を用いると、比較的容易に製造できるため好ましい。また、用途に応じて、毛羽立ちを抑える等の処理を施してもよい。
特に、得られるシートの強度、表面磨耗性を考慮すると下記のような多孔質エラストマーシートが好ましい。
以下、図面を用いて本発明に好適に用いることのできる多孔質エラストマーシートについて説明する。
図1は、本発明に使用することのできる多孔質エラストマーシートの一例を示す断面拡大図であり、シート断面(1)において、ポリマーが存在していない空間(空隙部)とポリマーが比較的大きな面積で存在する部分(2)、ポリマーが小さな面積で存在する部分(3)が観察される。本発明では該シート断面におけるポリマー充填率は、30〜95%が好ましい。
ポリマー充填率が30%未満の場合は、シートに占める空隙部の比率が多すぎ、また、そのような低い充填率のシートは、断面を観察したときにポリマーが小さな面積で存在する部分(3)の個数が多くなる傾向となり、シートの耐磨耗性が低下し、所望の通気度を得ることが困難となる場合がある。また、伸長回復性に劣る場合がある。このような観点から、ポリマー充填率は40〜90%がより好ましい。
なお、本発明にいうポリマー充填率は、後述する方法により測定することができる。
【0014】
図2は本発明に使用することのできる多孔質エラストマーシートの一例を示す表面拡大図である。シート表面には線状体が不規則に配列し、該線状体同志の交点が、それぞれの線状体を構成するポリマーが溶け合って一体となっているネットワーク構造(a)が形成されている。
また、図3も本発明に使用することのできる多孔質エラストマーシートの一例を示す表面拡大図であるが、図3は図2よりも進んだ溶融状態となっているものであり、線状隆起部により形成されたネットワーク構造(b)が存在している。
本発明に使用される多孔質エラストマーシートにおいては、上記(a)及び/又は(b)のようなネットワーク構造をシート表面に形成させることが好ましく、これらネットワーク構造の存在によって、摩擦時のケバの発生が極めて少なく、しかも外観が布のようなソフトタッチの風合いを発現することが可能である。
【0015】
本発明に使用される多孔質エラストマーシートの質量は支持体としての性能を発揮するために、10〜150g/m2であることが重要であり、好ましくは30〜100g/m2である。
【0016】
該多孔質エラストマーシートを構成する樹脂は、熱可塑性エラストマーであれば特に限定されず、エチレン−オレフィン系共重合体等のポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系共重合体、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーを用いることができるが、伸縮性、耐水性、取扱性等を考慮するとポリウレタン系エラストマーが好ましく使用される。
また、後述する製造工程において形成した多孔質エラストマーシート自身の自己膠着性改良のために、熱可塑性ポリマーに滑剤等の添加剤を添加しても構わない。
【0017】
本発明に用いる多孔質エラストマーシートの製法は、上記のようなネットワーク構造を容易に形成することが可能な点から、例えば図4や図5に示すような工程を経て製造することが好ましい。図中(4)は一列に並んだオリフィスを有する溶融吐出装置であり、該装置から溶融したポリマーを押し出し、同時にノズル出口に形成されているスリットから高温、高圧のエアーを吹き出し、吐出ポリマーから、微細な線状物を形成させ、該微細線状物を図4に示すようなコンベアネット(5)、又は図5に示すようなロール(8)等の捕集装置上に捕集、積層させ多孔質エラストマーシート(6)とし、さらに巻取機(7)により巻き取ることで製造することができる。
【0018】
本発明では、シート断面におけるポリマーの充填率、特定微小断面部の存在割合、及びシート表面における特定のネットワーク構造を形成させやすくするために、捕集距離を極端に短くすることが好ましく、溶融吐出装置出口と捕集面の距離を8cm以内、好ましくは5cm以内、特に好ましくは4.5cm以内にするのがよい。しかしながら捕集距離が短すぎるとノズル表面にポリマーが付着したり、シートの形成が困難となるので、好ましくは1cm以上の捕集距離を保つことが好ましい。
【0019】
捕集装置としては、上記したように図4に示すようなコンベアネット(5)を使用することができるが、多孔質シートを形成した後、巻き取りのために剥離することが困難である場合には、ネット表面にオイル塗布、テフロン(登録商標)処理、剥離剤塗布、水散布など剥離性向上のための処理を施すことが好ましい。
さらに捕集装置として、図5に示すような直径5〜100cmの金属製の捕集ロール(8)を用い、支持ロール(9)で支持しながら巻き取ってもよい。このロールもネットの場合と同様に、剥離性を向上するためにロール自身を水冷可能にし、表面をテフロン加工等の処理を施しても構わない。また、場合によりフィルム化を促進させるために、ロールを加温しても構わない。
【0020】
ロールを使用する場合、その表面は鏡面であってもよく、意匠性を付与するために、表面に模様が施されていてもよい。
また、溶融吐出装置におけるノズル部の温度は、使用するポリマーの種類や目的とするシートの構造に応じて適宜変更することができるが、本発明に適した多孔質エラストマーシートを製造するにはノズルから吐出する時点での溶融粘度を好ましくは5〜50Pa・s、特に5〜30Pa・sとなるようにノズル温度を設定することが好ましい。また、スリットから吐出する高圧エアーは、温度がノズル温度とほぼ同温度とすることが好ましく、さらにスリット単位長さ当たりのエア量は0.01〜0.2Nm3/cm・分とすることが品質の高いシートを安定して製造する点から好ましい。さらに、捕集面の温度はノズル温度より、100〜200℃程度低くしておくことが好ましい。
【0021】
<透湿性エラストマーシート>
本発明の透湿性エラストマーシートは、多孔質エラストマーシートの片面に透湿フィルムを複合することで得ることができる。なお、透湿性エラストマーシートを形成後、フィルム側に粘着剤を塗布し粘着シートとしてもよい。
多孔質エラストマーシートと透湿フィルムを複合する方法としては、熱接着による複合方法が好ましく、特に熱エンボス法、超音波エンボス法が好ましい。特に本発明においては、該透湿フィルムと該多孔質エラストマーシートを複合する際には、実質的に接着剤を介さずに複合することが好ましい。
【0022】
本発明の透湿性エラストマーシートは、透湿度は1000g/m2・24h以上であり、好ましくは5000〜9000g/m2・24hである。透湿度が1000g/m2・24h未満であると透湿性が乏しく、蒸れやすくなり、着用感が悪い。
また、多孔質エラストマーシートと透湿フィルム間の剥離強度は8N/5cm以上が好ましい。剥離強度が8N/5cm未満であると、着用時、水に濡れると層間剥離が生じたり、着用後透湿性エラストマーシートを剥がす時に、やはり層間剥離が生じる可能性がある。
該透湿性エラストマーシートの耐水圧は500mmH2O以上であり、好ましくは1000〜2000mmH2Oである。耐水圧が500mmH2O未満であると防水性に乏しく、救急絆等の用途に適さない。
【0023】
図6は本発明の透湿性エラストマーシートの製造方法の一例を示す工程概略図である。セパレータ上に成形した透湿フィルム(10)と、多孔質エラストマーシート(11)を透湿フィルムが多孔質エラストマーシートに接するようにエンボスロール(12)とフラットロール(13)の間に導いて複合して透湿性エラストマーシートを製造する。
エンボスロール(12)の融着接合面積としては1〜70%とすることが重要であり、好ましくは10〜50%であり、さらに好ましくは5〜30%である。融着接合面積が1%未満になると多孔質エラストマーシートと透湿フィルム間の剥離強度が低下し、充分な強度が得られない。一方、融着接合面積が70%を超えると圧着による融着部分が多くなりすぎて質感がフィルムライクになり、取扱性に欠ける。
熱ドットエンボス柄で複合する時は、エンボス柄を押す面とは反対側に凸部が形成されるため、最終製品の形態を考慮しエンボス方向を決めるようにする。
【0024】
さらに複合する際、エンボスロール(12)とフラットロール(13)間に適度なクリアランスを設けることで本発明の透湿性エラストマーシートに適度なコシと優れた接着強力を付与することが可能となる。かかるクリアランスの値はエンボスする材料の厚み合計の1/20〜1/10程度、すなわち5〜50μmとするのが重要であり、好ましくは15〜30μmである。
かかるクリアランスが短すぎるとフィルムに孔があきやすく、逆に長すぎるとフィルムと多孔質シートの剥離強度が弱くなる。
また、多孔質エラストマーシートを形成直後にインラインで透湿フィルムを複合しても構わない。
【0025】
本発明の透湿性エラストマーシートは、透湿性、防水性に優れ、かつ透湿フィルムと基材となる多孔質エラストマーシートが剥離することなく、また適度なコシを有しているため、救急絆創膏、貼付材等の医療材、レインコート、ウィンドブレーカー等防水性、伸縮性の必要な衣料素材等にも好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、本実施例における各物性値は以下の方法により測定した。
【0027】
・多孔質エラストマーシート断面におけるポリマー充填率の測定
多孔質エラストマーシートの断面を電子顕微鏡写真で500倍に拡大撮影し、イメージアナライザー(東洋紡績社製)を用いて、ポリマーが占める各断面積とその総和及び、シート断面積を計算し、以下の式によりポリマー充填率を算出した。また、断面積0.001mm2以下であるポリマー断面のシート断面積範囲内の個数も算出した。
(1)シート断面積の算出
多孔質エラストマーシートの任意の断面を電子顕微鏡で500倍に拡大観察し、該シートの表面及び裏面の両面について、シート面方向の1mm以上の長さに亘って50μm±10μmの間隔でシート最外面上の点を結んで得られる表裏側の線分を見掛のシート断面とみなし、この線分にはさまれる部分からシート断面積(見掛の断面積)を求めた。
また、シートが積層されて複合体となっている場合は複合体のままで断面を観察し、多孔質シートの断面部から同様の方法でシート断面積を算出した。
(2)ポリマー充填率の算出
以下の式により、ポリマー充填率を算出した。
ポリマー充填率(%)={(ポリマー断面積総和)/(シート断面積)}×100
【0028】
・耐水圧測定
JIS L1092 A法に準じて測定した。多孔質エラストマーシート面を水面に接するようにサンプルをセットし、測定した。
【0029】
・破断強力・伸度の測定
JIS L1096に準じ、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いて測定した。
【0030】
・剥離強度の測定
多孔質エラストマーシート面及び透湿フィルム面にクラフトテープを貼り付け、JIS L1086に準じて多孔質エラストマーシートと透湿フィルムとの界面の剥離強度を測定した。
【0031】
・透湿性エラストマーシートの層間剥離評価
透湿性エラストマーシートの透湿フィルム面にアクリル系粘着剤を厚さ60μmとなるよう塗布した20mm幅×50mm長のサンプルをモニターの人指し指に巻きつけてもらい、24時間通常の生活をした後、剥がした時の多孔質シートと透湿フィルム間の剥離を確認した。
・透湿度の測定
JIS L1099に準じて、塩化カルシウムを使用しカップ法により測定した。
【0032】
実施例1
熱可塑性ポリウレタン(クラレ社製、「クラミロンU」)を原料とし、一列に配列した直径0.3mmのオリフィスの両側に加熱気体の噴射用スリットを有する溶融吐出装置を用い溶融温度240℃、単孔当たり、毎分0.5gの割合でポリマーを吐出し、同温度に加熱した空気をスリットから噴射して細化した。細化した微細線状体を溶融吐出装置の下方3.5cmに設置した直径16cmのスチール製ロール上で捕集し質量62.9g/m2、厚み0.135mmの多孔質エラストマーシートを得た。この多孔質エラストマーシートのポリマー充填率は70.1%であった。
一方、熱可塑性ポリウレタン(大日精化社製、「レザミン」)を原料として厚さ25μmの透湿フィルムを成形した。
なお、上記透湿フィルムは、膜厚70μmのポリプロピレンフィルム(セパレータ)上に成形一体化し、ロールとして巻き取った。
得られた多孔質エラストマーシートとセパレータ付透湿フィルムとを圧着面積9%のドット柄熱エンボスロールとフラットロールの間に導き複合し、透湿性エラストマーシートを製造した。この時、エンボスロール、フラットロール間のクリアランスは20μm、温度はそれぞれ125℃、速度10m/分に調整した。また、エンボスロール側に多孔質エラストマーシートを配置した。
【0033】
実施例2
実施例1で製造した多孔質エラストマーシート及び透湿フィルムを使用し、圧着面積19%の熱エンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして透湿性エラストマーシートを得た。
【0034】
実施例3
エンボスロール側に透湿フィルムを配置したこと以外は、実施例1と同様の方法で透湿性エラストマーシートを得た。
【0035】
実施例4
熱可塑性ポリウレタン(クラレ社製、「クラミロンU」)を原料とし、一列に配列した直径0.3mmのオリフィスの両側に加熱気体の噴射用スリットを有する溶融吐出装置を用い溶融温度240℃、単孔当たり、毎分0.5gの割合でポリマーを吐出し、同温度に加熱した空気をスリットから噴射して細化した。細化した微細線状体を溶融吐出装置の下方30cmに設置したコンベアネット上で捕集し、質量60.2g/m2、厚み0.261mmのポリウレタンメルトブローン不織布を得た。多孔質エラストマーシートとして得られたポリウレタンメルトブローン不織布を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で透湿性エラストマーシートを得た。
【0036】
比較例1
実施例1で製造した多孔質エラストマーシート及び透湿フィルムを使用し、熱エンボス加工にて透湿性エラストマーシートを製造した。
この時、熱エンボスの圧着面積は9%、ロール間のクリアランスは取らなかった。
得られた透湿性エラストマーシートは、耐水圧が319mmH2Oであり耐水性に劣るものであった。
【0037】
比較例2
実施例1で製造した多孔質エラストマーシート、透湿フィルムを使用し、熱カレンダー加工にて透湿性エラストマーシートを作製した。
得られた透湿性エラストマーシートは、シート全面が融着しておりフィルムライクで腰がなく取扱性が悪かった。また、表面にカレンダー斑ができて外観も悪かった。
【0038】
比較例3
多孔質エラストマーシートの上に直接透湿フィルムをラミネートして透湿性エラストマーシートを得た。なお、エンボス加工は行わなかった。
【0039】
比較例4
実施例1で製造した多孔質エラストマーシートに透湿フィルムを複合しないで評価を行った。
【0040】
比較例5
実施例4で製造したポリウレタンメルトブローン不織布に透湿フィルムを複合しないで評価を行った。
【0041】
上記実施例及び比較例で得られた透湿性エラストマーシートの各物性を表1に示した。なお、測定には透湿フィルムに付いているセパレータを除去して測定した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明により、防水性、透湿性、伸縮性に優れた透湿性エラストマーシートを提供することができる。本発明の透湿性エラストマーシートは、特に救急絆、貼付材等の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用することのできる多孔質エラストマーシートの一例を示す断面拡大図。
【図2】本発明に使用することのできる多孔質エラストマーシートの一例を示す表面拡大図。
【図3】本発明に使用することのできる多孔質エラストマーシートの一例を示す表面拡大図。
【図4】本発明に使用する多孔質エラストマーシートの製造方法の一例を示す工程概略図。
【図5】本発明に使用する多孔質エラストマーシートの製造方法の一例を示す工程概略図。
【図6】本発明の透湿性エラストマーシートの製造方法の一例を示す工程概略図。
【符号の説明】
1:シート断面
2:ポリマーが比較的大きな面積で存在する部分
3:ポリマーが小さな面積で存在する部分
4:溶融吐出装置
5:コンベアネット
6:多孔質エラストマーシート
7:巻取機
8:捕集ロール
9:支持ロール
10:透湿フィルム
11:多孔質エラストマーシート
12:エンボスロール
13:フラットロール
Claims (8)
- 質量10〜150g/m2の多孔質エラストマーシートと熱可塑性エラストマーからなる厚さ5〜50μmの透湿フィルムとが融着接合面積1〜70%で複合されてなり、透湿度が1000g/m2・24h以上、耐水圧が500mmH2O以上であることを特徴とする透湿性エラストマーシート。
- 多孔質エラストマーシートと透湿フィルム間の剥離強度が8N/5cm以上である請求項1記載の透湿性エラストマーシート。
- 熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンである請求項1又は2に記載の透湿性エラストマーシート。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の透湿性エラストマーシートのいずれか一方の面に粘着剤を塗布してなる粘着シート。
- 請求項4に記載の粘着シートを用いてなる救急絆。
- 請求項4に記載の粘着シートを用いてなる貼付材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の透湿性エラストマーシートを用いてなる手袋。
- 熱可塑性エラストマーからなる透湿フィルムと多孔質エラストマーシートを積層し、熱融着により複合する際に、2対の熱ロール間に5〜50μmのクリアランスを設けて複合処理することを特徴とする透湿性エラストマーシートの製造方法。
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