JP4298144B2 - 防風衣料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質シートと繊維シートを積層してなる積層体からなり、防風性と共に適度な通気性、透湿性を有する、あるいは体の屈曲部に対して柔軟な追従性を有する防風衣料に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋外での着用を主目的とし、主に防風性、保温性を重視した衣料については、既に多くの商品が市場に出ており、例えば、保温性を重視し、羽毛や綿を多量に使用して保温性を確保したダウンジャケットや高密度織物を使用したコートがあるが、これらは、厚い、重いあるいは高価であるといった問題点がある。また、よりシンプルな防風衣料として布に樹脂皮膜を塗布したシートやフィルムを使用することで通気性をなくしたいわゆるウィンドブレーカーがあるが、これは逆に通気度が低すぎてムレ、ベタツキが問題になったり、シンプルすぎて安っぽいというイメージがついて回る。反対に、天然皮革や人工皮革を用いたコート類も多数存在するが、これらは、優れた性能を有するものの、特に天然皮革においては動物保護の問題や絶対数の不足のため、そして人工皮革はその複雑な構造のために非常に高価である。さらに、これまで述べてきた従来の衣料については、基本的に非伸縮性の布又はフィルムを使用しているため、体の屈曲部において着用者の動きを制限してしまうケースがある。特に、天然および人工皮革に関しては、伸縮性を付与することが非常に困難であり、仮に付与することができたとしても、さらに高価な物となってしまう。
【0003】
一方、布の通気度をコントロールしたシートを用いた衣料として、従来から防塵衣やメディカルガウンが研究、開発されている。例えば、特開昭60−34605号公報において、繊維基材の少なくとも片面に多孔質重合体皮膜を有する積層布からなる防塵作業衣が開示されている。しかしながら、この発明で使用している積層体は、重合体溶液を布帛に塗布後、乾燥させるという湿式凝固法により製造されることから多孔質重合体層は、嵩が低く硬いシートである。さらに、この発明は、衣料内部から外部への異物の放出を防ぐ為の衣料に関するものであり、着用者のムレ、ベタツキ感を改善する目的で、通気性を高くする工夫を行っており、防風性については全く考慮されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、従来のフィルムにない適度な柔軟性と通気性を有し、かつ防風性に優れ、さらに必要に応じて伸縮性をも併せもつ多孔質シートと繊維シートとの積層体からなる防風衣料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、充填率が30〜90%であり、かつ少なくともその一表面に繊維状体が配列した構造を有している熱可塑性ポリマーからなる多孔質シートと少なくとも一層の繊維シートとが積層されてなり、通気度が1〜20cc/cm2/秒であり、透湿度が1000g/m2・24hr以上であり、縦および横方向において15N/5cm以上の強度を有する積層体からなる防風衣料である。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず本発明に係わる防風衣料を構成する多孔質シートと繊維シートからなる積層体を図によって説明する。図1は該積層体の代表的な断面模式図であり、断面には多孔質シート(A)と繊維シート(B)が片面に存在する。この多孔質シートAの断面には、図2に示すようにポリマー層(1)と多数の微細空隙(2)が存在する。内部断面層には微細線状体の積層構造は認められず、構造は多孔質フィルムに類似している。従来の不織布は、断面層に繊維の積層構造が認められ、本発明の多孔質シートの多孔質構造とは異なる。
【0007】
図3は、図2の断面を有する多孔質シート(A)の表面の拡大模式図である。微細線状体(3)が不規則に配置され、その接合点で互いに融着している。微細線状体の間隙(4)は、断面層の微細空隙(2)と少なくとも一部で連通し、多孔質シートに適度な通気性を与えている。従来の多孔質シートの表面は、フィルムに多数の微細孔が開口した構造であり、微細線状体の構造は認められない。該多孔質シートの表面構造は不織布に類似している。
【0008】
該多孔質シートの多孔性は、ポリマーの充填率で表すことができ、30〜90%の充填率を持つことが必要であり、好ましくは60〜80%である。充填率が90%を超えるとフィルム様になり過ぎ、通気性が低くなるため、衣料にしたときなどのムレの原因となるばかりか堅さが現れ、風合いが悪くなる。また、充填率が30%未満であると繊維質(不織布)になり、必要以上の通気度を有するため、防風性を確保できない。
【0009】
本発明における充填率は以下の方法で測定する。
積層体の断面を電子顕微鏡写真で撮影し、東洋紡(株)製イメージアナライザーにより分析し、多孔質シート部分の断面のポリマーが占める面積の総和および、シート断面積を計算する。シート断面積は以下の方法で測定する。積層体の任意の断面を倍率500倍で電子顕微鏡写真に撮る。断面積を求めるには多孔質シート部分の表面および裏面の線を決める必要があるが、該シートは表面の凹凸が大きいので、表裏面に沿った2本の直線で表裏面を決めることができない。そのため上記の電子顕微鏡写真の幅方向に18cmとり、断面の表面側、裏面側それぞれの凹凸の最外面を2cmの線分で結んだ線を多孔質シート部分の両表面線とし、それらによって区画される断面積を測定しシート断面積とした。
【0010】
充填率は以下の式により算出する。
充填率(%)={(ポリマー断面積総和)/(シート断面積)}×100
【0011】
本発明に係る防風衣料を構成する積層体は、通気度が1〜20cc/cm2/秒必要であり、好ましくは5〜10cc/cm2/秒である。通気度が1cc/cm2/秒未満では防風性に優れるものの、透湿性が確保できず、着用者がムレを感じてしまう。また、20cc/cm2/秒を超えると、防風性を確保できない。また、該積層体は、透湿度が1000g/m2・24hr以上必要であり、好ましくは2000〜5000g/m2・24hrである。透湿度が1000g/m2・24hr未満では、着用者がムレを感じるため本発明の目的を達成できない。
【0012】
該積層体は、縦および横方向において、15N/5cm以上の強度が必要であり、好ましくは20〜200N/5cmである。15N/5cm未満の強度では、着用時に無理な力がかかった場合に破断してしまう可能性が非常に高くなる。
【0013】
該積層体は、多孔質シートを熱可塑性エラストマー原料から製造することで、必要に応じて伸縮性を付与することができる。この積層体を本発明の防風衣料として用いると、着用者の動きを制限することなく、良好な着用感、フィット感を得ることができる。
【0014】
該多孔質シートに使用される熱可塑性ポリマーは特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド、または、エチレン−オレフィン系共重合体等のポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、さらに、ポリプロピレン、ポリエチレン等ポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体等の熱可塑性ポリマーを使用することが可能であるが、中でも熱可塑性エラストマーが好ましく使用される。また、必要に応じて、熱可塑性ポリマーに添加剤を添加してもよい。
【0015】
多孔質シートに熱可塑エラストマーを用いて得られる積層体は、少なくとも一方向への50%伸張回復率が85%以上であることが好ましい。50%伸張回復率が85%未満であると、所望の伸縮性が得られず、本発明の効果が奏されにくい。
【0016】
本発明の防風衣料を構成する多孔質シートを積層する繊維シートを構成する繊維については、特に限定はなく、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の化学繊維、および、綿、麻等の天然繊維があげられるが、多孔質シートとの接着性、加工性の点から化学繊維が好ましく用いられる。なお、これらの繊維は、単独繊維、複合繊維いずれを用いてもよい。
【0017】
また、該繊維シートの形態については、特に限定されないが、織布、編み布あるいは不織布が好ましく用いられる。また、衣料にした場合に表面となる側にプリント等により柄や模様をつけることは何ら支障無い。
【0018】
該繊維シートの通気度は、積層する多孔質シートの通気性に影響しない範囲であれば、特に限定はないが、1〜10cc/cm2/秒であることが好ましい。また、強度についても、加工工程に影響しない範囲であれば、特に限定されないが、工程通過性の点から、縦方向について10N/5cm以上有することが好ましい。
【0019】
得られる積層体の目付は特に限定されないが、実用性を考えると10〜200g/m2が好ましく、より好ましくは30〜100g/m2がよい。
【0020】
次に、本発明に係わる防風衣料を構成する積層体の製造方法について説明する。多孔質シートは、例えば図4の装置によって製造することができる。溶融した熱可塑性ポリマーを溶融吐出装置(5)のノズル(6)から吐出して微細な線状体を形成させ、この微細線状体が固化する前に捕集面(7)に衝突させて微細線状体を融着接合し、次いでこの融着接合体を別の捕集面(8)に移送させ、得られた多孔質シート(9)をロール(10)に捲き取って製造することができる。次いで、別工程にて製造した繊維シートをカレンダーやエンボス手段等により多孔質シートと融着接合させることにより積層体を得ることができる。
【0021】
捕集面(7)は、固化する前の微細線状ポリマーが衝突した場合にポリマーが噛み込んだり、絡んだり、食い込んだりしないような面であれば特に限定されず、例えば鏡面仕上げの金属面や微細凹凸加工の金属面、網目の細かいネット状物、ロール状物等が使用できる。これらの表面は、ポリマーの離型性を促すために表面にオイル塗布、テフロン処理、離型剤塗布、水散布などの処理を施すことが好ましい。また、意匠性を付与するために表面に模様を施してもよい。なお、ロール状物を使用する場合には、微細線状物同士の融着接合を促進させるために、ロールを加温したり、離型性向上のために冷却してもかまわない。
【0022】
別の捕集面(8)の形状については、特に限定されないが、捕集面(7)から別の捕集面に移送するために、別の捕集面(8)の下側からサクションで吸引することも可能である。この場合、製造したシートをスムーズに移行させるため、別の捕集面(8)は通気性のある捕集面であることが好ましい。
【0023】
また、本発明で使用される積層体は、図5に示すように、線状体ポリマーを繊維シート(11)に直接衝突させることで得ることもできる。繊維シート(11)の供給にあたっては該繊維シートに微細線状体を衝突させる場合、繊維シート(11)がノズル部からの噴射気流によりバタついたり、皺を発生したりしないよう、繊維シートをロールに沿わせながら供給することが好ましい。また、多孔質シートと繊維シートを融着すると同時に移送させるためにも、たとえば、直径5〜100cmのロール状物であることが好ましい。微細線状物同士の融着接合を促進させるために、ロールを加温したり、離型性向上のために冷却してもかまわない。
【0024】
本発明では微細線状物同士の接触点において融着を完全に行わせるために、ノズル(6)と捕集面(7)または繊維シート(11)の距離(捕集距離)を極端に短くする点に特徴を有するものであり、捕集距離を好ましくは12cm以内、さらに好ましくは10cm以内、特に好ましくは1〜8cmにするのがよい。捕集距離を1cm未満にすると、ノズル表面にポリマーが付着したりするため製造工程上好ましくない。微細線状体の融着は、捕集距離の他に、ポリマーの融着性、ノズルから噴射気流の温度および速度、捕集面の移動速度などによっても調整することができる。
【0025】
一方、捕集距離が15cm以上になると得られたシートにおける微細線状体同士の融着が完全でなく、通常の不織布となってしまい、本発明で目的とする多孔質断面構造が得られない。
【0026】
積層体を得る際、必要に応じて多孔質シートが繊維シート上で固化する前に加圧ロールを通過させることでシート間の接合を強化することも可能である。この場合、圧着ローラの表面をテフロンコート等により接着性のない状態にすることでロールへの転着を防ぎ、さらにこのロールを冷却しておくことで半溶融樹脂を固化させ、巻き取り時の膠着を防止することが好ましい。また、得られた積層体の多孔質シート面側から別の繊維シートを導入することで三層化することも可能である。もちろん、各々の層を別工程で製造し、後にカレンダーやエンボス手段により融着接合する方法を用いてもかまわないが、押出ラミネート等による方法を用いた場合には、所望の通気性を得ることが困難であり、本発明の目的を逸脱する結果となりやすいため好ましくない。
【0027】
本発明の防風衣料とは、該多孔質シートと少なくとも一層の繊維シートよりなる積層体から構成されるブルゾン、ウインドブレーカー等が挙げられ、いずれも公知の方法で得ることが可能である。本発明により、適度な柔軟性と通気性を有し、かつ防風性に優れ、さらに必要に応じて伸縮性をも併せもつ防風衣料を得ることができる。
【0028】
本発明の防風衣料に該積層体を用いる場合、特に二層品については多孔質シートが露出する形になる。この場合、従来の繊維質シートでは、内側の衣料あるいは周囲の物体と接触すると、表面にモモケが生じてしまい好ましくないが、該多孔質シートは、表面部分の繊維状体が十分に固定されているため、このような現象は生じない。その上、表面の繊維状体の存在によりフィルムライクな触感を回避することができる。しかしながら、例えば多孔質シート面を体側にした防風衣料とした場合、そのデザインによっては内側の衣料と常に接触するため、体の動きを阻害するケースが生ずる可能性があるため、多孔質シート側を外側面として使用することが好ましい。また、本発明の防風衣料を製造する際、該積層体を全表面に用いることが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。なお本実施例中の測定値は以下の方法で測定したものである。
(1)「厚さ、強度、伸度の測定」
JIS L 1906 一般長繊維不織布試験方法に準じて行った。
(2)「伸張回復率の測定」
伸張率を50%とし、50%伸張後は、即時同速度で除重を開始、完全に除重後、即時伸張を再開して50%まで引き伸ばした荷重−伸び曲線から残留伸びを測定すること以外はJIS L 1906の伸張弾性率測定A法に準じた。
(3)「耐摩耗性の測定」
JIS L 1076 ピリング試験方法(ART法)に基づき、モモケの発生の有無を確認した。
(4)「通気度の測定」
JIS L 1096に準じ、フラジール型通気度測定試験機により測定した。
(5)「透湿度の測定」
JIS L 1099に準じ、A−1法により測定した。
(6)「着用試験」
次の項目において官能評価を行い、このうち、評価点が2以下の項目が1つでもあるものは、実用性無しと判断した。
*風の吹き抜け感
本実施例において作成したブルゾンを10人の試験者が着用し、温度5℃の環境下で大型扇風機にて起こした風速5m/分の風を受けたとき、風の抜けを感じるかどうかを5段階判定で評価し、評価4以上を良好と判断した。
判定基準は、風を感じた人が0人の場合を5、1〜3人の場合を4、4〜5人の場合を3、6〜7人の場合を2、8人以上の場合を1とした。以下の場合を強く感じる場合を1とし全く感じない場合を5とした5段階判定基準にて判定し、その中間レベルをその強弱に応じて2〜4とした。
*ムレ感
温度20℃の環境下で、30分間歩き続けた時の発汗によるムレを感じるかどうかを風の通過性の時と同様に5段階判定で評価し、評価4以上を良好と判断した。判定基準は、風の通過性の場合に準じた。
*フィット感
ムレの評価と同時に、30分間歩き続けたときに体の動きを妨害するかどうかをフィット感として風の通過性の時と同様に5段階判定で評価し、評価4以上を良好と判断した判定基準は、風の通過性の場合に準じた。
【0030】
実施例1
熱可塑性ポリウレタン(商品名「クラミロンU」:(株)クラレ社製)を原料とし、一列に配列した直径0.3mmのノズルの両側に加熱気体の噴射用スリットを有する溶融吐出装置を用い溶融温度240℃、単孔当たり、毎分0.5gの割合でポリマーを吐出し、同温度に加熱した空気をスリットから噴射して吐出物を細化した。細化した線状物をノズル下方3.5cmに設置した直径16cmのスチール製ロール上で捕集し、目付62.9g/m2、厚み0.135mmの多孔質シートを得た。この多孔質シートの充填率は70.1%であった。次に、ポリエステル繊維(1.54dtex×51mm長)70質量%とポリエステル/ポリエチレンの芯鞘型複合熱融着繊維(2.2dtex×51mm)30質量%からなるセミランダムウェブを水流絡合してなる不織布を準備した。多孔質シートと水流絡合不織布を接合点面積率20%、接合点密度25ドット/cm2の円形パターンを有するエンボスロールを使用し、ロール温度130℃、圧力30kg/cmでエンボス接合一体化することで二層積層体を得た。この積層体の多孔質シート面につきピリング試験を行ったところ、モモケは発生しなかった。また、50%伸張回復率は、96%であった。得られた積層体の物性を表1にまとめて示す。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例2
水流絡合不織布を多孔質シートの上下に配したこと以外は、実施例1と同じ方法で三層積層体を得た。また、50%伸張回復率は、88%であった。(表1)
【0033】
実施例3
実施例1の方法において、積層する水流絡合不織布を図5に示すように、吐出ポリマーを受けるロールを通し、この水流絡合不織布上に直接多孔質シートを形成することで二層積層体を得た。この積層体の多孔質シート部分は、目付62.0g/m2、厚み0.129mm、充填率78%であった。ピリング試験によるモモケはなかった。この積層体の50%伸張回復率は、98%であった。(表1)
【0034】
実施例4
実施例3の二層積層体に水流絡合不織布を多孔質シート側に供給すること以外は実施例1の方法でエンボス積層することで三層積層体を得た。この積層体の50%伸張回復率は、90%であった。(表1)
【0035】
実施例5
実施例1の方法において、溶融温度を260℃とし、さらに吐出された線状物をノズル下方1.0cmに設置したロール上で捕集し、目付38.9g/m2、厚み0.102mmの多孔質シートを得た。この多孔質シートの充填率は88%であった。この多孔質シートに、実施例1と同じ水流絡合不織布を、同じ条件で積層し、二層積層体を得た。この積層体の多孔質シート面につきピリング試験を行ったところ、モモケは発生しなかった。また、50%伸張回復率は、97%であった。(表1)
【0036】
実施例6
実施例1の方法において、吐出された線状物をノズル下方12cmに設置したロール上で捕集したこと以外は同様な方法で、目付64.1g/m2、厚み0.144mmの多孔質シートを得た。この多孔質シートの充填率は36%であった。この多孔質シートに、実施例1と同じ水流絡合不織布を、同じ条件で積層し、二層積層体を得た。この積層体の多孔質シート面につきピリング試験を行ったところ、モモケは発生しなかった。また、50%伸張回復率は、92%であった。(表1)
【0037】
比較例1
ノズルとロール表面との距離を15cmにしたこと以外は実施例1と同様にして、目付58.8g/m2、厚み0.156mmの不織布を得た。この不織布と実施例1に記載の水流絡合不織布とを実施例1の方法で積層し、二層積層体を得た。多孔質シート部分の充填率は28%であった。ピリング試験によるモモケが発生した。この積層体の50%伸張回復率は、90%であった。(表1)
【0038】
比較例2
比較例1で得られた多孔質シートの両面に実施例1で用いた水流絡合不織布を実施例1と同様にエンボス積層することで三層積層体を得た。この積層体の50%伸張回復率は、82%であった。(表1)
【0039】
比較例3
多孔質シートの代わりに15μm厚のポリエチレンフィルムを用いて三層積層体を得た。(表1)
【0040】
比較例4
図5において、ノズル下方のロールを使用せず、捕集距離を20cmとして、コンベア上を走行するカードウェブ上に微細線状体を捕集し、積層体を得た。この時のカードウェブの繊維構成は、実施例1の水流絡合不織布と同じとし、この方法によって、目付35.2g/cm2、厚さ0.273mmの積層体を得た。しかしながら、この積層体を用いたブルゾンは、後の着用試験に供するまでもなく、シート強度が弱いため、着用中に、肘の外側屈曲部表面のカードウェブ部分が裂けてしまった。
【0041】
<着用試験>
以上の実施例1〜6および比較例1〜3で得た積層体を使用して、ブルゾンを作成した。このブルゾンを用いて着用試験を行った。
結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
これらの結果から、本発明の積層体からなる防風衣料は、シート内に適当な空隙を有しており、良好な防風性および適度な通気性を有する防風衣料であることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、フィルムと不織布の中間的性質を有し、かつ適度な通気度を有する多孔質シートからなる積層体が容易に製造でき、この積層体を防風衣料に使用した場合、ムレ、毛羽立ちのない、着用感の優れたものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を構成する積層体の代表的な断面模式図。
【図2】 本発明を構成する積層体の多孔質シート部分の拡大断面模式図。
【図3】 本発明を構成する積層体の多孔質シート部分の表面拡大模式図。
【図4】 本発明を構成する多孔質シートの製造方法の一例の工程概略図。
【図5】 本発明を構成する積層体の製造方法の他の一例の工程概略図。
【符号の説明】
A:多孔質シート
B:繊維シート
1:ポリマー層
2:微細空隙
3:微細線状体
4:微細線状体の間隙
5:溶融吐出装置
6:ノズル
7:捕集面
8:別の捕集面
9:多孔質シート
10:ロール
11:繊維シート
Claims (2)
- 充填率が30〜90%であり、かつ少なくともその一表面に微細線状体が不規則に配列した構造を有している熱可塑性ポリマーからなる多孔質シートと少なくとも一層の繊維シートとが積層されてなり、通気度が1〜20cc/cm2/秒であり、透湿度が1000g/m2・24hr以上であり、縦および横方向において15N/5cm以上の強度を有する積層体からなる防風衣料。
- 熱可塑性ポリマーが熱可塑性エラストマーであり、該積層体の少なくとも一方向に伸縮性を有し、かつその方向への50%伸張回復率が85%以上である請求項1記載の防風衣料。
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