JP2004321909A - 塩素化有機化合物採取用フィルタ及びこれを用いた採取器並びにその採取用フィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度でかつ塩素化有機化合物を高効率で捕集でき、かつ、取り扱いが容易な塩素化有機化合物採取用フィルタを提供する。
【解決手段】塩素化有機化合物採取用フィルタ3は、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体14の表面に、活性炭16を塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材17で接合したことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】塩素化有機化合物採取用フィルタ3は、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体14の表面に、活性炭16を塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材17で接合したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダスト(粉塵、煤塵)やダイオキシン類、ポリクロロビフェニル(PCB)、クロロフェノール、クロロベンゼン等から成る塩素化有機化合物を採取する塩素化有機化合物採取用フィルタ及びこれを用いた塩素化有機化合物採取器並びに採取用フィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業廃棄物や一般家庭ごみなどの廃棄物を焼却処理するための焼却施設から発生する排気ガス中には、ダスト(粉塵、煤塵)やダイオキシン類、ポリクロロビフェニル、クロロフェノール、クロロベンゼンなどの塩素化有機化合物が含まれている。
【0003】
ここで、ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ・パラ・ダイオキシン類(PCDDs)やポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)等の総称であり、周知の如く極めて毒性の強い環境汚染物質であるが、その中でも四塩化ジベンゾダイオキシン(T4CDDs)は特に最強の毒性物質として知られている。
【0004】
一方、PCB、クロロフェノール、クロロベンゼンなどの塩素化有機化合物は、ダイオキシン類に比べて毒性は弱いが、一定の条件下、例えば、焼却炉内でフライアッシュ中の種々の元素を触媒として排気ガスの温度範囲でダイオキシン類に変化しやすいことが判明しているため、ダイオキシン類と同様に環境汚染物質として認識されている。
【0005】
このため、環境保全の観点から、上述のような各種の塩素化有機化合物を排気ガスや廃水などの流体中から除去するための方策の確立が緊急の課題となっており、同時にこのような流体中に含まれる塩素化有機化合物を分析するための手法の確立が世界的規模で急がれている。
【0006】
ところで、流体中に含まれる塩素化有機化合物を分析する際には、先ず、分析対象となる流体から精密かつ正確に試料を入手する必要がある。例えば、排気ガス中に含まれる塩素化有機化合物を分析する場合は、排気ガスを含む空間、例えば排気ガスが流れる煙道から気体試料を一定量採取し、この気体試料中に含まれる各種の塩素化有機化合物を漏れなく確実に捕捉する必要がある。特に、上述のような環境汚染物質であるダイオキシン類は、気体試料中に含まれる量が極めて微量であり、また、粒子状態やガス状態などの各種の形態であって種類も多岐に渡るため、その精密な採取を無くしては信頼性の高い分析結果は期待できない。
【0007】
このため、従来から用いられている採取装置としては特許文献1があり、これらの採取装置ではフィルタ透過抵抗(圧力損失)を低くできるため繊維状炭素材から成るフィルタを用いて塩素化有機化合物を採取する採取器の構造が提案されている。
【0008】
一方、特許文献2、3にあるように、フィルタの支持体にコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)が用いられ、高温時におけるフィルタの強度及び耐熱衝撃性を改善した技術が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−349810号公報
【0010】
【特許文献2】特開平11−92215号公報
【0011】
【特許文献3】特開平11−349375号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示すような塩素化有機化合物採取用フィルタにおいては、透過抵抗を低く抑えるのに気孔率を大きくした繊維物質のみから構成されているので、塩素化有機化合物採取用フィルタの強度が小さくなり、塩素化有機化合物採取用フィルタを取り扱う際に、誤って塩素化有機化合物採取用フィルタを破損させるという問題点があった。
【0013】
また、塩素化有機化合物採取用フィルタの透過抵抗を小さくするために気孔率を大きくすると、塩素化有機化合物の一部が塩素化有機化合物採取用フィルタに捕集されずに排出されるという問題点があった。
【0014】
さらに、フィルタの機能として繊維状材料が用いられているので、選択した材質の気孔率が小さく比表面積が小さかったり、気体の通過しやすい連通孔を有するといった理由で採取効率が悪くなり、十分な塩素化有機化合物を採取することができなくなるという問題点を有していた。
【0015】
一方、特許文献2、3に記載のコージェライトから構成されるフィルタは、高温での使用を目的としたものであり、ダスト(粉塵、煤塵)を補集することは可能であるが、ガス状の塩素化有機化合物を吸着する吸着剤がフィルタに担持されていないために、ガス状の塩素化有機化合物を捕集できないという問題点があった。
【0016】
本発明の上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、高強度でかつ塩素化有機化合物を高効率で捕集でき、かつ、取り扱いが容易な塩素化有機化合物採取用フィルタ及びこれを用いた塩素化有機化合物採取器並びに採取用フィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の塩素化有機化合物採取用フィルタは、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体の表面に、活性炭を塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材で接合したものである。
【0018】
また、上記接合材が活性アルミナ、シリカ、または炭化物の内の少なくとも1種からなり、そして、上記活性炭の平均粒子径が0.1〜500μmの粒状で構成されている。
【0019】
また、塩素化有機化合物を含む試料を導入するための導入管と、該導入管に接続された請求項1〜3にそれぞれ記載の塩素化有機化合物採取用フィルタと、該塩素化有機化合物採取用フィルタに通過させた流体を外部に排出するための排出管と、少なくとも上記塩素化有機化合物採取用フィルタを被覆する被覆部とから構成されている。
【0020】
また、本発明に係る塩素化有機化合物採取用フィルタの製造方法としては、活性炭と塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材の前駆体と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液を得る工程と、該混合液をコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)からなる支持体表面にコーティングした後に乾燥させる工程と、還元雰囲気下で熱処理を行うことで上記繊維状有機物を炭素化する工程とからなるものである。
【0021】
【作用】
本発明の構成によれば、フィルタの支持体表面に塩素化有機化合物を採取できる活性炭を接合するだけでなく、活性炭を接合する接合剤にも塩素化有機化合物を採取可能に構成したので、塩素化有機化合物の採取効率を格段に向上させることができるとともに、接合材が支持体と活性炭とを強固に連結しているので、採取効率を落とさずに接合強度を充分得ることができる。
【0022】
そして、粒状の活性炭を使用することで、従来から用いられていた繊維状活性炭と比較して、通過する流体と活性炭との接触面積、接触時間を大きく取ることができ、そのため活性炭表面に存在する塩素化有機化合物を採取するためのミクロ孔と塩素化有機化合物の接触確率が大きくなるため、採取性能が向上することができるととともに透過抵抗を抑制することができる。
【0023】
さらに、活性炭と塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材の前駆体と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液をコージェライトの支持体表面にコーティングした後に乾燥させ、還元雰囲気下で熱処理を行うことで上記繊維状有機物を炭素化することにより、炭化後の繊維状有機物の位置に連通孔が形成され、機械的強度の優れたコージェライト支持体に結合材が活性炭を強固に接合しているために、機械的結合力を維持しながら供給される流体が優先的にこの連通孔を流れるようになるため、フィルタの強度が低下することなく全体に均一に流体を供給することができて流体の透過抵抗を抑制したフィルタを製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の塩素化有機化合物採取用フィルタ(以下、「フィルタ」というときもある)を備えた採取器の断面図であり、図2は、本発明のフィルタの断面を示した図であり、図3はフィルタの構造を説明する一部拡大断面図である。
【0026】
図1において、採取器1は、被覆部であるホルダ2内に、気体又は液体の試料中に含まれる塩素化有機化合物を捕捉して採取するための塩素化有機化合物採取用フィルタ3と、このフィルタ3に連結し、試料を塩素化有機化合物採取用フィルタ3内に導入する導入管4と、この導入管4をホルダ2に対して装着するための装着体5を備えている。
【0027】
ホルダ2は、透明なガラスからなる概ね円筒状の容器であり、フィルタ3の一部を収容可能な本体部6と、装着体5を装着するための装着部7と、気体試料を排出するための排出部8とを有している。装着部7は、本体部6の端部に一体に設けられており、直径が本体部6に比べて縮小されている。この装着部7は、外周面に螺旋溝が形成されており、また、端部に円形状の開口部を有している。
【0028】
排出部8は、本体部6の他方の端部に一体に設けられており、気体試料を外部に排出するための排出路と分岐路とを有している。分岐路は、排出部内を通過する気体試料の温度を測定するための温度計や熱電対などの測温器を排出部内に挿入するためのものである。
【0029】
フィルタ3は、図2に示すように、一端が閉鎖されかつ他端に試料を導入するための開口部30を有するカップ状に形成しており、開口部30側が装着体5で覆って支持し、閉鎖端側が開口部からホルダ2内に挿入されている。このフィルタ3は、通常、長さ50〜300mm、開口部側の外径12〜35mmの、閉鎖端側の外径10〜30mm、厚さ1〜10mmに設定されており、閉鎖端側の外径が開口部30側の端部の外径よりも小さく設定されたテーパー形状に形成されている。なお、このフィルタ3の詳細についてはさらに後述する。
【0030】
また、導入管4は、ホルダ2と同じくガラスからなる管状の部材であり、フィルタ3の開口部に対して着脱可能である。この導入管4は、一端に採取管を連結するための連結部9を有しており、また、他端が装着体5を貫通してフィルタ3の開口部内に着脱可能に挿入されている。
【0031】
更に、上記装着体5は、フィルタ3をホルダ2内で支持するための第1支持体10と、導入管4を第1支持体10に対して装着するための第2支持体11とを有している。第1支持体10は樹脂製または金属製の部材であり、フィルタ3の開口部30側の端部を支持するための穴部を有しており、穴部の内周面には、ホルダ2と一体化した装着部7の螺旋溝に対応する螺旋溝が形成されている。第1支持体10は、その螺旋溝によりホルダ2の装着部7に螺着されている。
【0032】
また、第1支持体10は図上で左方向に突出する突出部12を有している。この突出部12は導入管4の先端部を挿入可能な貫通孔を有しており、また、外周面が螺旋溝に形成している。
【0033】
一方、第2支持体11は、第1支持体10と同じく樹脂製または金属製の部材であって内周面に螺旋溝が形成された蓋状に形成されており、導入管4を挿入するための貫通孔を有している。この第2支持体11は、貫通孔に導入管4が挿入された状態で螺旋溝により第1支持体10の突出部12の螺旋溝に螺着されている。
【0034】
このような採取器1に装着されたフィルタ3は、ホルダ2から取り外し可能に構成されている。この場合は、装着体5の第2支持体11を第1支持体10から取り外し、導入管4をフィルタ3から抜き取る。そして、第1支持体10をホルダ2から取り外すと、フィルタ3は第1支持体10により支持されつつホルダ2から取り出される。
【0035】
次に、上述の採取器1において用いられる塩素化有機化合物採取用フィルタ3の詳細について説明する。
【0036】
図2に示すようにフィルタ3の支持体14は、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体14の表面に、吸着層13が形成されている。吸着層13は、図3に示すように活性炭16とそれらを強固に接着する接合材17とから構成されている。
【0037】
本発明の支持体14の気孔率としては、アルキメデス法により測定して30〜45%のものが用いられ、平均細孔径(水銀圧入法による測定)についてはタルク、カオリン、ハイジライト又はアルミナの1次原料粒径によるが、空孔形成剤、組成、焼成条件をコントロールすることにより10〜200μmまでの調整が可能である。また、熱膨張係数(JIS R1618−1994に準拠して測定)は室温から800℃で2.0〜3.0×10−6/℃、3点曲げ強度(JIS R1601−1995に準拠して測定)は10MPa以上、耐熱衝撃性(投下式水中急冷法により測定)は800℃以上の特性を有している。なお、本発明の支持体14の形状としては、図2では円錐のカップ状に形成したもので示したがこれに限定されず、有底円筒形状、単なる円筒状、ハニカム形状等、どのような形状でも対応可能である。
【0038】
吸着層2の膜厚は0.1mm〜5mmの間が好ましい。吸着層2の膜厚を0.1〜5mmとしたのは、0.1mmより薄い膜厚では充分な吸着性能が得られず、5mmより厚い膜厚では流体が透過する際の透過抵抗が大きくなるからである。また、吸着層が5mmをこえると吸着層にクラックが発生するため、製造するのは実施困難である。さらに好適な膜厚は0.5〜3mmである。
【0039】
吸着層2に用いる接合材17は、活性炭16の粒子間に介在し活性炭16の粒子同士を連結して支持体14表面に活性炭16を強固に結合させている。具体的には図3に示すように、接合材17が活性炭16の粒子間及び支持体14の粒子間に入り込んで強固に支持体14表面より活性炭16が脱落するのを防止すると同時に、それ自身も塩素化有機化合物を吸着する役割を担い、塩素化有機化合物採取用フィルタの吸着効率を高めている。
【0040】
また、本発明に用いられる活性炭16の粒子表面に存在するミクロ孔平均細孔の径は2〜14nmが好ましく、より好ましくは2〜5nmである。活性炭16の粒子表面のミクロ孔平均細孔の径が2nm以上である理由は、ダイオキシン類、コプラナーPCBをはじめとするポリクロロビフェニル類、クロロフェノール、クロロベンゼン等から成る塩素化有機化合物の分子径が約2nmであり、これらを効率的に吸着するためには約2nm以上のミクロ孔サイズが適切であるためである。
【0041】
また、活性炭16は、流体中からの塩素化有機化合物の吸着除去に優れたものからなり、その平均粒径は500μm以下が好ましく、より好ましくは平均粒径が0.1〜300μmが用いられる。活性炭16の粒子径が0.1μmよりも小さくなると、支持体14の空隙に活性炭16が浸透し、充分な塩素化有機物を吸着できる吸着層2の厚みが得られず、また、活性炭16の粒子径が500μmよりも大きくなると、その粒子間を上記接合材17が埋めることができなくなり、その結果、充分な接着効果が得られないために、活性炭16が支持体14より脱落してしまう。
【0042】
接合材17は、塩素化有機化合物に対し吸着効果を有する活性アルミナ、シリカ、または炭化物から選ばれた少なくとも一種の材料より構成されている。
【0043】
また、結合材17に用いる活性アルミナとしては、X線回折におけるAl2O3結晶相の主ピークが2θ=43.1〜67.4°に存在するアルミナを用いるのが良い。この範囲のアルミナであれば、粒子中面に無数の細孔を有するアルミナとすることが可能であり、塩素化有機化合物を吸着する吸着剤として機能する。上記範囲外のものは粒子中に細孔がほとんど存在しないため、吸着剤としては機能するのは困難である。
【0044】
活性アルミナとしてはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ―アルミナが挙げられる。また、活性アルミナの粒子中のミクロ孔平均細孔径は2〜14nmであり、いずれも適用可能であるが、好適には2〜5nmが望ましい。
【0045】
この活性アルミナに存在するミクロ孔平均細孔の径が2nm以上である理由は、活性炭16のミクロ孔平均細孔の径を規定した理由とおなじである。
【0046】
また、炭化物としては、塩素化有機化合物に対し吸着性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、通常、ポリアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、レーヨンなどの合成樹脂、ポリイミド樹脂、ピッチもしくはタールといった公知の各種炭素前駆体を還元雰囲気下で熱処理し炭素化したもの、あるいは賦活して活性を持たせたものが挙げられる。
【0047】
次に上記塩素化有機化合物採取用フィルタの製造方法について説明する。
【0048】
本発明の支持体となる支持体14の製造方法としては、まず焼成後にコージェライト組成とするためにタルク(3MgO・4SiO2・H2O)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、ハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)の3種の1次原料を用いる。そして、これらの3種の1次原料をバインダとともに混合してスラリー化し、スプレードライヤーや転動造粒法等の各種造粒法により造粒した後、プレス成形法や冷間静水圧プレス成型法等の種々の成形方法を用いて成形し、酸化又は還元雰囲気中にて1300℃〜1450℃の温度域で焼成を行う。
【0049】
このとき、焼成後に主結晶相の2MgO・2Al2O3・5SiO2(コージェライト)中に副結晶相のAl2O3(アルミナ)を存在させる方法として、1次原料のハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)の粒径の大きなものを使用する。具体的には平均粒径が30〜120μmのものを使用すれば、副結晶相のAl2O3(アルミナ)を上記支持体14の組織中に存在させることが可能となる。従来は、より反応を促進させ組織全体をコージェライト化させようとするのにハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)の平均粒径は30μmより小さなものを使用するが、本発明では、あえて30μm以上のものを使用することにより、焼成時に未反応のアルミナを上記支持体14組織中に残留させることで特に耐食性の向上を図っている。
【0050】
また、平均粒径が120μmより大きな粒径のものを使用すると、上記支持体14の組織中に副結晶相のAl2O3(アルミナ)を残留させることは可能であるが、熱膨張係数の高いアルミナの特性が上記支持体14全体の熱膨張係数に反映され、耐熱衝撃性等の低下を招くばかりか、あまりにも大きな粒径のものを使用すると、焼成時の降温中にアルミナとコージェライトの熱膨張差による応力が発生し、その影響で焼結体自体が破損してしまう恐れがある。また、上記ハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)粒径のより好適範囲としては平均粒径が40〜100μmである。なお、上述の平均粒径はレーザー回折散乱法で測定する。
【0051】
更にアルミナ以外の1次原料の平均粒径としては、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)が30〜100μm、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)が5〜30μm含有している。
【0052】
ここで、上記タルク、カオリンの粒径を上記範囲としたのは、下限値より小さいと上記支持体14の平均細孔径が小さくなり、これに吸着層2を成膜してフィルタとして用いた場合に、圧力損失の増大を招き、また、上限値より大きいと上記支持体14の平均細孔径が大きくなり、後に述べる上記吸着層2前駆体の成膜液を上記支持体14に成膜する際、その成膜液が支持体14の細孔内に浸透し、吸着層2が形成されない恐れがある上、支持体14の強度が著しく低下してしまうからである。
【0053】
また、吸着層2は、活性炭16と接合材17と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液を作製し、この混合液をコージェライトの支持体14の表面にコーティングした後、乾燥させ、還元雰囲気下で熱処理することで、上記繊維状有機物を炭化することにより製造される。
【0054】
上記混合液は接合材17、活性炭16及び繊維状有機物を、少量の適当な溶剤に加えてスラリー状にして作製する。溶剤は接合材17や繊維状物質が均一に分散できるものであれば特に限定はされないが、例えば、水、低級アルコール類、ケトン類等が挙げられる。還元雰囲気下での熱処理の温度範囲は300℃〜1000℃が好ましく、この温度範囲内で接合材17や繊維状有機物が炭化し、また活性炭表面に存在するミクロ孔に既に入り込んだ異物を除去し前記ミクロ孔を活性化させるための温度を選定し熱処理を行う。また、接合材17や繊維状有機物を炭化させるにあたり、部分的に炭化している状態でも構わない。
【0055】
この繊維状有機物は、フィルタ3の透過抵抗が高くならないための連通孔を形成するのに用いられる。即ち、混合液は、活性炭16とともに繊維状有機物が接合材17中に均一に分散しており、これを支持体14に塗布して熱処理することにより繊維状有機物を炭素化させ、吸着層13中の接合材17内に連通孔7を形成している。繊維状有機物としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、エチレンオキシド−プロピレンオキシド、ポリメタクリル酸メチル、寒天、でん粉等が挙げられるが、液状でゲル化するものが特に好ましい。接合材17と活性炭16のみを混合し吸着層13を形成させると、活性炭16の粒子間に存在する緻密な接合材17の影響で透過抵抗が大きくなるのに対して、繊維状物質を添加し連通孔7を設けることにより、流体が連通孔7内を選択的に流れるために透過抵抗を小さくすることができる。
【0056】
なお、繊維状物質は混合液中に均一に分散し、均一に分散している状態で支持体に塗布後、乾燥固化されるため還元雰囲気下での熱処理で繊維状有機物質を炭化させると吸着層2内に均一に連通孔7を形成することができる。これにより、吸着層2内に存在する活性炭16に均一に流体を供給することができるため、塩素化有機化合物を効率良く吸着除去することができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。
【0058】
タルク、カオリン、アルミナの1次原料を用い、スプレードライヤー装置によりバインダを添加した形で造粒し、冷間静水圧プレス成形法で成形し、切削加工を施した。その後、大気雰囲気にて1300〜1450℃の温度で焼成を行い開口端部外形φ18.5mm、閉鎖端側外形17.0mm、厚さ2mm、長さ95mmのコージェライトの多孔質焼結体からなる有底円筒型状の支持体を得た。
【0059】
このとき、添加するタルク、カオリン、アルミナの比率は、コージェライトの理論組成であるMgO:13.7質量%、SiO2:51.4質量%、Al2O3:34.9質量%となるように調整した。
【0060】
次に上述のような支持体をいくつか作製し、それに塩素化有機化合物を吸着させるための吸着層を形成させた。
【0061】
上記吸着層は、表1に示すサンプル▲1▼〜▲5▼のように平均粒子径の異なる数種の活性炭と、接合材として活性アルミナと、繊維状有機物として寒天を10:2:5の割合で混合して混合液を作製し、この混合液を支持体の内壁面に塗布した後に、乾燥、550℃熱処理を行う工程を数回繰り返し支持体内壁面に形成させた。
【0062】
次に、実際に塩素化有機化合物を含んだ150℃前後の温度の排ガスをゴミ焼却炉から採取して図1に示すようなサンプル▲1▼〜▲5▼のフィルタを組み込んだ採取器にそれぞれ通過させる試験を実施した。なお、表1の従来技術は平均細孔径が4μmの炭素系繊維状活性炭を15重量%と平均繊維径が13μmの炭素繊維を65重量%、および平均繊維径が13μmのガラス繊維を30重量%を混合し、セルロース系のバインダを加えて作製した成形原料を、有低円筒型状に成形したフィルタを組み込んだ採取器を用いた。
【0063】
具体的には、塩素化有機化合物を含む排ガスを煙道より採取し、この排ガスを図1に示すフィルタのサンプルに供給し、ダストや塩素化有機化合物を捕集させた後、このフィルタでは捕集できなかった透過排ガス中に含まれるダストや塩素化有機化合物を、このフィルタ下流側に設置した厚生省が定める「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定標準法」(以下従来法と記載)で捕集することによって、上記フィルタからリークした塩素化有機化合物の量を測定した。試験は、吸引ポンプを用いて排ガスを等速吸引により、3Nm3のガス量を吸引させ実施した。
【0064】
そして、このフィルタから塩素化有機化合物を一般的によく用いられているソックスレー抽出法により抽出した。結果を表1に示す。なお、判定の基準としては、○は塩素化有機化合物リーク量が5%未満、×は塩素化有機化合物リーク量が5%以上とした。
【0065】
【表1】
【0066】
その結果、活性炭の平均粒子径が本発明の塩素化有機化合物採取用フィルタは従来技術にあるフィルタと比較して、ダイオキシン捕集率が優れていることが分かった。
【0067】
また、活性炭平均粒子径が0.1μm未満の場合は、活性炭平均粒子径が小さいために、吸着層前駆体である成膜液が支持体細孔径に吸い込まれて支持体表面に吸着層を形成できずに、塩素化有機化合物のリーク量が多くなるという結果になった。また、活性炭平均粒子径が500μmを超えると、粒径が大きくなりすぎて接合剤では十分な接合強度が得られず、支持体より活性炭粒子の脱粒が発生した。
【0068】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体の表面に、活性炭を塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材で接合したことにより、フィルタの支持体表面に塩素化有機化合物を採取できる活性炭を接合するだけでなく、活性炭を接合する接合剤にも塩素化有機化合物を採取可能に構成したので、塩素化有機化合物の採取効率を格段に向上させることができるとともに、接合材が支持体と活性炭とを強固に連結しているので、採取効率を落とさずに接合強度を充分得ることができる。
【0069】
これにより、導入管や被覆部等の塩素化有機化合物採取器を構成する部品に塩素化有機化合物採取用フィルタを取り付ける際に、フィルタを誤って破損させてしまうことが無くなり取り扱いが容易となる。
【0070】
そして、粒状の活性炭を使用することで、従来から用いられていた繊維状活性炭と比較して、通過する流体と活性炭との接触面積、接触時間を大きく取ることができ、そのため活性炭表面に存在する塩素化有機化合物を採取するためのミクロ孔と塩素化有機化合物の接触確率が大きくなるため、採取性能を向上させることができるとともに透過抵抗を抑制することができる。
【0071】
さらに、活性炭と塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材の前駆体と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液をコージェライトの支持体表面にコーティングした後に乾燥させ、還元雰囲気下で熱処理を行うことで上記繊維状有機物を炭素化することにより、炭化後の繊維状有機物の位置に連通孔が形成され、機械的強度の優れたコージェライト支持体に結合材が活性炭を強固に接合しているために、機械的結合力を維持しながら供給される流体が優先的にこの連通孔を流れるようになるため、フィルタの強度が低下することなく全体に均一に流体を供給することができて流体の透過抵抗を抑制したフィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩素化有機化合物採取用フィルタを備えた採取器の断面図である。
【図2】本発明のフィルタの断面を示した図である。
【図3】フィルタの構造を説明する一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1:採取器
2:ホルダ
3:塩素化有機化合物採取用フィルタ
4:導入管
5:装着体
6:本体部
7:装着部
8:排出部
9:連結部
10:第1支持体
11:第2支持体
12:突出部
13:吸着層
14:支持体
15:支持体の粒子
16:粒状活性炭
17:接合材
18:連通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダスト(粉塵、煤塵)やダイオキシン類、ポリクロロビフェニル(PCB)、クロロフェノール、クロロベンゼン等から成る塩素化有機化合物を採取する塩素化有機化合物採取用フィルタ及びこれを用いた塩素化有機化合物採取器並びに採取用フィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業廃棄物や一般家庭ごみなどの廃棄物を焼却処理するための焼却施設から発生する排気ガス中には、ダスト(粉塵、煤塵)やダイオキシン類、ポリクロロビフェニル、クロロフェノール、クロロベンゼンなどの塩素化有機化合物が含まれている。
【0003】
ここで、ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ・パラ・ダイオキシン類(PCDDs)やポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)等の総称であり、周知の如く極めて毒性の強い環境汚染物質であるが、その中でも四塩化ジベンゾダイオキシン(T4CDDs)は特に最強の毒性物質として知られている。
【0004】
一方、PCB、クロロフェノール、クロロベンゼンなどの塩素化有機化合物は、ダイオキシン類に比べて毒性は弱いが、一定の条件下、例えば、焼却炉内でフライアッシュ中の種々の元素を触媒として排気ガスの温度範囲でダイオキシン類に変化しやすいことが判明しているため、ダイオキシン類と同様に環境汚染物質として認識されている。
【0005】
このため、環境保全の観点から、上述のような各種の塩素化有機化合物を排気ガスや廃水などの流体中から除去するための方策の確立が緊急の課題となっており、同時にこのような流体中に含まれる塩素化有機化合物を分析するための手法の確立が世界的規模で急がれている。
【0006】
ところで、流体中に含まれる塩素化有機化合物を分析する際には、先ず、分析対象となる流体から精密かつ正確に試料を入手する必要がある。例えば、排気ガス中に含まれる塩素化有機化合物を分析する場合は、排気ガスを含む空間、例えば排気ガスが流れる煙道から気体試料を一定量採取し、この気体試料中に含まれる各種の塩素化有機化合物を漏れなく確実に捕捉する必要がある。特に、上述のような環境汚染物質であるダイオキシン類は、気体試料中に含まれる量が極めて微量であり、また、粒子状態やガス状態などの各種の形態であって種類も多岐に渡るため、その精密な採取を無くしては信頼性の高い分析結果は期待できない。
【0007】
このため、従来から用いられている採取装置としては特許文献1があり、これらの採取装置ではフィルタ透過抵抗(圧力損失)を低くできるため繊維状炭素材から成るフィルタを用いて塩素化有機化合物を採取する採取器の構造が提案されている。
【0008】
一方、特許文献2、3にあるように、フィルタの支持体にコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)が用いられ、高温時におけるフィルタの強度及び耐熱衝撃性を改善した技術が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−349810号公報
【0010】
【特許文献2】特開平11−92215号公報
【0011】
【特許文献3】特開平11−349375号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示すような塩素化有機化合物採取用フィルタにおいては、透過抵抗を低く抑えるのに気孔率を大きくした繊維物質のみから構成されているので、塩素化有機化合物採取用フィルタの強度が小さくなり、塩素化有機化合物採取用フィルタを取り扱う際に、誤って塩素化有機化合物採取用フィルタを破損させるという問題点があった。
【0013】
また、塩素化有機化合物採取用フィルタの透過抵抗を小さくするために気孔率を大きくすると、塩素化有機化合物の一部が塩素化有機化合物採取用フィルタに捕集されずに排出されるという問題点があった。
【0014】
さらに、フィルタの機能として繊維状材料が用いられているので、選択した材質の気孔率が小さく比表面積が小さかったり、気体の通過しやすい連通孔を有するといった理由で採取効率が悪くなり、十分な塩素化有機化合物を採取することができなくなるという問題点を有していた。
【0015】
一方、特許文献2、3に記載のコージェライトから構成されるフィルタは、高温での使用を目的としたものであり、ダスト(粉塵、煤塵)を補集することは可能であるが、ガス状の塩素化有機化合物を吸着する吸着剤がフィルタに担持されていないために、ガス状の塩素化有機化合物を捕集できないという問題点があった。
【0016】
本発明の上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、高強度でかつ塩素化有機化合物を高効率で捕集でき、かつ、取り扱いが容易な塩素化有機化合物採取用フィルタ及びこれを用いた塩素化有機化合物採取器並びに採取用フィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の塩素化有機化合物採取用フィルタは、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体の表面に、活性炭を塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材で接合したものである。
【0018】
また、上記接合材が活性アルミナ、シリカ、または炭化物の内の少なくとも1種からなり、そして、上記活性炭の平均粒子径が0.1〜500μmの粒状で構成されている。
【0019】
また、塩素化有機化合物を含む試料を導入するための導入管と、該導入管に接続された請求項1〜3にそれぞれ記載の塩素化有機化合物採取用フィルタと、該塩素化有機化合物採取用フィルタに通過させた流体を外部に排出するための排出管と、少なくとも上記塩素化有機化合物採取用フィルタを被覆する被覆部とから構成されている。
【0020】
また、本発明に係る塩素化有機化合物採取用フィルタの製造方法としては、活性炭と塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材の前駆体と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液を得る工程と、該混合液をコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)からなる支持体表面にコーティングした後に乾燥させる工程と、還元雰囲気下で熱処理を行うことで上記繊維状有機物を炭素化する工程とからなるものである。
【0021】
【作用】
本発明の構成によれば、フィルタの支持体表面に塩素化有機化合物を採取できる活性炭を接合するだけでなく、活性炭を接合する接合剤にも塩素化有機化合物を採取可能に構成したので、塩素化有機化合物の採取効率を格段に向上させることができるとともに、接合材が支持体と活性炭とを強固に連結しているので、採取効率を落とさずに接合強度を充分得ることができる。
【0022】
そして、粒状の活性炭を使用することで、従来から用いられていた繊維状活性炭と比較して、通過する流体と活性炭との接触面積、接触時間を大きく取ることができ、そのため活性炭表面に存在する塩素化有機化合物を採取するためのミクロ孔と塩素化有機化合物の接触確率が大きくなるため、採取性能が向上することができるととともに透過抵抗を抑制することができる。
【0023】
さらに、活性炭と塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材の前駆体と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液をコージェライトの支持体表面にコーティングした後に乾燥させ、還元雰囲気下で熱処理を行うことで上記繊維状有機物を炭素化することにより、炭化後の繊維状有機物の位置に連通孔が形成され、機械的強度の優れたコージェライト支持体に結合材が活性炭を強固に接合しているために、機械的結合力を維持しながら供給される流体が優先的にこの連通孔を流れるようになるため、フィルタの強度が低下することなく全体に均一に流体を供給することができて流体の透過抵抗を抑制したフィルタを製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の塩素化有機化合物採取用フィルタ(以下、「フィルタ」というときもある)を備えた採取器の断面図であり、図2は、本発明のフィルタの断面を示した図であり、図3はフィルタの構造を説明する一部拡大断面図である。
【0026】
図1において、採取器1は、被覆部であるホルダ2内に、気体又は液体の試料中に含まれる塩素化有機化合物を捕捉して採取するための塩素化有機化合物採取用フィルタ3と、このフィルタ3に連結し、試料を塩素化有機化合物採取用フィルタ3内に導入する導入管4と、この導入管4をホルダ2に対して装着するための装着体5を備えている。
【0027】
ホルダ2は、透明なガラスからなる概ね円筒状の容器であり、フィルタ3の一部を収容可能な本体部6と、装着体5を装着するための装着部7と、気体試料を排出するための排出部8とを有している。装着部7は、本体部6の端部に一体に設けられており、直径が本体部6に比べて縮小されている。この装着部7は、外周面に螺旋溝が形成されており、また、端部に円形状の開口部を有している。
【0028】
排出部8は、本体部6の他方の端部に一体に設けられており、気体試料を外部に排出するための排出路と分岐路とを有している。分岐路は、排出部内を通過する気体試料の温度を測定するための温度計や熱電対などの測温器を排出部内に挿入するためのものである。
【0029】
フィルタ3は、図2に示すように、一端が閉鎖されかつ他端に試料を導入するための開口部30を有するカップ状に形成しており、開口部30側が装着体5で覆って支持し、閉鎖端側が開口部からホルダ2内に挿入されている。このフィルタ3は、通常、長さ50〜300mm、開口部側の外径12〜35mmの、閉鎖端側の外径10〜30mm、厚さ1〜10mmに設定されており、閉鎖端側の外径が開口部30側の端部の外径よりも小さく設定されたテーパー形状に形成されている。なお、このフィルタ3の詳細についてはさらに後述する。
【0030】
また、導入管4は、ホルダ2と同じくガラスからなる管状の部材であり、フィルタ3の開口部に対して着脱可能である。この導入管4は、一端に採取管を連結するための連結部9を有しており、また、他端が装着体5を貫通してフィルタ3の開口部内に着脱可能に挿入されている。
【0031】
更に、上記装着体5は、フィルタ3をホルダ2内で支持するための第1支持体10と、導入管4を第1支持体10に対して装着するための第2支持体11とを有している。第1支持体10は樹脂製または金属製の部材であり、フィルタ3の開口部30側の端部を支持するための穴部を有しており、穴部の内周面には、ホルダ2と一体化した装着部7の螺旋溝に対応する螺旋溝が形成されている。第1支持体10は、その螺旋溝によりホルダ2の装着部7に螺着されている。
【0032】
また、第1支持体10は図上で左方向に突出する突出部12を有している。この突出部12は導入管4の先端部を挿入可能な貫通孔を有しており、また、外周面が螺旋溝に形成している。
【0033】
一方、第2支持体11は、第1支持体10と同じく樹脂製または金属製の部材であって内周面に螺旋溝が形成された蓋状に形成されており、導入管4を挿入するための貫通孔を有している。この第2支持体11は、貫通孔に導入管4が挿入された状態で螺旋溝により第1支持体10の突出部12の螺旋溝に螺着されている。
【0034】
このような採取器1に装着されたフィルタ3は、ホルダ2から取り外し可能に構成されている。この場合は、装着体5の第2支持体11を第1支持体10から取り外し、導入管4をフィルタ3から抜き取る。そして、第1支持体10をホルダ2から取り外すと、フィルタ3は第1支持体10により支持されつつホルダ2から取り出される。
【0035】
次に、上述の採取器1において用いられる塩素化有機化合物採取用フィルタ3の詳細について説明する。
【0036】
図2に示すようにフィルタ3の支持体14は、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体14の表面に、吸着層13が形成されている。吸着層13は、図3に示すように活性炭16とそれらを強固に接着する接合材17とから構成されている。
【0037】
本発明の支持体14の気孔率としては、アルキメデス法により測定して30〜45%のものが用いられ、平均細孔径(水銀圧入法による測定)についてはタルク、カオリン、ハイジライト又はアルミナの1次原料粒径によるが、空孔形成剤、組成、焼成条件をコントロールすることにより10〜200μmまでの調整が可能である。また、熱膨張係数(JIS R1618−1994に準拠して測定)は室温から800℃で2.0〜3.0×10−6/℃、3点曲げ強度(JIS R1601−1995に準拠して測定)は10MPa以上、耐熱衝撃性(投下式水中急冷法により測定)は800℃以上の特性を有している。なお、本発明の支持体14の形状としては、図2では円錐のカップ状に形成したもので示したがこれに限定されず、有底円筒形状、単なる円筒状、ハニカム形状等、どのような形状でも対応可能である。
【0038】
吸着層2の膜厚は0.1mm〜5mmの間が好ましい。吸着層2の膜厚を0.1〜5mmとしたのは、0.1mmより薄い膜厚では充分な吸着性能が得られず、5mmより厚い膜厚では流体が透過する際の透過抵抗が大きくなるからである。また、吸着層が5mmをこえると吸着層にクラックが発生するため、製造するのは実施困難である。さらに好適な膜厚は0.5〜3mmである。
【0039】
吸着層2に用いる接合材17は、活性炭16の粒子間に介在し活性炭16の粒子同士を連結して支持体14表面に活性炭16を強固に結合させている。具体的には図3に示すように、接合材17が活性炭16の粒子間及び支持体14の粒子間に入り込んで強固に支持体14表面より活性炭16が脱落するのを防止すると同時に、それ自身も塩素化有機化合物を吸着する役割を担い、塩素化有機化合物採取用フィルタの吸着効率を高めている。
【0040】
また、本発明に用いられる活性炭16の粒子表面に存在するミクロ孔平均細孔の径は2〜14nmが好ましく、より好ましくは2〜5nmである。活性炭16の粒子表面のミクロ孔平均細孔の径が2nm以上である理由は、ダイオキシン類、コプラナーPCBをはじめとするポリクロロビフェニル類、クロロフェノール、クロロベンゼン等から成る塩素化有機化合物の分子径が約2nmであり、これらを効率的に吸着するためには約2nm以上のミクロ孔サイズが適切であるためである。
【0041】
また、活性炭16は、流体中からの塩素化有機化合物の吸着除去に優れたものからなり、その平均粒径は500μm以下が好ましく、より好ましくは平均粒径が0.1〜300μmが用いられる。活性炭16の粒子径が0.1μmよりも小さくなると、支持体14の空隙に活性炭16が浸透し、充分な塩素化有機物を吸着できる吸着層2の厚みが得られず、また、活性炭16の粒子径が500μmよりも大きくなると、その粒子間を上記接合材17が埋めることができなくなり、その結果、充分な接着効果が得られないために、活性炭16が支持体14より脱落してしまう。
【0042】
接合材17は、塩素化有機化合物に対し吸着効果を有する活性アルミナ、シリカ、または炭化物から選ばれた少なくとも一種の材料より構成されている。
【0043】
また、結合材17に用いる活性アルミナとしては、X線回折におけるAl2O3結晶相の主ピークが2θ=43.1〜67.4°に存在するアルミナを用いるのが良い。この範囲のアルミナであれば、粒子中面に無数の細孔を有するアルミナとすることが可能であり、塩素化有機化合物を吸着する吸着剤として機能する。上記範囲外のものは粒子中に細孔がほとんど存在しないため、吸着剤としては機能するのは困難である。
【0044】
活性アルミナとしてはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ―アルミナが挙げられる。また、活性アルミナの粒子中のミクロ孔平均細孔径は2〜14nmであり、いずれも適用可能であるが、好適には2〜5nmが望ましい。
【0045】
この活性アルミナに存在するミクロ孔平均細孔の径が2nm以上である理由は、活性炭16のミクロ孔平均細孔の径を規定した理由とおなじである。
【0046】
また、炭化物としては、塩素化有機化合物に対し吸着性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、通常、ポリアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、レーヨンなどの合成樹脂、ポリイミド樹脂、ピッチもしくはタールといった公知の各種炭素前駆体を還元雰囲気下で熱処理し炭素化したもの、あるいは賦活して活性を持たせたものが挙げられる。
【0047】
次に上記塩素化有機化合物採取用フィルタの製造方法について説明する。
【0048】
本発明の支持体となる支持体14の製造方法としては、まず焼成後にコージェライト組成とするためにタルク(3MgO・4SiO2・H2O)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、ハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)の3種の1次原料を用いる。そして、これらの3種の1次原料をバインダとともに混合してスラリー化し、スプレードライヤーや転動造粒法等の各種造粒法により造粒した後、プレス成形法や冷間静水圧プレス成型法等の種々の成形方法を用いて成形し、酸化又は還元雰囲気中にて1300℃〜1450℃の温度域で焼成を行う。
【0049】
このとき、焼成後に主結晶相の2MgO・2Al2O3・5SiO2(コージェライト)中に副結晶相のAl2O3(アルミナ)を存在させる方法として、1次原料のハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)の粒径の大きなものを使用する。具体的には平均粒径が30〜120μmのものを使用すれば、副結晶相のAl2O3(アルミナ)を上記支持体14の組織中に存在させることが可能となる。従来は、より反応を促進させ組織全体をコージェライト化させようとするのにハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)の平均粒径は30μmより小さなものを使用するが、本発明では、あえて30μm以上のものを使用することにより、焼成時に未反応のアルミナを上記支持体14組織中に残留させることで特に耐食性の向上を図っている。
【0050】
また、平均粒径が120μmより大きな粒径のものを使用すると、上記支持体14の組織中に副結晶相のAl2O3(アルミナ)を残留させることは可能であるが、熱膨張係数の高いアルミナの特性が上記支持体14全体の熱膨張係数に反映され、耐熱衝撃性等の低下を招くばかりか、あまりにも大きな粒径のものを使用すると、焼成時の降温中にアルミナとコージェライトの熱膨張差による応力が発生し、その影響で焼結体自体が破損してしまう恐れがある。また、上記ハイジライト(Al(OH)3)またはアルミナ(Al2O3)粒径のより好適範囲としては平均粒径が40〜100μmである。なお、上述の平均粒径はレーザー回折散乱法で測定する。
【0051】
更にアルミナ以外の1次原料の平均粒径としては、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)が30〜100μm、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)が5〜30μm含有している。
【0052】
ここで、上記タルク、カオリンの粒径を上記範囲としたのは、下限値より小さいと上記支持体14の平均細孔径が小さくなり、これに吸着層2を成膜してフィルタとして用いた場合に、圧力損失の増大を招き、また、上限値より大きいと上記支持体14の平均細孔径が大きくなり、後に述べる上記吸着層2前駆体の成膜液を上記支持体14に成膜する際、その成膜液が支持体14の細孔内に浸透し、吸着層2が形成されない恐れがある上、支持体14の強度が著しく低下してしまうからである。
【0053】
また、吸着層2は、活性炭16と接合材17と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液を作製し、この混合液をコージェライトの支持体14の表面にコーティングした後、乾燥させ、還元雰囲気下で熱処理することで、上記繊維状有機物を炭化することにより製造される。
【0054】
上記混合液は接合材17、活性炭16及び繊維状有機物を、少量の適当な溶剤に加えてスラリー状にして作製する。溶剤は接合材17や繊維状物質が均一に分散できるものであれば特に限定はされないが、例えば、水、低級アルコール類、ケトン類等が挙げられる。還元雰囲気下での熱処理の温度範囲は300℃〜1000℃が好ましく、この温度範囲内で接合材17や繊維状有機物が炭化し、また活性炭表面に存在するミクロ孔に既に入り込んだ異物を除去し前記ミクロ孔を活性化させるための温度を選定し熱処理を行う。また、接合材17や繊維状有機物を炭化させるにあたり、部分的に炭化している状態でも構わない。
【0055】
この繊維状有機物は、フィルタ3の透過抵抗が高くならないための連通孔を形成するのに用いられる。即ち、混合液は、活性炭16とともに繊維状有機物が接合材17中に均一に分散しており、これを支持体14に塗布して熱処理することにより繊維状有機物を炭素化させ、吸着層13中の接合材17内に連通孔7を形成している。繊維状有機物としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、エチレンオキシド−プロピレンオキシド、ポリメタクリル酸メチル、寒天、でん粉等が挙げられるが、液状でゲル化するものが特に好ましい。接合材17と活性炭16のみを混合し吸着層13を形成させると、活性炭16の粒子間に存在する緻密な接合材17の影響で透過抵抗が大きくなるのに対して、繊維状物質を添加し連通孔7を設けることにより、流体が連通孔7内を選択的に流れるために透過抵抗を小さくすることができる。
【0056】
なお、繊維状物質は混合液中に均一に分散し、均一に分散している状態で支持体に塗布後、乾燥固化されるため還元雰囲気下での熱処理で繊維状有機物質を炭化させると吸着層2内に均一に連通孔7を形成することができる。これにより、吸着層2内に存在する活性炭16に均一に流体を供給することができるため、塩素化有機化合物を効率良く吸着除去することができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。
【0058】
タルク、カオリン、アルミナの1次原料を用い、スプレードライヤー装置によりバインダを添加した形で造粒し、冷間静水圧プレス成形法で成形し、切削加工を施した。その後、大気雰囲気にて1300〜1450℃の温度で焼成を行い開口端部外形φ18.5mm、閉鎖端側外形17.0mm、厚さ2mm、長さ95mmのコージェライトの多孔質焼結体からなる有底円筒型状の支持体を得た。
【0059】
このとき、添加するタルク、カオリン、アルミナの比率は、コージェライトの理論組成であるMgO:13.7質量%、SiO2:51.4質量%、Al2O3:34.9質量%となるように調整した。
【0060】
次に上述のような支持体をいくつか作製し、それに塩素化有機化合物を吸着させるための吸着層を形成させた。
【0061】
上記吸着層は、表1に示すサンプル▲1▼〜▲5▼のように平均粒子径の異なる数種の活性炭と、接合材として活性アルミナと、繊維状有機物として寒天を10:2:5の割合で混合して混合液を作製し、この混合液を支持体の内壁面に塗布した後に、乾燥、550℃熱処理を行う工程を数回繰り返し支持体内壁面に形成させた。
【0062】
次に、実際に塩素化有機化合物を含んだ150℃前後の温度の排ガスをゴミ焼却炉から採取して図1に示すようなサンプル▲1▼〜▲5▼のフィルタを組み込んだ採取器にそれぞれ通過させる試験を実施した。なお、表1の従来技術は平均細孔径が4μmの炭素系繊維状活性炭を15重量%と平均繊維径が13μmの炭素繊維を65重量%、および平均繊維径が13μmのガラス繊維を30重量%を混合し、セルロース系のバインダを加えて作製した成形原料を、有低円筒型状に成形したフィルタを組み込んだ採取器を用いた。
【0063】
具体的には、塩素化有機化合物を含む排ガスを煙道より採取し、この排ガスを図1に示すフィルタのサンプルに供給し、ダストや塩素化有機化合物を捕集させた後、このフィルタでは捕集できなかった透過排ガス中に含まれるダストや塩素化有機化合物を、このフィルタ下流側に設置した厚生省が定める「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定標準法」(以下従来法と記載)で捕集することによって、上記フィルタからリークした塩素化有機化合物の量を測定した。試験は、吸引ポンプを用いて排ガスを等速吸引により、3Nm3のガス量を吸引させ実施した。
【0064】
そして、このフィルタから塩素化有機化合物を一般的によく用いられているソックスレー抽出法により抽出した。結果を表1に示す。なお、判定の基準としては、○は塩素化有機化合物リーク量が5%未満、×は塩素化有機化合物リーク量が5%以上とした。
【0065】
【表1】
【0066】
その結果、活性炭の平均粒子径が本発明の塩素化有機化合物採取用フィルタは従来技術にあるフィルタと比較して、ダイオキシン捕集率が優れていることが分かった。
【0067】
また、活性炭平均粒子径が0.1μm未満の場合は、活性炭平均粒子径が小さいために、吸着層前駆体である成膜液が支持体細孔径に吸い込まれて支持体表面に吸着層を形成できずに、塩素化有機化合物のリーク量が多くなるという結果になった。また、活性炭平均粒子径が500μmを超えると、粒径が大きくなりすぎて接合剤では十分な接合強度が得られず、支持体より活性炭粒子の脱粒が発生した。
【0068】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体の表面に、活性炭を塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材で接合したことにより、フィルタの支持体表面に塩素化有機化合物を採取できる活性炭を接合するだけでなく、活性炭を接合する接合剤にも塩素化有機化合物を採取可能に構成したので、塩素化有機化合物の採取効率を格段に向上させることができるとともに、接合材が支持体と活性炭とを強固に連結しているので、採取効率を落とさずに接合強度を充分得ることができる。
【0069】
これにより、導入管や被覆部等の塩素化有機化合物採取器を構成する部品に塩素化有機化合物採取用フィルタを取り付ける際に、フィルタを誤って破損させてしまうことが無くなり取り扱いが容易となる。
【0070】
そして、粒状の活性炭を使用することで、従来から用いられていた繊維状活性炭と比較して、通過する流体と活性炭との接触面積、接触時間を大きく取ることができ、そのため活性炭表面に存在する塩素化有機化合物を採取するためのミクロ孔と塩素化有機化合物の接触確率が大きくなるため、採取性能を向上させることができるとともに透過抵抗を抑制することができる。
【0071】
さらに、活性炭と塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材の前駆体と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液をコージェライトの支持体表面にコーティングした後に乾燥させ、還元雰囲気下で熱処理を行うことで上記繊維状有機物を炭素化することにより、炭化後の繊維状有機物の位置に連通孔が形成され、機械的強度の優れたコージェライト支持体に結合材が活性炭を強固に接合しているために、機械的結合力を維持しながら供給される流体が優先的にこの連通孔を流れるようになるため、フィルタの強度が低下することなく全体に均一に流体を供給することができて流体の透過抵抗を抑制したフィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩素化有機化合物採取用フィルタを備えた採取器の断面図である。
【図2】本発明のフィルタの断面を示した図である。
【図3】フィルタの構造を説明する一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1:採取器
2:ホルダ
3:塩素化有機化合物採取用フィルタ
4:導入管
5:装着体
6:本体部
7:装着部
8:排出部
9:連結部
10:第1支持体
11:第2支持体
12:突出部
13:吸着層
14:支持体
15:支持体の粒子
16:粒状活性炭
17:接合材
18:連通孔
Claims (5)
- コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を主結晶相とする多孔質焼結体からなる支持体の表面に、活性炭を塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材で接合したことを特徴とする塩素化有機化合物採取用フィルタ。
- 上記接合材が活性アルミナ、シリカ、または炭化物のうち少なくとも1種から成ることを特徴とする請求項1に記載の塩素化有機化合物採取用フィルタ。
- 上記活性炭の平均粒子径が0.1〜500μmの粒状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塩素化有機化合物採取用フィルタ。
- 塩素化有機化合物を含む試料を導入するための導入管と、該導入管に接続された請求項1〜3にそれぞれ記載の塩素化有機化合物採取用フィルタと、該塩素化有機化合物採取用フィルタに通過させた流体を外部に排出するための排出管と、少なくとも上記塩素化有機化合物採取用フィルタを被覆する被覆部とからなることを特徴とする採取器。
- 活性炭と塩素化有機化合物に対し吸着性を有する接合材の前駆体と繊維状有機物とを溶剤に混合してなる混合液を得る工程と、該混合液をコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)からなる支持体表面にコーティングした後に乾燥させる工程と、還元雰囲気下で熱処理を行うことで上記繊維状有機物を炭素化する工程とからなる塩素化有機化合物採取用フィルタの製造方法。
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JP2003118969A JP2004321909A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 塩素化有機化合物採取用フィルタ及びこれを用いた採取器並びにその採取用フィルタの製造方法 |
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CN109276949A (zh) * | 2018-11-27 | 2019-01-29 | 徐州力奥新能源设备有限公司 | 一种用于新能源设备的滤料的配方 |
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2003
- 2003-04-23 JP JP2003118969A patent/JP2004321909A/ja active Pending
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