JP2001349811A - 塩素化有機化合物の採取器、塩素化有機化合物の採取方法および塩素化有機化合物の採取用補助フイルター - Google Patents

塩素化有機化合物の採取器、塩素化有機化合物の採取方法および塩素化有機化合物の採取用補助フイルター

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JP2001349811A
JP2001349811A JP2000173749A JP2000173749A JP2001349811A JP 2001349811 A JP2001349811 A JP 2001349811A JP 2000173749 A JP2000173749 A JP 2000173749A JP 2000173749 A JP2000173749 A JP 2000173749A JP 2001349811 A JP2001349811 A JP 2001349811A
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Katsuhisa Honda
克久 本田
Muneshiro Ouchi
宗城 大内
Masazumi Yamashita
正純 山下
Yasushi Nakamura
裕史 中村
Osamu Kajikawa
修 梶川
Takatomo Fujii
孝友 藤井
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Miura Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Miura Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気ガス等の流体中に含まれる粒子状態およ
びガス状態の両方の形態の各種の塩素化有機化合物を簡
便かつ容易に採取する。 【解決手段】 採取器3は、第1容器40内に配置され
た補助フイルター42と、第2容器50内に配置された
採取用フイルター51と、第1容器40と第2容器50
とを連結するための連結管32とを主に備えており、各
容器40,50および連結管32は一連の容器を構成し
ている。輸送管4を経由して輸送される排気ガスは、補
助フイルター42および採取用フイルター51をこの順
に通過し、排出路55aから吸引器5を経由して外部に
排出される。この際、排気ガス中に含まれる粒子状態お
よびガス状態の両方の形態の各種の塩素化有機化合物
は、煤塵類と共に繊維材料を含む補助フイルター42お
よび採取用フイルター51により捕捉されて採取され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、採取器、特に、塩
素化有機化合物の採取器に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】産業廃棄物や一般家庭ごみな
どの廃棄物を焼却処理するための焼却施設から発生する
排気ガス中には、ダイオキシン類、コプラナーPCBを
はじめとするポリクロロビフェニル類、クロロフェノー
ルおよびクロロベンゼンなどの各種の塩素化有機化合物
が含まれている。
【0003】ここで、ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベ
ンゾ・パラ・ダイオキシン類(PCDDs)やポリ塩化
ジベンゾフラン類(PCDFs)等の総称であり、周知
の如く極めて毒性の強い環境汚染物質であるが、その中
でも四塩化ジベンゾダイオキシン(T4CDDs)は特
に最強の毒性物質として知られている。また、ポリクロ
ロビフェニル類は、同様に毒性の強い環境汚染物質であ
るが、その中でも、コプラナーPCBはダイオキシン類
と同じく最強の毒性物質として認知されている。一方、
クロロフェノールやクロロベンゼンなどの塩素化有機化
合物は、ダイオキシン類に比べて毒性は弱いが、一定の
条件下、例えば、焼却炉内でフライアッシュ中に含まれ
る種々の元素を触媒として排気ガスの温度範囲でダイオ
キシン類に変化しやすいことが判明しているため、ダイ
オキシン類と同様に環境汚染物質として認識されてい
る。このため、環境保全の観点から、上述のような各種
の塩素化有機化合物を排気ガスや廃水などの流体中から
除去するための方策の確立が緊急の課題となっており、
同時にこのような流体中に含まれる塩素化有機化合物を
分析するための手法の確立が世界的規模で急がれてい
る。
【0004】ところで、流体中に含まれる塩素化有機化
合物を分析する際には、先ず、分析対象となる流体から
精密かつ正確に試料を入手する必要がある。例えば、排
気ガス中に含まれる塩素化有機化合物を分析する場合
は、排気ガスを含む空間、例えば排気ガスが流れる煙道
から試料ガスを一定量採取し、この試料ガス中に含まれ
る各種の塩素化有機化合物を漏れなく確実に捕捉する必
要がある。特に、上述のような環境汚染物質であるダイ
オキシン類やコプラナーPCBは、試料ガス中に含まれ
る量が極めて微量であり、また、粒子状態やガス状態な
どの各種の形態であって種類も多岐に渡るため、その精
密な採取を無くしては信頼性の高い分析結果は期待でき
ない。また、上述のコプラナーPCBは、大気中に多く
含まれているため、そのようなコプラナーPCBにより
試料ガスが汚染されると、同じく信頼性の高い分析結果
は期待できない。このため、我国、米国およびヨーロッ
パの各国は、分析結果の正確性を担保するために、例え
ば排気ガス中に含まれるダイオキシン類やコプラナーP
CB等の塩素化有機化合物を分析するために必要な試料
の採取方法を公的に規定しつつある。
【0005】例えば、平成11年9月20日制定の日本
工業規格JIS K 0311:1999は、「排ガス
中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法」
を規定しており、そこにおいてダイオキシン類などの塩
素化有機化合物を含む試料ガスの採取装置を具体的に例
示している。この採取装置は、焼却装置の排気ガスが流
れる煙道から試料ガスを採取するための採取管、採取管
により採取された試料ガス中に含まれる主に粒子状態の
塩素化有機化合物を捕捉するためのフイルター材を備え
た第1捕捉器、および第1捕捉器で捕捉されにくいガス
状態の塩素化有機化合物を捕捉するための第2捕捉器を
主に備えている。ここで、第2捕捉器は、主に、吸収液
を入れた複数のガラス製インピンジャーからなる液体捕
集部と吸着剤(例えばXAD−2)を配置した吸着捕集
部とを備え、第1捕捉器で捕捉されないガス状態の塩素
化有機化合物をインピンジャー内の吸収液と吸着剤とに
より捕捉し得るように構成されている。
【0006】このような採取装置は、第1捕捉器と第2
捕捉器とを備えた複雑な構成を有し、しかもガラス製器
具を多用していることから高価であるため、繰り返して
利用する場合が多い。この場合、測定データの信頼性を
確保するためにインピンジャーをはじめとする各部材を
清浄に保つ必要があるので、試料ガスを採取する前の洗
浄操作等の準備操作が非常に煩雑になる。また、試料ガ
ス中に含まれるガス状態の塩素化有機化合物を第2捕捉
器で捕捉する際には、第2捕捉器をドライアイス等の冷
却材を用いて冷却する必要があり、試料の採取操作その
ものも非常に煩雑になる。さらに、試料ガスの採取後に
おいては、第1捕捉器および第2捕捉器により捕捉され
た塩素化有機化合物を抽出する必要があるが、ここでは
第1捕捉器および構成が複雑な第2捕捉器によりそれぞ
れ捕捉された塩素化有機化合物を個別に抽出する必要が
あるため、抽出操作そのものが煩雑であって完了までに
長時間を要し、また、抽出操作の巧拙により分析結果の
信頼性が左右される場合も多い。さらに、この採取装置
は、第1捕捉器および第2捕捉器の2種類の捕捉器から
なるため必然的に大型化し、しかもガラス器具を多用し
ていることから破損し易いので、試料ガス採取時の取扱
いや運搬も困難である。
【0007】一方、米国の環境保護庁(EPA)およびヨ
ーロッパ規格委員会(CEN)もそれぞれ独自の公定法を
定めているが、そこに示されている採取装置は、上述の
ような日本のものとは細部において異なるものの、構成
の複雑さや取扱の困難性などの点においては大きな変わ
りはない。
【0008】本発明の目的は、流体中に含まれる粒子状
態およびガス状態の両方の形態の各種の塩素化有機化合
物を簡便かつ容易に採取可能な採取器を実現することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る塩素化有機
化合物の採取器は、輸送管内を流れる流体中に含まれる
塩素化有機化合物を採取するためのものであり、前記輸
送管からの流体を通過させるための補助フイルターと、
当該補助フイルターを通過した流体を続けて通過させか
つ補助フイルターを通過した流体中に含まれる塩素化有
機化合物を流体から取り除いて採取するための採取用フ
イルターと、補助フイルターと採取用フイルターとを収
容しかつ採取用フイルターを通過した流体を外部に排出
するための排出口を有する容器とを備えている。ここ
で、補助フイルターは、ろ紙と、第1繊維材料を含みか
つろ紙の片側に配置された相とを備えている。
【0010】このような採取器において用いられる補助
フイルターは、例えば、ろ紙と、当該ろ紙に対して積層
されかつ第1繊維材料および第1繊維材料同士を結合す
るための第1無機系結合材を含む、流体通過性を有する
第1成形体とを備えている。
【0011】また、補助フイルターに用いられる第1繊
維材料は、例えば、繊維状活性炭、炭素繊維、ガラス繊
維、アルミナ繊維、シリカ繊維およびテフロン(登録商
標)繊維からなる群から選択された少なくとも1種であ
る。一方、第1無機系結合材は、例えば、塩素化有機化
合物の吸着性を有している。この場合、第1無機系結合
材は、例えば、アルミナ、ゼオライトおよび二酸化ケイ
素からなる群から選択された少なくとも1種である。
【0012】一方、本発明の採取器において用いられる
採取用フイルターは、例えば、第2繊維材料と、当該第
2繊維材料同士を結合するための第2無機系結合材とを
含みかつ流体通過性を有する第2成形体からなる。
【0013】さらに、本発明の採取器において用いられ
る容器は、例えば、補助フイルターを収容するための第
1容器、採取用フイルターを収容するための第2容器お
よび第1容器と第2容器とを接続するための接続部を備
えている。
【0014】本発明に係る塩素化有機化合物の採取方法
は、輸送管を通じて閉鎖系内に流入する流体中に含まれ
る塩素化有機化合物を採取するための方法であり、閉鎖
系内において、ろ紙と、第1繊維材料を含みかつろ紙の
片側に配置された相とを備えた補助フイルターに輸送管
からの流体を通過させる工程と、上記閉鎖系内におい
て、補助フイルターを通過した流体を、当該流体中に含
まれる塩素化有機化合物を当該流体から取り除いて採取
するための採取用フイルターに続けて通過させる工程
と、採取用フイルターを通過した流体を上記閉鎖系外に
排出する工程とを含んでいる。
【0015】本発明に係る塩素化有機化合物の採取用補
助フイルターは、輸送管内を流れる流体中に含まれる塩
素化有機化合物を採取するに際に、流体を予備濾過処理
するためのものであり、ろ紙と、第1繊維材料を含みか
つろ紙の片側に配置された相とを備えている。
【0016】ここで、上記相は、例えば、ろ紙に対して
積層されかつ第1繊維材料および第1繊維材料同士を結
合するための第1無機系結合材を含む、流体通過性を有
する第1成形体からなる。または、上記相は、例えば、
ろ紙の片側に配置された第1繊維材料からなる。
【0017】
【作用】本発明に係る塩素化有機化合物の採取器を用い
て輸送管内を流れる流体中に含まれる塩素化有機化合物
を採取する場合は、輸送管内を流れる流体を容器内に収
容された補助フイルターおよび採取用フイルターに対し
てこの順に通過させる。この際、流体中に含まれる煤塵
類等の浮遊物は、主として補助フイルターにより採取さ
れる。また、流体中に含まれる粒子状態およびガス状態
の両方の形態のダイオキシン類やコプラナーPCBなど
の各種の塩素化有機化合物は、一部が補助フイルターに
より捕捉され、また、残余が採取用フイルターにより捕
捉され、これらのフイルターにより採取される。したが
って、採取用フイルターを通過した流体は、実質的に塩
素化有機化合物を含まない状態で容器の排出口から外部
に排出される。
【0018】本発明に係る塩素化有機化合物の採取方法
では、輸送管を通じて閉鎖系内に流入する流体を、当該
閉鎖系内において上述の補助フイルターおよび採取用フ
イルターに対してこの順で通過させている。この際、流
体中に含まれる煤塵類等の浮遊物は、主として補助フイ
ルターにより採取される。また、流体中に含まれる粒子
状態およびガス状態の両方の形態のダイオキシン類やコ
プラナーPCBなどの各種の塩素化有機化合物は、一部
が補助フイルターにより捕捉され、また、残余が採取用
フイルターにより捕捉され、これらのフイルターにより
採取される。したがって、採取用フイルターを通過した
流体は、実質的に塩素化有機化合物を含まない状態で閉
鎖系外に排出される。
【0019】本発明の塩素化有機化合物の採取用補助フ
イルターは、ろ紙の片側に配置された第1繊維材料から
なる相を備えているため、流体中に含まれる煤塵などの
浮遊物を、同じく流体中に含まれるダイオキシン類やコ
プラナーPCBなどの各種の塩素化有機化合物の一部と
共に捕捉することができる。このため、この補助フイル
ターは、流体中に含まれる浮遊物量が多い場合におい
て、例えば本発明に係る上述の採取器に用いられると、
採取用フイルター側の圧損の増加を抑制して採取用フイ
ルター側における流体の通過性を確保することができ、
また、採取用フイルターによる粒子状態およびガス状態
の両方の形態のダイオキシン類やコプラナーPCBなど
の各種の塩素化有機化合物の採取能力を安定に確保する
ことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1に、本発明に係る塩素化有機
化合物の採取器の一形態が採用された塩素化有機化合物
採取装置の概略構成を示す。この採取装置1は、流体の
うち、排気ガスなどの試料流体(試料ガス)に含まれる
塩素化有機化合物を採取するためのものである。図にお
いて、採取装置1は、採取管2、採取器3(本発明に係
る採取器の実施の一形態)、採取管2と採取器3とを連
結するための輸送管4および吸引器5を主に備えてい
る。
【0021】採取管2は、例えば、ほうけい酸ガラス製
または透明石英ガラス製のものであり、その内部を通過
する試料ガスを冷却するための冷却器6を有している。
【0022】採取器3は、第1採取器30、第2採取器
31および第1採取器30と第2採取器31とを連絡す
るための連絡管32(接続部の一例)を主に備えてい
る。図2を参照して、第1採取器30を説明する。図2
は第1採取器30の縦断面図であり、当該図において、
第1採取器30は、第1容器40および補助フイルター
42(本発明に係る補助フイルターの実施の一形態)を
主に備えている。
【0023】第1容器40は、概ね円筒状に形成された
ガラス製の部材であり、一端(図の左端)に径が縮小さ
れた縮小部41を有しており、また、その先端部に開口
部43を有している。また、第1容器40の他端(図の
右端)は、径が縮小されて管状の連結部44を形成して
いる。
【0024】補助フイルター42は、一端に開口部42
aを有しかつ他端が球面状に閉鎖した概ね円筒状の部材
であり、第1層45と、当該第1層45の内側(すなわ
ち片側)に積層された第2層46とを備えている。な
お、補助フイルター42の詳細については後述する。
【0025】補助フイルター42は、開口部42a側が
第1容器40の縮小部41内に着脱可能に嵌め込まれ、
第1容器40内で支持されている。このようにして第1
容器40内に支持された補助フイルター42の開口部4
2aには、輸送管4の一端に形成された第1連結部4a
が挿入されている。第1連結部4aは、先端部が縮小さ
れた概ね球状に形成されており、先端部が第1容器40
の縮小部41内に挿入されかつ補助フイルター42の開
口部42a内に挿入されている。なお、輸送管4の第1
連結部4aと縮小部41との隙間は、例えばシールテー
プ等の取り外し可能なシール材47により気密性が確保
されている。輸送管4の他端には、採取管2の一端を気
密に連結するための第2連結部4bが形成されている
(図1)。
【0026】このような第1採取器30に装着された補
助フイルター42は、第1容器40から取り出すことが
できる。この場合は、シール材47を取り外し、輸送管
4の第1連結部4aを第1容器40から取り外す。そし
て、補助フイルター42を第1容器40から抜き出す。
【0027】図3および図4(図3の縦断面図)を参照
して、第2採取器31の詳細を説明する。図において、
第2採取器31は、第2容器50、第2容器50内に配
置された、試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物を捕
捉して採取するための採取用フイルター51および連絡
管32を第2容器50に対して装着するための装着体5
2を主に備えている。
【0028】第2容器50は、透明なガラスからなる概
ね円筒状の容器であり、採取用フイルター51を収容可
能な本体部53と、装着体52を装着するための装着部
54と、試料ガスを排出するための排出部55とを主に
有している。装着部54は、本体部53の端部に一体に
設けられており、直径が本体部53に比べて縮小されて
いる。この装着部54は、外周面に螺旋溝54aが形成
されており、また、端部に開口部54bを有している。
【0029】排出部55は、本体部53の他方の端部に
一体に設けられており、試料ガスを外部に排出するため
の排出路55a(排出口の一例)と分岐路55bとを有
している。分岐路55bは、排出部55内を通過する試
料ガスの温度を測定するための温度計や熱電対などの測
温器56(図1)を排出部55内に挿入するためのもの
である。
【0030】採取用フイルター51は、一端が閉鎖され
かつ他端に試料ガスを導入するための開口部51aを有
する円筒状の多孔質の成形体、すなわち多孔質の円筒状
フイルターであり、開口部51a側が装着体52により
支持されつつ、閉鎖端側が開口部54bから第2容器5
0の本体部53内に挿入されている。採取用フイルター
51は、その大きさが特に限定されるものではないが、
通常は長さ50〜150mm、開口部51a側の端部の
外径12〜35mm、閉鎖端側の外径10〜30mm、
厚さ1〜10mmに設定されており、閉鎖端側の外径が
開口部51a側の端部の外径よりも小さく設定されたテ
ーパー形状に形成されている。なお、採取用フイルター
51の詳細についてはさらに後述する。
【0031】連絡管32は、ガラスからなる管状の部材
であり、採取用フイルター51の開口部51aに対して
着脱可能である。この連絡管32は、一端に第1採取器
30側の連結部44を挿入して気密に連結するための連
結部32aを有しており、また、他端が装着体52を貫
通して採取用フイルター51の開口部51a内に着脱可
能に挿入されている。
【0032】装着体52は、採取用フイルター51を第
2容器50内で支持するための第1支持体57と、連絡
管32を第1支持体57に対して装着するための第2支
持体58とを有している。第1支持体57は、樹脂製ま
たは金属製の部材であり、採取用フイルター51の開口
部51a側端部を支持するための穴部57aを有してい
る。穴部57aの内周面には、螺旋溝57bが形成され
ている。第1支持体57は、その螺旋溝57bにより第
2容器50の装着部54側の螺旋溝54aに螺旋止めさ
れている。また、第1支持体57は、図4の左方向に突
出する突出部59を有している。突出部59は、連絡管
32の先端部を挿入可能な貫通孔59aを有しており、
また、外周面に螺旋溝59bが形成されている。
【0033】一方、第2支持体58は、第1支持体57
と同じく樹脂製または金属製の部材であって内周面に螺
旋溝58aが形成された蓋状に形成されており、連絡管
32を挿入するための貫通孔58bを有している。この
第2支持体58は、貫通孔58bに連絡管32が挿入さ
れた状態で、螺旋溝58aにより第1支持体57の突出
部59の螺旋溝59bに螺旋止めされている。
【0034】このような第2採取器31に装着された採
取用フイルター51は、第2容器50から取り外すこと
ができる。この場合は、装着体52の第2支持体58を
第1支持体57から取り外し、連絡管32を採取用フイ
ルター51から抜き取る。そして、第1支持体57を第
2容器50から取り外すと、採取用フイルター51は第
1支持体57により支持されつつ第2容器50から取り
出される。
【0035】なお、上述のような採取器3において第1
採取器30の第1容器40と第2採取器31の第2容器
50とは、連絡管32により相互に接続されることによ
り一連の容器、すなわち、外気から隔絶可能な閉鎖系を
形成している。
【0036】吸引器5は、排気流路60と吸引装置61
とを備えている。排気流路60は、一端が管状ジョイン
ト62を用いて第2採取器31の排出路55aに連結さ
れており、また、第2採取器31側から順に冷却器63
とトラップ64とをこの順に有している。吸引装置61
は、排気流路60の下流端に取付けられており、吸引ポ
ンプ61aとガスメーター61bとをこの順に有してい
る。吸引ポンプ61aは、流量調節機能を有し、24時
間以上連続的に使用できるものである。また、ガスメー
ター61bは、試料ガスの流量を測定するするためのも
のであり、10〜40l/分の範囲を0.1l/分まで
測定できるものである。
【0037】次に、図2を参照して、上述の第1採取器
30において用いられる補助フイルター42の詳細を説
明する。補助フイルター42は、上述の通り、第1層4
5と、当該第1層45の内側に積層された第2層46と
を備えている。第1層45は、円筒ろ紙からなる。ここ
で用いられる円筒ろ紙は、ソックスレー抽出用や煤塵捕
集用等の市販の各種のものであって特に限定されるもの
ではないが、好ましくは煤塵捕集用のもの、より具体的
には、日本工業規格JIS Z 8808において規定
されている、ダスト捕集率が99%以上の煤塵捕集用の
円筒ろ紙である。
【0038】一方、第2層46は、第1層45、すなわ
ち上述の円筒ろ紙と相似形状であって、大きさが当該円
筒ろ紙の内部に挿入可能な大きさに設定された成形体
(第1成形体の一例。以下、第1成形体と称す)からな
る。この第1成形体は、繊維材料(以下、第1繊維材料
と称す)と無機系結合材(以下、第1無機系結合材と称
す)とを含んでおり、流体通過性(この実施の形態では
通気性)を有する、三次元網目構造に形成されている。
第2層46は、このような第1成形体からなる結果、第
1層45の内側、すなわち上述の円筒ろ紙の内側に、第
1繊維材料を含む相を形成することになる。
【0039】ここで用いられる第1繊維材料は、ダイオ
キシン類、その前駆体およびコプラナーPCB等の各種
の塩素化有機化合物と実質的に化学反応しないものであ
り、例えば、繊維状活性炭、炭素繊維、ガラス繊維、ア
ルミナ繊維(特に、活性アルミナ繊維)、シリカ繊維お
よびテフロン繊維などである。これらの第1繊維材料
は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上のも
のが併用されてもよい。なお、第1繊維材料の繊維径お
よび比表面積は、特に限定されるものではない。
【0040】但し、この第1繊維材料の平均アスペクト
比(長さ/直径)は、10,000以下、特に、1,0
00〜10,000が好ましい。第1繊維材料の平均ア
スペクト比が10,000を超える場合は、試料流体
(試料ガス)の採取途中において補助フイルター42の
圧損が増大する場合があり、その結果、上述のJIS規
格(JIS K 0311:1999)に規定された等
速吸引が困難になるおそれがある。
【0041】一方、この成形体に含まれる第1無機系結
合材は、第1繊維材料同士を結合して第1繊維材料から
なる群を一体化し、第1繊維材料からなる群に一定の成
形形状を付与する性質を有するもの、すなわち、第1繊
維材料からなる群を一定の成形形状に保持するバインダ
ーとして機能するものである。この実施の形態において
より具体的には、第1繊維材料からなる群を、上述の円
筒ろ紙の相似形状、すなわち一端が閉鎖された円筒状に
設定するためのものである。
【0042】ここで利用可能な第1無機系結合材は、上
述の性能を有し、しかも第1繊維材料と同様に塩素化有
機化合物と実質的に化学反応しないものであれば特に限
定されるものではないが、吸着性能、特に塩素化有機化
合物に対する吸着性能を有するものが好ましい。このよ
うな第1無機系結合材を用いた場合は、試料ガス中に多
量の塩素化有機化合物が含まれる場合であっても、当該
試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物を採取器3全体
でより確実に捕捉して採取することができる。
【0043】なお、このような吸着性能を有する第1無
機系結合材としては、例えば、アルミナ(特に、活性ア
ルミナ)、ゼオライト、二酸化ケイ素(シリカ)、酸性
白土およびアパタイトなどを挙げることができる。これ
らの第1無機系結合材は、それぞれ単独で用いられても
よいし、2種以上のものが併用されてもよい。また、第
1無機系結合材は、形態が特に限定されるものではない
が、通常は粒子状のものが用いられる。
【0044】ここで、ゼオライトは、一般式Xmn2n
・sH2Oで示される含水アルミノケイ酸塩であり、一
般式中、XはNa、CaまたはK等を、YはSi+Al
をそれぞれ示しており、また、sは不定である。このよ
うなゼオライトとしては、合成ゼオライトを用いるのが
好ましい。
【0045】上述のような第1無機系結合材のうち、本
発明では、タールの吸着性を有するものを用いるのが特
に好ましい。このような特徴を有する第1無機系結合材
を用いた場合、補助フイルター42は、例えば試料ガス
中に含まれる一酸化炭素等に由来して生成するタール
(詳細は後述)を効果的に吸着することができ、そのよ
うなタール中に溶け込んだダイオキシン類やコプラナー
PCB等の各種の塩素化有機化合物も捕捉して採取する
ことができる。なお、タールを吸着可能な第1無機系結
合材としては、アルミナ、ゼオライトおよび二酸化ケイ
素を例示することができる。アルミナとしては、活性ア
ルミナを用いるのが特に好ましい。これらのタールを吸
着可能な第1無機系結合材は、それぞれ単独で用いられ
てもよいし、2種以上のものが併用されてもよい。
【0046】上述のような第1繊維材料と第1無機系結
合材とを含む第1成形体は、嵩密度が0.05〜1g/
cm3に設定されているのが好ましく、0.1〜0.7
g/cm3に設定されているのがより好ましい。第1成
形体の嵩密度が0.05g/cm3未満の場合は、試料
ガス中に含まれる煤塵等の浮遊物が補助フイルター42
により捕捉されにくい場合があり、その結果、第2採取
器31において用いられる採取用フイルター51におけ
る圧損が増大し、試料ガスが当該採取用フイルター51
を通過しにくくなる可能性がある。逆に、嵩密度が1g
/cm3を超える場合は、補助フイルター42におい
て、試料ガス中に含まれる煤塵を捕捉した際に圧損が高
まるおそれがあり、その結果、試料ガスが補助フイルタ
ー42を通過しにくくなる可能性がある。また、補助フ
イルター42により採取された塩素化有機化合物を抽出
するための後述する抽出操作において、抽出率の低下を
招くおそれがある。
【0047】なお、第2層46を構成する第1成形体と
して好ましいものは、第1繊維材料として活性アルミナ
繊維を用い、第1無機系結合材として粒子状の活性アル
ミナを用いたものである。特に、このような成形体であ
って、さらに嵩密度が0.1〜0.7g/cm3の範囲
に設定されているものが最も好ましい。
【0048】上述のような第1成形体は、例えば、次の
ようにして製造することができる。先ず、上述の第1繊
維材料と第1無機系結合材とを含む成形材料を調製す
る。ここでは、第1無機系結合材を水中に分散した分散
液を調製し、この分散液中に第1繊維材料を加えて第1
無機系結合材と第1繊維材料とを均一に混合する。この
際、第1繊維材料と第1無機系結合材との混合割合は、
目的とする第1成形体の嵩密度が上述の範囲になるよう
適宜調整するのが好ましい。
【0049】次に、得られた成形材料を上述の所定の形
状、すなわち、一端が閉鎖された円筒状に成形し、成形
物を得る。ここでの成形方法としては、公知の各種の成
形方法、例えば、湿式金型成形法などを採用することが
できる。そして、得られた成形物を熱処理して焼結する
と、目的とする第1成形体が得られる。なお、焼結時の
温度は、特に限定されるものではないが、第1繊維材料
および第1無機系結合材の一方または両方としてアルミ
ナを用いる場合は、当該アルミナを活性化して活性アル
ミナ化することができる温度範囲、具体的には150〜
700℃に設定するのが好ましい。
【0050】上述のようにして製造される第1成形体
は、さらに、第1無機系結合材を水中に分散した水系分
散液中に浸漬し、その後乾燥処理されてもよい。第1成
形体に対してこのような処理を施すと、第1成形体中に
無機系結合材が含浸され、第1無機系結合材をより多く
含む第1成形体を製造することができる。また、このよ
うな処理により、第1成形体の嵩密度を上述の好ましい
範囲に調整することもできる。このような第1成形体
は、結果的に第1無機系結合材を多く含むことになるた
め、第1無機系結合材として上述のような塩素化有機化
合物の吸着能やタール吸着能を有するものを用いた場
合、試料ガス中に多量の塩素化有機化合物が含まれる場
合や試料ガス中に後述する未燃分の炭化水素類や一酸化
炭素が多く含まれる場合であっても、採取器3全体とし
て試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物をより漏れな
く捕捉することができる。なお、第1成形体の乾燥方法
は、特に限定されるものではないが、通常は、第1成形
体を150〜700℃程度で加熱処理して水分を除去す
る方法を採用するのが好ましい。
【0051】上述の補助フイルター42は、第1層45
を構成する上述の円筒ろ紙内に第2層46を構成する上
述の第1成形体を挿入して一体化させると製造すること
ができる。
【0052】次に、上述の第2採取器31において用い
られる採取用フイルター51の詳細について説明する。
採取用フイルター51は、流体通過性(この実施の形態
では通気性)を有する、三次元網目構造の成形体(第2
成形体の一例。以下、第2成形体と称す)からなる。
【0053】採取用フイルター51を構成する第2成形
体は、繊維材料(以下、第2繊維材料と称す)と無機系
結合材(以下、第2無機系結合材と称す)とを含んでい
る。ここで用いられる第2繊維材料は、上述の補助フイ
ルター42の第2層46を構成する第1成形体において
用いられる第1繊維材料と同様のものであり、平均アス
ペクト比も第1繊維材料の場合と同様の範囲に設定され
ているのが好ましい。また、第2繊維材料は、それぞれ
単独で用いられてもよいし、2種以上のものが併用され
てもよい。
【0054】一方、この第2成形体に含まれる第2無機
系結合材は、第2繊維材料同士を結合して第2繊維材料
からなる群を一体化し、第2繊維材料からなる群に一定
の成形形状を付与する性質を有するもの、すなわち、第
2繊維材料からなる群を一定の成形形状に保持するバイ
ンダーとして機能するものである。この実施の形態にお
いてより具体的には、第2繊維材料からなる群を、上述
の採取用フイルター51の形状、すなわち一端が閉鎖さ
れた円筒状に設定するためのものである。
【0055】ここで利用可能な第2無機系結合材は、補
助フイルター42の第2層46を構成する第1成形体に
おいて用いられる第1無機系結合材と同様のものであ
り、吸着性能、特に塩素化有機化合物に対する吸着性能
を有するものが好ましく、さらにタールの吸着性を有す
るものが特に好ましい。このような第2無機系結合材
は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上のも
のが併用されてもよい。また、第2無機系結合材は、形
態が特に限定されるものではないが、通常は粒子状のも
のが用いられる。
【0056】なお、第2繊維材料および第2無機系結合
材は、それぞれ補助フイルター42側で用いられる第1
繊維材料および第2無機系結合材と同一のものであって
もよいし、異なるものであってもよい。
【0057】上述のような第2繊維材料と第2無機系結
合材とを含む第2成形体は、嵩密度が0.1〜1g/c
3に設定されているのが好ましく、0.3〜0.7g
/cm3に設定されているのがより好ましい。第2成形
体の嵩密度が0.1g/cm3未満の場合は、補助フイ
ルター42を通過した試料ガス中に含まれる塩素化有機
化合物の一部が採取用フイルター51を通過してしまう
場合があり、試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物を
実質的に漏れなく採取するのが困難になる場合がある。
逆に、嵩密度が1g/cm3を超える場合は、採取用フ
イルター51において、試料ガス中に含まれる粒子状物
(例えば粒子状態の塩素化有機化合物)を捕捉した際に
圧損が高まるおそれがあり、その結果、試料ガスが通過
しにくくなって上述のJIS規格(JIS K 031
1:1999)で規定されている等速吸引ができなくな
る可能性がある。また、採取用フイルター51により採
取された塩素化有機化合物を抽出するための後述する抽
出操作において、抽出率の低下を招くおそれがある。
【0058】なお、採取用フイルター51を構成する第
2成形体として好ましいものは、第2繊維材料として活
性アルミナ繊維を用い、第2無機系結合材として粒子状
の活性アルミナを用いたものである。特に、このような
第2成形体であって、さらに嵩密度が0.3〜0.7g
/cm3の範囲に設定されているものが最も好ましい。
【0059】上述のような第2成形体、すなわち採取用
フイルター51は、補助フイルター42の第2層46を
構成する第1成形体の場合と同様にして製造することが
できる。また、この第2成形体は、第1成形体の場合と
同様に、第2無機系結合材が分散された水中に浸漬した
後乾燥することにより、第2無機系結合材の含有量が高
められていてもよい。
【0060】次に、上述の採取装置1の使用方法、すな
わち、上述の採取装置1を用いた塩素化有機化合物の採
取方法について説明する。ここでは、廃棄物を焼却処理
するための焼却施設の空間内、例えば煙道内を流れる排
気ガスから試料ガスを採取し、その試料ガス中に含まれ
るダイオキシン類やコプラナーPCBなどの各種の塩素
化有機化合物を採取する場合について説明する。この場
合、図1に示すように、採取装置1の採取管2の先端部
を煙道70に設けられた試料採取口70aから煙道70
内に挿入する。この際、採取管2にパッキン71を装着
し、採取管2と試料採取口70aとの隙間を気密に封止
する。また、採取器3において、第2採取器31の分岐
路55b内に温度計や熱電対などの測温器56を装着す
る。
【0061】この状態で吸引ポンプ61aを作動させ、
煙道70内を流れる排気ガスの一部を試料ガスとして採
取管2内に等速吸引する。この際、JIS Z 880
8に準じて煙道70内を流れる排気ガスの温度、流速、
圧力、水分量などを測定して等速吸引量を計算し、その
計算結果に基づいて吸引ポンプ61aによる吸引流量を
調整する。ここで設定した流量は、その結果をガスメー
タ61bにより適宜監視し、等速吸引状態が継続される
ように適宜調節するのが好ましい。
【0062】採取管2内に流れ込んだ試料ガスは、冷却
器6により冷却され、通常、ダイオキシン類の生成温度
以下、例えば120℃以下の温度に冷却される。これに
より、採取管2内では、ダイオキシン類の新たな発生が
防止される。
【0063】冷却された試料ガスは、採取管2から輸送
管4を経由して第1採取器30内に配置された補助フイ
ルター42内に流入し、図2に矢印で示すように、その
第2層46および第1層45をこの順に通過して連結部
44内に向けて流れる。この際、試料ガス中に含まれる
煤塵類等の浮遊物の大部分は、補助フイルター42によ
り捕捉される。この結果、試料ガスは、当該補助フイル
ター42により予備濾過処理され、浮遊物の大部分が取
り除かれて清浄化された状態で連結部44内に流れるこ
とになる。
【0064】連結部44内に流れた試料ガスは、続けて
連絡管32を経由して第2採取器31の採取用フイルタ
ー51内に流入する。採取用フイルター51内に流入し
た試料ガスは、図4に矢印で示すように、採取用フイル
ター51を通過して第2容器50の本体部53内に流出
し、さらに排出路55aを経由して吸引器5に向けて流
れる。
【0065】この際、試料ガス中に残存している浮遊
物、並びに試料ガス中に含まれる粒子状態およびガス状
態の両形態の、ダイオキシン類やコプラナーPCB等の
各種の塩素化有機化合物は、採取用フイルター51を構
成する第2成形体に含まれる上述の第2繊維材料および
第2無機系結合材により同時に捕捉され、試料ガス中か
ら採取される。
【0066】上述のような試料ガス中に含まれる塩素化
有機化合物の採取過程において、採取用フイルター51
を通過する試料ガスは、上述の通り、そこに含まれてい
る浮遊物の大部分が補助フイルター42により予め除去
されているため、採取用フイルター51に目詰まりを起
こさせにくい。すなわち、採取用フイルター51では、
浮遊物の目詰まりによる圧損の増大が起こり難い。この
結果、この採取器3によれば、試料ガス中に含まれる煤
塵等の浮遊物の多少に拘わらず、上述のJIS規格(J
IS K 0311:1999)に規定された等速吸引
を安定して実施することができる。さらに、補助フイル
ター42は、上述のような第1繊維材料を含む第1成形
体からなる第2層46を備えているため、試料ガス中に
含まれる粒子状態およびガス状態の両形態のダイオキシ
ン類やコプラナーPCB等の各種の塩素化有機化合物の
一部も浮遊物と共に捕捉することができる。
【0067】ところで、試料ガス中に未燃分の炭化水素
類や一酸化炭素(CO)等の炭素化合物が多く含まれる
場合、試料ガス中には当該炭素化合物に由来するタール
が生成し易い。このタールは、ダイオキシン類やコプラ
ナーPCBをはじめとする各種の塩素化有機化合物を溶
解して内部に取り込む場合が多い。このため、採取用フ
イルター51を構成する第2成形体として、タール吸着
性能を有する第2無機系結合材を用いていないもの、例
えば、上述の第2繊維材料をセルロース系バインダーな
どの有機系バインダーを用いて成形した成形体からなる
ものを用いた場合、採取用フイルター51は試料ガス中
で生成したタールを効果的に捕捉することができず、結
果的に試料ガス中に含まれるタールの一部が採取用フイ
ルター51を通過して外部に排出されてしまう可能性が
ある。すなわち、当該一部のタールと共に、そこに溶解
した塩素化有機化合物が採取用フイルター51により採
取されずに外部に排出される可能性がある。これは、本
発明者等が本発明に至る過程において見い出した現象で
あり、未燃分の炭素化合物の多少を判断する指標とし
て、一酸化炭素を用いて判定した場合、特に、試料ガス
中に含まれる一酸化炭素濃度が150ppmを超える場
合にこのようなタールの通過が顕著に起こり得ることが
判明している。
【0068】これに対し、この実施の形態に係る採取器
3は、採取用フイルター51として、上述のような第2
繊維材料とタール吸着能を有する第2無機系結合材とを
含む第2成形体からなるものを用いた場合、たとえ試料
ガス中の未燃分の炭素化合物濃度が高濃度であっても
(例えば、試料ガス中の一酸化炭素濃度が500ppm
を超えるような場合であっても)、試料ガス中に含まれ
るタールをも実質的に漏れなく捕捉することができる。
つまり、この採取器3は、試料ガス中の未燃分の炭素化
合物濃度の高低に拘わらず、試料ガス中に含まれる、粒
子状態およびガス状態の両形態のダイオキシン類やコプ
ラナーPCB等の各種の塩素化有機化合物を実質的に漏
れなく捕捉して採取することができる。
【0069】因みに、この採取器3において、補助フイ
ルター42の第2層46を構成する第2成形体としてタ
ール吸着能を有する上述の第1無機系結合材を含むもの
を用いた場合は、補助フイルター42側においても試料
ガス中で生じたタールの一部を吸着することができるた
め、試料ガス中に含まれる未燃分の炭素化合物濃度が極
めて高濃度の場合、例えば、試料ガス中に含まれる一酸
化炭素濃度が1,500ppmを超えるような場合であ
っても、そのような補助フイルター42は採取用フイル
ター51と共に試料ガス中で生じたタールを実質的に漏
れなく捕捉することができ、試料ガス中に含まれる各種
の形態の塩素化有機化合物をより確実に実質的に漏れな
く採取することができる。
【0070】上述のようにして、浮遊物並びに粒子状態
およびガス状態の各種の塩素化有機化合物が補助フイル
ター42および採取用フイルター51により取り除かれ
かつ採取された試料ガスは、続けて排出路55aから吸
引器5に向けて流れる。この際、排出路55aを流れる
試料ガス温度は、分岐路55bに装着された測温器56
により測定され、管理される。
【0071】排出路55aから排出された試料ガスは、
排気流路60内に流れ込み、その冷却器63によりさら
に冷却される。これにより、試料ガス中に含まれる水分
が凝縮し、トラップ64内に貯留される。このようにし
て水分が取り除かれた試料ガスは、吸引ポンプ61aを
経由してガスメーター61bから外部に排出される。な
お、このような採取装置1による試料ガス、すなわち排
気ガスの採取は、通常、塩素化有機化合物の検出限界値
から想定される排気ガス量に相当する時間(通常、排気
ガス1〜3Nm3/3〜4時間)実施される。
【0072】このようにして採取された試料ガス(排気
ガス)中に含まれていた塩素化有機化合物濃度を分析す
る場合は、煙道70から採取管2を取り外し、また、採
取器3と排気流路60とを分離する。さらに、第1採取
器30および第2採取器31からそれぞれ補助フイルタ
ー42および採取用フイルター51を取り出す。
【0073】次に、採取管2、輸送管4、第1容器4
0、連絡管32および第2容器50の内部を溶媒を用い
て洗浄し、その際の洗浄液を確保する。また、補助フイ
ルター42および採取用フイルター51によりそれぞれ
捕捉された塩素化有機化合物を溶媒で抽出する。ここ
で、各フイルター42,51に捕捉された塩素化有機化
合物の抽出操作は、例えば通常のソックスレー抽出器を
用いて実施することができるが、これらの各フイルター
42,51は、小型サイズに設定されている場合、例え
ば、採取用フイルター51が上述のような小型サイズに
設定されている場合、高速抽出器のセル内に収容するこ
とができ、当該高速抽出器を用いて速やかに抽出操作を
実施することができる。また、各フイルター42,5
1、特に採取用フイルター51は、それを構成する第2
成形体の嵩密度が上述の範囲に設定されている場合、抽
出時間を短縮するための特殊な抽出条件を設定する必要
がなく、捕捉した塩素化有機化合物を短時間で速やかに
溶媒中に溶出させることができる。
【0074】塩素化有機化合物を分析する際は、上述の
洗浄液および上述のような抽出操作により得られた抽出
液を合せ、これに対して分析操作を実施する。この場合
の分析方法としては、例えば、厚生省生活衛生局水道環
境部環境整備課編「廃棄物処理におけるダイオキシン類
標準測定分析マニュアル」(平成9年3月:財団法人廃
棄物研究財団発行)に記載された方法、または日本工業
規格JIS K 0311:1999(平成11年9月
20日制定)に規定された方法に従い、ガスクロマトグ
ラフ質量分析法(GC/MS法)を用いた方法を採用す
ることができる。
【0075】採取装置1を用いて別の試料ガスを採取す
る場合は、例えば、採取器3を新たなものに交換する。
この場合、採取装置1は、採取管2のみを十分に洗浄す
るだけで次の試料ガス採取用に供することができるの
で、試料ガス採取前の準備作業が従来のインピンジャー
を用いたものに比べて格段に軽減され、試料ガス採取に
要する時間を大幅に短縮することができ、また、試料ガ
ス採取に要するコストを大幅に低減することができる。
また、この採取装置1、特に採取器3は、従来の複雑な
採取装置に比べて構成が簡素であるため、取扱いや持ち
運びが容易である。このため、この採取装置1を用いれ
ば、従来のインピンジャーを用いた大型の採取装置が設
置しにくい煙道等に対しても、容易に試料ガスの採取作
業を実施することができる。
【0076】なお、一度使用された採取器3は、輸送管
4、第1容器40、連絡管32および第2容器50を十
分に洗浄し、補助フイルター42と採取用フイルター5
1とを新たなものに取り替えると、繰返して再利用する
ことができる。
【0077】[他の実施の形態] (1)上述の実施の形態に係る補助フイルター42で
は、円筒ろ紙からなる第1層45の内側に第1成形体か
らなる第2層46を積層したが、第1成形体を第1層4
5の外側に積層した場合も本発明を同様に実施すること
ができる。
【0078】(2)上述の実施の形態に係る補助フイル
ター42では、円筒ろ紙からなる第1層45の内側に第
1繊維材料を含む第1成形体を積層し、それにより円筒
ろ紙の片側に第1繊維材料を含む相を形成したが、第1
層45、すなわち円筒ろ紙内に第1繊維材料をそのまま
充填することにより当該相を形成することもできる。
【0079】(3)上述の実施の形態に係る補助フイル
ター42は円筒状に構成したが、補助フイルター42は
他の形状に形成されていてもよい。例えば、上述の第1
成形体を円盤状に成形し、当該第1成形体に対して円形
ろ紙を積層した場合も、同様の機能を発揮し得る補助フ
イルターを構成することができる。また、円形ろ紙の片
側に第1繊維材料そのものを配置した場合も同様に補助
フイルター42を構成することができる。
【0080】(4)上述の実施の形態に係る採取器3で
は、採取用フイルター51として、上述の第2繊維材料
と第2無機系結合材とを混合して調製した成形材料を成
形・焼結したものを用いたが、採取用フイルター51と
しては、このようなものの他、試料ガス中に含まれる粒
子状態およびガス状態の両方の形態の各種の塩素化有機
化合物を同時に捕捉して採取可能なものであれば、他の
ものが用いられてもよい。例えば、繊維状活性炭、マイ
クログラスファイバー等の無機質ファイバーおよびセル
ロース系バインダーを混合した成形材料を成形して一端
が閉鎖された円筒状の通気性を有する成形体にしたもの
(WO99/37987参照)等を採取用フイルター5
1として用いた場合も本発明を同様に実施することがで
きる。
【0081】(5)上述の実施の形態では、採取用フイ
ルター51として円筒状のものを用いたが、本発明はこ
れに限定されない。例えば、採取用フイルター51が円
柱状や円盤状に形成されている場合も本発明を同様に実
施することができる。
【0082】(6)上述の実施の形態では、廃棄物の焼
却炉から排出される排気ガス(試料ガス)中に含まれる
ダイオキシン類やコプラナーPCBなどの塩素化有機化
合物を採取する場合について説明したが、本発明の採取
器、採取方法および補助フイルターは、排気ガス以外の
流体中に含まれる塩素化有機化合物を採取する場合にも
同様に利用することができる。例えば、環境大気中に含
まれる塩素化有機化合物、並びに工場廃水、海水、淡水
および水道水等の水中に含まれる塩素化有機化合物を採
取する場合についても本発明の採取器等を同様に利用す
ることができる。
【0083】なお、工場廃水等の水中に含まれる塩素化
有機化合物を採取する場合、採取試料は液体試料とな
る。この場合、当該液体試料は、粒子状態、気泡状態
(すなわち気液混合状態)および溶解状態(すなわち液
中に溶解した状態)の様々な状態の各種の塩素化有機化
合物を含む可能性があるが、本発明の採取器は、このよ
うな様々な状態の各種の塩素化有機化合物を捕捉して液
体試料中から採取することができる。
【0084】(7)本発明の補助フイルター42は、上
述の実施の形態に係る採取器3において用いられる他、
上記従来技術の欄で引用したJIS規格において例示さ
れたインピンジャーを用いた採取装置においても利用す
ることができる。この場合、本発明の補助フイルター4
2は、上述の実施の形態の場合と同様に第1容器40内
に配置された状態で、採取管2と上記従来技術の欄で説
明した第1捕捉器との間に配置して用いられる。
【0085】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、ここでは、理解の便のため、先ず比較例
を挙げ、その後に実施例を挙げる。
【0086】比較例 粒子状のアルミナ(無機系結合材)を約20重量%含む
アルミナ水分散液を調製し、このアルミナ水分散液中に
繊維材料として平均繊維径が6μmで平均アスペクト比
が2,000のアルミナ繊維(γ−アルミナ72重量%
とシリカ28重量%とを含むもの)を加えて混合し、成
形材料を得た。得られた成形材料を一端が閉鎖された円
筒状に成形し、200℃で焼結した。これにより、開口
端側の外径が19mm、閉鎖端側の外径が18mm、厚
さが5mmおよび長さが120mmにそれぞれ設定され
た、重量が8.5gで嵩密度が0.38g/cm3の通
気性を有する円筒状の成形体(上述の実施の形態におけ
る第2成形体、すなわち採取用フイルター51)を得
た。なお、この成形体中に含まれるアルミナ繊維および
粒子状のアルミナの量は、それぞれ5.7gおよび2.
8gであった。
【0087】得られた採取用フイルター51を用いて上
述の実施の形態に係る第2採取器31を構成した。そし
て、上述の実施の形態において、第1採取器30を省略
し、すなわち、連結管32を介して採取管2と第2採取
器31とを直結し、さらに当該第2採取器31の後段側
にJIS K 0311:1999に例示された採取装
置(上記従来技術の欄において引用した第1捕捉器と第
2捕捉器とを備えた採取装置:以下、インピンジャー装
置と称す)を連結した。また、インピンジャー装置の後
段側に上述の実施の形態に係る吸引器5を連結した。こ
れにより、第2採取器31とインピンジャー装置とが直
列に接続された塩素化有機化合物の採取装置(以下、2
段採取装置と称す)を構成した。
【0088】上述の2段採取装置を用いて廃棄物を焼却
処理中の焼却炉の煙道から試料ガス(平均一酸化炭素濃
度が2,000ppmの排気ガス)を採取し、当該試料
ガス中に含まれるダイオキシン類およびコプラナーPC
Bなどの各種の塩素化有機化合物を採取した。なお、試
料ガスの採取条件は、JIS K 0311:1999
に規定された条件に従った。
【0089】次に、第2採取器31およびインピンジャ
ー装置のそれぞれで採取された塩素化有機化合物をJI
S K 0311:1999に準じた方法に従って抽出
し、同じJISに規定された分析方法に従って定量分析
した。なお、試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物量
は、第2採取器31により採取された塩素化有機化合物
の量とインピンジャー装置により採取された塩素化有機
化合物の量との合計になる。
【0090】定量分析結果によると、試料ガス中に含ま
れる塩素化有機化合物のうちの15%は、インピンジャ
ー装置により採取されていることが判明した。この結果
より、この比較例の2段採取装置で用いた第2採取器3
1は、試料ガス中の一酸化炭素濃度が極めて高いため、
試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物の15%を採取
できなかったことがわかる。
【0091】実施例1 比較例で得られた成形材料を比較例の場合と同様にして
成形・焼結し、開口端側の外径が19mm、閉鎖端側の
外径が18mm、厚さが3mmおよび長さが80mmに
それぞれ設定された、重量が2.3gで嵩密度が0.2
g/cm3の通気性を有する円筒状の成形体(上述の実
施の形態における補助用フイルター42を構成する第2
層46用の第1成形体)を得た。なお、この成形体中に
含まれるアルミナ繊維および粒子状のアルミナの量は、
それぞれ1.5gおよび0.8gであった。
【0092】得られた成形体を煤塵捕集用円筒ろ紙(東
洋濾紙株式会社の円筒ろ紙“No.88RH”)の内部
に挿入して積層し、上述の実施の形態における補助フイ
ルター42を製造した。そして、この補助フイルター4
2を用いて上述の実施の形態に係る採取装置1で用いら
れる第1採取器30を構成した。この第1採取器30
を、上述の実施の形態に倣って比較例で構成した2段採
取装置の採取管2と第2採取器31との間に連結し、上
述の実施の形態に係る採取器3を構成した。
【0093】このようにして構成された、第1採取器と
第2採取器とを備えた採取器(以下、単に採取器とい
う)を含む2段採取装置を用いて廃棄物を焼却処理中の
焼却炉の煙道から試料ガス(平均一酸化炭素濃度が2,
000ppmの排気ガス)を採取し、当該試料ガス中に
含まれるダイオキシン類およびコプラナーPCBなどの
各種の塩素化有機化合物を採取した。なお、試料ガスの
採取条件は、JIS K0311:1999に規定され
た条件に従った。
【0094】次に、採取器およびインピンジャー装置の
それぞれで採取された塩素化有機化合物をJIS K
0311:1999に準じた方法に従って抽出し、同じ
JISに規定された分析方法に従って定量分析した。な
お、試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物量は、採取
器により採取された塩素化有機化合物の量とインピンジ
ャー装置により採取された塩素化有機化合物の量との合
計になる。
【0095】定量分析結果によると、インピンジャー装
置側の抽出液には、塩素化有機化合物が含まれていない
ことが判明した。この結果より、この実施例1で用いた
採取器は、試料ガス中の一酸化炭素濃度が極めて高い場
合であっても、試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物
を漏れなく採取できることがわかる。
【0096】実施例2 実施例1で用いたものと同じ煤塵捕集用円筒ろ紙の内部
に平均繊維径が6μmで平均アスペクト比が2,000
のアルミナ繊維(γ−アルミナ72重量%とシリカ28
重量%とを含むもの)0.8gを充填し、上述の他の実
施の形態(2)で説明した補助フイルター42を製造し
た。そして、この補助フイルター42を用いて実施例1
と同様の採取器を構成し、この採取器を含む実施例1と
同様の2段採取装置を構成した。
【0097】この2段採取装置を用いて廃棄物を焼却処
理中の焼却炉の煙道から試料ガス(平均一酸化炭素濃度
が2,000ppmの排気ガス)を採取し、当該試料ガ
ス中に含まれるダイオキシン類およびコプラナーPCB
などの各種の塩素化有機化合物を採取した。なお、試料
ガスの採取条件は、JIS K 0311:1999に
規定された条件に従った。
【0098】次に、採取器およびインピンジャー装置の
それぞれで採取された塩素化有機化合物をJIS K
0311:1999に準じた方法に従って抽出し、同じ
JISに規定された分析方法に従って定量分析した。な
お、試料ガス中に含まれる塩素化有機化合物量は、採取
器により採取された塩素化有機化合物の量とインピンジ
ャー装置により採取された塩素化有機化合物の量との合
計になる。
【0099】定量分析結果によると、インピンジャー装
置側で採取された塩素化有機化合物の量は、塩素化有機
化合物の全量の1%に過ぎないことが判明した。この結
果より、この実施例2で用いた採取器は、試料ガス中の
一酸化炭素濃度が極めて高い場合であっても、試料ガス
中に含まれる塩素化有機化合物を実質的に漏れなく採取
できることがわかる。
【0100】
【発明の効果】本発明に係る塩素化有機化合物の採取器
は、上述の補助フイルターと採取用フイルターとを備え
ているため、輸送管内を流れる流体中に含まれる粒子状
態およびガス状態の両形態の、ダイオキシン類やコプラ
ナーPCBをはじめとする各種の塩素化有機化合物を簡
便かつ容易に採取することができる。
【0101】本発明に係る塩素化有機化合物の採取方法
では、輸送管からの流体を、閉鎖系内において上述の補
助フイルターと採取用フイルターとにこの順で通過させ
ているため、当該流体中に含まれる粒子状態およびガス
状態の両形態の、ダイオキシン類やコプラナーPCBを
はじめとする各種の塩素化有機化合物を簡便にかつ容易
に採取することができる。
【0102】本発明に係る塩素化有機化合物の採取用補
助フイルターは、ろ紙の片側に上述の第1繊維材料を含
む相を配置しているので、例えば本発明に係る採取器に
用いられると、流体を予備濾過処理することができ、流
体中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の
ダイオキシン類やコプラナーPCBなどの各種の塩素化
有機化合物を流体中に含まれる煤塵類等の浮遊物が多い
場合であってもより確実に採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る採取器が採用され
た塩素化有機化合物の採取装置の概略構成図。
【図2】前記採取器に用いられる第1採取器の縦断面
図。
【図3】前記採取器に用いられる第2採取器の正面図。
【図4】前記第2採取器の縦断面図。
【図5】図3のV−V断面図。
【符号の説明】
3 採取器 4 輸送管 32 連絡管 40 第1容器 42 補助フイルター 45 第1層 46 第2層 50 第2容器 51 採取用フイルター 55a 排出路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大内 宗城 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 山下 正純 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 中村 裕史 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 梶川 修 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 藤井 孝友 大阪府池田市城南3丁目8番21号 太陽化 成株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】輸送管内を流れる流体中に含まれる塩素化
    有機化合物を採取するための採取器であって、 ろ紙と、第1繊維材料を含みかつ前記ろ紙の片側に配置
    された相とを備え、前記輸送管からの前記流体を通過さ
    せるための補助フイルターと、 前記補助フイルターを通過した前記流体を続けて通過さ
    せかつ前記補助フイルターを通過した前記流体中に含ま
    れる前記塩素化有機化合物を前記流体から取り除いて採
    取するための採取用フイルターと、 前記補助フイルターと前記採取用フイルターとを収容し
    かつ前記採取用フイルターを通過した前記流体を外部に
    排出するための排出口を有する容器と、を備えた塩素化
    有機化合物の採取器。
  2. 【請求項2】前記補助フイルターは、前記ろ紙と、前記
    ろ紙に対して積層されかつ前記第1繊維材料および前記
    第1繊維材料同士を結合するための第1無機系結合材を
    含む、流体通過性を有する第1成形体とを備えている、
    請求項1に記載の塩素化有機化合物の採取器。
  3. 【請求項3】前記第1繊維材料が繊維状活性炭、炭素繊
    維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維およびテフ
    ロン繊維からなる群から選択された少なくとも1種であ
    る、請求項1または2に記載の塩素化有機化合物の採取
    器。
  4. 【請求項4】前記第1無機系結合材が塩素化有機化合物
    の吸着性を有している、請求項2または3に記載の塩素
    化有機化合物の採取器。
  5. 【請求項5】前記第1無機系結合材がアルミナ、ゼオラ
    イトおよび二酸化ケイ素からなる群から選択された少な
    くとも1種である、請求項4に記載の塩素化有機化合物
    の採取器。
  6. 【請求項6】前記採取用フイルターは、第2繊維材料
    と、前記第2繊維材料同士を結合するための第2無機系
    結合材とを含みかつ流体通過性を有する第2成形体から
    なる、請求項1、2、3、4または5に記載の塩素化有
    機化合物の採取器。
  7. 【請求項7】前記容器は、前記補助フイルターを収容す
    るための第1容器、前記採取用フイルターを収容するた
    めの第2容器および前記第1容器と前記第2容器とを接
    続するための接続部を備えている、請求項1、2、3、
    4、5または6に記載の塩素化有機化合物の採取器。
  8. 【請求項8】輸送管を通じて閉鎖系内に流入する流体中
    に含まれる塩素化有機化合物を採取するための方法であ
    って、 前記閉鎖系内において、ろ紙と、第1繊維材料を含みか
    つ前記ろ紙の片側に配置された相とを備えた補助フイル
    ターに前記輸送管からの前記流体を通過させる工程と、 前記閉鎖系内において、前記補助フイルターを通過した
    前記流体を、当該流体中に含まれる前記塩素化有機化合
    物を当該流体から取り除いて採取するための採取用フイ
    ルターに続けて通過させる工程と、 前記採取用フイルターを通過した前記流体を前記閉鎖系
    外に排出する工程と、を含む塩素化有機化合物の採取方
    法。
  9. 【請求項9】輸送管内を流れる流体中に含まれる塩素化
    有機化合物を採取するに際に、前記流体を予備濾過処理
    するための補助フイルターであって、 ろ紙と、 第1繊維材料を含みかつ前記ろ紙の片側に配置された相
    と、を備えた塩素化有機化合物の採取用補助フイルタ
    ー。
  10. 【請求項10】前記相は、前記ろ紙に対して積層されか
    つ前記第1繊維材料および前記第1繊維材料同士を結合
    するための第1無機系結合材を含む、流体通過性を有す
    る第1成形体からなる、請求項9に記載の塩素化有機化
    合物の採取用補助フイルター。
  11. 【請求項11】前記相は、前記ろ紙の片側に配置された
    前記第1繊維材料からなる、請求項9に記載の塩素化有
    機化合物の採取用補助フイルター。
JP2000173749A 2000-06-09 2000-06-09 塩素化有機化合物の採取器、塩素化有機化合物の採取方法および塩素化有機化合物の採取用補助フイルター Withdrawn JP2001349811A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006275824A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Miura Co Ltd 残留性有機汚染物質の採取用フイルターおよび採取器
JP2009047593A (ja) * 2007-08-21 2009-03-05 Sharp Corp 多孔質構造体を用いた特定ガス成分濃縮装置、及び特定ガス成分検出装置
KR100989991B1 (ko) 2003-07-19 2010-10-26 주식회사 포스코 습식 집진형 제강 배가스 분석계 샘플러
CN103792109A (zh) * 2014-02-26 2014-05-14 国家电网公司 可防止冷凝水回流污染采样滤筒的烟尘采样头

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