JP2005189025A - 残留性有機汚染物質の採取方法および採取器 - Google Patents

残留性有機汚染物質の採取方法および採取器 Download PDF

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Abstract

【課題】 排気ガス等の流体中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質を簡便にかつ容易に採取する。
【解決手段】 残留性有機汚染物質の採取方法は、流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルター20に流体を通過させる工程と、フイルター20を通過後の流体を、残留性有機汚染物質を吸着可能な吸着材30に接触させる工程とを含んでいる。この採取方法では、流体中に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質がフイルター20により捕捉され、また、フイルター20を通過後の流体に含まれるガス状態の残留性有機汚染物質が吸着材30に吸着される。このようにしてフイルター20および吸着材30により採取された残留性有機汚染物質は、例えば、溶媒を用いて抽出すると、分析に用いることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、残留性有機汚染物質の採取方法および採取器、特に、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法および採取器に関する。
ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)等のダイオキシン類、コプラナ型ポリ塩化ビフェニル等のポリ塩化ビフェニル類(PCBs)、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、アルドリン、エンドリン、クロルデン、ヘプタクロル、マイレックス、トキサフェン並びにヘキサクロロベンゼン等の有機塩素化合物のような環境中で自然分解されにくく、所謂環境ホルモンとしての作用を示す可能性がある各種の有機物質、すなわち、残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)は、人の健康の保護及び環境の保全を図ることを目的としたストックホルム条約(POPs条約)において、国際的協調による廃絶、削減の対象になっている。このため、残留性有機汚染物質は、廃棄物焼却施設からの排気ガス、大気、工場排水や河川水などの水などの流体における含有量等を定期的に分析する必要がある。
ところで、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を分析する際には、先ず、分析対象となる流体から残留性有機汚染物質を採取する必要がある。例えば、排気ガス中に含まれる残留性有機汚染物質を分析する場合は、排気ガスを含む空間、例えば排気ガスが流れる煙道から試料ガスを一定量採取し、この試料ガス中に含まれる各種の残留性有機汚染物質を採取する必要がある。ここで、残留性有機汚染物質は、試料ガス中に含まれる量が極めて微量であり、また、粒子状態やガス状態などの各種の形態であって種類も多岐に渡るため、信頼性の高い分析結果を得るためには、その漏れのない採取が必要になる。また、残留性有機汚染物質の一部、例えばコプラナ型ポリ塩化ビフェニルは、大気中に多く含まれているため、試料ガスがそのようなコプラナ型ポリ塩化ビフェニルにより汚染されると、分析結果の信頼性が損なわれるおそれがある。このため、分析結果の正確性を担保するために、流体に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法や装置が公的に規定されつつある。
例えば、非特許文献1は、排気ガス中に含まれるダイオキシン類を採取するための方法および装置を具体的に例示している。この採取装置は、焼却装置の排気ガスが流れる煙道から試料ガスを採取するための採取管、採取管により採取された試料ガス中に含まれる主に粒子状態のダイオキシン類を捕捉するためのフイルター材を備えた第一捕捉器、および第一捕捉器で捕捉されにくいガス状態のダイオキシン類を捕捉するための第二捕捉器を主に備えている。第二捕捉器は、主に、吸収液を入れた複数のガラス製インピンジャーからなる液体捕集部と樹脂系吸着材を配置した吸着捕集部とを備え、第一捕捉器で捕捉されないガス状態のダイオキシン類をインピンジャー内の吸収液と樹脂系吸着材とにより捕捉し得るように構成されている。
このような採取装置は、第一捕捉器と第二捕捉器とを備えた複雑な構成を有し、しかもガラス製器具を多用していることから高価であるため、繰り返して利用する場合が多い。この場合、測定データの信頼性を確保するためにインピンジャーをはじめとする各部材を清浄に保つ必要があるので、試料ガスを採取する前の洗浄操作等の準備操作が非常に煩雑になる。また、試料ガス中に含まれるガス状態のダイオキシン類を第二捕捉器で捕捉する際には、第二捕捉器をドライアイス等の冷却材を用いて冷却する必要があり、試料の採取操作そのものも非常に煩雑になる。さらに、試料ガスの採取後においては、第一捕捉器および第二捕捉器により捕捉されたダイオキシン類を抽出する必要があるが、ここでは第一捕捉器および構成が複雑な第二捕捉器によりそれぞれ捕捉されたダイオキシン類を個別に抽出する必要があるため、抽出操作そのものが煩雑であって完了までに長時間を要し、また、抽出操作の巧拙により分析結果の信頼性が左右される場合も多い。さらに、この採取装置は、第一捕捉器および第二捕捉器の二種類の捕捉器からなるため必然的に大型化し、しかもガラス器具を多用していることから破損し易いので、試料ガス採取時の取扱いや運搬も困難である。
本発明の目的は、流体中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質を簡便にかつ容易に採取することにある。
本願において、ダイオキシン類の用語は、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条の規定に倣い、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)に加え、コプラナーポリ塩化ビフェニル(Co−PCBs)を含む意味として用いる。
1999年9月20日制定の日本工業規格JIS K 0311:1999「排ガス中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法」
本発明に係る残留性有機汚染物質の採取方法は、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法であり、流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターに流体を通過させる工程と、フイルターを通過後の流体を、残留性有機汚染物質を吸着可能な吸着材に接触させる工程とを含んでいる。
この採取方法において、フイルターに流体を通過させると、流体中に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質がフイルターにより捕捉され、流体から取り除かれる。また、フイルターを通過後の流体に含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、吸着材に吸着し、流体から取り除かれる。フイルターおよび吸着材に採取された残留性有機汚染物質は、例えば、溶媒を用いて抽出することができる。
本発明の他の観点に係る残留性有機汚染物質の採取方法は、同じく、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法であり、流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターに流体を通過させる工程と、フイルターを通過後の流体を、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材に接触させる工程と、炭素系吸着材と接触後の流体を、残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材に接触させる工程とを含んでいる。
この採取方法において、フイルターに流体を通過させると、流体中に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質がフイルターにより捕捉され、流体から取り除かれる。また、フイルターを通過後の流体に含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、炭素系吸着材に吸着する。さらに、炭素系吸着材と接触後の流体中に残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、アルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つに吸着し、流体から取り除かれる。したがって、この採取方法によれば、流体中に含まれる、粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質をより確実に採取することができる。フイルター、炭素系吸着材並びにアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材に採取された残留性有機汚染物質は、例えば、溶媒を用いて抽出することができる。
本発明のさらに他の観点に係る残留性有機汚染物質の採取方法は、同じく、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法であり、流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターに流体を通過させる工程と、フイルターを通過後の流体を、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材に接触させる工程と、炭素系吸着材と接触後の流体を、残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材に接触させる工程と、アルミナ系吸着材と接触後の流体を、残留性有機汚染物質を吸着可能な樹脂系吸着材に接触させる工程とを含んでいる。
この採取方法において、フイルターに流体を通過させると、流体中に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質がフイルターにより捕捉され、流体から取り除かれる。また、フイルターを通過後の流体に含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、炭素系吸着材に吸着する。さらに、炭素系吸着材と接触後の流体中に残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、アルミナ系吸着材に吸着する。さらに、アルミナ系吸着材と接触後の流体中に残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、樹脂系吸着材に吸着し、流体から取り除かれる。したがって、この採取方法によれば、流体中に含まれる、粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質をさらに確実に採取することができる。フイルター、炭素系吸着材、アルミナ系吸着材および樹脂系吸着材に採取された残留性有機汚染物質は、例えば、溶媒を用いて抽出することができる。
本発明に係る残留性有機汚染物質の採取器は、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するためのものであり、流体の流入部を一端に有し、流体の排出部を他端に有する容器と、容器内に配置された、流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターと、容器内に配置された、残留性有機汚染物質を吸着可能な吸着材とを備えている。容器内において、フイルターは流入部側に配置されており、かつ、吸着材は排出部側に配置されている。
この採取器において、流入部から容器内に流入した流体は、フイルターおよび吸着材をこの順に通過した後、排出部から容器外へ排出される。この際、流体に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質は、フイルターにより捕捉され、流体から取り除かれる。また、流体に含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、吸着材に吸着し、流体から取り除かれる。フイルターおよび吸着材に採取された残留性有機汚染物質は、例えば、溶媒を用いて抽出することができる。
本発明の他の観点に係る残留性有機汚染物質の採取器は、同じく、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するためのものであり、流体の流入部を一端に有し、流体の排出部を他端に有する容器と、容器内に配置された、流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターと、容器内に配置された、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材と、容器内に配置された、残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材とを備えている。容器内において、フイルター、炭素系吸着材並びにアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材は、流入部から排出部の方向へこの順に配置されている。
この採取器において、流入部から容器内に流入した流体は、フイルター、炭素系吸着材並びにアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材をこの順に通過した後、排出部から容器外へ排出される。この際、流体に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質は、フイルターにより捕捉され、流体から取り除かれる。また、流体に含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、炭素系吸着材に吸着する。さらに、炭素系吸着材を通過後の流体中に残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、アルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材に吸着し、流体から取り除かれる。したがって、この採取器によれば、流体中に含まれる、粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質をより確実に採取することができる。フイルター、炭素系吸着材並びにアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材に採取された残留性有機汚染物質は、例えば、溶媒を用いて抽出することができる。
本発明のさらに他の観点に係る残留性有機汚染物質の採取器は、同じく、流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するためのものであり、流体の流入部を一端に有し、流体の排出部を他端に有する容器と、容器内に配置された、流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターと、容器内に配置された、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材と、容器内に配置された、残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材と、容器内に配置された、残留性有機汚染物質を吸着可能な樹脂系吸着材とを備えている。容器内において、フイルター、炭素系吸着材、アルミナ系吸着材および樹脂系吸着材は、流入部から排出部の方向へこの順に配置されている。
この採取器において、流入部から容器内に流入した流体は、フイルター、炭素系吸着材、アルミナ系吸着材および樹脂系吸着材をこの順に通過した後、排出部から容器外へ排出される。この際、流体に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質は、フイルターにより捕捉され、流体から取り除かれる。また、流体に含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、炭素系吸着材に吸着する。さらに、炭素系吸着材を通過後の流体中に残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、アルミナ系吸着材に吸着する。さらに、アルミナ系吸着材を通過後の流体中に残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、樹脂系吸着材に吸着し、流体から取り除かれる。したがって、この採取器によれば、流体中に含まれる、粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質をさらに確実に採取することができる。フイルター、炭素系吸着材、アルミナ系吸着材および樹脂系吸着材に採取された残留性有機汚染物質は、例えば、溶媒を用いて抽出することができる。
本発明に係る残留性有機汚染物質の採取方法は、上述のようなフイルターと吸着材とを組み合わせて用いているため、流体中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質を簡便にかつ容易に採取することができる。
本発明に係る残留性有機汚染物質の採取器は、流体の流入部と排出部とを有する容器内に上述のようなフイルターと吸着材とを備えているため、流体中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質を簡便にかつ容易に採取することができる。
形態1
図1を参照して、本発明に係る残留性有機汚染物質の採取器の一形態が採用された残留性有機汚染物質の採取装置を説明する。採取装置1は、流体のうち、排気ガスなどの試料流体(試料ガス)に含まれる残留性有機汚染物質を採取するためのものである。図において、採取装置1は、採取管2、採取器3(本発明に係る採取器の実施の一形態)および吸引器4を主に備えている。なお、理解の便のため、図においては、採取器3をその他の部位に比べて強調して表現している。
採取管2は、例えば、ほうけい酸ガラス製または透明石英ガラス製のものであり、その内部を通過する試料ガスを冷却するための冷却器5を有している。
採取器3は、容器10、フイルター20および吸着材30を主に備えている。容器10は、概ね円筒状に形成されたガラス製の部材であり、採取管2を接続するための管状の流入部11を一端(図の左端)に有し、吸引器4を接続するための管状の排出部12を他端に有している。また、容器10は、フイルター20および吸着材30を取り出すために、分割可能に設定されている。
フイルター20は、流体中に含まれる飛灰等の煤塵や粒子状態の残留性有機汚染物質などの粒子状物を捕捉するための円筒ろ紙であり、流入部11側に開口部21が位置するよう、容器10内において、流入部11側に配置されている。ここで用いられる円筒ろ紙は、ソックスレー抽出用や煤塵捕集用等の各種の市販のものであって特に限定されるものではないが、好ましくは煤塵捕集用のもの、より具体的には、日本工業規格JIS Z 8808において規定されている、ダスト捕集率が99%以上の煤塵捕集用の円筒ろ紙である。
吸着材30は、容器10内において、排出部12側に配置されている。ここで用いられる吸着材30は、流体中に含まれる残留性有機汚染物質、特に、ガス状態の残留性有機汚染物質を吸着可能なものであって、残留性有機汚染物質と実質的に化学反応しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、粒状活性炭、繊維状活性炭、炭素繊維、粒状黒鉛および黒鉛繊維などの炭素系材料、粒状や繊維状のアルミナ、特に活性アルミナ、天然ゼオライト、人工ゼオライトおよび合成ゼオライトなどのゼオライト、シリカゲル、活性炭埋蔵シリカゲル、粒状や繊維状の二酸化ケイ素(シリカ)、酸性白土、アパタイト、粒状や繊維状のフッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))やJIS K 0311:1999(上述の非特許文献1)において用いられるスチレン−ジビニルベンゼン共重合体(例えば、ローム・アンド・ハース社の商品名“アンバーライトXAD−2”)などの樹脂材料である。炭素系材料を用いる場合、その比表面積は、残留性有機汚染物質の吸着性の点で、50〜4,000m/gが好ましい。また、活性炭埋蔵シリカゲルを用いる場合、残留性有機汚染物質の吸着性の点で、活性炭の含有量は5〜80重量%に設定されているのが好ましい。
これらの吸着材は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。また、吸着材30は、粒状や繊維状のまま容器10内に充填されていてもよいし、焼成などの方法により成形された状態で容器10内に配置されていてもよい。
吸引器4は、排気流路40と吸引装置41とを備えている。排気流路40は、一端が排出部12に連結されており、また、排出部12側から順に冷却器42とトラップ43とをこの順に有している。吸引装置41は、排気流路40の下流端に取付けられており、吸引ポンプ44とガスメーター45とをこの順に有している。吸引ポンプ44は、流量調節機能を有し、24時間以上連続的に使用できるものである。また、ガスメーター45は、試料ガスの流量を測定するためのものであり、10〜40リットル/分の範囲を0.1リットル/分刻みで測定できるものである。
次に、上述の採取装置1を用いた残留性有機汚染物質の採取方法について説明する。ここでは、廃棄物を焼却処理するための焼却施設の空間内、例えば煙道内を流れる排気ガスから試料ガスを採取し、その試料ガス中に含まれるダイオキシン類などの残留性有機汚染物質を採取する場合について説明する。この場合、図1に示すように、採取管2の先端部を煙道50に設けられた試料採取口51から煙道50内に挿入する。この際、採取管2にパッキン52を装着し、採取管2と試料採取口51との隙間を気密に封止する。
この状態で吸引ポンプ44を作動させ、煙道50内を流れる排気ガスの一部を試料ガスとして採取管2内へ等速吸引する。この際、JIS Z 8808に準じて煙道50内を流れる排気ガスの温度、流速、圧力、水分量などを測定して等速吸引量を計算し、その計算結果に基づいて吸引ポンプ44による吸引流量を調整する。ここで設定した流量は、その結果をガスメーター45により適宜監視し、等速吸引状態が継続されるように適宜調節するのが好ましい。
採取管2内に流れ込んだ試料ガスは、冷却器5により冷却される。ここでは、採取器3内において、試料ガスが60〜120℃に保温されるよう、試料ガスを冷却するのが好ましい。試料ガスの温度を当該範囲に保温すれば、採取管2や採取器3内において、残留性有機汚染物質、特にダイオキシン類の新たな発生を防止することができる。また、採取管2や採取器3における結露を防止することができ、より確実に試料ガス中に含まれる残留性有機汚染物質を採取することができる。
採取管2において冷却された試料ガスは、流入部11から容器10内に流入する。容器10内に流入した試料ガスは、フイルター20と吸着材30とをこの順に通過し、排出部12から排気流路40内へ流れる。この際、試料ガス中に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質は、煤塵などの他の粒子状物と共にフイルター20により捕捉され、試料ガスから取り除かれる。また、フイルター20を通過後の試料ガスに含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、吸着材30に吸着し、試料ガスから取り除かれる。この結果、試料ガス中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質は、採取器3により同時に採取される。
排気流路40内に流れ込んだ試料ガスは、冷却器42によりさらに冷却される。これにより、試料ガス中に含まれる水分が凝縮し、トラップ43内に貯留される。このようにして水分が取り除かれた試料ガスは、吸引ポンプ44を経由してガスメーター45から外部へ排出される。なお、このような採取装置1による試料ガス、すなわち排気ガスの採取は、通常、残留性有機汚染物質の検出限界値から想定される試料ガス量に相当する時間(通常、試料ガス1〜3Nm3/3〜4時間)実施される。
試料ガス中に含まれていた残留性有機汚染物質を分析する場合は、煙道50から採取管2を取り外し、また、採取器3と排気流路40とを分離する。さらに、採取器3の容器10を分割し、容器10からフイルター20および吸着材30を取り出す。
次に、採取管2および容器10の内部を溶媒を用いて洗浄し、その際の洗浄液を確保する。また、フイルター20および吸着材30によりそれぞれ捕捉された残留性有機汚染物質を溶媒で抽出する。フイルター40および吸着材30により捕捉された残留性有機汚染物質の抽出操作は、例えば通常のソックスレー抽出器を用いて実施することができる。
残留性有機汚染物質を分析する際は、上述の洗浄液および上述のような抽出操作により得られた抽出液を合せ、これに対して分析操作を実施する。ここで、残留性有機汚染物質が主としてダイオキシン類の場合は、例えば、厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課編「廃棄物処理におけるダイオキシン類標準測定分析マニュアル」(平成9年3月:財団法人廃棄物研究財団発行)に記載された方法、または日本工業規格JIS K 0311:1999(平成11年9月20日制定)に規定された方法に従い、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)を用いた分析方法を採用することができる。
採取装置1を用いて別の試料ガス中の残留性有機汚染物質を採取する場合は、通常、採取器3を新たなものに交換する。この場合、採取装置1は、採取管2のみを十分に洗浄するだけで次の採取操作に用いることができるので、準備作業が従来のインピンジャーを用いたものに比べて格段に軽減され、残留性有機汚染物質の採取に要する時間を大幅に短縮することができ、また、採取操作に要するコストを大幅に低減することができる。また、この採取装置1、特に採取器3は、従来の複雑な採取装置に比べて構成が簡素であるため、取扱いや持ち運びが容易である。このため、この採取装置1によれば、従来のインピンジャーを用いた大型の採取装置が設置しにくい煙道等に対しても、容易に残留性有機汚染物質の採取作業を実施することができる。
一度使用された採取器3は、容器10を十分に洗浄し、フイルター20と吸着材30とを新たなものに取り替えると、繰り返して再利用することができる。
形態2
図2を参照して、本発明に係る残留性有機汚染物質の採取器の他の形態を説明する。図において、採取器300は、上述の形態1の採取装置1において、採取器3に代えて用いられるものであり、容器310、フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340を主に備えている。容器310は、概ね円筒状に形成されたガラス製の部材であり、採取管2を接続するための管状の流入部311を一端(図の左端)に有し、吸引器4を接続するための管状の排出部312を他端に有している。また、容器310は、フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340を取出すために、分割可能に設定されている。フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340は、容器310内において、流入部311から排出部312の方向へこの順に配置されている。
フイルター320は、形態1において用いられるものと同様の円筒ろ紙であり、流入部311側に開口部321が位置するよう、流入部311に近接して配置されている。
第一吸着材330は、容器310内において、フイルター320と第二吸着材340との間に配置されている。ここで用いられる第一吸着材330は、流体中に含まれる残留性有機汚染物質、特に、ガス状態の残留性有機汚染物質を吸着可能なものであって、残留性有機汚染物質と実質的に化学反応しない炭素系吸着材である。具体的には、粒状活性炭、繊維状活性炭、炭素繊維、粒状黒鉛および黒鉛繊維などの炭素系吸着材である。この炭素系吸着材は、シリカゲルとの混合物であってもよい。この場合、炭素系吸着材は、5〜80重量%の割合でシリカゲル中に埋蔵されていてもよい。これらの炭素系吸着材は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。また、第一吸着材330は、粒状や繊維状のまま容器310内に充填されていてもよいし、無機系結合材、例えば、アルミナなどを用いた焼成などの方法により成形された状態で容器310内に配置されていてもよい。
第二吸着材340は、容器310内において、排出部312に近接して配置されている。ここで用いられる第二吸着材340は、流体中に含まれる残留性有機汚染物質、特に、ガス状態の残留性有機汚染物質を吸着可能なものであって、残留性有機汚染物質と実質的に化学反応しない、アルミナ系吸着材または樹脂系吸着材である。ここで、アルミナ系吸着材としては、例えば、粒状や繊維状のアルミナ、特に活性アルミナを用いるのが好ましい。第二吸着材340がアルミナ系吸着材の場合、第二吸着材340は、粒状や繊維状のまま容器310内に充填されていてもよいし、焼成などの方法により成形された状態で容器310内に配置されていてもよい。一方、樹脂系吸着材としては、粒状や繊維状のフッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))やJIS K 0311:1999(上述の非特許文献1)において用いられるスチレン−ジビニルベンゼン共重合体(例えば、ローム・アンド・ハース社の商品名“アンバーライトXAD−2”)などを用いるのが好ましい。
この採取器300を用いて焼却施設の煙道内を流れる排気ガスに含まれる残留性有機汚染物質を採取する場合は、形態1の採取装置1において、採取器3を採取器300に置き換える。すなわち、採取管2の一端を容器310の流入部311に接続し、また、吸引器4の排気流路40の一端を容器310の排出部312に接続する。
この状態で、形態1の場合と同様に吸引ポンプ44を作動させ、煙道50内を流れる排気ガスの一部を試料ガスとして採取管2内へ等速吸引すると、採取管2内に流れ込んだ試料ガスは、冷却器5により冷却された後、流入部311から容器310内に流入する。容器310内に流入した試料ガスは、フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340をこの順に通過し、排出部312から排気流路40内へ流れる。この際、試料ガス中に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質は、煤塵などの他の粒子状物と共にフイルター320により捕捉され、試料ガスから取り除かれる。また、フイルター320を通過後の試料ガスに含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、第一吸着材330に吸着する。さらに、第一吸着材330を通過後の試料ガスに残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、第二吸着材340に吸着し、試料ガスから取り除かれる。この結果、試料ガス中に含まれる残留性有機汚染物質は、フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340により採取される。すなわち、試料ガス中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質は、形態1の場合に比べてより確実に、採取器300により同時に採取される。
排気流路40内に流れ込んだ試料ガスは、形態1の場合と同様に吸引器4において処理され、ガスメーター45から外部へ排出される。
試料ガス中に含まれていた残留性有機汚染物質を分析する場合は、形態1の場合と同様に操作し、採取器300の容器310を分割して容器310からフイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340を取り出す。そして、採取管2および容器310の内部を溶媒を用いて洗浄し、その際の洗浄液を確保する。また、フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340によりそれぞれ捕捉された残留性有機汚染物質を溶媒で抽出する。ここで、フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340により捕捉された残留性有機汚染物質の抽出操作は、例えば通常のソックスレー抽出器を用いて実施することができる。残留性有機汚染物質を分析する際は、上述の洗浄液および上述のような抽出操作により得られた抽出液を合せ、これに対して形態1の場合と同様にして分析操作を実施する。
一度使用された採取器300は、容器310を十分に洗浄し、フイルター320、第一吸着材330および第二吸着材340を新たなものに取り替えると、繰り返して再利用することができる。
ところで、試料ガス中に未燃分の炭化水素類や一酸化炭素(CO)等の炭素化合物が多く含まれる場合、試料ガス中には当該炭素化合物に由来するタールが生成し易い。このタールは、ダイオキシン類等の残留性有機汚染物質を溶解して内部に取り込む場合が多い。この場合、形態1の採取器3では、試料ガス中で生成したタールが捕捉されにくく、試料ガス中に含まれるタールの一部が採取器3を通過して外部へ排出されてしまう可能性がある。すなわち、当該一部のタールと共に、そこに溶解した残留性有機汚染物質が採取器3により採取されずに外部へ排出される可能性がある。タールの生成に伴う残留性有機汚染物質の採取漏れは、特開2001−349810等において公知の事項であり、未燃分の炭素化合物の多少を判断する指標として一酸化炭素を用いて判定した場合、試料ガス中に含まれる一酸化炭素濃度が150ppmを超える場合に顕著に起こり得ることが知られている。
これに対し、採取器300は、第二吸着材340として上述のアルミナ系吸着材を用いた場合、アルミナ系吸着材がタールの吸着能を有するため、フイルター310および第一吸着材330を通過したタールを第二吸着材340により捕捉することができる。このため、このような採取器300は、試料ガス中の未燃分の炭素化合物濃度が高濃度であっても(例えば、試料ガス中の一酸化炭素濃度が500ppmを超えるような場合であっても)、試料ガス中に含まれるタールをも実質的に漏れなく捕捉することができる。つまり、この採取器300は、試料ガス中の未燃分の炭素化合物濃度の高低に拘わらず、試料ガス中に含まれる、粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質を実質的に漏れなく捕捉して採取することができる。
形態3
図3を参照して、本発明に係る残留性有機汚染物質の採取器のさらに他の形態を説明する。図において、採取器400は、上述の形態1の採取装置1において、採取器3に代えて用いられるものであり、容器410、フイルター420、第一吸着材430、第二吸着材440および第三吸着材450を主に備えている。
容器410は、ガラス製の部材であり、第一本体部411と第二本体部412とを有している。第一本体部411と第二本体部412とは、いずれも概ね円筒状に形成されており、U字管状の連結部413により一体的に連結されている。また、第一本体部411は、採取管2を接続するための管状の流入部414を一端(図の左端)に有しており、第二本体部412は、吸引器4の排出流路40を接続するための管状の排出部415を一端(図の右端)に有している。容器410は、フイルター420、第一吸着材430、第二吸着材440および第三吸着材450を取り出すために、分割可能に設定されている。
フイルター420、第一吸着材430および第二吸着材440は、第一本体部411内において、流入部414から連結部413の方向へこの順に配置されている。また、第三吸着材450は、第二本体部412内に配置されている。
フイルター420は、形態1において用いられるものと同様の円筒ろ紙であり、流入部414側に開口部421が位置するよう、流入部414に近接して配置されている。
第一吸着材430は、第一本体部411内において、フイルター420と第二吸着材440との間に配置されている。ここで用いられる第一吸着材430は、形態2において用いられる第一吸着材330と同様の炭素系吸着材であり、粒状や繊維状のまま第一本体部411内に充填されていてもよいし、無機系結合材、例えば、アルミナなどを用いた焼成などの方法により成形された状態で第一本体部411内に配置されていてもよい。
第二吸着材440は、第一本体部411内において、連結部413に近接して配置されている。ここで用いられる第二吸着材440は、流体中に含まれる残留性有機汚染物質、特に、ガス状態の残留性有機汚染物質を吸着可能なものであって、残留性有機汚染物質と実質的に化学反応しない、粒状や繊維状のアルミナ、特に活性アルミナなどのアルミナ系吸着材である。
第三吸着材450は、流体中に含まれる残留性有機汚染物質、特に、ガス状態の残留性有機汚染物質を吸着可能なものであって、残留性有機汚染物質と実質的に化学反応しない、粒状や繊維状のフッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))やJIS K 0311:1999(上述の非特許文献1)において用いられるスチレン−ジビニルベンゼン共重合体(例えば、ローム・アンド・ハース社の商品名“アンバーライトXAD−2”)などの樹脂系吸着材である。
この採取器400を用いて焼却施設の煙道内を流れる排気ガスに含まれる残留性有機汚染物質を採取する場合は、形態1の採取装置1において、採取器3を採取器400に置き換える。すなわち、採取管2の一端を第一本体部411の流入部414に接続し、また、吸引器4の排気流路40の一端を第二本体部412の排出部415に接続する。また、連結部413の外側に冷却器460を配置し、連結部413を冷却する。
この状態で、形態1の場合と同様に吸引ポンプ44を作動させ、煙道50内を流れる排気ガスの一部を試料ガスとして採取管2内へ等速吸引すると、採取管2内に流れ込んだ試料ガスは、冷却器5により冷却された後、流入部414から第一本体部411内に流入する。第一本体部411内に流入した試料ガスは、フイルター420、第一吸着材430および第二吸着材440をこの順に通過して連結部413内へ流れ、連結部413において冷却器460により冷却された後、第二本体部412内に流入する。第二本体部412内に流入した試料ガスは、第三吸着材450をさらに通過した後、排出部415から排気流路40内へ流れる。
この際、試料ガス中に含まれる粒子状態の残留性有機汚染物質は、煤塵などの他の粒子状物と共にフイルター420により捕捉され、試料ガスから取り除かれる。また、フイルター420を通過後の試料ガスに含まれるガス状態の残留性有機汚染物質は、第一吸着材430に吸着する。さらに、第一吸着材430を通過後の試料ガスに残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、第二吸着材440に吸着する。ここで、第二吸着材440は、タールの吸着能を有するアルミナ系吸着材であるため、形態2の場合と同様に、フイルター420および第一吸着材430を通過したタールを捕捉し、当該タール内に含まれる残留性有機汚染物質を捕捉することができる。
さらに、第二吸着材440を通過後の試料ガスに残存しているガス状態の残留性有機汚染物質は、第二本体部412内において、第三吸着材450に吸着し、試料ガスから取り除かれる。この際、第三吸着材450は、連結部413において試料ガスが冷却されているため、残留性有機汚染物質の吸着能を損なう可能性がある高温の試料ガスと接触するのが回避され、試料ガス中に残存しているガス状態の残留性有機汚染物質を効果的に吸着することができる。
以上の結果、試料ガス中に含まれる残留性有機汚染物質は、フイルター420、第一吸着材430、第二吸着材440および第三吸着材450により採取される。すなわち、試料ガス中に含まれる粒子状態およびガス状態の両方の形態の残留性有機汚染物質は、形態2の場合に比べてさらに確実に、採取器400により同時に採取される。
第二本体部412から排気流路40内に流れ込んだ試料ガスは、形態1の場合と同様に吸引器4において処理され、ガスメーター45から外部へ排出される。
試料ガス中に含まれていた残留性有機汚染物質を分析する場合は、形態1の場合と同様に操作し、採取器400の容器410を分割して容器410からフイルター420、第一吸着材430、第二吸着材440および第三吸着材450を取り出す。そして、採取管2および容器410の内部を溶媒を用いて洗浄し、その際の洗浄液を確保する。また、フイルター420、第一吸着材430、第二吸着材440および第三吸着材450によりそれぞれ捕捉された残留性有機汚染物質を溶媒で抽出する。ここで、フイルター420、第一吸着材430、第二吸着材440および第三吸着材450により捕捉された残留性有機汚染物質の抽出操作は、例えば通常のソックスレー抽出器を用いて実施することができる。残留性有機汚染物質を分析する際は、上述の洗浄液および上述のような抽出操作により得られた抽出液を合せ、これに対して形態1の場合と同様にして分析操作を実施する。
一度使用された採取器400は、容器410を十分に洗浄し、フイルター420、第一吸着材430、第二吸着材440および第三吸着材450を新たなものに取り替えると、繰り返して再利用することができる。
[他の実施の形態]
(1)上述の各実施の形態では、フイルター20、320、420として円筒ろ紙を用いているが、これらのフイルター20、320、420は、残留性有機汚染物質と実質的に化学反応しない無機繊維、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維およびシリカ繊維などからなるフエルトや綿であってもよい。
(2)上述の各形態に係る採取器3、300、400を用いた残留性有機汚染物質の採取方法では、採取器3、300、400を遮光するのが好ましい。この場合、試料ガス中に含まれる臭素系の残留性有機汚染物質が光分解するのを防止することができるため、試料ガス中の残留性有機汚染物質をより確実に採取することができる。
(3)上述の各実施の形態では、廃棄物の焼却炉から排出される排気ガス(試料ガス)中に含まれるダイオキシン類などの残留性有機汚染物質を採取する場合について説明したが、本発明の採取器および採取方法は、排気ガス以外の流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取する場合にも同様に利用することができる。例えば、環境大気中に含まれる残留性有機汚染物質、並びに工場廃水、海水、淡水および水道水等の水中に含まれる残留性有機汚染物質を採取する場合についても本発明の採取器等を同様に利用することができる。
工場廃水等の水中に含まれる残留性有機汚染物質を採取する場合、採取試料は液体試料となる。この場合、当該液体試料は、粒子状態、気泡状態(すなわち気液混合状態)および溶解状態(すなわち液中に溶解した状態)の様々な状態の各種の残留性有機汚染物質を含む可能性があるが、本発明の採取器は、このような様々な状態の各種の塩素化有機化合物を捕捉して液体試料中から採取することができる。
本発明に係る採取器の一形態を用いた残留性有機汚染物質の採取装置の概略図。 本発明の他の形態に係る採取器の部分断面図。 本発明のさらに他の形態に係る採取器の部分断面図。
符号の説明
3、300、400 採取器
10、310、410 容器
11、311、414 流入部
12、312、415 排出部
20、320、420 フイルター
30 吸着材
330、430 第一吸着材
340、440 第二吸着材
450 第三吸着材

Claims (6)

  1. 流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法であって、
    前記流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターに前記流体を通過させる工程と、
    前記フイルターを通過後の前記流体を、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な吸着材に接触させる工程と、
    を含む残留性有機汚染物質の採取方法。
  2. 流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法であって、
    前記流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターに前記流体を通過させる工程と、
    前記フイルターを通過後の前記流体を、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材に接触させる工程と、
    前記炭素系吸着材と接触後の前記流体を、前記残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材に接触させる工程と、
    を含む残留性有機汚染物質の採取方法。
  3. 流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための方法であって、
    前記流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターに前記流体を通過させる工程と、
    前記フイルターを通過後の前記流体を、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材に接触させる工程と、
    前記炭素系吸着材と接触後の前記流体を、前記残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材に接触させる工程と、
    前記アルミナ系吸着材と接触後の前記流体を、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な樹脂系吸着材に接触させる工程と、
    を含む残留性有機汚染物質の採取方法。
  4. 流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための採取器であって、
    前記流体の流入部を一端に有し、前記流体の排出部を他端に有する容器と、
    前記容器内に配置された、前記流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターと、
    前記容器内に配置された、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な吸着材とを備え、
    前記容器内において、前記フイルターは前記流入部側に配置されており、かつ、前記吸着材は前記排出部側に配置されている、
    残留性有機汚染物質の採取器。
  5. 流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための採取器であって、
    前記流体の流入部を一端に有し、前記流体の排出部を他端に有する容器と、
    前記容器内に配置された、前記流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターと、
    前記容器内に配置された、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材と、
    前記容器内に配置された、前記残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材および樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材とを備え、
    前記容器内において、前記フイルター、前記炭素系吸着材並びに前記アルミナ系吸着材および前記樹脂系吸着材のうちの一つの吸着材は、前記流入部から前記排出部の方向へこの順に配置されている、
    残留性有機汚染物質の採取器。
  6. 流体中に含まれる残留性有機汚染物質を採取するための採取器であって、
    前記流体の流入部を一端に有し、前記流体の排出部を他端に有する容器と、
    前記容器内に配置された、前記流体中に含まれる粒子状物を捕捉可能なフイルターと、
    前記容器内に配置された、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素系吸着材と、
    前記容器内に配置された、前記残留性有機汚染物質を吸着可能なアルミナ系吸着材と、
    前記容器内に配置された、前記残留性有機汚染物質を吸着可能な樹脂系吸着材とを備え、
    前記容器内において、前記フイルター、前記炭素系吸着材、前記アルミナ系吸着材および前記樹脂系吸着材は、前記流入部から前記排出部の方向へこの順に配置されている、
    残留性有機汚染物質の採取器。
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