JP3838144B2 - ダイオキシン類の分析用試料採取装置 - Google Patents

ダイオキシン類の分析用試料採取装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン類の分析用試料採取装置、特に、流体試料中に含まれるダイオキシン類を分析するために、流体試料からダイオキシン類を採取するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業廃棄物や一般家庭ごみなどの廃棄物を焼却処理するための焼却施設から発生する排気ガス中には、ダイオキシン類が含まれている場合がある。ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ・パラ・ダイオキシン類(PCDDs)やポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)等の総称であり、周知の如く極めて毒性の強い環境汚染物質であるため、環境保全の観点から、排気ガスや廃水などの流体中から取り除くための方策の確立が緊急の課題となっており、同時に、そのような流体中に含まれるダイオキシン類を分析するための手法の確立が世界的規模で急がれている。
【0003】
ところで、流体中に含まれるダイオキシン類を分析する際には、先ず、分析対象となる流体からダイオキシン類の分析用試料を入手する必要がある。例えば、排気ガス中に含まれるダイオキシン類を分析する場合は、排気ガスが通過する煙道から試料ガスを一定量採取し、この試料ガス中に含まれるダイオキシン類を分析用試料として採取する必要がある。
【0004】
そこで、1999年9月20日制定の日本工業規格JIS K 0311:1999は、排気ガス中に含まれるダイオキシン類の採取装置を具体的に例示している。この採取装置は、排気ガスが流れる煙道から試料ガスを採取するための採取管、採取管により採取された試料ガスを通過させるためのフイルタ材を備えた第一捕捉器、および第一捕捉器を通過した試料ガスをさらに通過させるための第二捕捉器を主に備えている。第二捕捉器は、主に、吸収液を入れた複数のガラス製インピンジャーからなる液体捕集部と吸着剤(例えばXAD−2)を配置した吸着捕集部とを備え、試料ガス中に含まれるダイオキシン類をインピンジャー内の吸収液と吸着剤とにより捕捉し得るように構成されている。
【0005】
このような採取装置を用いてダイオキシン類の分析用試料を採取する場合は、先ず、採取管を通じて煙道から一定量の試料ガスを採取し、この試料ガスを第一捕捉器および第二捕捉器の順に通過させる。この際、試料ガス中に含まれるダイオキシン類は、第一捕捉器のフイルタ材並びに第二捕捉器の液体捕集部および吸着剤により捕捉され、試料ガス中から取り除かれる。そして、フイルタ材、液体捕集部および吸着剤により捕捉されたダイオキシン類を、溶媒を用いてこれらの部材から抽出すると、目的とする分析用試料が得られる。得られた分析用試料は、精製および濃縮操作などの前処理が適宜施された後、GC/MSのような分析装置に適用され、定性的にまたは定量的に分析される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような分析用試料の採取装置は、ガラス製器具を備えた複雑な構成であるため、取扱いが困難である。また、当該採取装置において採取されたダイオキシン類の分析用試料を確保するためには、試料ガスの採取場所とは異なる場所において手作業で抽出作業を実施する必要があるため、分析用試料の入手のための作業が複雑かつ煩雑になり、また、長時間を要する。
【0007】
本発明の目的は、流体中に含まれるダイオキシン類の分析用試料を容易にかつ迅速に確保することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るダイオキシン類の分析用試料採取装置は、流体試料中に含まれるダイオキシン類を分析するために、流体試料からダイオキシン類を採取するためのものであり、流体試料中に含まれるダイオキシン類を捕捉して採取するためのフイルタを保持する採取部と、フイルタに対して流体試料を案内するための案内部と、フイルタにより採取されたダイオキシン類をフイルタから抽出するための第一抽出用溶媒を、採取部に保持されたフイルタに対して供給するための第一抽出用溶媒供給部と、第一抽出用溶媒供給部からフイルタに供給されかつフイルタからダイオキシン類を抽出した第一抽出用溶媒を引き続いて供給可能に設定された、極性物質を捕捉可能でありかつダイオキシン類が通過可能な第一固定相が充填された第一カラムを有する第一処理部と、第一カラムを通過しかつダイオキシン類を含む第一抽出用溶媒を引き続いて供給可能に設定された、ダイオキシン類を捕捉可能な第二固定相が充填された第二カラムを有する第二処理部と、第二カラムに対し、第一抽出用溶媒の供給方向とは逆方向に、ダイオキシン類を抽出可能な第二抽出用溶媒を供給可能な第二抽出用溶媒供給部とを備えている。フイルタは、繊維材料と、当該繊維材料同士を結合するための無機系結合材とを含む成形体からなる。
【0009】
このような分析用試料採取装置において、フイルタに対して案内部により案内される流体試料中に含まれるダイオキシン類は、流体試料がフイルタを通過する際に当該フイルタにより捕捉される。そして、フイルタに捕捉されたダイオキシン類は、第一抽出用溶媒供給部からフイルタに供給される第一抽出用溶媒により抽出される。フイルタからダイオキシン類を抽出した第一抽出用溶媒は、引き続いて第一処理部に供給される。第一処理部に供給された第一抽出用溶媒は、第一カラムを通過する際、極性物質、すなわち、ダイオキシン類以外の不純物が第一固定相により捕捉され、精製される。第一カラムを通過しかつダイオキシン類を含む第一抽出用溶媒は、引き続いて第二処理部に供給される。第二処理部に供給された第一抽出用溶媒は、第二カラムを通過する際、ダイオキシン類が第二固定相に捕捉されて取り除かれる。そして、第二カラムに対し、第一抽出用溶媒の供給方向とは逆方向に、第二抽出用溶媒供給部から第二抽出用溶媒を供給すると、第二カラムに捕捉されたダイオキシン類は、第二抽出用溶媒により第二カラムから抽出され、第二抽出用溶媒に溶解された状態の分析用試料として確保される。ここで、必要最小限の第二抽出用溶媒を用いれば、結果的に分析用試料は濃縮された状態になる。
【0010】
なお、この分析用試料採取装置において、採取部は、例えば、フイルタを複数有し、流体試料毎にフイルタを切り替え可能に設定されていてもよい。この場合、採取部は、例えば、複数のフイルタのうちの一つが案内部からの流体試料を案内可能に設定された状態で、複数のフイルタのうちの他の一つが第一抽出用溶媒供給部からの第一抽出用溶媒を供給可能に設定されているのが好ましい。また、第一処理部は、例えば、第一カラムを複数有し、フイルタ毎に第一カラムを切り替え可能に設定されていてもよい。この場合、第二処理部は、例えば、第二カラムを複数有し、第一カラム毎に第二カラムを切り替え可能に設定されていてもよい。
【0014】
分析用試料採取装置は、例えば、第一カラムを加熱するための加熱装置をさらに備えていてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、ダイオキシン類の分析用試料採取装置を説明する。図において、分析用試料採取装置1は、廃棄物の焼却炉の煙道2を流れる排気ガス(流体の一例)中に含まれるダイオキシン類を分析するための分析用試料を採取するためのものであり、採取部3、案内部4および第一抽出溶媒供給部5を主に備えている。
【0016】
採取部3は、フイルタ保持体6と、このフイルタ保持体6を回転させるための第一駆動装置7とを備えている。フイルタ保持体6は、一定の厚みを有する円板状に形成されており、軸方向が水平になるように配置されている。また、フイルタ保持体6は、図2のA(図1の矢印II方向から見た図)に示すように、同一の円周上において、等間隔に4つの貫通孔6aを有している。各貫通孔6aは、フイルタ保持体6の厚さ方向に開口しており、一つおきにフイルタ8が装着されている。すなわち、フイルタ保持体6には、2つのフイルタ8が装着されている。
【0017】
フイルタ8は、排気ガス中に含まれるダイオキシン類を捕捉して採取するためのものであり、流体通過性(この実施の形態では通気性)を有する、三次元網目構造の成形体からなる。因みに、このフイルタ8は、JIS K 0311:1999に例示されたダイオキシン類の採取装置と同等にダイオキシン類を採取可能なものであり、JIS K 0311:1999に例示された採取装置に代えて利用可能なものである。
【0018】
このようなフイルタ8は、例えばWO01/91883号公報において既に知られており、通常、図3に示すように、一端が閉鎖された円筒状に形成されている。なお、フイルタ8は、開口側が後述する第1移送管10に連絡するよう貫通孔6a内に挿入されている。
【0019】
フイルタ8を構成する上述の成形体は、繊維材料(繊維材料の群)と無機系結合材とを含んでいる。ここで用いられる繊維材料は、ダイオキシン類と実質的に化学反応しないものであり、通常、繊維状活性炭、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維(好ましくは活性アルミナ繊維)、シリカ繊維およびテフロン繊維のうちの少なくとも一つである。一方、無機系結合材は、繊維材料同士を結合して繊維材料からなる群を一体化し、繊維材料からなる群に一定の成形形状を付与する性質を有するもの、すなわち、繊維材料からなる群を一定の成形形状に保持するバインダーとして機能するものである。具体的には、繊維材料からなる群を、フイルタ8の形状、すなわち一端が閉鎖された円筒状に設定するためのものである。
【0020】
ここで利用可能な無機系結合材は、上述の性能を有し、しかも繊維材料と同様にダイオキシン類と実質的に化学反応しないものであれば特に限定されるものではないが、吸着性能、特にダイオキシン類に対する吸着性能を有するものが好ましい。このような無機系結合材としては、例えば、アルミナ(好ましくは活性アルミナ)、ゼオライト(好ましくは合成ゼオライト)、二酸化ケイ素(シリカ)、酸性白土およびアパタイトなどを挙げることができ、これらの無機系結合材は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上のものが併用されてもよい。また、無機系結合材は、形態が特に限定されるものではないが、通常は粒子状のものが用いられる。また、無機系結合材は、タールの吸着性を有するものが特に好ましい。このような特徴を有する無機系結合材を用いた場合、フイルタ8は、例えば排気ガス中に含まれる一酸化炭素に由来して生成するタールを効果的に吸着することができ、そのようなタール中に溶け込んだダイオキシン類をもより確実に捕捉して採取することができる。なお、タールを吸着可能な無機系結合材としては、アルミナ、ゼオライトおよび二酸化ケイ素を例示することができる。これらのタールを吸着可能な無機系結合材は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上のものが併用されてもよい。
【0021】
また、上述の成形体は、通常、嵩密度が0.1〜1g/cm3に設定されているのが好ましく、0.3〜0.7g/cm3に設定されているのがより好ましい。成形体の嵩密度が0.1g/cm3未満の場合は、排気ガス中に含まれるダイオキシン類の一部がフイルタ8を通過してしまう場合があり、排気ガス中に含まれるダイオキシン類を安定に採取するのが困難になる可能性がある。逆に、嵩密度が1g/cm3を超える場合は、フイルタ8において、排気ガス中に含まれる粒子状物を捕捉した際に圧損が高まるおそれがあり、その結果、排気ガスが通過しにくくなって上述のJIS規格(JIS K 0311:1999)で規定されている等速吸引が困難になる可能性がある。また、フイルタ8により採取されたダイオキシン類を抽出する際において、抽出率の低下を招くおそれがある。
【0022】
フイルタ8を構成する成形体として好ましいものは、繊維材料として活性アルミナ繊維を用い、無機系結合材として粒子状の活性アルミナを用いたものである。特に、このような成形体であって、さらに嵩密度が0.3〜0.7g/cm3の範囲に設定されているものが最も好ましい。
【0023】
なお、上述のようなフイルタ8の製造方法は、上に挙げたWO01/91883号公報に記載の通りである。
【0024】
第一駆動装置7は、フイルタ保持体6を、図2の時計回りに回転させるためのものであり、フイルタ保持体6の中心に装着された回転軸9aとモータ9とを主に備えている。モータ9は、回転軸9aを90度ずつ断続的に回転させることができるものである。
【0025】
案内部4は、煙道2内を流れる排気ガスの一部(流体試料の一例であり、以下、試料ガスという)を採取して採取部3に案内するためのものであり、採取部3のフイルタ保持体6を挟んで配置された、第一移送管10と第二移送管11とを備えている。第一移送管10は、一端が煙道2内に配置されており、他端がフイルタ保持体6に設けられた貫通孔6aのうちの一つ(図1、図2のAにおいて、フイルタ保持体6の上部に位置する貫通孔6a)に連絡している。また、第一移送管10は、試料ガスの温度が100〜120℃になるよう設定するための温度調節装置12を有している。一方、第二移送管11は、第一移送管10が連絡している貫通孔6aの反対側に一端が連絡しており、また、他端にはドレントラップ13と吸引ポンプ14とをこの順に有している。ここで、ドレントラップ13は、試料ガス中の水分を捕集するためのものであり、また、吸引ポンプ14は、煙道2内を流れる排気ガスを安定に等速吸引するためのものである。
【0026】
また、第二移送管11は、温度センサー15を有している。この温度センサー15は、第二移送管11内を流れる試料ガスの温度を測定するためのものであり、温度調節装置12に連絡している。そして、温度調節装置12は、温度センサー15による測定結果に基づいて、第一移送管10内を流れる試料ガスの温度を調節可能に設定されている。さらに、第二移送管11には、洗浄用窒素ガスボンベ16から延びる洗浄用窒素ガス供給路17が連絡している。この洗浄用窒素ガス供給路17は、第一逆止弁18を有している。
【0027】
第一抽出用溶媒供給部5は、フイルタ保持体6に保持されたフイルタ8に対してダイオキシン類の抽出用溶媒(第一抽出用溶媒)を供給するためのものであり、フイルタ保持体6を挟んで配置された、第一抽出用溶媒供給路19と第一抽出用溶媒排出路20とを備えている。第一抽出用溶媒供給路19は、第一供給ポンプ21を有しており、一端がフイルタ保持体6に設けられた貫通孔6aのうち、案内部4が連絡しているものから一つ隔てた他の貫通孔6a(図1、図2のAにおいて、フイルタ保持体6の下部に位置する貫通孔6a)に連絡している。なお、第一抽出用溶媒供給路19は、第一移送管10の反対側(すなわち、第二移送管11の連絡側)から貫通孔6aに連絡している。
【0028】
また、第一抽出用溶媒供給路19の他端は、ダイオキシン類の抽出用溶媒が貯留された第一溶媒タンク22内に配置されている。第一溶媒タンク22内に貯留されている抽出用溶媒は、フイルタ8により捕捉されたダイオキシン類を抽出することができるものであれば特に限定されるものではないが、通常はダイオキシン類を含む各種の炭化水素化合物を効率的に抽出可能なもの、例えばヘキサンを用いるのが好ましい。また、第一溶媒タンク22には、第一加圧用窒素ガスボンベ23から延びかつ第二逆止弁24を有する第一加圧用窒素ガス供給路25が連絡している。この結果、第一溶媒タンク22は、第一加圧用窒素ガス供給路25から供給される窒素ガスにより、内圧が一定に保たれている。
【0029】
第一抽出用溶媒排出路20は、第一抽出用溶媒供給路19が連絡している貫通孔6aの反対側に一端が連絡しており、また、他端が開口している。
【0030】
なお、この分析用試料採取装置1において、モータ9、吸引ポンプ14、洗浄用窒素ガスボンベ16および第一供給ポンプ21は、シーケンス制御やコンピュータ制御により、以下に説明するような順序で作動する。
【0031】
次に、上述の分析用試料採取装置1の動作について説明する。
先ず、採取部3において、モータ9が作動し、フイルタ保持体6が回転する。これにより、フイルタ保持体6の貫通孔6aに保持された2つのフイルタ8のうちの一つが案内部4の第一移送管10と第二移送管11との間に挟まれるように配置される。このとき、フイルタ保持体6に保持された他のフイルタ8は、第一抽出用溶媒供給部5の第一抽出用溶媒供給路19と第一抽出用溶媒排出路20との間に挟まれるように配置される。(図1および図2のAの状態。)
【0032】
フイルタ保持体6が上述のように設定された後、吸引ポンプ14が作動する。この結果、煙道2内の排気ガスの一部は、試料ガスとして第一移送管10内に連続的に等速吸引され、温度調節装置12において上述の温度範囲に温度が調節された後、フイルタ8を通過して第二移送管11内に移動する。この際、試料ガス中に含まれるダイオキシン類は、フイルタ8により捕捉され、試料ガス中から取り除かれる。第二移送管11内に移動した試料ガスは、引き続き吸引ポンプ14により吸引され、ドレントラップ13により水分が捕集された後に排出される。
【0033】
なお、上述のような試料ガスの採取は、吸引ポンプ14を予め定めた一定時間作動させることにより実施する。これにより、フイルタ8は、一定量の試料ガスが通過することになり、また、当該一定量の試料ガス中に含まれるダイオキシン類を捕捉して採取することになる。なお、ここでの一定時間は、焼却炉において焼却する廃棄物の種類に応じて適宜設定するのが好ましく、通常は、上述のJIS K 0311:1999に規定された時間に設定するのが好ましい。
【0034】
上述の一定時間の経過後、次に、モータ9が作動し、図2のBに示すように、フイルタ保持体6を図の時計回りに90度回転させる。これにより、第一移送管10と第二移送管11とは、フイルタ8を保持していない貫通孔6aにより互いに連絡することになる。この状態で、洗浄用窒素ガスボンベ16から窒素ガスを供給すると、この窒素ガスは、洗浄用窒素ガス供給路17を通じて第二移送管11内に流入し、また、貫通孔6aを通過して第一移送管10内に流入した後、煙道2内へ連続的に排出される。この結果、第一移送管10内は、窒素ガスにより洗浄される。この際、第一移送管10は、温度調節装置12により300〜400℃に加熱するのが好ましい。このようにすると、第一移送管10内は、還元性雰囲気になり、より短時間で効果的に洗浄されることになる。
【0035】
次に、上述の洗浄操作の完了後、再度モータ9が作動し、図2のCに示すように、フイルタ保持体6を図の時計回りに90度回転させる。これにより、ダイオキシン類を採取したフイルタ8は、第一抽出用溶媒供給部5の第一抽出用溶媒供給路19と第一抽出用溶媒排出路20との間に挟まれるように配置される。また、同時に、他方のフイルタ8は、案内部4の第一移送管10と第二移送管11との間に挟まれるように配置される。すなわち、採取部3は、他方のフイルタ8が試料ガスを案内可能に設定され、同時に、ダイオキシン類を採取したフイルタ8が第一抽出用溶媒供給路19からの抽出用溶媒を供給可能な状態に設定されることになる。換言すると、採取部3は、煙道2からの異なる試料ガスを採取するために、フイルタ8を切り替えた状態に設定されることになる。
【0036】
このような状態で、吸引ポンプ14が上述の一定時間再度作動する。この結果、他方のフイルタ8は、煙道2からの異なる試料ガスが通過し、当該試料ガス中に含まれるダイオキシン類を採取することができる。
【0037】
一方、このような状態において、第一供給ポンプ21が同時に作動する。この結果、第一溶媒タンク22内に貯留されている抽出用溶媒は、第一抽出用溶媒供給路19を通じ、先にダイオキシン類を採取したフイルタ8に対して連続的に供給される。フイルタ8に供給された抽出用溶媒は、フイルタ8を第一抽出用溶媒排出路20方向に通過し、第一抽出用溶媒排出路20から外部に排出される。この際、フイルタ8に捕捉されているダイオキシン類は、フイルタ8を通過する抽出用溶媒中に抽出され、抽出用溶媒と共に第一抽出用溶媒排出路20から外部に排出される。したがって、第一抽出用溶媒排出路20から排出される抽出用溶媒を捕集すると、試料ガス中に含まれるダイオキシン類の分析用試料を確保することができる。
【0038】
このようにして確保された分析用試料は、必要に応じて精製および濃縮操作を実施した後、例えばGC/MS等の分析機器に適用すると、定性的または定量的に分析することができる。
【0039】
上述のように、分析用試料採取装置1では、採取部3において試料ガス中に含まれるダイオキシン類を採取し、また、第一抽出用溶媒供給部5から採取部3に対して抽出用溶媒を供給することにより、採取したダイオキシン類を速やかに抽出することができるので、試料ガス中に含まれるダイオキシン類の分析用試料を容易にかつ迅速に確保することができる。
【0040】
また、この分析用試料採取装置1では、採取部3のフイルタ保持体6が上述のように回転可能に構成され、しかもフイルタ8を2つ有しているので、採取部3において、フイルタ8による試料ガスからのダイオキシン類の採取と、他のフイルタ8により採取されたダイオキシン類の抽出とを並行して効率的に実施することができる。
【0041】
なお、この分析用試料採取装置1において用いられるフイルタ8は、採取したダイオキシン類が抽出用溶媒により抽出されたとき、実質的に洗浄された状態になる。したがって、ダイオキシン類が抽出された後のフイルタ8は、異なる試料ガス中に含まれるダイオキシン類を採取するために繰り返し再利用することができる。
【0042】
(1)上述の分析用試料採取装置1において、フイルタ保持体6は、図2に一点鎖線で示すように、貫通孔6aの周囲にフイルタ8を加熱するためのヒータ6bを内蔵していてもよい。フイルタ8に対して第一抽出用溶媒供給部5から抽出用溶媒を供給する際に、このヒータ6bによりフイルタ8を加熱すると、フイルタ8で捕捉されたダイオキシン類をより少量の抽出用溶媒で抽出することができる。
【0043】
(2)図4に、上述の分析用試料採取装置1の変形例を示す。図4において、図1に示したものと同じ部材には同じ符号を付している。この変形例に係る分析用試料採取装置30は、分析用試料の精製部31(第一処理部の一例)をさらに備えている。
【0044】
精製部31は、第一カラム保持体32と、この第一カラム保持体32を回転させるための第二駆動装置33とを主に備えている。第一カラム保持体32は、一定の厚みを有する円板状に形成されており、軸方向が垂直になるよう第一抽出用溶媒供給部5の第一抽出用溶媒排出路20の下方に配置されている。また、第一カラム保持体32は、図5のA(図4の矢印V方向から見た図)に示すように、同一の円周上において、中心を挟んで対向する2つの貫通孔32aを有している。各貫通孔32aは、第一カラム保持体32の厚さ方向に開口しており、それぞれに第一カラム34が装着されている。すなわち、この変形例において、第一カラム保持体32には、2つの第一カラム34が装着されている。
【0045】
第一カラム34は、上下方向に開口する筒状体内に固定相(第一固定相)を充填したものである。ここで用いられる固定相は、極性物質を捕捉可能でありかつダイオキシン類を捕捉しないものである。このような固定相としては、例えば、シリカゲルを用いることができる。なお、固定相として用いられるシリカゲルは、種類の異なるシリカゲルを多層に配置したもの、例えば、硝酸銀シリカゲルと硫酸シリカゲルとを多層に配置したものであってもよい。このような固定相を用いると、後述する精製処理をより効果的かつ迅速に実施することができる。
【0046】
なお、第一カラム保持体32に設けられた2つの貫通孔32aのうちの一つは、その上方に、第一抽出用溶媒排出路20の開口端側が配置されている。また、当該貫通孔32の下方には、第二抽出用溶媒排出路35が配置されている。
【0047】
第二駆動装置33は、第一カラム保持体32を、図5の時計回りに回転させるためのものであり、第一カラム保持体32の中心に装着された回転軸36とモータ37とを主に備えている。モータ37は、回転軸36を180度ずつ断続的に回転させることができるものである。
【0048】
この分析用試料採取装置30を用いてダイオキシン類の分析用試料を採取する場合は、モータ37が作動し、第一カラム保持体32に装着された2つの第一カラム34のうちの一方が第一抽出用溶媒排出路20の下方に位置しかつ第二抽出用溶媒排出路35の上方に位置するよう配置される。そして、精製部31がこのような状態に設定された後、上述の分析用試料採取装置1の場合と同様に分析用試料の採取操作が実施されると、第一抽出用溶媒排出路20から排出される分析用試料、すなわち、ダイオキシン類を含む抽出用溶媒は、第一カラム保持体32に装着された一方の第一カラム34に対し、第一抽出溶媒排出路20から引き続いて供給される。第一カラム34に供給された分析用試料は、第一カラム34内に充填された固定相を通過し、第二抽出用溶媒排出路35を通じて採取される。この際、分析用試料中に含まれる、ダイオキシン類以外の不純物、すなわち、フイルタ8により上述の試料ガス中からダイオキシン類と共に捕捉された各種の極性物質が固定相に捕捉され、分析用試料中から除去される。したがって、この分析用試料採取装置30によれば、精製された分析用試料を確保することができ、当該分析用試料は、必要に応じて濃縮等するだけで分析機器に適用することができる。
【0049】
なお、上述のようにして抽出用溶媒排出路20からの分析用試料が精製された後、モータ37は、図5のBに示すように、第一カラム保持体32を時計回りに180度回転させる。これにより、第一抽出用溶媒排出路20と第二抽出用溶媒排出路35との間には、別の第一カラム34が配置されることになり、当該別の第一カラム34は、採取部3における別のフイルタ8に由来する分析用試料を続いて精製することができる。すなわち、この分析用試料採取装置30では、フイルタ8毎に、第一カラム34を切り替えることができる。
【0050】
(3)上述の変形例(2)に係る分析用試料採取装置30において、第一カラム保持体32は、図5に一点鎖線で示すように、各貫通孔32aの周囲に第一カラム34を加熱するためのヒータ38(加熱装置の一例)を内蔵していてもよい。このヒータ38により第一カラム34を加熱すると、第一抽出用溶媒排出路20からの分析用試料中に含まれる不純物が固定相においてより効果的に捕捉されるため、第一カラム34における分析用試料の精製効率をより高めることができる。
【0051】
(4)図6に、上述の分析用試料採取装置30の変形例を示す。図6において、図1および図4に示したものと同じ部材には同じ符号を付している。この変形例に係る分析用試料採取装置40は、本発明の実施の一形態に係るものであり、分析用試料の濃縮部41(第二処理部の一例)をさらに備えている。
【0052】
濃縮部41は、第二カラム保持体42、この第二カラム保持体42を回転させるための第三駆動装置43および第二抽出用溶媒供給部44を主に備えている。第二カラム保持体42は、一定の厚みを有する円板状に形成されており、軸方向が垂直になるよう精製部31の第二抽出用溶媒排出路35の下方に配置されている。また、第二カラム保持体42は、図7のA(図6の矢印VII方向から見た図)に示すように、同一の円周上において、等間隔に配置された3つの貫通孔42aを有している。各貫通孔42aは、第二カラム保持体42の厚さ方向に開口しており、それぞれに第二カラム45が装着されている。すなわち、この実施の形態において、第二カラム保持体42には、3つの第二カラム45が装着されている。
【0053】
第二カラム45は、上下方向に開口する筒状体内に固定相(第二固定相)を充填したものである。ここで用いられる固定相は、ダイオキシン類を捕捉可能なものである。このような固定相としては、ダイオキシン類の吸着性能が高いもの、例えば、活性炭やグラファイト等の炭素材料を用いることができる。
【0054】
なお、第二カラム保持体42に設けられた3つの貫通孔42aのうちの一つは、その上方に、第二抽出用溶媒排出路35が配置されている。
【0055】
第三駆動装置43は、第二カラム保持体42を、図7の時計回りに回転させるためのものであり、第二カラム保持体42の中心に装着された回転軸46とモータ47とを主に備えている。モータ47は、回転軸46を120度ずつ断続的に回転させることができるものである。
【0056】
第二抽出用溶媒供給部44は、第二カラム保持体42に保持された第二カラム45に対してダイオキシン類の抽出用溶媒(第二抽出用溶媒)を供給するためのものであり、第二カラム保持体42を挟んで配置された、第二抽出用溶媒供給路50と第三抽出用溶媒排出路51とを備えている。第二抽出用溶媒供給路50は、第二供給ポンプ52を有しており、一端が第二カラム保持体42に設けられた貫通孔42aのうち、第二抽出用溶媒排出路35が配置されているものの反時計回り方向に隣接して設けられたものの下方に連絡している。また、第二抽出用溶媒供給路50の他端は、ダイオキシン類の抽出用溶媒が貯留された第二溶媒タンク53内に配置されている。第二溶媒タンク53内に貯留されている抽出用溶媒は、第二カラム45の固定相に捕捉されたダイオキシン類を抽出することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えばトルエンを用いるのが好ましい。また、第二溶媒タンク53には、第二加圧用窒素ガスボンベ54から延びかつ第三逆止弁55を有する第二加圧用窒素ガス供給路56が連絡している。この結果、第二溶媒タンク53は、第二加圧用窒素ガス供給路56から供給される窒素ガスにより、内圧が一定に保たれている。
【0057】
第三抽出用溶媒排出路51は、第二抽出用溶媒供給路50が連絡している貫通孔42aの上側に一端が連絡しており、また、他端が第二カラム保持体42の下方に延びかつ開口している。
【0058】
また、第二抽出用溶媒供給部44は、第二カラム45の洗浄部57を有している。洗浄部57は、洗浄用溶媒供給路58を備えている。洗浄用溶媒供給路58は、第三供給ポンプ59を有しており、一端が第二カラム保持体42に設けられた貫通孔42aのうち、第二抽出用溶媒排出路35が配置されているものの時計回り方向に隣接して設けられたものの上方に連絡している。また、洗浄用溶媒供給路58の他端は、第二カラム45の洗浄用溶媒が貯留された第三溶媒タンク60内に配置されている。第三溶媒タンク60内に貯留されている洗浄用溶媒は、第二カラム45の固定相中の不純物を抽出可能でありかつダイオキシン類を抽出しないものであり、例えば、ジクロロメタンを25重量%含むヘキサンである。また、第三溶媒タンク60には、第二加圧用窒素ガス供給路56において、第三逆止弁55よりも第二加圧用窒素ガスボンベ54側から分岐しかつ第四逆止弁61を有する第三加圧用窒素ガス供給路62が連絡している。この結果、第三溶媒タンク60は、第三加圧用窒素ガス供給路62から供給される窒素ガスにより、内圧が一定に保たれている。
【0059】
この分析用試料採取装置40を用いてダイオキシン類の分析用試料を採取する場合は、モータ47が作動し、第二カラム保持体42に装着された3つの第二カラム45のうちの一つが第二抽出用溶媒排出路35の下方に位置するように配置される。この際、他の二つの第二カラム45,45は、それぞれ第二抽出用溶媒供給路50と第三抽出用溶媒排出路51との間および洗浄用溶媒供給路58の下方に位置するように配置される。そして、濃縮部41がこのような状態に設定された後、上述の変形例(2)の場合と同様に分析用試料の採取操作を実施すると、精製部31において精製された分析用試料、すなわち、ダイオキシン類を含みかつ不純物が除去された抽出用溶媒は、第二抽出用溶媒排出路35に対応する第二カラム45に対し、第二抽出用溶媒排出路35から引き続いて供給される。
【0060】
ここで、第二カラム45に供給された分析用試料は、第二カラム45内に充填された固定相を通過する。この際、分析用試料中に含まれるダイオキシン類は、固定相に捕捉され、第二カラム45内に留まる。一方、分析用試料中の抽出用溶媒は、固定相を通過し、第二カラム45の下部から排出される。
【0061】
精製部31からの分析用試料の全量が第二カラム45に供給された後、モータ47は、図7のBに示すように、第二カラム保持体42を図7の時計回りに120度回転させる。これにより、精製部31からの分析用試料が通過した第二カラム45は、洗浄用溶媒供給路58の下方に位置するように配置される。そして、この状態で第三供給ポンプ59が作動し、当該第二カラム45に対し、第三溶媒タンク60内に貯留された洗浄用溶媒が洗浄用溶媒供給路58を通じて連続的に供給される。この結果、ダイオキシン類と共に第二カラム45に捕捉された不純物は、洗浄用溶媒と共に第二カラム45から排出される。
【0062】
一定量の洗浄用溶媒が第二カラム45に対して供給された後、モータ47は、図7のCに示すように、第二カラム保持体42を図7の時計回りにさらに120度回転させる。これにより、洗浄用溶媒により洗浄された第二カラム45は、第二抽出用溶媒供給路50と第三抽出用溶媒排出路51との間に位置するように配置される。そして、この状態で第二供給ポンプ52が作動し、当該第二カラム45の下方から、第二抽出用溶媒供給路50を通じて第二溶媒タンク53内の抽出用溶媒が連続的に供給される。第二カラム45に供給された抽出用溶媒は、固定相に捕捉されたダイオキシン類を抽出し、第三抽出用溶媒排出路51を通じて排出される。したがって、第三抽出用溶媒排出路51から排出される、ダイオキシン類を含む抽出用溶媒を捕集すると、ダイオキシン類の分析用試料を確保することができる。
【0063】
なお、ここで確保することができる分析用試料は、第二カラム45において捕捉されたダイオキシン類を抽出するために必要な最少量の抽出用溶媒を含むものであるため、精製部31からの分析用試料に比べて分量が少なくなっており、結果的にダイオキシン類が濃縮された状態にある。したがって、この分析用試料は、そのまま、若しくは必要に応じて僅かに濃縮するだけで、分析機器に対して直接に適用することができる。
【0064】
因みに、上述のような抽出動作時において、第二カラム保持体42に保持された他の二つの第二カラム45,45のうちの一つは、第二抽出用溶媒排出路35の下方に配置された状態にあるため、採取部3において別のフイルタ8により採取されたダイオキシン類を含む別の分析用試料を受け入れることができる。すなわち、この分析用試料採取装置40では、精製部31の第一カラム34毎に第二カラム45を切り替えることができ、第二カラム45に対する精製部31からの分析用試料の供給と、他の第二カラム45で先に捕捉されたダイオキシン類の抽出とを並行して実施することができる。
【0065】
(5)上述の分析用試料採取装置40において、第二カラム保持体42は、図7に一点鎖線で示すように、各貫通孔42aの周囲に第二カラム45を加熱するためのヒータ63を内蔵していてもよい。このヒータ63により第二カラム45を加熱すると、第二カラム45で捕捉されたダイキシン類をより少量の抽出用溶媒で抽出することができ、分析用試料の濃縮効率を高めることができる。
【0066】
(6)上述の分析用試料採取装置40では、採取部3において2つのフイルタ8を装着したが、必要に応じて採取部3には3つ以上のフイルタ8を装着してもよい。この場合、精製部31および濃縮部41においてそれぞれ装着する第一カラム34および第二カラム45の個数は、フイルタ8の個数に応じて設定するのが好ましい。
【0067】
(7)上述の分析用試料採取装置40では、フイルタ8として、繊維材料と無機系結合材とを含む成形体からなるものを用いたが、フイルタ8は、JIS K 0311:1999に例示されたダイオキシン類の採取装置と同等にダイオキシン類を採取可能なものであれば、他の形態のものが用いられてもよい。因みに、他の形態のフイルタとしては、例えば、WO99/37987号公報において開示されたもの、例えば、無機質ファイバーと活性炭とを含む成形体からなるものを挙げることができる。
【0068】
(8)上述の分析用試料採取装置40は、廃棄物の焼却炉から排出される排気ガス中に含まれるダイオキシン類の分析用試料を採取する場合について説明したが、本発明の分析用試料採取装置は、排気ガス以外の流体試料中に含まれるダイオキシン類の分析用試料を採取する場合にも同様に利用することができる。例えば、環境大気中に含まれるダイオキシン類、並びに工場廃水、海水、淡水および水道水等の水中に含まれるダイオキシン類の分析用試料を採取する場合においても、本発明の分析用試料採取装置を同様に利用することができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明に係るダイオキシン類の分析用試料採取装置は、流体試料中に含まれるダイオキシン類を捕捉して採取するための、採取部に保持されたフイルタと、当該フイルタにおいて採取されたダイオキシン類を抽出するための第一抽出用溶媒を、採取部に保持された当該フイルタに対して供給するための第一抽出用溶媒供給部と、ダイオキシン類を抽出した第一抽出用溶媒を引き続いて供給可能に設定された、極性物質を捕捉可能でありかつダイオキシン類が通過可能な第一固定相が充填された第一カラムを有する第一処理部と、第一カラムを通過しかつダイオキシン類を含む第一抽出用溶媒を引き続いて供給可能に設定された、ダイオキシン類を捕捉可能な第二固定相が充填された第二カラムを有する第二処理部と、第二カラムに対し、第一抽出用溶媒の供給方向とは逆方向に、ダイオキシン類を抽出可能な第二抽出用溶媒を供給可能な第二抽出用溶媒供給部とを備え、しかもフイルタが繊維材料と、当該繊維材料同士を結合するための無機系結合材とを含む成形体からなるため、流体試料中に含まれるダイオキシン類の分析用試料を容易にかつ迅速に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ダイオキシン類の分析用試料採取装置の概略図。
【図2】 前記分析用試料採取装置において用いられるフイルタ保持体を図1の矢印II方向から見た図。
【図3】 前記分析用試料採取装置において用いられるフイルタの断面図。
【図4】 前記分析用試料採取装置の変形例の概略図。
【図5】 前記変形例において用いられる第一カラム保持体を図4の矢印V方向から見た図。
【図6】 本発明の実施の形態に係るダイオキシン類の分析用試料採取装置の概略図。
【図7】 前記実施の形態において用いられる第二カラム保持体を図6の矢印VII方向から見た図。
【符号の説明】
1、30、40 分析用試料採取装置
3 採取部
4 案内部
5 第一抽出用溶媒供給部
8 フイルタ
31 精製部
34 第一カラム
38 ヒータ
41 濃縮部
44 第二抽出用溶媒供給部
45 第二カラム

Claims (6)

  1. 流体試料中に含まれるダイオキシン類を分析するために、前記流体試料から前記ダイオキシン類を採取するための装置であって、
    前記流体試料中に含まれるダイオキシン類を捕捉して採取するためのフイルタを保持する採取部と、
    前記フイルタに対して前記流体試料を案内するための案内部と、
    前記フイルタにより採取された前記ダイオキシン類を前記フイルタから抽出するための第一抽出用溶媒を、前記採取部に保持された前記フイルタに対して供給するための第一抽出用溶媒供給部と、
    前記第一抽出用溶媒供給部から前記フイルタに供給されかつ前記フイルタから前記ダイオキシン類を抽出した前記第一抽出用溶媒を引き続いて供給可能に設定された、極性物質を捕捉可能でありかつ前記ダイオキシン類が通過可能な第一固定相が充填された第一カラムを有する第一処理部と、
    前記第一カラムを通過しかつ前記ダイオキシン類を含む前記第一抽出用溶媒を引き続いて供給可能に設定された、前記ダイオキシン類を捕捉可能な第二固定相が充填された第二カラムを有する第二処理部と、
    前記第二カラムに対し、前記第一抽出用溶媒の供給方向とは逆方向に、前記ダイオキシン類を抽出可能な第二抽出用溶媒を供給可能な第二抽出用溶媒供給部とを備え、
    前記フイルタは、繊維材料と、前記繊維材料同士を結合するための無機系結合材とを含む成形体からなる、
    ダイオキシン類の分析用試料採取装置。
  2. 前記採取部は、前記フイルタを複数有し、前記流体試料毎に前記フイルタを切り替え可能に設定されている、請求項1に記載のダイオキシン類の分析用試料採取装置。
  3. 前記採取部は、複数の前記フイルタのうちの一つが前記案内部からの前記流体試料を案内可能に設定された状態で、複数の前記フイルタのうちの他の一つが前記第一抽出用溶媒供給部からの前記第一抽出用溶媒を供給可能に設定されている、請求項2に記載のダイオキシン類の分析用試料採取装置。
  4. 前記第一処理部は、前記第一カラムを複数有し、前記フイルタ毎に前記第一カラムを切り替え可能に設定されている、請求項2または3に記載のダイオキシン類の分析用試料採取装置。
  5. 前記第二処理部は、前記第二カラムを複数有し、前記第一カラム毎に前記第二カラムを切り替え可能に設定されている、請求項4に記載のダイオキシン類の分析用試料採取装置。
  6. 前記第一カラムを加熱するための加熱装置をさらに備えている、請求項1から5のいずれかに記載のダイオキシン類の分析用試料採取装置。
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