JP4605357B2 - ダイオキシン類分析用試料の調製方法 - Google Patents

ダイオキシン類分析用試料の調製方法 Download PDF

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本発明は、ダイオキシン類分析用試料の調製方法、特に、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液からダイオキシン類の分析用試料を調製するための調製方法に関する
ダイオキシン類は毒性の強い環境汚染物質であることから、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)は、廃棄物焼却施設からの排気ガス、大気、工場排水や河川水などの水、廃棄物焼却施設において発生する飛灰(フライアッシュ)および土壌等に含まれるダイオキシン類を定期的に分析することを義務付けている。ここで、本願における「ダイオキシン類」の用語は、ダイオキシン類対策特別措置法第2条の規定に倣い、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)に加え、コプラナーポリ塩化ビフェニル(Co−PCBs)を含む意味として用いる。
排気ガスや排水等の流体中や土壌中に含まれるダイオキシン類を分析する場合は、先ず、排気ガスや土壌等の検体からダイオキシン類を抽出し、分析用試料を確保する必要がある。ここで、検体が土壌や焼却灰等のような固形物の場合、当該固形物からヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒を用いた抽出法(例えば、ソックスレー抽出法)により、ダイオキシン類を抽出する(例えば、非特許文献1、2および3参照)。一方、検体が排気ガスや廃水等の流体の場合は、先ず、例えば、非特許文献4に記載されたガラス製インピンジャーや特許文献1、2および3等に記載のフイルタを用いて流体中のダイオキシン類を捕捉して採取する。そして、ガラス製インピンジャーやフイルタにより採取されたダイオキシン類を、脂肪族炭化水素溶媒を用いた抽出法(例えば、ソックスレー抽出法やガラス製インピンジャー等の洗浄法)により抽出する(非特許文献4、特許文献1、2、3参照)。
上述のような工程を経て得られた抽出液、すなわち、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液は、通常、精製および濃縮された後、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)を用いて定性的および定量的に分析される。しかし、ダイオキシン類は、多種類の化合物の混合物であるため、同時に分析すると、信頼性の高い分析結果が得られない場合がある。具体的には、モノオルトCo−PCBs、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsが混在している抽出液をGC/MSで分析すると、モノオルトCo−PCBsがPCDDsおよびPCDFsの定量分析結果に影響し、また、PCDDsおよびPCDFsがモノオルトCo−PCBsの定量分析結果に影響する。そこで、非特許文献4は、GC/MSによる分析結果の信頼性を高めるため、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液を、モノオルトCo−PCBsおよびノンオルトCo−PCBsを含む溶液と、PCDDsおよびPCDFsを含む溶液との二種類に分別し、各溶液を個別にGC/MSで分析するよう推奨している。
しかしながら、非特許文献4に記載された分別方法は、数種類のカラムクロマトグラフィを組み合わせたもので操作が煩雑であり、また、分別が完了するのに数日程度の長時間を要する。
また、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液は、モノオルトCo−PCBsとPCDDsおよびPCDFsとが相互に影響し合って定量分析結果を損なうのであれば、モノオルトCo−PCBsの溶液と、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの溶液との二種類に分別すればよいことになるが、そのような分別を短時間で簡単に達成できる方法は未だ実現されていない。
本発明の目的は、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液から、モノオルトCo−PCBs用の分析用試料と、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFs用の分析用試料とを簡単に、しかも短時間で別々に調製することにある。
環境庁水質保全局土壌農薬課編「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル(2000年)」 環境庁水質保全局水質管理課編「ダイオキシン類に係る底質調査測定マニュアル(2000年)」 環境庁水質保全局水質管理課編「外因性内分泌攪乱化学物質調査暫定マニュアル(1998年)」 1999年9月20日制定の日本工業規格JIS K 0311:1999
特許第3273796号公報 WO01/91883号公報 特開2004−53388
本発明に係るダイオキシン類分析用試料の調製方法は、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液からダイオキシン類分析用試料を調製するためのものであり、シリカゲル系充填材が充填されかつ加熱された第一カラムへ脂肪族炭化水素溶媒溶液を供給する工程と、脂肪族炭化水素溶媒溶液が供給された第一カラムに対して脂肪族炭化水素溶媒を供給して通過させる工程と、炭素材系充填材を充填した第二カラムへ第一カラムを通過後の脂肪族炭化水素溶媒を供給して通過させる工程と、脂肪族炭化水素溶媒が通過後の第二カラムに対してジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を供給して通過させ、第二カラムを通過した混合溶媒を確保する混合溶媒確保工程と、脂肪族炭化水素溶媒が通過後の第二カラムに対してトルエンを供給して通過させ、第二カラムを通過したトルエンを確保するトルエン確保工程とを含んでいる。シリカゲル系充填材はシリカゲル、硫酸シリカゲルおよび硝酸銀シリカゲルを多層に充填した多層シリカゲルである。
この調製方法では、通常、混合溶媒確保工程の後にトルエン確保工程を実行する。
この調製方法において、第一カラムへ供給された脂肪族炭化水素溶媒溶液中のダイオキシン類は、第一カラムに対して供給される脂肪族炭化水素溶媒に溶解し、脂肪族炭化水素溶媒と共に第一カラムを通過する。この際、脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれていた不純物は、シリカゲル系充填材により捕捉され、第一カラム内に留まる。第一カラムを通過した脂肪族炭化水素溶媒を第二カラムへ供給すると、脂肪族炭化水素溶媒に溶解したダイオキシン類は、脂肪族炭化水素溶媒が第二カラムを通過する際に炭素材系充填材により捕捉され、第二カラム内に留まる。そして、脂肪族炭化水素溶媒が通過後の第二カラムに対してジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を供給して通過させると、炭素材系充填材により捕捉されたダイオキシン類のうち、モノオルトCo−PCBsが当該混合溶媒に溶解し、抽出される。したがって、第二カラムに対して供給した混合溶媒を第二カラムの通過後に確保すると、モノオルトCo−PCBsの分析用試料が得られる。一方、脂肪族炭化水素溶媒が通過後の第二カラムに対してトルエンを供給して通過させると、炭素材系充填材により捕捉されたダイオキシン類のうち、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsが当該トルエンに溶解し、抽出される。したがって、第二カラムに対して供給したトルエンを第二カラムの通過後に確保すると、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料が得られる。
この調製方法では、脂肪族炭化水素溶媒が通過後の第二カラムに対し、混合溶媒確保工程においては脂肪族炭化水素溶媒の通過方向と同じ方向へ混合溶媒を供給して通過させ、かつ、トルエン確保工程においては脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向へトルエンを供給して通過させるのが好ましい。或いは、この調製方法では、脂肪族炭化水素溶媒が通過後の第二カラムに対し、混合溶媒確保工程およびトルエン確保工程において、脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向へ混合溶媒およびトルエンをそれぞれ供給して通過させるのが好ましい。
本発明の調製方法では、第一カラムから第二カラムに対して供給された脂肪族炭化水素溶媒に溶解しているダイオキシン類は、第二カラムにおいて、主に、脂肪族炭化水素溶媒の流入側端部付近に留まる。したがって、これらの好ましい形態の調製方法において、第二カラムの炭素材系充填材により捕捉されたダイオキシン類のうちノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsは、第二カラムに対して脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向へ少量のトルエンを供給して通過させるだけで、第二カラムから容易に抽出される。このため、これらの形態の調製方法により得られるノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料は、余分なトルエンを含まず、少量に設定され得る。
本発明に係るダイオキシン類の分析用試料調製方法は、上述の工程を含んでいるため、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液から、モノオルトCo−PCBsの分析用試料と、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とを簡単に、しかも短時間で別々に調製することができる。
図1を参照して、本発明に係るダイオキシン類分析用試料の調製装置の一形態を説明する。図において、調製装置1は、試料供給路(供給路の一例)10、精製用カラム20、分別用カラム30(第二カラムの一例)、カラム連絡路40、溶媒排出路50、脂肪族炭化水素溶媒供給部60、混合溶媒供給部70およびトルエン供給部80を主に備えている。
試料供給路10は、精製用カラム20に対し、後に詳述するダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液を供給するためのものであり、第一切替弁11を有している。
精製用カラム20は、前段カラム21と後段カラム22(第一カラムの一例)との二つのカラムを上下に連結したものであり、ヒーター等の第一加熱装置23を有している。前段カラム21は、上下方向に開口しており、かつ、上部側の開口部に試料供給路10が連絡しており、試料供給路10からの脂肪族炭化水素溶媒溶液を一時的に保持するための粒状の保持材21aが充填されている。保持材21aは、脂肪族炭化水素溶媒溶液を粒子の隙間で保持することができ、また、後述する脂肪族炭化水素溶媒を前段カラム21に対して供給した場合に脂肪族炭化水素溶媒溶液中のダイオキシン類を溶出することができるものであれば各種のものを用いることができるが、例えば、シリカゲル、アルミナ、珪藻土および硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。これらの保持材21aは、必要に応じて二種類以上のものが混合して用いられてもよい。
一方、後段カラム22は、脂肪族炭化水素溶媒溶液からダイオキシン類以外の不純物を除去するためのものであり、上下方向に開口しており、かつ、シリカゲル系充填材22aが充填されている。シリカゲル系充填材22aは、脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれる上述の不純物を捕捉することができるものであれば、特に限定されるものではないが、通常は、シリカゲル、硝酸銀シリカゲル若しくは硫酸シリカゲルを用いるのが好ましい。これらのシリカゲル系充填材22aは、二種類以上のものが併用されてもよい。この場合、シリカゲル系充填材22aは、後段カラム22において、二種類以上のものを混合した状態で充填されていてもよいし、二種類以上のものが多層に充填されていてもよい。
分別用カラム30は、精製用カラム20を通過した、後述する脂肪族炭化水素溶媒に溶解しているダイオキシン類を捕捉するための炭素材系充填材30aを充填したものであり、上下方向に開口しておりかつヒーター等の第二加熱装置31を備えている。炭素材系充填材30aは、ダイオキシン類を保持することができるものであればその種類が限定されるものではないが、通常、活性炭やグラファイトが用いられる。活性炭は、シリカゲルとの混合物、例えば、活性炭が埋蔵されたシリカゲルや活性炭を分散させたシリカゲルであってもよい。また、活性炭は、アルミナとの混合物、例えば、活性炭混合アルミナであってもよい。
カラム連絡路40は、精製用カラム20の後段カラム22と分別用カラム30とを連絡するためのものであり、一端が後段カラム22の下部側の開口部に連絡しており、また、他端が分別用カラム30の上部側の開口部に連絡している。また、カラム連絡路40は、第二切替弁41を有している。この第二切替弁41には、トルエン排出路42の一端が連絡しており、このトルエン排出路42の他端は開口している。
溶媒排出路50は、分別用カラム30の下部側の開口部から延びており、第三切替弁51を有しかつ末端が開口している。そして、溶媒排出路50の末端には、図示しない溶媒回収タンクが配置されている。溶媒排出路50は、後述する混合溶媒を排出するための混合溶媒排出路を兼ねている。
脂肪族炭化水素溶媒供給部60は、脂肪族炭化水素溶媒タンク61と、脂肪族炭化水素溶媒タンク61から延びる脂肪族炭化水素溶媒供給路62とを備えている。脂肪族炭化水素溶媒タンク61は、脂肪族炭化水素溶媒を貯留するためのものであり、脂肪族炭化水素溶媒を加熱して温めるための第三加熱装置(図示せず)を有している。ここで用いられる脂肪族炭化水素溶媒は、通常、炭素数が5〜10の脂肪族炭化水素溶媒であり、例えば、n−ヘキサン、ノナンおよびデカンなどを挙げることができる。これらのうち、n−ヘキサンは、安価な溶媒であるため、特に好ましく使用することができる。また、脂肪族炭化水素溶媒供給路62は、第一切替弁11に連絡しており、脂肪族炭化水素溶媒タンク61内の脂肪族炭化水素溶媒を第一切替弁11方向へ送り出すための第一ポンプ63を有している。
混合溶媒供給部70は、混合溶媒タンク71と、混合溶媒タンク71から延びる混合溶媒供給路72とを備えている。混合溶媒タンク71は、ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を貯留するためのものであり、ここで用いられる混合溶媒は、通常、ジクロロメタンを5〜50容量%含むもの、好ましくは、ジクロロメタンを25容量%含むものである。また、この混合溶媒において用いられるヘキサンは、通常、n−ヘキサンが好ましい。
混合溶媒供給路72は、第二切替弁41に連絡しており、また、混合溶媒タンク71内の混合溶媒を第二切替弁41方向へ送り出すための第二ポンプ73を有している。
トルエン供給部80は、トルエンタンク81と、トルエンタンク81から延びるトルエン供給路82とを備えている。トルエンタンク81は、トルエンを貯留するためのものであり、トルエンを加熱して温めるための第四加熱装置(図示せず)を有している。トルエン供給路82は、第三切替弁51に連絡しており、また、トルエンタンク81内のトルエンを第三切替弁51方向へ送り出すための第三ポンプ83を有している。
上述の調製装置1において、第一切替弁11は、試料供給路10と前段カラム21との間の連絡若しくは脂肪族炭化水素溶媒供給路62と前段カラム21との間の連絡のいずれかに流路を切替えるためのものである。また、第二切替弁41は、後段カラム22と分別用カラム30との間の連絡、混合溶媒供給路72と分別用カラム30との間の連絡若しくは分別用カラム30とトルエン排出路42との間の連絡のいずれかに流路を切替えるためのものである。さらに、第三切替弁51は、分別用カラム30と溶媒排出路50との間の連絡若しくはトルエン供給路82と分別用カラム30との間の連絡のいずれかに流路を切替えるためのものである。
次に、上述の調製装置1を用いたダイオキシン類分析用試料の調製方法について説明する。先ず、第一切替弁11、第二切替弁41および第三切替弁51を所定の初期状態に設定する。すなわち、第一切替弁11は、試料供給路10と前段カラム21とが連絡するよう設定する。第二切替弁41は、後段カラム22と分別用カラム30とが連絡するよう設定する。第三切替弁51は、分別用カラム30と溶媒排出路50とが連絡するよう設定する。
次に、試料供給路10へダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液を供給する。ここで供給するダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液は、例えば、1999年9月20日制定の日本工業規格JIS K 0311:1999(上述の非特許文献1)に記載の装置または特許第3273796号公報(上述の特許文献1)、WO01/91883号公報(上述の特許文献2)若しくは特開2004−53388号公報(上述の特許文献3)に記載のフイルタ等を用いて焼却施設から発生する排気ガスや工場廃水などの流体中に含まれるダイオキシン類を採取し、採取されたダイオキシン類を有機溶媒で抽出した抽出液若しくは土壌や飛灰等に含まれるダイオキシン類を有機溶媒で抽出して得られた抽出液等に基づくものである。これらの抽出液は、通常、流体、土壌若しくは飛灰等の検体中のダイオキシン類を上述のような操作により脂肪族炭化水素溶媒を用いて抽出することにより得られたものであれば、上述の脂肪族炭化水素溶媒溶液としてそのまま利用することができる。これに対し、これらの抽出液が他の有機溶媒、例えばトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒を用いた抽出により得られたものの場合、当該抽出液は、抽出用に用いた芳香族炭化水素溶媒を脂肪族炭化水素溶媒に置換すれば、上述の脂肪族炭化水素溶媒溶液として利用することができる。ここで、抽出あるいは溶媒置換に用いられる脂肪族炭化水素溶媒は、通常、炭素数が5〜10の脂肪族炭化水素溶媒であり、例えば、n−ヘキサン、ノナンおよびデカンなどを挙げることができる。これらのうち、n−ヘキサンは、安価な溶媒であるため、特に好ましく使用することができる。
試料供給路10へ供給されたダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液は、試料供給路10を通じて精製用カラム20の前段カラム21へ供給され、その保持材21aに保持される。脂肪族炭化水素溶媒溶液の全量が前段カラム21へ供給されると、第一加熱装置23を作動させ、前段カラム21および後段カラム22を加熱する。次に、第一切替弁11を操作して脂肪族炭化水素溶媒供給路62と前段カラム21とが連絡するよう設定し、また、第一ポンプ63を作動させる。これにより、脂肪族炭化水素溶媒タンク61内の脂肪族炭化水素溶媒は、脂肪族炭化水素溶媒供給路62および試料供給路10の一部を通じて前段カラム21へ連続的に供給される。ここで供給される脂肪族炭化水素溶媒は、脂肪族炭化水素溶媒タンク61において予め温められたものである。
前段カラム21へ供給された初期の脂肪族炭化水素溶媒は、前段カラム21の保持材21aに保持されたダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液を後段カラム22へ移動させる。この結果、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液は、後段カラム22へ供給されることになる。この際、前段カラム21の保持材21aとしてシリカゲルやアルミナを用いていると、脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれるダイオキシン類以外の不純物の一部が保持材21aに捕捉される。すなわち、脂肪族炭化水素溶媒溶液は、前段カラム21において、予備的な精製処理が施される。
脂肪族炭化水素溶媒タンク61から前段カラム21へ続いて供給される脂肪族炭化水素溶媒は、前段カラム21を通過して後段カラム22へ供給される。後段カラム22へ供給された脂肪族炭化水素溶媒は、後段カラム22へ供給された脂肪族炭化水素溶媒溶液中のダイオキシン類を溶解しながら後段カラム22を通過する。この際、脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれるダイオキシン類以外の不純物は、シリカゲル系充填材22aにより捕捉される。すなわち、脂肪族炭化水素溶媒溶液は、後段カラム22において、精製処理される。
以上の過程において、第一ポンプ63は、脂肪族炭化水素溶媒タンク61から供給する脂肪族炭化水素溶媒の量が、後段カラム22へ供給された脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれるダイオキシン類の全量を十分に溶解可能な量になるよう作動させる。これにより、脂肪族炭化水素溶媒タンク61から供給される脂肪族炭化水素溶媒は、後段カラム22へ供給された脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれるダイオキシン類の実質的に全量を溶解した精製脂肪族炭化水素溶媒溶液として後段カラム22からカラム連絡路40へ流れる。
後段カラム22からの精製脂肪族炭化水素溶媒溶液は、カラム連絡路40を通過し、分別用カラム30の上端側へ連続的に供給される。分別用カラム30へ供給された精製脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれるダイオキシン類は、精製脂肪族炭化水素溶媒溶液が分別用カラム30を上端側から下端側へ向けて通過する際に炭素材系充填材30aにより捕捉される。したがって、分別用カラム30からは実質的に脂肪族炭化水素溶媒のみが排出され、この脂肪族炭化水素溶媒は、溶媒排出路50を通じて図示しない溶媒回収タンクに回収される。
ここで、精製脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれているダイオキシン類は、分別用カラム30に充填された炭素材系充填材30aにより捕捉されやすい。このため、当該ダイオキシン類は、図1に示すように、主に、分別用カラム30の上端部付近Xで集中的に捕捉される。
ここまでの工程を、便宜上、初期工程という。
次に、第二切替弁41を操作し、混合溶媒供給路72と分別用カラム30とが連絡するよう設定する。この状態で第二ポンプ73を作動させると、混合溶媒タンク71に貯留された混合溶媒は、混合溶媒供給路72、第二切替弁41およびカラム連絡路40の一部を通過し、分別用カラム30へ連続的に供給される。分別用カラム30へ供給された混合溶媒は、炭素材系充填材30aにより補足されたダイオキシン類のうちモノオルトCo−PCBsを抽出し、溶媒排出路50へ流れる。したがって、溶媒排出路50から排出される混合溶媒(すなわち、モノオルトCo−PCBsの混合溶媒溶液)を確保すると、モノオルトCo−PCBsの分析用試料を得ることができる。この分析用試料は、適宜濃縮するだけで、そのままGC/MS法により分析することができる。
次に、第二加熱装置31を作動させ、分別用カラム30を加熱する。また、第二切替弁41を操作し、分別用カラム30とトルエン排出路42とが連絡するよう設定する。さらに、第三切替弁51を操作し、トルエン供給路82と分別用カラム30とが連絡するよう設定する。この状態で第三ポンプ83を作動させると、トルエンタンク81に貯留されたトルエンは、トルエン供給路82、第三切替弁51および溶媒排出路50の一部を通過して分別用カラム30の下端側から上端側へ向けて連続的に供給される。すなわち、トルエンは、分別用カラム30における精製脂肪族炭化水素溶媒溶液および混合溶媒の通過方向とは逆方向へ供給される。
分別用カラム30へ供給されたトルエンは、炭素材系充填材30aにより捕捉されたダイオキシン類のうちノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsを抽出し、トルエン排出路42へ流れる。したがって、トルエン排出路42から排出されるトルエン(すなわち、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsのトルエン溶液)を確保すると、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料を得ることができる。
ここで、炭素材系充填材30aに捕捉されたノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsは、上述のように、分別用カラム30の上端部付近Xで集中的に捕捉されているため、分別用カラム30における移動距離が短く、少量のトルエンで実質的に全量が速やかに抽出される。したがって、トルエン排出路42からは、精製脂肪族炭化水素溶媒溶液よりもノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFs濃度の高い少量の分析用試料が得られることになる。具体的には、例えば、精製用カラム20の後段カラム22から分別用カラム30へ供給される精製脂肪族炭化水素溶媒溶液量が100ミリリットル程度であった場合、最終的に得られるノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料は10ミリリットル程度に大幅に濃縮される。
このようにして得られたノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料は、上述のような少量の濃縮液であるため、そのままか若しくは適宜濃縮するだけでGC/MS法により分析することができる。
以上のように、この実施の形態に係る調製装置1を用いたダイオキシン類分析用試料の調製方法では、分別用カラム30の炭素材系充填材30aにより補足されたダイオキシン類を二種類の溶媒を使い分けて抽出しているため、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液から、モノオルトCo−PCBsの分析用試料とノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とを別々に短時間で簡単に調製することができる。
[他の実施の形態]
(1)図2を参照して、本発明に係るダイオキシン類分析用試料の調製装置の他の形態を説明する。図2において、上述の調製装置1と同じ部分には同じ符合を付している。この形態の調製装置100において、混合溶媒供給部70の混合溶媒供給路72は、第三切替弁51に連絡しており、また、第二切替弁41には、トルエン排出路42とは別に混合溶媒排出路43の一端が連絡しており、この混合溶媒排出路43の他端は開口している。
また、第二切替弁41は、後段カラム22と分別用カラム30との間の連絡、分別用カラム30と混合溶媒排出路43との間の連絡若しくは分別用カラム30とトルエン排出路42との間の連絡のいずれかに流路を切替えるためのものである。さらに、第三切替弁51は、分別用カラム30と溶媒排出路50との間の連絡、混合溶媒供給路72と分別用カラム30との間の連絡若しくはトルエン供給路82と分別用カラム30との間の連絡のいずれかに流路を切替えるためのものである。
この調製装置100によりダイオキシン類の分析用試料を調製する場合は、上述の調整装置1を用いた調製方法における初期工程の後、第二切替弁41を操作し、混合溶媒排出路43と分別用カラム30とが連絡するよう設定する。また、第三切替弁51を操作し、混合溶媒供給路72と分別用カラム30とが連絡するよう設定する。この状態で第二ポンプ73を作動させると、混合溶媒タンク71に貯留された混合溶媒は、混合溶媒供給路72、第三切替弁51および溶媒排出路50の一部を通過し、分別用カラム30の下端側から上端側へ向けて連続的に供給される。すなわち、混合溶媒は、分別用カラム30における精製脂肪族炭化水素溶媒溶液の通過方向とは逆方向へ供給される。分別用カラム30へ供給された混合溶媒は、炭素材系充填材30aにより補足されたダイオキシン類のうちモノオルトCo−PCBsを抽出し、混合溶媒排出路43へ流れる。したがって、混合溶媒排出路43から排出される混合溶媒(すなわち、モノオルトCo−PCBsの混合溶媒溶液)を確保すると、モノオルトCo−PCBsの分析用試料を得ることができる。この分析用試料は、適宜濃縮するだけで、そのままGC/MS法により分析することができる。
また、この分析用試料は、精製脂肪族炭化水素溶媒溶液が通過したカラム連絡路40および第二切替弁41を逆流して得られるものであるため、上述の調整装置1において溶媒排出路50および第三切替弁51を通過して得られるものに比べてコンタミネーションを受けにくく、信頼性が高い。
次に、第二加熱装置31を作動させ、分別用カラム30を加熱する。また、第二切替弁41を操作し、分別用カラム30とトルエン排出路42とが連絡するよう設定する。さらに、第三切替弁51を操作し、トルエン供給路82と分別用カラム30とが連絡するよう設定する。この状態で第三ポンプ83を作動させると、トルエンタンク81に貯留されたトルエンは、トルエン供給路82、第三切替弁51および溶媒排出路50の一部を通過して分別用カラム30の下端側から上端側へ向けて連続的に供給される。この結果、上述の調整装置1の場合と同様に、少量のトルエンにより溶解されたノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料を得ることができる。
(2)上述の各実施の形態では、脂肪族炭化水素溶媒タンク61において予め加熱された脂肪族炭化水素溶媒を加熱した精製用カラム20へ供給しているが、脂肪族炭化水素溶媒および精製用カラム20は加熱しなくてもよい。但し、通常は、両者を加熱した方が、前段カラム21および後段カラム22における精製処理が速やかに進行し、また、脂肪族炭化水素溶媒溶液の精製効果も高まる。さらに、より少量の脂肪族炭化水素溶媒により、脂肪族炭化水素溶媒溶液に溶解しているダイオキシン類を精製用カラム20から分別用カラム30へ移動させることもできる。
(3)上述の各実施の形態では、加熱した分別用カラム30に対してトルエンを供給し、炭素材系充填材30aからノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsを抽出しているが、分別用カラム30は加熱しなくてもよい。但し、通常は、分別用カラム30を加熱した方が、炭素材系充填材30aに捕捉されたノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsを抽出するために必要なトルエン量が少なくなり、より濃縮度の高い少量の分析用試料を得やすくなる。
(4)上述の各実施の形態では、精製用カラム20を前段カラム21と後段カラム22との二段に構成したが、前段カラム21を省略した場合も本発明を同様に実施することができる。但し、ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液に含まれる不純物をより効果的に除去することができ、ダイオキシン類分析用試料の信頼性をより高めることができることから、通常は前段カラム21を採用するのが好ましい。
(5)上述の各実施の形態では、各切替弁11,41,51、各ポンプ63,73,83および各加熱装置23,31などを手動で操作する場合について説明したが、これらの操作はコンピュータ制御等により自動化することもできる。
実施例1
日本分析化学会が指定しているダイオキシン類分析用の土壌標準物質JSAC0421森林土(中層)からトルエンを用いてダイオキシン類をソックスレー抽出し、ダイオキシン類抽出液、すなわちダイオキシン類のトルエン溶液を得た。このトルエン溶液へダイオキシン類分析用のクリーンアップスパイクを添加した後、溶媒であるトルエンを5ミリリットルのn−ヘキサンに置換した。これにより、ダイオキシン類のヘキサン溶液を得た。
上述の実施の形態において説明したダイオキシン類分析用試料の調製装置1を用い、上述のヘキサン溶液から二種類のダイオキシン類分析用試料、すなわち、モノオルトCo−PCBsの分析用試料と、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とを調製した。調製装置1において、精製用カラム20の前段カラム21および後段カラム22並びに分別用カラム30は、次のように設定した。
◎前段カラム
サイズ:内径12.5mm、長さ20mm
保持材:シリカゲル
◎後段カラム
サイズ:内径12.5mm、長さ170mm
シリカゲル系充填材:シリカゲル、硫酸シリカゲルおよび硝酸銀シリカゲルを多層に充填した多層シリカゲル
◎分別用カラム
サイズ:内径6mm、長さ30mm
炭素材系充填材:関東化学株式会社の活性炭分散シリカゲル
ダイオキシン類分析用試料の調製過程において、上述の初期工程では、先ず、ヘキサン溶液を試料供給路10から精製用カラム20の前段カラム21に対して供給した。そして、50℃に加熱したn−ヘキサンを2.5ミリリットル/分の流速で全量が100ミリリットルになるよう、50℃に加熱した精製用カラム20に対して供給した。
次に、このような初期工程の終了後、分別用カラム30に対し、ジクロロメタン25容量%とn−ヘキサン75容量%との混合溶媒50ミリリットルを1ミリリットル/分の流速で通液し、モノオルトCo−PCBsの分析用試料を得た。また、モノオルトCo−PCBsの分析用試料を得た後、90℃に加熱した分別用カラムに対して90℃に加熱したトルエン30ミリリットルを1ミリリットル/分の流速で通液し、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料を得た。
得られた各分析用試料を高分解能GC/MSにより分析した。ダイオキシン類のヘキサン溶液から分析用試料を調製し、その分析が完了するまでに要した時間は150分であった。分析結果を表1に示す。表1において、Co−PCBsは、IUPAC(国際純正応用化学連合)の分類に従って表示している。この点は以下の表についても同じである。また、表1において、「認証値」は、日本分析化学会により共同実験の結果に基づいて値付けされた濃度を意味しており、「所間標準偏差」は、共同実験に参加した分析機関における分析値のばらつきの程度を意味している。さらに、「スコア」は、次の式により求めたものである。これらについては、表3についても同じである。表1によると、いずれのダイオキシン類についてもスコアが±2以内であり、分析結果は正確なものと考えられる。
Figure 0004605357
Figure 0004605357
また、各分析用試料について、クリーンアップスパイクの回収率を調べた結果を表2に示す。表2によると、モノオルトCo−PCBsの分析用試料においてはモノオルトCo−PCBsが80%以上の回収率で回収されており、また、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料においてはノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsのいずれもが80%以上の回収率で回収されている。これによると、上述の調整装置1を用いたダイオキシン類分析用試料の調製方法では、ダイオキシン類のヘキサン溶液から、モノオルトCo−PCBsの分析用試料とノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とが正確に分別されて得られているものと考えることができる。
Figure 0004605357
実施例2
日本分析化学会が指定しているダイオキシン類およびPCB同族体分析用の底質標準物質JSAC0431河川底質からトルエンを用いてダイオキシン類をソックスレー抽出し、ダイオキシン類抽出液、すなわちダイオキシン類のトルエン溶液を得た。このトルエン溶液へ実施例1で用いたものと同じクリーンアップスパイクを添加した後、溶媒であるトルエンを5ミリリットルのn−ヘキサンに置換した。これにより、ダイオキシン類のヘキサン溶液を得た。
得られたヘキサン溶液から、実施例1で用いたものと同じ調製装置1を用い、実施例1と同じ条件および操作で二種類のダイオキシン類分析用試料、すなわち、モノオルトCo−PCBsの分析用試料と、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とを調製した。得られた各分析用試料を実施例1の場合と同様に高分解能GC/MSにより分析した結果を表3に示す。表3によると、いずれのダイオキシン類についてもスコアが±2以内であり、分析結果は正確なものと考えられる。因みに、本実施例においても、ダイオキシン類のヘキサン溶液から分析用試料を調製し、その分析が完了するまでに要した時間は150分であった。
Figure 0004605357
また、各分析用試料について、クリーンアップスパイクの回収率を調べた結果を表4に示す。表4によると、モノオルトCo−PCBsの分析用試料においてはモノオルトCo−PCBsが80%以上の回収率で回収されており、また、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料においてはノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsのいずれもが80%以上の回収率で回収されている。これによると、この実施例においても、ダイオキシン類のヘキサン溶液から、モノオルトCo−PCBsの分析用試料とノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とが正確に分別されて得られているものと考えることができる。
Figure 0004605357
実施例3
1999年9月20日制定の日本工業規格JIS K 0311:1999に記載の方法によりゴミ焼却施設から排出される排気ガス中に含まれるダイオキシン類を採取し、それをトルエンで抽出してダイオキシン類抽出液、すなわちダイオキシン類のトルエン溶液を得た。このトルエン溶液へ実施例1で用いたものと同じクリーンアップスパイクを添加した後、溶媒であるトルエンを5ミリリットルのn−ヘキサンに置換した。これにより、ダイオキシン類のヘキサン溶液を得た。
得られたヘキサン溶液から、実施例1で用いたものと同じ調製装置1を用い、実施例1と同じ条件および操作で二種類のダイオキシン類分析用試料、すなわち、モノオルトCo−PCBsの分析用試料と、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とを調製した。そして、得られた各分析用試料を実施例1の場合と同様に高分解能GC/MSにより分析し、クリーンアップスパイクの回収率を調べた結果を表5に示す。表5によると、モノオルトCo−PCBsの分析用試料においてはモノオルトCo−PCBsが80%以上の回収率で回収されており、また、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料においてはノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsのいずれもが80%以上の回収率で回収されている。これによると、この実施例においても、ダイオキシン類のヘキサン溶液から、モノオルトCo−PCBsの分析用試料とノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とが正確に分別されて得られているものと考えることができる。因みに、本実施例においても、ダイオキシン類のヘキサン溶液から分析用試料を調製し、その分析が完了するまでに要した時間は150分であった。
Figure 0004605357
実施例4
ヘキサン5ミリリットルに実施例1で用いたものと同じダイオキシン類分析用のクリーンアップスパイクを添加してダイオキシン類のヘキサン溶液を調製した。このヘキサン溶液から、上述の他の実施の形態(1)に係る調製装置100を用いた調製方法により、二種類のダイオキシン類分析用試料、すなわち、モノオルトCo−PCBsの分析用試料と、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とを調製した。調製装置100において、各カラムの条件は実施例1と同じに設定した。また、分析用試料の調製工程において、各カラムや各溶媒(n−ヘキサン、ジクロロメタンとn−ヘキサンとの混合溶媒およびトルエン)の加熱温度および各溶媒(n−ヘキサン、ジクロロメタンとn−ヘキサンとの混合溶媒およびトルエン)の供給量や流速等は、実施例1と同じに設定した。
得られた各分析用試料を実施例1の場合と同様に高分解能GC/MSにより分析し、クリーンアップスパイクの回収率を調べた結果を表6に示す。表6によると、モノオルトCo−PCBsの分析用試料においてはモノオルトCo−PCBsが80%以上の回収率で回収されており、また、ノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料においてはノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsのいずれもが80%以上の回収率で回収されている。これによると、この実施例においても、ダイオキシン類のヘキサン溶液から、モノオルトCo−PCBsの分析用試料とノンオルトCo−PCBs、PCDDsおよびPCDFsの分析用試料とが正確に分別されて得られているものと考えることができる。因みに、本実施例においても、ダイオキシン類のヘキサン溶液から分析用試料を調製し、その分析が完了するまでに要した時間は150分であった。
Figure 0004605357
本発明の実施の一形態に係るダイオキシン類の分析用試料調製装置の概略図。 本発明の他の実施の形態に係るダイオキシン類の分析用試料調製装置の概略図。
符号の説明
1、100 調製装置
10 試料供給路
22 後段カラム
22a シリカゲル系充填材
30 分別用カラム
30a 炭素材系充填材
40 カラム連絡路
42 トルエン排出路
43 混合溶媒排出路
50 溶媒排出路
60 脂肪族炭化水素溶媒供給部
70 混合溶媒供給部
80 トルエン供給部

Claims (4)

  1. ダイオキシン類の脂肪族炭化水素溶媒溶液からダイオキシン類分析用試料を調製するための方法であって、
    シリカゲル系充填材が充填されかつ加熱された第一カラムへ前記脂肪族炭化水素溶媒溶液を供給する工程と、
    前記脂肪族炭化水素溶媒溶液が供給された前記第一カラムに対して脂肪族炭化水素溶媒を供給して通過させる工程と、
    炭素材系充填材を充填した第二カラムへ前記第一カラムを通過後の前記脂肪族炭化水素溶媒を供給して通過させる工程と、
    前記脂肪族炭化水素溶媒が通過後の前記第二カラムに対してジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を供給して通過させ、前記第二カラムを通過した前記混合溶媒を確保する混合溶媒確保工程と、
    前記脂肪族炭化水素溶媒が通過後の前記第二カラムに対してトルエンを供給して通過させ、前記第二カラムを通過した前記トルエンを確保するトルエン確保工程とを含み、
    前記シリカゲル系充填材がシリカゲル、硫酸シリカゲルおよび硝酸銀シリカゲルを多層に充填した多層シリカゲルである、
    ダイオキシン類分析用試料の調製方法。
  2. 前記混合溶媒確保工程の後に前記トルエン確保工程を実行する、請求項1に記載のダイオキシン類分析用試料の調製方法。
  3. 前記脂肪族炭化水素溶媒が通過後の前記第二カラムに対し、前記混合溶媒確保工程においては前記脂肪族炭化水素溶媒の通過方向と同じ方向へ前記混合溶媒を供給して通過させ、かつ、前記トルエン確保工程においては前記脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向へ前記トルエンを供給して通過させる、請求項1または2に記載のダイオキシン類分析用試料の調製方法。
  4. 前記脂肪族炭化水素溶媒が通過後の前記第二カラムに対し、前記混合溶媒確保工程および前記トルエン確保工程において、前記脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向へ前記混合溶媒および前記トルエンをそれぞれ供給して通過させる、請求項1または2に記載のダイオキシン類分析用試料の調製方法。
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