JP2000338012A - 塩素化有機化合物の採取器および塩素化有機化合物の採取用フイルター - Google Patents

塩素化有機化合物の採取器および塩素化有機化合物の採取用フイルター

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JP2000338012A
JP2000338012A JP11149588A JP14958899A JP2000338012A JP 2000338012 A JP2000338012 A JP 2000338012A JP 11149588 A JP11149588 A JP 11149588A JP 14958899 A JP14958899 A JP 14958899A JP 2000338012 A JP2000338012 A JP 2000338012A
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Katsuhisa Honda
克久 本田
典明 ▲浜▼田
Noriaki Hamada
Masazumi Yamashita
正純 山下
Yasushi Nakamura
裕史 中村
Osamu Kajikawa
修 梶川
Mamoru Hatada
衛 畑田
Susumu Fujita
進 藤田
Atsusane Matsumoto
敦実 松元
Tominari Sato
富徳 佐藤
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Miura Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
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Miura Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体中に含まれる粒子状態及びガス状態の塩
素化有機化合物を同時に捕捉して採取することができる
採取器を実現する。 【解決手段】 採取器3は、一端が閉鎖されかつ他端に
開口部7aを有する筒状の多孔質の採取用フイルター7
と、その開口部7aに対して着脱可能でありかつ流体を
採取用フイルター7内に導入するための導入管8と、採
取用フイルター7を被覆しかつ採取用フイルター7を通
過する流体を外部に排出するための排出路12aを有す
るホルダー6とを備えている。採取用フイルター7は、
平均繊維径が10μm以下の極細炭素系繊維を含みかつ
空隙率が80%以上100%未満に設定された成形体か
らなる。導入管8を経由して送られて来た気体試料は、
それに含まれる粒子状態およびガス状態の塩素化有機化
合物が採取用フイルター7において同時に採取されて取
り除かれた後、排出路12aから外部に排出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、塩素化有機化合物
の採取器および採取用フイルター、特に、流体中に含ま
れる塩素化有機化合物を採取するための採取器および採
取用フイルターに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】産業廃棄物や一般家庭ごみな
どの廃棄物を焼却処理するための焼却施設から発生する
排気ガス中には、ダイオキシン類、ポリクロロビフェニ
ル(PCB)、クロロフェノール、クロロベンゼンなど
の塩素化有機化合物が含まれている。
【0003】ここで、ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベ
ンゾ・パラ・ダイオキシン類(PCDDs)やポリ塩化
ジベンゾフラン類(PCDFs)等の総称であり、周知
の如く極めて毒性の強い環境汚染物質であるが、その中
でも四塩化ジベンゾダイオキシン(T4CDDs)は特
に最強の毒性物質として知られている。一方、ポリクロ
ロビフェニル、クロロフェノール、クロロベンゼンなど
の塩素化有機化合物は、ダイオキシン類に比べて毒性は
弱いが、一定の条件下、例えば、焼却炉内でフライアッ
シュ中の種々の元素を触媒として排気ガスの温度範囲で
ダイオキシン類に変化しやすいことが判明しているた
め、ダイオキシン類と同様に環境汚染物質として認識さ
れている。このため、環境保全の観点から、上述のよう
な各種の塩素化有機化合物を排気ガスや廃水などの流体
中から除去するための方策の確立が緊急の課題となって
おり、同時にこのような流体中に含まれる塩素化有機化
合物を分析するための手法の確立が世界的規模で急がれ
ている。
【0004】ところで、流体中に含まれる塩素化有機化
合物を分析する際には、先ず、分析対象となる流体から
精密かつ正確に試料を入手する必要がある。例えば、排
気ガス中に含まれる塩素化有機化合物を分析する場合
は、排気ガスを含む空間、例えば排気ガスが流れる煙道
から気体試料を一定量採取し、この気体試料中に含まれ
る各種の塩素化有機化合物を漏れなく確実に捕捉する必
要がある。特に、上述のような環境汚染物質であるダイ
オキシン類は、気体試料中に含まれる量が極めて微量で
あり、また、粒子状態やガス状態などの各種の形態であ
って種類も多岐に渡るため、その精密な採取を無くして
は信頼性の高い分析結果は期待できない。このため、我
国、米国およびヨーロッパの各国は、分析結果の正確性
を担保するために、ダイオキシン類をはじめとする塩素
化有機化合物試料の採取方法を公的に規定しつつある。
【0005】例えば、我国の厚生省は、公定法を定め、
それにおいてダイオキシン類などの塩素化有機化合物を
含む気体試料の採取装置を具体的に規定している。この
採取装置は、例えば焼却装置の排気ガスが流れる煙道か
ら気体試料を採取するための採取管、採取管により採取
された気体試料中に含まれる主に粒子状態の塩素化有機
化合物を捕捉するためのフイルター材を備えた第1捕捉
器、および第1捕捉器で捕捉されないガス状態の塩素化
有機化合物を捕捉するための第2捕捉器を主に備えてい
る。ここで、第2捕捉器は、主に、吸収液を入れた複数
のガラス製インピンジャーからなる液体捕集部と樹脂吸
着材を備えた樹脂吸着部とからなり、第1捕捉器で捕捉
されないガス状態の塩素化有機化合物をインピンジャー
内の吸収液と樹脂吸着材とにより捕捉し得るように構成
されている。
【0006】このような採取装置は、第1捕捉器と第2
捕捉器とを備えた複雑な構成を有し、しかもガラス製器
具を多用していることから高価であるため、繰り返して
利用する場合が多い。この場合、測定データの信頼性を
確保するためにインピンジャーをはじめとする各部材を
清浄に保つ必要があるので、気体試料を採取する前の洗
浄操作等の準備操作が非常に煩雑になる。また、気体試
料中に含まれるガス状態の塩素化有機化合物を第2捕捉
器で捕捉する際には、第2捕捉器をドライアイス等の冷
却材を用いて冷却する必要があり、試料の採取操作その
ものも非常に煩雑になる。さらに、気体試料の採取後に
おいては、第1捕捉器および第2捕捉器により捕捉され
た塩素化有機化合物を抽出する必要があるが、ここでは
第1捕捉器および第2捕捉器に捕捉された塩素化有機化
合物をそれぞれ個別に抽出する必要があるため、抽出操
作そのものが煩雑であり、また、抽出操作の巧拙により
分析結果の信頼性が左右される場合も多い。さらに、こ
の採取装置は、第1捕捉器および第2捕捉器の2種類の
捕捉器からなるため必然的に大型化し、しかもガラス器
具を多用していることから破損し易いので、気体試料採
取時の取扱いや運搬も困難である。
【0007】一方、米国の環境保護庁(EPA)およびヨ
ーロッパ規格委員会(CEN)もそれぞれ独自の公定法を
定めているが、そこに示されている採取装置は、上述の
ような日本のものとは細部において異なるものの、構成
の複雑さや取扱の困難性などの点においては大きな変わ
りはない。
【0008】本発明の目的は、流体中に含まれる粒子状
態およびガス状態の塩素化有機化合物を同時に捕捉して
採取することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る塩素化有機
化合物の採取器は、流体中に含まれる塩素化有機化合物
を採取するための採取器であって、塩素化有機化合物を
捕捉して前記流体から取り除くための多孔質のフイルタ
ーと、流体をフイルター内に導入するための導入管と、
フイルターを被覆しかつフイルターを通過する流体を外
部に排出するための排出路を有する被覆体とを備えてい
る。フイルターは、平均繊維径が10μm以下の極細炭
素系繊維を含みかつ空隙率が80%以上100%未満に
設定された成形体からなる。
【0010】ここで、フイルターに含まれる極細炭素系
繊維の比表面積は、例えば1〜2,000m2/gであ
る。また、フイルターは、極細炭素系繊維を例えば0.
01〜3.0g含んでいる。
【0011】一方、この採取器において用いられる他の
形態に係るフイルターは、例えば、極細炭素系繊維以外
の他の炭素材をさらに含んでいる。この場合、極細炭素
系繊維と炭素材との平均比表面積は、例えば1〜2,0
00m2/gである。また、フイルターは、極細炭素系
繊維と炭素材とを合計で例えば0.01〜3.0g含ん
でいる。
【0012】本発明の他の形態に係る塩素化有機化合物
の採取器は、流体中に含まれる塩素化有機化合物を採取
するための採取器であり、塩素化有機化合物を捕捉して
流体から取り除くための多孔質のフイルターと、流体を
フイルター内に導入するための導入管と、フイルターを
被覆しかつフイルターを通過する流体を外部に排出する
ための排出路を有する被覆体とを備えている。フイルタ
ーは、炭素材と、平均繊維径が10μm以下の極細繊維
とを含みかつ空隙率が80%以上100%未満に設定さ
れた成形体からなる、
【0013】ここで、フイルターに含まれる炭素材は、
例えば、比表面積が1〜2,000m2/gである。ま
た、フイルターは、炭素材を例えば0.01〜3.0g
含んでいる。さらに、フイルターに含まれる極細繊維
は、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維およびセルロース
繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種である。
【0014】本発明に係る塩素化有機化合物の採取用フ
イルターは、流体中に含まれる塩素化有機化合物を流体
から取り除いて採取するためのものであり、平均繊維径
が10μm以下の極細炭素系繊維を含みかつ空隙率が8
0%以上100%未満に設定された多孔質の成形体から
なる。
【0015】ここで、極細炭素系繊維の比表面積は、例
えば1〜2,000m2/gである。また、成形体は、
極細炭素系繊維を例えば0.01〜3.0g含んでい
る。
【0016】一方、この採取用フイルターを構成する他
の形態の成形体は、例えば、極細炭素系繊維以外の他の
炭素材をさらに含んでいる。この場合、極細炭素系繊維
と炭素材との平均比表面積が例えば1〜2,000m2
/gである。また、極細炭素系繊維と炭素材とを合計で
例えば0.01〜3.0g含んでいる。
【0017】本発明の他の形態に係る塩素化有機化合物
の採取用フイルターは、流体中に含まれる塩素化有機化
合物を前記流体から取り除いて採取するためのものであ
り、炭素材と平均繊維径が10μm以下の極細繊維とを
含みかつ空隙率が80%以上100%未満に設定された
多孔質の成形体からなる。
【0018】ここで、炭素材は、例えば比表面積が1〜
2,000m2/gである。また、成形体は、炭素材を
例えば0.01〜3.0g含んでいる。
【0019】
【作用】本発明に係る塩素化有機化合物の採取器におい
て、導入管からフイルター内に導入された流体は、フイ
ルターを通過し、さらに被覆体の排出路を通じて外部に
排出される。この際、流体中に含まれる塩素化有機化合
物は、フイルターにより捕捉され、流体から取り除かれ
る。ここで、フイルターは、上述のような極細炭素系繊
維、または極細炭素系繊維と他の炭素材、または炭素材
と極細繊維を含んでいるため、粒子状態とガス状態の両
方の塩素化有機化合物を同時に捕捉し、これらを流体中
から取り除いて採取することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の採取器の一形態
が採用された塩素化有機化合物採取装置の概略構成を示
す。なお、この採取装置1は、流体のうち、排気ガスな
どの気体試料に含まれる塩素化有機化合物を採取するた
めのものである。図において、採取装置1は、採取管
2、採取器3(本発明に係る採取器の実施の一形態)お
よび吸引器4を主に備えている。
【0021】採取管2は、例えばガラス管であり、その
内部を通過する気体試料を冷却するための冷却器5を有
している。
【0022】図2、図3(図2の縦断面図)および図4
(図2のIV−IV断面図)を参照して、採取器3の詳
細を説明する。図において、採取器3は、ホルダー(被
覆体の一例)6、ホルダー6内に配置された、気体試料
中に含まれる塩素化有機化合物を捕捉して採取するため
の採取用フイルター7(フイルターの一例)、気体試料
を採取用フイルター7内に導入するための導入管8およ
び導入管8をホルダー6に対して装着するための装着体
9を主に備えている。
【0023】ホルダー6は、透明なガラスからなる概ね
円筒状の容器であり、採取用フイルター7を収容可能な
本体部10と、装着体9を装着するための装着部11
と、気体試料を排出するための排出部12とを有してい
る。装着部11は、本体部10の端部に一体に設けられ
ており、直径が本体部10に比べて縮小されている。こ
の装着部11は、外周面に螺旋溝11aが形成されてお
り、また、端部に開口部11bを有している。
【0024】排出部12は、本体部10の他方の端部に
一体に設けられており、気体試料を外部に排出するため
の排出路12aと分岐路12bとを有している。分岐路
12bは、排出部12内を通過する気体試料の温度を測
定するための温度計や熱電対などの測温器27を排出部
12内に挿入するためのものである。
【0025】採取用フイルター7は、一端が閉鎖されか
つ他端に気体試料を導入するための開口部7aを有する
円筒状の多孔質の成形体、すなわち多孔質の筒状フイル
ターであり、開口部7a側が装着体9により支持されつ
つ、閉鎖端側が開口部11bからホルダー6内に挿入さ
れている。この採取用フイルター7は、通常、長さ50
〜150mm、開口部7a側の端部の外径12〜35m
m、閉鎖端側の外径10〜30mm、厚さ1〜10mm
に設定されており、閉鎖端側の外径が開口部7a側の端
部の外径よりも小さく設定されたテーパー形状に形成さ
れている。なお、採取用フイルター7の詳細については
さらに後述する。
【0026】導入管8は、ホルダー6と同じくガラスか
らなる管状の部材であり、採取用フイルター7の開口部
7aに対して着脱可能である。この導入管8は、一端に
採取管2を連結するための連結部13を有しており、ま
た、他端が装着体9を貫通して採取用フイルター7の開
口部7a内に着脱可能に挿入されている。
【0027】装着体9は、採取用フイルター7をホルダ
ー6内で支持するための第1支持体14と、導入管8を
第1支持体14に対して装着するための第2支持体15
とを有している。第1支持体14は、樹脂製または金属
製の部材であり、採取用フイルター7の開口部7a側端
部を支持するための穴部14aを有している。穴部14
aの内周面には、螺旋溝14bが形成されている。第1
支持体14は、その螺旋溝14bによりホルダー6の装
着部11の螺旋溝11aに螺着されている。また、第1
支持体14は、図3の左方向に突出する突出部16を有
している。突出部16は、導入管8の先端部を挿入可能
な貫通孔16aを有しており、また、外周面に螺旋溝1
6bが形成されている。
【0028】一方、第2支持体15は、第1支持体14
と同じく樹脂製または金属製の部材であって内周面に螺
旋溝15aが形成された蓋状に形成されており、導入管
8を挿入するための貫通孔15bを有している。この第
2支持体15は、貫通孔15bに導入管8が挿入された
状態で螺旋溝15aにより第1支持体14の突出部16
の螺旋溝16bに螺着されている。
【0029】このような採取器3に装着された採取用フ
イルター7は、ホルダー6から取り外すことができる。
この場合は、装着体9の第2支持体15を第1支持体1
4から取り外し、導入管8を採取用フイルター7から抜
き取る。そして、第1支持体14をホルダー6から取り
外すと、採取用フイルター7は第1支持体14により支
持されつつホルダー6から取り出される。
【0030】吸引器4は、排気流路20と吸引ポンプ2
1とを備えている。排気流路20は、一端が管状ジョイ
ント22を用いて採取器3の排出路12aに連結されて
おり、また、採取器3側から順に冷却器23とトラップ
24とをこの順に有している。吸引ポンプ21は、排気
流路20の他端に取付けられている。
【0031】次に、上述の採取器3において用いられる
採取用フイルター7の詳細について説明する。本実施の
形態に係る採取器3で利用可能な採取用フイルター7
は、概ね次の3形態に分類することができる。以下、形
態毎に説明する。
【0032】(第1の形態)この形態の採取用フイルタ
ー7は、極細炭素系繊維を含んでいる。ここで用いられ
る極細炭素系繊維は、平均繊維径が10μm以下(好ま
しくは7μm以下)、例えば、0.1〜10μm(好ま
しくは1〜7μm)のものである。この繊維の平均繊維
径が10μmを超える場合は、気体試料中に含まれる粒
子状態の塩素化有機化合物を捕捉して採取するのが困難
になるおそれがある。因みに、この極細炭素系繊維の平
均アスペクト比(残存平均アスペクト比)は、通常、1
0,000以下が好ましい。
【0033】このような極細炭素系繊維は、ポリアクリ
ロニトリル樹脂、フェノール樹脂またはレーヨンなどの
合成樹脂、ピッチ若しくはタールなどの公知の各種の炭
素前駆体を紡糸した後に焼成して炭素化したもの(炭素
繊維)、或いは賦活して活性を持たせたもの(活性炭素
繊維)等であり、特に種類が限定されるものではない。
また、極細炭素系繊維は、2種以上のものが併用されて
もよい。但し、極細炭素系繊維は、比表面積が1〜2,
000m2/gのものが好ましく、10〜1,000m2
/gのものがより好ましい。比表面積が1m2/g未満
の場合は、気体試料中に含まれる塩素化有機化合物(特
にガス状態の塩素化有機化合物)が採取用フイルター7
に吸着されにくくなり、気体試料中に含まれる塩素化有
機化合物を捕捉して気体試料から取り除くことができな
い場合がある。逆に、比表面積が2,000m2/gを
超える場合は、採取用フイルター7に対する塩素化有機
化合物の吸着性が強まり過ぎ、後述する分析操作におい
て、採取用フイルター7により捕捉された塩素化有機化
合物を短時間で効率的に抽出するのが困難になるおそれ
がある。
【0034】なお、上述の比表面積は、例えば、常圧下
の液体窒素の沸点における吸着側の窒素ガス吸着等温線
に基づいて測定する公知の方法(B.E.T−B.J.
H.法)に従って求めることができる値である。
【0035】上述のような極細炭素系繊維を含む成形体
からなる採取用フイルター7は、空隙率が80%以上1
00%未満、好ましくは90%以上100%未満に設定
されている。空隙率が80%未満の場合は、後述する分
析操作において、採取用フイルター7により捕捉された
塩素化有機化合物を短時間で効率的に抽出するのが困難
になるおそれがある。なお、ここでの空隙率は、採取用
フイルター7の嵩密度(g/cm3)と真比重(g/c
3)とから下記の計算式に従って求められる値であ
る。
【0036】
【数1】
【0037】この採取用フイルター7は、上述のような
極細炭素系繊維の他に、他の材料を含んでいてもよい。
但し、他の材料としては、例えば、ガラス繊維、シリカ
繊維、セルロース繊維等の塩素化有機化合物と反応し難
い無機質繊維を用いるのが好ましい。
【0038】上述の極細炭素系繊維は、採取用フイルタ
ー7において、通常、0.01〜3.0g含まれている
のが好ましく、0.1〜3.0g含まれているのがより
好ましい。極細炭素系繊維の含有量が0.01g未満の
場合は、気体試料中に含まれるガス状態および粒子状態
の両方の塩素化有機化合物を同時に捕捉して採取するの
が困難になるおそれがある。逆に、3.0gを超える場
合は、後述する分析操作において、採取用フイルター7
により捕捉された塩素化有機化合物を短時間で効率的に
抽出するのが困難になるおそれがある。例えば、採取用
フイルター7により採取された塩素化有機化合物をソッ
クスレー抽出法により抽出する場合、採取用フイルター
7に含まれる極細炭素系繊維の量が上述の範囲に設定さ
れていると抽出に要する時間は通常16時間程度である
が、含有量が4.0〜6.0g程度になると、その数倍
の時間(例えば2倍から6倍程度の時間)が必要になる
場合がある。
【0039】このような第1の形態に係る採取用フイル
ター7は、通常、上述の極細炭素系繊維および必要に応
じて他の材料をバインダーと共に混合し、これにより得
られた混合物を所定の筒状形状に成形すると得られる。
なお、バインダーとしては、例えば、セルロース系バイ
ンダーを用いることができる。
【0040】(第2の形態)この形態の採取用フイルタ
ー7は、極細炭素系繊維と、当該極細炭素系繊維以外の
他の炭素材とを含んでいる。ここで用いられる極細炭素
系繊維は、上述の第1の形態で用いられるものと同様の
ものである。この極細炭素系繊維は、2種以上のものが
併用されてもよい。一方、ここで用いられる炭素材は、
極細炭素系繊維と同様に、ポリアクリロニトリル樹脂、
フェノール樹脂またはレーヨンなどの合成樹脂、ピッチ
若しくはタールなどの公知の各種の炭素前駆体を焼成し
て炭素化したもの、或いは賦活して活性を持たせたもの
等であり、特に種類が限定されるものではない。また、
その形態は、繊維状であってもよいし、粒子状であって
もよい。すなわち、この炭素材は、例えば、炭素繊維、
活性炭素繊維、活性炭、炭素粒等である。なお、炭素材
として繊維状のものを用いる場合、その平均繊維径は、
上述の極細炭素系繊維と重複しない範囲、すなわち10
μmを超える範囲である。上述のような炭素材は、2種
以上のものが併用されてもよい。
【0041】この形態の採取用フイルター7で用いられ
る上述の極細炭素系繊維と炭素材とは、両者を一体とし
て見た場合、すなわち総体としての平均比表面積が1〜
2,000m2/gのものが好ましく、10〜1,00
0m2/gのものがより好ましい。平均比表面積が1m2
/g未満の場合は、気体試料中に含まれる塩素化有機化
合物(特にガス状態の塩素化有機化合物)が採取用フイ
ルター7に吸着されにくくなり、気体試料中に含まれる
塩素化有機化合物を捕捉して気体試料から取り除くこと
ができない場合がある。逆に、平均比表面積が2,00
0m2/gを超える場合は、採取用フイルター7に対す
る塩素化有機化合物の吸着性が強まり過ぎ、後述する分
析操作において、採取用フイルター7により捕捉された
塩素化有機化合物を短時間で効率的に抽出するのが困難
になるおそれがある。
【0042】なお、上述の平均比表面積は、例えば、常
圧下の液体窒素の沸点における吸着側の窒素ガス吸着等
温線に基づいて測定する公知の方法(B.E.T−B.
J.H.法)に従って求めることができる値である。
【0043】上述のような極細炭素系繊維および炭素材
を含む成形体からなる採取用フイルター7は、空隙率が
上述の第1の形態の場合と同様、80%以上100%未
満、好ましくは90%以上100%未満に設定されてい
る。空隙率が80%未満の場合は、第1の形態の場合と
同様の不具合が生じるおそれがある。
【0044】この採取用フイルター7は、上述のような
極細炭素系繊維および炭素材の他に、他の材料を含んで
いてもよい。但し、他の材料としては、例えば、ガラス
繊維、シリカ繊維、セルロース繊維等の塩素化有機化合
物と反応し難い無機質繊維を用いるのが好ましい。
【0045】上述の極細炭素系繊維および炭素材は、採
取用フイルター7において、通常、合計で0.01〜
3.0g含まれているのが好ましく、合計で0.1〜
3.0g含まれているのがより好ましい。極細炭素系繊
維と炭素材との合計の含有量が0.01g未満の場合
は、気体試料中に含まれるガス状態および粒子状態の両
方の塩素化有機化合物を同時に捕捉して採取するのが困
難になるおそれがある。逆に、3.0gを超える場合
は、後述する分析操作において、採取用フイルター7に
より捕捉された塩素化有機化合物を短時間で効率的に抽
出するのが困難になるおそれがある。
【0046】このような第2の形態に係る採取用フイル
ター7は、通常、上述の極細炭素系繊維、炭素材および
必要に応じて他の材料をバインダーと共に混合し、これ
により得られた混合物を所定の筒状形状に成形すると得
られる。なお、バインダーとしては、例えば、セルロー
ス系バインダーを用いることができる。
【0047】(第3の形態)この形態の採取用フイルタ
ー7は、炭素材と極細繊維とを含んでいる。ここで用い
られる炭素材は、第2の形態で用いられる炭素材と同様
のもの、すなわち、ポリアクリロニトリル樹脂、フェノ
ール樹脂またはレーヨンなどの合成樹脂、ピッチ若しく
はタールなどの公知の各種の炭素前駆体を焼成して炭素
化したもの、或いは賦活して活性を持たせたもの等であ
り、特に種類が限定されるものではない。また、その形
態は、繊維状であってもよいし、粒子状であってもよ
い。すなわち、この炭素材は、例えば、炭素繊維、活性
炭素繊維、活性炭、炭素粒等である。なお、炭素材とし
て繊維状のものを用いる場合、その平均繊維径は、後述
する極細繊維の平均繊維径と重複しない範囲、すなわち
10μmを超える範囲が好ましい。このような炭素材
は、2種以上のものが併用されてもよい。
【0048】この形態の採取用フイルター7で用いられ
る炭素材は、比表面積が1〜2,000m2/gのもの
が好ましく、10〜1,000m2/gのものがより好
ましい。比表面積が1m2/g未満の場合は、気体試料
中に含まれる塩素化有機化合物(特にガス状態の塩素化
有機化合物)が採取用フイルター7に吸着されにくくな
り、気体試料中に含まれる塩素化有機化合物を捕捉して
気体試料から取り除くことができない場合がある。逆
に、比表面積が2,000m2/gを超える場合は、採
取用フイルター7に対する塩素化有機化合物の吸着性が
強まり過ぎ、後述する分析操作において、採取用フイル
ター7により捕捉された塩素化有機化合物を短時間で効
率的に抽出するのが困難になるおそれがある。
【0049】なお、上述の比表面積は、例えば、常圧下
の液体窒素の沸点における吸着側の窒素ガス吸着等温線
に基づいて測定する公知の方法(B.E.T−B.J.
H.法)に従って求めることができる値である。
【0050】一方、ここで用いられる極細繊維は、炭素
材以外の材料からなるものであり、例えば、ガラス繊
維、シリカ繊維およびセルロース繊維からなる群から選
ばれた少なくとも1種のものである。但し、この極細繊
維は、平均繊維径が10μm以下(好ましくは7μm以
下)、例えば、0.1〜10μm(好ましくは1〜7μ
m)のものである。平均繊維径が10μmを超える場合
は、気体試料中に含まれる粒子状態の塩素化有機化合物
を捕捉して採取するのが困難になる場合がある。因み
に、この極細繊維の平均アスペクト比(残存平均アスペ
クト比)は、通常、10,000以下が好ましい。
【0051】この形態の採取用フイルター7は、第1の
形態および第2の形態に係る採取用フイルター7と同様
に、空隙率が80%以上100%未満、好ましくは90
%以上100%未満に設定されている。空隙率が80%
未満の場合は、後述する分析操作において、採取用フイ
ルター7により捕捉された塩素化有機化合物を短時間で
効率的に抽出するのが困難になるおそれがある。
【0052】この形態の採取用フイルター7は、上述の
ような炭素材および極細繊維の他に、他の材料を含んで
いてもよい。但し、他の材料としては、例えば、ガラス
繊維、シリカ繊維、セルロース繊維等の塩素化有機化合
物と反応し難い無機質繊維を用いるのが好ましい。
【0053】この形態の採取用フイルター7において、
炭素材は、通常、0.01〜3.0g含まれているのが
好ましく、0.1〜3.0g含まれているのがより好ま
しい。炭素材の含有量が0.01g未満の場合は、気体
試料中に含まれるガス状態および粒子状態の両方の塩素
化有機化合物を同時に捕捉して採取するのが困難になる
おそれがある。逆に、3.0gを超える場合は、後述す
る分析操作において、採取用フイルター7により捕捉さ
れた塩素化有機化合物を短時間で効率的に抽出するのが
困難になるおそれがある。
【0054】このような採取用フイルター7は、通常、
上述の炭素材、極細繊維および必要に応じて他の材料を
バインダーと共に混合し、これにより得られた混合物を
所定の筒状形状に成形すると得られる。なお、バインダ
ーとしては、例えば、セルロース系バインダーを用いる
ことができる。
【0055】次に、上述の採取装置1の使用方法、すな
わち、上述の採取装置1を用いた塩素化有機化合物の採
取方法について説明する。ここでは、廃棄物を焼却処理
するための焼却施設の空間内、例えば煙道内を流れる排
気ガス中に含まれるダイオキシン類などの塩素化有機化
合物を分析するための気体試料を採取する場合について
説明する。この場合、図1に示すように、採取装置1の
採取管2の先端部を煙道25に設けられた試料採取口2
5aから煙道25内に挿入する。この際、採取管2にパ
ッキン26を装着し、採取管2と試料採取口25aとの
隙間を気密に封止する。また、採取器3の分岐路12b
内に温度計や熱電対などの測温器27を装着する。
【0056】この状態で吸引ポンプ21を作動させる
と、煙道25内を流れる排気ガスの一部が気体試料とし
て採取装置1に向けて等速吸引され、採取管2内に流れ
込む。採取管2内に流れ込んだ排気ガスは、冷却器5に
より冷却され、通常、ダイオキシン類の生成温度以下、
例えば120℃前後の温度に冷却される。これにより、
採取管2内では、ダイオキシン類の新たな発生が防止さ
れる。
【0057】このようにして冷却された排気ガスは、採
取管2から採取器3の導入管8を経由して採取用フイル
ター7内に流入する。採取用フイルター7内に流入した
排気ガスは、図3に矢印で示すように、採取用フイルタ
ー7を通過してホルダー6の本体部10内に流出し、さ
らに排出路12aを経由して吸引器4に向けて流れる。
この際、排気ガス中に含まれる各種の煤塵や粒子状態お
よびガス状態の塩素化有機化合物は、採取用フイルター
7に含まれる極細炭素系繊維、炭素材および極細繊維等
により同時に捕捉され、排気ガス中から採取される。こ
の結果、排気ガスは、そこに含まれる煤塵並びに粒子状
態およびガス状態の塩素化有機化合物が採取用フイルタ
ー7により取り除かれ、排出路12aから吸引器4に向
けて流れる。排出路12aを流れる排気ガス温度は、分
岐路12bに装着された測温器27により測定され、管
理される。
【0058】排出路12aから排出された排気ガスは、
排気流路20内に流れ込み、その冷却器23により再び
冷却される。これにより、排気ガス中に含まれる水分が
凝縮し、トラップ24内に貯留される。このようにして
水分が取り除かれた排気ガスは、吸引ポンプ21から外
部に排出される。なお、このような採取装置1による気
体試料、すなわち排気ガスの採取は、通常、塩素化有機
化合物の検出限界値から想定される排気ガス量に相当す
る時間(通常、排気ガス1〜3Nm3/3〜4時間)実
施される。
【0059】このようにして採取された排気ガス中に含
まれる塩素化有機化合物濃度を分析する場合は、煙道2
5から採取装置1を取り外し、また、採取装置1から採
取器3を分離する。さらに、分離された採取器3から、
採取用フイルター7を取り出す。
【0060】次に、採取管2、導入管8およびホルダー
6内を溶媒を用いて洗浄し、その際の洗浄液を確保す
る。また、採取器3の採取用フイルター7により捕捉さ
れた塩素化有機化合物を溶媒で抽出する。ここで、採取
用フイルター7からの塩素化有機化合物の抽出操作は、
例えば通常のソックスレー抽出器を用いて実施すること
ができるが、この採取用フイルター7は、上述のような
小型サイズに設定されているため、高速抽出器のセル内
に収容することができ、当該高速抽出器を用いて速やか
に抽出操作を実施することができる。しかも、当該採取
用フイルター7は、上述のいずれの形態の場合であって
も空隙率が上述の範囲に設定されており、また、そこに
含まれる極細炭素系繊維や炭素材の量が上述のような一
定の範囲に設定されているため、抽出時間を短縮するた
めの特殊な抽出条件を設定する必要がなく、捕捉した塩
素化有機化合物を短時間で速やかに溶媒中に溶出させる
ことができる。
【0061】塩素化有機化合物を分析する際は、上述の
洗浄液および上述のような抽出操作により得られた抽出
液を合せ、これに対して分析操作を実施する。この場合
の分析方法としては、例えば、厚生省生活衛生局水道環
境部環境整備課編「廃棄物処理におけるダイオキシン類
標準測定分析マニュアル」(平成9年3月:財団法人廃
棄物研究財団発行)に記載された方法に従い、ガスクロ
マトグラフ質量分析法(GC/MS法)を採用すること
ができる。
【0062】採取装置1を用いて別の気体試料を採取す
る場合は、例えば、採取器3を新たなものに交換する。
この場合、採取装置1は、採取管2のみを十分に洗浄す
るだけで次の気体試料採取用に供することができるの
で、気体試料採取前の準備作業が従来のものに比べて格
段に軽減され、気体試料採取に要する時間を大幅に短縮
することができる。また、この採取装置1は、従来の複
雑な採取装置に比べて構成が簡素であるため、取扱いや
持ち運びが容易である。
【0063】なお、一度使用された採取器3は、ホルダ
ー6と導入管8とを十分に洗浄し、採取用フイルター7
を新たなものに取り替えると、繰返して再利用すること
ができる。
【0064】[他の実施の形態] (1)上述の実施の形態では、採取用フイルター7とし
て多孔質の筒状のものを用いたが、本発明はこれに限定
されない。例えば、採取用フイルター7が多孔質の円柱
状や多孔質の円盤状に形成されている場合も本発明を同
様に実施することができる。
【0065】(2)上述の実施の形態では、廃棄物の焼
却炉から排出される排気ガス中に含まれるダイオキシン
類などの塩素化有機化合物を採取する場合について説明
したが、本発明の採取器は、排気ガス以外の流体中に含
まれる塩素化有機化合物を採取する場合にも同様に利用
することができる。例えば、環境大気中に含まれる塩素
化有機化合物、並びに工場廃水、海水、淡水および水道
水等の水中に含まれる塩素化有機化合物を採取する場合
についても本発明の採取器を同様に利用することができ
る。
【0066】なお、工場廃水等の水中に含まれる塩素化
有機化合物を採取する場合、採取試料は液体試料とな
る。この場合、当該液体試料は、粒子状態、気泡状態
(すなわち気液混合状態)および溶解状態(すなわち液
中に溶解した状態)の各種の状態の塩素化有機化合物を
含む可能性があるが、採取用フイルター7は、このよう
な各種の状態の塩素化有機化合物を同時に捕捉して液体
試料中から採取することができる。
【0067】
【実施例】実施例1 平均繊維径が20μmのガラス繊維と、比表面積が10
2/gでありかつ平均繊維径が3μmの極細炭素繊維
とを混合し、これにセルロース系バインダーを加えて筒
状に成型した。これにより、極細炭素繊維を2.8g含
みかつ空隙率が95%に設定された、開口端側の外径が
19mm、閉鎖端側の外径が18mm、厚さが5mmお
よび長さが100mmの上述の第1の形態に係る採取用
フイルターを得た。この採取用フイルターを用いて上述
の実施の形態に係る採取器3を作成し、さらにこの採取
器3を用いて上述の実施の形態に係る採取装置1を構成
した。
【0068】この採取装置1を用い、廃棄物を焼却処理
中の焼却施設の煙道から気体試料、すなわち排気ガスを
採取し、そこから採取された塩素化有機化合物を定量分
析した。この際、排気ガスの採取および塩素化有機化合
物の定量分析は、上述の「廃棄物処理におけるダイオキ
シン類標準測定分析マニュアル」に規定された方法に準
じて実施した。塩素化有機化合物(ダイオキシン類)の
定量分析結果は、同じ煙道から上述の「廃棄物処理にお
けるダイオキシン類標準測定分析マニュアル」に規定さ
れた従来の採取装置を用いて採取された塩素化有機化合
物の定量分析結果と略一致した。これより、この実施例
の採取器は、排気ガス中に含まれる塩素化有機化合物を
従来の採取装置と同様に採取できることが確認できた。
【0069】実施例2 平均繊維径が20μmのガラス繊維、比表面積が10m
2/gでありかつ平均繊維径が5μmの極細炭素繊維お
よび比表面積が1,000m2/gでありかつ平均繊維
径が15μmの活性炭素繊維を混合し、これにセルロー
ス系バインダーを加えて筒状に成型した。これにより、
極細炭素繊維と活性炭素繊維とを合計で2.5g含みか
つ空隙率が95%に設定された、実施例1のものと同じ
大きさの上述の第2の形態に係る採取用フイルターを得
た。なお、この採取用フイルターにおいて、極細炭素繊
維と活性炭素繊維との平均比表面積は、100m2/g
であった。
【0070】この採取用フイルターを用いて上述の実施
の形態に係る採取器3を作成し、さらにこの採取器3を
用いて上述の実施の形態に係る採取装置1を構成した。
そして、この採取装置1を用い、実施例1の場合と同様
にして廃棄物を焼却処理中の焼却施設の煙道から排気ガ
スを採取し、そこから採取された塩素化有機化合物を定
量分析した。塩素化有機化合物(ダイオキシン類)の定
量分析結果は、実施例1の場合と同じく従来の採取装置
を用いて採取された塩素化有機化合物の定量分析結果と
略一致した。これより、この実施例の採取器は、排気ガ
ス中に含まれる塩素化有機化合物を従来の採取装置と同
様に採取できることが確認できた。
【0071】実施例3 比表面積が500m2/gでありかつ平均繊維径が20
μmの炭素繊維と、平均繊維径が3μmのガラス繊維と
を混合し、これにセルロース系バインダーを加えて筒状
に成型した。これにより、炭素繊維を0.15g含みか
つ空隙率が95%に設定された、実施例1のものと同じ
大きさの上述の第3の形態に係る採取用フイルターを得
た。
【0072】この採取用フイルターを用いて上述の実施
の形態に係る採取器3を作成し、さらにこの採取器3を
用いて上述の実施の形態に係る採取装置1を構成した。
そして、この採取装置1を用い、実施例1の場合と同様
にして廃棄物を焼却処理中の焼却施設の煙道から排気ガ
スを採取し、そこから採取された塩素化有機化合物を定
量分析した。塩素化有機化合物(ダイオキシン類)の定
量分析結果は、実施例1の場合と同じく従来の採取装置
を用いて採取された塩素化有機化合物の定量分析結果と
略一致した。これより、この実施例の採取器は、排気ガ
ス中に含まれる塩素化有機化合物を従来の採取装置と同
様に採取できることが確認できた。
【0073】比較例1 炭素繊維として比表面積が3,000m2/gでありか
つ平均繊維径が15μmのものを用いた点を除いて実施
例3と同様の採取用フイルターを作成し、これを用いて
実施例3の場合と同様に排気ガス中に含まれる塩素化有
機化合物の定量分析を実施したところ、従来の採取装置
を用いて採取された塩素化有機化合物の定量分析結果よ
りも小さな値が得られた。これは、炭素繊維の比表面積
が大きいため、採取用フイルターにより採取された塩素
化有機化合物が抽出されにくかったことに起因するもの
と推察される。
【0074】比較例2 炭素繊維の含有量を0.005gに変更した点を除いて
実施例3と同様の採取用フイルターを作成し、これを用
いて実施例3の場合と同様に塩素化有機化合物の定量分
析を実施したところ、従来の採取装置を用いて採取され
た塩素化有機化合物の定量分析結果よりも小さな値が得
られた。これは、炭素繊維の含有量が少ないため、排気
ガス中の塩素化有機化合物、特にガス状態の塩素化有機
化合物の一部が採取用フイルターにより採取されなかっ
たことによるものと推察される。
【0075】比較例3 炭素繊維の含有量を5.0gに変更した点を除いて実施
例3と同様の採取用フイルターを作成し、これを用いて
実施例3の場合と同様に塩素化有機化合物の定量分析を
実施したところ、従来の採取装置を用いて採取された塩
素化有機化合物の定量分析結果よりも小さな値が得られ
た。これは、炭素繊維の含有量が多すぎるため、採取用
フイルターにより採取された塩素化有機化合物が抽出さ
れにくかったことに起因するものと推察される。
【0076】比較例4 平均繊維径が3μmのガラス繊維に代えて平均繊維径が
30μmのガラス繊維を用いた点を除いて実施例3と同
様の採取用フイルターを作成し、これを用いて実施例3
の場合と同様に塩素化有機化合物の定量分析を実施した
ところ、従来の採取装置を用いて採取された塩素化有機
化合物の定量分析結果よりも小さな値が得られた。これ
は、採取用フイルター内に平均繊維径が10μm以下の
極細繊維が含まれていないため、塩素化有機化合物、特
に粒子状態の塩素化有機化合物の一部が採取用フイルタ
ーにより採取されなかったことによるものと推察され
る。
【0077】比較例5 空隙率を75%に変更した点を除いて実施例3と同様の
採取用フイルターを作成し、これを用いて実施例3の場
合と同様に塩素化有機化合物の定量分析を実施したとこ
ろ、従来の採取装置を用いて採取された塩素化有機化合
物の定量分析結果よりも小さな値が得られた。これは、
採取用フイルターの空隙率が80%未満であるため、採
取用フイルターにより採取された塩素化有機化合物が抽
出されにくかったことに起因するものと推察される。
【0078】
【発明の効果】本発明に係る塩素化有機化合物の採取器
は、多孔質のフイルターが上述のような特有の構成を有
するため、流体中に含まれる粒子状態およびガス状態の
塩素化有機化合物を同時に捕捉して採取することができ
る。
【0079】また、本発明に係る塩素化有機化合物の採
取用フイルターは、上述のような特有の構成を有するた
め、流体中に含まれる粒子状態およびガス状態の塩素化
有機化合物を同時に捕捉して採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る採取器が採用され
た塩素化有機化合物の採取装置の概略構成図。
【図2】前記採取器の正面図。
【図3】前記採取器の縦断面図。
【図4】図2のIV−IV断面図。
【符号の説明】
3 採取器 6 ホルダー 7 採取用フイルター 7a 開口部 8 導入管 12a 排出路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲浜▼田 典明 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 山下 正純 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 中村 裕史 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 梶川 修 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 畑田 衛 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 藤田 進 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 松元 敦実 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 佐藤 富徳 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 Fターム(参考) 4D012 CA12 CA20 CB07 CB10 CE01 CE03 CF10 CG01 CG04 CG10 CH01 CH10 CJ05 CK05 CK07 CK10

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体中に含まれる塩素化有機化合物を採取
    するための採取器であって、 前記塩素化有機化合物を捕捉して前記流体から取り除く
    ための多孔質のフイルターと、 前記流体を前記フイルター内に導入するための導入管
    と、 前記フイルターを被覆しかつ前記フイルターを通過する
    前記流体を外部に排出するための排出路を有する被覆体
    とを備え、 前記フイルターは、平均繊維径が10μm以下の極細炭
    素系繊維を含みかつ空隙率が80%以上100%未満に
    設定された成形体からなる、塩素化有機化合物の採取
    器。
  2. 【請求項2】前記極細炭素系繊維の比表面積が1〜2,
    000m2/gである、請求項1に記載の塩素化有機化
    合物の採取器。
  3. 【請求項3】前記フイルターは、前記極細炭素系繊維を
    0.01〜3.0g含んでいる、請求項1または2に記
    載の塩素化有機化合物の採取器。
  4. 【請求項4】前記フイルターは、前記極細炭素系繊維以
    外の他の炭素材をさらに含んでいる、請求項1に記載の
    塩素化有機化合物の採取器。
  5. 【請求項5】前記極細炭素系繊維と前記炭素材との平均
    比表面積が1〜2,000m2/gである、請求項4に
    記載の塩素化有機化合物の採取器。
  6. 【請求項6】前記フイルターは、前記極細炭素系繊維と
    前記炭素材とを合計で0.01〜3.0g含んでいる、
    請求項4または5に記載の塩素化有機化合物の採取器。
  7. 【請求項7】流体中に含まれる塩素化有機化合物を採取
    するための採取器であって、 前記塩素化有機化合物を捕捉して前記流体から取り除く
    ための多孔質のフイルターと、 前記流体を前記フイルター内に導入するための導入管
    と、 前記フイルターを被覆しかつ前記フイルターを通過する
    前記流体を外部に排出するための排出路を有する被覆体
    とを備え、 前記フイルターは、炭素材と、平均繊維径が10μm以
    下の極細繊維とを含みかつ空隙率が80%以上100%
    未満に設定された成形体からなる、塩素化有機化合物の
    採取器。
  8. 【請求項8】前記炭素材は、比表面積が1〜2,000
    2/gである、請求項7に記載の塩素化有機化合物の
    採取器。
  9. 【請求項9】前記フイルターは、前記炭素材を0.01
    〜3.0g含んでいる、請求項7または8に記載の塩素
    化有機化合物の採取器。
  10. 【請求項10】前記極細繊維は、ガラス繊維、シリカ繊
    維およびセルロース繊維からなる群から選ばれた少なく
    とも1種である、請求項7、8または9に記載の塩素化
    有機化合物の採取器。
  11. 【請求項11】流体中に含まれる塩素化有機化合物を前
    記流体から取り除いて採取するためのフイルターであっ
    て、平均繊維径が10μm以下の極細炭素系繊維を含み
    かつ空隙率が80%以上100%未満に設定された多孔
    質の成形体からなる塩素化有機化合物の採取用フイルタ
    ー。
  12. 【請求項12】前記極細炭素系繊維の比表面積が1〜
    2,000m2/gである、請求項11に記載の塩素化
    有機化合物の採取用フイルター。
  13. 【請求項13】前記極細炭素系繊維を0.01〜3.0
    g含んでいる、請求項11または12に記載の塩素化有
    機化合物の採取用フイルター。
  14. 【請求項14】前記極細炭素系繊維以外の他の炭素材を
    さらに含んでいる、請求項11に記載の塩素化有機化合
    物の採取用フイルター。
  15. 【請求項15】前記極細炭素系繊維と前記炭素材との平
    均比表面積が1〜2,000m2/gである、請求項1
    4に記載の塩素化有機化合物の採取用フイルター。
  16. 【請求項16】前記極細炭素系繊維と前記炭素材とを合
    計で0.01〜3.0g含んでいる、請求項14または
    15に記載の塩素化有機化合物の採取用フイルター。
  17. 【請求項17】流体中に含まれる塩素化有機化合物を前
    記流体から取り除いて採取するためのフイルターであっ
    て、炭素材と平均繊維径が10μm以下の極細繊維とを
    含みかつ空隙率が80%以上100%未満に設定された
    多孔質の成形体からなる塩素化有機化合物の採取用フイ
    ルター。
  18. 【請求項18】前記炭素材は、比表面積が1〜2,00
    0m2/gである、請求項17に記載の塩素化有機化合
    物の採取用フイルター。
  19. 【請求項19】前記炭素材を0.01〜3.0g含んで
    いる、請求項17または18に記載の塩素化有機化合物
    の採取用フイルター。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014224755A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 日本バイリーン株式会社 放射性物質のモニタリング装置およびカートリッジフィルタ
CN105388044A (zh) * 2015-12-18 2016-03-09 南京信息工程大学 一种多功能气溶胶扩散干燥管

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014224755A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 日本バイリーン株式会社 放射性物質のモニタリング装置およびカートリッジフィルタ
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