JP2002219357A - 炭化綿及びその製造方法 - Google Patents

炭化綿及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002219357A
JP2002219357A JP2001020138A JP2001020138A JP2002219357A JP 2002219357 A JP2002219357 A JP 2002219357A JP 2001020138 A JP2001020138 A JP 2001020138A JP 2001020138 A JP2001020138 A JP 2001020138A JP 2002219357 A JP2002219357 A JP 2002219357A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cotton
carbonized
carbonized cotton
activated carbon
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001020138A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Akitaya
忠 秋田谷
Yoichi Kadokami
洋一 門上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EITO FARM KK
TANNAI MASAHIRO
Original Assignee
EITO FARM KK
TANNAI MASAHIRO
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EITO FARM KK, TANNAI MASAHIRO filed Critical EITO FARM KK
Priority to JP2001020138A priority Critical patent/JP2002219357A/ja
Publication of JP2002219357A publication Critical patent/JP2002219357A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで簡単に入手でき、有害なガス、液
体、微生物、臭気等を効果的に吸着除去でき、通電性を
有する炭素質吸着材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 木綿を焼成して得た炭化綿。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体に有害なガ
ス、液体、微生物、臭気等を効果的に吸着除去できる炭
素質吸着材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ジーゼル車、ガソリン車等の車両
又は各種工場から大気中に放散されているCOxガス、
NOxガス、HCガス等の排ガス、建材や接着剤に含有
されるホルムアルデヒド等、工場内の溶剤やその他の有
害成分又は悪臭成分を含有する空気や廃棄ガス、飲料水
中に含有する有機物やカルキ臭、たばこ臭気中に含有す
るアセトアルデヒド、ごみ焼却場や工場から排出される
ダイオキシン、さらにはかびやダニ等が家庭、オフィ
ス、工場、自然等の環境を汚染し、生活環境を破壊する
原因として大きな問題として挙げられている。
【0003】このような汚染源は、あるものは発癌性物
質、あるものは喘息やアトピー性皮膚炎、さらにシック
ハウス等の環境や人体に直接的に影響を与えるものとし
て年々深刻な問題となっている。上記ガスの中にはオゾ
ン層破壊の原因と考えられるものがあり、消失したオゾ
ン層の間隙から強い紫外線が直接地球に降り注ぎ、北極
や南極に近い地域では皮膚癌が多発し、またオゾン層の
破壊も拡大していると報告されている。また、工場から
排出されるガスが原因となる酸性雨により、森林が立ち
枯れするという問題も生じている。
【0004】ごみ焼却場や工場から排出されるダイオキ
シンや車両から大量に排出されるNOx等のガスは直接
又は間接的に人体の発癌又は催奇形成に関係すると考え
られているので、国内では規制が年々厳しくなっている
が、車両の増加又は生産工場の増加に伴い地球全体の有
毒ガスを含む煤煙や排ガス総量は年々増加する傾向にあ
る。このようなことから、一方では環境破壊を引き起こ
す物質の生産や排出の禁止又は抑制を行うと同時に、他
方では発生したこのような物質を捕獲、除去することが
必要である。
【0005】このような有害なガス、液体、微生物、臭
気等を吸着除去する手段として、再生セルロース、木材
パルプ、おがくず、椰子がら、石炭、フェノール、合成
繊維等の原料から作製した粒状、粉末又は繊維状活性炭
素材やゼオライトが使用されている。これらの材料は上
記のような有害物質を除去する材料としてある程度有効
である。しかし、従来の粒状、粉末又は繊維状活性炭素
材の粒径や繊維のサイズが大きい場合は表面積が小さ
く、それだけ吸着効果は小さいという問題がある。吸着
効果を高める方法として活性炭を細かくし、外表面積を
より大きくすることが考えられる。例えば水中からの有
機物を吸着除去する場合、水との接触効率を上げるほ
ど、すなわち活性炭が細かく外表面積が大きいほど向上
する。
【0006】しかし、微細な活性炭は取り扱い性が悪
く、また通水時に流出するという問題が新たに発生し
た。従来の繊維状の活性炭を密に充填して成形体とする
こともできるが、このときの成形体の強度が弱くまた使
用時の圧力変動や目詰まりを起こすという問題があり、
根本的な解決方法とは言えなかった。上記のような活性
炭の問題は、活性炭の形状や性状そのものに原因がある
ので、活性炭の粒の寸法を特定し、さらに繊維状活性炭
や合成樹脂製の補強繊維と複合させる提案もなされてい
る。活性炭素繊維の吸着能及び加工性改善のためには、
高純度の制御された繊維素材を使用することが重要なポ
イントにやっている。しかし、このような手法は構造が
複雑になって製作費用が増大するばかりでなく、品質が
一定しないという問題があった。以上の問題は、活性炭
そのものの性状や形状に制約があり、これを解決しなけ
れば、有害なガス、液体、微生物、臭気等を効果的にか
つ安価に吸着除去する効果的な手段を得ることができな
いとい問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低コ
ストで簡単に入手でき、有害なガス、液体、微生物、臭
気等を効果的に吸着除去でき、通電性を有する炭素質吸
着材及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、木綿を利用し、その
焼成温度をコントロールすることにより、優れた弾性、
可撓性、強度、しなやかさを備え、吸着効果を著しく高
めた炭素質吸着剤及び通電性を備えた炭素繊維材を得る
ことができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、 1.木綿を焼成して得た炭化綿 2.平均直径5〜15μmの長繊維の集合体からなるこ
とを特徴とする上記1記載の炭化綿 3.平均長さ0.5cm〜5cmの長繊維の集合体から
なることを特徴とする上記1又は2記載の炭化綿 4.3〜9M(Micronaire)の炭化綿である
ことを特徴とする上記1〜3のそれぞれに記載の炭化綿 5.木綿から炭化綿への直径方向の収縮率が15〜30
%であり、焼成後の炭化綿が炭化セルロースの二重構造
を備えていることを特徴とする上記1〜4のそれぞれに
記載の炭化綿 6.炭化綿の繊維表面に細孔(ミクロポア)を有するこ
とを特徴とする上記1〜5のそれぞれに記載の炭化綿 7.炭化綿の繊維表面に隙間を有することを特徴とする
上記1〜6のそれぞれに記載の炭化綿 8.木綿を200〜500°Cで加熱焼成することを特
徴とする炭化綿の製造方法 9.木綿を焼成炉中で200〜500°Cに一次加熱焼
成した後炉冷し、さらに200〜500°Cで二次加熱
焼成又は数次の加熱焼成を行うことを特徴とする吸着性
能を有する上記8記載の炭化綿の製造方法 を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】一般に、木綿はアオイ科の綿を栽
培し、開花後子房の胚珠の表皮細胞が伸長して形成され
た長い綿毛(リント)を回収して得ることができる。木
綿繊維はグルコースが真直ぐ鎖上に連結したセルロース
(繊維素)が主成分であり(乾燥時には88〜96
%)、この繊維は自然界で得られる最も純粋なセルロー
スである。木綿繊維の断面は中空であり、生の時は円形
で、乾燥すると扁平になり天然撚りを発生する。セルロ
ース繊維はミセル状の構造を持ち、セルロース分子が一
定の排列をした結晶部分とランダムに集合した非結晶部
分からなり、この結晶部分と非結晶部分の存在が木綿繊
維の特有の強度や弾力性等が生ずると考えられる。木綿
繊維については例えば、布団綿用原綿として、インドデ
シ綿、メキシコ綿、オーストラリア綿などが代表的な綿
である。
【0010】綿糸の太さは番手で表現されており、1番
手は1ポンド(約453.6g)の綿花で840ヤード
(約76810cm)紡出した時の太さ、20番手は1
ポンドで16800ヤード(約1536192cm)紡
出したものの太さである。また、原綿の太さの単位はM
icronaire(マイクロネア;繊維1インチ(約
2.54cm)当たりのマイクログラム)で表され、一
定重量の原綿を一定容積に圧縮し、一定圧の空気を挿入
し、空気の抵抗により測定する。綿は一般に、5〜9M
icronaire(以下、Mとする。)の範囲にあ
る。例えば、インドデシ綿は約8.5M、メキシコ綿は
約5.5M、オーストラリア綿は約5.5Mである。
【0011】一般に、セルロースを原料とする活性炭素
繊維(AFC)は粉状や粒子状の活性炭に続いて開発さ
れたもので、第3の活性炭として注目されており、従来
の粉状や粒子状の活性炭に比べ10〜数十倍の吸着性を
有すると言われており、フエルト、ペーパー、ハニカ
ム、コートなどの形態での使用が提案されている。しか
しながら、この炭素繊維の原料は木材等のパルプ由来の
精製セルロースであり、これらを生産するのはコストが
かかる問題がある。また吸着性能は従来の粉状や粒子状
の活性炭よりも向上するが、セルロースは炭化水素と比
べて燃えにくく、高温の焼成が必要となる。例えば木材
のチップにはリグニン、レジン、少量の精油、珪酸、ア
ルミナ、ナトリウム、カリウムなどを含有しているが、
これらの含有は高温の焼成を必要とし、そして強熱残分
となる珪酸やアルカリは素地と反応し、ガス化して灰被
りの状態となる。これらの炭素以外の成分は、吸着性を
低下させる要因となる。活性炭素繊維は上述のセルロー
ス系のものの他に、ポルアクリロニトリル系(PAN系
ACF)、フェノール系、ピッチ系など原料素材の違い
で様々なものが開発商品化されている。しかしながら、
原料素材の特性から高純度化が前処理として重要であ
り、このために原料繊維は高価格になっている。本発明
は、同様なセルロースを原料とする炭素繊維ではある
が、天然で最も純粋なセルロースからなる上記木綿繊維
を焼成して得た炭化綿であることが著しい特徴である。
【0012】従来、炭素繊維は吸着材としての形態を整
えるために、それに応じた強度を必要とするが、木綿の
ような繊細な繊維が吸着性活性炭としての機能をもつも
のとして理解されておらず、また炭化する条件も知られ
ていなかった。むしろ低温で燃焼消失してしまう程度の
認識しかなかったと言える。しかし、木綿は従来のセル
ロースに比べてはるかに低温で焼成炭化が可能であり、
しかも 天然の綿を炭化して作った活性炭には綿の持つ
特徴がそのまま残るという著しい特長が見られた。すな
わち、綿毛の構造上の特性である二重セルロース層が残
存するという従来では考えられなかった現象を有するこ
とが分かった。
【0013】木綿のセルロースはそれ自体に三次元的な
特徴を有する。木綿の繊維層は外からクチクラ、第1
層、第2層の3層からなる。中央には断面積比が3〜4
%のルーメンと言う中空部がある。これを焼成により炭
化するとクチクラの層が除かれるが、その他の形状はほ
ぼ維持される。すなわち、木綿繊維と炭化木綿繊維の外
形は焼成により揮発分やタール分が除去されて収縮し、
その収縮率は15〜30%程度となるが、構造的に木綿
繊維と炭化木綿繊維はほぼ相似形として存在する。図1
に焼成した炭化綿を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察
した結果を示す。なお、対比のために、活性炭と綿その
もののも同時に示す。(a−1)〜(a−3)は綿(倍
率を変えたもの)を、(b−1)〜(b−3)は綿(倍
率を変えたもの)を、(c−1)〜(c−3)は綿(倍
率を変えたもの)をそれぞれ示す。活性炭にはSEMで
見られるような孔径の大きいマクロポア(100Å以
上)のほか、メソポア(20Å以上)、ミクロポア(1
0〜20Å)が存在し、これらが吸着性を向上させてい
ると考えられる。一方、活性炭素繊維では中空の繊維上
にミクロポア(10〜20Å)が無数に存在しており、
活性炭以上の吸着能を示している。
【0014】一般に、木質や繊維(セルロース系、ポリ
アクリロニトリル系、フェノール系、ピッチ系)を原料
にした活性炭あるいは活性炭素繊維(低温で炭化させ水
蒸気又は二酸化炭素中で活性化させる)では、炭化温度
を上げる程ミクロポアの形成が進み、吸着能が増加す
る。これは低温(〜300°C)で炭化すると不純物が
残存することによる未開孔のミクロポアが活性化してい
ないからである。これをより高い温度(650°C以
上)で更に炭化するとミクロポアは開孔し活性化する。
しかしながら、本発明の木綿を材料にして炭化させた繊
維は、上述のように不純物が均一に混在しているのでは
なく、表層のクチクラ層のみに局在しており、内部のセ
ルロース層はほぼ純粋である。クチクラ層はクチン、ポ
リサッカライドのミクロフィブリル及びワックスからな
り、これらは低温(200〜500°C)の炭化で、ほ
ぼ除くことができると考えられる。また、同時に炭化に
よって表出するセルロース層には開孔したミクロポアが
十分形成されると考えられる。なお、本発明の炭化綿を
中間体とし、さらに高温で炭化し、開孔ミクロポアを多
く形成し、吸着能を高めることも可能である。しかし、
このようにすると、炭化綿の硬化が起こり、十分な柔ら
かさやしなやかさが失われる。
【0015】綿の繊維は全体的によじれがあるのが観察
される。表面はクチクラ層で滑らかである。これを焼成
した炭化綿は、上記のようにクチクラ層が除かれ、セル
ロースの炭化した層が露出し凹凸が際立ち、表面積が大
きくなっている。繊維の表面にはセルロースの炭化した
ものが繊維方向に整列しており、ロープのように炭化セ
ルロースのある単位繊維が確認できる。各単位繊維には
ところどころに隙間ができており、この隙間は空間的に
下の層に繋がっていると考えられる。一般の活性炭素繊
維と同様、内外の炭化綿の繊維全体にミクロポア(10
〜20Å)が形成されていると考えられる。しかし、前
記のように収縮を伴うが、炭化綿の繊維の全体構造は綿
のそれと殆ど類似しており、相似構造を有している。
【0016】このように綿毛が持つ自然の撚れが炭化綿
にそのまま維持され、炭化綿繊維のしなやかさや加工の
し易さ、さらには強度をそのまま持続している。このよ
うな炭化綿の特性は通常では考えられないことである。
綿の層構造から、このように観察される外側層の下にも
同様の層構造が当然あると考えられるので、前記隙間と
これらの複層構造が従来の活性炭素繊維とは比べものに
ならないくらいの表面積の増大を引き起こしていると考
えられる。すなわち、綿が炭化されると、クチクラ層が
除かれ、一層目の焼成されたセルロース層が露出し、吸
着に大きく貢献するが、さらに内部の焼成されたセルロ
ース層へも、上層のセルロースの隙間から気体が入り込
み、さらに吸着能力を向上させていると考えられる。こ
のような構造は一種のラメラ構造になっている。これが
本発明の炭化綿の著しい特徴である。
【0017】本発明の炭化綿は、平均直径約5〜15μ
m、平均長さ0.5cm〜5cm程度の長繊維の集合体
からなる。この炭化綿は綿の持つ特性をそのまま持続す
るために、炭化綿の集合体は空隙が異常に多く、このよ
うな、空隙と繊維の絡み合った積層構造が、優れた弾
性、可撓性、強度、しなやかさを備え、吸着効果を著し
く高めるという炭化綿特有の性質を現す。本発明炭化綿
は3〜9M(Micronaire)を備えている。M
icronaireは本来綿の単位であるが、焼成した
ことを除くと、炭化綿は綿と同等の構造や性質を保有し
ているのでこのような単位を用いてそのまま、炭化綿の
物理的な特性の表示が可能である。本明細書で使用する
単位Mは特別に記載する以外は、Micronaire
を意味するものとする。
【0018】本発明の炭化綿は、木綿を200〜500
°Cで加熱焼成することによって得ることができる。さ
らにまた、木綿を焼成炉中で200〜500°Cに一次
加熱焼成した後炉冷し、さらに200〜500°Cで二
次加熱焼成又は数次の加熱焼成を行うことによって、製
造することができる。焼成の1例を示すと、木綿1.5
kgを使用し、加熱炉中で400°Cに1時間焼成す
る。そのまま火を止め250°Cまで冷却する(冷却に
20分)。次に400°C(昇温に15分)に再加熱し
30分焼成する。再度250°Cまで冷却する(冷却に
20分)。この再加熱冷却を総計で3回繰り返し、最後
に250°Cで6時間焼成し、鎮火して24時間炉中で
放置する。以上の工程により、木綿1.5kgで焼成綿
(炭化綿)200gを得た。このような焼成工程(加熱
回数等)は、焼成する綿の量、電気炉、ガス等の燃焼加
熱炉の種類によりまた、外気温度との関係により適宜調
節できる。しかし、本発明における綿の焼成温度は通常
のセルロースを焼成して得る活性炭繊維と異なり、はる
かに低温で焼成して炭化綿を得ることができる。このよ
うな焼成温度の相違も本発明の著しい特長である。
【0019】木綿はそのままで焼成可能であるのでそれ
以上の加工を必要としない。従って本発明の炭化綿は著
しいコスト低減となり、また炭化綿の原料として使い捨
てた木綿のふとんや衣類などのリサイクル材が利用でき
る。本発明の炭化綿は、それ自体で有害なガス、液体、
微生物、臭気等を効果的に吸着除去できる炭素質吸着材
又は積層シートとして使用できるが、従来の活性炭素や
吸着材との複合又は併用はなんら妨げるものではない。
【0020】
【実施例及び比較例】次に、本発明の吸着性能を有する
炭化綿を用いて種々の物質を吸着させた場合の例を示
す。なお、本実施例は理解を容易にするためのものであ
り、この実施例により本発明の範囲を制限するものでは
ない。
【0021】(実施例1及び比較例) [ディーゼル車の排気ガスの汚染物質吸着性試験]一般
に、ディーゼル車の排気ガスは酸素濃度が高いため、C
O、HCは少ないが、NOxの濃度は高い。またガス以
外にディーゼル車特有の排気微粒子(DEP)、すなわ
ち黒煙と粒子状物質(パティキュレート)が含まれ、こ
れらは煤と未燃のHCが主成分である。その他、燃料中
の硫黄化合物が含まれている。これらの排気物は沿道の
浮遊粒子状物質(SPM)の大部分を占めているといわ
れており、発癌性やアレルギー疾患などの健康への影響
が懸念されている物質である。このような排気ガスの汚
染物質吸着性試験のために、ディーゼル車として平成3
年製マツダボンゴトラック(2200cc)を使用し
た。そして、該ディーゼル車の排気口1に図1に示すア
ダプター2を取付け(テープで固定)、平均粒径5mm
の粒状活性炭、繊維径7.9μm及び平均繊維長1.5
インチ(3.81cm)木綿及び同木綿を焼成した炭化
綿各5gを容器3に入れて、該アダプター2の途中の切
欠き部4のフイルターの前方に装着し、汚染物質を吸着
させた。これをスモークテスターにより煤と微粒子の捕
獲(吸着)の程度を測定した。その結果を表1に示す。
【0022】表1に示す%は、フイルターが光反射のな
い真っ黒な状態を100%としたものである。未装着の
場合は20%のフイルターの汚染を示したが、活性炭の
場合には、それが12%まで低下し、木綿の場合はさら
に11%まで低下した。このように、未焼成綿でも活性
炭よりも大きい吸着性がある。焼成綿ではさらに吸着度
が上がり、10%に低下した。この量は未装着の場合に
比べ排ガスの上記汚染物質が半分になっていることを意
味する。なお、本試験においては、図2に示すように排
気ガスに負荷がかかり逆流を生じるような試験機の構造
は採用しておらず、比較的ゆるやかな排気テストを行っ
ている。したがって、厳密により厳しい吸着テストを実
施した炭化綿では、さらに粒子の捕獲(吸着)性能の向
上があることは当然予想される。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例2及び比較例) [ガソリン車の排気ガスの一酸化炭素(CO)と炭化水
素(HC)吸着性試験]ガソリン車には平成2年製マツ
ダファミリアバン(1300cc)を使用した。測定に
は、自動車排ガス測定器MEXA−324を使用。実施
例1と同様に、ガソリン車の排気口に図1に示すアダプ
ターを取付け、平均粒径約5mm粒状活性炭、繊維径
7.9μm及び平均繊維長1.5インチ(3.81c
m)の木綿及び同木綿を焼成した炭化綿各5gを容器に
入れて、該アダプターの途中に装着し、汚染物質の吸着
度を測定した。その結果を表2に示す。表2から明らか
なように、未装着の場合は1.76%のCO、515p
pmのHCが排出されたが、活性炭の場合には1.35
%のCO、377ppmのHCが排出された。これに対
し、木綿の場合は0.98%のCO、312ppmのH
Cが排出され、さらに炭化綿では0.83%のCO、2
45ppmのHCが排出されるに留まり、汚染物質は急
激に低下した。
【0025】この場合も上記実施例1と同様に、綿その
ものも優れた一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)の
吸着性を有するが、木綿を焼成したものはさらに吸着性
が向上している。この値は上記実施例1と同様に、炭化
綿はCOとHCの50%以上の吸着量を示しており、活
性炭よりもはるかに大きな吸着性を有していることが分
かる。平成10年前と平成10年以降の排ガス基準値を
表3に示すが、本炭化綿はその基準値を十分に下回って
いる。なお、本試験においては、実施例1と同様に、排
気ガスに負荷がかかり逆流を生じるような試験機の構造
は採用しておらず、比較的ゆるやかな排気テストを行っ
ている。したがって、厳密により厳しい吸着テストを実
施した炭化綿では、さらに吸着性能の向上があることは
当然予想される。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】(実施例3及び比較例) [アンモニアの吸着性試験]アンモニア水(1.5mg
/L)を対象とし、カラムに炭化綿及び活性炭をそれぞ
れ1gづつ充填し、このカラムにアンモニア水を注ぎ、
その濾液のアンモニアを定量した。活性炭にはキムコ
(登録商標)を使用し、炭化綿は上記実施例1において
使用したものと同等の炭化綿を使用した。この結果を表
4に示す。表4に示すように、活性炭では濾液にそのま
まアンモニアが存在し、全く吸着していなかった。これ
に対し、炭化綿では0.25mg/Lとなり、83%強
のアンモニアが除去されているのが確認できた。
【0029】
【表4】
【0030】(実施例4及び比較例) [アセトンの吸着性試験]アセトン10%を含む水溶液
を上記実施例3と同様に、カラムに同様の炭化綿及び活
性炭をそれぞれ1gづつ充填した中に注ぎ込み、その濾
液のアセトンを官能試験により調べた。この結果、炭化
綿を使用した場合のみ、アセトンがほぼ除かれ、活性炭
では除くことができなかった。
【0031】(実施例5及び比較例) [フェノールの吸着性試験]フェノール飽和水を上記実
施例3と同様に、カラムに同様の炭化綿及び活性炭をそ
れぞれ1gづつ充填した中に注ぎ込み、その濾液のフェ
ノールを官能試験により調べた。この結果、炭化綿を使
用した場合のみ、フェノールがほぼ除かれ、活性炭では
除くことができなかった。
【0032】上記実施例1及び2におけるテストにおい
て、いずれの場合も未焼成木綿も活性炭より大きい吸着
性を示した。これは綿繊維も構造がもつ特性と考えられ
る。そして、これを焼成して炭化すると、綿繊維内部に
層をなす構造がそのまま残存するセルロース構造がさら
に吸着に貢献すると考えられる。上記の通り、低分子の
気体ガスが吸着可能であることは環境内の様々な危険分
子をも吸着できることを示している。以上から、本発明
の炭化綿は、ジーゼル車、ガソリン車等の車両又は各種
工場から大気中に放散されているCOxガス、NOxガ
ス、HCガス等の排ガス、建材や接着剤に含有されるホ
ルムアルデヒド等、工場内の溶剤やその他の有害成分又
は悪臭成分を含有する空気や廃棄ガス中の有害成分、飲
料水中に含有する有機物やカルキ臭、たばこ臭気中に含
有するアセトアルデヒド、ごみ焼却場や工場から排出さ
れるダイオキシン等を吸着し、さらにはかびやダニ等を
捕獲し、抗菌性と集塵効果を有する。
【0033】このように、積層構造からなる繊維と多量
の空隙を有する本発明の炭化綿は、家庭、オフィス、工
場、自然等の環境を汚染し、生活環境を破壊する因子を
水質又は空気清浄フイルターとして効率良く取り除くこ
とが可能であり、その他、消臭効果をもつ菌を増殖させ
るための床、魚介類を育成する水槽の濾材、バイオフイ
ルター、コピー機のオゾン除去、導電性繊維、コンデン
サー、電池用電極材等としての使用も可能である。さら
に、本発明の炭化綿の原料として、ふとん綿や衣類等の
使用済みの綿を使用することができ、またフイルター等
の吸着性材料又は電池用材料として使用後は、燃焼させ
ることにより容易に処分することができるという特徴を
有する。
【0034】
【発明の効果】本発明の炭化綿は、家庭、オフィス、工
場、自然等の環境を汚染し、生活環境を破壊する因子を
水質又は空気清浄フイルターとして効率良く取り除くこ
とが可能であり、またコピー機のオゾン除去や通電性繊
維としてコンデンサー、リチウムイオン電池や空気電池
用電極材の使用もできるという優れた特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】綿、焼成した炭化綿及び活性炭を走査型電子顕
微鏡(SEM)で観察した結果を示す図(写真)であ
る。
【図2】ディーゼル車排気ガス中の汚染物質吸着性試験
装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 ディーゼル車の排気口 2 アダプター 3 容器 4 切欠き部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10B 53/00 C10B 53/00 D01F 9/16 D01F 9/16 (72)発明者 秋田谷 忠 北海道函館市人見町26−28 有限会社アキ 工業内 (72)発明者 門上 洋一 北海道亀田郡七飯町上藤城154−25 Fターム(参考) 4C080 AA05 BB02 CC02 CC08 JJ05 KK08 LL10 MM05 QQ03 4G046 CA00 CB01 CB08 CC03 4G066 AA04B AC07A BA16 BA20 BA36 BA38 CA02 CA04 CA29 CA33 CA35 CA51 CA52 DA02 DA03 DA08 FA22 FA34 4L037 CS03 CS06 FA02 FA03 FA05 PA52 PC08 UA15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木綿を焼成して得た炭化綿。
  2. 【請求項2】 平均直径5〜15μmの長繊維の集合体
    からなることを特徴とする請求項1記載の炭化綿。
  3. 【請求項3】 平均長さ0.5cm〜5cmの長繊維の
    集合体からなることを特徴とする請求項1又は2記載の
    炭化綿。
  4. 【請求項4】 3〜9M(Micronaire)の炭
    化綿であることを特徴とする請求項1〜3のそれぞれに
    記載の炭化綿。
  5. 【請求項5】 木綿から炭化綿への直径方向の収縮率が
    15〜30%であり、焼成後の炭化綿が炭化セルロース
    の二重構造を備えていることを特徴とする請求項1〜4
    のそれぞれに記載の炭化綿。
  6. 【請求項6】 炭化綿の繊維表面に細孔(ミクロポア)
    を有することを特徴とする請求項1〜5のそれぞれに記
    載の炭化綿。
  7. 【請求項7】 炭化綿の繊維表面に隙間を有することを
    特徴とする請求項1〜6のそれぞれに記載の炭化綿。
  8. 【請求項8】 木綿を200〜500°Cで加熱焼成す
    ることを特徴とする炭化綿の製造方法。
  9. 【請求項9】 木綿を焼成炉中で200〜500°Cに
    一次加熱焼成した後炉冷し、さらに200〜500°C
    で二次加熱焼成又は数次の加熱焼成を行うことを特徴と
    する吸着性能を有する請求項8記載の炭化綿の製造方
    法。
JP2001020138A 2001-01-29 2001-01-29 炭化綿及びその製造方法 Pending JP2002219357A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001020138A JP2002219357A (ja) 2001-01-29 2001-01-29 炭化綿及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001020138A JP2002219357A (ja) 2001-01-29 2001-01-29 炭化綿及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002219357A true JP2002219357A (ja) 2002-08-06

Family

ID=18885898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001020138A Pending JP2002219357A (ja) 2001-01-29 2001-01-29 炭化綿及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002219357A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005005041A1 (ja) * 2003-07-15 2005-01-20 Asahisozai Co., Ltd. 水素ガス吸着材およびこの吸着材を用いた水素ガスの貯蔵方法
JP2006130483A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Impact World Kk 資源循環型施設
JP2007031914A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Zero Japan Kk 炭化繊維及びその製造方法
JP2010216045A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Bsc:Kk 炭化綿製造装置
JP2014114371A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
WO2016046910A1 (ja) * 2014-09-24 2016-03-31 株式会社パワージャパンプリュス 経口吸着剤および経口吸着剤の製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005005041A1 (ja) * 2003-07-15 2005-01-20 Asahisozai Co., Ltd. 水素ガス吸着材およびこの吸着材を用いた水素ガスの貯蔵方法
JPWO2005005041A1 (ja) * 2003-07-15 2006-11-30 株式会社あさひ素材 水素ガス吸着材およびこの吸着材を用いた水素ガスの貯蔵方法
JP2006130483A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Impact World Kk 資源循環型施設
JP2007031914A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Zero Japan Kk 炭化繊維及びその製造方法
JP4657051B2 (ja) * 2005-07-29 2011-03-23 ゼロ・ジャパン株式会社 炭化繊維の製造方法
JP2010216045A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Bsc:Kk 炭化綿製造装置
JP2014114371A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
WO2016046910A1 (ja) * 2014-09-24 2016-03-31 株式会社パワージャパンプリュス 経口吸着剤および経口吸着剤の製造方法
JPWO2016046910A1 (ja) * 2014-09-24 2017-06-22 株式会社パワージャパンプリュス 経口吸着剤および経口吸着剤の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tsai et al. Preparation and characterization of activated carbons from corn cob
Lee et al. Activated carbon fiber-the hybrid of carbon fiber and activated carbon
Manocha Porous carbons
Li et al. Role of inherent active constituents on mercury adsorption capacity of chars from four solid wastes
CN110813240B (zh) 一种超高性能生物质基香蕉皮导向活性炭VOCs吸附剂的制备方法及其应用
US20080207443A1 (en) Sorbent comprising activated carbon, process for making same and use thereof
US20090111690A1 (en) Sorbent comprising activated carbon, process for making same and use thereof
Marsh Activated carbon compendium: a collection of papers from the journal carbon 1996-2000
US20030089237A1 (en) Carbon fiber filters for air filtration
JP2013126661A (ja) 活性炭を含む吸着体、それらの製造方法および利用
AU7841798A (en) Mercury removal catalyst and method of making and using same
WO2012055257A1 (zh) 一种具有选择性吸附消解功能的生物陶及其制备方法
WO2009032129A2 (en) Process for removing toxic metals from a fluid stream
US20120115716A1 (en) Surface Modified Activated Carbon Sorbent
US7101417B2 (en) Activated carbon for odor control and method for making same
KR20180079546A (ko) 바이오매스를 이용한 활성탄의 제조방법 및 이를 이용한 필터 제조방법
JP2002219357A (ja) 炭化綿及びその製造方法
JP2006219338A (ja) 汚泥炭化物、この汚泥炭化物を用いたガス処理装置、並びに汚泥炭化物の製造方法及び汚泥炭化物の製造装置
JP2014136178A (ja) ガスフィルター
JP4596944B2 (ja) 燃焼排ガス処理方法
KR102544657B1 (ko) 물리적 활성화를 이용한 활성탄의 제조 방법 및 이를 이용하여 제조된 활성탄
KR100291886B1 (ko) 탄화공정이도입된활성탄소섬유의제조방법
JP7165669B2 (ja) フィルタ
TWI227731B (en) Method for making absorptive material using bamboo as basic material and product made by same
JP2000247622A (ja) 成形活性炭の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040210