JP2004317663A - カメラ用のセクタ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】セクタ及びセクタの駆動源をそれぞれユニット化することにより多様なセクタの機能に対応した動作をするカメラ用のセクタ駆動装置を安価に提供する。
【解決手段】アパーチャ1aを有する地板1とセクタ12とを備えたセクタユニットUに対し、支持基板3にアクチュエータ4、駆動伝達手段T及びセクタ位置検出手段5を備えたセクタ駆動ユニットDを組み込むことにより、アパーチャを開閉可能とするセクタ駆動装置を構成してある。セクタ駆動ユニットDは汎用性が高いため、各種のセクタ駆動用として組み込み可能である。また、セクタの状態を検出して動作するようにしてあるため、確実な露光やアパーチャの開閉を行うことができるほか、いわゆるガタ寄せ機能も備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】アパーチャ1aを有する地板1とセクタ12とを備えたセクタユニットUに対し、支持基板3にアクチュエータ4、駆動伝達手段T及びセクタ位置検出手段5を備えたセクタ駆動ユニットDを組み込むことにより、アパーチャを開閉可能とするセクタ駆動装置を構成してある。セクタ駆動ユニットDは汎用性が高いため、各種のセクタ駆動用として組み込み可能である。また、セクタの状態を検出して動作するようにしてあるため、確実な露光やアパーチャの開閉を行うことができるほか、いわゆるガタ寄せ機能も備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばデジタルカメラのCCDやC−MOS等の撮像素子を保護する遮光装置を駆動するためのカメラ用のセクタ駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の銀塩フィルム式カメラ(以下「フィルム式カメラ」という。)の絞り装置や、デジタルカメラの撮像素子を保護するための遮光装置等は、セクタの揺動によりアパーチャを開閉する機構が採用されている。これらの絞り装置や遮光装置は、いずれもセクタを駆動モータで揺動させることにより絞り開口の大きさを調整可能とし、あるいはアパーチャを開閉可能としてある。駆動モータによるセクタの駆動は、駆動力伝達機構を介して行われるようになっているが、駆動モータ、駆動力伝達機構及びセクタ等はともに地板に装着されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、セクタ、駆動モータ及び駆動力伝達機構がともに地板に装着されている場合、これら三者のうちのいずれかに瑕疵が存在していると、全体を廃棄しなければならないため製造歩留まりを低下させる原因となっている。また、組立作業上も細かい部品を次々と組み込んでゆかなければならないため、行程が煩雑なものとなっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明におけるカメラ用のセクタ駆動装置は、セクタユニットとセクタ駆動ユニットとを組み合わせた構成を採用することにより、組立作業や部品交換の容易化してあるところに特徴がある。具体的には、上記のセクタユニットは、アパーチャを有する地板とこのアパーチャを開閉するセクタとを備えたものからなる。また、上記のセクタ駆動ユニットは、支持基板と、この支持基板に取り付けられる電磁アクチュエータと、この支持基板に取り付けられるとともに、この電磁アクチュエータの駆動力を上記のセクタに伝達する駆動伝達手段とを備えたものからなる。セクタユニットとセクタ駆動ユニットとは、支持基板と地板とを固定手段を介して固定することにより一体化してあるところに特徴がある。上記の通り、本発明に係るセクタ駆動装置は、セクタとセクタの駆動機構とをそれぞれユニット化して個別に製作したものを組み込むようにしてあるため、製造容易かつ互換性に優れたものとなっている。このセクタ駆動装置は、デジタルカメラの撮像素子を保護するための遮光装置のセクタ駆動装置として採用すると、露出動作中には遮光幕を確実に開放し、それ以外の時間帯はアパーチャを閉鎖して撮像素子を確実に保護する効果を有する。
【0005】
また、本発明におけるカメラ用のセクタ駆動装置は、アパーチャを有する地板と、上記のアパーチャよりも小さい絞り開口を形成してなるセクタを設けたものをセクタユニットとするカメラにも適用可能である。このカメラのセクタ駆動ユニットの構成は、上記のセクタ駆動装置と同様であるが、駆動伝達手段の出力端部となるレバーにより、アパーチャよりも小さい絞り開口を有するセクタを駆動して揺動させることにより所望の絞り開口を選択可能とするものである。
【0006】
上記のカメラ用のセクタ駆動装置は、細部的特徴として次のような構成を採用してある。第1に、セクタユニットには、セクタを一方向に付勢するセクタ付勢ばねを設けることにより、製造上の隙間や歯車のバックラッッシュ等により生じるゆがみを除去するいわゆるガタ寄せを行うようにしてある。これによりデジタルカメラの遮光装置の場合には確実な遮光効果が得られ、カメラの絞り装置の場合には所望の絞り値を実現可能としてある。第2に、上記のセクタ駆動ユニットに、駆動伝達手段の位置関係からセクタの駆動状態を検出するセクタ位置検出手段を設けることにより、アパーチャの開口や絞りの設定が確実に行われていることを確認した後に、露出を行うようにして正確な露出を保障している。上記第2の特徴に関連して、デジタルカメラの場合に、上記のセクタ位置検出手段は、アパーチャが全開又は絞り用開口が最大開口となった直後に信号が切り替わるように設定するとよい。これはセクタ位置検出手段が検出目的を検出したときに、カメラ本体のCPUにその旨の信号を出力することにより確実な露光動作や絞り値を保障するものとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。ここでは主にデジタルカメラの遮光装置のセクタを駆動するセクタ駆動装置を取り上げて説明する。図1、図2は、本発明の一形態例に係るデジタルカメラの遮光装置の要部を拡大して示したものである。なお、これらの図面では内部構成を分かりやすく表示するために、プリント基板Pと後述の支持基板3の天板部とを透過して基板の輪郭だけを示してある。図1、図2に示してあるように、この遮光装置は、構造上、重畳及び展開するセクタ群によってアパーチャ(画枠)を開閉可能としてある点において、フォーカルプレーンシャッタに似たものとなっている。しかし、フォーカルプレーンシャッタのように先幕と後幕とを備えたものではなく、先後いずれかの幕に相当する1つの遮光幕を備えただけのシンプルなものとなっている。この形態例では、セクタアーム13,14と遮光幕であるセクタ12とを地板1に取り付けたものをセクタユニットと呼ぶこととする。そしてこのセクタユニットUを開閉駆動する駆動機構を、セクタ駆動ユニットと呼ぶこととし、このセクタ駆動ユニットDを地板1に対して着脱容易としてあるところに本発明の特徴の1つがある。
【0008】
地板1は、実質的に長方形に形成された板状体からなり、その中心付近の位置にアパーチャ1aが設けてある。このアパーチャ1aの左方上面(図面表面)には、セクタ12を駆動する上記のセクタ駆動ユニットDが装着してある。セクタ駆動ユニットDは、地板1の上面(図面表側)に突設された位置決めピン1b,1bにより位置決めされ、固定手段であるビス10,10によって固定されている(図3参照)。また、地板1のセクタ駆動ユニットDが設けてある部分の背面側には、後述のセクタアーム13、14とセクタ12等が設けてあり、セクタ駆動ユニットDによりセクタ12を駆動しアパーチャ1aの開閉動作が可能となっている。
【0009】
セクタ駆動ユニットDは、後述の中間部材6を介して予め支持基板3に装着された電磁アクチュエータ(以下「アクチュエータ」という。)4、後述のセクタ位置検出手段であるシンクロスイッチ5及びの中間部材6(図3、図4参照)の下面側に後に装着される駆動伝達手段Tを備えている。セクタ駆動ユニットDの図面上部には、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5に電力を供給するためのプリント基板Pが設けられている。また、セクタユニットUは、上述の通り、地板1と、この地板の他方の面(背面)に設けてあるセクタ12と、このセクタを駆動するセクタアーム13,14とを備えている。このセクタ駆動ユニットDは、地板1の一方の面(表面)に固定手段であるビス10を介して位置決めされた状態に取り付けられている。
【0010】
図3は、セクタ駆動ユニットD及びセクタユニットUの各機構を分割して拡大断面図で示したものである。セクタ駆動ユニットDの駆動機構のうち、アクチュエータ4及びシンクロスイッチ5を含む駆動部は、支持基板3の一方の面(図3下面)に脱落不能に装着してある中間部材6を介して固定されている。支持基板3の他方の面(図3上面)には、プリント基板Pが固定されている。支持基板3は、地板部3aが長方形の板状体からなり(図1参照)、その両端部には、上記の中間部材6を保持するための掛止部3b,3bが設けてある。中間部材6は、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5を保持可能としてあるとともに、地板1への取付部6f、6gを備えている。こうしてユニット化されたセクタ駆動ユニットDは、地板1に対して着脱容易な独立体としてあるため、各種のセクタユニットに取付可能となっている。
【0011】
上述のアクチュエータ4は、公知のパルスモータの一種であり、ステータ4a、駆動コイル4b及び永久磁石製のロータ4cからなる。このアクチュエータ4は、ロータ4cの磁極とステータ4aに設けられた磁極の位置とにより、ロータ4cが無通電保持される静的安定位置を有している。このため、通電によりロータ4cの磁極がステータの磁極間を移動して静的安定位置に静止してロータ4cを保持可能となっている。静的安定位置は、ロータ4cの磁極数と、このロータを取り囲むステータ4aの凹部の内周部に設けてある磁極の数とにより定まるが、ここではロータの磁極が2極でステータの磁極数を4極の組み合わせとすることにより、2ヶ所に静的安定位置を設けてある。アクチュエータ4は、中間部材6によって支持基板3の地板部3aに押さえ付けた状態に固定されている。そして、ロータ4cと一体の回転軸4dがこの中間部材6を貫通して下面側に突出するように設けてある。
【0012】
アクチュエータ4のロータ4cと一体の回転軸4dの先端部(図3下端部)には、駆動伝達手段Tを構成する駆動レバー8が固着してある。また、中間部材6の下面に突設された支軸部6bには、駆動レバー8に連動可能なセクタ駆動レバー9が揺動自在に支持されている。駆動伝達手段Tを構成するセクタ駆動レバー9は、歯部9aが駆動レバー8の歯部8aと噛合することによりこの駆動レバー8と連動可能となっている。駆動レバー8は、図1、図2に示すように、開き度を小さくした扇形に形成した板状体からなり、扇の要に相当する部分がアクチュエータ4の回転軸4dにこれと一体回転可能に固着してある。駆動レバー8の先端に形成してある円弧部は、歯車の歯形を刻設してなる歯部8aとなっている。セクタ駆動レバー9は、回転中心から所定距離の範囲を円弧状に形成し、この円弧状になっている部分の周囲の一部に駆動レバーの歯部8aと噛合可能な歯部9aが設けてある。歯部9aが設けられていない円弧部の部分の一部は、外方へ延伸してなるアーム部9bが形成してある。上記の円周部とアーム部9bとの境界付近には、図3の表示で短いアームの先端部で上向きに突出する後述の接離ピン9cが設けてある。また、アーム部9bの先端部下面には、上述のセクタユニットUを駆動するための駆動ピン9dが設けてある。
【0013】
こうして駆動伝達手段Tは、駆動レバー8がアクチュエータ4のロータ4cの回転により揺動し、セクタ駆動レバー9は、歯車変速機構を介して駆動レバー8に連動するが、その揺動角は、各揺動中心から歯部のピッチ円までの距離の比に応じた角度となっている。セクタ駆動レバー9の揺動角は、セクタアーム13の揺動角と同一であり、結局、セクタ12の往復移動量はセクタ駆動レバー9の揺動角とセクタアーム13の長さにより定まるようになっている。図面では、各レバーの揺動中心から歯部のピッチ円までの距離が互いに異なるように描かれているため、揺動角も異なるようになっているが、アクチュエータ4のトルクを考慮すると各揺動角はほぼ同一とすることが望ましい。
【0014】
次に、上述のシンクロスイッチ5について説明する。このセクタ駆動装置に用いるシンクロスイッチ5は、セクタ駆動レバー9の駆動状態を検出して露出の際にセクタ12が全開になっていることを確認するためのセクタ位置検出用センサであり、検出ばね17と検出ピン18と上記の接離ピン9cとの三者からなる。検出ばね17は、両端を反対方向に延伸してなる直線部を有するねじりコイルばねを採用してある。このばねの中央に位置するコイル部は、支持基板3に突設した軸部3dに挿着してあり、一方の直線部をセクタ駆動レバー9の接離ピン9cに当接可能としてある。また、他方の直線部は、中間部材6の上面に突設してある突部6cに当接可能とすることにより揺動範囲を規制可能としてある。この直線部は、先端部で直角に折り曲げられて上向きに延伸しており、その先端部をプリント基板Pと導通させて情報出力部17aとすることにより、カメラ本体のCPUへ検出したデータを出力可能としてある。
【0015】
また、検出ピン18は導電体の丸棒材からなり、その両端はプリント基板Pと中間部材6との間で支持されており、プリント基板Pに導通している。検出ピン18はセクタ12がアパーチャ1aを全開状態にしている時には、検出ばね17の直線部の中間位置が当接可能であり、閉鎖状態になっているときにはこの直線部が離反可能とする位置に設けてある。検出ばね17と検出ピン18との接離状態を検出した検出データは、プリント基板Pに接続された端子部17a,18aから出力可能となっている。なお、この接離動作はセクタ駆動レバー9と一体の接離ピン9cの揺動に対して検出ばね17がこれに従動することによって行われる。
【0016】
図3に示すように、地板1と駆動ユニットDとの一体化結合は、地板1の上面の複数か所に設けてある位置決めピン1b(図3では1個だけ図示)と、中間部材6の取付部6f、6gに設けてある位置決め孔6aとを合わせて、両者を互いに接近する方向へ押し付け、さらに固定手段であるビス10,10で締め付けることにより行われる。図4は、地板1にセクタ駆動ユニットDを装着した状態を示している。この装着により、中間部材6に突設された軸部6bに揺動自在に支持されているセクタ駆動レバー9は、地板1に突設してある突部1gにより安定的に支持されるとともに、駆動ピン9bが地板の円弧溝部1cを貫通して背面側へ突出している。
【0017】
地板1の他方の面(背面)には、アパーチャ1aを開閉するセクタ12及びセクタアーム13、14が取り付けてある。地板1、セクタ12及び各セクタアーム13、14でセクタユニットUを構成している。図1、2に示すように、複数のセクタ12(1枚だけ図示)と、これを往復移動させる1対のセクタアーム13,14とからなる平行リンク機構となっている。この平行リンク機構を構成するセクタアームのうち、下方に位置する第1セクタアーム13は、セクタ駆動レバー9の回転中心と同心の軸部1d(図3参照)に揺動自在に支持されている。第1セクタアーム13の中間位置に設けられた孔部には、セクタ駆動レバー9の駆動ピン9dが嵌入することにより、このアームをセクタ駆動レバー9に従動可能としてある。また、第1セクタアーム13の先端部は、連結ピン13aを介してセクタ12に揺動自在に連結されている。これに対し、第1セクタアーム13の上方に位置する第2セクタアーム14は、第1セクタアームの支持点と少し離れた位置の地板1の上面に揺動自在に支持されている。セクタアーム13,14の各先端部は、セクタ12に揺動自在に連結されていることにより、平行リンク機構を成立させてセクタ12を平行移動可能としてある。
【0018】
図4に示すように、地板1の背面側には、さらに第1セクタアーム13に対してセクタ12を開く方向へ付勢するように作用するセクタ付勢ばね16が設けてある。このセクタ付勢ばね16は、ねじりコイルばねからなり、中央のコイル部は、第1セクタアーム13を支持している軸部1dに挿通し、このコイル部から延びている一方の直線部を、地板1の背面に突設してある係止突起1eに当接可能としてある。また、セクタ付勢ばね16の他方の直線部は、第1セクタアーム13の側部に当接してこのアームをセクタ12が開く方向へ付勢可能としてある。このセクタ付勢ばね16の機能は、第1にセクタ12が初期位置にあるときにはレリーズオンの際にセクタアームを付勢してセクタ12の開放動作を容易にする働きをすること。第2の機能は、アパーチャ1aが開放状態になった時に、駆動伝達手段TとセクタユニットUとの間に生じる隙間(ガタ)を一方に押し付けるいわゆるガタ寄せの働きをするにある。なお、このセクタ付勢ばね16及びセクタ12は、羽根押さえ板15により保護されている。
【0019】
次に、図5に示すシーケンスチャートを参照して、この実施の形態例の動作を説明する。図5における横軸の要素として示されているもののうち、開閉レバー駆動コイルとは、既述の構成におけるアクチュエータ4の駆動コイル4bを指しており、開閉レバーとは駆動伝達手段Tのレバー、特にセクタ駆動レバー9を指している。また、撮像素子の露出とは、結像した被写体の画像のデジタル信号化の動作を示している。図5の横軸は時間を示しているが、時間の長さの比率については実際の比率通りに表示されているものではなく、あくまでも説明上の便宜から表示しているものである。
【0020】
まず、初期状態においては、アクチュエータの駆動コイル4bへの通電がオフとなっているため、セクタ駆動レバー9もセクタユニットUも初期位置(静的安定位置)に静止している。このときには、シンクロスイッチ5は検出ばね17と検出ピン18とが当接(ショート)している(図1参照)。次にカメラ本体のレリーズスイッチ(図示略)をオンにすると、駆動コイルに1パルスだけプラス電流が流される。これによって、セクタユニットUがアパーチャを閉じる方向へ移動してセクタユニットUに生じた位置の調整やいわゆるガタ寄せを行う。次にCPUからアクチュエータの駆動コイル4bへガタ寄せ時とは反対方向へマイナス電流を流すと、ロータ4cが逆方向へ回転し、駆動伝達手段Tを介してセクタ12を移動させてアパーチャ1aを開く。なお、この時には、セクタ12は、セクタ付勢ばね16により始動が容易となっている。セクタユニットUが開放動作を終了してアパーチャ1aが完全に開いたら、さらに同方向に少し高いマイナス電流を流していわゆるガタ寄せ及びバウンド防止を行う。このバウンド防止動作が終了すると、駆動コイル4bへの通電がオフされるため、セクタ12等がガタ寄せ状態から解除される。この通電オフ期間に撮像素子による露出が行われる。
【0021】
セクタユニットUが完全に開いた状態、すなわちセクタ12が重畳している状態の下では、セクタ駆動レバーの接離ピン9cがシンクロスイッチ5の検出ばね17の一方の直線部に当接して反時計方向へ押圧している。このため、検出ばね17は、検出ピン18から離反(オープン)し(図2参照)、この状態変化により生じる信号データが出力される。上記の露出は、この信号データ変化の出力を受けたCPUが、アパーチャ1aが開いていることを確認し、撮像素子に露出開始の信号を出すことにより開始される。露出動作中は、アクチュエータ4の駆動コイル4bへの通電がオフになっているため、露出中におけるノイズの発生を防止するとともに、電力消費の軽減が可能となっている。ロータ4cは、駆動コイル4bへの通電オフ中も静的安定位置に無通電保持されているため、セクタ12が勝手に動いてしまうようなことは生じない。
【0022】
こうして既に開始されている露出動作が終了すると、それに合わせてアクチュエータの駆動コイル4bに再びセクタ12が重畳する方向へロータを回転させるマイナス電流が流されてガタ寄せが行われる。続いて駆動コイル4bへセクタ12を展開する方向へ回転させるプラス電流を流すことによりセクタ駆動レバー9が回動し、同時にセクタ12が閉じる。この時、セクタ駆動レバー9は、図1において、反時計方向へ回動すると、シンクロスイッチ5の検出ばね17が原位置へ復帰することにより、検出ばねの直線部は検出ピン18に当接(ショート)し、これにより出力信号の方向を変化させる。この信号変化の出力を受けたCPUは、アパーチャ1aの閉鎖開始を確認する。こうしてセクタユニットUは、原位置へ復帰、すなわち閉鎖状態になるが、駆動コイル4bへの通電は、駆動伝達手段T及びセクタユニットUの復帰動作が完了した後にも、さらに所定時間だけ駆動コイル4bへ同方向の通電を続けてガタ寄せをした後、通電をオフにしてこれらを初期位置に復帰させる。駆動コイル4bへの通電停止とともに、露出により撮像素子に蓄積された撮像データはCPUへ出力され、これにより撮影の1動作が完了する。撮像素子から読み込まれたデータは、カメラ本体の記憶素子へ出力されることにより保存される。
【0023】
次に、上述した本発明に係るセクタ駆動装置を、カメラの絞り装置に適用した例について説明する。この絞り装置は、本出願人の既出願に係るものであり(特許文献1)、セクタユニットU2は、図6に示すように、地板61に設けられた円形のアパーチャ61aの左方に、本発明に係るセクタ駆動装置のセクタ駆動レバー59(図1の符号9に相当する)が設けてある。このセクタ駆動レバー59は駆動レバー8(図1参照)と連動することにより約45°の角度範囲で揺動し、これによりセクタ63を揺動可能としてある。このセクタユニットU2にセクタ駆動ユニットDを設けてセクタ63を駆動する。
【0024】
セクタ63は、アパーチャ61aよりも小さい絞り開口63aを有しており、地板61上に立設された支軸部61bを介して地板上に揺動自在に支持されている。この絞り開口63aは、セクタ63が時計方向に回動して所定位置に停止した状態の下においては、アパーチャ61aの中央部に位置するようになっている。セクタ63の駆動源は、もちろん本発明に係るセクタ駆動ユニットDのアクチュエータ4(図1参照)に相当するが、駆動伝達手段Tのセクタ駆動レバー9を変形して駆動レバー59としてある。セクタ63は、図示の状態から駆動レバー59を反時計方向へ回動させることにより付勢手段65の付勢力に抗して時計方向へ回動し、アパーチャ61aの中央部に絞り開口63aが位置することにより所望の絞り値が選択可能となる。付勢手段65の付勢力はアクチュエータ4の無通電保持力より弱いものになっている。アクチュエータ4への通電がオフになり、アクチュエータ4が無通電保持されると、絞り状態を維持される。絞り状態を解除するときは、アクチュエータ4に逆の通電をしてセクタ駆動レバー59を時計方向へ回動させる。セクタ63は、付勢手段65によって反時計方向へ付勢されているため、セクタ63は原位置へ復帰し、ストッパピン61cによって停止させられる。
【0025】
【特許文献1】
特開2001−281722号公報 図1〜図5
【0026】
このほか、本発明に係るセクタ駆動ユニットは、銀塩フィルム式カメラの絞り装置のセクタユニットU3の駆動装置としても応用可能である。このセクタユニットU3にセクタ駆動ユニットDを設けてセクタ75を駆動する。図7は、本出願人の既出願に係る絞り装置の構成を示すものである(特許文献2参照)。図7において、アパーチャ71aを有する地板71に、駆動リング73が基板面に沿って回動可能に設けてある。駆動リング73には、8個の斜め状の長溝73a,…が設けてあり、これらの各長溝73aには、地板71の周囲部に等間隔かつ揺動自在に設けてあるセクタ75の従動ピン75aが摺動可能に係合している。アパーチャ71aは、駆動リング73の回転により各セクタ75が揺動して開閉するようになっている。駆動リング73は、外周部に刻設してある歯部73bに、本発明に係るセクタ駆動ユニットDの駆動伝達手段T(図1参照)のセクタ駆動レバー9を変形したものを連結すればよい。すなわちセクタ駆動レバー9のレバー部9bの代わりに連結される部分に歯部を設け、この歯部を駆動リングの歯部73bと噛み合わせるようにすればよい。ただし、この場合におけるアクチュエータは、1パルスの通電だけで駆動リング73を必要量だけ回動させるメータ式は向かないので、複数パルスの通電により駆動するステップ方式のものを採用する必要がある。また、このセクタ駆動装置を備えたシャッタをデジタルカメラ用の遮光装置として採用すれば、上述のフォーカルプレーンシャッタ類似の遮光装置と同様の諸効果が得られる。
【0027】
【特許文献2】
特開2000−89294号公報 図1
【0028】
以上の説明において、駆動コイルへの通電は定電圧回路により駆動されることを前提として説明して来たが、これはもちろん定電流回路を採用することも可能である。また、駆動伝達手段の変速機構として歯車機構を採用してあるが、この他にもリンク機構やスライダ・クランク機構等を採用可能である。また、このセクタ駆動装置は、上記の遮光装置や絞り装置以外の絞り装置や遮光装置に適用可能である。また、シンクロスイッチ5はセクタの全開を検知していたが、これに限らずセクタの全開を検知するようにシンクロスイッチの位置を変えても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係るセクタ駆動装置は、駆動部のユニット化によりセクタユニットへの着脱を容易化してあるため、各種のセクタユニットに共通使用が可能となる。また、アパーチャサイズの異なるカメラにも共通使用が可能であるので、設備費その他の間接費の節減が可能となる。また、セクタ駆動ユニットとセクタユニットとを個別に検査可能であり、いずれかのユニットに不良品が出たような場合にも該当ユニットだけを破棄するだけでよく、遮光装置全体を破棄する必要がなくなるので、製造歩留まりを向上させることができる。
【0030】
次に、細部的構成として、セクタユニットに位置方向に付勢するセクタ付勢ばねを設けることにより、ガタ寄せをするとともに作動方向を向上させてある。また、これによりセクタユニットの開放開始時における開放動作を速くしてカメラの撮影動作のスピード化によりタイムラグを減少可能となるため、シャッタチャンスを逸することを少なくすることができる。さらに、セクタ位置検出手段(シンクロスイッチ)を設置すれば、セクタが全開になったことを確認した後に、露出動作を行なうことができるので確実な露出が可能となる。なお、このセクタ位置検出手段は、アパーチャの全開直後又は絞り開口が最大になった直後に出力信号を切り換えるようにすれば、セクタの位置を確実に把握できるため、確実な露出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アパーチャが全閉となっている状態を示す平面図である。
【図2】アパーチャが全開となっている状態を示す平面図である。
【図3】要部の拡大分解断面図である。
【図4】要部の拡大断面図である。
【図5】一形態例の動作を示すシーケンスチャートである。
【図6】他の形態例としての絞り装置のセクタユニットを示す正面図である。
【図7】さらに他の形態例の絞り装置のセクタユニットを示す正面図である。
【符号の説明】
U,U2,U3 セクタユニット
D セクタ駆動ユニット
T 駆動伝達手段
1,61,71 地板
1a,61a,71a アパーチャ
3 支持基板
4 アクチュエータ
5 セクタ位置検出手段(シンクロスイッチ)
6 固定部材
8 駆動レバー
9,59 セクタ駆動レバー
9c 接離ピン
10 固定手段(ビス)
12,63,75 セクタ
13,14 セクタアーム
15 羽根押さえ板
16 セクタ付勢ばね
17 検出ばね
18 検出ピン
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばデジタルカメラのCCDやC−MOS等の撮像素子を保護する遮光装置を駆動するためのカメラ用のセクタ駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の銀塩フィルム式カメラ(以下「フィルム式カメラ」という。)の絞り装置や、デジタルカメラの撮像素子を保護するための遮光装置等は、セクタの揺動によりアパーチャを開閉する機構が採用されている。これらの絞り装置や遮光装置は、いずれもセクタを駆動モータで揺動させることにより絞り開口の大きさを調整可能とし、あるいはアパーチャを開閉可能としてある。駆動モータによるセクタの駆動は、駆動力伝達機構を介して行われるようになっているが、駆動モータ、駆動力伝達機構及びセクタ等はともに地板に装着されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、セクタ、駆動モータ及び駆動力伝達機構がともに地板に装着されている場合、これら三者のうちのいずれかに瑕疵が存在していると、全体を廃棄しなければならないため製造歩留まりを低下させる原因となっている。また、組立作業上も細かい部品を次々と組み込んでゆかなければならないため、行程が煩雑なものとなっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明におけるカメラ用のセクタ駆動装置は、セクタユニットとセクタ駆動ユニットとを組み合わせた構成を採用することにより、組立作業や部品交換の容易化してあるところに特徴がある。具体的には、上記のセクタユニットは、アパーチャを有する地板とこのアパーチャを開閉するセクタとを備えたものからなる。また、上記のセクタ駆動ユニットは、支持基板と、この支持基板に取り付けられる電磁アクチュエータと、この支持基板に取り付けられるとともに、この電磁アクチュエータの駆動力を上記のセクタに伝達する駆動伝達手段とを備えたものからなる。セクタユニットとセクタ駆動ユニットとは、支持基板と地板とを固定手段を介して固定することにより一体化してあるところに特徴がある。上記の通り、本発明に係るセクタ駆動装置は、セクタとセクタの駆動機構とをそれぞれユニット化して個別に製作したものを組み込むようにしてあるため、製造容易かつ互換性に優れたものとなっている。このセクタ駆動装置は、デジタルカメラの撮像素子を保護するための遮光装置のセクタ駆動装置として採用すると、露出動作中には遮光幕を確実に開放し、それ以外の時間帯はアパーチャを閉鎖して撮像素子を確実に保護する効果を有する。
【0005】
また、本発明におけるカメラ用のセクタ駆動装置は、アパーチャを有する地板と、上記のアパーチャよりも小さい絞り開口を形成してなるセクタを設けたものをセクタユニットとするカメラにも適用可能である。このカメラのセクタ駆動ユニットの構成は、上記のセクタ駆動装置と同様であるが、駆動伝達手段の出力端部となるレバーにより、アパーチャよりも小さい絞り開口を有するセクタを駆動して揺動させることにより所望の絞り開口を選択可能とするものである。
【0006】
上記のカメラ用のセクタ駆動装置は、細部的特徴として次のような構成を採用してある。第1に、セクタユニットには、セクタを一方向に付勢するセクタ付勢ばねを設けることにより、製造上の隙間や歯車のバックラッッシュ等により生じるゆがみを除去するいわゆるガタ寄せを行うようにしてある。これによりデジタルカメラの遮光装置の場合には確実な遮光効果が得られ、カメラの絞り装置の場合には所望の絞り値を実現可能としてある。第2に、上記のセクタ駆動ユニットに、駆動伝達手段の位置関係からセクタの駆動状態を検出するセクタ位置検出手段を設けることにより、アパーチャの開口や絞りの設定が確実に行われていることを確認した後に、露出を行うようにして正確な露出を保障している。上記第2の特徴に関連して、デジタルカメラの場合に、上記のセクタ位置検出手段は、アパーチャが全開又は絞り用開口が最大開口となった直後に信号が切り替わるように設定するとよい。これはセクタ位置検出手段が検出目的を検出したときに、カメラ本体のCPUにその旨の信号を出力することにより確実な露光動作や絞り値を保障するものとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。ここでは主にデジタルカメラの遮光装置のセクタを駆動するセクタ駆動装置を取り上げて説明する。図1、図2は、本発明の一形態例に係るデジタルカメラの遮光装置の要部を拡大して示したものである。なお、これらの図面では内部構成を分かりやすく表示するために、プリント基板Pと後述の支持基板3の天板部とを透過して基板の輪郭だけを示してある。図1、図2に示してあるように、この遮光装置は、構造上、重畳及び展開するセクタ群によってアパーチャ(画枠)を開閉可能としてある点において、フォーカルプレーンシャッタに似たものとなっている。しかし、フォーカルプレーンシャッタのように先幕と後幕とを備えたものではなく、先後いずれかの幕に相当する1つの遮光幕を備えただけのシンプルなものとなっている。この形態例では、セクタアーム13,14と遮光幕であるセクタ12とを地板1に取り付けたものをセクタユニットと呼ぶこととする。そしてこのセクタユニットUを開閉駆動する駆動機構を、セクタ駆動ユニットと呼ぶこととし、このセクタ駆動ユニットDを地板1に対して着脱容易としてあるところに本発明の特徴の1つがある。
【0008】
地板1は、実質的に長方形に形成された板状体からなり、その中心付近の位置にアパーチャ1aが設けてある。このアパーチャ1aの左方上面(図面表面)には、セクタ12を駆動する上記のセクタ駆動ユニットDが装着してある。セクタ駆動ユニットDは、地板1の上面(図面表側)に突設された位置決めピン1b,1bにより位置決めされ、固定手段であるビス10,10によって固定されている(図3参照)。また、地板1のセクタ駆動ユニットDが設けてある部分の背面側には、後述のセクタアーム13、14とセクタ12等が設けてあり、セクタ駆動ユニットDによりセクタ12を駆動しアパーチャ1aの開閉動作が可能となっている。
【0009】
セクタ駆動ユニットDは、後述の中間部材6を介して予め支持基板3に装着された電磁アクチュエータ(以下「アクチュエータ」という。)4、後述のセクタ位置検出手段であるシンクロスイッチ5及びの中間部材6(図3、図4参照)の下面側に後に装着される駆動伝達手段Tを備えている。セクタ駆動ユニットDの図面上部には、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5に電力を供給するためのプリント基板Pが設けられている。また、セクタユニットUは、上述の通り、地板1と、この地板の他方の面(背面)に設けてあるセクタ12と、このセクタを駆動するセクタアーム13,14とを備えている。このセクタ駆動ユニットDは、地板1の一方の面(表面)に固定手段であるビス10を介して位置決めされた状態に取り付けられている。
【0010】
図3は、セクタ駆動ユニットD及びセクタユニットUの各機構を分割して拡大断面図で示したものである。セクタ駆動ユニットDの駆動機構のうち、アクチュエータ4及びシンクロスイッチ5を含む駆動部は、支持基板3の一方の面(図3下面)に脱落不能に装着してある中間部材6を介して固定されている。支持基板3の他方の面(図3上面)には、プリント基板Pが固定されている。支持基板3は、地板部3aが長方形の板状体からなり(図1参照)、その両端部には、上記の中間部材6を保持するための掛止部3b,3bが設けてある。中間部材6は、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5を保持可能としてあるとともに、地板1への取付部6f、6gを備えている。こうしてユニット化されたセクタ駆動ユニットDは、地板1に対して着脱容易な独立体としてあるため、各種のセクタユニットに取付可能となっている。
【0011】
上述のアクチュエータ4は、公知のパルスモータの一種であり、ステータ4a、駆動コイル4b及び永久磁石製のロータ4cからなる。このアクチュエータ4は、ロータ4cの磁極とステータ4aに設けられた磁極の位置とにより、ロータ4cが無通電保持される静的安定位置を有している。このため、通電によりロータ4cの磁極がステータの磁極間を移動して静的安定位置に静止してロータ4cを保持可能となっている。静的安定位置は、ロータ4cの磁極数と、このロータを取り囲むステータ4aの凹部の内周部に設けてある磁極の数とにより定まるが、ここではロータの磁極が2極でステータの磁極数を4極の組み合わせとすることにより、2ヶ所に静的安定位置を設けてある。アクチュエータ4は、中間部材6によって支持基板3の地板部3aに押さえ付けた状態に固定されている。そして、ロータ4cと一体の回転軸4dがこの中間部材6を貫通して下面側に突出するように設けてある。
【0012】
アクチュエータ4のロータ4cと一体の回転軸4dの先端部(図3下端部)には、駆動伝達手段Tを構成する駆動レバー8が固着してある。また、中間部材6の下面に突設された支軸部6bには、駆動レバー8に連動可能なセクタ駆動レバー9が揺動自在に支持されている。駆動伝達手段Tを構成するセクタ駆動レバー9は、歯部9aが駆動レバー8の歯部8aと噛合することによりこの駆動レバー8と連動可能となっている。駆動レバー8は、図1、図2に示すように、開き度を小さくした扇形に形成した板状体からなり、扇の要に相当する部分がアクチュエータ4の回転軸4dにこれと一体回転可能に固着してある。駆動レバー8の先端に形成してある円弧部は、歯車の歯形を刻設してなる歯部8aとなっている。セクタ駆動レバー9は、回転中心から所定距離の範囲を円弧状に形成し、この円弧状になっている部分の周囲の一部に駆動レバーの歯部8aと噛合可能な歯部9aが設けてある。歯部9aが設けられていない円弧部の部分の一部は、外方へ延伸してなるアーム部9bが形成してある。上記の円周部とアーム部9bとの境界付近には、図3の表示で短いアームの先端部で上向きに突出する後述の接離ピン9cが設けてある。また、アーム部9bの先端部下面には、上述のセクタユニットUを駆動するための駆動ピン9dが設けてある。
【0013】
こうして駆動伝達手段Tは、駆動レバー8がアクチュエータ4のロータ4cの回転により揺動し、セクタ駆動レバー9は、歯車変速機構を介して駆動レバー8に連動するが、その揺動角は、各揺動中心から歯部のピッチ円までの距離の比に応じた角度となっている。セクタ駆動レバー9の揺動角は、セクタアーム13の揺動角と同一であり、結局、セクタ12の往復移動量はセクタ駆動レバー9の揺動角とセクタアーム13の長さにより定まるようになっている。図面では、各レバーの揺動中心から歯部のピッチ円までの距離が互いに異なるように描かれているため、揺動角も異なるようになっているが、アクチュエータ4のトルクを考慮すると各揺動角はほぼ同一とすることが望ましい。
【0014】
次に、上述のシンクロスイッチ5について説明する。このセクタ駆動装置に用いるシンクロスイッチ5は、セクタ駆動レバー9の駆動状態を検出して露出の際にセクタ12が全開になっていることを確認するためのセクタ位置検出用センサであり、検出ばね17と検出ピン18と上記の接離ピン9cとの三者からなる。検出ばね17は、両端を反対方向に延伸してなる直線部を有するねじりコイルばねを採用してある。このばねの中央に位置するコイル部は、支持基板3に突設した軸部3dに挿着してあり、一方の直線部をセクタ駆動レバー9の接離ピン9cに当接可能としてある。また、他方の直線部は、中間部材6の上面に突設してある突部6cに当接可能とすることにより揺動範囲を規制可能としてある。この直線部は、先端部で直角に折り曲げられて上向きに延伸しており、その先端部をプリント基板Pと導通させて情報出力部17aとすることにより、カメラ本体のCPUへ検出したデータを出力可能としてある。
【0015】
また、検出ピン18は導電体の丸棒材からなり、その両端はプリント基板Pと中間部材6との間で支持されており、プリント基板Pに導通している。検出ピン18はセクタ12がアパーチャ1aを全開状態にしている時には、検出ばね17の直線部の中間位置が当接可能であり、閉鎖状態になっているときにはこの直線部が離反可能とする位置に設けてある。検出ばね17と検出ピン18との接離状態を検出した検出データは、プリント基板Pに接続された端子部17a,18aから出力可能となっている。なお、この接離動作はセクタ駆動レバー9と一体の接離ピン9cの揺動に対して検出ばね17がこれに従動することによって行われる。
【0016】
図3に示すように、地板1と駆動ユニットDとの一体化結合は、地板1の上面の複数か所に設けてある位置決めピン1b(図3では1個だけ図示)と、中間部材6の取付部6f、6gに設けてある位置決め孔6aとを合わせて、両者を互いに接近する方向へ押し付け、さらに固定手段であるビス10,10で締め付けることにより行われる。図4は、地板1にセクタ駆動ユニットDを装着した状態を示している。この装着により、中間部材6に突設された軸部6bに揺動自在に支持されているセクタ駆動レバー9は、地板1に突設してある突部1gにより安定的に支持されるとともに、駆動ピン9bが地板の円弧溝部1cを貫通して背面側へ突出している。
【0017】
地板1の他方の面(背面)には、アパーチャ1aを開閉するセクタ12及びセクタアーム13、14が取り付けてある。地板1、セクタ12及び各セクタアーム13、14でセクタユニットUを構成している。図1、2に示すように、複数のセクタ12(1枚だけ図示)と、これを往復移動させる1対のセクタアーム13,14とからなる平行リンク機構となっている。この平行リンク機構を構成するセクタアームのうち、下方に位置する第1セクタアーム13は、セクタ駆動レバー9の回転中心と同心の軸部1d(図3参照)に揺動自在に支持されている。第1セクタアーム13の中間位置に設けられた孔部には、セクタ駆動レバー9の駆動ピン9dが嵌入することにより、このアームをセクタ駆動レバー9に従動可能としてある。また、第1セクタアーム13の先端部は、連結ピン13aを介してセクタ12に揺動自在に連結されている。これに対し、第1セクタアーム13の上方に位置する第2セクタアーム14は、第1セクタアームの支持点と少し離れた位置の地板1の上面に揺動自在に支持されている。セクタアーム13,14の各先端部は、セクタ12に揺動自在に連結されていることにより、平行リンク機構を成立させてセクタ12を平行移動可能としてある。
【0018】
図4に示すように、地板1の背面側には、さらに第1セクタアーム13に対してセクタ12を開く方向へ付勢するように作用するセクタ付勢ばね16が設けてある。このセクタ付勢ばね16は、ねじりコイルばねからなり、中央のコイル部は、第1セクタアーム13を支持している軸部1dに挿通し、このコイル部から延びている一方の直線部を、地板1の背面に突設してある係止突起1eに当接可能としてある。また、セクタ付勢ばね16の他方の直線部は、第1セクタアーム13の側部に当接してこのアームをセクタ12が開く方向へ付勢可能としてある。このセクタ付勢ばね16の機能は、第1にセクタ12が初期位置にあるときにはレリーズオンの際にセクタアームを付勢してセクタ12の開放動作を容易にする働きをすること。第2の機能は、アパーチャ1aが開放状態になった時に、駆動伝達手段TとセクタユニットUとの間に生じる隙間(ガタ)を一方に押し付けるいわゆるガタ寄せの働きをするにある。なお、このセクタ付勢ばね16及びセクタ12は、羽根押さえ板15により保護されている。
【0019】
次に、図5に示すシーケンスチャートを参照して、この実施の形態例の動作を説明する。図5における横軸の要素として示されているもののうち、開閉レバー駆動コイルとは、既述の構成におけるアクチュエータ4の駆動コイル4bを指しており、開閉レバーとは駆動伝達手段Tのレバー、特にセクタ駆動レバー9を指している。また、撮像素子の露出とは、結像した被写体の画像のデジタル信号化の動作を示している。図5の横軸は時間を示しているが、時間の長さの比率については実際の比率通りに表示されているものではなく、あくまでも説明上の便宜から表示しているものである。
【0020】
まず、初期状態においては、アクチュエータの駆動コイル4bへの通電がオフとなっているため、セクタ駆動レバー9もセクタユニットUも初期位置(静的安定位置)に静止している。このときには、シンクロスイッチ5は検出ばね17と検出ピン18とが当接(ショート)している(図1参照)。次にカメラ本体のレリーズスイッチ(図示略)をオンにすると、駆動コイルに1パルスだけプラス電流が流される。これによって、セクタユニットUがアパーチャを閉じる方向へ移動してセクタユニットUに生じた位置の調整やいわゆるガタ寄せを行う。次にCPUからアクチュエータの駆動コイル4bへガタ寄せ時とは反対方向へマイナス電流を流すと、ロータ4cが逆方向へ回転し、駆動伝達手段Tを介してセクタ12を移動させてアパーチャ1aを開く。なお、この時には、セクタ12は、セクタ付勢ばね16により始動が容易となっている。セクタユニットUが開放動作を終了してアパーチャ1aが完全に開いたら、さらに同方向に少し高いマイナス電流を流していわゆるガタ寄せ及びバウンド防止を行う。このバウンド防止動作が終了すると、駆動コイル4bへの通電がオフされるため、セクタ12等がガタ寄せ状態から解除される。この通電オフ期間に撮像素子による露出が行われる。
【0021】
セクタユニットUが完全に開いた状態、すなわちセクタ12が重畳している状態の下では、セクタ駆動レバーの接離ピン9cがシンクロスイッチ5の検出ばね17の一方の直線部に当接して反時計方向へ押圧している。このため、検出ばね17は、検出ピン18から離反(オープン)し(図2参照)、この状態変化により生じる信号データが出力される。上記の露出は、この信号データ変化の出力を受けたCPUが、アパーチャ1aが開いていることを確認し、撮像素子に露出開始の信号を出すことにより開始される。露出動作中は、アクチュエータ4の駆動コイル4bへの通電がオフになっているため、露出中におけるノイズの発生を防止するとともに、電力消費の軽減が可能となっている。ロータ4cは、駆動コイル4bへの通電オフ中も静的安定位置に無通電保持されているため、セクタ12が勝手に動いてしまうようなことは生じない。
【0022】
こうして既に開始されている露出動作が終了すると、それに合わせてアクチュエータの駆動コイル4bに再びセクタ12が重畳する方向へロータを回転させるマイナス電流が流されてガタ寄せが行われる。続いて駆動コイル4bへセクタ12を展開する方向へ回転させるプラス電流を流すことによりセクタ駆動レバー9が回動し、同時にセクタ12が閉じる。この時、セクタ駆動レバー9は、図1において、反時計方向へ回動すると、シンクロスイッチ5の検出ばね17が原位置へ復帰することにより、検出ばねの直線部は検出ピン18に当接(ショート)し、これにより出力信号の方向を変化させる。この信号変化の出力を受けたCPUは、アパーチャ1aの閉鎖開始を確認する。こうしてセクタユニットUは、原位置へ復帰、すなわち閉鎖状態になるが、駆動コイル4bへの通電は、駆動伝達手段T及びセクタユニットUの復帰動作が完了した後にも、さらに所定時間だけ駆動コイル4bへ同方向の通電を続けてガタ寄せをした後、通電をオフにしてこれらを初期位置に復帰させる。駆動コイル4bへの通電停止とともに、露出により撮像素子に蓄積された撮像データはCPUへ出力され、これにより撮影の1動作が完了する。撮像素子から読み込まれたデータは、カメラ本体の記憶素子へ出力されることにより保存される。
【0023】
次に、上述した本発明に係るセクタ駆動装置を、カメラの絞り装置に適用した例について説明する。この絞り装置は、本出願人の既出願に係るものであり(特許文献1)、セクタユニットU2は、図6に示すように、地板61に設けられた円形のアパーチャ61aの左方に、本発明に係るセクタ駆動装置のセクタ駆動レバー59(図1の符号9に相当する)が設けてある。このセクタ駆動レバー59は駆動レバー8(図1参照)と連動することにより約45°の角度範囲で揺動し、これによりセクタ63を揺動可能としてある。このセクタユニットU2にセクタ駆動ユニットDを設けてセクタ63を駆動する。
【0024】
セクタ63は、アパーチャ61aよりも小さい絞り開口63aを有しており、地板61上に立設された支軸部61bを介して地板上に揺動自在に支持されている。この絞り開口63aは、セクタ63が時計方向に回動して所定位置に停止した状態の下においては、アパーチャ61aの中央部に位置するようになっている。セクタ63の駆動源は、もちろん本発明に係るセクタ駆動ユニットDのアクチュエータ4(図1参照)に相当するが、駆動伝達手段Tのセクタ駆動レバー9を変形して駆動レバー59としてある。セクタ63は、図示の状態から駆動レバー59を反時計方向へ回動させることにより付勢手段65の付勢力に抗して時計方向へ回動し、アパーチャ61aの中央部に絞り開口63aが位置することにより所望の絞り値が選択可能となる。付勢手段65の付勢力はアクチュエータ4の無通電保持力より弱いものになっている。アクチュエータ4への通電がオフになり、アクチュエータ4が無通電保持されると、絞り状態を維持される。絞り状態を解除するときは、アクチュエータ4に逆の通電をしてセクタ駆動レバー59を時計方向へ回動させる。セクタ63は、付勢手段65によって反時計方向へ付勢されているため、セクタ63は原位置へ復帰し、ストッパピン61cによって停止させられる。
【0025】
【特許文献1】
特開2001−281722号公報 図1〜図5
【0026】
このほか、本発明に係るセクタ駆動ユニットは、銀塩フィルム式カメラの絞り装置のセクタユニットU3の駆動装置としても応用可能である。このセクタユニットU3にセクタ駆動ユニットDを設けてセクタ75を駆動する。図7は、本出願人の既出願に係る絞り装置の構成を示すものである(特許文献2参照)。図7において、アパーチャ71aを有する地板71に、駆動リング73が基板面に沿って回動可能に設けてある。駆動リング73には、8個の斜め状の長溝73a,…が設けてあり、これらの各長溝73aには、地板71の周囲部に等間隔かつ揺動自在に設けてあるセクタ75の従動ピン75aが摺動可能に係合している。アパーチャ71aは、駆動リング73の回転により各セクタ75が揺動して開閉するようになっている。駆動リング73は、外周部に刻設してある歯部73bに、本発明に係るセクタ駆動ユニットDの駆動伝達手段T(図1参照)のセクタ駆動レバー9を変形したものを連結すればよい。すなわちセクタ駆動レバー9のレバー部9bの代わりに連結される部分に歯部を設け、この歯部を駆動リングの歯部73bと噛み合わせるようにすればよい。ただし、この場合におけるアクチュエータは、1パルスの通電だけで駆動リング73を必要量だけ回動させるメータ式は向かないので、複数パルスの通電により駆動するステップ方式のものを採用する必要がある。また、このセクタ駆動装置を備えたシャッタをデジタルカメラ用の遮光装置として採用すれば、上述のフォーカルプレーンシャッタ類似の遮光装置と同様の諸効果が得られる。
【0027】
【特許文献2】
特開2000−89294号公報 図1
【0028】
以上の説明において、駆動コイルへの通電は定電圧回路により駆動されることを前提として説明して来たが、これはもちろん定電流回路を採用することも可能である。また、駆動伝達手段の変速機構として歯車機構を採用してあるが、この他にもリンク機構やスライダ・クランク機構等を採用可能である。また、このセクタ駆動装置は、上記の遮光装置や絞り装置以外の絞り装置や遮光装置に適用可能である。また、シンクロスイッチ5はセクタの全開を検知していたが、これに限らずセクタの全開を検知するようにシンクロスイッチの位置を変えても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係るセクタ駆動装置は、駆動部のユニット化によりセクタユニットへの着脱を容易化してあるため、各種のセクタユニットに共通使用が可能となる。また、アパーチャサイズの異なるカメラにも共通使用が可能であるので、設備費その他の間接費の節減が可能となる。また、セクタ駆動ユニットとセクタユニットとを個別に検査可能であり、いずれかのユニットに不良品が出たような場合にも該当ユニットだけを破棄するだけでよく、遮光装置全体を破棄する必要がなくなるので、製造歩留まりを向上させることができる。
【0030】
次に、細部的構成として、セクタユニットに位置方向に付勢するセクタ付勢ばねを設けることにより、ガタ寄せをするとともに作動方向を向上させてある。また、これによりセクタユニットの開放開始時における開放動作を速くしてカメラの撮影動作のスピード化によりタイムラグを減少可能となるため、シャッタチャンスを逸することを少なくすることができる。さらに、セクタ位置検出手段(シンクロスイッチ)を設置すれば、セクタが全開になったことを確認した後に、露出動作を行なうことができるので確実な露出が可能となる。なお、このセクタ位置検出手段は、アパーチャの全開直後又は絞り開口が最大になった直後に出力信号を切り換えるようにすれば、セクタの位置を確実に把握できるため、確実な露出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アパーチャが全閉となっている状態を示す平面図である。
【図2】アパーチャが全開となっている状態を示す平面図である。
【図3】要部の拡大分解断面図である。
【図4】要部の拡大断面図である。
【図5】一形態例の動作を示すシーケンスチャートである。
【図6】他の形態例としての絞り装置のセクタユニットを示す正面図である。
【図7】さらに他の形態例の絞り装置のセクタユニットを示す正面図である。
【符号の説明】
U,U2,U3 セクタユニット
D セクタ駆動ユニット
T 駆動伝達手段
1,61,71 地板
1a,61a,71a アパーチャ
3 支持基板
4 アクチュエータ
5 セクタ位置検出手段(シンクロスイッチ)
6 固定部材
8 駆動レバー
9,59 セクタ駆動レバー
9c 接離ピン
10 固定手段(ビス)
12,63,75 セクタ
13,14 セクタアーム
15 羽根押さえ板
16 セクタ付勢ばね
17 検出ばね
18 検出ピン
Claims (5)
- セクタユニットには、アパーチャを有する地板と上記アパーチャを開閉するセクタとが設けてあり、
セクタ駆動ユニットには、支持基板と上記支持基板に取り付けられる電磁アクチュエータと上記支持基板に取り付けられるとともにこの電磁アクチュエータの駆動力を上記セクタに伝達する駆動伝達手段とが設けてあり、
上記セクタユニットと上記セクタ駆動ユニットとは、上記支持基板と上記地板とを、固定手段を介して固定することにより一体化してある
ことを特徴とするカメラ用のセクタ駆動装置。 - セクタユニットには、アパーチャを有する基板と上記アパーチャよりも小さい絞り開口を形成するセクタとが設けてあり、
セクタ駆動ユニットには、支持基板と上記支持基板に取り付けられる電磁アクチュエータと、上記支持基板に取り付けられるとともにこの電磁アクチュエータの駆動力を上記セクタに伝達する駆動伝達手段とが設けてあり、
上記セクタユニットと上記セクタ駆動ユニットとは上記支持基板と上記地板とを固定手段を介して固定することにより一体化してある
ことを特徴とするカメラ用のセクタ駆動装置。 - 請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、上記セクタユニットには上記セクタを一方向に付勢するセクタ付勢ばねが設けてあることを特徴とするカメラ用のセクタ駆動装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、上記セクタ駆動ユニットには、上記駆動伝達手段の位置関係から上記セクタの駆動状態を検出するセクタ位置検出手段が設けてあることを特徴とするカメラ用のセクタ駆動装置。
- 請求項4において、上記セクタ位置検出手段は上記アパーチャが全開又は上記絞り用開口が最大開口となった直後に信号が切り替わるように設定してあることを特徴とするカメラ用のセクタ駆動装置。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
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