JP2004317665A - デジタルカメラの遮光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】確実な動作をする遮光装置を提供することにより撮像素子を保護するとともに、遮光装置を備えたデジタルカメラの製造コストの引き下げを図る。
【解決手段】このデジタルカメラの遮光装置は、アパーチャ1aを有する地板1に、このアパーチャを平行リンク機構により開閉可能に設けてあるセクタ12と、地板1の他方の面に設けてある電磁アクチュエータ4と、この電磁アクチュエータの駆動力をセクタに伝達する駆動力伝達機構7とを備えている。上記の電磁アクチュエータは、永久磁石のロータ4cの1回転範囲にロータを無通電保持可能な複数の静的安定位置を有しているとともに、駆動力伝達機構をアクチュエータの静的安定位置とセクタのアパーチャ開放状態に対応させてある。ロータはセクタの開放又は閉鎖位置に無通電保持可能となるため、電力の消費を抑え、撮像素子の画像読み込み中におけるノイズの発生を防止可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】このデジタルカメラの遮光装置は、アパーチャ1aを有する地板1に、このアパーチャを平行リンク機構により開閉可能に設けてあるセクタ12と、地板1の他方の面に設けてある電磁アクチュエータ4と、この電磁アクチュエータの駆動力をセクタに伝達する駆動力伝達機構7とを備えている。上記の電磁アクチュエータは、永久磁石のロータ4cの1回転範囲にロータを無通電保持可能な複数の静的安定位置を有しているとともに、駆動力伝達機構をアクチュエータの静的安定位置とセクタのアパーチャ開放状態に対応させてある。ロータはセクタの開放又は閉鎖位置に無通電保持可能となるため、電力の消費を抑え、撮像素子の画像読み込み中におけるノイズの発生を防止可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCDやC−MOS等の電子撮像素子(以下「撮像素子」という。)を保護するために撮像素子の前方に設けるデジタルカメラの遮光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラは、撮像素子上に結像した被写体の画像をデジタル信号化してCPUに出力して撮像化するものであるので、基本的に銀塩フィルム式カメラ(以下「フィルム式カメラ」という。)のようなセクタを使用したシャッタ機構を必要としないものである。ただ、デジタルカメラは、フィルム式カメラの技術の転用及び撮像素子に対する画質向上のためにセクタを使用したシャッタ機構が採用されているものが多い。セクタを使用したシャッタ機構を備えず、撮像のON,OFFにより画像を取り込んでCPUに出力するようにしたいわゆる電子シャッタ式のデジタルカメラもある。また、最近のデジタルカメラの普及は、レンズ交換可能な高級品から確認用液晶パネルを備えていない普及品まで多岐にわたっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち、セクタを使用したシャッタや電子シャッタ機構を備えたデジタルカメラでは、被写体を液晶パネルに映し出すために常時、アパーチャ(画枠)を開放状態に保持しておくものが多いが、これにより常時、光が撮像素子にレンズを通して当っていることになる。このため、撮像素子が汚れやいわゆる光焼けを起こして劣化する原因となっている。また、レンズ交換可能な高級機種では、仮に通常はアパーチャが閉鎖されているとしても、レンズ交換のためにレンズを取り外した時に外気にさらされて撮像素子に直接光が当たるほか、塵埃も付着するおそれがある。そこで本発明の目的は、撮像素子の保護を確実に行うための遮光装置を提供するとともに、この遮光装置によるアパーチャの開閉を行う際の電力の消費を抑え、かつ構成部材間のバラツキや製作誤差による隙間を一方に寄せるいわゆるガタ寄せ機能を備えることにより高質な撮像を取得可能とすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るデジタルカメラの遮光装置は、以下の手段を採用することにより以下の作用効果を生じるようにしたところに特徴がある。この遮光装置の主たる構成は、アパーチャを有する地板に、このアパーチャを平行リンク機構により開閉可能に設けてあるセクタと、地板の他方の面に設けてある電磁アクチュエータと、この電磁アクチュエータの駆動力を上記セクタに伝達する駆動力伝達機構とを備えている。上記の電磁アクチュエータは永久磁石のロータを有し、このロータの1回転範囲にロータを無通電保持可能な複数の静的安定位置を有しているとともに、それらの静的安定位置のうち、ある特定の位置(第1の位置)がセクタのアパーチャ開放状態に対応し、この第1の位置と異なる第2の位置がセクタのアパーチャ閉鎖状態に対応するように構成してある。
【0005】
上記の構成を採用することにより、セクタが開放又は閉鎖状態になっているときに、電磁アクチュエータのロータの磁極が静的安定位置に位置するように対応するため、これらの位置に保持状態となっているときにはアクチュエータへの通電が不要となる。また、アパーチャが全開になっているときに撮像素子による露出が行われるが、この時間帯にはパルス通電が行われないため、画像読み込み中におけるノイズの発生を防止可能となるので、電磁シールドを簡素化することができる。さらに上記の第1の位置と第2の位置とを静的安定位置の隣り合う2位置とするように設定すれば、1パルスの通電によりセクタの開閉動作が終了するため、セクタの動作が速くなる上に、アクチュエータへの連続パルスを供給する必要がなくなるため、複雑で高価なパルス駆動回路が不要となる。
【0006】
また、他の手段として、上記の駆動力伝達機構に、アパーチャの開放時にはアパーチャを開放する方向の付勢力をセクタに与え、アパーチャの閉鎖時にはセクタに遮蔽する方向の付勢力を与えるセクタ付勢部材を備えたものとするとよい。このセクタ付勢部材を備えることにより、アクチュエータの静的ロック力を補うことができるとともに、ガタ寄せができるので駆動力伝達機構やセクタ間のバラツキを減らすことができるため、不良率の低減や品質の安定化が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。図1,2は一形態例に係るデジタルカメラの遮光装置を拡大して示したものである。なお、プリント基板Pと後述の支持基板3の天板部とを透過して輪郭だけを示してある。図示してあるように、この遮光装置は、構造上、アパーチャを重畳及び展開する羽根群によって開閉可能としてある点において、フォーカルプレーンシャッタに似たものとなっている。しかし、フォーカルプレーンシャッタのように先幕と後幕とを備えたものではなく、先後いずれかの幕に相当する1つのセクタ12を備えただけのシンプルなものとなっている。
【0008】
図1,2において、地板1は、実質的に長方形に形成された板状体からなり、その内側の右寄りの位置にアパーチャ1aが設けてある。このアパーチャ1aの左方の基板上面(図面表面)に遮光幕であるセクタ12を駆動するセクタ駆動ユニット2が装着してある。セクタ駆動ユニット2は、地板1の上面(図面表側)に突設された位置決めピン1b,…により位置決めされ、固定手段としてのビス10,10によって固定されている(図3参照)。また、地板1のセクタ駆動ユニット2が設けてある部分の背面側には、後述のセクタ12が設けてあり、セクタ駆動ユニット2によりセクタ12を駆動し、アパーチャ1aの開閉動作が可能となっている。
【0009】
セクタ駆動ユニット2は、予め支持基板3に装着してある電磁アクチュエータ(以下「アクチュエータ」という。)4及び後述のセクタ位置検出手段であるシンクロスイッチ5と、後述の中間部材6の下面側にセクタ駆動ユニット2の構成要素として後に装着される駆動力伝達機構7とからなる。セクタ駆動ユニット2の図面上部には、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5に電力を供給するためのプリント基板Pが設けられている(図3,4参照)。このセクタ駆動ユニット2は、地板1の一方の面(表面)に位置決めされ、固定手段であるビス10,10により固定してある。また、地板1の他方の面(背面)には、上記の駆動力伝達機構7によりアパーチャ1aを開閉可能とするようにセクタ12が設けてある。
【0010】
図3は、セクタ駆動ユニット2及びセクタ12、セクタアーム13,14等の各機構を分割して拡大断面図として示したものである。セクタ駆動ユニット2の駆動機構のうち、後述のアクチュエータ4及びシンクロスイッチ5を含む駆動部は、支持基板3の一方の面(図3下面)に脱落不能に装着してある中間部材6を介して固定されている。支持基板3は天板部3aが、長方形の板状体からなり(図1参照)、その周囲部には、上記の中間部材6を保持するための掛止部3b,3bが設けてある。中間部材6は、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5を保持可能であるとともに、地板1への取付部6f、6gを備えている。セクタ駆動ユニット2は、上記の駆動部と中間部材6の外面(図3下面)に取り付けられた上述の駆動力伝達機構7とにより構成されている。地板1の他方の面(図3下面)には、セクタ12がアパーチャ1a(図1参照)を開閉可能に設けてある。こうしてユニット化されたセクタ駆動ユニット2は、地板1に対して着脱容易であるため、各種のセクタに取付可能となっている。
【0011】
上述のアクチュエータ4は、公知のパルスモータの一種であり、ステータ4a、駆動コイル4b及び永久磁石製のロータ4cからなる。このアクチュエータ4は、ロータ4cの磁極とステータ4aに設けられた磁極の位置とにより、ロータ4が無通電保持される静的安定位置を有している。電流の通電によりロータ4cの磁極がステータの磁極間を移動して静的安定位置に静止してロータ4cを保持可能となっている。静的安定位置はロータ4cの磁極数と、このロータを取り囲むステータ4aの凹部の内周部に設けてある磁極の数とにより定まるが、ここではロータの磁極が2極でステータの磁極数が4極の組み合わせにより、2か所に静的安定位置を設けてある。なお、静的安定位置を3箇所以上とし、隣り合う2箇所の静的安定位置をセクタ12が重畳する位置(アパーチャ開放)及びセクタ12が展開する位置(アパーチャ遮蔽)に対応させるようにすると、1パルス入力によりセクタ12の開閉動作が可能となる。アクチュエータ4は、中間部材6によって支持基板3の天板部3aに押さえ付けられた状態に固定されており、ロータ4cと一体の駆動軸4dがこの中間部材6を貫通して下面側に突出するように設けてある。
【0012】
アクチュエータ4の駆動軸4dの先端部(図3下端部)には、上述の駆動力伝達機構7を構成する駆動レバー8が固着してある。上記の駆動レバー8は、開き度を小さくした扇形に形成した板体からなり、扇の要に相当する部分がアクチュエータ4の回転軸4dに固着してある。駆動レバー8の先端に形成してある円弧部は、歯車の歯形を刻設してなる歯部8aとなっている。また、中間部材6の下面に突設された支軸部6bには、駆動レバー8に従動可能なセクタ駆動レバー9が揺動自在に支持されている。セクタ駆動レバー9は歯部9aが駆動レバー8の歯部8aと噛合することにより駆動レバーと連動可能となっている。このセクタ駆動レバー9は、回転中心から所定距離の範囲を円弧状に形成し、この円弧状になっている部分の周囲の一部に駆動レバーの歯部8aと噛合可能な歯部9aが刻設してある。セクタ駆動レバーの円弧部の歯部9aが設けられていない部分の一部は、外方へ延伸してアーム部9bが形成してある。上記の円周部とアーム部9bとの境界付近には、図3で上向きに突出する後述の接離突起9cが設けてある。また、アーム部9bの先端部下面には、上述のセクタ12を駆動するための駆動ピン9dが設けてある。
【0013】
こうして駆動力伝達機構7は、駆動レバー8がアクチュエータ4のロータ4cの回転角度に対応する角度だけ揺動し、歯車機構を介して従動するセクタ駆動レバー9は、各揺動中心から歯部のピッチ円までの距離の比に応じた角度だけ揺動可能となっている。セクタ駆動レバー9の揺動角は、セクタアーム13の揺動角と同一であり、結局、セクタ12の往復移動量はセクタ駆動レバー9の揺動角とセクタアーム13の長さにより定まるようになっている。図面では各レバーの揺動中心からピッチ円までの距離が互いに異なるように描かれているため、揺動角も異なるようになっているが、アクチュエータ4のトルクを考慮すると、各揺動角はほぼ同一とすることが望ましい。
【0014】
次に、上述のシンクロスイッチ5について説明する。この遮光装置に用いるシンクロスイッチ5は、セクタ12の開閉状態を検出して露出の際にセクタが全開になっていることを確認するためのセクタ位置の検出センサであり、検出ばね17と検出ピン18とからなる。図1、図2に示すように、検出ばね17は、コイル部の両端を反対方向に延伸してなる直線部を有するねじりコイルばねを採用してあり、このコイル部を支持基板3に突設された軸部3dに嵌合し、一方の直線部をセクタ駆動レバー9の接離突起9cに当接可能としてある。また、一方の直線部(図1下方側)は、中間部材6の上面に突設してある突部6cに当接可能とすることにより揺動範囲を規制してある。この検出ばね17の他方の直線部(図1上方側)は、セクタ駆動レバー9と一体に設けてある接離突起9cによって揺動可能としてある。すなわち、セクタ12が閉鎖しているときには、接離突起9cは、検出ばね17から離れているため、この検出ばねはばね力で検出ピン18に当接している。これに対し、セクタ12が開放になっている時には、接離突起9cは、検出ばね17を反時計方向に押圧して変形させているため、この検出ばねは検出ピン18から離れている。検出ピン18の直線部は、先端部で直角に折り曲げられて上向きに延伸し、その先端部を支持基板3の天板部3aの上面に突設して情報出力部17aとすることにより、カメラ本体のCPUへ検出データを出力可能としてある。
【0015】
検出ピン18は、導電体の丸棒材からなり、その両端はプリント基板Pと中間部材6との間で支持されており、プリント基板Pと導通している。検出ピン18は、上記したように、セクタ12がアパーチャ1aを閉鎖状態にしている時(図1参照)には、検出ばね17の直線部の中間位置がこれに当接(ショート)可能であり、開放状態になっている時(図2参照)には、この直線部が離反(オープン)可能とする位置に設けてある。検出ばね17と検出ピン18との接離状態を示す検出データは、プリント基板Pに設けられた端子部17a,18aから出力可能となっている。
【0016】
図3に示すように、地板1とセクタ駆動ユニット2との結合は、地板1の上面の複数か所に設けてある位置決めピン1b(1個だけ図示)と、中間部材6の取付部6f、6gに設けてある位置決め孔6aとを合わせて、両者を互いに接近する方向へ押し付け、さらに固定手段であるビス10で締め付けてある。図4は、地板1にセクタ駆動ユニット2を装着した状態を示している。この装着により、中間部材6に突設された軸部6bに揺動自在に支持されているセクタ駆動レバー9は、地板1に突設してある突部1gにより安定的に支持されるとともに、駆動ピン9dが地板の円弧溝部1cを貫通して背面側へ突出状態となっている。
【0017】
地板1の他方の面(背面)には、アパーチャ開口1aを開閉するセクタ12及びセクタアーム13,14が取り付けてある。図1,2に示すように、このセクタ12は、複数のセクタ12と、これらのセクタを駆動する第1アーム13と第2セクタアーム14との組み合わせによる平行リンク機構となっている。セクタは図面上1枚だけ示されている。
【0018】
上記の平行リンク機構を構成するセクタアームのうち、下方に位置する第1セクタアーム13は、セクタ駆動レバー9の回転中心と同心の軸部1d(図3参照)に揺動自在に支持されている。第1セクタアーム13の中間位置に設けられた孔部(図示略)には、セクタ駆動レバー9の駆動ピン9dが挿通することによりこのアームをセクタ駆動レバーに連動可能としてある。また、第1セクタアーム13の先端部は、セクタ12と連結ピン(図示略)を介して揺動自在に連結されている。これに対し、第1セクタアーム13の上方に位置する第2セクタアーム14は、第1セクタアームの支持点と少し離れた地板1の上面に揺動自在に支持されている。これとともに、アームの先端部がセクタ12に揺動自在に連結されていることにより、平行リンク機構が働いてセクタ12を平行移動可能としてある。
【0019】
図4に示すように、地板1の背面側には、さらに第1セクタアーム13に対してセクタ12を開く方向へ付勢するように作用する付勢ばね16が設けてある。この付勢ばね16は、ねじりコイルばねを採用してあり、コイル部は第1セクタアーム13を支持している軸部1dに挿通し、コイル部から延びている一方の直線部を地板1の背面に突設してある係止突起1eに当接可能としてある。また、付勢ばね16の他方の直線部は、第1セクタアーム13の側部に当接してこのアームをセクタ12が開く方向へ付勢可能としてある。この付勢ばね16の第1の機能は、セクタ12が初期位置にあるときにはレリーズオンの際に、セクタアーム13を付勢してセクタ12の開放動作を容易にするものである。第2の機能は、アパーチャ1aが開放状態になった時に、駆動力伝達機構7とセクタ11との間に生じる隙間(ガタ)を一方に押し付けるいわゆるガタ寄せの働きをするものである。なお、この付勢ばね16及びセクタ11は、羽根押さえ板15により保護されている。
【0020】
次に、図5に示すシーケンスチャートを参照して、この実施の形態例の動作を説明する。図5における横軸の表示要素のうち、開閉レバー駆動コイルとは、既述の構成におけるアクチュエータ4の駆動コイル4bを指しており、開閉レバーとは駆動力伝達機構7のレバー、特にセクタ駆動レバー9を指している。また、映像素子の露出とは、結像した被写体の画像のデジタル信号化の動作を示している。図5の横軸はもちろん時間を示しているが、時間の長さの比率については実際の比率通りに表示されているものではなく、あくまでも説明上の便宜から表示しているものである。
【0021】
まず、初期状態においては、アクチュエータの駆動コイル4bへの通電がオフとなっているため、セクタ駆動レバー9もセクタ12も初期位置(静的安定位置)に静止している。このときには、シンクロスイッチ5は、検出ばね17と検出ビン18とが当接(ショート)している(図1参照)。次にカメラ本体のレリーズスイッチ(図示略)をオンにすると、CPUからセクタ12がアパーチャを閉じる方向へロータを回転させるプラス電流を短時間だけ流してセクタ12の位置調整(ガタ寄せ)を行う。次に、CPUからアクチュエータの駆動コイル4bへガタ寄せ時とは反対方向へのマイナス電流が出力されると、ロータ4cが逆方向へ回転し、駆動力伝達機構7を介してセクタ12を移動させてアパーチャ1aを開く。セクタ12の重畳動作を終了してアパーチャ1aが全開になると、さらに同方向に少し強い電流を出力していわゆるガタ寄せ及びバウンド防止を行う。このガタ寄せは、上記のセクタ付勢ばね16によりコイル3bへの通電がオフとなっている時間帯にも継続可能となっているため、開閉状態における静的安定が補強される。
【0022】
シンクロスイッチ5は、セクタ12が完全に開いた状態の下では、セクタ駆動レバーの接離突起9cが、検出ばね17の一方の直線部に当接して反時計方向へ押し付けているため、検出ばね17は検出ピン18から離反(オープン)し(図2参照)、この状態変化により生じる信号データが出力される。この信号データ変化の出力を受けたCPUは、アパーチャ1aが開いていることを確認し、アクチュエータの駆動コイル4bへの通電をオフするとともに、撮像素子に信号を出して露出が開始される。露出動作は駆動コイル4bへの通電をオフにして露出中におけるノイズの発生を防止するとともに、電力消費の軽減を図っている。コイル4への通電オフ中もロータ4cは、静的安定位置に無通電保持されているため、セクタ12が勝手に動いてしまうようなことは生じない。
【0023】
こうして既に開始されている露出動作が終了すると、それに合わせてアクチュエータの駆動コイル4bに、再びセクタ12が重畳する方向へ回転させるマイナス電流が流されてガタ寄せが行われる。続いて駆動コイル4bへセクタ12を展開する方向へ回転させる方向のプラス電流を流すことにより、セクタ駆動レバー9を回動させるとともにセクタ12を閉じさせる。この時セクタ駆動レバー9が、図1において、反時計方向へ回動して接離突起9cが検出ばね17から離れると、シンクロスイッチ5の検出ばね17が原位置へ復帰することにより、検出ばねの直線部は、検出ピン18から離反(オープン)する。これによりシンクロスイッチ5からの出力信号の方向を変化させ、この出力を受けたCPUはアパーチャ1aの閉鎖開始を確認する。こうしてセクタ12が展開してアパーチャ1aを閉鎖するが、駆動コイル4bへの通電は、駆動力伝達機構7及びセクタ12の復帰動作が完了した後にも、さらに所定時間だけ駆動コイル4bへ同方向の通電を続けてガタ寄せをした後、通電をオフにしてこれらを初期位置に復帰させる。駆動コイル4bへの通電停止とともに、露出により撮像素子に蓄積された撮像データはCPUへ出力され、これにより撮影の1動作が完了する。読み込まれたデータは、カメラ本体の記憶素子へ出力されることにより保存される。
【0024】
別な実施の形態として、図6,7に示すように、セクタ駆動レバー9の先端部と、地板1との間にセクタ付勢部材21を設けるようにすれば、ガタ寄せ用の電流出力を無くすことができ、無通電保持等の位置保持の役割りをすることができる。セクタ付勢部材21としては、ねじりコイルばねのコイル部の両端部を延伸してなる直線部をハの字状に形成し、各端部に係合部を設けたターンスプリングを採用してある。このセクタ付勢部材21の一方の係合部は地板1の表面に突設された支軸1hに支持されており、他方の係合部はセクタ駆動レバー9の先端部に下向きに突設された上述の駆動ピン9dに連結している。セクタ付勢部材21の直線部は、上記のハの字の角度が広がる方向に付勢された状態に設けてあるため、図6の状態、すなわち、セクタ12がアパーチャ1aを閉鎖状態にしているときには、閉鎖する方向に付勢力を与えるようになっている。
【0025】
また、図7の状態、すなわち、セクタ12がアパーチャ1aの開放位置にあるときには、セクタ付勢部材21はアパーチャを開放する方向に付勢力を与えるようになっている。したがって、セクタ12は常に遮蔽位置か開放位置かのいずれかの位置に付勢された状態に位置しているため、ガタ寄せのための通電を要しない。こうしてセクタ付勢部材21はアクチュエータ4の静的ロック力を補うとともに、カメラに衝撃が加わったような場合にも、この位置が変化することがなくなるので、常にセクタ12の閉鎖又は開放状態を保持可能となる。なお、このセクタ付勢部材21は、ターンスプリング以外にも引っ張りコイルばねによっても同様の機能を果たすことが可能である。
【0026】
以上の説明において、本発明に係る遮光装置は、デジタルカメラに適用するものとしてあるが、本発明はこれに限られるものではなく、絞り式のシャッタやフォーカルプレーンシャッタを備えたデジタルカメラ等デジタルカメラ一般に適用可能である。特にレンズ交換可能な高級機種に適用すれば塵埃等による汚れを防止可能となるので顕著な効果を期待できる。なお、ここでは駆動力伝達機構として歯車機構を採用してあるが、本発明はこれに限定する趣旨ではなく、リンク機構やスライダ−クランク機構等を採用することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係るデジタルカメラの遮光装置は、セクタ駆動用の電磁アクチュエータの静的安定位置と、セクタのアパーチャの開閉位置とを対応させてあるので、アパーチャの開放又は閉鎖時における無通電保持が可能となるため、電力の消費を抑え、かつ全開時における撮像素子の画像読み込み中におけるノイズの発生を抑えることが可能となる。また、電磁アクチュエータの静的安定位置が3箇所以上ある場合に、隣り合う2位置を上記のセクタの開放位置又は閉鎖位置に対応させるようにすれば、1パルスの通電によって開放又は閉鎖の動作を行うことができるので、動作時間が短縮される。これとともに、複雑なパルス駆動回路を要しないので、製造コストの低減が可能となる。次に、駆動力伝達機構に、アパーチャの開放時には、セクタにアパーチャを開放する方向の付勢力を与え、アパーチャの閉鎖時には、セクタに閉鎖する方向の付勢力を与えるセクタ付勢部材を備えたものとすれば、アクチュエータの静的ロック力を補うことができるとともに、ガタ寄せができるので駆動力伝達機構やセクタ間のバラツキを減らすことができるため、不良率の低減や品質の安定化が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アパーチャ開口が全閉となっている状態を示す平面図である。
【図2】アパーチャ開口が全開となっている状態を示す平面図である。
【図3】駆動部の拡大分解断面図である。
【図4】駆動部の拡大断面図である。
【図5】一形態例の動作を示すシーケンスチャートである。
【図6】他の形態例におけるアパーチャ開口が全閉となっている状態を示す拡大平面図である。
【図7】他の形態例におけるアパーチャ開口が全開となっている状態を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
1 地板
1a アパーチャ
2 セクタ駆動ユニット
3 支持基板
4 電磁アクチュエータ
4b 駆動コイル
4c ロータ
5 シンクロスイッチ
6 固定部材
7 駆動力伝達手段
8 駆動レバー
9 セクタ駆動レバー
12 セクタ
13,14 セクタアーム
16 セクタ付勢ばね
21 セクタ付勢手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCDやC−MOS等の電子撮像素子(以下「撮像素子」という。)を保護するために撮像素子の前方に設けるデジタルカメラの遮光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラは、撮像素子上に結像した被写体の画像をデジタル信号化してCPUに出力して撮像化するものであるので、基本的に銀塩フィルム式カメラ(以下「フィルム式カメラ」という。)のようなセクタを使用したシャッタ機構を必要としないものである。ただ、デジタルカメラは、フィルム式カメラの技術の転用及び撮像素子に対する画質向上のためにセクタを使用したシャッタ機構が採用されているものが多い。セクタを使用したシャッタ機構を備えず、撮像のON,OFFにより画像を取り込んでCPUに出力するようにしたいわゆる電子シャッタ式のデジタルカメラもある。また、最近のデジタルカメラの普及は、レンズ交換可能な高級品から確認用液晶パネルを備えていない普及品まで多岐にわたっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち、セクタを使用したシャッタや電子シャッタ機構を備えたデジタルカメラでは、被写体を液晶パネルに映し出すために常時、アパーチャ(画枠)を開放状態に保持しておくものが多いが、これにより常時、光が撮像素子にレンズを通して当っていることになる。このため、撮像素子が汚れやいわゆる光焼けを起こして劣化する原因となっている。また、レンズ交換可能な高級機種では、仮に通常はアパーチャが閉鎖されているとしても、レンズ交換のためにレンズを取り外した時に外気にさらされて撮像素子に直接光が当たるほか、塵埃も付着するおそれがある。そこで本発明の目的は、撮像素子の保護を確実に行うための遮光装置を提供するとともに、この遮光装置によるアパーチャの開閉を行う際の電力の消費を抑え、かつ構成部材間のバラツキや製作誤差による隙間を一方に寄せるいわゆるガタ寄せ機能を備えることにより高質な撮像を取得可能とすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るデジタルカメラの遮光装置は、以下の手段を採用することにより以下の作用効果を生じるようにしたところに特徴がある。この遮光装置の主たる構成は、アパーチャを有する地板に、このアパーチャを平行リンク機構により開閉可能に設けてあるセクタと、地板の他方の面に設けてある電磁アクチュエータと、この電磁アクチュエータの駆動力を上記セクタに伝達する駆動力伝達機構とを備えている。上記の電磁アクチュエータは永久磁石のロータを有し、このロータの1回転範囲にロータを無通電保持可能な複数の静的安定位置を有しているとともに、それらの静的安定位置のうち、ある特定の位置(第1の位置)がセクタのアパーチャ開放状態に対応し、この第1の位置と異なる第2の位置がセクタのアパーチャ閉鎖状態に対応するように構成してある。
【0005】
上記の構成を採用することにより、セクタが開放又は閉鎖状態になっているときに、電磁アクチュエータのロータの磁極が静的安定位置に位置するように対応するため、これらの位置に保持状態となっているときにはアクチュエータへの通電が不要となる。また、アパーチャが全開になっているときに撮像素子による露出が行われるが、この時間帯にはパルス通電が行われないため、画像読み込み中におけるノイズの発生を防止可能となるので、電磁シールドを簡素化することができる。さらに上記の第1の位置と第2の位置とを静的安定位置の隣り合う2位置とするように設定すれば、1パルスの通電によりセクタの開閉動作が終了するため、セクタの動作が速くなる上に、アクチュエータへの連続パルスを供給する必要がなくなるため、複雑で高価なパルス駆動回路が不要となる。
【0006】
また、他の手段として、上記の駆動力伝達機構に、アパーチャの開放時にはアパーチャを開放する方向の付勢力をセクタに与え、アパーチャの閉鎖時にはセクタに遮蔽する方向の付勢力を与えるセクタ付勢部材を備えたものとするとよい。このセクタ付勢部材を備えることにより、アクチュエータの静的ロック力を補うことができるとともに、ガタ寄せができるので駆動力伝達機構やセクタ間のバラツキを減らすことができるため、不良率の低減や品質の安定化が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。図1,2は一形態例に係るデジタルカメラの遮光装置を拡大して示したものである。なお、プリント基板Pと後述の支持基板3の天板部とを透過して輪郭だけを示してある。図示してあるように、この遮光装置は、構造上、アパーチャを重畳及び展開する羽根群によって開閉可能としてある点において、フォーカルプレーンシャッタに似たものとなっている。しかし、フォーカルプレーンシャッタのように先幕と後幕とを備えたものではなく、先後いずれかの幕に相当する1つのセクタ12を備えただけのシンプルなものとなっている。
【0008】
図1,2において、地板1は、実質的に長方形に形成された板状体からなり、その内側の右寄りの位置にアパーチャ1aが設けてある。このアパーチャ1aの左方の基板上面(図面表面)に遮光幕であるセクタ12を駆動するセクタ駆動ユニット2が装着してある。セクタ駆動ユニット2は、地板1の上面(図面表側)に突設された位置決めピン1b,…により位置決めされ、固定手段としてのビス10,10によって固定されている(図3参照)。また、地板1のセクタ駆動ユニット2が設けてある部分の背面側には、後述のセクタ12が設けてあり、セクタ駆動ユニット2によりセクタ12を駆動し、アパーチャ1aの開閉動作が可能となっている。
【0009】
セクタ駆動ユニット2は、予め支持基板3に装着してある電磁アクチュエータ(以下「アクチュエータ」という。)4及び後述のセクタ位置検出手段であるシンクロスイッチ5と、後述の中間部材6の下面側にセクタ駆動ユニット2の構成要素として後に装着される駆動力伝達機構7とからなる。セクタ駆動ユニット2の図面上部には、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5に電力を供給するためのプリント基板Pが設けられている(図3,4参照)。このセクタ駆動ユニット2は、地板1の一方の面(表面)に位置決めされ、固定手段であるビス10,10により固定してある。また、地板1の他方の面(背面)には、上記の駆動力伝達機構7によりアパーチャ1aを開閉可能とするようにセクタ12が設けてある。
【0010】
図3は、セクタ駆動ユニット2及びセクタ12、セクタアーム13,14等の各機構を分割して拡大断面図として示したものである。セクタ駆動ユニット2の駆動機構のうち、後述のアクチュエータ4及びシンクロスイッチ5を含む駆動部は、支持基板3の一方の面(図3下面)に脱落不能に装着してある中間部材6を介して固定されている。支持基板3は天板部3aが、長方形の板状体からなり(図1参照)、その周囲部には、上記の中間部材6を保持するための掛止部3b,3bが設けてある。中間部材6は、アクチュエータ4やシンクロスイッチ5を保持可能であるとともに、地板1への取付部6f、6gを備えている。セクタ駆動ユニット2は、上記の駆動部と中間部材6の外面(図3下面)に取り付けられた上述の駆動力伝達機構7とにより構成されている。地板1の他方の面(図3下面)には、セクタ12がアパーチャ1a(図1参照)を開閉可能に設けてある。こうしてユニット化されたセクタ駆動ユニット2は、地板1に対して着脱容易であるため、各種のセクタに取付可能となっている。
【0011】
上述のアクチュエータ4は、公知のパルスモータの一種であり、ステータ4a、駆動コイル4b及び永久磁石製のロータ4cからなる。このアクチュエータ4は、ロータ4cの磁極とステータ4aに設けられた磁極の位置とにより、ロータ4が無通電保持される静的安定位置を有している。電流の通電によりロータ4cの磁極がステータの磁極間を移動して静的安定位置に静止してロータ4cを保持可能となっている。静的安定位置はロータ4cの磁極数と、このロータを取り囲むステータ4aの凹部の内周部に設けてある磁極の数とにより定まるが、ここではロータの磁極が2極でステータの磁極数が4極の組み合わせにより、2か所に静的安定位置を設けてある。なお、静的安定位置を3箇所以上とし、隣り合う2箇所の静的安定位置をセクタ12が重畳する位置(アパーチャ開放)及びセクタ12が展開する位置(アパーチャ遮蔽)に対応させるようにすると、1パルス入力によりセクタ12の開閉動作が可能となる。アクチュエータ4は、中間部材6によって支持基板3の天板部3aに押さえ付けられた状態に固定されており、ロータ4cと一体の駆動軸4dがこの中間部材6を貫通して下面側に突出するように設けてある。
【0012】
アクチュエータ4の駆動軸4dの先端部(図3下端部)には、上述の駆動力伝達機構7を構成する駆動レバー8が固着してある。上記の駆動レバー8は、開き度を小さくした扇形に形成した板体からなり、扇の要に相当する部分がアクチュエータ4の回転軸4dに固着してある。駆動レバー8の先端に形成してある円弧部は、歯車の歯形を刻設してなる歯部8aとなっている。また、中間部材6の下面に突設された支軸部6bには、駆動レバー8に従動可能なセクタ駆動レバー9が揺動自在に支持されている。セクタ駆動レバー9は歯部9aが駆動レバー8の歯部8aと噛合することにより駆動レバーと連動可能となっている。このセクタ駆動レバー9は、回転中心から所定距離の範囲を円弧状に形成し、この円弧状になっている部分の周囲の一部に駆動レバーの歯部8aと噛合可能な歯部9aが刻設してある。セクタ駆動レバーの円弧部の歯部9aが設けられていない部分の一部は、外方へ延伸してアーム部9bが形成してある。上記の円周部とアーム部9bとの境界付近には、図3で上向きに突出する後述の接離突起9cが設けてある。また、アーム部9bの先端部下面には、上述のセクタ12を駆動するための駆動ピン9dが設けてある。
【0013】
こうして駆動力伝達機構7は、駆動レバー8がアクチュエータ4のロータ4cの回転角度に対応する角度だけ揺動し、歯車機構を介して従動するセクタ駆動レバー9は、各揺動中心から歯部のピッチ円までの距離の比に応じた角度だけ揺動可能となっている。セクタ駆動レバー9の揺動角は、セクタアーム13の揺動角と同一であり、結局、セクタ12の往復移動量はセクタ駆動レバー9の揺動角とセクタアーム13の長さにより定まるようになっている。図面では各レバーの揺動中心からピッチ円までの距離が互いに異なるように描かれているため、揺動角も異なるようになっているが、アクチュエータ4のトルクを考慮すると、各揺動角はほぼ同一とすることが望ましい。
【0014】
次に、上述のシンクロスイッチ5について説明する。この遮光装置に用いるシンクロスイッチ5は、セクタ12の開閉状態を検出して露出の際にセクタが全開になっていることを確認するためのセクタ位置の検出センサであり、検出ばね17と検出ピン18とからなる。図1、図2に示すように、検出ばね17は、コイル部の両端を反対方向に延伸してなる直線部を有するねじりコイルばねを採用してあり、このコイル部を支持基板3に突設された軸部3dに嵌合し、一方の直線部をセクタ駆動レバー9の接離突起9cに当接可能としてある。また、一方の直線部(図1下方側)は、中間部材6の上面に突設してある突部6cに当接可能とすることにより揺動範囲を規制してある。この検出ばね17の他方の直線部(図1上方側)は、セクタ駆動レバー9と一体に設けてある接離突起9cによって揺動可能としてある。すなわち、セクタ12が閉鎖しているときには、接離突起9cは、検出ばね17から離れているため、この検出ばねはばね力で検出ピン18に当接している。これに対し、セクタ12が開放になっている時には、接離突起9cは、検出ばね17を反時計方向に押圧して変形させているため、この検出ばねは検出ピン18から離れている。検出ピン18の直線部は、先端部で直角に折り曲げられて上向きに延伸し、その先端部を支持基板3の天板部3aの上面に突設して情報出力部17aとすることにより、カメラ本体のCPUへ検出データを出力可能としてある。
【0015】
検出ピン18は、導電体の丸棒材からなり、その両端はプリント基板Pと中間部材6との間で支持されており、プリント基板Pと導通している。検出ピン18は、上記したように、セクタ12がアパーチャ1aを閉鎖状態にしている時(図1参照)には、検出ばね17の直線部の中間位置がこれに当接(ショート)可能であり、開放状態になっている時(図2参照)には、この直線部が離反(オープン)可能とする位置に設けてある。検出ばね17と検出ピン18との接離状態を示す検出データは、プリント基板Pに設けられた端子部17a,18aから出力可能となっている。
【0016】
図3に示すように、地板1とセクタ駆動ユニット2との結合は、地板1の上面の複数か所に設けてある位置決めピン1b(1個だけ図示)と、中間部材6の取付部6f、6gに設けてある位置決め孔6aとを合わせて、両者を互いに接近する方向へ押し付け、さらに固定手段であるビス10で締め付けてある。図4は、地板1にセクタ駆動ユニット2を装着した状態を示している。この装着により、中間部材6に突設された軸部6bに揺動自在に支持されているセクタ駆動レバー9は、地板1に突設してある突部1gにより安定的に支持されるとともに、駆動ピン9dが地板の円弧溝部1cを貫通して背面側へ突出状態となっている。
【0017】
地板1の他方の面(背面)には、アパーチャ開口1aを開閉するセクタ12及びセクタアーム13,14が取り付けてある。図1,2に示すように、このセクタ12は、複数のセクタ12と、これらのセクタを駆動する第1アーム13と第2セクタアーム14との組み合わせによる平行リンク機構となっている。セクタは図面上1枚だけ示されている。
【0018】
上記の平行リンク機構を構成するセクタアームのうち、下方に位置する第1セクタアーム13は、セクタ駆動レバー9の回転中心と同心の軸部1d(図3参照)に揺動自在に支持されている。第1セクタアーム13の中間位置に設けられた孔部(図示略)には、セクタ駆動レバー9の駆動ピン9dが挿通することによりこのアームをセクタ駆動レバーに連動可能としてある。また、第1セクタアーム13の先端部は、セクタ12と連結ピン(図示略)を介して揺動自在に連結されている。これに対し、第1セクタアーム13の上方に位置する第2セクタアーム14は、第1セクタアームの支持点と少し離れた地板1の上面に揺動自在に支持されている。これとともに、アームの先端部がセクタ12に揺動自在に連結されていることにより、平行リンク機構が働いてセクタ12を平行移動可能としてある。
【0019】
図4に示すように、地板1の背面側には、さらに第1セクタアーム13に対してセクタ12を開く方向へ付勢するように作用する付勢ばね16が設けてある。この付勢ばね16は、ねじりコイルばねを採用してあり、コイル部は第1セクタアーム13を支持している軸部1dに挿通し、コイル部から延びている一方の直線部を地板1の背面に突設してある係止突起1eに当接可能としてある。また、付勢ばね16の他方の直線部は、第1セクタアーム13の側部に当接してこのアームをセクタ12が開く方向へ付勢可能としてある。この付勢ばね16の第1の機能は、セクタ12が初期位置にあるときにはレリーズオンの際に、セクタアーム13を付勢してセクタ12の開放動作を容易にするものである。第2の機能は、アパーチャ1aが開放状態になった時に、駆動力伝達機構7とセクタ11との間に生じる隙間(ガタ)を一方に押し付けるいわゆるガタ寄せの働きをするものである。なお、この付勢ばね16及びセクタ11は、羽根押さえ板15により保護されている。
【0020】
次に、図5に示すシーケンスチャートを参照して、この実施の形態例の動作を説明する。図5における横軸の表示要素のうち、開閉レバー駆動コイルとは、既述の構成におけるアクチュエータ4の駆動コイル4bを指しており、開閉レバーとは駆動力伝達機構7のレバー、特にセクタ駆動レバー9を指している。また、映像素子の露出とは、結像した被写体の画像のデジタル信号化の動作を示している。図5の横軸はもちろん時間を示しているが、時間の長さの比率については実際の比率通りに表示されているものではなく、あくまでも説明上の便宜から表示しているものである。
【0021】
まず、初期状態においては、アクチュエータの駆動コイル4bへの通電がオフとなっているため、セクタ駆動レバー9もセクタ12も初期位置(静的安定位置)に静止している。このときには、シンクロスイッチ5は、検出ばね17と検出ビン18とが当接(ショート)している(図1参照)。次にカメラ本体のレリーズスイッチ(図示略)をオンにすると、CPUからセクタ12がアパーチャを閉じる方向へロータを回転させるプラス電流を短時間だけ流してセクタ12の位置調整(ガタ寄せ)を行う。次に、CPUからアクチュエータの駆動コイル4bへガタ寄せ時とは反対方向へのマイナス電流が出力されると、ロータ4cが逆方向へ回転し、駆動力伝達機構7を介してセクタ12を移動させてアパーチャ1aを開く。セクタ12の重畳動作を終了してアパーチャ1aが全開になると、さらに同方向に少し強い電流を出力していわゆるガタ寄せ及びバウンド防止を行う。このガタ寄せは、上記のセクタ付勢ばね16によりコイル3bへの通電がオフとなっている時間帯にも継続可能となっているため、開閉状態における静的安定が補強される。
【0022】
シンクロスイッチ5は、セクタ12が完全に開いた状態の下では、セクタ駆動レバーの接離突起9cが、検出ばね17の一方の直線部に当接して反時計方向へ押し付けているため、検出ばね17は検出ピン18から離反(オープン)し(図2参照)、この状態変化により生じる信号データが出力される。この信号データ変化の出力を受けたCPUは、アパーチャ1aが開いていることを確認し、アクチュエータの駆動コイル4bへの通電をオフするとともに、撮像素子に信号を出して露出が開始される。露出動作は駆動コイル4bへの通電をオフにして露出中におけるノイズの発生を防止するとともに、電力消費の軽減を図っている。コイル4への通電オフ中もロータ4cは、静的安定位置に無通電保持されているため、セクタ12が勝手に動いてしまうようなことは生じない。
【0023】
こうして既に開始されている露出動作が終了すると、それに合わせてアクチュエータの駆動コイル4bに、再びセクタ12が重畳する方向へ回転させるマイナス電流が流されてガタ寄せが行われる。続いて駆動コイル4bへセクタ12を展開する方向へ回転させる方向のプラス電流を流すことにより、セクタ駆動レバー9を回動させるとともにセクタ12を閉じさせる。この時セクタ駆動レバー9が、図1において、反時計方向へ回動して接離突起9cが検出ばね17から離れると、シンクロスイッチ5の検出ばね17が原位置へ復帰することにより、検出ばねの直線部は、検出ピン18から離反(オープン)する。これによりシンクロスイッチ5からの出力信号の方向を変化させ、この出力を受けたCPUはアパーチャ1aの閉鎖開始を確認する。こうしてセクタ12が展開してアパーチャ1aを閉鎖するが、駆動コイル4bへの通電は、駆動力伝達機構7及びセクタ12の復帰動作が完了した後にも、さらに所定時間だけ駆動コイル4bへ同方向の通電を続けてガタ寄せをした後、通電をオフにしてこれらを初期位置に復帰させる。駆動コイル4bへの通電停止とともに、露出により撮像素子に蓄積された撮像データはCPUへ出力され、これにより撮影の1動作が完了する。読み込まれたデータは、カメラ本体の記憶素子へ出力されることにより保存される。
【0024】
別な実施の形態として、図6,7に示すように、セクタ駆動レバー9の先端部と、地板1との間にセクタ付勢部材21を設けるようにすれば、ガタ寄せ用の電流出力を無くすことができ、無通電保持等の位置保持の役割りをすることができる。セクタ付勢部材21としては、ねじりコイルばねのコイル部の両端部を延伸してなる直線部をハの字状に形成し、各端部に係合部を設けたターンスプリングを採用してある。このセクタ付勢部材21の一方の係合部は地板1の表面に突設された支軸1hに支持されており、他方の係合部はセクタ駆動レバー9の先端部に下向きに突設された上述の駆動ピン9dに連結している。セクタ付勢部材21の直線部は、上記のハの字の角度が広がる方向に付勢された状態に設けてあるため、図6の状態、すなわち、セクタ12がアパーチャ1aを閉鎖状態にしているときには、閉鎖する方向に付勢力を与えるようになっている。
【0025】
また、図7の状態、すなわち、セクタ12がアパーチャ1aの開放位置にあるときには、セクタ付勢部材21はアパーチャを開放する方向に付勢力を与えるようになっている。したがって、セクタ12は常に遮蔽位置か開放位置かのいずれかの位置に付勢された状態に位置しているため、ガタ寄せのための通電を要しない。こうしてセクタ付勢部材21はアクチュエータ4の静的ロック力を補うとともに、カメラに衝撃が加わったような場合にも、この位置が変化することがなくなるので、常にセクタ12の閉鎖又は開放状態を保持可能となる。なお、このセクタ付勢部材21は、ターンスプリング以外にも引っ張りコイルばねによっても同様の機能を果たすことが可能である。
【0026】
以上の説明において、本発明に係る遮光装置は、デジタルカメラに適用するものとしてあるが、本発明はこれに限られるものではなく、絞り式のシャッタやフォーカルプレーンシャッタを備えたデジタルカメラ等デジタルカメラ一般に適用可能である。特にレンズ交換可能な高級機種に適用すれば塵埃等による汚れを防止可能となるので顕著な効果を期待できる。なお、ここでは駆動力伝達機構として歯車機構を採用してあるが、本発明はこれに限定する趣旨ではなく、リンク機構やスライダ−クランク機構等を採用することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係るデジタルカメラの遮光装置は、セクタ駆動用の電磁アクチュエータの静的安定位置と、セクタのアパーチャの開閉位置とを対応させてあるので、アパーチャの開放又は閉鎖時における無通電保持が可能となるため、電力の消費を抑え、かつ全開時における撮像素子の画像読み込み中におけるノイズの発生を抑えることが可能となる。また、電磁アクチュエータの静的安定位置が3箇所以上ある場合に、隣り合う2位置を上記のセクタの開放位置又は閉鎖位置に対応させるようにすれば、1パルスの通電によって開放又は閉鎖の動作を行うことができるので、動作時間が短縮される。これとともに、複雑なパルス駆動回路を要しないので、製造コストの低減が可能となる。次に、駆動力伝達機構に、アパーチャの開放時には、セクタにアパーチャを開放する方向の付勢力を与え、アパーチャの閉鎖時には、セクタに閉鎖する方向の付勢力を与えるセクタ付勢部材を備えたものとすれば、アクチュエータの静的ロック力を補うことができるとともに、ガタ寄せができるので駆動力伝達機構やセクタ間のバラツキを減らすことができるため、不良率の低減や品質の安定化が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アパーチャ開口が全閉となっている状態を示す平面図である。
【図2】アパーチャ開口が全開となっている状態を示す平面図である。
【図3】駆動部の拡大分解断面図である。
【図4】駆動部の拡大断面図である。
【図5】一形態例の動作を示すシーケンスチャートである。
【図6】他の形態例におけるアパーチャ開口が全閉となっている状態を示す拡大平面図である。
【図7】他の形態例におけるアパーチャ開口が全開となっている状態を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
1 地板
1a アパーチャ
2 セクタ駆動ユニット
3 支持基板
4 電磁アクチュエータ
4b 駆動コイル
4c ロータ
5 シンクロスイッチ
6 固定部材
7 駆動力伝達手段
8 駆動レバー
9 セクタ駆動レバー
12 セクタ
13,14 セクタアーム
16 セクタ付勢ばね
21 セクタ付勢手段
Claims (3)
- アパーチャを有する地板に当該アパーチャを平行リンク機構により開閉可能に設けてあるセクタと、上記地板の他方の面に設けてある電磁アクチュエータと、この電磁アクチュエータの駆動力を上記セクタに伝達する駆動力伝達機構とを備え、
上記電磁アクチュエータは永久磁石のロータを有し、上記ロータの1回転範囲に当該ロータを無通電保持可能な複数の静的安定位置を有しており、
上記駆動力伝達機構は、上記静的安定位置のうちの第1の位置が上記セクタのアパーチャ開放状態に対応し、上記第1の位置と異なる第2の位置が上記セクタのアパーチャ閉鎖状態に対応するように構成してある
ことを特徴とするデジタルカメラの遮光装置。 - 請求項1において、上記第1の位置と上記第2の位置とは、上記静的安定位置の隣り合う2位置であることを特徴とするデジタルカメラの遮光装置。
- 請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、上記駆動力伝達機構は、上記アパーチャの開放時には上記セクタに上記アパーチャを開放する方向の付勢力を与え、上記アパーチャの閉鎖時には上記セクタに遮蔽する方向の付勢力を与えるセクタ付勢部材を備えていることを特徴とするデジタルカメラの遮光装置。
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-
2003
- 2003-04-14 JP JP2003109417A patent/JP2004317665A/ja not_active Abandoned
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