以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラを側面から見た図である。図1において、電子カメラ51には撮影レンズLが取り付けられている。被写体からの光は撮影レンズLを通過した後、周知のごとくミラー61で反射されてファインダースクリーン83上に結像され、ペンタプリズム85および接眼レンズ87を通して撮影者によって観察される。撮影時には、ミラー61が上方に跳ね上げられ、被写体光は撮像素子121の撮像面に結像する。撮像素子121は、たとえば、CCDイメージセンサによって構成される。
撮像素子121はホルダー81に固定され、その光電変換出力がフレキシブルプリント基板79を介して後述するA/D変換回路へ出力される。ホルダー81はビス82により電子カメラ51に取り付けられる。撮像素子121の前方(撮影レンズL側)にはフォーカルプレーンシャッタ1が配設されている。
ここで、本実施形態の電子カメラ51のシャッタはいわゆる電子シャッタと呼ばれるもので、被写体光が撮像素子121の撮像面に入射されている状態における撮像素子121の電荷蓄積時間がシャッタ秒時に相当する。そして、フォーカルプレーンシャッタ1は、この電荷蓄積時間を規定するためではなく、電荷蓄積後に撮像素子121へ入射される被写体光を遮光するために設けられる。
したがって、遮光のためにシャッタ羽根群が1組あれば十分であり、いわゆる先幕群、後幕群という2組のシャッタ羽根群を設けてこれらを精度よく動作制御する必要はない。羽根群を1組だけにすることで、2組の羽根群を有するフォーカルプレーンシャッタと比べてシャッタユニットの厚さを薄くし、省スペース化に役立つ。
図2および図3は、フォーカルプレーンシャッタ1の構成と作動状態を説明する図である。図2は、1組の羽根群3が撮影用開口であるアパーチャ2aを閉鎖した状態を示すフォーカルプレーンシャッタ1の正面図である。図3は、図2における羽根群3がアパーチャ2aを開放した状態を示す図である。図2、図3において、フォーカルプレーンシャッタ1は電子カメラ51に組み込まれるシャッタ地板2を有する。シャッタ地板2には矩形のアパーチャ2aが設けられるとともに、アパーチャ2aを開閉する羽根群3が羽根アーム5を介して取り付けられている。羽根アーム5は、支軸6を中心に回動するように構成されている。
シャッタ地板2にはさらに、支持軸7を中心に回動する羽根用駆動レバー(駆動部材)8が設けられている。駆動レバー8の先端側は、作動ピン9を介して羽根アーム5に連結されている。また、駆動レバー8には支軸7と回動中心を同じにするギヤ10が一体に固着される。このギヤ10には、電磁アクチュエータとしてのモータ12のピニオン軸11に結合されたピニオンギヤ(不図示)が噛み合い、モータ12の回転駆動力を伝達するように構成されている。
モータ12が羽根群3を閉鎖する方向に回転すると、駆動レバー8が図2(図3)における反時計回りに回動してシャッタ地板2の閉鎖位置規制突起2bに当接し、その回動が規制される。一方、モータ12が羽根群3を開放する方向に回転すると、駆動レバー8が図3(図2)における時計回りに回動してシャッタ地板2の開放位置規制突起2cに当接し、その回動が規制される。
ここで、モータ12は、駆動レバー8を図2および図3示すそれぞれの位置で静的に安定して保持するように構成されている。つまり、駆動レバー8を図2で示す閉鎖位置にするようにモータ12を停止することで、羽根群3は、閉鎖状態でその位置を安定的に保持することができる。また、駆動レバー8を図3で示す開放位置にするようにモータ12を停止することで、羽根群3は、開放状態でその位置を安定的に保持することができる。
駆動レバー8を反時計回りに回動させるためのモータ12に対する通電を逆通電と呼び、駆動レバー8を時計回りに回動させるためのモータ12に対する通電を正通電と呼ぶことにする。モータ12に逆通電を行うと、駆動レバー8の回動に伴って羽根アーム5が支軸6を中心に反時計回りに回動するので、羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖する。
モータ12に正通電を行うと、駆動レバー8の回動に伴って支軸6を中心に羽根アーム5が時計回りに回動するので、羽根群3がアパーチャ2aを開放する。このように、フォーカルプレーンシャッタ1はモータ12によって羽根群3を開閉駆動するので、シャッタ1に対する機械的なチャージ機構が不要である。
図4は、電子カメラ51の構成を説明するブロック図である。図4において、演算回路(制御回路)101は、マイクロコンピュータなどによって構成される。演算回路101は、メモリ101m、およびタイマ回路101tなどのCPU周辺回路を含む。演算回路101は、後述する各ブロックから出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づいて制御信号を各ブロックへ出力する。メモリ101mは、不揮発性メモリによって構成され、後述する各種フラグを記憶する。
表示装置103は、演算回路101の指示によりシャッタ速度(シャッタ秒時)、絞り値を示す表示を行う。測光装置104は、撮影レンズLを通過した光量を検出する。なお、撮影レンズLは開放絞り値がF2.8であり、F2.8〜F22の範囲で制御可能とする。
レリーズスイッチSW1は、不図示のレリーズボタンの押し下げに連動してオンし、押し下げの解除によりオフするスイッチである。レリーズスイッチSW1から発生される操作信号は、撮影開始の指示のトリガとなる。
シャッタ駆動回路108は、フォーカルプレーンシャッタ1を駆動するモータ12に対する正通電または逆通電を行い、羽根群3を開閉させる。シャッタスイッチSW2、SW3は、それぞれ羽根群3の閉鎖、開放を検知するためのスイッチである。シャッタスイッチSW2は、羽根群3がアパーチャ2aを完全に閉鎖(正確には完全に閉鎖した後でさらに羽根群3が閉鎖方向に若干移動)したとき、オンからオフに変化するスイッチである。一方、シャッタスイッチSW3は、羽根群3がアパーチャ2aを完全に開放(正確には完全に開放した後でさらに羽根群3が開放方向に若干移動)したとき、オンからオフに変化するスイッチである。シャッタスイッチSW2、SW3は、それぞれ駆動レバー8(図2、図3)の回動位置に応じてオンまたはオフする。なお、フォーカルプレーンシャッタ1の開放および閉鎖に要する時間(すなわち、羽根群3の走行時間)は、それぞれ約11msec程度である。
シャッタスイッチSW2、SW3は直列に接続され、シャッタスイッチSW2、SW3のそれぞれで発生した信号が合成して演算回路101の1つの入力ポートに入力される。これにより、シャッタスイッチSW2、SW3の双方がオン(直列接続出力オン)されるとき、Lレベルの入力信号が演算回路101に入力され、シャッタスイッチSW2、SW3少なくとも一方がオフ(直列接続出力オフ)されるとき、Hレベルの入力信号が演算回路101に入力される。なお、演算回路101の入力ポートは、無入力時(直列接続出力オフ時)にHレベルとみなすように内部でプルアップされている。
モータ駆動回路110は、演算回路101の指令によってシーケンスモータ111の回転を制御する。シーケンスモータ111は撮像シーケンス駆動機構を構成する。撮像シーケンス駆動機構は、シーケンスモータ111を駆動制御することにより、ミラー61のアップ/ダウン、不図示の絞りの駆動、およびフォーカルプレーンシャッタ1の駆動など、撮影時のシーケンス制御を行うものである。
シーケンススイッチSW4、SW5は、撮像シーケンス駆動機構に含まれ、シーケンス制御タイミングを発生するスイッチである。シーケンススイッチSW4は、ミラーダウン中にオンし、ミラーアップ動作開始直後にオフし、ミラーアップ終了時点から再びオンするように構成されている。シーケンススイッチSW5は、ミラーダウンの途中でオフからオンに変化し、ミラーアップ終了時点から約11msec前にオンからオフに変化するように構成され、モータ12の作動開始タイミングを生成する。時間11msecは、上述したフォーカルプレーンシャッタ1の開放および閉鎖のそれぞれに要する時間に対応する。
絞り位置検出装置112は、前述のシーケンス駆動機構により絞りが絞り込まれるときの絞り位置を検出し、検出信号を演算回路101に出力する。絞り係止装置113は、駆動中の絞りを係止し、所定の絞り値で絞りを停止させる。絞り係止装置113による絞りの係止は、ミラーダウン途中に解除するようにシーケンス駆動機構が構成されている。
撮像素子121は、撮影レンズLを通過した被写体像を撮像し、蓄積電荷による画像信号を出力する。ここで、撮像素子121は撮像感度(露光感度)がISO100相当に設定されている。また、撮像素子121は前述のように電子シャッタ機能を有し、1秒〜1/16000秒の範囲において所定ステップで設定可能に構成されている。A/D変換回路122は、撮像素子121から出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換する。ASICなどで構成される画像処理回路123は、デジタル信号に対してホワイトバランス(WB)調整などの画像処理、画像処理後の画像データを所定の形式で圧縮する圧縮処理、圧縮されたデータを伸長する伸長処理などを行う。
タイミング回路124は、撮像素子121およびA/D変換回路122の動作に必要なタイミング信号を発生し、撮像素子121およびA/D変換回路122へそれぞれ出力する。バッファメモリ125は、画像処理、圧縮処理および伸長処理など各種の処理を施す画像データを一時的に格納するメモリである。記録媒体126はメモリカードなどの記録媒体であり、電子カメラ51に対して着脱可能に構成されている。記録媒体126には、圧縮処理後の画像データが記録される。
本発明は、撮像シーケンス駆動機構で行われるシーケンス制御に特徴を有する。図5〜図7は、撮像シーケンス駆動機構および撮像素子121の動作タイミングを説明する図(タイミングチャート)である。図5において、信号「SW1」は、レリーズスイッチから発生される操作信号波形を示す。信号「モータ」は、シーケンスモータに対する通電波形を示す。信号「ミラー」は、ミラー61の駆動機構(不図示)のアップ/ダウン状態を示す。信号「SW4」および「SW5」は、それぞれシーケンススイッチから発生される信号波形を示す。信号「電磁アクチュエータ」は、モータ12に対する通電波形を示す。信号「SW2」および「SW3」は、それぞれシャッタスイッチから発生される信号波形を示す。信号「SW2とSW3の直列接続状態」は、信号「SW2」および「SW3」の直列合成信号波形を示す。波形「シャッタ開口」は、フォーカルプレーンシャッタ1の開閉状態を示す。信号「露光」は、撮像素子121に対する電荷蓄積指示波形を示す。信号「データ読出」は、撮像素子121に対するデータ(蓄積電荷)読出指示波形を示す。信号「不要電荷排出」は、撮像素子121に対する露光前の電荷排出指示波形を示す。
タイミングt0において、レリーズスイッチで操作信号が発生されると、ミラー61および絞り(不図示)を駆動するシーケンスモータ111に正通電が開始される。正通電は、ミラーアップおよび絞り込みを行う向きにシーケンスモータ111を駆動する。タイミングt1において、ミラーアップが開始するとシーケンススイッチSW4がオフになる。ミラーアップおよび絞り込み途中のタイミングt2において、シーケンススイッチSW5がオフすると、モータ(アクチュエータ)12に正通電が開始され、モータ12が正回転する。モータ12の正回転は、羽根群3を開放駆動する向きである。
ここで、モータ12の正回転開始から羽根群3がアパーチャ2aの開放を開始する(タイミングt4)までの遅延時間Td1は、たとえば、9msecである。シャッタスイッチSW2は、遅延時間Td1の略中間のタイミングt3において、オフからオンに変化するように構成される。したがって、信号「SW2とSW3の直列接続状態」は、羽根群3がアパーチャ2aの開放を開始する前に必ずオンとなるので、このタイミングt3が不要電荷排出終了のタイミングとして用いられる。
タイミングt5において、ミラーアップが終了するとシーケンススイッチSW4がオンされ、このタイミングでシーケンスモータ111への通電が停止される。
シャッタスイッチSW3は、羽根群3がアパーチャ2aを開放(タイミングt6)後に羽根群3がさらに開放方向に若干移動したタイミングt7において、オンからオフに変化するように構成される。タイミングt7から所定時間Th1(たとえば、8msec)経過後のタイミングt9において、モータ(アクチュエータ)12に対する通電が正通電から逆通電に切り換えられる。タイミングt7よりさらに所定時間Th1だけ正通電を継続することで、羽根群3の全開時に生じるバウンド等の影響が抑えられる上に、次に羽根群3を閉鎖駆動する場合の動作時間(とくに、後述する遅延時間Td2)が安定する。なお、時間Th1を保持時間と呼ぶ。
逆通電への切り換え(タイミングt9)、すなわち、モータ12の逆回転開始から羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖し始める(タイミングt13)までの遅延時間Td2は、たとえば、9msecである。この遅延時間Td2は、モータ12による回転駆動力が遅延して羽根群3へ伝達されるために生じる。なお、モータ12の逆回転は、羽根群3を閉鎖駆動する向きである。
シャッタスイッチSW3は、羽根群3が閉鎖方向へ移動を開始するタイミングt12の時点でオフからオンへ変化する。上記タイミングt13は、羽根群3が閉鎖方向へ若干移動し、実際にアパーチャ2aを閉じ始める時点に対応する。
タイミングt13から所定時間Tm3(たとえば、1msec)経過後のタイミングt14において、シーケンスモータ111に逆通電が開始される。逆通電は、ミラーダウンおよび絞りを開放する向きにシーケンスモータ111を駆動する。タイミングt15において、ミラーダウンが開始するとシーケンススイッチSW4がオフになる。
シャッタスイッチSW2は、羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖(タイミングt16)後に羽根群3がさらに閉鎖方向に若干移動したタイミングt17において、オンからオフに変化するように構成される。タイミングt17から所定時間Th2(たとえば、10msec)経過後のタイミングt19において、モータ(アクチュエータ)12に対する逆通電が停止される。タイミングt17よりさらに所定時間Th2だけ逆通電を継続することで、羽根群3の停止時に生じるバウンド等の影響が抑えられる上に、次コマの撮影時に羽根群3を開放駆動する場合の動作時間(とくに、上述した遅延時間Td1)が安定する。なお、時間Th2を保持時間と呼ぶ。
ミラーダウンおよび絞りの開放復帰が終了すると、シーケンススイッチSW4がオフからオンに変化し(タイミングt20)、シーケンスモータ111への逆通電が停止される。
撮像素子121の電荷蓄積(露光)は、上記タイミングt7から露光前マージン時間Tm1(たとえば、1msec)が経過したタイミングt8以降に開始され、上記タイミングt13より露光後マージン時間Tm2(たとえば、1msec)前のタイミングt11において終了するように行われる。したがって、上記タイミングt8から実際に露光が開始されるタイミングt10までの時間tは、設定されている露光時間(シャッター秒時)Texpに応じて調節される。
図5のタイミングチャートは、Texp<(Td2−Tm2)が成立する場合の例である。露光時間が長く設定され、(Td2−Tm2)≦Texp<(Th1+Td2−Tm1−Tm2)が成立する場合は、図5に代えて図6のタイミングチャートで表される。図6において、タイミングt9以前のタイミングt10より露光が開始される。なお、露光終了タイミングt11は、図5と同様である。
露光時間がさらに長く設定され、Texp≧(Th1+Td2−Tm1−Tm2)が成立する場合は、図6に代えて図7のタイミングチャートで表される。図7において、モータ(アクチュエータ)12に対する通電を正通電から逆通電に切り換えるタイミングが、タイミングt7より時間τが経過したタイミングt9Aに変更される。すなわち、タイミングt7より時間τだけ正通電が継続される。なお、時間τは設定されている露光時間(シャッター秒時)に応じて決定されるが、その詳細については後述する。露光はタイミングt8から開始され、タイミングt11で終了される。
図5〜図7のそれぞれにおいて、上記タイミングt17より読出し前マージン時間Tm4(たとえば、1msec)が経過したタイミングt18から電荷読出し時間Trの間、撮像素子121から蓄積電荷の読出しが行われる。読出し時間Trが経過後は、次コマのレリーズ受付が許可される。
電子カメラ51の演算回路101で行われるカメラ動作処理の流れについて、図8〜図14のフローチャートを参照して説明する。図8のフローチャートによるプログラムは、電子カメラ51に電池(不図示)が装填されるとスタートする。
図8のステップS1において、演算回路101は、撮影レンズLを通過した光量BV−3を示す検出信号を測光装置104から入力する。ここで、光量BVは被写体輝度のアペックス値である。「−3」は、前述のように撮影レンズLの開放絞り値がF2.8であり、F2.8に対応するアペックス値が3であることによる。演算回路101は、測光装置104による検出値に3を加算することにより、被写体輝度BVを得る。
ステップS2において、演算回路101は、被写体輝度BVと設定感度SV=5(ISO100相当)とを用いて露出演算処理を行い、ステップS3へ進む。露出演算処理の詳細については後述する。
ステップS3において、演算回路101は、表示装置103に制御絞り値AVc、制御シャッタ速度TVcの値を示す表示を行わせてステップS4へ進む。制御絞り値AVcおよび制御シャッタ速度TVcは、露出演算処理において算出される。
ステップS4において、演算回路101は、レリーズスイッチSW1がオンされたか否かを判定する。演算回路101は、レリーズスイッチSW1から操作信号が入力されるとステップS4を肯定判定してステップS5へ進む。演算回路101は、レリーズスイッチSW1から操作信号が入力されない場合にはステップS4を否定判定し、ステップS1へ戻る。
ステップS5において、演算回路101は、撮像シーケンス処理を行ってステップS1へ戻る。撮像シーケンス処理の詳細については後述する。
露出演算処理の流れについて、図9のフローチャートを参照して説明する。図9のステップS101において、演算回路101は、ステップS1にて算出した被写体輝度BVに設定感度SV(=5)を加算し、適正露出となる露出値EVを算出する。ステップS102において、演算回路101は、適正露出となる絞り値を演算する。具体的には、露出値EVを2で除し、さらに1を減算した値を制御絞り値AVcとする。
ステップS103において、演算回路101は、制御絞り値AVcが開放絞り値3(F2.8)より小(すなわち、絞り口径が開放絞り口径より大きい)か否かを判定する。演算回路101は、制御絞り値AVc<3が成立する場合にステップS103を肯定判定してステップS104へ進み、AVc<3が成立しない場合にはステップS103を否定判定してステップS106へ進む。
ステップS104において、演算回路101は、制御絞り値AVcの値を開放絞り値3にセットし、ステップS105へ進む。ステップS105において、演算回路101は、ステップS101にて算出した露出値EVから制御絞り値3を減算した値を制御シャッタ速度TVcとし、S110へ進む。
ステップS106において、演算回路101は、制御絞り値AVcが最小口径絞り値9より大(すなわち、絞り口径が最小絞り口径より小さい)か否かを判定する。演算回路101は、制御絞り値AVc>9が成立する場合にステップS106を肯定判定してステップS107へ進み、AVc>9が成立しない場合にステップS106を否定判定してステップS109へ進む。
ステップS107において、演算回路101は、制御絞り値AVcの値を最小口径絞り値9にセットし、ステップS108へ進む。ステップS108において、演算回路101は、ステップS101にて算出した露出値EVから制御絞り値9を減算した値を制御シャッタ速度TVcとし、S110へ進む。以上のステップS103〜S108による処理では、制御絞り値AVcの値が開放絞り値3を下回る、または最小口径絞り値9を超える場合に、制御絞り値を3、9でそれぞれ制限するための処理を行う。
ステップS109において、演算回路101は、ステップS101にて算出した露出値EVから制御絞り値AVcを減算した値を制御シャッタ速度TVcとし、ステップS110へ進む。ステップS110において、演算回路101は、制御絞りパルス数Pcを絞り込み段数(AVc−3)の関数fとして算出する。すなわち、Pc=f(AVc−3)とする。ここで、絞りの絞込み段数と絞り位置検出装置112が検出する検出絞りパルス数とは、基本的に比例関係にある。しかしながら、絞り開放付近で出力される検出絞りパルス数が多くなることを考慮し、制御絞りパルス数Pcを絞込み段数(AVc−3)の関数としている。
ステップS111において、演算回路101は、制御シャッタ速度TVcが0より小(すなわち、シャッタ速度が1秒より低速秒時)か否かを判定する。演算回路101は、制御シャッタ速度TVc<0が成立する場合にステップS111を肯定判定してステップS112へ進み、TVc<0が成立しない場合にステップS111を否定判定してステップS113へ進む。
ステップS112において、演算回路101は、制御シャッタ速度TVcに0をセットし、ステップS115へ進む。ステップS113において、演算回路101は、制御シャッタ速度TVcが14より大(すなわち、シャッタ速度が1/16000秒より高速秒時)か否かを判定する。演算回路101は、制御シャッタ速度TVc>14が成立する場合にステップS113を肯定判定してステップS114へ進み、TVc>14が成立しない場合にはステップS113を否定判定し、ステップS115へ進む。ステップS114において、演算回路101は、制御シャッタ速度TVcに14をセットし、ステップS115へ進む。以上のステップS111〜S114による処理では、制御シャッタ速度TVcが撮像素子121の電子シャッタ速度範囲(1秒〜1/16000秒)より低速、または高速の場合に、制御シャッタ速度を0(1秒)、14(1/16000秒)でそれぞれ制限するための処理を行う。
ステップS115において、演算回路101は、露光時間Texp=2 −TVc を算出して図9による処理を終了する。
撮像シーケンス処理の流れについて、図10〜図14のフローチャートを参照して説明する。図10のステップS201において、演算回路101は、以下の初期設定を行う。すなわち、フラグA,フラグS,フラグEをそれぞれ0にセットする。フラグAは、制御絞り値AVcに絞り係止を行うと1にされるフラグである。フラグSは、シャッタ1の羽根群3の駆動開始で1にされるフラグである。フラグEは、撮像素子121の不要電荷排出が終了すると1にされるフラグである。
ステップS202において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111に正転を開始させてステップS203へ進む。これにより、ミラーアップおよび絞りの絞り込みが開始される。ステップS203において、演算回路101は、シーケンススイッチSW4がオフか否かを判定する。演算回路101は、シーケンススイッチSW4からの信号がHレベルの場合にステップS203を肯定判定してステップS204へ進み、シーケンススイッチSW4からの信号がLレベルの場合にはステップS203を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。なお、ステップS204へ進む時点では、ミラーアップが開始されているが、絞り係止や羽根群3の駆動タイミングには至っていない。
ステップS204において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を出力し、撮像素子121のデータ転送部における不要電荷の排出を開始させてステップS205へ進む。
ステップS205において、演算回路101は、絞り位置検出装置112から入力される検出信号(絞りパルス)をカウントし、カウント値を絞りパルス数PkとしてステップS206へ進む。ステップS206において、演算回路101は、絞りパルス数Pkと制御絞り値AVcに対応するパルス数Pcとの間にPk≧Pcが成立するか否かを判定する。制御絞り値AVcは、上述した露出演算処理で得られるものである。演算回路101は、Pk≧Pcが成立する場合にステップS206を肯定判定してステップS207へ進み、Pk≧Pcが成立しない場合にはステップS206を否定判定し、ステップS209へ進む。
ステップS207において、演算回路101は、絞り係止装置113に指令を出力して絞りを係止させ、ステップS208へ進む。これにより、絞りの絞込みが停止する。ステップS208において、演算回路101は、フラグAを1にセットしてステップS209へ進む。ステップS209において、演算回路101は、フラグS=1か否かを判定する。演算回路101は、S=1の場合にステップS209を肯定判定してステップS213へ進み、S=0の場合にステップS209を否定判定してステップS210へ進む。ステップS213へ進む場合は、シャッタ1の羽根群3を開放駆動するためにモータ12が既に正回転しているとみなす。ステップS210へ進む場合は、モータ12がまだ正回転していないとみなす。
ステップS210において、演算回路101は、シーケンススイッチSW5がオフか否かを判定する。演算回路101は、シーケンススイッチSW5からの信号がHレベルの場合にステップS210を肯定判定してステップS211へ進み、シーケンススイッチSW5からの信号がLレベルの場合にはステップS210を否定判定してステップS213へ進む。ステップS211へ進む場合は、シャッタ1のモータ12を正回転させるタイミングとみなし、ステップS213へ進む場合は、モータ12を正回転させるタイミングではないとみなす。
ステップS211において、演算回路101は、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、モータ12の正回転を開始させてステップS212へ進む。これにより、シャッタ1の羽根群3にアパーチャ2aを開放させるための開放駆動が開始する。ステップS212において、演算回路101は、フラグSを1にセットしてステップS213へ進む。
ステップS213において、演算回路101は、フラグE=1か否かを判定する。演算回路101は、E=1の場合にステップS213を肯定判定してステップS217へ進み、E=0の場合にはステップS213を否定判定してステップS214へ進む。ステップS217へ進む場合は、撮像素子211の不要電荷排出処理が終了したとみなす。ステップS214へ進む場合は、撮像素子211の不要電荷排出処理がまだ終了していないとみなす。
ステップS214において、演算回路101は、シャッタスイッチSW2およびSW3による直列接続出力がオンか否かを判定する。演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号がLレベルの場合、ステップS214を肯定判定してステップS215へ進む。この場合は、上述したタイミングt3〜t4の間に対応し、シャッタ1の羽根群3が開放駆動される直前と判断する。
一方、演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号がHレベルの場合、ステップS214を否定判定してステップS217へ進む。この場合は、上述したタイミングt3以前に対応し、シャッタ1の羽根群3がまだ開放駆動されないと判断する。
ステップS215において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を出力し、撮像素子121のデータ転送部における不要電荷の排出を終了させてステップS216へ進む。
ステップS216において、演算回路101は、フラグEを1にセットしてステップS217へ進む。ステップS217において、演算回路101は、フラグA=1か否かを判定する。演算回路101は、A=1の場合にステップS217を肯定判定してステップS218へ進み、A=0の場合にはステップS217を否定判定してステップS205へ戻る。ステップS218へ進む場合は、絞り係止装置113による絞り係止が既に終了しているとみなし、ステップS205へ戻る場合は、絞り係止装置113による絞り係止がまだ終了していないとみなす。
ステップS218において、演算回路101は、フラグS=1か否かを判定する。演算回路101は、S=1の場合にステップS218を肯定判定してステップS219へ進み、S=0の場合にはステップS218を否定判定してステップS210へ戻る。ステップS219へ進む場合は、シャッタ1の羽根群3を開放駆動するためにモータ12が既に正回転しているとみなす。ステップS210へ戻る場合、モータ12がまだ正回転していないとみなす。
ステップS219において、演算回路101は、フラグE=1か否かを判定する。演算回路101は、E=1の場合にステップS219を肯定判定して図11のステップS221へ進み、E=0の場合にはステップS219を否定判定してステップS214へ戻る。ステップS221へ進む場合は、撮像素子211の不要電荷排出処理が終了したとみなす。ステップS214へ戻る場合は、撮像素子211の不要電荷排出処理がまだ終了していないとみなす。
図11のステップS221において、演算回路101は、シーケンススイッチSW4がオンか否かを判定する。演算回路101は、シーケンススイッチSW4からの信号がLレベルの場合にステップS221を肯定判定してステップS222へ進み、シーケンススイッチSW4からの信号がHレベルの場合にはステップS221を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS222へ進む場合は、ミラーアップ終了状態である。判定処理を繰り返す場合は、ミラーアップ途中である。
ステップS222において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111の正転を停止させる。なお、この停止処理の際には逆通電ブレーキやショートブレーキなどのブレーキ処理を行うことにより、シーケンスモータ111の停止は瞬時に行われる。したがって、オーバーランは無視できる程度である。また、上記ステップS221でミラーアップ終了が判定されるまでに絞り係止装置113による絞りの係止が終了するように、撮像シーケンス駆動機構が構成されている。
ステップS223において、演算回路101は、タイマ回路101tの計時時間TMを0にセットしてステップS224へ進む。なお、この計時時間TMは、撮像素子121の電荷蓄積時間、すなわち電子シャッタ用の時間計時の他、各種の時間制御に利用される。
ステップS224において、演算回路101は、シャッタスイッチSW2およびSW3による直列接続出力がオフか否かを判定する。演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号がHレベルの場合、ステップS224を肯定判定してステップS225へ進む。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを全開状態に開放していると判断する。一方、演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号がLレベルの場合、ステップS224を否定判定して当該判定処理を繰り返す。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを開放する途中と判断する。
ステップS225において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時を開始してステップS226へ進む。
ステップS226において、演算回路101は、露光時間Texp<(Th1+Td2−Tm1−Tm2)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、上式が成立する場合にステップS226を肯定判定してステップS227へ進み、上式が成立しない場合にはステップS226を否定判定して図14のステップS271へ進む。ステップS227へ進む場合は、図5および図6が対応する。ステップS271へ進む場合は、図7が対応する。
ステップS227において、演算回路101は、パラメータt(図5および図6における時間t)に(Th1+Td2−Tm1−Tm2−Texp)を代入してステップS228へ進む。
ステップS228において、演算回路101は、露光時間Texp<(Td2−Tm2)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、上式が成立する場合にステップS228を肯定判定してステップS229へ進み、上式が成立しない場合にはステップS228を否定判定して図13のステップS261へ進む。ステップS229へ進む場合は、図5が対応する。ステップS261へ進む場合は、図6が対応する。
ステップS229において、演算回路101は、ステップS225において計時開始した計時時間TMについて、TM≧Th1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧Th1が成立する場合にステップS229を肯定判定してステップS230へ進み、TM≧Th1が成立しない場合にはステップS229を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS230へ進む場合は、保持時間Th1が経過したとみなす。
ステップS230において、演算回路101は、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、モータ12の逆回転を開始させてステップS231へ進む。これにより、シャッタ1の羽根群3にアパーチャ2aを閉鎖させるための閉鎖駆動が開始する。ステップS231において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧(Tm1+t)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Tm1+t)が成立する場合にステップS231を肯定判定してステップS232へ進み、TM≧(Tm1+t)が成立しない場合にはステップS231を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS232へ進む場合は、露光開始タイミング(図5においてt10)とみなす。
ステップS232において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を送出して撮像素子121の電荷蓄積を開始させ、ステップS233へ進む。ステップS233において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧(Tm1+t+Texp)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Tm1+t+Texp)が成立する場合にステップS233を肯定判定してステップS234へ進み、TM≧(Tm1+t+Texp)が成立しない場合にはステップS233を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS234へ進む場合は、露光終了タイミング(図5においてt11)とみなす。
ステップS234において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を送出して撮像素子121の電荷蓄積を終了させ、ステップS235へ進む。ステップS235において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧(Tm1+t+Texp+Tm2+Tm3)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Tm1+t+Texp+Tm2+Tm3)が成立する場合にステップS235を肯定判定して図12のステップS241へ進み、TM≧(Tm1+t+Texp+Tm2+Tm3)が成立しない場合にはステップS235を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS241へ進む場合は、ミラーダウンおよび絞りの開放復帰を開始するタイミング(図5においてt14)とみなす。
図12のステップS241において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111の逆転を開始させてステップS242へ進む。ステップS242において、演算回路101は、シャッタスイッチSW2およびSW3による直列接続出力がオフか否かを判定する。演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号がHレベルの場合、ステップS242を肯定判定してステップS243へ進む。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを完全に閉鎖していると判断する。一方、演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号がLレベルの場合、ステップS242を否定判定して当該判定処理を繰り返す。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖する途中と判断する。
ステップS243において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時時間TMを0にセットしてステップS244へ進む。これにより、図5のタイミングt17において計時時間TMが0にされる。なお、リセット後も計時が継続される。
ステップS244において、演算回路101は、読出し前マージン時間Tm4について、TM≧Tm4が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧Tm4が成立する場合にステップS244を肯定判定してステップS245へ進み、TM≧Tm4が成立しない場合にはステップS244を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS245へ進む場合は、羽根群3がアパーチャ2aを完全に閉鎖してから読出し前マージン時間Tm4が経過したとみなす。
ステップS245において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を出力し、撮像素子121から画像信号の読出しを開始させてステップS246へ進む。これにより、撮像素子121から蓄積電荷による画像信号が出力され、A/D変換回路122によりアナログ画像信号からデジタル信号に変換される。
ステップS246において、演算回路101は、TM≧Th2が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧Th2が成立する場合にステップS246を肯定判定してステップS247へ進み、TM≧Th2が成立しない場合にはステップS246を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS247へ進む場合は、保持時間Th2が経過したとみなす。
ステップS247において、演算回路101は、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、モータ12の逆回転を終了させてステップS248へ進む。これにより、シャッタ1の羽根群3にアパーチャ2aを閉鎖させる閉鎖駆動が終了する。ステップS248において、演算回路101は、シーケンススイッチSW4がオンか否かを判定する。演算回路101は、シーケンススイッチSW4からの信号がLレベルの場合にステップS248を肯定判定してステップS249へ進み、シーケンススイッチSW4からの信号がHレベルの場合にはステップS248を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS249へ進む場合は、ミラーダウンおよび絞りの開放復帰が終了した状態である。
ステップS249において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111の逆転を停止させる。なお、この停止処理の際には逆通電ブレーキやショートブレーキなどのブレーキ処理を行うことにより、シーケンスモータ111の停止は瞬時に行われる。したがって、オーバーランは無視できる程度である。
ここで、シーケンススイッチSW4がオンに変化するタイミング(図5におけるt20)は、シャッタスイッチSW2およびSW3による直列接続出力がオフに変化するタイミング(図5におけるt17)より後であって、撮像素子121からの蓄積電荷読出し時間Trが終了する前に変化するように構成されている。
ステップS250において、演算回路101は、ステップS243でリセットした計時時間TMについて、TM≧(Tm4+Tr)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Tm4+Tr)が成立する場合にステップS250を肯定判定してステップS251へ進み、TM≧(Tm4+Tr)が成立しない場合にはステップS250を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS251へ進む場合は、データ読出し終了タイミングとみなす。
ステップS251において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を出力し、撮像素子121から画像信号の読出しを停止させてステップS252へ進む。ステップS252において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時を停止してステップS253へ進む。
ステップS253において、演算回路101は、画像処理回路123にホワイトバランス調整、輪郭補償、ガンマ補正などの画像処理を開始させてステップS254へ進む。ステップS254において、演算回路101は、画像処理回路123に画像圧縮処理を開始させてステップS255へ進む。これにより、画像処理回路123は、画像圧縮処理ならびに圧縮処理後の画像データをバッファーメモリ125に格納する処理を開始する。
ステップS255において、演算回路101は、バッファーメモリ125に格納されている圧縮済み画像データを記録媒体126へ記録する処理を行い、図12による処理を終了して図8のステップS1へ戻る。これにより、一連の撮影処理を終了する。
ステップS228を否定判定して進む図13のステップS261において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧(Tm1+t)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Tm1+t)が成立する場合にステップS261を肯定判定してステップS262へ進み、TM≧(Tm1+t)が成立しない場合にはステップS261を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS262へ進む場合は、露光開始タイミング(図6においてt10)とみなす。
ステップS262において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を送出して撮像素子121の電荷蓄積を開始させ、ステップS263へ進む。ステップS263において、演算回路101は、TM≧Th1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧Th1が成立する場合にステップS263を肯定判定してステップS264へ進み、TM≧Th1が成立しない場合にはステップS263を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS264へ進む場合は、保持時間Th1が経過したとみなす。
ステップS264において、演算回路101は、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、モータ12の逆回転を開始させて図11のステップS233へ進む。これにより、シャッタ1の羽根群3にアパーチャ2aを閉鎖させるための閉鎖駆動が開始する。
以上説明した図13の処理では、図11のステップS229〜ステップS232の処理に比べて、羽根群3の閉鎖駆動を開始させる前に撮像素子121の電荷蓄積を開始させている点が異なる。
ステップS226を否定判定して進む図14のステップS271において、演算回路101は、パラメータτ(図7における時間τ)に(Texp+Tm1+Tm2−Td2)を代入してステップS272へ進む。
ステップS272において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧Tm1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧Tm1が成立する場合にステップS272を肯定判定してステップS273へ進み、TM≧Tm1が成立しない場合にはステップS272を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS273へ進む場合は、露光前マージン時間Tm1が経過した(図7においてt8)とみなす。
ステップS273において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を送出して撮像素子121の電荷蓄積を開始させ、ステップS274へ進む。ステップS274において、演算回路101は、TM≧τが成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧τが成立する場合にステップS274を肯定判定してステップS275へ進み、TM≧τが成立しない場合にはステップS274を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS275へ進む場合は、閉鎖駆動開始タイミング(図7においてt9A)とみなす。
ステップS275において、演算回路101は、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、モータ12の逆回転を開始させてステップS276へ進む。これにより、シャッタ1の羽根群3にアパーチャ2aを閉鎖させるための閉鎖駆動が開始する。
ステップS276において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧(Tm1+Texp)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Tm1+Texp)が成立する場合にステップS276を肯定判定してステップS277へ進み、TM≧(Tm1+Texp)が成立しない場合にはステップS276を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS277へ進む場合は、露光終了タイミング(図7においてt11)とみなす。
ステップS277において、演算回路101は、タイミング回路124に指令を送出して撮像素子121の電荷蓄積を終了させ、ステップS278へ進む。ステップS278において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧(Tm1+Texp+Tm2+Tm3)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Tm1+Texp+Tm2+Tm3)が成立する場合にステップS278を肯定判定して図12のステップS241へ進み、TM≧(Tm1+Texp+Tm2+Tm3)が成立しない場合にはステップS278を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS241へ進む場合は、ミラーダウンおよび絞りの開放復帰を開始するタイミング(図7においてt14)とみなす。
以上説明した図14の処理では、図11のステップS227およびステップS229〜ステップS235の処理に比べて、露光前マージン時間Tm1の経過後ただちに撮像素子121の電荷蓄積を開始させている点、および露光時間Texpに応じて算出される時間τが経過するまでモータ12の逆回転開始を遅くする点が、それぞれ異なる。
以上説明した実施の形態の電子カメラにおける撮像シーケンスについてまとめる。
A.露光時間Texp<(Td2−Tm2)、もしくは(Td2−Tm2)≦Texp<(Th1+Td2−Tm1−Tm2)の場合
(1)シャッタ1の羽根群3が全開した(タイミングt7)以降に保持時間Th1が経過すると羽根群3の閉鎖駆動を開始させる(タイミングt9)ようにしたので、露光(電荷蓄積)が終了してから羽根群3の閉鎖駆動を開始させる場合に比べて、撮像シーケンスに要する時間を短縮することができる。とくに、始動や駆動方向切り換え時にタイムラグ(上記例ではTd2が9msec)が生じる電磁アクチュエータによって羽根群3を閉鎖駆動する場合に有効である。
(2)シャッタ1の羽根群3が閉鎖方向へ若干移動し、実際にアパーチャ2aを閉じ始める時点(タイミングt13)より露光後マージン時間Tm2(たとえば、1msec)前(タイミングt11)に露光を終了させるべく露光開始タイミングt10を変化させるようにした。この結果、露光終了(タイミングt11)から撮像素子121の蓄積電荷(データ)の読出し開始(タイミングt18)までの時間が短縮され、撮像素子121の画素を構成するフォトダイオードの暗電流に起因するノイズの影響を抑えることができる。また、電荷蓄積(撮像)後ただちに羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖(すなわち、撮像素子121を遮光)駆動するので、電荷読出し時に生じるスミア現象を最小限に抑える効果がある。
(3)電磁アクチュエータであるモータ12の回転方向の切り換え時および停止時に、それぞれ保持時間Th1およびTh2を設けたので、方向切り換え時にモータ12の駆動開始(タイミングt9)から羽根群3が実際にアパーチャ2aを閉鎖し始める(タイミングt13)までの時間Td2、および次の始動時にモータ12の駆動開始(タイミングt2)から羽根群3が実際にアパーチャ2aを開放し始める(タイミングt4)までの時間Td1を、それぞれ約9msecに安定させることができる。これにより、撮像シーケンスの精度が向上し、各マージン時間Tm1〜Tm4を最小限に抑えられる結果、撮像シーケンスに要する時間をさらに短縮することができる。
B.露光時間Texp≧(Th1+Td2−Tm1−Tm2)の場合
(1)シャッタ1の羽根群3が全開した(タイミングt7)以降に、露光時間Texpに応じて算出される時間τが経過してから羽根群3の閉鎖駆動を開始させる(タイミングt9A)とともに、露光前マージン時間Tm1の経過後ただちに撮像素子121の電荷蓄積を開始させる(タイミングt8)ようにしたので、上記A(1)の状態の撮像シーケンスに要する時間からの増加分を必要最小限に抑えることができる。
(2)上記時間τは、シャッタ1の羽根群3が閉鎖方向へ若干移動し、実際にアパーチャ2aを閉じ始める時点(タイミングt13)より露光後マージン時間Tm2(たとえば、1msec)前(タイミングt11)に露光を終了させるべく算出するので、上記A(2)の場合と同様に、ノイズおよびスミア現象を最小限に抑えることができる。
(3)時間τは少なくとも上記A(3)の保持時間Th1より大となるので、モータ12の回転方向切り換え時にモータ12の駆動開始(タイミングt9A)から羽根群3が実際にアパーチャ2aを閉鎖し始める(タイミングt13)までの時間Td2を約9msecに安定させることができる。これにより、上記A(3)と同様に撮像シーケンスの精度を向上できる。
上記Bのようにタイミングt9Aにおいて羽根群3の閉鎖駆動を開始させる場合に、シャッタ1の羽根群3が全開(タイミングt7)後において保持時間Th1の経過後はモータ12に供給する電力を低減してもよい。この場合の撮像シーケンス駆動機構および撮像素子121の動作タイミングについて、図15を参照して説明する。
図15において、シャッタ1の羽根群3が全開した(タイミングt7)以降に保持時間Th1が経過すると、モータ12への供給電力をそれまでの約1/3に低減させる(タイミングt9)。電力低減は、供給電流の低減および印加電圧の低減のいずれでもよい。電力低減後、露光時間Texpに応じて算出される時間τ'が経過してから羽根群3の閉鎖駆動を開始させる(タイミングt9A)。
図16は、図15のタイムチャートで撮像シーケンスを制御する場合の処理の流れを説明するフローチャートである。図16に処理は、図14の処理に代えて行われる。図16のステップS301において、演算回路101は、パラメータτ'(図15における時間τ')に(Texp+Tm1+Tm2−Th1−Td2)を代入してステップS302へ進む。
ステップS302およびステップS303は、それぞれ図14におけるステップS272およびステップS273と同様なので説明を省略する。
ステップS304において、演算回路101は、ステップS225(図11)にて開始した計時時間TMについて、TM≧Th1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧Th1が成立する場合にステップS304を肯定判定してステップS305へ進み、TM≧Th1が成立しない場合にはステップS304を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS305へ進む場合は、保持時間Th1が経過したとみなす。
ステップS305において、演算回路101は、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、モータ12への供給電力を低減させ、ステップS306へ進む。ステップS306において、演算回路101は、ステップS225にて開始した計時時間TMについて、TM≧(Th1+τ')が成立するか否かを判定する。演算回路101は、TM≧(Th1+τ')が成立する場合にステップS306を肯定判定してステップS307へ進み、TM≧(Th1+τ')が成立しない場合にはステップS306を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS307へ進む場合は、閉鎖駆動開始タイミング(図15においてt9A)とみなす。
ステップS307〜ステップS310は、それぞれ図14におけるステップS275〜ステップS278と同様なので説明を省略する。
以上説明した図15および図16に対応する処理では、上記B(1)〜(3)と同様の作用効果に加えて、長秒時露光時にモータ12に供給する電力を低減する省電力化と、モータ12の発熱による温度上昇を抑えることができる。
以上説明したTh1、Th2、Tm1〜Tm4、Td1およびTd2などの数値例は、必ずしも例示した値でなくてもよい。たとえば、マージン時間を0.5msecとしてもよい。
特許請求の範囲における各構成要素と、発明を実施するための最良の形態における各構成要素との対応について説明する。遮光部材は、たとえば、羽根群3(フォーカルプレーンシャッタ1)によって構成される。電磁アクチュエータは、たとえば、モータ12によって構成される。蓄積制御手段および遮光制御手段は、たとえば、演算回路101によって構成される。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。