以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による一眼レフ電子カメラを側面から見た図である。図1において、電子カメラ51には撮影レンズLが取り付けられている。被写体からの光は撮影レンズLを通過した後、周知のごとくミラー61で反射されてファインダースクリーン83上に結像され、ペンタプリズム85および接眼レンズ87を通して撮影者によって観察される。撮影時には、ミラー61が上方に跳ね上げられ、被写体光は撮像素子121の撮像面に結像する。撮像素子121は、たとえば、CCDイメージセンサによって構成される。
撮像素子121はホルダー81に固定され、その光電変換出力がフレキシブルプリント基板79を介して後述するA/D変換回路へ出力される。ホルダー81はビス82により電子カメラ51に取り付けられる。撮像素子121の前方(撮影レンズL側)にはフォーカルプレーンシャッタ1が配設されている。
ここで、本実施形態の電子カメラ51のシャッタはいわゆる電子シャッタと呼ばれるもので、被写体光が撮像素子121の撮像面に入射されている状態における撮像素子121の電荷蓄積時間がシャッタ秒時に相当する。そして、フォーカルプレーンシャッタ1は、この電荷蓄積時間を規定するためではなく、電荷蓄積後に撮像素子121へ入射される被写体光を遮光するために設けられる。
したがって、遮光のためにシャッタ羽根群が1組あれば十分であり、いわゆる先幕群、後幕群という2組のシャッタ羽根群を設けてこれらを精度よく動作制御する必要はない。羽根群を1組だけにすることで、2組の羽根群を有するフォーカルプレーンシャッタと比べてシャッタユニットの厚さを薄くし、省スペース化に役立つ。
図2および図3は、フォーカルプレーンシャッタ1の構成と作動状態を説明する図である。図2は、1組の羽根群3が撮影用開口であるアパーチャ2aを閉鎖した状態を示すフォーカルプレーンシャッタ1の正面図である。図3は、図2における羽根群3がアパーチャ2aを開放した状態を示す図である。図2、図3において、フォーカルプレーンシャッタ1は電子カメラ51に組み込まれるシャッタ地板2を有する。シャッタ地板2には矩形のアパーチャ2aが設けられるとともに、アパーチャ2aを開閉する羽根群3が羽根アーム5を介して取り付けられている。羽根アーム5は、支軸6を中心に回動するように構成されている。
シャッタ地板2にはさらに、支持軸7を中心に回動する羽根用駆動レバー(駆動部材)8が設けられている。駆動レバー8の先端側は、作動ピン9を介して羽根アーム5に連結されている。また、駆動レバー8には支軸7と回動中心を同じにするギヤ10が一体に固着される。このギヤ10には、電磁アクチュエータとしてのメインモータ12のピニオン軸11に結合されたピニオンギヤ(不図示)が噛み合い、メインモータ12の回転駆動力を伝達するように構成されている。
メインモータ12が羽根群3を閉鎖する方向に回転すると、駆動レバー8が図2(図3)における反時計回りに回動してシャッタ地板2の閉鎖位置規制突起2bに当接し、その回動が規制される。一方、メインモータ12が羽根群3を開放する方向に回転すると、駆動レバー8が図3(図2)における時計回りに回動してシャッタ地板2の開放位置規制突起2cに当接し、その回動が規制される。
ここで、メインモータ12は、駆動レバー8を図2および図3示すそれぞれの位置で静的に安定して保持するように構成されている。つまり、駆動レバー8を図2で示す閉鎖位置にするようにメインモータ12を停止することで、羽根群3は、閉鎖状態でその位置を安定的に保持することができる。また、駆動レバー8を図3で示す開放位置にするようにメインモータ12を停止することで、羽根群3は、開放状態でその位置を安定的に保持することができる。
駆動レバー8を反時計回りに回動させるためのメインモータ12に対する通電を逆通電と呼び、駆動レバー8を時計回りに回動させるためのメインモータ12に対する通電を正通電と呼ぶことにする。メインモータ12に逆通電を行うと、駆動レバー8の回動に伴って羽根アーム5が支軸6を中心に反時計回りに回動するので、羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖する。
メインモータ12に正通電を行うと、駆動レバー8の回動に伴って支軸6を中心に羽根アーム5が時計回りに回動するので、羽根群3がアパーチャ2aを開放する。このように、フォーカルプレーンシャッタ1はメインモータ12によって羽根群3を開閉駆動するので、シャッタ1に対する機械的なチャージ機構が不要である。
駆動レバー8を図2および図3示すそれぞれの位置でさらに確実に保持するため、係止レバー(係止部材)14がシャッタ地板2に設けられている。係止レバー14は、電磁アクチュエータとしてのサブモータ15のピニオン軸16と一体的に回動するように構成され、支持軸13を中心に係止位置(図2、図3において実線で示す)と係止解除位置(図2、図3において2点鎖線で示す)との間を回動する。
サブモータ15が係止位置方向に回転すると、係止レバー14が図2、図3におけるシャッタ地板2の係止位置規制突起2dに当接し、その係止位置方向への回動が規制される。このとき、係止レバー14が駆動レバー8を羽根群3の閉鎖状態に対応する位置(図2)、もしくは羽根群3の開放状態に対応する位置(図3)でそれぞれ係止する。
係止レバー14の突起上端部14aは、羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖した状態で駆動レバー8が羽根群3を開放する方向へ移動しないように規制する。また、係止レバー14の突起下端部14bは、羽根群3がアパーチャ2aを開放した状態で駆動レバー8が羽根群3を閉鎖する方向へ移動しないように規制する。したがって、駆動レバー8が図2および図3示すそれぞれの位置に保持された状態で電子カメラ51が衝撃を受けたとしても、係止レバー14が確実に駆動レバー8を保持するので、羽根群3が衝撃によって動き出すことが防止されている。
一方、サブモータ15が係止解除位置方向に回転すると、係止レバー14が図2、図3におけるシャッタ地板2の係止解除位置規制突起2eに当接し、その係止解除位置方向への回動が規制される。このとき、係止レバー14が駆動レバー8の係止を解除する。
図4は、電子カメラ51の構成を説明するブロック図である。図4において、演算回路(制御回路)101は、マイクロコンピュータなどによって構成される。演算回路101は、メモリ101m、およびタイマ回路101tなどのCPU周辺回路を含む。演算回路101は、後述する各ブロックから出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づいて制御信号を各ブロックへ出力する。メモリ101mは、不揮発性メモリによって構成され、後述する各種フラグを記憶する。演算回路101にはカメラ内に装填されている電池131から電源が供給される。電池131の端子電圧をEで表す。
PNPトランジスタ139は、エミッタ端子が電池131による電源ライン(電圧E)に接続され、ベース端子が抵抗器138およびインバータ137を介して演算回路101の出力ポートO1に接続されている。出力ポートO1の信号出力が高レベルのとき、トランジスタ139がオンしてコレクタ端子から電圧V1の電源を供給する。出力ポートO1の信号出力が低レベルのとき、トランジスタ139がオフして電圧V1の電源供給を遮断する。
PNPトランジスタ142は、エミッタ端子が電池131による電源ライン(電圧E)に接続され、ベース端子が抵抗器141およびインバータ140を介して演算回路101の出力ポートO2に接続されている。出力ポートO2の信号出力が高レベルのとき、トランジスタ142がオンしてコレクタ端子から電圧V2の電源を供給する。出力ポートO2の信号出力が低レベルのとき、トランジスタ142がオフして電圧V2の電源供給を遮断する。
PNPトランジスタ145は、エミッタ端子が電池131による電源ライン(電圧E)に接続され、ベース端子が抵抗器144およびインバータ143を介して演算回路101の出力ポートO3に接続されている。出力ポートO3の信号出力が高レベルのとき、トランジスタ145がオンしてコレクタ端子から電圧V3の電源を供給する。出力ポートO3の信号出力が低レベルのとき、トランジスタ145がオフして電圧V3の電源供給を遮断する。
設定操作部材102は、たとえば、ボタンおよびコマンドダイヤルによって構成される。設定操作部材102は、設定操作に応じて操作信号を演算回路101へ出力する。設定操作部材102の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。演算回路101は、設定操作部材102からの操作信号に応じて、通常撮影モードおよびクリーニングモードの設定などを行う。クリーニングモードは、撮像素子121およびこの周辺に付着したゴミ・埃などを取り除くために、ミラーアップ状態かつ羽根群3を開放にした状態を保持させる保守用動作モードである。
表示装置103は、演算回路101の指示によりシャッタ速度(シャッタ秒時)、絞り値を示す表示などを行う。表示装置103の電源は、トランジスタ145による電源ライン(電圧V3)によって供給される。
測光装置104は、撮影レンズLを通過した光量を検出する。なお、撮影レンズLは開放絞り値がF2.8であり、F2.8〜F22の範囲で制御可能とする。測光装置104の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
レリーズスイッチSW1は、不図示のレリーズボタンの押し下げに連動してオンし、押し下げの解除によりオフするスイッチである。レリーズスイッチSW1から発生される操作信号は、撮影時には撮影開始指示となり、クリーニングモード時にはミラーアップなどの動作開始指示となる。スイッチSW1の一方の端子は、演算回路101の入力ポートI1接続されるとともに抵抗器132を介してトランジスタ139による電源ライン(電圧V1)にプルアップされている。スイッチSW1の他方の端子は接地されている。
電源スイッチSW6は、不図示の電源ダイヤルの回転操作に連動してオン/オフするスイッチであり、電源ダイヤルがオン位置にセットされるとオフし、電源ダイヤルがオフ位置にセットされるとオンする。スイッチSW6の一方の端子は、演算回路101の入力ポートI5に接続されるとともに抵抗器136を介して電池131による電源ライン(電圧E)にプルアップされている。スイッチSW6の他方の端子は接地されている。
シャッタ駆動回路108は、フォーカルプレーンシャッタ1を駆動するメインモータ12およびサブモータ15に対する正通電または逆通電を行い、羽根群3を開閉させる。シャッタ駆動回路108の電源は、トランジスタ142による電源ライン(電圧V2)によって供給される。
シャッタスイッチSW2、SW3は、それぞれ羽根群3の閉鎖、開放を検知するためのスイッチである。シャッタスイッチSW2は、羽根群3がアパーチャ2aを完全に閉鎖(正確には完全に閉鎖した後でさらに羽根群3が閉鎖方向に若干移動)したとき、オンからオフに変化するスイッチである。一方、シャッタスイッチSW3は、羽根群3がアパーチャ2aを完全に開放(正確には完全に開放した後でさらに羽根群3が開放方向に若干移動)したとき、オンからオフに変化するスイッチである。シャッタスイッチSW2、SW3は、それぞれ駆動レバー8(図2、図3)の回動位置に応じてオンまたはオフする。なお、フォーカルプレーンシャッタ1の開放および閉鎖に要する時間(すなわち、羽根群3の走行時間)は、それぞれ約11msec程度である。
シャッタスイッチSW2、SW3は直列に接続され、シャッタスイッチSW2、SW3のそれぞれで発生した信号が合成して演算回路101の入力ポートI2に入力される。これにより、シャッタスイッチSW2、SW3の双方がオン(直列接続出力オン)されるとき、低レベルの入力信号が演算回路101に入力され、シャッタスイッチSW2、SW3少なくとも一方がオフ(直列接続出力オフ)されるとき、高レベルの入力信号が演算回路101に入力される。なお、演算回路101の入力ポートI2は、無入力時(直列接続出力オフ時)に高レベルとみなすように抵抗器133を介してトランジスタ142による電源ライン(電圧V2)にプルアップされている。
モータ駆動回路110は、演算回路101の指令によってシーケンスモータ111の回転を制御する。モータ駆動回路110の電源は、トランジスタ142による電源ライン(電圧V2)によって供給される。
シーケンスモータ111は撮像シーケンス駆動機構を構成する。撮像シーケンス駆動機構は、シーケンスモータ111を駆動制御することにより、ミラー61のアップ/ダウン、不図示の絞りの駆動、およびフォーカルプレーンシャッタ1の駆動など、撮影時のシーケンス制御を行うものである。なお、クリーニングモード時は、ミラー61のアップ/ダウンおよびフォーカルプレーンシャッタ1の駆動を行う。
シーケンススイッチSW4、SW5は、撮像シーケンス駆動機構に含まれ、シーケンス制御タイミングを発生するスイッチである。シーケンススイッチSW4は、ミラーダウン中にオンし、ミラーアップ動作開始直後にオフし、ミラーアップ終了時点から再びオンするように構成されている。スイッチSW4の一方の端子は、演算回路101の入力ポートI3に接続されるとともに抵抗器134を介して電源ライン(電圧V2)にプルアップされている。スイッチSW4の他方の端子は接地されている。
シーケンススイッチSW5は、ミラーダウンの途中でオフからオンに変化し、ミラーアップ終了時点から約11msec前にオンからオフに変化するように構成され、メインモータ12の作動開始タイミングを生成する。時間11msecは、上述したフォーカルプレーンシャッタ1の開放および閉鎖のそれぞれに要する時間に対応する。スイッチSW5の一方の端子は、演算回路101の入力ポートI4に接続されるとともに抵抗器135を介して電源ライン(電圧V2)にプルアップされている。スイッチSW5の他方の端子は接地されている。
絞り位置検出装置112は、前述の撮像シーケンス駆動機構により絞りが絞り込まれるときの絞り位置を検出し、検出信号を演算回路101に出力する。絞り位置検出装置112の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
絞り係止装置113は、駆動中の絞りを係止し、所定の絞り値で絞りを停止させる。絞り係止装置113による絞りの係止は、ミラーダウン途中に解除するようにシーケンス駆動機構が構成されている。絞り係止装置113の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
撮像素子121は、撮影レンズLを通過した被写体像を撮像し、蓄積電荷による画像信号を出力する。ここで、撮像素子121は撮像感度(露光感度)がISO100相当に設定されている。また、撮像素子121は前述のように電子シャッタ機能を有し、1秒〜1/16000秒の範囲において所定ステップで設定可能に構成されている。撮像素子121の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
A/D変換回路122は、撮像素子121から出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換する。A/D変換回路122の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
ASICなどで構成される画像処理回路123は、デジタル信号に対してホワイトバランス(WB)調整などの画像処理、画像処理後の画像データを所定の形式で圧縮する圧縮処理、圧縮されたデータを伸長する伸長処理などを行う。画像処理回路123の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
タイミング回路124は、撮像素子121およびA/D変換回路122の動作に必要なタイミング信号を発生し、撮像素子121およびA/D変換回路122へそれぞれ出力する。タイミング回路124の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
バッファメモリ125は、画像処理、圧縮処理および伸長処理など各種の処理を施す画像データを一時的に格納するメモリである。バッファメモリ125の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
記録媒体126はメモリカードなどの記録媒体であり、電子カメラ51に対して着脱可能に構成されている。記録媒体126には、圧縮処理後の画像データが記録される。記録媒体126の電源は、トランジスタ139による電源ライン(電圧V1)によって供給される。
図5は、以上の電子カメラ51の撮影時における撮像シーケンス駆動機構および撮像素子121の動作タイミングを説明する図(タイミングチャート)である。
図5において、信号「SW1」は、レリーズスイッチSW1から発生される操作信号波形を示す。信号「モータ」は、シーケンスモータに対する通電波形を示す。信号「ミラー」は、ミラー61の駆動機構(不図示)のアップ/ダウン状態を示す。信号「SW4」および「SW5」は、それぞれシーケンススイッチから発生される信号波形を示す。信号「メイン電磁アクチュエータ」は、メインモータ12に対する通電波形を示す。信号「サブ電磁アクチュエータ」は、サブモータ15に対する通電波形を示す。
信号「SW2」および「SW3」は、それぞれシャッタスイッチから発生される信号波形を示す。信号「SW2とSW3の直列接続状態」は、信号「SW2」および「SW3」の直列合成信号波形を示す。波形「シャッタ開口」は、フォーカルプレーンシャッタ1の開閉状態を示す。信号「露光」は、撮像素子121に対する電荷蓄積指示波形を示す。信号「データ読出」は、撮像素子121に対するデータ(蓄積電荷)読出指示波形を示す。信号「不要電荷排出」は、撮像素子121に対する露光前の電荷排出指示波形を示す。
タイミングt0において、レリーズスイッチSW1で操作信号(オフ→オン)が発生されると、ミラー61および絞り(不図示)を駆動するシーケンスモータ111に正通電が開始される。正通電は、ミラーアップおよび絞り込みを行う向きにシーケンスモータ111を駆動する。タイミングt1において、ミラーアップが開始するとシーケンススイッチSW4がオフになる。ミラーアップおよび絞り込み途中のタイミングt1Aにおいて、シーケンススイッチSW5がオフすると、メインモータ(アクチュエータ)12に逆通電が開始され、メインモータ12が逆回転する。メインモータ12の逆回転は、羽根群3を閉鎖駆動する向きである。したがって、駆動レバー8がシャッタ地板2の閉鎖位置規制突起2bに確実に当接する(図2)。
タイミングt1Aから待ち時間Ts1(たとえば、2msec)が経過したタイミングt1Bにおいて、サブモータ(アクチュエータ)15に正通電が開始され、サブモータ15が正回転する。サブモータ15の正回転は、係止レバー14を係止解除位置へ駆動する向きである。したがって、駆動レバー8がシャッタ地板2の閉鎖位置規制突起2bに当接した状態(図2)で、係止レバー14が係止解除位置へ移動を始める。
タイミングt1Bから通電時間Ts2(たとえば、8msec)が経過したタイミングt2において、サブモータ15への正通電を停止するとともに、メインモータ12に正通電が開始される。これにより、駆動レバー8の係止が解除された状態でメインモータ12が正回転する。メインモータ12の正回転は、羽根群3を開放する向きである。メインモータ12に対する逆通電時間Tg1は、待ち時間Ts1および通電時間Ts2の和である。
ここで、メインモータ12の正回転開始から羽根群3がアパーチャ2aの開放を開始する(タイミングt4)までの遅延時間Td1は、たとえば、9msecである。シャッタスイッチSW2は、遅延時間Td1の略中間のタイミングt3において、オフからオンに変化するように構成される。したがって、信号「SW2とSW3の直列接続状態」は、羽根群3がアパーチャ2aの開放を開始する前に必ずオンとなるので、このタイミングt3が不要電荷排出終了のタイミングとして用いられる。
タイミングt5において、ミラーアップが終了するとシーケンススイッチSW4がオンされ、このタイミングでシーケンスモータ111への通電が停止される。
シャッタスイッチSW3は、羽根群3がアパーチャ2aを開放(タイミングt6)後に羽根群3がさらに開放方向に若干移動したタイミングt7において、オンからオフに変化するように構成される。タイミングt7から所定時間Th1(たとえば、8msec)経過後のタイミングt9において、メインモータ12に対する通電が正通電から逆通電に切り換えられる。タイミングt7よりさらに所定時間Th1だけ正通電を継続することで、羽根群3の全開時に生じるバウンド等の影響が抑えられる上に、次に羽根群3を閉鎖駆動する場合の動作時間(とくに、後述する遅延時間Td2)が安定する。なお、時間Th1を保持時間と呼ぶ。
逆通電への切り換え(タイミングt9)、すなわち、メインモータ12の逆回転開始から羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖し始める(タイミングt13)までの遅延時間Td2は、たとえば、9msecである。この遅延時間Td2は、メインモータ12による回転駆動力が遅延して羽根群3へ伝達されるために生じる。なお、メインモータ12の逆回転は、羽根群3を閉鎖する向きである。
シャッタスイッチSW3は、羽根群3が閉鎖方向へ移動を開始するタイミングt12の時点でオフからオンへ変化する。上記タイミングt13は、羽根群3が閉鎖方向へ若干移動し、実際にアパーチャ2aを閉じ始める時点に対応する。
タイミングt13から所定時間Tm3(たとえば、1msec)経過後のタイミングt14において、シーケンスモータ111に逆通電が開始される。逆通電は、ミラーダウンおよび絞りを開放する向きにシーケンスモータ111を駆動する。タイミングt15において、ミラーダウンが開始するとシーケンススイッチSW4がオフになる。
シャッタスイッチSW2は、羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖(タイミングt16)後に羽根群3がさらに閉鎖方向に若干移動したタイミングt17において、オンからオフに変化するように構成される。タイミングt17から待ち時間Ts3(たとえば、10msec)が経過したタイミングt17Aにおいて、サブモータ15に逆通電が開始され、サブモータ15が逆回転する。サブモータ15の逆回転は、係止レバー14を係止位置へ駆動する向きである。したがって、駆動レバー8がシャッタ地板2の閉鎖位置規制突起2bに当接した状態(図2)で、係止レバー14が係止位置へ移動を始める。
タイミングt17Aから通電時間Ts4(たとえば、8msec)が経過したタイミングt19において、サブモータ15への逆通電を停止するとともに、メインモータ12への逆通電が停止される。
メインモータ12に対する逆通電が停止されるのは、タイミングt17から保持時間Th2(Ts3+Ts4=18msec)経過後である。タイミングt17よりさらに20msec程度逆通電を継続することで、羽根群3の停止時に生じるバウンド等の影響が抑えられる上に、次コマの撮影時に羽根群3を開放駆動する場合の動作時間(とくに、上述した遅延時間Td1)が安定する。
ミラーダウンおよび絞りの開放復帰が終了すると、シーケンススイッチSW4がオフからオンに変化し(タイミングt20)、シーケンスモータ111への逆通電が停止される。
撮像素子121の電荷蓄積(露光)は、上記タイミングt7から露光前マージン時間Tm1(たとえば、1msec)が経過したタイミングt8以降に開始され、上記タイミングt13より露光後マージン時間Tm2(たとえば、1msec)前のタイミングt11において終了するように行われる。したがって、上記タイミングt8から実際に露光が開始されるタイミングt10までの時間tは、設定されている露光時間(シャッター秒時)Texpに応じて調節される。
上記タイミングt17より読出し前マージン時間Tm4(たとえば、1msec)が経過したタイミングt18から電荷読出し時間Trの間、撮像素子121から蓄積電荷の読出しが行われる。読出し時間Trが経過後は、次コマのレリーズ受付が許可される。
図6は、電子カメラ51のクリーニングモードにおける撮像シーケンス駆動機構の動作タイミングを説明する図である。クリーニングモードの場合には撮像素子121に対する不要電荷排出、電荷蓄積およびデータ読み出しは行わない。図6における信号「電源SW」は、電源スイッチSW6から発生される操作信号波形を示す。上述したようにスイッチSW6は、電源オフ操作時に閉じ(オン)、電源オン操作時に開く(オフ)ように構成されている。したがって、演算回路101の入力ポートI5には電源オフ時に低レベル、電源オン時に高レベルの信号が入力される。
図6のタイミングt0において、電子カメラ51がクリーニングモードに設定されている状態でレリーズスイッチSW1から操作信号(オフ→オン)が発生されると、ミラーアップおよび羽根群3の開放動作を開始する。
図6による動作が図5による動作と相違する点は、シャッタ開口が全開した状態、すなわち、駆動レバー8がシャッタ地板2の開放位置規制突起2cに当接した状態(図3)で係止レバー14によって駆動レバー8を係止し、メインモータへの正通電を一旦停止する点、および電源ダイヤルのオフ操作に応じてミラーダウンおよび羽根群3の閉鎖動作を開始する点である。
図6において、シャッタ1の羽根群3が全開したタイミングt7より待ち時間Tb2(たとえば、10msec)が経過したタイミングt7Aにおいて、サブモータ15に逆通電が開始され、サブモータ15が逆回転する。サブモータ15の逆回転は、係止レバー14を係止位置へ駆動する向きである。したがって、駆動レバー8がシャッタ地板2の開放位置規制突起2cに当接した状態(図3)で係止レバー14が係止位置へ移動を始める。
タイミングt7Aから通電時間Tb3(たとえば、10msec)が経過したタイミングt7Bにおいて、サブモータ15への逆通電を停止するとともに、メインモータ12の正通電が停止される。これにより、羽根群3が全開した状態で駆動レバー8が係止され、メインモータ12が停止する。この状態で清掃などの保守作業が行われる。
電源スイッチSW6のオフ操作に伴ってスイッチSW6からの操作信号がオン→オフに変化するタイミングt7Cにおいて、メインモータ12に正通電が開始され、メインモータ12が正回転する。メインモータ12の正回転は、羽根群3を開放駆動する向きである。したがって、駆動レバー8がシャッタ地板2の開放位置規制突起2cに確実に当接する(図3)。
タイミングt7cから待ち時間Ts1(たとえば、2msec)が経過したタイミングt7Dにおいて、サブモータ15に正通電が開始され、サブモータ15が正回転する。サブモータ15の正回転は、係止レバー14を係止解除位置へ駆動する向きである。したがって、駆動レバー8がシャッタ地板2の開放位置規制突起2cに当接した状態(図3)で係止レバー14が係止解除位置へ移動を始める。
タイミングt7Dから通電時間Ts2(たとえば、8msec)が経過したタイミングt9Bにおいて、サブモータ15への正通電を停止するとともに、メインモータ12に逆通電が開始される。これにより、駆動レバー8の係止が解除された状態でメインモータ12が逆回転する。メインモータ12の逆回転は、羽根群3を閉鎖する向きである。メインモータ12に対する正通電時間Tg2は、待ち時間Ts1および通電時間Ts2の和である。
メインモータ12に対する逆通電への切り換え(タイミングt9B)、すなわち、メインモータ12の逆回転開始から遅延時間Td2後に羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖し始める(タイミングt13)。以降は図5の場合と同様である。
本発明は、電子カメラ51のクリーニングモード時の動作に特徴を有するので、クリーニングモード時に演算回路101で行われるシーケンス制御処理の流れについて、図7〜図11のフローチャートを参照して説明する。図7のフローチャートによるプログラムは、電子カメラ51に電池131が装填されるとスタートする。
図7のステップS1において、演算回路101は、フラグM、フラグDおよびフラグRをそれぞれ0にセットしてステップS2へ進む。フラグMはクリーニングモードフラグであり、クリーニングモードに設定されると1にされ、クリーニングモードが解除されると0にされるフラグである。フラグDは電源フラグであり、電源ダイヤルがオン操作されている(スイッチSW6がオフ)場合に1にされ、オフ操作されている(スイッチSW6がオン)場合に0にされるフラグである。フラグRはクリーニングモード作動フラグであり、クリーニングモードにおいてミラーアップ動作中およびミラーダウン動作中にそれぞれ1にされるフラグである。
ステップS2において、演算回路101は、スイッチSW6がオフか否かを判定する。演算回路101は、スイッチSW6がオフ(すなわち電源ダイヤルがオン位置)の場合にステップS2を肯定判定してステップS3へ進み、スイッチSW6がオン(すなわち電源ダイヤルがオフ位置)の場合にステップS2を否定判定してステップS6へ進む。
ステップS3において、演算回路101は、フラグD=1が否かを判定する。演算回路101は、D=1の場合にステップS3を肯定判定してステップS9へ進み、D=0の場合にはステップS3を否定判定し、ステップS4へ進む。
ステップS4において、演算回路101は、フラグDを1にセットしてステップS5へ進む。ステップS5において、演算回路101は、出力ポートO1およびO3の出力をそれぞれ高レベルにしてステップS9へ進む。これにより、電圧V1および電圧V3の電源ラインに電源が供給され、電圧V1およびV3が供給される各ブロックが作動可能にされる。
ステップS6において、演算回路101は、フラグD=0が否かを判定する。演算回路101は、D=0の場合にステップS6を肯定判定してステップS2へ戻る。D=1の場合にはステップS6を否定判定し、ステップS7へ進む。ステップS7において、演算回路101は、フラグDを0にセットしてステップS8へ進む。ステップS8において、演算回路101は、出力ポートO1およびO3の出力をそれぞれ低レベルにしてステップS2へ戻る。これにより、電圧V1および電圧V3の電源ラインの電源が遮断され、電圧V1およびV3が供給される各ブロックの作動が停止する。
ステップS9において、演算回路101は、クリーニングモードへの設定変更操作が行われたか否かを判定する。演算回路101は、設定操作部材102から設定変更を示す操作信号が入力された場合にステップS9を肯定判定してステップS10へ進み、変更操作の信号が入力されない場合にはステップS9を否定し、ステップS13へ進む。
ステップS10において、演算回路101は、フラグM=0か否かを判定する。演算回路101は、M=0の場合にステップS10を肯定判定してステップS11へ進み、M=1の場合にはステップS10を否定判定し、ステップS12へ進む。
ステップS11において、演算回路101は、フラグMを1にセットしてステップS13へ進む。ステップS12において、演算回路101は、フラグMを0にセットしてステップS13へ進む。
ステップS13において、演算回路101は、フラグM=1か否かを判定する。演算回路101は、M=1の場合にステップS13を肯定判定してステップS15へ進み、M=0の場合にはステップS13を否定判定し、ステップS14へ進む。ステップS15へ進む場合はクリーニングモードに設定されている場合であり、ステップS14へ進む場合は通常の撮影モードに設定されている場合である。
ステップS14において、演算回路101は、通常モードにおける所定の処理を行ってステップS2へ戻る。通常モードの処理は、たとえば、図5のような撮影時のタイミング制御を行う処理である。なお、通常モードの詳細な説明については省略する。
ステップS15において、演算回路101は、表示装置103に指令を出力し、クリーニングモード設定されていることを示す表示を行わせてステップS16へ進む。表示態様は、たとえば、6桁分の「8」セグメント表示素子に「−」をそれぞれ点灯表示させることにより、「−−−−−−」を点灯表示させる。
ステップS16において、演算回路101は、レリーズスイッチSW1がオンされたか否かを判定する。演算回路101は、レリーズスイッチSW1から操作信号が入力されるとステップS16を肯定判定してステップS17へ進む。演算回路101は、レリーズスイッチSW1から操作信号が入力されない場合にはステップS16を否定判定し、ステップS2へ戻る。クリーニングモード時のレリーズ操作は、ミラーアップおよび羽根群3によるアパーチャ2aの開放開始を指示するトリガとなる。
ステップS17において、演算回路101は、フラグRを1にセットしてステップS18へ進む。ステップS18において、演算回路101は、出力ポートO2の出力を高レベルにしてステップS19へ進む。これにより、電圧V2の電源ラインに電源が供給され、電圧V2が供給される各ブロックが作動可能にされる。
ステップS19において、演算回路101は、出力ポートO1の出力を低レベルにして図8のステップS21へ進む。これにより、電圧V1の電源ラインの電源が遮断され、電圧V1が供給される各ブロックの作動が停止する。
図8のステップS21において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111の正転を開始させてステップS22へ進む。これにより、ミラーアップが開始される。ステップS22において、演算回路101は、シーケンススイッチSW5がオフか否かを判定する。演算回路101は、シーケンススイッチSW5からの信号が高レベルの場合にステップS22を肯定判定してステップS23へ進み、シーケンススイッチSW5からの信号が低レベルの場合にはステップS23を否定判定して当該判定処理を繰り返す。ステップS23へ進む場合は、シャッタ1のメインモータ12を逆回転させるタイミングとみなし、判定処理を繰り返す場合は、メインモータ12を逆回転させるタイミングではないとみなす。
ステップS23において、演算回路101は、計時時間Tを0にセットしてステップS24へ進む。ステップS24において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時を開始してステップS25へ進む。
ステップS25において、演算回路101は、シャッタ1の羽根群3に対する閉鎖駆動を開始させてステップS26へ進む。具体的には、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、メインモータ12の逆回転を開始させる。ステップS26において、演算回路101は、ステップS24にて計時開始した計時時間Tについて、T≧Ts1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Ts1が成立する場合にステップS26を肯定判定してステップS27へ進み、T≧Ts1が成立しない場合にはステップS26を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS27へ進む場合は、待ち時間Ts1が経過したとみなす。
ステップS27において、演算回路101は、係止解除駆動を開始させてステップS28へ進む。具体的には、シャッタ駆動回路108に指令を出力し、サブモータ15の正回転を開始させる。ステップS28において、演算回路101は、計時時間Tについて、T≧Tg1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Tg1が成立する場合にステップS28を肯定判定してステップS29へ進み、T≧Tg1が成立しない場合にはステップS28を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS29へ進む場合は、逆通電時間Tg1が経過したとみなす。
ステップS29において、演算回路101は、係止解除駆動を停止させるとともに、羽根群3の開放駆動を開始させてステップS30へ進む。開放駆動の開始は、シャッタ駆動回路108に対してメインモータ12の正回転を指示することによって行う。
ステップS30において、演算回路101は、計時時間Tの計時を停止してステップS31へ進む。ステップS31において、演算回路101は、シーケンススイッチSW4がオンか否かを判定する。演算回路101は、シーケンススイッチSW4からの信号が低レベルの場合にステップS31を肯定判定してステップS32へ進み、シーケンススイッチSW4からの信号が高レベルの場合にはステップS31を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS32へ進む場合は、ミラーアップ終了状態である。判定処理を繰り返す場合は、ミラーアップ途中である。
ステップS32において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111の正転を停止させる。なお、この停止処理の際には逆通電ブレーキやショートブレーキなどのブレーキ処理を行うことにより、シーケンスモータ111の停止は瞬時に行われる。したがって、オーバーランは無視できる程度である。
ステップS33において、演算回路101は、シャッタスイッチSW2およびSW3による直列接続出力がオフか否かを判定する。演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号が高レベルの場合、ステップS33を肯定判定してステップS34へ進む。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを全開状態に開放していると判断する。一方、演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号が低レベルの場合、ステップS33を否定判定して当該判定処理を繰り返す。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを開放する途中と判断する。
ステップS34において、演算回路101は、タイマ回路101tの計時時間Tを0にセットしてステップS35へ進む。ステップS35において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時を開始して図9のステップS41へ進む。
図9のステップS41において、演算回路101は、T≧Tb2が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Tb2が成立する場合にステップS41を肯定判定してステップS42へ進み、T≧Tb2が成立しない場合にはステップS41を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS42へ進む場合は、係止レバー14を係止位置へ駆動するタイミングとみなす。
ステップS42において、演算回路101は、係止駆動を開始させてステップS43へ進む。具体的には、シャッタ駆動回路108に指令を送出し、サブモータ15を逆回転させる。
ステップS43において、演算回路101は、T≧Tb1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Tb1が成立する場合にステップS43を肯定判定してステップS44へ進み、T≧Tb1が成立しない場合にはステップS43を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS44へ進む場合は、シャッタスイッチSW2およびSW3の直列接続出力がオフした以降に保持時間Tb1が経過したとみなす。
ステップS44において、演算回路101は、係止駆動を停止させるとともに、羽根群3の開放駆動を停止させてステップS45へ進む。係止駆動の停止はシャッタ駆動回路108に対してサブモータ15の逆回転停止を指示し、開放駆動の停止はシャッタ駆動回路108に対してメインモータ12の正回転停止を指示することによって行う。
ステップS45において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時を停止し、ステップS46へ進む。ステップS46において、演算回路101は、計時時間Tを0にしてステップS47へ進む。ステップS47において、演算回路101は、フラグRを0にセットしてステップS48へ進む。
ステップS48において、演算回路101は、出力ポートO2の出力を低レベルにしてステップS49へ進む。これにより、電圧V2の電源ラインの電源が遮断され、電圧V2が供給される各ブロックの作動が停止する。
ステップS49において、演算回路101は、表示装置103に指令を出力し、クリーニング可能な状態であることを示す表示を行わせてステップS50へ進む。表示態様は、たとえば、6桁分の表示素子の「−」セグメントをそれぞれ点滅表示させることにより、「−−−−−−」を点滅表示させる。この時点において、演算回路101を除き、電源が供給されて作動状態にあるのは表示装置103のみである。上述したように、電源ダイヤルがオン位置ではスイッチSW6がオフであるので、クリーニング可能な状態ではスイッチSW6にも電流が流れない。したがって、保守作業中の電池131の消耗はほとんど生じない。
ステップS50において、演算回路101は、スイッチSW6がオンか否かを判定する。演算回路101は、スイッチSW6がオン(すなわち電源ダイヤルがオフ位置)の場合にステップS50を肯定判定してステップS51へ進み、スイッチSW6がオフ(すなわち電源ダイヤルがオン位置)の場合にはステップS50を否定判定してステップS49へ戻る。ステップS51へ進む場合は、ミラーダウンおよび羽根群3によるアパーチャ2aの閉鎖を開始する場合である。
ステップS51において、演算回路101は、フラグRを1にセットしてステップS52へ進む。ステップS52において、出力ポートO2の出力を高レベルにしてステップS53へ進む。これにより、電圧V2の電源ラインに電源が供給され、電圧V2が供給される各ブロックが作動可能にされる。
ステップS53において、演算回路101は、出力ポートO3の出力を低レベルにしてステップS54へ進む。これにより、電圧V3の電源ラインの電源が遮断され、電圧V3が供給される表示装置103の作動が停止する。
ステップS54において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時を開始し、図10のステップS61へ進む。図10のステップS61において、演算回路101は、羽根群3の開放駆動を開始させてステップS62へ進む。ステップS62において、演算回路101は、T≧Ts1が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Ts1が成立する場合にステップS62を肯定判定してステップS63へ進み、T≧Ts1が成立しない場合にはステップS62を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS63へ進む場合は、係止解除駆動を開始させるタイミングとみなす。
ステップS63において、演算回路101は、係止解除駆動を開始させてステップS64へ進む。ステップS64において、演算回路101は、T≧Tg2が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Tg2が成立する場合にステップS64を肯定判定してステップS65へ進み、T≧Tg2が成立しない場合にはステップS64を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS65へ進む場合は、係止解除駆動を停止するとともに羽根群3の閉鎖駆動を開始させるタイミングとみなす。
ステップS65において、演算回路101は、係止解除駆動を停止させるとともに、羽根群3の閉鎖駆動を開始させてステップS66へ進む。係止解除駆動の停止はシャッタ駆動回路108に対してサブモータ15の正回転停止を指示し、閉鎖駆動の開始はシャッタ駆動回路108に対してメインモータ12の逆回転開始を指示することによって行う。
ステップS66において、演算回路101は、T≧(Tg2+Td2+Tm3)が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧(Tg2+Td2+Tm3)が成立する場合にステップS66を肯定判定してステップS67へ進み、T≧(Tg2+Td2+Tm3)が成立しない場合にはステップS66を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS67へ進む場合は、ミラーダウンを開始するタイミング(図6においてt14)とみなす。
ステップS67において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111の逆転を開始させてステップS68へ進む。
ステップS68において、演算回路101は、シャッタスイッチSW2およびSW3による直列接続出力がオフか否かを判定する。演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号が高レベルの場合、ステップS68を肯定判定してステップS69へ進む。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを完全に閉鎖していると判断する。一方、演算回路101は、シャッタスイッチSW2、SW3用の入力ポートへの入力信号が低レベルの場合、ステップS68を否定判定して当該判定処理を繰り返す。この場合は、シャッタ1の羽根群3がアパーチャ2aを閉鎖する途中と判断する。
ステップS69において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時時間Tを0にセットしてステップS70へ進む。これにより、図6のタイミングt17において計時時間Tが0にされる。なお、リセット後も計時が継続される。
ステップS70において、演算回路101は、T≧Ts3が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Ts3が成立する場合にステップS70を肯定判定してステップS71へ進み、T≧Ts3が成立しない場合にはステップS70を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS71へ進む場合は、係止レバー14を係止位置へ駆動するタイミングとみなす。
ステップS71において、演算回路101は、係止駆動を開始させてステップS72へ進む。具体的には、シャッタ駆動回路108に指令を送出し、サブモータ15を逆回転させる。
ステップS72において、演算回路101は、T≧Th2が成立するか否かを判定する。演算回路101は、T≧Th2が成立する場合にステップS72を肯定判定してステップS73へ進み、T≧Th2が成立しない場合にはステップS72を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS73へ進む場合は、シャッタスイッチSW2およびSW3の直列接続出力がオフした以降に保持時間Th2が経過したとみなす。
ステップS73において、演算回路101は、係止駆動を停止させるとともに、羽根群3の閉鎖駆動を停止させて図11のステップS81へ進む。係止駆動の停止はシャッタ駆動回路108に対してサブモータ15の逆回転停止を指示し、閉鎖駆動の停止はシャッタ駆動回路108に対してメインモータ12の逆回転停止を指示することによって行う。
図11のステップS81において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時を停止し、ステップS82へ進む。ステップS82において、演算回路101は、タイマ回路101tによる計時時間Tを0にセットしてステップS83へ進む。
ステップS83において、演算回路101は、シーケンススイッチSW4がオンか否かを判定する。演算回路101は、シーケンススイッチSW4からの信号が低レベルの場合にステップS83を肯定判定してステップS84へ進み、シーケンススイッチSW4からの信号が高レベルの場合にはステップS83を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。ステップS84へ進む場合は、ミラーダウンが終了した状態である。
ステップS84において、演算回路101は、モータ駆動回路110に指令を出力し、シーケンスモータ111の逆転を停止させてステップS85へ進む。なお、この停止処理の際には逆通電ブレーキやショートブレーキなどのブレーキ処理を行うことにより、シーケンスモータ111の停止は瞬時に行われる。したがって、オーバーランは無視できる程度である。
ステップS85において、演算回路101は、出力ポートO2の出力を低レベルにしてステップS86へ進む。これにより、電圧V2の電源ラインの電源が遮断される。ステップS86において、演算回路101は、フラグRを0にセットして図7のステップS2へ戻る。これにより、クリーニングモードの動作が終了する。
以上説明した実施形態の電子カメラにおけるクリーニングモード時の処理についてまとめる。
(1)シャッタ1の羽根群3が全開した(タイミングt7)以降に保持時間Tb1が経過すると羽根群3の開放状態を保持してメインモータ12への正通電を停止させる(タイミングt7B)ようにした。羽根群3の開放状態の保持は、駆動レバー8がシャッタ地板2の開放位置規制突起2cに当接した状態(図3)で係止レバー14によって駆動レバー8を係止することによって行う。したがって、電池131の容量が低下したとしても羽根群3が閉鎖することがない。また、外部電源を用いなくてもクリーニングモードの設定およびこのモードの動作を行うことが可能である。さらに、撮像素子121などの清掃に要する作業時間が長い場合でも、メインモータ12、サブモータ15には電力が供給されていないので、これらモータ12、15によって消費される電力はない上に、メインモータ12へ長時間の通電をすることがないのでメインモータ12の発熱によって温度が上昇することもない。
(2)上記(1)に加えて、羽根群3によるアパーチャ2aの開放後は演算回路101および表示装置103を除く他の回路ブロック等への電源供給を遮断し、省電力動作するようにしたので、電池131の残容量低下を抑えることができる。
(3)電磁アクチュエータであるメインモータ12の回転方向の切り換え時および停止時に、それぞれ保持時間Tb1およびTh2を設けたので、メインモータ12の逆通電開始(タイミングt9B)から羽根群3が実際にアパーチャ2aを閉鎖し始める(タイミングt13)までの時間Td2、およびメインモータ12の正通電開始(タイミングt2)から羽根群3が実際にアパーチャ2aを開放し始める(タイミングt4)までの時間Td1を、それぞれ約9msecに安定させることができる。これにより、シーケンス動作の精度が向上し、各マージン時間Tm1〜Tm4を最小限に抑えられる結果、シーケンス動作に要する時間をさらに短縮することができる。
(4)羽根群3の開放状態および閉鎖状態の保持を解除する際に、当該解除後にメインモータ12に通電する向きと逆方向に通電してから羽根群3の開放状態および閉鎖状態の保持を解除するようにした。したがって、係止レバー14が係止位置および係止解除位置間を移動する際に、駆動レバー8が必ず閉鎖位置規制突起2bもしくは開放位置規制突起2cに当接されるので、駆動レバー8が係止レバー14の移動の妨げになることが防止される。
以上説明したTs1、Ts2、Tm1〜Tm4、Td1およびTd2などの数値例は、必ずしも例示した値でなくてもよい。たとえば、マージン時間を0.5msecとしてもよい。
上述した表示装置103へトランジスタ139による電圧V1の電源を供給してもよい。図12は、電子カメラの変形例を説明するブロック図である。図4に比べて、表示装置103へ電圧V1の電源が供給され、電圧V3の電源を供給するためのPNPトランジスタ145、抵抗器144およびインバータ143が省略されている。
電圧V3を供給するための電源回路を省略したことに伴い、図13のフローチャートのステップS5AおよびステップS8Aに示すように、演算回路101'の出力ポートO3の制御を省略する。なお、図13においてステップS5AおよびS8Aを除く処理は、図7における同一ステップ番号で行われる処理と同じである。
図14は、電圧V1の電源を表示装置103へ供給し、電圧V3に対応する電源回路を省略した場合のクリーニングモード時に演算回路101'で行われるシーケンス制御処理の流れを説明するフローチャートである。図9に比べて、ステップS49およびステップS53が省略されている。その他の処理は、図9における同一ステップ番号で行われる処理と同じである。
このような変形例では、図13に示されるように、クリーニングモード時にレリーズスイッチSW1が操作される(ステップS16を肯定判定)と、ステップS19の処理が行われることによって電圧V1の電源が遮断され、表示装置103の動作が停止する。したがって、ミラーアップかつアパーチャ2aが開放された状態で、演算回路101'を除く他の回路ブロック等への電源供給が遮断されるので、電池131の残容量低下をさらに抑えることができる。
以上の説明では、クリーニングモード時にミラーアップ開始を指示する信号をレリーズスイッチSW1から発生させ、ミラーダウン開始を指示する信号を電源スイッチSW6から発生させるようにした。これらの代わりに他のスイッチを用いてもよく、メニューキーによって行うようにしてもよい。
特許請求の範囲における各構成要素と、発明を実施するための最良の形態における各構成要素との対応について説明する。遮光部材は、たとえば、羽根群3(フォーカルプレーンシャッタ1)によって構成される。第1の電磁アクチュエータは、たとえば、メインモータ12によって構成される。係止部材は、たとえば、係止レバー14によって構成される。第2の電磁アクチュエータは、たとえば、サブモータ15によって構成される。内部電源は、たとえば、電池131によって構成される。電力制御手段および動作制御手段は、たとえば、演算回路101(101')によって構成される。保守のための動作開始を指示する信号は、たとえば、レリーズスイッチSW1からの信号が対応する。保守のための動作終了を指示する信号は、たとえば、電源スイッチSW6からの信号が対応する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。