JP2004316862A - 車輌のレンジ切換え装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シフトバイワイヤシステムにおいて、マニュアルバルブのスプールを、簡単な構成及び制御で、精度よく切り換える。
【解決手段】運転者の選択に応じてマニュアルバルブを切り換える際、マニュアルバルブを油圧アクチュエータ5によって大まかに切換え領域(例えば、切換え位置a1から切換え領域c)に移動させ、その後、ディテント機構7によってさらに切換え領域cの一部に設定されている切換え位置c1に移動させるので、マニュアルバルブを、油圧アクチュエータ5によって精度の高い位置制御を行うことなく、ディテント機構7により所定の切換え位置c1に高い精度で配置することができる。このため、簡単な講説明でしかも複雑な制御を行う必要がなくなる。
【選択図】 図3
【解決手段】運転者の選択に応じてマニュアルバルブを切り換える際、マニュアルバルブを油圧アクチュエータ5によって大まかに切換え領域(例えば、切換え位置a1から切換え領域c)に移動させ、その後、ディテント機構7によってさらに切換え領域cの一部に設定されている切換え位置c1に移動させるので、マニュアルバルブを、油圧アクチュエータ5によって精度の高い位置制御を行うことなく、ディテント機構7により所定の切換え位置c1に高い精度で配置することができる。このため、簡単な講説明でしかも複雑な制御を行う必要がなくなる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者が例えばシフトレバーによって選択した走行レンジ(例えば、P,R,N,D)を電気信号を介して設定するいわゆるシフトバイワイヤシステムを備えた車輌のレンジ切換え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動変速機を備えた車輌の走行レンジは、一般に、運転者がシフトレバーを操作することで、マニュアルバルブを移動させて油路を切り換えることによって設定される。この際、運転者によって選択された走行レンジを、機械的なワイヤやロッドを介するのではなく、電気信号を介して設定する方式が、シフトバイワイヤ(SBW)システムとして知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、モータを使用してマニュアルバルブを切り換える方式のシフトバイワイヤシステムが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、シフトバイワイヤシステムをパーキングロック及びその解除に使用したもの、すなわちパーキング機構を油圧アクチュエータとばねとによって切り換える方式のシフトバイワイヤシステムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−327843号公報
【特許文献2】
独国特許出願公開第19858543号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1のものは、マニュアルバルブを移動させるための機構として、駆動源としてのモータの外に、減速機構として複数のギヤからなるギヤ列や、マニュアルバルブの位置精度を高めるためのディテント機構及びこれを有効に作用させるための電磁クラッチ等が配設されている。このため、構成や制御が複雑になるといった問題があった。
【0007】
また、特許文献2のものは、ロック時には、ロック部材をばねで付勢してロック位置に配置し、解除時にはロック部材に連結されたピストンを油圧で移動させ、さらに解除時には、ソレノイドをオンしてピストンを保持する構成である。したがって、その構成上、パーキングロック及びその解除といった2ポジションの動作しか行うことができず、例えばマニュアルバルブをP,R,N,Dといった4ポジションに移動させるものに利用することは困難である。また、ディテント機構を備えていないので、シリンダロック用のソレノイドが必要となり、その分、構成及び制御が複雑になってしまった。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構成及び制御で、走行レンジを精度よく切り換えることのできる車輌のレンジ切換え装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明(例えば、図1,図3,図15参照)は、車輌の走行レンジを、複数の走行レンジのうちから運転者によって選択された所定の走行レンジに、電気信号に基づいて切り換える車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、
運転者によって走行レンジが選択されるレンジ選択手段(2)と、
前記レンジ選択手段(2)からの信号に基づく電気信号を発生する制御手段(3)と、
前記制御手段からの前記電気信号によって切り換えられるバルブ手段(4)と、
前記バルブ手段(4)の切換えによる油圧の給排に基づいて制御される油圧アクチュエータ(5)と、
前記複数の走行レンジに対応する複数の切換え領域(a,c,e,g)にわたって移動可能に配設されるとともに、前記油圧アクチュエータ(5)によって移動されるレンジ切換え部材(6,8)と、
前記切換え領域(a,c,e,g,h,j)内に移動された前記レンジ切換え部材(6,8)をさらに移動させて前記切換え領域(a,c,e,g)内の一部に設定されている切換え位置(a1,c1,e1,g1)に配置するディテント機構(7,77)と、を備え、
前記油圧アクチュエータ(5)は、前記電気信号を介して切り換えられるバルブ手段(4)に基づいて前記レンジ切換え部材(6,8)を前記複数の切換え領域(a,c,e,g,h,j)のうちの所定の切換え領域内に移動させ、前記ディテント機構(7,77)は、前記所定の切換え領域内に移動された前記レンジ切換え部材(6,8)を、さらに前記所定の切換え領域内の前記切換え位置に移動させて位置決め保持する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明(例えば、図2,図3参照)は、請求項1に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、前記油圧アクチュエータ(5)は、前記バルブ手段(4)の切換えによる油圧の給排に基づいて、前記レンジ切換え部材(6,8)をそれぞれ異なる方向に移動させる第1の油圧室(13)と第2の油圧室(14)とを有する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明(例えば、図3参照)は、請求項1又は2に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、前記バルブ手段(4)は、前記切換え領域(a,c,e,g,h,j)内に移動された前記レンジ切換え部材(6,8)が前記ディテント機構7,77)の作用によってさらに前記切換え位置(a1,c1,e1,g1)に移動される際には、前記油圧アクチュエータ(5)の油圧室に対する油圧を解除する、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明(例えば、図17,図18,図19)は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、フェール時に、前記油圧アクチュエータ(5)の油圧室の油圧を平衡させて前記レンジ切換え部材(6,8)を現状位置に保持させるフェール手段(F1,F2,F3)を有する、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明(例えば、図3参照)は、請求項3に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、前記レンジ切換え部材(6,8)の位置を検知して前記制御手段(3)に検知結果を入力する検知手段(10)を備え、
前記検知手段(10)が前記レンジ切換え部材(6,8)が前記切換え領域(a,c,e,g,h,j)からこれに隣接する切換え領域に移ったことを検知したときに、前記制御手段(3)は前記バルブ手段(4)を介して前記油圧アクチュエータ(5)の油圧室に対する油圧を解除する、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明(例えば、図15参照)は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置(76)において、前記レンジ切換え部材(8)が、自動変速機の出力軸をロックするパーキング位置とロックを解除する解除位置とをとるロック部材(35)を有するパーキング機構(8)である、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明(例えば、図1参照)は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置(1)において、前記レンジ切換え部材(6)が、自動変速機におけるレンジを決定するマニュアルバルブ(20)である、
ことを特徴とする。
【0016】
なお、上述のカッコ内の符合は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであって、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、油圧アクチュエータによって所定の切換え領域に移動されたレンジ切換え部材を、ディテント機構によって、所定の切換え領域の一部に設定されている所定の切換え位置に配置する。すなわち、まず、レンジ切換え部材を油圧アクチュエータによって大まかに切換え領域に移動させ、その後、ディテント機構によってさらに切換え位置に移動させるので、レンジ切換え部材を、油圧アクチュエータによって精度の高い位置制御を行うことなく、ディテント機構により所定の切換位置に高い精度で配置することができる。このため、複雑な制御を行う必要がなくなる。また、特許文献1のもの(モータ、ギヤ列、ディテント機構、電磁クラッチ等を使用するもの)と比較して、構成及び制御を簡略化することができる。さらに、特許文献2のもの(ばね、油圧アクチュエータ、ソレノイド等を使用するもの)と比較しても、構成及び制御を簡略化することができる。
【0018】
請求項2の発明によると、第1,第2の油圧室に供給する油圧を適宜に調整することにより、レンジ切換え位置を双方向に積極的に移動させることができる。したがって、例えば、一方方向には油圧により、また他方向にはばねにより移動させる構成のものが、レンジ切換え部材を2ポジションにしか切り換えることができないのとは異なり、3以上のポジションに移動させることができる。
【0019】
請求項3の発明によると、切換え領域内のレンジ切換え部材をディテント機構の作用によってさらに切換え位置に移動させる際には、油圧アクチュエータの油圧室に対する油圧が解除されているので、レンジ切換え部材は、ディテント機構の作用により比較的容易に切換え位置に配置することができる。
【0020】
請求項4の発明によると、フェール時には、フェール手段によって油圧アクチュエータの油圧室の油圧が平衡状態となるので、レンジ切換え部材は、ディテント機構により現状位置に保持されることになる。つまりフェール時に走行レンジが切り換えられてしまうことを有効に防止することができる。
【0021】
請求項5の発明によると、制御手段は、検知手段がレンジ切換え部材が切換え領域からこれに隣接する切換え領域に移ったことを検知したときに、バルブ手段を介して油圧アクチュエータ2の油圧室に対する油圧を解除するので、油圧の制御としては、レンジ切換え部材を隣接する切換え領域内に移動させるといった大雑把なもので済み、その後、レンジ切換え部材は、ディテント機構の作用により、高い精度をもって切換え位置に配置される。
【0022】
請求項6に係る発明は、本発明をパーキング機構に適用したものである。
【0023】
請求項7に係る発明は、本発明をマニュアルバルブに適用したものである。
【0024】
これら請求項6,7の発明によると、簡単な構成及び制御で、しかも高い精度で、パーキング機構やマニュアルバルブを作動させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、各図面において、同一の符号を付したものは、同様の構成又は作用を有するものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。
【0026】
<実施の形態1>
図1に、本発明に係る車輌のレンジ切換え装置の一例として、実施の形態1に係る車輌のレンジ切換え装置(以下単に「レンジ切換え装置」という。)1を示す。同図は、レンジ切換え装置1の全体構成を模式的に示す図である。
【0027】
レンジ切換え装置1は、車輌に搭載される自動変速機(例えば多段自動変速機や無段変速機(CVT))に組み込まれている。図1に示すように、レンジ切換え装置1は、運転者によって走行レンジが選択されるレンジ選択手段としてのシフトレバー2と、このシフトレバー2からの電気信号(シフト信号)S1に基づいて電気信号(制御信号)S2を発生させる制御手段3と、この制御手段3からの制御信号S2に基づいて切換えられるバルブ手段4と、このバルブ手段4によって制御される油圧アクチュエータ5と、この油圧アクチュエータ5によって移動されるレンジ切換え部材としてのスプール6(マニュアルバルブ20)と、このスプール6を位置決め保持するディテント機構7とを、主要構成要素として構成されている。これら主要構成要素のうち、バルブ手段4、油圧アクチュエータ5、及びスプール6は、自動変速機のバルブボディ9内に配設されている。さらに、同図に示すレンジ切換え装置1には、パーキング機構8が設けられている。
【0028】
以下、シフトレバー2から順に構成の詳細を説明する。
【0029】
シフトレバー(レンジ選択手段)2には、P(パーキング)レンジ,R(リバース)レンジ,N(ニュートラル)レンジ,D(ドライブ)レンジの各走行レンジ(不図示)が表示されている。シフトレバー2は、運転者によって直接、操作されて上述の走行レンジのうちから1つの走行レンジが選択される。そして、選択された走行レンジに対応するシフト信号S1が発生される。なお、レンジ選択手段としては、運転者の意思を反映することができるもの、すなわち運転者によって選択された走行レンジに対応するシフト信号S1を発生させることができるものであれば、シフトレバー2以外のものであってもよい。例えば、シフトボタン、シフトスイッチ、音声入力装置等を使用することができる。
【0030】
制御手段3は、上述のシフトレバー2で発生されたシフト信号S1に基づいて制御信号S2を発生させ、この制御信号S2によって後述のバルブ手段4を制御するものである。さらに、この制御手段3には、後述のスプール6の位置を検知する位置センサ10(後述)からの検知信号S3が入力される。制御手段3は、この検知信号S3に基づいて、バルブ手段4の切換えタイミング(後述)を制御するようになっている。
【0031】
バルブ手段4としては、例えば、図2に模式的に示すように、2ポート弁からなる2個のソレノイドバルブ11,12をそれぞれ独立に制御して使用することができる。このうち、一方のソレノイドバルブ11は、上述の制御手段3によってON/OFF制御され、ON時には油圧アクチュエータ5の第1の油圧室13に油圧P1を供給し、OFF時には第1の油圧室13の油圧を フリーにする。また他方のソレノイドバルブ12は、同様に、上述の制御手段3によってON/OFF制御され、ON時には油圧アクチュエータ5の第2の油圧室14に油圧P2を供給し、OFF時には第1の油圧室14の油圧をフリーにするように構成されている。なお、油圧P1,P2としては、自動変速機のライン圧が供給される。2個のソレノイドバルブ11,12の切換えタイミングについては後述する。
【0032】
油圧アクチュエータ5は、図3に示すように、シリンダ15と同図中の左右方向(矢印A1,A2方向)に移動するピストン16とを有している。シリンダ15内におけるピストン16の左方に位置する部分によって第1の油圧室13が構成され、またシリンダ15内におけるピストン16の右方に位置する部分によって第2の油圧室14が構成されている。このうち第1の油圧室13には、上述のソレノイドバルブ11からの油圧P1が供給され、また第1の油圧室13内の油圧をドレンするポート17が形成されている。一方、第2の油圧室14には、上述のソレノイドバルブ12からの油圧P2が供給され、また第2の油圧室14内の油圧をドレンするポート18が形成されている。油圧アクチュエータ5は、上述の制御手段3によるソレノイドバルブ11,12のON/OFFの切換えによってピストン16が矢印A1方向に移動し、または矢印A2方向に移動し、または停止されるようになっている。すなわち、ピストン16は、制御手段3によるソレノイドバルブ11のON、かつソレノイドバルブ12のOFFにより、第1の油圧室13に油圧P1が供給され、かつ第2の油圧室14の油圧がドレンされることに基づき、矢印A1方向に移動する。一方、ピストン16は、制御手段3によるソレノイドバルブ12のON、かつソレノイドバルブ11のOFFにより、第2の油圧室14に油圧P2が供給され、かつ第1の油圧室13の油圧がドレンされることに基づき、矢印A2方向に移動する。また、双方のソレノイドバルブ11,12のOFFにより、停止されるようになっている。この停止状態においては、ピストン16に作用する比較的小さな力で、矢印A1方向又は矢印A2方向に移動することが可能となっている。また、双方のソレノイドバルブ11,12が同時にONされることはない。このように左右方向に移動可能なピストン16の右端側(不図示)には次に説明するスプール6が、また左端側には後述するディテント機構7が接続されている。
【0033】
スプール(レンジ切換え部材)6は、図4(a),(b),(c),(d)に示すように、マニュアルバルブ20内のスプールである。スプール6は、左から順にランド21,22,23を有しており、本実施の形態では、上述の油圧アクチュエータ5のピストン16と一体に構成されている。スプール6は、ピストン16の矢印A1方向及び矢印A2方向の移動に伴ってピストン16と同方向に移動し、(a)のP(パーキング)位置、(b)のR(リバース)位置、(c)のD(ドライブ)位置、(d)のN(ニュートラル)位置に配置されて、それぞれランド21,22,23によってポートDp,Lp,Rpを切り換える。すなわち、スプール6は、(a)のP位置をとったときに、ランド22によりポートDpを閉鎖し、ランド22,23間でポートLpを開放し、ランド23によりポートRpを閉鎖する。また、(b)のR位置をとったときに、ランド21,22間でポートDpを開放し、ランド22,23間でポートLp,Rpを開放する。また、(c)のN位置をとったときに、ランド21,22間でポートDpを開放し、ランド22によりポートLpを閉鎖し、ランド22,23間でポートRpを開放する。そして、(d)のD位置をとったときに、ランド21,22間でポートDp,Lpを開放し、ランド22,23間でポートRpを開放する。スプール6のP位置,R位置,N位置,D位置は、この順にシフトレバー2の走行レンジのPレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジに対応している。このようなスプール6と一体のピストン16は、図1,図3に示すように、左方に延びる軸24の先端にL字形のフック25が形成されていて、このフック25が次に説明するディテント機構7の一部に係合されている。
【0034】
ディテント機構7は、図3に示すように、ディテントレバー26と、ディテントスプリング27と、ローラ28とを有している。このうちディテントレバー26は、板状の部材であり、軸30を介して自動変速機(不図示)の一部によって揺動自在に支持されている。ディテントレバー26の基端部(図3中の下側の端部)には、長孔31が穿設されていて、この長孔31には、上述のピストン16の軸24の先端のフック25が係合されている。一方、ディテントレバー26の先端部(図3中の上側の端部)には同図中の左から順に4個の切換え領域として左から順にレンジ溝a,c,e,gが設けられている。そしてこれらレンジ溝a,c,e,gの各間には、凸部b,d,fが形成されている。上述のレンジ溝a,c,e,gは、この順に、前述のスプール6のP位置,R位置,N位置,D位置に大まかに対応している。ここで、「大まかに」という意味は、上述のレンジ溝a,c,e,gは、幅を持った領域(切換え領域)であり、厳密には、これらレンジ溝a,c,e,gの一部である切換え位置a1,c1,e1,g1がスプール6のP位置,R位置,N位置,D位置に対応するようになっている。これら切換え位置a1,c1,e1,g1については、ディテントスプリング27の説明が終了した後に説明する。ディテントスプリング27は、ほぼ長板状の部材によって形成されており、基端部32が図1に示すようにバルブボディ9に固定されるとともに先端には二股部33に形成されている。この二股部33の間に、ローラ28が回動自在に支持されている。ディテントスプリング27全体は板ばねとして作用し、その先端に回動自在に配置されているローラ28をディテントレバー26の各レンジ溝a,c,e,gの傾斜面に押圧して、ディテントレバー26を精度よく位置決め保持するようになっている。すなわち、ディテントスプリング27先端のローラ28が、ディテントレバー26のレンジ溝a内に配置された状態で、かつディテントレバー26が比較的容易に揺動することができる状態、例えば、前述の油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の油圧が双方ともフリー又はドレンされているような場合には、ディテントレバー26は、ディテントスプリング27に基づくローラ28の付勢力によって切換え位置a1に配置される。言い換えると、この切換え位置a1は、ディテントレバー26が揺動可能な状態において、ローラ28をレンジ溝a内に配置した場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー26が移動されて停止したときの、レンジ溝aとローラ28とが接触する点であり、本実施の形態では、ディテントレバー26の軸30の軸心30aの真上に設定されるようになっている。同様に、レンジ溝c内の切換え位置c1は、ディテントレバー26が揺動容易な状態でレンジ溝c内にローラ28が配置された場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー26が移動されて停止したときの、レンジ溝cとローラ28とが接触する点であり、レンジ溝cのうちの軸30の軸心30aの真上に位置する点である。なお、レンジ溝eの一部に設定される切換え位置e1、及びレンジ溝gの一部に設定される切換え位置g1についても、上述の切換え位置a1や切換え位置c1と同様に設定されるので、その説明は省略する。こうして設定された切換え位置a1,c1,e1,g1は、この順に、前述のスプール6のP位置,R位置,N位置,D位置に厳密に対応する。すなわち、油圧アクチュエータ5のピストン16の移動に伴ってスプール6がP位置,R位置,N位置,D位置に配置されたときに、ディテントレバー26の回転によって、軸30の軸心30aの真上に、切換え位置a1,c1,e1,g1がそれぞれ配置されるようになっている。
【0035】
本実施の形態においては、上述のディテントレバー26の位置を検知することによりマニュアルバルブ20内のスプール6の位置を検知する位置センサ10(図1参照)が配設されている。位置センサ10としては、例えばディテントレバー26の回転角度に対応した電圧を発生するポテンショメータを使用することができる。位置センサ10は、例えば、上述のディテントレバー26の、切換え位置a1,c1,e1,g1や凸部b,d,fが、ディテントスプリング27先端のローラ28に接触する位置に配置されたとき、つまりディテントレバー26の軸30の軸心30aの真上にきたときを検知することができる。位置センサ10の出力は、検知信号S3として制御手段3に入力される。そして、検知信号S3が入力された制御手段3は、制御信号S2を発生して、前述のソレノイドバルブ11,12(図2参照)を制御する。なお、具体的な例については後述する。
【0036】
パーキング機構8は、図1に示すように、基端側がL字形に屈曲されて上述のディテントレバー26に係合されたパーキングロッド34と、このパーキングロッド34の先端側に遊嵌されて移動可能な円錐状のウエッジ35(ロック部材)と、パーキングロッド34に固定された鍔部36とウエッジ35とに連結されたばね(圧縮ばね)37と、パーキングロッド34の先端側の下方に配置されたサポート38と、このサポート38との間にウエッジ35が挿脱される、揺動自在なパーキングポール40とを備えている。パーキングポール40は、基端側の軸41を中心にほぼ上下方向に揺動自在に配設されており、上側には自動変速機の出力軸(不図示)に固定されたパーキングギヤ42に対して係脱可能な爪43が突設されている。
【0037】
上述構成のレンジ切換え装置1は、次のように動作する。
【0038】
なお、以下では、シフトレバー2により、走行レンジがNレンジからDレンジに、またDレンジからNレンジに、切り換えられる場合を例に説明する。
【0039】
シフトレバー2によってNレンジが選択されている場合には、図3に示すディテントレバー26の切換え位置e1がディテントレバー26の軸心30aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、図5に示すようにソレノイドバルブ11,12は双方ともOFFで、また位置センサ10のセンサ電圧はe1(切換え位置e1に対応する値)である。
【0040】
ここで、運転者がシフトレバー2を操作してDレンジを選択する。すると、Dレンジに対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ11の電圧をONし、かつソレノイド12の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第1の油圧室13にソレノイドバルブ11から油圧P1が供給され、また第2の油圧室14がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A1方向に移動し、ピストン16と一体のスプール6も矢印A1方向に移動する。一方、ピストン16の矢印A1方向の移動により、ディテントレバー7は、図3中の反時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサ10が発生するセンサ電圧が徐々に上昇していく。センサ電圧がf(凸部fに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ11をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー26の凸部fを越えて、レンジ溝gに進入している。上述のソレノイドバルブ11のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、ピストン16及びこれと一体のスプール6は、小さな力で矢印A1方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテントレバー26は、レンジ溝g内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置g1に配置される。これと同時にスプール6は、D位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテント機構7の引き込み作用を利用して、ディテントレバー26を切換え位置g1に配置し、スプール6をD位置に配置するようにしている。このように、運転者が走行レンジをNレンジからDレンジに切り換えるのに対応してスプール6をN位置からD位置に移動させるに際して、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部fがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝gに入るまでとし、その後はレンジ溝g内に配置されたローラ28をディテント機構7の引き込み作用を利用して、切換え位置g1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、スプール6を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。
【0041】
次に、図6を参照して、DレンジからNレンジに切り換える場合を例に説明する。
【0042】
シフトレバー2によってDレンジが選択されている場合には、図3に示すディテントレバー26の切換え位置g1がディテントレバー26の軸心30aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、ソレノイドバルブ11,12は双方ともOFFで、また位置センサ10のセンサ電圧はg1(切換え位置g1に対応する値)である。
【0043】
ここで、運転者がシフトレバー2を操作してNレンジを選択する。すると、Nレンジに対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ12の電圧をONし、かつソレノイド11の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第2の油圧室14にソレノイドバルブ12から油圧P2が供給され、また第1の油圧室13がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A2方向に移動し、ピストン16と一体のスプール6も矢印A2方向に移動する。一方、ピストン16の矢印A2方向の移動により、ディテントレバー7は、図3中の時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサ10が発生するセンサ電圧が徐々に下降していく。センサ電圧がf(凸部fに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ12をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー26の凸部fを越えて、レンジ溝eに進入している。上述のソレノイドバルブ12のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、ピストン16及びこれと一体のスプール6は、小さな力で矢印A2方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテントレバー26は、レンジ溝e内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置e1に配置される。これと同時にスプール6は、N位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテント機構7の引き込み作用を利用して、ディテントレバー26を切換え位置e1に配置し、スプール6をN位置に配置するようにしている。このように、運転者が走行レンジをDレンジからNレンジに切り換えるのに対応してスプール6をD位置からN位置に移動させるに際して、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部fがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝eに入るまでとし、その後はレンジ溝e内に配置されたローラ28をディテント機構7の引き込み作用を利用して、切換え位置e1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、スプール6を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。
【0044】
以上では、NレンジとDレンジとの間の切換えを例に説明したが、これ以外のPレンジとRレンジとの間や、RレンジとNレンジとの間の切換えについてもほぼ同様である。
【0045】
次に、Pレンジが選択された場合のパーキング機構8の動作について説明する。Pレンジが選択されると、上述と同様にして、油圧アクチュエータ5によりスプール6がP位置に配置される。このとき同時に、パーキング機構8によりパーキングロックが行われる。すなわち、スプール6がP位置に配置されると同時に、ディテントレバー26が図1中の時計回りに回転し、これにより、パーキングロッド34を矢印B1方向に移動される。このとき、パーキングロッド34と一体の鍔部36がばね37を介してウエッジ35を矢印B1方向に付勢する。この付勢により、ウエッジ35は、サポート38とパーキングポール40との間に入り込んで、パーキングポール40を押し上げて、その爪43をパーキングギヤ42に噛合させようとする。このとき、爪43がパーキングギヤ42の山に当たっていると、ウエッジ35は間に入り込めずに、ばね37に付勢された状態で待機することになる。この状態で、車輌が少し動いてパーキングギヤ42が回転すると、爪43がパーキングギヤ42の谷に入り込んでパーキングロックを行うことができる。
【0046】
パーキングのロック解除は、シフトレバー2によりPレンジ以外の走行レンジが選択されることにより、油圧アクチュエータ5により、スプール6がP位置から他の位置に移動される。同時に、ディテントレバー26が図1中の反時計回りに回転される。これにより、パーキングロッド34が矢印B2方向に移動され、ウエッジ35がサポート38とパーキングポール40との間から引き抜かれて、パーキングポール40が下方に揺動し、その爪43がパーキングギヤ42の谷から引き抜かれる。これにより、ロック解除が完了する。
【0047】
バルブ手段4としては、前述の2ポート弁からなるソレノイド11,12に代えて、図7に示すような、3ポート弁からなるソレノイド44,45を使用するようにしてもよい。ソレノイドバルブ44のON及びソレノイドバルブ45のOFFにより、アクチュエータ5のピストン16を右方に移動させることができる。逆に、ソレノイドバルブ45のON及びソレノイドバルブ44のOFFにより、アクチュエータ5のピストンを左方に移動させることができる。さらに、ソレノイドバルブ44,45の双方のOFFすることにより、ディテント機構7(図1参照)を有効に作用させることができる。なお、ソレノイドバルブ44,45を使用した場合の、NレンジとPレンジとの間での切換えは、図5,図6のタイムチャートと同様である。
【0048】
バルブ手段4として、図8に示すような、4ポート弁からなるソレノイドバルブ46を1個使用するようにしてもよい。油圧アクチュエータ5のピストン16を、ソレノイド左46aのONにより右方に、またソレノイド右46bのONにより左方に移動させることができる。また、ソレノイド左46a及びソレノイド右46bのOFFにより、ディテント機構7を有効に作用させることができる。このような構成のソレノイド46を使用して、NレンジからDレンジへ切り換えた場合のタイムチャートを図9に、またDレンジからNレンジに切り換えた場合のタイムチャートを図10に示す。これらの図に示すタイミングチャートは、前述の図5,図6におけるソレノイド11をソレノイド左46aに、またソレノイド12をソレノイド右46bに置き換えたものと同じであるので、図9,図10の説明は省略する。
【0049】
上述の図4(a)〜(d)に示す油圧アクチュエータ5は、その全体を、マニュアルバルブ20の一方の端部(図中では左の端部)に配置している。これに代えて、図11(a)〜(d)に示すものは、油圧アクチュエータ47の第1の油圧室48と第2の油圧室50とを分割して、それぞれマニュアルバルブ20の一方の端部と他方の端部とに配設するようにした。本例では、第1の油圧室48側の軸51と、第2の油圧室50側の軸52との太さを同じにしているので、第1の油圧室48において、ランド21のうちの油圧P1が作用する受圧面積と、第2の油圧室50において、ランド23のうちの油圧P2が作用する受圧面積とが等しくなるようにするために、第2の油圧室50側に、呼吸孔53a付きのスリーブ53を嵌めて、軸52の端面52aに油圧が作用しないようにしている。
【0050】
また、図12(a)〜(d)に示す油圧アクチュエータ54は、上述の図11(a)〜(d)に示す油圧アクチュエータ47と同様、油圧アクチュエータ54の第1の油圧室55と第2の油圧室56とを分割して、それぞれマニュアルバルブ20の一方の端部と他方の端部とに配設するようにした。本例では、第1の油圧室55側の軸57と、第2の油圧室56側の軸57との太さが異なり、第1の油圧室54において、ランド21のうちの油圧P1が作用する受圧面積Aと、第2の油圧室56において、ランド23のうちの油圧P2が作用する受圧面積Bとが異なってしまう。そこで、第2の油圧室56側に、呼吸孔60a付きのスリーブ60を嵌め、さらに軸58の端部に円板部61を設けてこれをスリーブ60内に挿入するとともに、この円板部61の第2の油圧室56側の受圧面積Cについて、A=B−Cとなるようにした。
【0051】
これら図11(a)〜(d)、図12(a)〜(d)に示すものは、油圧アクチュエータ47,54のピストンとして、マニュアルバルブ20のランド21やランド23を流用することができるので、その分、構成を簡略化することができる。
【0052】
図13に示すものは、図3に示すディテント7のディテントレバー26に対して、形状を変え、また油圧アクチュエータ62のピストン63の軸64との接続位置を変更したものである。図3に示すものでは、ディテントレバー26において、軸30を基準に、レンジ溝a,c,e,gがある側と、軸24との接続部がある側とが反対側に配置されていた。これに対して、図13に示すディテントレバー65においては、レンジ溝a,c,e,gがある側と、軸64との接続部65aとがある側が同じ側となっている。ディテントレバー65に設けた長孔66に、軸64の先端をL字形に屈曲させて形成したフック67を係合させている。図13に示す構成によると、図3に示すものと比較して、全体構成をコンパクトにまとめることが容易となる。なお、他の基本的な構成については、図3に示すものと同様である。
【0053】
また、図13に示すものに代えて、図14に示すような接続にしてもよい。すなわち、ディテントレバー68に突起70を設ける。そして、油圧アクチュエータ71の軸72の先端に、この軸72に対してほぼ直角に2枚の保持板73,74を設ける。2枚の保持板73,74の間隔は、上述の突起70よりも僅かに大きく設定し、突起70を保持板73,74間に配置する。ディテントレバー68が軸75を中心に揺動して、突起70が多少上下した場合でも、軸72の矢印A1方向及び矢印A2方向の移動をディテントレバー68の揺動動作に有効に行うことができる。
【0054】
<実施の形態2>
本実施の形態は、本発明に係るレンジ切換え装置を、パーキング機構のロック及びその解除にのみ使用するものである。つまり本実施の形態は、本発明の構成要素のうちの1つであるレンジ切換え部材がパーキング機構8である例である。この場合、N,D,Rといったレンジの切換えについては別の機構を有するものとする。
【0055】
図15は、本実施の形態に係るレンジ切換え装置76全体構成を模式的に示す斜視図である。また図16は、レンジ切換え装置76の構成要素である油圧アクチュエータ5と、ディテント機構77と、パーキング機構8とを示している。これらの図に示すレンジ切換え装置76は、実施の形態1に係るレンジ切換え装置1と比較して、ディテント機構77のディテントレバー78の形状及び動作が異なる点、また実施の形態1におけるレンジ切換え部材であるスプールを有しておらず、パーキング機構8がレンジ切換え部材に相当する点が大きく異なり、他の点はほぼ同様である。なお、以下では異なる点を主に説明し、同様な点については適宜説明を省略する。
【0056】
ディテント機構77は、図16に示すように、ディテントレバー78と、ディテントスプリング27と、ローラ28とを有している。このうちディテントレバー78は、板状の部材であり、軸80を介して自動変速機(不図示)の一部によって揺動自在に支持されている。ディテントレバー78の基端部(図16中の下側の端部)には、長孔81が穿設されていて、この長孔81には、油圧アクチュエータ5のピストン16の軸24の先端のフック25が係合されている。一方、ディテントレバー78の先端部(図16中の上側の端部)には切換え領域として、同図中の左側にレンジ溝hが、また右側にレンジ溝jが設けられている。そしてこれらレンジ溝h,jの間には、凸部iが形成されている。これらレンジ溝h,jは、それぞれパーキング機構8のパーキングロッド34のロック位置,解除位置に大まかに対応している。ここで、「大まかに」という意味は、上述のレンジ溝h,jは、幅を持った領域(切換え領域)であり、厳密には、これらレンジ溝h,jの一部である切換え位置h1,j1がパーキングロッド34のロック位置,解除位置に対応するようになっている。ディテントスプリング27全体は板ばねとして作用し、その先端に回動自在に配置されているローラ28をディテントレバー78の各レンジ溝h,jの傾斜面に押圧して、ディテントレバー78を精度よく位置決め保持するようになっている。すなわち、ディテントスプリング27先端のローラ28が、ディテントレバー78のレンジ溝h内に配置された状態で、かつディテントレバー78が比較的容易に揺動することができる状態、例えば、前述の油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の油圧が双方ともフリー又はドレンされているような場合には、ディテントレバー78は、ディテントスプリング27に基づくローラ28の付勢力によって切換え位置h1に配置される。言い換えると、この切換え位置h1は、ディテントレバー26が揺動可能な状態において、ローラ28をレンジ溝h内に配置した場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー26が移動されて停止したときの、レンジ溝hとローラ28とが接触する点であり、本実施の形態では、ディテントレバー78の軸80の軸心80aの真上に設定されるようになっている。同様に、レンジ溝j内の切換え位置j1は、ディテントレバー78が揺動容易な状態でレンジ溝j内にローラ28が配置された場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー78が移動されて停止したときの、レンジ溝jとローラ28とが接触する点であり、レンジ溝jのうちの軸80の軸心80aの真上に位置する点である。こうして設定された切換え位置h1,j1は、前述のパーキングロッド34のロック位置,解除位置に厳密に対応する。すなわち、油圧アクチュエータ5のピストン16の移動に伴ってパーキングロッド34がロック位置,解除位置に配置されたときに、ディテントレバー78の回転によって、軸30の軸心30aの真上に、切換え位置h1,j1がそれぞれ配置されるようになっている。
【0057】
本実施の形態においては、上述のディテントレバー78の位置を検知することにより油圧アクチュエータ5及びパーキングロッド34の位置を検知する位置センサ10が配設されている。位置センサとしては、例えばディテントレバー78の回転角度に対応した電圧を発生するポテンショメータを使用することができる。位置センサは、例えば、上述のディテントレバー78の、切換え位置h1,j1や凸部iが、ディテントスプリング27先端のローラ28に接触する位置に配置されたとき、つまりディテントレバー78の軸80の軸心80aの真上にきたときを検知することができる。位置センサの出力は、検知信号S3として制御手段3に入力される。そして、検知信号S3が入力された制御手段3は、制御信号S2を発生して、前述のソレノイドバルブ11,12(図2参照)を制御するようになっている。
【0058】
上述構成のレンジ切換え装置76は、次のように動作する。
【0059】
運転者によってレンジ選択手段(不図示)を介してPレンジが選択されている場合には、図16に示すディテントレバー78の切換え位置h1がディテントレバー78の軸心80aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、図5に示すようにソレノイドバルブ11,12(図2参照)は双方ともOFFで、また位置センサのセンサ電圧はh1(切換え位置h1に対応する値)である。
【0060】
ここで、運転者がパーキング解除レンジ(P解除レンジ)を選択する。すると、P解除に対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ11の電圧をONし、かつソレノイド12の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第1の油圧室13にソレノイドバルブ11から油圧P1が供給され、また第2の油圧室14がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A1方向に移動し、ディテントレバー77が図16中の反時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサが発生するセンサ電圧が徐々に上昇していく。センサ電圧がi(凸部iに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ11をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー78の凸部iを越えて、レンジ溝jに進入している。上述のソレノイドバルブ11のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、パーキングロッド34は、小さな力で矢印C1方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテントレバー78は、レンジ溝j内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置j1に配置される。これと同時にパーキングロッド34は、解除位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテント機構77の引き込み作用を利用して、ディテントレバー78を切換え位置j1に配置し、パーキングロッド34を解除位置に配置するようにしている。このように、運転者がP解除レンジを選択したのに対応して、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部iがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝jに入るまでとし、その後はレンジ溝j内に配置されたローラ28をディテント機構77の引き込み作用を利用して、切換え位置j1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、パーキングロッド34を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。これにより、パーキング機構8のウエッジ35がサポート38とパーキングポール40との間から引き抜かれ、パーキングギヤ42の谷からパーキングポール40の爪43が外されてロックが解除される。
【0061】
P解除レンジが選択されている場合には、図16に示すディテントレバー78の切換え位置j1がディテントレバー78の軸心80aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、ソレノイドバルブ11,12は双方ともOFFで、また位置センサ10のセンサ電圧はj1(切換え位置j1に対応する値)である。
【0062】
ここで、運転者がPレンジを選択する。すると、Pレンジに対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ12の電圧をONし、かつソレノイド11の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第2の油圧室14にソレノイドバルブ12から油圧P2が供給され、また第1の油圧室13がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A2方向に移動し、ディテントレバー7は、図16中の時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサが発生するセンサ電圧が徐々に下降していく。センサ電圧がi(凸部iに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ12をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー78の凸部iを越えて、レンジ溝hに進入している。上述のソレノイドバルブ12のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、ピストン16小さな力で矢印A2方向に移動することができ、またパーキングロッド34は小さな力で矢印C2方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテントレバー78は、レンジ溝h内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置h1に配置される。これと同時にパーキングロッド34はロック位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテント機構77の引き込み作用を利用して、ディテントレバー78を切換え位置h1に配置し、パーキングロッド34をロック位置に配置するようにしている。このように、運転者が走行レンジをP解除レンジからPレンジに切り換えるのに対応してパーキングロッド34をP解除位置からP位置に移動させるのに、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部iがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝hに入るまでとし、その後はレンジ溝h内に配置されたローラ28をディテント機構77の引き込み作用を利用して、切換え位置h1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、パーキングロッド34を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。
【0063】
なお、本実施の形態においても、図2に示すソレノイドバルブ1,12に代えて、図7に示すソレノイドバルブ44,45や図8に示すソレノイドバルブ46を使用することができる。
【0064】
また、油圧アクチュエータ5のピストン16の軸24と、ディテントレバー78との接続方法も、図15に示すものに代えて、図13や図14に示すものに変更することも可能である。
【0065】
また、上述では、所定のレンジ溝h又はレンジ溝jにローラ28が入ったときに油圧を解除するようにしているが、ディテントレバー78の揺動限界位置を決める機構、例えばストッパ(不図示)を設ける場合には、特に油圧を解除する必要はない。
【0066】
<実施の形態3>
本実施の形態は、フェール発生時に、上述の実施の形態1においてはレンジ切換え部材としてのスプール6を現状位置に保持し、また上述の実施の形態2においてはレンジ切換え部材としてのパーキング機構8を現状位置に保持するためのフェール手段F1,F2,F3に関するものである。
【0067】
現状位置に保持するためのフェール手段F1,F2,F3のそれぞれ異なる構成を図17,図18,図19に示す。
【0068】
図17に示すフェール手段F1は、油圧アクチュエータ5の第1の油圧室13と第2の油圧室14との間を油路82で連通させ、さらに油路82の途中にソレノイドバルブ83を設けて構成さえている。例えば、ソレノイドバルブ11,12が故障したときやバッテリが上がって電気供給が不可能となったときに、ソレノイドバルブ83がOFFされ、これにより、油路82を介して第1の油圧室13と第2の油圧室14とが連通され、両油圧室13,14の油圧が平衡状態となる。これにより、ディテント機構7,77の作用に基づき、レンジ切換え部材としての、スプール6又はパーキング機構8は、現状位置に保持される。
【0069】
図18に示すフェール手段F2は、油路84,85と1個のソレノイドバルブ86とによって構成されている。第1の油圧室13に接続された油路84と、第2の油圧室14に接続された油路85とを、ソレノイドバルブ86のON時(平常時)には遮断する。一方、フェール時にはソレノイドバルブ86がOFFされることに基づき、第1,第2の油圧室13,14の油圧はドレンされることで平衡状態となる。これにより、ディテント機構7,77の作用に基づき、レンジ切換え部材としての、スプール6又はパーキング機構8は、現状位置に保持される。
【0070】
図19に示すフェール手段F3は、第1の油圧室13に接続された油路86にソレノイドバルブ87を設け、第2の油圧室14に接続された油路88に別のソレノイドバルブ90を設けることで構成されている。平常時には、両ソレノイドバルブ87,90は、ONとなり、両油路86,88は遮断される。一方、フェール時には両ソレノイドバルブ87,90がOFFされることに基づき、第1,第2の油圧室13,14の油圧はドレンされることで平衡状態となる。これにより、ディテント機構7,77の作用に基づき、レンジ切換え部材としての、スプール6又はパーキング機構8は、現状位置に保持される。
【0071】
なお、図17,図18,図19のものを比較した場合、図17に示すものが最も簡単な構成で、安価なものとなる。
【0072】
<実施の形態4>
上述の実施の形態では、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14に供給される油圧P1,P2がいずれもライン圧であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、モジュレータバルブ(不図示)によって調圧されたモジュレータ圧が供給されるようにしてもよい。
【0073】
ところが、これらライン圧やモジュレータ圧は、一般、エンジンの回転によって作動する機械式のオイルポンプを油圧の発生源としている。したがって、エンジンの停止中には、油圧アクチュエータ5に対して油圧P1,P2を供給することができない。つまりレンジの切換えができなくなる。
【0074】
そこで、本実施の形態では、その対応策として、電動ポンプ(不図示)を設け、イグニッションがONされたときには、エンジンが回転を開始される前でも、電動ポンプを駆動し、ここで発生された油圧を油圧アクチュエータ5に供給するようにしている。
【0075】
他の対応策として、図20にフローチャートを示す。なお、同フローチャートは、走行中の車輌が停止する際のフローチャートを示している。イグニッションがOFFの場合(S1のYES)、直ちにエンジンを停止させるのではなく、車速が所定値以下か否かを判断する。そして、所定値以下の場合は、制御手段3(図1参照)により走行レンジをPレンジに切り換える(S3)。一方、所定値を超える場合は、同じく制御手段3によりNレンジに切り換える(S4)。その後、エンジンを停止させる(S5)。
【0076】
このような制御を行うことにより、車輌が停止した際には、走行レンジは、常にPレンジかNレンジになっている。したがって、次にエンジンを始動させる際には、走行レンジを切り換える必要がないので、エンジンの停止中に油圧が発生しなくても何ら不自由はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のレンジ切換え装置の概略を模式的に示す斜視図である。
【図2】油圧アクチュエータを制御するソレノイドバルブの構成を模式的に示す図である。
【図3】実施の形態1における油圧アクチュエータ及びディテント機構を説明する図である。
【図4】(a)〜(d)は、この順にスプールのP位置,R位置,N位置,D位置を示す図である。
【図5】実施の形態1において走行レンジをNレンジからDレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図6】実施の形態1において走行レンジをDレンジからNレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図7】油圧アクチュエータを制御するソレノイドバルブの別な構成を模式的に示す図である。
【図8】油圧アクチュエータを制御するソレノイドバルブのさらに別な構成を模式的に示す図である。
【図9】図8に示すソレノイドバルブを使用して走行レンジをNレンジからDレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図10】図8に示すソレノイドバルブを使用して走行レンジをDレンジからNレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図11】(a)〜(d)は、油圧アクチュエータの別の構成を示す図である。
【図12】(a)〜(d)は、油圧アクチュエータのさらに別の構成を示す図である。
【図13】油圧アクチュエータの軸とディテントレバーとの、別な接続方法を示す図である。
【図14】油圧アクチュエータの軸とディテントレバーとの、さらに別な接続方法を示す図である。
【図15】実施の形態2のレンジ切換え装置の概略を模式的に示す斜視図である。
【図16】実施の形態2における油圧アクチュエータ及びディテント機構を説明する図である。
【図17】実施の形態3においてフェール手段の構成を模式的に示す図である。
【図18】実施の形態3においてフェール手段の別の構成を模式的に示す図である。
【図19】実施の形態3においてフェール手段のさらに別の構成を模式的に示す図である。
【図20】実施の形態4を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1,76 レンジ切換え装置
2 レンジ選択手段(シフトレバー)
3 制御手段
4 バルブ手段
5 油圧アクチュエータ
6 レンジ切換え部材(スプール)
7,77 ディテント機構
8 レンジ切換え部材(パーキング機構)
10 検知手段(位置センサ)
11,12,44,45,46ソレノイドバルブ
13 第1の油圧室
14 第2の油圧室
20 レンジ切換え部材(マニュアルバルブ)
35 ロック部材(ウエッジ)
a,c,e,g,h,j切換え領域(レンジ溝)
a1,c1,e1,g1,h1,j1切換え位置
D 走行レンジ(Dレンジ)
N 走行レンジ(Nレンジ)
P 走行レンジ(Pレンジ)
R 走行レンジ
F1,F2,F3フェール手段
S1 電気信号(シフト信号)
S2 電気信号(制御信号)
S3 電気信号(検知信号)
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者が例えばシフトレバーによって選択した走行レンジ(例えば、P,R,N,D)を電気信号を介して設定するいわゆるシフトバイワイヤシステムを備えた車輌のレンジ切換え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動変速機を備えた車輌の走行レンジは、一般に、運転者がシフトレバーを操作することで、マニュアルバルブを移動させて油路を切り換えることによって設定される。この際、運転者によって選択された走行レンジを、機械的なワイヤやロッドを介するのではなく、電気信号を介して設定する方式が、シフトバイワイヤ(SBW)システムとして知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、モータを使用してマニュアルバルブを切り換える方式のシフトバイワイヤシステムが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、シフトバイワイヤシステムをパーキングロック及びその解除に使用したもの、すなわちパーキング機構を油圧アクチュエータとばねとによって切り換える方式のシフトバイワイヤシステムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−327843号公報
【特許文献2】
独国特許出願公開第19858543号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1のものは、マニュアルバルブを移動させるための機構として、駆動源としてのモータの外に、減速機構として複数のギヤからなるギヤ列や、マニュアルバルブの位置精度を高めるためのディテント機構及びこれを有効に作用させるための電磁クラッチ等が配設されている。このため、構成や制御が複雑になるといった問題があった。
【0007】
また、特許文献2のものは、ロック時には、ロック部材をばねで付勢してロック位置に配置し、解除時にはロック部材に連結されたピストンを油圧で移動させ、さらに解除時には、ソレノイドをオンしてピストンを保持する構成である。したがって、その構成上、パーキングロック及びその解除といった2ポジションの動作しか行うことができず、例えばマニュアルバルブをP,R,N,Dといった4ポジションに移動させるものに利用することは困難である。また、ディテント機構を備えていないので、シリンダロック用のソレノイドが必要となり、その分、構成及び制御が複雑になってしまった。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構成及び制御で、走行レンジを精度よく切り換えることのできる車輌のレンジ切換え装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明(例えば、図1,図3,図15参照)は、車輌の走行レンジを、複数の走行レンジのうちから運転者によって選択された所定の走行レンジに、電気信号に基づいて切り換える車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、
運転者によって走行レンジが選択されるレンジ選択手段(2)と、
前記レンジ選択手段(2)からの信号に基づく電気信号を発生する制御手段(3)と、
前記制御手段からの前記電気信号によって切り換えられるバルブ手段(4)と、
前記バルブ手段(4)の切換えによる油圧の給排に基づいて制御される油圧アクチュエータ(5)と、
前記複数の走行レンジに対応する複数の切換え領域(a,c,e,g)にわたって移動可能に配設されるとともに、前記油圧アクチュエータ(5)によって移動されるレンジ切換え部材(6,8)と、
前記切換え領域(a,c,e,g,h,j)内に移動された前記レンジ切換え部材(6,8)をさらに移動させて前記切換え領域(a,c,e,g)内の一部に設定されている切換え位置(a1,c1,e1,g1)に配置するディテント機構(7,77)と、を備え、
前記油圧アクチュエータ(5)は、前記電気信号を介して切り換えられるバルブ手段(4)に基づいて前記レンジ切換え部材(6,8)を前記複数の切換え領域(a,c,e,g,h,j)のうちの所定の切換え領域内に移動させ、前記ディテント機構(7,77)は、前記所定の切換え領域内に移動された前記レンジ切換え部材(6,8)を、さらに前記所定の切換え領域内の前記切換え位置に移動させて位置決め保持する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明(例えば、図2,図3参照)は、請求項1に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、前記油圧アクチュエータ(5)は、前記バルブ手段(4)の切換えによる油圧の給排に基づいて、前記レンジ切換え部材(6,8)をそれぞれ異なる方向に移動させる第1の油圧室(13)と第2の油圧室(14)とを有する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明(例えば、図3参照)は、請求項1又は2に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、前記バルブ手段(4)は、前記切換え領域(a,c,e,g,h,j)内に移動された前記レンジ切換え部材(6,8)が前記ディテント機構7,77)の作用によってさらに前記切換え位置(a1,c1,e1,g1)に移動される際には、前記油圧アクチュエータ(5)の油圧室に対する油圧を解除する、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明(例えば、図17,図18,図19)は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、フェール時に、前記油圧アクチュエータ(5)の油圧室の油圧を平衡させて前記レンジ切換え部材(6,8)を現状位置に保持させるフェール手段(F1,F2,F3)を有する、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明(例えば、図3参照)は、請求項3に記載の車輌のレンジ切換え装置(1,76)において、前記レンジ切換え部材(6,8)の位置を検知して前記制御手段(3)に検知結果を入力する検知手段(10)を備え、
前記検知手段(10)が前記レンジ切換え部材(6,8)が前記切換え領域(a,c,e,g,h,j)からこれに隣接する切換え領域に移ったことを検知したときに、前記制御手段(3)は前記バルブ手段(4)を介して前記油圧アクチュエータ(5)の油圧室に対する油圧を解除する、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明(例えば、図15参照)は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置(76)において、前記レンジ切換え部材(8)が、自動変速機の出力軸をロックするパーキング位置とロックを解除する解除位置とをとるロック部材(35)を有するパーキング機構(8)である、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明(例えば、図1参照)は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置(1)において、前記レンジ切換え部材(6)が、自動変速機におけるレンジを決定するマニュアルバルブ(20)である、
ことを特徴とする。
【0016】
なお、上述のカッコ内の符合は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであって、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、油圧アクチュエータによって所定の切換え領域に移動されたレンジ切換え部材を、ディテント機構によって、所定の切換え領域の一部に設定されている所定の切換え位置に配置する。すなわち、まず、レンジ切換え部材を油圧アクチュエータによって大まかに切換え領域に移動させ、その後、ディテント機構によってさらに切換え位置に移動させるので、レンジ切換え部材を、油圧アクチュエータによって精度の高い位置制御を行うことなく、ディテント機構により所定の切換位置に高い精度で配置することができる。このため、複雑な制御を行う必要がなくなる。また、特許文献1のもの(モータ、ギヤ列、ディテント機構、電磁クラッチ等を使用するもの)と比較して、構成及び制御を簡略化することができる。さらに、特許文献2のもの(ばね、油圧アクチュエータ、ソレノイド等を使用するもの)と比較しても、構成及び制御を簡略化することができる。
【0018】
請求項2の発明によると、第1,第2の油圧室に供給する油圧を適宜に調整することにより、レンジ切換え位置を双方向に積極的に移動させることができる。したがって、例えば、一方方向には油圧により、また他方向にはばねにより移動させる構成のものが、レンジ切換え部材を2ポジションにしか切り換えることができないのとは異なり、3以上のポジションに移動させることができる。
【0019】
請求項3の発明によると、切換え領域内のレンジ切換え部材をディテント機構の作用によってさらに切換え位置に移動させる際には、油圧アクチュエータの油圧室に対する油圧が解除されているので、レンジ切換え部材は、ディテント機構の作用により比較的容易に切換え位置に配置することができる。
【0020】
請求項4の発明によると、フェール時には、フェール手段によって油圧アクチュエータの油圧室の油圧が平衡状態となるので、レンジ切換え部材は、ディテント機構により現状位置に保持されることになる。つまりフェール時に走行レンジが切り換えられてしまうことを有効に防止することができる。
【0021】
請求項5の発明によると、制御手段は、検知手段がレンジ切換え部材が切換え領域からこれに隣接する切換え領域に移ったことを検知したときに、バルブ手段を介して油圧アクチュエータ2の油圧室に対する油圧を解除するので、油圧の制御としては、レンジ切換え部材を隣接する切換え領域内に移動させるといった大雑把なもので済み、その後、レンジ切換え部材は、ディテント機構の作用により、高い精度をもって切換え位置に配置される。
【0022】
請求項6に係る発明は、本発明をパーキング機構に適用したものである。
【0023】
請求項7に係る発明は、本発明をマニュアルバルブに適用したものである。
【0024】
これら請求項6,7の発明によると、簡単な構成及び制御で、しかも高い精度で、パーキング機構やマニュアルバルブを作動させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、各図面において、同一の符号を付したものは、同様の構成又は作用を有するものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。
【0026】
<実施の形態1>
図1に、本発明に係る車輌のレンジ切換え装置の一例として、実施の形態1に係る車輌のレンジ切換え装置(以下単に「レンジ切換え装置」という。)1を示す。同図は、レンジ切換え装置1の全体構成を模式的に示す図である。
【0027】
レンジ切換え装置1は、車輌に搭載される自動変速機(例えば多段自動変速機や無段変速機(CVT))に組み込まれている。図1に示すように、レンジ切換え装置1は、運転者によって走行レンジが選択されるレンジ選択手段としてのシフトレバー2と、このシフトレバー2からの電気信号(シフト信号)S1に基づいて電気信号(制御信号)S2を発生させる制御手段3と、この制御手段3からの制御信号S2に基づいて切換えられるバルブ手段4と、このバルブ手段4によって制御される油圧アクチュエータ5と、この油圧アクチュエータ5によって移動されるレンジ切換え部材としてのスプール6(マニュアルバルブ20)と、このスプール6を位置決め保持するディテント機構7とを、主要構成要素として構成されている。これら主要構成要素のうち、バルブ手段4、油圧アクチュエータ5、及びスプール6は、自動変速機のバルブボディ9内に配設されている。さらに、同図に示すレンジ切換え装置1には、パーキング機構8が設けられている。
【0028】
以下、シフトレバー2から順に構成の詳細を説明する。
【0029】
シフトレバー(レンジ選択手段)2には、P(パーキング)レンジ,R(リバース)レンジ,N(ニュートラル)レンジ,D(ドライブ)レンジの各走行レンジ(不図示)が表示されている。シフトレバー2は、運転者によって直接、操作されて上述の走行レンジのうちから1つの走行レンジが選択される。そして、選択された走行レンジに対応するシフト信号S1が発生される。なお、レンジ選択手段としては、運転者の意思を反映することができるもの、すなわち運転者によって選択された走行レンジに対応するシフト信号S1を発生させることができるものであれば、シフトレバー2以外のものであってもよい。例えば、シフトボタン、シフトスイッチ、音声入力装置等を使用することができる。
【0030】
制御手段3は、上述のシフトレバー2で発生されたシフト信号S1に基づいて制御信号S2を発生させ、この制御信号S2によって後述のバルブ手段4を制御するものである。さらに、この制御手段3には、後述のスプール6の位置を検知する位置センサ10(後述)からの検知信号S3が入力される。制御手段3は、この検知信号S3に基づいて、バルブ手段4の切換えタイミング(後述)を制御するようになっている。
【0031】
バルブ手段4としては、例えば、図2に模式的に示すように、2ポート弁からなる2個のソレノイドバルブ11,12をそれぞれ独立に制御して使用することができる。このうち、一方のソレノイドバルブ11は、上述の制御手段3によってON/OFF制御され、ON時には油圧アクチュエータ5の第1の油圧室13に油圧P1を供給し、OFF時には第1の油圧室13の油圧を フリーにする。また他方のソレノイドバルブ12は、同様に、上述の制御手段3によってON/OFF制御され、ON時には油圧アクチュエータ5の第2の油圧室14に油圧P2を供給し、OFF時には第1の油圧室14の油圧をフリーにするように構成されている。なお、油圧P1,P2としては、自動変速機のライン圧が供給される。2個のソレノイドバルブ11,12の切換えタイミングについては後述する。
【0032】
油圧アクチュエータ5は、図3に示すように、シリンダ15と同図中の左右方向(矢印A1,A2方向)に移動するピストン16とを有している。シリンダ15内におけるピストン16の左方に位置する部分によって第1の油圧室13が構成され、またシリンダ15内におけるピストン16の右方に位置する部分によって第2の油圧室14が構成されている。このうち第1の油圧室13には、上述のソレノイドバルブ11からの油圧P1が供給され、また第1の油圧室13内の油圧をドレンするポート17が形成されている。一方、第2の油圧室14には、上述のソレノイドバルブ12からの油圧P2が供給され、また第2の油圧室14内の油圧をドレンするポート18が形成されている。油圧アクチュエータ5は、上述の制御手段3によるソレノイドバルブ11,12のON/OFFの切換えによってピストン16が矢印A1方向に移動し、または矢印A2方向に移動し、または停止されるようになっている。すなわち、ピストン16は、制御手段3によるソレノイドバルブ11のON、かつソレノイドバルブ12のOFFにより、第1の油圧室13に油圧P1が供給され、かつ第2の油圧室14の油圧がドレンされることに基づき、矢印A1方向に移動する。一方、ピストン16は、制御手段3によるソレノイドバルブ12のON、かつソレノイドバルブ11のOFFにより、第2の油圧室14に油圧P2が供給され、かつ第1の油圧室13の油圧がドレンされることに基づき、矢印A2方向に移動する。また、双方のソレノイドバルブ11,12のOFFにより、停止されるようになっている。この停止状態においては、ピストン16に作用する比較的小さな力で、矢印A1方向又は矢印A2方向に移動することが可能となっている。また、双方のソレノイドバルブ11,12が同時にONされることはない。このように左右方向に移動可能なピストン16の右端側(不図示)には次に説明するスプール6が、また左端側には後述するディテント機構7が接続されている。
【0033】
スプール(レンジ切換え部材)6は、図4(a),(b),(c),(d)に示すように、マニュアルバルブ20内のスプールである。スプール6は、左から順にランド21,22,23を有しており、本実施の形態では、上述の油圧アクチュエータ5のピストン16と一体に構成されている。スプール6は、ピストン16の矢印A1方向及び矢印A2方向の移動に伴ってピストン16と同方向に移動し、(a)のP(パーキング)位置、(b)のR(リバース)位置、(c)のD(ドライブ)位置、(d)のN(ニュートラル)位置に配置されて、それぞれランド21,22,23によってポートDp,Lp,Rpを切り換える。すなわち、スプール6は、(a)のP位置をとったときに、ランド22によりポートDpを閉鎖し、ランド22,23間でポートLpを開放し、ランド23によりポートRpを閉鎖する。また、(b)のR位置をとったときに、ランド21,22間でポートDpを開放し、ランド22,23間でポートLp,Rpを開放する。また、(c)のN位置をとったときに、ランド21,22間でポートDpを開放し、ランド22によりポートLpを閉鎖し、ランド22,23間でポートRpを開放する。そして、(d)のD位置をとったときに、ランド21,22間でポートDp,Lpを開放し、ランド22,23間でポートRpを開放する。スプール6のP位置,R位置,N位置,D位置は、この順にシフトレバー2の走行レンジのPレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジに対応している。このようなスプール6と一体のピストン16は、図1,図3に示すように、左方に延びる軸24の先端にL字形のフック25が形成されていて、このフック25が次に説明するディテント機構7の一部に係合されている。
【0034】
ディテント機構7は、図3に示すように、ディテントレバー26と、ディテントスプリング27と、ローラ28とを有している。このうちディテントレバー26は、板状の部材であり、軸30を介して自動変速機(不図示)の一部によって揺動自在に支持されている。ディテントレバー26の基端部(図3中の下側の端部)には、長孔31が穿設されていて、この長孔31には、上述のピストン16の軸24の先端のフック25が係合されている。一方、ディテントレバー26の先端部(図3中の上側の端部)には同図中の左から順に4個の切換え領域として左から順にレンジ溝a,c,e,gが設けられている。そしてこれらレンジ溝a,c,e,gの各間には、凸部b,d,fが形成されている。上述のレンジ溝a,c,e,gは、この順に、前述のスプール6のP位置,R位置,N位置,D位置に大まかに対応している。ここで、「大まかに」という意味は、上述のレンジ溝a,c,e,gは、幅を持った領域(切換え領域)であり、厳密には、これらレンジ溝a,c,e,gの一部である切換え位置a1,c1,e1,g1がスプール6のP位置,R位置,N位置,D位置に対応するようになっている。これら切換え位置a1,c1,e1,g1については、ディテントスプリング27の説明が終了した後に説明する。ディテントスプリング27は、ほぼ長板状の部材によって形成されており、基端部32が図1に示すようにバルブボディ9に固定されるとともに先端には二股部33に形成されている。この二股部33の間に、ローラ28が回動自在に支持されている。ディテントスプリング27全体は板ばねとして作用し、その先端に回動自在に配置されているローラ28をディテントレバー26の各レンジ溝a,c,e,gの傾斜面に押圧して、ディテントレバー26を精度よく位置決め保持するようになっている。すなわち、ディテントスプリング27先端のローラ28が、ディテントレバー26のレンジ溝a内に配置された状態で、かつディテントレバー26が比較的容易に揺動することができる状態、例えば、前述の油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の油圧が双方ともフリー又はドレンされているような場合には、ディテントレバー26は、ディテントスプリング27に基づくローラ28の付勢力によって切換え位置a1に配置される。言い換えると、この切換え位置a1は、ディテントレバー26が揺動可能な状態において、ローラ28をレンジ溝a内に配置した場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー26が移動されて停止したときの、レンジ溝aとローラ28とが接触する点であり、本実施の形態では、ディテントレバー26の軸30の軸心30aの真上に設定されるようになっている。同様に、レンジ溝c内の切換え位置c1は、ディテントレバー26が揺動容易な状態でレンジ溝c内にローラ28が配置された場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー26が移動されて停止したときの、レンジ溝cとローラ28とが接触する点であり、レンジ溝cのうちの軸30の軸心30aの真上に位置する点である。なお、レンジ溝eの一部に設定される切換え位置e1、及びレンジ溝gの一部に設定される切換え位置g1についても、上述の切換え位置a1や切換え位置c1と同様に設定されるので、その説明は省略する。こうして設定された切換え位置a1,c1,e1,g1は、この順に、前述のスプール6のP位置,R位置,N位置,D位置に厳密に対応する。すなわち、油圧アクチュエータ5のピストン16の移動に伴ってスプール6がP位置,R位置,N位置,D位置に配置されたときに、ディテントレバー26の回転によって、軸30の軸心30aの真上に、切換え位置a1,c1,e1,g1がそれぞれ配置されるようになっている。
【0035】
本実施の形態においては、上述のディテントレバー26の位置を検知することによりマニュアルバルブ20内のスプール6の位置を検知する位置センサ10(図1参照)が配設されている。位置センサ10としては、例えばディテントレバー26の回転角度に対応した電圧を発生するポテンショメータを使用することができる。位置センサ10は、例えば、上述のディテントレバー26の、切換え位置a1,c1,e1,g1や凸部b,d,fが、ディテントスプリング27先端のローラ28に接触する位置に配置されたとき、つまりディテントレバー26の軸30の軸心30aの真上にきたときを検知することができる。位置センサ10の出力は、検知信号S3として制御手段3に入力される。そして、検知信号S3が入力された制御手段3は、制御信号S2を発生して、前述のソレノイドバルブ11,12(図2参照)を制御する。なお、具体的な例については後述する。
【0036】
パーキング機構8は、図1に示すように、基端側がL字形に屈曲されて上述のディテントレバー26に係合されたパーキングロッド34と、このパーキングロッド34の先端側に遊嵌されて移動可能な円錐状のウエッジ35(ロック部材)と、パーキングロッド34に固定された鍔部36とウエッジ35とに連結されたばね(圧縮ばね)37と、パーキングロッド34の先端側の下方に配置されたサポート38と、このサポート38との間にウエッジ35が挿脱される、揺動自在なパーキングポール40とを備えている。パーキングポール40は、基端側の軸41を中心にほぼ上下方向に揺動自在に配設されており、上側には自動変速機の出力軸(不図示)に固定されたパーキングギヤ42に対して係脱可能な爪43が突設されている。
【0037】
上述構成のレンジ切換え装置1は、次のように動作する。
【0038】
なお、以下では、シフトレバー2により、走行レンジがNレンジからDレンジに、またDレンジからNレンジに、切り換えられる場合を例に説明する。
【0039】
シフトレバー2によってNレンジが選択されている場合には、図3に示すディテントレバー26の切換え位置e1がディテントレバー26の軸心30aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、図5に示すようにソレノイドバルブ11,12は双方ともOFFで、また位置センサ10のセンサ電圧はe1(切換え位置e1に対応する値)である。
【0040】
ここで、運転者がシフトレバー2を操作してDレンジを選択する。すると、Dレンジに対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ11の電圧をONし、かつソレノイド12の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第1の油圧室13にソレノイドバルブ11から油圧P1が供給され、また第2の油圧室14がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A1方向に移動し、ピストン16と一体のスプール6も矢印A1方向に移動する。一方、ピストン16の矢印A1方向の移動により、ディテントレバー7は、図3中の反時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサ10が発生するセンサ電圧が徐々に上昇していく。センサ電圧がf(凸部fに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ11をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー26の凸部fを越えて、レンジ溝gに進入している。上述のソレノイドバルブ11のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、ピストン16及びこれと一体のスプール6は、小さな力で矢印A1方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテントレバー26は、レンジ溝g内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置g1に配置される。これと同時にスプール6は、D位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテント機構7の引き込み作用を利用して、ディテントレバー26を切換え位置g1に配置し、スプール6をD位置に配置するようにしている。このように、運転者が走行レンジをNレンジからDレンジに切り換えるのに対応してスプール6をN位置からD位置に移動させるに際して、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部fがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝gに入るまでとし、その後はレンジ溝g内に配置されたローラ28をディテント機構7の引き込み作用を利用して、切換え位置g1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、スプール6を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。
【0041】
次に、図6を参照して、DレンジからNレンジに切り換える場合を例に説明する。
【0042】
シフトレバー2によってDレンジが選択されている場合には、図3に示すディテントレバー26の切換え位置g1がディテントレバー26の軸心30aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、ソレノイドバルブ11,12は双方ともOFFで、また位置センサ10のセンサ電圧はg1(切換え位置g1に対応する値)である。
【0043】
ここで、運転者がシフトレバー2を操作してNレンジを選択する。すると、Nレンジに対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ12の電圧をONし、かつソレノイド11の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第2の油圧室14にソレノイドバルブ12から油圧P2が供給され、また第1の油圧室13がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A2方向に移動し、ピストン16と一体のスプール6も矢印A2方向に移動する。一方、ピストン16の矢印A2方向の移動により、ディテントレバー7は、図3中の時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサ10が発生するセンサ電圧が徐々に下降していく。センサ電圧がf(凸部fに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ12をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー26の凸部fを越えて、レンジ溝eに進入している。上述のソレノイドバルブ12のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、ピストン16及びこれと一体のスプール6は、小さな力で矢印A2方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテントレバー26は、レンジ溝e内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置e1に配置される。これと同時にスプール6は、N位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテント機構7の引き込み作用を利用して、ディテントレバー26を切換え位置e1に配置し、スプール6をN位置に配置するようにしている。このように、運転者が走行レンジをDレンジからNレンジに切り換えるのに対応してスプール6をD位置からN位置に移動させるに際して、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部fがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝eに入るまでとし、その後はレンジ溝e内に配置されたローラ28をディテント機構7の引き込み作用を利用して、切換え位置e1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、スプール6を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。
【0044】
以上では、NレンジとDレンジとの間の切換えを例に説明したが、これ以外のPレンジとRレンジとの間や、RレンジとNレンジとの間の切換えについてもほぼ同様である。
【0045】
次に、Pレンジが選択された場合のパーキング機構8の動作について説明する。Pレンジが選択されると、上述と同様にして、油圧アクチュエータ5によりスプール6がP位置に配置される。このとき同時に、パーキング機構8によりパーキングロックが行われる。すなわち、スプール6がP位置に配置されると同時に、ディテントレバー26が図1中の時計回りに回転し、これにより、パーキングロッド34を矢印B1方向に移動される。このとき、パーキングロッド34と一体の鍔部36がばね37を介してウエッジ35を矢印B1方向に付勢する。この付勢により、ウエッジ35は、サポート38とパーキングポール40との間に入り込んで、パーキングポール40を押し上げて、その爪43をパーキングギヤ42に噛合させようとする。このとき、爪43がパーキングギヤ42の山に当たっていると、ウエッジ35は間に入り込めずに、ばね37に付勢された状態で待機することになる。この状態で、車輌が少し動いてパーキングギヤ42が回転すると、爪43がパーキングギヤ42の谷に入り込んでパーキングロックを行うことができる。
【0046】
パーキングのロック解除は、シフトレバー2によりPレンジ以外の走行レンジが選択されることにより、油圧アクチュエータ5により、スプール6がP位置から他の位置に移動される。同時に、ディテントレバー26が図1中の反時計回りに回転される。これにより、パーキングロッド34が矢印B2方向に移動され、ウエッジ35がサポート38とパーキングポール40との間から引き抜かれて、パーキングポール40が下方に揺動し、その爪43がパーキングギヤ42の谷から引き抜かれる。これにより、ロック解除が完了する。
【0047】
バルブ手段4としては、前述の2ポート弁からなるソレノイド11,12に代えて、図7に示すような、3ポート弁からなるソレノイド44,45を使用するようにしてもよい。ソレノイドバルブ44のON及びソレノイドバルブ45のOFFにより、アクチュエータ5のピストン16を右方に移動させることができる。逆に、ソレノイドバルブ45のON及びソレノイドバルブ44のOFFにより、アクチュエータ5のピストンを左方に移動させることができる。さらに、ソレノイドバルブ44,45の双方のOFFすることにより、ディテント機構7(図1参照)を有効に作用させることができる。なお、ソレノイドバルブ44,45を使用した場合の、NレンジとPレンジとの間での切換えは、図5,図6のタイムチャートと同様である。
【0048】
バルブ手段4として、図8に示すような、4ポート弁からなるソレノイドバルブ46を1個使用するようにしてもよい。油圧アクチュエータ5のピストン16を、ソレノイド左46aのONにより右方に、またソレノイド右46bのONにより左方に移動させることができる。また、ソレノイド左46a及びソレノイド右46bのOFFにより、ディテント機構7を有効に作用させることができる。このような構成のソレノイド46を使用して、NレンジからDレンジへ切り換えた場合のタイムチャートを図9に、またDレンジからNレンジに切り換えた場合のタイムチャートを図10に示す。これらの図に示すタイミングチャートは、前述の図5,図6におけるソレノイド11をソレノイド左46aに、またソレノイド12をソレノイド右46bに置き換えたものと同じであるので、図9,図10の説明は省略する。
【0049】
上述の図4(a)〜(d)に示す油圧アクチュエータ5は、その全体を、マニュアルバルブ20の一方の端部(図中では左の端部)に配置している。これに代えて、図11(a)〜(d)に示すものは、油圧アクチュエータ47の第1の油圧室48と第2の油圧室50とを分割して、それぞれマニュアルバルブ20の一方の端部と他方の端部とに配設するようにした。本例では、第1の油圧室48側の軸51と、第2の油圧室50側の軸52との太さを同じにしているので、第1の油圧室48において、ランド21のうちの油圧P1が作用する受圧面積と、第2の油圧室50において、ランド23のうちの油圧P2が作用する受圧面積とが等しくなるようにするために、第2の油圧室50側に、呼吸孔53a付きのスリーブ53を嵌めて、軸52の端面52aに油圧が作用しないようにしている。
【0050】
また、図12(a)〜(d)に示す油圧アクチュエータ54は、上述の図11(a)〜(d)に示す油圧アクチュエータ47と同様、油圧アクチュエータ54の第1の油圧室55と第2の油圧室56とを分割して、それぞれマニュアルバルブ20の一方の端部と他方の端部とに配設するようにした。本例では、第1の油圧室55側の軸57と、第2の油圧室56側の軸57との太さが異なり、第1の油圧室54において、ランド21のうちの油圧P1が作用する受圧面積Aと、第2の油圧室56において、ランド23のうちの油圧P2が作用する受圧面積Bとが異なってしまう。そこで、第2の油圧室56側に、呼吸孔60a付きのスリーブ60を嵌め、さらに軸58の端部に円板部61を設けてこれをスリーブ60内に挿入するとともに、この円板部61の第2の油圧室56側の受圧面積Cについて、A=B−Cとなるようにした。
【0051】
これら図11(a)〜(d)、図12(a)〜(d)に示すものは、油圧アクチュエータ47,54のピストンとして、マニュアルバルブ20のランド21やランド23を流用することができるので、その分、構成を簡略化することができる。
【0052】
図13に示すものは、図3に示すディテント7のディテントレバー26に対して、形状を変え、また油圧アクチュエータ62のピストン63の軸64との接続位置を変更したものである。図3に示すものでは、ディテントレバー26において、軸30を基準に、レンジ溝a,c,e,gがある側と、軸24との接続部がある側とが反対側に配置されていた。これに対して、図13に示すディテントレバー65においては、レンジ溝a,c,e,gがある側と、軸64との接続部65aとがある側が同じ側となっている。ディテントレバー65に設けた長孔66に、軸64の先端をL字形に屈曲させて形成したフック67を係合させている。図13に示す構成によると、図3に示すものと比較して、全体構成をコンパクトにまとめることが容易となる。なお、他の基本的な構成については、図3に示すものと同様である。
【0053】
また、図13に示すものに代えて、図14に示すような接続にしてもよい。すなわち、ディテントレバー68に突起70を設ける。そして、油圧アクチュエータ71の軸72の先端に、この軸72に対してほぼ直角に2枚の保持板73,74を設ける。2枚の保持板73,74の間隔は、上述の突起70よりも僅かに大きく設定し、突起70を保持板73,74間に配置する。ディテントレバー68が軸75を中心に揺動して、突起70が多少上下した場合でも、軸72の矢印A1方向及び矢印A2方向の移動をディテントレバー68の揺動動作に有効に行うことができる。
【0054】
<実施の形態2>
本実施の形態は、本発明に係るレンジ切換え装置を、パーキング機構のロック及びその解除にのみ使用するものである。つまり本実施の形態は、本発明の構成要素のうちの1つであるレンジ切換え部材がパーキング機構8である例である。この場合、N,D,Rといったレンジの切換えについては別の機構を有するものとする。
【0055】
図15は、本実施の形態に係るレンジ切換え装置76全体構成を模式的に示す斜視図である。また図16は、レンジ切換え装置76の構成要素である油圧アクチュエータ5と、ディテント機構77と、パーキング機構8とを示している。これらの図に示すレンジ切換え装置76は、実施の形態1に係るレンジ切換え装置1と比較して、ディテント機構77のディテントレバー78の形状及び動作が異なる点、また実施の形態1におけるレンジ切換え部材であるスプールを有しておらず、パーキング機構8がレンジ切換え部材に相当する点が大きく異なり、他の点はほぼ同様である。なお、以下では異なる点を主に説明し、同様な点については適宜説明を省略する。
【0056】
ディテント機構77は、図16に示すように、ディテントレバー78と、ディテントスプリング27と、ローラ28とを有している。このうちディテントレバー78は、板状の部材であり、軸80を介して自動変速機(不図示)の一部によって揺動自在に支持されている。ディテントレバー78の基端部(図16中の下側の端部)には、長孔81が穿設されていて、この長孔81には、油圧アクチュエータ5のピストン16の軸24の先端のフック25が係合されている。一方、ディテントレバー78の先端部(図16中の上側の端部)には切換え領域として、同図中の左側にレンジ溝hが、また右側にレンジ溝jが設けられている。そしてこれらレンジ溝h,jの間には、凸部iが形成されている。これらレンジ溝h,jは、それぞれパーキング機構8のパーキングロッド34のロック位置,解除位置に大まかに対応している。ここで、「大まかに」という意味は、上述のレンジ溝h,jは、幅を持った領域(切換え領域)であり、厳密には、これらレンジ溝h,jの一部である切換え位置h1,j1がパーキングロッド34のロック位置,解除位置に対応するようになっている。ディテントスプリング27全体は板ばねとして作用し、その先端に回動自在に配置されているローラ28をディテントレバー78の各レンジ溝h,jの傾斜面に押圧して、ディテントレバー78を精度よく位置決め保持するようになっている。すなわち、ディテントスプリング27先端のローラ28が、ディテントレバー78のレンジ溝h内に配置された状態で、かつディテントレバー78が比較的容易に揺動することができる状態、例えば、前述の油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の油圧が双方ともフリー又はドレンされているような場合には、ディテントレバー78は、ディテントスプリング27に基づくローラ28の付勢力によって切換え位置h1に配置される。言い換えると、この切換え位置h1は、ディテントレバー26が揺動可能な状態において、ローラ28をレンジ溝h内に配置した場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー26が移動されて停止したときの、レンジ溝hとローラ28とが接触する点であり、本実施の形態では、ディテントレバー78の軸80の軸心80aの真上に設定されるようになっている。同様に、レンジ溝j内の切換え位置j1は、ディテントレバー78が揺動容易な状態でレンジ溝j内にローラ28が配置された場合に、ローラ28の付勢力によってディテントレバー78が移動されて停止したときの、レンジ溝jとローラ28とが接触する点であり、レンジ溝jのうちの軸80の軸心80aの真上に位置する点である。こうして設定された切換え位置h1,j1は、前述のパーキングロッド34のロック位置,解除位置に厳密に対応する。すなわち、油圧アクチュエータ5のピストン16の移動に伴ってパーキングロッド34がロック位置,解除位置に配置されたときに、ディテントレバー78の回転によって、軸30の軸心30aの真上に、切換え位置h1,j1がそれぞれ配置されるようになっている。
【0057】
本実施の形態においては、上述のディテントレバー78の位置を検知することにより油圧アクチュエータ5及びパーキングロッド34の位置を検知する位置センサ10が配設されている。位置センサとしては、例えばディテントレバー78の回転角度に対応した電圧を発生するポテンショメータを使用することができる。位置センサは、例えば、上述のディテントレバー78の、切換え位置h1,j1や凸部iが、ディテントスプリング27先端のローラ28に接触する位置に配置されたとき、つまりディテントレバー78の軸80の軸心80aの真上にきたときを検知することができる。位置センサの出力は、検知信号S3として制御手段3に入力される。そして、検知信号S3が入力された制御手段3は、制御信号S2を発生して、前述のソレノイドバルブ11,12(図2参照)を制御するようになっている。
【0058】
上述構成のレンジ切換え装置76は、次のように動作する。
【0059】
運転者によってレンジ選択手段(不図示)を介してPレンジが選択されている場合には、図16に示すディテントレバー78の切換え位置h1がディテントレバー78の軸心80aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、図5に示すようにソレノイドバルブ11,12(図2参照)は双方ともOFFで、また位置センサのセンサ電圧はh1(切換え位置h1に対応する値)である。
【0060】
ここで、運転者がパーキング解除レンジ(P解除レンジ)を選択する。すると、P解除に対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ11の電圧をONし、かつソレノイド12の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第1の油圧室13にソレノイドバルブ11から油圧P1が供給され、また第2の油圧室14がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A1方向に移動し、ディテントレバー77が図16中の反時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサが発生するセンサ電圧が徐々に上昇していく。センサ電圧がi(凸部iに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ11をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー78の凸部iを越えて、レンジ溝jに進入している。上述のソレノイドバルブ11のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、パーキングロッド34は、小さな力で矢印C1方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテントレバー78は、レンジ溝j内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置j1に配置される。これと同時にパーキングロッド34は、解除位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ11がOFFされた後は、ディテント機構77の引き込み作用を利用して、ディテントレバー78を切換え位置j1に配置し、パーキングロッド34を解除位置に配置するようにしている。このように、運転者がP解除レンジを選択したのに対応して、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部iがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝jに入るまでとし、その後はレンジ溝j内に配置されたローラ28をディテント機構77の引き込み作用を利用して、切換え位置j1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、パーキングロッド34を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。これにより、パーキング機構8のウエッジ35がサポート38とパーキングポール40との間から引き抜かれ、パーキングギヤ42の谷からパーキングポール40の爪43が外されてロックが解除される。
【0061】
P解除レンジが選択されている場合には、図16に示すディテントレバー78の切換え位置j1がディテントレバー78の軸心80aの真上に位置し、ディテントスプリング27先端のローラ28と接触している。この状態では、ソレノイドバルブ11,12は双方ともOFFで、また位置センサ10のセンサ電圧はj1(切換え位置j1に対応する値)である。
【0062】
ここで、運転者がPレンジを選択する。すると、Pレンジに対応するシフト信号S1が発生され、制御手段3に入力される。制御手段3は、このシフト信号S1に基づく制御信号S2を発生して、ソレノイドバルブ11,12を制御する。すなわち、ソレノイドバルブ12の電圧をONし、かつソレノイド11の電圧はOFFのままにする。これにより、油圧アクチュエータ5は、第2の油圧室14にソレノイドバルブ12から油圧P2が供給され、また第1の油圧室13がフリーとなる。このため、油圧アクチュエータ5のピストン16が矢印A2方向に移動し、ディテントレバー7は、図16中の時計回りに回転される。この回転が進むに連れて、位置センサが発生するセンサ電圧が徐々に下降していく。センサ電圧がi(凸部iに対応する値)に達すると、この検知信号S3が制御手段3に送られ、制御手段3は、ソレノイドバルブ12をOFFする。このとき、ローラ28は、ディテントレバー78の凸部iを越えて、レンジ溝hに進入している。上述のソレノイドバルブ12のOFFにより、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14の双方の油圧がフリーとなり、ピストン16小さな力で矢印A2方向に移動することができ、またパーキングロッド34は小さな力で矢印C2方向に移動することができる状態となる。ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテントレバー78は、レンジ溝h内に配置されたローラ28の付勢力により、さらに移動して、切換え位置h1に配置される。これと同時にパーキングロッド34はロック位置に配置される。つまり、ソレノイドバルブ12がOFFされた後は、ディテント機構77の引き込み作用を利用して、ディテントレバー78を切換え位置h1に配置し、パーキングロッド34をロック位置に配置するようにしている。このように、運転者が走行レンジをP解除レンジからPレンジに切り換えるのに対応してパーキングロッド34をP解除位置からP位置に移動させるのに、油圧アクチュエータ5による制御は、凸部iがローラ28を越えて、ローラ28がレンジ溝hに入るまでとし、その後はレンジ溝h内に配置されたローラ28をディテント機構77の引き込み作用を利用して、切換え位置h1に位置決め保持するようにしたので、簡単な構成及び制御によって、パーキングロッド34を高い精度で、選択されたレンジに対応する位置に配置することができる。
【0063】
なお、本実施の形態においても、図2に示すソレノイドバルブ1,12に代えて、図7に示すソレノイドバルブ44,45や図8に示すソレノイドバルブ46を使用することができる。
【0064】
また、油圧アクチュエータ5のピストン16の軸24と、ディテントレバー78との接続方法も、図15に示すものに代えて、図13や図14に示すものに変更することも可能である。
【0065】
また、上述では、所定のレンジ溝h又はレンジ溝jにローラ28が入ったときに油圧を解除するようにしているが、ディテントレバー78の揺動限界位置を決める機構、例えばストッパ(不図示)を設ける場合には、特に油圧を解除する必要はない。
【0066】
<実施の形態3>
本実施の形態は、フェール発生時に、上述の実施の形態1においてはレンジ切換え部材としてのスプール6を現状位置に保持し、また上述の実施の形態2においてはレンジ切換え部材としてのパーキング機構8を現状位置に保持するためのフェール手段F1,F2,F3に関するものである。
【0067】
現状位置に保持するためのフェール手段F1,F2,F3のそれぞれ異なる構成を図17,図18,図19に示す。
【0068】
図17に示すフェール手段F1は、油圧アクチュエータ5の第1の油圧室13と第2の油圧室14との間を油路82で連通させ、さらに油路82の途中にソレノイドバルブ83を設けて構成さえている。例えば、ソレノイドバルブ11,12が故障したときやバッテリが上がって電気供給が不可能となったときに、ソレノイドバルブ83がOFFされ、これにより、油路82を介して第1の油圧室13と第2の油圧室14とが連通され、両油圧室13,14の油圧が平衡状態となる。これにより、ディテント機構7,77の作用に基づき、レンジ切換え部材としての、スプール6又はパーキング機構8は、現状位置に保持される。
【0069】
図18に示すフェール手段F2は、油路84,85と1個のソレノイドバルブ86とによって構成されている。第1の油圧室13に接続された油路84と、第2の油圧室14に接続された油路85とを、ソレノイドバルブ86のON時(平常時)には遮断する。一方、フェール時にはソレノイドバルブ86がOFFされることに基づき、第1,第2の油圧室13,14の油圧はドレンされることで平衡状態となる。これにより、ディテント機構7,77の作用に基づき、レンジ切換え部材としての、スプール6又はパーキング機構8は、現状位置に保持される。
【0070】
図19に示すフェール手段F3は、第1の油圧室13に接続された油路86にソレノイドバルブ87を設け、第2の油圧室14に接続された油路88に別のソレノイドバルブ90を設けることで構成されている。平常時には、両ソレノイドバルブ87,90は、ONとなり、両油路86,88は遮断される。一方、フェール時には両ソレノイドバルブ87,90がOFFされることに基づき、第1,第2の油圧室13,14の油圧はドレンされることで平衡状態となる。これにより、ディテント機構7,77の作用に基づき、レンジ切換え部材としての、スプール6又はパーキング機構8は、現状位置に保持される。
【0071】
なお、図17,図18,図19のものを比較した場合、図17に示すものが最も簡単な構成で、安価なものとなる。
【0072】
<実施の形態4>
上述の実施の形態では、油圧アクチュエータ5の第1,第2の油圧室13,14に供給される油圧P1,P2がいずれもライン圧であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、モジュレータバルブ(不図示)によって調圧されたモジュレータ圧が供給されるようにしてもよい。
【0073】
ところが、これらライン圧やモジュレータ圧は、一般、エンジンの回転によって作動する機械式のオイルポンプを油圧の発生源としている。したがって、エンジンの停止中には、油圧アクチュエータ5に対して油圧P1,P2を供給することができない。つまりレンジの切換えができなくなる。
【0074】
そこで、本実施の形態では、その対応策として、電動ポンプ(不図示)を設け、イグニッションがONされたときには、エンジンが回転を開始される前でも、電動ポンプを駆動し、ここで発生された油圧を油圧アクチュエータ5に供給するようにしている。
【0075】
他の対応策として、図20にフローチャートを示す。なお、同フローチャートは、走行中の車輌が停止する際のフローチャートを示している。イグニッションがOFFの場合(S1のYES)、直ちにエンジンを停止させるのではなく、車速が所定値以下か否かを判断する。そして、所定値以下の場合は、制御手段3(図1参照)により走行レンジをPレンジに切り換える(S3)。一方、所定値を超える場合は、同じく制御手段3によりNレンジに切り換える(S4)。その後、エンジンを停止させる(S5)。
【0076】
このような制御を行うことにより、車輌が停止した際には、走行レンジは、常にPレンジかNレンジになっている。したがって、次にエンジンを始動させる際には、走行レンジを切り換える必要がないので、エンジンの停止中に油圧が発生しなくても何ら不自由はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のレンジ切換え装置の概略を模式的に示す斜視図である。
【図2】油圧アクチュエータを制御するソレノイドバルブの構成を模式的に示す図である。
【図3】実施の形態1における油圧アクチュエータ及びディテント機構を説明する図である。
【図4】(a)〜(d)は、この順にスプールのP位置,R位置,N位置,D位置を示す図である。
【図5】実施の形態1において走行レンジをNレンジからDレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図6】実施の形態1において走行レンジをDレンジからNレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図7】油圧アクチュエータを制御するソレノイドバルブの別な構成を模式的に示す図である。
【図8】油圧アクチュエータを制御するソレノイドバルブのさらに別な構成を模式的に示す図である。
【図9】図8に示すソレノイドバルブを使用して走行レンジをNレンジからDレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図10】図8に示すソレノイドバルブを使用して走行レンジをDレンジからNレンジに切り換える際のタイムチャートである。
【図11】(a)〜(d)は、油圧アクチュエータの別の構成を示す図である。
【図12】(a)〜(d)は、油圧アクチュエータのさらに別の構成を示す図である。
【図13】油圧アクチュエータの軸とディテントレバーとの、別な接続方法を示す図である。
【図14】油圧アクチュエータの軸とディテントレバーとの、さらに別な接続方法を示す図である。
【図15】実施の形態2のレンジ切換え装置の概略を模式的に示す斜視図である。
【図16】実施の形態2における油圧アクチュエータ及びディテント機構を説明する図である。
【図17】実施の形態3においてフェール手段の構成を模式的に示す図である。
【図18】実施の形態3においてフェール手段の別の構成を模式的に示す図である。
【図19】実施の形態3においてフェール手段のさらに別の構成を模式的に示す図である。
【図20】実施の形態4を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1,76 レンジ切換え装置
2 レンジ選択手段(シフトレバー)
3 制御手段
4 バルブ手段
5 油圧アクチュエータ
6 レンジ切換え部材(スプール)
7,77 ディテント機構
8 レンジ切換え部材(パーキング機構)
10 検知手段(位置センサ)
11,12,44,45,46ソレノイドバルブ
13 第1の油圧室
14 第2の油圧室
20 レンジ切換え部材(マニュアルバルブ)
35 ロック部材(ウエッジ)
a,c,e,g,h,j切換え領域(レンジ溝)
a1,c1,e1,g1,h1,j1切換え位置
D 走行レンジ(Dレンジ)
N 走行レンジ(Nレンジ)
P 走行レンジ(Pレンジ)
R 走行レンジ
F1,F2,F3フェール手段
S1 電気信号(シフト信号)
S2 電気信号(制御信号)
S3 電気信号(検知信号)
Claims (7)
- 車輌の走行レンジを、複数の走行レンジのうちから運転者によって選択された所定の走行レンジに、電気信号に基づいて切り換える車輌のレンジ切換え装置において、
運転者によって走行レンジが選択されるレンジ選択手段と、
前記レンジ選択手段からの信号に基づく電気信号を発生する制御手段と、
前記制御手段からの前記電気信号によって切り換えられるバルブ手段と、
前記バルブ手段の切換えによる油圧の給排に基づいて制御される油圧アクチュエータと、
前記複数の走行レンジに対応する複数の切換え領域にわたって移動可能に配設されるとともに、前記油圧アクチュエータによって移動されるレンジ切換え部材と、
前記切換え領域内に移動された前記レンジ切換え部材をさらに移動させて前記切換え領域内の一部に設定されている切換え位置に配置するディテント機構と、
を備え、
前記油圧アクチュエータは、前記電気信号を介して切り換えられるバルブ手段に基づいて前記レンジ切換え部材を前記複数の切換え領域のうちの所定の切換え領域内に移動させ、前記ディテント機構は、前記所定の切換え領域内に移動された前記レンジ切換え部材を、さらに前記所定の切換え領域内の前記切換え位置に移動させて位置決め保持する、
ことを特徴とする車輌のレンジ切換え装置。 - 前記油圧アクチュエータは、前記バルブ手段の切換えによる油圧の給排に基づいて、前記レンジ切換え部材をそれぞれ異なる方向に移動させる第1の油圧室と第2の油圧室とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌のレンジ切換え装置。 - 前記バルブ手段は、前記切換え領域内に移動された前記レンジ切換え部材が前記ディテント機構の作用によってさらに前記切換え位置に移動される際には、前記油圧アクチュエータの油圧室に対する油圧を解除する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌のレンジ切換え装置。 - フェール時に、前記油圧アクチュエータの油圧室の油圧を平衡させて前記レンジ切換え部材を現状位置に保持させるフェール手段を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置。 - 前記レンジ切換え部材の位置を検知して前記制御手段に検知結果を入力する検知手段を備え、
前記検知手段が前記レンジ切換え部材が前記切換え領域からこれに隣接する切換え領域に移ったことを検知したときに、前記制御手段は前記バルブ手段を介して前記油圧アクチュエータの油圧室に対する油圧を解除する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車輌のレンジ切換え装置。 - 前記レンジ切換え部材が、自動変速機の出力軸をロックするパーキング位置とロックを解除する解除位置とをとるロック部材を有するパーキング機構である、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置。 - 前記レンジ切換え部材が、自動変速機におけるレンジを決定するマニュアルバルブである、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車輌のレンジ切換え装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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