JP5314471B2 - 車輌用パーキング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輌に搭載される自動変速機等に用いられる車輌用パーキング装置に係り、詳しくは、軸方向に移動駆動されることでパーキングギヤの噛合を入切し得るパーキングロッドと、該パーキングロッドに連結される回動レバーと、を備え、該回動レバーを回動させることでパーキングギヤの噛合を入切し得る車輌用パーキング装置に関する。
従来、車輌等に搭載される自動変速機には、駆動車輪に連動して回転するように構成された出力軸の回転を規制することにより、車輌をパーキング状態にするパーキング装置が備えられている。該パーキング装置は、上記出力軸に対して一体に設けられ、周方向に等間隔となるように複数のギヤ溝が形成されたパーキングギヤと、該ギヤ溝に噛合う爪部を有するパーキングポールと、該パーキングポールに隣接して配置されたサポートと、円錐形に形成され、パーキングポールとサポートとの間を挿脱することでパーキングポールを揺動させるカムと、該カムが嵌挿されたパーキングロッドと、該パーキングロッドに連結された回動レバーと、該回動レバーにロッドやワイヤ等で機械的に連結されたシフトレバーとを備えており、該シフトレバーを操作することにより、パーキング状態とパーキング解除状態とを切換えることができるように構成されている。
また、自動変速機のパーキング装置としては、回動レバーとシフトレバーとの間をロッドやワイヤ等で機械的に連結されているものの他、シフトレバーの操作を電気信号を介して伝達し、油圧ピストン装置を用いて回動レバーを駆動するように構成したものもある(例えば、特許文献1参照)。該パーキング装置は、スプリングを用いて回動レバーを付勢してパーキングギヤを噛合わせることでパーキング状態にし、油圧ピストン装置に油圧を供給することにより、スプリングの付勢力に反して回動レバーを駆動してパーキング解除状態にしている。
特表2002−533631号公報
ところで、例えば車輌が坂道で停車するなどして、パーキング装置のパーキングギヤに荷重がかかり、パーキングポールと強く噛合う場合、上記カムもパーキングポールとサポートとの間に強く挟持され、該カムが嵌挿されたパーキングロッドを引抜くことによりパーキング解除状態とするためには、該カムを挟持する力に打ち勝つ力でパーキングロッドを引抜く必要がある。つまり、上記特許文献1のパーキング装置を用いる場合、上記のようなカムを挟持する力に打ち勝つように油圧ピストン装置によって上記回動レバーを駆動しなくてはならない。
しかし、上記挟持する力に打ち勝つ力を発生し得るように油圧ピストン装置を構成すると、シリンダ内の体積が大きくなることで該シリンダに供給する油の量も多くなり、パーキング解除状態を維持する際にも消費する油の量が多くなってしまう。このため、パーキング解除時にライン圧の圧低の一因となってしまったり、油圧ピストン装置の応答性の悪化を招いたりするという問題があった。
そこで本発明は、パーキングギヤに荷重がかかった状態でもアンロック状態にできるものでありながら、シリンダ内に供給する油の量を少なくすることが可能な油圧ピストン装置を有する車輌用パーキング装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図5参照)、変速機内の回転軸に連結されるパーキングギヤ(3)と、前記パーキングギヤ(3)の歯間の凹部に係合または離脱される爪(4a)を有するパーキングポール(4)と、軸方向に移動されることで前記パーキングポール(4)を前記パーキングギヤ(3)に押付けて前記爪(4a)を前記凹部に係合させ得るロック状態と前記パーキングポール(4)を前記パーキングギヤ(3)から離隔させて前記凹部から前記爪(4a)を引き抜くアンロック状態とに切換えるパーキングロッド(7)と、前記パーキングロッド(7)に連結される回動レバー(10)と、を備えた車輌用パーキング装置(1)において、
前記パーキングポール(4)を前記パーキングギヤ(3)に押付ける方向に前記パーキングロッド(7)を付勢する付勢部材(11)と、
前記ロック状態及び前記アンロック状態にて油圧が供給され得る第1油室(20a)と、前記ロック状態にて油圧が供給され得ると共に前記アンロック状態にて油圧が排出される第2油室(20b)と、前記回動レバー(10)に連結された油圧ピストン(21)と、を有する油圧ピストン装置(20)と、を備えてなる、
前記油圧ピストン装置(20)は、前記ロック状態において前記第1油室(20a)及び前記第2油室(20b)に油圧が供給されると前記油圧ピストン(21)により前記アンロック状態となる方向に該回動レバー(10)を駆動し、前記アンロック状態において前記第1油室(20a)に油圧が供給されると前記アンロック状態となるように該回動レバー(10)の位置を維持し、前記油圧の供給が停止されると前記付勢部材(11)の付勢力により前記ロック状態となる方向に該回動レバー(10)を駆動する、
ことを特徴とする車輌用パーキング装置(1)にある。
請求項2に係る本発明は(例えば図2乃至図5参照)、前記油圧ピストン装置(20)は、側壁(22c)と、小径な小径中空部(22a)と、該小径中空部よりも大径な大径中空部(22b)と、が連続的に形成されたシリンダ部材(22)を有し、
前記油圧ピストン(21)は、前記小径中空部(22a)に嵌合する小径ランド部(21a)と、前記大径中空部(22b)に嵌合する大径ランド部(21b)と、が形成されてなり、
前記第1油室(20a)は、前記シリンダ部材(22)内における前記側壁(22c)と前記小径ランド部(21a)との間に形成され、
前記第2油室(20b)は、前記シリンダ部材(22)内における前記小径ランド部(21a)と前記大径ランド部(21b)との間に形成されてなる、
請求項1記載の車輌用パーキング装置(1)にある。
請求項3に係る本発明は(例えば図2乃至図5参照)、前記シリンダ部材(22)は、前記第1油室(20a)に油圧を供給し得る第1供給ポート(22d)と、前記第2油室(20b)に油圧を供給し得ると共に前記油圧ピストン(21)が所定距離移動された際に前記小径ランド部(21a)に遮断される第2供給ポート(22e)と、前記大径ランド部(21b)により前記第2油室(20b)に対して遮断され得ると共に前記油圧ピストン(21)が前記所定距離以上移動された際に前記大径ランド部(21b)に開放されて前記第2油室(20b)の油圧を排出する排出ポート(22f)と、を備えてなる、
請求項2記載の車輌用パーキング装置(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、ロック状態の際には、第1油室及び第2油室に油圧を供給することによりアンロック状態となる方向に回動レバーを駆動し、アンロック状態の際には、第1油室に油圧を供給することにより該アンロック状態を維持するので、パーキングギヤに荷重がかかった状態でもアンロック状態にできる力を発生できるものでありながら、アンロック状態を維持する際には、油の供給を第1油室だけにすることができ、つまり付勢部材の付勢力に反して回動レバーを止めておけばよいだけの油の供給とすることができて、シリンダ内に供給する油の量を少なくすることができる。これにより、ライン圧の安定化を図ることができ、また油圧ピストン装置の応答性の向上を図ることができる。
請求項2に係る本発明によると、第2油室が大径中空部に嵌合する大径ランド部と小径中空部に嵌合する小径ランド部との間に形成されているので、大径ランド部と小径ランド部との受圧面積の差によって、油が供給された際にパーキングギヤに荷重がかかった状態でもアンロック状態にできる力を発生させることができる。
請求項3に係る本発明によると、所定距離以上移動された際に大径ランド部に開放されて第2油室の油圧を排出する排出ポートを備えているので、アンロック状態からロック状態にする際にも第2油室の油圧が抵抗となることがなく、油圧ピストン装置の応答性の向上を図ることができる。
本実施の形態に係るパーキング装置を示す模式図。 パーキング装置のパーキング状態を示す断面図。 第2供給ポートを遮断した状態を示す断面図。 排出ポートを開放した状態を示す断面図。 パーキング装置のパーキング解除状態を示す断面図。
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図5に沿って説明する。
本発明に係るパーキング装置(車輌用パーキング装置)1は、図1乃至図5に示すように、車輌に搭載される自動変速機(例えば多段自動変速機や無段変速機(CVT))に組み込まれて構成されている。該自動変速機は、運転者によってパーキング(P)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ及びリバース(R)レンジ等が選択されるシフトレバー(不図示)からのシフト信号に基づいて制御部(不図示)が発信する制御信号に基づき、各ソレノイドバルブ等が制御されることによりシフトポジションの切換えや該シフトポジションに応じた変速が行われる、いわゆるシフトバイワイヤ方式によるものである。従ってシフトレバーによってレンジの選択を行うように説明したが、例えばボタン操作によってレンジの選択を行うように構成することもできる。
本発明に係るパーキング装置1は、自動変速機のシフトレバーのポジションがパーキング(P)レンジであるか、またはそれ以外のポジションであるかのシフト信号に基づく制御部からの制御信号に基づいて制御されるように構成されている。
上記パーキング装置1は、自動変速機のケースCの内部に、該自動変速機の変速機構(不図示)を油圧制御するためのバルブボディ(油圧制御装置)12に隣接して配置されており、パーキング機構2と、該パーキング機構2を駆動する油圧ピストン装置20とによって構成されている。該パーキング機構2は、パーキングギヤ3、パーキングポール4、サポート5、カム6、パーキングロッド7、回動レバー10等を備えて構成されている。該パーキングギヤ3は、図1に示すように、自動変速機の出力軸に対して一体に設けられており、外縁部分には周方向に等間隔となるように複数のギヤ溝が形成されている。
パーキングポール4は、基端側に設けられた揺動軸4bを中心に略々上下方向に揺動可能に配置されており、中間部分の上方側には、上記パーキングギヤ3のギヤ溝に噛合可能な爪部4aが突設されている。サポート5は、上記パーキングポール4の先端側の下方に対向して配置されており、該パーキングポール4と対向する部分には互いに傾斜面を有してカム6を挿脱可能にしている。
該カム6は、先端部分が円錐状に形成され、上記パーキングポール4とサポート5との間への挿脱を容易にしていると共に、上記パーキングロッド7に摺動可能に、かつ所定位置より該パーキングロッド7の先端側への移動が規制されるように嵌挿されている。該パーキングロッド7は、基端側が上記回動レバー10に連結され、先端側にカム6が嵌挿されており、また中間部分には突起部7aが設けられ、該突起部7aとカム6との間に、該カム6を先端側に付勢するようにコイルスプリング8が縮設されている。
回動レバー10は、図2乃至図5に示すように、中間部分において上記ケースCに対して固定された回動軸10eを中心に回動可能に配置されており、該回動軸10e部分にねじりコイルスプリング(付勢部材)11が配置され、上方側端部に連結されたパーキングロッド7を軸方向にパーキングギヤ3側に押し込む方向(つまり、図2乃至図5中の時計周り方向)に回動するように付勢されている。
また、回動レバー10の回動軸10eの下方におけるパーキングロッド7の延びる方向側には、パーキング装置1がパーキング解除状態(アンロック状態)の際に、詳しくは後述するケース部13の先端部13aと当接する切位置当接部10dが形成され、さらに下方における当接部10dと反対側には、凸部10aが形成されている。該凸部10aが形成されている。該凸部10aには、パーキング装置1がパーキング状態(ロック状態)となった際に、上記バルブボディ12の突出部12aに当接する入位置当接部10bが設けられている。
さらに、回動レバー10の下方側端部には、例えばインボリュート曲線に基づいた摺動面10cが形成されており、該摺動面10cは、回動レバー10の回動位置に拘らず、後述するピストンロッド21dに設けられたピン21cからの駆動力が垂直に作用する曲面状に形成されている。
ケース部13は、上記突出部12aに対して回動レバー10とは反対側のバルブボディ12に設けられており、先端部分(図2乃至図5中の左方側)には、パーキング装置1がパーキング解除状態となった際(図5参照)に、回動レバー10の切位置当接部10dと当接する先端部13aが設けられている。また、ケース部13の上部には、詳しくは後述する油圧ピストン装置20の第1油室20a、第2油室20bに油圧を供給するためのソレノイドバルブ15が配置されている。
上記油圧ピストン装置20は、図2乃至図5に示すように、ケース部13内に固定されたシリンダ(シリンダ部材)22と、該シリンダ22に貫通・嵌合されたピストン(油圧ピストン)21とによって構成されている。
シリンダ22は、上方端面がケース部13に固着するように配置されており、先端部分(図2乃至図5中の左方側)には側壁22cが形成され、内部には内径がDとなる円筒状の小径中空部22aと、内径がDよりも大径なDとなる円筒状の大径中空部22bとが連続的に形成されている。また、シリンダ22には、後述する第1油室20aに油圧を供給し得る第1供給ポート22dと、後述する第2油室20bに油圧を供給し得る第2供給ポート22eと、第2油室20bの油圧を排出し得る排出ポート22fと、後述するピストン21のピストンロッド21dが貫通・嵌合する貫通孔22hとが形成されている。さらに、シリンダ22には、側壁22cから第1油室20aとは反対側に延設され、上記ケース部13の先端部13aと上記貫通孔22hと仕切る仕切り部22gが設けられている。
ピストン21は、上記シリンダ22の小径中空部22aに嵌合する小径ランド部21aと、大径中空部22bに嵌合する大径中空部22bに嵌合する大径ランド部21bと、該小径ランド部21aから先端側に延設され、上記シリンダ22の貫通孔22hを貫通・嵌合するピストンロッド21dとによって構成されている。これにより、シリンダ22内における側壁22cとピストン21の小径ランド部21aとの間に第1油室20aが形成され、シリンダ22内における小径ランド部21aと大径ランド部21bとの間に第2油室20bが形成される。
また、該ピストンロッド21dの先端部には、ピン21cが設けられており、該ピン21cは、上記回動レバー10の摺動面10cに当接して配置されている。つまり、ピストン21と上記回動レバー10とは、上述のようにピン21cと摺動面10cとの間で、ねじりコイルスプリング11の付勢力及び油圧ピストン装置20の駆動力をそれぞれ伝達し得るように連結されている。
以上のように構成されたパーキング装置1は、上記シフトレバー(不図示)のシフトポジションがパーキング(P)レンジである場合には、該シフトポジションがパーキング(P)レンジである旨のシフト信号及び制御信号が発信され、上記ソレノイドバルブ15から油圧ピストン装置20の第1油室20a及び第2油室20bには、油圧が供給されない。すると、パーキング装置1は、図2に示すように、カム6がサポート5とパーキングポール4との間に挿入され、該パーキングポール4を上方側に揺動して爪部4aをパーキングギヤ3と噛合わせることによりパーキング状態が維持されている。
その後、シフトレバーのシフトポジションがパーキング(P)レンジから、例えばニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ及びリバース(R)レンジ等にされた場合には、該シフトポジションがパーキング(P)レンジから他のシフトポジションに移動された旨のシフト信号及び制御信号が発信され、上記ソレノイドバルブ15から油圧ピストン装置20の第1油室20a及び第2油室20bに油圧が供給される。すると、パーキング装置1は、ピストン21が図中右方側に移動し、回動レバー10がねじりコイルスプリング11の付勢力に反して図中反時計回り方向に回動される。回動レバー10が反時計回りに回動されると、パーキングロッド7と共にカム6が図中左方側に移動し、該カム6がサポート5とパーキングポール4との間から離脱され、該パーキングポール4が下方側に揺動して爪部4aをパーキングギヤ3との噛合いから外される。
さらに、油圧ピストン装置20の第1油室20a及び第2油室20bに油圧が供給され、ピストン21が、パーキング状態とされた際の状態から右方側に所定距離移動された場合、図3に示すように、小径ランド部21aによって第2供給ポート22eが遮断される。これにより、第2油室20bへの油の供給が停止し、油圧ピストン装置20に供給する油の量を少なくすることができる。
また、第2供給ポート22eが遮断された後、さらに第1油室20aに油圧が供給され、ピストン21が右方側に移動された場合、図4に示すように、大径ランド部21bによって遮断されていた排出ポート22fが開放され、第2油室20bの油圧がドレーンされる。
そして、さらに第1油室20aに油圧が供給され、ピストン21が右方側に移動されると、図5に示すように、回動レバー10の切位置当接部10dとケース部13の先端部13aとが当接し、パーキング装置1がパーキング解除状態とされる。また、上記シフトレバーのシフトポジションがパーキング(P)レンジ以外である際には、例えばニュートラル(N)レンジからドライブ(D)レンジに変更されても、ソレノイドバルブ15から第1油室20aに油圧が供給され続け、パーキング装置1のパーキング解除状態が維持される。
このとき、パーキング装置1は、カム6がサポート5とパーキングポール4との間から離脱されるパーキング解除状態にされると共に、切位置当接部10dと先端部13aとが当接するので、該パーキング装置1におけるパーキング解除状態となる際の回動レバー10の位置決めを行うことができる。また、パーキング装置1は、第2油室20bが大径中空部22bに嵌合する大径ランド部21bと小径中空部22aに嵌合する小径ランド部21aとの間に形成され、大径ランド部21bと小径ランド部21aとの受圧面積の差によって、ピストン21を大きな力で右方側に移動させることができるので、パーキングギヤ3に荷重がかかった状態でも、カム6をサポート5とパーキングポール4との間から離脱させ、つまりパーキング解除状態にすることができる。
また、再びシフトレバーのシフトポジションがパーキング(P)レンジに変更された場合には、該シフトポジションがパーキング(P)レンジである旨のシフト信号及び制御信号が発信され、ソレノイドバルブ15から油圧ピストン装置20の第1油室20aへの油圧の供給が停止する。すると、パーキング装置1は、第1油室20aの油圧が低下して行き、上述のように、回動レバー10がねじりコイルスプリング11の付勢力により、図中時計回り方向に付勢される。該回動レバー10が時計回り方向に付勢されると、パーキングロッド7が図中右方側に付勢されると共にカム6も右方側に付勢され、サポート5とパーキングポール4との間に挿入されて、パーキングポール4を上方側に揺動し、爪部4aをパーキングギヤ3と噛合わせることにより、再びパーキング状態にされる。なお、パーキング解除状態からパーキング状態にされた場合は、上記爪部4aがパーキングギヤ3の凸部に乗り上げ、パーキングポール4が上方側に揺動しない場合にも、カム6は、コイルスプリング8によって図中右方側に付勢されており、パーキングギヤ3が回転すると爪部4aが該パーキングギヤ3と噛合うようになっている。
この際、パーキング装置1は、回動レバー10の入位置当接部10bとバルブボディ12の突出部12aとが当接することにより、パーキング状態の際の回動レバー10及びカム6等の位置決めを行っている。
以上のように本発明に係る車輌用パーキング装置1によると、パーキング状態の際には、第1油室20a及び第2油室20bに油圧を供給することによりパーキング解除状態となる方向に回動レバー10を駆動し、パーキング解除状態の際には、第1油室20aに油圧を供給することにより該パーキング解除状態を維持するので、パーキングギヤ3に荷重がかかった状態でもパーキング解除状態にできる力を発生できるものでありながら、パーキング解除状態を維持する際には、油の供給を第1油室20aだけにすることができ、つまりねじりコイルスプリング11の付勢力に反して回動レバー10を止めておけばよいだけの油の供給とすることができて、シリンダ22内に供給する油の量を少なくすることができる。これにより、ライン圧の安定化を図ることができ、また油圧ピストン装置20の応答性の向上を図ることができる。
また、第2油室20bが大径中空部22bに嵌合する大径ランド部21bと小径中空部22aに嵌合する小径ランド部21aとの間に形成されているので、大径ランド部21bと小径ランド部21aとの受圧面積の差によって、油が供給された際にパーキングギヤ3に荷重がかかった状態でもパーキング解除状態にできる力を発生させることができる。
また、所定距離以上移動された際に大径ランド部21bに開放されて第2油室20bの油圧を排出する排出ポート22fを備えているので、パーキング解除状態からパーキング状態にする際にも第2油室20bの油圧が抵抗となることがなく、油圧ピストン装置20の応答性の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態に係る車輌用パーキング装置1は、すべてのレンジ切換えを電気信号を介して行うシフトバイワイヤ方式による自動変速機に備えられたもののように説明したが、これに限らず、例えばニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ及びリバース(R)レンジ等が、シフトレバーとロッドやワイヤによって連結された機構により操作されるものであってもよく、つまり、パーキング装置の入切が、シフトレバーの操作によるシフト信号に基づく油圧ピストン装置の駆動によって動作するものであれば、どのような自動変速機に備えられるものであっても構わない。
1 車輌用パーキング装置(パーキング装置)
3 パーキングギヤ
4 パーキングポール
4a 爪(爪部)
7 パーキングロッド
10 回動レバー
11 付勢部材(ねじりコイルスプリング)
20 油圧ピストン装置
20a 第1油室
20b 第2油室
21 油圧ピストン(ピストン)
21a 小径ランド部
21b 大径ランド部
22 シリンダ部材(シリンダ)
22a 小径中空部
22b 大径中空部
22c 側壁
22d 第1供給ポート
22e 第2供給ポート
22f 排出ポート

Claims (3)

  1. 変速機内の回転軸に連結されるパーキングギヤと、前記パーキングギヤの歯間の凹部に係合または離脱される爪を有するパーキングポールと、軸方向に移動されることで前記パーキングポールを前記パーキングギヤに押付けて前記爪を前記凹部に係合させ得るロック状態と前記パーキングポールを前記パーキングギヤから離隔させて前記凹部から前記爪を引き抜くアンロック状態とに切換えるパーキングロッドと、前記パーキングロッドに連結される回動レバーと、を備えた車輌用パーキング装置において、
    前記パーキングポールを前記パーキングギヤに押付ける方向に前記パーキングロッドを付勢する付勢部材と、
    前記ロック状態及び前記アンロック状態にて油圧が供給され得る第1油室と、前記ロック状態にて油圧が供給され得ると共に前記アンロック状態にて油圧が排出される第2油室と、前記回動レバーに連結された油圧ピストンと、を有する油圧ピストン装置と、を備え、
    前記油圧ピストン装置は、前記ロック状態において前記第1油室及び前記第2油室に油圧が供給されると前記油圧ピストンにより前記アンロック状態となる方向に該回動レバーを駆動し、前記アンロック状態において前記第1油室に油圧が供給されると前記アンロック状態となるように該回動レバーの位置を維持し、前記油圧の供給が停止されると前記付勢部材の付勢力により前記ロック状態となる方向に該回動レバーを駆動する、
    ことを特徴とする車輌用パーキング装置。
  2. 前記油圧ピストン装置は、側壁と、小径な小径中空部と、該小径中空部よりも大径な大径中空部と、が連続的に形成されたシリンダ部材を有し、
    前記油圧ピストンは、前記小径中空部に嵌合する小径ランド部と、前記大径中空部に嵌合する大径ランド部と、が形成されてなり、
    前記第1油室は、前記シリンダ部材内における前記側壁と前記小径ランド部との間に形成され、
    前記第2油室は、前記シリンダ部材内における前記小径ランド部と前記大径ランド部との間に形成されてなる、
    請求項1記載の車輌用パーキング装置。
  3. 前記シリンダ部材は、前記第1油室に油圧を供給し得る第1供給ポートと、前記第2油室に油圧を供給し得ると共に前記油圧ピストンが所定距離移動された際に前記小径ランド部に遮断される第2供給ポートと、前記大径ランド部により前記第2油室に対して遮断され得ると共に前記油圧ピストンが前記所定距離以上移動された際に前記大径ランド部に開放されて前記第2油室の油圧を排出する排出ポートと、を備えてなる、
    請求項2記載の車輌用パーキング装置。
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